IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レイセオン カンパニーの特許一覧

特許7297747アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出
<>
  • 特許-アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出 図1
  • 特許-アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出 図2
  • 特許-アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出 図3
  • 特許-アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出 図4
  • 特許-アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】アディティブ製造技術マイクロ波垂直送出
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20230619BHJP
   H05K 3/40 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H05K1/14 H
H05K3/40 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020526005
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059625
(87)【国際公開番号】W WO2019094470
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-06-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】62/584,264
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/636,364
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/988,296
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/636,375
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/584,260
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】サウスワース,アンドリュー,アール.
(72)【発明者】
【氏名】シキナ,トーマス,ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヴン,ジョン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト,ジェームズ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイルダー,ケヴィン
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】須原 宏光
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-10004(JP,A)
【文献】特開2014-146650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/40
H05K 3/46
H05K 1/11
H05K 1/18
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板であって:
第1表面と、第1接地面を備えた第2表面とを有する第1基板;
前記第1接地面に面する第3表面と、第4表面とを有する第2基板;
前記第1基板及び前記第2基板の両方を貫通して配置されている1つの孔であり、前記第1接地面のうち前記孔の周囲の部分が除去されており前記孔と前記第1接地面との間にクリアランスが提供されている孔;
前記第2基板の前記第4表面に面する第5表面と、第6表面とを有する第3基板;
前記第3基板の前記第6表面に面する第7表面を有する第2接地面;
前記孔の上方で前記第1基板の前記第1表面上に配置されている第1電気コンポーネント;
前記第3基板の前記第5表面と前記第2基板の前記第4表面との間に配置され、前記第2基板と前記第3基板との間に少なくとも部分的に封止され、前記孔に実質的に整合した部分を有する、第2電気コンポーネント;及び
前記孔の内部全体に亘って配置された1つの導電体であり、前記クリアランスにより当該導電体と前記第1接地面との間に電気的接続が形成されておらず、第1端子端部及び第2端子端部を有し、前記第1端子端部は前記第2電気コンポーネントの前記部分にハンダ付けされている、1つの導電体;
を含み、
前記導電体が中実ワイヤである、
回路基板。
【請求項2】
請求項1に記載の回路基板であって、前記第2電気コンポーネントは導電性材料で形成された信号トレースラインであり、前記部分は前記孔に実質的に整合して前記孔を覆う端子を形成する、
回路基板。
【請求項3】
請求項2に記載の回路基板であって、前記第1電気コンポーネントが、前記導電体の前記第2端子端部にハンダ付けされた部分を有する、回路基板。
【請求項4】
請求項3に記載の回路基板であって、前記第1電気コンポーネントは、信号端子、電気コネクタ、ケーブル及び電磁放射器のうちの1つである、回路基板。
【請求項5】
請求項4に記載の回路基板であって、前記第2電気コンポーネントは、前記第2基板の前記第4表面及び前記第3基板の第5表面のうちの1つに表面実装されている、回路基板。
【請求項6】
請求項2に記載の回路基板であって、前記接地面が、前記信号トレースラインに電磁境界条件を提供するように構成されている、回路基板。
【請求項7】
電磁回路を製造する方法であって:
第1表面と、第1接地面を備えた第2表面とを有する第1基板を提供するステップ;
前記第1接地面に面する第3表面と、第4表面とを有する第2基板を提供するステップ;
前記第1基板及び前記第2基板の両方を貫通する1つの孔を形成するステップであり、前記第1接地面のうち前記孔の周囲の部分を除去して前記孔と前記第1接地面との間にクリアランスを提供するステップ;
前記第2基板の前記第4表面に面する第5表面と、第6表面とを有する第3基板を提供するステップ;
前記第3基板の前記第6表面に面する第7表面を有する第2接地面を提供するステップ;
前記孔の上方で前記第1基板の前記第1表面上に第1電気コンポーネントを配置するステップ;
前記第3基板の前記第5表面と前記第2基板の前記第4表面との間に第2電気コンポーネントを配置するステップであり、前記第2電気コンポーネントは前記第2基板と前記第3基板との間に完全に封止され、前記孔に実質的に整合した部分を有する、ステップ;及び
1つの導電体及び前記第2電気コンポーネントのうちの少なくとも1つにハンダを適用するステップ;
を含み、
前記第2基板は前記第3基板に直接的又は間接的にボンディングされ、前記第2基板と前記第3基板とのボンディング配向は、前記孔を前記第2電気コンポーネントの前記部分に実質的に整合させるように構成され、前記孔は、前記第2電気コンポーネントの前記部分へのアクセスをもたらすように位置され;
さらに、
前記孔の全体に亘って前記導電体を挿入し、前記クリアランスにより前記導電体と前記第1接地面との間に電気的接続が形成されないステップ;及び
前記ハンダをリフローさせて、前記導電体と前記第2電気コンポーネントの前記部分との間に電気的接続を形成するステップ;
を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記孔に前記導電体を挿入するステップが前記孔に中実のワイヤのセグメントを挿入するステップを含む、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記の第2電気コンポーネントを提供するステップが、前記第3基板の前記第5表面から導電性材料をミリングして、前記第2電気コンポーネントを形成するステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記第3基板の前記第5表面から前記の導電性材料をミリングするステップが、前記導電性材料をミリングして、信号トレースラインを形成するステップを含む、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、前記第1電気コンポーネントが、前記孔の対向する開口に実質的に整合するように位置された第2部分を有し、
前記導電体と前記第2部分との間に電気接続を形成するようハンダを適用するステップ;
をさらに含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記の第1電気コンポーネントを配置するステップは、導電性材料をミリングして電磁放射器を形成するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記の第1電気コンポーネントを配置するステップは、導電性材料をミリングして、電気コネクタ及び電気ケーブルのうちの少なくとも1つに結合されるように構成された信号端子パッドを形成するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、同時係属中の2017年11月10日に出願された「SPIRAL ANTENNA RELATED FABRICATION TECHNIQUES」と題する米国仮特許出願第62/584,260号、2017年11月10日に出願された「ADDITIVE MANUFACTURING TECHNOLOGY (AMT) LOW PROFILE RADIATOR」と題する米国仮特許出願第62/584,264号、2018年2月28日に出願された「SNAP-RF INTERCONNECTIONS」と題する米国仮特許出願第62/636,364号、及び2018年2月28日に出願された「ADDITIVE MANUFACTURING TECHNOLOGY (AMT) LOW PROFILE SIGNAL DIVIDER」と題する米国仮特許出願第62/636,375号の合衆国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。これらの出願は、それぞれ、全ての目的のためにその全体が参照して本明細書に援用されている。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)及び電磁回路は、従来のプリント回路基板プロセスを用いて製造することができる。幾つかのRF回路及び電磁回路は、回路基板のような回路の層(例えば、積層体、基板等)間の相互接続を含み、例えば、回路の一方の層から他方の層へ信号を伝送することができる。従来のPCB製造プロセスは、層間に導電体、例えば、ビアを提供する電気めっきプロセスを含んでもよく、これは、危険物質中の浴を含む複数の異なる工程を必要とし、複数回の反復、広範な労力などを必要とし、これらは全て、より高いコストとより遅いターンアラウンド時間をもたらしてしまう。さらに、従来のPCB製造プロセスは、信号トレース寸法及び導体間の誘電体材料の寸法(例えば、誘電体厚さ、ビア間の間隔など)などのような小さなフィーチャ寸法を可能にする能力が限られており、それによって、そのようなデバイスによって支持され得る最高周波数信号の範囲を制限してしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載される態様及び実施形態は、回路の層間(例えば垂直方向)で電気信号、特に無線周波数信号を伝達するための簡略化された回路構造体及びその製造方法を提供する。本明細書に記載される回路と一致する回路の様々な実施形態は、例えば、積層基板又は誘電体基板から構成されてもよく、回路特徴、信号層、接地面、又はそれらの間の他の回路構造体を有してもよい。さらに、種々の信号導体及び回路構造体は、従来の技術よりも簡単に、かつ、より小さなフィーチャサイズで製造することができる。このような回路構造体は、従来のマイクロ波範囲と同様に、ミリ波範囲への高周波動作に適している。本明細書に記載される回路、構造体、及び製造方法は、より小さなサイズ及びより高い周波数の動作を達成するために、サブトラクティブ(subtractive)及びアディティブ(additive)製造技術を使用する。
【0004】
一態様によれば、提供される回路基板は、第1表面を有する第1基板と; 前記第1表面に面する第2表面を有する第2基板と; 前記第1基板を貫通して配置された孔(例えば、孔は第1表面に実質的に垂直で良い)と; 前記第1表面及び前記第2表面の各々に近接して配置された電気コンポーネントであり、前記第1基板と前記第2基板との間で少なくとも部分的に封止され(例えば、挟まれ)、前記孔に実質的に整合した部分を有する、電気コンポーネントと; 前記孔内に配置された導電体であり、第1端子端部及び第2端子端部を有し、前記第1端子端部は前記電気コンポーネントの前記部分にハンダ付けされている、導電体と;を含む。
【0005】
を含む回路基板。
【0006】
ある実施形態において、前記導電体は、中実ワイヤである。忠実ワイヤは銅ワイヤで良い。
【0007】
いくつかの実施形態は、第1表面及び第2表面の各々において、第1表面を第2表面にボンディングするように構成されたボンディング材料を含む。従って、第1基板及び第2基板は互いにボンディングされ、電気コンポーネントを実質的に封止する。電気コンポーネントの様々な部分が、様々な実施形態において、第1基板及び/又は第2基板の1つ以上の外部へと延びる。
【0008】
ある実施形態に従った電気コンポーネントは、導電性材料から形成された信号トレースラインであり、前記孔に実質的に整合した前記部分は、前記孔を覆う端子を形成する。いくつかの実施形態において、信号トレースラインは、無線周波数信号のための入力又は出力を提供でき、第1基板及び/又は第2基板の1つ以上の外部へと延びることができる。
【0009】
様々な実施形態は、電気導電体の前記第2端子端部にハンダ付けされた部分を有する第2電気コンポーネントを備える。いくつかの実施形態において、前記第2電気コンポーネントは、信号端子、電気コネクタ、ケーブル及び電磁放射器のうちの1つである。前記第2電気コンポーネントは、第3表面に表面実装されている。いくつかの実施形態において、前記第2電気コンポーネントは、2つの基板の間に実質的に封止されている。2つの基板のうち何れかが第1基板又は第2基板のうちの1つであっても良く、いずれもがそうでなくとも良い。
【0010】
いくつかの実施形態は、前記第2基板の対向する表面に近接して配置され、前記信号トレースラインに電磁境界条件を提供するように構成されている接地面を含む。
【0011】
他の特徴に従えば、電磁回路の製造方法が提供される。当該製造方法は、第1基板又は第2基板の少なくとも1つの表面の上に回路構成を提供するステップと; 前記第1基板又は前記第2基板の少なくとも1つに孔を形成し、前記孔は前記回路構成の一部に実質的に整合するように配置される、ステップと; 導電体及び前記回路構成の前記一部の少なくとも1つにハンダを適用するステップと; 前記第1基板を前記第2基板に直接的又は間接的にボンディングするステップであり、前記第1基板と前記第2基板とのボンディング配向は、前記第1基板と前記第2基板との間に前記回路構成を少なくとも部分的に封止(例えば、挟み)し、かつ前記孔を前記回路構成の前記一部に実質的に整合させるように構成され、前記孔は、前記回路構成の前記一部へのアクセスを提供するように位置される、ステップと; 前記孔に前記導電体を挿入するステップと; ハンダをリフローさせて、前記導電体と前記回路構成の前記一部との間に電気的接続を形成するステップと;を含む。
【0012】
ある実施形態において、前記孔に前記導電体を挿入するステップが前記孔に中実のワイヤのセグメントを挿入するステップを含む。ワイヤは銅であって良い。
【0013】
様々な実施形態において、前記の回路構成を提供するステップが、前記表面から導電性材料をミリングして、前記回路構成を形成するステップを含む。前記の導電性材料をミリングするステップが、前記導電性材料をミリングして、信号トレースラインを形成するステップを含む。
【0014】
様々な実施形態に従えば、前記回路構成が第1回路構成であり、当該方法は、前記孔の対向する開口に実質的に整合するように位置された第2部分を有する第2回路構成を提供するステップと; 前記導電体と前記第2部分との間に電気接続を形成するようハンダを適用するステップと;をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記の第2回路構成を提供するステップは、導電性材料をミリングして電磁放射器を形成するステップを含む。いくつかの実施形態において、前記の第2回路構成を提供するステップは、導電性材料をミリングして、電気コネクタ又は電気ケーブルのうちの少なくとも1つに結合されるように構成された信号端子パッドを形成するステップを含む。
【0016】
他の特徴に従って提供される回路基板は、第2誘電体基板に直接的又は間接的にボンディングされた第1誘電体基板と; 前記第1誘電体基板と前記第2誘電体基板との間にある内方表面に近接して配置された導電性材料から形成されている信号トレースラインと; 前記第2誘電体基板を貫通して配置され、前記信号トレースラインの一部に実質的に整合している孔と; 前記孔内に配置された導電体と; 電気導体の第1端子端部と前記信号トレースラインの前記一部との間に形成されているハンダ接合部と;を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記導電体は、前記孔の壁に対して緩い嵌合を有する中実ワイヤのセグメントである。ワイヤは銅であって良い。
【0018】
いくつかの実施形態は、前記電気導体の第2端子端部にハンダ付けされた部分を有する電気コンポーネントであり、信号端子、電気コネクタ、ケーブル及び電磁放射器のうちの少なくとも1つである電気コンポーネントを含む。様々な実施形態において、前記信号トレースラインは、前記電気導体を介して前記電気コンポーネントとの間で無線周波数信号を伝達するように構成されている。様々な実施形態において、前記電気コンポーネントは、前記第2誘電体基板又は前記第2誘電体基板に直接的若しくは間接的にボンディングされたさらなる基板のうちの1つの外方表面に表面実装されている。
【0019】
さらに他の態様、例、及び利点は、以下で詳細に議論される。本明細書に開示された実施形態は、本明細書に開示された原理の少なくとも1つと矛盾しない任意の方法で他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替の実施形態」、「様々な実施形態」、「1つの実施形態」などへの言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、記載された特定の特徴、構造体、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書におけるこのような用語の表出は、必ずしも同一の実施形態を指すものではない。
【0020】
ここに記載される種々の態様及び実施形態は、記載される方法又は機能のいずれかを実施するための手段を含み得る。
【0021】
少なくとも1つの実施形態の種々の態様は、添付図面を参照して後述されるが、これらは、縮尺通りに描かれることを意図されていない。図面は、種々の態様及び実施形態の説明及びさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示の限界の定義として意図されるものではない。図面において、種々の図に示されている同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表すことができる。明瞭にするために、全ての構成要素が全ての図においてラベル付けされているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電磁回路構造体の一例の概略図である。
図2】電磁回路構造体の他の例の概略図である。
図3図1の電磁回路構造体の分解図であり、図1の電磁回路構造体の組立方法の一態様を示す。
図4図2の電磁回路構造体の分解図であり、図2の電磁回路構造体の組立方法の一態様を示す。
図5】電磁回路構造体の一般化された組み立て方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に記載の態様及び実施例は、無線周波回路の実施形態を含む様々な回路基板の製造に適した様々な回路内の層間信号伝達を提供する。本明細書に記載の態様及び実施例は、有利には、アディティブ及びサブトラクティブ製造技術を適用して、層間の信号の伝達のための構造体を提供し、それは、種々の回路コンポーネント又は回路構成からの信号を、他の回路コンポーネント又は回路構成に伝達することができる。いくつかの実施形態において、垂直送出構造体(vertical launch structure)は、信号を放射器(例えば、アンテナ)に供給することができ、同様に、放射器から信号を受信することができ、これは、放射素子のアレイの一部であってもよい。いくつかの実施形態において、垂直送出構造体は、コネクタ、導波管、ケーブルなどに信号を供給することができ、さらに回路コンポーネント又は回路構成に伝達できる。いくつかの実施形態において、垂直送出構造体は、信号を信号分割器(又は結合器)に供給でき、或いはそこから信号を受信できる。信号分割器は、放射素子のアレイのためのビーム形成器の一部であってよい。様々な実施形態は、垂直送出構造体を採用して、信号を種々の他の回路コンポーネント又は回路構成に伝達することができる。
【0024】
本明細書に記載される製造プロセスは、適切なサブトラクティブ(例えば、ミリング、ドリリング)及びアディティブ(例えば、3D印刷、充填)製造装置を使用して、例えば、8~75GHz又はそれ以上、及び300GHzまで又はそれ以上の範囲の電磁気信号をサポートすることができる小さな回路構成を有する回路構造体の製造に特に適している。本明細書に記載されるシステム及び方法に従う電磁回路構造体は、ミリ波通信、センシング、レンジングなどを含む28~70GHzシステムでの適用に特に適している。記載される態様及び実施形態はまた、Sバンド(2~4GHz)、Xバンド(8~12GHz)、又は他のバンドなどの、より低周波数の用途にも適している。
【0025】
本明細書に記載された方法及び装置の実施形態は、以下の説明に記載され、或いは添付図面に例示された構成及び構成要素の配置の詳細に適用することに限定されないことを理解されたい。当該方法及び装置は、他の実施形態で実施可能であり、実践可能であるか、又は種々の方法で実行可能である。具体的実装の数実施例が、例示的な目的のためだけに本明細書で提供されており、限定的なことを意図したものではない。また、本明細書中で使用される表現及び用語は、記述の目的のためであり、制限的に理解されるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「包含する」及びそれらの変形的使用は、その後に列挙される項目及びそれらの同等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。「又は」への言及は、「又は」を使用して記載される用語が単一の、複数の、及び記載される用語のすべてを示すことができるように、「又は」への言及は包括的であると解釈され得る。前後、左右、頂部底部、上方下方、端部、側面、垂直、水平などへの言及は、本システム及び方法又はそれらの構成要素を、いずれか1つの位置又は空間方向に限定するのではなく、説明の便宜のために意図されたものである。
【0026】
本明細書中で使用される用語「無線周波数」は、明示的に記述され、かつ/又は文脈によって具体的に示されない限り、特定の周波数、周波数範囲、バンド、スペクトルなどに限定されることを意図するものではない。同様に、用語「無線周波数信号」及び「電磁信号」は、互換的に使用され、任意の特定の実装のために、情報伝送信号の伝搬のための種々の適切な周波数の信号を指すことができる。そのような無線当該無線周波数信号は、一般に、下端がキロヘルツ(kHz)範囲の周波数によって拘束され、上端が数百ギガヘルツ(GHz)までの周波数によって拘束され、マイクロ波又はミリ波範囲の信号を明示的に含むことができる。一般に、本明細書に記載されているものと一致するシステム及び方法は、光学分野で従来取り扱われている周波数以下、例えば赤外線信号よりも低い周波数で、非電離放射線(non-ionizing radiation)を取り扱うのに適している。
【0027】
無線周波数回路の種々の実施形態は、種々の周波数で動作するように、選択される寸法及び/又は公称に製造される寸法を有するように設計され得る。適切な寸法の選択は、一般的な電磁原理から行うことができ、本明細書では詳細に示さない。
【0028】
本明細書に記載される方法及び装置は、従来のプロセスが可能であるよりも小さな配置及び寸法を支持することができる。従来の回路基板は、約30GHz未満の周波数に制限されてしまう。本明細書に記載される方法及び装置は、より安全でより複雑でない製造を用い、より低いコストで、より高い周波数で動作することを意図される無線周波数回路に適した、より小さな寸法の電磁回路の製造を可能にし、又はこれを収容することができる。
【0029】
本明細書に記載されているものに従った電磁回路及び製造方法は、従来の回路及び方法よりも、低プロファイルで、低コストで、低サイクル時間で、及び低設計リスクで、より高い周波数を取り扱うことが可能な電磁回路及び部品を製造するための、種々のアディティブ的及びサブトラクティブ的製造技術を含む。当該技術の例としては、基板の表面から導電性材料を機械加工(例えば、ミリング)して、信号トレース(例えば、信号導体、ストリップ線)又は開口を形成したり(これは、従来のPCBプロセスによって許容される寸法よりもかなり小さくすることができ)、また1つ以上の基板を機械加工して、トレンチを形成し、印刷された導電性インクをトレンチに堆積させて、連続電気バリア(例えば、ファラデー壁)(例えば、最小間隔を必要とする一連の接地ビアとは対照的に)を形成し、基板の一部を通る孔を機械加工(例えば、ミリング、ドリリング、又はパンチ)して、ワイヤが配置された(及び/又は、導電性インクが印刷された)信号トレースに電気的に接触させることによって形成される「垂直送出」信号経路を使用して、印刷された抵抗性インクを堆積させて、抵抗性成分を形成する3次元印刷技術を使用したりすることが挙げられる。
【0030】
上記の例示的な技術及び/又は他の技術(例えば、ハンダ付け及び/又はハンダリフロー)のいずれかを組み合わせて、種々の電磁コンポーネント及び/又は回路を作製してもよい。このような技術の態様及び例は、電磁回路の層に沿って一次元で、かつ回路の他の層を通って別の次元で垂直に電磁信号を封じ込めかつ伝達するための無線周波数相互接続に関して本明細書に記載され、図示されている。ここに記載される技術は、種々の電磁コンポーネント、コネクタ、回路、アセンブリ及びシステムを形成するために使用され得る。
【0031】
図1は、断面端面図における電磁回路構造体100の一例を示す。電磁回路構造体100は、信号トレース120(例えば、基板上に配置された導電線)から回路構造体100の異なる層に配置された信号端子130へ、無線周波数又は他の信号などの信号を伝送するように構成された導体110を含む。導体110は、信号端子130から信号トレース120へ1つ又は複数の信号を等価的に伝達することができ、様々な実施形態において、1つ又は複数の信号を両方向に同時に(例えば、双方向に)伝達することができる。導体110は、種々の電磁回路用途に応じて、種々の目的のいずれかのために、信号トレース120と信号端子130との間に電気的接続を提供することができる。信号トレース120及び信号端子130は、特定の形態に限定されるものではなく、様々な実施形態において、様々な形態のいずれかであってもよく、回路構成要素(例えば、放射素子又はアンテナ)、端子パッド、表面接続パッド(例えば、コネクタ又はケーブルを表面実装するため)であってもよく、又は信号を他の構成要素に及び/又は他の構成要素から伝達する信号トレースであってもよく、又は他の目的及び形態をとってもよい。
【0032】
様々な実施形態において、導体110は、回路構造体100の1つ以上の基板及び/又は層の開口部に挿入され、ハンダ接合部(例えば、ハンダ190)の直接塗布及び/又は1つ以上の位置又は表面にハンダバンプ(例えば、錫塗布)を塗布し、その後、製造プロセス中のある時点でハンダリフロー操作を行うことなどにより、ハンダ接合部によって物理的及び電気的に固定されてもよい。従って、導体110は、開口部(孔)の内側に圧縮嵌合又は力嵌合する必要はなく、開口部の壁に対して緩い嵌合を有してもよい。図1の例では、信号トレース120の端子端部は、導体110が配置される開口部の一端部と整列し、信号トレース120の端部は、導体110がハンダ付けされ得る端子パッドである。
【0033】
様々な実施形態において、導体110を収容するための1層以上の基板内の1個以上の開口部が、導体110を収容するために適切なサイズの孔をフライス削り又はミリング(milling)又はドリル加工又はドリリング(drilling)することによって形成することができる。導体110は、中実、中空、一本鎖、又は多本鎖であってもよい、銅又は他の導体ワイヤのようなワイヤであってもよい。図1に示すように、回路構造体100は、信号トレース120と信号端子130との間に1層以上の中間基板140、150を含むことができる。様々な実施形態において、導体110を収容するために、中間基板140、150の各々にミリング(例えば、ドリリングする)ことができ、中間基板140、150は、互いに(例えば、図示しない接着剤を介して)接着することができる。様々な実施形態において、ミリングされた孔及び/又は導体110は、適切な機械加工機器を用いて、直径が約5ミル(0.005インチ)程度、又は約2ミル又は3ミル程度であってもよい。さらに、様々な実施形態において、信号トレース120は、基板上に配置された、電気メッキされた銅層のような導電層をミリングすることによって形成することができ、幅は約5ミル又はそれ以下であってもよい。
【0034】
様々な実施形態において、中間基板140、150の間に、図1に示す接地平面160のような様々な回路構成要素が存在し、或いは中間基板140、150のような様々な中間基板の間に、他の信号トレース又は構成要素(例えば、抵抗、インダクタ、コンデンサ、ラジエータ、信号分割器など)が存在してもよい。図1に示されるような信号トレース120、導体110、信号端子130、接地面160等は、単に1つの可能な実施形態の断面を表している。様々な実施形態は、他の断面位置(例えば、図面の平面の内側又は外側)に付加的な特徴、構成要素、及び/又は構造体を有しており、これらは、簡略化のために図面には示されていない。様々な実施形態は、導体110が信号伝達を提供することができる追加の中間基板を有することができる。従って、様々な実施形態は、誘電体面、接地面、信号トレース、及び関連する他の回路構成要素の複数の層を有し得る。
【0035】
図1に示される例では、さらに、信号トレース120が一対の接地面160、170(例えば、図示の信号トレース120の上下)を備えるように、例えば、基板180の対向面上に接地面170を含む。例えば、接地面160、170は、それぞれの基板(例えば、基板140、150、180)の1層以上の表面に配置された、銅のような電気めっき材料であってもよい。様々な実施形態において、例えば基板140、180の材料及び厚さは、信号トレース120によって伝達される信号の特性インピーダンスを維持するように選択することができ、その選択もまた、伝送される信号の周波数の範囲に基づくことができる。さらに、信号トレース120の幅(図示せず)は、例えば、特性インピーダンス、減衰などを維持するために、種々の信号周波数の伝達のために選択され得る。接地面160、170は、信号トレース120によって伝達される種々の信号が表現され得る電磁境界条件(例えば、接地)を維持することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、さらなる接地面又は構造体が、図1の平面内にではなく、回路構造体100に含まれてもよい。例えば、信号トレース120の何れかの側(例えば、図1の平面の後方又は前方、図1の平面に実質的に平行であり、接地面160、170に垂直)に1つ以上の導電壁(例えば、図1に対して垂直なファラデー壁)が存在しても良い。導電壁は接地面160と接地面170との間に延在し、信号トレース120の少なくとも一部が、電磁境界によって4辺で包囲されても良く、例えば、上下を接地面160、170によって、信号トレース120の長さに沿って、何れかの側にファラデー壁によって包囲され得る。例えば、1つ以上の垂直トレンチが、基板140、180を通して、接地面170から接地面160(図1のものとは異なる平面)にミリングされてもよく、トレンチは、導電性材料、例えば、導電性インクで充填されてもよく、導電性インクは、例えば、いくつかの実施形態において、3次元印刷されてもよい。このようなファラデー壁の電気的接続性は、接地面160、170(例えば、接地面の導体を貫通させることなくトレンチミル加工された)と接触して位置する導電性インクを介して接地面160、170とともに形成されてもよく、製造プロセスのハンダ付け工程、又は2つの技術及び/又は他の技術の組み合わせによって形成されてもよい。ファラデー壁及びその製造の少なくとも1つの例のさらなる詳細は、2018年5月18日に出願された米国仮特許出願第62/673,491号「ADDITIVE MANUFACTURING TECHNOLOGY (AMT) FARADAY BOUNDARIES IN RADIO FREQUENCY CIRCUITS」に開示されており、この文献は、全ての目的のために本明細書に参照して援用されている。
【0037】
図2は、本明細書に記載される態様及び実施形態に従って、電磁回路構造体200の別の例を示す。回路構造体200は、図1の回路構造体100と同様であるが、回路構造体200の例における導体110は、信号トレース120と別の信号トレース220との間の信号伝達を提供する。様々な実施形態において、さらなる基板が設けられ、基板150に接合されて、さらなる接地面、例えば、信号トレース220の上方の接地面、及び接地面160からの信号トレース220の反対側の接地面を提供することができる。さらに、様々な実施形態は、1つ以上のファラデー壁を含んでも良く、上述のように、信号トレース220によって伝達される信号に対して追加の電磁境界条件を提供する。
【0038】
本明細書の態様及び実施形態に従って、種々の基板及び回路層の間に配置された「垂直送出(vertical launch)」層間信号接続を提供する種々の製造方法を図3及び図4に関して説明する。
【0039】
図3は、回路構造体100の拡大図を示す。種々の実施形態が、銅などの電気めっきされた導電性材料のような導電性材料を対向する両面上に有する基板180から開始し得る。信号トレース120は、余分な導電性材料を信号トレース120を形成するようにミリングすることによって、導電性材料の面の少なくとも1つから形成することができる。信号トレース120は、信号トレース120が使用され得る周波数の範囲に部分的に基づいて、特定の信号タイプに適した幅にミリングすることができる。上述したように、基板180の厚さ及び材料はまた、接地面170と組み合わせて、例えば、基板180の対向面上に配置された導電材料と組み合わせて、選択することができ、信号トレース120によって伝達される信号に対して特性インピーダンスが維持することができる。いくつかの実施形態において、ハンダバンプ192が、信号トレース120の端子端部に適用されてもよく、端子端部の錫めっき(tinning)であってもよい。代替的又は追加的に、ハンダバンプ又はハンダ錫めっきを、信号トレース120の端子端部と接触するように意図された導体110の端部上で、導体110に適用することができる。
【0040】
次いで、基板140が、種々のタイプのボンディング材料(例えば、接着剤)及びボンディング方法を介して、基板180にボンディングされ得る。孔142が、信号トレース120(及びハンダバンプ192)の端子端部へのアクセスを提供するために、基板140を通してミリングされる。様々な実施形態において、孔142は、基板140を基板180にボンディングする前に、或いはその後にミリングされてもよい。
【0041】
基板150を、上述の基板180と同様に、対向する両面に配置された導電性材料を備えて提供することができる。導電性材料の一面は、接地面160となり得る。基板150の対向面上の導電性材料の一部は、信号端子130となることができる。いくつかの実施形態において、信号端子130は、基板150のそれぞれの面からいくらかの導電性材料をミリングすることによって形成されてもよい。他の実施形態において、信号端子130は、他の手段によって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、上述のように、信号端子130は、異なる構造体及び/又は回路構成要素であってもよく、或いは異なる構造体及び/又は回路構成要素を含んでもよい。
【0042】
例えば、信号端子130は、基板150の表面上に配置された様々な形状のいずれかを有する放射器(radiator)であってもよい。放射器は、例えば、導体110により適切な信号を供給されたときに電磁エネルギを放射するように構成された直線状又は螺旋状の信号トレースなどである。他の実施形態において、信号端子130は、コネクタ又はケーブルのための表面実装ポイントであってもよく、或いは、例えば回路構造体200の信号トレース220などの第2の信号トレースの一部であってもよく、又はその一部を形成してもよい。様々な実施形態において、異なる構造体が、図3に示される信号端子130の位置又はその近傍に含まれてもよく、導体110との適切な電気的結合のために構成されてもよい。本明細書に記載される「垂直送出(vertical launch)」導体110及び方法は、導体110が信号を伝達するように構成される回路構成要素によって制限されることを意図されない。従って、信号トレース120及び信号端子130の各々は、本明細書に記載の回路構造体及び方法が含むことができる回路構成要素の単なる一例に過ぎない。
【0043】
引き続き、図3に示されるアセンブリプロセスの例を参照すると、導電性材料の一部分162が、基板150を通して孔152がミリングされ得る場所において、例えば、接地面160の一部分を除去するようにミリングされ得る。孔152は、導体110を収容するように構成され、孔142へのアクセスを提供し、これを通して、信号トレース120の端子端部(及び、もし含まれていれば、ハンダバンプ192)へのアクセスが提供される。ミリングされ除去された部分162は、導体110と接地面160との間にクリアランスを提供し、例えば、最終アセンブリ時に導体110と接地面160との間に電気的接続が行われないようにする。
【0044】
基板150(及び/又は接地面160の外部表面)は、基板140にボンディングされてもよい。したがって、接地面160は、基板140と基板150との間に封止されてもよい。一旦ボンディングされると、孔142、152は、信号トレース120(及びハンダバンプ192)の端子端部へのアクセスを提供するために、基板140、150を通して実質的に連続した開口を形成することができる。導体110は、孔142、152に挿入することができる。(例えば、ハンダ付けツールからの)熱194をハンダ190に印加して、導体110の一端と信号端子130との間に確実な電気接続を形成することができる。印加された熱194は、導体110を通して導体110の他端に伝達されることができ、この熱は、信号トレース120の端子端部に加えられたハンダバンプ192をリフローし得るか、又は任意に、導体110の他端部に予め適用されたハンダバンプをリフローし得る。従って、リフローされたハンダは、信号トレース120の端子端部と導体110との間に確実な電気接続を形成することができる。
【0045】
電磁回路構造体100の上記製造方法(又はアセンブリ)に対する多数のバリエーションが、様々な実施形態の間に含まれてもよい。例えば、基板140、150は、孔142、152のミリングに先立って互いに結合されてもよく、基板140、150のボンディングされた組み合わせを通して単一の孔がミリングされてもよい。さらに、基板180、140、150は全て、信号トレース120の末端へのアクセスを提供するために、基板140、150を貫通する孔をミリングする前に、互いにボンディングされてもよい。接地面160は、基板150上ではなく基板140上に配置された導電性材料として形成されてもよく、或いは接地面160は、製造中に基板140、150の各々にボンディングされた積層体層であってもよく、例えば、基板140、150のいずれかの上に予め配置されていなくてもよい。他の実施形態において、接地面160は除外されてもよい。信号トレース120は、基板120上ではなく、基板140上に配置された導電性材料から形成することができる。上述のように、ハンダバンプは、信号トレース120上に示されるハンダバンプ192の代わりに、又はそれに加えて、信号トレース120と電気的に接触させる導体110上に配置されてもよい。当業者は、本明細書に記載される態様及び実施形態に従い、回路の層間で信号を伝達するように構成される「垂直送出」導体を生成し得る種々の構成要素及び方法に対する多くの変形を認識し得る。
【0046】
図4は、「垂直送出」層間信号接続を提供するための種々の製造方法を示す回路構造体200の拡大図である。種々のミリング、ハンダ付け、及び挿入(例えば、導体110の)は、図3に関して上述したものと同様である。しかし、回路構造体200は、2つの信号トレース120、220の間で信号を伝達するように構成することができる。回路構造体200のこの例では、基板150の表面上の導電性材料をミリングすることによって形成され得る信号トレース220を形成する導電性材料を貫通させないことが望ましい。従って、ホール152は、基板150の一方の側から信号トレース220に向かってミリングされてもよく、信号トレース220を貫通しない。この例のように、信号トレース220が基板150上に配置された導電性材料から形成される場合、信号トレース220の端子端部にハンダバンプを配置することは不可能であり得る。代わりに、図示のように、最終アセンブリの際に信号トレース220と接触することができる場所において、ハンダバンプ292を導体110上に配置することができる。ハンダリフロー動作は、オーブン又はベーキングプロセスを含んでもよく、それにより図4に示された構成要素の大部分又は全てを加熱し、ハンダバンプ192、292をリフローして導体110とそれぞれの信号トレース120、220との間に確実な電気接続を形成する。
【0047】
さらに、図3に関する上述の方法オプションにおけるように、電磁回路構造体200の製造(又はアセンブリ)方法に対する多数のバリエーションが、様々な実施形態の中に含まれてもよい。例えば、種々の実施形態は、孔142をミリングする前に基板140を基板180にボンディングすることを含んでもよい。基板150は、基板180にボンディングする前に基板140にボンディングされてもよく、孔142、152は、基板140、150のボンディングされた組み合わせを通してミリングされてもよく、又は、互いに分離された基板140、150の各々を通してそれぞれミリングされてもよい。上述のように、当業者は、本明細書に記載の態様及び実施形態に従い、回路の層間で信号を伝達するように構成された「垂直送出」接続を生じ得る種々の構成要素及び方法に対するさらなる変形を、本開示の利点を伴って認識することができる。
【0048】
図5は、本明細書の態様及び実施形態に従って、回路の層間に垂直送出接続、例えば、層間接続を形成する一般化された方法500の実施例を示す。回路構成が、基板上に設けられ(ブロック510)、回路構成は、垂直接続が望まれるものである。孔が、第1基板にボンディングされる別の基板にミリングされる(ブロック520)。孔は、電気的接続がなされるべき回路構成の一部に整合するように位置決めされる。例えば、回路構成は、信号トレースラインであってもよく、孔が整列する部分は、信号トレースラインの端子端部であってもよい。孔は、電気的接続の一部を形成する導電体を収容するように寸法決めされてもよい。ハンダが、電気導体の一方(又は両方)及び回路構成の一部に適用される(ブロック530)。回路構成、2層の基板、及び導電体は、基板をボンディングし(ブロック540)、導電体を孔に挿入(ブロック550)することによって組み立てられ、ハンダリフロー動作(ブロック560)が行われ、回路構成の一部と導電体との間の電気接続が行われる。図5の様々なプロセス・ブロックは、様々な順序で実行することができ、いくつかの実施形態において、例えば複数の基板及び/又は垂直送出接続を有するような、より複雑な回路のために、様々なプロセス・ブロックを繰り返すことができる。上述のように、ボンディングの前又は後に、1つ以上の孔をミリングすることができ、ハンダをそのようなプロセスで種々の適切な点に適用することができ、回路構成はプロセス等における異なる点に形成されてもよい。
【0049】
様々な実施形態において、ボンディングは、加熱プロセスを含んでもよく、ハンダリフローは、いくつかの実施形態において、同じ加熱プロセスで達成されてもよい。例えば、ボンディングのために2層以上の基板を位置づけ及び/又は整合することができ、接着材料又はボンディング材料が間に配置され、導電体が1つ以上の孔を通して挿入され、そのようなアセンブリが加熱されて、ボンディング及びハンダリフローの両方が完了する。いくつかの実施形態において、追加的な基板が、加熱の前に位置され及び/又は整合されてもよく、その結果、導電体(導体上又は種々の回路構成の部分上にハンダスズ処理を施した)が、多層電磁回路構造体内に配置され、或いは多層電磁回路構造体によって封止されてもよく、種々の層のボンディング及び種々のハンダバンプ/スズ処理が、1つ以上の加熱ステップ又はプロセスによって達成されてもよい。
【0050】
本明細書に記載されるシステム及び方法のさらなる利を実現し得る。例えば、従来のPCB製造は、信号トレースの幅及び層間接続のためのスルーホールの直径のような回路構成サイズに制限を与えてしまい、これは、本明細書に記載されるシステム及び方法と比較して、従来の電磁回路が好適であり得る最高周波数を制限してしまう。しかしながら、本明細書における態様及び実施形態は、従来のPCB製造技術よりも、より複雑でない製造方法を使用して形成される、実質的に小さな信号トレース及びより小さな「垂直送出」接続を可能にする。
【0051】
さらに、基板の厚さは、信号トレースの幅に関連して(例えば、対向する両表面上に配置された接地面までの距離による)特性インピーダンスに衝撃を与え、その結果、従来のPCBプロセスによって必要とされたより広いトレースが、より厚い基板の選択を引き起こし、これが回路の製造可能な薄さを制限し得る。例えば、従来のPCB製造における一般的な推奨事項には、約60ミル(0.060インチ)の全厚さが含まれる。これとは対照的に、本件の特徴及び実施形態に従った電磁回路は、サブトラクティブ及びアディティブ製造技術を用いて、約10ミル以下の厚さまでの低プロファイルを有する回路基板をもたらし、約4.4ミル又は2.7ミル以下の幅を有する信号線トレースを有し、層間「垂直送出」接続が相応に小さい直径であり、基板の表面と実質的に同一平面にあるようにすることができる。
【0052】
種々のサブトラクティブ及びアディティブ製造技術を用いて、本明細書に記載の態様及び実施形態に従った種々の電磁回路及び方法は、接地面を接続するための電気的に連続した構造体を可能にする。従って、電気的に連続した構造体が、1つ又は複数の基板(例えば、基板の対向する両表面間)を通って提供され、垂直に配置されることができ、電場を閉じ込める「ファラデー壁」を形成することができる。様々な実施形態において、かかるファラデー壁は、2つ以上の接地面を電気的に結合することができる。さらに、様々な実施形態において、かかるファラデー壁は、隣接する回路コンポーネントから電磁場を閉じ込め、隔離することができる。いくつかの実施形態において、そのようなファラデー壁は、電磁信号を局所的な横方向電磁場(TEM fields)に制限する、例えば信号トレースラインを介する信号伝搬をTEMモードに制限する境界条件を強制することができる。
【0053】
種々の実施形態において、種々のサブトラクティブ(ミリング、ドリリング)、アディティブ(印刷、充填、挿入)、及び付着(ボンディング)ステップを、必要に応じて、種々の順序で、ハンダ付け及びリフロー動作を伴って実行して、1つ又は任意の数の基板層を有する電磁回路を形成することができる。この電磁回路は、本明細書に記載されたものに従って、1つ又は複数の垂直(例えば、層間)信号接続を含み得、放射器、受容体、ファラデー壁、信号トレース、端子パッド、又は他の特徴を含み得る。
【0054】
種々の電磁回路のいずれかを製造するための一般化された方法が、基板上に配置された導電性材料をミリングして回路構成を形成するステップと、抵抗性インクから形成された抵抗器などの追加回路構成を印刷するステップ(又は、例えば、3D印刷、アディティブ製造技術を介して堆積すること)と、例えばハンダ回路構成にハンダ付けするステップと、必要に応じて、基板材料(及び/又は、導電性材料)をミリング(又は、ドリリング)して、孔、空隙、又は、トレンチなどの開口を形成するステップと、(例えば、3D印刷、アディティブ製造技術を介して)導電性材料(導電性インク又は導線など)を孔、空隙、トレンチに堆積又は印刷するステップ(例えば、本明細書に記載の垂直信号送出を形成すること、又は、ファラデー壁又は他の回路構造体を形成すること)とを含む。これらのステップのいずれも、所与の回路設計のために必要に応じて、異なる順序で、反復して、又は省略でき、1層の基板又は層を次層の基板に接着し、必要に応じて反復するステップを続けるためのボンディングステップを含むような層を形成することができる。従って、いくつかの実施形態において、複数の基板が、電磁回路の製造及び方法に関与してもよい。必要に応じてさらなる基板をボンディングする工程、さらなるミリング及び充填作業、及びさらなるハンダ付け及び/又はリフロー作業を含む。
【0055】
垂直信号送出の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様及び同じ又は他の電磁回路を製造する方法を記述してきたが、使用される種々のミリング及びアディティブ製造装置の許容範囲及び精度に応じて、10ミル(0.010インチ、254ミクロン)又はそれ以下の厚さ、4.4ミル(111.8ミクロン)、2.7ミル(68.6ミクロン)、又は1.97ミル(50ミクロン)又はそれ以下の狭さの信号トレースなどの非常に低いプロフィールを有する種々の電磁回路を製造するために、上記記述を使用することができる。従って、本明細書に記載されるものに従った電磁回路は、Xバンド及びより高い周波数に適しており、28GHzを超え、最大70GHz又はそれ以上の周波数を収容することができる様々な実施形態を備えている。いくつかの実施形態は、300GHz又はそれ以上の周波数範囲に適している。
【0056】
加えて、本明細書に記載されたものに従った電磁回路は、軽量で、宇宙空間に配置されたときに展開される折畳み構造体を含む宇宙空間用途に適した十分に低いプロファイルを有することができる。
【0057】
さらに、本明細書に記載される方法に従って製造される電磁回路は、腐食性化学薬品、マスキング、エッチング、入浴、電気めっき等の必要性なしに、より安価でより高速なプロトタイピングに対応する。片面又は両面に予めめっきされた導電性材料を有する単純な基板を、コア出発材料を形成することができ、電磁回路の全ての要素が、ミリング(サブトラクティブ、ドリリング)、充填(アディティブ、挿入、導電性インク及び/又は抵抗性インクの印刷)、及び1層以上の基板のボンディングによって形成することができる。単純なハンダリフロー操作及び単純な導体(例えば、銅線)の挿入が、本明細書に記載される方法及びシステムに適合する。
【0058】
さらに、本明細書に記載される方法に従って製造される電磁回路が、非平面上への展開、又は非平面を要求する設計に適応することができる。本明細書に記載されるような薄型、薄型の電磁回路及び他のものは、変化する用途に適応するため、表面(車両など)に適合するため、又は、例えば、複雑なアレイ構造体を支持するために、種々の輪郭を有する電磁回路を生成するために、本明細書に記載されるようなミリング、充填、及びボンディング技術を用いて製造され得る。
【0059】
従って、少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者には、種々の変更、修正、及び改良が容易に生じることが理解されるであろう。
【0060】
このような変更、修正及び改善は、本開示の一部であることが意図されており、本開示の範囲内であることが意図されている。従って、前述の記載及び図面は例示の目的のみである。

図1
図2
図3
図4
図5