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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
F24C1/00 370A
F24C1/00 360Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019122919
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021008984
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】米倉 祐志
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-36893(JP,A)
【文献】特開昭49-125574(JP,A)
【文献】特開2016-214769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0045184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00、7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側部を熱風を生成する熱風生成室とし、他方の側部を含む残る部分を食材を収容する食材収容室として、前記熱風生成室から送り出される熱風によって食材収容室内の食材を加熱調理する調理庫と、
中央部に前記食材収容室から前記熱風生成室に空気を吸い込む円形の吸込口を有するとともに、少なくとも上下側に前記熱風生成室にて生成した熱風を送り出す通風路を有して、前記熱風生成室と前記食材収容室とを通風可能に仕切る仕切板と、
前記熱風生成室内に設けられて、前記吸込口から吸い込んだ前記食材収容室の空気を遠心方向外向きに吹き出して前記通風路から前記食材収容室に送り出し、前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記熱風生成室内に設けられて、前記対流ファンにより送り出される空気を加熱するヒータと、
前記食材収容室内にて食材を入れた複数のトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレームとを備えた加熱調理器であって、
前記仕切板には前記吸込口の上下方向の中央部よりも上側及び下側の高さ位置にて前記食材収容室内の空気を前記熱風生成室内に吸い込むための補助開口部を形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記補助開口部は水平方向に延びる複数の長孔を用いたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記補助開口部を構成する長孔を水平方向及び上下方向に複数配置したものであり、前記複数の長孔の水平方向及び上下方向の間隔を前記長孔の幅の長さ以上としたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されており、この加熱調理器は、左側部を熱風を生成する熱風生成室とし、残る部分を食材を収容する食材収容室として、熱風生成室から送り出される熱風によって食材収容室内の食材を加熱調理する調理庫と、中央部に多数の開口部が円形に配置されて食材収容室から熱風生成室に空気を吸い込む吸込口を有するとともに、上下側に熱風生成室にて生成した熱風を送り出す通風路を有して、熱風生成室と食材収容室とを通風可能に仕切る仕切板と、熱風生成室内に設けられて、吸込口から吸い込んだ食材収容室の空気を遠心方向外向きに吹き出して通風路から食材収容室に送り出し、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、熱風生成室内に設けられて、対流ファンにより送り出される空気を加熱するヒータと、食材収容室内にて食材を入れた複数のトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレームとを備えている。
【0003】
この加熱調理器で食材を加熱調理するときには、調理庫内で食材を入れたトレイを支持フレームに上下に多段状に支持させ、操作パネルを操作して調理プログラムを実行させる。調理プログラムを実行させると、食材収容室内の空気は対流ファンによって吸込口を通って熱風生成室内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は遠心方向外向きに吹き出されて外側のヒータによって加熱されて熱風となり、熱風は通風路から再び食材収容室に送られる。調理庫内は対流ファンとヒータの作動による熱風が対流し、調理庫内でトレイに入れた食材は対流する熱風によって加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-053544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器においては、調理庫内で上下に多段状に収容されたトレイの食材は食材収容室と熱風送風室とを循環する熱風によって加熱調理される。仕切板の吸込口は上下方向の中央部が最も開口の割合が高いので、食材収容室内の上下方向の中央部の高さは対流する熱風が多く通り、食材収容室の上下方向の中央部に配置されるトレイの食材は多く熱が加えられる。また、仕切板の上下端と、調理庫の天井壁と底壁との間に通風路が形成されているので、食材収容室内の上下部は熱風生成室から送出される熱風が通るため、食材収容室の上下部に配置されるトレイの食材も多く熱が加えられる。このように、食材収容室の上下方向の中央部と上下部に収容したトレイの食材は多くの熱が加えられる。
【0006】
これに対し、食材収容室の上下方向の中央部と上部との間、中央部と下部との間には調理庫内を対流する熱風が中央部及び上下部と比べて少ない。このため、中央部と上部との間に配置されるトレイの食材と、中央部と下部との間に配置されるトレイの食材は、中央部と上下部に配置されるトレイの食材に対して加えられる熱が少なく、調理庫内に上下に多段状に収容された各トレイの食材が収容される高さ位置の違いで加熱具合の異なる、所謂、焼きむらが生じるおそれがあった。本発明は、調理庫内に上下に多段状に収容された各トレイの食材が収容される高さ位置の違いで加熱具合の異なる現象である、所謂、焼きむらを生じにくくさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、一方の側部を熱風を生成する熱風生成室とし、他方の側部を含む残る部分を食材を収容する食材収容室として、熱風生成室から送り出される熱風によって食材収容室内の食材を加熱調理する調理庫と、中央部に食材収容室から熱風生成室に空気を吸い込む円形の吸込口を有するとともに、少なくとも上下側に熱風生成室にて生成した熱風を送り出す通風路を有して、熱風生成室と食材収容室とを通風可能に仕切る仕切板と、熱風生成室内に設けられて、吸込口から吸い込んだ食材収容室の空気を遠心方向外向きに吹き出して通風路から食材収容室に送り出し、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、熱風生成室内に設けられて、対流ファンにより送り出される空気を加熱するヒータと、食材収容室内にて食材を入れた複数のトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレームとを備えた加熱調理器であって、仕切板には吸込口の上下方向の中央部よりも上側及び下側の高さ位置にて食材収容室内の空気を熱風生成室内に吸い込むための補助開口部を形成したことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、仕切板の吸込口は上下方向の中央部より上側及び下側で開口の割合が低くなっているために、食材収容室の上下部の中央部より上側及び下側は中央部より熱風が通りにくくなっているが、仕切板には吸込口の上下方向の中央部よりも上側及び下側の高さ位置にて食材収容室内の空気を熱風生成室内に吸い込むための補助開口部を形成した。これにより、食材収容室の上下部の中央部より上側及び下側は吸込口だけでなく補助開口部を熱風が通過するようになり、食材収容室の上下方向の中央部より上側及び下側に配置されるトレイの食材は上下方向の中央部と同じ程度の熱が加えられるようになり、食材収容室内のトレイの食材は上下の収容位置で加熱具合の異なる、所謂焼きむらが生じにくくなった。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、補助開口部は水平方向に延びる複数の長孔を用いるのが好ましい。このようにしたときには、補助開口部に丸孔を用いたときよりも孔の数を少なくすることができるので、補助開口部の加工を容易とすることができた。補助開口部を構成する長孔を水平方向及び上下方向に複数配置したものであるときには、複数の長孔の水平方向及び上下方向の間隔を長孔の幅の長さ以上とするのが好ましい。このようにしたときには、仕切板に補助開口部を形成しても強度を保つことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】支持フレームを取り外したときのA-A断面図である。
図6】仕切板と支持フレームとを取り外したときのA-A断面図である。
図7】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図8】調理庫の天井壁の上面に配設された加湿ノズルの給水管を示す斜視図である。
図9】制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0012】
図2及び図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。図3図5に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられている。調理庫20内の左側部には熱風生成室22内で熱風を生成するヒータ25と、対流ファン26が設けられている。
【0013】
図4及び図5に示したように、仕切板23の上下方向の中央部には吸込口23aが設けられており、吸込口23aは多数の開口部23a4が円形に配置されて全体として円形をしている。吸込口23aは、熱風生成室22内の対流ファン26と対向する位置に形成されており、対流ファン26を作動させたときに食材収容室21内の空気を熱風生成室22内に吸い込むときの通路の機能を有している。この実施形態の吸込口23aは円形の開口23a1と、金属製の渦巻形線材23a2と、放射状に配置される4本の直線状線材23a3とを備え、渦巻形線材23a2と直線状線材23a3によって仕切られた多数の円弧形の開口部23a4が円形に配置されるようにしたものである。なお、吸込口23aは円形の開口23a1に渦巻形線材23a2と直線状線材23a3を取り付けることで円弧形の開口部23a4を円形に配置したものに限られるものでなく、多数の丸孔、長孔または矩形孔よりなる開口部を円形に配置したものであってもよい。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に通風路23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、通風路23bは対流ファン26を作動させたときに熱風生成室22の空気を食材収容室21に送出するときの通路の機能を有している。
【0014】
図5に示したように、仕切板23の吸込口23aは多数の開口部23a4が円形に配置されて全体として円形をしたものであり、吸込口23aは上下方向の中央部で開口の割合が高く、中央部から上側及び下側に進むと徐々に開口の割合が低くなる。このため、食材収容室21内から吸込口23aを通る空気は、上下方向の中央部で多くなっており、中央部から上側及び下側に進むと徐々に少なくなっている。仕切板23の上下方向の中央部より上側及び下側には補助開口部23cが形成されており、補助開口部23cは吸込口23aの開口割合が低くなる上下方向の中央部より上側及び下側に配置されている。また、補助開口部23cは吸込口23aと同一平面上に形成され、吸込口23aの上下方向の範囲内に形成されている。上述したように、吸込口23aを通過する空気は、上下方向の中央部で多くなっており、中央部から上側及び下側に進むと徐々に少なくなっているが、補助開口部23cは吸込口23aの開口割合の低くなる上下方向の中央部より上側及び下側に形成されているので、食材収容室21内から吸込口23aと補助開口部23cを通る空気は上下方向にばらつきの少ない状態で熱風生成室22に吸い込まれる。
【0015】
図2図4に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24はトレイを上下に6段で支持するものであり、図4及び図5には支持フレーム24によって支持されるトレイの高さ位置を上側から順にT1~T6で示した。支持フレーム24は曲げ加工をした金属製線材(金属製ワイヤ材)を用いたものであり、各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
【0016】
図3及び図6に示したように、調理庫20の左側部にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は調理庫20を加熱するものであり、対流ファン26は調理庫20内の空気を対流させるものである。ヒータ25は調理庫20の左側壁に環状に形成されている。また、環状に形成されたヒータ25の内側には対流ファン26が配置されている。対流ファン26は、遠心ファンが採用されており、左右方向に延びる回転軸を中心に回転するように調理庫20の左側壁に取り付けられている。ヒータ25と対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は吸込口23a及び補助開口部23cを通って熱風生成室22に送られ、対流ファン26から遠心方向外向きに吹き出された空気は熱風生成室22内にてヒータ25によって加熱されて熱風となり、加熱された熱風は仕切板23と調理庫20の各壁との間の通風路23bを通って食材収容室21に送られる。図6に示したように、調理庫20の左側壁には温度センサ27が設けられており、温度センサ27は調理庫20内の温度を検出するものである。
【0017】
図7に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク14の上側に立設している。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図6に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0018】
図3に示したように、調理庫20の天井壁には加湿ノズル34が設けられており、加湿ノズル34は手動操作によって調理庫20内を一時的に加湿するものである。加湿ノズル34は、調理庫20の熱風生成室22の天井壁から下側に突出する円筒形をしており、仕切板23の左側に配置されている。図7に示したように、加湿ノズル34には水道等の給水源から水を供給する給水管35に接続されており、給水管35には給水弁36が介装されている。図8に示したように、給水管35の一部は調理庫20の天井壁の上面に沿って配設されており、給水管35から加湿ノズル34に送られる水は調理庫20の天井壁の上面を通過するときに温められる。
【0019】
加湿ノズル34の先端には噴射口が形成されており、噴射口は仕切板23に向けて開口している。加湿ノズル34の噴射口から噴射される水は先ず仕切板23に当てられ、仕切板23を流れ落ちる水は対流ファン26に吸い込まれて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された水は外側のヒータ25によって加熱されて蒸気となる。この加湿ノズル34は天井壁に設けられていて、仕切板23に向けて斜め下方に水を噴射するものであるので、水圧の影響を受けることなく安定して水を噴射できる。また、仕切板23に向けて水を噴射しているので、食材収容室21内に収容したトレイの食材に水がかからないようにすることができる。また、ヒータ25に水を直接噴射せずに、仕切板23に向けて水を噴射しているので、ヒータ25が加湿のための水により急激な温度変化をするのを防ぐことができる。
【0020】
図9に示したように、加熱調理器10は制御装置40を備えており、制御装置40は、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置30及び給水弁36に接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0021】
制御装置40は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0022】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、食材収容室21内の空気は吸込口23a及び補助開口部23cを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は対流ファン26から遠心方向外向きに吹き出され、遠心方向外向きに吹き出された空気はヒータ25の周囲を通過するときに加熱され、加熱された空気は熱風となって通風路23bを通って食材収容室21に送られる。調理庫20内の空気は対流ファン26によって食材収容室21と熱風生成室22とを循環する過程でヒータ25によって加熱されて熱風となって調理庫20を対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。
【0023】
また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ホットエアーモード調理プログラムを実行したときと同様に、調理庫20内の空気は対流ファン26によって食材収容室21と熱風生成室22とを循環する過程でヒータ25によって加熱されて熱風となって調理庫20内を対流し、蒸気発生装置30から調理庫20内に蒸気が供給されることで、調理庫20内に収容した食材は対流する蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0024】
上記のように構成した加熱調理器10は、一方の側部を熱風を生成する熱風生成室22とし、他方の側部を含む残る部分を食材を収容する食材収容室21として、熱風生成室22から送り出される熱風によって食材収容室21内の食材を加熱調理する調理庫20とを備えている。また、加熱調理器10は、中央部に多数の開口部23a4が円形に配置されて食材収容室21から熱風生成室22に空気を吸い込む吸込口23aを有するとともに、上下及び前後側に熱風生成室22にて生成した熱風を送り出す通風路23bを有して、熱風生成室22と食材収容室21とを通風可能に仕切る仕切板23と、熱風生成室22内にて吸込口23aから吸い込んだ食材収容室21の空気を遠心方向外向きに吹き出して通風路23bから食材収容室21に送り出す対流ファン26と、熱風生成室22内にて対流ファン26により送り出される空気を加熱するヒータ25と、食材収容室21内にて食材を入れたトレイを上下に6段で(多段状に)支持する左右一対の支持フレーム24とを備えている。
【0025】
仕切板23の吸込口23aは、円形に形成されているため、上下方向の中央部で最も開口の割合が高く、中央部の上側及び下側で開口の割合が低くなる。食材収容室21から吸込口23aを通って熱風生成室22内に流入する熱風(空気)は、上下方向の中央部で多く、中央部より上側及び下側になると少なくなっている。吸込口23aの上下方向の中央部と同じ高さに収容される3及び4段目のトレイT3,T4の周囲は吸込口23aに流入する熱風が最も多く通過し、これより上側及び下側の2及び5段目のトレイT2,T5の周囲は3及び4段目のトレイT3,T4より吸込口23aに流入する熱風が少なくなっている。
【0026】
この加熱調理器10では、トレイを収容する高さ位置で加熱具合の異なる、所謂、焼きむらを生じにくくするために、仕切板23には円形の吸込口23aの上下方向の中央部よりも開口割合の低くなる上側及び下側の高さ位置に補助開口部23cを形成している。上述したように、吸込口23aの上下方向の中央部と同じ高さに収容される3及び4段目のトレイT3,T4の周囲には吸込口23aを通過する熱風が多くなっているが、これより上側及び下側の2及び5段目のトレイT2,T5には吸込口23aを通過する熱風だけでなく、補助開口部23cを通過する熱風も通過するようになる。これによって、食材収容室21の上下方向の中央部より上側及び下側に配置されるトレイT2,T5の食材は上下方向の中央部のトレイT3,T4と同じ程度の熱が加えられるようになり、食材収容室21内のトレイの食材は上下の収容位置で加熱具合の異なる、所謂、焼きむらが生じにくくなった。なお、最も上側及び下側の1及び6段目のトレイT1,T6の周囲には、熱風生成室22から上下側の通風路23bを通って送られる熱風が通過するので、1及び6段目のトレイT1,T6は上下方向の中央部のトレイT3,T4と同じ程度の熱が加えられるようになっている。
【0027】
また、補助開口部23cは水平方向に延びる複数の長孔を用いているので、補助開口部23cに丸孔を用いたときよりも孔の数を少なくすることができ、補助開口部23cの加工を容易とすることができた。また、補助開口部23cを構成する長孔を水平方向及び上下方向に複数配置したものであり、複数の長孔の水平方向及び上下方向の間隔を長孔の幅の長さ以上としている。これによって、仕切板23に補助開口部23cを形成しても強度を保つことができるようになった。
【0028】
上記の実施形態の加熱調理器10においては、調理庫20の一方の側部として左側部を熱風を生成する熱風生成室22とし、他方の側部として右側部を含む残る部分を食材を収容する食材収容室21としているが、本発明はこれに限られるものでなく、調理庫20の一方の側部として右側部または後側部を熱風を生成する熱風生成室22とし、他方の側部として左側部または前側部を含む残る部分を食材を収容する食材収容室21としたものであってもよい。
【0029】
上記の実施形態の加熱調理器10においては、通風路23bは仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に形成されているが、本発明はこれに限られるものでなく、通風路23bは仕切板23と調理庫20の少なくとも天井壁と底壁との間に形成されたものであればよい。
【符号の説明】
【0030】
10…加熱調理器、20…調理庫、21…食材収容室、22…熱風生成室、23…仕切板、23a…吸込口、23b…通風路、23c…補助開口部、24…支持フレーム、25…ヒータ、26…対流ファン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9