(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】洗車装置
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
B60S3/06
(21)【出願番号】P 2020097290
(22)【出願日】2020-06-03
(62)【分割の表示】P 2019016829の分割
【原出願日】2014-09-22
【審査請求日】2020-07-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】湯本 康
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-006854(JP,A)
【文献】特開平10-287213(JP,A)
【文献】特開平05-092755(JP,A)
【文献】特開昭62-221957(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01421390(GB,A)
【文献】特開平11-129871(JP,A)
【文献】実公昭44-028206(JP,Y1)
【文献】特開平09-104327(JP,A)
【文献】仏国特許発明第01051333(FR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車位置に自動車がいることを検出する停車検出手段と、
前記停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、
前記停車位置の床面に自動車の車種の長さに応じて車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有するユニットと、
前記停車位置で停車される自動車のスペースの外で
分岐した給水路により分水して各前記ユニットに給水する給水系統と、を備え、
前記ユニットが、前記停車位置の床面で車長方向に延在する溝部に設けられ、前記溝部内を通る前記給水路により給水され、
前記給水系統において、分岐してから遠くに給水される前記ユニットに通じる前記給水路が、分岐してから近くに給水される前記ユニットを前記車長方向に通り越しており、
前記停車検出手段で検出された前記停車位置に停車した自動車に対して、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項2】
前記ユニットは、複数の前記ノズルが取り付けられ、前記車長方向に延在する管を備え、
各前記ユニットの前記管に分水してそれぞれの複数の前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
請求項1記載の洗車装置。
【請求項3】
停車位置に自動車がいることを検出する停車検出手段と、
前記停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、
前記停車位置の床面に自動車の車種の長さに応じて車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有するユニットと、
各前記ユニットの外で
分岐した給水路により分水して各前記ユニットに給水する給水系統と、を備え、
前記停車位置の床面で車長方向に延在する溝部に複数に区分けされた前記ユニットが自動車の車幅方向にも設けられ、
前記給水系統において、前記車幅方向における隣接する前記ユニット間の外で分岐された前記給水路が、前記車幅方向における隣接する前記溝部の端部のそれぞれと繋がり、前記床面で前記車幅方向における隣接する前記ユニット間の外へ延在する連通溝内および前記溝部内を通り、
前記停車検出手段で検出された前記停車位置に停車した自動車に対して、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項4】
停車位置に自動車がいることを検出する停車検出手段と、
前記停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、
前記停車位置の床面に自動車の車種の長さに応じて車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有するユニットと、
給水源を備え、各前記ユニットの外で
前記給水源から分岐した給水路により分水して各前記ユニットに給水する給水系統と、を備え、
前記ユニットが、前記停車位置の床面で車長方向に延在する溝部に設けられ、前記溝部内を通る前記給水路により給水され、
前記停車検出手段で検出された前記停車位置に停車した自動車に対して、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項5】
停車位置に自動車がいることを検出する停車検出手段と、
前記停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、
前記停車位置の床面に車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有し、前記停車位置で停車される自動車のスペースの外から別々に
給水路により給水されるユニットと、を備
え、
前記ユニットが、前記停車位置の床面で車長方向に延在する溝部に設けられ、前記溝部内を通る前記給水路により給水される、
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項6】
停車位置に自動車がいることを検出する停車検出手段と、
前記停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、
前記停車位置の床面に自動車の車種の長さに応じて車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有するユニットと、
前記停車位置で停車される自動車のスペースの外で
分岐した給水路により分水して各前記ユニットに給水する給水系統と、を備え、
前記ユニットが、前記停車位置の床面で車長方向に延在する溝部に沿うプレート状であって前記ノズルと対面する位置で開口するカバーで覆われ、
前記停車検出手段で検出された前記停車位置に停車した自動車に対して、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項7】
車長方向に移動自在に前記車長検出手段と設けられ、自動車の側面をブラッシング洗浄可能なブラシを有する処理装置を備え、
前記処理装置の移動と共に前記ブラシで自動車の側面のブラッシング洗浄を行う際に、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の洗車装置。
【請求項8】
複数の前記ユニットは、自動車前端側の第1ユニットおよび前記第1ユニットよりも自動車後端側の第2ユニットを備え、
前記車長検出手段で検出した自動車の長さが、第1車種の車長までであれば前記第1ユニットのノズルから洗浄水を噴射し、
前記車長検出手段で検出した自動車の長さが、前記第1車種より長い第2車種の車長までであれば、前記第1ユニットのノズルから洗浄水を噴射させ、また前記第2ユニットのノズルから洗浄水を噴射させる、
請求項1~7のいずれか一項に記載の洗車装置。
【請求項9】
前記ノズルが、首振り自在に構成されている、
請求項1~8のいずれか一項に記載の洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体下面を洗浄する装置として、特許文献1が知られている。この装置は、門型洗車機の洗車スペースに自動車を乗り入れる進入路に洗浄水噴射管を設け、自動車を乗り入れる間に下回りの洗浄を行うように構成されている。この装置では、洗浄水噴射管を車両の進入方向に対して直交する方向に配置しており、自動車を低速で走行させながら洗浄水噴射管から噴射される洗浄水を車体の下面に作用させるようになっているため、自動車を乗り入れる際に洗浄水噴射管の位置が視認しくく、洗浄が不十分なまま通過してしまうという問題があった。
【0003】
また、特許文献2では、車両が乗り入れられる床部に、車両の進入方向に沿って下部ノズルを延在させ、床部の上面に取り付けた桟材上を走行する車両のタイヤに向けて高圧水を噴射して洗浄を図る洗浄装置が提案されている。この装置では、進入口に設けた光電センサで車両の進入を検出すると、ポンプを作動させて下部ノズルから水を噴出するようになっているため、車体から外れた洗浄水が広く拡散し、周囲を濡らしてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-92141号
【文献】特開2000-6773号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、周囲への飛散を最小限に抑えて洗浄水を自動車の下面に噴射させることのできる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る洗車装置は、停車位置に停車した自動車の長さを検出する車長検出手段と、前記停車位置の床面に自動車の車種の長さに応じて車長方向に複数に区分けされ、自動車の下面に向かうノズルを有するユニットと、を備え、前記車長検出手段で検出した自動車の長さに応じて前記ユニットを選択して前記ノズルから洗浄水を噴射させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段に係る洗車装置によれば、周囲への飛散を最小限に抑えて洗浄水を自動車の下面に噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本発明の下部洗浄装置における給水系を示す配管図である。
【
図6】本発明の下部洗浄装置における車種別の洗浄動作を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施態様について図面を基に説明する。
図1は洗車装置の平面図、
図2は側面図である。尚、以下の説明を簡便化するため、図中のレイアウトにより各所の位置関係を定義する。
この洗車装置は、洗車スペースAの床面に敷設された2本の走行レール2R・2Lに沿って往復走行する門型洗車機1と、走行レール2R・2Lの内側に当たる洗車スペースAの床面に走行レール2R・2Lと平行に凹設された溝部3R・3Lに備えられる下部洗浄装置4とから構成されている。
【0010】
洗車スペースAにおける走行レール2R・2Lと溝部3R・3Lの間の床面には、自動車を停車位置に案内するための案内レール5R・5Lが敷設され、案内レール5R・5Lの入車側となる前端部にはハ字状に拡開したガイドパイプ6R・6Lが設けられ、後端部には自動車の停車目安となるタイヤ載置板7R・7Lが設けられている。
【0011】
門型洗車機1は、アーチ状のフレーム8を正逆転可能な走行モータ9で駆動し、走行レール2Rの前端及び後端の近傍に設けられたドッグ10a・10bに走行スイッチ11が接触することで与えられる前進限と後進限との間を往復走行する。フレーム8は、洗車処理装置を備え、フレーム8の走行に伴って車体面に水・洗剤・ワックス等を散布しながらブラッシングする洗浄処理と、車体面に高圧空気を吹き付けて水滴を除去する乾燥処理を行う。また、フレーム8内には、フレーム8の走行位置を検出する走行位置検出装置と、自動車の上面位置を検出する車体検出装置とが備えられ、洗車する自動車を認識し、洗車処理装置を作用させる。
【0012】
洗車処理装置は、洗浄ブラシ・乾燥ノズル・散液パイプとから構成されている。洗浄ブラシは、車体上面に沿って昇降し同上面をブラッシングするトップブラシ12と、車体に幅方向に対して接離(開閉)動作し車体の前後面および側面をブラッシングする左右一対のサイドブラシ13R・13Lとからなる。乾燥ノズルは、車体上面に沿って昇降し同上面に高圧空気を吹き付けるトップノズル14と、車体側面に高圧空気を吹き付ける左右一対のサイドノズル15R・15Lとからなる。散液パイプは、フレーム6と同じアーチ状に形成され、水とシャンプーを選択的に散布するシャンプー散布パイプ16と、水とワックスと撥水剤を選択的に散布するワックス散布パイプ17と、水を散布する水散布パイプ18からなる。
【0013】
走行位置検出装置は、走行モータ9の出力軸に連係されてフレーム8が単位距離走行する毎にパルス出力する走行エンコーダ19を備え、そのパルス信号をカウントすることでフレーム8の走行位置を検知する。車体検出装置は、フレーム8の前側に設けられて複数の発光素子を上下に配列させた発光部と、これに対向して複数の受光素子を上下に配列した受光部とからなる車形ユニット20を備え、両者間で光信号(赤外光)の授受を行い車体の上面位置を検知する。
【0014】
これら各装備は、フレーム8の前方から、車形ユニット20・シャンプー散布パイプ16・トップブラシ12・ワックス散布パイプ17・サイドブラシ13・水散布パイプ18・トップノズル14・サイドノズル15の順に配置されている。その他、フレーム8には、前面に自動車が停止位置に停車したことを検出する光電スイッチ21を備え、サイドノズル15より後部に自動車が退車したことを検出する光電スイッチ22を備え、後面にフレーム8後方の物体を検出するエリアセンサ23を備えている。光電スイッチ21・22は、発光部と受光部を車幅方向に対向させて光軸を形成し、その光軸の透光/遮光によって車体の有無を検出するもので、入車側の光電スイッチ21は、フレーム8の前面から取付アームにより前方に突出させた状態で取り付けられ、車形ユニット20が透光し、光電スイッチ21が遮光する状態を自動車の停車位置として出力する。エリアセンサ23は、照射した赤外光の反射波を検知して物体の有無を検出するもので、フレーム8が後退する際にその進行方向に退出中の自動車や人等の存在を出力する。
【0015】
下部洗浄装置4は、溝部3R・3L内に沿って設けられる第1噴水管24Ra・24Laと、第2噴水管24Rb・24Lbと、第3噴水管24Rc・24Lcとからなり、停車位置に停車した自動車の下面に対して洗浄水を噴射するものである。各噴水管は、自動車の車長に合わせて設けられ、軽自動車クラスの車長(3.5m未満)に合わせて第1噴水管24Ra・24Laを配置し、小型普通車クラスの車長(4.5m未満)に合わせて第2噴水管24Rb・24Lbを配置し、大型普通車クラスの車長(5.0m未満)に合わせて第3噴水管24Rc・24Lcを配置している。
【0016】
各噴水管24は、管路上に複数の噴射ノズル25を設けており、図中の実施態様では第1噴水管24Ra・24Laに各9個、第2噴水管24Rb・24Lb及び第3噴水管24Rc・24Lcに各2個、左右計26個取り付けられている。各噴射ノズル25は、いずれも噴射口から扇状に拡散し洗浄面に直線状の噴射パターンを与える扇形ノズルを採用している。
【0017】
図3に示すように、複数の噴射ノズル25のうち、第1噴水管24Ra・24Laの自動車前端側に位置する噴射ノズル25-1は、その噴射口を垂直上向きに対して所定角度内向きに傾斜させ、且つ自動車後方に指向させて取り付け、自動車下面に噴射されたときの直線状の噴射パターンが、車幅方向に対して自動車中心側を自動車側面側よりも自動車の後方になるように調整されている。また、第1噴水管24Ra・24Laの自動車後端側に位置する噴射ノズル25-9と、第2噴水管24Rb・24Lbの後側に位置する噴射ノズル25-11と、第3噴水管24Rc・24Lcの後側に位置する噴射ノズル25-13は、その噴射口を垂直上向きに対して所定角度内向きに傾斜させ、且つ自動車前方に指向させて取り付け、自動車下面に噴射されたときの直線状の噴射パターンが、車幅方向に対して自動車中心側を自動車側面側よりも自動車の前方になるように調整されている。
【0018】
それ以外の噴射ノズル25は、その噴射口を垂直上向きに対して自動車の前方に所定角度傾斜させ、且つ自動車側方に指向させて取り付け、自動車下面に噴射されたときの直線状の噴射パターンが、車長方向に対して自動車前方側が自動車の側方になるように調整されている。
【0019】
溝部3R・3Lの上面には、各噴水管を覆うカバー26が取り付けられ、カバー26における噴射ノズル25と対面する位置に噴水口27を開口している。また、溝部3R・3Lは、前端部が連通溝28で繋がれ、この連通溝28内に左右の噴水管への分岐配管29と、この分岐配管29に接続される高圧ホース30が収容されている。連通溝28は、走行レール2Lの底面から洗車スペースA外まで延在し、洗車スペースAの床面部分にはカバー31が取り付けられ、洗車スペースA外の部分から高圧ホース30を取り出し、給水源に接続される。尚、これら分岐配管29及び高圧ホース30は、第1噴水管24Ra・24La・第2噴水管24Rb・24Lb・第3噴水管24Rc・24Lcのそれぞれについて配備されており、給水系統はいずれも独立して形成される。
【0020】
図4は下部洗浄装置4の給水系統を示す配管図である。
下部洗浄装置4の第1噴水管24Ra・24Laへの給水は、貯水タンク31に備えた高圧ポンプ32aにより、分岐配管29aに接続される高圧ホース30aを通じて行われる。同様に、第2噴水管24Rb・24Lbへの給水は、高圧ポンプ32bにより、分岐配管29bに接続される高圧ホース30bを通じて行われ、第3噴水管24Rc・24Lcへの給水は、高圧ポンプ32cにより、分岐配管29cに接続される高圧ホース30cを通じて行われる。尚、各分岐配管29は、
図2に示すように、前記連通溝28の深さ方向に積層されている。
【0021】
洗車装置のその他の装備について説明する。
33は洗車受付装置で、洗車スペースの入場口手前に設置され、前面に備えられる受付操作パネルにより洗車料金や洗車内容の選択入力等を行う。34はゲート装置で、洗車スペースの入場口に設置され、洗車スペースに対する自動車の進入を禁止/許可する。35は案内表示器で、洗車スペースの退場口後方に設置され、洗車受付時には自動車の入場を誘導し、洗車中には洗車動作の進行状況等を表示し、洗車終了時には自動車の退場を案内する。
【0022】
このような構成により、フレーム8がドッグ10aによって与えられる走行レール2後端の待機位置から洗車を開始し、フレーム8の1往復に伴い洗浄ブラシによる洗浄処理を行い、フレーム8の1往行に伴い乾燥ノズルによる乾燥処理を行う1.5往復洗車が可能になる。洗車終了後は、ドッグ10bによって与えられるレール2前端部の終了位置で洗車が終了し、自動車の退出待ちとなる。洗車を受ける自動車は、ガイドパイプ6R・6Lから案内レール5R・5Lに沿って進入し、タイヤ載置板7R・7Lを目安にしながら車形ユニット20と光電スイッチ21で与える停車位置に停車して洗車を受け、洗車が終了すると洗車スペースの退場口から前進で退場する。すなわち、洗車機利用客が自動車に乗ったまま洗車を受けて通り抜ける、いわゆるドライブスルー形式による洗車を可能にしている。尚、洗車コースとしてはフレーム2の2.5往復や3.5往復に伴い、コーティング処理・水垢処理などの処理を行う付加価値の高い洗車動作をさせることもできる。
【0023】
図5は洗車装置の制御系を示すブロック図である。
36は門型洗車機1に内蔵される洗車制御ボード、37は洗車受付装置33に内蔵される受付制御ボードで、いずれもマイクロコンピュータを備えており、両ボードはシリアル伝送用のケーブル38で接続されている。洗車制御ボード36は、走行スイッチ11・走行エンコーダ19・車形ユニット20・光電スイッチ21・22・エリアセンサ23が接続されるとともに、洗車駆動部39を介して走行モータ9・トップブラシ12・サイドブラシ13R・13L・トップノズル14・サイドノズル15R・15L・高圧ポンプ32a~32cを接続しており、ケーブル38を介して受付制御ボード37より伝送される洗車要求信号に基づき、接続される各要素の動作を制御する。この洗車制御ボード36では、走行エンコーダ19からのパルス出力に同期して車形ユニット20から車体の上面位置を検出して自動車の上面輪郭データを作成するとともに、作成した上面輪郭データから車体前後端・ルーフ位置・装備品といった自動車の特徴点を抽出し、門型洗車機1の各ブラシとブロワノズルの制御と、下部洗浄装置4の各ポンプの制御に用いられる。
【0024】
受付制御ボード37は、受付操作パネル40・ゲート装置34・案内表示器35が接続され、受付操作パネル40からの洗車料金やメニュー選択を受付可能とし、受け付けた内容に基づいて洗車制御ボード36へ洗車要求信号を出力する。受付操作パネル40は、現金やプリペイドカードにより洗車料金を受け付ける料金受付部41と、車種・洗車コース等の洗車メニューを選択するメニューキー42と、洗車のトッピングを指定するトッピングキー43と、自動車の突起物を指定する突起物キー44と、指定した洗車メニューを決定する決定キー45と、指定した洗車メニューを取り消す取消キー46と、受付操作パネル40における操作案内や洗車スペースへの入場案内等を音声で行う音声ガイド部47とを備えている。
【0025】
案内表示器35は、洗車スペースの入場口から入場する自動車が視認でき、しかも洗車後の退出時に邪魔にならないよう洗車スペースの退場口よりも後方に設置されるものであるが、自動車入場時及び洗車中には表示器を自動車退出路に位置させて洗車中の自動車の運転席から視認しやすいようにし、自動車退出時には表示器を自動車退出路から退避させるよう揺動式にしてもよい。これにより、洗車場がどのようなレイアウトであっても、効果的に実施できるものである。
【0026】
以下、このように構成する本発明の洗車装置の動作について説明する。
まず、受付制御ボード37において、任意の手段により自動車の入車を検出すると、音声ガイド部47から所定のアナウンスを出力して洗車受付状態となる。利用者により、受付操作パネル40での洗車メニュー・トッピング・突起物の指定、料金精算が正しく行われると洗車受付完了となり、洗車制御ボード36へ洗車要求信号を出力する。
【0027】
洗車制御ボード36では、受付制御ボード37から洗車要求信号が入力されると、受け付けた洗車にトッピングの車体下部洗浄が含まれているか否かを判断する。ここで、車体下部洗浄が設定されていない場合は、ゲート装置34を開放して洗車スペースAへの入場を許可するとともに、案内表示器35に前進を促す案内表示を行う。案内表示器35の案内に従って、自動車を案内レール5R・5Lに沿って入場させていき、タイヤ載置板7R・7Lを目安に停車させると、光電スイッチ21が透光から遮光に転じ、ゲート装置34を閉じて後続車両が洗車スペースAに進入することを禁止するとともに、案内表示器35に停止を促す案内表示を行う。
【0028】
自動車が停止位置に所定時間留まることを確認すると、案内表示器35に洗車開始の案内を表示し、選択した洗車メニューに沿って洗車を実行する。尚、所定時間経過する前に、光電スイッチ21が透光に転じた場合は、案内表示器35に前進を促す案内表示を行い、車形ユニット20が車体を検出すると、案内表示器35に後進を促す表示を行う。
【0029】
洗車が開始すると、フレーム8の前進に伴う第1往工程で走行位置検出装置と車形検出装置によりフレーム8の走行位置と自動車の上面輪郭データの作成を行い、各ブラシを制御して車体のブラッシングを行う。この後、フレーム8の後進に伴う第1復工程で再度ブラッシング洗浄を行い、フレーム8の再前進に伴う第2往工程で各ノズルを制御して車体の乾燥を行う。こうして、フレーム8がドッグ10bで与えるレール前端の洗車終了位置Epまで走行して洗車は終了となる。
【0030】
洗車が終了すると、案内表示器35に退場を促す表示を行い、光電スイッチ22が遮光から透光に転ずると、所定時間経過後にフレーム8を後退して開始位置へ復帰させる。フレーム8の後退中にエリアセンサ23が検出状態となれば、退車中の自動車等の障害物がある判断してフレーム8の走行を停止する。エリアセンサ23が非検出となれば、フレーム8の後退を再開し、フレーム8がレール後端の開始位置まで復帰すれば、フレーム8の走行を停止して次の洗車待ちとなる。
【0031】
さて、トッピングに車体下部洗浄が設定されている場合について、
図6の動作説明図を用いて以下に説明する。
車体下部洗浄は、第1往工程で作成される自動車の上面輪郭データに基づいて、フレーム8の後進に伴う第1復工程で実行される。第1復工程が開始すると、門型洗車機1ではブラッシング洗浄が行われ、下部洗浄装置4では高圧ポンプを作動して洗浄水を車体下面に噴射するジェット洗浄が行われる。このとき、第1往工程で作成された自動車の上面輪郭データから車体前端から後端までの長さ(すなわち車長)を抽出し、この車長に基づいて駆動する高圧ポンプ32a~32cが選択的に作動する。
【0032】
すなわち、抽出した車長が軽自動車クラスの3.5m未満であれば、高圧ポンプ32aのみを駆動して第1噴水管24Ra・24Laの噴射ノズル25から車体下面に洗浄水を噴射する(
図6a)。抽出した車長が小型普通車クラスの4.5m未満であれば、高圧ポンプ32aと高圧ポンプ32bを駆動し、第1噴水管24Ra・24Laと第2噴水管24Rb・24Lbの噴射ノズル25から車体下面に洗浄水を噴射する(
図6b)。抽出した車長が4.5m以上であれば、全ての高圧ポンプ32a~32cを駆動し、第1噴水管24Ra・24La・第2噴水管24Rb・24Lb・第3噴水管24Rc・24Lcの噴射ノズル25から車体底面に洗浄水を噴射する(
図6c)。
【0033】
このように、自動車の長さに応じて下部洗浄装置4の噴水管24を制限することで、外部への飛散を防ぐことができ、同時に節水が図られる。各噴射ノズル25からの噴射は、車体下面においても特に汚れが酷いタイヤハウス周辺を中心に、車体側面の裾部下面に作用し、洗浄力を発揮するとともに、広範囲に亘って洗浄水が吹き付けられていることが確認でき、視覚的なアピール効果も大きい。
【0034】
噴射ノズル25のうち、第1噴水管24Ra・24Laの自動車前端側に位置する噴射ノズル25-1は、直線状の噴射パターンが、車幅方向に対して自動車中心側を自動車側面側よりも自動車の後方になるように調整されているため、車種に関係なく自動車の前端下面への噴射が外部に飛散することがない。また、第1噴水管24Ra・24Laの自動車後端側に位置する噴射ノズル25-9と、第2噴水管24Rb・24Lbの後側に位置する噴射ノズル25-11と、第3噴水管24Rc・24Lcの後側に位置する噴射ノズル25-13は、直線状の噴射パターンが、車幅方向に対して自動車中心側を自動車側面側よりも自動車の前方になるように調整されているため、車長に関係なく、自動車の後端下面への噴射が外部に飛散することがない。
【0035】
本発明は以上のように構成されるが、本発明は上記した実施態様に限定されるものではない。門型洗車機に関して言えば、ブラシ装置を備えず車体を高圧スプレー等で洗浄するタイプの洗車機でも良いし、ドライブスルー方式ではなく、サービスマンが洗車を行うタイプの洗車機でも良い。
【0036】
下部洗浄装置に関して言えば、噴射ノズルの数や噴射方向も上記実施態様に限定されるものではなく、適宜設定できるし、噴射ノズルをエアシリンダとリンクロッドを用いた首振り機構により首振り自在に形成することも可能である。また、噴水管の区分け数も特に限定はなく、車長方向ではなく車幅方向に延在させて配置しても良い。更に、自動車の入場に合わせて噴水管から噴水するといった従来の下部洗浄装置と同様な動作を与えることも可能である。
【0037】
噴射ノズルは、扇形ノズルの他に、噴射口から円錐状に拡散し洗浄面に円状の噴射パターンを与える空円錐ノズルや、噴射口から円錐状に拡散し洗浄面に充円状の噴射パターンを与える充円錐ノズルを採用することができる。噴水管は、床面の溝部に埋設させているが、床面上に敷設しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 門型洗車機
3R・3L 溝部
4 下部洗浄装置
20 車形ユニット
24Ra・24La 第1噴水管
24Rb・24Lb 第2噴水管
24Rc・24Lc 第3噴水管
25 噴射ノズル
32a 高圧ポンプ
32b 高圧ポンプ
32c 高圧ポンプ