(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】ターボ機械用ロータブレード
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20230619BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
F01D5/18
F02C7/18 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018114093
(22)【出願日】2018-06-15
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・アラン・ブリッティンガム
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-500507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0022633(US,A1)
【文献】米国特許第5785496(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械(10)用のロータブレード(100)であって、当該ロータブレード(100)が、
翼形部(114)と、
前記翼形部(114)に結合した先端シュラウド(116)であって、側面(158)を含む先端シュラウド(116)と
を備えており、前記翼形部(114)及び前記先端シュラウド(116)が、第1の冷却通路(130)及び第3の冷却通路(130)を画定し、前記先端シュラウド(116)が、第1の冷却通路(130)と流体連通する第2の冷却通路(170)、及び第3の冷却通路(130)と流体連通する第4の冷却通路(172)をさらに画定しており、第2の冷却通路(170)が、第1の冷却通路(130)から前記側面(158)によって画定された第1の出口(174)まで延在し、第1の出口(174)が、冷却剤(180)を第1の隣接するロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に導くように構成され、第4の冷却通路(172)が、第3の冷却通路(130)から前記側面(158)によって画定された第2の出口(176)まで延在し、第2の出口(176)が、前記冷却剤(180)を第2の隣接するロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に導くように構成され、第1の出口(174)が前記先端シュラウド(116)の正圧側に配置され、第2の出口(176)が前記先端シュラウド(116)の負圧側に配置されており、
前記先端シュラウド(116)が、前記先端シュラウド(116)の半径方向外面から外向きに延在するシールレール(132)を含んでいて、第2の冷却通路(170)が前記シールレール(132)の前方に配置され、第4の冷却通路(172)が前記シールレール(132)の後方に配置されており、
前記先端シュラウド(116)が、第1及び第3の冷却通路(130)の各々を流れる前記冷却剤(180)をそれぞれ第2及び第4の冷却通路(170,172)内に導くために、第1及び第3の冷却通路(130)の半径方向外側端部に配置されたプラグ(178)を含んでいて、前記プラグ(178)が、第1及び第3の冷却通路(130)の各々を流れる前記冷却剤(180)のすべてをそれぞれ第2及び第4の冷却通路(170,172)内に導き、
第1の出口(174)及び第2の出口(176)の各々が、第1又は第2の隣接するロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)に前記冷却剤(180)が衝突するように、第1又は第2の出口(174,176)と前記先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)との間のギャップ(182)を横断するのに十分な速度で前記冷却剤(180)を排出するように構成される、ロータブレード(100)。
【請求項2】
前記先端シュラウド(116)が、第2及び第4の冷却通路(170,172)を全体的に画定する、請求項1に記載のロータブレード(100)。
【請求項3】
第1及び第2の出口(174,176)の各々がそれぞれ第2及び第4の冷却通路(170,172)と同じ直径を有する、請求項1又は請求項2に記載のロータブレード(100)。
【請求項4】
第2の冷却通路(170)と第4の冷却通路(172)が互いに実質的に平行である、請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載のロータブレード(100)。
【請求項5】
第2の冷却通路(170)と第4の冷却通路(172)が前記シールレール(132)に実質的に平行である、請求項
4に記載のロータブレード(100)。
【請求項6】
ターボ機械(10)であって、
複数のロータブレード(100)を含むタービン部(18)を含み、前記複数のロータブレード(100)の各々のロータブレード(100)が請求項1乃至請求項
5のいずれか1項に記載のロータブレードである、ターボ機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的にターボ機械に関する。より詳細には、本開示は、ターボ機械のロータブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機部と、燃焼部と、タービン部と、を含む。圧縮機部は、ガスタービンエンジンに入る空気の圧力を徐々に高め、この圧縮空気を燃焼部に供給する。圧縮空気および燃料(例えば、天然ガス)、燃焼部において混合され、1つまたは複数の燃焼室内で燃焼され、高圧および高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、燃焼部からタービン部に流れ、そこで膨張して仕事を発生させる。例えば、タービン部における燃焼ガスの膨張は、発電機に接続されたロータシャフトを回転させて、電気を発生させることができる。
【0003】
タービン部は、一般に、複数のロータブレードを含む。各ロータブレードは、燃焼ガスの流れの中に配置された翼形部を含む。この点で、ロータブレードは、タービン部を流れる燃焼ガスから運動エネルギーおよび/または熱エネルギーを抽出する。いくつかのロータブレードは、翼形部の半径方向外側端部に結合された先端シュラウドを含むことができる。先端シュラウドは、ロータブレードを越えて漏出する燃焼ガスの量を低減する。
【0004】
ロータブレードは、一般に極端に高温の環境で動作する。このように、各ロータブレードの先端シュラウドは、冷却剤が流れることができる様々な冷却通路を画定することができる。それにもかかわらず、冷却通路は、様々なフィレットなどの先端シュラウドの特定の部分に限られた冷却しか提供しない。これは、ロータブレードの動作温度および/またはロータブレードの耐用年数を制限する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2017/0138203号明細書
【発明の概要】
【0006】
本技術の態様および利点は、その一部を以下の説明に記載しており、またはその説明から明らかになり、または本技術の実施により学ぶことができる。
【0007】
一態様では、本開示は、ターボ機械のロータブレードに関する。ロータブレードは、翼形部と、翼形部に結合された先端シュラウドと、を含む。先端シュラウドは、側面を含む。翼形部および先端シュラウドは、第1の冷却通路を画定する。先端シュラウドは、第1の冷却通路と流体連通する第2の通路をさらに画定する。第2の冷却通路は、第1の冷却通路から側面によって画定される第1の出口まで延在する。第1の出口は、冷却剤の流れを第1の隣接するロータブレードの先端シュラウドフィレット上に導くように構成されている。
【0008】
別の態様では、本開示は、複数のロータブレードを有するタービン部を含むターボ機械に関する。複数のロータブレードのうちの第1のロータブレードは、翼形部と、翼形部に結合された先端シュラウドと、を含む。先端シュラウドは、側面を含む。翼形部および先端シュラウドは、第1の冷却通路を画定する。先端シュラウドは、第1の冷却通路と流体連通する第2の通路をさらに画定する。第2の冷却通路は、第1の冷却通路から側面によって画定される第1の出口まで延在する。第1の出口は、冷却剤の流れを複数のロータブレードのうちの第2のロータブレードの先端シュラウドフィレットに導くように構成される。
【0009】
本技術のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであるが、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明する役に立つ。
【0010】
当業者に向けた本技術の最良の様態を含む本技術の十分かつ実施可能な開示が、添付の図面を参照しつつ、本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書に開示する実施形態による例示的なガスタービンエンジンの概略図である。
【
図2】本明細書に開示する実施形態による例示的なロータブレードの側面図である。
【
図3】本明細書に開示する実施形態による例示的な翼形部の断面図である。
【
図4】本明細書に開示する実施形態による先端シュラウドの上面図である。
【
図5】
図4に示す先端シュラウドの一部の断面図であり、本明細書に開示する実施形態によるプラグを示す。
【
図6】本明細書に開示する実施形態による複数の隣接するロータブレードの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および図面における符号の反復使用は、本技術の同じまたは類似の特徴もしくは要素を表すことを意図している。
【0013】
次に、本技術の実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の実施例を添付図面に示す。詳細な説明では、図面中の特徴を参照するために数字および文字による符号を用いる。図面および説明の同様のまたは類似の符号は、本技術の同様のまたは類似の部品を参照するために使用されている。本明細書において使用される場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に用いることができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図しない。「上流」および「下流」という用語は、流体の経路における流体の流れに対する相対的方向を指す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向を指し、「下流」は流体が流れていく方向を指す。
【0014】
各実施例は、本技術の説明のために提供され、本技術を限定するものではない。実際、本技術の範囲または趣旨から逸脱することなく、修正および変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または記載する特徴は、さらに別の実施形態を与えるために、別の実施形態で用いることができる。したがって、本技術は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるような修正および変更を、包含するように意図される。
【0015】
産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示されて説明されているが、本明細書に示されて説明される本技術は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、陸上用および/または産業用ガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載の技術は、これらに限られるわけではないが、航空ガスタービン(例えば、ターボファン、など)、蒸気タービン、および海洋ガスタービンなど、任意の種類のターボ機械において使用することができる。
【0016】
ここで図面を参照すると、図面全体にわたって同一の符号は同じ要素を示しており、
図1はガスタービンエンジン10を概略的に示している。図示するように、ガスタービンエンジン10は、吸気部12と、圧縮機部14と、燃焼部16と、タービン部18と、排気部20と、を含む。圧縮機部14およびタービン部18は、シャフト22によって結合されてもよい。シャフト22は、シャフト22を形成するために互いに結合された単一のシャフトまたは複数のシャフトセグメントであってもよい。
【0017】
タービン部18は、複数のロータディスク26(そのうちの1つが図示されている)および複数のロータブレード28を有するロータシャフト24を含むことができる。各ロータブレード28は、ロータディスク26から半径方向外側に延在し、ロータディスク26のうちの1つと相互接続する。各ロータディスク26は、タービン部18を貫通して延在するロータシャフト24の一部に連結されてもよい。タービン部18は、ロータシャフト24およびロータブレード28を円周方向に取り囲む外側ケーシング30をさらに含み、それによりタービン部18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に画定する。
【0018】
動作時に、ガスタービンエンジン10は、機械的な回転エネルギーを生成し、これを、例えば発電に使用することができる。より具体的には、空気がガスタービンエンジン10の吸気部12に入る。空気は、吸気部12から圧縮機14内に流入し、燃焼部16に圧縮空気を供給するために、圧縮機14において徐々に圧縮される。燃焼部16内の圧縮空気は、燃料と混合して空気燃料混合気を形成し、空気燃料混合気は燃焼して高温高圧の燃焼ガス34を生成する。次いで、燃焼ガス34はタービン18を通って流れ、タービン18は燃焼ガス34から運動エネルギーおよび/または熱エネルギーを抽出する。このエネルギー抽出は、ロータシャフト24を回転させ、それにより圧縮機部14に動力を供給する、および/または電気を生成するための機械的回転エネルギーを生成する。燃焼ガス34は、排気部20を通ってガスタービンエンジン10から出る。
【0019】
図2は、ロータブレード28の代わりにガスタービンエンジン10のタービン部18に組み込まれ得る、例示的なロータブレード100の側面図である。図示するように、ロータブレード100は、軸方向A、半径方向R、および円周方向Cを規定する。一般に、軸方向Aは、シャフト24(
図1)の軸方向中心線102に平行に延び、半径方向Rは、軸方向中心線102にほぼ直交して延び、円周方向Cは、軸方向中心線102の周りにほぼ同心に延びる。ロータブレード100はまた、ガスタービンエンジン10(
図1)の圧縮機部14に組み込まれてもよい。
【0020】
図2に示すように、ロータブレード100は、ダブテール104、シャンク部分106、およびプラットフォーム108を含むことができる。より具体的には、ダブテール104はロータブレード100をロータディスク26に固定する(
図1)。シャンク部分106は、ダブテール104に結合し、ダブテール104から半径方向外側に延在する。プラットフォーム108は、シャンク部分106に結合し、シャンク部分106から半径方向外側に延在する。プラットフォーム108は、タービン部18(
図1)の高温ガス経路32を通って流れる燃焼ガス34の半径方向内側の流れ境界として一般に機能する半径方向外面110を含む。ダブテール104、シャンク部分106、およびプラットフォーム108は、冷却剤(例えば、圧縮機部14からの抽気)がロータブレード100に入ることを可能にする吸気ポート112を画定することができる。
図2に示す実施形態では、ダブテール104は、軸方向挿入式モミの木形ダブテールである。あるいは、ダブテール104は、任意の適切なタイプのダブテールであってもよい。実際、ダブテール104、シャンク部分106、および/またはプラットフォーム108は、任意の適切な構成を有することができる。
【0021】
ここで
図2および
図3を参照すると、ロータブレード100は、翼形部114をさらに含む。特に、翼形部114は、プラットフォーム108の半径方向外面110から先端シュラウド116まで半径方向外側に延在する。翼形部114は、根元部118(すなわち、翼形部114とプラットフォーム108との間の交差点)でプラットフォーム108に結合する。この点において、翼形部114は、根元部118と先端シュラウド116との間に延在する翼形部翼幅120を画定する。翼形部114はまた、正圧側表面122および対向する負圧側表面124を含む(
図3)。正圧側表面122および負圧側表面124は、翼形部114の前縁126および翼形部114の後縁128で互いに結合または相互接続される。図示するように、前縁126は、燃焼ガス34の流れ(
図1)の中に配向され、一方、後縁128は、前縁126から離間され、前縁126の下流に配置される。正圧側表面122および負圧側表面124は、前縁126および後縁128の周りで連続している。さらに、正圧側表面122は概ね凹状であり、負圧側表面124は概ね凸状である。
【0022】
図3に示すように、ロータブレード100、より詳細には、翼形部114および先端シュラウド116は、そこを通って延在する1つまたは複数の半径方向に延在する冷却通路130を画定することができる。より具体的には、半径方向に延在する冷却通路130は、吸気ポート112から翼形部114を通って先端シュラウド116まで延在することができる。この点で、冷却剤は、半径方向に延在する冷却通路130を通って、吸気ポート112から先端シュラウド116に流れることができる。
図3に示す実施形態では、例えば、翼形部114は半径方向に延在する7つの冷却通路130を画定する。しかしながら、代替的な実施形態では、翼形部114は、半径方向に延在する冷却通路130をより多くまたはより少なく画定してもよい。
【0023】
上述のように、ロータブレード100は、先端シュラウド116を含む。
図2および
図4に示すように、先端シュラウド116は、翼形部114の半径方向外側端部に結合し、ロータブレード100の半径方向最外部分を概ね画定する。この点で、先端シュラウド116は、ロータブレード100を越えて逃げる燃焼ガス34(
図1)の量を減少させる。図示するように、先端シュラウド116はシールレール132を含むことができる。しかし、代替的な実施形態は、より多くのシールレール132(例えば、2つのシールレール132、3つのシールレール132など)を含んでもよいし、またはシールレール132を含まなくてもよい。
【0024】
ここで
図4を参照すると、先端シュラウド116は様々な表面を含む。例えば、先端シュラウド116は、先端シュラウド116の前端部136に配置された前方側面134と、先端シュラウド116の後端部140に配置された後方側面138と、を含むことができる。先端シュラウド116はまた、先端シュラウド116の正圧側148に配置された第1の正圧側表面142、第2の正圧側表面144、および第3の正圧側表面146を含むことができる。同様に、先端シュラウド116はまた、先端シュラウド116の負圧側156に配置された第1の負圧側表面150、第2の負圧側表面152、および第3の負圧側表面154を含むことができる。表面134、138、142、144、146、150、152、154は、集合的に側面158と呼ぶことができる。さらに、先端シュラウド116は、半径方向外面160も含み、そこからシールレール132が外側に延在することができる。図示するように、いくつかの実施形態では、シールレール132は、第2の正圧側表面144と第2の負圧側表面152との間に延在することができる。しかしながら、代替的な実施形態では、先端シュラウド116は、表面の任意の適切な組み合わせおよび/または構成を有してもよい。
【0025】
図4に示す実施形態では、先端シュラウド116は、Zノッチ構成を有する。より具体的には、第1、第2および第3の正圧側壁142、144、146は、Z形状を画定する。この点で、正圧側凸状フィレット162は第1および第2の正圧側壁142、144の間で移行し、正圧側凹状フィレット164は第2および第3の正圧側壁144、146の間で移行する。第1、第2および第3の負圧側壁150、152、154は、正圧側壁142、144、146のZ形状と相補的なZ形状を画定する。このように、負圧側凹状フィレット166は第1および第2の負圧側壁150、152の間で移行し、負圧側凸状フィレット168は、第2および第3の負圧側壁152、154の間で移行する。しかしながら、代替的な実施形態では、先端シュラウド116は、任意の適切な形状および/または構成を有することができる。
【0026】
先端シュラウド116は、正圧側および負圧側の冷却通路170、172を画定することができる。図示するように、冷却通路170、172は、半径方向に延在する異なる冷却通路130から、側面158によって画定された正圧側および負圧側の出口174、176までそれぞれ延在する。例えば、正圧側冷却通路170は、シールレール132の前方に配置された冷却通路130のうちの1つなどの、半径方向に延在する冷却通路130のうちの1つに流体結合される。このように、正圧側冷却通路170は、先端シュラウド116を通って正圧側出口174まで延在する。図示するように、冷却通路170は、いくつかの実施形態ではシールレール132の前方に配置されてもよい。同様に、負圧側冷却通路172は、シールレール132の後方に配置された冷却通路130のうちの1つなどの、半径方向に延在する冷却通路130のうちの別のものに流体結合される。この点で、負圧側冷却通路172は、先端シュラウド116を通って負圧側出口176まで延在する。図示するように、いくつかの実施形態では、冷却通路170はシールレール132の後方に配置されてもよい。代替的な実施形態では、正圧側冷却通路170および出口174がシールレール132の後方に配置されてもよく、負圧側冷却通路172および出口176がシールレール132の前方に配置されてもよい。正圧側および負圧側の冷却通路170、172は、側面158に向かって反対方向に延在し、
図4に示すように、一般的に互いに平行または実質的に平行であってもよい。特定の実施形態では、冷却通路170、172は、シールレール132に沿って、例えば、シールレール132に平行または実質的に平行に延在してもよい。ただし、他の実施形態では、冷却通路170、172の位置決めは、シールレール132とは独立していてもよい。先端シュラウド116は、冷却通路170、172を全体的に画定することができる。あるいは、冷却通路170、172は、任意の適切な方法で先端シュラウド116を通って延在してもよい。さらなる実施形態では、先端シュラウド116は、正圧側または負圧側の冷却通路170、172のうちの1つのみを画定することができる。
【0027】
上述したように、正圧側および負圧側の冷却通路170、172は、側面158によって画定される正圧側および負圧側の出口174、176をそれぞれ有する。
図4に示す実施形態では、正圧側凸状フィレット162は正圧側出口174を画定し、負圧側凸状フィレット168は負圧側出口176を画定する。この点に関して、また以下でより詳細に説明するように、出口174、176は、隣接するロータブレードの凹状フィレット164、166に冷却剤の流れを導くように構成される。いくつかの実施形態では、出口174、176は、冷却剤が隣接するロータブレードの対応する凹状フィレット164、166に衝突するように、出口174、176と、隣接するロータブレードの対応する凹状フィレット164、166との間のギャップ182(
図6)を横断するのに十分な速度で冷却剤を排出するように構成することができる。この点に関して、出口174、176は、いくつかの実施形態では、対応する冷却通路170、172と同じ直径を有してもよい。しかしながら、代替的な実施形態では、出口174、176が隣接するロータブレードの適切な先端シュラウドフィレット上に冷却剤の流れを導くように構成されていれば、側面158の任意の適切な部分が出口174、176を画定してもよい。
【0028】
ここで
図5を参照すると、先端シュラウド116は、正圧側および/または負圧側の冷却通路170、172が流体結合する半径方向に延在する冷却通路130の半径方向外側部分内に配置されたプラグ178を含むことができる。図示するように、プラグ178は、冷却通路130を流れる冷却剤180を対応する冷却通路170、172内に導くことができる。特定の実施形態では、プラグ178は、冷却通路130を流れる冷却剤180のすべてを対応する冷却通路170、172内に導くことができる。プラグ178は、対応する冷却通路130の半径方向外側部分を閉塞する溶接または他の適切な構造であってもよい。
【0029】
図6は、複数の隣接するロータブレード100を示す。図示するように、第1、第2および第3のロータブレード100A、100B、100Cは、軸方向に整列され、円周方向に離間されている。この点で、第1のロータブレード100Aの正圧側出口174は、第2のロータブレード100Bの負圧側凹状フィレット166と軸方向に整列している。同様に、第2のロータブレード100Bの正圧側出口174は、第3のロータブレード100Cの負圧側凹状フィレット166と軸方向に整列している。さらに、第2のロータブレード100Bの負圧側出口176は、第1のロータブレード100Aの正圧側凹状フィレット164と軸方向に整列している。同様に、第3のロータブレード100Cの負圧側出口176は、第2のロータブレード100Bの正圧側凹状フィレット164と軸方向に整列している。代替的な実施形態では、ロータブレード100A~100Cの出口174、176は、対応する隣接するロータブレードの任意の適切な先端シュラウドフィレットと位置合わせされてもよい。
【0030】
ガスタービンエンジン10の動作中に、冷却剤180が正圧側および負圧側の冷却通路170、172を流れて、対応する隣接するロータブレード100A~100Cの正圧側凹状フィレット164および負圧側凹状フィレット166をそれぞれ冷却する。より具体的には、冷却剤180(例えば、圧縮機部14からの抽気)は、吸気ポート112(
図2)を通ってロータブレード100に入る。冷却剤180の少なくとも一部は、翼形部114の冷却通路130を通って、正圧側および/または負圧側の冷却通路170、172に流入する。冷却剤180は、出口174、176を通ってそれぞれ冷却通路170、172を出て、隣接する凹状フィレット164、166に衝突し、それによって凹状フィレット164、166を冷却する。特に、第1のロータブレード100Aの出口174を出る冷却剤180は、第2のロータブレード100Bの凹状フィレット166に衝突する。同様に、第2のロータブレード100Bの出口174を出る冷却剤180は、第3のロータブレード100Cの凹状フィレット166に衝突する。さらに、第2のロータブレードの出口176を出る冷却剤180は、第1のロータブレード100Aの凹状フィレット164に衝突する。同様に、第3のロータブレード100Cの出口176を出る冷却剤180は、第2のロータブレード100Bの凹状フィレット164に衝突する。この点で、出口174、176は、出口174、176と対応する凹状フィレット164、166との間のギャップ182を横断してそのような衝突冷却を容易にするのに十分な速度で冷却剤を排出する。
【0031】
より詳細に説明するように、ロータブレード100は、正圧側および/または負圧側の冷却通路170、172を画定する先端シュラウド116を含み、冷却通路170、172は、隣接するロータブレードのフィレット164、166上に冷却剤180を導く。この点で、ロータブレード100は、従来のロータブレードよりも先端シュラウド116のフィレット164、166に大きな冷却を提供する。このように、ロータブレード100は、従来のロータブレードよりも高い動作温度に耐えることができ、および/またはより長い耐用年数を有することができる。
【0032】
この明細書は、本技術を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本技術を実施することができるように実施例を用いており、任意の装置またはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本技術の特許され得る範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは特許請求の範囲の文言との実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
[実施態様1]
ターボ機械(10)用のロータブレード(100)であって、
翼形部(114)と、
前記翼形部(114)に結合され、側面(158)を含む先端シュラウド(116)と、を含み、前記翼形部(114)および前記先端シュラウド(116)は、第1の冷却通路(130)を画定し、前記先端シュラウド(116)は、前記第1の冷却通路(130)と流体連通する第2の冷却通路(170)をさらに画定し、前記第2の冷却通路(170)は、前記第1の冷却通路(130)から前記側面(158)によって画定された第1の出口(174)まで延在し、前記第1の出口(174)は、冷却剤(180)を第1の隣接するロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に導くように構成される、ロータブレード(100)。
[実施態様2]
前記第1の出口(174)は、前記冷却剤(180)が前記第1の隣接するロータブレード(100)の前記先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)に衝突するように、前記出口と前記先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)との間のギャップ(182)を横断するのに十分な速度で前記冷却剤(180)を排出するように構成される、実施態様1に記載のロータブレード(100)。
[実施態様3]
前記先端シュラウド(116)は、前記第2の冷却通路(170)を全体的に画定する、実施態様1に記載のロータブレード(100)。
[実施態様4]
前記先端シュラウド(116)は、前記先端シュラウド(116)の半径方向外面から外向きに延在するシールレール(132)を含み、前記第2の冷却通路(170)は、前記シールレール(132)に沿って延在する、実施態様1に記載のロータブレード(100)。
[実施態様5]
前記先端シュラウド(116)は、前記第1の冷却通路(130)を流れる前記冷却剤(180)を前記第2の冷却通路(170)内に導くために、前記第1の冷却通路(130)の半径方向外側端部に配置されたプラグ(178)を含む、実施態様1に記載のロータブレード(100)。
[実施態様6]
前記プラグ(178)は、前記第1の冷却通路(130)を流れる前記冷却剤(180)のすべてを前記第2の冷却通路(170)内に導く、実施態様4に記載のロータブレード(100)。
[実施態様7]
前記翼形部(114)および前記先端シュラウド(116)は、第3の冷却通路(172)をさらに画定し、前記先端シュラウド(116)は、前記第3の冷却通路(172)と流体連通する第4の冷却通路をさらに画定し、前記第4の冷却通路は、前記第3の冷却通路(172)から前記側面(158)によって画定された第2の出口(176)まで延在し、前記第2の出口(176)は、第2の隣接するロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に前記冷却剤(180)を導くように構成される、実施態様1に記載のロータブレード(100)。
[実施態様8]
前記第1の出口(174)は、前記先端シュラウド(116)の正圧側に配置され、前記第2の出口(176)は、前記先端シュラウド(116)の負圧側に配置される、実施態様7に記載のロータブレード(100)。
[実施態様9]
前記先端シュラウド(116)は、前記先端シュラウド(116)の半径方向外面から外向きに延在するシールレール(132)を含み、前記第2の冷却通路(170)は、前記シールレール(132)の前方に配置され、前記第4の冷却通路は、前記シールレール(132)の後方に配置される、実施態様7に記載のロータブレード(100)。
[実施態様10]
前記第2の冷却通路(170)と前記第4の冷却通路は、実質的に平行である、実施態様7に記載のロータブレード(100)。
[実施態様11]
ターボ機械(10)であって、
複数のロータブレード(100)を含むタービン部(18)を含み、前記複数のロータブレード(100)のうちの第1のロータブレード(100)は、
翼形部(114)と、
前記翼形部(114)に結合され、側面(158)を含む先端シュラウド(116)と、を含み、前記翼形部(114)および前記先端シュラウド(116)は、第1の冷却通路(130)を画定し、前記先端シュラウド(116)は、前記第1の冷却通路(130)と流体連通する第2の冷却通路(170)をさらに画定し、前記第2の冷却通路(170)は、前記第1の冷却通路(130)から前記側面(158)によって画定された第1の出口(174)まで延在し、前記第1の出口(174)は、冷却剤(180)を前記複数のロータブレード(100)のうちの第2のロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に導くように構成される、ターボ機械(10)。
[実施態様12]
前記第1の出口(174)は、前記冷却剤(180)が前記第1の隣接するロータブレード(100)の前記先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)に衝突するように、前記出口と前記先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)との間のギャップ(182)を横断するのに十分な速度で前記冷却剤(180)を排出するように構成される、実施態様11に記載のターボ機械(10)。
[実施態様13]
前記先端シュラウド(116)は、前記第2の冷却通路(170)を全体的に画定する、実施態様11に記載のターボ機械(10)。
[実施態様14]
前記先端シュラウド(116)は、前記先端シュラウド(116)の半径方向外面から外向きに延在するシールレール(132)を含み、前記第2の冷却通路(170)は、前記シールレール(132)に沿って延在する、実施態様11に記載のターボ機械(10)。
[実施態様15]
前記先端シュラウド(116)は、前記第1の冷却通路(130)を流れる前記冷却剤(180)を前記第2の冷却通路(170)内に導くために、前記第1の冷却通路(130)の半径方向外側端部に配置されたプラグ(178)を含む、実施態様11に記載のターボ機械(10)。
[実施態様16]
前記プラグ(178)は、前記第1の冷却通路(130)を流れる前記冷却剤(180)のすべてを前記第2の冷却通路(170)内に導く、実施態様14に記載のターボ機械(10)。
[実施態様17]
前記翼形部(114)および前記先端シュラウド(116)は、第3の冷却通路(172)をさらに画定し、前記先端シュラウド(116)は、前記第3の冷却通路(172)と流体連通する第4の冷却通路をさらに画定し、前記第4の冷却通路は、前記第3の冷却通路(172)から前記側面(158)によって画定された第2の出口(176)まで延在し、前記第2の出口(176)は、前記冷却剤(180)を前記複数のロータブレード(100)のうちの第3のロータブレード(100)の先端シュラウドフィレット(162,164,166,168)上に導くように構成される、実施態様11に記載のターボ機械(10)。
[実施態様18]
前記第1の出口(174)は、前記先端シュラウド(116)の正圧側に配置され、前記第2の出口(176)は、前記先端シュラウド(116)の負圧側に配置される、実施態様17に記載のターボ機械(10)。
[実施態様19]
前記先端シュラウド(116)は、前記先端シュラウド(116)の半径方向外面から外向きに延在するシールレール(132)を含み、前記第2の冷却通路(170)は、前記シールレール(132)の前方に配置され、前記第4の冷却通路は、前記シールレール(132)の後方に配置される、実施態様17に記載のターボ機械(10)。
[実施態様20]
前記第2の冷却通路(170)と前記第4の冷却通路は、実質的に平行である、実施態様17に記載のターボ機械(10)。
【符号の説明】
【0033】
10 ガスタービンエンジン
12 吸気部
14 圧縮機部
16 燃焼部
18 タービン部
20 排気部
22 シャフト
24 ロータシャフト
26 ロータディスク
28 ロータブレード
30 外側ケーシング
32 高温ガス経路
34 燃焼ガス
100 ロータブレード
102 軸方向中心線
104 ダブテール
106 シャンク部分
108 プラットフォーム
110 プラットフォームの半径方向外面
112 吸気ポート
114 翼形部
116 先端シュラウド
118 根元部
120 翼幅
122 正圧側表面
124 負圧側表面
126 前縁
128 後縁
130 半径方向に延在する冷却通路
132 シールレール
134 前方側面
136 前端部
138 後方側面
140 後端部
142 第1の正圧側表面
144 第2の正圧側表面
146 第3の正圧側表面
148 正圧側
150 第1の負圧側表面
152 第2の負圧側表面
154 第3の負圧側表面
156 負圧側
158 側面
160 半径方向外面
162 正圧側凸状フィレット
164 正圧側凹状フィレット
166 負圧側凹状フィレット
168 負圧側凸状フィレット
170 正圧側冷却通路
172 負圧側冷却通路
174 正圧側出口
176 負圧側出口
178 プラグ
180 冷却剤
182 ギャップ