(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20230619BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230619BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2020057652
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】牛 コウ
(72)【発明者】
【氏名】米川 慧
(72)【発明者】
【氏名】黒川 茂莉
(72)【発明者】
【氏名】和田 真弥
(72)【発明者】
【氏名】吉原 貴仁
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024823(JP,A)
【文献】特開2010-122751(JP,A)
【文献】特開2012-248017(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147970(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/021369(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/107237(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部と、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部と、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性を学習して複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサーのうち他の第1センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成し、複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成した後に、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性を学習し、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第2センサーのうち他の第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部と、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部と、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性と、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性とを同時に学習して、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのうち他の第1センサー及び第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項3】
前記第1属性情報及び前記第2属性情報は、複数の属性を示しており、
前記特徴ベクトル生成部が前記特徴ベクトルを生成した後に、前記組合せ特定部が特定した前記第1センサーと前記第2センサーとの前記特徴ベクトルの類似度に基づいて、前記組合せ特定部が特定した前記第1センサーと前記第2センサーとの属性情報に対応する複数の属性の中から有意な一以上の属性を抽出する属性抽出部をさらに備える、
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特徴ベクトル生成部は、前記属性抽出部が前記属性を抽出した後に、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記属性抽出部が抽出した属性に基づく類似性が反映された前記特徴ベクトルを再生成する、
請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記データ取得部は、第1の施設において、前記第1センサーを作動させる第1ユーザが行っていた行動を示す行動種別と、当該行動を行っていた時刻とを関連付けた第1ラベル情報を取得し、
前記第2センサーに対応するラベルを、当該第2センサーと特徴ベクトルが類似する前記第1センサーに対応する前記行動種別を示すラベルに特定するラベル特定部をさらに備える、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するステップと、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得するステップと、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定するステップと、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性を学習して複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサーのうち他の第1センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成し、複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成した後に、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性を学習し、前記組合せを特定するステップにおいて特定された前記組合せに対応する前記第1センサーと前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第2センサーのうち他の第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記
組合せを特定するステップにおいて特定
された前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するステップと、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得するステップと、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定するステップと、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性と、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性とを同時に学習して、前記組合せを特定するステップにおいて特定された前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのうち他の第1センサー及び第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記
組合せを特定するステップにおいて特定
された前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部、及び、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性を学習して複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサーのうち他の第1センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成し、複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成した後に、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性を学習し、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第2センサーのうち他の第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部、
として機能させるプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部、
複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部、
前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部、及び、
前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性と、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性とを同時に学習して、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルであって、複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのうち他の第1センサー及び第2センサーとの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成することにより、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、
当該センサーと異なる前記第1センサー及び前記第2センサーである他のセンサーの作動状況との関係性を示す
特徴ベクトルであって、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特徴ベクトルを生成する情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)機器の普及に伴い、IoT機器を用いた各種分析が行われている。例えば、非特許文献1では、IoT機器である宅内センサーのセンサーIDを、宅内センサーが作動した時間順に並べた時系列データを生成し、時系列データを文章、時系列データに含まれるセンサーIDを単語とし、Word2Vecを利用して、各センサーに、センサー同士の共起関係を示す特徴ベクトルを割り当てる技術が開示されている。
【0003】
宅内のユーザが所定の行動又は所定の行動と連動した行動を行うことにより作動する複数のセンサーは、特徴空間上で相対的に近い位置に配置される。したがって、ユーザの行動と、センサーの作動状況との対応付けを行うことにより、センサーの作動状況に基づいて、宅内のユーザの行動認識、及び行動予測を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Kushal Singla, and Joy Bose." IoT2Vec: Identification of Similar IoT Devices via Activity Footprints." 2018 International Conference on Advances in Computing, Communications and Informatics (ICACCI). IEEE, 2018年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の技術は、1つの施設(宅内)のセンサーに対して特徴ベクトルを割り当てるものであり、複数の施設におけるセンサーの関連性について考慮していない。複数の施設はそれぞれ独立していることから、複数の施設のそれぞれに設置されているセンサーの作動状況に基づいてセンサーの特徴ベクトルを生成した場合、複数の施設のそれぞれの基準で特徴ベクトルが生成される。このため、複数の施設のそれぞれにおいて同一の用途でセンサーが使用されていても、センサーが設置されている施設によってセンサーの特徴ベクトルが異なることがある。このため、複数の施設において、ユーザの行動認識、及び行動予測を共有することができないという問題がある。このことから、複数の施設のそれぞれのセンサーの特徴ベクトルを同一の基準で生成し、複数の施設において、ユーザの行動認識、及び行動予測を共有できるようにすることが求められている。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の施設のそれぞれのセンサーの特徴ベクトルを同一の基準で生成することができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部と、複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部と、前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部と、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、他のセンサーの作動状況との関係性を示すとともに、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部と、を備える。
【0008】
前記特徴ベクトル生成部は、前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性を学習して複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成し、複数の前記第1センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成した後に、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性を学習し、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成することにより、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された、複数の前記第2センサーそれぞれの特徴ベクトルを生成してもよい。
【0009】
前記特徴ベクトル生成部は、前記第1時系列データが示す複数の前記第1センサーの作動状況の関係性と、前記第2時系列データが示す複数の前記第2センサーの作動状況の関係性とを同時に学習し、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の前記第1センサー及び前記第2センサーのそれぞれの特徴ベクトルを生成することにより、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーそれぞれの特徴ベクトルを生成してもよい。
【0010】
前記第1属性情報及び前記第2属性情報は、複数の属性を示しており、前記情報処理装置は、前記特徴ベクトル生成部が前記特徴ベクトルを生成した後に、前記組合せ特定部が特定した前記第1センサーと前記第2センサーとの前記特徴ベクトルの類似度に基づいて、前記組合せ特定部が特定した前記第1センサーと前記第2センサーとの属性情報に対応する複数の属性の中から有意な一以上の属性を抽出する属性抽出部をさらに備えてもよい。
【0011】
前記特徴ベクトル生成部は、前記属性抽出部が前記属性を抽出した後に、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記属性抽出部が抽出した属性に基づく類似性が反映された前記特徴ベクトルを再生成してもよい。
【0012】
前記データ取得部は、第1の施設において、前記第1センサーを作動させる第1ユーザが行っていた行動を示す行動種別と、当該行動を行っていた時刻とを関連付けた第1ラベル情報を取得し、前記情報処理装置は、前記第2センサーに対応するラベルを、当該第2センサーと特徴ベクトルが類似する前記第1センサーに対応する前記行動種別を示すラベルに特定するラベル特定部をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するステップと、複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得するステップと、前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定するステップと、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、他のセンサーの作動状況との関係性を示すとともに、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成するステップと、を有する。
【0014】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、センサーを識別するセンサー識別情報と、前記センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データであって、第1の施設に設けられている複数の第1センサーに対応する前記時系列データである第1時系列データと、第2の施設に設けられている複数の第2センサーに対応する前記時系列データである第2時系列データとを取得するデータ取得部、複数の前記第1センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第1センサーの属性を示す第1属性情報を取得するとともに、複数の前記第2センサーのそれぞれの前記センサー識別情報に関連付けられた前記第2センサーの属性を示す第2属性情報を取得する属性情報取得部、前記第1属性情報及び前記第2属性情報に基づいて、前記属性が類似する前記第1センサーと前記第2センサーとの組合せを特定する組合せ特定部、及び、複数の前記第1センサー及び複数の前記第2センサーのそれぞれについて、前記第1時系列データ及び前記第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、他のセンサーの作動状況との関係性を示すとともに、前記組合せ特定部が特定した前記組合せに対応する前記第1センサーと、前記第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成部、として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の施設のそれぞれのセンサーについて同一の基準で特徴ベクトルを生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置の概要を説明する図である。
【
図2】第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置の構成を示す図である。
【
図3】特徴ベクトル生成部が生成した特徴ベクトルに基づいてセンサーを特徴空間に配置した例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る特徴ベクトル生成装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
[特徴ベクトル生成装置の概要]
図1は、第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置の概要を説明する図である。特徴ベクトル生成装置は、施設に設けられているIoT機器の一種である複数のセンサーの共起関係を示す特徴ベクトルを生成するコンピュータである。
【0018】
図1に示すように、第1の施設としての第1住宅Aには、第1センサーia
1~ia
5が少なくとも設けられており、第2の施設としての第2住宅Bには、第2センサーib
1~ib
5が少なくとも設けられている。第1センサーia
1~ia
5、第2センサーib
1~ib
5は、作動したことに応じて、作動したことを示す作動信号を出力する。第1センサーia
1~ia
5、第2センサーib
1~ib
5は、それぞれ、種類、設置場所、作動回数を示す属性情報が付されているものとする。
【0019】
例えば、第1センサーia
1は、
図1に示すように、圧力センサーであり、ベッドルームに設置され、1時間当たり5回作動することを示す属性情報が付されている。また、第1センサーia
2には、照度センサーであり、ベッドルームに設置され、1時間あたり0.2回作動することを示す属性情報が付されているものとする。
【0020】
また、ここでは、常時計測を行うセンサー(例えば、温湿度センサーや照度センサー)については、計測値が当該センサーに定められている閾値を超える変動をしたら、作動したと見なされるものとする。第1住宅Aに設けられている第1端末(不図示)は、第1センサーia1~ia5のそれぞれから出力された作動信号を受信し、第1センサーia1~ia5が作動した時刻と、当該第1センサーia1~ia5を識別するセンサーIDとを関連付けた第1時系列データを生成する。
【0021】
同様に、第2センサーib1~ib5は、作動したことに応じて、作動信号を出力する。第2住宅Bに設けられている第2端末(不図示)は、第2センサーib1~ib5のそれぞれから出力された作動信号を受信し、第2センサーib1~ib5が作動した時刻と、当該第2センサーib1~ib5のセンサーIDとを関連付けた第2時系列データを生成する。
【0022】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、各センサーに設けられている符号(ia1~ia5、ib1~ib5)をセンサーIDとする。また、第1センサーia1~ia5を区別して扱わない場合、これらの第1センサーia1~ia5を第1センサーiaという。同様に、第2センサーib1~ib5を区別して扱わない場合、これらの第2センサーib1~ib5を第2センサーibという。
【0023】
特徴ベクトル生成装置は、住宅Aに設けられている第1端末から第1時系列データを取得するとともに、住宅Bに設けられている第2端末から第2時系列データを取得する。また、特徴ベクトル生成装置は、第1センサーiaの属性情報と、第2センサーibの属性情報を取得する。特徴ベクトル生成装置は、取得した属性情報に基づいて、複数の第1センサーiaのそれぞれに対する複数の第2センサーibのそれぞれの類似度を特定し、類似するセンサーの組合せを特定する。
図1に示す例では、特徴ベクトル生成装置は、第1センサーia
3と第2センサーib
3とが類似するセンサーの組合せであると特定するとともに、第1センサーia
4と第2センサーib
5とが類似するセンサーの組合せであると特定する。
【0024】
特徴ベクトル生成装置は、第1時系列データ及び第2時系列データが示すセンサーの作動順に基づいて、センサーの作動状況の関係性を示す特徴ベクトルを生成する。特徴ベクトル生成装置は、特定した組合せに対応する第1センサーia及び第2センサーibの特徴ベクトルが略同一となるように特徴ベクトルを生成する。これにより、特徴ベクトル生成装置は、特定した組合せに対応する第1センサーiaと第2センサーibとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成することができる。
【0025】
図1の下部には、特徴空間に第1センサーia及び第2センサーibを配置した例を示している。
図1の特徴空間に示されるように、第1センサーia
1(ベッドルームに設置されている圧力センサー)、ia
2(ベッドルームに設置されている照度センサー)、及び第2センサーib
1(ベッドルームに設置されている加速度センサー)が、互いに近い位置に配置されていることが確認できる。
【0026】
また、
図1の特徴空間に示されるように、特定した組合せに対応する第1センサーia
3と第2センサーib
3が互いに近い位置に配置されているとともに、特定した組合せに対応する第1センサーia
4と第2センサーib
5が互いに近い位置に配置されていることが確認できる。このように、特徴ベクトル生成装置は、住宅A、Bのそれぞれに設けられている各センサーの特徴ベクトルを同一の基準により生成し、同様の性質を示すセンサーを互いに近い位置に配置することができる。
【0027】
[特徴ベクトル生成装置1の構成例]
続いて、特徴ベクトル生成装置の構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1の構成を示す図である。特徴ベクトル生成装置1は、記憶部11と、制御部12とを備える。
【0028】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等である。記憶部11は、特徴ベクトル生成装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部11は、特徴ベクトル生成装置1の制御部12を、データ取得部121、属性情報取得部122、組合せ特定部123、特徴ベクトル生成部124及びラベル特定部125として機能させる特徴ベクトル生成プログラムを記憶する。
【0029】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されている各種プログラムを実行することにより、特徴ベクトル生成装置1に係る機能を制御する。制御部12は、記憶部11に記憶されているプログラムを実行することにより、データ取得部121、属性情報取得部122、組合せ特定部123、特徴ベクトル生成部124及びラベル特定部125として機能する。
【0030】
[センサーの特徴ベクトルの生成]
第1の実施形態において、データ取得部121、属性情報取得部122、組合せ特定部123、特徴ベクトル生成部124は、協働することにより、施設に設けられている複数のセンサーのそれぞれに対応する特徴ベクトルを生成する。以下、特徴ベクトルの生成に係るデータ取得部121、属性情報取得部122、組合せ特定部123、特徴ベクトル生成部124の機能について説明する。
【0031】
データ取得部121は、複数の施設のそれぞれに対応するセンサーを識別するセンサーIDと、当該センサーが作動した時刻とを関連付けた時系列データを所定時間(例えば1日)おきに取得する。
【0032】
具体的には、データ取得部121は、第1の施設に設けられている第1端末から、第1の施設に設けられている複数の第1センサーiaに対応する時系列データである第1時系列データを取得する。データ取得部121は、第1端末から、所定期間(例えば1日間)において作動した第1センサーiaのセンサーIDと、当該第1センサーiaの作動時刻とを関連付けた第1時系列データを取得する。なお、同一の第1センサーiaが複数回作動した場合、当該作動に対応して、第1時系列データに、当該第1センサーiaのセンサーIDが複数含まれていてもよい。
【0033】
また、データ取得部121は、第1端末から、第1の施設において第1センサーiaを作動させる第1ユーザが行っていた行動を示す行動種別と、当該行動を行っていた時刻とを関連付けた第1ラベル情報を取得する。第1ユーザが行う行動としては、「起きる」、「洗顔」、「調理」、「食事」等が挙げられる。なお、ラベル情報は、例えば、ユーザが自身の行動を記録することにより生成されるものとする。
【0034】
また、データ取得部121は、第1端末から第1時系列データを取得するのと同様に、第2の施設に設けられている第2端末から、第2の施設に設けられている複数の第2センサーibに対応する時系列データである第2時系列データを取得する。データ取得部121は、第2端末から、所定期間において作動した第2センサーibのセンサーIDと、当該第2センサーibの作動時刻とを関連付けた第2時系列データを取得する。
【0035】
属性情報取得部122は、第1の施設に対応する複数の第1センサーiaのそれぞれのセンサーIDに関連付けられた第1センサーiaの属性を示す属性情報を取得する。属性情報取得部122は、第2の施設に対応する複数の第2センサーibのそれぞれのセンサーIDに関連付けられた第2センサーibの属性を示す属性情報を取得する。第1センサーiaの属性情報を第1属性情報、第2センサーibの属性情報を第2属性情報ともいう。
【0036】
属性情報取得部122は、複数の属性情報のうち一部の属性情報を、時系列データを解析することにより取得してもよい。例えば、属性情報取得部122は、時系列データを解析することにより、属性情報としてのセンサーの作動回数を取得してもよい。
【0037】
組合せ特定部123は、第1属性情報及び第2属性情報に基づいて、属性が類似する第1センサーiaと第2センサーibとの組合せを特定する。例えば、組合せ特定部123は、第1属性情報及び第2属性情報が示す複数の属性のそれぞれについて、最小値と最大値を一致させる等の正規化を行う。組合せ特定部123は、正規化後の属性情報が示す複数の属性のそれぞれをセンサーの属性ベクトルとし、第1センサーiaの属性ベクトルと、第2センサーibの属性ベクトルとの類似度を算出する。組合せ特定部123は、例えば、第1センサーiaの属性ベクトルと、第2センサーibの属性ベクトルとのコサイン類似度を算出することにより、第1センサーiaの属性ベクトルと、第2センサーibの属性ベクトルとの類似度を算出する。
【0038】
組合せ特定部123は、算出した類似度が所定の閾値を超える第1センサーiaと第2センサーibとの組合せを、属性が類似する第1センサーiaと第2センサーibとの組合せとして特定する。なお、組合せ特定部123は、コサイン類似度を算出することにより類似度を算出したがこれに限らず、他の手法を用いて類似度を算出してもよい。
【0039】
特徴ベクトル生成部124は、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibのそれぞれについて、第1時系列データ及び第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、他のセンサーの作動状況との関係性を示すとともに、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaと、第2センサーibとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する。
【0040】
まず、特徴ベクトル生成部124は、第1時系列データが示す複数の第1センサーiaの作動状況の関係性を学習して複数の第1センサーiaのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。例えば、特徴ベクトル生成部124は、第1時系列データに含まれるセンサーIDを、当該センサーIDのセンサーが作動した時刻順に並べたシーケンスデータを第1シーケンスデータとして生成する。
【0041】
特徴ベクトル生成部124は、第1シーケンスデータを1つの文章とみなすとともに、第1シーケンスデータに含まれる第1センサーiaを、文章に含まれる1つの単語とみなす。特徴ベクトル生成部124は、第1シーケンスデータに対してWord2vecを用いることにより、複数の第1センサーiaのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。特徴ベクトル生成部124は、以下の式(1)に示す目的関数T1が最大となるように学習を行うことにより、複数の第1センサーiaのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。
【0042】
【数1】
ここで、目的関数T
1を示す式に出現するP(x|y)は、条件付き確率(yが出現した場合にxが出現する確率)である。また、I
Aは、第1の施設としての第1住宅Aで生活する世帯Sにおける第1センサーiaのシーケンスデータ、Kはウィンドウサイズのパラメータである。
【0043】
続いて、特徴ベクトル生成部124は、複数の第1センサーiaのそれぞれの特徴ベクトルを生成した後に、第2時系列データが示す複数の第2センサーibの作動状況の関係性を学習し、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaと、第2センサーibとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。これにより、特徴ベクトル生成部124は、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaと、第2センサーibとの類似性が反映された、複数の第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。
【0044】
例えば、特徴ベクトル生成部124は、第2時系列データに含まれるセンサーIDを、当該センサーIDのセンサーが作動した時刻順に並べたシーケンスデータを第2シーケンスデータとして生成する。特徴ベクトル生成部124は、第2シーケンスデータが第2センサーibの文脈関係を示すデータであるとして、Word2vecを用いることにより、複数の第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。ここで、特徴ベクトル生成部124は、組合せ特定部123が特定した第1センサーiaと、第2センサーibとの特徴ベクトルが類似又は一致するように、以下の式(2)に示す目的関数T2が最大となるように学習を行うことにより、複数の第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。
【0045】
【数2】
ここで、目的関数T
2を示す式に出現するI
Bは、第2の施設としての第2住宅Bで生活する世帯Tにおける第2センサーibのシーケンスデータである。Cは、組合せ特定部123が特定した全ての組合せの集合を示す。α<ia
t,ib
t>は、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaの特徴ベクトルと、第2センサーibの特徴ベクトルとの類似度である。β<ia
t,ib
t>は、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaの属性ベクトルと、第2センサーibの属性ベクトルとの類似度である。また、式(2)における第2項の関数f(x,y)は、xとyとの差が小さければ小さいほど大きくなる関数であり、例えば、以下の式(3)に示される。
【0046】
【数3】
式(3)に示す、cはパラメータであり、適合する値(例えば十分に大きい値)が設定されるものとする。
【0047】
なお、特徴ベクトル生成部124は、第1センサーiaの特徴ベクトルを生成した後に、第2センサーibの特徴ベクトルを生成したが、これに限らない。特徴ベクトル生成部124は、第1時系列データが示す複数の第1センサーiaの作動状況の関係性と、第2時系列データが示す複数の第2センサーibの作動状況の関係性とを同時に学習してもよい。特徴ベクトル生成部124は、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaと、第2センサーibとの特徴ベクトルが一致又は類似するように複数の第1センサーia及び第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成することにより、組合せ特定部123が特定した組合せに対応する第1センサーiaと、第2センサーibとの類似性が反映された、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibそれぞれの特徴ベクトルを生成してもよい。
【0048】
例えば、特徴ベクトル生成部124は、上述した式(1)及び式(2)を組み合わせた式(4)に示す目的関数T3が最大となるように学習を行うことにより、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibのそれぞれの特徴ベクトルを生成する。
【0049】
【0050】
このようにすることで、特徴ベクトル生成装置1は、式(1)及び式(2)を個別に実行した場合と同様に、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibそれぞれの特徴ベクトルを生成することができる。
【0051】
図3は、特徴ベクトル生成部124が生成した特徴ベクトルに基づいてセンサーを特徴空間に配置した例を示す図である。なお、
図3では、説明の便宜上、特徴空間を二次元に圧縮し、圧縮された特徴空間にセンサーを配置した例を示している。
図3には、楕円のマークM1と菱形のマークM2とがそれぞれ複数配置されている。これらのマークは、特徴空間上のセンサーの位置を示している。マークM1は第1センサーiaの位置、マークM2は第2センサーibの位置を示している。
【0052】
また、特徴空間には、各センサーの作動時刻と、ユーザの行動が発生した時刻とに基づく、各センサーに対応する行動種別のおおよその範囲を破線で囲んだ領域で示している。
図3に示すように、第1センサーia
1、ia
2及び第2センサーib
1が特徴空間上で近傍に配置され、「起きる」という行動種別に対応する1つの領域内に集約されていることが確認できる。また、
図3に示すように、第1センサーia
3、第2センサーib
3及びib
2が、「洗顔」という行動種別に対応する1つの領域内に集約されているとともに、第1センサーia
4、ia
5、及び第2センサーib
4、ib
5が「調理」という行動種別に対応する1つの領域内に集約されていることが確認できる。
【0053】
[センサーへのラベルの付与]
第1の実施形態において、ラベル特定部125は、ラベル情報との関連付けがないセンサーに対応する行動を予測する予測装置として機能する。本機能を説明するにあたり、第2センサーibには、第2センサーibを作動させる第2ユーザが行っていた行動を示す行動種別が関連付けられていないものとする。
【0054】
ラベル特定部125は、第2時系列データに対応する第2センサーibに対応するラベルを、当該第2センサーibと特徴ベクトルが類似する第1センサーiaに対応する行動種別を示すラベルに特定する。例えば、ラベル特定部125は、第2センサーibの特徴ベクトルとの距離(例えば、ユークリッド距離)が所定距離以内の特徴ベクトルを有する第1センサーiaを、第2センサーibと特徴ベクトルが類似する第1センサーiaと特定する。そして、ラベル特定部125は、第1ラベル情報を参照し、特定した第1センサーiaの作動時刻にユーザが行った行動に対応する行動種別を、第2センサーibに対応する行動種別として特定することにより、当該第2センサーibに対応するラベルを特定する。このようにすることで、ラベルが付与されていない第2センサーibに対してラベルを付与し、第2センサーibに対応する行動を予測することができる。
【0055】
[特徴ベクトル生成装置1における処理の流れ]
続いて、特徴ベクトル生成装置1における処理の流れの一例について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0056】
まず、データ取得部121は、第1時系列データと第2時系列データとを取得する(S1)。
続いて、属性情報取得部122は、第1属性情報と第2属性情報とを取得する(S2)。
続いて、組合せ特定部123は、第1属性情報及び第2属性情報に基づいて、属性が類似する第1センサーiaと第2センサーibとの組合せを特定する(S3)。
【0057】
続いて、特徴ベクトル生成部124は、第1時系列データに含まれるセンサーIDを第1センサーiaの作動時刻順に並べた第1シーケンスデータと、第2時系列データに含まれるセンサーIDを第2センサーibの作動時刻順に並べた第2シーケンスデータとを生成する(S4)。
【0058】
続いて、特徴ベクトル生成部124は、S4において生成した第1シーケンスデータ及び第2シーケンスデータに基づいて、第1センサーia及び第2センサーibの特徴ベクトルを生成する(S5)。
【0059】
続いて、ラベル特定部125は、第2時系列データに対応する複数の第2センサーibのそれぞれに対応するラベルを、当該第2センサーibと特徴ベクトルが類似する第1センサーiaに対応する行動種別を示すラベルに特定する(S6)。
【0060】
[第1の実施形態における効果]
以上の通り、第1の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1は、第1の施設に対応する第1センサーのセンサーIDと、センサーの作動時刻とを関連付けた第1時系列データと、第2の施設に対応する第2センサーのセンサーIDと、センサーの作動時刻とを関連付けた第2時系列データを取得し、第1の施設と第2の施設とで類似するセンサーの組合せを特定する。特徴ベクトル生成装置1は、複数の第1センサー及び複数の第2センサーのそれぞれについて、第1時系列データ及び第2時系列データが示すセンサーの作動状況と、他のセンサーの作動状況との関係性を示すとともに、特定した組合せに対応する第1センサーと、第2センサーとの類似性が反映された特徴ベクトルを生成する。このようにすることで、特徴ベクトル生成装置1は、複数の施設のそれぞれのセンサーについて同一の基準で特徴ベクトルを生成することができる。
【0061】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態について説明する。属性情報取得部122が取得した属性情報の中には、特徴ベクトルの生成に対して関連性がない属性も含まれている可能性がある。そして、関連性がない属性も含まれている属性情報に基づいて特徴ベクトルを生成すると、特徴ベクトルの精度が悪化するという問題がある。そこで、第2実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1は、特徴ベクトルの生成と関連性がある可能性が高い属性を有意な属性として抽出し、抽出した属性に基づいて特徴ベクトルを再生成する。以下、第2の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1について説明する。
【0062】
図5は、第2実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1の構成を示す図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1は、属性抽出部126をさらに備える。
【0063】
属性抽出部126は、特徴ベクトル生成部124が特徴ベクトルを生成した後に、組合せ特定部123が特定した第1センサーiaと第2センサーibとの特徴ベクトルの類似度に基づいて、組合せ特定部123が特定した第1センサーiaと第2センサーibとの属性情報に対応する複数の属性のうち、有意な一以上の属性を抽出する。
【0064】
例えば、属性情報に含まれる全ての属性を{M1,M2,…,MN}とし、全ての属性のうちの一部の属性の組合せを{m1,m2,…,mK}とした場合、属性抽出部126は、全ての属性の中から取り得る属性の組合せのうち、以下に示す式(5)の値が最大となる属性の組合せ{m1,m2,…,mK}を、有意な一以上の属性に対応する組合せとして抽出する。
【0065】
【0066】
特徴ベクトル生成部124は、属性抽出部126が属性を抽出した後に、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibのそれぞれについて、属性抽出部126が抽出した属性に基づく第1センサーiaと第2センサーibとの類似性が反映された特徴ベクトルを再生成する。
【0067】
具体的には、特徴ベクトル生成部124は、属性抽出部126が抽出した属性に基づいて、属性ベクトルの類似度を算出し、当該類似度を式(2)又は式(4)に適用することにより、複数の第1センサーia及び複数の第2センサーibそれぞれの特徴ベクトルを再生成する。
【0068】
[第2の実施形態における効果]
以上の通り、第2の実施形態に係る特徴ベクトル生成装置1は、特徴ベクトルを生成した後に、属性が類似する組合せに対応する第1センサーiaと第2センサーibとの特徴ベクトルの類似度に基づいて、当該組合せに対応する第1センサーiaと第2センサーibとの属性情報に対応する複数の属性のうち、有意な一以上の属性を抽出する。このようにすることで、特徴ベクトル生成装置1は、有意な一以上の属性に基づいて特徴ベクトルを生成することができるので、特徴ベクトルの精度を向上させることができる。
【0069】
以上、本発明を上記の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、上述の実施形態では、特徴ベクトル生成装置1は、2つの施設のそれぞれのセンサーについて同一の基準で特徴ベクトルを生成したが、これに限らない。特徴ベクトル生成装置1は、3つ以上の施設のそれぞれのセンサーについて同一の基準で特徴ベクトルを生成してもよい。また、特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・特徴ベクトル生成装置、11・・・記憶部、12・・・制御部、121・・・データ取得部、122・・・属性情報取得部、123・・・組合せ特定部、124・・・特徴ベクトル生成部、125・・・ラベル特定部、126・・・属性抽出部