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  • 特許-形材の接合構造および屋根構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】形材の接合構造および屋根構造体
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/10 20060101AFI20230619BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20230619BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20230619BHJP
   E04B 7/00 20060101ALI20230619BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20230619BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
F16B5/10 K
E04H6/02 A
E04B1/343 U
E04B7/00 Z
E04B1/24 G
E04B1/58 507H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019210406
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021081032
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤峯 弘城
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-196328(JP,A)
【文献】特開2000-042841(JP,A)
【文献】特開2018-162554(JP,A)
【文献】特開2019-120346(JP,A)
【文献】実開昭63-143601(JP,U)
【文献】特開平11-217898(JP,A)
【文献】実開平02-007102(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
E04B 1/00- 1/36
E04B 1/38- 1/61
E04B 7/00
E04H 6/02
F16B 7/00- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一形材および第二形材を接合する形材の接合構造であって、
前記第一形材には、孔開け加工可能な接合面部が形成され、
前記接合面部の外面は、前記第一形材の長手方向に沿った接合面とされ、
前記第一形材には、その長手方向にスライド可能に前記接合面部の内面に当接する裏板が配置され、
前記裏板には、固定具が螺合する固定孔が形成され、
前記固定具は、前記第二形材から前記接合面部を貫通して前記裏板の固定孔に螺合し、
前記接合面部のうち前記固定孔に対応する部分には、前記裏板から離間したバリ避け部が前記第一形材の長手方向に沿って形成され
前記バリ避け部は、前記接合面部に対して前記第一形材の長手方向に沿って溝形状に形成されると共に、前記接合面部の内面において前記第一形材の長手方向に直交する幅方向に溝開口を形成する一対の溝側面と、前記一対の溝側面の間に位置する溝底面とによって形成され、
前記接合面部の外面と前記バリ避け部との間の厚さ寸法は、前記接合面部の外面と前記接合面部の内面のうち前記裏板と当接する部分との間の厚さ寸法よりも小さくされ、
前記バリ避け部は、前記溝底面から前記溝開口に向かうに連れて幅寸法が大きくされ、
前記裏板における固定孔の直径寸法は、前記溝底面の幅寸法よりも大きい寸法であって前記一対の溝側面の開口幅寸法よりも小さい寸法とされる
ことを特徴とする形材の接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載の形材の接合構造において、
前記第一形材は横形材であり、
前記第二形材は縦形材であり、
前記接合面部は、前記横形材の下面部によって構成される
ことを特徴とする形材の接合構造。
【請求項3】
請求項または請求項に記載の形材の接合構造において、
前記第二形材は、前記接合面部に交差する方向に沿った形材本体と、前記形材本体の端部に設けられた連結金具とを備え、
前記連結金具は、前記固定具が貫通すると共に前記接合面部に面接触する
ことを特徴とする形材の接合構造。
【請求項4】
一対の支柱と、前記一対の支柱に接合された梁とを備える下部構造物と、前記下部構造物に支持される屋根とを備え、
前記梁は第一形材とされると共に、前記支柱は第二形材とされ、
前記梁および前記支柱の接合箇所には請求項1から請求項のいずれか一項に記載の形材の接合構造が構成される
ことを特徴とする屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートなどにおける梁柱等の形材同士が接合した形材の接合構造および屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根構造体として、左右2本ずつある支柱に桁および梁が取り付けられ、桁には屋根体が取り付けられたカーポートが知られている(特許文献1参照)。桁は中空の押出形材によって形成されており、桁の下部には水平壁および両側の縦片によって下向き溝状に案内部が形成されており、水平壁には桁の長手方向に沿ったガイド溝が下方で開口して形成されている。このガイド溝にはボルトの頭部が嵌入されており、当該ボルトは桁の長手方向にスライド移動されることで位置決めされ、ナットと螺合することで支柱の上部を締結することで、桁および支柱を接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-150303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のカーポートでは、前述したように桁のガイド溝に嵌入されたボルトをスライド移動することで桁および支柱といった形材同士を任意の位置で接合できるが、桁の下部に形成された案内部やガイド溝が外部に露出しているので、カーポートの外観意匠を向上させることが困難である。
ここで、桁の下面に化粧シートを貼り付けることが考えられるが、桁にフラット面を有したカバー材等を取り付けなければならず手間を要する。
【0005】
本発明の目的は、接合面をフラット化しつつ形材同士を任意の位置で接合できる形材の接合構造および屋根構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の形材の接合構造は、第一形材および第二形材を接合する形材の接合構造であって、前記第一形材には、孔開け加工可能な接合面部が形成され、前記接合面部の外面は、前記第一形材の長手方向に沿った接合面とされ、前記第一形材には、その長手方向にスライド可能に前記接合面部の内面に当接する裏板が配置され、前記裏板には、固定具が螺合する固定孔が形成され、前記固定具は、前記第二形材から前記接合面部を貫通して前記裏板の固定孔に螺合し、前記接合面部および前記裏板のいずれか一方のうち前記固定孔に対応する部分には、当該他方から離間したバリ避け部が前記第一形材の長手方向に沿って形成されることを特徴とする。
本発明の屋根構造体は、一対の支柱と、前記一対の支柱に接合された梁とを備える下部構造物と、前記下部構造物に支持される屋根とを備え、前記梁は第一形材とされると共に、前記支柱は第二形材とされ、前記梁および前記支柱の接合箇所には前述した本発明の形材の接合構造が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接合面をフラット化しつつ形材同士を任意の位置で接合できる形材の接合構造および屋根構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るカーポートを示す斜視図。
図2図1のカーポートを展開して示す斜視図。
図3図1のカーポートの柱梁接合部を展開して示す斜視図。
図4図1のカーポートの柱梁接合部を示す断面図。
図5図1のカーポートの梁に対する孔開け加工を示す説明図。
図6】本発明の変形例に関するバリ避け部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図3において、本実施形態に係る屋根構造体としてのカーポート1は、駐車スペースに設置される下部構造物2と、下部構造物2に支持された上部構造物である屋根5とを備えている。
以下の説明において、カーポート1の間口方向をX軸方向とし、カーポート1の奥行方向をY軸方向とし、カーポート1の上下方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
下部構造物2は、図2に示すように、地面に立設された一対の支柱3A,3B(第二形材、縦形材)および支柱3A,3Bに取り付けられた梁4(第一形材、横形材)によって構成される複数の門型フレーム21を備えており、複数の門型フレーム21はY軸方向に間隔を隔てて並設されており、支柱3A,3BはZ軸方向に沿っており、梁4はX軸方向に沿っている。支柱3A,3BのY軸方向における間隔は駐車スペースに駐車する車の台数等に応じて適宜設定される。
屋根5は、X軸方向に沿った前枠52および後枠53並びにY軸方向に沿った左右一対の側枠54,55を枠組みして構成される屋根枠51と、屋根枠51内にX軸方向に並設された複数の屋根材56とを備えている。各屋根材56はY軸方向に沿っており、梁4に取り付けられている。なお、屋根5には排水のため屋根勾配が設定されている。
【0011】
支柱3Aは、図3に示すように、Z軸方向に沿った四つの側面部31,32,33,34を有して断面中空矩形状とされた形材本体35(支柱本体)と、形材本体35の上端部に設けられた連結金具36とによって構成されている。形材本体35は、孔開け加工可能にアルミ押出形材によって形成されている。連結金具36は、Z軸方向に沿った前後一対の側片部361,362と、側片部361,362の上縁に連続した接合片部360とを有して断面コ字状に形成されている。側片部361,362には内周面に雌ネジが形成された固定孔36Bが形成されており、固定孔36Bには、前側の側面部31および後側の側面部32の後述する貫通孔35Aを貫通したネジ軸61(螺合軸)を有した固定ボルト6(固定具)が螺合し、この螺合によって連結金具36は形材本体35の上端部に固定される。接合片部360には、固定ボルト6のネジ軸61が貫通する貫通孔36Aが複数形成されている。この接合片部360の上面は、支柱3Aの上端面を構成していると共に、支柱3Aおよび梁4の接合状態で梁4の後述する接合面411に面接触する。なお、支柱3Bは、支柱3Aと同様に構成されて梁4に接合されているので詳細な説明を省略する。
【0012】
梁4は、図3および図4に示すように、下面部である接合面部41、上面部42および前後一対の側面部43,44を有して断面中空矩形状に形成されている。梁4は孔開け加工可能にアルミ押出形材によって形成されている。なお、梁4のZ軸方向における両端部には梁キャップ46が装着される。
【0013】
接合面部41は、X軸方向に沿って長平板状に形成されており、その下面(外面)は支柱3A,3Bの端部(具体的には連結金具36の接合片部360の上面)が接合されるフラットな接合面411とされている。また、接合面部41の上面412(内面)には、接合面部41の両端部にわたってX軸方向に連続して溝形状に形成されたバリ避け部45が形成されている。
【0014】
バリ避け部45は、本実施形態では図4および図5(A)に示すように、接合面部41の上面412に溝開口450を形成する一対の溝側面451,452と、溝側面451,452の間に位置する溝底面453とによって形成されている。溝開口450は、溝側面451,452のX軸方向に沿った上縁間に形成されている。溝底面453は、X,Y軸方向面内にある平らな面によって形成されており、溝底面453のX軸方向に沿った両側縁は溝側面451,452のX軸方向に沿った下縁に連続している。溝側面451は、溝側面452に対して接合面部41の幅方向(Y軸方向)における一方側(前側)に位置している。溝側面452は、溝側面451に対して接合面部41の幅方向における他方側(後側)に位置している。
溝側面451は、その下縁から上縁に向かうに連れて接合面部41の幅方向における一方側に向かうようにY軸方向に対して傾斜している。逆に、溝側面452は、その下縁から上縁に向かうに連れて接合面部41の幅方向における他方側に向かうようにY軸方向に対して傾斜している。
バリ避け部45は、溝底面453から溝開口450に向かうに連れてY軸方向における幅寸法が漸増している。溝側面451,452の上縁間の開口幅寸法W1(溝開口450のY軸方向における幅寸法)は、後述する裏板7の固定孔7Aの直径寸法R1よりも大きい寸法とされており、溝底面453のY軸方向における幅寸法W2は、固定孔7Aの直径寸法R1よりも小さい寸法とされている。
また、溝底面453から接合面部41の接合面411(下面)までのZ軸方向における厚さ寸法T2は、溝開口450から溝底面453までのZ軸方向におけるバリ避け部45の深さ寸法Dに応じて、接合面部41の上面412のうち裏板7と当接する部分(バリ避け部45以外の部分)から接合面411(下面)までのZ軸方向における厚さ寸法T1よりも小さい寸法とされている。
このように形成されるバリ避け部45は、梁4の中空部4Aに配置される裏板7の固定孔7Aに対応した位置、本実施形態では固定孔7Aに対してZ軸方向に対向する位置およびその周辺の位置において当該裏板7から下方に離間して形成されている。このため、接合面部41に孔開け加工する際に生じるバリC(図5(B)参照)をバリ避け部45によって形成される空間内に留められる。
【0015】
上面部42は、X軸方向に沿って長板状に形成されており、そのY軸方向における中央部分にはX軸方向に沿った薄肉部421が形成されている。この薄肉部421には図3に示す固定ネジ8(タッピングネジ)がねじ込まれており、固定ネジ8によって屋根取付金具9が取り付けられている。このように薄肉部421に固定ネジ8をネジ込むので、ネジ込み加工時間や切削量を減らすことができる。また、上面部42の薄肉部421は、上面部42の下面(内面)に当接するような部材はないので、固定ネジ8のネジ込みの際に生じ得るバリ避けを考慮する必要がなく、これを考慮した構成となっていない。仮に梁4の中空部4Aに断面矩形状の補強材(図示省略)などが挿入されても、このような補強材は自重で下に落ちて接合面部41(下面部)に載り、上面部42との間にある程度の隙間が形成されるので、前述したようなバリ避けを考慮する必要がない。なお、屋根取付金具9には複数の屋根材56が取り付けられる。
【0016】
側面部43,44は、X軸方向に沿って長板状に形成されており、接合面部41および上面部42のX軸方向に沿った両側縁に連続している。側面部43,44の内面431,441の下部には、X軸方向に沿ったガイドリブ431A,441AがY軸方向に突出して形成されている。
【0017】
前述した梁4の中空部4Aには、X軸方向にスライド可能に接合面部41の上面412に当接する裏板7が配置されている。裏板7はスチール金属製のピース材であり、図4に示すように、板状の裏板本体部71と、裏板本体部71のX軸方向に沿った両側縁からZ軸方向において上方に延出した側縁部72,73とを有している。裏板本体部71は平面視矩形状に形成されており、裏板本体部71のY軸方向における幅寸法は接合面部41のY軸方向における幅寸法とほぼ等しい寸法とされている。この裏板本体部71には、内周面に雌ネジ部を有した固定孔7Aが複数形成されている。また、側縁部72,73の先端面721,731(上端面)から裏板本体部71の下面(接合面部41に対する当接面)までのZ軸方向における上下寸法は、ガイドリブ431A,441Aの下面から接合面部41の上面412までのZ軸方向における上下寸法とほぼ等しい寸法とされている。
このように構成された裏板7は、梁4の端部から中空部4Aに挿入され、裏板本体部71の下面711が接合面部41の上面412に当接し且つ側縁部72,73が側面部43,44の内面431,441およびガイドリブ431A,441Aの下面にX軸方向に案内される。このため、例えば複数の裏板を梁4の中空部4Aに挿入して所定位置に位置決めする場合と比べて、ガイドリブ431A,441Aなどに案内される一つの裏板7をX軸方向にスライド移動して位置決めすればよいので、位置決め作業が容易である。
なお、固定孔7Aは裏板本体部71に溶接等されたナットによって構成されてもよい。
【0018】
以上のカーポート1では、固定ボルト6のネジ軸61が支柱3A,3Bの連結金具36から梁4の接合面部41を貫通して裏板7の固定孔7Aに螺合し、これにより、連結金具36および裏板7の間に接合面部41を挟み込んで締結することで、第一形材である梁4および第二形材である支柱3A,3Bを接合する形材の接合構造10を構成する。
【0019】
[本実施形態による柱梁接合手順]
以下、本実施形態に係るカーポート1における柱梁接合手順について説明する。
まず、梁4の接合面部41のX軸方向における任意の位置(立設された支柱3A,3Bの上端部が接合する位置)に対して孔開けドリル15(工具)によって孔開け加工を行う。孔開けドリル15の直径寸法R2は裏板7の固定孔7Aの直径寸法R1と等しい。孔開け加工は、図5(A)に示すように、回転する孔開けドリル15を接合面部41の接合面411に当てて上方に前進させることで切削して溝底面453で開口することでバリ避け部45に貫通する。更に孔開けドリル15を前進させることで、溝底面453の開口は拡径し、溝底面453全体および一対の溝側面451,452の下部が切削される。このとき、孔開けドリル15によって形成された開口縁部には図5(B)の黒塗り部分が当該孔開けドリル15によって押し上げられることでバリCとなるが、バリCはそのまま上方に押し出されて溝開口450から突出せずに溝側面451,452側(Y軸方向外側)に逃げ込む。このようにして接合面部41に貫通孔41Aを形成する。
次に、裏板7を梁4の端部から中空部4Aに挿入し、裏板7を接合面部41に当接させた状態でガイドリブ431A,441A等によって案内しながらX軸方向にスライド移動させ、固定孔7Aが貫通孔41Aに対してZ軸方向に対向して位置するように裏板7を位置決めする。裏板7をスライド移動する際、バリCは溝開口450から突出していないので裏板7に干渉しない。
次に、固定ボルト6のネジ軸61を連結金具36の貫通孔36Aに挿入して貫通孔41Aに貫通し、裏板7の固定孔7Aに螺合し、連結金具36および裏板7間に接合面部41を締結する。このとき、連結金具36の接合片部360は接合面411に面接触し、裏板7の下面711は、バリ避け部45以外の部分で接合面部41の上面412に面接触する。梁キャップ46は梁4の両端部に適宜装着される。
【0020】
一方、支柱3A,3Bの形材本体35の側面部31,32の上部に対して孔開けドリル15によって孔開け加工をして貫通孔35Aを形成する。そして、連結金具36を形材本体35の上端部に挿入し、固定ボルト6のネジ軸61を貫通孔35Aに挿入して側片部361,362の固定孔36Bに螺合して、側面部31,32および側片部361,362を締結する。
このようにして、梁4および支柱3A,3Bを接合して門型フレーム21を構成する。
【0021】
[変形例]
前記実施形態では、溝底面453から溝開口450に向かってY軸方向に拡がるバリ避け部45を説明したが、これに限らず、例えば図6(A)、図6(B)、図6(C)に示すバリ避け部45A、45B、45Cを梁4に構成してもよい。
図6(A)に示すバリ避け部45Aは、一対の溝側面451,452がZ軸方向に沿って垂直に立ち上げられており、溝底面453の幅寸法W2は孔開けドリル15の直径寸法R2よりも大きい寸法とされている。この場合でも、接合面部41に貫通孔41Aを孔開け加工した際に発生するバリCは溝開口450から突出せずにバリ避け部45Aによって形成される空間に収めることができる。
図6(B)に示すバリ避け部45Bは、図6(A)に示すバリ避け部45Aの溝側面451,452および溝底面453と概略同様の構成とされているが、溝側面451,452は、接合面部41の上面412から突出したリブ413,414に形成されている。このため、図6に示す厚さ寸法T2は厚さ寸法T1と等しい寸法とされている。この場合でも、接合面部41に貫通孔41Aを孔開け加工した際に発生するバリCは溝開口450から突出せずにバリ避け部45Bによって形成される空間に収めることができる。
図6(C)に示すバリ避け部45Cは、接合面部41の上面412から下方に凹んだ凹曲面454によって形成されている。この場合でも、接合面部41に貫通孔41Aを孔開け加工した際に発生するバリCは溝開口450から突出せずにバリ避け部45Cによって形成される空間に収めることができる。
また、前記実施形態では、梁4の接合面部41にバリ避け部45を形成したが、これに限らず、例えば図6(D)に示すように、梁4ではなく裏板7にバリ避け部45Dを形成してもよい。バリ避け部45Dは、裏板7の下面711から上方に凹んだ凹曲面455によって形成されている。この場合でも、接合面部41に貫通孔41Aを孔開け加工した際に発生するバリCはバリ避け部45Dによって形成される空間に収められる。なお、図6(D)では、凹曲面状のバリ避け部45Dを説明したが、例えば図5に示すバリ避け部45や図6(A)、図6(B)に示すバリ避け部45A,45Bを上下逆向きにして裏板7に形成したバリ避け部であってもよい。
【0022】
前記実施形態では、形材の接合構造10を、縦形材である支柱3A,3Bと横形材である梁4とを接合する構造として説明したが、このほか、桁等の各種形材同士を接合する構造とされてもよい。
前記実施形態では、梁4の下面部を接合面部41としたが、これに限らず、例えば梁4等の第一形材の側面部などに第二形材が接合される場合には当該側面部などを接合面部41としてもよい。
前記実施形態では、バリ避け部45は接合面部41の両端部にわたってX軸方向に連続して形成されているが、バリ避け部45のX軸方向における長さ寸法は、裏板7がスライド移動する範囲以上に大きい長さ寸法とされていればよい。
前記実施形態では、支柱3A,3Bの形材本体35の側面部31,32が連結金具36の側片部361,362に固定ボルト6によって固定されているが、側面部31,32の内面に前述したバリ避け部45と概略同様にバリ避け部を形成し、側片部361,362との干渉を抑制してもよい。
前記実施形態では、カーポート1を屋根構造体として説明したが、このほか、テラス、バルコニー、サンルームなどの屋根構造体であってもよい。
【0023】
[本発明のまとめ]
本発明の形材の接合構造は、第一形材および第二形材を接合する形材の接合構造であって、前記第一形材には、孔開け加工可能な接合面部が形成され、前記接合面部の外面は、前記第一形材の長手方向に沿った接合面とされ、前記第一形材には、その長手方向にスライド可能に前記接合面部の内面に当接する裏板が配置され、前記裏板には、固定具が螺合する固定孔が形成され、前記固定具は、前記第二形材から前記接合面部を貫通して前記裏板の固定孔に螺合し、前記接合面部および前記裏板のいずれか一方のうち前記固定孔に対応する部分には、当該他方から離間したバリ避け部が前記第一形材の長手方向に沿って形成されることを特徴とする。
本発明の形材の接合構造によれば、前述したバリ避け部が形成されているので、裏板を接合面部の内面に当接した状態で接合面部に孔開け加工した位置まで円滑にスライド移動できる。つまり、第一形材の長手方向における任意の位置において接合面部に対してその外面側からドリル等の工具を用いて孔開け加工する際に当該接合面部の内面にバリが発生しても、バリが裏板に干渉することを抑制できて、裏板を円滑にスライド移動できる。
このように裏板を接合面部の内面側にスライド移動可能に配置できるので、接合面部の外面にボルト等の固定具に対するガイド溝を形成する必要がなく、このため、接合面部の接合面(外面)をフラット化できて外観意匠を向上できる。
【0024】
本発明の形材の接合構造では、前記第一形材は横形材であり、前記第二形材は縦形材であり、前記接合面部は、前記横形材の下面部によって構成されていてもよい。
このような構成によれば、横形材の下面部における下面がフラットな接合面となるので、横形材を見上げた際の見上げ意匠を向上できる。また、横形材に配置される裏板はその自重によって下面部の内面に当接した配置にでき、裏板の固定孔7Aに固定具のネジ軸を容易に螺合させ得る。
【0025】
本発明の形材の接合構造では、前記バリ避け部は、前記接合面部に対して前記第一形材の長手方向に沿って溝形状に形成され、前記接合面部の外面と前記バリ避け部との間の厚さ寸法は、前記接合面部の外面と前記接合面部の内面のうち前記裏板と当接する部分との間の厚さ寸法よりも小さくてもよい。
このような構成によれば、接合面部の外面とバリ避け部との間の厚さ寸法が前述したように小さくされている分、接合面部を孔開け加工する際の切削量を減らすことができ、孔開け加工時間の短縮、孔開け加工抵抗の低減およびバリの減少を図ることができる。
【0026】
本発明の形材の接合構造では、前記バリ避け部は、前記接合面部の内面において前記第一形材の長手方向に直交する幅方向に溝開口を形成する一対の溝側面と、前記一対の溝側面の間に位置する溝底面とによって形成され、前記バリ避け部は、前記溝底面から前記溝開口に向かうに連れて幅寸法が大きくされ、前記裏板における固定孔7Aの直径寸法は、前記溝底面の幅寸法よりも大きい寸法であって前記一対の溝側面の開口幅寸法よりも小さい寸法とされていてもよい。
このような構成によれば、前述したように接合面部の外面とバリ避け部との間の厚さ寸法が小さくされている分、接合面部を孔開け加工する際の切削量を減らしてバリを減少でき、更に、ドリル等の工具がバリ避け部を突き抜ける際にバリを接合面部の幅方向外側に逃がすことができてバリ避け部から突出することを抑制できる。
【0027】
本発明の形材の接合構造では、前記第二形材は、前記接合面部に交差する方向に沿った形材本体と、前記形材本体の端部に設けられた連結金具とを備え、前記連結金具は、前記固定具が貫通すると共に前記接合面部に面接触してもよい。
このような構成によれば、バリ避け部の形成によって接合面部に薄肉化された部分があっても、接合面部を裏板および連結金具によって挟み込みながら固定具によって締結することで補強でき、第一形材および第二形材の接合部分における十分な強度を得られる。
【0028】
本発明の屋根構造体は、一対の支柱と、前記一対の支柱に接合された梁と備える下部構造物と、前記下部構造物に支持される屋根とを備え、前記梁は第一形材とされると共に、前記支柱は第二形材とされ、前記梁および前記支柱の接合箇所には前述した本発明の形材の接合構造が構成されることを特徴とする。
本発明の屋根構造体によれば、前述した本発明の形材の接合構造の作用効果と同様の作用効果を発揮可能な屋根構造体を構成できる。
【符号の説明】
【0029】
1…カーポート(屋根構造体)、10…形材の接合構造、15…孔開けドリル、2…下部構造物、21…門型フレーム、31~34,43,44…側面部、35…形材本体、35A,36A,41A…貫通孔、36…連結金具、360…接合片部、361,362…側片部、36B,7A…固定孔、3A,3B…支柱、4…梁、41…接合面部(下面部)、411…接合面(下面)、412…上面、413,414…リブ、42…上面部、421…薄肉部、431,441…内面、431A,441A…ガイドリブ、45,45A~45D…バリ避け部、450…溝開口、451,452…溝側面、453…溝底面、454,455…凹曲面、46…梁キャップ、4A…中空部、5…屋根、51…屋根枠、52…前枠、53…後枠、54,55…側枠、56…屋根材、6…固定ボルト、61…ネジ軸、7…裏板、71…裏板本体部、711…下面、72,73…側縁部、721,731…先端面、8…固定ネジ、9…屋根取付金具、C…バリ、D…深さ寸法、R1,R2…直径寸法、T1,T2…厚さ寸法、W1…開口幅寸法、W2…幅寸法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6