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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】リード線切断装置
(51)【国際特許分類】
   B21F 11/00 20060101AFI20230619BHJP
   B23D 17/00 20060101ALI20230619BHJP
   B23D 33/02 20060101ALI20230619BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20230619BHJP
【FI】
B21F11/00 G
B23D17/00 A
B23D33/02 C
H01G13/00 303D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020153006
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047221
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 明大
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-050274(JP,A)
【文献】特開平04-091836(JP,A)
【文献】実開平05-041131(JP,U)
【文献】特表平07-501185(JP,A)
【文献】米国特許第05515606(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21F 11/00
B23D 17/00
B23D 33/02
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線の進行方向をガイドするガイド機構と、
前記ガイド機構によってガイドされた前記リード線の上方に位置し、先端部分にカット刃を有するカット刃保持部材と、
前記カット刃保持部材を駆動して前記カット刃を下降させ、前記カット刃により前記リード線を切断する切断処理を実行する切断用駆動機構とを備え
前記ガイド機構は、
前記リード線が収容可能な所定の形成幅のガイド用溝部を有し、前記ガイド用溝部内に前記リード線を配置する第1のリード線ガイド部材を含み、
前記第1のリード線ガイド部材は取り外し可能である、
リード線切断装置。
【請求項2】
請求項記載のリード線切断装置であって、
前記リード線を把持する把持動作を実行する把持機構をさらに備え、
前記ガイド機構は、
下方から前記リード線を支持する第2のリード線ガイド部材をさらに含み、
前記把持機構は、
前記第2のリード線ガイド部材の上方に設けられ、押圧部材を有する把持用シリンダを含み、
前記把持動作は、前記把持用シリンダによって前記押圧部材を下降させ、前記第2のリード線ガイド部材で支持された前記リード線を前記押圧部材によって押圧することにより実行される、
リード線切断装置。
【請求項3】
請求項または請求項に記載のリード線切断装置であって、
前記カット刃保持部材は、通常時、前記ガイド機構から外部への前記カット刃の突出長が第1の突出長になるように設定され、
前記切断用駆動機構は第1の切断用駆動機構を含み、
前記第1の切断用駆動機構は、
前記ガイド機構からの前記カット刃の突出長が、前記第1の突出長から前記第1の突出長より長い第2の突出長になるように、前記カット刃保持部材を移動させるカット刃移動処理を実行し、
前記切断処理は前記カット刃移動処理を含む、
リード線切断装置。
【請求項4】
請求項記載のリード線切断装置であって、
切断補助受け部材と、
前記切断補助受け部材の少なくとも一部を内部に収容する切断補助収容部材とをさらに備え、前記切断補助受け部材は、通常時、全体が前記切断補助収容部材内に収容される第1の状態に設定され、
前記切断用駆動機構は、カット刃駆動処理を実行する第2の切断用駆動機構をさらに含み、
前記切断処理は前記カット刃駆動処理を含み、前記カット刃駆動処理は前記カット刃移動処理の後に実行され、
前記カット刃駆動処理は、
前記カット刃が下降するように、前記カット刃保持部材を駆動して、切断対象領域にて前記リード線を切断する駆動本処理と、
前記第1の状態から、前記切断補助収容部材から前記切断補助受け部材の一部を外部に突出させる第2の状態になるように、前記切断補助受け部材を移動させる補助部材移動処理とを含み、前記第2の状態の前記切断補助受け部材は、前記リード線の前記切断対象領域を下方から支持する、
リード線切断装置。
【請求項5】
請求項1から請求項のうち、いずれか1項に記載のリード線切断装置であって、
前記カット刃は平板状のボディ部と刃部とを有し、
前記カット刃は、前記ボディ部を取り付け対象部位として、前記カット刃保持部材への取り付け、前記カット刃保持部材からの取り外しが可能である、
リード線切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リード線を把持した状態で切断するリード線切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池などの全自動製造ラインに用いられる装置として、超音波波振動を活用して基板の電極膜面にリード線(電極線)を接合する超音波接合装置がある。超音波接合装置は、接合対象となる1単位の基板にリード線を載置した後、リード線の接合箇所にて超音波接合処理を実行することにより、基板上にリード線を接合している。
【0003】
通常、リード線が何重にも巻き付けられたリードセットユニットから、リード線が引き出され、基板上の接合箇所まで導かれている。したがって、超音波接合装置により基板上でのリード線の接合がすべて完了すると、リード線を切断する必要がある。このため、リード線の切断専用の装置であるリード線切断装置(リードカット機構)が必要となる。
【0004】
従来のリード線切断装置として、例えば、特許文献1で開示されたリード線切断装置、または特許文献2で開示された電子基板リード切断装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平5-41131号公報
【文献】特開2015-85402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリード線切断装置はリード線切断専用の装置であり、部品点数(切断処理用のシリンダを含む)が多く、設置スペースが大きくなるという問題点があった。
【0007】
さらに、従来のリード線切断装置は、切断用のカット刃が特殊なため、ライフサイクルコストが比較的高いという問題点も有している。
【0008】
本開示は上記問題点を解決するためになされたもので、コンパクトな装置構成で、リード線を切断することができるリード線切断装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のリード線切断装置は、リード線の進行方向をガイドするガイド機構と、前記ガイド機構によってガイドされた前記リード線の上方に位置し、先端部分にカット刃を有するカット刃保持部材と、前記カット刃保持部材を駆動して前記カット刃を下降させ、前記カット刃により前記リード線を切断する切断処理を実行する切断用駆動機構とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示のリード線切断装置は、リード線を切断するためのリード線切断用構成要素としてカット刃保持部材及び切断用駆動機構を有している。
【0011】
カット刃保持部材は、ガイド機構によってガイドされたリード線の上方に位置するため、カット刃保持部材及び切断用駆動機構をガイド機構の近傍に配置することができる。
【0012】
このため、本開示のリード線切断装置は、カット刃保持部材及び切断用駆動機構を含むリード線切断用構成要素を追加しても、大型化することなくコンパクトな装置構成で、リード線を切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態のリード線切断把持ユニットを含む超音波接合装置の全体構成を示す説明図である。
図2】実施の形態のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図(その1)である。
図3】実施の形態のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図(その2)である。
図4】実施の形態のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図(その3)である。
図5】実施の形態のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図(その4)である。
図6】実施の形態のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図(その5)である。
図7】実施の形態のリード線切断把持ユニットによる切断処理の処理内容を示す説明図である。
図8】切断処理の実行時におけるカット刃の姿勢を模式的に示す説明図である。
図9】カット刃保持金具へのカット刃の取り付け・取り外し状態を示す説明図(その1)である。
図10】カット刃保持金具へのカット刃の取り付け・取り外し状態を示す説明図(その2)である。
図11】カット刃保持金具へのカット刃の取り付け・取り外し状態を示す説明図(その3)である。
図12】実施の形態のリード線切断把持ユニットと、基本技術のリード線切断把持ユニットとを構造比較した説明図(その1)である。
図13】本実施の形態のリード線切断把持ユニットと、基本技術のリード線切断把持ユニットとを構造比較した説明図(その2)である。
図14】基本技術のリード線切断把持ユニットを含む超音波接合装置の全体構成を示す説明図(その1)である。
図15】基本技術のリード線切断把持ユニットを含む超音波接合装置の全体構成を示す説明図(その2)である。
図16】基本技術のリード線切断把持ユニットを含む超音波接合装置の全体構成を示す説明図(その3)である。
図17】基本技術のリード線切断把持ユニットの構造の詳細を示す説明図である。
図18図17で示したリード線切断把持ユニットの側面構造を示す説明図である。
図19】基本技術によるニッパ移動処理の処理内容を示す説明図である。
図20】ニッパ移動処理におけるニッパ位置変化を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<基本技術>
図14図16はそれぞれ基本技術のリード線切断装置であるリード線切断把持ユニット700を含む超音波接合装置200の全体構成を示す説明図である。図14は原点待機状態、図15はリードクランプ位置状態、図16はリートカット位置状態を示している。
【0015】
これらの図に示すように、超音波接合装置200は、リード線切断把持ユニット700に加え、接合テーブル2、接合ヘッドユニット3、リードセットユニット4、テンション調整ユニット5、リードクランプユニット6、基台110、搬送コンベア120及び駆動モータ130を主要構成要素として含んでいる。
【0016】
基台110に、接合テーブル2、リードセットユニット4、テンション調整ユニット5、リードクランプユニット6、搬送コンベア120、及び駆動モータ130が取り付けられる。
【0017】
リード線81はリードセットユニット4内の所定の支持軸を中心軸として巻回され、かつ、リード線81の先端部が外部に露出しており、外部からリード線81を引き出し可能である。
【0018】
搬送コンベア120はガラス基板8を接合テーブル2上に搬送するために用いられる。接合テーブル2は上方(+Z方向)から視て、第1の端部、中央部及び第2の端部からなる互いに分離した3枚(領域)構成である。搬送コンベア120は、ガラス基板8の搬送用のベルトが第1の端部,中央部間、中央部,第2の端部間に設けられる。
【0019】
搬送コンベア120のベルトはガラス基板8の搬送時には、接合テーブル2より高い位置に設定され、ガラス基板8を接合テーブル2の上方に搬送した後は、接合テーブル2の下方に移動する。このように、搬送コンベア120によって、接合テーブル2上にガラス基板8を載置することができる。
【0020】
また、ガラス基板8の搬送後は、搬送コンベア120のベルトは接合テーブル2の下方に収容されるため、搬送コンベア120がガラス基板8上でのリード線81に対する超音波接合処理に影響を与えることはない。
【0021】
図14に示すように、接合ヘッドユニット3が原点位置P0に位置する原点待機状態(リードセット前)では、リードセットユニット4から引き出されたリード線81は、テンション調整ユニット5内を通過された後、リード線切断把持ユニット700にて把持される。リード線81に対するこれら一連の処理は作業者のマニュアル操作によって行われる。
【0022】
なお、リード線切断把持ユニット700は、リード線81をガイド方向に導く、リード線81のガイド処理も行っている。リード線切断把持ユニット700によるリード線81のガイド処理は常に行われている。
【0023】
図15に示すように、接合ヘッドユニット3を、原点位置P0からリードクランプ位置P2に移動させることにより、リードクランプ位置状態となる。接合ヘッドユニット3の移動に連動してリード線切断把持ユニット700もリード線81を把持した状態で移動される。なお、接合ヘッドユニット3及びリード線切断把持ユニット700の移動処理は駆動モータ130を駆動源として実行される。
【0024】
そして、リード線81の一部がリードクランプユニット6によってガラス基板8上で固定されることにより、リードセット動作が完了する。リードクランプユニット6は接合テーブル2上に載置されたリード線81の先端を仮固定する。なお、リードクランプユニット6によるリード線81の仮固定は、接合ヘッドユニット3の超音波接合処理の終了後に解除される。
【0025】
リードセット動作の完了後、リード線切断把持ユニット700はリード線81を把持状態から解放し、接合ヘッドユニット3を接合位置に移動させた後、ガラス基板8上に配置されたリード線81に対し、接合ヘッドユニット3による超音波接合処理が実行される。その結果、ガラス基板8上でリード線81が接合される。
【0026】
ガラス基板8上でのリード線81に対する超音波接合処理がすべて終了すると、図16に示すように、接合ヘッドユニット3がリードクランプ位置P2からリードカット位置P1に移動され、リードカット位置状態となる。接合ヘッドユニット3の移動に連動してリード線切断把持ユニット700も移動される。
【0027】
そして、リード線切断把持ユニット700はリード線81を再び把持し、リード線81を切断するリード線の切断処理を実行する。
【0028】
図17はリード線切断把持ユニット700の構造の詳細を示す説明図である。同図(a)は正面図であり、同図(b)は同図(a)を矢視AV1から視た矢視図であり、同図(c)はリード切断用ニッパ716の詳細構造を示す説明図である。
【0029】
図18はリード線切断把持ユニット700の側面構造を示す説明図である。図17及び図18にXYZ直交座標系、またはXYW座標系を記している。なお、方向軸Wは斜め45度から視た矢視AV1の方向軸である。
【0030】
図18に示すように、リード線切断把持ユニット700はリード線把持部750とリード線切断部730とにより構成され、リード線把持部750とリード線切断部730とは連結部材740を介して互いに連結される。リード線把持部750とリード線切断部730とは互いにY座標が異なる分離した空間に設けられる。なぜなら、リード線切断部730は切断処理の実行時以外は不要であり、リード線把持部750によるリード線81の把持処理及びガイド処理、並びに、接合ヘッドユニット3による超音波接合処理にリード線切断部730が悪影響を与えないためである。
【0031】
リード線把持部750は、取付ブラケット701、下部リードガイド710、リード把持シリンダ711、下降上昇用シリンダ712、上部リードガイド717及びガイドローラ724を含んで構成される。
【0032】
リード線切断部730は、ニッパ前進後退用シリンダ713及び714、ニッパ開閉アクチュエータ715、リード切断用ニッパ716、並びにニッパブラケット718を含んで構成される。
【0033】
取付ブラケット701に下降上昇用シリンダ712が取り付けられ、下降上昇用シリンダ712によって、装置主要部(取付ブラケット701及び下降上昇用シリンダ712を除くリード線把持部750とリード線切断部730全体)を上下方向(Z方向)に移動させることができる。
【0034】
リード線把持部750において、リード線81はガイドローラ724でガイドされた後、下部リードガイド710と上部リードガイド717との間でガイド方向に沿ってガイドされて、接合ヘッドユニット3の直下のガラス基板8の基板上面8Sに導かれる。上部リードガイド717の一部に、リード把持シリンダ711の先端部分が貫通するための開口部が設けられる。
【0035】
ガラス基板8の基板上面8S上に配置されたリード線81に対し、ガラス基板8に対する接合ヘッドユニット3による超音波接合処理がすべて完了すると、リード線81の切断処理を実行する必要がある。
【0036】
リード線切断把持ユニット700による切断処理は、以下に述べる準備処理、ニッパ移動処理、及びニッパ駆動処理を含む処理となる。
【0037】
まず、リード線切断把持ユニット700は、準備処理として、リード把持シリンダ711の先端部分が上部リードガイド717の開口部を貫通し、上方からリード線81を押圧してリード線81を下部リードガイド710に押し当てることにより、リード線81を把持して固定する把持動作を実行する。このように、下部リードガイド710、上部リードガイド717及びリード把持シリンダ711を含んで把持動作用の把持機構が構成される。
【0038】
準備処理が完了すると、リード線81は、上部リードガイド717及び下部リードガイド710を含むガイド機構により進行方向がガイドされ、かつ、リード把持用シリンダ711を含む把持機構で把持されることにより、基板上面8S側に露出したリード線81の一部が切断対象領域となるリード線切断準備状態となる。
【0039】
その後、リード線切断把持ユニット700は、リード切断用ニッパ716をリード線81の切断可能位置に移動させるニッパ移動処理を実行する。ニッパ移動処理用の駆動装置として、2つのニッパ前進後退用シリンダ713及び714が用いられる。
【0040】
図19は基本技術によるニッパ移動処理の処理内容を示す説明図である。図20はニッパ移動処理におけるニッパ位置変化を模式的に示す説明図である。図19にXYZ直交座標系、またはXYW座標系を示し、図20にXY直交座標を記している。
【0041】
以下、これらの図を参照して、リード線切断部730によるニッパ移動処理を説明する。
【0042】
図19(a)及び図20に示すように、準備処理の実行直後のリード切断用ニッパ716の先端部の位置であるニッパ待機位置P10である。
【0043】
図17(b)に示すように、ニッパ前進後退用シリンダ713のピストンロッドにニッパ前進後退用シリンダ714が連結され、ニッパ前進後退用シリンダ714とニッパ開閉アクチュエータ715及びリード切断用ニッパ716とが同じニッパブラケット718に取り付けられている。
【0044】
図19(b)及び図20に示すように、ニッパ前進後退用シリンダ713の(ピストンロッドの)伸長動作によって、ニッパ移動方向D11(+X方向)に沿ってリード切断用ニッパ716を移動させる第1の移動処理が実行される。第1の移動処理の実行後、リード切断用ニッパ716の先端部の位置はニッパ待機位置P10から中間位置P11に変化する。すなわち、第1の移動処理によって、リード切断用ニッパ716の先端部がX方向移動距離ΔX7分、移動される。
【0045】
なお、第1の移動処理によって、ニッパブラケット718上に設けられるニッパ前進後退用シリンダ714と、ニッパ開閉アクチュエータ715と、ニッパ開閉アクチュエータ715によって駆動されるリード切断用ニッパ716とが一括して移動される。
【0046】
続いて、図19(c)及び図20に示すように、ニッパ前進後退用シリンダ714の(ピストンロッドの)伸縮動作(ピストンロッドが縮む動作)によって、ニッパ移動方向D12(+Y方向)に沿ってリード切断用ニッパ716を移動させる第2の移動処理が実行される。第2の移動処理の実行後、リード切断用ニッパ716の先端部の位置は中間位置P11からニッパ切断位置P12に変化する。すなわち、第2の移動処理によって、リード切断用ニッパ716の先端部がY方向移動距離ΔY7分、移動される。
【0047】
なお、第2の移動処理によって、ニッパ開閉アクチュエータ715及びリード切断用ニッパ716が一括して移動される。
【0048】
このように、第1及び第2の移動処理を含むニッパ移動処理が実行されると、リード切断用ニッパ716の先端部はニッパ切断位置P12に移動される。このニッパ切断位置P12が、リード切断用ニッパ716によるリード線81の切断対象領域での切断可能位置となる。
【0049】
最後に、リード線切断把持ユニット700は、リード切断用ニッパ716の先端部の二枚の刃でリード線81を挟むことにより、切断対象領域にてリード線81を切断するニッパ駆動処理を実行する。二枚の刃の開閉駆動はニッパ開閉アクチュエータ715によって実行される。すなわち、ニッパ開閉アクチュエータ715はリード切断用ニッパ716の駆動装置として機能する。
【0050】
ニッパ駆動処理の実行後は、ニッパ前進後退用シリンダ714の伸長動作によって、リード切断用ニッパ716の先端部をニッパ切断位置P12から中間位置P11に移動させる第2の退避処理、ニッパ前進後退用シリンダ713の伸縮動作によってリード切断用ニッパ716の先端部を中間位置P11からニッパ待機位置P10に移動させる第1の退避処理が実行される。
【0051】
したがって、切断処理の実行時以外の通常時は、リード切断用ニッパ716の先端位置はニッパ待機位置P10に設定されている。その理由は以下の通りである。
【0052】
切断処理の実行時以外で、リード切断用ニッパ716の先端がニッパ切断位置P12に存在する場合、図19(a)に示すように、干渉領域R80にリード切断用ニッパ716の先端部が存在するため、超音波接合処理に悪影響を与える恐れがある。このため、切断処理の実行時以外は、リード切断用ニッパ716の先端位置はニッパ待機位置P10に設定されている。
【0053】
このように、基本技術となるリード線切断把持ユニット700は、切断処理用の駆動装置(駆動源)として、2つのニッパ前進後退用シリンダ713及び714とニッパ開閉アクチュエータ715とからなる3つの駆動装置を用いている。
【0054】
前述したように、リード線把持部750とリード線切断部730とは互いの干渉を確実に回避すべく、図18に示すように、互いに分離されている。
【0055】
このため、基本技術のリード線切断把持ユニット700は、リード線把持部750に加え、リード線切断部730を設ける分、設置スペースが大きくなるという問題点を解消できていない。
【0056】
そこで、基本技術の問題点の解消を図り、コンパクトな装置構成で、リード線81を把持した状態で切断することができるように構成したのが、以下に述べる実施の形態である。
【0057】
<実施の形態>
(超音波接合装置100)
図1は本実施の形態のリード線切断装置であるリード線切断把持ユニット9を含む超音波接合装置100の全体構成を示す説明図である。図1は原点待機状態を示している。
【0058】
図1に示すように、超音波接合装置100は、リード線切断把持ユニット9に加え、接合テーブル2、接合ヘッドユニット3、リードセットユニット4、テンション調整ユニット5、リードクランプユニット6、基台110、搬送コンベア120及び駆動モータ130を主要構成要素として含んでいる。
【0059】
なお、超音波接合装置100において、リード線切断把持ユニット9以外の構成は、基本技術の超音波接合装置200と同じであるため、説明を適宜省略する。
【0060】
図1に示すように、接合ヘッドユニット3が原点位置P0に位置する原点待機状態(リードセット前)では、リードセットユニット4から引き出されたリード線81は、テンション調整ユニット5内を通過された後、リード線切断把持ユニット9にて把持される。リード線81に対するこれら一連の処理は作業者のマニュアル操作によって行われる。
【0061】
なお、リード線切断把持ユニット9は、リード線81をガイド方向に導く、リード線81のガイド処理も行っている。リード線切断把持ユニット9によるリード線81のガイド処理は常に行われている。
【0062】
その後、接合ヘッドユニット3を、原点位置P0からリードクランプ位置P2に移動させることにより、リードクランプ位置状態となる。リードクランプ位置状態は、図15において、リード線切断把持ユニット700がリード線切断把持ユニット9に置き換わった状態となる。なお、接合ヘッドユニット3の移動に連動してリード線切断把持ユニット9もリード線81を把持した状態で移動される。
【0063】
そして、リード線81の一部がリードクランプユニット6によってガラス基板8上で仮固定されることにより、リードセット動作が完了する。
【0064】
リードセット動作の完了後、リード線切断把持ユニット9はリード線81の把持動作を停止し、リード線81を解放し、接合ヘッドユニット3を接合位置に移動させた後、ガラス基板8上に配置されたリード線81に対し、接合ヘッドユニット3による超音波接合処理が実行される。その結果、ガラス基板8上でリード線81が接合される。
【0065】
ガラス基板8上でのリード線81に対する超音波接合処理がすべて終了すると、接合ヘッドユニット3がリードクランプ位置P2からリードカット位置P1に移動されることにより、リードカット位置状態となる。リードカット位置状態は、図16において、リード線切断把持ユニット700がリード線切断把持ユニット9に置き換わった状態となる。接合ヘッドユニット3の移動に連動してリード線切断把持ユニット9も移動される。
【0066】
そして、リード線切断把持ユニット9はリード線81の把持動作を再び実行した後、リード線81を切断するリード線の切断処理を実行する。
【0067】
(リード線切断把持ユニット9の構造)
図2図6はリード線切断把持ユニット9の構造の詳細を示す説明図である。図2は正面図であり、図3図2の上側(+Z方向側)から視た上面図であり、図4図2の上側から視た下部ユニットフレーム26の内部構成図であり、図5図2の左側(-X方向側)から視た左側面図であり、図6図2の右側(+X方向側)から視た右側面図である。図2図6それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0068】
これらの図に示すように、リード線切断把持ユニット9は、下部ガイド構成群91と下部ガイド構成群91の上方に位置する上部ガイド構成群92とを含んで構成される。
【0069】
下部ガイド構成群91は、下部リードガイド11、リードカット動作用シリンダ13、下部ユニットフレーム26、スライドガイド27、及び切断補助受け金具19を含んで構成される。
【0070】
上部ガイド構成群92は、ブラケット20、リード把持用シリンダ12(リードクランプ25)、上部リードガイド23、フレームアダプタ22、ガイドローラ24、リードカット動作用シリンダ14、カット刃スライド金具15及びカット刃保持金具17(カット刃18)を含んで構成される。
【0071】
リード線切断把持ユニット9は、下部ガイド構成群91と上部ガイド構成群92とによる切断動作を連動させる部材として、切断補助バネ10及びリンク機構部品16をさらに有している。
【0072】
以下、リード線切断把持ユニット9の構成について説明する。まず、下部ガイド構成群91の各部について説明する。
【0073】
下部ユニットフレーム26は、リードカット動作用シリンダ13、スライドガイド27、及び下部リードガイド11の全体、並びに切断補助受け金具19の少なくとも一部を収容している。
【0074】
図4に示すように、下部リードガイド11は一対構成となっており、一対の下部リードガイド11a,11b間にガイド用開口空間11sが設けられる。また、下部ユニットフレーム26から一対の下部リードガイド11a,11bは取り付け,取り外しが可能である。
【0075】
下部ユニットフレーム26内における一対の下部リードガイド11の取り付け空間の形成幅は一定であるため、一対の下部リードガイド11a,11bそれぞれの形成幅が広くなると、ガイド用開口空間11sの形成幅が狭くなる。逆に一対の下部リードガイド11a,11bそれぞれの形成幅が狭くなると、ガイド用開口空間11sの形成幅が広くなる。以下、一対構成の下部リードガイド11a,11bを単に下部リードガイド11と呼ぶ。
【0076】
ガイド用開口空間11sは、リード線81の線幅に合わせて、リード線81を精度良く収容可能な形成幅を有している。ガイド用開口空間11sの+X方向側の先端部は少し狭くなるように形成されている。
【0077】
そして、図4に示すように、ガイド用開口空間11sの下方には、スライドガイド27あるいは切断補助受け金具19が設けられている。したがって、下部リードガイド11は、スライドガイド27あるいは切断補助受け金具19を底面とした所定の形成幅のガイド用溝部11gを有していることになる。
【0078】
このように、下部リードガイド11は、リード線81が収容可能な所定の形成幅のガイド用溝部11gを有している。
【0079】
第1のリード線ガイド部材である下部リードガイド11は、第1のガイド用溝部となるガイド用溝部11g内にリード線81を配置することにより、リード線81の進行方向をガイド用溝部11gの形成方向に沿ってガイドすることができる。ガイド用溝部11gはX方向を長手方向として形成されているため、下部リードガイド11はリード線81をガイド方向に沿ってガイドすることができる。なお、ガイド方向は正確にはX方向に沿って少し下方(-Z方向)に向かう斜めX方向となる。
【0080】
下部リードガイド11は、前述したように、下部ユニットフレーム26の+X側の先端領域内で取り外し、取り付け可能に設けられる。したがって、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9に対し、以下の対応が可能となる。
【0081】
Y方向の形成幅が異なる複数種の下部リードガイド11を予め準備する。すなわち、ガイド用開口空間11sの形成幅が異なる複数種の下部リードガイド11を予め準備する。そして、複数種の下部リードガイド11のうち、リード線81の線幅に適合する形成幅を有するガイド用開口空間11sを備えた下部リードガイド11を下部ユニットフレーム26の先端領域に取り付ける。
【0082】
その結果、リード線81の線幅に適合する形成幅を有するガイド用開口空間11sを備えた下部リードガイド11を下部ユニットフレーム26に取り付けることができる。
【0083】
一方、下部ユニットフレーム26は、後述する第1の状態時に切断補助受け金具19のすべてを収容しており、後述する第2の状態時に切断補助受け金具19の一部が+X方向側の外部に露出させた態様で、切断補助受け金具19を収容している。
【0084】
すなわち、下部ユニットフレーム26は、切断補助受け部材である切断補助受け金具19用の切断補助収容部材としての機能を有している。
【0085】
リードカット動作用シリンダ13はシリンダ伸縮方向D2(X方向)に沿ってピストンロッドの伸長動作または伸縮動作を行う。図4に示すように、リードカット動作用シリンダ13のピストンロッドの先端部にスライドガイド27の一端が連結され、スライドガイド27の他端に切断補助受け金具19の一端が連結される。
【0086】
図2に示すように、スライドガイド27は接続回転軸51にてリンク機構部品16の一端に連結され、同じく接続回転軸51にて切断補助バネ10の一端に連結される。なお、図2において、XY平面上におけるスライドガイド27の形成領域を斜線(破線状の斜線を含む)で示している。
【0087】
図3に示すように、リンク機構部品16は一対構成であり、一対構成のリンク機構部品16がそれぞれ接続回転軸51にてスライドガイド27に連結される。同様に、切断補助バネ10は一対構成であり、一対構成の切断補助バネ10の一端がそれぞれ接続回転軸51にてスライドガイド27に連結される。すなわち、接続回転軸51が一対の切断補助バネ10の第1のバネフックとしても機能する。
【0088】
次に、上部ガイド構成群92について説明する。ブラケット20にリード把持用シリンダ12、及びフレームアダプタ22が取り付けられる。そして、フレームアダプタ22にガイドローラ24、リードカット動作用シリンダ14及び上部ユニットフレーム21が取り付けられる。ガイドローラ24は回転動作を行い、リード線81を上部リードガイド23に導いている。
【0089】
上部ユニットフレーム21の一部の下方に上部リードガイド23が取り付けられ、図6に示すように、上部リードガイド23はリード線81が収容可能な形成幅の第2のガイド用溝部となるガイド用溝部23gを有している。
【0090】
ガイド用溝部23gはX方向を長手方向として形成されているため、上部リードガイド23はガイド用溝部23g内にリード線81を配置することにより、ガイド方向となるX方向に沿ってリード線81の進行方向をガイドすることができる。
【0091】
したがって、上部リードガイド23は、下方からリード線81を支持する第2のリード線ガイド部材として機能する。
【0092】
把持用シリンダであるリード把持用シリンダ12は、上部リードガイド23の上方に設けられ、ピストンロッドの先端がリードクランプ25(押圧部材)となる。
【0093】
リード把持用シリンダ12及び上部リードガイド23を含む把持機構は、リード把持用シリンダ12のピストンロッドの伸長動作によってリードクランプ25を下降させ、上部リードガイド23で支持されたリード線81をリードクランプ25により上方から押圧することにより、リード線81を把持する把持動作を実行する。
【0094】
また、把持機構は、リード把持用シリンダ12のシリンダ伸縮方向D3に沿ったピストンロッドの伸縮動作によってリードクランプ25(押圧部材)を上昇させ、上部リードガイド23で支持されたリード線81からリードクランプ25による押圧を解放することにより、リード線81の把持動作を停止する。
【0095】
リードカット動作用シリンダ14はシリンダ伸縮方向D1に沿ってピストンロッドの伸長動作または伸縮動作を行う。図2及び図3に示すように、リードカット動作用シリンダ14のピストンロッドの先端部にカット刃スライド金具15の一端が連結され、カット刃スライド金具15の他端の接続回転軸53にてカット刃保持金具17の中央に存在する屈曲部が連結される。
【0096】
カット刃スライド金具15は上部ユニットフレーム21の上方に設けられ、リードカット動作用シリンダ14のピストンロッドの伸長動作または伸縮動作に連動して、シリンダ伸縮方向D1(斜めX方向)に沿って移動する。シリンダ伸縮方向D1はリード線81のガイド方向に一致している。
【0097】
図3に示すように、カット刃保持金具17の-X方向側の一端は、接続回転軸52にて一対構成のリンク機構部品16それぞれの他端に連結される。
【0098】
図2図4に示すように、カット刃保持金具17は、下部リードガイド11のガイド用開口空間11sの上方に位置する。すなわち、第1のリード線ガイド部材である下部リードガイド11によってガイド方向に沿ってガイドされた際のリード線81の上方に、カット刃保持金具17は位置する。さらに、カット刃保持金具17は、XY平面において、リード線81のガイド方向に合致したX方向に沿って設けられる。
【0099】
上部ユニットフレーム21の一方側面及び他方側面それぞれにバネフック21fが設けられる。すなわち。バネフック21fは一対構成であり、一対構成のバネフック21f(第2のバネフック)に一対構成の切断補助バネ10の他端が連結される。
【0100】
図2に示すように、カット刃保持金具17はYZ平面において、屈曲部にて折れ曲がる「く」の字状に構成され、接続回転軸53を回転軸としてカット刃駆動範囲D4で回転動作が行える。
【0101】
カット刃保持金具17の他端側(+X方向側)の先端部にカット刃18が取り付けられる。すなわち、カット刃保持金具17は、+X方向側の先端部分にカット刃18を有している。
【0102】
このような構成のリード線切断把持ユニット9において、リード線81はガイドローラ24でガイドされた後、上部リードガイド23のガイド用溝部23g内、及び、下部リードガイド11のガイド用溝部11g内に配置されることにより、ガイド方向(斜めX方向)に沿ってガイドされる。そして、リード線81は、接合ヘッドユニット3のボンディングツール88の直下のガラス基板8の基板上面8Sに導かれる。
【0103】
ガラス基板8の基板上面8S上のリード線81に対し、接合ヘッドユニット3による超音波接合処理がすべて完了すると、リード線81の切断処理を実行する必要がある。
【0104】
リード線切断把持ユニット9による切断処理は、以下に述べる準備処理、カット刃移動処理、及びカット刃駆動処理を含む処理となる。
【0105】
まず、リード線切断把持ユニット9における把持機構は、準備処理として、リード把持用シリンダ12のリードクランプ25(押圧部材)によって、上部リードガイド23のガイド用溝部23g内に収容されたリード線81を上部から押圧することにより、リード線81を把持する把持動作を実行する。
【0106】
このように、リード把持用シリンダ12(リードクランプ25)及び上部リードガイド23を含む把持機構は把持動作を実行することにより準備処理が終了する。そして、把持機構の駆動装置がリード把持用シリンダ12となる。
【0107】
(切断主要処理(カット刃移動処理及びカット刃駆動処理))
準備処理が終了すると、切断主要処理に移行する。切断主要処理はカット刃移動処理及びカット刃駆動処理を含み、カット刃移動処理、カット刃駆動処理の順で実行される。
【0108】
図7は本実施の形態のリード線切断把持ユニット9による切断主要処理の処理内容を示す説明図である。図8は切断主要処理の実行時におけるカット刃の姿勢を模式的に示す説明図である。図7及び図8それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0109】
以下、これらの図を参照して、リード線切断把持ユニット9による切断主要処理の処理内容を説明する。
【0110】
図7(a)に示すように、準備処理の実行直後のカット刃18は、リード線切断把持ユニット9(上部ユニットフレーム21)からカット刃突出長L18X(第1の突出長)分、外部の基板上面8S側に突出している。この際、切断補助バネ10は圧縮方向の力が働いている。
【0111】
カット刃突出長L18Xは、接合ヘッドユニット3のボンディングツール88による、基板上面8S上のリード線81に対する超音波接合処理に影響を与えないように、十分短くなるように設定されている。
【0112】
リード線81は、上部リードガイド23及び下部リードガイド11を含むガイド機構によりガイド方向に沿ってガイドされ、かつ、上部リードガイド23及びリード把持用シリンダ12(リードクランプ25)を含む把持機構によって把持されている。そして、リード線81において、リード線切断把持ユニット9(下部リードガイド11)から外部の基板上面8S側に露出した一部領域が、切断対象領域81cとなる。
【0113】
その後、図7(b)に示すように、第1の切断用駆動機構によるカット刃移動処理が実行される。なお、切断用駆動機構は第1の切断用駆動機構と後述する第2の切断用駆動機構を含んでいる。
【0114】
カット刃移動処理用の第1の切断用駆動機構は、リードカット動作用シリンダ14、カット刃スライド金具15、リンク機構部品16及び切断補助バネ10を含んで構成される。第1の切断用駆動機構の第1の切断用シリンダとして、リードカット動作用シリンダ14が用いられる。以下、カット刃移動処理の詳細を説明する。
【0115】
まず、リードカット動作用シリンダ14に沿ったピストンロッドの伸長動作によって、リードカット動作用シリンダ14のピストンロッドの先端部はシリンダ伸縮方向D1に沿って+X方向側に移動する。
【0116】
リードカット動作用シリンダ14のピストンロットの先端部の移動に連動して、カット刃スライド金具15が移動するため、接続回転軸53にて屈曲部が連結されたカット刃保持金具17もシリンダ伸縮方向D1に沿って移動する。したがって、カット刃18は、リード線切断把持ユニット9(上部ユニットフレーム21)からカット刃突出長L18Y(第2の突出長)分、外部に突出する。カット刃突出長L18Yはカット刃突出長L18Xよりも長くなる。
【0117】
このように、第1の切断用駆動機構は、ガイド機構を構成する上部ユニットフレーム21からのカット刃18の外部への突出長が、第1の突出長であるカット刃突出長L18Xから、カット刃突出長L18Xより長いカット刃突出長L18Y(第2の突出長)になるように、カット刃保持金具17を移動させるカット刃移動処理を実行する。カット刃移動処理は、第1の切断用シリンダであるリードカット動作用シリンダ14の伸長動作に連動して実行される。
【0118】
なお、第1の切断用駆動機構は、カット刃18の突出長がカット刃突出長L18Yから、カット刃突出長L18Xに戻るようにカット刃保持金具17を移動させる第1の退避処理も実行することができる。第1の退避処理はリードカット動作用シリンダ14の伸縮動作に連動して実行される。
【0119】
第1の退避処理は、切断処理の終了後に実行される。したがって、カット刃保持金具17は、切断処理の実行以外の通常時において、上部ユニットフレーム21からのカット刃18の突出長は、第1の突出長であるカット刃突出長L18Xに設定されている。
【0120】
リード線切断把持ユニット9は、上述したカット刃移動処理を実行することにより、カット刃18をリード線81の切断可能位置に移動させることができる。すなわち、図7(b)に示すように、カット刃18の下方及びその近傍に存在するリード線81部分が、切断対象領域81cとなる。なお、カット刃移動処理の実行時においても、切断補助バネ10による圧縮方向の力が最大に働く。
【0121】
なお、カット刃移動処理の実行時に、接続回転軸52の位置が-Z方向に降下するため、カット刃保持金具17は接続回転軸53を回転軸としたカット刃駆動範囲D4Yで回転運動する。
【0122】
したがって、図8に示すように、カット刃移動処理の実行後のカット刃18は、カット刃18Xからカット刃18Yに姿勢も変化する。このように、カット刃18Yはカット刃18Xより刃先が上昇するため、カット刃移動処理の実行時にカット刃18がリード線81に接触することはない。
【0123】
なお、準備処理及びカット刃移動処理の実行時において、リードカット動作用シリンダ13のピストンロッドは縮んだ状態を維持しているため、切断補助受け金具19の全体が、切断補助収容部材である下部ユニットフレーム26内に収容される第1の状態となっている。
【0124】
カット刃移動処理に続いて、図7(c)に示すように、切断用駆動機構に含まれる第2の切断用駆動機構によるカット刃駆動処理が実行される。
【0125】
カット刃駆動処理用の第2の切断用駆動機構は、リードカット動作用シリンダ13、スライドガイド27、リンク機構部品16、及び切断補助バネ10を含んで構成される。第2の切断用シリンダとして、リードカット動作用シリンダ13が用いられる。
【0126】
カット刃駆動処理は、カット刃18を下降するように、カット刃保持金具17を駆動して、切断対象領域81cにてリード線81を切断する駆動本処理と補助部材移動処理とを含んでいる。
【0127】
補助部材移動処理は、上述した第1の状態から、後述する第2の状態になるように、切断補助受け部材である切断補助受け金具19を移動させる処理である。
【0128】
以下、カット刃駆動処理の詳細を説明する。まず、補助部材移動処理について説明する。
【0129】
リードカット動作用シリンダ13のピストンロッドのシリンダ伸縮方向D2に沿った伸長動作によって、リードカット動作用シリンダ13のピストンロッドの先端部は+X方向側に移動する。
【0130】
リードカット動作用シリンダ13のピストンロットの先端部の移動に連動して、スライドガイド27が移動するため、スライドガイド27の他端に連結された切断補助受け金具19も+X方向側に移動する。したがって、第1の状態であった切断補助受け金具19は、リード線切断把持ユニット9(下部ユニットフレーム26)から一部が外部に突出する第2の状態に変化する。
【0131】
第2の状態の切断補助受け金具19は、リード線81の切断対象領域81cを下方から支持する。このように、第2の切断用駆動機構は、上記第1の状態から上記第2の状態になるように、切断補助受け金具19を移動させる補助部材移動処理を実行する。
【0132】
次に、駆動本処理について説明する。リードカット動作用シリンダ13のピストンロッドが伸長することにより、リンク機構部品16の一端(接続回転軸51)が+X方向に移動する。一方、カット刃スライド金具15の他端(接続回転軸53)は移動しない。リンク機構部品16の他端となる接続回転軸52は、接続回転軸51と接続回転軸53との間に存在する。
【0133】
したがって、図7(b),(c)に示すように、リンク機構部品16の一端の+X方向側への移動に伴い、リンク機構部品16の他端(接続回転軸52)は+Z方向に上昇する。
【0134】
カット刃保持金具17は一端が接続回転軸52に連結されているため、カット刃保持金具17の一端が上昇する結果、カット刃保持金具17は接続回転軸53を回転軸として回転動作を行うため、カット刃18がカット刃駆動範囲D4Zで下降する。
【0135】
その結果、カット刃18の下降動作によって、切断補助受け金具19を台として、リード線81の切断対象領域81cを切断する駆動本処理が実行される。
【0136】
すなわち、図8に示すように、駆動本処理の実行後のカット刃18は下降し、かつ、姿勢がカット刃18Yからカット刃18Zに変化することにより、切断補助受け金具19を台として、リード線81を切断対象領域81cにて確実に切断することができる。
【0137】
駆動本処理の際、リードカット動作用シリンダ13の伸長動作に連動して、切断補助バネ10の圧縮方向の力が低減化するため、カット刃18の降下速度が高められる結果、カット刃18によりリード線81をスムーズに切断することができる。
【0138】
このように、リードカット動作用シリンダ13の伸長動作に連動するカット刃駆動処理(補助部材移動処理+駆動本処理)が実行されることにより、カット刃18によりリード線81を切断対象領域81cにて切断する切断処理が完了する。この際、リードカット動作用シリンダ13は、第2の切断用シリンダとして機能する。
【0139】
なお、補助部材移動処理と駆動本処理とは同時に実行され、カット刃18によって切断対象領域81cにてリード線81を切断するまでに、切断対象領域81cの下方を切断補助受け金具19が支持するようにタイミング設定がなされる。
【0140】
本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、切断処理用の駆動装置(駆動源)として、リードカット動作用シリンダ13及び14を用いている。
【0141】
上述した準備処理、カット刃移動処理及びカット刃駆動処理が順次実行されることにより、切断処理は完了する。その結果、図7(c)に示すように、リード線81は、リード線残存部81aとリード線接合部81bとに分断される。
【0142】
なお、第2の切断用駆動機構は、切断補助受け金具19を上記第2の状態から上記第1の状態に戻す第2の退避処理を実行することができる。第2の退避処理はリードカット動作用シリンダ13の伸縮動作に連動して実行される。
【0143】
切断処理の実行後、上述した第2及び第1の退避処理が順次実行される。なお、第2の退避処理はカット刃駆動処理の逆動作となる処理であり、図7(c)で示す状態を、図7(b)で示す状態に戻す処理となる。また、第1の退避処理はカット刃移動処理の逆動作となる処理であり、図7(b)で示す状態を、図7(a)で示す状態に戻す処理となる。
【0144】
したがって、切断処理の実行以外の通常時は、カット刃18のリード線切断把持ユニット9(上部ユニットフレーム21)からの外部への突出長は、第1の突出長であるカット刃突出長L18Xに設定される。
【0145】
同様に、切断補助受け金具19は、切断処理の実行以外の通常時は、上述した第1の状態に設定される。
【0146】
(カット刃保持金具17へのカット刃18の取り付け・取り外し)
図9図11はカット刃保持金具17へのカット刃18の取り付け・取り外し状態を示す説明図である。図9はカット刃保持金具17にカット刃18を取り付けた状態を示し、図10及び図11はカット刃保持金具17からカット刃18を取り外した状態を示している。図10(a),図11(a)は、カット刃保持金具17側を示しており、図10(b),図11(b)は、カット刃18側を示している。図9図11それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0147】
これらの図に示すように、カット刃18はボディ部18bと刃部aとを有している。刃部18aは超硬な材質を用いて先端が先細になる鋭利な構造を呈しており、ボディ部18bは平板状を呈している。図10(b)及び図11(b)に示すように、ボディ部18bの下方(-Z方向)に刃部18aが連続的に形成されている。
【0148】
図10に示すように、カット刃保持金具17は+X方向側の端部に段加工部35を有し、段加工部35から下方に向けて、平坦なYZ平面を有するカット刃保持面17aが設けられる。このカット刃保持面17aにカット刃18のボディ部18bの平面部分が密着する態様で、カット刃18はカット刃保持金具17に取り付けられる。すなわち、ボディ部18bがカット刃18の取り付け対象部位となる。
【0149】
取り付け部材として、カット刃押え部30及び固定用ボルト31が用いられる。カット刃押え部30は先端に-X方側に突出した押え先端部30aを有している。図9に示すように、カット刃保持面17aと押え先端部30aとによりカット刃18のボディ部18bを挟み込むことにより、カット刃保持金具17にカット刃18を取り付けることができる。
【0150】
カット刃押え部30は固定用ボルト31によってカット刃保持金具17に固定される。固定用ボルト31による固定時において、固定用ボルト31の頭部がカット刃押え部30上に設けられ、軸部がカット刃押え部30を貫通し、カット刃保持金具17の内部に埋め込まれる。したがって、刃押え部30に対し、固定用ボルト31による-X方向に沿った締め付け力が作用するため、カット刃18のボディ部18bはカット刃保持面17aと押え先端部30aとの間で強固に固定される。
【0151】
一方、図10に示すように、固定用ボルト31を緩め、カット刃保持面17aと押え先端部30aとの間のボディ部18bへの締め付けを解放することにより、カット刃保持金具17からカット刃18を取り外すことができる。
【0152】
逆に、カット刃保持面17aにボディ部18bの板状平面を密着させた状態で、カット刃保持面17aと押え先端部30aとの間にボディ部18bを挟み込み、固定用ボルト31によって締め込むことにより、カット刃保持金具17にカット刃18を安定性良く取り付けることができる。
【0153】
(効果等)
実施の形態1のリード線切断把持ユニット9は、リード線81を切断するためのリード線切断用構成要素として、カット刃18を有するカット刃保持金具17(カット刃保持部材)、切断補助受け金具19並びに第1及び第2の切断用駆動機構を含む切断用駆動機構を有している。
【0154】
カット刃保持金具17は、ガイド機構に含まれる下部リードガイド11によって進行方向がガイドされたリード線81(ガイド用開口空間11s)の上方に位置する。
【0155】
さらに、カット刃保持金具17の形成方向は、斜めX方向となるガイド方向と同様にX方向に沿って設けられる。また、切断補助受け金具19は、少なくとも一部が下部ユニットフレーム26内に収容されている。
【0156】
したがって、カット刃保持金具17、切断補助受け金具19及び切断用駆動機構を下部リードガイド11の近傍に配置することができる。
【0157】
このため、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、カット刃保持金具17、切断補助受け金具19及び切断用駆動機構を含むリード線切断用構成要素を追加しても、大型化することなくコンパクトな装置構成で、リード線81を把持した状態で切断することができる。
【0158】
図12及び図13はそれぞれ本実施の形態のリード線切断把持ユニット9と、基本技術のリード線切断把持ユニット700とを構造比較した説明図である。図12は正面構造を示しており、図13は側面構造を示している。図12及び図13それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0159】
図12に示すように、同図(a)で示すリード線切断把持ユニット9と同図(b)で示すリード線切断把持ユニット700とは、XY平面における形成面積はほぼ同等である。
【0160】
また、図13に示すように、YZ平面において、同図(a)で示すリード線切断把持ユニット9の下降上昇用シリンダ40等は、同図(b)で示すリード線切断把持ユニット700の下降上昇用シリンダ712等とほぼ同じ形成面積となる。
【0161】
本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、下降上昇用シリンダ40以外の構成部を把持・切断用空間SG9内に集約して形成している。
【0162】
なぜなら、切断処理の実行時以外は、カット刃18の突出長はカット刃突出長L18Xと比較的短く設定され、切断補助受け金具19は下部ユニットフレーム26内に完全に収容されているからである。
【0163】
すなわち、カット刃18を有するカット刃保持金具17や切断補助受け金具19を、下部リードガイド11の近傍に配置しても、切断処理以外の他の処理に悪影響を与えることはほとんどない。
【0164】
一方、基本技術のリード線切断把持ユニット700は、リード線把持部750を設けるための把持用空間SG7と、リード線切断部730を設けるための切断用空間SC7とを互いに分離している。なぜなら、リード線切断部730をリード線把持部750の近傍に配置すると、切断処理以外の他の処理に悪影響を与える可能性が高いからである。
【0165】
したがって、図13において、把持用空間SG7と把持・切断用空間SG9とが同程度であると仮定しても、リード線切断把持ユニット9は切断用空間SC7に相当する自由空間FSとなる。すなわち、リード線切断把持ユニット9は、リード線切断把持ユニット700と比較して、少なくとも自由空間FS分、コンパクトに形成することができる。
【0166】
したがって、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、基本技術のリード線切断把持ユニット700と比較して、設置スペースを70%以上削減することが期待できる。
【0167】
このように、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、大型化することなくコンパクトな装置構成で、リード線81をガイド及び把持した状態で切断することができる効果を奏する。
【0168】
リード線切断把持ユニット9は、切断処理の実行時において、2つのリードカット動作用シリンダ13及び14からなる2つの駆動装置を用いている。
【0169】
一方、リード線切断把持ユニット700は、切断処理の実行時において、2つのニッパ前進後退用シリンダ713及び714とニッパ開閉アクチュエータ715とからなる3つの駆動装置を用いている。
【0170】
したがって、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、駆動装置の数を必要最小限に抑える効果も奏している。
【0171】
さらに、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9において、第1のリード線ガイド部材である下部リードガイド11は取り外し可能であるため、リード線81の線幅に適合するように、下部リードガイド11を適宜変更することにより、リード線81を精度良くガイドすることができる。
【0172】
また、リード線切断把持ユニット9は、切断処理の実行に先がけ、把持用シリンダであるリードカット動作用シリンダ14を含む把持機構による把持動作を実行することによって、リード線81を把持することができる。
【0173】
したがって、リード線切断把持ユニット9は、切断処理の実行時に、リード線81がリード線切断把持ユニット9から抜けてしまう現象を確実に回避して、切断対象領域81cにて精度良くリード線81を切断することができる。
【0174】
さらに、把持動作を実行する把持機構の主要部となるリードカット動作用シリンダ14は、第2のリード線ガイド部材である上部リードガイド23の上方に設けられるため、把持機構を比較的コンパクトな装置構成で実現することができる。
【0175】
カット刃保持金具17のカット刃18の外部への突出長は、切断処理の実行以外の通常時は、比較的短いカット刃突出長L18X(第1の突出長)に設定されるため、カット刃保持金具17の存在が切断処理以外の処理に与える悪影響を最小限に抑えることができる。
【0176】
例えば、リードクランプユニット6によってリード線81を仮固定する処理は、先端にカット刃18を有するカット刃保持金具17の存在の影響を受けず、支障なく行うことができる。
【0177】
また、カット刃保持金具17のカット刃18の外部への突出長は、切断処理の実行時は、カット刃突出長L18Xより長いカット刃突出長L18Y(第2の突出長)に設定されるため、カット刃18によるリード線81の切断処理を支障なく行うことができる。
【0178】
第2の状態の切断補助受け金具19(切断補助受け部材)は、切断処理の実行時に、リード線81の切断対象領域81cを下方から支持する。このため、切断補助受け金具19は、切断処理(駆動本処理)の実行時に切断用の台として機能することにより、カット刃18によってリード線81を切断対象領域81cにて確実に切断することができる。
【0179】
さらに、切断補助受け金具19は、切断処理の実行以外の通常時は、全体が下部ユニットフレーム26内に収容される第1の状態に設定されているため、切断補助受け金具19の存在が他の処理に悪影響を与えることはない。
【0180】
例えば、リードクランプユニット6によってリード線81を仮固定する処理の実行時に、切断補助受け金具19の全体は下部ユニットフレーム26内に収容されているため、リード線81の仮固定処理を何ら支障なく行うことができる。
【0181】
加えて、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9において、カット刃18は、刃部18a及びボディ部18bで構成され、比較的簡単な構造であるため、比較的安価な構成要素となる。
【0182】
さらに、カット刃18は、平板状のボディ部18bを取り付け対象部位とすることにより、カット刃保持部材であるカット刃保持金具17への取り付け、カット刃保持金具17からの取り外しが比較的簡単に行える。
【0183】
このため、本実施の形態のリード線切断把持ユニット9は、比較的安価なカット刃18を適宜交換することにより、装置のライフサイクルコストを大幅に低減することができる。
【0184】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0185】
3 接合ヘッドユニット
9 リード線切断把持ユニット
11 下部リードガイド
12 リード把持用シリンダ
13,14 リードカット動作用シリンダ
15 カット刃スライド金具
16 リンク機構部品
17 カット刃保持金具
18 カット刃
19 切断補助受け金具
23 上部リードガイド
27 スライドガイド
100 超音波接合装置
図1
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