(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】予混合燃料インジェクタおよびガスタービン燃焼器における使用方法
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
F23R3/28 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018159959
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤプラカーシュ・ナタラジャン
(72)【発明者】
【氏名】セス・レイノルズ・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・レイ・ペンテコスト
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・チャオ
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-075173(JP,A)
【文献】特開2004-205204(JP,A)
【文献】特開2008-185253(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0174558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/00-3/60
F02C 7/22-7/236
F02C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された端壁(328)と、第1の燃料プレナム(370、470、570)を定めている第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)と、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)に対向して位置し、第2の燃料プレナム(370、470、570)を定めている第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)とを有しており、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)および前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、前記端壁(328)の間を軸方向に延びており、前記端壁(328)とともに空気の通過のための開口を定めているフレーム(304)と、
第3の燃料プレナム(350)を定めており、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)および前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)の各々との間に空気流路(352)が定められるように、前記端壁(328)の間を軸方向に延び、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)と前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)との間に位置している第3の燃料噴射体(340)と、
を備えており、
前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、第1の複数の燃料噴射ポート(374、474、574)が定められた少なくとも1つの外面を備え、前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、第2の複数の燃料噴射ポート(354、474、574)が定められた少なくとも1つの外面を備え、前記第3の燃料噴射体(340)は、第3の複数の燃料噴射ポート(354)が定められた少なくとも1つの外面を備え、各々の複数の燃料噴射ポート(354、374、474、574)は、前記それぞれの燃料プレナム(350、370、470、570)および前記空気流路(352)のうちの隣接する空気流路(352)に流体連通しており、
前記フレーム(304)に結合し、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)、前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)、および前記第3の燃料噴射体(340)の前記それぞれの燃料プレナム(350、370、470、570)に流体的に連通した導管継手(332)と、
前記フレーム(304)に結合した取り付けフランジ(302)と、
前記取り付けフランジ(302)から前記フレーム(304)とは反対の方向に延びている出口部材(310)と、
をさらに備えており、
前記出口部材(310)は、前記空気流路(352)に流体連通し、前記出口部材(310)は、細長いスロットの形状を備える、燃料インジェクタ(100)。
【請求項2】
前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)および前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)の各々は、涙滴の形状、円形の形状、および三角形の形状のうちの1つを定める断面形状を有している、請求項
1に記載の燃料インジェクタ(100)。
【請求項3】
前記第1の側壁燃料噴射体(360)および前記第2の側壁燃料噴射体(360)の各々は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(362)と、前記前縁(362)の反対側の後縁(364)と、前記空気流路(352)のうちの1つに隣接する第1の外面と、前記第1の外面の反対側の第2の外面とを有し、前記第1の外面および前記第2の外面は、前記前縁(362)と前記後縁(364)との間を延びており、前記第1の側壁燃料噴射体(360)の前記第1の外面は、前記第1の複数の燃料噴射ポート(374)を定めており、前記第2の側壁燃料噴射体(360)の前記第1の外面は、前記第2の複数の燃料噴射ポート(374)を定め、
前記第1の側壁燃料噴射体(360)の前記第1の外面を貫いて定められた前記複数の燃料噴射ポート(374)は、1列に配置されている、請求項
2に記載の燃料インジェクタ(100)。
【請求項4】
前記第3の燃料噴射体(340)は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(342)と、前記前縁(342)の反対側の後縁(344)と、前記前縁(342)と前記後縁(344)との間を延びている1対の外面とを有し、前記1対の外面のうちの少なくとも一方は、前記第3の複数の燃料噴射ポート(354)を定め、
前記1対の外面のうちの各々の外面は、それぞれの燃料噴射面を定めており、前記第3の複数の燃料噴射ポート(354)のうちの第1の一部は、前記1対の外面のうちの第1の燃料噴射面(346)を貫いて定められ、前記第3の複数の燃料噴射ポート(354)のうちの第2の一部は、前記1対の外面のうちの第2の燃料噴射面(348)を貫いて定められている、請求項1乃至
3のいずれかに記載の燃料インジェクタ(100)。
【請求項5】
前記端壁(328)の間に配置された第4の燃料噴射体(340b)をさらに備え、前記第4の燃料噴射体(340b)は、前記第1の側壁燃料噴射体(360)、前記第3の燃料噴射体(340a)、前記第4の燃料噴射体(340b)、および前記第2の側壁燃料噴射体(360)の間に流路が定められるように前記開口内に配置され、前記第4の燃料噴射体(340b)は、前記導管継手(332)に流体連通した第4の燃料プレナム(350b)を定め、前記第4の燃料プレナム(350b)に流体連通した第4の複数の燃料噴射ポート(354)を定めている少なくとも1つの外面を備える、請求項1乃至
4のいずれかに記載の燃料インジェクタ(400)。
【請求項6】
前記第4の燃料噴射体(340b)は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(342)と、前記前縁(342)の反対側の後縁(344)と、前記前縁(342)と前記後縁(344)との間を延びている1対の外面とを有し、
第3の軸(345)が、前記第3の燃料噴射体(340a)の前縁(342)および後縁(344)を通って定められ、第4の軸(345)が、前記第4の燃料噴射体(340b)の前縁(342)および後縁(344)を通って定められ、前記第3の軸(345)と当該燃料インジェクタ(400)の噴射軸(312)との間に定められる第3の角度(390)は、前記第4の軸(345)と前記噴射軸(312)との間に定められる第4の角度(390)に等しい、請求項
5に記載の燃料インジェクタ(400)。
【請求項7】
ガスタービン(1000)用の燃焼器(24)であって、
燃焼室を定めるとともに、前端(120)と、後端(118)と、前記前端(120)と前記後端(118)との間に位置する少なくとも1つの貫通開口とを定めているライナ(42)と、
軸方向燃料多段化(AFS)システム(200)と
を備えており、
前記AFSシステム(200)は、
前記ライナ(42)の前記少なくとも1つの貫通開口のうちの該当の1つを通って前記ライナ(42)の長手軸に対して横方向に向けられた流体連通をもたらすように取り付けられた燃料インジェクタ(100、400)と、
前記燃料インジェクタ(100)に結合した燃料供給ライン(104)と、
を備え、
前記燃料インジェクタ(100)は、
対向して配置された端壁(328)と、第1の燃料プレナム(370、470、570)を定めている第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)と、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)に対向して位置し、第2の燃料プレナム(370、470、570)を定めている第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)と、を有しており、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)および前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、前記端壁(328)の間を軸方向に延びており、前記端壁(328)とともに空気の通過のための開口を定めているフレーム(304)と、
第3の燃料プレナム(350)を定めており、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)および前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)の各々との間に空気流路(352)が定められるように、前記端壁(328)の間を軸方向に延び、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)と前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)との間に位置している第3の燃料噴射体(340)と、
をさらに備え、
前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、第1の複数の燃料噴射ポート(374、474、574)が定められた少なくとも1つの外面を備え、前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)は、第2の複数の燃料噴射ポート(354、474、574)が定められた少なくとも1つの外面を備え、前記第3の燃料噴射体(340)は、第3の複数の燃料噴射ポート(354)が定められた少なくとも1つの外面を備え、各々の複数の燃料噴射ポート(354、374、474、574)は、前記それぞれの燃料プレナム(350、370、470、570)および前記空気流路(352)のうちの隣接する空気流路(352)に流体連通しており、
前記燃料インジェクタ(100)は、
前記フレーム(304)に結合し、前記第1の側壁燃料噴射体(360、460、560)、前記第2の側壁燃料噴射体(360、460、560)、および前記第3の燃料噴
射体(340)の前記それぞれの燃料プレナム(350、370、470、570)に流体的に連通した導管継手(332)
を備え、
前記燃料供給ライン(104)は、前記導管継手(332)に接続される、燃焼器(24)。
【請求項8】
前記燃料インジェクタ(100)は、前記フレーム(304)に結合した取り付けフランジ(302)と、前記取り付けフランジ(302)から前記フレーム(304)とは反対の方向に延びている出口部材(310)とをさらに備え、前記出口部材(310)は、前記空気流路(352)に流体連通し、前記出口部材(310)は、細長いスロットの形状を備えている、請求項
7に記載の燃焼器(24)。
【請求項9】
前記燃料インジェクタ(100)の前記第1の側壁燃料噴射体(360)および前記第2の側壁燃料噴射体(360)の各々は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(362)と、前記前縁(362)の反対側の後縁(364)と、前記空気流路(352)のうちの1つに隣接する第1の外面と、前記第1の外面の反対側の第2の外面とを有し、前記第1の外面および前記第2の外面は、前記前縁(362)と前記後縁(364)との間を延びており、前記第1の側壁燃料噴射体(360)および前記第2の側壁燃料噴射体(360)の各々の前記第1の外面は、それぞれ前記第1の複数の燃料噴射ポート(374)および前記第2の複数の燃料噴射ポート(374)を定めている、請求項
7または
8に記載の燃焼器(24)。
【請求項10】
前記燃料インジェクタ(100)の前記第3の燃料噴射体(340)は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(342)と、前記前縁(342)の反対側の後縁(344)と、前記前縁(342)と前記後縁(344)との間を延びている1対の外面とを有し、前記1対の外面のうちの少なくとも一方は、前記第3の複数の燃料噴射ポート(354)を定めている、請求項
7乃至
9のいずれかに記載の燃焼器(24)。
【請求項11】
前記燃料インジェクタ(400)は、前記端壁(328)の間に配置された第4の燃料噴射体(340b)をさらに備え、前記第4の燃料噴射体(340b)は、前記第1の側壁燃料噴射体(360)、前記第3の燃料噴射体(340a)、前記第4の燃料噴射体(340b)、および前記第2の側壁燃料噴射体(360)の間に空気流路が定められるように前記開口内に配置され、前記第4の燃料噴射体(340b)は、第4の燃料プレナム(350b)を定め、前記第4の燃料プレナム(350b)に流体連通した第4の複数の燃料噴射ポート(354)を定める少なくとも1つの外面を備えており、前記第4の燃料プレナム(350b)は、前記導管継手(332)に流体連通しており、
前記燃料インジェクタ(400)の前記第4の燃料噴射体(340b)は、涙滴の形状を定める断面形状を有しており、前記涙滴の形状は、前縁(342)と、前記前縁(342)の反対側の後縁(344)と、前記前縁(342)と前記後縁(344)との間を延びている1対の外面とを有し、前記第3の燃料噴射体(340a)と前記第4の燃料噴射体(340b)とは、前記燃料インジェクタの噴射軸(312)に対して等しい角度に配置されている、請求項
7乃至1
0のいずれかに記載の燃焼器(24)。
【請求項12】
前記AFSシステム(200)の前記燃料インジェクタ(100)は、複数の燃料インジェクタのうちの1つであり、前記前端(120)は、少なくとも1つの燃料ノズル(122)を備える、請求項
7乃至1
1のいずれかに記載の燃焼器(24)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くには、ガスタービン燃焼器のための燃料インジェクタに関し、より具体的には、そのような燃焼器に組み合わせられた軸方向燃料多段化(AFS)システムにおいて用いられる予混合燃料インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの公知のガスタービンアセンブリは、発電に使用される。そのようなガスタービンアセンブリは、圧縮機、燃焼器、およびタービンを含む。気体(例えば、周囲空気)が圧縮機を通って流れ、圧縮機において圧縮された後に、1つ以上の燃焼器へと送られる。各々の燃焼器において、圧縮された空気は、燃料と組み合わせられて燃やされ、燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、各々の燃焼器からタービンへと導かれ、タービンを通過することによってタービンを駆動し、したがってタービンに結合した発電機を動作させる。さらに、タービンは、共通のシャフトまたはロータによって圧縮機を駆動することもできる。
【0003】
いくつかの燃焼器において、燃焼ガスの発生は、軸方向に離れて位置する2つの段において生じる。このような燃焼器は、本明細書において、燃焼器の前端部の下流の1つ以上の燃料インジェクタへと燃料および酸化剤をもたらす「軸方向燃料多段化(axial fuel staging)」(AFS)システムを備えると称される。AFSシステムを有する燃焼器においては、燃焼器の上流端の一次燃料ノズルが、燃料および空気(または、燃料/空気混合物)を一次燃焼ゾーンへと軸方向に噴射し、一次燃料ノズルの下流の位置に配置されたAFS燃料インジェクタが、燃料および空気(または、第2の燃料/空気混合物)を一次燃焼ゾーンの下流の二次燃焼ゾーンへと交差流にて噴射する。交差流は、一次燃焼ゾーンからの燃焼生成物の流れをおおむね横切る方向である。
【0004】
場合によっては、燃料および空気を混合物として二次燃焼ゾーンに導入することが望ましい。したがって、AFSインジェクタの混合能力が、ガスタービンの全体としての動作の効率および/または排出物を左右する。
【0005】
さらに、いくつかの場合には、AFSインジェクタによって導入される燃料の種類が、排出物の基準に適った動作を維持するために、所定の範囲内の熱放出または修正ウォッベ指数値を有する燃料に限定されている。したがって、容認できないレベルの排出物を発生させることなく広範囲の熱放出値を有する燃料を導入することができるAFSインジェクタも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本開示は、燃料および空気の混合物を燃焼器へと一次燃焼ゾーンの流れに対して横方向にもたらすことによって二次燃焼ゾーンを生成するAFS燃料インジェクタに関する。ガスタービン燃焼器のための燃料インジェクタが、対向する端壁の間を延びる側壁燃料噴射体を含む。各々の側壁燃料噴射体は、燃料プレナムを定め、燃料プレナムと連通する燃料噴射ポートを定める外面を含む。端壁の間を延びる1つ以上の燃料噴射体が、側壁燃料噴射体の間に配置される。各々の燃料噴射体は、燃料プレナムを定め、燃料プレナムと流体連通する燃料噴射ポートを定める外面を含む。フレームに結合した導管継手が、それぞれの燃料プレナムに流体的に連通する。燃料噴射ポートは、燃料噴射体と側壁燃料噴射体との間に定められた空気流路に流体的に連通する。ガスタービン用燃焼器が、ライナと、この燃料インジェクタを有する軸方向燃料多段化システムとを含む。
【0008】
より具体的には、燃料インジェクタは、対向して配置された端壁と、第1の燃料プレナムを定めている第1の側壁燃料噴射体と、第1の側壁燃料噴射体に対向して位置し、第2の燃料プレナムを定めている第2の側壁燃料噴射体とを有するフレームを含む。第1の側壁燃料噴射体および第2の側壁燃料噴射体は、端壁の間を軸方向に延びており、端壁とともに空気の通過のための開口を定めている。第3の燃料噴射体が、第3の燃料プレナムを定める。第3の燃料噴射体は、第1の側壁燃料噴射体および第2の側壁燃料噴射体の各々との間に空気流路が定められるように、端壁の間を軸方向に延び、第1の側壁燃料噴射体と第2の側壁燃料噴射体との間に位置する。第1の側壁燃料噴射体は、第1の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含み、第2の側壁燃料噴射体は、第2の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含み、第3の燃料噴射体は、第3の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含む。各々の複数の燃料噴射ポートは、それぞれの燃料プレナムと、空気流路のうちの隣接する空気流路とに流体連通する。導管継手が、フレームに結合し、第1の側壁燃料噴射体、第2の側壁燃料噴射体、および第3の燃料噴射体のそれぞれの燃料プレナムに流体的に連通する。
【0009】
1つ以上の実施形態において、燃料インジェクタは、フレームに結合した取り付けフランジをさらに含むことができる。これらの実施形態または他の実施形態において、燃料インジェクタは、取り付けフランジからフレームとは反対の方向に延びる出口部材をさらに含むことができ、出口部材は、空気流路に流体連通する。
【0010】
1つ以上の実施形態において、側壁燃料噴射体の各々は、涙滴の形状、円形の形状、および三角形の形状のうちの1つを定める断面形状を有することができる。断面形状が涙滴の形状を定める実施形態において、涙滴は、前縁と、前縁の反対側の後縁と、空気流路のうちの1つに隣接する第1の外面と、第1の外面の反対側の第2の外面とを有することを特徴とする。第1の外面および第2の外面の両方は、前縁と後縁との間を延びている。各々の側壁燃料噴射体の第1の外面は、それぞれの複数の燃料噴射ポートを定める。少なくとも1つの実施形態において、燃料噴射ポートは、一列に配置される。
【0011】
1つ以上の実施形態においては、第1の軸が、第1の側壁燃料噴射体の前縁および後縁を通って定められ、第2の軸が、第2の側壁燃料噴射体の前縁および後縁を通って定められる。第1の角度が、第1の軸と燃料インジェクタの噴射軸との間に定められ、第1の角度は、第2の軸と噴射軸との間に定められる第2の角度に等しい。
【0012】
1つ以上の実施形態において、第3の燃料噴射体は、涙滴の形状を定める断面形状を有し、涙滴の形状は、前縁と、前縁の反対側の後縁と、前縁と後縁との間を延びている1対の外面とを有することを特徴とする。1対の外面のうちの少なくとも一方が、第3の複数の燃料噴射ポートを定める。これらの実施形態または他の実施形態において、1対の外面の各々の外面は、それぞれの燃料噴射面を定める。第3の複数の燃料噴射ポートのうちの第1の一部が、1対の外面のうちの第1の燃料噴射面を貫いて定められ、第3の複数の燃料噴射ポートのうちの第2の一部が、1対の外面のうちの第2の燃料噴射面を貫いて定められる。
【0013】
1つ以上の実施形態においては、第4の燃料噴射体が、端壁の間に配置され、第1の側壁燃料噴射体、第3の燃料噴射体、第4の燃料噴射体、および第2の側壁燃料噴射体の間に空気流路が定められるように開口内に配置される。第4の燃料噴射体は、導管継手に流体連通した第4の燃料プレナムを定め、第4のプレナムに流体連通した第4の複数の燃料噴射ポートを定めている少なくとも1つの外面を含む。これらの実施形態または他の実施形態において、第4の燃料噴射体は、涙滴の形状を定める断面形状を有し、涙滴の形状は、前縁と、後縁と、前縁と後縁との間を延びている1対の外面とを有することを特徴とする。
【0014】
第3の燃料噴射体および第4の燃料噴射体の両方を有する実施形態において、第3の長手軸が、第3の燃料噴射体の前縁および後縁を通って定められ、第4の長手軸が、第4の燃料噴射体の前縁および後縁を通って定められる。第3の軸と燃料インジェクタの噴射軸との間に定められる第3の角度は、第4の軸と噴射軸との間に定められる第4の角度に等しい。
【0015】
いくつかの実施形態において、第3の燃料噴射体の第3の複数の燃料噴射ポートは、1対の外面のうちの第1の燃料噴射面を貫いて定められた第3の複数の燃料噴射ポートのうちの第1の一部と、1対の外面のうちの第2の燃料噴射面を貫いて定められた第3の複数の燃料噴射ポートのうちの第2の一部とを含む。これらの実施形態において、第4の燃料噴射体の第4の複数の燃料噴射ポートは、1対の外面のうちの第1の燃料噴射面を貫いて定められた第4の複数の燃料噴射ポートのうちの第1の一部と、1対の外面のうちの第2の燃料噴射面を貫いて定められた第4の複数の燃料噴射ポートのうちの第2の一部とを含む。
【0016】
本開示の別の態様によれば、軸方向燃料多段化(AFS)システムを有するガスタービン用の燃焼器も提供される。燃焼器は、前端と、後端と、前端と後端との間に位置する少なくとも1つの貫通開口とを定めているライナを含む。軸方向燃料多段化(AFS)システムは、燃料インジェクタおよび燃料供給ラインを含む。燃料インジェクタは、ライナの少なくとも1つの開口のうちの該当の1つを介して流体連通をもたらすように取り付けられ、流体連通は、ライナの長手軸に対して横方向に向けられる。燃料供給ラインは、燃料インジェクタに結合する。インジェクタは、対向して配置された端壁と、第1の燃料プレナムを定めている第1の側壁燃料噴射体と、第1の側壁燃料噴射体に対向して位置し、第2の燃料プレナムを定めている第2の側壁燃料噴射体とを有するフレームを含む。第1の側壁燃料噴射体および第2の側壁燃料噴射体は、端壁の間を軸方向に延びており、端壁とともに空気の通過のための開口を定めている。第3の燃料噴射体が、第3の燃料プレナムを定める。第3の燃料噴射体は、第1の側壁燃料噴射体および第2の側壁燃料噴射体の各々との間に空気流路が定められるように、端壁の間を軸方向に延び、第1の側壁燃料噴射体と第2の側壁燃料噴射体との間に位置する。第1の側壁燃料噴射体は、第1の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含み、第2の側壁燃料噴射体は、第2の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含み、第3の燃料噴射体は、第3の複数の燃料噴射ポートが定められた少なくとも1つの外面を含む。各々の複数の燃料噴射ポートは、それぞれの燃料プレナムと、空気流路のうちの隣接する空気流路とに流体連通する。導管継手が、フレームに結合し、第1の側壁燃料噴射体、第2の側壁燃料噴射体、および第3の燃料噴射体のそれぞれの燃料プレナムに流体的に連通する。燃料供給ラインは、導管継手に結合する。
【0017】
以上、燃料インジェクタの1つ以上の具体的な実施形態の特徴を提示した。1つ以上の実施形態において、燃料インジェクタは、燃焼器の複数の燃料インジェクタのうちの1つである。
【0018】
当業者へと向けられた本製品および本方法の最良の態様を含む本製品および本方法の充分かつ実施可能な開示が、添付の図面を参照する本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本明細書に記載の本燃料インジェクタを使用することができる発電用ガスタービンアセンブリの概略図である。
【
図2】本燃料インジェクタを含む燃焼缶の概略断面側面図である。
【
図3】1つの燃料噴射体を対向する側壁燃料噴射体の間に配置して有する本開示の一態様による燃料インジェクタの斜視図である。
【
図5】1対の燃料噴射体を対向する側壁燃料噴射体の間に配置して有している本開示の別の態様による燃料インジェクタの斜視図である。
【
図7】
図3の燃料インジェクタの代案の実施形態の断面図であり、側壁燃料噴射体が円形の断面形状を有している。
【
図8】
図3の燃料インジェクタの代案の実施形態の断面図であり、側壁燃料噴射体が三角形の断面形状を有している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明は、種々のAFS燃料インジェクタ、それらの構成部品、およびそれらの製造方法を、限定ではなく例として例示する。この説明は、当業者による燃料インジェクタの製作および使用を可能にする。この説明は、燃料インジェクタのいくつかの実施形態を、それらの燃料インジェクタの製作および使用の現時点において考えられる最良の態様を含めて提示する。典型的な燃料インジェクタが、本明細書においては、ヘビーデューティ用ガスタービンアセンブリの燃焼器に組み合わせられるものとして説明される。しかしながら、本明細書に記載の燃料インジェクタは、発電以外のさまざまな分野の幅広い範囲のシステムに一般的に適用されると考えられる。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために入れ換え可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図していない。用語「上流」および「下流」は、流体の経路における流体の流れに対する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向を指し、「下流」は流体が流れていく方向を指す。
【0022】
本明細書において使用されるとき、用語「半径」(または、そのあらゆる変種)は、任意の適切な形状(例えば、正方形、長方形、三角形、など)の中心から外側へと延びる寸法を指し、円形の中心から外側へと延びる寸法に限られない。同様に、本明細書において使用されるとき、用語「円周」(または、そのあらゆる変種)は、任意の適切な形状(例えば、正方形、長方形、三角形、など)の中心を取り囲むように延びる寸法を指し、円形の中心を取り囲むように延びる寸法に限られない。
【0023】
図1が、本開示の種々の実施形態を取り入れることができる典型的なガスタービン1000の機能ブロック図を示している。図示のように、ガスタービン1000は、一般に、一連のフィルタ、冷却コイル、水分分離器、および/またはガスタービン1000に進入する作動流体(例えば、空気)14を浄化および他のやり方で調整するための他の装置を含むことができる入口部12を含む。作動流体14は、圧縮機部分へと流れ、圧縮機部分において圧縮機16が作動流体14に運動エネルギを徐々に与えることで、圧縮された作動流体18を生み出す。
【0024】
圧縮された作動流体18は、気体燃料供給システムからの気体燃料20および/または液体燃料供給システムからの液体燃料21と混合され、1つ以上の燃焼器24において可燃混合物を形成する。可燃混合物が燃焼し、高い温度、圧力、および速度を有する燃焼ガス26を発生させる。燃焼ガス26は、タービン部分のタービン28を通って流れ、仕事を生み出す。例えば、タービン28の回転によって圧縮機16を駆動して、圧縮された作動流体18を生成するように、タービン28をシャフト30に接続することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、シャフト30は、電気を発生させるための発電機32にタービン28を接続することができる。タービン28からの排気ガス34は、タービン28をタービンの下流の排気スタックへと接続する排気部(図示せず)を通って流れる。排気部は、例えば、環境への放出に先立って排気ガス34を浄化し、排気ガス34からさらなる熱を抽出するための熱回収蒸気発生装置(図示せず)を含むことができる。
【0025】
燃焼器24は、技術的に公知の任意の種類の燃焼器であってよく、本発明は、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、いかなる特定の燃焼器の設計にも限定されない。例えば、燃焼器24は、缶型(缶環状型と呼ばれることもある)の燃焼器であってもよい。
【0026】
図2は、ヘビーデューティ用ガスタービンの缶環状燃焼システムに含まれ得る燃焼缶24の概略図である。缶環状燃焼システムにおいては、複数の燃焼缶24(例えば、8個、10個、12個、14個、16個、またはそれ以上)が、圧縮機をタービンへと接続するロータの周囲の環状のアレイにて配置される。タービンを、電力を生成するための発電機へと(例えば、ロータによって)動作可能に接続することができる。
【0027】
図2において、燃焼缶24は、燃焼ガス26を封じ込めてタービンへと運ぶライナ42を含む。ライナ42は、多くの従来からの燃焼システムと同様に、円筒状のライナ部分と、円筒状のライナ部分とは別のテーパ状のつなぎ部分とを有することができる。あるいは、ライナ42は、円筒状の部分とテーパ状の部分とが互いに一体化された一体型本体(または、「ユニボディ」)の構成を有してもよい。したがって、本明細書におけるライナ42の説明は、別個のライナおよびつなぎピースを有する従来からの燃焼システム、ならびにユニボディのライナを有する燃焼システムの両方を包含するように意図される。さらに、本開示は、つなぎピースとタービンの第1段のノズルとが「つなぎノズル」または「一体化出口ピース」と呼ばれることもある単一のユニットに一体化されている燃焼システムにも同様に適用可能である。
【0028】
ライナ42は、外側スリーブ44によって囲まれており、外側スリーブ44は、ライナ42と外側スリーブ44との間に環状部132を定めるようにライナ42から半径方向外側に離れて位置している。外側スリーブ44は、多くの従来からの燃焼システムと同様に、前端部に位置するフロースリーブ部分を、後端部に位置するインピンジメントスリーブ部分とを含むことができる。あるいは、外側スリーブ44は、フロースリーブ部分とインピンジメントスリーブ部分とが軸方向において互いに一体化された一体型本体(または、「ユニスリーブ」)の構成を有してもよい。前述のように、本明細書における外側スリーブ44の説明は、別個のフロースリーブおよびインピンジメントスリーブを有する従来からの燃焼システム、ならびにユニスリーブの外側スリーブを有する燃焼システムの両方を包含するように意図される。
【0029】
燃焼缶24の前端部分120は、1つ以上の燃料ノズル122を含む。燃料ノズル122は、上流(または、入口)端に燃料入口124を有する。燃料入口124を、燃焼缶24の前端の端部カバー126を貫いて形成することができる。燃料ノズル122の下流(または、出口)端は、燃焼器キャップ128を通って延びる。
【0030】
燃焼缶24の前端部分120は、前方ケーシング130によって少なくとも部分的に囲まれており、前方ケーシング130は、圧縮機吐出ケース140に物理的に結合および流体的に連通する。圧縮機吐出ケース140は、圧縮機16(
図1に示されている)の出口に流体的に連通し、燃焼缶24の少なくとも一部分を囲む加圧空気プレナム142を定める。空気18は、圧縮機吐出ケース140から燃焼缶24の後端118の付近の外側スリーブ44の穴を通って環状部132へと流れる。環状部132は前端部分120に流体的に連通しているため、空気流18は、燃焼缶24の後端118の付近から前端部分120へと上流に移動し、前端部分120において、空気流18は方向を反転させ、燃料ノズル122に進入する。
【0031】
燃料ノズル122は、一次燃料/空気混合物46としての燃料および空気を、燃料および空気を燃焼させるライナ42の前端の一次燃焼ゾーン50へと導入する。一実施形態において、燃料および空気は、燃料ノズル122内で(例えば、予混合燃料ノズル内で)混合される。他の実施形態において、燃料および空気は、一次燃焼ゾーン50へと別々に導入され、一次燃焼ゾーン50において混合される(例えば、拡散ノズルにおいて生じ得るとおり)。本明細書における「第1の燃料/空気混合物」への言及は、いずれも燃料ノズル122によって生成することができる予混合の燃料/空気混合物および拡散式の燃料/空気混合物の両方を説明するものと解釈されるべきである。
【0032】
一次燃焼ゾーン50からの燃焼ガスは、燃焼缶24の後端118に向かって下流に移動する。1つ以上の燃料インジェクタ100が、二次燃料/空気混合物56としての燃料および空気を二次燃焼ゾーン60へと導入し、二次燃焼ゾーン60において、この燃料および空気が一次ゾーンの燃焼ガスによって燃やされ、複合の燃焼ガス生成物の流れ26を形成する。軸方向に分離された燃焼ゾーンを有するこのような燃焼システムは、「軸方向燃料多段化」(AFS)システム200と表現され、下流のインジェクタ100は、本明細書において「AFSインジェクタ」と呼ぶことができる。
【0033】
図示の実施形態において、各々のAFSインジェクタ100のための燃料は、燃焼缶24の前端から燃料入口154を介して供給される。各々の燃料入口154は、それぞれのAFSインジェクタ100に接続された燃料供給ライン104に接続される。燃料をリングマニホルドから供給し、あるいは圧縮機吐出ケース140を通って延びる半径方向に向けられた燃料供給ラインから供給するなど、AFSインジェクタ100へと燃料をもたらす他の方法も使用できることを、理解すべきである。
【0034】
図2は、AFSインジェクタ100を燃焼缶24の長手方向中心線70に対して角度θ(シータ)に向けてもよいことをさらに示している。図示の実施形態においては、インジェクタ100の前縁部分(すなわち、インジェクタ100のうちの前端の最も近くに位置する部分)は、燃焼缶24の中心線70から離れるように向けられている一方で、インジェクタ100の後縁部分は、燃焼缶24の中心線70の方へと向けられている。インジェクタ100の長手軸75と中心線70との間に定められる角度θは、0度~±45度の間、0度~±30度の間、0度~±20度の間、または0度~±10度の間、あるいはこれらの間の任意の中間値であってよい。
【0035】
図2は、燃焼器の中心線(長手軸)70に対して正の角度にあるインジェクタ100の向きを示している。他の実施形態(別途の図示は省略)においては、前縁部分が中心線70に最も近く、後縁部分が中心線70から遠くなるように、インジェクタ100を中心線70に対して負の角度に向けることが望ましいかもしれない。一実施形態において、燃焼缶24のすべてのインジェクタ100は、非ゼロの角度に配置される場合、同じ角度に向けられる(すなわち、すべてが同じ正の角度に向けられ、あるいはすべてが同じ負の角度に向けられる)。
【0036】
インジェクタ100は、第2の燃料/空気混合物56を燃焼ライナ42へと中心線70および/または一次燃焼ゾーンからの燃焼生成物の流れを横切る方向に噴射することにより、二次燃焼ゾーン60を形成する。一次および二次燃焼ゾーンからの複合の高温ガス26は、燃焼缶24の後端118を通ってタービン部28(
図1)へと下流に移動し、タービン部28において燃焼ガス26が膨張し、タービン28を駆動する。
【0037】
とりわけ、ガスタービン1000の動作効率を高め、排出物を低減するために、インジェクタ100が燃料および圧縮されたガスを完全に混合して第2の燃料/空気混合物56を形成することが望ましい。したがって、以下で説明されるインジェクタの実施形態は、混合の改善を促進する。加えて、燃料インジェクタ100は、さらに後述されるように多数の燃料噴射ポートを含むがゆえに、広い範囲の熱放出値を有する燃料を導入する能力が高められ、ガスタービンの運転者にとってより大きな燃料柔軟性を提供する。
【0038】
図3および
図4は、それぞれ上述したAFSシステム200において使用される典型的な燃料インジェクタ100の斜視図および断面図である。典型的な実施形態において、燃料インジェクタ100は、対向して配置された1対の端壁328を有するフレーム304を含む。少なくとも1つの燃料噴射体340が、フレーム304の側面を定める1対の側壁燃料噴射体360の間に配置される。燃料噴射体340および側壁燃料噴射体360は、本明細書においてさらに説明される。少なくとも1つの実施形態において、燃料インジェクタ100は、フレーム304に結合された取り付けフランジ302および出口部材310をさらに含む。
【0039】
出口部材310は、燃焼缶24の長手軸70(
図2に示されているL
COMB)に対して半径方向の寸法「R」を呈する噴射軸312(
図4に示されている)を定める。燃料インジェクタ100は、噴射軸312におおむね垂直な長手方向寸法(軸L
INJとして表される)と、長手軸L
INJの周りを延びる円周方向寸法「C」とをさらに含む。
【0040】
図3および
図4に示される典型的な実施形態においては、噴射軸312がおおむね直線的であるが、噴射軸312は、他の実施形態においては非直線的であってもよい。例えば、出口部材310は、他の実施形態(図示せず)においては弓形の形状を有してもよい。
【0041】
出口部材312は、細長いスロットとして説明することができる形状を有する。細長いスロット形状は、前端120へと移動する流れについてライナ42と外側スリーブ44との間の環状部132における妨害をあまり生じず、したがってライナ42の耐久性を向上させる。さらに、出口部材312のスロット形状は、二次燃料/空気混合物56と一次燃焼ゾーン50からの燃焼生成物との混合を改善することにより、排出物を低減する。
【0042】
図3および
図4に示される実施形態において、取り付けフランジ302、フレーム304、および出口部材310を、単一の部品からなる構造(すなわち、溶接または他の接合方法を用いることなく互いに一体的に形成されている)として製造することができる。あるいは、他の実施形態においては、フランジ302を、フレーム304および/または出口310と一体に形成しなくてもよい(例えば、フランジ302を、適切な締結具を使用してフレーム304および/または出口302に結合させることができる)。さらには、フレーム304および出口302を、おそらくは互いに噛み合うスタブフランジ対フランジの接続(別途の図示は省略)を使用してフランジ302に別個に接合される一体的な単一の部品からなるユニットとして製作してもよい。
【0043】
おおむね平坦であるフランジ302は、各々が燃料インジェクタ100を外側スリーブ44に結合させるための締結具(図示せず)を受け入れるようなサイズとされた複数の開口306を定める。燃料インジェクタ100は、フランジ302に代え、あるいはフランジ302に組み合わせて、インジェクタ100が本明細書に記載のやり方で機能するようにフレーム304または出口部材310をライナ42へと結合させることを可能にする任意の適切な構造(例えば、取り付けボス)を有することができる。
【0044】
フレーム304は、燃料インジェクタ100の入口部分を定める。フレーム304は、対向して配置された1対の端壁328と、端壁328の間を延びる側壁燃料噴射体360によって定められた対向して配置された1対の側面とを含む。側壁燃料噴射体360は、端壁328より長く、したがってフレーム304に軸方向におおむね長方形の外形を提供する。フレーム304は、フランジ302に近い第1の端部318(「近位端」)と、フランジ302から遠い第2の端部320(「遠位端」)とを有する。
【0045】
出口部材310は、フレーム304の反対側においてフランジ302から(燃焼器24の長手軸に対して)半径方向内側に延びている。出口部材310は、半径方向および軸方向において均一または実質的に均一な断面積を定める。出口部材310は、フレーム304とライナ42の内部との間の流体連通をもたらし、第2の燃料/空気混合物56を噴射軸312に沿って二次燃焼ゾーン60へと届ける。出口部材310は、燃料インジェクタ100が設置されたとき、フランジ302に近い第1の端部322と、フランジ302から遠い(ライナ42に近い)第2の端部324とを有する。さらに、燃料インジェクタ100が設置されたとき、出口部材310は、(
図2に示されるように)フランジ302が外側スリーブ44の外面に位置するように、ライナ42と外側スリーブ44との間の環状部132内に配置される。
【0046】
したがって、フレーム304は、フランジ302から半径方向外側へと第1の方向に延び、出口部材310は、フランジ302から半径方向内側へと第1の方向とは反対の第2の方向に延びる。フランジ302は、フレーム304の周りを周状に延びる(すなわち、フレーム304を囲む)。フレーム304および出口部材310は、噴射軸312の周りを周状に延び、フランジ302を貫いて互いに流体連通する。
【0047】
本明細書に示す実施形態は、フランジ302をフレーム304と出口部材310との間の中央に位置するものとして示しているが、フランジ302が、何らかの他の場所に位置してもよく、あるいは何らかの他の適切な向きにて位置してもよいことを理解されたい。例えば、フレーム304と出口部材310とが、フランジ302からおおむね反対の方向に延びる必要はない。
【0048】
いくつかの実施形態においては、端壁328を、フランジ302に対してある角度に向けてもよい。端壁328は、おおむね直線状の断面形状を有する。他の実施形態において、端壁328は、フレーム304を遠位端320と近位端318との間で少なくとも部分的に収束させる(すなわち、先細りにする)ことができる任意の適切な断面形状を有することができる。あるいは、端壁328の各々が、噴射軸312に実質的に平行に向けられた実質的に直線状の断面形状を有してもよい。
【0049】
典型的な実施形態において、燃料インジェクタ100は、燃料噴射体340および側壁燃料噴射体360に燃料を供給する導管継手332をさらに含む。導管継手332は、インジェクタ100の長手軸(LINJ)に沿っておおむね外側へと延びるように、フレーム304の端壁328のうちの1つと一体に形成される。導管継手332は、燃料供給ライン104に接続され、燃料供給ライン104から燃料を受け取る。導管継手332は、任意の適切なサイズおよび形状を有することができ、導管継手332が本明細書に記載のとおりに機能することを可能にするフレーム304の任意の適切な部分と一体に形成されてよく、あるいはそのような部分と結合することができる。
【0050】
燃料噴射体340は、導管継手332を突出させる端壁328と一体に形成された第1の端部336と、燃料インジェクタ100の反対側の端部の端壁328と一体に形成された第2の端部338とを有する。フレーム304を横切って端壁328の間をおおむね直線的に延びる燃料噴射体340は、導管継手332に流体連通する内部燃料プレナム350を定める。他の実施形態において、燃料噴射体340は、燃料噴射体340が本明細書に記載のように機能することを可能にするフレーム304の任意の適切な部分からフレーム304の全体または一部分を横切って延びてもよい。これに代え、あるいはこれに加えて、燃料噴射体340は、対向して配置された端壁328の間に弓形の形状を定めてもよい。
【0051】
上述したように、燃料噴射体340は、内部プレナム350を定め、かつフレーム304の端壁328の間を延びる中空構造を形成する複数の表面を有する。長手軸LINJに対する垂直から得た断面において見たとき、(本実施形態における)燃料噴射体340は、一般に、湾曲した前縁342と、反対側に位置する後縁344と、前縁342から後縁344まで延びる1対の対向する燃料噴射面346、348とを備える逆涙滴形状を有する。燃料噴射体340は、前縁342がフランジ302から遠く、後縁344がフランジ302の近くに位置するように向けられている。
【0052】
各々の燃料噴射面346、348は、それぞれの側壁燃料噴射体360に面し、したがって、後縁344の下流かつ出口部材310の上流または内部で互いに交差する1対の流路352を定める。流路352は、フレーム304の遠位端320からフレーム304の近位端318まで均一な寸法であってよく、あるいは流路352は、遠位端320から近位端318へと収束することで、流れを加速させてもよい。
【0053】
各々の燃料噴射面346、348は、内部プレナム350と流路352との間の流体連通をもたらす複数の燃料噴射ポート354を含む。燃料噴射ポート354は、例えば、本明細書に記載のとおりの燃料噴射体340の機能を可能にするために適した任意のやり方(例えば、一様または非一様な間隔のポート354の1つ以上の列)にて、燃料噴射面346、348の長さに沿って間隔を空けつつ配置される(
図3を参照)。
【0054】
各々の側壁燃料噴射体360は、導管継手332を突出させる端壁328と一体に形成された第1の端部366と、燃料インジェクタ100の反対側の端部の端壁328と一体に形成された第2の端部368とを有する。フレーム304を横切って端壁328の間をおおむね直線的に延びる各々の側壁燃料噴射体360は、導管継手332に流体連通する内部燃料プレナム370を定める。他の実施形態において、側壁燃料噴射体360は、対向して配置された端壁328の間に弓形(または、非直線)の形状を定めてもよい。
【0055】
各々の側壁燃料噴射体360は、内部プレナム370を定め、かつフレーム304の端壁328の間を延びる中空構造を形成する複数の表面を有する。長手軸LINJに対する垂直から得た断面において見たとき、(本実施形態における)側壁燃料噴射体360は、一般に、湾曲した前縁362と、反対側に位置する後縁364と、前縁362から後縁364まで延びる1対の対向する表面366、368とを各々が備える逆涙滴形状を有する。燃料噴射体360は、前縁362がフランジ302から遠く、後縁364がフランジ302の近くに位置するように向けられている。
【0056】
燃料噴射体340に面する表面366は、複数の燃料噴射ポート374を含む燃料噴射面を定める。燃料噴射ポート374は、内部プレナム370と流路352との間の流体連通をもたらす。燃料噴射ポート374は、例えば、本明細書に記載のとおりの側壁燃料噴射体360の機能を可能にするために適した任意のやり方(例えば、一様または非一様な間隔のポート374の1つ以上の列)にて、燃料噴射面366の長さに沿って間隔を空けつつ配置される。フランジ302に近い方の表面348は、燃料噴射ポートを有さない中実な表面を定める。
【0057】
さらに、
図3および
図4に示されるように、フレーム304の側壁燃料噴射体360の各々は、フランジ302に対して第1の角度380に向けられ、噴射軸312に対して第2の角度382に向けられている。図示の典型的な実施形態において、第1の角度380および第2の角度382は、互いに相補的である(すなわち、合計が90度である)。第1の角度380は、フランジ302(または、いくつかの場合においてはフランジに平行な仮想の線)と、側壁燃料噴射体360の前縁362および後縁364を通って定められる長手軸375との間に定められる。第2の角度382は、側壁燃料噴射体360の長手軸375と燃料インジェクタ100の噴射軸312との間に定められる。
【0058】
とりわけ、燃料インジェクタ100は、適切な数の流路352を定める任意の適切な向きでフレーム304を横切って延びる2つ以上の燃料噴射体340を有することができる。例えば、
図5および
図6に示される実施形態において、燃料インジェクタ400は、間隔を空けて位置する3つの流路352がフレーム304内に定められるように、上述の1対の側壁燃料噴射体360の間に配置された1対の隣接する燃料噴射体340a、340bを含む。一実施形態において、流路352は、燃料噴射体340が噴射軸312に対して同じ角度(すなわち、角度390)に向けられ、側壁燃料噴射体360が噴射軸312に対して同じ角度(すなわち、角度382)に向けられる結果として、等間隔である。角度390は、燃料噴射体340aまたは340bの前縁342および後縁344を通って延びる長手軸345と、燃料インジェクタ312の噴射軸312との間に定められる。
【0059】
各々の燃料噴射体340a、340bは、上述したように、複数の燃料噴射ポート354を少なくとも1つの燃料噴射面346または348に含み、燃料噴射ポート354は、各々の燃料噴射体340a、340b内に定められたそれぞれのプレナム350a、350bに流体連通する。次いで、プレナム350a、350bは、燃料供給ライン104から燃料を受け取る導管継手332に流体連通する。側燃料噴射体360は、上述のとおりに構成される。
【0060】
ここで、
図3~
図6に示した単一または2連の両方の噴射体の実施形態を参照すると、燃焼缶24の特定の動作において、圧縮されたガスがフレーム340へと流入し、流路352を通って流れる。同時に、燃料が、燃料供給ライン104および導管継手332を通って1つ以上の燃料噴射体340(または、340a、340b)の内部プレナム350(または、350a、350b)へと運ばれる。燃料は、プレナム350から各々の燃料噴射体340の燃料噴射面346および/または348の燃料噴射ポート354を通って流路352に進入し、流路352において圧縮された空気と混ざり合う。燃料噴射ポート354は、噴射面346または348に対して垂直であってよく、あるいは燃料噴射ポート354は、燃料噴射面346、348に対して傾斜していてもよい。燃料および圧縮された空気は、出口部材310を通って(
図2に示されているとおりの)二次燃焼ゾーン60へと噴射される第2の燃料/空気混合物56を形成する。
【0061】
図7および
図8は、燃料インジェクタにおける側壁燃料噴射体(すなわち、360)の代替の構成を説明する。
図7に示されるように、燃料インジェクタ500は、円形の断面形状を有する1対の側壁燃料噴射体460を含む。側壁燃料噴射体460は、それぞれの燃料プレナム470を定める。1つ以上の燃料噴射ポート474が、側壁燃料噴射体460を貫いて定められ、燃料が燃料噴射ポート374を通って流路352へと噴射される。上述したように、燃料は、燃料噴射ポート354を介して燃料噴射体340によって定められた燃料プレナム350からも噴射される。
【0062】
図8は、三角形断面形状を有する1対の側壁燃料噴射体560を含む燃料インジェクタ600を示している。側壁燃料噴射体560は、それぞれの燃料プレナム570を定める。1つ以上の燃料噴射ポート574が、側壁燃料噴射体560を貫いて定められ、燃料が燃料噴射ポート574を通って流路352へと噴射される。上述したように、燃料は、燃料噴射ポート354を介して燃料噴射体340によって定められた燃料プレナム350からも噴射される。
【0063】
図7および
図8は、側壁燃料噴射体460、560の間に配置された単一の燃料噴射体340を有する構成を示しているが、これに代え、2つ以上の燃料噴射体340を用いてもよいことを理解されたい。
【0064】
本明細書に記載の本燃料インジェクタは、燃焼器における燃料および圧縮されたガスのより良好な混合を促進し、排出物を減少させる。したがって、本燃料インジェクタおよびAFSシステムは、例えば、ガスタービンアセンブリの燃焼器などの燃焼器の全体的な動作効率の向上を促進する。これは、出力を増加させ、例えばガスタービンアセンブリの燃焼器などの燃焼器の動作に関連するコストを低減する。
【0065】
燃料インジェクタの典型的な実施形態およびその使用の方法について、詳細に上述した。本明細書に記載の方法およびシステムは、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、方法およびシステムの構成要素は、本明細書に記載の他の構成要素から独立かつ別々に利用することが可能である。例えば、本明細書に記載の方法およびシステムは、本明細書に記載のタービンアセンブリにおける実施に限定されない他の用途を有することができる。むしろ、本明細書に記載の方法およびシステムは、さまざまな他の産業に関連して実施および利用することが可能である。
【0066】
本技術的前進を種々の具体的な実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本技術的前進を特許請求の範囲の技術的思想および技術的範囲の範疇において修正を加えて実施できることを、理解できるであろう。
【符号の説明】
【0067】
12 入口部
14 作動流体
16 圧縮機
18 空気
18 空気流
18 圧縮された作動流体
20 気体燃料
21 液体燃料
24 燃焼器
24 燃焼缶
26 燃焼ガス
26 高温ガス
28 タービン部
28 タービン
30 シャフト
32 発電機
34 排気ガス
42 ライナ
44 外側スリーブ
46 一次燃料/空気混合物
50 一次燃焼ゾーン
56 第2の燃料/空気混合物
56 二次燃料/空気混合物
60 二次燃焼ゾーン
70 (燃焼器の)中心線
70 (燃料缶の)長手軸
75 (燃料インジェクタの)長手軸
100 AFSインジェクタ
100 燃料インジェクタ
104 燃料供給ライン
118 (燃焼器の)後端
120 (燃焼器の)前端部分
122 燃料ノズル
124 燃料入口
126 端部カバー
128 燃焼器キャップ
130 前方ケーシング
132 環状部
140 圧縮機吐出ケース
142 加圧空気プレナム
154 燃料入口
200 軸方向燃料多段化(AFS)システム
302 取り付けフランジ
302 出口
304 フレーム
306 開口
310 出口部材
310 出口
312 噴射軸
312 出口部材
318 (フレームの)第1の端部(近位端)
320 (フレームの)第2の端部(遠位端)
322 (出口部材の)第1の端部
324 (出口部材の)第2の端部
328 端壁
332 導管継手
336 (燃料噴射体の)第1の端部
338 (燃料噴射体の)第2の端部
340 フレーム
340 燃料噴射体
340a 燃料噴射体
340b 燃料噴射体
342 (燃料噴射体の)前縁
344 (燃料噴射体の)後縁
345 (燃料噴射体の)長手軸
346 (燃料噴射体の)燃料噴射面
348 (燃料噴射体の)燃料噴射面
350 (燃料噴射体の)燃料プレナム
350a (燃料噴射体の)燃料プレナム
350b (燃料噴射体の)燃料プレナム
352 流路
354 (燃料噴射体の)燃料噴射ポート
360 側壁燃料噴射体
362 (側壁燃料噴射体の)前縁
364 (側壁燃料噴射体の)後縁
366 (側壁燃料噴射体の)第1の端部
366 (側壁燃料噴射体の)燃料噴射面
368 (側壁燃料噴射体の)第2の端部
368 (側壁燃料噴射体の)中実な表面
370 (側壁燃料噴射体の)燃料プレナム
374 (側壁燃料噴射体の)燃料噴射ポート
375 (側壁燃料噴射体の)長手軸
380 第1の角度
382 第2の角度
390 角度
400 燃料インジェクタ
460 側壁燃料噴射体
470 (側壁燃料噴射体の)燃料プレナム
474 (側壁燃料噴射体の)燃料噴射ポート
500 燃料インジェクタ
560 側壁燃料噴射体
570 (側壁燃料噴射体の)燃料プレナム
574 (側壁燃料噴射体の)燃料噴射ポート
600 燃料インジェクタ
1000 ガスタービン