(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】車載用のバッテリケース
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20230619BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20230619BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230619BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230619BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230619BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230619BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/224
H01M50/249
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/613
(21)【出願番号】P 2019094299
(22)【出願日】2019-05-20
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】神 重傑
(72)【発明者】
【氏名】蓮野 昭人
(72)【発明者】
【氏名】西 秀和
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-027591(JP,A)
【文献】特開2015-210895(JP,A)
【文献】特開2018-170211(JP,A)
【文献】特開2012-033299(JP,A)
【文献】特表2018-521447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが収容されると共に、車体に取り付けるための車体取付部を有する鋳造製
であって平面視矩形状の複数のケース本体を備え、
ケース本体の側壁部は、互いに対向する第一壁部及び第二壁部と、第一壁部及び第二壁部と直交し、互いに対向する第三壁部及び第四壁部と、を有し、
第一壁部及び第二壁部のうち少なくとも一方にケース本体同士を接合するための接合部が設けられ、複数のケース本体は、接合部において互いに接合一体化されており、
ケース本体の底面部の下面には、側壁部の辺方向に往復することにより全体に亘って連続した一つの冷却溝が形成され、ケース本体にアンダーカバーが取り付けられ、冷却溝とアンダーカバーによりバッテリを冷却するための一つの冷却通路が形成され、
第一壁部に冷却通路の入口用の開口部が設けられ、第二壁部に冷却通路の出口用の開口部が設けられ、
隣り合うケース本体における出口用の開口部と入口用の開口部とが対峙することにより、隣り合う冷却通路同士が連通して一つの連続した冷却通路を形成している、車載用のバッテリケース。
【請求項2】
ケース本体の底面部の上面には、上方に向けて膨出し、冷却溝と入口用の開口部及び出口用の開口部とを連通する連通孔を内部に有する膨出部が、入口用の開口部と出口用の開口部に対応して一対設けられている、請求項1記載のバッテリケース。
【請求項3】
車体取付部は、第三壁部及び第四壁部
に設けられている
、請求項
1又は2記載の車載用のバッテリケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に取り付けられる車載用のバッテリケースに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、金属板からなるバッテリケースが記載されている。板金製のバッテリケースは、製造しやすいという利点がある。しかしながら、板金製のバッテリケースは、バッテリをバッテリケースに取り付けるための取付構造や、バッテリケースを車体に取り付けるための取付構造等、各種の構造を設ける場合に制約が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、取付構造等の各種の構造を容易に備えることができる車載用のバッテリケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車載用のバッテリケースは、バッテリが収容されると共に、車体に取り付けるための車体取付部を有する鋳造製の複数のケース本体を備え、複数のケース本体が互いに接合されている。
【0006】
この構成によれば、ケース本体が鋳造製であるため、車体に取り付けるための車体取付部を鋳造時に一体的に形成することができる。そして、複数のケース本体が互いに接合されているので、大型のバッテリケースが容易に得られる。ケース本体自体は、バッテリケース全体の大きさに比して小さいので、鋳造設備を小型化することができ、低コストで製造できる。
【0007】
特に、ケース本体は、側壁部に、ケース本体同士を接合するための接合部を有し、複数のケース本体は、接合部において互いに接合されており、ケース本体は、接合部に、バッテリを冷却するための冷却通路の開口部を有し、隣り合うケース本体における冷却通路の開口部同士が対峙して、隣り合うケース本体における冷却通路同士が連通していることが好ましい。この構成によれば、ケース本体の冷却通路同士を容易に連通させることができる。
【0008】
また、ケース本体は、平面視矩形状であって、ケース本体の側壁部は、互いに対向する第一壁部及び第二壁部と、第一壁部及び第二壁部と直交し、互いに対向する第三壁部及び第四壁部とを有し、第一壁部及び第二壁部のうち少なくとも一方に接合部が設けられ、第三壁部及び第四壁部に車体取付部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、ケース本体同士を容易に接合することができ、バッテリケースを車体に容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、ケース本体を鋳造製とし、そのケース本体を複数接合する構成としているので、各種の構造を容易に備えることができ、大型化が容易で、必要なバッテリ容量にも容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態におけるバッテリケースを平面側から見た斜視図。
【
図9】同バッテリケースにおいてアンダーカバーを取り付ける前の状態を示す、底面側から見た斜視図。
【
図10】同バッテリケースにおいてアンダーカバーを取り付ける前の状態を示す底面図。
【
図11】同バッテリケースにおいてアンダーカバーを取り付ける前の状態を示す
図7に対応した断面図。
【
図13】同バッテリケースにバッテリを収容した状態を示す、平面側から見た斜視図。
【
図14】同バッテリケースにバッテリを収容した状態を示す、平面側から見た斜視図。
【
図15】同バッテリケースに使用されているケース本体の接合前の状態を示す、平面側から見た斜視図。
【
図16】同バッテリケースに使用されている第一ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【
図18】同第一ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【
図19】同バッテリケースに使用されている第二ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【
図20】同第二ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【
図21】同バッテリケースに使用されている第三ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【
図22】同第三ケース本体を示す平面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかるバッテリケース1について
図1~
図22を参酌しつつ説明する。
図1~
図8に、本実施形態にかかるバッテリケース1を示している。バッテリケース1は、
図13及び
図14に示すように、複数のバッテリ2を収容するためのものである。バッテリケース1の上面は開口しており、その上面の開口部からバッテリ2がバッテリケース1に入れられる。バッテリケース1は、複数のケース本体3、4,5と、複数のアンダーカバー6とを備えている。ケース本体3、4,5は鋳造製、具体的にはダイカスト製であり、アンダーカバー6は好ましくは金属板からなる。複数のケース本体3、4,5は、互いに接合されて一体化されている。アンダーカバー6は、各ケース本体3、4,5にそれぞれ一枚ずつ装着されている。ケース本体3、4,5の個数は任意である。本実施形態では、三つのケース本体3、4,5が接合一体化されている。従って、アンダーカバー6は合計三枚である。
【0012】
<ケース本体3、4,5>
本実施形態において、バッテリケース1は、第一ケース本体3と、第二ケース本体4と、第三ケース本体5とを備えている。
図15に、第一ケース本体3と第二ケース本体4と第三ケース本体5の接合前の状態を示している。また、
図16~
図22には、第一ケース本体3、第二ケース本体4、及び、第三ケース本体5をそれぞれ単体の状態で示している。第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5は、バッテリ2を収容するための収容空間を有している。第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5の各収容空間は、何れも同じであって、何れも同数のバッテリ2を収容できる。具体的には、第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5は、それぞれ四つのバッテリ収容部10を有していて、各バッテリ収容部10に一つずつバッテリ2を収容できる。従って、第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5は、それぞれ四つのバッテリ2を収容できる。尚、第一ケース本体3、第二ケース本体4、及び、第三ケース本体5を特に区別しない場合には、単にケース本体3、4,5と総称する。
【0013】
<第一ケース本体3>
図16~
図18に第一ケース本体3を示している。第一ケース本体3は、平面視矩形状であって、具体的には、平面視長方形状である。但し、第一ケース本体3の形状は種々であってよい。第一ケース本体3は、トレー状である。第一ケース本体3は、長辺方向の寸法と短辺方向の寸法に対して高さ方向の寸法が小さい。第一ケース本体3は、長辺方向に非対称形状であり、短辺方向に対称形状である。第一ケース本体3は、平面視長方形状の底面部11と、底面部11の周縁から立ち上がった側壁部12とを備えている。側壁部12は、第一長壁部13及び第二長壁部14と、第一短壁部15及び第二短壁部16とを有している。第一長壁部13と第二長壁部14がそれぞれ第一壁部と第二壁部であり、第一短壁部15と第二短壁部16がそれぞれ第三壁部と第四壁部である。第一長壁部13及び第二長壁部14は長辺方向に沿って延びており、第一短壁部15及び第二短壁部16は短辺方向に沿って延びている。第一長壁部13及び第二長壁部14と第一短壁部15及び第二短壁部16は、互いに直交している。第一長壁部13及び第二長壁部14は、互いに短辺方向に対向し、第一短壁部15及び第二短壁部16は、互いに長辺方向に対向している。
【0014】
底面部11は、側壁部12の下端部よりも若干上側に位置している。従って、側壁部12は、
図8のように、底面部11から上方に突出した上方突出部12aと、底面部11から下方に突出した下方突出部12bとを有する。側壁部12の上方突出部12aと底面部11の上面によって形成される空間は、バッテリ2を収容するための収容空間である。側壁部12の下方突出部12bと底面部11の下面によって形成される空間は、冷媒が流れる冷却空間である。
【0015】
底面部11の上面の長辺方向の中央部には、仕切り壁17が上側に向けて突設されている。仕切り壁17は、短辺方向に沿っている。仕切り壁17は、一対の第一長壁部13と第二長壁部14を短辺方向に連結している。底面部11の上面の短辺方向の中央部には、位置決め用の突条18が上側に向けて突設されている。仕切り壁17と突条18とによって、底面部11の上面は四つの領域に区画される。区画された四つの領域にそれぞれバッテリ2が載置される。仕切り壁17と突条18とにより、第一ケース本体3の収容空間は四つのバッテリ収容部10に区画される。このように本実施形態では、第一ケース本体3に四つのバッテリ2を収容することができる。第二ケース本体4と第三ケース本体5も同様である。
【0016】
底面部11の長辺方向の両端部近傍には、それぞれバッテリ2を第一ケース本体3に取り付けるためのバッテリ取付部20が設けられている。バッテリ取付部20は、第一短壁部15及び第二短壁部16の近傍に位置している。バッテリ取付部20は、底面部11の長辺方向の両端部にそれぞれ一対ずつ設けられている。従って、第一ケース本体3は、合計四つのバッテリ取付部20を有している。底面部11の長辺方向の一方の端部における二つのバッテリ取付部20は、短辺方向に並んでおり、他方の端部における二つのバッテリ取付部20も同様に短辺方向に並んでいる。底面部11の長辺方向の一方の端部における二つのバッテリ取付部20と他方の端部における二つのバッテリ取付部20は、それぞれ長辺方向に対向している。
【0017】
バッテリ取付部20の構成は任意である。本実施形態では、バッテリ2がバッテリ取付部20に上側からネジ止めされる。詳細には、
図17のように、バッテリ取付部20は、底面部11の上面に台状に突設されたベース部21と、ベース部21の上面に突設された一対のネジボス部22とを有している。ベース部21は、第一短壁部15及び第二短壁部16の内面と一体に構成されている。一対のネジボス部22は短辺方向に並んでいる。ネジボス部22にネジ孔が形成されている。
【0018】
図9~
図12のように、底面部11の下面に冷却溝25が形成されている。冷却溝25は下方に開口している。
図7及び
図8のように、第一ケース本体3に上述のアンダーカバー6を取り付けることにより、冷却溝25の下方開口が塞がれる。冷却溝25とアンダーカバー6とにより、冷却通路32が形成される。冷却通路32には、バッテリ2を冷却するための冷媒が流される。冷却溝25の構成も任意であるが、一例としては、冷却溝25は、長辺方向に沿って延びている。底面部11の下面には、冷却溝25を形成するための隔壁26が下方に向けて突設されている。隔壁26と側壁部12の下方突出部12bとの間に冷却溝25が形成され、隣り合う隔壁26同士の間にも冷却溝25が形成される。隔壁26は、長辺方向に延びている。冷却溝25の始点と終点は何れも第一短壁部15側に位置している。冷却溝25は、第一短壁部15側からスタートして長辺方向に沿って二往復し、第一短壁部15側に戻る。また、底面部11の下面には、リブ27が下方に向けて突設されている。リブ27は、長辺方向に沿って延びていて、隔壁26と平行である。リブ27は、隣り合う隔壁26同士の間、及び、側壁部12の下方突出部12bと隔壁26との間に、位置している。リブ27の突出量は、隔壁26の突出量よりも小さい。
【0019】
底面部11の下面には、冷却通路32の開口部が形成されている。底面部11の下面に形成された冷却通路32の開口部を下冷却開口部28と称する。下冷却開口部28は一対設けられている。下冷却開口部28は、冷却溝25の始点近傍と終点近傍に設けられている。下冷却開口部28は、第一長壁部13及び第二長壁部14の近傍に位置している。一対の下冷却開口部28は、短辺方向に対称に配置されている。底面部11の上面には、下冷却開口部28に対応した位置に、膨出部29が形成されている。膨出部29は一対設けられている。膨出部29は、底面部11の上面から上方に膨出している。膨出部29は、第一長壁部13及び第二長壁部14の内面と接続されている。膨出部29の内部には、連通孔30が形成されている。連通孔30は冷却通路32の一部を構成している。連通孔30は、底面部11の下面と第一長壁部13及び第二長壁部14の外面に、それぞれ開口している。底面部11の下面に開口した連通孔30の開口部が下冷却開口部28である。第一長壁部13及び第二長壁部14の外面に開口した連通孔30の開口部を横冷却開口部31と称する。連通孔30は、途中で折れ曲がっていて、上下方向に沿った縦孔部30aと、水平方向に沿った横孔部30bとから構成される。一方の連通孔30は冷媒の入口用であり、他方の連通孔30は、冷媒の出口用である。
【0020】
第一長壁部13及び第二長壁部14の水平方向の両端部は、それぞれ第一短壁部15及び第二短壁部16の外面よりも外側に突出している。即ち、第一長壁部13及び第二長壁部14の水平方向両端部は、それぞれ第一短壁部15及び第二短壁部16から外側に突出した袖壁部40となっている。
【0021】
第一長壁部13の外面には、第一ケース本体3を第二ケース本体4に接合するための接合部としての接合面41が設けられている。第二長壁部14の外面には、第一ケース本体3を第三ケース本体5に接合するための接合部としての接合面41が設けられている。第一長壁部13の接合面41は第一長壁部13の外面の全体に形成されており、第二長壁部14の接合面41は第二長壁部14の外面の全体に形成されている。第一長壁部13の接合面41と第二長壁部14の接合面41は何れも平面である。第一長壁部13の外面と第二長壁部14の外面には、何れも、リブ等の凸部は形成されていない。
【0022】
第一短壁部15及び第二短壁部16の上端部には、上フランジ42が外側に向けて突設されている。第一短壁部15及び第二短壁部16の下端部には、下フランジ43が外側に向けて突設されている。上フランジ42の突出量と下フランジ43の突出量は例えば互いに略等しい。但し、上フランジ42の突出量と下フランジ43の突出量が互いに異なっていてもよい。上フランジ42と下フランジ43は、第一短壁部15及び第二短壁部16の全長に亘って形成されている。上フランジ42と下フランジ43は、第一長壁部13及び第二長壁部14の袖壁部40に接続されている。上フランジ42の突出量と下フランジ43の突出量は、袖壁部40の突出量と略等しい。上フランジ42には、図示しないアッパーカバーをバッテリケース1にネジ止めするためのネジ孔44が形成されている。第一長壁部13及び第二長壁部14には上フランジや下フランジが設けられていない。
【0023】
第一短壁部15及び第二短壁部16の外面には、複数の縦リブ45が形成されている。縦リブ45は、上下方向に延びている。複数の縦リブ45のうちの一部は、上フランジ42と下フランジ43に接続されている。第一短壁部15及び第二短壁部16の外面には、ブラケット46が形成されている。ブラケット46は、バッテリケース1を車体に取り付けるための車体取付部である。バッテリケース1はブラケット46を介して車体に下側からネジ止めされる。ブラケット46は、第一短壁部15及び第二短壁部16の外面から外側に突出している。ブラケット46の突出量は、上フランジ42の突出量、下フランジ43の突出量、及び、袖壁部40の突出量よりも大きい。ブラケット46は、上フランジ42や下フランジ43、袖壁部40よりも外側にはみ出している。バッテリケース1は、上フランジ42や下フランジ43、袖壁部40よりも外側の位置において車体に取り付けられる。ブラケット46は、短辺方向に間隔をおいて一対形成されている。複数の縦リブ45のうち一部の縦リブ45は、ブラケット46と上フランジ42に接続されている。
【0024】
<第二ケース本体4>
第二ケース本体4と第三ケース本体5は、第一ケース本体3とは側壁部12の構成のみが異なり、他は共通している。第一ケース本体3と共通している構成についてはその詳細な説明を省略する。
図19及び
図20に第二ケース本体4を示している。第二ケース本体4は、短辺方向に非対称形状である。具体的には、第二ケース本体4の第一長壁部13の外面と第二長壁部14の外面は、互いに異なっていて非対称である。第二ケース本体4の第一長壁部13の外面には、上フランジ50と複数の縦リブ51が外側に向けて突設されている。第一長壁部13の上フランジ50は、第一短壁部15及び第二短壁部16の上フランジ42と接続されている。第二ケース本体4は、側壁部12の上端部の四片のうち一辺を除く三辺に上フランジ42,50が形成されている。第一長壁部13の上フランジ50にも上述したネジ孔44が形成されている。第二ケース本体4の第一長壁部13の外面には下フランジは形成されていない。第二ケース本体4の第二長壁部14の外面には、第二ケース本体4を第一ケース本体3に接合するための接合部としての接合面41が設けられている。第二ケース本体4の第二長壁部14の接合面41は、第一ケース本体3の第一長壁部13の接合面41及び第二長壁部14の接合面41と同様である。第二長壁部14の外面には、リブ等の凸部は形成されていない。このように、第二ケース本体4は、第一ケース本体3と比べると、第一長壁部13の外面の構成のみが異なる。
【0025】
<第三ケース本体5>
図21及び
図22に第二ケース本体4を示している。第三ケース本体5は、第二ケース本体4とは対称形状である。第三ケース本体5は、短辺方向に非対称形状である。第三ケース本体5の第一長壁部13の外面と第二長壁部14の外面は、互いに異なっていて非対称である。第三ケース本体5の第一長壁部13の外面には、第三ケース本体5を第一ケース本体3に接合するための接合部としての接合面41が設けられている。第三ケース本体5の第一長壁部13の接合面41は、第一ケース本体3の第一長壁部13の接合面41及び第二長壁部13の接合面41と同様である。第一長壁部13の外面には、リブ等の凸部は形成されていない。第三ケース本体5の第二長壁部14の外面には、上フランジ50と複数の縦リブ51が外側に向けて突設されている。第三ケース本体5の第二長壁部14における上フランジ50と縦リブ51は、第二ケース本体4の第一長壁部13における上フランジ50と縦リブ51と同様の構成である。第二長壁部14の上フランジ50にも上述したネジ孔44が形成されている。このように、第三ケース本体5は、第一ケース本体3と比べると、第二長壁部14の外面の構成のみが異なる。そして、第一ケース本体3と第二ケース本体4と第三ケース本体5は、第一長壁部13の外面又は第二長壁部14の外面の仕様が異なり、他の部分は共通している。
【0026】
<ケース本体3、4,5の製造>
第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5は、何れも鋳造製であり、ダイカスト製である。第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5は、図示しない一つの共通したダイカスト金型によって製造することができる。一つの共通のダイカスト金型を使用し、この金型の一部を交換することによって、第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5という三種類の部品を製造することができる。ダイカスト金型における主型の型開き方向は例えば水平方向とされる。主型は、固定型と可動型とからなる。固定型と可動型は例えば水平方向に対向して配置される。尚、第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5を、それぞれ専用のダイカスト金型によって鋳造してもよい。即ち、三つの専用のダイカスト金型によって第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5を鋳造してもよい。
【0027】
第一ケース本体3の鋳造について更に説明すると、第一ケース本体3の第一長壁部13の外面形状、第二長壁部14の外面形状、第一短壁部15の外面形状、及び、第二短壁部16の外面形状は、それぞれ上下方向に往復移動、あるいは、水平方向であって主型の型開き方向とは直交する方向に往復移動する、合計四つのスライドコアによって形成される。例えば、第一長壁部13の外面を第一スライドコアで形成し、第二長壁部14の外面を第二スライドコアで形成し、第一短壁部15の外面を第三スライドコアで形成し、第二短壁部16の外面を第四スライドコアで形成する。そして、第一スライドコアを第二ケース本体4用のものに変更することにより、同じダイカスト装置によって第二ケース本体4を鋳造できる。同様に、第二スライドコアを第三ケース本体5用のものに変更することにより、同じダイカスト装置によって第三ケース本体5を鋳造できる。このように、主型を変更することなく、スライドコアの一部を変更することによって三種類のケース本体3、4,5を鋳造できる。従って、低コストで鋳造できる。ケース本体3、4,5が二種類や四種類以上であっても同様である。
【0028】
<アンダーカバー6>
三つのアンダーカバー6は、互いに同じ形状である。従って、アンダーカバー6は一種類でよい。アンダーカバー6は薄い板状である。アンダーカバー6は、各ケース本体3、4,5に下側から装着される。アンダーカバー6は、ケース本体3、4,5に溶接される。
図7のようにアンダーカバー6は隔壁26の下端面に当接する。アンダーカバー6とリブ27との間には隙間が存在している。アンダーカバー6は、ケース本体3、4,5同士が接合される前に各ケース本体3、4,5に溶接されるか、あるいは、ケース本体3、4,5同士が接合された後に各ケース本体3、4,5に溶接される。
【0029】
<接合>
第一ケース本体3の第一長壁部13と第二ケース本体4の第二長壁部14が溶接により接合される。第一ケース本体3の第一長壁部13の外面と第二ケース本体4の第二長壁部14の外面には何れも平面状の接合面41が設けられているため、第一ケース本体3の第一長壁部13と第二ケース本体4の第二長壁部14を確実に接合させることができる。また、第一ケース本体3の第一長壁部13の外面と第二ケース本体4の第二長壁部14の外面を密着させることができる。溶接箇所は上下二箇所である。即ち、第一ケース本体3の第一長壁部13の上端部及び下端部と、第二ケース本体4の第二長壁部14の上端部及び下端部である。第一ケース本体3の第一長壁部13の上端部と第二ケース本体4の第二長壁部14の上端部が水平方向に沿って全長に亘って溶接される。第一ケース本体3の第一長壁部13の下端部と第二ケース本体4の第二長壁部14の下端部が水平方向に沿って全長に亘って溶接される。尚、第一ケース本体3の第一長壁部13の両袖壁部40と第二ケース本体4の第二長壁部14の両袖壁部40とを上下方向に沿って全長に亘って溶接してもよい。
【0030】
第一ケース本体3と第二ケース本体4が接合されると、
図8のように、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第二ケース本体4の横冷却開口部31とが対峙する。第一ケース本体3の冷却通路32と第二ケース本体4の冷却通路32は、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第二ケース本体4の横冷却開口部31を介して、互いに連通する。第一ケース本体3の第一長壁部13の外面と第二ケース本体4の第二長壁部14の外面とが密着しているので、冷媒の漏れが防止される。尚、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第二ケース本体4の横冷却開口部31との間にシール部材を介在させてもよい。また、第一ケース本体3の連通孔30、特には横孔部30bや、第二ケース本体4の連通孔30、特には横孔部30bに、例えば接続パイプを装着してもよい。
【0031】
第一ケース本体3と第三ケース本体5との接合についても同様である。第一ケース本体3の第二長壁部14と第三ケース本体5の第一長壁部13が溶接により接合される。第一ケース本体3の第二長壁部14の外面と第三ケース本体5の第一長壁部13の外面には平面状の接合面41が設けられているため、第一ケース本体3の第二長壁部14と第三ケース本体5の第一長壁部13を確実に接合させることができる。また、第一ケース本体3の第二長壁部14の外面と第三ケース本体5の第一長壁部13の外面を密着させることができる。溶接箇所は上述と同様に上下二箇所である。即ち、第一ケース本体3の第二長壁部14の上端部及び下端部と、第三ケース本体5の第一長壁部13の上端部及び下端部である。第一ケース本体3の第二長壁部14の上端部と第三ケース本体5の第一長壁部13の上端部が水平方向に沿って全長に亘って溶接される。第一ケース本体3の第二長壁部14の下端部と第三ケース本体5の第一長壁部13の下端部が水平方向に沿って全長に亘って溶接される。尚、第一ケース本体3の第二長壁部14の両袖壁部40と第三ケース本体5の第一長壁部13の両袖壁部40とを上下方向に沿って全長に亘って溶接してもよい。
【0032】
第一ケース本体3と第三ケース本体5が接合されると、第一ケース本体3と第二ケース本体4との接合と同様に、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第三ケース本体5の横冷却開口部31とが対峙する。第一ケース本体3の冷却通路32と第三ケース本体5の冷却通路32は、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第三ケース本体5の横冷却開口部31を介して、互いに連通する。第一ケース本体3の第二長壁部14の外面と第三ケース本体5の第一長壁部13の外面とが密着しているので、冷媒の漏れが防止される。尚、第一ケース本体3の横冷却開口部31と第三ケース本体5の横冷却開口部31との間にシール部材を介在させてもよい。また、第一ケース本体3の連通孔30、特には横孔部30bや、第三ケース本体5の連通孔30、特には横孔部30bに、例えば接続パイプを装着してもよい。
【0033】
尚、本実施形態では、第一ケース本体3の第一長壁部13の外面全体と第二ケース本体4の第二長壁部14の外面全体と第三ケース本体5の第一長壁部13の外面全体が接合面41であったが、それらの外面に部分的に平面状の接合面41を設けてもよい。例えば、第一ケース本体3の第一長壁部13及び第二長壁部14の外面の周縁部と第二ケース本体4の第二長壁部14の外面の周縁部と第三ケース本体5の第一長壁部13の外面の周縁部のみを平面状の接合面41としたり、あるいは、周縁部に加えて、横冷却開口部31の開口縁部を平面としてその開口縁部も周縁部と共に接合面41としたりしてもよい。このように部分的に接合面41を設けて、他の部分は凹部としてもよい。
【0034】
<バッテリ収容状態>
以上のように第一ケース本体3と第二ケース本体4と第三ケース本体5は、短辺方向に一列に接合される。接合により形成されたバッテリケース1には、
図13のように複数のバッテリ2が収容される。第一ケース本体3、第二ケース本体4及び第三ケース本体5にはそれぞれバッテリ2が四つずつ収容される。従って、バッテリケース1には、合計12個のバッテリ2を収容することができる。尚、図示しないが、バッテリ2は複数のセルが積層一体化されたものである。
図14のように、バッテリ押さえ60によってバッテリ2を上側から押さえ付けて、バッテリ2を各ケース本体3、4,5に取り付けることができる。バッテリ押さえ60は、例えば板金製である。バッテリ押さえ60は、長辺方向に並んだ二つのバッテリ2をまとめてケース本体3、4,5に取り付けることができる。バッテリ押さえ60は、各ケース本体3、4,5毎に二つずつ取り付けられる。バッテリ押さえ60は、両端部にそれぞれネジ止め部61を有している。ネジ止め部61は、ケース本体3、4,5のバッテリ取付部20の上方に対向して位置する。ネジ止め部61の上側からボルト62をバッテリ取付部20のネジボス部22のネジ孔に螺合させる。
【0035】
以上のように構成されたバッテリケース1のケース本体3、4,5は、鋳造製である。そのため、ブラケット46やバッテリ取付部20、冷却溝25等を鋳造時に一体的に形成することができる。三つのケース本体3、4,5が互いに接合されているので、大型のバッテリケース1が容易に得られ、バッテリ2の収容個数を容易に増加させることができる。ケース本体3、4,5は、バッテリケース1全体の大きさに比して小さいので、鋳造設備を小型化することができ、低コストに製造できる。
【0036】
また、第一ケース本体3の第一長壁部13と第二長壁部14、第二ケース本体4の第二長壁部14、第三ケース本体5の第一長壁部13に、それぞれケース本体3、4,5同士を接合するための接合面41が設けられているので、ケース本体3、4,5同士を容易に接合することができる。第一短壁部15や第二短壁部16ではなく第一長壁部13や第二長壁部14に接合面41が設けられているので、接合強度を容易に高めることができる。また、第一短壁部15と第二短壁部16にブラケット46が設けられているので、バッテリケース1を車体に容易に取り付けることができる。
【0037】
接合状態において、第一ケース本体3の第一長壁部13における横冷却開口部31と第二ケース本体4の第二長壁部14における横冷却開口部31とが対峙して、第一ケース本体3の冷却通路32と第二ケース本体4の冷却通路32とが接合面41を介して連通している。第一ケース本体3の第二長壁部14における横冷却開口部31と第三ケース本体5の第一長壁部13における横冷却開口部31とが対峙して、第一ケース本体3の冷却通路32と第三ケース本体5の冷却通路32とが接合面41を介して連通している。つまり、第一ケース本体3の冷却通路32と第二ケース本体4の冷却通路32と第三ケース本体5の冷却通路32が連通して一つの連続した冷却通路32が形成されている。従って、例えば、第三ケース本体5の第二長壁部14の横冷却開口部31をバッテリケース1における冷媒の入口とし、第二ケース本体4の第一長壁部13の横冷却開口部31をバッテリケース1における冷媒の出口として、その入口と出口にそれぞれ図示しない冷媒用の配管を接続することができる。入口に接続される配管と、出口に接続される配管は、それぞれ一つで済む。
【0038】
尚、本実施形態では、ケース本体3、4,5の長壁部13,14同士が接合されていたが、ケース本体3、4,5の短壁部15,16同士が接合されてもよい。また、ケース本体3、4,5が平面視長方形状であったが、ケース本体3、4,5が平面視正方形状等であってもよい。接合部の構成も種々変更可能である。接合方法についても任意であって、溶接に代えて他の接合構造を採用してもよいし、溶接と併用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 バッテリケース
2 バッテリ
3 第一ケース本体
4 第二ケース本体
5 第三ケース本体
6 アンダーカバー
10 バッテリ収容部
11 底面部
12 側壁部
12a 上方突出部
12b 下方突出部
13 第一長壁部(第一壁部)
14 第二長壁部(第二壁部)
15 第一短壁部(第三壁部)
16 第二短壁部(第四壁部)
17 仕切り壁
18 突条
20 バッテリ取付部
21 ベース部
22 ネジボス部
25 冷却溝
26 隔壁
27 リブ
28 下冷却開口部
29 膨出部
30 連通孔
30a 縦孔部
30b 横孔部
31 横冷却開口部
32 冷却通路
40 袖壁部
41 接合面(接合部)
42 上フランジ
43 下フランジ
44 ネジ孔
45 縦リブ
46 ブラケット(車体取付部)
50 上フランジ
51 縦リブ
60 バッテリ押さえ
61 ネジ止め部
62 ボルト