(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】センシング装置およびロータおよびセンサの異常有無判断方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
G01D5/244 K
(21)【出願番号】P 2020534312
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 KR2018016107
(87)【国際公開番号】W WO2019124925
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0175103
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】キム ウォン キョ
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-145813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178397(US,A1)
【文献】特開2010-276418(JP,A)
【文献】特開2008-180698(JP,A)
【文献】特開平4-27817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00- 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ部と、
第2センサ部と、
前記第1センサ部および前記第2センサ部と連結される制御部と、を含み、
前記第1センサ部は、第1ホールセンサと第2ホールセンサとを含み、
前記第1ホールセンサは、互いに位相が異なる2つの第1出力値を出力し、
前記第2ホールセンサは、互いに位相が異なる2つの第2出力値を出力し、
前記第2センサ部は、ロータの第3位置検出値を出力し、
前記第1センサ部と前記第2センサ部は、前記ロータのセンシングマグネットの外周面に沿って配置され、
前記制御部は、順次、
i)前記2つの第1出力値のうち一つと前記2つの第2出力値のうち一つとを比較し、
ii)前記2つの第1出力値を互いに比較して差の値を算出し、
iii)前記2つの第2出力値を互いに比較して差の値を算出し、
iv)前記第1出力値に基づいた前記ロータの第1位置検出値と前記第2出力値に基づいた前記ロータの第2位置検出値とを比較して差の値を算出し、
v)前記ロータの第1位置検出値および前記ロータの第2位置検出値のうち少なくとも一つと前記第2センサ部で出力された前記ロータの第3位置検出値とを比較して差の値を算出して、
前記i)、ii)、iii)、iv)において、各差の値が第1基準値を超えるか否かを判断し、ロータおよびセンサの異常の有無を判定し、
前記v)において、各差の値が第2基準値を超えるか否かを判断する、ロータおよびセンサの異常の有無を判断するセンシング装置。
【請求項2】
第1出力値は、第1-1出力値(S1)と第1-2出力値(C1)とを含み、
前記第1-1出力値と第1-2出力値との位相差は、90°である、請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項3】
第2出力値は、第2-1出力値(S2)と第2-2出力値(C2)とを含み、
前記第2-1出力値と第2-2出力値との位相差は、90°である、請求項2に記載のセンシング装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1-1出力値と第1-2出力値との差の値が第1基準値を越える場合、
前記第2-1出力値と第2-2出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合、
前記第1-1出力値と第2-1出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合、および、
前記第1-2出力値と第2-2出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合のうち少なくともいずれか一つに該当する場合、警告信号を生成する、請求項3に記載のセンシング装置。
【請求項5】
前記第1位置検出値は、arctan(S1/C1)であり、
前記第2位置検出値は、arctan(S2/C2)であり、
前記制御部は、前記第1位置検出値と第2位置検出値との差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成する、請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1位置検出値と第3位置検出値との差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成する、請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2位置検出値と第3位置検出値との差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成する、請求項1に記載のセンシング装置。
【請求項8】
ロータおよびセンサの異常有無判断方法において、
互いに位相が異なる2つの第1出力値を読み込む段階と、
互いに位相が異なる2つの第2出力値を読み込む段階と、
ロータの第3位置検出値を読み込む段階と、
前記2つの第1出力値のうち一つの第1出力値と前記2つの第2出力値のうち一つの第2出力値との差を利用して異常の有無を判断する段階と、
前記2つの第1出力値の差の値が第1基準値を超えるか否かを判断して異常の有無を判断する段階と、
前記2つの第2出力値の差の値が第1基準値を超えるか否かを判断して異常の有無を判断する段階と、
前記第1出力値に基づいた前記ロータの第1位置検出値と前記第2出力値に基づいた前記ロータの第2位置検出値との差の値が第2基準値を超えるか否かを判断して異常の有無を判断する段階と、
前記ロータの第1位置検出値および前記ロータの第2位置検出値のうち少なくとも一つと第2センサ部で出力された前記ロータの第3位置検出値との差の値が第
2基準値を超えるか否かを判断して異常の有無を判断する段階と、を含む、ロータおよびセンサの異常有無判断方法。
【請求項9】
前記第1出力値は、第1-1出力値および第1-2出力値を含み、
前記第1-1出力値と第1-2出力値との位相差は、90°であり、
第2出力値は、第2-1出力値および第2-2出力値を含み、
前記第2-1出力値と第2-2出力値との位相差は、90°である、請求項8に記載のロータおよびセンサの異常有無判断方法。
【請求項10】
前記第1-1出力値と第1-2出力値との差の値が第1基準値を越える場合、
前記第2-1出力値と第2-2出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合、
前記第1-1出力値と第2-1出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合、および、
前記第1-2出力値と第2-2出力値との差の値が前記第1基準値を越える場合のうち少なくともいずれか一つに該当する場合、警告信号を生成する段階をさらに含む、請求項9に記載のロータおよびセンサの異常有無判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例はセンシング装置およびロータおよびセンサの異常有無判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の変速機(Transmission)は使用者のクラッチ操作により手動操作されるか、ミッションによって速度に応じて自動操作される変速装置であって、モータを含んで構成される。
【0003】
変速機のモータはロータの上部に設置されるセンシングマグネットを含むことができる。センシングマグネットは外周面と内周面を有するリングの形態で形成される。このようなセンシングマグネットはロータの上部に設置される。そして、ロータの上部には回路基板に配置される。回路基板にはセンサ部が配置される。センサ部はセンシングマグネットと向かい合って配置されて、回転するセンシングマグネットによる磁束変化を感知してロータの位置を感知する。
【0004】
一方、センサ部に異常が発生した場合、ロータの位置を正確に感知できない。ロータの位置の異常の有無を感知することはできるが。センサ部自体に異常があるかどうかを判断することは容易ではない。センサ部自体の異常の有無を判断するためには、多くのセンサ部を追加で配置しなければならないが、これは製造工程を複雑にし、製造費用を増加させる問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例はセンサ部自体の異常の有無を感知できるセンシング装置およびロータおよびセンサの異常有無判断方法を提供することをその目的とする。
【0006】
実施例で解決しようとする課題は以上で言及された課題に限定されず、ここで言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための実施例は、第1センサ部と、第2センサ部と、前記第1センサ部と前記第2センサ部と連結される制御部と、前記第1センサ部は第1ホールセンサと第2ホールセンサを含み、前記第1ホールセンサは互いに位相が異なる2つの第1出力値を出力し、前記第2ホールセンサは互いに位相が異なる2つの第2出力値を出力し、前記第2センサ部はロータの第3位置検出値を出力し、前記制御部は、前記2つの第1出力値のうち一つと前記2つの第2出力値のうち一つを比較し、前記2つの第1出力値を互いに比較し、前記2つの第2出力値を互いに比較し、前記第1出力値に基づいた前記ロータの第1位置検出値と前記第2出力値に基づいた前記ロータの第2位置検出値を比較し、前記ロータの第1位置検出値および前記ロータの第2位置検出値のうち少なくとも一つと前記第2センサ部で出力された前記ロータの第3位置検出値を比較して、ロータおよびセンサの異常の有無を判断するセンシング装置を提供することができる。
【0008】
好ましくは、第1出力値は第1-1出力値S1と第1-2出力値C1を含み、前記第1-1出力値と第1-2出力値の位相差は90°であり得る。
【0009】
好ましくは、第2出力値は第2-1出力値S2と第2-2出力値C2を含み、前記第2-1出力値と第2-2出力値の位相差は90°であり得る。
【0010】
好ましくは、前記制御部は、前記第1-1出力値と第1-2出力値の差の値が第1基準値を越える場合、前記第2-1出力値と第2-2出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合、前記第1-1出力値と第2-1出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合、および前記第1-2出力値と第2-2出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合のうち少なくともいずれか一つに該当する場合、警告信号を生成することができる。
【0011】
好ましくは、前記第1位置検出値はarctan(S1/C1)であり、前記第2位置検出値はarctan(S2/C2)であり、前記制御部は、前記第1位置検出値と第2位置検出値の差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成することができる。
【0012】
好ましくは、前記制御部は、前記第1位置検出値と第3位置検出値の差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成することができる。
【0013】
好ましくは、前記制御部は、前記第2位置検出値と第3位置検出値の差の値が第2基準値を越える場合、警告信号を生成することができる。
【0014】
前記目的を達成するための他の実施例は、ロータおよびセンサの異常有無判断方法において、互いに位相が異なる2つの第1出力値を読み込む段階、互いに位相が異なる2つの第2出力値を読み込む段階、ロータの第3位置検出値を読み込む段階、前記2つの第1出力値のうち一つの第1出力値と前記2つの第2出力値のうち一つの第2出力値の差を利用して異常の有無を判断する段階、前記2つの第1出力値の差を利用して異常の有無を判断する段階、前記2つの第2出力値の差を利用して異常の有無を判断する段階、前記第1出力値に基づいた前記ロータの第1位置検出値と前記第2出力値に基づいた前記ロータの第2位置検出値の差を利用して異常の有無を判断する段階、前記ロータの第1位置検出値および前記ロータの第2位置検出値のうち少なくとも一つと前記第2センサ部で出力された前記ロータの第3位置検出値の差を利用して異常の有無を判断する段階を含む、ロータおよびセンサの異常有無判断方法を提供することができる。
【0015】
好ましくは、前記第1出力値は第1-1出力値と第1-2出力値を含み、前記第1-1出力値と第1-2出力値の位相差は90°であり、第2出力値は第2-1出力値と第2-2出力値を含み、前記第2-1出力値と第2-2出力値の位相差は90°であり得る。
【0016】
好ましくは、前記第1-1出力値と第1-2出力値の差の値が第1基準値を越える場合、前記第2-1出力値と第2-2出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合、前記第1-1出力値と第2-1出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合、および前記第1-2出力値と第2-2出力値の差の値が前記第1基準値を越える場合のうち少なくともいずれか一つに該当する場合、警告信号を生成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
実施例によると、別途の部品を追加することなく、センサ部自体の異常の有無を感知できる有利な効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例に係るセンシング装置を含んだモータを図示した図面。
【
図2】実施例に係るセンシング装置の制御部と、制御部に連結された第1センサ部と、第2センサ部を図示した図面。
【
図3】回路基板に実装された第1センサ部と第2センサ部を図示した図面。
【
図4】実施例に係るロータおよびセンサの異常有無判断方法を図示したブロック図。
【
図5】
図4の実施例に係るロータおよびセンサの異常有無判断方法を図示したフローチャート。
【
図6】第1出力値の波形と第2出力値の波形を図示したグラフ。
【
図7】第1位置検出値と第2位置検出値を図示したグラフ。
【
図8】第1位置検出値と、第2位置検出値と、第3位置検出値を図示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例を添付された図面を参照して詳細に説明する。本発明の目的、特定の長所および新規の特徴は、添付された図面と関連する以下の詳細な説明と好ましい実施例からさらに明白となるであろう。そして、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常のまたは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に乗っ取り、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。そして、本発明の説明において、本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがある関連した公知の技術に対する詳細な説明は省略する。
【0020】
第2、第1等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得るし、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0021】
図1は、実施例に係るセンシング装置を含んだモータを図示した図面である。
【0022】
図1を参照すると、モータはシャフト100と、ロータ200と、ステータ300を含むことができる。
【0023】
ロータ200とステータ300は電気的相互作用を誘発する。電気的相互作用が誘発されると、ロータ200が回転し、これに連動してシャフト100が回転する。シャフト100はデュアルクラッチトランスミッション(DCT、Dual-clutch Transmission)と連結されて動力を提供することができる。
【0024】
ここで、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は、従来の手動トランスミッション車両に搭載される単板クラッチトランスミッションとは異なって2組のクラッチを搭載しているため、一つのクラッチを通じて伝達される動力で1、3、5段を実現し、残りの一つのクラッチを通じて伝達される動力で2、4、6段を実現できるようにするシステムである。
【0025】
デュアルクラッチトランスミッション(DCT)はシャフト100の動力が選択的に伝達され得る。
【0026】
デュアルクラッチトランスミッションは、従来の自動トランスミッション車両のような便利なドライバビリティおよびソフトな変速感を提供すると共に、従来の手動トランスミッション車両より高い燃費を発揮できる特徴がある。
【0027】
ステータ300は複数個のティースを含むステータコアを含むことができる。ステータコアは環状のヨーク部分が設けられ、ヨークから中心方向にコイルが巻かれるティースが設けられ得る。ティースはヨーク部分の外周面に沿って一定の間隔で設けられ得る。一方、ステータコアは薄い鋼板の形態の複数個のプレートが相互に積層されて形成され得る。また、ステータコアは複数個の分割コアが相互に結合または連結されて形成され得る。
【0028】
インシュレータ400はステータ300のティースに巻かれ得る。
【0029】
コイル500はインシュレータ400に巻かれる。コイル500はロータ200と電気的相互作用を誘発する。
【0030】
センシングマグネット600はロータ200と連動するようにシャフト100に結合されてロータ200の位置を検出するための装置である。
【0031】
回路基板700には実施例に係るセンシング装置が設けられ得る。センシング装置として、センシングマグネット600の磁力を感知する第1センサ部10と第2センサ部20を含むことができる。第1センサ部10と第2センサ部20はセンシングマグネット600のN極とS極の変化を感知してセンシングシグナルを生成する。
【0032】
図2は実施例に係るセンシング装置の制御部と制御部に連結された第1センサ部と第2センサ部を図示した図面であり、
図3は回路基板に実装された第1センサ部と第2センサ部を図示した図面である。
【0033】
図2および
図3を参照すると、制御部800は回路基板700に実装され得る。制御部800は第1センサ部10と第2センサ部20に連結される。回路基板700にはシャフト100が貫通するホール710が配置され得る。第1センサ部10と第2センサ部20はホール710の周辺に配置され得る。
図3のAはセンシングマグネット600の外周面を示す境界であり、第1センサ部10と第2センサ部20は
図3のAに沿って配置され得る。第1センサ部10と第2センサ部20は
図3のAに隣接して配置され得る。
【0034】
第1センサ部10はロータ200の位置を感知するためのものである。第1センサ部10は一つのチップに第1ホールセンサ11と第2ホールセンサ12が含まれたデュアルタイプのセンサであり得る。
【0035】
第1ホールセンサ11は互いに位相が異なる2つの第1出力値を出力する。ここで、位相が異なる2つの第1出力値をそれぞれ第1-1出力値と第1-2出力値と称する。第1-1出力値と第1-2出力値は位相差が90°であり得る。そして、第1-1出力値(
図6のS1)はサイン波の出力値であり、第1-2出力値(
図6のC1)はコサイン波の出力値であり得る。制御部800はこのような第1出力値を通じて、ロータ200の1回転に基準となるロータ200の第1位置検出値(
図7のΘ1)を検出することができる。例えば、制御部800は第1位置検出値(
図7のΘ1)を下記の数学式1によって算出することができる。
【0036】
[数学式1]
Θ1=arctan(S1/C1)
【0037】
ここで、Θ1は第1位置検出値であり、S1は第1-1出力値であり、C1は第1-2出力値である。
【0038】
第2ホールセンサ12は互いに位相が異なる2つの第2出力値を出力する。ここで、位相が異なる2つの第2出力値をそれぞれ第2-1出力値と第2-2出力値と称する。第2-1出力値と第2-2出力値は位相差が90°であり得る。そして、第2-1出力値(
図6のS2)はサイン波の出力値であり、第2-2出力値(
図6のC2)はコサイン波の出力値であり得る。制御部800はこのような第2出力値を通じて、ロータ200の1回転に基準となるロータ200の第2位置検出値(
図7のΘ2)を検出することができる。例えば、制御部800は第2位置検出値(
図7のΘ2)を下記の数学式2によって算出することができる。
【0039】
[数学式2]
Θ2=arctan(S2/C2)
【0040】
ここで、Θ2は第2位置検出値であり、S2は第2-1出力値であり、C2は第2-2出力値である。
【0041】
第2センサ部20はロータ200の1回転に基準となるロータ200の第3位置検出値(
図7のΘ3)を検出するためのものである。第2センサ部20はロータ200の1回転ごとにパルスを生成することができ、この時、第3位置検出値(
図7のΘ3)は360°である。
【0042】
図4は実施例に係るロータおよびセンサの異常有無判断方法を図示したブロック図であり、
図5は
図4の実施例に係るロータおよびセンサの異常有無判断方法を図示したフローチャートであり、
図6は第1出力値の波形と第2出力値の波形を図示したグラフである。
【0043】
図4~
図6を参照すると、実施例に係るロータおよびセンサの異常有無判断方法は、まず、制御部800が第1出力値、第2出力値または第3位置検出値を読み込むことができる(S100)。
【0044】
例えば、制御部800は第1センサ部10の第1ホールセンサ11を通じて、位相差が90°である第1-1出力値S1と第1-2出力値C1を読み込む(S100A)。そして、制御部800は第1センサ部10の第2ホールセンサ12を通じて、位相差が90°である第2-1出力値S2と第2-2出力値C2を読み込む(S100B)。そして、制御部800は第2センサ部20を通じて、第3位置検出値を読み込む(S100C)。
【0045】
第1ホールセンサ11と第2ホールセンサ12を比較して異常があるかどうかを判断する過程は次の通りである。
【0046】
この後、制御部800は第1出力値と第2出力値を比較して第1センサ部10の異常の有無を判断することができる(S200)。
【0047】
例えば、制御部800は第1ホールセンサ11で出力された第1-1出力値S1と第2ホールセンサ12で出力された第2-1出力値S2の差の値の絶対値が第1基準値(例えば、0.23V)を越えているかを判断する(S210)。このとき、第1-1出力値S1と第2-1出力値S2は位相が同じであるサイン波である。
【0048】
制御部800は第1-1出力値S1と第2-1出力値S2の差の値が第1基準値を越えていると、第1センサ部10に異常があると判断して警告信号を生成する(S700)。
【0049】
第1-1出力値S1と第2-1出力値S2の差の値が第1基準値を越えていないと、制御部800は第1ホールセンサ11で出力された第1-2出力値C1と第2ホールセンサ12で出力された第2-2出力値C2の差の値の絶対値が第1基準値(例えば、0.23V)を越えているかを判断する(S220)。このとき、第1-2出力値C1と第2-2出力値C2は位相が同じであるコサイン波である。
【0050】
制御部800は第1-2出力値C1と第2-2出力値C2の差の値が第1基準値を越えていると、第1センサ部10に異常があると判断して警告信号を生成する(S700)。
【0051】
一方、第1ホールセンサ11と第2ホールセンサ12の両方に異常が発生して第1出力値と第2出力値に誤りがあるにもかかわらず、その差の値が第1基準値以内である場合もある。したがって、第1ホールセンサ11と第2ホールセンサ12のそれぞれに対してその異常の有無を判断する必要がある。
【0052】
第1ホールセンサ11の異常の有無を判断する過程は次の通りである。
【0053】
第1-2出力値C1と第2-2出力値C2の差の値が第1基準値を越えていないと、引き続き、制御部800は2つの第1出力値を比較して第1ホールセンサ11の異常の有無を判断する(S300)。
【0054】
例えば、制御部800は第1ホールセンサ11で出力された第1-1出力値S1と第1-2出力値C1の差の値の絶対値が第1基準値(例えば、0.23V)を越えているかを判断する。この時、第1-1出力値S1はサイン波の最大振幅であり得るし、第1-2出力値C1はコサイン波の最大振幅であり得る。制御部800は第1-1出力値S1と第1-2出力値C1の差の値が第1基準値を越えていると、第1ホールセンサ11に異常があると判断して警告信号を生成する(S700)。
【0055】
第2ホールセンサ12の異常の有無を判断する過程は次の通りである。
【0056】
第1-1出力値S1と第1-2出力値C1の差の値が第1基準値を越えていないと、制御部800は2つの第2出力値を比較して第2ホールセンサ12の異常の有無を判断する(S400)。
【0057】
例えば、制御部800は第2ホールセンサ12で出力された第2-1出力値S2と第2-2出力値C2の差の値の絶対値が第1基準値(例えば、0.23V)を越えているかを判断する。この時、第2-1出力値S2はサイン波の最大振幅であり得るし、第2-2出力値C2はコサイン波の最大振幅であり得る。制御部800は第2-1出力値S2と第2-2出力値C2の差の値が第1基準値を越えていると、第2ホールセンサ12に異常があると判断して警告信号を生成する(S700)。
【0058】
第2-1出力値S2と第2-2出力値C2の差の値の絶対値が第1基準値(例えば、0.23V)を越えていないと、制御部800はロータ200の1回転に基準となるロータ200の位置を基準として、第1センサ部10の異常の有無を判断する。
【0059】
図7は、第1位置検出値と第2位置検出値を図示した図面である。
【0060】
制御部800は第1出力値を通じて、ロータ200の1回転に基準となるロータ200の第1位置検出値Θ1を検出することができる。また、制御部800は第2出力値を通じて、ロータ200の1回転に基準となるロータ200の第2位置検出値Θ2を検出することができる。第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2はそれぞれロータ200の位置を示したものであって、好ましくは同じでなければならない。
【0061】
制御部800は第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2の差の値の絶対値が第2基準値(例えば、4°)を越えているかを判断する(S500)。制御部800は第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2の差の値の絶対値が第2基準値(例えば、4°)を超えていると、第1センサ部10に異常があると判断して、警告信号を生成する(S700)。
【0062】
ただし、第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2に同時にエラーが発生した場合、第1センサ部10に異常があるにもかかわらず、第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2の差の値の絶対値が第2基準値を越えないこともある。したがって、制御部800は追加的に、第2センサ部20の第3位置検出値Θ3を利用して、第1センサ部10の異常の有無を判断する。
【0063】
図8は、第1位置検出値と第2位置検出値と第3位置検出値を図示したグラフである。
【0064】
図8を参照すると、制御部800は第2センサ部20を通じて、ロータ200の1回転に基準となる第3位置検出値Θ3を検出することができる。制御部800は第1位置検出値Θ1と第3位置検出値Θ3の差の値(
図8のE)、または第2位置検出値Θ2と第3位置検出値Θ3の差の値(
図8のE)の絶対値が第2基準値(例えば、4°)を越えているかを判断する(S600)。
【0065】
例えば、
図8で図示した通り、第3位置検出値Θ3を示すパルス波形と、第1位置検出値Θ1または第2位置検出値Θ2を示すノコギリ波形を同時間帯に示す時、
図8のEのように、ロータ200の位置が360°である地点で差の値が発生し、その差の値が4°を越える場合、制御部800は第1ホールセンサ11の異常と判断することができる。
【0066】
このように制御部800は第1位置検出値Θ1と第3位置検出値Θ3の差の値、または第2位置検出値Θ2と第3位置検出値Θ3の差の値の絶対値が第2基準値(例えば、4°)を超えていると、第1センサ部10に異常があると判断して警告信号を生成する(S700)。この場合、第1センサ部10に異常があるにもかかわらず、第1位置検出値Θ1と第2位置検出値Θ2の差の値の絶対値が第2基準値を越えていない場合にも、第1センサ部10の異常を検出できる利点がある。
【0067】
以上、本発明の好ましい一つの実施例に係るセンシング装置およびロータおよびセンサの異常有無判断方法について、添付された図面を参照して具体的に詳察した。
【0068】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更および置換が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例および添付された図面は本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例および添付された図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下記の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。