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  • 特許-蓋体、及びそれを備える収容容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】蓋体、及びそれを備える収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20230619BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20230619BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D25/52 D
A47K7/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019107350
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020200067
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奈三江
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚
(72)【発明者】
【氏名】竹村 博明
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0367400(US,A1)
【文献】特開2017-178359(JP,A)
【文献】特開平01-226579(JP,A)
【文献】実開平01-152587(JP,U)
【文献】実開昭55-070899(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/52
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が内部に収容される本体に用いられる蓋体であって、
前記蓋体は、前記収容物を前記本体から取り出すための取出し孔を有し、
前記取出し孔の周縁から前記取出し孔の中央部に向かって延びる複数の舌片を備え、
前記取出し孔は、前記取出し孔の周方向に隣り合う前記舌片の間に位置する空間を含み、
前記舌片は、取出し方向に突出する突起を先端部に有する、
蓋体。
【請求項2】
前記舌片は、前記取出し孔の中央部に近づくにつれて幅が小さくなる形状を有し、
前記空間は、前記取出し孔の平面視において扇形である、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記舌片は、前記本体の内部に向かって延びている、
請求項1または2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記舌片は、第一端面と、前記第一端面と角度をなす第二端面とを先端部に有する、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項5】
前記第二端面は、前記取出し孔の中央に向いており、かつ前記第一端面から離れるにつれて前記取出し孔の中央部から離間するように傾いている、
請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記舌片が可撓性材料で形成されている、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項7】
前記収容物が衛生用薄葉紙であり、ミシン目で複数単位に区切られている、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の蓋体。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の蓋体を備える収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、及びそれを備える収容容器、より詳しくは、ウェットシートやウェットティッシュ等の衛生用薄葉紙の収容に適した収容容器に用いられる蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェットシートやウェットティッシュ等の衛生用薄葉紙の流通態様の一つとして、ボトルタイプの容器に多数収容された大容量タイプが知られている。
大容量タイプの衛生用薄葉紙では、所定間隔でミシン目が入った長尺の衛生用薄葉紙が容器内に収容されている。使用者は、使用開始時に容器の蓋を外して衛生用薄葉紙の一端を引き出し、蓋に形成された取り出し孔に通してから蓋を再度容器に取り付ける。取り出し孔は狭いため、取り出し孔から出た衛生用薄葉紙を引くと抵抗が生じる。ミシン目の部分がこの抵抗に耐えられず切断されるため、使用者は、取り出し孔から出た衛生用薄葉紙を引くことにより、1単位分の衛生用薄葉紙を切り離して取り出すことができる。
【0003】
特許文献1には、取り出し孔の形状が十字型の収容容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-52567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
取り出し孔の寸法は、1単位分の衛生用薄葉紙を確実に切り離す観点からは、小さいことが好ましい。しかし、取り出し孔が小さくなると、使用者が使用開始時に衛生用薄葉紙を取り出し孔に通す作業が煩雑になる。さらに、使用時に衛生用薄葉紙を引き出す際の抵抗も大きくなり、使用感の低下につながる。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、取り出し孔から引き出された収容物から1単位分を確実に切り離すことができ、使用感も良好な蓋体、およびそれを備える収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、収容物が内部に収容される本体に用いられる蓋体である。蓋体は、収容物を前記本体から取り出すための取出し孔を有する。
この蓋体は、取出し孔の周縁から取出し孔の中央部に向かって延びる複数の舌片を備える。取出し孔は、取出し孔の周方向に隣り合う舌片の間に位置する空間を含む。舌片は、取出し方向に突出する突起を先端部に有する。
また、本発明は、収容物が内部に収容される本体に取り付けられ、収容物を前記本体から取り出すための取出し孔を有する蓋体を備える収容容器である。蓋体は、取出し孔の周縁から取出し孔の中央部に向かって延びる複数の舌片を備え、取出し孔は、取出し孔の周方向に隣り合う前記舌片の間に位置する空間を含む。舌片は、取出し方向に突出する突起を先端部に有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓋体及びそれを備える収容容器は、取り出し孔から引き出された収容物から1単位分を確実に切り離すことができ、使用感も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る収容容器の全体図である。
図2】同収容容器のカバーを示す平面図である。
図3】同2のI-I線における断面図である。
図4】同収容容器のキャップを示す平面図である。
図5】同キャップの底面図である。
図6】同4のII-II線における断面図である。
図7】同収容容器の口部材を示す平面図である。
図8】同7のIII-III線における断面図である。
図9】同収容容器の蓋体の断面図である。
図10】口部材の初期状態を示す断面図である。
図11】口部材の切離状態を示す断面図である。
図12】取出し孔から引き出された衛生用薄葉紙を示す図である。
図13】本発明の変形例に係る口部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図1から図12を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の蓋体20及び収容容器1の全体図であり、上側が平面図、下側が正面図である。収容容器1は、衛生用薄葉紙が収容物として内部に収容される本体10と、本体10の上部に取り付けられて本体10の内部を密閉する蓋体20とを備えている。図2に示すように、蓋体20は、収容物を前記本体から取り出すための取出し孔62を有している。
本体10に対する蓋体20の装着態様に特に制限はなく、スクリュー方式、嵌合方式など、公知の各種構造から適宜選択できる。
【0011】
本体10は内部に収容空間を有する。本体10の内部には、ミシン目で接続された複数単位の衛生用薄葉紙が、巻かれたり、折りたたまれたりして収容される。本体10の材質や形状に制限はなく、適宜決定できる。材質が樹脂であると、量産が容易である。
【0012】
本実施形態の蓋体20は、本体10に装着されるカバー21と、カバーに取り付けられるキャップ41とを有する。
図2は、カバー21の平面図であり、キャップ41を外した状態を示している。図1および図2に示すように、カバー21は、略円形の上面部22と、上面部22の周縁から下方に延びる外周面23とを有し、略円筒状に形成されている。
【0013】
図3は、図2のI-I線における断面図である。上面部22において、平面視における中央部に位置する略円形状の領域が下方にくぼんでおり、この部分に衛生用薄葉紙が取り出される取出し部25が形成されている。取出し部25の中央部には、円形の貫通孔26が設けられている。貫通孔26には、取出し孔62を有する口部材61が取り付けられている。
図3は、カバー21の構造をわかりやすくするために、口部材61を除いて示している。口部材61の詳細な構造については後述する。
【0014】
図3に示すように、貫通孔26の周囲において、円形の第一周壁27が上方に延び、円形の第二周壁28が下方に延びている。取出し部25の周縁には、キャップ41が連結される連結穴31が形成されている。
【0015】
図4は、キャップ41の平面図であり、図5はキャップ41の底面図である。図6は、図4のII-II線における断面図である。キャップ41は、図4に示すように、平面視形状が略円形であり、一部がこの円周よりも突出してツマミ42となっている。
【0016】
図5に示すように、キャップ41の底面において、ツマミ42と対向する周縁部には、カバーと連結するための連結部43が設けられている。
ツマミ42と連結部43の間には、環状の密閉周壁44と、C字状の係合周壁45とが形成されている。密閉周壁44の外径は、第一周壁27の内径よりわずかに小さく、第一周壁27で囲まれた領域内に進入できる。係合周壁45は、密閉周壁44の周囲に位置しており、ツマミ42に対応する位相の位置において、係合突起45aがC字形状の内側に突出している(図6も参照)。
【0017】
係合周壁45と連結部43との間には、V字状の有底溝46が形成されており、有底溝の46の部分がヒンジとして機能する。有底溝46の中間部は切り欠かれており、切り欠かれた部位の係合周壁側と連結部側とが、L字状に屈折した接続部47(図6も参照)で接続されている。キャップ41は、接続部47により、平坦な状態と、有底溝46に沿って折り曲げられた状態とを保持できる。
【0018】
図7は、口部材61の平面図であり、図8は、図7のIII-III線における断面図である。
口部材61は、エラストマー等の弾性変形可能な材料で形成された、略円盤状の部材である。平面視における中央部に取出し孔62が形成されている。
【0019】
取出し孔62は円形の基本形状を有しているが、図7に示すように、周縁から4枚の舌片63が取り出し孔の中心Cに向かって延びている。各舌片63の幅は、中心Cに近づくにつれて小さくなっているため、舌片63の平面視形状は、概ね扇形となっている。各舌片63は、口部材61の周方向において等間隔で配置されている。したがって、取出し孔62は、各舌片63の間に位置する4つの略扇形の空間Spを合わせた形になっており、周縁部に比較的大きいスペースが存在している。
舌片63は、取出し孔62の中心までは延びていないため、中心Cから一定の範囲内には舌片63が存在しない。この領域の内接円の直径は、例えば2mm程度である。
【0020】
図8に示すように、舌片63は、中心Cに向かいつつ、下方、すなわち本体10の内部に向かって延びている。各舌片の先端には、上方に突出する突起63aが設けられている。先端部の第一端面63bは、中心Cを通り口部材61の厚さ方向に延びる軸線Xと略平行である。先端部の下方は面取りされており、第一端面63bと角度をなす第二端面63cが形成されている。
【0021】
図9に、カバー21、キャップ41、および口部材61が組み合わされた蓋体20の断面を示す。キャップ41は、連結部43が連結穴31に進入して嵌合することにより、カバー21に取り付けられている。口部材61は、第二周壁28に囲まれた空間内に収容されている。
キャップ41が閉じられた状態においては、密閉周壁44が第一周壁27内に進入している。密閉周壁44と第一周壁27との間にはほとんど隙間がないため、第一周壁27に囲まれた空間内は密閉され、空間内にある衛生用薄葉紙の端部が汚染されたり、衛生用薄葉紙が乾燥したりすることが抑制される。さらに、係合周壁45の係合突起45aが第一周壁27と嵌合し、キャップ41が閉じた状態の保持に寄与する。
【0022】
上記の様に構成された収容容器1の使用時の動作について説明する。収容容器1は、内部に衛生用薄葉紙が収容された状態で流通する。流通時において、衛生用薄葉紙はまだ取出し孔62に通されていない。
【0023】
使用者は、蓋体20を取り外し、収容されている衛生用薄葉紙の一端を引き出して蓋体20の下側から取出し孔62に通す。詳細は後述するが、口部材61の初期状態においては、取出し孔62の中心に比較的大きい空間が形成されているため、使用者は従来に比して容易に衛生用薄葉紙を取出し孔62に通すことができる。
【0024】
衛生用薄葉紙を取り出す際、使用者は取出し孔62から出ている端部を保持して上方(取出し方向)に引き上げる。このとき、口部材61の舌片63は、取出し孔62の周縁に近い基部を中心に回動する。その結果、口部材61は、図10に示す初期状態から、図11に示す切離状態に変形する。切離状態においては、衛生用薄葉紙100を挟んでいた第一端面63bが上方に移動し、第二端面63cが軸線Xと略平行となって衛生用薄葉紙100を挟んでいる。
切離状態における舌片63は、回動したことにより先端部が上方に引き上げられているため、対向する第二端面63c間の距離L2は、初期状態において対向する第一端面63b間の距離L1(図10参照)よりも短くなっている。
【0025】
距離L2が距離L1よりも短いことにより、取出し孔62を通る衛生用薄葉紙100には、切離状態においてより大きい抵抗が生じる。その結果、衛生用薄葉紙100は引き出し時にミシン目で確実に切断され、使用者は1単位分を確実に取り出すことができる。
【0026】
上述したように、取出し孔62の中央部で衛生用薄葉紙100に大きい抵抗が生じる一方、衛生用薄葉紙100の一部は、図12に示すように、舌片63間に位置する空間Sp内を通過する。単に取出し孔が小さいだけの場合、衛生用薄葉紙全体が小さい空間を通ると、通過する衛生用薄葉紙の量に対して取出し孔の空間が小さすぎる結果、衛生用薄葉紙が取出し孔に詰まって通過できなくなる場合がある。本実施形態の収容容器1では、衛生用薄葉紙100の一部が隣り合う舌片63の間に広がる空間Sp内を通過することにより、衛生用薄葉紙が取出し孔に詰まって動かなくなる事象が発生しにくい。
口部材61の切離状態においては、第二端面63cが軸線Xと略平行になる。その結果、衛生用薄葉紙100は、切離状態においても口部材61と面接触するため、抵抗が過剰に大きくなりにくく、詰まりが生じにくい。
これらの作用により、収容容器1は、衛生用薄葉紙1単位分の確実な取出しとスムーズな引き出し動作が両立されており、使用感が良好である。
【0027】
1単位分の衛生用薄葉紙100が切り離されると、衛生用薄葉紙100を引き上げる力量がなくなるため、口部材61は図10に示す初期状態の形状に戻る。取出し孔62から突出した衛生用薄葉紙100の端部には下方に移動させる力が作用するが、舌片63に設けられた突起63aは、初期状態において軸線Xに向かって突出しているため、下方に移動しようとする衛生用薄葉紙100と干渉する。その結果、衛生用薄葉紙100の端部が本体10内に落下して引き出せなくなる事態が生じにくい。
【0028】
以上説明したように、収容容器1は、衛生用薄葉紙の収容に好適に使用でき、収容された衛生用薄葉紙を1単位ずつ確実に取り出せて使用感にも優れている。
また、初期状態における上述の距離L1は、1単位分を確実に切り離す作用に影響を及ぼさないため、距離L1を大きくしても1単位分を確実に切り離せる。距離L1を大きくすることで、使用開始時に使用者が衛生用薄葉紙を取出し孔に通す作業を簡便にできる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0030】
・舌片において、突起や第二端面は必ずしも設けられなくてもよい。
・キャップとカバーとの連結態様は上述した構造と異なってもよい。
【0031】
・口部材における舌片の数は4枚に限られず、適宜変更されてよい。数の変更に伴い大きさ(平面視における寸法、面積)も適宜変更されてよい。一例として、図13に舌片63Aを3枚有する口部材61Aの平面図を示す。
・複数の舌片は、必ずしも周方向に等間隔で配置されなくてもよい。
【0032】
・舌片は、全体が弾性変形可能である必要はなく、例えば基部のみが弾性変形でき、衛生用薄葉紙の引き上げに伴って回動可能に構成されてもよい。
・舌片は、必ずしも下方に延びなくてもよい。
【0033】
・取出し孔は、カバーに直接形成されてもよい。
・取出し孔が、本体に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 収容容器
10 本体
62 取出し孔
63 舌片
63a 突起
63b 第一端面
63c 第二端面
100 衛生用薄葉紙(収容物)
Sp 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13