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特許7297617電動油圧アクチュエータシステム、電動油圧アクチュエータシステムの油圧回路、及びそれを含む蒸気タービンシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】電動油圧アクチュエータシステム、電動油圧アクチュエータシステムの油圧回路、及びそれを含む蒸気タービンシステム
(51)【国際特許分類】
   F01D 21/18 20060101AFI20230619BHJP
   F01D 17/00 20060101ALI20230619BHJP
   F15B 20/00 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
F01D21/18
F01D17/00 U
F15B20/00 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019167187
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042745
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】392009227
【氏名又は名称】日本ムーグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジオン
(72)【発明者】
【氏名】高本 英光
(72)【発明者】
【氏名】柴田 成豊
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123732(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02930410(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172177(US,A1)
【文献】国際公開第2016/084140(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0152759(US,A1)
【文献】特開2011-102608(JP,A)
【文献】特開平11-294106(JP,A)
【文献】特開2001-055903(JP,A)
【文献】特許第2943459(JP,B2)
【文献】特開2005-240739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 21/18
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動油圧アクチュエータシステムは、
リターンスプリングにより付勢された弁体が接続されたピストンと第1室と第2室とを有する油圧シリンダと、
前記第1室又は前記第2室に作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記油圧ポンプが発生した油圧を保持して下流に連通させる第1の弁と、
前記第1の弁を介した油圧をパイロット圧として受ける第2の弁と、
前記第2の弁から前記パイロット圧を受ける第1のポートと前記油圧シリンダの前記第1室と連通する第2のポートとを有する第3の弁と、を備え、
前記第2の弁を非励磁にすると前記第3の弁の前記パイロット圧が解放され、前記第3の弁は、前記第2のポートに連通する前記第1室の前記作動油を前記第2室へ流入させ、前記弁体を前記リターンスプリングにより緊急遮断させることを特徴とする、電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項2】
前記油圧ポンプと前記油圧シリンダの前記第1室とを連通する油路に設けられた第4の弁と、
第5の弁と、を更に備え、
前記電動機が電力を喪失し、前記油圧シリンダから前記油圧ポンプに戻る前記油路の前記作動油の流量が所定の値を超えると、前記第4の弁は前記油路の前記作動油の流れを遮断し、
前記第5の弁は、遮断された前記作動油を前記油圧シリンダの前記第2室へ戻すように回路を接続し、前記弁体がフェールセーフ遮断し前記油圧ポンプを保護することを特徴とする、請求項1に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項3】
第6の弁と、
第7の弁と、を更に備え、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を低下すると前記第6の弁は、前記第7の弁へのパイロット圧を低下させ、前記第7の弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最大となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を超えると前記第6の弁は、前記第7の弁へのパイロット圧を上昇させ、前記第7の弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最小となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、前記油圧ポンプの吐出量を制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項4】
第8の弁と、
第9の弁と、を更に備え、
前記弁体が開く動作において、前記第2室からの前記作動油は、前記第9の弁によって遮断され、前記第8の弁は前記作動油の圧力によるパイロット圧を受けて弁開し、前記第2室からの前記作動油は、前記第8の弁を介してドレインラインに流れることにより、冷却され、
前記弁体が閉じる動作において、前記作動油は、前記第9の弁を介して前記第2室へ供給されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項5】
前記第1の弁は、供給される前記作動油の圧力において、圧力の高い方の前記作動油を下流に連通させる一つのシャトル弁であり、
前記第2の弁は、電磁弁であり、
前記第3の弁は、ロジック弁であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項6】
前記第4の弁は、ヒューズ弁であり、
前記第5の弁は、ロジック弁であることを特徴とする、請求項2に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項7】
前記第6の弁は、シーケンス弁であり、
前記第7の弁は、4ポート2位置パイロット方向制御弁であることを特徴とする、請求項3に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項8】
前記第8の弁は、パイロットアシストオープンリリーフ弁であり、
前記第9の弁は、チェック弁であることを特徴とする、請求項4に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項9】
電動油圧アクチュエータシステムは、
リターンスプリングにより付勢された弁体が接続されたピストンと第1室と第2室とを有する油圧シリンダと、
前記第1室又は前記第2室に作動油を供給し、又は前記第1室又は前記第2室から前記作動油を回収する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記油圧ポンプと前記油圧シリンダの前記第1室とを連通する油路に設けられたヒューズ弁と、
ロジック弁と、を備え、
前記電動機が電力を喪失し、前記油圧シリンダから前記油圧ポンプに戻る前記油路の前記作動油の流量が所定の値を超えると、前記ヒューズ弁は前記油路の前記作動油の流れを遮断し、
前記ロジック弁は、遮断された前記作動油を前記油圧シリンダの前記第2室へ戻すように回路を接続し、前記弁体がフェールセーフ遮断し前記油圧ポンプを保護することを特徴とする、電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項10】
シーケンス弁と、
4ポート2位置パイロット方向制御弁と、を更に備え、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を低下すると前記シーケンス弁は、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁へのパイロット圧を低下させ、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最大となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を超えると前記シーケンス弁は、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁へのパイロット圧を上昇させ、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最小となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、前記油圧ポンプの吐出量を制御することを特徴とする、請求項9に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項11】
チェック弁と、
パイロットアシストオープンリリーフ弁と、を更に備え、
前記弁体が開く動作において、前記第2室からの前記作動油は、前記チェック弁によって遮断され、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁は前記作動油の圧力によるパイロット圧を受けて弁開し、前記第2室からの前記作動油は、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁を介してドレインラインに流れることにより、冷却され、
前記弁体が閉じる動作において、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁は前記パイロット圧が保たれるため弁開状態を維持し、前記作動油は、前記チェック弁を介して前記第2室へ供給されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項12】
電動油圧アクチュエータシステムは、
リターンスプリングにより付勢された弁体が接続されたピストンと第1室と第2室とを有する油圧シリンダと、
前記第1室又は前記第2室に作動油を供給し、又は前記第1室又は前記第2室から前記作動油を回収する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
シーケンス弁と、
4ポート2位置パイロット方向制御弁と、を備え、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を低下すると前記シーケンス弁は、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁へのパイロット圧を低下させ、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最大となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、
前記油圧ポンプから吐出される前記作動油の圧力が所定の設定値を超えると前記シーケンス弁は、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁へのパイロット圧を上昇させ、前記4ポート2位置パイロット方向制御弁は前記油圧ポンプの吐出ポートと前記油圧ポンプの押しのけ容積が最小となる前記油圧ポンプのパイロットラインを接続し、前記油圧ポンプの吐出量を制御することを特徴とする、電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項13】
チェック弁と、
パイロットアシストオープンリリーフ弁と、を更に備え、
前記弁体が開く動作において、前記第2室からの前記作動油は、前記チェック弁によって遮断され、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁は前記作動油の圧力によるパイロット圧を受けて弁開し、前記第2室からの前記作動油は、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁を介してドレインラインに流れることにより、冷却され、
前記弁体が閉じる動作において、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁は前記パイロット圧が保たれるため弁開状態を維持し、前記作動油は、前記チェック弁を介して前記第2室へ供給されることを特徴とする、請求項12に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項14】
電動油圧アクチュエータシステムは、
リターンスプリングにより付勢された弁体が接続されたピストンと第1室と第2室とを有する油圧シリンダと、
前記第1室又は前記第2室に作動油を供給し、又は前記第1室又は前記第2室から前記作動油を回収する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
パイロットアシストオープンリリーフ弁と、
チェック弁と、を備え、
前記弁体が開く動作において、前記第2室からの前記作動油は、前記チェック弁によって遮断され、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁は前記作動油の圧力によるパイロット圧を受けて弁開し、前記第2室からの前記作動油は、前記パイロットアシストオープンリリーフ弁を介してドレインラインに流れることにより、冷却され、
前記弁体が閉じる動作において、前記作動油は、前記チェック弁を介して前記第2室へ供給されることを特徴とする、電動油圧アクチュエータシステム。
【請求項15】
前記作動油を更に冷却するアクティブ冷却回路を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電動油圧アクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動油圧アクチュエータシステム、蒸気タービン向け電動油圧アクチュエータシステムの油圧回路、及びそれを含む蒸気タービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸気タービン等の弁を駆動するのに用いられるアクチュエータを油圧で作動させる作動回路において、故障時にアクチュエータを安全位置に移動させるように構成したフェールセーフ作動システムが開示されている。特許文献2には、蒸気タービン等の弁を急速停止させるのにトリップ用電磁弁とロジック弁を用いた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2015/0152887号明細書
【文献】特許第2943459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように蒸気タービン等の弁を駆動するアクチュエータにおいて、弁を緊急遮断させる機構には様々な形態があるが、特に電動油圧アクチュエータシステムでは、電磁弁を用いて緊急遮断させる必要がある。緊急遮断させる機構は、簡単な構成で安定して作動することが必要である。
【0005】
油圧を発生させる油圧ポンプへの電源が喪失された際、いち早く弁体を弁閉状態にさせるフェールセーフ機能を働かせることが必要である。その際に、油圧ポンプへ還流する作動油から油圧ポンプを保護することが必要である。
【0006】
油圧ポンプは過負荷により定格出力を超えて運転されることがあり、その際にサーボモータが過熱することがある。外部負荷に応じてポンプ吐出量を制御し、油圧ポンプへの負荷を抑えた運転をすることが必要である。
【0007】
作動油は、完全に閉じた系に封入されているため、作動油の循環量が少なく、高温になりやすい状況であり、作動油の粘性やその他の性能が早期に低下し、電動油圧アクチュエータシステムの効率が低下する問題がある。このため、作動油の性能劣化を防止することが必要である。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で安定して作動する緊急遮断回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを提供することである。また、フェールセーフ遮断の際に油圧ポンプを保護する油圧回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを提供することである。また、外部負荷に応じて、油圧ポンプへの負荷を抑えた運転が可能な電動油圧アクチュエータシステムを提供することである。また、作動油の性能を安定化させた電動油圧アクチュエータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の電動油圧アクチュエータシステムは、リターンスプリングにより付勢された弁体が接続されたピストンと第1室と第2室とを有する油圧シリンダと、前記第1室又は前記第2室に作動油を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する電動機と、前記油圧ポンプが発生した油圧を保持して下流に連通させる第1の弁と、前記第1の弁を介した油圧をパイロット圧として受ける第2の弁と、前記第2の弁から前記パイロット圧を受ける第1のポートと前記油圧シリンダの前記第1室と連通する第2のポートとを有する第3の弁と、を備え、前記第2の弁を非励磁にすると前記第3の弁の前記パイロット圧が解放され、前記第3の弁は、前記第2のポートに連通する前記第1室の前記作動油を前記第2室へ流入させ、前記弁体を前記リターンスプリングにより緊急遮断させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成で安定して作動する緊急遮断回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを提供することができる。また、フェールセーフ遮断の際に油圧ポンプを保護する油圧回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを提供することができる。また、外部負荷に応じて、油圧ポンプへの負荷を抑えた運転が可能な電動油圧アクチュエータシステムを提供することができる。また、作動油の性能を安定化させた電動油圧アクチュエータシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1における通常の弁開動作を示す油圧回路図である。
図2】本発明の実施例1における緊急遮断時の作動を示す油圧回路図である。
図3】本発明の実施例2における通常の弁開動作を示す油圧回路図である。
図4】本発明の実施例2におけるフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護の作動を示す油圧回路図である。
図5】本発明の実施例3における圧力が設定値未満の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
図6】本発明の実施例3における圧力が設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
図7】本発明の実施例4における弁開の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。
図8】本発明の実施例4における弁閉の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。
図9】本発明の実施例5の油圧回路図である。
図10】本発明の実施例6の油圧回路図である。
図11】本発明の実施例7の油圧回路図である。
図12】本発明の実施例8の油圧回路図である。
図13】本発明の実施例9の油圧回路図である。
図14】本発明の実施例10の油圧回路図である。
図15】本発明の実施例11の油圧回路図である。
図16】本発明の実施例12の油圧回路図である。
図17】本発明の実施例13の油圧回路図である。
図18】本発明の実施例14の油圧回路図である。
図19】本発明の実施例15の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例1の電動油圧アクチュエータシステムにおける通常の弁開動作を示す油圧回路図である。全ての図面において、破線は制御対象の弁に対するパイロット圧を示しており、破線の矢印はパイロット圧が作用している状態を示し、実線の矢印は作動油の流れる方向を示す。
【0013】
本発明の実施例1の電動油圧アクチュエータシステムは、油圧回路にポンプ・モータ・ユニット10を備える。ポンプ・モータ・ユニット10はラジアルピストンポンプで構成された油圧ポンプ21を備え、油圧ポンプ21は正逆両方向に駆動可能なサーボモータM(電動機)で駆動・制御される。なお、ラジアルピストンポンプの構成は、アキシャルピストンポンプやギアポンプ等、他の形式のポンプであっても良い。
【0014】
加圧アキュムレータ22が油圧回路に備えられており、加圧アキュムレータ22は常に加圧状態にあることで、油圧回路から多少のリークがあっても、油圧回路を作動油で満たすことができる。油圧回路には2つのキャビテーション防止用のチェック弁23A、23Bが備えられており、加圧アキュムレータ22からの作動油はチェック弁23A、23Bを介して油圧回路へ供給される。更に、チェック弁23A、23Bにより、圧力が一定に保たれるのでキャビテーションの発生が防止される。なお、加圧アキュムレータ22は、リザーバタンク付き加圧ポンプであっても良い。
【0015】
油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ24とピストン25が備えられており、油圧シリンダ24の内部にはピストンロッド25Rを備えたピストン25が配置されている。このピストン25により油圧シリンダ24の内部は、第1室24A、第2室24Bの2つに分けられている。油圧ポンプ21が、油圧シリンダ24の第1室24A又は第2室24Bに作動油を供給又は、第2室24B又は第1室24Aから作動油を回収することでピストン25が駆動される。ピストン25には、ピストンロッド25Rの一方が接続され、ピストンロッド25Rの他方は不図示の蒸気弁(弁体)に接続されており、ピストンロッド25Rが伸張・収縮の両方向に駆動されることによって、蒸気弁が弁開又は弁閉することができる。更に、蒸気弁と油圧シリンダ24との間には、リターンスプリング26が備えられており、リターンスプリング26により蒸気弁は、弁閉の方向に付勢されている。なお、油圧シリンダ24は、油圧モータ等の他の方式の油圧アクチュエータであっても良い。
【0016】
リリーフ弁27A、27Bが油圧回路に備えられており、リリーフ弁27A、27Bは油圧回路の圧力が設定圧力を超えると作動油を戻り配管である油路9a、9bへ逃がすことで、油圧回路内の圧力の過上昇を防いでいる。フィルタ&バイパス弁28は、作動油のフィルタリング用として油圧ポンプ21の戻り配管である油路9cに接続されている。更に作動油を冷却するためのアクティブ冷却回路としてのラジエター及び冷却用ファン29がフィルタ&バイパス弁28に直列に設けられていても良い。
【0017】
次に、通常の弁開動作について説明をする。当初、油圧回路全体は等しく規定の圧力、一例として約0.5MPaの圧力に加圧アキュムレータ22によって加圧されている。なお、圧力を0.5MPaとしているが、他のいかなる圧力値に設定することもできる。不図示のコントローラが蒸気弁を弁開にするコマンドを発した際、ポンプ・モータ・ユニット10は油圧ポンプ21のポートA(吐出ポート)から高い圧力の作動油を吐出する。作動油は油路1aを通って油圧シリンダ24の第1室24Aに供給される。同時に油圧シリンダ24の第2室24Bに入っている作動油は、油路1bを通って油圧ポンプ21の方へ流れ、油圧ポンプ21のポートBから吸い込まれる。
【0018】
油圧ポンプ21が発生した圧力が蒸気による圧力やリターンスプリング26等の外力に打ち勝つに至らない場合、ピストン25は動かないが、外力に打ち勝つ圧力に達するとピストン25が動き、蒸気弁が開く。油圧シリンダ24は、両側の受圧面積が等しいダブルロッドシリンダであるため、第1室24Aへの作動油の流入量は第2室24Bからの流出量と同じである。蒸気弁の所望の開度が得られるように、また、所望の開度を維持するように、油圧ポンプ21が制御される。
【0019】
次に、通常の弁閉動作について説明する。リターンスプリング26は、その付勢力により蒸気弁を閉じる際に、大流量の作動油の還流を発生させ過剰な速さで弁閉させ得るが、ポンプ・モータ・ユニット10が発生する圧力を制御することにより弁閉の速度を制御することができる。すなわち、ポンプ・モータ・ユニット10が発生する圧力が付勢力に抗いながら、蒸気弁の弁閉の速度が制御される。そして、最適な弁閉の速度になるように、油圧ポンプ21は第1室24AからポートAに流れる作動油を吸い込み、同時に作動油をポートB(吐出ポート)から吐出し、第2室24Bに供給する。弁開閉の通常動作時において、ポンプ・モータ・ユニット10により制御される圧力はリリーフ弁27A、27Bの設定圧力よりも低くなっているため、リリーフ弁27A、27Bは閉じたままになっている。
【0020】
次に、本発明の実施例1の緊急遮断回路について説明する。実施例1の油圧回路には、シャトル弁11(第1の弁)、少なくとも1つのトリップ用の電磁弁12A、12B(第2の弁、代表して電磁弁12と表す。)及び少なくとも1つのロジック弁13A、13B(第3の弁、代表してロジック弁13と表す。)が備えられている。図2は、本発明の実施例1の電動油圧アクチュエータシステムにおける緊急遮断時の作動を示す油圧回路図である。
【0021】
シャトル弁11は、内部にポペット又はボール等の弁体が2個と、それら2つの弁体の間にプリロードがかかったバネを備えている、いわゆる“back-to-back check”タイプの弁である。シャトル弁11には、油路1aから分岐した油路2aの作動油が一方の弁体を介して、更に油路1bから分岐した油路2bの作動油が他方の弁体を介してそれぞれ入力する。そして、シャトル弁11内のプリロードがかかったバネにより、これらの2つの入力の圧力のうち、圧力の高い入力の入口側と出口側(下流)が連通する。例えば、蒸気弁を弁開する際、油路2aの作動油の圧力の方が油路2bの作動油の圧力より高いため、シャトル弁11には油路2aからの作動油が入口側から流入し、出口側に連通する。しかしながら、蒸気弁を弁閉する際、油路2bの作動油の圧力を相対的に油路2aの作動油の圧力より高くして、意図的に蒸気弁の閉弁動作を強くする場合があり、このような場合、シャトル弁11には油路2bからの作動油が入口側から流入し、出口側に連通する。すなわち、シャトル弁11は、供給される作動油の圧力と回収される作動油の圧力とにおいて、圧力の高い方の作動油を下流に連通させる一つの弁である。シャトル弁11の出口側は油路2abに接続されており、油路2ab(トリップライン)は、更に2つに分岐し、それぞれがパイロット圧としてトリップ用の電磁弁12A、12Bにそれぞれ印加される。このように、シャトル弁11を用いることにより、2つの油圧源から最適な圧力を選択することができる。また、シャトル弁11は、2つのチェック弁を用いる場合と比較して、一体化と油圧回路の簡素化ができるので、生産上のコスト、手間の削減を図ることができる。
【0022】
トリップ用の電磁弁12A、12Bは、通常励磁されており、シャトル弁11からのパイロット圧は、トリップ用の電磁弁12A、12Bを介して油路2ac、油路2bcを通って2つのロジック弁13A、13Bにそれぞれ印加される。
【0023】
2つのロジック弁13A、13Bは、内在するリターンバネにより閉じる弁であり、トリップ用の電磁弁12A、12Bからのパイロット圧を供給する油路2ac、油路2bcが接続する第1のポートをそれぞれ備える。また、油路1aから分岐している油路3aが接続する第2のポートを備える。すなわち、第2のポートは、油路1aと油路3aを介して、油圧シリンダ24の第1室24Aと連通している。また、ロジック弁13Aとロジック弁13Bは、第1室24Aに対して並列に配置されている。ロジック弁13Aには、油路3aからの作動油を流す油路3bが接続され、油路3bはロジック弁13Bに接続されている。ロジック弁13Bには、油路1bに接続する油路3cが更に接続されている。なお、この油路3bを流れる作動油はロジック弁13Bを介して油路3cに流れる。そして、パイロット圧と内在するリターンバネの付勢力の和が油圧シリンダ24からの圧力に抗することにより、ロジック弁13A、13Bの第2のポートに接続された油圧シリンダ24の第1室24Aからの油路3aを閉じている。
【0024】
不図示のコントローラから緊急遮断信号を受け取ると、トリップ用の電磁弁12は非励磁とされ、ロジック弁13へ印加されるパイロット圧が解放される。そして、ロジック弁13は、内在するリターンバネの付勢力に油圧シリンダ24からの圧力が打ち勝つことによって開き、第1室24Aに接続している油路1a、油路3a、油路3b、油路3c及び油路1bが連通する。この連通により、第1室24Aの作動油が油路1a、油路3a、油路3b、油路3c及び油路1bを通って第2室24Bへ直接かつ急速に流れ込むことが可能となる。この作動油の急速な流れ込みにより、リターンスプリング26の付勢力によって弁閉方向へ付勢されている蒸気弁は急速に閉じることができる。
【0025】
上記のように第1室24Aの作動油は、油圧ポンプ21を介さずに第1室24Aから第2室24Bへ迅速に還流するので、ピストンロッド25Rが急速に動き、蒸気弁を急速に閉じることができる。なお、トリップ用の電磁弁12が非励磁とされない限り、トリップラインのパイロット圧はシャトル弁11により保持されるので、ロジック弁13は閉じたままとなる。
【0026】
このように実施例1の緊急遮断回路は、シャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13を備えることにより、蒸気弁を急速に閉じることができる。特に、シャトル弁11によりトリップラインのパイロット圧が閉じ込められるので、ロジック弁13は閉じたままとなり、簡単な構成で安定して緊急遮断回路が作動することができるという優れた効果を奏する。
【0027】
(実施例2)
本発明の実施例2のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路について説明する。図3は、本発明の実施例2のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムにおける通常の弁開動作を示す油圧回路図である。図4は、本発明の実施例2のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路の作動を示す油圧回路図である。
【0028】
まず、図3を参照して、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを説明する。油圧回路には、ヒューズ弁14(第4の弁)とロジック弁15(第5の弁)が備えられている。
【0029】
次に、実施例2における通常の弁開動作について説明をする。当初、油圧回路全体は等しく規定の圧力、一例として約0.5MPaの圧力に加圧アキュムレータ22によって加圧されている。なお、圧力を0.5MPaとしているが、他のいかなる圧力値に設定することもできる。不図示のコントローラが蒸気弁を弁開にするコマンドを発した際、ポンプ・モータ・ユニット10は油圧ポンプ21のポートAから高い圧力の作動油を吐出する。作動油は油路1aを通り、その一部は、油路1aから分岐している油路4aを通ってロジック弁15にパイロット圧として印加される。分岐した後の油路1aの作動油は、ポンプ・モータ・ユニット10から油圧シリンダ24にかけての差圧が正となるため、ヒューズ弁14を通ってその一部は分岐して油路5aを通り、油路5aに設けられたスロットル弁20を通ってロジック弁15に接続される。そして、分岐した後の油路1aの作動油は、油圧シリンダ24の第1室24Aに供給される。同時に油圧シリンダ24の第2室24Bに入っている作動油は、油路1bを通って油圧ポンプ21の方へ流れ、油圧ポンプ21のポートBから回収される。
【0030】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2のフェールセーフ遮断について説明する。何らかの外因でポンプ・モータ・ユニット10が電力を喪失すると、作動油の流量で制御されていた油圧シリンダ24内のピストン25はフリー状態となり、フェールセーフ機能をなすリターンスプリング26により蒸気弁は弁閉方向に駆動される。この蒸気弁のフェールセーフ遮断に伴い、作動油が油圧ポンプ21へ逆流し、油圧ポンプ21が過回転となることが問題である。しかしながら、実施例2では油路1aに設けられたヒューズ弁14によって、作動油の油圧ポンプ21への逆流が防止されている。
【0031】
ヒューズ弁14は、油路1aに流れる作動油の流量が設定値より大きくなる場合、油圧シリンダ24の負荷側である第1室24Aからポンプ・モータ・ユニット10への作動油の流れをせき止める。同時に、油圧ポンプ21のポートAは圧力を失うので、ロジック弁15に印加されているパイロット圧が無くなり、ロジック弁15は、油路1aから分岐している油路5aと油路1bに接続している油路5bとを連通させる。すなわち、ヒューズ弁14の下流側(第1室24A側)の油路1a、油路5a、油路5b及び油路1bが連通することになり、第1室24A内の作動油はロジック弁15を通って第2室24Bへ流れ、蒸気弁をフェールセーフ遮断させることができる。ヒューズ弁14が油圧ポンプ21へ繋がる油路1aを遮断し、作動油が油圧ポンプ21へ逆流することが無いので、油圧ポンプ21に過負荷を与えることが無く、フェールセーフ遮断と同時にポンプ・モータ・ユニット10を保護することができる。なお、その際の蒸気弁の弁閉の速度は、スロットル弁20を使うことで調整することができる。
【0032】
もし、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えていない場合、ポンプ・モータ・ユニット10が電力を失うと、作動油が油圧ポンプ21へ逆流し、油圧ポンプ21が過回転となる。更に、キャビテーションや機械的な損耗が発生するという問題がある。しかしながら、実施例2のようなフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えれば、キャビテーションや機械的な損耗の発生を防止することができるという効果がある。
【0033】
このように実施例2のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えることにより、油圧を発生させる油圧ポンプ21への電源が喪失された際、いち早く弁体を弁閉状態にさせることができる。その際に、油圧ポンプ21へ還流する作動油から油圧ポンプ21を保護することができるという優れた効果を奏する。
【0034】
(実施例3)
本発明の実施例3の油圧ポンプ31の吐出量切替え回路について説明する。図5は、本発明の実施例3の電動油圧アクチュエータシステムにおける作動油の圧力が所定の設定値未満の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。図6は、本発明の実施例3の電動油圧アクチュエータシステムにおける圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。実施例1及び2においては、蒸気弁の弁開時、油圧ポンプ21は、蒸気による外力及びリターンスプリング26の付勢力に打ち勝てるだけのパワーを発生することが要求される。このためポンプ・モータ・ユニット10は、時に定格出力を超えて運転されることがあり、その際にサーボモータMが過熱することがある。このような場合、実施例3の可変容量タイプの油圧ポンプ31を用いることによって、外部負荷に応じて自動的に吐出量が切替わり、ポンプ・モータ・ユニット30への負荷を抑えた運転をすることが可能となる。なお、この吐出量切替えは主として弁開時において作動する。
【0035】
まず、図5を参照して、実施例3における弁開動作について説明をする。油圧回路には、シーケンス弁16(第6の弁)と4ポート2位置パイロット方向制御弁17(第7の弁)が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。
【0036】
当初、油圧回路全体は等しく規定の圧力、一例として約0.5MPaの圧力に加圧アキュムレータ22によって加圧されている。なお、圧力を0.5MPaとしているが、他のいかなる圧力値に設定することもできる。不図示のコントローラが蒸気弁を弁開にするコマンドを発した際、ポンプ・モータ・ユニット30は油圧ポンプ31のポートAから高い圧力の作動油を吐出する。作動油は油路1aを通り、その一部は、油路1aから分岐している油路4aを通ってシーケンス弁16に印加される。油路4aは更に4ポート2位置パイロット方向制御弁17に接続され、作動油は4ポート2位置パイロット方向制御弁17のパイロット圧として印加される。そして、分岐した後の油路1aの作動油は、油圧シリンダ24の第1室24Aに供給される。同時に油圧シリンダ24の第2室24Bに入っている作動油は、油路1bを通って油圧ポンプ31の方へ流れ、油圧ポンプ31のポートBから回収される。
【0037】
次に、本発明の実施例3の吐出量切替えの油圧回路の構成について説明する。シーケンス弁16には、油路4aが分岐して絞りを備えた油路6a、油路4a、4ポート2位置パイロット方向制御弁17と接続する油路6b及び油路9aに接続する油路6cが接続されている。また、4ポート2位置パイロット方向制御弁17には、油路4a、シーケンス弁16に接続する油路6b、後述の押しのけ容積パイロットライン(油路7a、油路7b)及び油路9bに接続する油路7cが接続されている。
【0038】
次に、作動油の圧力が所定の設定値未満の際の吐出量切替えの作動を説明する。油圧ポンプ31のポートAからの作動油の圧力がシーケンス弁16の設定圧力よりも下がると、シーケンス弁16は、油路9a(ドレインライン)に接続している油路6cと4ポート2位置パイロット方向制御弁17に接続する油路6bを接続するように作動する。この作動により、4ポート2位置パイロット方向制御弁17のパイロットライン圧力は低下する。この時、4ポート2位置パイロット方向制御弁17は、元からの位置であるポートAが接続された油路1aから分岐する油路4aと、押しのけ容積が最大(max)となる油圧ポンプ31の押しのけ容積パイロットライン(油路7a)を接続するように作動する。そして、油圧ポンプ31からの吐出量が増量される。
【0039】
次に、図6を参照して、作動油の圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を説明する。油圧ポンプ31のポートAからの圧力がシーケンス弁16の設定圧力よりも上がると、シーケンス弁16は、油路6cと油路6bの接続を解除するように切替わる。一方、油路4aが分岐して絞りを備えた油路6aと4ポート2位置パイロット方向制御弁17に接続する油路6bが接続される。この作動により、4ポート2位置パイロット方向制御弁17のパイロットラインに圧力が発生する。このパイロット圧によって、4ポート2位置パイロット方向制御弁17は、ポートAが接続された油路1aから分岐する油路4aと、押しのけ容積が最小(min)となる油圧ポンプ31の押しのけ容積パイロットライン(油路7b)を接続するように作動する。そして、油圧ポンプ31からの吐出量が減少される。
【0040】
このように実施例3の吐出量切替え回路を備えることにより、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができるという優れた効果を奏する。
【0041】
(実施例4)
本発明の実施例4の作動油冷却循環回路について説明する。図7は、本発明の実施例4の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。図8は、本発明の実施例4の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁閉の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。
【0042】
まず、図7を参照して、作動油冷却循環回路について説明する。油圧回路には、パイロットアシストオープンリリーフ弁18(第8の弁)とチェック弁19(第9の弁)が備えられている。なお、リリーフ弁27Bはパイロットアシストオープンリリーフ弁18に置換されているが、パイロットアシストオープンリリーフ弁18はリリーフ弁27Bが有する機能(油圧回路の圧力が設定圧力を超えると作動油を油路9bへ逃がす機能)も有する。
【0043】
次に、実施例4における通常の弁開動作について説明をする。当初、油圧回路全体は等しく規定の圧力、一例として約0.5MPaの圧力に加圧アキュムレータ22によって加圧されている。なお、圧力を0.5MPaとしているが、他のいかなる圧力値に設定することもできる。不図示のコントローラが蒸気弁を弁開にするコマンドを発した際、ポンプ・モータ・ユニット10は油圧ポンプ21のポートAから高い圧力の作動油を吐出する。作動油は油路1aを通り、その一部は、油路1aから分岐している油路4aを通ってパイロットアシストオープンリリーフ弁18にパイロット圧として印加される。そして、分岐した後の油路1aの作動油は、油圧シリンダ24の第1室24Aに供給される。弁開の通常動作時において、油圧ポンプ21により制御される圧力はリリーフ弁27Aの設定圧力よりも低くなっているため、リリーフ弁27Aは閉じたままになっている。
【0044】
パイロットアシストオープンリリーフ弁18には、油路4a、油路1bと接続する油路8a及び油路9bに接続する油路8bが接続されている。パイロットアシストオープンリリーフ弁18は、蒸気弁の弁開動作中、油路4aを通って供給されるポートAからのパイロット圧により、油路8a(油路1b)と油路8b(油路9b)を連通するような弁開状態となる。油圧シリンダ24の第2室24Bから油路1bを通ってポートBへ向かう作動油は、ポートBの下流側(油圧シリンダ24側)に備えられたチェック弁19によって塞がれるので直接ポートBに流れ込まない。しかしながら、パイロットアシストオープンリリーフ弁18が弁開しているので、油路1bの作動油は油路8a、パイロットアシストオープンリリーフ弁18及び油路8bを通って、油路9b(ドレインライン)に流れる。そして作動油は、油路9bを流れ、加圧アキュムレータ22から供給される作動油と混ざりながら、キャビテーション防止用のチェック弁23Bを通って油圧ポンプ21のポートBに吸い込まれる。
【0045】
次に、実施例4における通常の弁閉動作について図8を参照して説明する。弁閉動作は、実施例1と同様な油圧ポンプ21の制御となるが、作動油の流れが一部異なる。油圧ポンプ21は、第1室24AからポートAに流れる作動油を吸い込み、同時に作動油をポートBから吐出する。作動油は、ポートBの下流に設けられたチェック弁19を介して油路1bへ流れる。パイロットアシストオープンリリーフ弁18は、蒸気弁の弁閉動作時でもポートAのパイロット圧により弁開状態が維持される。一方、パイロットアシストオープンリリーフ弁18の入口側(油路8a)の圧力は、出口側(油路8b)の圧力と同じであるため、パイロットアシストオープンリリーフ弁18が弁開していても、作動油は、パイロットアシストオープンリリーフ弁18を流れない。結果として、作動油は、油路1bを流れ、第2室24Bへ供給されることになる。
【0046】
これまでの試験により、加圧アキュムレータ22周辺の作動油の温度は一般的に油圧ポンプ21周辺の作動油温度よりも低いことが分かっている。これはシステム内の作動油の温度を低く(適度な粘度に)保ち、システムの適切な効率を確保するのに役立っている。
【0047】
このように実施例4の作動油冷却循環回路を備えることにより、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0048】
(実施例5)
本発明の実施例5は、緊急遮断回路とフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えた構成である。すなわち実施例5は、上記実施例1と実施例2の構成を有している。図9は、本発明の実施例5の緊急遮断回路とフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図9は、実施例5における弁開動作を示している。
【0049】
実施例5では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、ヒューズ弁14とロジック弁15が備えられている。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例5における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、ヒューズ弁14とロジック弁15の作動は実施例2と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0050】
なお、ポンプ・モータ・ユニット10が電力を喪失するフェールセーフ遮断時、トリップ用の電磁弁12はまだ励磁されており、ロジック弁13はシャトル弁11を介したパイロット圧により閉止状態にある。したがって、作動油はロジック弁13を通って流れることはない。
【0051】
実施例5のように、緊急遮断回路と、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路を備えることにより、緊急遮断とフェールセーフ遮断の両方に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ21へ還流する作動油から油圧ポンプ21を保護することができるという優れた効果を奏する。
【0052】
(実施例6)
本発明の実施例6は、緊急遮断回路と吐出量切替え回路を備えた構成である。すなわち実施例6は、上記実施例1と実施例3の構成を有している。図10は、本発明の実施例6の緊急遮断回路と吐出量切替え回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図10は、実施例6の電動油圧アクチュエータシステムにおける圧力が所定の設定値未満の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0053】
実施例6では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例6における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
実施例6のように、緊急遮断回路と吐出量切替え回路を備えることにより、緊急遮断に対応することができると共に、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができるという優れた効果を奏する。
【0055】
(実施例7)
本発明の実施例7は、緊急遮断回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例7は、上記実施例1と実施例4の構成を有している。図11は、本発明の実施例7の緊急遮断回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図11は、実施例7の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。実施例7の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁閉の際の作動油冷却循環の作動は、実施例4と同様な作動であるのでその詳細な説明は省略する。
【0056】
実施例7では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例7における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
実施例7のように、緊急遮断回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、緊急遮断に対応することができると共に、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0058】
(実施例8)
本発明の実施例8は、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と吐出量切替え回路を備えた構成である。すなわち実施例8は、上記実施例1乃至実施例3の構成を有している。図12は、本発明の実施例8の緊急遮断回路、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と吐出量切替え回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図12は、実施例8の電動油圧アクチュエータシステムにおける圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0059】
実施例8では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、ヒューズ弁14、ロジック弁15、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例8における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、ヒューズ弁14とロジック弁15の作動は実施例2と同様であり、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例8のように、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と吐出量切替え回路を備えることにより、緊急遮断と、フェールセーフ遮断の両方に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ31へ還流する作動油から油圧ポンプ31を保護することができる。また、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができるという優れた効果を奏する。
【0061】
(実施例9)
本発明の実施例9は、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例9は、上記実施例1、実施例2、実施例4の構成を有している。図13は、本発明の実施例9の緊急遮断回路、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図13は、実施例9の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。実施例9の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁閉の際の作動油冷却循環の作動は、実施例4と同様な作動であるのでその詳細な説明は省略する。
【0062】
実施例9では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、ヒューズ弁14、ロジック弁15、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例9における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、ヒューズ弁14、ロジック弁15の作動は実施例2と同様であり、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
実施例9のように、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、緊急遮断と、フェールセーフ遮断の両方に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ21へ還流する作動油から油圧ポンプ21を保護することができる。また、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0064】
(実施例10)
本発明の実施例10は、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例10は、上記実施例1乃至実施例4の構成を有している。図14は、本発明の実施例10の緊急遮断回路、フェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図14は、実施例10の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0065】
実施例10では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13に加え、実施例2のヒューズ弁14、ロジック弁15が備えられている。更に、実施例3のシーケンス弁16、4ポート2位置パイロット方向制御弁17、実施例4のパイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例10における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、ヒューズ弁14、ロジック弁15の作動は実施例2と同様であり、またシーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様である。そして、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0066】
実施例10のように、緊急遮断回路、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、緊急遮断と、フェールセーフ遮断の両方に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ31へ還流する作動油から油圧ポンプ31を保護することができる。また、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができ、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0067】
(実施例11)
本発明の実施例11は、緊急遮断回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例11は、上記実施例1、実施例3、実施例4の構成を有している。図15は、本発明の実施例11の緊急遮断回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図15は、実施例11の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の圧力が所定の設定値以の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0068】
実施例11では、油圧回路には、実施例1におけるシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13が備えられている。更に、実施例3のシーケンス弁16、4ポート2位置パイロット方向制御弁17、実施例4のパイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。これらシャトル弁11、トリップ用の電磁弁12及びロジック弁13への作動油の供給は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、実施例11における通常の弁閉動作も実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様である。そして、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0069】
実施例11のように、緊急遮断回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、緊急遮断に対応することができる。また、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができ、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0070】
(実施例12)
本発明の実施例12は、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と吐出量切替え回路を備えた構成である。すなわち実施例12は、上記実施例2、実施例3の構成を有している。図16は、本発明の実施例12のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図16は、実施例12の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0071】
実施例12では、油圧回路には、実施例2におけるヒューズ弁14、ロジック弁15、実施例におけるシーケンス弁16、4ポート2位置パイロット方向制御弁17が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。これらヒューズ弁14、ロジック弁15への作動油の供給は、実施例2と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
実施例12のように、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と吐出量切替え回路を備えることにより、フェールセーフ遮断に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ31へ還流する作動油から油圧ポンプ31を保護することができる。また、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができるという優れた効果を奏する。
【0073】
(実施例13)
本発明の実施例13は、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例13は、上記実施例2、実施例4の構成を有している。図17は、本発明の実施例13のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図17は、実施例13の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の作動油冷却循環の作動を示す油圧回路図である。実施例13の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁閉の際の作動油冷却循環の作動は、実施例4と同様な作動であるのでその詳細な説明は省略する。
【0074】
実施例13では、油圧回路には、実施例2におけるヒューズ弁14、ロジック弁15、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。ヒューズ弁14、ロジック弁15の作動は実施例2と同様であり、また、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例13のように、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、フェールセーフ遮断に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ21へ還流する作動油から油圧ポンプ21を保護することができる。また、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0076】
(実施例14)
本発明の実施例14は、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例14は、上記実施例2乃至実施例4の構成を有している。図18は、本発明の実施例14のフェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図18は、実施例14の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の圧力が所定の設定値以上の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0077】
実施例14では、油圧回路には実施例2におけるヒューズ弁14、ロジック弁15、実施例3におけるシーケンス弁16、4ポート2位置パイロット方向制御弁17、実施例4におけるパイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。ヒューズ弁14、ロジック弁15の作動は実施例2と同様であり、またシーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様である。そして、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0078】
実施例14のように、ェールセーフ遮断及びポンプ・モータ・ユニット保護回路、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、フェールセーフ遮断に対応することができる。更にフェールセーフ遮断の際に、油圧ポンプ31へ還流する作動油から油圧ポンプ31を保護することができる。また、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができ、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【0079】
(実施例15)
本発明の実施例15は、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた構成である。すなわち実施例15は、上記実施例3、実施例4の構成を有している。図19は、本発明の実施例15の吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えた電動油圧アクチュエータシステムを示す油圧回路図である。なお、図19は、実施例15の電動油圧アクチュエータシステムにおける弁開の際の圧力が所定の設定値以の際の吐出量切替えの作動を示す油圧回路図である。
【0080】
実施例15では、油圧回路には、実施例3におけるシーケンス弁16、4ポート2位置パイロット方向制御弁17、実施例4におけるパイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19が備えられている。油圧ポンプ31は可変容量タイプである。シーケンス弁16と4ポート2位置パイロット方向制御弁17の作動は実施例3と同様である。そして、パイロットアシストオープンリリーフ弁18とチェック弁19の作動は実施例4と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
実施例15のように、吐出量切替え回路と作動油冷却循環回路を備えることにより、外部負荷に応じて油圧ポンプ31の吐出量を制御し、油圧ポンプ31への負荷を抑えた運転をすることができる。更に、作動油の循環量が少なく高温になりやすい状況であっても、作動油の粘性やその他の性能劣化を防止することができるという優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0082】
1a 油路
9b 油路(ドレインライン)
11 シャトル弁(第1の弁)
12、12A、12B 電磁弁(第2の弁)
13、13A、13B ロジック弁(第3の弁)
14 ヒューズ弁(第4の弁)
15 ロジック弁(第5の弁)
16 シーケンス弁(第6の弁)
17 4ポート2位置パイロット方向制御弁(第7の弁)
18 パイロットアシストオープンリリーフ弁(第8の弁)
19 チェック弁(第9の弁)
21、31 油圧ポンプ
24 油圧シリンダ
24A 第1室
24B 第2室
25 ピストン
26 リターンスプリング
29 ラジエター及び冷却用ファン(アクティブ冷却回路)
A 吐出ポート
M サーボモータ(電動機)
図1
図2
図3
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図10
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