(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】特定の変位距離にわたって測定された時間に基づく外科用ステープル留め及び切断器具のモータ速度の閉ループフィードバック制御
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230619BHJP
A61B 17/32 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B17/32
(21)【出願番号】P 2019570449
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2018053489
(87)【国際公開番号】W WO2018234890
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-03-11
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・フレデリック・イー・ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】パルフェット・レイモンド・イー
(72)【発明者】
【氏名】アダムス・シェーン・アール
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189136(JP,A)
【文献】特開2001-159336(JP,A)
【文献】特開2016-198491(JP,A)
【文献】特開2010-75694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、
前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の前記変位部材の前記位置を受信することと、
前記変位間隔の設定位置における時間を測定することであって、前記測定された時間は、前記変位部材が前記変位間隔を横断するのにかかる時間として定義される、測定することと、
前記現在のゾーン内の前記測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する前記モータのコマンド速度を設定することと、
を行うように構成されて
おり、
前記現在のゾーン内の前記測定された時間が所定の閾値よりも小さい場合、前記後続のゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第1の速度に設定し、前記現在のゾーン内の前記測定された時間が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記後続のゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第2の速度に設定し、前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きい、外科用器具。
【請求項2】
前記制御回路は、
開始位置及び終了位置によって画定され、前記変位部材が位置する前記現在のゾーンを判定することと、
前記変位部材が前記現在のゾーンの前記終了位置に到達する時間を測定することと、
を行うように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、
前記比較に基づいて前記コマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、
を行うように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記制御回路は、前記測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度と同じ前記後続のゾーンの前記コマンド速度を維持するように構成されている、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記制御回路は、前記測定された時間が所定の時間の範囲外であるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度とは異なる前記後続のゾーンに対する前記コマンド速度を設定するように構成されている、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記制御回路は、前記コマンド速度が調整されたときに、前記後続のゾーンの時間測定をスキップするように構成されている、請求項5に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンが画定されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項8】
少なくとも2つのゾーンが異なる長さを有する、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
外科用器具であって、
前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、
前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記位置センサから、所定の変位間隔によって画定された現在のゾーン内の前記変位部材の位置を受信することと、
前記変位部材がパーク位置から目標位置へと移動する時間を測定することと、
前記測定された時間に基づいて、第1の動的ゾーンに対する前記モータのコマンド速度を設定することと、
を行うように構成されて
おり、
前記測定された時間が所定の閾値よりも小さい場合、前記第1の動的ゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第1の速度に設定し、前記測定された時間が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記第1の動的ゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第2の速度に設定し、前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きい、外科用器具。
【請求項10】
前記制御回路は、前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較するように構成されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記制御回路は、ロックアウト状態を判定し、前記モータを停止するように構成されている、請求項9に記載の外科用器具。
【請求項12】
外科用器具内のモータのコマンド速度を制御する方法であって、前記外科用器具は、前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させる前記モータと、前記モータに連結された制御回路と、前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、前記方法は、
前記位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の前記変位部材の位置を受信することと、
前記タイマー回路によって、前記変位部材の設定位置における時間を測定することであって、前記時間は、前記変位部材が前記変位間隔を横断するのにかかる時間によって定義される、測定することと、
前記制御回路によって、前記現在のゾーン内の前記測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を設定することと、を含
み、
前記現在のゾーン内の前記測定された時間が所定の閾値よりも小さい場合、前記後続のゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第1の速度に設定し、前記現在のゾーン内の前記測定された時間が前記所定の閾値よりも大きい場合、前記後続のゾーンに対する前記モータの前記コマンド速度を第2の速度に設定し、前記第1の速度は前記第2の速度よりも大きい、方法。
【請求項13】
前記制御回路及び前記タイマー回路によって、開始位置及び終了位置によって定義され、前記変位部材が位置する前記現在のゾーンを判定することと、
前記制御回路によって、前記変位部材が前記現在のゾーンの前記終了位置に到達する時間を測定することと、
を更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御回路によって、前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、
前記制御回路によって、前記比較に基づいて前記コマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、
を更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記制御回路によって、前記測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度と同じ前記後続のゾーンの前記コマンド速度を維持することを更に含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御回路によって、前記測定された時間が所定の時間の範囲外であるとき、前記現在のゾーンの前記コマンド速度とは異なる前記後続のゾーンの前記コマンド速度を設定することを更に含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記制御回路によって、前記コマンド速度が調整されたときに、前記後続のゾーンの時間測定をスキップすることを更に含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御回路によって、前記外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンを画定することを更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項19】
前記制御回路によって、異なる長さを有する少なくとも2つのゾーンを画定することを更に含む、請求項
18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況において、組織をステープル留め及び切断するために設計された、外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらのステープルカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ式外科用ステープル留め及び切断器具において、切断部材の速度を制御する、又はエンドエフェクタの関節運動速度を制御するのに有用であり得る。変位部材の速度は、変位部材の所定の位置間隔で経過時間を測定する、又は所定の時間間隔で変位部材の位置を測定することによって判定することができる。制御は、開ループであってもよく、又は閉ループであってもよい。このような測定は、組織の厚さなどの組織状態を評価し、組織状態を考慮するために発射ストローク中の切断部材の速度を調整するのに有用であり得る。組織厚さは、切断部材の予期される速度を切断部材の実際の速度と比較することによって判定され得る。いくつかの状況では、エンドエフェクタを一定の関節運動速度で関節運動させることが有用であり得る。他の状況では、エンドエフェクタのスイープ範囲内の1つ以上の領域において、デフォルトの関節運動速度とは異なる関節運動速度でエンドエフェクタを駆動することが有用であり得る。
【0003】
モータ式外科用ステープル留め及び切断器具の使用中、切断部材又は発射部材の速度を測定し、組織の状態を補償するように調整する必要がある場合がある。厚い組織では、切断部材又は発射部材が受ける発射させる力が閾値力を超える場合、切断部材又は発射部材によって経験される発射させる力を低下させるために速度を低下させることができる。薄い組織では、切断部材又は発射部材によって経験される発射させる力が閾値未満である場合、速度を増加させることができる。したがって、特定の距離にわたる時間の測定に基づいて、切断部材又は発射部材の速度を測定及び調整する閉ループフィードバックシステムを提供することが望ましい場合がある。固定設定された変位間隔で時間を測定することによって、切断部材の速度を測定することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、外科用器具を提供する。外科用器具は、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、制御回路は、位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、変位間隔の設定位置における時間を測定することであって、測定された時間は、変位部材が変位間隔を横断するのにかかる時間として定義される、測定することと、現在の既定ゾーン内の測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている。
【0005】
別の態様では、外科用器具は、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、制御回路は、位置センサから、所定の変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、変位部材がパーク位置から目標位置へと移動する時間を測定することと、測定された時間に基づいて、第1の動的ゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている。
【0006】
別の態様では、本開示は、外科用器具内のモータ速度を制御する方法を提供し、外科用器具は、外科用器具は、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、方法は、位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、タイマー回路によって、変位部材の設定位置における時間を測定することであって、時間は、変位部材が変位間隔を横断するのにかかる時間によって定義される、測定することと、制御回路によって、現在のゾーン内の測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかし、これらの態様は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより良い理解を得ることができる。
【
図1】本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体を有する、外科用器具の斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の一部分の分解組立図である。
【
図3】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体の一部分の分解組立図である。
【
図4】本開示の一態様による、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
【
図5A】本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図5B】本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図6】本開示の一態様による、ハンドル組立体と電源組立体との間、及びハンドル組立体と交換式シャフト組立体との間のインターフェースを示す、
図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
【
図7】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図8】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図9】本開示の一態様による、
図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図10】
図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図であり、絶対位置決めシステムは、本開示の一態様による、センサ配列を備える制御モータ駆動回路構成を備える。
【
図11】本開示の一態様による、制御回路基板組立体及びセンサ配列の要素の相対的な位置合わせを示す、絶対位置決めシステム用のセンサ配列の分解斜視図である。
【
図12】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える位置センサの図である。
【
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材のストロークを示す、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図15】本開示の一態様に従って実行される、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットする図を示す。
【
図16A】本開示の一態様による、切断縁部を備えるI型梁に連結された発射部材を備えるエンドエフェクタを示す。
【
図16B】本開示の一態様による、上部ピンがT字形スロット内に係合された状態で、I型梁がランプの上部の目標位置に位置するエンドエフェクタを示す。
【
図17】本開示の一態様による、エンドエフェクタと位置合わせされたチャートによって、I型梁の発射ストロークが示されている。
【
図18】本開示の一態様による、時間の関数としてのI型梁ストローク変位(上のグラフ)と、時間の関数として予測される発射させる力(下のグラフ)とを比較するグラフ描写である。
【
図19】本開示の一態様による、I型梁ストローク(上のグラフ)の設定された変位間隔の関数としての組織厚さ、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としての発射させる力(上から2番目のグラフ)、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としての動的時間チェック(上から3番目のグラフ)、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としてのI型梁の設定速度(下のグラフ)を比較するグラフ描写である。
【
図20】本開示の一態様による、低速、中速、及び高速のI型梁の変位速度を比較する時間の関数としての発射させる力のグラフ描写である。
【
図21】本開示の一態様による、初期発射段階におけるコマンド速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【
図22】本開示の一態様による、動的発射段階におけるコマンド速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0009】
代理人整理番号END8191USNP/170054号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CONTROL OF MOTOR VELOCITY A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON ANGLE OF ARTICULATION」。
【0010】
代理人整理番号END8192USNP/170055号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT WITH VARIABLE DURATION TRIGGER ARRANGEMENT」。
【0011】
代理人整理番号END8193USNP/170056号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「Systems and methods for controlling displacement member motion of a surgical stapling and cutting instrument」。
【0012】
代理人整理番号END8194USNP/170057号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT ACCORDING TO ARTICULATION ANGLE OF END EFFECTOR」。
【0013】
代理人整理番号END8195USNP/170058号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0014】
代理人整理番号END8196USNP/170059号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING CONTROLLABLE ARTICULATION VELOCITY」。
【0015】
代理人整理番号END8197USNP/170060号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING VELOCITY OF A DISPLACEMENT MEMBER OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0016】
代理人整理番号END8198USNP/170061号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING DISPLACEMENT MEMBER VELOCITY FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0017】
代理人整理番号END8222USNP/170125号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON ANGLE OF ARTICULATION」。
【0018】
代理人整理番号END8199USNP/170062M号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0019】
代理人整理番号END8275USNP/170185M号、2017年6月20日出願の発明者Raymond E.Parfettらによる、発明の名称「TECHNIQUES FOR CLOSED LOOP CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」。
【0020】
代理人整理番号END8268USNP/170186号、2017年6月20日出願の発明者Raymond E.Parfettらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MAGNITUDE OF VELOCITY ERROR MEASUREMENTS」。
【0021】
代理人整理番号END8266USNP/170188号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SPECIFIED TIME INTERVAL」。
【0022】
代理人整理番号END8267USNP/170189号、2017年6月20日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON MEASURED TIME OVER A SPECIFIED NUMBER OF SHAFT ROTATIONS」。
【0023】
代理人整理番号END8269USNP/170190号、2017年6月20日出願の発明者Jason L.Harrisらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING DISPLAYING MOTOR VELOCITY FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0024】
代理人整理番号END8270USNP/170191号、2017年6月20日出願の、発明者Jason L.Harrisらによる、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR SPEED ACCORDING TO USER INPUT FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0025】
代理人整理番号END8271USNP/170192号、2017年6月20日出願の、発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、発明の名称「CLOSED LOOP FEEDBACK CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT BASED ON SYSTEM CONDITIONS」。
【0026】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の米国意匠特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0027】
代理人整理番号END8274USDP/170193D号、2017年6月20日出願の創作者Jason L.Harrisらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0028】
代理人整理番号END8273USDP/170194D号、2017年6月20日出願の創作者Jason L.Harrisらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0029】
代理人整理番号END8272USDP/170195D号、2017年6月20日出願の創作者Frederick E.Shelton,IVらによる、名称「GRAPHICAL USER INTERFACE FOR A DISPLAY OR PORTION THEREOF」。
【0030】
開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するために、特定の態様が示され、説明される。一例で示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正及び変形は、本開示の範囲内である。
【0031】
用語「近位」及び「遠位」は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対して、「近位」は臨床医に近い部分を指し、「遠位」は、臨床医から遠くに離れて位置する部分を指す。便宜上、図面に関して使用される「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」は、外科用器具が多くの配向及び位置で使用され得るため、限定及び/又は絶対的であることを意図するものではない。
【0032】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うため、例示的な装置及び方法が提供されている。しかしながら、そのような装置及び方法は、例えば、開腹外科手術を含む他の外科的処置及び用途に使用することができる。外科用器具は、自然開口部を通して、又は組織内に形成された切開又は穿刺穴を通して挿入することができる。これらの器具の作用部分即ちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することもでき、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長シャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセス装置を通じて挿入することもできる。
【0033】
図1~
図4は、再使用されてもされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を図示する。図示の例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に連結されている、交換式シャフト組立体200に動作可能に取り付けるように構成されている。本開示によれば、様々な形態の交換式シャフト組立体が、ロボット制御式外科用システムに関連して効果的に用いられ得る。「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか、ないしは動作可能に支持するロボットシステムのハウジング又は類似の部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されている様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0034】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に連結された交換式シャフト組立体200を有する、外科用器具10の斜視図である。ハウジング12は、外科用ステープルカートリッジ304を中に動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置を備えるエンドエフェクタ300を含む。ハウジング12は、交換式シャフト組立体と接続して使用するように構成されていてよく、この交換式シャフト組立体には、様々なシャフト長、サイズ、及び種類などがあり、また、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタが含まれる。ハウジング12は、例えば、高周波(radio frequency、RF)エネルギー、超音波エネルギー及び/又はモーションなどの他のモーション及び形態のエネルギーを、様々な外科用途及び処置と関連させて用いられるように適合されたエンドエフェクタ構成に適用するように構成された組立体を含む、様々な交換式シャフト組立体と共に用いられてもよい。エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、任意の好適な締結具を利用して組織を締結することができる。例えば、中に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入され得る、及び/又は取り付けられ得る。
【0035】
ハンドル組立体14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16及び18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は、臨床医に握持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成するように協働する。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持し、それらの駆動システムは、制御運動を生成し、ハンドル組立体に動作可能に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に制御運動を適用するように構成されている。ディスプレイはカバー45の下に提供されてもよい。
【0036】
図2は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を含んでもよい。フレーム20は、交換式シャフト組立体200に閉鎖運動及び開放運動を加えることができる「第1の」又は閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができる。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドル組立体14に枢動可能に連結され、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドル組立体14のピストルグリップ部分19を把持するとき、閉鎖トリガ32は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと容易に枢動できるようになっている。
【0037】
ハンドル組立体14及びフレーム20は、発射駆動システム80を動作可能に支持し、この発射駆動システムは、ハンドル組立体に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に発射運動を加えるように構成されている。発射駆動システム80は、ハンドル組立体14のピストルグリップ部分19に設置された電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDCモータであってよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、着脱可能な電源パック92を備えてもよい、電源90によって給電されてもよい。例えば、着脱可能な電源パック92は、遠位ハウジング部分96に装着するように構成された、近位ハウジング部分94を備えてもよい。近位ハウジング部分94及び遠位ハウジング部分96は、その中で複数の電池98を動作可能に支持するように構成される。電池98はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(LI)又は他の好適な電池を含んでよい。遠位ハウジング部分96は、電気モータ82に動作可能に連結されている、制御回路基板100に着脱可能かつ動作可能に取り付けられるように構成されている。直列に接続されたいくつかの電池98は、外科用器具10に給電することができる。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー45の下方に位置するディスプレイ43は、制御回路基板100に電気的に連結されている。カバー45を除去してディスプレイ43を露出させてもよい。
【0038】
電気モータ82は、回転可能なシャフト(図示せず)を備えてもよく、この回転可能なシャフトは、長手方向可動駆動部材120上の駆動歯122の組又はラックとの噛合い係合をなして装着されるギヤ減速機組立体84と動作可能にインターフェースをとる。長手方向可動駆動部材120は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0039】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向可動駆動部材120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が、反対の回転方向に駆動されると、長手方向可動駆動部材120は、近位方向「PD」に軸方向に駆動されることになる。ハンドル組立体14は、電源90によって電気モータ82に付与される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドル組立体14は、長手方向可動駆動部材120の位置及び/又は長手方向可動駆動部材120が移動されている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0040】
電気モータ82の作動は、ハンドル組立体14上に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間で枢動されることができる。
【0041】
図1に戻ると、交換式シャフト組立体200は、外科用ステープルカートリッジ304を中で動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える、エンドエフェクタ300を含む。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、関節継手270を含んでもよい。エンドエフェクタ300及び関節継手270の構成及び動作は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0263541号、発明の名称「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に記載されている。交換式シャフト組立体200は、ノズル部分202、203で構成される近位ハウジング又はノズル201を更に含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、シャフト軸SAに沿って延在する閉鎖管260を更に含むことができ、閉鎖管260はエンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために用いられ得る。
【0042】
図1に戻ると、閉鎖管260は、例えば、前述の参照文献、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で閉鎖トリガ32の作動に応答して、アンビル306を閉鎖するために遠位(方向「DD」)に並進される。アンビル306は、閉鎖管260を近位に並進させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管260は、その近位位置へと移動させられる。
【0043】
図3は、本開示の一態様による交換式シャフト組立体200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフト組立体200は、スパイン210内での軸方向移動に関して支持される発射部材220を含んでもよい。発射部材220は、遠位切断部分又はナイフバー280に装着するように構成された中間発射シャフト部分222を含む。発射部材220はまた、本明細書において「第2のシャフト」又は「第2のシャフト組立体」と呼ばれることもある。中間発射シャフト部分222は、その遠位端部に、ナイフバー280の近位端部282にあるタブ284を受け入れるように構成された、長手方向スロット223を含んでもよい。長手方向スロット223及び近位端部282は、それらの間の相対運動を可能にするように構成されてもよく、かつスリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を移動させずに、又は少なくとも実質的に移動させずに、発射部材220の中間発射シャフト部分222が、関節継手270の周りにエンドエフェクタ300を関節運動させることを可能にすることができる。エンドエフェクタ300が好適に配向された後は、ナイフバー280を前進させ、チャネル302内に位置付けられたステープルカートリッジを発射するため、長手方向スロット223の近位側壁がタブ284に接触するまで、中間発射シャフト部分222を遠位側に前進せることができる。スパイン210は細長開口部又は窓213を有して、スパイン210への中間発射シャフト部分222の組み付け及び挿入を容易にしている。中間発射シャフト222が挿入されると、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に封入してもよい。発射部材220の動作に関する更なる記載は、米国特許出願第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、その中に発射部材220をスライド可能に支持するように、また、スパイン210の周りに延びる閉鎖管260をスライド可能に支持するように構成され得る。スパイン210はまた、関節ドライバ230をスライド可能に支持する。
【0044】
交換式シャフト組立体200は、関節ドライバ230を発射部材220に選択的かつ解除可能に連結するように構成され得る、クラッチ組立体400を含むことができる。クラッチ組立体400は、発射部材220の周りに位置付けられたロックカラー、即ちロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節ドライバ230を発射部材220に結合する係合位置と、関節ドライバ230が発射部材220に動作可能に連結されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402がその係合位置にあるとき、発射部材220の遠位の移動によって、関節ドライバ230を遠位に移動させることができ、それに対応して、発射部材220の近位の移動によって、関節ドライバ230を近位に移動させることができる。ロックスリーブ402がその係合解除位置にあるとき、発射部材220の移動は、関節ドライバ230に伝達されず、その結果、発射部材220は、関節ドライバ230とは独立して移動することができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除するために用いることができる。
【0045】
交換式シャフト組立体200は、例えば、エンドエフェクタ300との間で電力を伝導し、かつ/又はエンドエフェクタ300との間で信号を通信するように構成され得る、スリップリング組立体600を備えることができる。スリップリング組立体600は、近位コネクタフランジ604と、ノズル部分202、203に画定されたスロット内に位置付けられた遠位コネクタフランジ601とを備えることができる。近位コネクタフランジ604は第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して位置決められ、かつ第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ601は、シャフト軸SA-SAを中心にして、近位コネクタフランジ604に対して回転することができる(
図1)。近位コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうち1つに対応してそれと電気的に接触する。かかる構成により、近位コネクタフランジ604と遠位コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ604は、例えば、シャフト回路基板と信号通信して導体602を配置することができる、電気コネクタ606を含むことができる。少なくとも一事例では、複数の導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延在し得る。電気コネクタ606は、シャーシ装着フランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延在してもよい。米国特許出願公開第2014/0263551号、発明の名称「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2014/0263552号、表題STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEMは、その全体を参照により本明細書に組み込む。スリップリング組立体600に関する更なる詳細は、米国特許出公開願第2014/0263541号に見出すことができる。
【0046】
交換式シャフト組立体200は、ハンドル組立体14に固定可能に装着されている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、上述したように、スリップリング組立体600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリング組立体600の遠位コネクタフランジ601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0047】
図4は、本開示の一態様による、
図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。上述したように、エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に連結されてもよい。アパーチャ199を、アンビル306から延在するピン152を受け入れることができる細長いチャネル302内に画定することができ、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開位置から閉位置まで枢動させることができる。発射バー172は、エンドエフェクタ300内へと長手方向で並進するように構成されている。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む、積層材料を含んでもよい。発射バー172は、I型梁178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位に突出する端部は、I型梁178に取り付けることができ、I型梁178は、アンビル306が閉位置にあるとき、細長いチャネル302内に位置付けられた外科用ステープルカートリッジ304からアンビル306を離すことを支援することができる。I型梁178はまた、I型梁178を発射バー172によって遠位に前進させながら組織を切るように、鋭利な切断縁部182を含むことができる。動作の際、I型梁178は、外科用ステープルカートリッジ304を又は発射することができる。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、それぞれの上向きに開いたステープルキャビティ195内で保持する、成形カートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、I型梁178によって遠位に駆動されて、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上を摺動する。楔形スレッド190は、I型梁178の切断縁部182がクランプされた組織を切る間、ステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出してアンビル306と変形接触させる。
【0048】
I型梁178は、発射の間、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。I型梁178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の部分に係合することができる、中央ピン184と下部フット186とを含むことができる。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に位置付けられると、カートリッジ本体194に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196に画定された長手方向スロット197及び細長いチャネル302に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用の際、I型梁178は、位置合わせされた長手方向スロット193、197、及び189を通って摺動することができ、
図4に示されるように、I型梁178の下部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位に前進されて、ステープルを外科用ステープルカートリッジ304から発射し、かつ/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開するにつれて、I型梁178は、アンビル306と外科用ステープルカートリッジ304とを離すか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びI型梁178を近位に後退させることができ、それによってアンビル306を開いて、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することができる。
【0049】
図5A~
図5Bは、本開示の一態様による2枚の図面に及ぶ
図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。主に
図5A、
図5Bを参照すると、ハンドル組立体702はモータ714を含んでもよく、モータは、モータドライバ715によって制御され得るものであり、また外科用器具10の発射システムによって用いられ得るものである。様々な形態において、モータ714は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成では、モータ714としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータドライバ715は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)719を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ714は、外科用器具10に制御電力を供給するために、ハンドル組立体200に解除可能に装着された電源組立体706によって給電され得る。電源組立体706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池セルを含んでもよい。特定の状況下では、電源組立体706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体706に別個に連結され得るリチウムイオン電池であってよい。
【0050】
シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、シャフト組立体704は、インターフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信し得るシャフト組立体コントローラ722を含む。例えば、インターフェースは、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフト組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインターフェース部分725、及び、対応する電源組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインターフェース部分727を含み得る。インターフェースを介して1つ以上の通信信号を送信して、取り付けられた交換式シャフト組立体704の電力要件のうちの1つ以上を電力管理コントローラ716に伝達することができる。それに応じて、電力管理コントローラは、取り付けられたシャフト組立体704の電力要件に従って、以下により詳細に記載されているように、電源組立体706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、シャフト組立体704、及び/又は電源組立体706とのハンドル組立体702の機械的連結係合後に起動され得るスイッチを備えてもよく、それにより、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信が可能になる。
【0051】
インターフェースは、例えば、ハンドル組立体702に存在するメインコントローラ717を介してかかる通信信号を経路指定することにより、電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の1つ以上の通信信号の伝送を容易にし得る。他の状況下では、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、インターフェースは、ハンドル組立体702を介して電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0052】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0053】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO 26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0054】
電源組立体706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、電力管理回路は、シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調整して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフト組立体コントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶し得る1つ以上のプロセッサ及び/又はメモリユニットを備え得る。
【0055】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェースは、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742が代わりに電源組立体706と統合され得る。このような状況下では、シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインターフェースを介して成し遂げられ得る。
【0056】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてもよい。メインコントローラ717はまた、フラッシュメモリに連結されている。メインコントローラ717はまた、シリアル通信インターフェースを備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板組立体(PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラ、コントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティング装置を含むことが理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブル装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書に記載される1つ以上のプロセスを実装するように構成され得る。
【0057】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を含む。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、例えば、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用され得る。いくつかの例では、加速度セグメントは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。
【0058】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に連結されたディスプレイコネクタを備える。ディスプレイコネクタは、ディスプレイの1つ以上の集積回路ドライバを介してメインコントローラ717をディスプレイに連結する。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてよく、及び/又は、ディスプレイとは別個に配置されてよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)の任意の好適なディスプレイ、及び/又は任意の他の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは、安全コントローラに連結されている。
【0059】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(
図1及び
図4)に連結された交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)及び/又は交換式シャフト組立体200に連結されたエンドエフェクタ300の1つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに連結するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフト組立体200及び/又はシャフトPCBA固有の1つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは、交換式シャフト組立体200に連結され、及び/又は、外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と連携し得る1つ以上のシャフト組立体200及び/又はエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0060】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダを備える。1つ以上の磁気角度回転位置エンコーダは、外科用器具10のモータ714、交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)、及び/又はエンドエフェクタ300(
図1~
図4)の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの実施例では、磁気角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてもよい。
【0061】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10の移動を制御するように構成されたモータ714を備える(
図1~
図4)。モータ714は、1つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(FET)及びモータコントローラを備えるHブリッジドライバによって、メインマイクロコントローラプロセッサ717に連結されている。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラに連結される。モータ電流センサは、モータの引き込み電流を測定するため、モータと直列に連結されている。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに連結されている。
【0062】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを、モータ714の状態及び位置をメインコントローラ717に示すように制御する。メインコントローラ717は、パルス幅変調(PWM)高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラにバッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0063】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラに連結された電池と、メインコントローラ717と、追加の回路セグメントと、を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば13V以下など、所定量以下のブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0064】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)、セグメント化回路の動作を制御し、かつ/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてもよい。緊急離脱ドアスイッチ及びホール効果スイッチは、緊急離脱ドアの状態を示すように構成される。例えば、左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、及び右側関節中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフト組立体200(
図1及び
図3)及び/又はエンドエフェクタ300(
図1及び
図4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。左側関節左スイッチ、左側関節右スイッチ、左側関節中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。右側関節左スイッチ、右側関節右スイッチ、右側関節中央スイッチ及び右側反転スイッチを含む、右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。
【0065】
任意の好適な機械的、電気機械的、又はソリッドステートスイッチを用いて、複数のスイッチを任意の組み合わせで実装してもよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(
図1~
図4)と関連付けられた構成要素の動作又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。このようなスイッチは、外科用器具10と関連付けられた様々な機能を制御するために用いられてもよい。リミットスイッチは、1組の接点に機械的に連結されたアクチュエータからなる電気機械装置である。物体がアクチュエータと接触すると、装置は、接点を動作させて電気的接続を作成又は破壊する。リミットスイッチは、それらの頑丈さ、設置の容易さ、及び動作の信頼性のために、様々な用途及び環境で使用される。それらは、オブジェクトの有無、通過、位置決め、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態では、スイッチは、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計などの磁場の影響下で動作するソリッドステートスイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作するソリッドステートスイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、双極など)などのソリッドステート装置であってもよい。他のスイッチとしては、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサを挙げることができる。
【0066】
図6は、本開示の一態様による、ハンドル組立体702と電源組立体706との間、及びハンドル組立体702と交換式シャフト組立体704との間のインターフェースを示す、
図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドル組立体702は、メインコントローラ717、シャフト組立体コネクタ726、及び電源組立体コネクタ730を備えてもよい。電源組立体706は、電源組立体コネクタ732、電力管理コントローラ716を含み得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体コネクタ730、732は、インターフェース727を形成する。交換式シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている一方で、電力管理回路734は、交換式シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するために用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調整して、所望の出力を維持することができる。シャフト組立体704は、シャフト組立体704をハンドル組立体702に電気的に連結するために、不揮発性メモリ721及びシャフト組立体コネクタ728に連結されたシャフトプロセッサ719を備える。シャフト組立体コネクタ726、728は、インターフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフトプロセッサ719、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書に記載されるプロセスのうちの1つ以上を実装するように構成され得る。
【0067】
外科用器具10(
図1~
図4)は、ユーザへの感覚フィードバックに対する出力装置742を含み得る。かかる装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCDディスプレイ画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インターフェース727は、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は、電源組立体706と統合され得る。交換式シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインターフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(
図1~
図4)の動作を制御するための制御回路700を説明してきたが(
図5A、5B及び6)、ここで、本開示は、外科用器具10(
図1~
図4)及び制御回路700の様々な構成を示す。
【0068】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を示す。制御回路800は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多数のシングルコアプロセッサ又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでもよい。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてよい。
【0069】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を示す。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。回路810は、入力814で外科用器具10と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理回路812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0070】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(
図1~
図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を示す。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。回路820は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の場合では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、入力826から外科用器具10と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810と順序論理回路820との組み合わせを含むことができる。
【0071】
態様は製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを記憶するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するのに好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0072】
図10は、外科用器具10(
図1~
図4)の絶対位置決めシステム1100の図であり、絶対位置決めシステム1100は、本開示の一態様によるセンサ配列1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム1100用のセンサ配列1102は、変位部材1111の位置に対応する固有の位置信号を提供する。
図2~
図4に戻ると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向可動駆動部材120(
図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(
図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(
図4)又はI型梁178(
図4)を表し、これらはそれぞれ、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、I型梁178、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具10の任意の可動部材を指すために総称的に使用される。一態様では、長手方向可動駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びI型梁178に連結される。したがって、絶対位置決めシステム1100は、実際には、長手方向可動駆動部材120の直線変位を追跡することによって、I型梁178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するのに好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はI型梁178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformer、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducer、DVRT)、スライドポテンショメータ、可動磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の可動直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、可動光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学感知システム、固定された光源及び一連の可動直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学感知システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0073】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギヤ組立体1114と動作可能にインターフェースする回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ素子1126は、センサ素子1126の1回転が、変位部材1111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤ組立体1114に動作可能に連結されてもよい。ギヤリング及びセンサの配列1118を、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギヤ若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源1129は、絶対位置決めシステム1100に電力を供給し、出力インジケータ1128は、絶対位置決めシステム1100の出力を表示することができる。
図2において、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラック122を備える長手方向可動駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向可動発射部材220、発射バー172、I型梁178、又はこれらの組み合わせを表す。
【0074】
位置センサ1112に付随するセンサ素子1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材1111に連結したセンサ素子1126の1回転後の、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ配列1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤの減速を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0075】
位置センサ1112の2回以上の回転に対する固有の位置信号を与えるために、一連のスイッチ1122a~1122n(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギヤの減速と共に用いられてもよい。スイッチ1122a~1122nの状態はコントローラ1104にフィードバックされ、コントローラ1104は論理を適用して、変位部材1111の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ1112の出力1124はコントローラ1104に提供される。センサ配列1102の位置センサ1112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、ポテンショメータなどのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0076】
絶対位置決めシステム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材1111をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0077】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、又はナイフシステムへのギヤ関節運動ボックス及び機械的リンクを備えたブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置決めシステム1100で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステム1100のより詳細な説明は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016,年4月15日に出願された米国特許出願第15/130,590号、発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0078】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検知することができる。
【0079】
絶対位置決めシステム1100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源1129が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(PWM)が挙げられる。位置センサ1112で測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ1118(単数又は複数)が設けられてもよい。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステム1100はデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステム1100の出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステム1100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(
図5A~
図5B)。
【0080】
モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941ドライバ1110は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ1110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、フル(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧にもたらし、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルのMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速減衰モード又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調整可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。絶対位置決めシステム1100で使用するために、他のモータドライバが容易に代用されることができる。
【0081】
センサ配列1102用の絶対位置決めシステム1100の態様を実装するための一般的なアーキテクチャについて説明したので、ここで、絶対位置決めシステム1100のセンサ配列1102の一実施形態について説明するために、本開示は
図11及び
図12を参照する。
図11は、一態様による、回路1205及びセンサ配列1102の各要素の相対的な位置合わせを示す、絶対位置決めシステム1100のセンサ配列1102の分解斜視図である。絶対位置決めシステム1100のセンサ配列1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ素子と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するためのギヤ組立体1206とを備えている。
図2を簡単に参照して、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するために、駆動歯のラック122を備える長手方向可動駆動部材120を表し得る。
図11に戻って、ギヤ組立体1206、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が設けられている。位置センサ1200は、ホール素子などの磁気感知素子を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気感知素子は、1回転にわたって磁石1202の絶対角度位置を測定する。
【0082】
センサ配列1102は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するかどうかに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の態様を含んでいる。磁場感知に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0083】
ギヤ組立体は、3:1のギヤ比接続を提供する噛合い係合の第1のギヤ1208と第2のギヤ1210とを備えている。第3のギヤ1212は、シャフト1214の周りを回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は
図2に示すような120)と噛合係合し、変位部材1111が遠位方向Dに前進する際に第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退する際に第2の方向に回転する。第2のギヤ1210はまた、シャフト1214の周りを回転し、したがって、シャフト1214の周りの第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向の並進に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111の1回のフルストロークは、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に連結されているので、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各全ストロークについて完全に1回転する。
【0084】
位置センサ1200は、磁石ホルダ1204内で下方に回転する磁石1202と正確に位置合わせされた位置センサ1200を収容するのに好適なアパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持される。固定具が、ブラケット1216に、及び回路1205に連結されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、依然として静止している。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように設けられている。シャフト1214に連結された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0085】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム1100用の位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104とインターフェースして絶対位置決めシステム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(
図15、
図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。また、高解像度ADC 1232及びスマート電力管理コントローラ1238がチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder’s algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、SPIインターフェース1234などの標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0086】
ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、直接回転磁石1202(
図11)の上方に設置されている。ホール効果は周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に垂直な磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度と印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を磁石1202の1回転にわたって角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって算出され、AS5055位置センサ1200にオンボードでレジスタ又はメモリ内に記憶される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に与えられる。
【0087】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているとき、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一電源を使用する単純な適用には6本の導線を必要とし、電力用に2本の導線、コントローラ1104とのSPIインターフェース1234用に4本の導線1240を必要とする。中断をコントローラ1104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含む全ての電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力1242におけるINT要求として示され、角度値は内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は、一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、SPIインターフェース1234を介してAS5055位置センサ1200から角度値を読み取ることによって、INT出力1242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242が再びクリアされる。コントローラ1104によってSPIインターフェース1234で「角度読取り」コマンドを位置センサ1200に送信すると、自動的にチップに給電され、別の角度測定が開始される。コントローラ1104が角度値の読取りを完了すると、直ちに、INT出力1242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0088】
AS5055位置センサ1200の測定原理に基づいて、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(約600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ1200は一時停止して電源オフ状態に移る。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、2回以上の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ1104で複数の角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは6dB(50%)低減する。
【0089】
図13は、本開示の一態様によるエンドエフェクタ2502内に把持された組織2526に対するI型梁2514の発射ストロークを示す、外科用器具10(
図1~
図4)のエンドエフェクタ2502の断側面図である。エンドエフェクタ2502は、
図1~
図4に示される外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516と、細長いチャネル2503内に位置付けられたステープルカートリッジ2518とを備える細長いチャネル2503とを備える。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は器具のシャフトと一直線になっている。切断縁部2509を含むI型梁2514は、発射バー2520の遠位部分に図示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置付けられている。I型梁2514が遠位に並進すると、切断縁部2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた組織2526と接触し、切断されてもよい。また、I型梁2514は楔形スレッド2513に接触し、楔形スレッド2513を遠位に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に打ち込まれて、ステープル2505が組織を通って、ステープル2505を成形するアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させられてもよい。
【0090】
例示的なI型梁2514発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と位置合わせされたチャート2529によって例示される。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と位置合わせして示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含んでもよい。I型梁2514の発射ストロークの間、I型梁2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進してもよい。I型梁2514は、ストローク開始位置2527の一例の位置で示されている。I型梁2514発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を示す。第1の発射ストローク領域2517では、I型梁2514は遠位に前進し始めることができる。第1の発射ストローク領域2517では、I型梁2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始めることができる。しかしながら、第1の領域では、切断縁部2509は組織に接触しなくてもよく、楔形スレッド2513はステープルドライバ2511と接触しなくてもよい。静止摩擦が克服された後、第1の領域2517内のI型梁2514を駆動する力は、実質的に一定であってもよい。
【0091】
第2の発射部材ストローク領域2519において、切断縁部2509は、組織2526と接触して切断し始めることができる。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始めることができる。I型梁2514を駆動する力は、上昇し始めることができる。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動するように圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521において、切断縁部2509は、組織2526と連続的に接触し、切断されてもよく、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511と繰り返し接触してもよい。I型梁2514を駆動する力は、第3の領域2521内で平坦であってもよい。第4の発射ストローク領域2523によって、I型梁2514を駆動する力が低下し始める場合がある。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、切断する力が少なくて済むように、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合がある。また、切断縁部2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間に組織2526の端部に到達してもよい。I型梁2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は完全に切断されてもよい。楔形スレッド2513は、組織の端部又はその近くで1つ以上のステープルドライバ2511に接触してもよい。I型梁2514を第5の領域2525を通して前進させる力は低減されてもよく、いくつかの例では、第1の領域2517内のI型梁2514を駆動する力と同様であってもよい。発射部材のストロークの完了時、I型梁2514はストローク終了位置2528に到達し得る。
図18の発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの実施例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタ長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0092】
上で議論したように、また
図10~
図13を参照して、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(
図1~
図4)のハンドル組立体内に位置付けられた電気モータ1122を利用することで、例えばI型梁2514を含めて、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。I型梁2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させることができる。コントローラ1104は、I型梁2514の速度を制御するように構成されてもよい。いくつかの状況において、コントローラ1104は例えば、電圧及び/若しくは電流など、電気モータ1122に供給される電力の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122の他の動作パラメータに基づいて、I型梁2514の速度を予測するように構成されることができる。コントローラ1104は、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、I型梁2514の現在の速度を予想するように構成されることができる。コントローラ1104は、本明細書に記載される絶対位置決めセンサシステムを利用して、I型梁2514の速度を感知するように構成されてもよい。コントローラは、I型梁2514の予想速度と、I型梁2514の感知速度とを比較して、電気モータ1122への電力を、I型梁2514の速度を増加させるために増加させ、かつ/又はI型梁2514の速度を低下させるために減少させるべきかどうかを判定するように構成されることができる。米国特許第8210411号、発明の名称「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第7845537号、発明の名称「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
I型梁2514に作用する力は、様々な技術を用いて判定することができる。I型梁2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって判定することができ、モータ2504の電流は、遠位に前進する際にI型梁2514によって経験される負荷に基づく。I型梁2514の力は、駆動部材120(
図2)、発射部材220(
図2)、I型梁2514(I型梁178、
図20)、発射バー172(
図2)、及び/又は切断縁部2509の近位端上に歪みゲージを位置決めするとによって判定されてもよい。I型梁2514の力は、所定の経過期間T
1の後にモータ2504の現在の設定速度に基づいて予測速度で移動するI型梁2514の実際の位置を監視し、I型梁2514の予測位置に対するI型梁2514の実際の位置を、期間T
1の終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づいて比較することによって判定してもよい。したがって、I型梁2514の実際の位置が、I型梁2514の予測位置よりも小さい場合、I型梁2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、I型梁2514の実際の位置が、I型梁2514の予測位置よりも大きい場合、I型梁2514上の力は、公称力よりも小さい。I型梁2514の実際の位置と予測される位置との差は、公称力からのI型梁2514上の力の偏差に比例する。そのような技術は、代理人整理番号END8195USNPに記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を示す。一態様では、外科用器具2500は、I型梁2514などの変位部材1111の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具2500は、アンビル2516と、I型梁2514(鋭い切断縁部2509を含む)と、取り外し可能ステープルカートリッジ2518と、を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。
図1~
図13に関して、エンドエフェクタ2502のアンビル2516、I型梁2514、及びステープルカートリッジ2518は、例えば、本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0095】
I型梁2514などのライナー変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進は、
図10~
図12に示されるように、そして及び
図14では位置センサ2534として表される絶対位置決めシステム1100、センサ配列1102、及び位置センサ1200によって測定することができる。I型梁2514が長手方向可動駆動部材120に連結されているため、I型梁2514の位置は、位置センサ2534を用いる長手方向可動駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、I型梁2514の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ2534によって達成され得る。
図5A及び
図5Bに記載の制御回路700などの制御回路2510は、
図10~
図12に関連して記載されるように、I型梁2514などの変位部材1111の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路2510は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばI型梁2514を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって判定されたI型梁2514の位置をタイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるI型梁2514の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0096】
制御回路2510は、モータ設定点信号2522を生成してもよい。モータ設定点信号2522は、モータコントローラ2508に提供されてもよい。モータコントローラ2508は、本明細書で説明するように、モータ2504にモータ駆動信号2524を提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、電気モータ2504は、
図1、
図5B、
図10に示されるモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504はブラシレス直流(DC)電動モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、電気モータ2504の1つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ2508は省略されてもよく、制御回路2510がモータ駆動信号2524を直接生成してもよい。
【0097】
モータ2504は、エネルギー源2512から電力を受け取ることができる。エネルギー源2512は、電池、コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ2504は、伝達装置2506を介してI型梁2514に機械的に連結され得る。伝達装置2506は、モータ2504をI型梁2514に連結するための1つ以上のギヤ又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、I型梁2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、I型梁2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、I型梁2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してI型梁2514の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、I型梁2514の動きを示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステッパモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、I型梁2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0098】
制御回路2510は、1つ以上のセンサ2538と通信してもよい。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置決められ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ2538は、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0099】
1つ以上のセンサ2538は、クランプ状態の間のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0100】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260によってアンビル2516に適用される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260(
図3)とアンビル2516との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ2538を、閉鎖駆動システム30(
図2)に沿った様々な相互作用点に位置付けられて、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ2538は、
図5A~
図5Bで記載するようなプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0101】
モータ2504によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ2536を用いることができる。I型梁2514を前進させるのに必要な力は、モータ2504によって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0102】
ここで
図1~
図14に関連して本明細書で開示する器具の物理的性質を用い、また
図14を参照すると、制御回路2510が、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のI型梁2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0103】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はI型梁2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば、変位部材及び関節ドライバを操作する電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理的システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0104】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書で例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち任意の1つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0105】
様々な例示的態様が、モータ駆動式外科用ステープル留め及び切断器具を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500に関する。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸に沿って遠位及び近位に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成されるときに、アンビル2516の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ2518と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持してもよい。器具2500を使用する準備が整うと、臨床医は、例えば器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位に駆動することができる。変位部材が遠位に並進する際に、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるI型梁2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0106】
様々な実施例で、外科用器具2500は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えばI型梁2514などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路2510を備えてもよい。制御回路2510は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低い速度で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより速い速度で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0107】
いくつかのでは、制御回路2510は、最初に、モータ2504を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0108】
図15は、本開示の一態様に従って実行される、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットする
図2580を示す。
図2580は、2つの軸を含む。水平軸2584は経過時間を示す。垂直軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のI型梁2514の位置を示す。水平軸2584上で、制御回路2510は発射信号を受信し、t
0で初期モータ設定を提供し始めることができる。変位部材ストロークの開ループ部分は、t
0~t
1の間で経過し得る初期期間である。
【0109】
第1の実施例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられたときの外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t0~t1の初期期間中、I型梁2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断してもよい。制御回路2510は、位置2594が、t1(例えば、閉ループ部分内)の後の実施例2592の傾きによって示される、選択された一定速度(Vslow)でI型梁2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。制御回路2510は、I型梁2514の位置を監視し、モータ設定点2522及び/又はモータ駆動信号2524を変調してVslowを維持することによって、I型梁2514を速度Vslowに駆動してもよい。第2の実施例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられたときの外科用器具2500の応答を示す。
【0110】
t0~t1の初期期間(例えば、開ループ期間)の間、I型梁2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断してもよい。制御回路は、位置2596が、選択された一定速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。実施例2590の組織は、実施例2592の組織よりも薄いため、I型梁2514の運動に対する抵抗がより小さくなり得る。その結果、I型梁2514は、初期期間中に、ストロークのより大きな部分を横断してもよい。また、いくつかの例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に横断される変位部材ストロークのより大きい部分)は、初期期間後のより高い変位部材速度に対応し得る。
【0111】
本開示は、ここで、変位部材の速度制御を提供する閉ループフィードバックシステムを提供する。閉ループフィードバックシステムは、特定の距離又は変位部材の変位間隔にわたる実際の時間の測定に基づいて、変位部材の速度を調整する。一態様では、閉ループフィードバックシステムは、2つの段階を含む。発射ストロークの開始として定義される開始段階と、それに続く、動的発射段階であって、その間、発射ストローク中にI型梁2514が遠位に前進する。
図16A及び
図16Bは、発射ストロークの開始段階に位置付けられたI型梁2514を示す。
図16Aは、切断縁部2509を備えるI型梁2514に連結された発射部材2520を備えるエンドエフェクタ2502を示す。アンビル2516は閉位置にあり、I型梁2514は、閉鎖ランプ9006の底部の近位又はパーク位置9002に位置する。パーク位置9002は、アンビル2516の閉鎖ランプ9006をランプ9006の頂部までT字形スロット9008まで移動させる前のI型梁2514の位置である。上部ピン9080は、T字形スロット9008と係合するように構成され、ロックアウトピン9082は、ラッチ機構9084と係合するように構成されている。
【0112】
図16Bでは、I型梁2514は、上部ピン2580がT字形スロット9008内に係合された状態で、ランプ9006の上部の目標位置9004に位置する。
図16A及び
図16Bに示されるように、パーク位置9002から目標位置9004へと移動する際、I型梁2514は、水平遠位方向にX
oとして示される距離を移動する。開始段階中、I型梁2514の速度は、所定の初期速度V
oに設定される。制御回路2510は、初期速度V
oで、I型梁2514がパーク位置9002から目標位置9004までランプ9006を上に移動するのにかかる実際の時間t
oを測定する。一態様では、水平距離は4.1mmであり、初期速度V
oは12mm/秒である。以下により詳細に記載されるように、I型梁2514が遠位に前進するにつれて、実際の時間t
oを使用して、I型梁2514のコマンド速度を、後続のステープルカートリッジゾーンZ内で低速、中速、又は高速に設定する。ゾーンの数は、ステープルカートリッジの長さ/サイズ(例えば、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、>60mm)に依存し得る。コマンド速度又は設定速度は、制御回路2510及びモータ制御2508によってモータ2504に適用されるモータ2504の速度であり、I型梁2514の所望の速度をもたらす。I型梁2514の実際の速度は、位置センサ2534によって提供される特定の又は固定された距離をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
oをタイマー/カウンタ2531回路によって測定することによって制御回路2510により判定される。本開示の一態様によれば、外科用器具の閉ループフィードバック制御システムは、I型梁2514又は変位部材が、所定の固定距離又は変位間隔X
nを移動するのにかかった実際の時間t
nを測定する。所定の固定距離又は変位間隔X
nは、各ゾーン(例えば、Z
1、Z
2、Z
3、...Z
n)に対して定義される。
【0113】
図17は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502と位置合わせされたチャート9009によって、I型梁2514の発射ストロークを示す。図示のように、初期ゾーン(Z
o)、又はベースゾーンは、I型梁2514がパーク位置9002から目標位置9004まで移動した距離として定義される。測定された時間T
oは、I型梁2514が、初期設定速度V
oで閉鎖ランプ9006を目標位置9004まで上に移動するのにかかる時間である。測定された時間T
1~T
5は、対応するゾーンZ
1~Z
5をそれぞれ横断するための基準期間である。ゾーンZ
oにおけるI型梁2514の変位は、X
oである。I型梁2514が距離X
oにわたって移動するのにかかる期間T
oは、後続のゾーンZ
1内のコマンド速度を設定するために使用される。
【0114】
ここで
図14~
図17を参照すると、開始段階において、例えば、発射ストロークの開始時に、制御回路2510は、所定の速度V
o(例えば、12mm/秒)でI型梁2514などの変位部材の発射を開始するように構成される。開始段階の間、制御回路2510は、I型梁2514の位置を監視し、低電力動作モードの終了時に、I型梁2514のパーク位置9002からI型梁2514の目標位置9004又はアンビル2516閉鎖ランプ9006の頂部のいずれかまで、I型梁2514が移動するのにかかる時間t
oを測定するように構成される。初期ゾーン9010における時間t
oは、制御回路2510によって使用され、第1のゾーンZ
1を通るI型梁2514の発射速度を判定する。例えば、一態様では、時間t
oが<0.9秒である場合、速度V
1は高速に設定されてもよく、時間t
o≧0.9秒である場合、速度が中速に設定されてもよい。より速い又は遅い時間は、ステープルカートリッジ2518の長さに基づいて選択され得る。対応するゾーンZ
1~Z
5をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
1~t
5は、対応する設定された変位δ
1~δ
5で測定され、対応する基準期間T
1~T
5と比較される。様々な態様では、ロックアウト状態に遭遇した場合、モータ2504は、I型梁2514が目標位置9004に到達する前に失速する。この状態が発生すると、外科用器具ディスプレイは器具の状態を示し、失速警報を発することができる。ディスプレイはまた、速度選択を示してもよい。
【0115】
動的発射段階中、外科用器具は動的発射段階に入り、制御回路2510は、I型梁2514の変位間隔δ
nを監視し、I型梁2514がゾーンの開始からゾーンの端部(例えば、5mm又は10mmの総距離)まで移動するのにかかる時間t
nを測定するように構成される。
図17において、基準時間T
1は、I型梁2514がゾーンZ
1の開始からゾーンZ
1の端部まで設定速度V
1で移動するのにかかる時間である。同様に、基準時間T
2は、I型梁2514がゾーンZ
2の開始からゾーンZ
2の端部まで、設定速度V
2などで移動するのにかかる時間である。表1は、様々なサイズのステープルカートリッジ2518に対して画定され得るゾーンを示す。
【0116】
【0117】
60mmを超えるステープルカートリッジ2518については、パターンは継続しているが、最後の10~15mmは、とりわけストローク終了のための他の介入を保留している前のゾーンのコマンド速度又は指示された速度で継続する。各ゾーンの終了時に、I型梁2514がゾーンを通過した実際の時間tnは、次のゾーンのコマンド速度をどのように設定するかを判定するために、他の表(例えば、以下の表2~5)の値と比較される。コマンド速度は次のゾーンのために更新され、プロセスは継続する。コマンド速度が更新されるたびに、次のゾーンは評価されない。ストロークの終了は、リミットスイッチ、制御された減速などを含む、外科用器具の所定のプロトコル/アルゴリズムに従って処理される。ストローク終了時に、I型梁2514は高速で初期I型梁パーク位置9002に戻される。戻りストロークの終了(パーク位置9002に戻る)は、外科用器具のプロトコル/アルゴリズムに従って処理される。他のゾーンは、限定することなく定義され得る。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
一態様では、表1~表5は、外科用器具のメモリに記憶されてもよい。表1~表5は、ルックアップテーブル(LUT)の形態でメモリに記憶されてもよく、それにより、制御回路2510は、LUTに記憶された値に基づいて、各ゾーンにおけるI型梁2514のコマンド速度を制御することができる。
【0123】
図18は、本開示の一態様による、時間の関数9102としてのI型梁2514のストロークの変位間隔δ
n(上のグラフ)と、時間の関数9104としてのI型梁2514を予想される発射させる力(下のグラフ)とを比較するグラフ描写9100である。上のグラフ9102を参照すると、水平軸9106は、0~1.00Xの時間(t)を秒単位で表し、Xは倍率である。例えば、一態様では、X=6であり、水平軸9106は0~6秒の時間を表す。垂直軸9108は、I型梁2514の変位(δ)をミリメートル(mm)で表す。変位間隔δ
1は、薄い組織及び中程度の厚さの組織について、I型梁2615のストローク9114又はランプ9006の頂部での変位を表す(
図16A、
図16B)。I型梁2514が薄い組織のランプストローク9114の頂部に到達するまでの時間は、t
1であり、中程度の厚さの組織のランプストローク9114の頂部にI型梁2514が到達するまでの時間は、t
2である。図示のように、t
1<t
2であるので、中程度又は厚い組織が要するよりも、薄い組織のランプストローク9114の頂部にI型梁2514が到達する時間が短くなる。一実施例では、ランプストローク9114の変位間隔δ
1の頂部は約4.1mm(01.60インチ)であり、時間t
1は0.9秒未満(t
1<0.9秒)であり、時間t
2は0.9秒超であるが1.8秒未満(0.9<t
2<1.8秒)である。したがって、やはり表5を参照すると、ランプストローク9114の頂部に到達する速度は、薄い組織に対して高速であり、中程度の厚さの組織に対して高速である。
【0124】
ここで下のグラフ9104に戻ると、水平軸9110は、時間(t)を秒(sec)単位で表し、上のグラフ9102の水平軸9106の同じスケールを有する。しかしながら、垂直軸9112は、薄い組織の発射させる力のグラフ9116及び中程度の厚さの組織の発射させる力のグラフ9118についてI型梁2514の発射させる力(F)をニュートン(N)で表す。薄い組織の発射させる力のグラフ9116は、中程度の厚さの組織の発射させる力のグラフ9118よりも低い。薄い組織の発射させる力のグラフ9116のピーク力F1は、中程度の厚さの組織の発射させる力のグラフ9118のピーク力F2よりも低い。また、上及び下のグラフ9102、9104を参照すると、ゾーンZoにおけるI型梁2514の初期速度は、推定された組織厚さに基づいて判定することができる。薄い組織の発射させる力のグラフ9116に示されるように、I型梁2514は、高速初期速度(例えば、30mm/秒)でランプストローク9114の頂部のピーク力F1に到達し、中程度の厚さの組織の発射させる力のグラフ9118によって示されるように、I型梁2514は、中速初期速度(例えば、12mm/秒)でランプストローク9114の頂部のピーク力F2に到達する。ゾーンZoにおける初期速度が判定されると、制御回路2510は、ゾーンZ1などのI型梁2514の推定速度を設定することができる。
【0125】
図19は、本開示の一態様による、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としての組織厚さ9202(上のグラフ)と、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としての発射させる力9204(上から2番目のグラフ)と、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としての動的時間チェック9206(上から3番目のグラフ)と、I型梁ストロークの設定された変位間隔の関数としてのI型梁の設定速度9208(下のグラフ)とを比較するグラフ描写9200である。グラフ9202、9204、9206、9208のそれぞれの水平軸9210は、例えば、60mmのステープルカートリッジのI型梁2514ストロークの設定された変位間隔を表す。やはり表1を参照すると、水平軸9210は、60mmのステープルカートリッジについて定義されたゾーンZ
1~Z
6を特定するためにマークされている。表1に示されるように、画定されたゾーンは、様々なサイズのステープルカートリッジに対してマークされてもよい。本開示による
図14も参照すると、制御回路2510は、発射ストローク中のステープルカートリッジ2518に沿った、設定されたI型梁2514、又は他の変位部材、変位間隔で、タイマー/カウンタ回路2531から経過時間をサンプリング又は測定する。位置センサ2534から受信した設定された変位間隔δ
nで、制御回路2510は、I型梁2514が固定変位間隔δ
nを移動するのにかかった経過時間t
nをサンプリング又は測定する。このようにして、制御回路2510は、I型梁2514の実際の速度を判定し、実際の速度を推定速度と比較し、モータ2504速度に対する任意の必要な調整を行うことができる。
【0126】
組織厚さグラフ9202は、ステープルカートリッジ2518に沿った組織厚さプロファイル9220、及び水平破線によって示されるような厚さ9221を示す。発射させる力のグラフ9204力は、ステープルカートリッジ2518に沿った発射させる力のプロファイル9228を示す。I型梁2514がゾーンZ1及びZ2を横断する際に、組織厚さ9222が示された厚さ9221未満に留まる間、発射させるための力9230は比較的一定のままである。I型梁2514がゾーンZ3に入ると、組織厚さ9224は増加し、発射させる力も増加し、一方、I型梁2514は、ゾーンZ3、Z4、及びZ5においてより厚い組織を横断する。I型梁2514がゾーンZ5を出てゾーンZ6に入ると、組織厚さ9226は減少し、発射させる力9234も減少する。
【0127】
ここで
図14、
図17~
図19及び表2~表3を参照すると、ゾーンZ
1内の速度V
1は、ゾーンZ
o内の制御回路2510によって判定されたコマンド速度V
oに設定され、これは、
図16A、
図16B、及び
図18を参照して説明されるように、I型梁2514がゾーンZ
oのランプ9006の頂部まで移動するのにかかる時間に基づく。また、
図19のグラフ9206、9208を参照すると、初期設定速度V
oは中速に設定され、したがって、ゾーンZ
1内の設定速度V
1は、V
1=V
oとなるように中速に設定される。
【0128】
設定された変位位置δ
1(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して5mm)で、I型梁2514がゾーンZ
1を出てゾーンZ
2に入ると、制御回路2510は、I型梁2514が設定された変位間隔X
1(5mm長)を横断するのにかかる実際の時間t
1を測定し、I型梁2514の実際の速度を判定する。
図19のグラフ9206及び9208を参照すると、設定された変位位置δ
1において、I型梁2514が設定された変位間隔X
1を移動するのにかかる実際の時間t
1は、t
1=0.55秒である。表3によると、ゾーンZ
1内の実際の移動時間t
1=0.55秒は、ゾーンZ
2内のコマンド又は設定速度V
2を中速に設定する必要がある。したがって、制御回路2510は、ゾーンZ
2に対するコマンド速度をリセットせず、それを中速で維持する。
【0129】
設定された変位位置δ
2(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して15mm)で、I型梁2514がゾーンZ
2を出てゾーンZ
3に入ると、制御回路2510は、I型梁2514が設定された変位間隔X
2(10mm長)を横断するのにかかる実際の時間t
2を測定し、I型梁2514の実際の速度を判定する。
図19のグラフ9606及び9608を参照すると、設定された変位位置δ
2において、I型梁2514が設定された変位間隔X
2を移動するのにかかる実際の時間t
2は、t
2=0.95秒である。表3によると、ゾーンZ
2内の実際の移動時間t
2=0.95秒は、ゾーンZ
3内のコマンド又は設定速度V
3を中速に設定する必要がある。したがって、制御回路2510は、ゾーンZ
3に対するコマンド速度をリセットせず、それを中速で維持する。
【0130】
設定された変位位置δ
3(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して25mm)で、I型梁2514がゾーンZ
3を出てゾーンZ
4に入ると、制御回路2510は、設定された変位間隔X
3(10mm長)をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
3を測定し、I型梁2514の実際の速度を判定する。
図19のグラフ9606及び9608を参照すると、設定された変位位置δ
3で、設定された変位間隔X
3をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
3は、t
3=1.30秒である。表3によると、ゾーンZ
3内の実際の移動時間t
3=1.30秒は、ゾーンZ
4内のコマンド速度又は設定速度V
4を、低速に設定する必要がある。これは、1.3秒の実際の移動時間が1.10秒超であり、前の範囲外であるためである。したがって、制御回路2510は、グラフ9202の組織領域9224に示されるように予想されるよりも厚い組織などの外部影響により、ゾーンZ
3内の実際のI型梁2514の速度が予想よりも遅かったと判定する。したがって、制御回路2510は、ゾーンZ
4内のコマンド速度V
4を、中速から低速にリセットする。
【0131】
一態様では、制御回路2510は、速度がリセットされたゾーンの後のゾーン内の速度リセットを無効化するように構成されてもよい。別の言い方をすれば、速度が現在のゾーンで更新されるときはいつでも、後続のゾーンは評価されない。速度はゾーンZ4で更新されたため、ゾーンZ4をI型梁2514が横断するのにかかる時間は、設定された変位距離δ4でゾーンZ4の端部で測定されない(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して35mm)。したがって、ゾーンZ5内の速度は、ゾーンZ4内の速度と同じままであり、動的時間測定は、設定された変位位置δ5(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して45mm)で再開する。
【0132】
設定された変位位置δ
5(例えば、60mmのステープルカートリッジに対して45mm)で、I型梁2514がゾーンZ
5を出てゾーンZ
6に入ると、制御回路2510は、設定された変位間隔X
5(10mm長)をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
5を測定し、I型梁2514の実際の速度を判定する。
図19のグラフ9606及び9608を参照すると、設定された変位位置δ
5において、設定された変位間隔X
5をI型梁2514が横断するのにかかる実際の時間t
5は、t
5=0.95秒である。表3によれば、ゾーンZ
5内のt
5=0.95秒の実際の移動時間は、ゾーンZ
6内のコマンド速度又は設定速度V
6を高速に設定することを必要とする。これは、0.95秒の実際の移動時間が1.00秒未満であることが前の範囲外であるためである。したがって、制御回路2510は、グラフ9602の組織領域9626に示されるように予想されるよりも薄い組織などの外部影響により、ゾーンZ
5内のI型梁2514の実際の速度が予想よりも速いと判定する。したがって、制御回路2510は、ゾーンZ
6内のコマンド速度V
6を低速から高速にリセットする。
【0133】
図20は、本開示の一態様による、低速、中速、及び高速のI型梁2514の変位速度を比較する時間の関数としての発射させる力のグラフ描写9300である。水平軸9302は、I型梁がステープルカートリッジを横断する時間t(秒)を表す。垂直軸9304は、発射させる力F(N)を表す。グラフ描写は、時間に対する発射曲線に対する3つの別個の力を示す。第1の発射力曲線9312は、高速で薄い組織9306を通って横断し、t
1においてランプ9006(
図16B)の頂部で最大発射力F
1に達するI型梁2514(
図14)を表す。一実施例では、I型梁2514の高速横断速度は、約30mm/秒である。第2の発射力曲線9314は、中速で中程度の組織9308を横断し、t
1を超えるt
2でランプ9006の頂部で最大発射力F
2に達するI型梁2514を表す。一実施例では、I型梁2514の中速横断速度は、約12mm/秒である。第3の発射力曲線9316は、低速で厚い組織9310を横断し、t
2を超えるt
3でランプ9006の頂部で最大発射力F
3に達するI型梁2514を表す。一実施例では、I型梁2514の低速横断速度は、約9mm/秒である。
【0134】
図21は、本開示の一態様による初期発射段階におけるコマンド速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を示す、プロセス9400の論理フロー図である。
図14及び
図16~
図20を参照すると、制御回路2510は、例えば、位置センサ2534によって提供される位置情報に基づいて、I型梁2514などの変位部材の基準位置を判定する(9402)。I型梁2514の例では、基準位置は、
図16Bに示されるように、閉鎖ランプ9006の底部にある近位又はパーク位置9002である。基準位置が判定されると(9402)、制御回路2510及びモータ制御2508は、モータ2504のコマンド速度を所定のコマンド速度V
oに設定し、初期ゾーン又はベースゾーンZ
oに対して所定のコマンド速度V
oで変位部材(例えば、I型梁2514)を発射することを開始する(9404)。一実施例では、初期の所定のコマンド速度V
oは、約12mm/秒であるが、他の初期所定のコマンド速度V
oを用いてもよい。制御回路2510は、
図16Bに示されるように、I型梁2514がランプ9006の頂部の目標位置に到達するまで、位置センサ2534から受信した位置情報で変位部材の位置を監視する(9406)。所定の変位周期T
oは、現在の設定コマンド速度V
oで移動する変位部材の予想変位周期である。実際の変位周期T
nと所定の変位周期T
oとの間の偏差は、少なくとも部分的に、I型梁2514の切断縁部2509に作用する組織厚さなどの変位部材に作用する外部影響に起因する。
【0135】
タイマー/カウンタ回路2531から受信したタイミング情報及び位置センサ2534から受信された位置情報により、制御回路2510は、変位部材が基準位置9002から目標位置9004へと移動するのにかかる時間t
oを測定する(9408)。制御回路210は、測定された時間t
oに基づいて、第1のゾーンZ
1のコマンド速度V
1を設定する(9410)。表1に示されるように、様々な画定されたゾーンは、様々なサイズのステープルカートリッジに対して画定されてもよい。しかしながら、他のゾーンが画定されてもよい。制御回路2510は、測定された時間t
oを、例えばルックアップテーブル(LUT)に記憶されたメモリに記憶された値と比較することによって(9412)、第1のゾーンZ
1のコマンド速度V
1を設定する(9410)。一実施例では、表4に概して示され、特定の例で表5に示されるように、I型梁2514が、基準位置9002から目標位置9004までランプ9006を上に移動するのにかかる時間t
oが、0.0から0.9秒の間(0.0秒<t
o<0.9秒)である場合、第1のゾーンZ
1のコマンド速度は、高速(例えば、30mm/秒)に設定される(9414)。そうでなければ、I型梁2514が、基準位置9002から目標位置9004までランプ9006を上に移動する時間t
o(秒)が0.9秒超1.8秒まで(t
o>0.9秒~1.8秒)である場合、第1のゾーンZ
1のコマンド速度は、中速(例えば、12mm/秒)に設定される(9416)。続いて、制御回路2510は、ロックアウト状態がある場合、モータ2504をロックアウト及び停止する(9420)ためにチェックする(9418)。そうでなければ、制御回路は、
図22のプロセス9450を参照して以下に記載されるように、動的発射段階に入る(9422)。
【0136】
図22は、本開示の一態様による、動的発射段階におけるコマンド速度を制御するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセス9450の論理フロー図である。
図14及び
図16~
図20も参照すると、制御回路2510は、
図21のプロセス9400を参照して説明されるように、初期時間t
oに基づいて、第1のゾーンZ
1に対してモータ2504の初期コマンド速度を設定する(9452)。変位部材がステープルカートリッジ2518を横断すると、制御回路2510は、位置センサ2534から変位部材の位置を受信し、タイマー/カウンタ2531回路からのタイミング情報を受信し、既定ゾーンZ
nの上の変位部材の位置を監視する(9454)。ゾーンZ
nの端部で、制御回路2510は、ゾーンZ
nの開始からゾーンZ
nの端部へと変位部材が移動するのにかかった実際の時間t
nを測定し(9456)、表2に概して示され、表3に具体例で示されるように特定のゾーンに対する所定の時間と比較する(9458)。所定の変位周期T
nは、現在の設定コマンド速度V
nで移動する変位部材の予想変位周期である。実際の変位周期t
nと所定の変位周期T
nとの間の偏差は、少なくとも部分的に、I型梁2514の切断縁部2509に作用する組織厚さなどの変位部材に作用する外部影響に起因する。
【0137】
例えば、表3を参照すると、特定のコマンド速度でゾーンを通過する時間が、様々な動的発射ゾーンのために提供される。例えば、動的発射ゾーンがゾーンZ1(5mm長)及びtn<0.5秒である場合、次のゾーンZ2に対するコマンド速度は高速に設定され、0.5<tn<0.6秒である場合、次のゾーンZ2のコマンド速度は中速に設定に設定され、tn>0.6秒の場合、次のゾーンZ2のコマンド速度は低速に設定される。
【0138】
しかしながら、動的発射ゾーンが中間ゾーンZ2~Z5(10mm長)である場合、例えば、第1のゾーンZ1と最後のゾーンZ6との間に位置し、tn<0.9秒であれば、次のゾーンZ2に対するコマンド速度が高速に設定され、0.9<tn<1.1秒である場合、次のゾーンZ3~Z5のコマンド速度は中速に設定され、tn>1.1秒である場合、次のゾーンZ3からZ5のコマンド速度は低速に設定される。
【0139】
最後に、動的発射ゾーンが最後に測定されたゾーンZ5(10mm)及びtn<1.0秒である場合、最終ゾーンZ6に対するコマンド速度は高速に設定され、1.0<tn<1.3秒である場合、最終ゾーンZ6のコマンド速度は中速に設定され、tn>1.3秒の場合、最終ゾーンZ6のコマンド速度は低速に設定される。動的発射ゾーンを画定するだけでなく、様々な動的発射ゾーンについて指定されたコマンド速度でゾーンを通って移動する時間を画定するために、他のパラメータを用いてもよい。
【0140】
比較(9458)アルゴリズムの結果に基づいて、制御回路2510はプロセスを継続する(9450)。例えば、比較(9458)の結果が、以前のゾーンZnにおける実際の速度(高速、中速、低速)が以前のコマンド速度V1(高速、中速、低速)と同じであることを示す場合、制御回路2510は、以前のコマンド速V1と同じ次のゾーンZn+1に対するコマンド速度V1を維持する(9460)。プロセス9450は、次の既定ゾーンZn+1の上の変位部材の位置を監視し続ける(9454)。次のゾーンZn+1の端部で、制御回路2510は、次のゾーンZn+1の開始から次のゾーンZn1の端部まで変位部材が移動するのにかかる時間tn+1を測定し(9456)、実際の時間tn+1を、表2に概して示され、表3に具体例で示されるような特定のゾーンに対する所定の時間と比較する(9458)。コマンド速度に必要な変化がない場合、プロセス9450は、変位部材、例えば、I型梁2514がストロークの終わりに到達し9466、変位部材を基準位置9002に戻す(9468)。
【0141】
比較(9458)の結果が、以前のゾーンZn内の実際の速度(高速、中速、低速)が前のコマンド速度V1(高速、中速、低速)と異なることを示す場合、制御回路2510は、表2及び表3に要約されるアルゴリズムに従って次のゾーンZn+1に対するコマンド速度をリセットする(9462)、又はVnewに更新する。コマンド速度がリセットされる(9462)、又は更新される場合、制御回路2510は、追加のゾーンZn+2に対してコマンド速度Vnewを維持する(9464)。換言すれば、次のゾーンZn+1の端部で、制御回路2510は時間を評価又は測定しない。プロセス9450は、変位部材、例えば、I型梁2514がストロークの終わりに到達し(9466)、変位部材を基準位置9002に戻す(9468)まで、次の既定ゾーンZn+1の上の変位部材の位置監視し続ける(9454)。
【0142】
本明細書に記載される機能又はプロセス9400、9450は、
図5~
図6に関連して説明される制御回路700など、本明細書に記載される処理回路のいずれか、
図7~
図9に記載の回路800、810、820、
図10及び
図12に関連して説明されるマイクロコントローラ1104、及び/又は
図14に記載の制御回路2510など、本明細書に記載される処理回路のいずれかによって実行されてもよい。
【0143】
モータ式外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施され得る。一部の態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに記憶されたデータ上で動作する命令に関して提示されてもよい。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称されてもよい。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0144】
一般に、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティング装置(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置を形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様は、アナログ若しくはデジタル形式、又はこれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0145】
前述の説明は、1つ以上の機能及び/又は動作を含み得るブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用を介した装置及び/又はプロセスの態様を記載している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例内の各機能及び/又は動作は、様々なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能論理装置(PLD)、回路、レジスタ、及び/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理、及び/又はハードウェア及びソフトウェア構成要素の論理及び/又は組み合わせ、又は他の統合形式により実装することができる。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台以上のコンピュータ上で稼働する1台以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。
【0146】
開示した主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。信号搬送媒体の例としては、記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理)など)が挙げられる。
【0147】
これらの態様の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これらの態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、態様を修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0148】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0149】
実施例1.外科用器具であって、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、制御回路は、位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、変位間隔の設定位置における時間を測定することであって、測定された時間は、変位部材が変位間隔を横断するのにかかる時間として定義される、測定することと、現在の既定ゾーン内の測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0150】
実施例2.制御回路は、変位部材が位置する設定された変位間隔を判定することであって、設定された変位間隔は、開始位置及び終了位置によって画定される、判定することと、変位部材が変位間隔の終了位置に到達する時間を測定することと、を行うように構成されている、実施例1に記載の外科用器具。
【0151】
実施例3.制御回路は、測定された時間を、制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、比較に基づいてコマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、を行うように構成されている、実施例1~実施例2の外科用器具。
【0152】
実施例4.制御回路は、測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、現在のゾーンのコマンド速度と同じ後続のゾーンのコマンド速度を維持するように構成されている、実施例3に記載の外科用器具。
【0153】
実施例5.制御回路は、測定された時間が所定の時間の範囲外であるときに、現在のゾーンのコマンド速度とは異なる後続のゾーンに対するコマンド速度を設定するように構成されている、実施例3~実施例4に記載の外科用器具。
【0154】
実施例6.制御回路は、コマンド速度が調整されたときに、後続のゾーンの時間測定をスキップするように構成されている、実施例5に記載の外科用器具。
【0155】
実施例7.外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンが画定されている、実施例1~実施例6の外科用器具。
【0156】
実施例8.少なくとも2つのゾーンが異なる長さを有する、実施例7に記載の外科用器具。
【0157】
実施例9.外科用器具であって、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、制御回路は、位置センサから、所定の変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、変位部材がパーク位置から目標位置へと移動する時間を測定することと、測定された時間に基づいて、第1の動的ゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている、外科用器具。
【0158】
実施例10.制御回路は、測定された時間を、制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較するように構成されている、実施例9に記載の外科用器具。
【0159】
実施例11.制御回路は、測定された時間が第1の時間範囲内にあるときに、初期ゾーンに対するコマンド速度を第1の速度に設定し、測定された時間が第2の時間範囲内にあるときに、初期ゾーンに対するコマンド速度を第2の速度に設定するように構成されている、実施例10に記載の外科用器具。
【0160】
実施例12.制御回路は、ロックアウト状態を判定し、モータを停止するように構成されている、実施例9~実施例11に記載の外科用器具。
【0161】
実施例13.外科用器具内のモータ速度を制御する方法であって、外科用器具は、外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、変位部材に連結されて変位部材を並進させるモータと、モータに連結された制御回路と、制御回路に連結された位置センサであって、変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、制御回路に連結されたタイマー回路であって、タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、方法は、位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、タイマー回路によって、変位部材の設定位置における時間を測定することであって、時間は、変位部材が変位間隔を横断するのにかかる時間によって定義される、測定することと、制御回路によって、現在のゾーン内の測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する変位部材のコマンド速度を設定することと、を含む、方法。
【0162】
実施例14.制御回路及びタイマー回路によって、変位部材が位置する設定された変位間隔を判定することであって、設定された変位間隔は開始位置及び終了位置によって定義される、判定することと、制御回路によって、変位部材が変位間隔の終了位置に到達する時間を測定することと、を更に含む、実施例13に記載の方法。
【0163】
実施例15.制御回路によって、測定された時間を、制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、制御回路によって、比較に基づいてコマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、を更に含む、実施例13~実施例14に記載の方法。
【0164】
実施例16.制御回路によって、測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、現在のゾーンのコマンド速度と同じ後続のゾーンのコマンド速度を維持することを更に含む、実施例15に記載の方法。
【0165】
実施例17.制御回路によって、測定された時間が所定の時間の範囲外であるとき、現在のゾーンのコマンド速度とは異なる後続のゾーンのコマンド速度を設定することを更に含む、実施例15~実施例16に記載の方法。
【0166】
実施例18.制御回路によって、コマンド速度が調整されたときに、後続のゾーンの時間測定をスキップすることを更に含む、実施例17に記載の方法。
【0167】
実施例19.制御回路によって、外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンを画定することを更に含む、実施例13~実施例18に記載の方法。
【0168】
実施例20.制御回路によって、異なる長さを有する少なくとも2つのゾーンを画定することを更に含む、実施例19に記載の方法。
【0169】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、
前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の前記変位部材の前記位置を受信することと、
前記変位間隔の設定位置における時間を測定することであって、前記測定された時間は、前記変位部材が前記変位間隔を横断するのにかかる時間として定義される、測定することと、
現在の既定ゾーン内の前記測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する前記変位部材のコマンド速度を設定することと、
を行うように構成されている、外科用器具。
(2) 前記制御回路は、
前記変位部材が位置する前記設定された変位間隔を判定することであって、前記設定された変位間隔は、開始位置及び終了位置によって画定される、判定することと、
前記変位部材が前記変位間隔の前記終了位置に到達する時間を測定することと、
を行うように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) 前記制御回路は、
前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、
前記比較に基づいて前記コマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、
を行うように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(4) 前記制御回路は、前記測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度と同じ前記後続のゾーンの前記コマンド速度を維持するように構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
(5) 前記制御回路は、前記測定された時間が所定の時間の範囲外であるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度とは異なる前記後続のゾーンに対する前記コマンド速度を設定するように構成されている、実施態様3に記載の外科用器具。
【0170】
(6) 前記制御回路は、前記コマンド速度が調整されたときに、前記後続のゾーンの時間測定をスキップするように構成されている、実施態様5に記載の外科用器具。
(7) 前記外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンが画定されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 少なくとも2つのゾーンが異なる長さを有する、実施態様7に記載の外科用器具。
(9) 外科用器具であって、
前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、
前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、
前記モータに連結された制御回路と、
前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、
前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記位置センサから、所定の変位間隔によって画定された現在のゾーン内の前記変位部材の位置を受信することと、
前記変位部材がパーク位置から目標位置へと移動する時間を測定することと、
前記測定された時間に基づいて、第1の動的ゾーンに対する前記変位部材のコマンド速度を設定することと、
を行うように構成されている、外科用器具。
(10) 前記制御回路は、前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較するように構成されている、実施態様9に記載の外科用器具。
【0171】
(11) 前記制御回路は、前記測定された時間が第1の時間範囲内にあるときに、初期ゾーンに対する前記コマンド速度を第1の速度に設定し、前記測定された時間が第2の時間範囲内にあるときに、前記初期ゾーンに対する前記コマンド速度を第2の速度に設定するように構成されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記制御回路は、ロックアウト状態を判定し、前記モータを停止するように構成されている、実施態様9に記載の外科用器具。
(13) 外科用器具内のモータ速度を制御する方法であって、前記外科用器具は、前記外科用器具内で複数の既定ゾーンにわたって並進するように構成された変位部材と、前記変位部材に連結されて前記変位部材を並進させるモータと、前記モータに連結された制御回路と、前記制御回路に連結された位置センサであって、前記変位部材の位置を監視するように構成されている、位置センサと、前記制御回路に連結されたタイマー回路であって、前記タイマー/カウンタ回路は、経過時間を測定するように構成されている、タイマー回路と、を備え、前記方法は、
前記位置センサから、設定された変位間隔によって画定された現在のゾーン内の変位部材の位置を受信することと、
前記タイマー回路によって、前記変位部材の設定位置における時間を測定することであって、前記時間は、前記変位部材が前記変位間隔を横断するのにかかる時間によって定義される、測定することと、
前記制御回路によって、前記現在のゾーン内の前記測定された時間に基づいて、後続のゾーンに対する前記変位部材のコマンド速度を設定することと、を含む、方法。
(14) 前記制御回路及び前記タイマー回路によって、前記変位部材が位置する前記設定された変位間隔を判定することであって、前記設定された変位間隔は開始位置及び終了位置によって定義される、判定することと、
前記制御回路によって、前記変位部材が前記変位間隔の前記終了位置に到達する時間を測定することと、
を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記制御回路によって、前記測定された時間を、前記制御回路に連結されたメモリに記憶された所定の時間と比較することと、
前記制御回路によって、前記比較に基づいて前記コマンド速度を調整するか、又は維持するかを判定することと、
を更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0172】
(16) 前記制御回路によって、前記測定された時間が所定の時間の範囲内にあるときに、前記現在のゾーンの前記コマンド速度と同じ前記後続のゾーンの前記コマンド速度を維持することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記制御回路によって、前記測定された時間が所定の時間の範囲外であるとき、前記現在のゾーンの前記コマンド速度とは異なる前記後続のゾーンの前記コマンド速度を設定することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記制御回路によって、前記コマンド速度が調整されたときに、前記後続のゾーンの時間測定をスキップすることを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記制御回路によって、前記外科用器具と共に動作するように構成されたステープルカートリッジのために複数のゾーンを画定することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記制御回路によって、異なる長さを有する少なくとも2つのゾーンを画定することを更に含む、実施態様19に記載の方法。