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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230619BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230619BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652K
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 658F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020049470
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021052161
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2019168488
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】一関 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】西脇 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎吾
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-059943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118493(US,A1)
【文献】特開2017-163122(JP,A)
【文献】特開2002-083963(JP,A)
【文献】特開2011-258834(JP,A)
【文献】特開2015-133380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり且つ前記第2方向と交差する第3方向と、において複数設けられ、前記第2方向及び前記第3方向において絶縁層を介して前記第1半導体領域の一部と対向する第2電極と、
前記複数の第2電極のそれぞれの周りに設けられたゲート電極と、
前記複数の第2電極と前記ゲート電極との間にそれぞれ設けられ、前記ゲート電極とゲート絶縁層を介して対向する第2導電形の複数の第2半導体領域と、
前記複数の第2半導体領域の上にそれぞれ設けられた第1導電形の複数の第3半導体領域と、
前記複数の第2半導体領域及び前記複数の第3半導体領域の上に設けられ、前記複数の第2半導体領域、前記複数の第3半導体領域、及び前記複数の第2電極と電気的に接続された第3電極と、
を備え、
前記第1半導体領域は、
前記第2方向及び前記第3方向において前記複数の第2電極の周りにそれぞれ設けられた複数の第1領域と、
前記複数の第1領域の周りに設けられた第2領域と、
を有し、
前記複数の第1領域のそれぞれにおける第1導電形の不純物濃度は、前記第2領域における第1導電形の不純物濃度よりも高く、
前記第2方向における前記複数の第1領域のそれぞれの厚さは、前記第1方向に垂直であり前記第2方向及び前記第3方向と交差する第4方向における前記複数の第1領域のそれぞれの厚さよりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記複数の第1領域は、さらに、前記第1方向において前記第1電極と前記複数の第2電極との間にそれぞれ設けられた請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられ、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり且つ前記第2方向と交差する第3方向と、において複数設けられた絶縁部と、
前記第1半導体領域の別の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記複数の絶縁部中にそれぞれ設けられ、前記第1半導体領域と対向する部分を有する複数の第2電極と、
前記複数の絶縁部中にそれぞれ設けられ、前記第2半導体領域とそれぞれ対向する複数のゲート電極と、
前記第2半導体領域の上に選択的に設けられ、前記複数のゲート電極の周りにそれぞれ位置する第1導電形の複数の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域及び前記複数の第3半導体領域の上に設けられ、前記第2半導体領域、前記複数の第3半導体領域、及び前記複数の第2電極と電気的に接続された第3電極と、
を備え、
前記第1半導体領域は、
前記複数の絶縁部の周りにそれぞれ設けられた複数の第1領域と、
前記複数の第1領域の周りに設けられた第2領域と、
を有し、
前記第2方向における前記複数の第1領域のそれぞれの厚さは、前記第1方向に垂直であり前記第2方向及び前記第3方向と交差する第4方向における前記複数の第1領域のそれぞれの厚さよりも大きい半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体領域は、前記第1電極と前記複数の第1領域との間、前記第1電極と前記第2領域との間、及び前記第1電極と前記複数の第2電極との間に設けられた第3領域をさらに有し、
前記第3領域における第1導電形の不純物濃度は、前記第2領域における第1導電形の不純物濃度よりも高い請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耐圧の向上又はオン抵抗の低減を可能とするために、フィールドプレート電極(以下FP電極という)を備えた半導体装置がある。この半導体装置について、さらなる耐圧の向上及びオン抵抗の低減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-133380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、耐圧の向上及びオン抵抗の低減が可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2電極と、ゲート電極と、第2導電形の複数の第2半導体領域と、第1導電形の複数の第3半導体領域と、第3電極と、を有する。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向に垂直であり且つ前記第2方向と交差する第3方向と、において複数設けられている。前記複数の第2電極のそれぞれは、前記第2方向及び前記第3方向において絶縁層を介して前記第1半導体領域の一部と対向する。前記ゲート電極は、前記複数の第2電極のそれぞれの周りに設けられている。前記複数の第2半導体領域は、前記複数の第2電極と前記ゲート電極との間にそれぞれ設けられ、前記ゲート電極とゲート絶縁層を介して対向する。前記複数の第3半導体領域は、前記複数の第2半導体領域の上にそれぞれ設けられている。前記第3電極は、前記複数の第2半導体領域及び前記複数の第3半導体領域の上に設けられ、前記複数の第2半導体領域、前記複数の第3半導体領域、及び前記複数の第2電極と電気的に接続されている。前記第1半導体領域は、前記第2方向及び前記第3方向において前記複数の第2電極の周りにそれぞれ設けられた複数の第1領域と、複数の第1領域の周りに設けられた第2領域と、を有する。前記複数の第1領域のそれぞれにおける第1導電形の不純物濃度は、前記第2領域における第1導電形の不純物濃度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。
図9】半導体装置の特性を例示するグラフである。
図10】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図11図10のA1-A2線及びB1-B2線におけるn形不純物濃度の分布を表すグラフである。
図12】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図13】第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図14】第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図15】第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図16】第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図17】第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図18】第2実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2図5は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図2は、図4及び図5のII-II断面図である。図3は、図4及び図5のIII-III断面図である。図4は、図2及び図3のIV-IV断面図である。図5は、図2及び図3のV-V断面図である。
【0009】
第1実施形態に係る半導体装置は、例えばMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)である。図1図5に表したように、第1実施形態に係る半導体装置100は、n形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2(第2半導体領域)、n形ソース領域3(第3半導体領域)、n形ドレイン領域4、p形コンタクト領域5、ドレイン電極11(第1電極)、FP電極12(第2電極)、ソース電極13(第3電極)、及びゲートパッド14を有する。
【0010】
実施形態の説明では、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3を用いる。ドレイン電極11からn形ドリフト領域1に向かう方向を第1方向D1とする。第1方向D1に垂直な一方向を、第2方向D2とする。第1方向D1に垂直であり、且つ第2方向D2と交差する方向を、第3方向D3とする。また、説明のために、ドレイン電極11からn形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、ドレイン電極11とn形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0011】
図1に表したように、半導体装置100の上面には、ソース電極13及びゲートパッド14が設けられている。ソース電極13とゲートパッド14は、互いに電気的に分離されている。半導体装置100では、ゲートパッド14に、ソース電極13を囲むゲート配線15が接続されている。
【0012】
図2及び図3に表したように、半導体装置100の下面には、ドレイン電極11が設けられている。ドレイン電極11の上には、n形ドレイン領域4を介してn形ドリフト領域1が設けられている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域4を介してドレイン電極11と電気的に接続されている。
【0013】
図2図5に表したように、FP電極12は、第2方向D2及び第3方向D3において複数設けられている。複数のFP電極12は、互いに離れている。各FP電極12の周りには、ゲート電極10が設けられている。ゲート電極10は、第2方向D2において隣り合うFP電極12同士の間を第3方向D3に延びている。また、ゲート電極10は、第3方向D3において隣り合うFP電極12同士の間を第2方向D2に延びている。ゲート電極10は、ゲート配線15と電気的に接続されている。
【0014】
図2図3、及び図5に表したように、FP電極12は、第2方向D2及び第3方向D3において、絶縁層12aを介してn形ドリフト領域1の一部と対向している。図2及び図3に表したように、p形ベース領域2は、n形ドリフト領域1の上に複数設けられている。複数のp形ベース領域2は、ゲート電極10と複数のFP電極12との間にそれぞれ設けられている。複数のn形ソース領域3及び複数のp形コンタクト領域5は、複数のp形ベース領域2の上にそれぞれ選択的に設けられている。
【0015】
各p形ベース領域2は、第2方向D2及び第3方向D3において、ゲート絶縁層10aを介してゲート電極10と対向している。半導体装置100では、ゲート電極10は、第2方向D2及び第3方向D3において、n形ドリフト領域1の一部及び複数のn形ソース領域3とさらに対向している。
【0016】
ソース電極13は、n形ソース領域3、p形コンタクト領域5、ゲート電極10、及びFP電極12の上に設けられている。ソース電極13は、n形ソース領域3、p形コンタクト領域5、及びFP電極12と電気的に接続されている。p形ベース領域2は、p形コンタクト領域5を介して、ソース電極13と電気的に接続されている。ゲート電極10とソース電極13との間には絶縁層が設けられ、これらの電極は電気的に分離されている。
【0017】
半導体装置100の動作について説明する。
ソース電極13に対してドレイン電極11に正電圧が印加された状態で、ゲート電極10に閾値以上の電圧を印加する。これにより、p形ベース領域2にチャネル(反転層)が形成され、半導体装置100がオン状態となる。電子は、チャネルを通ってソース電極13からドレイン電極11へ流れる。その後、ゲート電極10に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2におけるチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0018】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、ソース電極13に対してドレイン電極11に印加される正電圧が増大する。正電圧の増大により、n形ドリフト領域1と絶縁層12aとの界面からn形ドリフト領域1に向けて、空乏層が広がる。この空乏層の広がりにより、半導体装置100の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
また、n形ドリフト領域1に空乏層が広がった際、衝突電離等によって発生したキャリア(電子及び正孔)が空乏層中で加速され、アバランシェ降伏が発生する。アバランシェ降伏が発生したとき、電子は、n形ドレイン領域4を通ってドレイン電極11から排出される。正孔は、p形コンタクト領域5を通ってソース電極13へ排出される。
【0019】
図2図3、及び図5に表したように、n形ドリフト領域1は、複数の第1領域1a及び第2領域1bを有する。複数の第1領域1aは、複数のFP電極12の周りにそれぞれ設けられている。第2領域1bは、複数のFP電極12の周りに設けられている。第2領域1bの少なくとも一部は、ゲート電極10の下に位置している。各第1領域1aにおけるn形不純物濃度は、第2領域1bにおけるn形不純物濃度よりも高く、p形ベース領域2におけるp形不純物濃度よりも低い。図2に表したように、第2領域1bとFP電極12との間の第1領域1aの厚さT1は、FP電極12の周りにおいてほぼ一様である。
【0020】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形ベース領域2、n形ソース領域3、n形ドレイン領域4、及びp形コンタクト領域5は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、またはガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、またはアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。
ゲート電極10及びFP電極12は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。導電材料には、不純物が添加されていても良い。
ゲート絶縁層10a及び絶縁層12aは、酸化シリコンなどの絶縁材料を含む。
ドレイン電極11及びソース電極13は、アルミニウム又は銅などの金属を含む。
【0021】
第1実施形態に係る半導体装置100の製造方法の一例を説明する。
図6図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す工程断面図である。図6図8は、第1方向D1及び第2方向D2に平行な断面における製造工程を表す。
【0022】
形半導体層4sと、その上に設けられたn形半導体層1sと、を有する半導体基板Sを用意する。n形半導体層1sの一部を除去し、開口OPを形成する。開口OPは、第2方向D2及び第3方向D3において複数形成される。各開口OPの内面に沿って、図6(a)に表したように、領域1rを形成する。領域1rにおけるn形不純物濃度は、n形半導体層1sにおけるn形不純物濃度よりも高く、n形半導体層4sにおけるn形不純物濃度よりも低い。
【0023】
例えば、各開口OPの内面にn形不純物をイオン注入することで、領域1rを形成する。又は、n形不純物を含む不純物層を各開口OPの内側に形成しても良い。不純物層からn形半導体層1sへn形不純物を拡散させることで、領域1rを形成する。n形半導体層1sをn形不純物のプラズマ雰囲気中に暴露することで、領域1rを形成しても良い。各開口OPの内面に沿って、n形不純物を含む半導体層をエピタキシャル成長させ、領域1rを形成しても良い。又は、これらの方法を適宜組み合わせて領域1rを形成しても良い。
【0024】
上述したいずれかの方法により領域1rを形成した後は、熱酸化により、複数の開口OPの内面及びn形半導体層1sの上面に沿って、絶縁層IL1を形成する。絶縁層IL1の上に、複数の開口OPを埋め込む導電層を形成する。例えば、導電層は、不純物が添加されたポリシリコンを含む。導電層の上面を後退させ、図6(b)に表したように、それぞれの開口OPの内側にFP電極12を形成する。
【0025】
形半導体層1sの上面が露出するように、絶縁層IL1の一部を除去する。開口OP同士の間を第2方向D2又は第3方向D3に延びるトレンチTRを形成する。トレンチTRは、開口OPよりも浅く形成される。熱酸化により、図7(a)に表したように、トレンチTRの内面、p形ベース領域2の上面、及びFP電極12の上面に沿って、絶縁層IL2を形成する。絶縁層IL2は、絶縁層IL1よりも薄く形成される。
【0026】
ポリシリコンを含む導電層を絶縁層IL2の上に形成し、導電層の上面を後退させる。これにより、各FP電極12の上部の周りにゲート電極10が形成される。n形半導体層1sの上面にp形不純物をイオン注入する。これにより、複数のFP電極12の上部とゲート電極10との間に、複数のp形ベース領域2がそれぞれ形成される。各p形ベース領域2の一部にn形不純物をイオン注入し、図7(b)に表したように、n形ソース領域3を形成する。
【0027】
絶縁層IL2及びゲート電極10の上に絶縁層IL3を形成する。複数のp形ベース領域2の上面及び複数のFP電極12の上面が露出するように、絶縁層IL2の一部及び絶縁層IL3の一部を除去する。それぞれのp形ベース領域2の一部にp形不純物をイオン注入し、図8(a)に表したように、p形コンタクト領域5を形成する。
【0028】
複数のFP電極12及び絶縁層IL3の上に、金属層を形成する。この金属層をパターニングすることで、ソース電極13が形成される。n形半導体層4sが所定の厚みになるまで、n形半導体層4sの裏面を研削する。その後、図8(b)に表したように、n形半導体層4sの裏面にドレイン電極11を形成することで、図1図5に表した半導体装置100が製造される。
【0029】
上述した製造工程において、各構成要素の形成には、化学気相堆積(CVD)又はスパッタリングを用いることができる。各構成要素の一部の除去には、ウェットエッチング、ケミカルドライエッチング(CDE)、又は反応性イオンエッチング(RIE)を用いることができる。各構成要素の上面の後退又は平坦化には、ウェットエッチング、CDE、又は化学機械研磨(CMP)を用いることができる。
【0030】
第1実施形態の効果を説明する。
上述したように、半導体装置100がオン状態からオフ状態に切り替わったとき、各FP電極12の周りに空乏層が広がる。このとき、図5に表したように、幅Waの空乏層DLが広がると、第2方向D2及び第3方向D3のそれぞれにおいて、FP電極12同士の間のn形ドリフト領域1が、完全に空乏化される。
【0031】
ここで、第1方向D1に垂直であり、第2方向D2及び第3方向D3と交差する方向を第4方向D4とする。第2方向D2と第4方向D4との間の角度は、第3方向D3と第4方向D4との間の角度と等しい。第4方向D4において隣り合う絶縁層12a同士の間の距離Di1は、第2方向D2又は第3方向D3において隣り合う絶縁層12a同士の間の距離Di2よりも長い。従って、第4方向D4に幅Waの空乏層が広がったとしても、第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1は、完全には空乏化されない。FP電極12同士の間のn形ドリフト領域1が完全には空乏化されない場合、半導体装置100の耐圧が低下する。
【0032】
第4方向D4でのFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1を完全に空乏化するために、n形ドリフト領域1におけるn形不純物を低下させる方法がある。しかし、この方法によれば、n形ドリフト領域1の電気抵抗が上昇する。このため、半導体装置100のオン抵抗が上昇する。
【0033】
上述した課題について、第1実施形態に係る半導体装置100では、n形ドリフト領域1が、複数の第1領域1a及び第2領域1bを有する。複数の第1領域1aは、複数のFP電極12の周りにそれぞれ設けられている。第2領域1bは、複数の第1領域1aの周りに設けられている。このため、第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間における第2領域1bの長さL3は、第2方向D2で隣り合うFP電極12同士の間における第2領域1bの長さL1よりも長い。長さL3は、第3方向D3で隣り合うFP電極12同士の間における第2領域1bの長さL2よりも長い。
また、第1領域1aにおけるn形不純物濃度は、第2領域1bにおけるn形不純物濃度よりも高い。従って、第2領域1bでは、第1領域1aに比べて、空乏層が広がり易い。このため、第1実施形態によれば、長さL3が長さL1及びL2のそれぞれよりも長くても、n形ドリフト領域1のn形不純物濃度が一様であるときに比べて、第4方向D4でのFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1が空乏化され易くなる。
【0034】
図9を参照しながら、第1実施形態の効果をより具体的に説明する。
図9(a)~図9(h)は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図9(a)~図9(d)は、第1実施形態に係る半導体装置の特性を表す。図9(e)~図9(h)は、参考例に係る2つの半導体装置の特性を表す。
【0035】
参考例に係る半導体装置ref1及びref2では、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度が一様である。例えば、半導体装置ref1では、n形ドリフト領域1の全体に第1領域1aが設けられている。半導体装置ref2では、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度が、第1領域1aにおけるn形不純物濃度と、第2領域1bにおけるn形不純物濃度と、の中間値よりも低い。
【0036】
図9(a)及び図9(e)は、第2方向D2で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度Nを表す。図9(b)及び図9(f)は、第2方向D2で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1における電界強度Eを表す。図9(c)及び図9(g)は、第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度Nを表す。図9(d)及び図9(h)は、第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1における電界強度Eを表す。各半導体装置の耐圧は、電界強度の積分値で表される。
【0037】
半導体装置ref1については、図9(e)及び図9(g)に表したように、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度が一様に高い。このため、半導体装置ref1のオン抵抗は、半導体装置100よりも低い。
一方で、図9(f)に表したように、n形ドリフト領域1における電界強度は、一様に減少する。第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間のn形ドリフト領域1では、図9(h)に表したように、電界強度が減少して0となる。このため、半導体装置ref1の耐圧は、半導体装置100に比べて大きく低下する。
【0038】
半導体装置ref2については、図9(f)及び図9(h)に表したように、いずれの方向においても、FP電極12同士の間のn形ドリフト領域1が完全に空乏化する。このため、半導体装置ref2の耐圧は、半導体装置ref1の耐圧よりも高い。しかし、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度が一様に低いため、半導体装置ref2のオン抵抗は、半導体装置100のオン抵抗及び半導体装置ref2のオン抵抗に比べて大きく上昇する。
【0039】
第1実施形態に係る半導体装置100については、図9(a)に表したように、第1領域1aにおけるn形不純物濃度が、第2領域1bにおけるn形不純物濃度よりも高い。このため、オン状態における第1領域1aの電気抵抗率を、半導体装置ref1におけるn形ドリフト領域1の電気抵抗率と同程度に低減できる。これにより、半導体装置100のオン抵抗を、半導体装置ref2のオン抵抗よりも低減できる。
また、第2領域1bは、第1領域1aに比べて空乏化し易い。このため、図9(b)に表したように、第2領域1bにおける電界強度の減少を、半導体装置ref1のn形ドリフト領域1における電界強度の減少よりも緩やかにできる。これにより、半導体装置100の耐圧を、半導体装置ref1の耐圧よりも大きくできる。
すなわち、第1実施形態によれば、参考例に比べて、オン抵抗の大きな上昇及び耐圧の大きな低下を回避しつつ、耐圧の向上及びオン抵抗の低減が可能となる。
【0040】
第1領域1aは、第2方向D2及び第3方向D3においてのみ、FP電極12の周りに設けられていても良い。すなわち、第1方向D1においてドレイン電極11とFP電極12との間には第1領域1aが設けられておらず、絶縁層12aの底部近傍には第2領域1bが設けられていても良い。この場合も、第4方向D4に向けて空乏層が広がり易いため、耐圧の向上及びオン抵抗の低減が可能となる。
【0041】
ただし、半導体装置100がオン状態のとき、絶縁層12aの底部近傍にも電子は流れる。絶縁層12aの底部近傍に第1領域1aが設けられることで、電子の流れに対する電気抵抗を低減できる。すなわち、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0042】
(第1変形例)
図10は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図11(a)及び図11(b)は、それぞれ、図10のA1-A2線及びB1-B2線におけるn形不純物濃度Nの分布を表すグラフである。
【0043】
第1変形例に係る半導体装置110では、n形ドリフト領域1が、第3領域1cをさらに有する。第3領域1cは、n形ドレイン領域4と第1領域1aとの間、n形ドレイン領域4と第2領域1bとの間、及びn形ドレイン領域4とFP電極12との間に設けられている。
【0044】
図11(b)に表したように、第3領域1cにおけるn形不純物濃度は、第2領域1bにおけるn形不純物濃度よりも高い。例えば図11(a)に表したように、第3領域1cにおけるn形不純物濃度は、第1領域1aにおけるn形不純物濃度と同じである。又は、第3領域1cにおけるn形不純物濃度は、第1領域1aにおけるn形不純物濃度よりも低くても良い。
【0045】
第1領域1a、第2領域1b、及びFP電極12の下に、より高いn形不純物濃度を有する第3領域1cを設けることで、半導体装置100に比べて、半導体装置110のオン抵抗を低減できる。
【0046】
なお、第3領域1cを設けると、半導体装置100に比べて、半導体装置110の耐圧が低下する。オン抵抗及び耐圧の低下量を調整するために、n形ドレイン領域4と第1領域1aとの間、n形ドレイン領域4と第2領域1bとの間、及びn形ドレイン領域4とFP電極12との間に選択的に第3領域1cが設けられても良い。
【0047】
(第2変形例)
図12(a)~図12(c)は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図12(a)~図12(c)は、n形ドリフト領域1及びFP電極12を通る、第2方向D2及び第3方向D3に平行な断面における構造を表している。
【0048】
半導体装置100及び110では、FP電極12の形状が、第1方向D1から見たときに円状である。これに対して、図12(a)に表した半導体装置121では、FP電極12の形状が、第1方向D1から見たときに四角状である。図12(b)に表した半導体装置122では、FP電極12の形状が、第1方向D1から見たときに六角状である。図12(c)に表した半導体装置123では、FP電極12の形状が、第1方向D1から見たときに八角状である。
【0049】
いずれの構造においても、複数のFP電極12の周りには、複数の第1領域1aがそれぞれ設けられている。複数の第1領域1aの周りには、第2領域1bが設けられている。これにより、オン抵抗の低減及び耐圧の向上が可能となる。換言すれば、第1領域1a及び第2領域1bが設けられていれば、FP電極12の具体的構造は、適宜変更可能である。
【0050】
(第3変形例)
図13は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図13は、n形ドリフト領域1及びFP電極12を通る、第2方向D2及び第3方向D3に沿う断面における半導体装置の構造を表している。
【0051】
図13に表した半導体装置130では、FP電極12の配列方向である第2方向D2及び第3方向D3は、互いに直交していない。図13の例では、第2方向D2と第3方向D3との間の角度が60度であり、FP電極12が千鳥状に並べられている。
【0052】
半導体装置130において、幅Waの空乏層DLが広がると、第2方向D2又は第3方向D3では、FP電極12同士の間のn形ドリフト領域1が空乏化される。一方で、第2方向D2と第3方向D3と交差する第4方向D4では、幅Waの空乏層が広がったとしても、n形ドリフト領域1が完全には空乏化されない。このため、半導体装置130に対しても、n形ドリフト領域1に第1領域1a及び第2領域1bを設けることが有効である。第1領域1a及び第2領域1bを設けることで、オン抵抗の上昇を抑制しつつ、第4方向D4に空乏層が広がり易くなる。オン抵抗の大きな上昇及び耐圧の大きな低下を回避しつつ、耐圧の向上及びオン抵抗の低減が可能となる。
【0053】
(第4変形例)
図14は、第1実施形態の第4変形例に係る半導体装置の一部を表す平面図である。
図14は、n形ドリフト領域1及びFP電極12を通る、第2方向D2及び第3方向D3に沿う断面における半導体装置の構造を表している。
【0054】
図14に表した半導体装置140では、第2領域1bとFP電極12との間において、第1領域1aの第2方向D2における厚さT1は、第1領域1aの第4方向D4における厚さT3よりも大きい。また、第1領域1aの第3方向D3における厚さT2は、厚さT3よりも大きい。
【0055】
半導体装置140では、第4方向D4で隣り合うFP電極12同士の間の距離Di1に対する第1領域1aの厚さの割合が、半導体装置100に比べて小さい。このため、半導体装置140では、半導体装置100に比べて、空乏層が第4方向D4へ広がり易い。
【0056】
半導体装置100では、第1領域1aの厚さが、FP電極12の周りにおいて略一様である。このため、第1領域1aにおけるn形不純物濃度を高めると、第4方向D4における空乏層の広がりが抑制される。これに対して、半導体装置140では、第4方向D4における第1領域1aの厚さが小さい。このため、第1領域1aにおけるn形不純物濃度を高めたとしても、第4方向D4における空乏層の広がりが抑制され難い。このため、第4変形例によれば、耐圧を維持したまま、半導体装置140のオン抵抗をさらに低減できる。
【0057】
(第2実施形態)
図15図17は、第2実施形態に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図15は、図16及び図17のXV-XV断面図である。図16は、図15のXVI-XVI断面図である。図17は、図15のXVII-XVII断面図である。
【0058】
第2実施形態に係る半導体装置200は、図15図17に表したように、n形ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形ベース領域2(第2半導体領域)、n形ソース領域3(第3半導体領域)、n形ドレイン領域4、p形コンタクト領域5、ドレイン電極11(第1電極)、FP電極12(第2電極)、ソース電極13(第3電極)、絶縁部20、絶縁層21及び22、及び接続部31~33を有する。
【0059】
半導体装置200の上面の構造は、例えば図1に表した半導体装置100と同様である。図15に表したように、半導体装置200の下面には、ドレイン電極11が設けられている。n形ドレイン領域4及びn形ドリフト領域1は、ドレイン電極11の上に設けられている。
【0060】
絶縁部20は、n形ドリフト領域1の一部の上に設けられている。p形ベース領域2は、n形ドリフト領域1の別の一部の上に設けられている。n形ソース領域3及びp形コンタクト領域5は、p形ベース領域2の上に選択的に設けられている。n形ソース領域3は、第2方向D2及び第3方向D3において絶縁部20の周りに位置している。
【0061】
ゲート電極10及びFP電極12は、絶縁部20中に設けられている。ゲート電極10は、第2方向D2及び第3方向D3において、絶縁部20の一部であるゲート絶縁層10aを介して、p形ベース領域2と対向している。
【0062】
FP電極12の一部は、第2方向D2及び第3方向D3において、n形ドリフト領域1と対向している。また、FP電極12の別の一部は、第2方向D2及び第3方向D3において、ゲート電極10と対向している。ゲート電極10とFP電極12との間には、絶縁部20の一部が設けられている。これにより、ゲート電極10とFP電極12は、互いに電気的に分離されている。
【0063】
配線層16は、ゲート電極10の上に絶縁層21を介して設けられている。接続部31は、ゲート電極10と配線層16との間に設けられ、ゲート電極10と配線層16を電気的に接続している。
【0064】
ソース電極13は、配線層16の上に、絶縁層22を介して設けられている。接続部32は、FP電極12とソース電極13との間に設けられ、FP電極12とソース電極13とを電気的に接続している。接続部33は、n形ソース領域3とソース電極13との間及びp形コンタクト領域5とソース電極13との間に設けられ、n形ソース領域3及びp形コンタクト領域5をソース電極13と電気的に接続している。換言すると、接続部33は、配線層16が設けられていない位置において、n形ソース領域3及びp形コンタクト領域5をソース電極13と電気的に接続している。
【0065】
図16及び図17に表したように、半導体装置200では、ゲート電極10、FP電極12、及び絶縁部20が、第2方向D2及び第3方向D3において複数設けられている。第1方向D1から見たときに、ゲート電極10の形状は、環状である。FP電極12は、ゲート電極10の内側に位置する。p形ベース領域2及びn形ソース領域3は、第2方向D2及び第3方向D3において各絶縁部20の周りに設けられている。
【0066】
図15に表したように、配線層16は、第3方向D3において複数設けられている。例えば、各配線層16は第2方向D2に延び、第2方向D2に並んだゲート電極10の上に設けられている。ソース電極13は、複数の配線層16の上に絶縁層22を介して設けられている。
【0067】
図17に表したように、半導体装置200において、n形ドリフト領域1は、半導体装置100と同様に、複数の第1領域1a及び第2領域1bを有する。このため、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、オン抵抗の大きな上昇及び耐圧の大きな低下を回避しつつ、耐圧の向上及びオン抵抗の低減が可能となる。
また、各第1領域1aの一部は、第1方向D1においてドレイン電極11と複数のFP電極12との間に設けられている。すなわち、各絶縁部20の底部近傍にも第1領域1aが設けられている。このため、オン状態でのn形ドリフト領域1における電気抵抗が低減し、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0068】
(変形例)
図18は、第2実施形態の変形例に係る半導体装置の一部を表す断面図である。
図18は、n形ドリフト領域1及びFP電極12を通る、第2方向D2及び第3方向D3に平行な断面における構造を表している。
【0069】
図18に表した半導体装置210では、第2領域1bと絶縁部20との間において、第1領域1aの第2方向D2における厚さT1は、第1領域1aの第4方向D4における厚さT3よりも大きい。また、第1領域1aの第3方向D3における厚さT2は、厚さT3よりも大きい。
【0070】
半導体装置210では、第4方向D4で隣り合う絶縁部20同士の間の距離Di1に対する第1領域1aの厚さの割合が、半導体装置200に比べて小さい。このため、半導体装置210では、半導体装置200に比べて、空乏層が第4方向D4へ広がり易い。従って、本変形例によれば、第1実施形態の第4変形例と同様に、耐圧を維持したまま、半導体装置210のオン抵抗をさらに低減できる。
【0071】
また、第2実施形態に係る半導体装置200又は210において、第1実施形態の第3変形例と同様に、FP電極12の形状が、第1方向D1から見たときに、角状であっても良い。この場合、ゲート電極10の形状は、例えば、FP電極12の外縁に沿うように、角筒状となる。
又は、第2実施形態に係る半導体装置200又は210において、第1実施形態の第4変形例と同様に、複数のFP電極12が千鳥状に設けられていても良い。この場合、複数のゲート電極10も同様に千鳥状に配置される。
第2実施形態に係る半導体装置200又は210において、第1領域1a及び第2領域1bが設けられていれば、ゲート電極10及びFP電極12の具体的構造は、適宜変更可能である。
【0072】
以上で説明した各実施形態における、各半導体領域の間の不純物濃度の相対的な高低については、例えば、SCM(走査型静電容量顕微鏡)を用いて確認することが可能である。なお、各半導体領域におけるキャリア濃度は、各半導体領域において活性化している不純物濃度と等しいものとみなすことができる。従って、各半導体領域の間のキャリア濃度の相対的な高低についても、SCMを用いて確認することができる。また、各半導体領域における不純物濃度については、例えば、SIMS(二次イオン質量分析法)により測定することが可能である。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 n形ドリフト領域、 1a 第1領域、 1b 第2領域、 1c 第3領域、 1r 領域、 1s n形半導体層、 2 p形ベース領域、 3 n形ソース領域、 4 n形ドレイン領域、 4s n形半導体層、 5 p形コンタクト領域、 10 ゲート電極、 10a ゲート絶縁層、 11 ドレイン電極、 12 フィールドプレート電極、 12a 絶縁層、 13 ソース電極、 14 ゲートパッド、 15 ゲート配線、 16 配線層、 20 絶縁部、 21,22 絶縁層、 31~33 接続部、 100~140,200,210 半導体装置、 D1 第1方向、 D2 第2方向、 D3 第3方向、 D4 第4方向、 DL 空乏層、 Di1,Di2 距離、 IL1~IL3 絶縁層、 L1~L3 長さ、 OP 開口、 S 半導体基板、 T1~T3 厚さ、 TR トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18