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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】継手および洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017245149
(22)【出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2019111868
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】湯本 康
(72)【発明者】
【氏名】酒井 陽三
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104176534(CN,A)
【文献】実開昭60-26954(JP,U)
【文献】実開昭58-150608(JP,U)
【文献】特開2005-170072(JP,A)
【文献】実開平1-113607(JP,U)
【文献】特許第6016943(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00 - 13/02
F16B 7/00 - 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸と第2軸とをつなぐ継手と、洗浄ブラシと、前記洗浄ブラシを回転駆動させるモータと、を備える洗車機であって、
前記継手は、
前記第1軸が外側で嵌められた状態で固定されるボス部と、
軸孔を有し、前記第2軸が前記軸孔に挿入された状態で固定されるハブ部と、を備え、
前記ボス部と前記ハブ部とは一体に形成されており、
前記ボス部と前記ハブ部との間には切り込みが形成され、前記切り込みより前記ボス部側にフランジが形成され、
円筒形状の前記ボス部の外周面には、固定用ボルトが締め込まれる前記第1軸の複数の孔に対応した複数の位置合わせ孔が、前記フランジから異なった距離となるよう軸周方向に形成され、
前記ハブ部には前記軸孔からの径方向に割り溝が前記切り込みに繋がって形成され、前記ハブ部の外周面において前記割り溝に直交する方向にボルト孔が形成されており、
前記ボルト孔に装着されたクランプボルトにより前記割り溝の溝幅が狭まって前記軸孔が縮径するよう前記切り込みが空隙のままであり、
前記第1軸が前記洗浄ブラシのブラシ軸であり、前記第2軸が前記モータ側の駆動軸である
ことを特徴とする洗車機
【請求項2】
第1軸と第2軸とをつなぐ継手と、洗浄ブラシと、前記洗浄ブラシを回転駆動させるモータと、を備える洗車機であって、
前記継手は、
前記第1軸が外側で嵌められた状態で固定されるボス部と、
軸孔を有し、前記第2軸が前記軸孔に挿入された状態で固定されるハブ部と、を備え、
前記ボス部と前記ハブ部とは一体に形成されており、
前記ボス部と前記ハブ部との間には、前記ハブ部がクランプ機構部を有するよう切り込みが形成され、前記切り込みより前記ボス部側にフランジが形成され、
円筒形状の前記ボス部の外周面には、固定用ボルトが締め込まれる前記第1軸の複数の孔に対応した複数の位置合わせ孔が、前記フランジから異なった距離となるよう軸周方向に形成され、
前記クランプ機構部は、前記軸孔を縮径可能に前記軸孔からの径方向に形成された割り溝を有し、前記ハブ部の外周面において前記割り溝に直交する方向にボルト孔が形成され、前記ボルト孔にクランプボルトが装着され
前記第1軸が前記洗浄ブラシのブラシ軸であり、前記第2軸が前記モータ側の駆動軸である
ことを特徴とする洗車機
【請求項3】
筒状の前記ブラシ軸の一端から他端にわたって前記駆動軸を貫通させ、
前記ブラシ軸の一端および他端のそれぞれに設けられる前記継手によって前記駆動軸と前記ブラシ軸とが固定される、
請求項1または2記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手および洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、洗車処理装置を備えた洗車機本体を車両に対して相対移動させ、その移動に伴い洗車処理装置を車体の被洗浄面に作用させる洗車機が知られている。この洗車機には、洗車処理装置として洗浄水や洗剤を噴射する洗浄ノズル、車体面をブラッシングする上面洗浄ブラシ及び側面洗浄ブラシ、車体面に高圧エアを吹き付ける乾燥ノズル等が装備されており、洗浄と乾燥が実行可能となっている。
【0003】
このような洗車機では、車体と物理的に接触することでブラッシング洗浄を行う洗浄ブラシの摩耗を避けることができず、消耗品の扱いとなっている。そのため、目安となる所定の洗車処理台数をこなす毎に、毛材が摩耗した洗浄ブラシを新しい洗浄ブラシに交換するブラシ交換作業が行われている。
【0004】
洗浄ブラシには上面洗浄ブラシと側面洗浄ブラシがあり、それぞれ取付構造が異なっている。側面洗浄ブラシは車体の側面をブラッシングするものであり、ブラシを立てた状態、すなわちブラシの長手方向が洗車機に略垂直となる状態で取り付けられ、ブラシの中心に位置するブラシ軸の上側端部を片持ち構造でブラシ駆動軸に接続している。ブラシ駆動軸はモータの回転駆動力が伝達されるようになっており、垂直姿勢でセットされた側面洗浄ブラシのブラシ軸上端に回転駆動力が伝わり、車体の側面に対してブラシの毛材が水平方向に回転されてブラッシングが行われる。毛材は側面洗浄ブラシの長手方向にわたって植設されていることから、その毛材に接触する範囲の車体側面が洗浄される。
【0005】
上面洗浄ブラシは、車体の上面をブラッシングするものであり、洗車機本体に対してブラシが水平に取り付けられる。ブラシの中心に位置するブラシ軸は、その一端にブラシ駆動軸が接続されると共に他端は洗車機本体側に軸支され、両持ち構造で水平に支持される。ブラシ駆動軸にはモータの回転駆動力が伝達されるようになっており、そのブラシ駆動軸がブラシ軸の一端に一体的に固定されることにより、上面洗浄ブラシが水平姿勢で回転駆動される。洗車機に水平に取り付けられた上面洗浄ブラシは、洗車機本体と車両との相対移動に連動して上下に昇降制御され、その結果、車両の前端から後端にわたって車両上面のブラッシング洗浄が行われる。
【0006】
このように、側面洗浄ブラシは立設状態でブラシ軸の上側端部が片持ち構造で支持され、上面洗浄ブラシは水平状態でブラシ軸の左右両端が両持ち構造で支持されている。そして、洗車機本体側に備えられるブラシ駆動軸への固定構造に関しては、ブラシの交換作業を意識した構造が採用されている。特に、ブラシを水平に支持しながら回転駆動を行う上面洗浄ブラシについては、洗車動作中に水平姿勢を保ちつつ車体表面に接離させる動作制御が行われることから、ブラシ全体の強度を保持しながら交換作業の際の作業性も確保するようにしている。具体的には、図7に示すように、ブラシ駆動軸とブラシ軸とをつなぐ軸継手50をボス部材50aとクランプ部材50bとで構成し、ブラシ軸に固定したボス部材50aにクランプ部材50bを固定する構造としている。ボス部材50aにはブラシ軸の中心を貫く金属軸が接続されており、クランプ部材50bにはブラシ駆動軸の端部に装着する駆動軸装着部が形成されている。ボス部材50aの側の金属軸とクランプ部材50bの側のブラシ駆動軸とを互いに軸の中心が合うように突き合わせた状態で、ボス部材50aとクランプ部材50bとをボルトで固定することによりブラシ軸とブラシ駆動軸との固定及び芯出しを行っている。そして、ブラシ駆動軸とクランプ部材50bにはキー結合構造が設けられており、ブラシ駆動軸の側に形成したキーと、クランプ部材50bの側に形成されたキー溝とが係合することでブラシ駆動軸とブラシとが結合している。駆動軸とキー溝で係合したクランプ部材50bは、キー結合構造により軸の回転方向に対して空転が防止された状態となり、その状態で固定用のボルトを締め込むことでブラシ駆動軸とクランプ部材50bとが一体的に固定された状態となる。一方、ボス部材50aは、ブラシ軸に内嵌した状態でブラシ軸外側面側からボルトが螺合されることでブラシ軸に固定されており、このブラシ軸に固定されたボス部材50aに対して、ブラシ駆動軸と固定したクランプ部材50bがボルトで固定されることにより、ブラシ軸とボス部材50aとクランプ部材50bとブラシ駆動軸とが一体的に固定される。
【0007】
洗車機本体側のブラシ駆動軸と上面洗浄ブラシとの固定は以上のように強固にかつ交換可能に固定されている。その一方で、このような従来の固定構造は次のような問題点も抱えていた。ボス部材50a及びクランプ部材50bを介してブラシ駆動軸とブラシ軸とが非常に強固に固定されているため、ボス部材50aとクランプ部材50bとを突き合わせて固定する際に偏心が生じて不自然な力が発生した時には、最悪の場合、ブラシ軸の破損につながる恐れがあった。正常な状態で一体に固定されている各部材は、ブラシ軸のみが塩化ビニル樹脂で構成され他の部材は金属材料で構成されていることから、全体に無理な負荷が加わった場合には相対的な強度に欠ける塩化ビニル樹脂が破損してしまうのである。
【0008】
また、ボス部材とクランプ部材という複数の部材を介してブラシ駆動軸とブラシ軸とを固定しているため、部材同士の組み付け上のずれや長年の使用による機械的摩耗やがたつきの発生という問題を排除することができなかった。部材同士を組み付けて固定する際にずれが発生すると、ブラシ駆動軸とブラシ軸との偏心につながるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-225407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一目的は、第1軸と第2軸とをつなぐ継手であって、つなぎ(例えば交換)の作業性を確保することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一解決手段は、第1軸と第2軸とをつなぐ継手である。前記継手は、前記第1軸が外側で嵌められた状態で固定されるボス部と、軸孔を有し、前記第2軸が前記軸孔に挿入された状態で固定されるハブ部と、を備えている。ここで、前記継手において、前記ボス部と前記ハブ部とは一体に形成されてている。また、前記継手において、前記ボス部と前記ハブ部との間には切り込みが形成されている。また、前記継手において、前記ハブ部には前記軸孔からの径方向に割り溝が形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一解決手段によれば、つなぎの作業性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施例に係る洗車機を示す説明図である。
図2】本発明実施例に係る洗車機を示す平面説明図である。
図3】上面洗浄ブラシの昇降装置を示す説明図である。
図4】上面洗浄ブラシの上下動保持装置を示す説明図である。
図5】上面洗浄ブラシの前後動保持装置を示す説明図である。
図6】ブラシ軸とブラシ駆動軸との継手構造を示す説明図である。
図7】従来の継手構造を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る洗車機を示す正面図であり、図2は同平面説明図である。
1は洗車機本体で、土間に敷設されたレール2,2間に停止した自動車を跨ぐように門型に形成され、レール上を往復走行して自動車の洗浄と乾燥を行う。3は自動車の上面をブラッシングする上面洗浄ブラシ、4,4は自動車の側面及び前後面をブラッシングする側面洗浄ブラシ、5は自動車の上面に空気を吹き付けて車体の乾燥を図る上面ブロアノズル、6,6は自動車の側面に空気を吹き付けて車体の乾燥を図る側面ブロアノズルであり、これら各洗車処理装置3~6は、公知の作動装置により自動車の車体に作用する。7A,7Bは洗車機本体1のブラシ3、4よりも前方に設けられ、一方から投光した光を他方で受光することにより自動車の側方から自動車の上面形状を検出する車体検出装置、8は洗車機本体1が所定距離走行する毎にパルス出力するエンコーダ、9,9は洗車機本体1を走行させるモータである。
【0015】
図3から図5は上面洗浄ブラシの構造を示す説明図である。上面洗浄ブラシ3は、ブラシ軸10の両端に取り付けられたキャリア13L,13Rによって洗車機本体1内に垂設した昇降レール12L,12R上を垂直昇降するものであり、キャリア13L,13Rを昇降する昇降装置14と、ブラシ軸10を所定範囲内で上下方向に揺動可能に保持する上下保持装置15と、ブラシ軸10を所定範囲内で前後方向に揺動可能に保持する前後保持装置16とを備えるとともに、いずれか一方のキャリア(図示の例では13R)にブラシ軸10を正逆回転するブラシモータ17を備えている。ブラシモータ17による回転駆動力はブラシ駆動軸35に伝達され、更にブラシ駆動軸35が前記ブラシ軸10と接続されることで上面洗浄ブラシ3が回転駆動される。そして、ブラシ駆動軸35はブラシ軸10の内部を貫通しており、図中のキャリア13Rからキャリア13Lにわたって架設され上面洗浄ブラシ3を支持している。
【0016】
昇降装置14は、図3に示すように、キャリア13の上端と下端とを無端状に接続するチェーン18と、このチェーン18が懸回されるスプロケット19LU・19RU,19LL・19RLと、左上スプロケット19LUと右上スプロケット19RUとを連結する回転軸20と、回転軸20が所定回転する毎にパルス出力を行うエンコーダ21と、下スプロケット19LL・19RLのいずれか一方に連携される昇降モータ22とから構成されている。この構成により、昇降モータ22を駆動すると、左右のキャリア13L,13Rが同期して上下駆動され、キャリア間の上面洗浄ブラシ3が水平状態で昇降する。23,24は昇降レール12の上部及び下部に設けられるリミットスイッチで、キャリア13との接触によってスイッチングして上昇限界及び下降限界を与え、キャリア13の昇降を制御するのに用いられる。
【0017】
上下保持機構15は、図4に示すように、キャリア13を上下に貫通する稼働棒25と、その稼働棒25の貫通した上端とキャリア13上面との間に取り付けられる上スプリング26と、稼働棒25の貫通した下端とキャリア13下面との間に取り付けられる下スプリング27とで構成されている。この稼働棒25の上端及び下端には昇降装置14のチェーン18が接続されており、稼働棒25の周囲に上面洗浄ブラシ3のキャリア13が上下のスプリング26,27に付勢された状態でバランスしている形になっている。これにより、上面洗浄ブラシ3が車体と接触したとき、スプリング26,27の可動範囲だけブラシの上下動が許容され、押し付け圧が吸収される。28,29は可動棒25の上部及び下部に設けられるリミットスイッチで、キャリア13との接触によりスイッチングして上変位及び下変位の限界点を検出し、キャリア13の昇降動作を制御するのに用いられる。
【0018】
前後保持機構16は、図5に示すように、キャリア13の内側において昇降レール12を挟むように設けられる前後一対の滑車体30,30と、この滑車体30,30からキャリア内面側に延設し、キャリア側面を貫通して自由端を形成する支持棒31,31と、この支持棒31,31の周囲に券回され滑車体30,30とキャリア内面との間に取り付けられるスプリング32,32とで構成されている。これにより上面洗浄ブラシ3が車体と接触したとき、スプリング32,32の可動範囲の分だけブラシの前後動が許容され、押し付け圧が吸収される。33,34はキャリアの内側に設けられるリミットスイッチで、滑車体30,30の接触によりスイッチングして前方向変位及び後方法変位の限界点を検出し、キャリア13の昇降動作を制御するのに用いられる。
【0019】
次に、ブラシ軸とブラシ駆動軸との継手構造について図6を基にして説明する。40は本発明に係る軸継手であり、一体に形成されるボス部40aとクランプハブ部40bとで構成される。ボス部40aは、筒形状を備えるブラシ軸10の筒内部に内嵌する円筒形状を備え、その円筒の外周面に固定用ボルト孔41が設けられている。この固定用ボルト孔41は、ブラシ軸10に設けられる固定用孔42と対応して設けられており、ブラシ軸10の固定用孔42とボス部40aの固定用ボルト孔41との位置を合わせてブラシ軸10の外側面側から軸継手固定用ボルト48を締め込むことにより、ブラシ軸10と軸継手40とを固定する。40cはフランジであり、ボス部40aとクランプハブ部40bとの間に形成される。ボス部40aをブラシ軸10に嵌める際に、このフランジ40cがブラシ軸10の開口縁に当接する位置まで挿入することで軸継手40が適正位置まで挿入されることになり、その状態で軸継手40全体を軸周方向に回転させると固定用孔42と固定用ボルト孔41との位置合わせが可能になる。
【0020】
このようにしてブラシ軸10と軸継手40とを固定すると、ボス部40aがブラシ軸10の筒内に完全に挿入され、ブラシ軸10の端部にフランジ40cが当接してクランプハブ部40bが露出した状態となる。クランプハブ部40bは、径方向に設けられる切り込み部44を備えており、クランプハブ機構部を形成している。43はブラシ駆動軸35を挿通する軸孔であり、この軸孔からクランプハブ機構部の径方向に対して割り溝45が形成され、ブラシ軸10への挿入方向に対して略C字状のクランプハブ機構部を形成している。そして、この割り溝45に直交する方向にクランプボルト孔46が設けられており、クランプボルト孔46にクランプボルト47を装着可能にしている。
【0021】
軸孔43にブラシ駆動軸35を挿入し、クランプボルト孔46にクランプボルト47を装着してねじ込みを行うと、割り溝45の溝幅が狭まって軸孔43の径が縮小する。これにより軸孔43の内周面がブラシ駆動軸35の外周面に面接触して密着し、クランプハブ部とブラシ駆動軸35とが締結される。そして、軸継手40は、ブラシ軸10の両端部に取り付けられてそれぞれ両端部においてブラシ駆動軸35と締結され一体的に固定される。本発明によれば、洗車機本体側のブラシ駆動軸と洗浄ブラシのブラシ軸とを接続する軸継手を1つの部材で構成していることにより、複数の部材を組み付ける際に発生する可能性のある軸の偏心を極力防ぐことができる。また、ブラシ駆動軸と軸継手との固定はクランプハブ構造を用いて行っているため、万一、軸に偏心が生じて不自然な負荷が加わった場合にも、その負荷を受けてクランプハブ部に摩耗や滑りが発生し、ブラシ駆動軸と軸継手との固定が解けて空回りを起こすことでブラシ軸の破損事故を防ぐことができる。更に、ブラシ駆動軸をブラシ軸の一端から他端にわたって貫通させ、ブラシ駆動軸を中心にして上面洗浄ブラシを水平支持していることにより、不自然な負荷が加わった場合にもブラシにかかる負荷を軽減し、ブラシの破損事故に至るおそれを軽減することができる。
【0022】
次に、上面洗浄ブラシ3の交換手順について説明する。ブラシの毛材に摩耗が発生したりブラシ体に不具合が生じた場合には、ブラシ駆動軸35と一体的に固定している上面洗浄ブラシ3を取り外して新しいブラシを着け直すブラシ交換を行うことができる。まず、前記キャリア13L,13Rに回転可能に軸支しているブラシ駆動軸35を取り外す。この場合に、図示の例ではキャリア13Rの側にブラシモータ17を具備しているため、ブラシモータ17とブラシ駆動軸35との間に懸回されるチェーン(図示しない)を外した上で、ブラシ軸10と一体に固定された状態のブラシ駆動軸35を取り外して洗車機本体1から分離する。分離した上面洗浄ブラシ3とブラシ駆動軸35との組体は、ブラシ軸10の両端に取り付けられている前記軸継手40のクランプボルト47を緩めることで、ブラシ軸10の軸長方向にブラシ駆動軸35が摺動可能となり、それによりブラシ駆動軸35の抜き取りが可能となる。上面洗浄ブラシ3の交換作業では、交換対象のブラシ軸10から軸継手40を取り外して新しいブラシ軸10に付け換える必要があるため、ブラシ軸10の一端に取り付けている軸継手40のクランプボルト47を緩めると共に軸継手固定用ボルト48を取り外し、その一端の軸継手40からブラシ駆動軸35を抜き取って、さらにブラシ軸10から軸継手40を取り外す。そして、他端の軸継手40は、少なくとも軸継手固定用ボルト48を取り外すことでブラシ駆動軸35をブラシ軸10から完全に抜き取ることが可能になる。このようにして、使い込んで摩耗した上面洗浄ブラシ3の取り外し作業が行われる。続いて行われる新しい上面洗浄ブラシ3の取り付け手順については、上記の古いブラシ取り外し作業手順と逆の手順で行い、新しい上面洗浄ブラシ3とブラシ駆動軸35との組体を洗車機本体に組み付けて一連の作業が完了となる。
【符号の説明】
【0023】
1 洗車機本体
3 上面洗浄ブラシ
10 ブラシ軸
12L,12R上 昇降レール
13L,13R キャリア
17 ブラシモータ
40 軸継手
40a ボス部
40b クランプハブ部
40c フランジ
41 固定用ボルト孔
42 固定用孔
43 軸孔
44 切り込み部
45 割り溝
46 クランプボルト孔
47 クランプボルト
48 軸継手固定用ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7