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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物の検出警告方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/14 20060101AFI20230619BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
G08B21/14
G01N27/12 A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018230373
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2019114247
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】106145550
(32)【優先日】2017-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】薛達偉
(72)【発明者】
【氏名】林景松
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】蔡長諺
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】TW M553418(TW,U)
【文献】特開2008-083778(JP,A)
【文献】実開平05-045441(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076530(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0377099(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F1/00-1/30
1/34-1/54
3/00-9/02
G01L7/00-23/32
27/00-27/02
G01M3/00-3/40
G01N27/00-27/24
G08B17/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性有機化合物の検出警告方法であって、
(a) 作動センサーモジュールを提供し、前記作動センサーモジュールがガスセンサー及びガス輸送作動器を含むステップと、
(b) 気体の輸送及び観測を実施し、前記ガス輸送作動器により一定輸出量のガスを排気通路から前記ガスセンサー方向へ噴出して輸送し、前記ガスセンサーが作業観測時間ごとに観測した揮発性有機化合物の数値を観測数値とするステップと、
(c) 観測数値を計算して累積比較数値を取得し、前記ガスセンサーが単位時間内に観測した全ての前記観測数値を累積計算することにより、前記累積比較数値を取得するステップと、
(d) 比較判断及び警告し、前記累積比較数値と人間の健康に影響を与える有害代謝量とを比較することにより判断し、前記累積比較数値が前記有害代謝量より高い場合、前記作動センサーモジュールが通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供するステップと、
を含むことを特徴とする揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項2】
前記ガスセンサーが作業観測時間ごとに観測した前記揮発性有機化合物の前記観測数値が前記有害代謝量より高いと、前記作動センサーモジュールが通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項3】
前記ガス輸送作動器が輸送する前記一定輸出量は、1L~14L/minのガス輸送量である、ことを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項4】
前記作動センサーモジュールはマイクロプロセッサ及び通信伝送器をさらに含み、前記マイクロプロセッサは、前記ガスセンサーが観測した前記観測数値の情報に対して、演算処理を行い、ガス輸送作動器の動作を制御し、前記通信伝送器は、前記マイクロプロセッサが処理して変換した出力データを連結装置に送信することで、前記連結装置が前記出力データの情報を表示、保存及び伝送する、ことを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項5】
前記連結装置は通知警告の保護対策を実施することに使用される、ことを特徴とする請求項4に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項6】
前記連結装置は有線伝送モジュールを有する表示装置であり、通知警告の保護対策を表示するために使用され、前記有線伝送モジュールはUSB、mini-USB、micro-USBのうちの少なくとも一つの有線接続方式を使用する、ことを特徴とする請求項4に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項7】
前記連結装置は無線伝送モジュールを有する表示装置であり、通知警告の保護対策を表示するために使用され、前記無線伝送モジュールはWi-Fiモジュール、ブルートゥースモジュール、無線周波数識別モジュール、近距離通信モジュールのうちの少なくとも一つの無線接続方式を使用する、ことを特徴とする請求項4に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項8】
前記連結装置は無線伝送モジュールを有する携帯可能なモバイル装置であり、表示、音、光、または振動のうちの少なくとも一つの方式により、通知警告の保護対策を表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項9】
前記ガス輸送作動器は、入気板、共振片、圧電アクチュエーターを含み、
前記入気板は、少なくとも一つの入気孔と、少なくとも一つの合流ガイド槽と、合流チャンバーを構成する中心凹部とを有し、前記少なくとも一つの入気孔が気流を導入するように用いられ、前記合流ガイド槽が前記入気孔に対応し、且つ、前記入気孔の気流を前記中心凹部が構成する前記合流チャンバーまで合流させるように誘導し、
前記共振片は、前記合流チャンバーに対応する中空孔を有し、前記中空孔の周囲が可動部材であり、
前記圧電アクチュエーターは前記共振片と対応するように設置され、懸吊板、外枠、少なくとも一つのブラケット、圧電性片を有し、
前記懸吊板は第1表面及び第2表面を有し、且つ曲げ振動可能であり、
前記外枠は前記懸吊板の外側を囲むように設置され、
前記少なくとも一つのブラケットは弾性支持を提供するように、前記懸吊板と前記外枠の間に接続して設けられ、
前記圧電性片は辺の長さを有し、前記辺の長さが前記懸吊板の辺の長さより短いか等しく、且つ前記圧電性片が前記懸吊板の前記第1表面に付着し、電圧印加により前記懸吊板を駆動して曲げ振動させ、
前記共振片と前記圧電アクチュエーターの間には間隙を有することでチャンバーを形成し、前記圧電アクチュエーターが駆動される際に、気流を前記入気板の前記少なくとも一つの入気孔を介して導入させ、前記少なくとも一つの合流ガイド槽を介して前記中心凹部まで合流させ,また前記共振片の前記中空孔を介して前記チャンバー内に入り、前記圧電アクチュエーター及び前記共振片の前記可動部材が共振を形成して気流を輸送する、ことを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物の検出警告方法。
【請求項10】
揮発性有機化合物の検出警告方法であって、
(a)少なくとも一つの作動センサーモジュールを提供し、前記作動センサーモジュールが少なくとも一つのガスセンサー及び少なくとも一つのガス輸送作動器を含むステップと、
(b)気体の輸送及び観測を実施し、前記ガス輸送作動器により少なくとも一つの一定輸出量のガスを排気通路から前記ガスセンサー方向へ噴出して輸送し、前記ガスセンサーが作業観測時間ごとに観測した少なくとも一つの揮発性有機化合物の数値を少なくとも一つの観測数値とするステップと、
(c)観測数値を計算して少なくとも一つの累積比較数値を取得し、前記ガスセンサーが少なくとも一つの単位時間内に観測した全ての前記観測数値を累積計算することにより、前記累積比較数値を取得するステップと、
(d) 比較判断及び警告し、前記累積比較数値と人間の健康に影響を与える少なくとも一つの有害代謝量とを比較することにより判断し、前記累積比較数値が前記有害代謝量より高い場合、前記作動センサーモジュールが少なくとも一つの通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供するステップと、
を含むことを特徴とする揮発性有機化合物の検出警告方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物の検出警告方法に関し、特に作動センサーモジュールを用いてガスを導入して観測する揮発性有機化合物の検出警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染の問題はますます深刻になっており、大気中の各種汚染物質による健康被害を回避する方法が、徐々に世間の注目となっている。一般的な大気汚染物質には揮発性有機化合物(VolatileOrganicCompounds、以下、VOCsに省略)が含まれており、常温ではガスとして存在し、強い揮発性を有し、例としては、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチレンベンゼン及びプロピレンベンゼン等がある。VOCsの由来は、燃料の燃焼と交通輸送により発生する排気ガス以外にも、建築および装飾材料(例えば、塗料、コーティング剤および接着剤)により室内の家庭環境に散らばり、長年にわたり人体に損傷を与える。室内のVOCsの濃度が一定の濃度を超えると、人々は短時間でも頭痛、吐き気、嘔吐、及び四肢の脱力感を感じられる。重症の場合、痙攣、昏睡、記憶喪失も生じる。VOCsは、肝臓、腎臓、脳、そして人間の神経系に害を及ぼし、また、多くの発がん物質を含んでいる。
【0003】
現有のVOCs検出技術は検出装置の体積が小さい状況であり、即座で精確な検出を行うためには、改善する余地が残っている。同時に、現在市場には環境中のVOCsが危険な程度になったことを検出して使用者に警告を出す携帯式装置がない。そのため、VOCsの検出精度が低くて即座に使用者に警告を出せない点が、業界が解決しようとする課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、揮発性有機化合物の検出警告方法を提供する。該方法は、作動センサーモジュールのガス輸送作動器を用い,空気中のガスを作動センサーモジュールのガスセンサーまで輸送し、ガスセンサーが単位時間内の作業観測時間ごとに観測したVOCsの観測数値を累積計算して累積比較数値を算出する。累積比較数値が人間の健康に影響を与える有害代謝量より高いことを判断した際に、該作動センサーモジュールは通知警告を使用者に発信する。このように、気体の輸送ステップによりVOCs検出の精度を高めるだけではなく、環境中のVOCsが危険な程度になったことが検出されると使用者に警告を出す。これにより、従来技術のVOCs検出精度が高くない、また、早速使用者に警告を出せない問題を解決できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一般的な実施形態において、揮発性有機化合物の検出警告方法は、以下のようなステップを含む。作動センサーモジュールを提供し、該作動センサーモジュールはガスセンサー及びガス輸送作動器を含むステップと、気体の輸送及び観測を実施し、該ガス輸送作動器により一定輸出量のガスを該ガスセンサーまで輸送し、該ガスセンサーは、作業観測時間ごとに観測した揮発性有機化合物の数値を観測数値とするステップと、観測数値を計算して累積比較数値を取得し、該ガスセンサーが単位時間内に観測した全ての該観測数値を累積計算することにより、該累積比較数値を取得するステップと、比較判断及び警告し、該累積比較数値と人間の健康に影響を与える有害代謝量とを比較することにより判断し、該累積比較数値が該有害代謝量より高い場合、該作動センサーモジュールが通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供するステップと、を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の一つの好ましい実施形態において、ガス輸送作動器が輸送するガスの平均量は1L~14L/minのガス輸送量である。該ガスセンサーが該作業観測時間ごとに観測したVOCSの観測数値が人間の健康に影響を与える有害代謝量より高いと判断されると、該作動センサーモジュールが通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供する。なお、前述した有害代謝量は、該作業観測時間内に人間が該揮発性有機化合物を吸い込んで耐えられる安全暴露量の上限値である。
【0007】
本発明の好ましい実施形態において、該作動センサーモジュールはマイクロプロセッサ及び通信伝送器を含み、そして、マイクロプロセッサは、ガスセンサーが観測した観測数値の情報に対して、演算処理を行い、ガス輸送作動器の動作を制御する。通信伝送器は、マイクロプロセッサが処理して変換した出力データを連結装置に送信することで、該連結装置が出力データの情報を表示、保存及び伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一つの好ましい実施形態における揮発性有機化合物の検出警告方法のステップを示す図である。
図2】本発明の好ましい実施形態における作動センサーモジュールのブロック図である。
図3】本発明の好ましい実施形態におけるガスセンサーが単位時間内に観測した結果を示す図である。
図4】本発明の好ましい実施形態における作動センサーモジュールの外観構造を示す図である。
図5図4が示す作動センサーモジュールの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の特徴及び利点を具体化する実施形態を詳細に説明する。本発明は、様々な態様において様々な変更が可能であり、いずれも本発明の範囲から逸脱せず、且つそのうちの説明および図面は本質上に説明するために用いられ、限定として解釈されるものではないことを理解されたい。
【0010】
図1及び図2に示すように、本発明は揮発性有機化合物の検出警告方法を提供する。揮発性有機化合物の検出警告方法は、少なくとも一つの作動センサーモジュール1、少なくとも一つのガスセンサー12、少なくとも一つのガス輸送作動器11、少なくとも一つの一定輸出量のガス、少なくとも一つの揮発性有機化合物の数値、少なくとも一つの観測数値、少なくとも一つの累積比較数値、少なくとも一つの単位時間、少なくとも一つの有害代謝量、少なくとも一つの通知警告を含み、以下の実施形態における作動センサーモジュール1、ガスセンサー12、ガス輸送作動器11、一定輸出量のガス、揮発性有機化合物の数値、観測数値、累積比較数値、単位時間、有害代謝量、通知警告は一つにして例として説明しているが、これに限定されない。作動センサーモジュール1、ガスセンサー12、ガス輸送作動器11、一定輸出量のガス、揮発性有機化合物の数値、観測数値、累積比較数値、単位時間、有害代謝量、通知警告は複数の組み合わせでも良い。
【0011】
図1及び図2を参照されたい。図1は、本発明の一つ好ましい実施形態における揮発性有機化合物の検出警告方法のステップを示す図である。図2は、本発明の好ましい実施形態における作動センサーモジュールのブロック図である。まず、ステップS102において、本発明におけるVOCsの検出警告方法は、作動センサーモジュール1を提供する。図2に示すように、作動センサーモジュール1はガス輸送作動器11及びガスセンサー12を含み、本実施形態においては、マイクロプロセッサ13と通信伝送器14をさらに含むが、これに限定されない。そして、ガス輸送作動器11の作動により圧力勾配が形成され、ガスを一定方向に流動させる。ガス輸送作動器11のハードウェア構造は後ほど詳細に説明する。ガスセンサー12は、VOCsの検出に用いられる。マイクロプロセッサ13は、ガスセンサー12が観測した数値の情報に対して、演算処理を行い、ガス輸送作動器11の動作を制御する。通信伝送器14は、マイクロプロセッサ13が処理して変換した出力データを連結装置200に送信することで、該連結装置200が出力データの情報を表示、保存及び伝送することができる。
【0012】
本発明の一つの実施形態において、前述した連結装置200は、具体的に有線伝送モジュール又は無線伝送モジュールを有する表示装置又は携帯可能なモバイル装置であり、表示、音、光、又は振動の中の少なくとも一つの方式により通知警告の保護対策を提供する。通信伝送器14は有線伝送モジュールでもよく、無線伝送モジュールでも良い。有線伝送モジュールは、例えば、USB、mini-USB、micro-USBなどの中の少なくとも一つの有線伝送方式であり、無線伝送モジュールは、例えば、Wi-Fiモジュール、ブルートゥースモジュール、無線周波数識別モジュール、近距離通信モジュールなどの中の少なくとも一つの無線伝送方式である。しかし、連結装置200及び通信伝送器14の実施形態は、実際の要求により変更可能であり、これらの例に限定されない。
【0013】
図1を参照されたい。ステップS104において、VOCsの検出警告方法は、作動センサーモジュール1を用いて気体の輸送及び観測を実施する。この際、作動センサーモジュール1のガス輸送作動器11は一定輸出量のガスをガスセンサー12まで輸送し、ガスセンサー12にて該ガスを検出する。なお、該ガス輸送作動器11が輸送する該一定輸出量は1L~14L/minのガス輸送量であるが、これに限定されない。該ガス輸送作動器11が該一定輸出量のガスをガスセンサー12まで輸送した後、ガスセンサー12は、作業観測時間ごとに観測したVOCs数値を検出解析に用いる観測数値とする。ここで、作業観測時間は秒単位で計算し、例えば、5秒ごとを一つの作業観測時間とする。
【0014】
本実施形態中のステップS106において、観測数値の計算を実施して累積比較数値を得る。該ガス輸送作動器11が該一定輸出量のガスをガスセンサー12まで輸送した後、一つの単位時間内に観測した全ての該観測数値に対して累積計算を行い、得られた該累積比較数値を判断基準とする。
【0015】
続いて、ステップS108において、比較判断及び警告を実施する。具体的に、該累積比較数値と人間の健康に影響を与える有害代謝量とを比較し、その判断結果で該累積比較数値が該有害代謝量より高いと、該作動センサーモジュール1が通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供する。より具体的には、該累積比較数値は、ガスセンサー12が該単位時間内の作業観測時間ごとに観測したVOCsの観測数値の合計である。このステップにおいて、主に、マイクロプロセッサ13により該累積比較数値と有害代謝量とを比較する。前述した有害代謝量は、該単位時間内に人間が該揮発性有機化合物を吸い込んで耐えられる安全暴露量の上限値である。
【0016】
図3は、本発明の好ましい実施形態におけるガスセンサーが単位時間内に観測した結果を示す図である。前述の通り、ガスセンサー12が該作業観測時間tごとに該VOCs数値を観測した後、マイクロプロセッサ13が該VOCsの観測数値を受信し、該観測数値が有害代謝量より高いか否かを判断する。該観測数値が該有害代謝量より高いと、マイクロプロセッサ13が作動センサーモジュール1を制御して通知警告を発信する。図に示すように,ガスセンサー12が複数の作業観測時間tにそれぞれ検出した観測数値A~D及びF~Iは、全て該有害代謝量より高くなかった。この際、マイクロプロセッサ13は、作動センサーモジュール1を制御して通知警告を発信しない。一方、ガスセンサー12がそのうちの一つの作業観測時間tに検出した観測数値Eにおいて、マイクロプロセッサ13により判断した結果、該観測数値Eが有害代謝量より高いと、マイクロプロセッサ13が作動センサーモジュール1を制御して通知警告を発信する。このように、環境中のVOCs濃度が既に安全暴露量の上限値を超えたことを、即座に使用者に警告できる。
【0017】
同時に、マイクロプロセッサ13は、ガスセンサー12が一つの単位時間内の作業観測時間tごとに観測したVOCsの観測数値を累積計算して累積比較数値を算出する。図3に示すように、該均等の作業観測時間tを累積して一つの単位時間にし、ガスセンサー12が各作業観測時間tに検出した観測数値A、B、C...Iの合計を該累積比較数値とする。該単位時間は、一時間、一ヶ月又は一年でも良く、それぞれ人間の健康に影響を与える第一有害代謝量、第二有害代謝量及び第三有害代謝量に対応する。前述した第一有害代謝量、第二有害代謝量及び第三有害代謝量は、それぞれ人間が一時間、一ヶ月又は一年内に該揮発性有機化合物を吸い込んで耐えられる安全暴露量の上限値である。マイクロプロセッサ13が一時間内の作業観測時間tごとに観測したVOCsの観測数値を合計して第一累積比較数値とし、前述した第一有害代謝量と比較及び判断する。第一累積比較数値が該第一有害代謝量より高いと判断すると、作動センサーモジュール1を制御して通知警告を発信する。同様に、マイクロプロセッサ13が、一ヶ月内の作業観測時間tごとに観測したVOCsの観測数値を合計して第二累積比較数値とし、一年内の全ての作業観測時間tに観測したVOCSの観測数値を合計して第三累積比較数値とする。マイクロプロセッサ13は、第二累積比較数値及び第三累積比較数値を、該第二有害代謝量及び該第三有害代謝量とそれぞれ比較及び判断する。第二累積比較数値が該第二有害代謝量より高いと判断すると、または、第三累積比較数値が該第三有害代謝量より高いと判断すると、作動センサーモジュール1を制御して通知警告を発信する。これにより、各時間段階でその累積VOCs暴露量が安全暴露量の上限値に達したことを使用者に警告し、使用者に保護対策を提供する。
【0018】
図4及び図5を参照されたい。図4は、本発明の好ましい実施形態における作動センサーモジュールの外観構造を示す図であり、図5は、図4が示す作動センサーモジュールの動作を示す図である。作動センサーモジュール1のガス輸送作動器11、ガスセンサー12、マイクロプロセッサ13及び通信伝送器14は、基座300に設けられる。なお、ガス輸送作動器11の構造は、入気板111、共振片112及び圧電アクチュエーター113を含む。入気板111は、中心凹部1111、少なくとも一つの合流ガイド槽1112及び少なくとも一つの入気孔1113を有する。なお、中心凹部1111は、合流チャンバーAを構成し、該入気孔1113が気流を導入した後、気流は該入気孔1113に対応する合流ガイド槽1112を経由して合流チャンバーAまで導入される。共振片112は、合流チャンバーAに対応する中空孔1121有し、中空孔1121の周囲は可動部材1122である。
【0019】
前述した圧電アクチュエーター113と共振片112は対応するように設置され、懸吊板1131、外枠1132、少なくとも一つのブラケット1133及び圧電性片1134からなる。懸吊板1131は、第1表面1131a及び第2表面1131bを有し、曲げ振動できる。外枠1132は、懸吊板1131の外側を囲むように設置される。ブラケット1133は、懸吊板1131と外枠1132の間に接続され、弾性支持を提供する。圧電性片1134は、辺の長さが懸吊板1131の辺の長さより小さい又は同じであり、懸吊板1131の第1表面1131aに付着し、電圧を印加されることで懸吊板1131を駆動して曲げ振動させる。共振片112と圧電アクチュエーター113の間には、間隙を有することでチャンバーBを形成する。
【0020】
前述したガス輸送作動器11の動作方式は、圧電アクチュエーター113を駆動することにより圧電性片1134を変形させ、ブラケット1133を支点として懸吊板1131を連動して往復振動させる。圧電アクチュエーター113及び共振片112の可動部1122は、共振を生じるため、チャンバーB内で圧力勾配を形成し、外部空気を吸引して入気板111の入気孔1113を経由して導入することにより気流を形成する。該気流は合流ガイド槽1112を介して中心凹部1111の合流チャンバーAに合流し、また共振片112の中空孔1121を介してチャンバーB内に入る。気流はブラケット1133の間に形成された隙間を介してさらに下方向へ流動して圧電アクチュエーター113と基座300の間まで入り、排気通路114からガスセンサー12方向へ噴出される。また、このガス輸送作動器11が送るガス量は一定輸出量であるため、ガスセンサー12が外部空気と一致するガスを観測することができ、検出結果の即時性及び精確性を高める。
【0021】
以上より、本発明における揮発性有機化合物の検出警告方法は、作動センサーモジュールのガス輸送作動器を用いて、一定輸出量のガスをガスセンサーまで輸送して観測することにより、検出精度を高める。ガスセンサーが作業観測時間ごとに得たVOCsの観測数値が有害代謝量より高いことが判断されると、作動センサーモジュールが通知警告を発信し、環境中のVOCs濃度が高すぎることを使用者に警告する。同時に、ガスセンサーが設定の単位時間内の全ての作業観測時間に得たVOCsの観測数値を累積計算して累積比較数値を算出する。累積比較数値が有害代謝量より高いことを判断した際に、作動センサーモジュールは通知警告を発信し、使用者に保護対策を提供する。これにより、使用者がVOCsを有する環境中に暴露され、累積損傷を受けることを防止する。
【0022】
本発明は当業者によって、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内での変更は可能である。
【符号の説明】
【0023】
S102-S108 :揮発性有機化合物の検出警告方法のステップ
200:連結装置
300:基座
1:作動センサーモジュール
11:ガス輸送作動器
111:入気板
1111:中心凹部
1112:合流ガイド槽
1113:入気孔
112:共振片
1121:中空孔
1122:可動部材
113:圧電アクチュエーター
1131:懸吊板
1131a:第1表面
1131b:第2表面
1132:外枠
1133:ブラケット
1134:圧電性片
114:排気通路
12:ガスセンサー
13:マイクロプロセッサ
14:通信伝送器
A:合流チャンバー
B:チャンバー
図1
図2
図3
図4
図5