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特許7297746添加剤組成物およびその添加剤組成物を含むポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】添加剤組成物およびその添加剤組成物を含むポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/14 20060101AFI20230619BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20230619BHJP
   C08L 53/00 20060101ALI20230619BHJP
   C08K 5/1575 20060101ALI20230619BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230619BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20230619BHJP
   C08L 79/02 20060101ALI20230619BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20230619BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
C08L23/14
C08L23/08
C08L53/00
C08K5/1575
C08L71/02
C08L67/02
C08L79/02
C08J3/22
B29C49/04
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020525906
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018057452
(87)【国際公開番号】W WO2019094201
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】62/583,603
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599060788
【氏名又は名称】ミリケン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】シエ、チュンピン
(72)【発明者】
【氏名】ル、ジェンシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、シリアン
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528759(JP,A)
【文献】中国特許第104608446(CN,B)
【文献】米国特許出願公開第2006/0173109(US,A1)
【文献】特開2013-216814(JP,A)
【文献】特表2012-512277(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192812(WO,A1)
【文献】国際公開第98/033851(WO,A1)
【文献】特開昭60-112843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
B29C 49/00-49/46、49/58-49/68、
49/72-51/28、51/42、51/46
C08J 3/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐衝撃性改良剤;
(b)式(I)
【化1】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(c)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む、添加剤組成物であって、
前記耐衝撃性改良剤が、前記添加剤組成物中に30重量%~99.8重量%の量で存在する、添加剤組成物。
【請求項2】
前記耐衝撃性改良剤が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項1に記載の添加剤組成物。
【請求項3】
が、アルキル基、アルケニル基、およびアルコキシ基からなる群から選択される、請求項1または2に記載の添加剤組成物。
【請求項4】
が、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれアルキル基である、請求項1~3の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項5】
が、n-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれn-プロピル基である、請求項4に記載の添加剤組成物。
【請求項6】
前記式(I)のアセタール化合物が、前記組成物中に0.15重量%~50重量%の量で存在する、請求項1~5の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項7】
前記共添加剤化合物が、500g/mol~5,000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項1~6の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項8】
前記共添加剤化合物が、前記組成物中に0.03重量%~50重量%の量で存在する、請求項1~7の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項9】
(a)複数の第1の粒子であって、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐衝撃性改良剤を含む第1の粒子と;
(b)複数の第2の粒子であって、
(i)熱可塑性ポリマー;
(ii)式(I)
【化2】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(iii)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む第2の粒子と
を含む、添加剤組成物。
【請求項10】
前記耐衝撃性改良剤が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項9に記載の添加剤組成物。
【請求項11】
前記耐衝撃性改良剤が、前記第1の粒子中に95重量%以上の量で存在する、請求項9または10に記載の添加剤組成物。
【請求項12】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9~10の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリマーが、前記第2の粒子中に20重量%~80重量%の量で存在する、請求項9~12の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項14】
が、アルキル基、アルケニル基、およびアルコキシ基からなる群から選択される、請求項9~13の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項15】
が、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれアルキル基である、請求項9~14の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項16】
が、n-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれn-プロピル基である、請求項15に記載の添加剤組成物。
【請求項17】
前記式(I)のアセタール化合物が、前記第2の粒子中に20重量%~80重量%の量で存在する、請求項9~12の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項18】
前記共添加剤化合物が、500g/mol~5,000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項9~17の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項19】
前記共添加剤化合物が、前記第2の粒子中に4重量%~80重量%の量で存在する、請求項9~12の何れかに記載の添加剤組成物。
【請求項20】
(a)熱可塑性ポリマー;
(b)スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐衝撃性改良剤;
(c)式(I)
【化3】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(d)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物を含む、ポリマー組成物であって、
前記式(I)のアセタール化合物が、前記組成物中に0.05重量%~0.7重量%の量で存在する、ポリマー組成物。
【請求項21】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項20に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記熱可塑性ポリマーが、前記ポリマー組成物中に、65重量%~99重量%の量で存在する、請求項20または請求項21に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記耐衝撃性改良剤が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項22に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
前記耐衝撃性改良剤が、前記ポリマー組成物中に1重量%~30重量%の量で存在する、請求項20または21に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
が、アルキル基、アルケニル基、およびアルコキシ基からなる群から選択される、請求項20~24の何れかに記載のポリマー組成物。
【請求項26】
が、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれアルキル基である、請求項20~25の何れかに記載のポリマー組成物。
【請求項27】
が、n-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11が、それぞれ水素であり、R12が、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRが、それぞれn-プロピル基である、請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
前記共添加剤化合物が、500g/mol~5,000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項20~27の何れかに記載のポリマー組成物。
【請求項29】
前記共添加剤化合物が、前記組成物中に0.01重量%~1重量%の量で存在する、請求項20~28の何れかに記載のポリマー組成物。
【請求項30】
請求項20に記載のポリマー組成物を成形するための方法であって、
(a)ダイおよび金型キャビティを含む装置を用意する工程であり、金型キャビティが成形品の形状を画定する内表面を有する工程と;
(b)(i)熱可塑性ポリマー;
(ii)スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される耐衝撃性改良剤、
(iii)式(I)
【化4】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(iv)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む請求項20に記載のポリマー組成物を用意する工程と;
(c)前記ポリマー組成物を、前記ダイを通して押出すことができるように溶融させるのに十分な温度に加熱する工程と;
(d)溶融されたポリマー組成物を、前記ダイを通して押出して、パリソンを形成する工程と;
(e)前記パリソンを、前記金型キャビティに取り込む工程と;
(f)加圧流体を、前記パリソンを膨張させるのに十分な圧力下で前記パリソンに吹き込み、それによって、前記パリソンを前記金型キャビティの前記内表面に適合させ、成形品を製造する工程と;
(g)前記ポリマー組成物が少なくとも部分的に固化し、それによって、前記成形品がその形状を保持する温度に、前記成形品を冷却する工程と;
(h)前記成形品を、前記金型キャビティから除去する工程と
を含む、方法。
【請求項31】
前記耐衝撃性改良剤が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、熱可塑性ポリマー組成物の耐衝撃性を増大し、光学特性を改善するための添加剤組成物に関する。本出願はまた、このような添加剤組成物を含有するポリマー組成物、およびこのようなポリマー組成物を作成するための方法に関する。
背景
[0002]ポリオレフィンは、半結晶性ポリマーである。相対的にゆっくり冷却されたポリオレフィン(たとえば、プラスチック成形品の製造中に行われる冷却など)は、ポリマー鎖が無作為に配置されている非晶質領域、およびポリマー鎖が規則的な立体配置であると想定されている結晶性領域を含有する。ポリオレフィンのこれらの結晶性領域内では、ポリマー鎖は、「結晶ラメラ」と一般に呼ばれるドメインに整列する。通常の処理条件下では、結晶ラメラは、ポリオレフィンポリマーが溶融状態から冷却されるにつれて、あらゆる方向に放射状に成長する。この放射状の成長は、球晶を形成し、この球晶は、非晶質領域によって遮られた複数の結晶ラメラから構成された球形の半結晶性領域である。球晶のサイズは、いくつかのパラメータによって影響を受け、直径が数百ナノメートルからミリメートルの範囲であり得る。球晶サイズが、可視光の波長よりもかなり大きい場合、その球晶は、ポリマーを通して可視光を散乱させる。この可視光の散乱により、「ポリマーヘイズ」または単に「ヘイズ」と一般に呼ばれる濁った外観が生じる。かなりのポリマーヘイズレベルが、一部の用途においては許容可能であり得る一方で、消費者が相対的に透明なプラスチックを求める、ある特定の用途(たとえば、保存容器)が存在し、それに応じて、プラスチックには低いヘイズレベルが必要になる。
【0002】
[0003]長年にわたって、ポリオレフィンポリマーにおける球晶サイズを低減するために、いくつかのポリマー添加剤が開発されてきた。たとえば、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールは、ポリプロピレンポリマーに比較的低いヘイズレベルを提供できるので、商業的にかなり成功を収めている。しかし、ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールで透明化されたポリマーに、限界がないとは限らない。たとえば、このようなポリマーは、望ましく低いヘイズレベルを示すが、このポリマーは典型的には、低温では良好な耐衝撃性を示さない。この耐衝撃性の低さにより、たとえば、冷却保存用途におけるこのようなポリマーの実用性が制限される。
【0003】
[0004]したがって、広範なポリオレフィンポリマーにおいて望ましく低いヘイズレベルおよび良好な耐衝撃性をもたらすことができる添加剤が必要である。また、このような添加剤を組み込み、望ましく低いヘイズレベルおよび良好な耐衝撃性を示すポリマー組成物が必要である。ここで記載される様々な態様は、このような添加剤および組成物を提供しようとするものである。
発明の概要
[0005]第1の態様では、本発明は、
(a)耐衝撃性改良剤;
(b)式(I)
【0004】
【化1】
【0005】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、およびハロゲン化アルキル基からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(c)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む、添加剤組成物を提供する。
【0006】
[0006]第2の態様では、本発明は、
(a)複数の第1の粒子であって、耐衝撃性改良剤を含む第1の粒子と;
(b)複数の第2の粒子であって、
(i)熱可塑性ポリマー;
(ii)式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、およびその誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(iii)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む第2の粒子と
を含む、添加剤組成物を提供する。
【0009】
[0007]第3の態様では、本発明は、
(a)熱可塑性ポリマー;
(b)耐衝撃性改良剤;
(c)式(I)
【0010】
【化3】
【0011】
[式中、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、およびその誘導体からなる群から選択され;R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択され;R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である]
のアセタール化合物;ならびに
(d)ポリエチレングリコール、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される共添加剤化合物
を含む、ポリマー組成物を提供する。
【0012】
[0008]第4の態様では、本発明は、ポリマー組成物を成形するための方法を提供する。特に、この方法は、
(a)ダイおよび金型キャビティを含む装置を用意する工程であり、金型キャビティが成形品の形状を画定する内表面を有する工程と;
(b)(i)熱可塑性ポリマー;
(ii)核形成剤、透明化剤、およびそれらの組合せからなる群から選択されるポリマー添加剤;ならびに
(iii)耐衝撃性改良剤
を含むポリマー組成物を用意する工程と;
(c)ポリマー組成物を、ダイを通して押出すことができるように溶融させるのに十分な温度に加熱する工程と;
(d)溶融されたポリマー組成物を、ダイを通して押出して、パリソンを形成する工程と;
(e)パリソンを、金型キャビティに取り込む工程と;
(f)加圧流体を、パリソンを膨張させるのに十分な圧力下でパリソンに吹き込み、それによって、パリソンを金型キャビティの内表面に適合させ、成形品を製造する工程と;
(g)ポリマー組成物が少なくとも部分的に固化し、それによって、成形品がその形状を保持する温度に、成形品を冷却する工程と;
(h)成形品を、金型キャビティから除去する工程と
を含む。
発明の詳細な説明
[0009]第1の態様では、本発明は、耐衝撃性改良剤、アセタール化合物、および共添加剤化合物を含む添加剤組成物を提供する。
【0013】
[0010]用語「耐衝撃性改良剤」は、ここで利用される場合、プラスチックの耐久性および靱性を改善するためにプラスチックに添加される材料を指すために使用される。本発明の添加剤組成物は、任意の適切な耐衝撃性改良剤を含有することができる。好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンターポリマー、エチレン/アルファ-オレフィンブロックコポリマー、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレンジエンゴム、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー、シリコーンゴム、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、エチレン-プロピレンゴムである。さらに別の好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである。好ましくは、耐衝撃性改良剤は、添加剤組成物が添加されるポリマーの屈折率に実質的に等しい屈折率を有する。より好ましくは、耐衝撃性改良剤の屈折率は、添加剤組成物が添加されるポリマーの屈折率の0.01単位以内である。
【0014】
[0011]好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、ジエンブロックだけが水素化されている、選択的に水素化されたスチレン-ジエンブロックコポリマーからなる群から選択される。本発明において使用するのに適した、選択的に水素化されたスチレンブロックコポリマーは、一般に、重合化モノアルケニル芳香族炭化水素モノマー単位のブロック(S)および水素化ジエンブロック(重合化コンジュゲートジオレフィンモノマー)(HD)を含有するスチレンブロックコポリマーである。Sブロックは、典型的にはブロックコポリマーの末端にあるガラス状ブロックである。Sブロックは、スチレン、アルファ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、オルト-メチルスチレン、パラ-tertブチルスチレン、ジメチル-スチレン、およびこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるモノマーを含有するポリマーブロックであり得る。水素化ジエンブロックは、水素化ポリブタジエン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリペンタジエン、水素化ポリヘキサジエン、またはこれらの2つ以上の混合物を含むポリマーブロックであり得る。HDブロックはゴムであり、典型的にはブロックコポリマーの末端にはなく、ゴム中間ブロックと一般に呼ばれる。より一般的な水素化ゴムブロックは、水素化ポリブタジエン、水素化ポリイソプレン、および水素化イソプレン-ブタジエンコポリマーである。ポリブタジエンブロックが水素化されると、エチレン-ブチレンコポリマーのブロックが生成され、そのエチレンとブチレンとの比は、ポリブタジエンの微細構造(またはビニル含量)に応じて決まる。ビニル含量は、ブタジエン重合中に生じる1,2-付加の量の尺度であり、注意深く制御され得る。好ましいエチレン対ブチレンの比は、DSCによって測定される通り、約-55℃で低い弾性率および低いガラス転移を達成するために、約40重量%のブチレンである。
【0015】
[0012]一般に、重合化モノアルケニル芳香族炭化水素モノマー単位を主に含有する少なくとも1つのポリマーブロックおよび重合化コンジュゲートジオレフィンモノマー単位を主に含有する少なくとも1つのポリマーブロックを含む、ポリマーに組み込まれた後に水素化される、任意の選択的に水素化されたブロックコポリマーを、本発明の組成物における耐衝撃性改良剤として使用してもよい。適切な水素化ブロックコポリマーは、当技術分野で周知の技術に従って調製されたブロックコポリマー、たとえば、米国特許第3,231,635号;同第3,265,765号;同第3,322,856号;同第4,426,495号および同第4,444,953号に記載されるものを水素化することによって調製してもよく、これらの特許の開示は参照によってここで組み込まれる。一般に、所望の水素化ブロックコポリマーを形成するために水素化されてもよいブロックコポリマーは、以下の一般式:S-HD-Sまたは(S-HD)x-Z[式中、xは、1~20の値であり得(ジブロック、トリブロック、またはマルチアーム(multiarm)ポリマーを提供する)、Zは、カップリング剤である]の1つを有する。一般に、各ポリマーSブロックは、約4,000g/mol~約50,000g/molの重量平均分子量を有し、各水素化ポリマーゴムブロック(HD)は、約10,000g/mol~約200,000g/molの平均分子量を有する。ブロックコポリマーが2つ以上のポリマーSブロックを有する場合、各Sブロックは、先に提供される範囲から独立に選択される重量平均分子量を有することができ、または各Sブロックは、先に提供される範囲から選択されるほぼ同じ重量平均分子量を有することができる。好ましい態様では、各ポリマーブロックSは、約5,000g/mol~約10,000g/molの範囲内にあるほぼ同じ重量平均分子量を有し、各ポリマー水素化HDブロックは、約25,000g/mol~約100,000g/molの平均分子量を有する。
【0016】
[0013]本発明のブロックコポリマー組成物はまた、ポリエチレンコポリマーを含んでもよい。適切なポリエチレンコポリマーの例は、ポリ(エチレンオクテン)コポリマー、たとえば、Dow Chemical製のEngage 8402およびExxon Chemical製のExact 0203である。この態様では、選択的に水素化されたブロックコポリマーは、ポリエチレンコポリマー、たとえば添加剤組成物が組み込まれるランダムポリプロピレンコポリマーに実質的に合致するポリエチレン(polyethyelene)コポリマーの50%までによって置きかえられてもよい。ポリエチレンコポリマーは、0.9g/cmに近い密度を有するべきであり、したがって、ポリプロピレンまたはポリプロピレンランダムコポリマーの屈折率に厳密に合致し得る。好ましくは、ポリエチレンコポリマーは、添加剤組成物が組み込まれるポリプロピレンまたはポリプロピレンコポリマーの屈折率の0.008単位以内の平均屈折率を有する。
【0017】
[0014]ここで使用される場合、ブロックコポリマーの「分子量」は、ブロックコポリマーまたはブロックコポリマーのブロックのg/molでの真の分子量を指す。ブロックコポリマーの分子量は、ASTM3536に従って行われるように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン較正標準を使用して測定することができる。GPCは、ポリマーを分子サイズに従って分離する周知の方法であり、最大分子が最初に溶出する。クロマトグラフは、商業的に利用可能なポリスチレン分子量標準を使用して較正される。そのようにして較正されたGPCを使用して測定したブロックコポリマーの分子量は、スチレン当量の分子量である。スチレン当量の分子量は、ポリマーのスチレン含量およびジエンセグメントのビニル含量が公知である場合、真の分子量に変換してもよい。ゲル浸透クロマトグラフィー機器で使用される検出器は、好ましくは、紫外線および屈折率検出器の組合せである。ここで表されるブロックコポリマーの分子量は、GPCトレースのピークにおいて測定され、真の分子量に変換され、「ピーク分子量」と一般に呼ばれる。
【0018】
[0015]一般に、前述の選択的に水素化されたブロックコポリマーは、このような水素化に適した従来技術で公知の方法の何れかを使用して、選択的に水素化してもよい。一般に、ブロックコポリマーを水素化するために使用される条件は、調製後にコンジュゲートジオレフィンポリマーブロックに残る少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも95%のエチレン不飽和が、水素化の結果として確実に飽和されるように選択される。水素化条件はまた、モノアルケニル芳香族炭化水素ポリマーブロックにおける芳香族不飽和の20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満が、確実に水素化されるように選択される。たとえば、このような水素化は、たとえば、米国特許第3,595,942号;同第3,634,549号;同第3,670,054号;同第3,700,633号;および再発行第27,145号に教示されているものなどの方法を使用して達成されており、それらの開示は参照によってここで組み込まれる。これらの方法は、芳香族またはエチレン不飽和を含有するポリマーを水素化するように操作され、適切な触媒の操作に基づいている。このような触媒または触媒前駆体は、好ましくは、第VIII族金属、たとえばニッケルまたはコバルトを含み、適切な還元剤と組み合わされる。触媒(または触媒前駆体)に適した還元剤には、アルミニウムアルキル、または元素周期表の第I-A族、II-A族およびIII-B族から選択される金属の水素化物が含まれ、その金属は、リチウム、マグネシウム、およびアルミニウムが特に好ましい。この調製は、約20℃~約80℃の温度で適切な溶媒または希釈剤中で達成され得る。有用な他の触媒には、チタンベースの触媒系が含まれる。
【0019】
[0016]水素化が完了したら、ポリマー溶液を用いて相対的に多量の酸水溶液(好ましくは20~30重量パーセント)を、酸水溶液約0.5部対ポリマー溶液1部の体積比で撹拌することによって、触媒を抽出することが好ましい。適切な酸には、リン酸、硫酸および有機酸が含まれる。この撹拌は、窒素中酸素の混合物を散布しながら、約50℃で約30~約60分間継続される。この工程では、酸素および炭化水素の爆発性混合物が形成されないように、注意が払われなければならない。
【0020】
[0017]選択的に水素化された適切なスチレンブロックコポリマーは、水素化スチレン-ブタジエン-スチレン(S-B-S)、水素化スチレン-イソプレン-スチレン(S-I-S)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、スチレンブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー(S-E/B-S)である。エチレン/ブチレンブロック(EB)は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーのブタジエンブロックの選択的水素化から生じる。スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(S-I-S)のジエンブロックの水素化により、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー(S-E/P-S)が生じる。スチレンの量および水素化ゴム中間ブロックの量は、ほぼ何れのプロピレンポリマー、プロピレンコポリマー、またはプロピレン組成物とも合致する様々な屈折率が得られるように変えることができる。あるいは、それぞれのブロックにおいて実質的に同じ構造および化学組成を有するが、ポリマー全体ではスチレン含量が異なる2つ以上の選択的に水素化されたスチレンブロックコポリマーを、典型的には180℃超の温度で一緒に溶融ブレンドして、スチレン含量および重量百分率に応じて、ブレンドされたポリマーの平均となる屈折率を示す、分子的に適合性があり、透明で均質なブレンドを生成することができる。溶融混合に加えて、これらのポリマーを適切な溶媒中で溶液混合して、同じ結果を達成することもできる。
【0021】
[0018]耐衝撃性改良剤は、添加剤組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくは、耐衝撃性改良剤は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約10重量%以上、または約30重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約99.8重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約10重量%~約99.8重量%、または約30重量%~約99.8重量%の量で存在する。
【0022】
[0019]前述の通り、本発明の添加剤組成物は、アセタール化合物をさらに含む。添加剤組成物中に存在するアセタール化合物は、任意の適切なアセタール化合物であり得る。たとえば、アセタール化合物は、アルジトールとベンズアルデヒドの反応の生成物であり得る。アルジトール化合物は、無置換アルジトール(たとえば、キシリトールまたはソルビトール)または置換アルジトール(たとえば、1,2,3-トリデオキシノニトールまたは1,2,3-トリデオキシノン-1-エニトール)であり得る。ベンズアルデヒド化合物は、無置換ベンズアルデヒドまたは置換ベンズアルデヒド(たとえば、3,4-ジメチルベンズアルデヒドまたは4-プロピルベンズアルデヒド)であり得る。さらに、反応によって生成されたアセタール化合物は、モノ-アセタール、ジ-アセタール、またはトリ-アセタール化合物(すなわち、それぞれ1個、2個、または3個のアセタール基を含有する化合物)であり得る。
【0023】
[0020]ある特定の態様では、アセタール化合物は、式(I)
【0024】
【化4】
【0025】
の構造に従うアセタール化合物であり得る。式(I)の構造において、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、およびその誘導体からなる群から選択される。R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、カルボキシル基、およびハロゲンからなる群から選択される。R12は、-CHOHおよび-CH(OH)CHOHからなる群から選択されるヒドロキシアルキル基である。
【0026】
[0021]本発明のある特定の態様では、Rは、アルキル基およびアルケニル基からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ水素であり、R12は、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRは、それぞれアルキル基である。より具体的な態様では、Rは、n-プロピル基であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ水素であり、R12は、-CH(OH)CHOHであり、RおよびRは、それぞれn-プロピル基である。
【0027】
[0022]本発明の他の態様では、Rは、水素であり、R、R、R、R、R、およびR11は、それぞれ水素であり、R、R、R、およびR10は、それぞれアルキル基であり、R12は、-CH(OH)CHOHである。より具体的な態様では、Rは、水素であり、R、R、R、R、R、およびR11は、それぞれ水素であり、R、R、R、およびR10は、それぞれメチル基であり、R12は、-CH(OH)CHOHである。
【0028】
[0023]本発明のある特定の態様では、アセタール化合物は、C置換アルジトールとベンズアルデヒドの反応の生成物であり得る。用語「C置換アルジトール」は、ここで利用される場合、アルジトールの末端炭素(たとえば、典型的には単一ヒドロキシル基で置換されている末端炭素原子)がさらなる基で置換されている化合物を指すために使用される。C置換アルジトールは、任意の適切な基で置換され得る。ある特定の態様では、C置換アルジトールは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基、およびその誘導体からなる群から選択される基で置換され得る。ベンズアルデヒドは、無置換ベンズアルデヒドと置換ベンズアルデヒドの両方を含めた、任意の適切なベンズアルデヒドであり得る。ある特定の態様では、ベンズアルデヒドは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、およびアリール基(たとえば、フェニル基)からなる群から選択される1つ以上の基で置換され得る。C置換アルジトールとベンズアルデヒドの反応から誘導された適切なアセタール化合物には、それに限定されるものではないが、米国特許第7,157,510号および同第7,262,236号に開示されているアセタール化合物が含まれ、それぞれその全体は参照によってここに組み込まれる。
【0029】
[0024]したがって、ある特定の態様では、アセタール化合物は、以下の式(II)
【0030】
【化5】
【0031】
の構造に従うジ-アセタール化合物であり得る。式(II)において、nは、0、1、または2であり、Rは、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲン化アルキル基、およびその誘導体からなる群から選択される。R、R、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ独立に、水素、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、およびフェニル基からなる群から選択される。ある特定の態様では、nは、1であり、Rは、アルキル基(たとえば、n-プロピル基)であり、RおよびRは、アルキル基(たとえば、n-プロピル基)であり、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、それぞれ水素である。
【0032】
[0025]アセタール化合物は、添加剤組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくはアセタール化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約0.015重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、アセタール化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約50重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、アセタール化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約0.015重量%~約50重量%の量で存在する。
【0033】
[0026]前述の通り、本発明の添加剤組成物は、耐衝撃性改良剤およびアセタール化合物に加えて共添加剤化合物を含む。添加剤組成物中に存在する共添加剤化合物は、耐衝撃性改良剤およびアセタール化合物と相乗的に働いて、特に低温で低いヘイズおよび耐衝撃性の増大を示すポリマー組成物を生成することができる、任意の適切な化合物であり得る。好ましくは、共添加剤化合物は、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。共添加剤として使用するのに適したポリエチレングリコールには、任意の適切なポリエチレングリコール化合物が含まれる。好ましい態様では、共添加剤化合物は、約500g/mol~約5,000g/molのモル質量を有するポリエチレングリコールからなる群から選択される。好ましい態様では、共添加剤は、ジオールとC~C10ジカルボン酸のコポリマー、たとえば、ジエチレングリコールとアジピン酸のコポリマー(たとえば、ポリ[ジ(エチレングリコール)アジペート])である。これらのコポリマーは、好ましくは約300g/mol以上のモル質量を有し、好ましくは約10,000g/mol以下のモル質量を有する。本発明の共添加剤化合物として使用するのに適したポリエチレンイミンには、約500g/mol以上のモル質量を有する直鎖状および分枝ポリエチレンイミンが含まれる。好ましくは、ポリエチレンイミンは、約1,000g/mol~約10,000g/mol、より好ましくは約2,500g/mol~約5,000g/molのモル質量を有する分枝ポリエチレンイミンである。
【0034】
[0027]共添加剤化合物は、添加剤組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくは、共添加剤化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約0.03重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、共添加剤化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約50重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、共添加剤化合物は、添加剤組成物中に、添加剤組成物の総重量に対して約0.03重量%~約50重量%の量で存在する。
【0035】
[0028]第2の態様では、本発明は、複数の第1の粒子および複数の第2の粒子を含む添加剤組成物を提供する。この第2の態様と関連して利用される場合、用語「粒子」は、任意の適切な形状(たとえば、実質的な球形、実質的な円筒など)およびサイズを有する別個の実体(たとえば、ペレット、フレーク、プリルなど)を指すために使用される。好ましくは、粒子は、実質的に球形または円筒の形状およびミクロンからミリメートルの範囲(たとえば、直径50μm~約5mm)の直径/長さを有する。
【0036】
[0029]添加剤組成物(すなわち、第2の態様の添加剤組成物)中に存在する第1の粒子は、好ましくは耐衝撃性改良剤を含む。第1の粒子は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載されるものの何れかを含めた、任意の適切な耐衝撃性改良剤を含むことができる。好ましい態様では、第1の粒子中に存在する耐衝撃性改良剤は、エチレン-プロピレンゴムである。別の好ましい態様では、第1の粒子中に存在する耐衝撃性改良剤は、選択的に水素化されたスチレン-ジエンブロックコポリマー、たとえば本発明の第1の添加剤組成物と関連して論じられるものである。より好ましい態様では、第1の粒子中に存在する耐衝撃性改良剤は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーである。
【0037】
[0030]第1の粒子は、任意の適切な量の耐衝撃性改良剤を含むことができる。好ましくは、耐衝撃性改良剤は、第1の粒子中に、第1の粒子の総重量に対して約95重量%以上の量で存在する。
【0038】
[0031]添加剤組成物(すなわち、第2の態様の添加剤組成物)中に存在する第2の粒子は、好ましくは、(i)熱可塑性ポリマー、(ii)アセタール化合物、および(iii)共添加剤化合物を含む。第2の粒子中に存在するアセタール化合物は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載されるものの何れかを含めた、任意の適切なアセタール化合物であり得る。好ましくは、アセタール化合物は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載される通りの式(I)の化合物である。第2の粒子中に存在する共添加剤化合物は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載されるものの何れかを含めた、任意の適切な共添加剤化合物であり得る。
【0039】
[0032]前述の通り、第2の粒子は、アセタール化合物および共添加剤化合物に加えて、熱可塑性ポリマーを含む。第2の粒子中に存在する熱可塑性ポリマーは、任意の適切な熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーの混合物であり得る。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンポリマーである。ポリオレフィンポリマーは、任意の適切なポリオレフィン、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、およびポリ(ビニルシクロヘキサン)であり得る。好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(たとえば、アタクチックポリプロピレンホモポリマー、イソタクチックポリプロピレンホモポリマー、およびシンジオタクチックポリプロピレンホモポリマー)、ポリプロピレンコポリマー(たとえば、ポリプロピレンランダムコポリマー)、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンである。適切なポリプロピレンコポリマーには、それに限定されるものではないが、エチレン、ブタ-1-エン(すなわち、1-ブテン)、およびヘキサ-1-エン(すなわち、1-ヘキセン)からなる群から選択されるコモノマーの存在下でプロピレンの重合から作成されたランダムコポリマーが含まれる。このようなポリプロピレンランダムコポリマーにおいて、コモノマーは、任意の適切な量で存在することができるが、典型的には約10重量%未満(たとえば、約1重量%~約7重量%)の量で存在する。適切なポリプロピレンインパクトコポリマーには、それに限定されるものではないが、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、ポリエチレン、およびポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンランダムコポリマーとのプラストマーからなる群から選択される、コポリマーの付加によって生成されたものが含まれる。このようなポリプロピレンインパクトコポリマーにおいて、コポリマーは、任意の適切な量で存在することができるが、典型的には約5重量%~約25重量%の量で存在する。前述のポリオレフィンポリマーは、分枝または架橋、たとえば、ポリマーの溶融強度を増大する添加剤を添加することによって生じる分枝または架橋であり得る。好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0040】
[0033]第2の粒子は、任意の適切な量の熱可塑性ポリマー、アセタール化合物、および共添加剤化合物を含むことができる。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約20重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約80重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約20重量%~約80重量%の量で存在する。好ましくはアセタール化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約20重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、アセタール化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約80重量%以下の量で存在する。したがって別の好ましい態様では、アセタール化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約20重量%~約80重量%の量で存在する。好ましくは、共添加剤化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約4重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、共添加剤化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約80重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、共添加剤化合物は、第2の粒子中に、第2の粒子の総重量に対して約4重量%~約80重量%の量で存在する。
【0041】
[0034]第3の態様では、本発明は、熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改良剤、アセタール化合物、および共添加剤化合物を含むポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物中に存在する熱可塑性ポリマーは、任意の適切な熱可塑性ポリマーであり得る。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンポリマーである。ポリオレフィンポリマーは、任意の適切なポリオレフィン、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、およびポリ(ビニルシクロヘキサン)であり得る。好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー(たとえば、アタクチックポリプロピレンホモポリマー、イソタクチックポリプロピレンホモポリマー、およびシンジオタクチックポリプロピレンホモポリマー)、ポリプロピレンコポリマー(たとえば、ポリプロピレンランダムコポリマー)、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンである。適切なポリプロピレンコポリマーには、それに限定されるものではないが、エチレン、ブタ-1-エン(すなわち、1-ブテン)、およびヘキサ-1-エン(すなわち、1-ヘキセン)からなる群から選択されるコモノマーの存在下でプロピレンの重合から作成されたランダムコポリマーが含まれる。このようなポリプロピレンランダムコポリマーにおいて、コモノマーは、任意の適切な量で存在することができるが、典型的には約10重量%未満(たとえば、約1重量%~約7重量%)の量で存在する。適切なポリプロピレンインパクトコポリマーには、それに限定されるものではないが、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、ポリエチレン、およびポリプロピレンホモポリマーまたはポリプロピレンランダムコポリマーとのプラストマーからなる群から選択される、コポリマーの付加によって生成されたものが含まれる。このようなポリプロピレンインパクトコポリマーにおいて、コポリマーは、任意の適切な量で存在することができるが、典型的には約5重量%~約25重量%の量で存在する。前述のポリオレフィンポリマーは、分枝または架橋、たとえば、ポリマーの溶融強度を増大する添加剤を添加することによって生じる分枝または架橋であり得る。好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンインパクトコポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
[0035]熱可塑性ポリマーは、ポリマー組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約50重量%以上、約60重量%以上、または約65重量%以上の量で存在する。好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約99重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、熱可塑性ポリマーは、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約50重量%~約99重量%、約60重量%~約99重量%、または約65重量%~約99重量%の量で存在する。
【0043】
[0036]ポリマー組成物中に存在する耐衝撃性改良剤は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に論じられるものの何れかを含めた、任意の適切な耐衝撃性改良剤であり得る。耐衝撃性改良剤は、ポリマー組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくは、耐衝撃性改良剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約1重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約30重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、耐衝撃性改良剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約1重量%~約30重量%の量で存在する。
【0044】
[0037]ポリマー組成物中に存在するアセタール化合物は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載されるものの何れかを含めた、任意の適切なアセタール化合物であり得る。アセタール化合物は、ポリマー組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくはアセタール化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.05重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、アセタール化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約1重量%以下または約0.7重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、アセタール化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.05重量%~約1重量%または約0.05重量%~約0.7重量%の量で存在する。
【0045】
[0038]ポリマー組成物中に存在する共添加剤化合物は、本発明の第1の添加剤組成物と関連して先に記載されるものの何れかを含めた、任意の適切な共添加剤化合物であり得る。共添加剤化合物は、ポリマー組成物中に、任意の適切な量で存在することができる。好ましくは、共添加剤化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01重量%以上の量で存在する。別の好ましい態様では、共添加剤化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約1重量%以下の量で存在する。したがって好ましい態様では、共添加剤化合物は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1重量%の量で存在する。
【0046】
[0039]本発明のポリマー組成物は、任意の適切な方法によって生成することができる。たとえば、ポリマー組成物は、適切な量の個々の各構成成分(すなわち、熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改良剤、アセタール化合物、および共添加剤化合物)を混合して、所望の組成物を生成することによって生成することができる。次に所望に応じて、このような混合物を押出して、個々の構成成分を配合ポリマー組成物に統合することができる。ポリマー組成物は、先に記載される通りの添加剤組成物を熱可塑性ポリマーに添加して、所望の組成物を生成することによって生成することもできる。次にまた、得られた混合物を押出して、構成成分を配合ポリマー組成物に統合することができる。
【0047】
[0040]本発明のポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー組成物の処理に適した任意の技術を使用して、任意の適切な熱可塑性物品を製造するために使用することができる。適切な物品には、それに限定されるものではないが、医療機器(たとえば、レトルト用途のためのプレフィルドシリンジ、点滴供給用容器、および採血装置)、食品パッケージング、液体用容器(たとえば、飲料、医薬品、パーソナルケア組成物、シャンプーなどのための容器)、衣料品用ケース、電子レンジ用物品、棚材料、戸棚の扉、機械部品、自動車部品、シート、パイプ、管、回転成形品、ブロー成形品、フィルム、繊維などが含まれる。ポリオレフィン組成物は、任意の適切な技術、たとえば、射出成形、射出回転成形、ブロー成形(たとえば、押出ブロー成形、射出ブロー成形、または射出延伸ブロー成形)、押出(たとえば、シート押出、フィルム押出、流延フィルム押出、または発泡押出)、熱成形、回転成形、フィルムブロー(インフレーションフィルム)、フィルムキャスティング(流延フィルム)などによって、所望の熱可塑性物品に形成することができる。
【0048】
[0041]本発明のポリマー組成物は、特に、押出ブロー成形プロセスで使用するのに十分に適していると考えられる。したがって別の態様では、本発明は、押出ブロー成形プロセスによってポリマー組成物を成形するための方法を提供する。特に、本発明は、ポリマー組成物を成形するための方法であって、
(a)ダイおよび金型キャビティを含む装置を用意する工程であり、金型キャビティが成形品の形状を画定する内表面を有する工程と;
(b)(i)熱可塑性ポリマー;
(ii)耐衝撃性改良剤;
(iii)核形成剤、透明化剤、およびそれらの組合せからなる群から選択されるポリマー添加剤;ならびに
(iv)共添加剤化合物
を含むポリマー組成物を用意する工程と;
(c)ポリマー組成物を、ダイを通して押出すことができるように溶融させるのに十分な温度に加熱する工程と;
(d)溶融されたポリマー組成物を、ダイを通して押出して、パリソンを形成する工程と;
(e)パリソンを、金型キャビティに取り込む工程と;
(f)加圧流体を、パリソンを膨張させるのに十分な圧力下でパリソンに吹き込み、それによって、パリソンを金型キャビティの内表面に適合させ、成形品を製造する工程と;
(g)ポリマー組成物が少なくとも部分的に固化し、それによって、成形品がその形状を保持する温度に、成形品を冷却する工程と;
(h)成形品を、金型キャビティから除去する工程と
を含む、方法を提供する。
【0049】
[0042]前述の方法において、ポリマー組成物は、前述のポリマー組成物の何れかであってよく、前述の熱可塑性ポリマー、耐衝撃性改良剤、アセタール化合物、および共添加剤化合物の任意の適切な組合せを含有することができる。さらにポリマー組成物は、前述の方法の何れか、たとえば、押出機内における個々の構成成分の混合、または押出機内における熱可塑性ポリマーと先に記載される通りの添加剤組成物との混合を使用して生成することができる。あるいは、材料(すなわち、個々の構成成分またはポリマーおよび添加剤組成物)は、押出機に導入する前に混合することができる。
【0050】
[0043]ポリマー組成物は、任意の適切な核形成剤、透明化剤、またはその組合せを含有することができる。用語「核形成剤」は、ここで利用される場合、ポリマーが溶融状態から固化するにつれて、ポリマーに核を形成するか、または結晶の形成および/もしくは成長のための部位を提供する添加剤を指すために使用される。存在する場合、ポリマー組成物中の核形成剤は、任意の適切な核形成剤であり得る。適切な核形成剤には、それに限定されるものではないが、2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)リン酸塩(たとえば、ナトリウム2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートまたはアルミニウム2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸塩(たとえば、二ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレートおよびカルシウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート)、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸塩(たとえば、カルシウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、一塩基性アルミニウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、ジリチウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート、ストロンチウムシクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレート)、およびそれらの組合せが含まれる。ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸塩およびシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸塩では、カルボキシレート部分は、cis-またはtans-立体配置の何れかに配置され得るが、cis-立体配置が好ましい。
【0051】
[0044]核形成剤は、ポリマー組成物中に存在する場合、任意の適切な量で存在することができる。当業者に理解される通り、ポリマー組成物において使用するのに適した核形成剤の量は、いくつかの因子、たとえば、核形成剤の組成およびポリマー組成物の所望の特性に応じて決まる。たとえば、核形成剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.075重量%以上、または約0.1重量%以上の量で存在することができる。核形成剤は、ポリマー組成物中に、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、または約0.3重量%以下の量で存在することができる。ある特定の可能な好ましい態様では、核形成剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01~約1重量%、約0.05~約0.5重量%、約0.075~約0.4重量%、または約0.1~約0.3重量%の量で存在する。
【0052】
[0045]透明化剤は、ポリマー組成物中に存在する場合、任意の適切な透明化剤であり得る。ある特定の可能な好ましい態様では、透明化剤は、トリスアミド、ならびに多価アルコールおよび芳香族アルデヒドの縮合生成物であるアセタール化合物からなる群から選択される。適切なトリスアミド透明化剤には、それに限定されるものではないが、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸のアミド誘導体、N-(3,5-ビス-ホルミルアミノ-フェニル)-ホルムアミドの誘導体(たとえば、N-[3,5-ビス-(2,2-ジメチル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-2,2-ジメチル-プロピオンアミド)、2-カルバモイル-マロンアミドの誘導体(たとえば、N,N’-ビス-(2-メチル-シクロヘキシル)-2-(2-メチル-シクロヘキシルカルバモイル)-マロンアミド)、およびそれらの組合せが含まれる。ある特定の可能な好ましい態様では、透明化剤は、多価アルコールおよび芳香族アルデヒドの縮合生成物であるアセタール化合物を含む。適切な多価アルコールには、非環式ポリオール、たとえばキシリトールおよびソルビトール、ならびに非環式デオキシポリオール(たとえば、1,2,3-トリデオキシノニトールまたは1,2,3-トリデオキシノン-1-エニトール)が含まれる。適切な芳香族アルデヒドは、典型的には、ベンゼン環上の5つの残りの位置が無置換または置換の何れかである単一アルデヒド基を含有する。したがって、適切な芳香族アルデヒドには、ベンズアルデヒドおよび置換ベンズアルデヒド(たとえば、3,4-ジメチル-ベンズアルデヒドまたは4-プロピル-ベンズアルデヒド)が含まれる。前述の反応によって生成されたアセタール化合物は、モノ-アセタール、ジ-アセタール、またはトリ-アセタール化合物(すなわち、それぞれ1個、2個、または3個のアセタール基を含有する化合物)であり得る。ある特定の可能な好ましい態様では、ポリマー組成物は、式(I)の透明化剤を含む。
【0053】
[0046]透明化剤は、ポリマー組成物中に存在する場合、任意の適切な量で存在することができる。当業者に理解される通り、ポリマー組成物において使用するのに適した透明化剤の量は、いくつかの因子、たとえば、透明化剤の組成およびポリマー組成物の所望の光学特性に応じて決まる。たとえば、透明化剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01重量%以上、約0.05重量%以上、約0.075重量%以上、または約0.1重量%以上の量で存在することができる。透明化剤は、ポリマー組成物中に、約1重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下の量で存在することができる。ある特定の可能な好ましい態様では、透明化剤は、ポリマー組成物中に、ポリマー組成物の総重量に対して約0.01~約1重量%、約0.05~約0.7重量%、約0.075~約0.6重量%、または約0.1~約0.5重量%の量で存在する。したがって、ある特定の可能な好ましい態様では、たとえば、透明化剤が式(I)[式中、Rは、アルキル基(たとえば、n-プロピル)であり、R、R、R、R、R、R、R10、およびR11は、それぞれ水素であり、R12は、-CHOHCHOHであり、RおよびRは、それぞれアルキル基(たとえば、n-プロピル)である]の構造に従うアセタール化合物を含む場合には、透明化剤は、ポリマー組成物中に、約0.1重量%~約0.5重量%(たとえば、約0.15重量%~約0.45重量%)の量で存在することができる。ある特定の他の可能な好ましい態様では、たとえば、透明化剤が式(I)[式中、R、R、R、R、R、R、およびR11は、それぞれ水素であり;R12は、-CHOHCHOHであり;R、R、R、およびR10は、それぞれ、アルキル基(たとえば、メチル基)である]の構造に従うアセタール化合物を含む場合には、透明化剤は、ポリマー組成物中に、約0.1重量%~約0.3重量%(たとえば、約0.15重量%~約0.25重量%)の量で存在することができる。
【0054】
[0047]本発明の方法の実施において使用される装置は、任意の適切な押出ブロー成形装置であり得る。適切な押出ブロー成形装置には、連続的な押出ブロー成形装置、たとえば、回転ホイール押出ブロー成形装置およびシャトル押出ブロー成形装置、ならびに間欠的押出ブロー成形装置、たとえば、往復スクリュー押出ブロー成形装置およびアキュムレーターヘッド押出ブロー成形装置が含まれる。前述の通り、装置は、それを通して可塑化(溶融)ポリマー組成物を押出して、パリソンを形成するためのダイを含む。この装置はまた、金型キャビティを有する金型を含む。金型キャビティまたは金型キャビティの内表面は、装置によって製造される成形品の形状を画定する。より具体的には、金型キャビティの内表面は、装置によって製造される成形品の外表面を画定する。
【0055】
[0048]以下の例は、前述の主題をさらに例示するが、当然のことながら、主題の範囲をいかなる方式でも制限するものと解釈されるべきではない。
【0056】
[例]
[0049]以下の材料を、以下の例で使用した:
Kraton G 1657(Kraton Polymer製)13%スチレンS-EB-Sブロックコポリマー
Kraton G 1652(Kraton Polymer製)30%スチレンS-EB-Sブロックコポリマー
Kraton G 1643(Kraton Polymer製)20%スチレンS-EB-Sブロックコポリマー
Kraton G 1652/Kraton G 1657(67/33)のGH-893-1押出機混合マスターバッチ
Kraton G 1652/Kraton G 1657(50/50)のGH-893-2押出機混合マスターバッチ
Kraton G 1652/Kraton G 1657(33/67)のGH-893-3押出機混合マスターバッチ
Pro-Fax SA849S(LyondellBasell製)未清澄ポリプロピレンランダムコポリマー、MFI:12g/10分。
M150N(Sinopec-SK Wuhan製)清澄ポリプロピレンランダムコポリマー、MFI:15g/10分。
GM160E(Sinopec Shanghai製)未清澄ポリプロピレンランダムコポリマー、MFI:1.6g/10分。EBMグレード。
PPR-BT02(Sinopec Tianjin製)清澄ポリプロピレンランダムコポリマー、MFI:1.2g/10分。EBMグレード。Millad(登録商標)NX8000透明化剤を含有。
SR-20-NS(Reliance製)未清澄ポリプロピレンランダムコポリマー、MFI:2g/10分。EBMグレード。
Vistamaxx 6202(ExxonMobil Chemical製)、プロピレンエチレンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー(POE)
Vistamaxx 3020FL(ExxonMobil Chemical製)、プロピレンエチレンコポリマー、ポリオレフィンエラストマー(POE)
Millad NX8000K透明化剤(Milliken Chemical製)プロピルソルビトールベースの透明化剤
ADK NA21核形成剤(旭電化製)リン酸ベースの核形成剤
Irgaclear XT386透明化剤(BASF製)トリスアミドベースの透明化剤
PEG 1000:ポリエチレングリコール1000(Aldrich製)
PEG 8000:ポリエチレングリコール8000(Aldrich製)
ポリエチレン[ジ(エチレングリコール)アジペート](PEDEGA):MW500(Aldrich製)
ポリエチレンイミン(PEI):MW:3500(Gobekie Co.,Ltd.製)
Irganox(登録商標)1010抗酸化剤(BASF製)
Irgafos(登録商標)168抗酸化剤(BASF製)
ステアリン酸カルシウム(CaSt)
[0050]ポリプロピレンランダムコポリマー組成物のそれぞれを、Henschel高強度ミキサー中、およそ2,000rpmのブレード速度でおよそ1分間、構成成分をブレンドすることによって配合した。次に、試料を、スクリュー直径25mmおよび長さ/直径比30:1を有するDeltaplast一軸スクリュー配合押出機で、溶融配合した。押出機のバレル温度を、230℃に設定した。試料ごとの押出物(ストランドの形態)を水浴で冷却し、その後ペレット化した。
【0057】
[0051]得られたポリオレフィン組成物のそれぞれのペレットを、Arburg製の50トンの射出成形機を使用して、およそ50mm×75mmの寸法と厚さ1.0mmを有するプラークに成形した。すべての成形機のバレル帯域を230℃に設定し、金型を25℃に冷却した。ポリマーを、15cm/秒で金型キャビティに射出した。プラーク寸法を、24時間熟成した後にマイクロメータで検証した。プラークのヘイズを、ASTM標準D1103-92に従って、BYK-Gardner Haze-Guard Plusを使用して測定した。これらの測定の結果を、ヘイズ%で記録した。
【0058】
[0052]ノッチ付きアイゾット衝撃試験を、ISO標準180に従って、ノッチ付きの厚さ4mmの射出成形棒に対して23℃、0℃、-5℃および-20℃で実施した。結果をKJ/mで記録した。
【0059】
[0053]ガートナー落下衝撃試験を、ASTM D5420に従って、射出成形プラークに対して23℃、0℃、-5℃および-20℃で実施した。結果を、平均破壊エネルギーとしてジュール(J)で記録した。
【0060】
[0054]曲げ弾性率試験を、ISO標準178に従って、射出成形棒に対して23℃で実施した。結果をMPaで記録した。
【0061】
例1
[0055]7種のポリマー組成物を、前述の一般手順に従って生成した。次に、これらのポリマー組成物を、前述の手順を使用してプラークに射出成形した。各ポリマー組成物の調合物を、表1に記載する。表1はまた、ポリマー組成物についてのヘイズおよびアイゾット衝撃試験を記載している。
【0062】
【表1】
【0063】
[0056]表1のデータからわかる通り、共添加剤を添加すると、衝撃強度に有害な影響を及ぼさずにポリマー組成物のヘイズが著しく低下した。
【0064】
例2
[0057]8種のポリマー組成物を、前述の一般手順に従って生成した。次に、これらのポリマー組成物を、前述の手順を使用してプラークに射出成形した。各ポリマー組成物の調合物を、表2に記載する。表2はまた、ポリマー組成物についてのヘイズおよびガートナー衝撃試験を記載している。
【0065】
【表2】
【0066】
[0058]これらの結果は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーが、一般に、より高い荷重(たとえば、20%)で、ポリオレフィンエラストマーよりも良好な衝撃性能を提供することを示している。
【0067】
例3
[0059]7種のポリマー組成物を、前述の一般手順に従って生成した。次に、これらのポリマー組成物を、前述の手順を使用してプラークに射出成形した。各ポリマー組成物の調合物を、表3に記載する。表3はまた、ポリマー組成物についてのヘイズ、アイゾット衝撃、およびガートナー衝撃試験を記載している。
【0068】
【表3】
【0069】
[0060]これらの結果はまた、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーが、一般にポリオレフィンエラストマーよりも良好な衝撃性能を提供することを示している。
【0070】
例4
[0061]4種のポリマー組成物を、前述の一般手順に従って生成した。次に、これらのポリマー組成物を、前述の手順を使用してプラークに射出成形した。各ポリマー組成物の調合物を、表4に記載する。表4はまた、ポリマー組成物についてのヘイズ、アイゾット衝撃、およびガートナー衝撃試験を記載している。
【0071】
【表4】
【0072】
[0062]これらの結果は、望ましく低いヘイズレベルが、アセタールベースの透明化剤以外の透明化剤を使用して達成され得ることを示している。これらの結果はまた、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマーが、一般にポリオレフィンエラストマーよりも良好な衝撃性能を提供することを示している。
【0073】
例5
[0063]9種のポリマー組成物を、前述の一般手順に従って配合した。各ポリマー組成物の調合物を、表5に記載する。
【0074】
[0064]配合後、各ポリマー組成物を使用して、Dekuma DKM-B8単一ステーション押出ブロー成形機で1Lのボトルを製造した。ブロー成形機は、40mmのスクリュー直径、長さ/直径比25:1、および平坦なバレルを有していた。試料27~31については、バレル温度をおよそ170℃で開始し、180℃で終了し、押出ヘッドをおよそ180℃の温度で維持した。溶融ポリマーのパリソンを、180℃の溶融温度でブロー金型内に押出し、その金型をおよそ25℃の成形温度に維持した。試料32~35については、バレル温度をおよそ160℃で開始し、170℃で終了し、押出ヘッドをおよそ170℃の温度で維持した。溶融ポリマーのパリソンを、170℃の溶融温度でブロー金型内に押出し、その金型をおよそ25℃の成形温度に維持した。最終的なポリプロピレンボトルは、重量がおよそ60グラムであった。
【0075】
[0065]次に、得られたボトルを下記の通り試験した。ボトルの側壁のヘイズパーセントを、ASTM標準D1103-92に従って、BYK-Gardner Haze-Guard Plusを使用して両面を測定した。ボトルの天井荷重を、ASTM D2659-11に従って、Instron 5965材料試験系を使用して測定した。ボトル落下試験を、ASTM D2463手順Bのブルーストン階段法に従って実施した。この試験の結果を、表5に記載する。
【0076】
【表5】
【0077】
[0066]ここで引用される刊行物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、あたかも各参考文献が参照によって組み込まれることが個々に具体的に示され、その全体がここで記載されているのと同程度に、参照によってここに組み込まれる。
【0078】
[0067]本出願の主題を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」および類似の指示対象の使用は、ここで別段指定されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」および「含有する」は、別段の注記がない限り、制限がない用語(すなわち、「それに限定されるものではないが、含む」を意味する)と解釈されるべきである。ここでの値の範囲の列挙は、ここで別段指定されない限り、単に、範囲内に含まれる別個のそれぞれの値に個々に言及する略記法として働くことが企図され、別個のそれぞれの値は、それがあたかもここで個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。ここで記載されるすべての方法は、ここで別段指定されない限り、または文脈と別段明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施され得る。ここで提供されるありとあらゆる例または例示的な用語(たとえば、「たとえば」)の使用は、単に本出願の主題をより良好に明らかにすることを企図され、別段特許請求されない限り、主題の範囲を制限するものではない。本明細書のいかなる用語も、ここで記載される主題の実施に必須のものとして特許請求されていない任意の要素を示すと解釈されるべきではない。
【0079】
[0068]特許請求される主題を行うための本発明者らに公知の最良の方法を含めた本出願の主題の好ましい態様が、ここで記載される。そのような好ましい態様の変形態様は、先の説明を読む際に当業者に明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形態様を適宜利用することを期待し、本発明者らは、ここで記載される主題が、ここで具体的に記載されているもの以外でも実施されることを企図する。したがって、本開示は、適用できる法律によって認められる限り、本開示に添付される特許請求の範囲に記載されている主題のあらゆる変更態様および均等態様を含む。さらに、そのあらゆる可能な変形態様における前述の要素の任意の組合せは、ここで別段指定されない限り、または文脈と別段明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。