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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】端末及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/30 20090101AFI20230619BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20230619BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20230619BHJP
【FI】
H04W52/30
H04W72/0453
H04W72/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019516363
(86)(22)【出願日】2018-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2018008231
(87)【国際公開番号】W WO2018203438
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】P 2017091099
(32)【優先日】2017-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】Samsung,Power Control for Multiplexing of eMBB and URLLC[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1702995,2017年02月07日
【文献】Lenovo, Motorola Mobility,On eMBB/URLLC multiplexing for uplink transmission[online],3GPP TSG RAN WG1 #88b R1-1705655,2017年03月25日
【文献】Huawei, HiSilicon,On UL multiplexing of URLLC and eMBB transmissions[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1701666,2017年02月06日
【文献】LG Electronics,Discussion on multiplexing of eMBB and URLLC for uplink[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1702489,2017年02月07日
【文献】Panasonic,Discussion on SR for URLLC and multiplexing with HARQ-ACK[online],3GPP TSG RAN WG1 adhoc_NR_AH_1706 R1-1710942,2017年06月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行う回路と、
前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信する送信機と、
を備え、
前記第1の信号の送信区間の開始位置は、前記第2の信号の送信周期の何れかのタイミングであり、
前記第1の信号は、下りリンクデータの誤り検出結果を示す応答信号であり、
前記第2の信号は、リソース割り当て要求であり、
前記第1の信号の送信開始シンボルと、前記第2の信号の送信開始シンボルとは同じである、
端末。
【請求項2】
前記回路は、前記総和が前記最大送信電力を超える場合、前記第1の信号に対して電力スケーリングを行い、前記第2の信号に対して前記電力スケーリングを行わない、
請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記第1の信号及び前記第2の信号は、異なる周波数リソースにそれぞれ割り当てられる、
請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記第1の信号の送信区間は、前記第2の信号の送信区間よりも長く、前記重複区間に前記第1の信号の送信開始位置が含まれ、
前記回路は、前記重複区間において前記総和が前記最大送信電力を超える場合、前記第1の信号の全ての送信区間で前記第1の信号に対して前記電力スケーリングを行う、
請求項1に記載の端末。
【請求項5】
前記送信機は、前記第2の信号の周波数リソースを用いて、前記第1の信号を送信する、
請求項4に記載の端末。
【請求項6】
端末が、
第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行い、
前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信し、
前記第1の信号の送信区間の開始位置は、前記第2の信号の送信周期の何れかのタイミングであり、
前記第1の信号は、下りリンクデータの誤り検出結果を示す応答信号であり、
前記第2の信号は、リソース割り当て要求であり、
前記第1の信号の送信開始シンボルと、前記第2の信号の送信開始シンボルとは同じである、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルブロードバンドを利用したサービスの普及に伴い、モバイル通信におけるデータトラフィックは指数関数的に増加を続けており、将来に向けてデータ伝送容量の拡大が急務となっている。また、今後はあらゆる「モノ」がインターネットを介してつながるIoT(Internet of Things)の飛躍的な発展が期待されている。IoTによるサービスの多様化を支えるには、データ伝送容量だけではなく、低遅延性及び通信エリア(カバレッジ)などのさまざまな要件について、飛躍的な高度化が求められる。こうした背景を受けて、第4世代移動通信システム(4G: 4th Generation mobile communication systems)と比較して性能及び機能を大幅に向上する第5世代移動通信システム(5G)の技術開発・標準化が進められている。
【0003】
3GPP(Third Generation Partnership Project)では、5Gの標準化において、LTE(Long Term Evolution)-Advanced(例えば、非特許文献1-3を参照)とは必ずしも後方互換性を持たない新しい無線アクセス技術(NR: New Radio)の技術開発を進めている。
【0004】
NRでは、モバイルブロードバンドの更なる高度化(eMBB:enhanced Mobile Broadband)だけではなく、多数MTC(Machine Type Communication)端末のサポート(mMTC:massive MTC)、及び、超高信頼低遅延通信(URLLC:Ultra Reliable and Low Latency Communication)等のサービス又はユースケースの多様化に対応する必要がある。
【0005】
また、NRでは、端末(UE:User Equipment)が上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)を用いて、下りリンクデータの誤り検出結果を示す応答信号(ACK/NACK:Acknowledgement/Negative Acknowledgment又はHARQ-ACK)、下りリンクのチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)、及び、上りリンクの無線リソース割当要求(SR:Scheduling Request)を基地局(eNG又はgNB)へ送信することが検討されている。
【0006】
また、NRでは、1~2ビットのUCI(Uplink Control Information)をPUCCHに含めて送信することが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 36.211 V13.4.0, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation (Release 13),"December 2016.
【文献】3GPP TS 36.212 V13.4.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding (Release 13)," December 2016.
【文献】3GPP TS 36.213 V13.4.0, "Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 13),"December 2016.
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、NRでは、多様化したサービス又はユースケースに要求される条件に応じて、PUCCHで同時送信する複数のUCIに対して無線リソース(時間、周波数又は送信電力)制御を行う方法について十分に検討がなされていない。
【0009】
本開示の一態様は、PUCCHで同時送信する複数のUCIに対する無線リソース制御を適切に行うことができる端末及び通信方法の提供に資する。
【0010】
本開示の一態様に係る端末は、第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行う回路と、前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信する送信機と、を具備する。
【0011】
本開示の一態様に係る通信方法は、第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して電力スケーリングを行い、前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信する。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0013】
本開示の一態様によれば、PUCCHで同時送信する複数のUCIに対する無線リソース制御を適切に行うことができる。
【0014】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの送信例を示す。
図2図2は、実施の形態1に係る端末の一部の構成を示す。
図3図3は、実施の形態1に係る基地局の構成を示す。
図4図4は、実施の形態1に係る端末の構成を示す。
図5図5は、実施の形態1に係る端末の処理を示す。
図6図6は、実施の形態1に係るURLLC SR及びeMBB HARQ-ACKのリソース割当例を示す。
図7図7は、実施の形態1に係る送信制御の一例を示す。
図8図8は、実施の形態2に係る送信制御の一例を示す。
図9図9は、実施の形態3の変形例に係る送信制御の一例を示す。
図10図10は、実施の形態3の変形例に係る送信制御の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
SRは、端末が上りリンクデータ伝送のための無線リソース割当を要求するか否かを示す制御情報である。
【0018】
3GPPが定義するURLLCへの要求条件として、片道0.5ms以下のユーザプレーン遅延かつ一定の信頼性を担保し、1ms以下の遅延を達成することが求められている。
【0019】
上記のようなURLLCの要求条件を満たすためには、端末はSR(以下、「URLLC SR」と呼ぶ)を0.125ms毎に送信する必要がある。つまり、SRリソースの周期(送信周期。URLLC SR periodicity)を0.125ms以下にする必要がある。また、SRの信頼性を確保する必要もある。ここで、URLLC SRとは、低遅延が要求されるデータ、又は、ある一定の信頼性が要求されるデータのためのSRである。
【0020】
また、NRの端末は複数のサービス(eMBB、URLLC、mMTCなど)に対応することが想定される。
【0021】
例えば、端末は、PUCCHを用いて、eMBBの下りリンクデータに対する誤り検出結果を示す応答信号(以下、「eMBB HARQ-ACK」と呼ぶ)を送信する。このとき、端末では、図1に示すように、URLLC SRの送信と、eMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生することがある。
【0022】
なお、図1では、サブキャリア間隔が15kHzであり、1スロットが7シンボル(0.5ms)で構成されるスロット(「NRスロット」と呼ぶこともある)を想定している。また、図1では、URLLC SRの送信周期を2シンボル(≒0.125ms)とし、eMBBのスケジューリング周期を1スロット(0.5ms)としている。
【0023】
ここで、LTEでは、端末がHARQ-ACKを送信するためのPUCCHのリソース(以下、「HARQ-ACKリソース」と呼ぶ)及びSRを送信するためのPUCCHのリソース(以下、「SRリソース」と呼ぶ)がそれぞれ確保されていた。端末は、SRの送信が無い場合にはHARQ-ACKリソースを用いてHARQ-ACKを送信する。一方、端末は、SRの送信とHARQ-ACKの送信とが同時に発生した場合、SRリソースを用いてHARQ-ACKを送信する。また、端末は、HARQ-ACKの送信が無く、SRの送信がある場合、SRリソースを用いてSRを送信する。なお、端末は、HARQ-ACKの送信が無く、SRの送信がある場合には、NACKと同一の信号点でSRを送信する。
【0024】
基地局は、HARQ-ACKが送信されているリソースを電力判定等のブラインド検出により判定する。例えば、基地局は、SRリソースでHARQ-ACKが送信されていると判定した場合、SR有りと判定するとともにSRリソースの信号を用いてHARQ-ACKの復号を行う。一方、基地局は、HARQ-ACKリソースでHARQ-ACKが送信されていると判定した場合、SR無しと判定するとともにHARQ-ACKリソースの信号を用いてHARQ-ACKの復号を行う。
【0025】
また、LTEでは、端末は、複数のサブフレームに渡って同一のHARQ-ACKを繰り返し送信するRepetition送信を行っている区間でSRの送信が発生した場合、SRを送信しない(ドロップする)。これは、LTEでは、下りリンクリソースが欠乏しており、下りリンクの周波数利用効率を向上させることが重要であったことから、上りリンクデータのためのSRよりも、下りリンクデータに対するHARQ-ACKの優先度を高くしたためである。
【0026】
上述したようなLTEにおけるSRの送信の有無及びHARQ-ACKの送信の有無に応じて信号を送信するPUCCHリソースを変更する方法では、基地局でのブラインド検出が必要となり、SR検出における曖昧性が増加する。
【0027】
これに対して、NRでは、URLLC SRをサポートする必要があり、URLLC SRでは低遅延及び高信頼性が要求される。このため、基地局におけるURLLC SR検出の曖昧性を低減させることが必要である。
【0028】
また、NRでは、1スロット内の1シンボル又は2シンボルを用いてPUCCHを送信する「Short PUCCH」と、3シンボル以上(例えば、最小シンボル数を4シンボルとしてもよい)のシンボルを用いてPUCCHを送信する「Long PUCCH」とがサポートされる。
【0029】
よって、NRでは、URLLC SRを送信するPUCCHのシンボル数よりもeMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHのシンボル数の方が多い場合が想定される。例えば、端末が、URLLC SRを1シンボルのShort PUCCHで送信し、eMBB HARQ-ACKを2シンボルのShort PUCCH又は3シンボル以上のLong PUCCHで送信する場合等が想定される。
【0030】
このとき、上述したLTEにおけるHARQ-ACKのRepetition送信と同様にして、eMBB HARQ-ACKを送信している区間でURLLC SRが発生した場合にURLLC SRをドロップしてしまうと、URLLCの低遅延の要求条件を満たせなくなる可能性がある。
【0031】
また、端末の備えるRF(Radio Frequency)回路の性能等により、端末の最大送信電力には限界がある。端末は、複数のUCIを送信するPUCCHの送信電力の総和が最大送信電力を超える場合には送信電力を当該最大送信電力以下に抑えるために送信電力制御(例えば、電力スケーリングなど)を行う必要がある。よって、上述したようなURLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生する場合には、URLLCの要求条件を満たしつつ、各UCI(つまり、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)に対して適切に送信電力制御を行う必要がある。
【0032】
そこで、本開示の一態様では、PUCCHで送信する信号(UCI)に対応するデータ伝送に要求される条件を考慮して、PUCCH送信における無線リソース(時間,周波数,送信電力)制御を適切に行い、要求条件の異なるサービス・ユースケースに対するPUCCHの同時送信を効率良く実現する方法について説明する。
【0033】
以下、各実施の形態について、詳細に説明する。
【0034】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100及び端末200を備える。
【0035】
図2は、本開示の各実施の形態に係る端末200の一部の構成を示すブロック図である。図2に示す端末200において、制御部209は、第1の信号(例えば、eMBB HARQ-ACK)の送信と上記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号(例えば、URLLC SR)の送信とが同時に発生する重複区間において、第1の信号の送信電力と第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも重複区間において、第1の信号の品質よりも第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行う。送信部217は、電力スケーリング後の第1の信号及び第2の信号を送信する。
【0036】
[基地局の構成]
図3は、本開示の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。図3において、基地局100は、制御部101と、データ生成部102と、符号化部103と、再送制御部104と、変調部105と、上位制御信号生成部106と、符号化部107と、変調部108と、下り制御信号生成部109と、符号化部110と、変調部111と、信号割当部112と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部113と、送信部114と、アンテナ115と、受信部116と、FFT(Fast Fourier Transform)部117と、抽出部118と、SR検出部119と、PUCCH復調・復号部120と、判定部121と、を有する。
【0037】
制御部101は、下りリンク信号(例えば、PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)に対する無線リソース割当を決定し、下りリンク信号のリソース割当を指示する下りリソース割当情報を下り制御信号生成部109及び信号割当部112へ出力する。
【0038】
また、制御部101は、下りリンク信号に対するHARQ-ACK信号を送信するPUCCHに対する無線リソース(時間、周波数、符号など)割当を決定し、HARQ-ACKに対するPUSCHリソース割当を指示するPUSCHリソース割当情報を下り制御信号生成部109及び抽出部118へ出力する。
【0039】
また、制御部101は、SRを送信するPUCCHに対する無線リソース割当を決定し、SRに対するPUCCHリソース(時間(周期を含む場合もある)、周波数、符号など)割当を指示するPUCCHリソース割当情報を上位制御信号生成部106及び抽出部118へ出力する。
【0040】
また、制御部101は、PUCCHの送信電力制御に関する情報を決定し、決定した情報を上位制御信号生成部106又は下り制御信号生成部109へ出力する。
【0041】
データ生成部102は、端末200に対する下りリンクデータを生成し、符号化部103へ出力する。
【0042】
符号化部103は、データ生成部102から入力される下りリンクデータに対して誤り訂正符号化を行い、符号化後のデータ信号を再送制御部104へ出力する。
【0043】
再送制御部104は、初回送信時には、符号化部103から入力される符号化後のデータ信号を保持するとともに、変調部105へ出力する。また、再送制御部104は、後述する判定部121から、送信したデータ信号に対するNACKが入力されると、対応する保持データを変調部105へ出力する。一方、再送制御部104は、判定部121から、送信したデータ信号に対するACKが入力されると、対応する保持データを削除する。
【0044】
変調部105は、再送制御部104から入力されるデータ信号を変調して、データ変調信号を信号割当部112へ出力する。
【0045】
上位制御信号生成部106は、制御部101から入力される制御情報(SRのPUCCHリソース割当情報等)を用いて、制御情報ビット列を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部107へ出力する。
【0046】
符号化部107は、上位制御信号生成部106から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部108へ出力する。
【0047】
変調部108は、符号化部107から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0048】
下り制御信号生成部109は、制御部101から入力される制御情報(HARQ-ACKのPUCCHリソース割当情報、下りリソース割当情報等)を用いて、下り制御情報ビット列を生成し、生成した制御情報ビット列を符号化部110へ出力する。なお、制御情報が複数の端末向けに送信されることもあるため、下り制御信号生成部109は、各端末向けの制御情報に、各端末の端末IDを含めてビット列を生成してもよい。
【0049】
符号化部110は、下り制御信号生成部109から入力される制御情報ビット列に対して誤り訂正符号化を行い、符号化後の制御信号を変調部111へ出力する。
【0050】
変調部111は、符号部110から入力される制御信号を変調して、変調後の制御信号を信号割当部112へ出力する。
【0051】
信号割当部112は、変調部105から入力されるデータ信号を、制御部101から入力される下りリソース割当情報に示される無線リソースにマッピングする。また、信号割当部112は、変調部108又は変調部111から入力される制御信号を無線リソースにマッピングする。信号割当部112は、信号がマッピングされた下りリンクの信号をIFFT部113へ出力する。
【0052】
IFFT部113は、信号割当部112から入力される信号に対して、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)等の送信波形生成処理を施す。IFFT部113は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。IFFT部113は、生成した送信波形を送信部114へ出力する。
【0053】
送信部114は、IFFT部113から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ115を介して端末200に無線信号を送信する。
【0054】
受信部116は、アンテナ115を介して受信された端末200からの上りリンク信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、受信処理後の上りリンク信号波形をFFT部117に出力する。
【0055】
FFT部117は、受信部116から入力される上りリンク信号波形に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部117は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部118へ出力する。
【0056】
抽出部118は、制御部101から受け取る情報(PUCCHリソース割当情報等)に基づいて、FFT部117から入力される信号から、SR又はHARQ-ACKに対するPUCCHの無線リソース部分を抽出し、抽出した無線リソースの成分をSR検出部119及びPUCCH復調・復号部120へそれぞれ出力する。
【0057】
SR検出部119は、抽出部118から入力される信号に対して電力検出を行い、SRの有無を検出する。また、SR検出部119は、HARQ-ACKがSRリソースで送信されていることを検出した場合、抽出部118から入力される信号をPUCCH復調・復号部120へ出力する。
【0058】
PUCCH復調・復号部120は、抽出部118又はSR検出部119から入力されるPUCCH信号に対して、等化、復調及び誤り訂正復号を行い、復号後のビット系列を判定部121へ出力する。
【0059】
判定部121は、PUCCH復調・復号部120から入力されるビット系列に基づいて、端末200から送信されたHARQ-ACK信号が、送信したデータ信号に対してACK又はNACKのいずれを示しているかを判定する。判定部121は、判定結果を再送制御部104に出力する。
【0060】
[端末の構成]
図4は、本開示の実施の形態1に係る端末200の構成を示すブロック図である。図4において、端末200は、アンテナ201と、受信部202と、FFT部203と、抽出部204と、下り制御信号復調部205と、上位制御信号復調部206と、下りデータ信号復調部207と、誤り検出部208と、制御部209と、SR生成部210と、変調部211と、HARQ-ACK生成部212と、符号化部213と、変調部214と、信号割当部215と、IFFT部216と、送信部217と、を有する。
【0061】
受信部202は、アンテナ201を介して受信された基地局100からの下りリンク信号(データ信号及び制御信号)の信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、得られる受信信号(ベースバンド信号)をFFT部203に出力する。
【0062】
FFT部203は、受信部202から入力される信号(時間領域信号)に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部203は、FFT処理により得られた周波数領域信号を抽出部204へ出力する。
【0063】
抽出部204は、制御部209から入力される制御情報に基づいて、FFT部203から入力される信号から、下り制御信号を抽出し、下り制御情報復調部205へ出力する。また、抽出部204は、制御部209から入力される制御情報に基づいて、上位制御信号及び下りデータ信号を抽出し、上位制御信号を上位制御信号復調部206へ出力し、下りデータ信号を下りデータ信号復調部207へ出力する。
【0064】
下り制御情報復調部205は、抽出部204から入力される下り制御信号をブラインド復号して、自機宛ての制御信号であると判断した場合、当該制御信号を復調して制御部209へ出力する。
【0065】
上位制御信号復調部206は、抽出部204から入力される上位制御信号を復調し、復調後の上位制御信号を制御部209へ出力する。
【0066】
下りデータ信号復調部207は、抽出部204から入力される下りデータ信号を復調・復号し、復号後の下りリンクデータを誤り検出部208へ出力する。
【0067】
誤り検出部208は、下りデータ信号復調部207から入力される下りリンクデータに対して誤り検出を行い、誤り検出結果をHARQ-ACK生成部212へ出力する。また、誤り検出部208は、誤り検出の結果、誤り無しと判定した下りリンクデータを受信データとして出力する。
【0068】
制御部209は、下り制御信号復調部205から入力される制御信号に示される下りリソース割当情報に基づいて、下りデータ信号に対する無線リソース割当を算出し、算出した無線リソース割当を示す情報を抽出部204へ出力する。
【0069】
また、制御部209は、上位制御信号復調部206から入力される上位制御信号、及び、下り制御信号復調部205から入力される制御信号を用いて、SR及びHARQ-ACKに対するPUCCHのリソース割当に関する情報に基づいて、SRを送信するPUCCHリソース及びHARQ-ACKを送信するPUCCHリソースをそれぞれ算出する。そして、制御部209は、算出したPUCCHリソースに関する情報を信号割当部215へ出力する。
【0070】
また、制御部209は、後述する方法により、端末200が実際にSR及びHARQ-ACKを送信するPUCCHに対する送信電力、時間・周波数リソースを決定し、決定した情報を送信部217へ出力する。
【0071】
SR生成部210は、端末200が上りリンク伝送に対する無線リソースの割当を基地局100に要求する場合にSR(例えば、URLLC SR)を生成し、生成したSR信号を変調部211へ出力する。
【0072】
変調部211は、SR生成部210から入力されるSR信号を変調して、変調後のSR信号を信号割当部215へ出力する。
【0073】
HARQ-ACK生成部212は、誤り検出部208から入力される誤り検出結果に基づいて、受信した下りリンクデータに対するHARQ-ACK信号(ACK又はNACK)を生成する。HARQ-ACK生成部212は、生成したHARQ-ACK信号(ビット系列)を符号化部213へ出力する。
【0074】
符号化部213は、HARQ-ACK生成部212から入力されるビット系列を誤り訂正符号化し、符号化後のビット系列(HARQ-ACK信号)を変調部214へ出力する。
【0075】
変調部214は、符号部213から入力されるHARQ-ACK信号を変調して、変調後のHARQ-ACK信号を信号割当部215へ出力する。
【0076】
信号割当部215は、変調部211から入力されるSR信号、又は、変調部214から入力されるHARQ-ACK信号を、制御部209から指示される無線リソースにマッピングする。信号割当部215は、信号がマッピングされた上りリンク信号をIFFT部216へ出力する。
【0077】
IFFT部216は、信号割当部215から入力される信号に対して、OFDM等の送信波形生成処理を施す。IFFT部216は、CP(Cyclic Prefix)を付加するOFDM伝送の場合には、CPを付加する(図示せず)。または、IFFT部216がシングルキャリア波形を生成する場合には、信号割当部215の前段にDFT(Discrete Fourier Transform)部が追加されてもよい(図示せず)。IFFT部216は、生成した送信波形を送信部217へ出力する。
【0078】
送信部217は、IFFT部216から入力される信号に対して、制御部209から入力される情報に基づく送信電力制御、D/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ201を介して基地局100に無線信号を送信する。
【0079】
[基地局100及び端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作について詳細に説明する。
【0080】
図5は、本実施の形態に係る端末200の処理のフローを示す。
【0081】
上述したように、NRでは、Short PUCCHとLong PUCCHとがサポートされる。本実施の形態では、URLLC SRの送信区間及びeMBB HARQ-ACKの送信区間の一部又は全てが重なる場合を想定する。
【0082】
この場合、図1に示すように、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが重なるシンボル(重複区間)が発生する(つまり、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生する)場合がある。また、図6に示すように、URLLC SRの送信区間と、eMBB HARQ-ACKの送信区間とが部分的に重なる場合もある。
【0083】
端末200は、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKをそれぞれ割り当てるPUCCHリソースを設定する(ST101)。例えば、本実施の形態では、図6に示すように、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKが異なるPUCCHリソースに割り当てられると仮定する。つまり、端末200は、URLLC SRの送信と、eMBB HARQ-ACKの送信とが同時に(同一シンボルで)発生した場合、異なるPUCCHリソースに割り当てられた複数のUCI(つまり、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)を同時に送信する。換言すると、本実施の形態では、端末200が、同一スロット内の複数のPUCCH(URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)を、FDM(Frequency Division Multiplexing)で送信することを仮定する。
【0084】
また、端末200は、URLLC SRを送信するPUCCH及びeMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHの各々の送信電力を算出する(ST102)。なお、送信電力の具体的な計算方法としてLTE-Advancedを例にすると、非特許文献3に記載のPUCCHの送信電力計算式を用いてもよい。
【0085】
次に、端末200は、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの各々のPUCCHの送信電力値から、送信電力の総和(総送信電力)を計算し、計算した総送信電力と、端末固有の最大送信電力(Pmax)との比較を行うことにより、電力スケーリングが必要であるか否かを判断する(ST103)。
【0086】
端末200は、総送信電力が端末固有の最大送信電力以下の場合、「電力スケーリングの必要なし」と判断する。一方、端末200は、総送信電力が端末固有の最大送信電力を超える場合、「電力スケーリングの必要あり」と判断する。
【0087】
端末200は、「電力スケーリングの必要あり」と判断した場合(ST103:Yes)、PUCCHに対して電力スケーリングを行う(ST104)。この際、端末200(制御部209)は、eMBB HARQ-ACKの品質よりもURLLC SRの品質を優先して、電力スケーリングを行う。つまり、端末200は、URLLC SRと比較して、eMBB HARQ-ACKに対して電力スケーリングを積極的に行う。例えば、図7に示すように、端末200は、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの送信が重複する区間(図7ではスロット内の最終シンボル)において、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを行い、URLLC SRを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを行わない。例えば、端末200は、次式(1)に示す方法に従って、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを行ってもよい。
PPUCCH,HARQ-ACK,tx=Pmax-PPUCCH,SR (1)
【0088】
ここで,PPUCCH,HARQ-ACK,txは電力スケーリング後のHARQ-ACKを送信するPUCCH送信電力を示し、Pmaxは端末固有の最大送信電力を示し、PPUCCH,SRはSRを送信するPUCCH送信電力を示す。
【0089】
電力スケーリング後、又は、「電力スケーリングの必要なし」と判断した場合(ST103:No)、端末200は、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKを含む複数のUCIを送信する(ST105)。
【0090】
このように、本実施の形態では、端末200は、eMBB HARQ-ACKの送信とURLLC SRの送信とが同時に発生する重複区間において、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの送信電力の総和が端末200の最大送信電力を超えた場合には、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを実施する。つまり、URLLC SRを送信するPUCCHに対して電力スケーリングが行われないので、URLLC SRを送信するPUCCHは電力スケーリングによる影響を受けない。このように、端末200がURLLC SR以外の信号に対して電力スケーリングを優先して行うことにより、URLLC SRを送信するPUCCHの伝送品質を保証することができ、URLLCの低遅延かつ高信頼性を満たすことができる。
【0091】
また、本実施の形態では、端末200は、URLLC SRとeMBB HARQ-ACKとをそれぞれ異なるPUCCHリソースを用いて送信する。このため、基地局100は、LTEのようなSRリソース及びHARQ-ACKリソースの2つのリソースの何れで信号が送信されているかを判定するブラインド検出を行う必要がない。したがって、本実施の形態によれば、PUCCH検出における曖昧性を低減でき、URLLCの高信頼性を満たすことができる。
【0092】
以上より、本実施の形態によれば、PUCCHで同時送信する複数のUCIに対する無線リソース制御を適切に行うことができる。
【0093】
なお、図7では、URLLC SRの送信区間とeMBB HARQ-ACKの送信区間とが部分的に重なる場合について説明したが、URLLC SRの送信区間とeMBB HARQ-ACKの送信区間が全て重なる場合には、端末200は、eMBB HARQ-ACKの全ての送信区間において同一の電力スケーリングを適用すればよい。
【0094】
ここで、電力スケーリングが発生する場合、電力スケーリングが適用されるシンボルと適用されないシンボルとの間に遷移時間(Transient period)が必要となる。また、Transient periodを含むシンボルでは、信号の品質が劣化することが考えられる。
【0095】
これに対して、eMBB HARQ-ACKの全ての送信区間において同一の電力スケーリングを適用すれば、Transient periodが不要となり、信号品質の劣化を回避することができる。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0097】
本実施の形態では、端末200が、URLLC SRを1又は2シンボルのShort PUCCHを用いて送信し、eMBB HARQ-ACKを、URLLC SRよりもシンボル数の多いPUCCHを用いて送信する場合を想定する。
【0098】
この場合、図8に示すように、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生する場合がある。図8では、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHの先頭の1シンボル(送信開始位置)と、URLLC SRを送信するPUCCHシンボルとが重なっている。
【0099】
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様、図8に示すように、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKが異なるPUCCHリソースに割り当てられると仮定する。つまり、端末200は、URLLC SRの送信と、eMBB HARQ-ACKの送信とが同時に(同一シンボルで)発生した場合、異なるPUCCHリソースに割り当てられた複数のUCI(つまり、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)を同時に送信(FDM mannerで送信)する。
【0100】
また、端末200は、実施の形態1と同様、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの各々のPUCCHの送信電力値から、送信電力の総和(総送信電力)を計算し、計算した総送信電力と、端末固有の最大送信電力(Pmax)との比較を行うことにより、電力スケーリングが必要であるか否かを判断する。なお、送信電力の具体的な計算方法はとしてLTE-Advancedを例にすると、非特許文献3に記載のPUCCHの送信電力計算式を用いてもよい。
【0101】
すなわち、端末200は、総送信電力が端末固有の最大送信電力以下の場合、「電力スケーリングの必要なし」と判断し、総送信電力が端末固有の最大送信電力を超える場合、「電力スケーリングの必要あり」と判断する。
【0102】
そして、端末200は、「電力スケーリングの必要あり」と判断した場合、実施の形態1と同様、PUCCHに対して電力スケーリングを行う。この際、本実施の形態では、端末200は、eMBB HARQ-ACKの品質よりもURLLC SRの品質を優先して電力スケーリングを行う。つまり、端末200は、実施の形態1と同様、URLLC SRと比較して、eMBB HARQ-ACKに対する電力スケーリングを積極的に行う。例えば、図8に示すように、端末200は、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを行い、URLLC SRを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを行わない。
【0103】
また、本実施の形態では、図8に示すように、端末200は、電力スケーリングが必要である場合、eMBB HARQ-ACKを送信する全てのPUCCHシンボルに対して電力のスケーリングを行う。例えば、端末200は、式(1)に示す方法に従って、eMBB HARQ-ACKを送信する全てのPUCCHシンボルに対して電力スケーリングを行ってもよい。
【0104】
ここで、上述したように、電力スケーリングが発生する場合、電力スケーリングが発生するシンボル間でTransient periodが必要となり、信号の品質が劣化することが考えられる。特に、図8に示すような、PUCCHに割り当てられるシンボル数が少ない場合(例えば、1シンボル又は2シンボル送信の場合)、Transient periodによる信号品質劣化の影響は大きくなる。
【0105】
これに対して、実施の形態2では、端末200は、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHの全区間(URLLC SRの送信区間との重複区間を含む)に対して同一の電力スケーリングを適用することで、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCH送信区間でTransient periodが発生することを防ぐことができる。
【0106】
このように、本実施の形態では、端末200は、実施の形態1と同様、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの送信電力の総和が端末200の最大送信電力を超えた場合には、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHに対して電力スケーリングを実施する。つまり、URLLC SRを送信するPUCCHに対して電力スケーリングが行われないので、URLLC SRを送信するPUCCHは電力スケーリングによる影響を受けない。これにより、本実施の形態によれば、URLLC SRを送信するPUCCHの伝送品質を保証することができ、URLLCの低遅延かつ高信頼性を満たすことができる。
【0107】
また、本実施の形態では、端末200は、実施の形態1と同様、URLLC SRとeMBB HARQ-ACKとをそれぞれ異なるPUCCHリソースを用いて送信する。このため、基地局100は、LTEのようなSRリソース及びHARQ-ACKリソースの2つのリソースの何れで信号が送信されているかを判定するブラインド検出を行う必要がない。したがって、本実施の形態によれば、PUCCH検出における曖昧性を低減でき、URLLCの高信頼性を満たすことができる。
【0108】
また、本実施の形態では、eMBB HARQ-ACKの送信区間がURLLC SRの送信区間よりも長く、eMBB HARQ-ACKの送信とURLLC SRの送信とが同時に発生する重複区間に、少なくとも、eMBB HARQ-ACKの送信区間の送信開始位置が含まれる場合を想定し、端末200は、上記重複区間において各PUCCHの送信電力の総和が最大送信電力を超える場合、eMBB HARQ-ACKの全ての送信区間で当該eMBB HARQ-ACKに対して電力スケーリングを行う。
【0109】
これにより、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHの送信区間においてTransient periodが発生することを防ぐことができる。
【0110】
以上より、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、PUCCHで同時送信する複数のUCIに対する無線リソース制御を適切に行うことができる。
【0111】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、図3及び図4を援用して説明する。
【0112】
本実施の形態では、端末200が、URLLC SRを1シンボルのShort PUCCHを用いて送信し、eMBB HARQ-ACKを2シンボルのShort PUCCHを用いて送信する場合を想定する。
【0113】
この場合、実施の形態2(例えば、図8を参照)と同様に、URLLC SRの送信区間とeMBB HARQ-ACKの送信区間とが部分的に重なる場合がある。
【0114】
また、本実施の形態では、実施の形態1,2と同様、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKが異なるPUCCHリソースに割り当てられると仮定する。つまり、端末200は、URLLC SRの送信と、eMBB HARQ-ACKの送信とが同時に(同一シンボルで)発生した場合、異なるPUCCHリソースに割り当てられた複数のUCI(つまり、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)を同時に送信(FDM mannerで送信)する。
【0115】
また、端末200は、実施の形態1,2と同様、URLLC SR及びeMBB HARQ-ACKの各々のPUCCHの送信電力値から、送信電力の総和(総送信電力)を計算し、計算した総送信電力と、端末固有の最大送信電力(Pmax)との比較を行うことにより、電力スケーリングが必要であるか否かを判断する。なお、送信電力の具体的な計算方法はとしてLTE-Advancedを例にすると、非特許文献3に記載のPUCCHの送信電力計算式を用いてもよい。
【0116】
また、端末200は、実施の形態2と同様、電力スケーリングが必要である場合、eMBB HARQ-ACKを送信する全てのPUCCHシンボルに対して電力のスケーリングを行う。例えば、端末200は、式(1)に示す方法に従って、eMBB HARQ-ACKを送信する全てのPUCCHシンボルに対して電力スケーリングを行ってもよい。
【0117】
ここで、本実施の形態では、eMBB HARQ-ACKの送信開始位置(PUCCHの送信区間の先頭シンボル)は、URLLC SRの送信周期の何れかのタイミングである。つまり、本実施の形態では、eMBB HARQ-ACKを送信する2シンボルのPUCCHのうち、先頭シンボルでは、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生する可能性があるのに対して、2シンボル目では、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生する可能性がない。
【0118】
このように、eMBB HARQ-ACKの送信開始シンボルをURLLC SRの送信周期に限定することで、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCH送信の途中のシンボルでURLLC SRが発生することがなくなる。このため、電力スケーリングによるTransient periodの発生を防ぐことができる。
【0119】
また、上述したように、本実施の形態では、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCH送信の開始位置(先頭シンボル)でURLLC SRが発生するので、端末200は、実施の形態2と同様、電力スケーリングが必要な場合には全ての送信区間においてeMBB HARQ-ACKに対する電力スケーリングを行う。これにより、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCH送信区間でTransient periodが発生することを防ぐことができる。
【0120】
(実施の形態3の変形例)
なお、本実施の形態では、端末200は、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生したシンボルにおいて、LTEの方法と同様にして、SRリソースを用いてHARQ-ACKを送信してもよい(例えば、図9を参照)。具体的には、図9に示す、URLLC SRの送信とeMBB HARQ-ACKの送信とが同時に発生した第1シンボル(6番目のシンボル)では、端末200は、URLLC SRを送信するPUCCHリソースを用いて、eMBB HARQ-ACK信号を送信し、第2シンボル(7番目のシンボル)では、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHリソースを用いて、eMBB HARQ-ACK信号を送信する。
【0121】
ただし、この場合、図9に示すように、eMBB HARQ-ACKを送信するPUCCHが第1シンボルと第2シンボルとで異なる。
【0122】
そこで、実施の形態3の変形例では、図10に示すように、URLLC SRの送信とeMBB ACK/NACKの送信とが同時に発生した場合には、端末200が、eMBB HARQ-ACKを送信する全てのシンボルにおいて、URLLC SRを送信するPUCCHリソースと同一リソースを用いてeMBB HARQ-ACKを送信してもよい。すなわち、図10に示すように、端末200は、eMBB HARQ-ACKの第1シンボル及び第2シンボルの双方においてURLLC SRを送信するPUCCHリソースと同一リソースを用いてeMBB HARQ-ACKを送信してもよい。
【0123】
このようにすることで、eMBB HARQ-ACKを送信する2シンボルのPUCCH区間中にPUCCHリソースが変わることがなくなる。これにより、PUCCHリソースが変わるシンボル間に必要となる遷移時間(Transient period)の発生を防ぎ、信号品質の劣化を回避することができる。
【0124】
また、図9及び図10に示すように、端末200がURLLC SRのPUCCHリソースを用いてeMBB HARQ-ACKを送信することで、複数のPUCCHを同時送信することがなくなる。このため、端末200でeMBB HARQ-ACKに対して電力スケーリングを行う可能性が低くなるので、電力スケーリングによるeMBB HARQ-ACKの品質劣化を防ぐことができる。
【0125】
なお、端末200がeMBB HARQ-ACKをURLLC SRのPUCCHリソースを用いて送信する場合、基地局100は、LTEと同様にして、URLLC SRのPUCCHリソース及びeMBB HARQ-ACKのPUCCHリソースの何れで信号(eMBB HARQ-ACK)が送信されているかを判定するブラインド検出を行う必要が生じる。ただし、例えば、URLLC SRのPUCCHリソースの通信品質が良好である場合等の通信状況によっては、基地局100でのブラインド検出による曖昧性の影響を受けにくく、URLLCの高信頼性を維持することが可能である。
【0126】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0127】
[他の実施の形態]
(1)上述したように、3GPPが定義するURLLCへの要求条件として、片道0.5ms以下のユーザプレーン遅延かつ一定の信頼性を担保し、1ms以下の遅延を達成することが求められている。上記URLLCの要求条件を満たすためには、URLLC SRを0.125ms毎に送信できる必要がある。
【0128】
ここで、15kHzのサブキャリア間隔の場合、Long PUCCHの最小シンボル数は4シンボルであり、その送信区間は0.125msより大きい。したがって、Long PUCCHではURLLCの要求条件を満たせないことになる。そのため、15kHzサブキャリア間隔を用いる場合、URLLC SRの送信はShort PUCCHに限定してもよい。
【0129】
一方、60kHzのサブキャリア間隔の場合、1スロット(=7シンボル)のスロット長は0.125msである。よって、60kHzのサブキャリア間隔を用いる場合、URLLC SRの送信にLong PUCCHを用いることも可能である。
【0130】
また、60kHzのサブキャリア間隔の場合、URLLC SRの送信周期を1スロット単位の粒度にすると、URLLC SRの送信周期がeMBBのスケジューリング粒度(1スロット)と同等になる。この場合、LTEにおけるSRの送信周期である1サブフレーム単位の粒度と、HARQ-ACKの粒度(1スロット)との関係と同様になる。したがって、60kHzのサブキャリア間隔の場合には、LTEと同様の手法を用いることもできる。つまり、端末200は、SRの送信がHARQ-ACKの送信と同時に発生した場合、SRリソースを用いてHARQ-ACKを送信してもよい。
【0131】
以上より、端末200は、サブキャリア間隔に応じて、実施の形態1及び実施の形態2で説明した方法と、LTEの方法とを切り替えてもよい。つまり、サブキャリア間隔が15kHz又は30kHzの場合には、実施の形態1及び実施の形態2で説明した方法を適用し、サブキャリア間隔が60kHz以上の場合にはLTEの方法を適用してもよい。
【0132】
(2)上記実施の形態では、端末200において同時に発生する信号としてURLLC SR及びeMBB HARQ-ACKについて説明した。しかし、URLLC SRに限定されず、同時に発生する他の信号よりも低遅延及び高信頼性が要求される信号であればよい。例えば、URLLCの他の上りリンク信号でもよい。また、eMBB HARQ-ACKに限定されず、他の上りリンク信号(例えば、CSI又はSR等)でもよい。
【0133】
(3)上記実施の形態では、送信電力制御の一例として、端末200が、eMBB HARQ-ACKに対して電力スケーリングを行い、URLLC SRに対して電力スケーリングを行わない場合について説明した。しかし、送信電力制御はこれに限定されず、eMBB HARQ-ACKの品質よりもURLLC SRの品質を優先して電力スケーリングが行われるように、eMBB HARQ-ACK及びURLLC SRの双方に対して電力スケーリングが行われてもよい。つまり、端末200は、eMBB HARQ-ACKに対して電力スケーリングを積極的に行いつつ、URLLC SRに対しても電力スケーリングを行ってもよい。例えば、URLLC SRに対する電力スケーリングによる送信電力の減少量を、eMBB HARQ-ACKに対する電力スケーリングによる送信電力の減少量よりも小さくすればよい。これにより、端末200は、URLLC SRに対する低遅延及び高信頼性を維持しつつ、複数のUCI(URLLC SR及びeMBB HARQ-ACK)を同時に送信することができる。また,送信電力制御の一例とし,ドロッピングを適用してもよい。つまり,端末200は,eMBB HARQ-ACKに対する送信電力を0としてもよい。これにより,端末200は,URLLC SRに対する低遅延及び高信頼を維持しつつ、複数UCIをFDM送信することによる、最大送信電力対平均電力比(PAPR)の増加を抑えることができる。また、上記実施の形態では、「電力スケーリングの必要あり」として場合に、端末200が、電力スケーリングを行う場合について説明した。しかし、端末200においてURLLCの上りリンク信号とeMBBの上りリンク信号が同時に発生した場合、常に電力スケーリングを行ってもよい。これにより、端末200は、送信電力の増加なしに、URLLC SRに対する低遅延及び高信頼性を維持することができる。
【0134】
(4)本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0135】
本開示の端末は、第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行う回路と、前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信する送信機と、を具備する。
【0136】
本開示の端末において、前記回路は、前記総和が前記最大送信電力を超える場合、前記第1の信号に対して電力スケーリングを行い、前記第2の信号に対して前記電力スケーリングを行わない。
【0137】
本開示の端末において、前記第1の信号及び前記第2の信号は、異なる周波数リソースにそれぞれ割り当てられる。
【0138】
本開示の端末において、前記第1の信号の送信区間は、前記第2の信号の送信区間よりも長く、前記重複区間に前記第1の信号の送信開始位置が含まれ、前記回路は、前記重複区間において前記総和が前記最大送信電力を超える場合、前記第1の信号の全ての送信区間で前記第1の信号に対して前記電力スケーリングを行う。
【0139】
本開示の端末において、前記第1の信号の送信区間の開始位置は、前記第2の信号の送信周期の何れかのタイミングである。
【0140】
本開示の端末において、前記送信機は、前記第2の信号の周波数リソースを用いて、前記第1の信号を送信する。
【0141】
本開示の通信方法は、第1の信号の送信と前記第1の信号よりも低遅延かつ高信頼性が要求される第2の信号の送信とが同時に発生する重複区間において前記第1の信号の送信電力と前記第2の信号の送信電力との総和が最大送信電力を超える場合、少なくとも前記重複区間において、前記第1の信号の品質よりも前記第2の信号の品質を優先して、電力スケーリングを行い、前記電力スケーリング後の前記第1の信号及び前記第2の信号を送信する。
【0142】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0143】
100 基地局
101,209 制御部
102 データ生成部
103,107,110,213 符号化部
104 再送制御部
105,108,111,211,214 変調部
106 上位制御信号生成部
109 下り制御信号生成部
112,215 信号割当部
113,216 IFFT部
114,217 送信部
115,201 アンテナ
116,202 受信部
117,203 FFT部
118,204 抽出部
119 SR検出部
120 PUCCH復調・復号部
121 判定部
200 端末
205 下り制御信号復調部
206 上位制御信号復調部
207 下りデータ信号復調部
208 誤り検出部
210 SR生成部
212 ACK/NACK生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10