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特許7297437コンクリート表面のレベル検査用装置、コンクリート表面のレベル検査システム、コンクリート施工方法およびコンクリートの厚み判定方法
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  • 特許-コンクリート表面のレベル検査用装置、コンクリート表面のレベル検査システム、コンクリート施工方法およびコンクリートの厚み判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】コンクリート表面のレベル検査用装置、コンクリート表面のレベル検査システム、コンクリート施工方法およびコンクリートの厚み判定方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20230619BHJP
   G01C 5/00 20060101ALI20230619BHJP
   E04G 21/10 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
G01C5/00 L
E04G21/10 Z ESW
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018237065
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020097869
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 康宏
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-229302(JP,A)
【文献】実開昭62-088034(JP,U)
【文献】特開2018-087446(JP,A)
【文献】特開2018-009394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02
E04G 21/10
E01D 19/12
G01C 5/00、15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの表面に接触して置かれる接触部材と、上記コンクリート表面のレベル測定に用いられる一方側測定体と、上記接触部材および上記一方側測定体を少なくとも水平方向に移動させる移動手段と、を備えており、
上記一方側測定体は、上記移動手段に固定された固定側部と、上記接触部材の上下変位量を検知する変位側部と、を備えており、
上記固定側部による測定値に上記変位側部により検知された上記接触部材の上下変位量を加味してレベル測定することを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置において、上記接触部材は、上記コンクリートの表面に液状体が存在しても当該液状体に対しては沈んで上記コンクリートの表面に接触することを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置において、上記移動手段が駆動部を備えて上記コンクリートの表面を自走する走行装置であることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置において、上記移動手段は、上記コンクリートの表面を移動する走行装置と、上記走行装置に連結された連結操作部材とを備え、上記連結操作部材の操作によって上記走行装置が移動されることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置において、上記移動手段が飛行装置であることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項6】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置において、上記接触部材は、未硬化のコンクリートの表面に沈むことなく接触可能であることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査用装置。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート表面のレベル検査用装置と、上記コンクリートの表面のレベル測定に用いられる他方側測定体と、を備えることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査システム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンクリート表面のレベル検査システムにおいて、上記コンクリート表面のレベル検査用装置による上記一方側測定体と上記他方側測定体とによる上記コンクリートの表面のレベル測定結果を、上記コンクリートの表面のレベル測定の位置に対応付けて記憶する情報処理装置を備えることを特徴とするコンクリート表面のレベル検査システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のコンクリート表面のレベル検査システムにおいて、上記コンクリートの表面のレベル測定結果が許容レベルから外れる場合にアラートを出力することを特徴とするコンクリート表面のレベル検査システム。
【請求項10】
請求項7~請求項9のいずれか1項に記載のコンクリート表面のレベル検査システムを用いるコンクリート施工方法であって、コンクリートの補修が可能な状況でコンクリートの表面のレベルを測定し、測定されたレベルが許容値から外れた箇所についてコンクリートの補修をすることを特徴とするコンクリート施工方法。
【請求項11】
コンクリート打設前の下地レベルを測定する工程と、
コンクリートの表面に接触して置かれる接触部材と、上記コンクリート表面のレベル測定に用いられる一方側測定体と、上記接触部材および上記一方側測定体を少なくとも水平方向に移動させる移動手段と、を有するコンクリート表面のレベル検査用装置と、上記コンクリートの表面のレベル測定に用いられる他方側測定体と、を備えたコンクリート表面のレベル検査システムを用いて打設後のコンクリートの表面のレベルを測定する工程と、
上記下地レベルと打設後のコンクリートの表面のレベルとの差から、上記コンクリートの厚さを算出する工程と、
を含むことを特徴とするコンクリートの厚み判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンクリート表面のレベル検査用装置、コンクリート表面のレベル検査システム、コンクリート施工方法およびコンクリートの厚み判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の土間等のコンクリートの表面のレベル検査を行う場合、打設されたコンクリート上に測定者が標尺を持って入り込み、任意の箇所に標尺を立てる一方、定点となる場所にオートレベルを設置し、このオートレベルで上記標尺のメモリを読む作業が行われている。
【0003】
また、特許文献1には、レーザー測距機で、打設されたコンクリート床版の表面をスキャニングして計測データを計算機へ送信し、計算機がコンクリート床版の表面の設計値と計測値の変位を求め、ディスプレイに、変位値に応じて強調表示する装置が開示されており、このような装置を利用して建物の土間等のコンクリート表面のレベル検査を行うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-9394号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記オートレベルで上記標尺のメモリを読む作業では、未硬化のコンクリート上で作業者が移動するため、多くの時間がかかり、レベル測定の作業効率が低いという欠点がある。また、特許文献1の装置では、レベル測定に高額な装置が必要になり、施工コストが高くなる問題があった。また、レベル測定には測定者によるばらつきが生じ、高い精度でレベル測定が行えなかった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、コンクリートの表面のレベル測定の精度や作業効率を高めることができ、また、施工コストを低減できる、コンクリート表面のレベル検査用装置、コンクリート表面のレベル検査システム、コンクリート施工方法およびコンクリートの厚み判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のコンクリート表面のレベル検査用装置は、上記の課題を解決するために、コンクリートの表面に接触して置かれる接触部材と、上記コンクリート表面のレベル測定に用いられる一方側測定体と、上記接触部材および上記一方側測定体を少なくとも水平方向に移動させる移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記接触部材はコンクリートの表面に接触して置くことができ、上記移動手段で人を頼らずに上記接触部材および上記一方側測定体を水平方向に移動させることができるので、コンクリートの表面のレベル測定の精度や作業効率を高めることができる。また、特段、高額な装置を用いる必要がないので、施工コストの低減も図ることができる。
【0009】
上記接触部材は、上記コンクリートの表面に液状体が存在しても当該液状体に対しては沈んで上記コンクリートの表面に接触してもよい。一般に、コンクリートの表面に液状体(ブリーディング水、ノロ)が出た後の方が、硬化後のコンクリートのレベルに近いレベルを測定できる。したがって、上記接触部材であれば、硬化後のコンクリートのレベルに近いレベルを測定することが可能となる。また、液状体として雨水等が存在しても、レベル測定が可能となる。
【0010】
上記一方側測定体は、上記移動手段に固定された固定側部と、上記接触部材の上下変位量を検知する変位側部と、を備えてもよい。これによれば、上記固定側部による測定値に上記変位側部により検知された上記接触部材の上下変位量を加味することで、レベルを測定することができる。
【0011】
上記一方側測定体と上記接触部材とが一体化されて同体で上下移動するように設けられていてもよい。これによれば、固定側部と変位側部とに分ける必要がないので、構造を簡素化できる。また、上記変位側部を用いる場合のような加算処理は不要で、上記一方側測定体による測定値がそのまま計測レベル値となる。
【0012】
上記一方側測定体と上記接触部材とが同体で上下移動する構成において、上記接触部材を上記移動手段によってけん引し、上記接触部材を上記コンクリートの表面上で滑らせるようにしてもよい。これによれば、上記接触部材を上記コンクリートの表面から離間させるための機構を不要にしてレベル検査用装置の低コスト化を図ることができる。
【0013】
上記移動手段は、駆動部を備えて上記コンクリートの表面を自走する走行装置であってもよい。
【0014】
上記移動手段は、上記コンクリートの表面を移動する走行装置と、上記走行装置に連結された連結操作部材とを備え、上記連結操作部材の操作によって上記走行装置が移動されてもよい。
【0015】
上記移動手段は、飛行装置であってもよい。
【0016】
或いは、上記移動手段が飛行装置であり、この飛行装置の脚部が上記接触部材を兼ねてもよい。
【0017】
上記接触部材は、未硬化のコンクリートの表面に沈むことなく接触可能であってもよい。これによれば、上記移動手段が上記未硬化のコンクリートの表面上で沈み込んだとしても、レベル測定誤差の発生を抑制できる。そして、未硬化のコンクリート上に作業者が入り込むことなく、上記移動手段によって任意の場所に上記の一方側測定体を位置させてコンクリート表面のレベル測定を行うことができるので、レベル測定の作業効率を高めることができる。
【0018】
また、この発明のコンクリート表面のレベル検査システムは、上記のコンクリート表面のレベル検査用装置と、上記コンクリートの表面のレベル測定に用いられる他方側測定体と、を備えることを特徴とする。例えば、上記レベル検査用装置の一方側測定体を標尺とし、上記他方側測定体をオートレベルとすることができる。或いは、レベル検査用装置の一方側測定体として回転レーザー装置を取り付け、上記他方側測定体として上記標尺および上記回転レーザーからの光を受ける受光器が設けられてもよい。
【0019】
上記のレベル検査システムにおいて、上記コンクリート表面のレベル検査用装置による上記一方側測定体と上記他方側測定体とによる上記コンクリートの表面のレベル測定結果を、上記コンクリートの表面のレベル測定の位置に対応付けて記憶する情報処理装置を備えてもよい。これによれば、各レベル測定位置におけるレベル測定結果を提示することができる。
【0020】
上記コンクリートの表面のレベル測定結果が許容レベルから外れる場合にアラートを出力するようにしてもよい。これによれば、レベル測定結果が許容レベルから外れたことに確実に気付かせることができる。
【0021】
また、この発明のコンクリート施工方法は、上記のレベル検査システムを用い、コンクリートの補修が可能な状況で未硬化のコンクリートの表面のレベルを測定し、測定されたレベルが許容値から外れた箇所についてコンクリートの補修をすることを特徴とする。かかる施工方法によれば、測定されたレベルが許容値から外れた箇所についてコンクリートの補修をするので、コンクリート硬化後の施工のやり直しといった事態を回避できる。
【0022】
また、この発明のコンクリートの厚み判定方法は、コンクリート打設前の下地レベルを測定する工程と、上記いずれかのコンクリート表面のレベル検査システムを用いて打設後のコンクリートの表面のレベルを測定する工程と、上記下地レベルと打設後の上記コンクリートの表面のレベルとの差から、上記コンクリートの厚さを算出する工程と、を含むことを特徴とする。かかる判定方法によれば、上記コンクリートの厚さを算出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明であれば、コンクリートの表面のレベル測定の精度および作業効率を高めるとともに、コンクリートの施工コストを低減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態のコンクリート表面のレベル検査システムの概要を示した説明図である。
図2図1のレベル検査システムで用いられるレベル検査システムで使用されるコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図3】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図4】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図5】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図6】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図7】実施形態のレベル検査用装置の走行タイヤの概略構成を示した説明図である。
図8】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図9】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置およびレベル検査システムを示した説明図である。
図10】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図11】他の実施形態のコンクリート表面のレベル検査用装置を示した説明図である。
図12】本発明の実施形態のコンクリート表面のレベル検査システムの概要を示した説明図である。
図13図12のレベル検査システムにおける情報処理装置の具体例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、この実施形態のコンクリート表面のレベル検査システムで用いられるレベル検査用装置1は、打設されて未だ硬化していないコンクリート100の表面で沈むことなく当該未硬化のコンクリート100の表面に接触して置かれる接触部材2と、上記接触部材2を少なくとも水平方向に移動させる移動装置(移動手段)3と、上記接触部材2の水平移動に伴って水平移動し、上記未硬化のコンクリート100の表面のレベル測定に用いられる一方側測定体4と、を備える。上記接触部材2としては、周囲側ほど上記未硬化のコンクリート100の表面から離間する丸皿形状のものを用いることができる。
【0026】
そして、このコンクリート表面のレベル検査システムにおいては、コンクリート100が打設されていない打設外箇所(砕石箇所、捨てコンクリート箇所等)101に、上記未硬化のコンクリート100の表面のレベル測定に用いられる他方側測定体5が設置される。また、このレベル検査システムでは、例えば、上記移動装置3として自走可能な走行装置301が用いられ、一方側測定体4として標尺が用いられ、他方側測定体5としてオートレベルが用いられる。上記走行装置301が未硬化のコンクリート100の表面を走行することで、一方側測定体4が水平方向に移動し、コンクリート100の表面上の任意の位置において、上記一方側測定体4の目盛りを他方側測定体5で読み取っていくことで、上記未硬化のコンクリート100の表面の各位置でのレベルを測定することができる。
【0027】
上記一方側測定体4は、上記移動装置3に固定された固定側部41と、上記接触部材2の上下変位を検知する変位側部42とを備える。上記変位側部42が検知した上下変位量は、この移動装置3が備える送信部によって送信される。上記固定側部41は上記標尺からなる。一方、上記変位側部42は、上記移動装置3の下面部に設けられた滑り受け31に上下移動可能に設けられた軸部32と、この軸部32に設けられたラック部に歯合するピニオン部33を備える。また、上記ラック部に歯合する図示しない別のピニオンまたは上記ピニオン部33には、上記ピニオンまたは上記ピニオン部33によって回転される図示しないポテンショメータが設けられる。そして、上記軸部32の下端部に、上記接触部材2が取り付けられている。上記ピニオン部33は、図示しないモーターによって回転される。上記モーターと上記ピニオン部33との間にトルクリミッターを設けておくことで、上記接触部材2が上記未硬化のコンクリート100の表面に接触して上記ピニオン部33に所定以上のトルクがかかると、上記ピニオン部33に対して上記モーターが空回りし、上記接触部材2が上記未硬化のコンクリートの表面から沈み込むのを回避できる。上記接触部材2の上記未硬化のコンクリート100への沈み込みを回避できることで、上記走行装置301の走行タイヤ301aの沈み込みが生じたとしても、上記未硬化のコンクリート100の表面のレベルを正確に計測できる。なお、上記モーターのオン・オフは、例えば、リモートコントローラーで操作することができる。また、タイマーによって、上記モーターのオンの一定時間後に自動オフすることもできる。
【0028】
上記ポテンショメータによる電圧値は、図2中の鉛直距離(上記接触部材2の下面から上記固定側部41の下端までの鉛直距離)Bを表したものとなる。また、上記他方側測定体5を用いることによって、視準線上の上記固定側部41の目盛りで示される計測値Aを知ることができ、この計測値Aに鉛直距離Bを加算した値が、その位置での未硬化のコンクリート100の表面のレベルとなる。このレベルの算定や記録等の処理については、後で詳述する。なお、上記変位側部42は、上記のようなポテンショメータを用いるような構成に限定されるものではない。
【0029】
上記接触部材2は、上記未硬化のコンクリート100の表面に液状体(ブリーディング水、ノロ、雨水等)100aが存在しても当該液状体100aに対しては沈んで上記未硬化のコンクリート100の表面に接触して置かれる。このような設定は、上記接触部材2が、仮に液状体100aに浮くような素材であっても、上記モーターと上記ピニオン部33との間のトルクリミッターの調整によって可能となる。なお、上記接触部材2には、上記液状体100aを通す孔部や網部が形成されていてもよい。
【0030】
上記未硬化のコンクリート100の表面に液状体100aが存在するときにレベルを検査すると、コンクリートの硬化時のレベルに近い値が得られる。未硬化のコンクリート100の表面のレベルを、例えば、レーザー測定器で計測する方法では、コンクリート100上に液状体(ブリーディング水、ノロ、雨水等)が存在すると測定精度が落ちてしまうが、本システムでは、このような問題は生じない。すなわち、上記接触部材2が上記液状体100aに対して沈んで直にコンクリート100の表面に一定圧力を維持しつつ接触するため、測定精度の向上が図れる。また、上記レーザー測定では、コンクリートの表面を点で測定することになり、測定値がばらついてしまうのに対し、上記接触部材2は、面でコンクリート100の表面に接触することができ、測定値がばらつくのを回避できる。
【0031】
また、上記走行装置301は、移動するとき(例えば、リモートコントローラーから走行指示を受信したとき)、上記接触部材2をコンクリート100の表面から離間させる。具体的には、上記モーターによって上記ピニオン部33を回転させ、上記軸部32を上昇させることで、上記接触部材2をコンクリート100の表面から離間させることができる。これにより、上記接触部材2とコンクリート100の表面との接触による抵抗を受けることなく、上記走行装置301を移動させることができる。
【0032】
上記のレベル検査用装置1であれば、上記のように、上記接触部材2は未硬化のコンクリート100の表面で沈むことなく当該コンクリート100の表面に接触して置かれるので、上記走行装置301自体の沈み込みによるレベル測定誤差の発生を抑制できる。そして、未硬化のコンクリート100上に作業者が入り込むことなく、上記走行装置301によって任意の場所に上記の一方側測定体4を位置させて未硬化のコンクリート100の表面のレベル測定を行うことができるので、このレベル測定の作業効率を高めることができる。また、特段、高額な装置を用いる必要がないので、施工コストの低減も図ることができる。
【0033】
なお、上記の例では、上記接触部材2は、上記未硬化のコンクリート100の表面に液状体100aが存在しても当該液状体100aに対しては沈んで上記コンクリート100の表面に接触して置かれることとしたが、これに限らない。液状体100aが存在しない場合、単に、上記接触部材2は、上記コンクリート100の表面に接触して置かれることになる。以下の他の実施形態でも同様である。ここで、未硬化のコンクリート100の表面の液状体100aを除去して再度締固めを行う施工を行う場合、未硬化のコンクリートの表面にブリーディング水が存在しない状態でレベルを検査するものとなるが、コンクリートの実際の硬化時のレベルに近い値が得られるものと考えられる。
【0034】
他の実施形態として、図3に示すレベル検査用装置1Aは、上記モーターを備えておらず、上記走行装置301が走行移動するときに、上記接触部材2を上記コンクリート100の表面上で滑らせるようにしている。具体的には、上記接触部材2および上記軸部32の自重によって、これらが降下するようになっており、上記接触部材2が上記未硬化のコンクリート100の表面に接触する状態を維持しながら上記走行装置301が移動する。この移動によって上記接触部材2が上記未硬化のコンクリート100の表面上で上下移動すると、上記軸部32の変位で上記ピニオン部33が回転し、ポテンショメータの電圧値が変化することになる。このようなレベル検査用装置1Aであれば、上記モーター等を省いて低コスト化が図れる。また、上記接触部材2がコンクリート100の表面上を滑るので、コンクリート100の表面の連続的なレベル計測も可能となる。
【0035】
なお、上記接触部材2および上記軸部32の自重によって、上記接触部材2が上記コンクリート100の表面に接触するため、上記接触部材2等は、上記コンクリート100との接触面積、素材密度等の選定によって、上記液状体100aに対しては沈んで上記コンクリート100の表面に接触して置かれることができるものとなる。なお、上記接触部材2を、上記軸部32から取り外し可能に設けておいて、上記未硬化のコンクリート100の柔らかさや上記液状体100aの状況によって好適となる接触部材2を選択できるようにしてもよい。以下に示す他の実施形態においても同様に、上記接触部材2を取り外し可能に設けておいて交換できるようにしてもよい。
【0036】
他の実施形態として、図4に示すレベル検査用装置1Bにおいては、上記一方側測定体4が上記固定側部41と上記変位側部42とに分離されたものではなく、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動するようになっている。上記一方側測定体4は、走行装置301に設けられた滑り受け4aに上下移動可能に支持されている。さらに、このレベル検査用装置1Bは、上記ピニオン部33を回転駆動する上記モーターや、トルクリミッターを備える。そして、上記走行装置301が移動するときに、上記一方側測定体4に上記の一体化された上記接触部材2を、上記モーターの駆動によって、上記未硬化のコンクリート100の表面から離間させる。
【0037】
これによれば、上記変位側部42を用いる場合のレベル計測における加算処理は不要であり、上記一方側測定体4による測定値がそのまま計測レベル値となる。また、上記のような固定側部41と変位側部42とに分ける必要がないので、構造を簡素化でき、また、上記のような変位側部42の変位量を送信する送信部は備えなくてもよいので、レベル検査用装置の低コスト化を図ることができる。また、このレベル検査用装置1Bにおいても、走行装置301が走行移動するとき、上記接触部材2をコンクリート100の表面から離間させることができ、上記接触部材2とコンクリート100の表面との接触による抵抗を受けることなく、上記走行装置301を移動させることができる。なお、上記一方側測定体4としては、軽量のものを用いるか、或いは、上記一方側測定体4を上方向に付勢するバネ等の付勢部材を備え、上記モーターの負担を軽減するようにしてもよい。また、上記付勢部材を交換可能とし、上記未硬化のコンクリート100の柔らかさや上記液状体100aの状況によって好適となるものを選択できるようにしてもよい。
【0038】
他の実施形態として、図5に示すレベル検査用装置1Cにおいても、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動する。上記一方側測定体4は、走行装置301に設けられた滑り受け4aに上下移動可能に支持されている。一方、このレベル検査用装置1Cは、上記ピニオン部33、上記モーター、トルクリミッターを備えておらず、上記走行装置301が移動するときには、上記接触部材2を上記未硬化のコンクリート100の表面上で滑らせる。これによれば、上記のような固定側部41と変位側部42とに分ける必要がないので、構造を簡素化でき、また、上記のような変位側部42の変位量を送信する送信部は備えなくてもよく、さらに上記モーター等が不要であるので、レベル検査用装置をさらに低コスト化できる。また、上記変位側部42を用いる場合のレベル計測における加算処理は不要であり、上記一方側測定体4による測定値がそのまま計測レベル値となる。
【0039】
上記一方側測定体4としては、軽量のものを用いるのが望ましい。或いは、上記一方側測定体4が重い場合には、例えば、上記接触部材2を上方向に付勢するバネ等の付勢部材を備え、上記接触部材2がコンクリート100の表面から沈まないようにする。また、上記付勢部材を交換可能とし、上記未硬化のコンクリート100の柔らかさや上記液状体100aの状況によって好適となるものを選択できるようにしておいてもよい。
【0040】
他の実施形態として、図6に示すレベル検査用装置1Dにおいては、レベル検査用装置1Bと同様、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動する。上記一方側測定体4は走行装置301に設けられた滑り受け4aに上下移動可能に支持されている。一方、上記軸部32には、ラックではなく、ピン34が水平方向に突出して設けられている。さらに、走行装置301内には、一端側が上記ピン34に係合するレバー36が設けられており、このレバー36の他端側は電磁ソレノイド35の駆動シャフトに連結されている。走行装置301が移動するときには、この電磁ソレノイド35がリモートコントロールによる通電オンにより動作し、一方側測定体4と上記接触部材2とを持ち上げ、上記接触部材2を未硬化のコンクリート100の表面から離間させる。一方、レベル測定箇所においては、電磁ソレノイド35が通電オフされ、一方側測定体4と上記接触部材2とが自重で降下し、上記接触部材2がコンクリート100の表面に接触する。この構成においても、上記一方側測定体4としては、軽量のものを用いるのが望ましい。或いは、上記一方側測定体4が重い場合には、例えば、上記接触部材2を上方向に付勢するバネ等の付勢部材を備え、上記接触部材2がコンクリート100の表面から沈まないようにする。また、上記付勢部材を交換可能とし、上記未硬化のコンクリート100の柔らかさや上記液状体100aの状況によって好適となるものを選択できるようにしておいてもよい。
【0041】
図7に、上記走行装置301の走行タイヤ301aの一例を示す。この走行タイヤ301aの走行面には、複数の柱状の突起物301bが均等に点在配置されている。上記突起物301bが未硬化のコンクリート100の表面に適度に食い込むことで、タイヤ滑りを生じ難くでき、また、走行タイヤ301aの走行面のコンクリート100の表面への沈み込みを抑制することができる。上記走行装置301の重量については、レベル測定時における未硬化のコンクリート100の貫入抵抗値、突起物301bが同時に貫入する本数(タイヤ本数は例えば4本)、および突起物301bの断面積から求めることができる。なお、上記走行タイヤ301aに替えて、無限軌道を取り付けてもよい。この無限軌道を取り付けた場合も、未硬化のコンクリート100の表面上での滑りを抑制しつつ、上記走行装置301のコンクリート100の表面への沈み込みを抑制できる。また、上記走行タイヤ301aに加えてソリ状の板を設け、上記走行装置301の沈み込みを抑制するようにしてもよい。なお、上記タイヤ等が未硬化のコンクリート100上を移動した際についた痕は、当該コンクリート100が未硬化であるで、均して仕上げ作業を行うことができる。
【0042】
他の実施形態として、図8に示すレベル検査用装置1Eにおいては、一方側測定体4が立てられた接触部材2を上記走行装置301でけん引するためのけん引装置37を備える。このけん引装置37は、上記接触部材2の上下移動を許容するリンク構造を有する。このレベル検査用装置1Eにおいても、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動できるようになっており、このような同体で上下移動する構成において上記接触部材2をけん引し、この接触部材2を上記未硬化のコンクリート100の表面上で滑らせる構造となっている。このような構造であれば、上記走行装置301内に上記一方側測定体4と上記接触部材2とを組み込む構造が不要になり、低コスト化が図れる。
【0043】
他の実施形態として、図9に示すレベル検査用装置1Fにおいて、上記接触部材3を水平方向に移動させる移動装置3は、上記接触部材3を備えて未硬化のコンクリート100の表面上を移動する走行装置302と、上記走行装置302に連結された連結操作部材11とからなる。上記連結操作部材11は、基端部11aと、この基端部11aに一端側が回動可能に設けられた第1棒部11bと、この第1棒部11bの他端側に一端側が回動可能に連結された第2棒部11cと、を備える。上記基端部11aは、コンクリート100が打設されていない打設外箇所(砕石箇所、捨てコンクリート箇所等)101に設置される。また、上記第2棒部11cの他端側は、上記走行装置302に回動可能に連結される。上記第1棒部11bを、例えば、人が手で操作することで、上記走行装置302を未硬化のコンクリート100の表面上で移動させることができる。上記走行装置302は、上記走行装置301において、自走のための駆動部を備えない構成を利用できる。なお、上記走行装置302の走行タイヤについては、上記のような突起物301bは特に必要ない。また、走行タイヤに替えてソリ状のものを取り付けてもよい。
【0044】
また、上記連結操作部材11は、回動で折り変形される可能な構造とされたが、これに限らず、振り出し竿のように伸縮自在な構造を有していてもよい、或いは、上記走行装置302にワイヤを連結し、竿状部材で上記走行装置302を遠くに置き、ワイヤが巻かれたリールを操作して近くに引きずりながら移動させるようにしてもよい。
【0045】
また、上記接触部材2を上記未硬化のコンクリート100の表面上で滑らせない構成(レベル検査用装置1、1B、1D)を利用し、例えば、図10に示すように、上記移動装置3を垂直離陸が可能なドローン等の飛行装置303としたレベル検査用装置1Gとすることも可能である。このレベル検査用装置1Gの一例においては、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動する。上記一方側測定体4は、飛行装置303に設けた滑り受け4aに上下移動可能に支持されている。そして、このレベル検査用装置1Gにおいては、上記滑り受け4aの上側に位置する上記一方側測定体4の箇所にストッパ45が固定されている。上記一方側測定体4が自重によって下がり、上記ストッパ45が、例えば、上記滑り受け4aに当たって停止されるとき、上記接触部材2の下面は、飛行装置303の脚部303aの下面よりも下に位置する。
【0046】
上記飛行装置303がプロペラ303bを回転させて離陸・飛行し、レベル測定地点に着陸すると、上記接触部材2の下面が未硬化のコンクリート100の表面に沈むことなく接触し、上記一方側測定体4が、上記コンクリート100の表面からの高さを表すことになる。なお、上記脚部303aや接触部材2を交換可能とし、打設された未硬化のコンクリート100の柔らかさ、ブリーディング水の量、ノロの状況等に応じて適切に303aや接触部材2を選択できるようにしてもよい。
【0047】
他の実施形態として、図11に示すレベル検査用装置1Hにおいては、上記飛行装置303を備え、この飛行装置303の脚部303aが上記接触部材2を兼ねている。上記一方側測定体4は、上記脚部303aの下面からの高さを表すように、飛行装置303に単に固定されていればよい。上記脚部303aを、上記飛行装置303から取り外し可能に設けておいて、上記未硬化のコンクリート100の柔らかさや上記液状体100aの状況によって好適となる脚部303aを選択できるようにしてもよい。上記脚部303aには、上記液状体100aを通す孔部や網部が形成されていてもよい。なお、レベル検査用装置1G,1Hにおいて、測定時にもプロペラ303bを回転させて、極力、飛行装置303の荷重がコンクリート100にかからないようにしてもよい。
【0048】
次に、実施形態のコンクリート表面のレベル検査システムについて説明する。このコンクリート表面のレベル検査システムは、上記のいずれかのコンクリート表面のレベル検査用装置1,1A~1Hと、図1にも示したように、上記未硬化のコンクリート100の表面のレベル測定に用いられる他方側測定体5と、を備える。また、図12および図13に示すように、このレベル検査システムは、情報処理装置(パーソナルコンピューター、タブレット型コンピューター、スマートフォン等)6を備える。
【0049】
以下、上記レベル検査用装置1を備える場合を例にして、レベル検査システムを説明していく。先述のように、上記レベル検査用装置1においては、接触部材2の下面から一方側測定体4の下端までの鉛直距離Bは、電気信号に変換されて、送信部によって情報処理装置6に送信される。また、上記レベル検査用装置1が搭載する位置情報生成部(GPS:グローバルポジショニングシステム等)によって生成された位置情報も、送信部によって無線送信される。上記情報処理装置6は、受信部61を備えており、測定点での上記鉛直距離Bおよび位置情報を受信する。
【0050】
また、作業者は、上記他方側測定体(オートレベル)5によって上記一方側測定体4を視準して計測された計測値Aを、キーボード等の入力部64の手入力で情報処理装置6に入力する。情報処理装置6の演算記録装置62は、この入力された計測値Aを現時点の鉛直距離Bに加算して計測レベル値を算出し、この計測レベル値を現時点の位置情報(現在のレベル測定位置)に対応付けて記憶する。上記位置情報、鉛直距離B、入力された計測値Aおよび算出された計測レベル値は、情報処理装置6のディスプレイ63に表示してもよい。
【0051】
情報処理装置6の画像生成部65は、例えば、コンクリート打設領域を升目状に表すように描画データを生成し、上記升目をディスプレイ63に出力する。各升目は上記位置情報と対応付けられ、各升目に対してレベルが算出される。なお、上記升目は、例えば、1000mm角の正方領域を表しており、その中心近傍で上記レベル検査用装置1が未硬化のコンクリート100の表面のレベルを計測する態様としている。また、この画像生成部65によって、上記レベル検査用装置1の現在位置に基づいて、コンクリート打設領域上のどこに上記レベル検査用装置1が位置しているかを示す箱形状の目印画像を表示することもできる。
【0052】
なお、上記レベル検査用装置1が、上記一方側測定体4として、上記移動装置3に固定された1個の固定側部41と、上記接触部材2の上下変位に応じて高さ位置が変位する複数の変位側部42とを備える場合、上記1個の固定側部41による1個の計測値Aと上記複数の変位側部42による複数の箇所の鉛直距離Bを同時に得ることができるので、停止するレベル検査用装置1の箇所でその近傍の複数位置の計測レベル値を同時に算出して記録することも可能である。また、上記一方側測定体4と上記接触部材2とが一体化されて同体で上下移動するものを1つのレベル検査用装置に複数備え、複数の一方側測定体4に対する複数回の目盛り読み取りを行うようにしてもよい。また、複数の変位側部42や複数の一方側測定体4の各々の箇所に位置情報生成部(GPS等)を備えておいて、複数位置の計測レベル値を各位置情報に対応付けて記録してもよい。
【0053】
上記情報処理装置6のレベル値許容判定部66は、例えば、設計上の許容レベルを記憶しており、レベル測定結果である上記計測レベル値が上記許容レベルから外れる場合に、音出力部67においてアラート音を出力させ、また、画像生成部65にアラート表示を行わせる。画像生成部65は、アラート表示の指示がない場合には、例えば、対応する升目を点線ハッチング表示し、アラート表示の指示がある場合には、対応する升目をクロスハッチング表示するようにしてもよい。なお、計測レベル値が上記許容レベルから外れる場合としては、例えば、計測レベル値が許容レベルである-5mm~+20mmの範囲から外れる場合とすることができる。
【0054】
なお、上記コンクリート表面のレベル検査システムでは、一方側測定体4を標尺とし、他方側測定体5をオートレベルとしたが、これに限らない。例えば、一方側測定体4を所定高さで位置する光反射部材(プリズム等)とし、上記他方側測定体5として光波測距儀を用いる態様でもよい。また、上記レベル検査用装置1等に上記一方側測定体4として回転レーザー等の光回転出射部が設けられ、定点とする箇所(砕石箇所、捨てコンクリート箇所等)101に上記他方側測定体5として上記標尺および上記光回転出射部からの光を受ける受光器が設けられてもよい。この場合、上記光回転出射部を移動装置3上で自動的に水平に保つ機構を備えているのが望ましい。
【0055】
また、GPSに代わる位置情報取得を行ってもよい。例えば、上記レベル検査用装置が上記一方側測定体として標尺を備える構成であれば、上記他方側測定体5であるオートレベルの上下2本のスタジア線で挟まれた標尺の長さを読み取り、この長さに基づいてオートレベルから標尺までの距離を測定することが可能である。また、オートレベルの位置からの標尺の方位を計測することで、オートレベル位置を原点とした極座標を作成できる。そして、この極座標系からX-Y座標系に変換してレベル検査用装置の位置を示すことが可能である。なお、上記光波測距儀を用いる場合も上記と同様の方法でレベル検査用装置の位置を示すことが可能である。
【0056】
また、上記レベル検査用装置1等の走行や飛行をリモートコントローラーで行うことに限らず、上記レベル検査用装置1等が位置情報生成部(GPS等)を備える場合、予め移動コースの座標を入力しておいて、上記座標の位置に順次進むようにプログラムすることも可能である。また、ライダーシステム(light detection and ranging)等を搭載し、障害物やコンクリートの未投入場所との境界を自動回避するようにしてもよい。
【0057】
また、この実施形態のコンクリート施工方法では、上記コンクリート表面のレベル検査システムを用い、コンクリートの補修が可能な状況でコンクリート表面のレベルを測定し、測定されたレベルが許容値から外れた箇所についてコンクリートの補修(補充または、削り取り)を行うこととしている。コンクリートの削り取りが可能な状況は、コンクリートの凝結が開始する以前の状況であるとする。また、コンクリートの補充が可能な状況は、コンクリートの凝結が開始する以前の状況であって、アジテータ車からコンクリートが放出されている状態、或いはコンクリートの放出をする予定のアジテータ車が存在するなど、上記コンクリートを適切に補充して締固めが可能である状況とする。
【0058】
また、この実施形態のコンクリートの厚み判定方法は、コンクリート打設前の下地レベル(砕石箇所、捨てコンクリート箇所等のレベル)を測定する工程と、上記のコンクリート表面のレベル検査システムを用いて打設後の未硬化のコンクリート100の表面のレベルを測定する工程と、上記下地レベルと打設後の未硬化のコンクリート100の表面のレベルとの差から、上記未硬化のコンクリート100の厚さを算出する工程と、を含む。例えば、上記情報処理装置6の演算記録装置62は、下地レベルおよびコンクリート表面レベルの計測点の位置情報が互いに近似または一致する箇所について、コンクリート打設前の下地レベルと打設後の未硬化のコンクリート100の表面のレベルとの差を求めることで、当該位置における上記未硬化のコンクリート100の厚さを算出することができる。上記未硬化のコンクリート100の厚さを算出結果は、上記位置情報に対応付けて記録してもよいし、また、ディスプレイ63に表示してもよい。上記の判定方法によれば、上記未硬化のコンクリート100の厚さを、当該コンクリート100が硬化する前に算出し、適宜に対策を講じることができる。対策としてコンクリートを補充または削ったときには、再度の締固めを行って、レベル計測を行ってもよい。なお、コンクリート打設前における下地レベルが設計値よりも高くなっている箇所は、コンクリート打設前に低く均しておく。一方、下地レベルが設計値よりも低い箇所は、コンクリートが過剰に厚くなるような場合以外は、特に処置をしなくてもよい。
【0059】
算出された上記未硬化のコンクリート100の厚さが、設計レベルから外れる場合に、表し、音やアラート表示を行ってもよい。なお、上記未硬化のコンクリート100の厚さが設計レベルよりも厚くなる分については、コンクリートが過剰に厚くなるような場合以外は、アラートを出力しなくても問題はない。
なお、このコンクリートの厚み判定方法では、上記コンクリート表面のレベル検査システムを用いて未硬化のコンクリート100の厚みを判定したが、このようなレベル検査システムと異なる検査システムを用いて未硬化のコンクリート100の表面のレベルを算出してもよい。
【0060】
また、以上の例において、未だ硬化していないコンクリート100を示したが、硬化後のコンクリートについて、そのレベルを検査するようにしてもよい。
【0061】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :レベル検査用装置
1A :レベル検査用装置
1B :レベル検査用装置
1C :レベル検査用装置
1D :レベル検査用装置
1E :レベル検査用装置
1F :レベル検査用装置
1G :レベル検査用装置
1H :レベル検査用装置
2 :接触部材
3 :移動装置
4 :一方側測定体
4a :滑り受け
5 :他方側測定体
6 :情報処理装置
11 :連結操作部材
11a :基端部
11b :第1棒部
11c :第2棒部
31 :滑り受け
32 :軸部
33 :ピニオン部
34 :ピン
35 :電磁ソレノイド
36 :レバー
37 :引装置
41 :固定側部
42 :変位側部
45 :ストッパ
61 :受信部
62 :演算記録装置
63 :ディスプレイ
64 :入力部
65 :画像生成部
66 :レベル値許容判定部
67 :音出力部
100 :コンクリート
100a :液状体
301 :走行装置
301a :走行タイヤ
301b :突起物
302 :走行装置
303 :飛行装置
303a :脚部
303b :プロペラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13