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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20230619BHJP
   F24C 15/14 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
F24C1/00 330Z
F24C15/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019147269
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028547
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔太郎
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156922(JP,A)
【文献】特開2010-190475(JP,A)
【文献】実開昭62-73177(JP,U)
【文献】特開2008-157421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
F24C 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にて前面に食材を出し入れする開口部を有した調理庫と、
前記開口部から前記調理庫内に向けて使用者が散水して前記調理庫内を洗浄し得る洗浄シャワー装置と、を備え、
前記洗浄シャワー装置は、
洗浄水の給水管に接続されて前記給水管を開閉する給水弁と、
前記給水弁の下流側に接続されて前記洗浄水の圧力を下げる減圧弁と、
一端側が接続部を介して前記減圧弁の下流側に接続されたホースと、
前記ホースの他端側に接続されたシャワー本体と、を備えた加熱調理器であって、
前記給水弁及び前記接続部は、前記ハウジングの側部または底部にブラケットを介して固定されたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記ブラケットは、前記側部または前記底部に固定されるベースと、前記給水弁及び前記接続部を前記ベースとの間で挟持するカバーと、を有し、
前記接続部は、前記ホースの一端側が有し前記減圧弁にねじ締結された締結ナットであって、前記締結ナットは、前記カバーが有した平坦部により回転不能に押圧されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
前記シャワー本体は、
前記洗浄水が噴出し得る先端部と、
前記ホースの他端側が接続された基端部と、
前記先端部と前記基端部の間に設けられ前記使用者が把持し得る把持部と、
を備え、
前記ハウジングの側壁には、
前記先端部及び前記把持部を保持するとともに前記把持部よりも前記先端部側または前記基端部側の少なくとも一方の中間部を保持するホルダが取り付けられたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項3に記載の加熱調理器において、
前記ホルダは、前記先端部を係止可能な第1切欠部と、前記把持部及び前記中間部を係止可能な第2切欠部と、を有したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項3または4に記載の加熱調理器において、
前記加熱調理器の設置状態上下方向においては、前記シャワー本体と前記ホルダのそれぞれの最上部は、ほぼ同位置にあることを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1に開示されている加熱調理器は、ユーザが調理庫内を洗浄するときに使用するシャワーを備えている。このシャワーは、シャワーホースの先端部にシャワーノズルを取り付けたものであり、その基端部には水道等の給水源に接続された給水管が減圧弁や給水弁を介在させて接続されている。
【0003】
このようなシャワーノズルは、ホルダを介して加熱調理器の側部に保持され、シャワーホースの基端部は、ブラケットにより加熱調理器の底部に取り付けられる給水弁を介して固定されている。また減圧弁は、給水弁の上流側に取り付けられ、さらに減圧弁の上流側に給水管が接続されている。つまり、給水源の上流側から下流側に向かって、給水管、減圧弁、給水弁、シャワーホースの基端部、シャワーホースの先端部、シャワーノズルの順に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-156922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、水道水等の洗浄水を供給する給水管は、一般的には、加熱調理器を設置する厨房内等に設けられている。また、特許文献1の加熱調理器では、上流側に給水管が直接取り付けられる減圧弁は、下流側の給水弁に接続されてブラケットを介して加熱調理器の底部に間接的に固定されている。
【0006】
このような加熱調理器のシャワーホースに給水弁や減圧弁等を介して給水管を取り付ける作業が厨房内等の設置現場で行われた場合には、ねじ締結時の締付けトルクの管理は作業者に委ねられる。そのため、給水管と減圧弁のねじ締結時の締付けトルクの管理が十分には行われにくいことから、給水管の取付作業時において、過剰な締付けトルクが減圧弁に加わった場合には減圧弁が破損するおそれがあった。このような破損は減圧弁を金属製のものに変更することで抑制することもできるが、コストの上昇を招いてしまう。
【0007】
また、ユーザが調理庫内を洗浄するときにシャワーホースの先端部のシャワーノズルを手で持ちそれを上下左右に動かして庫内に散水する動作が行われた場合には、その動作がシャワーホースの基端部を回動させることがある。そのため、加熱調理器の底部にブラケットを介して固定される給水弁に対して、シャワーホースの基端部が回動すると、給水弁の下流側とシャワーホースの基端部とのねじ締結が緩んでしまうおそれがあった。
【0008】
さらに、特許文献1の加熱調理器は、シャワーノズルの先端部だけがホルダに保持される構成である(特許文献1;図6)。そのため、ホルダからシャワーノズルを簡単に取り外せる一方で、シャワーノズルを安定的にホルダに保持することが難しい。また、シャワーノズル以外に、例えば、シャワーホースの余剰長部分をホルダに保持させようとしてもできないという問題があった。本発明は、給水管の接続時に減圧弁に加わる力を軽減させることを目的とする。また、本発明の別の目的は、洗浄シャワー装置のシャワー本体をホルダに安定して保持させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジング内にて前面に食材を出し入れする開口部を有した調理庫と、開口部から調理庫内に向けて使用者が散水して調理庫内を洗浄し得る洗浄シャワー装置と、を備え、洗浄シャワー装置は、洗浄水の給水管に接続されて給水管を開閉する給水弁と、給水弁の下流側に接続されて洗浄水の圧力を下げる減圧弁と、一端側が接続部を介して減圧弁の下流側に接続されたホースと、ホースの他端側に接続されたシャワー本体と、を備えた加熱調理器であって、給水弁及び接続部は、ハウジングの側部または底部にブラケットを介して固定されたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、洗浄水の給水管に接続されて給水管を開閉する給水弁と、給水弁の下流側に接続されて洗浄水の圧力を下げる減圧弁と、一端側が接続部を介して減圧弁の下流側に接続されたホースと、ホースの他端側に接続されたシャワー本体と、を備えた。つまり、洗浄水の上流側から下流側に向かって、給水管、給水弁、減圧弁、ホースの一端側、ホースの他端側、シャワー本体の順に接続されている。そして、給水弁及び接続部は、ハウジングの側部または底部にブラケットを介して固定されるようにした。
【0011】
これにより、減圧弁は、ブラケットを介してハウジングの側部または底部に固定されないものの、減圧弁の上流側の給水弁と、減圧弁の下流側とホースの一端側との接続部とが、いずれもハウジングの側部または底部にブラケットを介して固定される。そのため、例えば、給水管の取付作業時において、過剰な締付けトルクが減圧弁に加わることがない。したがって、給水管の接続時に減圧弁に加わる力を軽減させることができた。また、減圧弁の下流側とホースの一端側との接続部は、ハウジングの側部または底部にブラケットを介して固定される。そのため、ユーザの洗浄作業等によってホースの一端側が回動しようとしてもそれを阻止することができた。
【0012】
上記のように構成した加熱調理器においては、ブラケットは、側部または底部に固定されるベースと、給水弁及び接続部をベースとの間で挟持するカバーと、を有し、接続部は、ホースの一端側が有し減圧弁にねじ締結された締結ナットであって、締結ナットは、カバーが有した平坦部により回転不能に押圧されるのが好ましい。これにより、ベースと、カバーが有した平坦部と、カバーと、という簡素な構成でありながら、接続部である締結ナットをカバーの平坦部で回転不能に押圧して回転を阻止することができた。
【0013】
上記のように構成した加熱調理器においては、シャワー本体は、洗浄水が噴出し得る先端部と、ホースの他端側が接続された基端部と、先端部と基端部の間に設けられ使用者が把持し得る把持部と、を備え、ハウジングの側壁には、先端部及び把持部を保持するとともに把持部よりも先端部側または基端部側の少なくとも一方の中間部を保持するホルダが取り付けられるようにした。これにより、ハウジングの側壁のホルダは、シャワー本体の、先端部、把持部及び中間部(把持部よりも先端部側または基端部側の少なくとも一方)を保持する。したがって、例えば、シャワー本体の先端部だけがホルダに保持される場合と比べて、把持部や中間部もホルダに保持されるため、洗浄シャワー装置のシャワー本体をホルダに安定して保持させることができた。
【0014】
上記のように構成した加熱調理器においては、ホルダは、先端部を係止可能な第1切欠部と、把持部及び中間部を係止可能な第2切欠部と、を有するのが好ましい。これにより、第1切欠部により先端部を係止(保持)し、第2切欠部により把持部及び中間部を係止(保持)する。
【0015】
上記のように構成した加熱調理器では、加熱調理器の設置状態上下方向においては、シャワー本体とホルダのそれぞれの最上部は、ほぼ同位置にあるのが好ましい。これにより、シャワー本体とホルダのそれぞれの最上部に、例えば、ホースの余剰長部分を載置することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】仕切板と支持フレームとを取り外したときのA-A断面図である。
図6】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図7】加熱調理器を左前底方向から見た斜視図である。
図8図7のハンドシャワー、給水バルブ、減圧バルブ及びバルブブラケットをハウジングから取り外した状態の分解図である。
図9】給水バルブ、減圧バルブ及びバルブブラケットの組付工程を表した説明図である。
図10】シャワーホルダの正面図(a)と、背面図(b)と、平面図(c)と、側面図(d)と、斜視図(e)である。
図11】ハンドシャワー取り付け後の左側面やや上方から、加熱調理器の機械室部分を見た斜視図(a)と、(a)のシャワーホルダ部分を拡大した平面図(b)である。
図12図11のシャワーホルダ部分をさらに拡大してシャワー装置を想像線で表した斜視図(a)と平面図(b)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。
【0018】
なお、本明細書において、「前側」や「前方」の表現は図中に表した「矢印FRONT」の方向に対応する。同様に、「後側」や「後方」の表現は図中の「矢印REAR」の方向に、また「右側」や「右方」の表現は図中の「矢印RIGHT」の方向に、また「左側」や「左方」の表現は図中の「矢印LEFT」の方向に、また「上側」や「上方」の表現は図中の「矢印UP」の方向に、また「下側や下方」の表現は図中の「矢印DOWN」の方向に、それぞれ対応する。
【0019】
図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には、食材を出し入れする開口部20aが設けられている。この実施形態では、開口部20aは、開口形状として矩形を有するようにハウジング11が構成されている。
【0020】
また、この実施形態では、開口部20aから調理庫20内に向けてユーザが散水して調理庫20内を洗浄することができるシャワー装置80が設けられていて、ハウジング11の側面パネル11aに設けられたシャワーホルダ50に保持されている。図2に示したように、ハウジング11には、矩形状の開口部20aを開閉自在に塞ぐ扉13が回動自在に軸支されている。
【0021】
図2及び図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものである。調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。
【0022】
図3及び図4に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられている。仕切板23には多数の開口よりなる吸込口23aが設けられており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に通風路23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0023】
図2図4に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
【0024】
図3及び図5に示したように、調理庫20の左側部にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は調理庫20を加熱するものであり、対流ファン26は調理庫20内の空気を対流させるものである。ヒータ25は調理庫20の左側壁に環状に巻回されている。また、環状に巻回されたヒータ25の内側には対流ファン26が配置されている。調理庫20の左側壁には温度センサ27が設けられており、温度センサ27は調理庫20内の温度を検出するものである。
【0025】
ヒータ25と対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。対流ファン26から遠心方向外向きに吹き出された空気は、熱風生成室22内にてヒータ25によって加熱されて熱風となり、加熱された熱風は仕切板23と調理庫20の各壁との間の通風路23bを通って食材収容室21に送られる。ヒータ25や対流ファン26の駆動制御は、ユーザが選択する調理モードの調理プログラムに基づいて制御装置(図示省略)が行うように構成されており、温度センサ27により検出された庫内温度の情報は、このような駆動制御に用いられる。
【0026】
図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、電磁誘導による誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク14の上側に立設している。この実施形態では誘導加熱式の構成を例示するが、ガス加熱式のものもある。
【0027】
例えば、蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図5に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0028】
図3及び図4に示したように、調理庫20の天井壁には洗浄ノズル40が設けられ、調理庫20の底壁には排水口20cが形成されている。排水口20cは第1排水管15によって排水タンク14に接続されている。排水タンク14には第2排水管16が接続されており、第2排水管16には排水弁17が介装されている。排水タンク14内の水は排水弁17を開放することで第2排水管16を通ってハウジング11の外部に排出される。
【0029】
また、第2排水管16には排水弁17よりも上流側に洗浄水供給管41の導入端部が接続されており、洗浄水供給管41の導出端部は調理庫20の天井壁に設けた洗浄ノズル40に接続されている。洗浄水供給管41にはポンプが介装されており、排水タンク14内に貯めた洗浄水はこのポンプによって洗浄ノズル40に送られる。排水タンク14には、水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管が給水弁を介して接続されている。ポンプ、給水管や給水弁は図示されていない。
【0030】
図7に示したように、側面パネル11aのシャワーホルダ50に保持されるシャワー装置80も、排水タンク14と同様に、水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管(図示省略)が給水バルブ45及び減圧バルブ47を介して接続されている。給水バルブ45及び減圧バルブ47は、後述するように、バルブブラケット60によってハウジング11の底面パネル11bに取り付けられて底面パネル11bに固定されている。
【0031】
なお、バルブブラケット60は、ハウジング11の側面パネル11aや背面パネル11cに取り付けられて給水バルブ45や減圧バルブ47を側面パネル11aや背面パネル11cに固定してもよい。また、底面パネル11bには、電源ケーブル等を収容する収容箱18も取り付けられている。この収容箱18は、減圧バルブ47に接続されたシャワーホース90の引出し方向を左側に案内する役割も担っている。
【0032】
図8及び図9に示したように、シャワー装置80は、洗浄水を供給する給水管(図示省略)に接続可能な入力端45aを有する給水バルブ45と、給水バルブ45の出力端45bに入力端47aが接続される減圧バルブ47と、減圧バルブ47の出力端47bに一端側90aがユニオンナット91を介して接続されるシャワーホース90と、シャワーホース90の他端側90bに接続部83が接続されるシャワー本体81と、により構成されている。この実施形態では、ユニオンナット91は、シャワーホース90の一端側90aに固定されており、このユニオンナット91及び給水バルブ45はバルブブラケット60を介してハウジング11の底面パネル11bに取り付けられている。
【0033】
シャワー本体81は、洗浄水が噴出し得るノズル部82と、シャワーホース90の他端側90bに設けられているジョイント部92が接続された接続部83と、ノズル部82と接続部83の間に設けられユーザが把持し得る把持部84と、把持部84に近づく方向に操作されるとノズル部82から洗浄水が噴出する噴射レバー86と、を備えている。ジョイント部92にはシャワーホース90から所定圧の洗浄水が供給されており、この洗浄水は、シャワー本体81内に設けられる噴射バルブ(図示省略)の開弁によりノズル部82から噴出される。噴射バルブの開閉や開度は噴射レバー86により制御される。
【0034】
噴射レバー86は、コイルスプリング(図示省略)によって開き方向(把持部84から離れる方向)に付勢されている。そのため、操作がない状態においては噴射バルブは閉弁状態を維持する。これに対して、例えば、把持部84と噴射レバー86の両者を握るようにユーザが噴射レバー86を閉じ方向(把持部84に近づく方向)に操作して、両者間の離隔距離が所定値以下になると噴射バルブが開弁する。噴射バルブは、把持部84と噴射レバー86の離隔距離が小さくなるに従って開度が大きくなるように構成されている。
【0035】
このように構成されるシャワー本体81は、ハウジング11の側面パネル11aに取り付けられているシャワーホルダ50に保持され得るように構成されている。シャワーホルダ50は、後述するように、ノズル部82と把持部84を保持するとともに把持部84よりもノズル部82側または把持部84よりも接続部83側の中間部85も保持するように構成されている。
【0036】
バルブブラケット60は、ブラケットベース61とブラケットカバー71により、主に給水バルブ45を挟持してハウジング11の底面パネル11bに取り付けるものである。この実施形態では、例えば、板厚1mmのステンレス鋼板を板金加工してブラケットベース61及びブラケットカバー71を形成している。
【0037】
図9(a)に示したように、ブラケットベース61は、横長矩形状でありハウジング11の底面パネル11bにねじ締結され得るベースプレート62を中心に、フランジ部63、第1保持壁64、挟持板66及び第2保持壁67により構成されている。ベースプレート62には、底面パネル11bにねじ締結してベースプレート62を底面パネル11bに固定し得るボルトを挿通可能な貫通孔62aが2箇所に形成されている。
【0038】
底面パネル11bにベースプレート62が取り付けられた状態において、ベースプレート62の左側には下方に直角に折り曲げられたフランジ部63が形成されている。このフランジ部63には、ベースプレート62の前後方向に2箇所に雌ねじ孔63aが形成されている。同様にベースプレート62の後側には第1保持壁64が下方に直角に折り曲げられて形成され、さらに第1保持壁64の右側には後方に直角に折り曲げられた挟持板66が形成されている。これに対して、ベースプレート62の前側には第2保持壁67が下方に折り曲げられて形成されている。
【0039】
ブラケットカバー71は、片仮名「コ」を反時計回りに90度回転させて前後方向に引き延ばした板形状を有するカバープレート72を中心に、フランジ部76及びストッパ部78により構成されている。カバープレート72には、ベースプレート62の雌ねじ孔63aに螺合して両者をねじ締結するボルト79が挿通可能な貫通孔74が2箇所に形成されている。
【0040】
底面パネル11bにカバープレート72が取り付けられた状態において、カバープレート72の後側には給水バルブ45のハンドル45cを挿通可能なハンドル挿通穴73が形成され、さらにその下側には右方に直角に折り曲げられたフランジ部76が形成されている。同様にカバープレート72の前側下側には右方に所定角度で折り曲げられたストッパ部78が形成されている。
【0041】
ストッパ部78の所定角度は、ねじ締結時のユニオンナット91のねじ頭の外側面の傾斜角度に設定されている。例えば、ユニオンナット91のねじ頭の外側面が6面(ねじ頭の軸方向形状が正六角形)である場合には、所定角度は120度に設定される。また、同ねじ頭の外側面が8面(ねじ頭の軸方向形状が正八角形)である場合には、所定角度は135度に設定される。
【0042】
第1保持壁64には、左側に開口して左右方向に形成されるコ字溝65が設けられている。このコ字溝65には給水バルブ45が係止される。第2保持壁67にも、左側に開口して左右方向に形成されるV字溝68が設けられている。このV字溝68には、シャワーホース90のユニオンナット91の近傍部分が係止される。
【0043】
図9においては、ブラケットベース61は、ハウジング11の底面パネル11bから取り外された状態で表現したが、実機では、ブラケットベース61は、底面パネル11bに取り付けられた状態で、ブラケットカバー71が組み付けられる。
【0044】
即ち、加熱調理器10を設置する厨房内等に設けられている給水管(図示省略)に対して、まず給水バルブ45の入力端45aを接続し、その後、図9(a)に示したように、減圧バルブ47の入力端47aに給水バルブ45の出力端45bを接続し、さらに減圧バルブ47の出力端47bにシャワーホース90のユニオンナット91を接続する。給水バルブ45からハンドル45cを、一旦、取り外した後、そのハンドル45cをブラケットカバー71のハンドル挿通穴73に通し再び給水バルブ45に取り付ける。これにより、ブラケットカバー71に給水バルブ45が取り付けられる(図9(b)参照)。
【0045】
そして、底面パネル11bに取り付けられたブラケットベース61に対して、ブラケットカバー71に取り付け済みの給水バルブ45を挟持板66で挟み込むようにしてコ字溝65内に収容し、またシャワーホース90のユニオンナット91の近傍部分をV字溝68内に収容する(図9(c)参照)。その後、ブラケットベース61とブラケットカバー71をボルト79によりねじ締結することで、給水バルブ45、減圧バルブ47及びユニオンナット91は、ブラケットベース61とブラケットカバー71とに挟持された状態で、底面パネル11bに取り付けられる。
【0046】
このような組付工程によりバルブブラケット60に給水バルブ45等を取り付けることによって、厨房内等の設置現場においては、現地の給水管(図示省略)に対して、給水バルブ45、減圧バルブ47、シャワーホース90、ブラケットカバー71、ブラケットベース61の順に組み付けることができるようになった。
【0047】
また、ブラケットベース61とブラケットカバー71により挟持されるのは、給水バルブ45とシャワーホース90のユニオンナット91であるため、現地の給水管(図示省略)に対して、給水バルブ45等を組み付ける際に、減圧バルブ47に過大な力が加わりにくくなった。そのため、減圧バルブ47として、バルブハウジング等を金属製から樹脂製のものに変更することが可能になるので、部品単価を下げることができコストダウンに繋げることができた。
【0048】
また、このようにブラケットベース61とブラケットカバー71により構成されるバルブブラケット60により、給水バルブ45、減圧バルブ47及びユニオンナット91が挟持された状態においては、ブラケットカバー71のフランジ部76が給水バルブ45の側面に当接し、またストッパ部78がユニオンナット91のねじ頭の外側面にほぼ面で押し付けられた状態で当接する。これにより、ユニオンナット91は、ストッパ部78により回転不能に押圧されるため、例えば、ユーザがシャワー本体81で調理庫20内を洗浄する作業等を行っても、シャワーホース90の動きに伴ったユニオンナット91の回動が阻止される。したがって、このような場合のユニオンナット91の緩みが防止できた。
【0049】
さらに、第1保持壁64のコ字溝65と第2保持壁67のV字溝68は、いずれも左側に開口しており、またブラケットベース61に対してブラケットカバー71も側面パネル11a側から取り付け取り外しが可能である。そのため、ブラケットベース61に対して給水バルブ45等が付いたブラケットカバー71を側面パネル11a側から容易に着脱することができるようになった。
【0050】
図10図12に示したように、ハウジング11の側面パネル11aにおいてシャワー本体81を保持するシャワーホルダ50も、バルブブラケット60と同様にステンレス鋼板を板金加工して構成したものである。シャワーホルダ50は、例えば、板厚1.5mm~2.0mmのステンレス鋼板を加工して形成される。
【0051】
この実施形態では、シャワーホルダ50は、平面視において片仮名「コ」を時計回りに180度回転させた形状を有するホルダ本体51と、その両端に形成されるフランジ部52,53とにより構成されている(図10(c)参照)。フランジ部52,53は、シャワーホルダ50を側面パネル11aに取り付け固定するために設けられており、ねじ締結用のボルトを挿通可能な貫通孔54が4箇所に形成されている。
【0052】
ホルダ本体51のうち、前方を向く前壁部51aには、Y字溝55が形成されている。この実施形態では、Y字溝55は、溝幅Waが広い溝開口部55aと、溝幅Wbが狭い溝底部55bと、両溝をテーパ状に接続する溝中間部55cの段差部58と、により構成されている。これらの溝幅Wa,Wbは、シャワー本体81や把持部84の外形寸法に基づいて決定されている。
【0053】
図12(b)に示したように、溝開口部55aの開口幅である溝幅Waは、シャワー本体81の大径部81aの外幅Daよりも僅かに大きく設定されている。また溝底部55bに繋がる溝幅Wbは、円柱形状を有する把持部84の外幅Dbよりも僅かに大きく設定されている。このように溝幅Wa,Wbが設定されることによって、前壁部51aのY字溝55の溝開口部55aではシャワー本体81の大径部81aを保持することが可能になり、またY字溝55の溝底部55bでは把持部84を保持することが可能になる。
【0054】
一方、後方を向く後壁部51bにおいては、U字溝57が形成されている。U字溝57は、溝開口部57aから溝底部57bまで同じ溝幅Wcであり、シャワー本体81のノズル部82に近傍の小径部81bの外幅Dcよりも大きく、かつ、ノズル部82の外幅Ddよりも小さく設定されている。これにより、後壁部51bのU字溝57ではシャワー本体81のノズル部82の近傍を保持することが可能になる。
【0055】
このようにシャワーホルダ50が有するY字溝55とU字溝57では、シャワー装置80のシャワー本体81に対して、3箇所(大径部81a、小径部81b、把持部84)を保持する。これにより、例えば、シャワー本体81のノズル部82だけがシャワーホルダ50に保持される場合と比べ、把持部84や大径部81aもシャワーホルダ50に保持される。そのため、シャワーホルダ50に保持されたシャワー本体81が左右方向に振れるガタついたり、ノズル部82を中心に回動したりするのを防ぐので、シャワー装置80のシャワー本体81をシャワーホルダ50に安定して保持させることができた。
【0056】
また、図11(a)に示した一点鎖線Jが表しているように、シャワーホルダ50は、加熱調理器10の設置面に対してシャワー本体81をほぼ水平に保持することができるようにY字溝55やU字溝57の溝深さが設定されている。これにより、シャワー本体81をさらに安定して保持することができた。
【0057】
さらに、図11(b)に示したように、シャワーホルダ50に保持されたシャワー本体81と側面パネル11aとの間には、シャワーホース90の太さ相当分の隙間Sが形成されるようにシャワーホルダ50が構成されている。これにより、例えば、シャワーホルダ50の上側に最も高い部分、つまり最上部59よりもシャワー本体81の一部が上方に突出する場合があっても、このような隙間Sに巻回したシャワーホース90が掛けられるようになった。
【0058】
この実施形態では、図12(a)に示したように、シャワーホルダ50にシャワー本体81を保持させた場合にシャワーホルダ50の最上部59とシャワー本体81の最上部89とがほぼ同じ高さになるようにY字溝55やU字溝57が溝深さが設定されている。そのため、例えば、シャワーホルダ50にシャワー本体81を保持させた状態であっても、一点鎖線Kで表したようにシャワーホルダ50の最上部59を超えてシャワー本体81が突出したりしない。これにより、シャワー本体81を保持した状態でもシャワーホルダ50の上に物を置くことができる。例えば、2~3回巻に巻回したシャワーホース90の余剰長部分をシャワーホルダ50に掛けたり載置したりすることができるようになった。
【0059】
上記のように構成した加熱調理器10においては、洗浄水の給水管に接続されて給水管を開閉する給水バルブ45と、給水バルブ45の出力端45bに接続されて洗浄水の圧力を下げる減圧バルブ47と、一端側90aがユニオンナット91を介して減圧バルブ47の出力端47bに接続されたシャワーホース90と、シャワーホース90の他端側90bに接続されたシャワー本体81と、を備えた。つまり、洗浄水の上流側から下流側に向かって、給水管、給水バルブ45、減圧バルブ47、シャワーホース90の一端側90aのユニオンナット91、シャワーホース90の他端側90bのジョイント部92、シャワー本体81の順に接続されている。そして、給水バルブ45及びユニオンナット91は、ハウジング11の側面パネル11a、底面パネル11bまたは背面パネル11cにバルブブラケット60を介して固定されるようにした。
【0060】
これにより、減圧バルブ47は、バルブブラケット60を介してハウジング11の側面パネル11a等には固定されないものの、減圧バルブ47の入力端47aの給水バルブ45と、減圧バルブ47の出力端47bとシャワーホース90の一端側90aのユニオンナット91とが、いずれもハウジング11の側面パネル11a等にバルブブラケット60を介して固定される。そのため、例えば、給水管の取付作業時において、過剰な締付けトルクが減圧バルブ47に加わることがない。したがって、給水管の接続時に減圧バルブ47に加わる力を軽減させることができた。また、減圧バルブ47の出力端47bとシャワーホース90の一端側90aとのユニオンナット91は、ハウジング11の側面パネル11a等にバルブブラケット60を介して固定される。そのため、ユーザの洗浄作業等によりシャワーホース90の一端側90aが回動しようとしてもそれを阻止することができた。
【0061】
この実施形態の加熱調理器10では、シャワーホルダ50によりシャワー本体81の大径部81a、小径部81b及び把持部84の3箇所を保持するようにY字溝55やU字溝57を構成した。本発明はこれに限られるものでなく、例えば、シャワー本体81の大径部81a、小径部81b及び把持部84に加えて、またはこれらに代えて、シャワー本体81のノズル部82や中間部85を保持するようにY字溝55やU字溝57のような溝を構成してもよい。
【0062】
また、この実施形態の加熱調理器10では、ハウジング11の左側の側面パネル11aやその下方の底面パネル11bに、シャワーホルダ50やバルブブラケット60を取り付ける構成を採用したが、これらを右側の側面パネル11aやその下方の底面パネル11bに取り付けるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…加熱調理器、11…ハウジング、11a…側面パネル(側部、側壁)、11b…底面パネル(底部)、20…調理庫、20a…開口部、45…給水バルブ(給水弁)、47…減圧バルブ(減圧弁)、50…シャワーホルダ(ホルダ)、55…Y字溝(第2切欠部)、57…U字溝(第1切欠部)、59…最上部、60…バルブブラケット(ブラケット)、61…ブラケットベース(ベース)、71…ブラケットカバー(カバー)、78…ストッパ部(平坦部)、80…シャワー装置(洗浄シャワー装置)、81…シャワー本体(シャワー本体)、81a…大径部(中間部)、81b…小径部、82…ノズル部(先端部)、83…接続部(基端部)、84…把持部、85…中間部、89…最上部、90…シャワーホース(ホース)、90a…一端側、90b…他端側、91…ユニオンナット(接続部、締結ナット)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12