(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】プロセスチャンバ中でマイクロエレクトロニクス基板を処理するための磁気的な浮上および回転するチャック
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230619BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H01L21/304 648A
H01L21/304 645A
H01L21/304 651M
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019524030
(86)(22)【出願日】2017-11-08
(86)【国際出願番号】 US2017060543
(87)【国際公開番号】W WO2018089428
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-07
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151552
【氏名又は名称】ティーイーエル マニュファクチュアリング アンド エンジニアリング オブ アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】インホファー,ウィリアム ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,シーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン エルセン,ランス
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】松永 稔
【審判官】小田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-514167(JP,A)
【文献】特開2016-076702(JP,A)
【文献】特開2005-098163(JP,A)
【文献】特開2011-216888(JP,A)
【文献】特開2003-179040(JP,A)
【文献】特開2008-182228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/304, H01L21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス基板を処理するための装置であって、
a) マイクロエレクトロニクス基板が処理を受ける処理チャンバを提供するように構成されるハウジングと、
b) 前記処理チャンバ内に配置された回転可能なチャックであって、前記処理の少なくとも一部分中、前記マイクロエレクトロニクス基板を保持するように構成され、該チャックは、第1のチャック部分と、該第1の部分と回転可能に結合された第2のチャック部分とを含み、該第2のチャック部分は、該第1のチャック部分とは独立して磁気的に浮上し磁気的に回転し、該第2のチャック部分は、前記処理の少なくとも一部分中、前記マイクロエレクトロニクス基板を保持する、チャックと、
c)
前記回転可能なチャックに組み込まれた磁気駆動機構と、
を有し、
前記磁気駆動機構は、前記第2のチャック部分の下側において、前記回転可能なチャックに共配置され、ネスト化された、回転子システムおよび固定子システムを有し、
前記回転子システムは、前記第2のチャック部分と前記第1のチャック部分の間で前記第2のチャック部分に取り付けられ、
前記固定子システムは、前記第1のチャック部分と前記第2のチャック部分の間で前記第1のチャック部分に取り付けられ、
前記固定子システムは、
前記第1のチャック部分に対して前記第2のチャック部分の磁気的な浮上および回転が生じるように、前記回転子システムに磁気的に結合される、装置。
【請求項2】
前記
処理チャンバ内の経路に沿って前記チャックを並進させるのに有効な方法で、前記チャックに結合された並進機構をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記並進機構は、前記チャックに結合されて、並進経路に沿ってチャック並進を生じさせる少なくとも1つの並進ロッドを含み、該並進ロッドの連続部分は、前記並進ロッドがチャック並進を生じさせるように並進させるように、前記処理の少なくとも一部分中、前記
処理チャンバ内に配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記並進機構は、前記磁気駆動機構から熱を放散するのに有効な方法で前記第1のチャック部分に結合された熱伝導性のベース部材を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
流体供給システムと、該流体供給システムに結合された少なくとも1つのノズルをさらに含み、該ノズルは、該流体供給システムから前記チャックに支持された前記マイクロエレクトロニクス基板上に処理流体を分配するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ノズルが、前記チャックの表面に垂直に処理流体を分配するように配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記流体供給システムが、少なくとも1つの加圧流体を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの加圧流体が加圧され、冷却される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの加圧流体は、70Kから150Kの範囲の温度に冷却される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記並進機構および前記磁気駆動機構は、前記チャックを同時に回転および並進させるように構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記流体供給システムが、加圧ガスを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記流体供給システムが、加圧液体を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記流体供給システムが、加圧および冷却されたガスと、加圧および冷却された液体とを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項14】
前記チャックに固定された前記マイクロエレクトロニクス基板および回転可能な前記チャックのそれぞれは、フットプリントを有し、前記マイクロエレクトロニクス基板の該フットプリントおよび前記チャックの該フットプリントは、実質的に同じである、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記マイクロエレクトロニクス基板および回転可能な前記チャックのそれぞれは、フットプリントを有し、前記チャックの該フットプリントは、前記マイクロエレクトロニクス基板の該フットプリントよりも面積で0から15%大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のチャック部分に保持された前記基板を加熱するのに有効な方法で前記第2のチャック部分に熱的に結合された前記第1のチャック部分に組み込まれたヒータをさらに含み、前記第2のチャック部分は、前記ヒータとは独立して浮上および回転する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの磁気固定子の少なくとも一部は、前記
処理チャンバが低大気圧環境を提供するように構成されているとき、前記磁気固定子から前記
処理チャンバへのガス放出を低減するのに有効な保護層で被覆される、請求項
1に記載の装置。
【請求項18】
前記保護層が、少なくとも1つのポリカーボネート、少なくとも1つのフルオロポリマー、少なくとも1つのポリイミド、少なくとも1つのポリスチレン、PEEK、少なくとも1つのエポキシ、またはこれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
前記フルオロポリマーが、少なくとも1つのフルオロエラストマーを含む、請求項
18に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つのフルオロエラストマーが、FKMフルオロエラストマー、FPMフルオロエラストマー、FEPMフルオロエラストマー、FFKMフルオロエラストマー、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
19に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つのフルオロポリマーが、PTFE、PFA、PVDF、PCTFE、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
18に記載の装置。
【請求項22】
前記第2のチャック部分の上面は、回転可能なプレートの一部を構成し、前記第2のチャック部分は、前記回転可能なプレートに前記回転子の回転が与えられるように、前記回転可能なプレートに前記回転子を接続する、少なくとも1つのアダプタ機構をさらに含み、前記回転子は、前記回転子と前記回転可能なプレートとの間にギャップを与える方法で前記回転可能なプレートに連結される、請求項
1に記載の装置。
【請求項23】
前記ギャップ内に少なくとも部分的に位置付けられ、前記回転子および回転可能な前記プレートから離間したヒータをさらに含み、該ヒータは、前記第2のチャック部分に固定された前記マイクロエレクトロニクス基板に熱を供給し、前記ヒータは、前記回転子および第2のチャック部分が前記ヒータとは独立して浮上および回転するように、前記第1のチャック部分に結合される、請求項
22に記載の装置。
【請求項24】
マイクロエレクトロニクス基板をプロセスする方法であって、
a)
処理チャンバを含む装置を提供するステップと、
b) チャックにマイクロエレクトロニクス基板を保持するステップであって、該チャックは、第1のチャック部分と第2のチャック部分とを含み、磁気駆動装置が前記チャックに組み込まれ、該第1のチャック部分に対して該第2のチャック部分を浮上および回転させることができ
、前記磁気駆動装置は、
前記第2のチャック部分の下側に、前記チャックに共配置されネスト化された、回転子システムおよび固定子システムを有し、前記固定子システムは、前記第1のチャック部分と前記第2のチャック部分の間で前記第1のチャック部分に
取り付けられた少なくとも1つの磁気固定子
を有し、前記回転子システムは、前記第2のチャック部分と前記第1のチャック部分の間で前記第2のチャック部分に取り付けられ、前記固定子システムは、前記第2のチャック部分が、前記少なくとも1つの固定子によって磁気的に浮上
し、回転駆動可能となるように、前記共配置されネスト化された回転子システムと磁気的に結合され、前記第2のチャック部分は
、前記マイクロエレクトロニクス基板を保持する、ステップと、
c)
前記固定子システムと前記回転子システムの間の前記磁気的結合を用いて、基板処理の間、前記基板が保持される
前記第2のチャック部分が
浮上および回転する、ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/419,662号に対する優先権を主張し、その内容は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、基板の表面を処理するための装置および方法、特に、基板の表面から残渣、残屑、および他の材料を洗浄するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス技術の進歩により、半導体基板などの基板上に集積回路(IC)が形成され、アクティブ構成要素の密度が絶えず増大している。ICの形成は、基板上の種々の材料の連続的な適用、処理、および選択的除去によって行われる。そして、形成中、基板の露出表面は、プロセス残渣および残屑を定期的に除去するための洗浄ステップを必要とする。ドライ洗浄技術およびウェット洗浄技術の両方を含む半導体基板処理において基板から特定のクラスの材料を除去するための種々の組成物が開発されてきた。追加的に、様々な条件下で、基板を洗浄ケミストリに曝すために、いくつかの異なる種類の機器が使用される。この機器の重要な観点は、基板を均一な方法で洗浄しながら、高いスループットを達成し、機器によって生成されるあらゆる残屑または粒子を最小にすることである。
【0004】
マイクロエレクトロニクス産業において知られている一つの洗浄方策は、粒子のストリームを用いて、ワークピース表面から汚染物質を除去する。このタイプの極低温処理は、1つ以上の適切なノズルを使用して、加圧および冷却された流体(液体および/またはガスであってもよく、いくつかの同伴固体材料を含んでもよい)を低圧プロセスチャンバ内に膨張させる。これにより、流体が処理ストリームを生成する。この流れのエネルギーは、汚染物を表面から取り除き(dislogde)、除去するために使用される。このような様々なタイプの極低温処理流は、極低温エアロゾル、極低温エアロゾルジェット、ナノエアロゾル粒子、ガスジェットクラスタ等として知られている。極低温洗浄ツールの優れた例は、米国ミネソタ州チャスカのTEL FSI, Inc.の商品名ANTARESで入手可能である。
【0005】
典型的な極低温処理では、処理スプレーは、少なくとも1つのノズルから処理チャンバに分配される。マイクロエレクトロニクス基板の形態のワークピースは、回転可能および並進可能な(translatable)チャックに保持される。チャックは、ノズルの下で並進および/または回転する。実質的に、チャックの並進および/または回転によりノズルに基板表面を走査させ、基板表面の全部または一部を所望に応じて処理する。
【0006】
モータ、ギヤ、および他の機械的要素は、ワークピースを保持するチャックを並進および回転させるために使用されてきた。移動構成要素間の摩擦並びに機械的機能を補助するために使用される潤滑剤およびグリースが、ワークピース上の汚染源であった。洗浄処理は、処理中に汚染が発生すると、効果が低くなる傾向がある。
【0007】
従来の処理に関する別の問題としては、処理を実行するためのサイクル時間に関する。典型的な処理は、所望の極低温処理を行うために適切な真空がチャンバ内で確立されているトランジション(transition)から開始する。処理中、または処理後に、チャンバは、基板をチャンバへ、およびチャンバからロードまたはアンロードするときなど、圧力を増加させるためにベントアップ(vented up)されてもよい。あまりに急速に起こる真空またはベントは、機械アセンブリ内の潤滑剤およびグリースをチャンバ内部で脱落させ、基板への汚染の可能性をもたらす。例えば、これらのシステムから発生する汚染には、グリース、粒子、およびガス放出蒸気が含まれ、これらは目標とする製品性能の達成にあたって問題となっていた。蒸気は凝縮し、基板上に汚染を生じることがある。蒸気はまた、基板表面に吸着し、汚染膜を形成することがある。このような汚染のリスクを避けるために、よりゆっくりと排気(evacuation)やベント行って、このリスクを最小限に抑えていた。サイクル時間を短縮し、より多くのスループットを得るために、圧力変化がより迅速に起こることが望ましい。
【0008】
基板洗浄機器は、粒子を最小限にし、高いスループットを達成しながら、効率的で均一な洗浄結果を達成するために、いくつかの方法で設計されてきた。従って、スループットも改善しながら、洗浄効率(例えば、粒子/欠陥の減少)または均一性を改善することは、産業内で望ましいものである。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に開示されているのは、チャックに対する磁気的な浮上機能および回転機能を組み込んだ回転可能および並進可能なチャックアセンブリを使用する半導体製造のための洗浄システムおよび方法である。回転チャック構成要素は、浮上および回転しているときに、他のチャック構成要素と物理的に接触しない。これにより、摩擦や潤滑剤が汚染を引き起こす可能性のある、対応する構成要素が排除される。本発明の低摩擦チャック機能は、ワークピースが処理中に回転サポートに支持されるあらゆる製造ツールにおいて有用である。チャックは、極低温洗浄処理において特に有用である。この回転界面のための潤滑剤の使用を避けることによって、処理チャンバをはるかに急速に排気および/またはベントすることができる。これにより、極低温処理のためのサイクル時間が大幅に短縮される。
【0010】
本明細書における技術は、処理されている基板を浮上および回転させる磁気駆動システムを含む。この機能に基づき、このような駆動機構は、本明細書では、マグレブ駆動機構と呼ぶ。このような技術は、回転インターフェースでモータ、ギアおよびベアリングと取って替わることができ、それによって、関連する汚染を低減する。さらに、このような磁気的な浮上チャックは、チャンバ内の基板を回転および/または並進させる真空ベースの半導体処理チャンバ内に配置される。実施形態は、処理チャンバ内の浮上する回転子と、固定子(例えば、巻線)の両方をチャック自体に配置することを含むことができる。回転機構の主要部分の両方をチャンバ内およびチャック内に配置することは、固定子構成要素と回転子構成要素の間に正確な公差を維持しながら基板ホルダ(チャック)を横方向に並進させるのに有益である。
【0011】
追加的に、本明細書における技術は、処理されている基板のフットプリントとほぼ同じまたはより小さい、あるいはプロセス処理中に基板を固定するサポート構成要素(例えば、スピンプレート)のフットプリントと同じまたはより小さい表面積またはフットプリントを有する固定子/回転子の対を含む。このようなコンパクトなサイジングは、横方向の並進に有益であり、また、処理チャンバからの粒子および残渣の排出を容易にする。別の利点としては、このコンパクトな配置が、チャンバの全体的なサイズを縮小させることである。
【0012】
本明細書における技術は、固定子と回転子の両方が基板と同じ真空環境で共存する低大気圧(sub-atmospheric)半導体処理システムのための磁気的浮上基板運動システムを含む。回転子および固定子の機構の両方は、真空環境により適した材料を用いて設計してもよい。
【0013】
本発明の磁気的な浮上および回転設計は、基板を回転するために典型的に使用される可動部品の一部に取って代わる。磁気的に駆動される回転については前述の実施形態が実施されてきた。しかし、多くの従来の実施形態の磁気固定子巻線は「汚れている」と考えられ、真空への暴露を避けるために、プロセスチャンバ内に配置せずに、粒子または汚染の問題を最小にしていた。このような従来の磁気的な浮上および回転の実施形態は、回転子および磁気固定子を真空壁によって分離し、回転子のみがチャンバ内にあるようしてこの問題を回避している。その結果、磁気固定子の直径は、関連するチャンバの直径または基板よりも大きく、はるかに大きなツールフットプリントを作り出している。
【0014】
さらに、これらの従来の実施例は、チャックを同時に並進および回転させることを含んでいない。従って、これらの従来の実施形態は、いずれも並進しないため、固定子と回転子の間の関係を維持することができた。例えば、固定子は、プロセスチャンバの一部を囲み、回転子と均一な電磁結合を維持する。ほとんどの場合、回転子の均一な制御は、処理中の固定子と回転子の間の比較的一定の距離を維持することによって可能であった。一方、回転子が固定子に対して並進するときに、回転子の浮上および回転を正確に制御することは、実用的又は経済的ではない。
【0015】
本明細書に開示される並進/回転アプローチは、プロセスチャンバ内の磁気の固定子および回転子をチャック自体に配置することによって可能とされる。また、巻線を含む磁気固定子アセンブリで使用される材料は、望ましくは、真空適合性(過度の損傷または寿命の短縮なしに真空環境で生存可能である)であるか、および/または基板上に堆積する可能性がある、環境へ汚染を放出または発生させないように修正されている。材料の選択に加えて、磁気の固定子および回転子を基板チャックの下に配置することにより、残屑を最小限に抑え、粒子が基板の表側に到達するのを防止する。追加的に、チャンバの真空導管開口部は、(もしあれば)汚染を生じさせた浮上システムが、基板の前側に到達するリスクを小さくする可能性を高めるために基板の面より下に配置されてもよい。
【0016】
本発明の例示的な実施形態によって提供される別の利点は、熱管理に関する。磁気駆動装置は、本質的に、運転中に熱を発生する電気モータである。磁気から発生する熱は放散させる必要があるが、真空は優れた断熱材であるため、プロセスチャンバの真空環境では困難である。この技術的課題を解決するために、本発明の実施形態は、チャック自体およびチャックを保持するチャンバ内の構造中に熱伝導性材料を配置する。これらは、磁気駆動装置から熱を熱的に伝導するための経路を提供する。本発明の原理によれば、磁気駆動装置は、浮上および回転の両方に使用される。浮上は、放散しなければならない主要な熱源となる傾向がある。
【0017】
1つの態様において、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板を処理するための装置に関し、
a) マイクロエレクトロニクス基板が処理を受ける処理チャンバを提供するように構成されたハウジングと、
b) 処理チャンバ内に配置される回転可能なチャックであって、回転可能なチャックは、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持するように構成され、チャックは、第1のチャック部分と第2のチャック部分とを含み、第2のチャック部分は、第1のチャック部分とは独立して浮上および回転し、第2のチャック部分は、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持する、回転可能なチャックと、
c) 第1のチャック部分に対する第2のチャック部分の磁気的な浮上および回転を生じさせるのに有効な方法で、回転可能および並進可能なチャックに組み込まれた磁気駆動機構と、を含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板を処理するための装置に関し、
a) 処理中にマイクロエレクトロニクス基板が配置されるプロセスチャンバと、
b) 真空エンクロージャ内に配置される回転可能なチャックであって、回転可能なおよび並進可能なチャックは、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持するように構成され、チャックは、第1のチャック部分と第2のチャック部分とを含み、第2のチャック部分は、第1のチャック部分とは独立して浮上および回転し、第2のチャック部分は、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持する、回転可能なチャックと、
c) チャックに組み込まれ、第1のチャック部分に対して第2のチャック部分を浮上及び回転させることができる磁気駆動装置であって、浮上および回転駆動装置は、第1のチャック部分に組み込まれた少なくとも1つの磁気固定子と、少なくとも1つの固定子によって磁気的に浮上及び回転可能に駆動される第2の部分に組み込まれた少なくとも1つの回転子とを含む、磁気駆動装置と、を含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板を処理する方法に関し、
a) プロセスチャンバを含む装置を提供するステップと、
b) チャックにマイクロエレクトロニクス基板を保持するステップであって、チャックは、第1のチャック部分と第2のチャック部分とを含み、第2のチャック部分は、第1のチャック部分とは独立して浮上および回転し、第2のチャック部分はマイクロエレクトロニクス基板を保持する、保持するステップと、
c) 基板が保持される第2のチャック部分を基板処理中に浮上および回転させるステップと、を含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板を処理するための装置に関し、
a) マイクロエレクトロニクス基板が処理を受ける処理チャンバを提供するように構成されたハウジングであって、処理チャンバは、処理の少なくとも一部分中、低大気圧環境を提供するように構成された、ハウジングと、
b) 流体供給であって、供給は加圧処理流体を含む、流体供給と
c) 処理チャンバ内に配置された並進可能および回転可能なチャックであって、並進可能および回転可能なチャックは、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持するように構成され、チャックは、第1のチャック部分と第2のチャック部分とを含み、第2のチャック部分は、第1のチャック部分とは独立して浮上および回転し、第2のチャック部分は、処理の少なくとも一部分中、マイクロエレクトロニクス基板を保持する、並進可能および回転可能なチャックと、
d) 流体供給に結合され、プロセスチャンバ内に配置され、処理流体を使用して、処理の少なくとも一部分中に、チャックに保持されたマイクロエレクトロニクス基板上に処理物を分配するように構成されたノズルと、
e) チャックとノズルとの間の相対的並進運動を生じさせるために、プロセスチャンバ内の経路に沿ってチャックを並進させるのに有効な方法で第1のチャック部分に結合された並進機構と、
g) 第1のチャック部分に対する第2のチャック部分の磁気的な浮上および回転を生じさせるのに有効な方法で、回転可能および並進可能チャックに組み込まれた磁気駆動機構と、を含む。
【0021】
本明細書において説明する様々なステップの議論の順序は、明確にするために提示されている。一般に、これらのステップは、任意の適切な順序で行うことができる。追加的に、本明細書における様々な特徴、技術、構成等の各々は、本開示の異なる箇所で議論されることがあるが、概念の各々は、互いに独立して、または互いに組み合わせて実行される可能性があることを意図している。
【0022】
要約書は、本開示または特許請求の範囲に記載された発明のすべての実施形態および/または漸進的に新規な態様を特定していないことに留意されたい。代わりに、この発明の概要は、従来の技術に対する異なる実施形態および対応する新規な点についての予備的な考察のみを提供する。本発明および実施形態のさらなる詳細および/または可能な観点については、読者は、以下にさらに議論するように、発明を実施するための形態および本開示の対応する図に指向される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上述の発明の一般的な説明と共に下記の発明を実施するための形態は、本発明を説明するのに役立つ。
【0024】
【
図1】マイクロエレクトロニクス基板を処理するために処理スプレーを使用する洗浄装置の形態による、本開示の少なくとも1つの実施形態による装置の概略図を含み、回転可能および並進可能なチャックは、第2のチャック部分が磁気的に浮上し、回転軸を中心として第1のチェック部分に対して回転しつつ、並進機構はチャックを並進経路に沿って並進させる第1の構成にあり、チャックは、ノズルが処理を開始するために(処理を終了するのにも適している)基板のエッジの近位にある状態で位置付けられている。
【
図2】
図1の装置の一部分の斜視図を含み、並進機構の一部分に結合された回転可能および並進可能なチャックを示す。
【
図3】
図1の装置の第2の構成を示し、チャックの並進は、ノズルが
図1に対して基板のエッジから基板の中心まで基板を横切って走査するように、チャックとノズルの間の相対的移動を生じさせる。
【
図4】
図1の装置の第3の構成を示し、第2のチャック部分が磁気的に浮上するが、第1のチャック部分に対して回転せず、処理の前または後に起こり得るように、または基板がプロセスチャンバにロードされるかまたはプロセスチャンバから取り出されるときに、ノズルが基板の位にあるようにプロセスチャンバ内の位置に並進されるように、第2のチャック部分が第1のチャック部分に支持される。
【
図5】ヒータ機能ならびに本発明の原理による磁気的な浮上能力および回転能力を組み込んだ回転可能および並進可能なチャックの一実施形態の側面断面図である。
【
図6】本発明の原理による磁気的な浮上能力および回転能力を有する回転可能および並進可能なチャックの代替実施形態の分解斜視図、ならびにヒータ機能がチャックに組み込まれることを可能にする特徴を図式的に示す。
【
図7】マグレブ駆動装置およびヒータを取り外した
図6のチャックの組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する本発明の実施形態は、網羅的であること、または本発明を以下の詳細な説明に開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。むしろ、選択し、説明する実施形態の目的は、本発明の原理および慣行の当業者による評価および理解を容易にすることができるようにすることである。
【0026】
本明細書における技術は、高度に汚染に敏感な半導体基板が処理されているような真空チャンバ内で磁気的な浮上および回転させる駆動システムを展開することを含む。これは、固定子と回転子の間の真空壁を除去し、代わりに、少なくとも1つの固定子/回転子の対を真空環境自体の内部で回転可能および並進可能なチャックに組み込むことによって達成される。このようにして、固定子および回転子構成要素は互いに並進しつつ、回転子およびそれに取り付けられた構成要素は、必要に応じて、固定子およびそれに取り付けられた構成要素とは独立して回転することができる。これは、固定子を処理チャンバの外側に位置決めし、回転子のみがチャンバの内側にある従来のシステムとは対照的である。
【0027】
本発明の原理は、1つ以上の処理の経過中に、回転するチャックにマイクロエレクトロニクス基板が支持された、任意のマイクロエレクトロニクス処理または製造システムにおいて使用することができる。正確なチャック回転のためには、固定子と対応する回転子の間の関係が正確に維持されることが重要である。有利には、固定子および回転子構成要素は両方ともチャックに組み込まれるため、固定子と対応する回転子との間の密接な公差は、チャックが軸を中心に回転するときだけでなく、チャックがプロセスチャンバを通って並進又は横断するときにも維持することができる。
【0028】
これにより、本発明の回転可能および並進可能なチャックの実施形態は、ミネソタ州チャスカのTEL FSI, Inc.から市販されているANTARES極低温洗浄ツールのような洗浄ツールに特に有用である。これらのツールは、並進可能及び回転可能なチャックを使用した洗浄処理を実装して、処理ストリームを通して基板表面を走査する。磁気的な浮上特性および回転特性を有する本発明の磁気的な浮上および回転チャックは、既存のANTARESまたは他のツールにレトロフィットするか、または新しいツールに組み込むことができる。
【0029】
極低温処理は、一般に、流体(ガスおよび/または液体)供給ストリームから処理ストリームを生成する実行を伴う。供給ストリームは代表的には加圧され、任意に冷却される。1つ以上の適切なノズルを通して膨張させると、圧力解放は材料をさらに冷却する。このような流れは、エアゾールスプレー、ガスジェットスプレー、ガスクラスタ等の形態であってもよい。極低温処理ストリームは、汚染物とマイクロエレクトロニクス基板の間の接着力に打ち勝つ十分なエネルギーを与えることによって、マイクロエレクトロニクス基板表面上の汚染物を取り除く。従って、適切なエネルギーのそのような処理ストリーム(例えば、いくつかの実施形態においては、エアゾールスプレーおよび/またはガスクラスタジェットスプレー)を生成することが望ましいことがある。洗浄力と相関する処理スプレーのエネルギーは質量と速度の関数である。エネルギーは、速度または質量を増加させることによって増加させることができる。エネルギーの増加は、より大きい汚染物であることと汚染物がより小さい(<100nm)ときの両方含めて、汚染物と基板の表面の間の強い接着力に打ち勝つために重要であることがある。
【0030】
基板を不当に汚染することを避けるために、真空適合性(保守または交換前に適切な寿命を有する真空環境で生存可能である)だけでなく、基板表面上に堆積する可能性がある処理環境へ不当に放出または汚染を生じさせない、固定子(巻線を含む)および/または回転子のための材料が選択されてもよい。このような材料はまた、巻線および他の固定子構成要素から熱を伝導して逃がすのを助けるように選択されてもよい。任意に、少なくとも1つの固定子120の少なくとも一部は、プロセスチャンバが低大気圧環境を提供するように構成されているとき、磁気固定子120からプロセスチャンバへのガス放出を低減するのに有効な保護層で被覆される。例示的な実施形態において、保護層は、以下の材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。すなわち、少なくとも1つのポリカーボネート、少なくとも1つのフルオロポリマー、少なくとも1つのポリイミド、少なくとも1つのポリスチレン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、少なくとも1つのエポキシ、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0031】
フルオロポリマーは、フルオロエラストマー(ASTM D1418に基づくFKMまたはISO/DIN 1629に基づくFPMの名称のうちの1つ以上の下で入手可能なものを含むが、これらに限定されない)を含むことができる。他のフルオロエラストマーとしては、FFKM(パーフルオロエラストマー)、FEPM(テトラフルオロエチレン/プロピレンゴム)、またはこれらの組み合わせを含む。他の適切なフルオロポリマーとしては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、およびこれらの組み合わせを含む。
【0032】
また、回転子は、真空処理に対応する適切な材料から生成することもできる。このような材料の一例は、フェライト系ステンレス鋼である。フェライト系ステンレス鋼は、通常は磁石に反応しないオーステナイト系ステンレス鋼とは対照的に、磁石に反応する傾向がある。
【0033】
固定子構成要素および回転子構成要素をチャック自体に組み込むことによって、コンパクトで、小さなフットプリントを有する回転駆動機構が提供される。コンパクトなサイズとフットプリントは、たとえ並進可能なチャック機能が不要であっても、回転可能なチャックを有するいかなるシステムにおいても有用である。従って、回転可能及び並進可能なチャックを有するコンパクトなシステムを提供することに加えて、チャックのより小さいフットプリントおよびサイズは、回転するが並進しないチャックのフットプリントを縮小することができる。これは、例えば、製造コストを低減するために、またはチャックが使用される全ツールのサイズを低減するために望ましいことがある。さらに、処理スループットは、より多くのチャンバが共通のプラットフォームにまとめてクラスタ化されるなどにより、より大量のチャンバを使用することができる場合、ファシリティに対して大幅に増加される。追加のチャンバは、スループットを高めるために、より多くの基板が設備スペースの1平方フィート当たり同時に処理されることを可能にする。回転界面における潤滑剤またはグリースを避けることによって、磁気駆動装置の使用はまた、サイクル時間を短縮して圧力を低下または増加させる。
【0034】
本発明の重要な利点は、非周囲圧力で生じる処理におけるサイクル時間を短縮する能力である。例えば、実際に処理を開始する前に、プロセスチャンバ内の圧力は、しばしば、処理が開始される前に確立される。極低温処理では、これは、代表的には、チャンバ内の真空が確立されることを意味する。真空が急速に確立されすぎる場合、従来のチャック回転機構におけるグリースおよび潤滑剤は、急速に確立された低圧環境に排出される(dislodge)傾向がある。得られた残屑は、沈降し(settle)、チャンバ内のマイクロエレクトロニクス基板を汚染する可能性がある。これを避けるために、真空はゆっくりと確立されることがある。これは、真空を確立する時間が、実際の処理時間自体のかなりの部分、それに匹敵するか、またはその倍数であるときに、サイクル時間を著しく増加させることがある。本発明のチャックの重要な利点は、チャック回転が磁気的な浮上および回転によって達成されることである。従来の歯車ベースのシステムにおいて使用される潤滑剤およびグリースは不要である。これにより、圧力変化、例えば、真空を確立するための排気、またはチャンバ圧力を上げるためのベントアップが、潤滑剤またはグリースの汚染を回避する必要性によって制限されるのではなく、真空機器が許す限り速く生じさせることが可能になる。ベントアップは、望ましくは、チャンバ108内に窒素のようなガスを導入することによって生じる。
【0035】
図1および
図2を参照すると、本発明の原理は、極低温処理システム100の形態の装置によって示される。システム100は、処理スプレー104を用いてマイクロエレクトロニクス基板102を処理するために使用されてよい。このような処理スプレー104は、いくつかの実施態様において、極低温エアロゾル、極低温エアロゾルジェット、ナノエアロゾルスプレー、ガスジェットクラスタ等の形態であってもよい。しかし、本明細書に開示する並進および/または回転システムは、説明の目的のみで行われ、極低温処理機器に限定されることを意図していない。並進および/または回転システムは、ワークピースが1つ以上の処理の少なくとも一部分中に回転される必要がある他の任意のシステムに組み込まれてもよい。システム100は、極低温処理コンテキスト内の本発明の例示的な実施例を示し、温度、圧力、ガス流速、および多くの他のプロセス条件が制御されて、様々な要求性能基準に適合する本発明の多くの能力の実証として基板を処理する。
【0036】
システム100は、プロセスチャンバ108を提供するように構成されたハウジング106を含む。プロセスチャンバの圧力は、処理の少なくとも一部分中に低大気圧環境を提供するように制御可能である。代表的な実施態様では、プロセスチャンバ内に確立された真空は、1ミリTorr~750Torrの範囲としてよい。しばしば、圧力は、エアロゾルおよび/またはガスクラスタを含む処理スプレー104の形成を増強するために、35Torr未満または10Torr未満でさえある。
【0037】
例えば、極低温プロセススプレーは、比較的高圧で低温のガスおよび/または液体をプロセスチャンバ108の低大気圧環境に展開させることによって形成することができる。例示的な実施形態では、流体は、10psig~900psig、好ましくは10psig~500psig、より好ましくは10psig~100psigの範囲の圧力で供給されてよい。液体の温度は、50K~320K、好ましくは70K~320K、より好ましくは70K~150Kの範囲としてよい。流体ストリームがチャンバ内に流れ、分配され得る限り、いくつかの実施態様は、混入した固体材料と共に流体を供給することを含んでもよい。好ましくは、流体は、流体がガスおよび/または液体を含むような圧力および温度で供給される。
【0038】
処理スプレー104は、1つ以上の適切なノズルを介してプロセスチャンバ108に分配される。例示の目的のために、単一のノズル110が示されている。ノズル110は、供給ライン159によってノズル110に結合された流体供給源156を含む流体供給システム(以下にさらに説明する)から流体ストリーム(例えば、1つ以上のガスおよび/または1つ以上の液体の流れ)を受ける。任意で、流体供給システムは冷却システム158をさらに組み込み、ノズル110を通って膨張され、プロセスチャンバ108に分配される前に、流体を所望の温度にさらに冷却する。流体は、ライン160によって流体供給源156から冷却システム158に供給される。冷却された流体は、ライン161を介して冷却システム158から供給ライン159に供給される。
【0039】
流体供給源156は、1つ以上の加圧および冷却された流体を含んでもよい。このような流体は、ガスおよび/または液体としてよい。好ましくは、加圧および冷却された流体は、少なくとも1つのガスを含む。好適なガスまたは液体の例としては、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、キセノン、二酸化炭素、ネオン、クリプトン、これらの組み合わせ等の1つ以上を含む。一実施形態では、加圧および冷却されたガスまたは液体はアルゴンである。別の実施形態では、加圧および冷却されたガスまたは液体は窒素である。別の実施形態では、加圧および冷却されたガスまたは液体は、窒素に対するアルゴンのモル比が1:100~100:1、好ましくは1:20~20:1、より好ましくは1:10~10:1の範囲で窒素およびアルゴンを含む。
【0040】
二酸化炭素、窒素および/またはアルゴンを含む実施形態では、流体は、同様に、1つ以上の追加のガスまたは液体をさらに含んでよい。一実施形態では、追加のガスまたは液体は、ヘリウム、水素、ネオン、またはこれらの組み合わせを含み、アルゴン、二酸化炭素および/または窒素に対する追加のガスの総量のモル比は、1:100~100:1、好ましくは1:1~10:1の範囲である。特定の混合物としては、アルゴンおよびヘリウムのもの、アルゴンおよび水素のもの、アルゴン、水素およびヘリウムのもの、窒素およびヘリウムのもの、窒素および水素のもの、窒素、水素およびヘリウムのもの、二酸化炭素およびヘリウムのもの、二酸化炭素および水素のもの、二酸化炭素、水素およびヘリウムのもの、が挙げられる。
【0041】
ノズル110は、ノズル110の下の基板102上にスプレー104としてプロセスチャンバ108内に分配されるように、流体ストリームを膨張させ、冷却するように展開される。以下にさらに説明するように、基板102は、基板102が均一に処理されることを確実にすることを助けるため、基板102を並進および/または回転させることによって、ノズル110の下で走査される。ノズル110をチャック112の上面、すなわち基板102に任意の適切な角度で向けてよい。一実施形態では、ノズルは、チャック112の上面に対して垂直に処理スプレー104を分配するように配置される。
【0042】
ノズル110は、基板102の上面に対して任意の適切な距離に配置されてよい。一実施形態では、ノズル110と基板102の上面との間の距離は、0.5mm~200mm、好ましくは0.5mm~100mm、より好ましくは0.5mm~60mm、さらに好ましくは2mm~50mmの範囲である。
【0043】
基板102は、プロセスチャンバ108内に配置された回転可能および並進可能なチャック112に保持される。従って、基板102は、可動なチャック112によって保持されつつ、基板102は、処理の少なくとも一部分中に並進および/または回転する。チャックは、基板102をチャック112上に固定するのを助けるために、把持および/または支持フィーチャ107を含んでもよい。基板102は、半導体処理の分野において一般的に実施される技術のいずれかのような広範囲のそのような把持および/または支持フィーチャを使用したチャック112によって保持することができる。これらは、機械的ファスナまたはクランプ、真空クランプ、グリッピングフィンガー、レストパッド、静電クランプ、これらの組み合わせ等を含むが、これらに限定されない。さらに、チャック112は、リフトピン、作動ピン、ピボットアーム等を含んでもよく、基板102がプロセスチャンバ108に入る又はプロセスチャンバ108から手動で又はウェハハンドリングシステム(図示せず)を介して自動的に取り出されるとき、基板102を可動なチャック112へおよび可動なチャック112から移すことを助ける。
【0044】
基板102は、チャック112の上面113に直接接触するように示されている。いくつかの実施態様において、基板102は、基板102と上面113の間に小さなギャップ(図示せず)が設けられるように支持されてもよい。
【0045】
回転可能および並進可能なチャック112は、少なくとも1つの並進自由度152に沿って横方向に横断するように並進してよく、ノズル110下の基板102の並進走査を容易にする。さらに、並進可能および回転可能なチャック112は、基板102を回転するように構成される。並進および回転は、同時にまたは個別に行われてよく、基板102の全部または選択された部分へのスプレー104の滞留時間を調整し、基板102上のフィーチャを損傷する過度のリスクなしに、洗浄効率およびスループットを調整する。
【0046】
高レベルでは、チャック112は、汚染源(例えば、チャックの内部構成要素)を避けるのを助け、処理中にノズル110下で基板102を並進および/または回転させることを可能にするために、小さなフットプリントおよび磁気的な浮上および回転のためのネストされた固定子/回転子設計を組み込んでいる。この目的のために、ネストされた固定子/回転子設計は、基板102を浮上および回転させるために、チャックの回転構成要素の下に、固定子電磁構成要素および回転子電磁構成要素を展開する。例示的な実施形態では、ネストされた固定子/回転子設計は、回転構成要素を磁気的に持ち上げ、回転させ、中心合わせすることを可能し、単一のノズル110を使用して、基板102の任意の所望の部分または前面表面領域全体へのスプレー処理を可能にする。
【0047】
磁気的に浮上および回転されたチャック112は、可動チャック部分を浮上させ、これをチャック112の中心103またはその近傍の中心回転軸126(z軸)を中心として回転させるために、電磁場を使用して、基板102の摩擦なしまたはほぼ摩擦なしの回転を提供することを意図している。チャック112は、処理中、チャック112のノズル110の下での並進運動とは無関係に、またはこれと同時にチャック構成要素を回転するように設計される。
【0048】
固定子120と回転子122の間の正確な関係を維持することは、正確な回転に重要であり、良好な処理性能を達成する。固定子および回転子の制御を増強し、粒子の問題を最小にする一つのアプローチは、チャック112自体に固定子および回転子を共配置することである。
【0049】
チャック112は、チャックベースとして機能する第1のチャック部分114を含む。第1のチャック部分114は、以下にさらに説明するように、並進機構134に結合される。チャック112はまた、第2のチャック部分116を含む。第2のチャック部分116は、第1のチャック部分114に回転自在に結合され、第2のチャック部分116が第1のチャック部分114に対して独立して浮上および回転するようにする。第2のチャック部分116は、基板102を保持する。その結果、第2のチャック部分116の回転は、対応する回転を基板102に与える。
【0050】
磁気駆動システム118は、第1のチャック部分114に対して独立して第2のチャック部分116を磁気的に浮上及び回転させるのに有効な方法でチャック112に組み込まれる。磁気駆動システム118は、第2のチャック部分116、従って基板102を回転軸126を中心として回転させる。磁気駆動システム118は、所望により、いずれかの方向、例えば時計回りまたは反時計回りのいずれかの回転を生じさせるように作動させることができる。
【0051】
磁気駆動システム118は、浮上および回転機能を提供するために、回転子システムに電磁的に結合された固定子システムを含む。例示的な実施形態では、これらのシステムは、固定子120および回転子122として示されている。固定子120は、回転子122の浮上および回転を生じさせるのに有効な方法で、回転子122に磁気的に結合される。第2のチャック部分116および基板102の残部に結合されるため、このことはまた、これらの構成要素に浮上および回転を与える。
図1~
図3は、固定子120が作動して第2のチャック部分を浮上および回転させる第1の構成のシステム100を示す。ギャップ124は、第1のチャック部分114と第2のチャック部分116との間に生じる。さらに、基板102を保持する第2のチャック部分116は、回転自由度128を介して回転軸126を中心として回転する。好ましくは、回転軸126は、上面113に対して垂直である。また、この第1の構成では、ノズル110は、基板のエッジに近接している。これは、ノズル110が、基板102がノズル110下で並進および回転を生じさせるように、基板102の走査を開始する処理の開始時の構成に対応する。代替的には、これは、ノズル110が基板102の走査を完了する処理段階の終わりでの構成にも対応することができる。
【0052】
基板の回転は、それによって、回転可能および並進可能なチャック112に組み込まれた磁気駆動システム118によって可能にされる。その結果、磁気駆動システム118は、並進作動中にプロセスチャンバ104内の可動なチャック112と共に並進する。これにより、固定子120と回転子122の間の正確な関係が、回転中と並進中のいずれでも、維持される。有利には、並進と回転の組み合わせにより、ノズル110が基板表面の全部または一部を所望通りに通過することを可能にする。
【0053】
一般に、固定子120は、回転子122に結合されて持ち上げ、回転、およびセンタリングが生じることを可能にする磁界を発生させることができる任意の電磁構成要素で作成することができる。固定子120は、電磁コイルおよび/または磁石を含むが、これらに限定されない。例示的な一実施形態では、固定子120は、電流がコイルを通って流れるときに磁界を発生するように設計された電磁コイル(図示せず)または導電性ワイヤの巻線(図示せず)である。電流は、各固定子の電磁場の大きさを変えて、回転子122に制御可能な起電力を印加し、これを、回転軸126を中心として正確に浮上および回転させるように変化させてよい。
【0054】
多くの場合、プロセスチャンバ108内の可動部品は、機械的摩擦または可動部品間の摩擦を低減するために使用される潤滑剤によって引き起こされる潜在的な汚染源である。このような汚染は、基板が可動部品または潤滑剤に近接しているときに、さらに問題となる。従来の実施では、例えば、基板を機械的に回転されるチャックに固定し、それにより、基板を潜在的な汚染源に近接して配置する可能性があった。従って、プロセスチャンバ108内の摩擦源または潤滑剤の使用を低減するための任意の技術または改良が望ましい。有利には、本発明は、回転機能に関連する多くの摩擦源および潤滑源を除去することにより、この汚染リスクを大幅に最小化する。
【0055】
本発明は、第2のチャック部分116を磁気的に浮上および回転させることによってこれを達成し、任意で、チャック112が並進している間にも実施されてもよい。浮上すると、第2のチャック部分116は、第1のチャック部分114と接触せず、機械的結合なしに、また、回転を容易にするために潤滑剤を使用せずに、接触自由回転を提供する。固定子は、処理の進行につれて、回転中に固定子およびいままでは接触していた回転子を接触させることなく回転子を磁気的に持ち上げ、回転駆動することができる。第2のチャック部分116が回転していないときでも、システム100の実施形態は、第2のチャック部分116を第1のチャック部分114に対して浮上状態に維持する。従って、チャック112における磁気駆動システム118の使用は、処理環境において汚染を引き起こす可能性がある回転界面からの主要な摩擦および潤滑剤を排除する。
【0056】
追加的に、磁気駆動システム118のこの実施形態は、固定子および回転子が基板102の下に完全に配置されるように、基板102の下に固定子120および回転子122を組み込むように設計される。結果として生じるチャック112のフットプリントは、チャック112および基板102のフットプリントが実質的に同じであるように、コンパクトなままである。いくつかの実施態様では、チャック112の全体的なフットプリントは、基板102のフットプリントよりもわずかに大きいことがある。例えば、チャックのフットプリントは、基板のフットプリントよりも0から15%大きくてよい。フットプリントのこのマッチングは、基板102の表面上の処理材料の好ましい流動力学を提供するのを助ける。下部のチャック構成要素の過度の突出または凹みは、プロセスフローを妨げる可能性があり、処理性能に影響を及ぼす可能性がある望ましくない乱流を引き起こす可能性がある。
【0057】
磁気駆動システム118は、基板102の全部または選択された部分にわたってノズルの滞留時間を制御するために、チャック並進を伴うまたは伴わずに、異なる速度および異なる回転方向で基板102を回転するように構成可能である。これは、処理性能を調整する能力および/または粒子除去効率を最大にする能力を提供する。いくつかの実施形態において、基板102の回転および/または並進は、必要に応じて、性能および/または粒子除去効率を改善するために、ノズル110の下の滞留時間を最適化するために、適切な選択によって独立して作動および非作動することができる。1つの具体的な実施形態では、磁気駆動システム118は、1000RPMまで、好ましくは500rpmまで、より好ましくは300rpmまでの速度で基板102を回転させることを可能にする。
【0058】
追加の構成要素として、第1のチャック部分114は、温度制御構成要素132を含む。温度制御構成要素は、第1のチャック部分114上に位置付けられ、加熱または冷却などの温度制御を基板102に提供する。温度制御構成要素132は、固定子120が回転子122、すなわち第2のチャック部分116をヒータ132とは独立に浮上および回転させるように、第1のチャック部分114に結合される。温度制御構成要素132は、可動のチャック112内の抵抗加熱要素または熱電ヒータ/冷却器などの加熱/冷却要素を含んでもよい。また、加熱は、ウェハ上に粒子が再堆積するのを防止するためにも重要である(熱泳動効果)。加熱システムは、基板102にわたる温度の不均一性を改善し、処理スプレー104とプロセスチャンバ条件の間の温度差に基づく温度誘起応力を最小限に抑えるために使用してもよい。例えば、加熱がないと、低温処理流体を使用すると、基板に物理的な歪みを生じさせる可能性がある。加熱は、過度な歪みを避けるために、均一な基板温度を維持する助けとなる。加熱はまた、除去された粒子が洗浄された基板表面に再堆積するのを防止する助けとなる。
【0059】
好ましくは、温度制御構成要素132はヒータである。加熱は、基板処理中の劇的な温度変化による、可動のチャック112または基板102上の凝縮の可能性を低減することができる。一般に、ヒータは、必要に応じて、基板表面を25℃~300℃の範囲の温度に加熱することができる。しかし、1つの具体的な実施形態では、加熱素子温度範囲は、25℃~150℃、好ましくは30℃~120℃、より好ましくは40℃~110℃である。
【0060】
別の特徴として、第2のチャック部分116は、組み立て、メンテナンス、およびサービスのために下部のファスナへの脱出を提供するために、上面113上にアクセスポート105(
図2に示される)を含む。第2のチャック部分116は、順次ファスナをアクセスポート105の視野内に持っていくように回転することができる。
【0061】
回転可能および並進可能なチャック112は、並進機構134に取り付けられる。並進機構134は、チャック112とノズル110の間の相対的並進運動を生じさせるために、プロセスチャンバ108内の経路152に沿ってチャック112を並進させるのに有効な方法でチャック112に結合される。したがって、並進機構134の作動は、ノズル110下で経路152に沿って可動のチャック112を輸送し、ノズル110から分配された処理スプレー104を通してマイクロエレクトロニクス基板102を移動させることができる。実用的な効果として、チャック112の並進は、基板102が回転するときに、任意に基板102を横切ってノズル110が走査するのを助ける。チャック112の並進が、チャック112の回転軸126をチャンバ108内のある位置から別の位置に移動させるという点で、並進を回転と区別することができる。回転において、回転軸126とチャック112の間の相対的位置は、チャック112がチャンバ108内で並進しても、変化しない。
【0062】
並進機構134は、ベース部材136、支持アーム140、棚部材138、並進ロッド142、および並進駆動システム148を含む。第1のチャック部分114は、ベース部材136に取り付けられる。その結果、ベース部材136の並進は、チャック112の対応する並進を引き起こす。ベース部材136の端部141は、ベース部材136が支持アーム140から外方にカンチレバーするように、支持アーム140の頂部に結合される。端部141とチャック112の間のギャップは、棚部材138で満たされ、基板102と水平な滑らかな表面を提供する。これは、処理中、基板102からの処理材料の好ましいフローを促進する。ベース部材136は、好ましくは、チャック112に組み込まれた磁気駆動装置からの熱を放散するのを助けるために、アルミニウムのような熱伝導性材料から作成される。
【0063】
各支持アーム140の基部は、対応する並進ロッド142に接続され、その第1の端部144は支持アーム140に接続され、その第2の端部146は並進駆動システム148に接続される。並進ロッド142の一部は、プロセスチャンバ108の外側の部分を含む。ロッド142の連続部分は、ロッドが前後に移動するように作動されると、チャンバ108によって提供される真空エンクロージャに入るか、またはそこから離れる。真空シール150は、ロッド142のためのハウジング出口において環境的に密なシールを提供し、この並進中、チャンバ108内の真空を維持するのを助ける。
【0064】
並進駆動システム148は、ロッド142の作動を可能にするために、任意の電気、機械、電気機械、油圧、または空気圧装置を含んでもよい。並進駆動システム148は、マイクロエレクトロニクス基板102の設備のロード、アンロードおよび処理動作への所望の並進を可能にするのに十分な可動域を提供するように設計されてもよい。例えば、処理中、基板102は、ノズル110から出る処理スプレー104の領域を少なくとも部分的に通って走査される。処理中、基板102は、ノズル110が基板102の所望の部分を走査するように、基板102の一部または全直径にわたって、300mm/秒までのような適切な速度でノズル110の下で並進することができる。多くの実施形態において、処理スプレー104は、基板102の全表面を処理するために実施される。並進運動に関連して、基板102は、完全な表面処理を補助するために回転する。
【0065】
チャンバ108内に分配された処理材料は、真空システム155を用いて排気されてもよい。真空システム155はまた、プロセスチャンバ108を適切な低大気圧プロセス圧力に確立し、維持するために使用されてもよい。真空システム155は、所望のレベルまで真空圧力を可能にする1つ以上のポンプを含んでもよい。
【0066】
制御システム166(1つ以上の統合された制御装置を含んでもよい)は、プロセス情報を監視、受信、および/または記憶するために使用されてもよい。例えば、制御システム166は、プロセスレシピ、コマンド構造、ユーザインタフェース、リアルタイムプロセス情報、履歴プロセス情報、フィード供給、温度制御、圧力制御、加熱制御、チャック浮上と回転、チャック並進、基板ロードとアンロード、チャック112上の基板固定、プロセス制御フィードバック等を記憶するメモリ168を含んでよい。コントローラは、コンピュータプロセッサ170を用いて、これらの動作を実行し、システム100の他の構成要素とインターフェースをとるネットワーク172を介して命令および他の信号を受信および発行することができる。また、浮上および回転を制御する別の分離した装置を有する。我々は2つの分離したボックスを使用している。
【0067】
例えば、制御システム166は、固定子120にエネルギーを与える電磁場を制御して、プロセスチャンバ108内で並進するチャック112による運動量または加速度の変化を把握する。制御システム166は、固定子120に接続された1つ以上の電流源(図示せず)を用いて、この制御スキームを提供して、適切な方法で電磁場を制御してよい。電流源は、真空シールされたパススルーを用いて電気ワイヤ(図示せず)を介して固定子120に接続されて、チャンバ108内の固定子120に到達してよい。別の制御例として、制御システム166は、温度制御構成要素132を制御して、熱的な歪みを最小限に抑え、および/または基板102またはチャック112上の凝縮を防止する等の目的のために基板102の温度を調整してよい。
【0068】
実用的な観点から、処理中、基板102の上面の温度を直接監視することは困難であることがある。一方、温度センサは、温度が基板温度と正確に相関する傾向があるため、温度制御構成要素132の温度を正確に測定し、制御するために配置されてもよい。
【0069】
図1は、並進機構134が並進経路152に沿ってチャック112を並進させながら、第2のチャック部分が第1のチェック部分に対して磁気的に浮上し、回転軸126を中心に回転するシステム100の第1の構成を概略的に示す。この第1の構成では、チャック112は、処理を開始するために、ノズル110が基板102のエッジの近位にある状態で位置付けられる。この位置はまた、基板102の並進および回転により、ノズル110が基板102を横切って走査を完了した後の処理の終わりである。この第1の構成とは対照的に、
図3は、システム100の第2の構成を示し、ここでは、経路152に沿ったチャック112の並進が、経路152に沿ってノズル110がエッジから中心103まで基板102を横切って走査するように、ノズル110とチャック112の間の相対的移動を引き起こしている。
【0070】
図4は、
図1の装置100の第3の構成を示し、ここでは、第2のチャック部分116が浮上するが回転せず、チャック112が、処理の前または後に生じる、または基板102がプロセスチャンバ108にロードされるまたはプロセスチャンバ108から取り出されるときに生じることがあるように、ノズル110が基板102から遠位になるように、プロセスチャンバ108内の位置に並進するように、第1のチャック部分114上に第2のチャック部分116が支持されている。
【0071】
図5は、本発明の原理によるヒータ機能性ならびに磁気的な浮上能力および回転能力を組み込んだ回転可能および並進可能なチャック200の一実施形態の側面断面図を示す。チャック200は、磁気的な浮上が生じているが、回転が生じていないスタンバイ構成である。チャック200は、回転可能なプレート、または基板保持フィーチャ177を含む基板ホルダ176を含む。この構成要素はアルミニウムとしてよい。回転子182は、アダプタ機構180によってホルダ176に結合される。回転子182は、リング状としてよい。アダプタ機構180は、アルミニウムとしてよい。アダプタ機構180は、回転子182がホルダ176に結合されるとき、ギャップ179を提供するように構成される。非回転のヒータ178がギャップ179に嵌合する。ヒータ178は、接続部187によってベース部材186に接続される。ベース部材186は、アルミニウムとしてよい。固定子184は、ベース部材186に取り付けられ、回転子182に磁気的に結合される。動作においては、固定子184は、回転子182を磁気的に浮上および回転させ、対応する浮上および回転をホルダ176に与える。ベース部材186、固定子184、ヒータ178、およびヒータ接続部187は、第1のチャック部分を構成する。ホルダ176、アダプタ機構180、および回転子182は、第1のチャック部分から独立して磁気的に浮上および回転することができる第2のチャック部分を構成する。
【0072】
図6および
図7は、本発明の原理による磁気的な浮上能力および回転能力を有する回転可能および並進可能なチャック200の代替実施形態、ならびにヒータ機能がチャックに組み込まれることを可能にする特徴を概略的に示す。チャック200は、マイクロエレクトロニクス基板(図示せず)を支持する回転可能なスピンプレート202を含む。
【0073】
マグレブ駆動装置206は、磁気的な浮上機能および回転機能を提供するために協働する固定子および回転子構成要素を組み込んでいる。タブ204は、スピンプレート202をマグレブ駆動装置206の回転子構成要素に接続するために使用される。タブ204は、回転子構成要素とスピンプレート202の垂直方向および回転方向の動きを同期するのを助ける。
【0074】
固定子構成要素は、チャックベース210に接続される。固定子構成要素は、回転子構成要素を磁気的に浮上および回転させ、従って、対応する浮上および回転をスピンプレート202に与える。ヒータ212は、スピンプレート202上に保持された基板を加熱するために使用される。
【0075】
ヒータ212は、抵抗加熱要素218が上部プレート214と下部プレート216の間に介在するサンドイッチ構造を有する。上部プレート214および下部プレート216は、良好な熱伝導のためにアルミニウムから作成することができる。ヒータ212は、マグレブ駆動装置206の中央開口部208を介して適切な接続部材(図示せず)によってベース210に接続される。抵抗加熱要素218は、ベースプレート210と下部ヒータプレート216とを相互接続するヒータ要素スタンドオフを介して延びるワイヤ(図示せず)を介してコントローラに電気的に接続されてよい。
【0076】
構成要素が組み立てられると、ヒータ212は、ヒータギャップ220内に配置される。タブ204は、このギャップ220を形成するのに適した大きさのものであり、同時に、回転構成要素と非回転構成要素の間の物理的接触が回避されるように、さらなるオフセット空間も提供する。マグレブ駆動装置206は、ギャップ222内に位置付けられる。これは、マグレブ駆動装置206をベース210と回転可能なスピンプレート202との間に位置付ける。ベース210に結合されるため、回転子構成要素およびスピンプレート202は、ヒータ212とは独立して浮上および回転する。ベース210は、マグレブ駆動装置206からの熱の放散を助けるために、望ましくは、アルミニウムのような熱伝導性材料から作成される。
【0077】
タブ204は、望ましくは、弾性屈曲特性を組み込む。これは、スピンプレート202と回転子構成要素の間の異なる熱膨張を包含するのを助ける。
【0078】
本明細書全体を通じて「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらがすべての実施形態に存在することを意味しない。従って、本明細書全体を通じて様々な箇所での「一実施形態における」又は「ある実施形態における」という語句の登場は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特徴は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。他の実施形態では、種々の追加の層および/または構造を含んでもよく、および/または説明した特徴を省略してもよい。
【0079】
本明細書において用いる「マイクロエレクトロニクス基板」または「基板」とは、一般的に、本発明による装置のような処理装置で処理される物体またはワークピースを指し、そのような物体またはワークピースが、マイクロエレクトロニクス装置の全部または一部を構成することを意図する。マイクロエレクトロニクス基板は、装置、特に半導体または他の電子装置の任意の重要な部分または構造を含んでもよく、例えば、半導体基板などのベース基板構造、あるいは薄膜などのベース基板構造の上または上を覆う層であってもよい。従って、基板は、いかなる特定の基部構造、下部層であるか上部層であるか、パターン化されているかパターン化されていないかに限定されることを意図せず、むしろ、あらゆるそのような層または基部構造、および層および/または基部構造のあらゆる組み合わせを含むことを考慮している。下記の説明は、特定の種類の基板を参照することがあるが、これは、単に例示的な目的のためのものであり、限定ではない。マイクロエレクトロニクス基板に加えて、本明細書で説明する技術はまた、フォトリソグラフィ技術を用いたマイクロエレクトロニクス基板のパターニングに使用してよいレチクル基板を洗浄するために使用されてよい。
【0080】
前述の説明では、処理システムの特定の幾何学的形状、およびそこで使用される種々の構成要素およびプロセスの説明など、特定の詳細を明示した。しかし、本明細書における技術はこれらの特定の詳細から逸脱した他の実施形態において実施してもよく、そのような詳細は、説明を目的とし、限定ではないと理解されたい。本明細書で開示する実施形態は、添付の図面を参照して説明した。同様に、説明を目的として、完全な理解を提供するために、具体的な番号、材料、および構成を明示した。それにもかかわらず、実施形態は、そのような特定の詳細なし実施してよい。実質的に同じ機能的構成を有するコンポーネントは、同様の参照文字によって示され、従って、冗長な説明は省略してよい。
【0081】
種々の技術は、種々の実施形態の理解を助けるための複数のディスクリートな動作として説明した。説明の順序は、これらの動作が必ずしも順序依存的であることを意味すると解釈されるべきではない。実際、これらの動作は提示の順序で行う必要はない。説明した動作は、説明した実施形態とは異なる順序で実行してもよい。さらなる実施形態では、種々の追加動作を実行してもよく、および/または説明した動作を省略してもよい。
【0082】
当業者はまた、本発明の同じ目的を達成しながら、上述した技術の動作に対して多くのバリエーションがなされる可能性があることを理解するであろう。このようなバリエーションは、本開示の範囲によってカバーされることを意図している。従って、本発明の実施形態の前述の記述は、限定を意図していない。むしろ、本発明の実施形態に対するいかなる制限も、以下の特許請求の範囲に提示している。
【0083】
本明細書において引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物は、すべての目的のために、参照によりそれぞれの全体が援用される。上記の詳細な説明は、理解を明確にするためだけに与えられている。そこから不必要な制限を理解するべきではない。特許請求の範囲により定義される発明に含まれる当業者にとって明白なバリエーションについて、本発明は示したおよび説明した厳密な詳細に限定されない。