IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン エルエルシーの特許一覧

特許7297760外科用器具の横切中のナイフ位置を表示するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】外科用器具の横切中のナイフ位置を表示するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020534386
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 IB2018060116
(87)【国際公開番号】W WO2019123175
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】15/849,785
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パルフェット・レイモンド・イー
(72)【発明者】
【氏名】ラインバック・リチャード・エル
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530945(JP,A)
【文献】特開2007-203050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068-17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタと、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記センサを介して前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置に移動しているとき、前記変位部材が閾位置通り越して位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記閾値位置通り越して位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備え、
前記閾値位置は、ロックアウト位置と前記第1の位置との間の差に等しい距離だけ前記第2の位置からオフセットされている位置であり、前記ロックアウト位置は、前記カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて前記第1の位置から前記第2の位置に向かう方向に並進できない位置に対応する、外科用器具。
【請求項2】
前記変位部材に結合されたナイフを更に備え、前記ナイフは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記変位部材の移動によって、前記ナイフの未発射位置と前記ナイフの発射位置との間で駆動される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記変位部材の位置が、前記ナイフの位置に対応する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記第1の位置が前記変位部材の近位位置に対応し、前記第2の位置が前記変位部材の遠位位置に対応する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記制御回路が、
前記センサを介して前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動しているとき、前記ディスプレイに前記変位部材の位置と前記ロックアウト位置との間の差を表示させるように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記制御回路が、前記ディスプレイに前記変位部材の位置を数値として表示させるように構成されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
外科用器具であって、
カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタと、
第1の位置と第2の位置との間に画定された第1のゾーン及び第2のゾーンを通って移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記センサを介して前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置に移動しているとき、前記変位部材が前記第1のゾーン内に位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記第1のゾーン内に位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備え、
前記第1のゾーンが、前記第1の位置と閾値位置との間に画定され、前記第2のゾーンが、前記閾値位置と前記第2の位置との間に画定され、
前記閾値位置は、ロックアウト位置と前記第1の位置との間の差に等しい距離だけ前記第2の位置からオフセットされている位置であり、前記ロックアウト位置は、前記カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて前記第1の位置から前記第2の位置に向かう方向に並進できない位置に対応する、外科用器具。
【請求項8】
前記変位部材に結合されたナイフを更に備え、前記ナイフは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記変位部材の移動によって、前記ナイフの未発射位置と前記ナイフの発射位置との間で駆動される、請求項に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記変位部材の位置が、前記ナイフの位置に対応する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記第1のゾーンが、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記第2のゾーンに対して近位に位置する、請求項に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記制御回路が、
前記センサを介して前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動しているとき、前記ディスプレイに前記変位部材の位置と前記ロックアウト位置との間の差を表示させるように更に構成されている、請求項に記載の外科用器具。
【請求項12】
外科用器具であって、
カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタと、
ナイフであって、前記ナイフの未発射位置と前記ナイフの発射位置との間で移動可能であるナイフと、
前記ナイフに結合された変位部材であって、前記変位部材が、前記ナイフを前記未発射位置と前記発射位置との間で駆動するように、近位位置と遠位位置との間で移動可能である、変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記ナイフが後退しているかどうかを判定し、
前記変位部材の位置を前記センサを介して判定し、
前記ナイフが後退しているとき、前記変位部材が閾値位置に対して近位に位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記閾値位置に対して近位に位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の位置に従って前記ナイフの位置を表示させるように構成された制御回路と、を備え、
前記閾値位置は、ロックアウト位置と前記近位位置との間の差に等しい距離だけ前記遠位位置からオフセットされている位置であり、前記ロックアウト位置は、前記カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて遠位方向に並進できない位置に対応する、外科用器具。
【請求項13】
前記制御回路が、
前記ナイフが発射しているかどうかを判定し、かつ、
前記ナイフの発射の際に、前記ディスプレイに前記変位部材の位置と前記ロックアウト位置との差を表示させるように更に構成されている、請求項12に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用器具に関し、また様々な状況においては、組織を切断及びステープル留めするように設計された外科用ステープル留め及び切断器具に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用ステープル留め及び切断器具では、ナイフの表示位置は、一般的には直接感知されず、むしろ、駆動システムの変位部材の位置及び機械的許容誤差に基づいて推測される。更に、単軸外科用ステープル留め及び切断器具において、器具のエンドエフェクタの関節運動及び器具の発射は、一般に、変位部材の発射ストロークの2つの別個のゾーンで達成され、その結果、関節運動は、ナイフ(Iビーム)の発射のためのデッドゾーン内で達成される。したがって、ナイフが完全に後退した後に、変位部材は依然として発射ストロークの関節運動ゾーン又はデッドゾーンを通して後退しなければならないため、ナイフが後退しているとき、変位部材の位置は、必ずしもナイフ位置の良好なインジケータではない。横切中にナイフの位置が器具の操作者に表示されるので、操作者は、ナイフが完全に後退したため、器具をクランプすることが安全であるという仮定に基づいて、変位部材が完全に後退される前に、器具をクランプ解除するか、又は他のそのような動作を取ることを潜在的に選択することができる。しかしながら、器具を時期尚早にクランプ解除し、そのような動作を行うことは、変位部材を、適所を外れて停止させ、完全に後退させないようにする恐れがある。いくつかのそのような状況では、変位部材は、カートリッジ無しロックアウト位置から遠位に停止され得、これにより、器具がその後、エンドエフェクタ内に存在する使用済み又は空のカートリッジで発射されることを可能にし得る。器具が組織を横切するのに使用された場合、ステープル又はRFエネルギーによる対応の組織封止は存在しないため、エンドエフェクタに装填された使用済みカートリッジを用いて器具を発射することは非常に危険である。したがって、外科用ステープル留め及び切断器具は、変位部材が完全に後退したときにナイフが完全に後退していることのみを表示することが有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、センサを介して変位部材が第2の位置から第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、変位部材が第2の位置から第1の位置に移動すると、変位部材の位置が第2の位置からの閾値を上回って位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第2の位置からの閾値を上回って位置していると、ディスプレイに変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える。
【0004】
別の態様では、外科用器具は、第1の位置と第2の位置との間で画定された第1のゾーン及び第2のゾーンを通じて移動可能な変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、センサを介して変位部材が第2の位置から第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、変位部材が第2の位置から第1の位置に移動すると、変位部材の位置が第1のゾーン内に位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第1のゾーン内に位置していると、ディスプレイに変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える。
【0005】
別の態様では、外科用器具は、未発射位置と発射位置との間で移動可能なナイフと、ナイフに結合された変位部材であって、この変位部材は、ナイフを未発射位置と発射位置との間で駆動するように、近位位置と遠位位置との間で移動可能である、変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、ナイフが後退しているかどうかを判定し、変位部材の位置をセンサを介して判定し、ナイフが後退すると、変位部材の位置が閾値に対して近位に位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が閾値に対して近位に位置していると、ディスプレイに変位部材の位置に従ってナイフの位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかしこれらの態様は、構成及び動作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深く理解され得る。
図1】本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフト組立体を有する外科用器具の斜視図である。
図2】本開示の一態様による、図1の外科用器具の一部の分解組立図である。
図3】本開示の一態様による、交換式シャフト組立体の一部の分解組立図である。
図4】本開示の一態様による、図1の外科用器具のエンドエフェクタの分解図である。
図5A】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図5B】本開示の一態様による、2つの図面にまたがる、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図6】本開示の一態様による、ハンドル組立体、電源組立体、並びにハンドル組立体及び交換式シャフト組立体の間のインタフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路のブロック図である。
図7】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された制御回路を示す。
図8】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
図9】本開示の一態様による、図1の外科用器具の態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
図10】本開示の一態様による、センサ機構を備える制御モータ駆動回路構成を備える、図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図である。
図11】本開示の一態様による、制御回路基板組立体及びセンサ機構の各要素の相対的な整合を示す、絶対位置決めシステム用のセンサ機構の分解斜視図である。
図12】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える位置センサの図である。
図13】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
図14】本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
図15】本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットしたダイアグラムを示す。
図16】本開示の一態様による、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、外科用器具のエンドエフェクタの一部分の部分斜視図である。
図17】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の斜視図である。
図18】本開示の一態様による、細長いシャフト組立体態様を示す、図16のエンドエフェクタの分解組立斜視図である。
図19】本開示の一態様による、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの上面図である。
図20】本開示の一態様による、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
図21】本開示の一態様による、第2の関節運動方向にある細長いシャフト組立体を示す、図16のエンドエフェクタの別の上面図である。
図22】本開示の一態様による、従来の外科用ステープル/締結具カートリッジ及び高周波(RF)カートリッジと共に使用するように構成された交換式外科用道具組立体に結合されたハンドル組立体を含む外科用システムの斜視図である。
図23】本開示の一態様による、図22の外科用システムの分解斜視組立図である。
図24】本開示の一態様による、そのエンドエフェクタが関節運動位置にある、図22交換式外科用道具組立体の一部分の上部断面図である。
図25】本開示の一態様による、オンボード回路基板構成及びRF発振器を加えた構成の斜視図である。
図26】本開示の一態様による、ナイフ位置を表示するプロセスの論理フロー図を示す。
図27】本開示の一態様による、ナイフ位置を経時的に表示するプロセスの論理フロー図を示す。
図28A】本開示の一態様による、変位部材のストロークの線図を示し、変位部材は発射している。
図28B】本開示の一態様による、変位部材のストロークの線図を示し、変位部材は後退している。
図29】本開示の一態様による、外科用器具のハンドル組立体の斜視図を示す。
図30】本開示の一態様による、第1の位置にあるナイフを示す、アニメーション化されたグラフィックユーザインタフェースを有する表示画面又はその部分の正面図を示す。
図31】本開示の一態様による、第2の位置にあるナイフを示す、アニメーション化されたグラフィックユーザインタフェースを有する表示画面又はその部分の正面図を示す。
図32】本開示の一態様による、第3の位置にあるナイフを示す、アニメーション化されたグラフィックユーザインタフェースを有する表示画面又はその部分の正面図を示す。
図33】本開示の一態様による、第4の位置にあるナイフを示す、アニメーション化されたグラフィックユーザインタフェースを有する表示画面又はその部分の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願の出願人は、2017年9月29日に出願された以下の特許出願を所有しており、これらはそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
米国特許出願第15/720,800号、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR PROVIDING ALERTS ACCORDING TO THE OPERATIONAL STATE OF A SURGICAL INSTRUMENT」。
米国特許出願第15/720,829号、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS OF INITIATING A POWER SHUTDOWN MODE FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
米国特許出願第15/720,838号、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS FOR LANGUAGE SELECTION OF A SURGICAL INSTRUMENT」。
米国意匠特許出願第29/619,596号、2017年9月28日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
米国意匠特許出願第29/619,600号、2017年9月28日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
米国意匠特許出願第29/619,609号、2017年9月28日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
米国意匠特許出願第29/619,624号、2017年9月28日出願の、発明者Tony C.Siebelらによる、表題「DISPLAY SCREEN OR PORTION THEREOF WITH ANIMATED GRAPHICAL USER INTERFACE」。
米国特許出願第15/720,852号、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」。
米国特許出願第15/720,811号、2017年9月29日出願の、発明者Richard L.Leimbachらによる、表題「SYSTEMS AND METHODS OF DISPLAYING A KNIFE POSITION FOR A SURGICAL INSTRUMENT」。
【0008】
開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の理解を提供するために、特定の態様が示され説明される。1つの実施例で示される又は説明される特徴は、他の実施例の特徴と組み合わされてもよく、修正形態及び変形形態は、本開示の範囲内にある。
【0009】
用語「近位」及び「遠位」は、外科用器具のハンドルを操作する臨床医に対する用語であり、「近位」は臨床医により近い部分を指し、「遠位」は、臨床医からより遠い部分を指す。外科用器具は様々な向き及び位置で使用され得るので、便宜上、図面に関して使用される空間的な用語「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」は、限定及び/又は絶対的であることを意図していない。
【0010】
腹腔鏡下及び低侵襲性の外科的処置を行うための、例示的な装置及び方法が提供される。しかし、そのような装置及び方法は、例えば開腹外科手術を含む、他の外科的処置及び用途に使用することができる。外科用器具は、自然開口部内に、又は組織内に形成された切開又は穿刺穴を通して挿入することができる。器具の作用部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、体内に直接に挿入することができ、又は、外科用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを前進させることが可能な作用通路を有するアクセスデバイスを通じて挿入することができる。
【0011】
いくつかの態様では、外科用器具は、以下で更に詳細に説明するように、切断(例えば、図1及び22のような)、ステープル留め(例えば、図1のような)、電気外科手術(例えば、図22のような)、及び/又は超音波手術を行うことのできる装置を含むことができる。超音波外科用器具に関する更なる詳細は、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,283,981号、表題「METHOD OF BALANCING ASYMMETRIC ULTRASONIC SURGICAL BLADES」、米国特許第6,309,400号、表題「CURVED ULTRASONIC WAVEGUIDE HAVING A TRAPEZOIDAL CROSS SECTION」、及び米国特許第6,436,115号、表題「BALANCED ULTRASONIC WAVEGUIDE INCLUDING A PLURALITY OF BALANCE ASYMMETRIES」に見出すことができる。
【0012】
図1図4は、再使用されてもよく又はされなくてもよい、切断及び締結用のモータ駆動式外科用器具10を示す。図示した実施例では、外科用器具10は、臨床医が把持し、操作し、作動させるように構成されたハンドル組立体14を備えるハウジング12を含む。ハウジング12は、1つ若しくは2つ以上の外科的タスク又は処置を行うように構成されたエンドエフェクタ300が動作可能に結合されている、交換式シャフト組立体200に動作可能に取り付けられるように構成されている。本開示によると、様々な形態の交換式シャフト組立体が、ロボット制御された外科用システムと関連させて効果的に使用され得る。したがって、「ハウジング」という用語は、交換式シャフト組立体を作動させるために利用できる少なくとも1つの制御運動を生成及び加えるように構成された少なくとも1つの駆動システムを収容するか又は動作可能に支持する、ロボットシステムのハウジング又は類似部分を包含することができる。「フレーム」という用語は、手持ち式外科用器具の一部分を指してもよい。「フレーム」という用語はまた、ロボット制御式の外科用器具の一部分、及び/又は外科用器具を動作可能に制御するために使用され得るロボットシステムの一部分を表す場合もある。交換式シャフト組立体は、その全体が参照により本明細書に援用される「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」と題する米国特許第9,072,535号に開示される、様々なロボットシステム、器具、構成要素、及び方法と共に用いられてもよい。
【0013】
図1は、本開示の一態様による、動作可能に結合された交換式シャフト組立体200を有する外科用器具10の斜視図である。ハウジング12はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300は、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された外科用切断及び締結装置をその中に備える。ハウジング12は、交換式シャフト組立体と接続して使用するように構成されていてもよく、交換式シャフト組立体は、様々なサイズ及び種類のステープルカートリッジを支持するように適合されたエンドエフェクタを含み、様々なシャフト長さ、サイズ及び種類を有する。ハウジング12は、様々な交換式シャフト組立体と共に用いられてもよく、交換式シャフト組立体は、様々な外科的用途及び処置に関連して用いるように適合されたエンドエフェクタ構成に対して、RFエネルギー、超音波エネルギー、及び/又は運動などの、他の運動及びエネルギー形態を印加するように構成された組立体を含む。エンドエフェクタ、シャフト組立体、ハンドル、外科用器具、及び/又は外科用器具システムは、組織を締結するために任意の好適な締結具を利用できる。一例として、内部に着脱可能に格納された複数の締結具を備える締結具カートリッジが、シャフト組立体のエンドエフェクタに着脱可能に挿入及び/又は装着され得る。
【0014】
ハンドル組立体14は、ねじ、スナップ機構、接着剤などで相互接続され得る一対の相互接続可能なハンドルハウジングセグメント16、18を備え得る。ハンドルハウジングセグメント16、18は協働して、臨床医によって把持及び操作され得るピストルグリップ部分19を形成する。ハンドル組立体14は複数の駆動システムを動作可能に支持し、駆動システムは、ハンドル組立体に動作可能に取り付けられた交換式シャフト組立体の対応部分に、制御運動を生成及び適用するように構成されている。ディスプレイはカバー45の下方に設けられてもよい。
【0015】
図2は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10の一部分の分解組立図である。ハンドル組立体14は、複数の駆動システムを動作可能に支持するフレーム20を含んでもよい。フレーム20は、閉鎖駆動システム30を動作可能に支持することができ、閉鎖駆動システム30は、交換式シャフト組立体200に対して閉鎖及び開放運動を適用することができる。閉鎖駆動システム30は、フレーム20によって枢動可能に支持される閉鎖トリガ32などのアクチュエータを含んでもよい。閉鎖トリガ32は、枢動ピン33によってハンドル組立体14に枢動可能に結合されて、閉鎖トリガ32が臨床医によって操作されることを可能にする。臨床医がハンドル組立体14のピストルグリップ部分19を把持する場合に、閉鎖トリガ32は、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置へ、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと枢動できる。
【0016】
ハンドル組立体14及びフレーム20は発射駆動システム80を動作可能に支持してもよく、発射駆動システム80は、それに取り付けられた交換式シャフト組立体の対応する部分に対して発射運動を適用するように構成されていてもよい。発射駆動システム80は、ハンドル組立体14のピストルグリップ部分19に設置された電気モータ82を用いてもよい。電気モータ82は、例えば約25,000RPMの最大回転スピードを有するブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。その他の構成では、モータとしては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又はその他の任意の好適な電気モータを挙げてもよい。電気モータ82は、取り外し可能な電源パック92を備え得る電源90によって給電されてもよい。取り外し可能な電源パック92は、遠位ハウジング部分96に取り付けるように構成された、近位ハウジング部分94を備えてもよい。近位ハウジング部分94及び遠位ハウジング部分96は、その中で複数の電池98を動作可能に支持するように構成される。電池98はそれぞれ、例えば、リチウムイオン(LI)又は他の好適な電池を含んでもよい。遠位ハウジング部分96は、制御回路基板100に取り外し可能かつ動作可能に取り付けられるように構成され、制御回路基板100は電気モータ82に動作可能に結合されている。直列に接続されたいくつかの電池98は、外科用器具10に給電することができる。電源90は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。カバー45の下方に位置するディスプレイ43は、制御回路基板100に電気的に結合されている。ディスプレイ43を暴露させるために、カバー45を取り除いてもよい。
【0017】
電気モータ82は、長手方向に移動可能な駆動部材120上にある駆動歯122の組又はラックと噛合係合して装着されるギヤ減速機組立体84と動作可能にインタフェースする、回転式シャフト(図示せず)を含み得る。長手方向に移動可能な駆動部材120は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための、その上に形成された駆動歯122のラックを有する。
【0018】
使用の際、電源90によって提供される電圧極性によって電気モータ82を時計方向に動作させることができるが、電池によって電気モータに印加される電圧極性は、電気モータ82を反時計方向に動作させるために反転させることができる。電気モータ82が一方向に回転されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、遠位方向「DD」に軸方向駆動されることになる。電気モータ82が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材120は、近位方向「PD」に軸方向駆動されることになる。ハンドル組立体14は、電源90によって電気モータ82に印加される極性を反転させるように構成され得るスイッチを含むことができる。ハンドル組立体14は、長手方向に移動可能な駆動部材120の位置、及び/又は長手方向に移動可能な駆動部材120が動かされている方向を検出するように構成されたセンサを含んでもよい。
【0019】
電気モータ82の作動は、ハンドル組立体14上に枢動可能に支持される発射トリガ130によって制御され得る。発射トリガ130は、非作動位置と作動位置との間を枢動してもよい。
【0020】
図1に戻ると、交換式シャフト組立体200はエンドエフェクタ300を含み、エンドエフェクタ300はその中に、外科用ステープルカートリッジ304を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル302を備える。エンドエフェクタ300は、細長いチャネル302に対して枢動可能に支持されるアンビル306を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、関節継手270を含んでもよい。エンドエフェクタ300及び関節継手270の構成及び動作は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0263541号、題「ARTICULATABLE SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING AN ARTICULATION LOCK」に記載されている。交換式シャフト組立体200は、ノズル部分202、203から構成される近位ハウジング又はノズル201を含んでもよい。交換式シャフト組立体200は、シャフト軸SAに沿って延びる閉鎖管260を含んでもよく、閉鎖管260はエンドエフェクタ300のアンビル306を閉鎖及び/又は開放するために利用され得る。
【0021】
図1に戻ると、前述の参考文献である米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている方法で、例えば、閉鎖トリガ32の作動に応じて、閉鎖管260を遠位方向(方向「DD」)に並進させてアンビル306が閉鎖される。アンビル306は、閉鎖管260を近位方向に並進させることによって開かれる。アンビル開位置において、閉鎖管260は、その近位位置へと動かされる。
【0022】
図3は、本開示の一態様による、交換式シャフト組立体200の一部分の別の分解組立図である。交換式シャフト組立体200は、スパイン210内部で軸方向移動するように支持される発射部材220を含んでもよい。発射部材220は、遠位切断部分又はナイフバー280に取り付けるように構成された中間発射シャフト222を含む。中間発射シャフト222は、その遠位端に、ナイフバー280の近位端282にあるタブ284を受容するように構成された長手方向スロット223を含んでもよい。長手方向スロット223及び近位端282は、それらの間の相対移動が可能なように構成されてもよく、スリップ継手286を備えることができる。スリップ継手286は、ナイフバー280を動かさずに、又は少なくとも実質的に動かさずに、発射部材220の中間発射シャフト222が、エンドエフェクタ300を関節継手270の周りに関節運動させることを可能にし得る。いったんエンドエフェクタ300が適切に配向されたら、長手方向スロット223の近位側壁がタブ284に接触するまで、中間発射シャフト222を遠位方向に前進させて、ナイフバー280を前進させ、細長いチャネル302内に配置されたステープルカートリッジを発射することができる。スパイン210は内部に細長い開口部又は窓213を有して、スパイン210の中への中間発射シャフト222の組み付け及び挿入を容易にしている。いったん中間発射シャフト222が挿入されたら、頂部フレームセグメント215がシャフトフレーム212と係合されて、中間発射シャフト222及びナイフバー280を中に囲い込んでもよい。発射部材220の動作は、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出すことができる。スパイン210は、発射部材220と、スパイン210の周りに延びる閉鎖管260とを摺動可能に支持するように構成され得る。スパイン210は、関節運動ドライバ230を摺動可能に支持してもよい。
【0023】
交換式シャフト組立体200は、関節運動ドライバ230を発射部材220に選択的かつ取り外し可能に結合させるように構成されたクラッチ組立体400を含み得る。クラッチ組立体400は、発射部材220の周りに位置付けられるロックカラー又はロックスリーブ402を含み、ロックスリーブ402は、ロックスリーブ402が関節運動ドライバ230を発射部材220に結合する係合位置と、関節運動ドライバ230が発射部材220に動作可能に結合されない係合解除位置との間で回転され得る。ロックスリーブ402がその係合位置にある場合は、発射部材220の遠位方向移動によって、関節運動ドライバ230を遠位方向に動かすことができ、それに対応して、発射部材220の近位方向移動によって、関節運動ドライバ230を近位方向に動かすことができる。ロックスリーブ402がその係合解除位置にある場合は、発射部材220の移動は関節運動ドライバ230に伝達されず、その結果、発射部材220を関節運動ドライバ230とは無関係に動かすことができる。ノズル201は、米国特許出願公開第2014/0263541号に記載されている様々な方式で、関節駆動システムと発射駆動システムとを動作可能に係合及び係合解除させるために用いることができる。
【0024】
交換式シャフト組立体200は、スリップリング組立体600を備えることができ、スリップリング組立体600は、例えば、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から電力を伝え、並びに/又は、エンドエフェクタ300に及び/若しくはエンドエフェクタ300から信号を通信するように構成することができる。スリップリング組立体600は、ノズル部分202、203内に画定されたスロットの内部に配置された近位コネクタフランジ604及び遠位コネクタフランジ601を備え得る。近位コネクタフランジ604は第1の面を備えることができ、遠位コネクタフランジ601は、第1の面に隣接して配置され、第1の面に対して移動可能である第2の面を備えることができる。遠位コネクタフランジ601は、シャフト軸SA-SA(図1)を中心に、近位コネクタフランジ604に対して回転することができる。近位コネクタフランジ604は、その第1の面に画定される、複数の同心の、又は少なくとも実質的に同心の導体602を備えることができる。コネクタ607は、遠位コネクタフランジ601の近位側に装着することができ、複数の接点を有してもよく、各接点は、導体602のうちの1つに対応し、それと電気的に接触している。かかる構成により、近位コネクタフランジ604と遠位コネクタフランジ601とが、それらの間の電気的接触を維持したまま相対回転することが可能になる。近位コネクタフランジ604は、例えば、導体602をシャフト回路基板と通信させることができる、電気コネクタ606を含み得る。少なくとも一事例では、複数の伝導体を含むワイヤハーネスが、電気コネクタ606とシャフト回路基板との間に延び得る。電気コネクタ606は、シャーシ取り付けフランジに画定されたコネクタ開口部を通って近位に延びてもよい。スリップリング組立体600に関する更なる詳細が、米国特許出願公開第2014/0263541号に見出され得る。
【0025】
交換式シャフト組立体200は、ハンドル組立体14に固定可能に取り付けられている近位部分と、長手方向軸を中心に回転可能である遠位部分とを含み得る。回転可能な遠位シャフト部分は、スリップリング組立体600を中心にして近位部分に対して回転させることができる。スリップリング組立体600の遠位コネクタフランジ601は、回転可能な遠位シャフト部分内に位置付けることができる。
【0026】
図4は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10のエンドエフェクタ300の一態様の分解図である。エンドエフェクタ300は、アンビル306及び外科用ステープルカートリッジ304を含んでもよい。アンビル306は、細長いチャネル302に結合されてもよい。アンビル306から延びるピン152を受容するように、細長いチャネル302内にアパーチャ199を画定することができて、細長いチャネル302及び外科用ステープルカートリッジ304に対してアンビル306を開位置から閉位置まで枢動させることができる。発射バー172が、エンドエフェクタ300の中へと長手方向に並進するように構成される。発射バー172は、1つの中実部分から構築されてもよく、又は鋼板のスタックを含む積層材料を含んでもよい。発射バー172は、Iビーム178と、その遠位端にある切断縁部182とを備える。発射バー172の遠位方向に突出する端部は、Iビーム178に取り付けることができて、アンビル306が閉位置にある場合に、細長いチャネル302内に配置された外科用ステープルカートリッジ304から間隔を空けてアンビル306を配置する手助けをすることができる。Iビーム178は、Iビーム178を発射バー172によって遠位方向に前進させながら組織を切るための鋭利な切断縁部182を含んでもよい。動作時に、Iビーム178は、外科用ステープルカートリッジ304と係合するか、又は発射して、ステープル191をそこから排出することができる。外科用ステープルカートリッジ304は、ステープルドライバ192上に載置された複数のステープル191を、対応する上向きに開いたステープルキャビティ195内に保持する成形されたカートリッジ本体194を含むことができる。楔形スレッド190は、Iビーム178によって遠位方向に駆動され、外科用ステープルカートリッジ304のカートリッジトレイ196上を摺動する。Iビーム178の切断縁部182がクランプされた組織を切る間に、楔形スレッド190はステープルドライバ192を上向きにカム駆動して、ステープル191を追い出して変形させてアンビル306と接触させる。
【0027】
Iビーム178は、発射の間に、アンビル306に係合する上部ピン180を含むことができる。Iビーム178は、カートリッジ本体194、カートリッジトレイ196、及び細長いチャネル302の一部分に係合するために、中央ピン184及び底部フット186を含んでもよい。外科用ステープルカートリッジ304が細長いチャネル302内に配置される場合、カートリッジ本体194内に画定されたスロット193を、カートリッジトレイ196内に画定された長手方向スロット197、及び細長いチャネル302内に画定されたスロット189と位置合わせすることができる。使用の際、Iビーム178は、整列された細長いスロット193、197、及び189を通って摺動することができ、図4に示されるように、Iビーム178の下部フット186は、スロット189の長さに沿って細長いチャネル302の底面に沿って通っている溝に係合することができ、中央ピン184は、長手方向スロット197の長さに沿ってカートリッジトレイ196の上面に係合することができ、上部ピン180は、アンビル306に係合することができる。発射バー172が遠位方向へと前進して、外科用ステープルカートリッジ304からステープルを発射し、及び/又はアンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間に捕捉された組織を切開する際に、Iビーム178は、アンビル306と外科用ステープルカートリッジ304との間の間隔を空けるか、又はそれらの相対移動を制限することができる。発射バー172及びIビーム178を近位方向へと後退させ、それによりアンビル306が開かれ、ステープル留めされ切られた2つの組織部分を解放することが可能になる。
【0028】
図5A図5Bは、本開示の一態様による、2枚の図面に及ぶ、図1の外科用器具10の制御回路700のブロック図である。主に図5A~5Bを参照すると、ハンドル組立体702は、モータドライバ715によって制御可能であり、外科用器具10の発射システムによって使用可能なモータ714を含んでもよい。様々な形態において、モータ714は、約25,000RPMの最大回転速度を有する、ブラシ付きDC駆動モータであってよい。別の構成において、モータ714はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータドライバ715は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)719を含むHブリッジドライバを備えてもよい。モータ714は、制御電力を外科用器具10に供給するためにハンドル組立体14に解放可能に取り付けられた電源組立体706により給電されてもよい。電源組立体706は、外科用器具10に給電するための電源として使用され得る、直列に接続された複数の電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体706の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体706に別個に結合可能であり得るLI電池であってよい。
【0029】
シャフト組立体704は、シャフト組立体704と電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、インタフェースを介して安全コントローラ及び電力管理コントローラ716と通信可能である、シャフト組立体コントローラ722を含むことができる。例えば、インタフェースは、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間にシャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との間の電気通信を可能にするために、対応するシャフト組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第1のインタフェース部分725、及び、対応する電源組立体電気コネクタとの連結係合のために1つ又は2つ以上の電気コネクタを含み得る第2のインタフェース部分727を備え得る。インタフェースを介して1つ又は2つ以上の通信信号を送信して、取り付けられて交換式シャフト組立体704の1つ又は2つ以上の電力要件を電力管理コントローラ716に送信することができる。それに応じて、電源管理コントローラ716は、装着されたシャフト組立体704の電力要件に従って、以下により詳細に記載されているように、電源組立体706の電池の電力出力を変調し得る。コネクタは、ハンドル組立体702の、シャフト組立体704及び/又は電源組立体706への機械的連結係合の後に活性化して、シャフト組立体コントローラ722と電力管理コントローラ716との電気的通信を可能にすることができるスイッチを備えることができる。
【0030】
インタフェースは、例えば、ハンドル組立体702に収められたメインコントローラ717を通して、通信信号の経路指定を行うことにより、電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との1つ又は2つ以上のこのような通信信号の伝達を容易にすることができる。他の状況下では、シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、インタフェースは、ハンドル組立体702を介した電力管理コントローラ716とシャフト組立体コントローラ722との間の直接線の通信を容易にし得る。
【0031】
メインコントローラ717は、Texas Instrumentsの商標名ARM Cortexとして知られるものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってよい。一態様では、メインコントローラ717は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0032】
安全コントローラは、やはりTexas Instrumentsの商標名Hercules ARM Cortex R4として知られている、TMS570及びRM4xなど、2つのコントローラベースファミリを備える安全コントローラプラットフォームであってよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0033】
電源組立体706は、電力管理回路を含んでよく、電力管理回路は、電力管理コントローラ716、電力変調器738、及び電流感知回路736を含み得る。シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間に、電力管理回路は、シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池の電力出力を変調するように構成され得る。電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電源組立体706の電力出力を監視して、電池の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するように用いられ得るため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。電力管理コントローラ716及び/又はシャフト組立体コントローラ722はそれぞれ、多数のソフトウェアモジュールを記憶可能な1つ若しくは2つ以上のプロセッサ、及び/又はメモリユニットを備えることができる。
【0034】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための装置を含み得る、出力装置742を備えてもよい。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)表示画面、発光ダイオード(LED)インジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インタフェースは、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成することができる。出力装置742は代わりに、電源組立体706と一体化することができる。このような状況下では、シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている一方で、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との間の通信はインタフェースを介して成し遂げられ得る。
【0035】
制御回路700は、電動外科用器具10の動作を制御するように構成された回路セグメントを備える。安全コントローラセグメント(セグメント1)は、安全コントローラ、及びメインコントローラ717セグメント(セグメント2)を備える。安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717は、加速度セグメント、ディスプレイセグメント、シャフトセグメント、エンコーダセグメント、モータセグメント、及び電力セグメントなどの1つ又は2つ以上の追加の回路セグメントと相互作用するように構成されている。回路セグメントのそれぞれは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。メインコントローラ717もまた、フラッシュメモリに連結される。メインコントローラ717は、シリアル通信インタフェースもまた備える。メインコントローラ717は、例えば、1つ若しくは2つ以上の回路セグメント、電池、及び/又は複数のスイッチに連結された、複数の入力を備える。セグメント化回路は、例えば、電動外科用器具10内のプリント回路基板組立体(printed circuit board assembly、PCBA)など、任意の好適な回路によって実装されてもよい。プロセッサという用語は、本明細書で使用するとき、任意のマイクロプロセッサ、プロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上に組み込んだ、他の基本コンピューティングデバイスを含むと理解されるべきである。メインコントローラ717は、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラム可能装置である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。制御回路700は、本明細書で記載される1つ又は2つ以上のプロセスを実装するように構成されてもよい。
【0036】
加速度セグメント(セグメント3)は加速度計を備える。加速度計は、電動外科用器具10の移動又は加速度を検出するように構成されている。加速度計からの入力は、スリープモードとの間での遷移、電動外科用器具の配向の識別、及び/又は外科用器具が落下したときの識別に使用されてもよい。いくつかの例では、加速度セグメントは安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結される。
【0037】
ディスプレイセグメント(セグメント4)は、メインコントローラ717に連結されたディスプレイコネクタを備える。表示コネクタは、メインコントローラ717を、ディスプレイの1つ又は2つ以上の集積回路ドライバを通して、ディスプレイに連結している。ディスプレイの集積回路ドライバは、ディスプレイと一体化されてよく、かつ/又はディスプレイとは別個に配置されてよい。ディスプレイは、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、LCD、及び/又は任意の他の好適なディスプレイなど、任意の好適なディスプレイを含んでもよい。いくつかの例では、ディスプレイセグメントは安全コントローラに連結される。
【0038】
シャフトセグメント(セグメント5)は、外科用器具10(図1図4)に結合されている、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)用の制御部、及び/又は、交換式シャフト組立体200に結合されたエンドエフェクタ300用の1つ若しくは2つ以上の制御部を備える。シャフトセグメントは、メインコントローラ717をシャフトPCBAに連結するように構成された、シャフトコネクタを備える。シャフトPCBAは、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FRAM)、関節運動スイッチ、シャフト解放ホール効果スイッチ、及びシャフトPCBA EEPROMを有する低電力マイクロコントローラを備える。シャフトPCBA EEPROMは、交換式シャフト組立体200及び/又はシャフトPCBAに固有の、1つ若しくは2つ以上のパラメータ、ルーチン、及び/又はプログラムを含む。シャフトPCBAは交換式シャフト組立体200に連結されてもよく、かつ/又は、外科用器具10と一体であってもよい。いくつかの例では、シャフトセグメントは、第2のシャフトEEPROMを備える。第2のシャフトEEPROMは、電動外科用器具10と連係され得る1つ若しくは2つ以上のシャフト組立体200及び/又はエンドエフェクタ300に対応する複数のアルゴリズム、ルーチン、パラメータ、及び/又は他のデータを含む。
【0039】
位置エンコーダセグメント(セグメント6)は、1つ又は2つ以上の磁気式角度回転位置エンコーダを備える。1つ又は2つ以上の磁気回転位置エンコーダは、外科用器具10(図1図4)のモータ714、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)、及び/又はエンドエフェクタ300の回転位置を識別するように構成されている。いくつかの例では、磁気式角度回転位置エンコーダは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されてよい。
【0040】
モータ回路セグメント(セグメント7)は、電動外科用器具10(図1図4)の移動を制御するように構成されたモータ714を備える。モータ714は、1つ又は2つ以上のHブリッジFET及びモータコントローラを備えるHブリッジドライバによってメインコントローラ717に結合される。Hブリッジドライバはまた、安全コントローラにも連結される。モータ電流センサは、モータの電引き込み電流を測定するため、モータと直列に連結している。モータ電流センサは、メインコントローラ717及び/又は安全コントローラと信号通信している。いくつかの例では、モータ714は、モータ電磁干渉(EMI)フィルタに連結されている。
【0041】
モータコントローラは、第1のモータフラグ及び第2のモータフラグを制御して、モータ714のステータス及び位置をメインコントローラ717に示す。メインコントローラ717は、PWM高信号、PWM低信号、方向信号、同期信号及びモータリセット信号をモータコントローラに、バッファを介して供給する。電力セグメントは、セグメント電圧を回路セグメントのそれぞれに提供するように構成される。
【0042】
電力セグメント(セグメント8)は、安全コントローラ、メインコントローラ717、及び追加の回路セグメントに連結された電池を備える。電池は、電池コネクタ及び電流センサによってセグメント化回路に連結されている。電流センサは、セグメント化回路の合計引き込み電流を測定するように構成されている。いくつかの例では、1つ又は2つ以上の電圧変換器が、所定の電圧値を1つ又は2つ以上の回路セグメントに提供するように構成されている。例えば、いくつかの例では、セグメント化回路は、3.3V電圧変換器及び/又は5V電圧変換器を備えてもよい。ブースト変換器は、例えば最大13Vなど、既定量までのブースト電圧を提供するように構成されている。ブースト変換器は、電力集約的な動作の間、追加の電圧及び/又は電流を提供し、電圧低下又は低電力状態を防止するように構成されている。
【0043】
複数のスイッチは、安全コントローラ及び/又はメインコントローラ717に連結されている。スイッチは、外科用器具10(図1図4)、及びセグメント化回路の動作を制御し、及び/又は外科用器具10の状態を示すように構成されてもよい。緊急離脱ドアスイッチ、及び緊急離脱用のホール効果スイッチは、緊急離脱ドアのステータスを示すように構成される。例えば、左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、及び右側関節運動中央スイッチなど、複数の関節運動スイッチは、交換式シャフト組立体200(図1及び図3)及び/又はエンドエフェクタ300(図1及び図4)の関節運動を制御するように構成されている。左側反転スイッチ及び右側反転スイッチは、メインコントローラ717に連結される。左側関節運動左スイッチ、左側関節運動右スイッチ、左側関節運動中央スイッチ、及び左側反転スイッチを備える左側スイッチは、左側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。右側関節運動左スイッチ、右側関節運動右スイッチ、右側関節運動中央スイッチ、及び右側反転スイッチを備える右側スイッチは、右側可撓コネクタによってメインコントローラ717に連結されている。発射スイッチ、クランプ解放スイッチ、及びシャフト係合スイッチは、メインコントローラ717に連結されている。
【0044】
任意の好適な機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、又は固体スイッチを用いて、任意の組み合わせで、複数のスイッチを実装してよい。例えば、スイッチは、外科用器具10(図1図4)に関連付けられた構成要素の動きによって、又は物体の存在によって操作されるリミットスイッチであってもよい。このようなスイッチを用いて、外科用器具10と関連した様々な機能を制御することができる。制限スイッチは、一組の接触部と機械的につながったアクチュエータからなる、電気機械装置である。対象体がアクチュエータと接触すると、装置はその接触部を操作して、電気的接続を作成する、又は破壊する。その丈夫さ、取り付けの容易さ、及び動作の信頼性により、制限スイッチは様々な用途及び環境で用いられる。制限スイッチは、対象体の有無、通過、配置、及び移動の終了を判定することができる。他の実装形態において、スイッチは、とりわけホール効果装置、磁気抵抗性(MR)装置、巨大磁気抵抗性(GMR)装置、及び磁力計などの、磁場の影響下にて動作する、固体スイッチであってもよい。他の実装形態では、スイッチは、とりわけ光センサ、赤外線センサ、及び紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、例えばトランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、バイポーラなど)などの固体装置であってもよい。他のスイッチは、とりわけ、無線スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0045】
図6は、本開示の一態様により、ハンドル組立体702と電源組立体706との間のインタフェース、及びハンドル組立体702と交換式シャフト組立体704との間のインタフェースを示す、図1の外科用器具の制御回路700の別のブロック図である。ハンドル組立体702は、メインコントローラ717、シャフト組立体コネクタ726、及び電源組立体コネクタ730を備えることができる。電源組立体706は、電源組立体コネクタ732、電力管理コントローラ716を備え得る電力管理回路734、電力変調器738、及び電流感知回路736を含むことができる。電源組立体コネクタ730、732はインタフェース727を形成する。交換式シャフト組立体704及び電源組立体706がハンドル組立体702に連結されている間、電力管理回路734は、交換式シャフト組立体704の電力要件に基づいて電池707の電力出力を変調するように構成され得る。例えば、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力の電力変調器738を制御するようにプログラムされ得、電流感知回路736は、電池707の電力出力に関するフィードバックを電力管理コントローラ716に提供するため、電源組立体706の電力出力を監視するように用いられ得、そのため、電力管理コントローラ716は、電源組立体706の電力出力を調節して、所望の出力を維持することができる。シャフト組立体704は、不揮発性メモリ721及びシャフト組立体コネクタ728に連結され、シャフト組立体704をハンドル組立体702に電気的に接続する、シャフト組立体コントローラ722を備える。シャフト組立体コネクタ726、728は、インタフェース725を形成する。メインコントローラ717、シャフト組立体コントローラ722、及び/又は電力管理コントローラ716は、本明細書で記載されるプロセスの1つ又は2つ以上を実装するように構成することができる。
【0046】
外科用器具10(図1図4)は、ユーザに感覚フィードバックを与える出力装置742を備えてもよい。このような装置は、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでよい。特定の状況下では、出力装置742は、ハンドル組立体702に含まれ得るディスプレイ743を備えてよい。シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716は、出力装置742を介して外科用器具10のユーザにフィードバックを提供し得る。インタフェース727は、シャフト組立体コントローラ722及び/又は電力管理コントローラ716を出力装置742に接続するように構成され得る。出力装置742は電源組立体706と一体化されてもよい。交換式シャフト組立体704がハンドル組立体702に連結されている間に、出力装置742とシャフト組立体コントローラ722との通信が、インタフェース725を介して成し遂げられ得る。外科用器具10(図1図4)の動作を制御するための制御回路700(図5A図5B及び図6)について説明したので、ここで本開示は、外科用器具10(図1図4)の様々な構成及び制御回路700に移る。
【0047】
図7は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された制御回路800を示す。制御回路800は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多くのシングルコア又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでよい。命令処理ユニットは、メモリ回路804から命令を受信するように構成されてもよい。
【0048】
図8は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を示す。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路810は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力814において受信し、組み合わせ論理812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理回路812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0049】
図9は、本開示の一態様による、外科用器具10(図1図4)の態様を制御するように構成された順序論理回路820を示す。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、外科用器具10と関連付けられたデータを入力826において受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0050】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ又は2つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを格納するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0051】
図10は、本開示の一態様による、図1の外科用器具10(図1図4)の絶対位置決めシステム1100のダイアグラムであり、絶対位置決めシステム1100は、センサ機構1102を備える制御モータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102は、変位部材1111の位置に対応する固有の位置信号を提供する。図2図4を簡単に参照すると、一態様では、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120(図2)を表す。他の態様では、変位部材1111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材220(図3)を表す。更に別の態様では、変位部材1111は、発射バー172(図4)又はIビーム178(図4)を表し、これらの各々が駆動歯のラックを含むように適合され構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材120、発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具10の任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材120は、発射部材220、発射バー172、及びIビーム178に連結される。したがって、絶対位置決めシステム1100は、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材120の直線変位を追跡することによって、Iビーム178の直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材1111は、直線変位を測定するために好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材120、発射部材220、発射バー172、又はIビーム178、又は組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0052】
電気モータ1120は、変位部材1111上の駆動歯の組又はラックと噛合係合で装着されるギヤ組立体1114と動作可能にインタフェースをとる、回転可能なシャフト1116を含んでもよい。センサ素子1126は、センサ素子1126の1回転が、変位部材1111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤ組立体1114に動作可能に結合されてもよい。ギヤリング及びセンサの機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続部によって回転アクチュエータに連結することができる。電源1129は、絶対位置決めシステム1100に電力を供給し、ディスプレイ/出力インジケータ1128は、絶対位置決めシステム1100の出力を表示することができる。図2において、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するように、その上に形成された駆動歯122のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材120を表す。変位部材1111は、長手方向に移動可能な発射部材220、発射バー172、Iビーム178、又はこれらの組み合わせを表す。
【0053】
位置センサ1112と関連付けられたセンサ素子1126の1回転は、変位部材1111の長手方向直線変位dに相当し、dは、変位部材1111に結合されたセンサ素子1126の1回転後に、変位部材1111が点「a」から点「b」まで移動する、長手方向の直線距離である。センサ機構1102は、位置センサ1112が変位部材1111のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤの減速を介して接続されてもよい。位置センサ1112は、変位部材1111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0054】
位置センサ1112の2回又はそれ以上の回転に対する固有の位置信号を適用するために、一連のスイッチ1122a~1122n(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、又はギヤ減速機と共に用いられてもよい。スイッチ1122a~1122nの状態は、コントローラ1104にフィードバックされ、コントローラ1104は、論理を適用して、変位部材1111の長手方向直線変位d+d+...dに対応する固有の位置信号を決定する。位置センサ1112の出力1124は、コントローラ1104に提供される。センサ機構1102の位置センサ1112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、及びアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0055】
絶対位置決めシステム1100は、モータ1120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推測する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、リセット(ゼロ又はホーム)位置への変位部材1111の後退又は前進なしで、器具の電源投入時点で、変位部材1111の絶対位置を提供する。
【0056】
コントローラ1104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ1104は、プロセッサ1108及びメモリ1106を含む。電気モータ1120は、ギヤボックス及び関節運動又はナイフシステムに対する機械的連結部を有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバを、絶対位置決めシステム1100で使用するために容易に代用することができる。絶対位置決めシステム1100のより詳細な説明は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/130,590号、題「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に記載されている。
【0057】
コントローラ1104は、変位部材1111及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ1104は、コントローラ1104のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0058】
絶対位置決めシステム1100は、比例積分微分(PID)コントローラ、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれらを実装するようにプログラムされてもよい。電源1129は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は、電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ1112で測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数可)1118が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)1118としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/628,175号に記載されるものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理(DSP)システムでは、絶対位置決めシステム1100はデジタルデータ取得システムに結合され、ここで絶対位置決めシステム1100の出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステム1100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。コントローラ1104は、制御回路700であってもよい(図5A図5B)。
【0059】
モータドライバ1110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941ドライバ1110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として具体的に設計された外部NチャネルパワーMOSFETと共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ1110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバを、絶対位置決めシステム1100で使用するために容易に代用することができる。
【0060】
センサ機構1102用の絶対位置決めシステム1100の態様を実装するための全般的なアーキテクチャについて説明したので、ここで、絶対位置決めシステム1100のセンサ機構1102の一態様について説明するために、本開示は図11及び図12を参照する。図11は、一態様による、回路1205及びセンサ機構1102の各要素の相対的な配列を示す、絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102の分解斜視図である。絶対位置決めシステム1100用のセンサ機構1102は、位置センサ1200と、磁石1202のセンサ素子と、変位部材1111のフルストローク毎に1回転する磁石ホルダ1204と、ギヤの減速を提供するギヤ組立体と、を備える。図2を簡単に参照すると、変位部材1111は、ギヤ減速機組立体84の対応する駆動ギヤ86と噛合係合するための駆動歯122のラックを備える、長手方向に移動可能な駆動部材120を表し得る。図11に戻ると、ギヤ組立体、磁石ホルダ1204、及び磁石1202を支持するために、ブラケット1216などの構造要素が提供されている。位置センサ1200は、ホール素子などの磁気感知要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。磁石1202が回転するにつれて、位置センサ1200の磁気感知要素は、1旋回にわたって磁石1202の絶対角度位置を判定する。
【0061】
センサ機構1102は、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかに応じて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、超伝導量子干渉計(SQUID)、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0062】
ギヤ組立体は、噛合係合し3:1のギヤ比接続を提供する第1のギヤ1208及び第2のギヤ1210を備える。第3のギヤ1212は、シャフト1214の周りを回転する。第3のギヤ1212は、変位部材1111(又は図2に示すように120)と噛合係合しており、変位部材1111が遠位方向Dに前進するにつれて第1の方向に回転し、変位部材1111が近位方向Pに後退するにつれて第2の方向に回転する。第2のギヤ1210もまた、シャフト1214の周りに回転し、したがって、シャフト1214の周りの第2のギヤ1210の回転は、変位部材1111の長手方向並進に対応する。したがって、遠位方向D又は近位方向Pのいずれかにおける変位部材1111のフルストロークの1つが、第2のギヤ1210の3回転、及び第1のギヤ1208の1回転に対応する。磁石ホルダ1204は、第1のギヤ1208に結合されているので、磁石ホルダ1204は、変位部材1111の各フルストロークに対して完全に1回転する。
【0063】
位置センサ1200は、アパーチャ1220を画定する位置センサホルダ1218によって支持されており、アパーチャ1220は、位置センサ1200を、下にある磁石ホルダ1204内部で回転している磁石1202に正確に整列させて収容するのに好適である。固定具が、ブラケット1216及び回路1205に結合されており、磁石1202が磁石ホルダ1204と共に回転する間、静止したままである。ハブ1222が、第1のギヤ1208及び磁石ホルダ1204と嵌合するように設けられている。シャフト1214に結合された第2のギヤ1210及び第3のギヤ1212も示されている。
【0064】
図12は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム1100用の位置センサ1200の図である。位置センサ1200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ1200は、コントローラ1104と連係して絶対位置決めシステム1100を提供する。位置センサ1200は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(図15及び図16)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを含む。高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238もまたチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照操作のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、SPIインタフェース1234などの標準的なシリアル通信インタフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0065】
ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、回転磁石1202(図11)の真上に配置されている。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ1200において、ホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dは、磁石1202の絶対位置を、磁石1202の1回転にわたる角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ1236によって計算され、レジスタ又はメモリ内にAS5055位置センサ1200のオンボードで記憶される。1回転にわたる磁石1202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば、電源投入時に、又はコントローラ1104によって要求されたときに、コントローラ1104に与えられる。
【0066】
AS5055位置センサ1200は、コントローラ1104に接続されているときは、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一の電源を使用する単純な用途には、6本のワイヤ、すなわち電力用に2本のワイヤ、及びコントローラ1104とのSPIインタフェース1234用に4本のワイヤ1240が必要とされる。割り込みをコントローラ1104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ1200は、1回の角度測定を含むすべての電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力1242として示され、角度値は、内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ1200は一時停止してスリープモードに移る。コントローラ1104は、SPIインタフェース1234を介してAS5055位置センサ1200から角度値を読み取ることによって、INT出力1242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ1104によって読み取られると、INT出力1242が再びクリアされる。また、コントローラ1104によるSPIインタフェース1234によって「角度読取り」コマンドを位置センサ1200に送信すると、チップが自動的に電源投入され、別の角度測定が開始される。コントローラ1104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力1242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力1242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0067】
AS5055位置センサ1200の測定原理により、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(~600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ1200は一時停止して電源オフ状態に移行する。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ1104内でいくつかの角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0068】
図13は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内部で把持された組織2526に対するIビーム2514発射ストロークを示す、外科用器具10(図1図4)のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、図1図4に示す外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長いチャネル2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長いチャネル2503内に位置決めされている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切刃2509を含むIビーム2514は、発射バー2520の遠位側部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置決めされている。Iビーム2514が遠位に並進すると、切刃2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置決めされた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0069】
例示的なIビーム2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と並べられてチャート2529によって例示されている。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と並べられて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。Iビーム2514の発射ストロークの間、Iビーム2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進し得る。Iビーム2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。Iビーム2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、遠位に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切刃2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に接触しない場合がある。静止摩擦に打ち勝った後、第1の領域2517内でI型梁2514を駆動する力は、実質的に一定であってよい。
【0070】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切刃2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始め得る。Iビーム2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方式のため、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切刃2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に繰り返し接触し得る。Iビーム2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、Iビーム2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切刃2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。Iビーム2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端又はその近くで1つ又は2つ以上のステープルドライバ2511に接触し得る。Iビーム2514を第5の領域2525を通して前進させる力は低減され得、いくつかの例では、Iビーム2514を第1領域2517内で駆動する力と同様であってもよい。発射部材のストロークの終わりに、Iビーム2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。図13の発射部材のストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0071】
上で議論したように、及び図10図13を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10(図1図4)のハンドル組立体内部に配置された電気モータ1122を利用して、Iビーム2514を含む、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。Iビーム2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。コントローラ1104は、Iビーム2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ1104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの、電気モータ1122に供給される電源の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ1122の他の動作パラメータ若しくは外部影響に基づいて、Iビーム2514の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104はまた、電気モータ1122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、Iビーム2514の現在の速度を予測するように構成され得る。コントローラ1104は、本明細書に記載される絶対位置決めセンサシステムを利用して、Iビーム2514の速度を感知するように構成され得る。コントローラは、Iビーム2514の予測速度と、Iビーム2514の感知速度とを比較して、電気モータ1122への電力が、Iビーム2514の速度を増加させるために増加させるべきか否か、かつ/又はIビーム2514の速度を低下させるために減少させるべきか否かを決定するように構成され得る。電気モータ1122によって駆動される外科用器具10に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「MOTOR-DRIVEN SURGICAL CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許第8,210,411号に見出すことができる。センサ機構を含む外科用器具10に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT HAVING RECORDING CAPABILITIES」と題する米国特許第7,845,537号で見出すことができる。
【0072】
Iビーム2514に作用する力は、様々な技術を使用して決定され得る。Iビーム2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって判定することができ、モータ2504の電流は、遠位に前進する際にIビーム2514によって経験される負荷に基づく。Iビーム2514の力は、歪みゲージを、駆動部材120(図2)、発射部材220(図3)、Iビーム2514(Iビーム178、図4)、発射バー172(図4)上に、及び/又は切断縁部2509の近位端上に配置することによって決定されてもよい。Iビーム2514の力は、所定の経過期間T後にモータ2504の現在の設定速度に基づいて予測速度で移動するIビーム2514の実際の位置を監視し、Iビーム2514の実際の位置を、期間T終了時のモータ2504の現在の設定速度に基づくIビーム2514の予測位置に対して比較することによって判定されてもよい。したがって、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置未満である場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予測位置よりも大きい場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも小さい。Iビーム2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのIビーム2514上の力の偏差に比例する。こうした技術は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/628,075号に記載される。
【0073】
図14は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具2500のブロック図を示す。一態様では、外科用器具2500は、Iビーム2514などの変位部材1111の遠位並進を制御するようにプログラムされている。外科用器具2500は、アンビル2516、Iビーム2514(鋭い切断縁部2509を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ2518を備え得るエンドエフェクタ2502を備える。エンドエフェクタ2502、アンビル2516、Iビーム2514及びステープルカートリッジ2518は、例えば、図1~13に関して本明細書に記載されるように構成されてもよい。
【0074】
図10図12に示し、図14の位置センサ2534として表されるように、Iビーム2514などのライナー変位部材1111の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム1100、センサ機構1102、及び位置センサ1200によって測定できる。Iビーム2514が長手方向に移動可能な駆動部材120に連結されているため、Iビーム2514の位置は、位置センサ2534を使用する長手方向に移動可能な駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム2514の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ2534によって達成され得る。図5A及び図5Bに記載される制御回路700などの制御回路2510は、図10図12に関連して記載されるように、Iビーム2514などの変位部材1111の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路2510は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム2514を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/計数回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して、位置センサ2534によって測定されたIビーム2514の位置をタイマー/計数回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム2514の位置を判定することができる。タイマー/計数回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0075】
制御回路2510は、モータ設定値信号2522を生成してもよい。モータ設定値信号2522は、モータコントローラ2508に提供されてもよい。モータコントローラ2508は、本明細書で説明するように、モータ2504にモータ駆動信号2524を提供してモータ2504を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの例では、モータ2504は、図1図5B図10に示すモータ82、714、1120などのブラシ付きDC電気モータであってもよい。例えば、モータ2504の速度は、モータ駆動信号2524に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号2524は、モータ2504の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508は省略されてもよく、制御回路2510がモータ駆動信号2524を直接生成してもよい。
【0076】
モータ2504は、エネルギー源2512から電力を受信することができる。エネルギー源2512は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ2504は、伝達装置2506を介してIビーム2514に機械的に連結され得る。伝達装置2506は、モータ2504をIビーム2514に連結するための1つ若しくは2つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、Iビーム2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してIビーム2514の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム2514の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ2534は省略されてもよい。モータ2504がステップモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0077】
制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538と通信することができる。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備え得る。センサ2538は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
【0078】
1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプ留め状態の間のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0079】
センサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖管260によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖管260(図3)とアンビル2516との間の相互作用点に位置することができる。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システム30によってアンビル2516に印加される閉鎖力を検出するために、閉鎖駆動システム30(図2)に沿った様々な相互作用点に配置されてもよい。図5A図5Bに記載されるように、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、クランプ動作中に、プロセッサによってリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に印加される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0080】
モータ2504によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ2536を用いることができる。Iビーム2514を前進させるのに必要な力は、モータ2504によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。
【0081】
図1~13に関連して、かつ図14を参照して本明細書で開示される器具の物理的性質を用いて、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェア内でシミュレートするように制御回路2510を構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のIビーム2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形2次調節器(LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0082】
外科用器具2500の実際の駆動システムは、ギヤボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム2514を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ2504である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0083】
外科用器具2500の態様を詳細に説明する前に、例示的態様が、適用又は使用において、添付の図面及び明細書に示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な態様は、他の態様、変形形態、及び修正形態に実装されるか又は組み込まれてもよく、様々な方式で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的態様を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。また、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ若しくは2つ以上を、以下に記載される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ若しくは2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。
【0084】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ2502を備える外科用器具2500を対象とする。例えば、モータ2504は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ2502は、枢動可能なアンビル2516と、使用のために構成される場合は、アンビル2516の反対側に配置されたステープルカートリッジ2518とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に組織を把持してもよい。器具2500を使用する準備が整ったときに、臨床医は、例えば器具2500のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ2504は、変位部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム2514は、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間の組織を切断することができる。
【0085】
様々な実施例で、外科用器具2500は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム2514などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路2510を備えてもよい。制御回路2510は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0086】
いつくかの実施例では、制御回路2510は、最初に、モータ2504を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0087】
図15は、本開示の一態様に従って実行された、2つの例示的な変位部材ストロークをプロットしたダイアグラム2580を示す。ダイアグラム2580は2つの軸を含む。横軸2584は経過時間を示す。縦軸2582は、ストローク開始位置2586とストローク終了位置2588との間のIビーム2514の位置を示す。横軸2584上で、制御回路2510は、tにおいて発射信号を受信し初期モータ設定を提供し始めてもよい。変位部材ストロークの開ループ部分は、t~tで経過し得る初期期間である。
【0088】
第1の実施例2592は、厚い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に配置された場合の外科用器具2500の応答を示す。変位部材ストロークの開ループ部分の間、例えば、t~tの初期期間中に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2594まで横断してもよい。制御回路2510は、位置2594が、tの後の(例えば、閉ループ部分内の)例2592の傾きによって示される選択された一定速度(Vslow)にてIビーム2514を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。制御回路2510は、Iビーム2514の位置を監視し、モータ設定点信号2522及び/又はモータ駆動信号2524を調整することにより、Iビーム2514を速度Vslowに駆動して、Vslowを維持してもよい。
【0089】
第2の実施例2590は、薄い組織がアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に配置された場合の外科用器具2500の応答を示す。t~tの初期期間(例えば、開ループ期間)の間に、Iビーム2514は、ストローク開始位置2586から位置2596まで横断してもよい。制御回路は、位置2596が、選択された一定速度(Vfast)で変位部材を前進させる発射制御プログラムに対応すると判定してもよい。例2590の組織は例2592の組織よりも薄いので、Iビーム2514の動きに対する抵抗がより小さくなり得る。その結果、Iビーム2514は、初期期間中に、ストロークのより大きな部分を横断し得る。また、いくつかの実施例では、より薄い組織(例えば、初期期間中に変位部材ストロークのより大きい部分を横断する)は、初期期間後の、より速い変位部材速度に対応し得る。
【0090】
図16図21は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2300が、どのように関節継手2270を中心に細長いシャフト組立体2200に対して関節運動させ得るのかを示す、外科用器具2010のエンドエフェクタ2300を示す。図16は、明確にするためにその一部分が省略された、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、エンドエフェクタ2300の一部分の部分斜視図である。図17は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の斜視図である。図18は、細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の分解組立斜視図である。図19は、非関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。図20は、第1の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。図21は、第2の関節運動方向にある細長いシャフト組立体2200を示す、図16のエンドエフェクタ2300の上面図である。
【0091】
ここで図16~21を参照すると、エンドエフェクタ2300は、組織を切断及びステープル留めするように適合されており、外科用ステープルカートリッジ2304をその中に動作可能に支持するように構成された細長いチャネル2302の形態をなす第1のジョーを含んでいる。エンドエフェクタ2300は、細長いチャネル2302上でそれに対して移動するように支持されるアンビル2310の形態をなす第2のジョーを更に含む。細長いシャフト組立体2200は、関節運動ロック2810を用いる関節運動システム2800を含む。関節運動ロック2810は、様々な関節運動位置に外科用エンドエフェクタ2300を選択的にロックするように構成されて、操作され得る。かかる構成は、関節運動ロック2810がそのロック解除状態にあるときに、外科用エンドエフェクタ2300がシャフト閉鎖管260に対して回転、すなわち関節運動することを可能にする。特に図18を参照すると、細長いシャフト組立体2200はスパイン210を含んでおり、スパイン210は、(1)その中に発射部材220を摺動可能に支持し、(2)スパイン210の周りに延びる閉鎖管260(図16)を摺動可能に支持する、ように構成されている。シャフト閉鎖管260は、二重枢動閉鎖スリーブ組立体271によって閉鎖管260に枢動可能に取り付けられるエンドエフェクタ閉鎖スリーブ272に取り付けられている。
【0092】
スパイン210はまた、近位関節運動ドライバ230を摺動可能に支持する。近位関節運動ドライバ230は、関節運動ロック2810と動作可能に係合するように構成された遠位端231を有する。関節運動ロック2810は、本明細書に開示される様々な方式でスパイン210に取り付けられるシャフトフレーム2812を更に備えている。シャフトフレーム2812は、その中で遠位関節運動ドライバ2820の近位部分2821を移動可能に支持するように構成されている。遠位関節運動ドライバ2820は、それに加えられた関節運動制御運動に応答して、シャフト軸SA-SAから横方向に偏位しかつシャフト軸SA-SAに対して平行である関節運動作動軸AAAに沿って、遠位方向DD及び近位方向PDに選択的に長手方向に移動するように、細長いシャフト組立体2200内で移動可能に支持されている。
【0093】
図17及び18では、シャフトフレーム2812は、枢動ピン2818をその上に形成された遠位端部分2814を含んでいる。枢動ピン2818は、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395に形成された枢動穴2397内に枢動可能に受容されるように適合されている。エンドエフェクタ装着組立体2390は、ばねピン2393又は同等のものによって、細長いチャネル2302の近位端部2303に取り付けられている。枢動ピン2818は、シャフト軸SA-SAに対して横方向の関節運動軸B-Bを画定して、シャフトフレーム2812に対する関節運動軸B-Bを中心としたエンドエフェクタ2300の枢動移動(すなわち、関節運動)を促進する。
【0094】
図18に示されるように、リンクピン2825が遠位関節運動ドライバ2820の遠位端部2823上に形成され、かつクロスリンク2900の近位端部2902の穴2904内に受容されるように構成されている。クロスリンク2900は、シャフト軸SA-SAを横断して延びており、遠位端部分2906を含んでいる。遠位リンク穴2908がクロスリンク2900の遠位端部分2906を通して設けられ、エンドエフェクタ装着組立体2390の枢動ベース部分2395の底部から延びるベースピン2398をその中に枢動可能に受容するように構成されている。ベースピン2398は、関節運動軸B-Bに平行なリンク軸LAを画定する。図17及び図20は、非関節運動位置にある外科用エンドエフェクタ2300を示す。細長いチャネル2302によって画定されるエンドエフェクタ軸EAは、シャフト軸SA-SAと整列される。「と整列される」という用語は、シャフト軸SA-SAと「同軸状に整列される」か又はシャフト軸SA-SAと平行であることを意味し得る。遠位関節運動ドライバ2820が近位方向PDへ移動することにより、クロスリンク2900が、図19に示すように関節運動軸B-Bを中心として時計回りCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を引き込むことになる。遠位関節運動ドライバ2820が遠位方向DDへ移動することにより、クロスリンク2900が、図21に示すように関節運動軸B-Bを中心として反時計回りCCW方向に外科用エンドエフェクタ2300を移動させることになる。図21に示されるように、クロスリンク2900は湾曲形状を有しており、これにより、外科用エンドエフェクタ2300がその方向に関節運動されると、クロスリンク2900を枢動ピン2818の周りで湾曲させることが可能となる。外科用エンドエフェクタ2300がシャフト軸線SA-SAの両側で完全関節運動位置にあるとき、エンドエフェクタ軸線EAとシャフト軸線SA-SAとの間の関節運動角度2700は約65度(65°)である。したがって、シャフト軸の当該いずれかの関節運動の範囲は、1度(1°)から65度(65°)である。
【0095】
図19は、一態様による、直線姿勢をなす、すなわちシャフト軸SAとして示す長手方向に対してゼロの角度θをなす関節継手2270を示している。図20は、一態様による、シャフト軸SAとエンドエフェクタ軸EAとの間に規定される第1の角度θをなして一方向に関節運動した、図19の関節継手2270を示している。図21は、シャフト軸SAとエンドエフェクタ軸EAとの間に規定される第2の角度θをなして別の方向に関節運動した、図19の関節継手2270を示している。
【0096】
図16~21の外科用エンドエフェクタ2300は、本明細書で説明した様々なタイプ及び構成の発射部材220を用いた外科用切断及びステープル留めデバイスを備えている。しかしながら、外科用エンドエフェクタ2300は、組織を切断及び/又はステープル留めしない他の形態の外科用エンドエフェクタを備えてもよい。中央支持部材2950がスパイン210に対して枢動可能にまた摺動可能に支持されている。図18では、中央支持部材2950はスロット2952を含んでおり、このスロットは、スパイン210から突出するピン2954をその中に受容するように適合されている。これにより、中央支持部材2950は、外科用エンドエフェクタ2300が関節運動されるときに、ピン2954に対して枢動及び並進することが可能となる。枢動ピン2958は中央支持部材2950の下側から突出して、エンドエフェクタ装着組立体2390のベース部分2395に設けられた対応する枢動穴2399内に枢動可能に受容されるようになっている。中央支持部材2950は、それを通じて発射部材220を受容するためのスロット2960を更に含む。中央支持部材2950は、発射部材220が外科用エンドエフェクタ2300の関節運動に適応するように屈曲するときに、発射ビームに側方支持をもたらすように働く。
【0097】
外科用器具は、エンドエフェクタ2300が方向付けられる角度を決定するように更に構成され得る。様々な態様では、センサ機構1102の位置センサ1112は例えば、とりわけ、1つ又は2つ以上の磁気センサ、アナログ回転センサ(電位差計など)、及びアナログホール効果センサの配列を備えてもよく、アナログホール効果センサは、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力するものである。一態様では、図16~21に示される態様の関節継手2270は、エンドエフェクタ2300の角度位置すなわち関節運動角度を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ機構を更に備えることができる。
【0098】
関節運動センサ機構は、上記で説明し、図10~12に示されるセンサ機構1102と同様であり得る。この態様では、関節運動センサ機構は、位置センサと、関節継手2270に動作可能に結合された磁石と、を備えることができ、それにより、関節継手2270の回転と一致する様式で回転する。磁石は、例えば、枢動ピン2818に結合することができる。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知素子を含み、関節継手2270内又はそれに隣接して磁石に近接して配置される。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知素子は、磁石の絶対角度位置を決定する。磁石が関節継手2270に結合されると、位置センサに対する磁石の角度位置は、エンドエフェクタ2300の角度位置に対応する。したがって、関節運動センサ機構は、エンドエフェクタが関節運動するときのエンドエフェクタの角度位置を決定することができる。
【0099】
別の態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230(図3)の絶対位置を監視することによって、エンドエフェクタ2300が間接的に位置付けられる角度を決定するように構成される。関節運動ドライバ230の位置が、エンドエフェクタ2300が既知の方法で方向付けられる角度に対応するため、関節運動ドライバ230の絶対位置を追跡し、次いでエンドエフェクタ2300の角度位置に並進させることができる。この態様では、外科用器具は、関節運動ドライバ230の絶対直線位置を決定し、それに対応する固有の位置信号を提供するように構成された関節運動センサ機構を備える。いくつかの態様では、関節運動センサ機構又は関節運動センサ機構に動作可能に結合されたコントローラは、固有の位置信号からエンドエフェクタ2300の角度位置を並進又は計算するように更に構成される。
【0100】
この態様における関節運動センサ機構は、同じく、上記で説明し、図10図12に示されるセンサ機構1102と同様であり得る。変位部材1111に関して図10に示される態様と同様の一態様では、関節運動センサ機構は、位置センサと、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230のフルストローク毎に1回転する磁石と、を備える。位置センサは、ホール効果センサなどの1つ又は2つ以上の磁気感知素子を備え、磁石に近接して定置されている。したがって、磁石が回転すると、位置センサの磁気感知素子は、1回転にわたって磁石の絶対角度位置を判定する。
【0101】
一態様では、位置センサに関連付けられたセンサ素子の1回転は、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230の長手方向の直線変位dと等価である。換言すれば、dは、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230に結合されたセンサ素子が1回転した後の、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230が点「a」から点「b」まで移動した長手方向の直線距離である。関節運動センサ機構は、ギヤ減速機を介して結合されてもよく、これにより、位置センサは、長手方向に移動可能な関節運動ドライバ230のフルストロークに対して1回転のみすることになる。換言すれば、dは、関節運動ドライバ230のフルストロークに等しくなり得る。位置センサは、次に、関節運動ドライバ230の絶対位置に対応する固有の位置信号を、図10に示すそれらの態様におけるようにコントローラ1104に送信するように構成されている。固有の位置信号を受信すると、コントローラ1104は、次いで、論理を実行して、例えば、エンドエフェクタ2300の予め計算された角度位置の値を返すルックアップテーブルを照会すること、関節運動ドライバ230の直線位置を入力として利用してアルゴリズムによってエンドエフェクタ2300の角度位置を計算すること、又はその分野で既知であるような任意の他の方法を実行することにより、関節運動ドライバ230の直線位置に対応するエンドエフェクタの角度位置を決定するように構成されている。
【0102】
様々な態様において、例えば、全磁場を測定するか磁場のベクトル成分を測定するかによって分類される磁気センサなど、任意の個数の磁気感知素子が関節運動センサ機構に用いられてよい。利用される磁気感知素子の数は、関節運動センサ機構によって感知される所望の分解能に対応する。換言すれば、使用される磁気感知素子の数が多いほど、関節運動センサ機構によって感知することができる、関節運動の程度がより細かくなる。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁場検出に用いられる技術として、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、光磁気、及び微小電気機械システム系の磁気センサが挙げられる。
【0103】
一態様では、関節運動センサ機構の様々な態様の位置センサは、変位部材1111の位置を追跡するための図12に示す位置決めシステムと同様の方法で実装されてもよい。一態様では、関節運動センサ機構は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサは、コントローラと連係して、直接的又は間接的にエンドエフェクタ2300の絶対角度位置を決定するための絶対位置決めシステムを提供している。位置センサは、低電圧低電力の構成要素であり、磁石1202(図11)の上方に位置する位置センサ1200の領域1230に、4つのホール効果素子1228A、1228B、1228C、1228Dを有している。高解像度ADC1232及びスマート電力管理コントローラ1238もまたチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照操作のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズムでも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ1236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁場情報が、SPIインタフェース1234など標準的なシリアル通信インタフェースを介してコントローラ1104に伝送される。位置センサ1200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ1200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0104】
図1図4及び図10図12を参照すると、関節継手2270の位置、及びIビーム178(図4)の位置は、絶対位置決めシステム1100から絶対位置フィードバック信号/値によって決定することができる。一態様において、関節運動角度θは、外科用器具10の駆動部材120に基づいて測定することができる。上で説明したように、長手方向に移動可能な駆動部材120(図2)の移動は、絶対位置決めシステム1100によって追跡されることができ、例えば、関節運動駆動部がクラッチ組立体400(図3)によって発射部材220(図3)に動作可能に結合されると、絶対位置決めシステム1100は実質的に、駆動部材120を介して関節運動システムの移動を追跡することができる。関節運動システムの移動を追跡した結果として、外科用器具のコントローラは、例えばエンドエフェクタ2300などのエンドエフェクタの関節運動角度θを追跡することができる。様々な状況において、結果として、関節運動角度θは、駆動部材120の長手方向変位の関数として決定することができる。駆動部材120の長手方向変位は、絶対位置決めシステム1100によって提供される絶対位置信号/値に基づいて正確に決定することができるため、関節運動角度θは、長手方向変位の関数として決定することができる。
【0105】
別の態様では、関節運動角度θは、関節継手2270にセンサを配置することによって決定することができる。センサは、上述のように駆動部材120の長手方向変位ではなく、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された方法で、絶対位置決めシステム1100を使用して関節継手2270の回転を感知するように構成され得る。例えば、センサ機構1102は、位置センサ1200と、磁石1202と、関節継手2270の回転を感知するように適合された磁石ホルダ1204と、を備える。位置センサ1200は、ホール要素などの1つ又は2つ以上の磁気検出要素を備え、磁石1202に近接して定置されている。図12に記載される位置センサ1200は、関節継手2270の回転角度を測定するように適合され得る。したがって、磁石1202が回転すると、位置センサ1200の磁気感知素子は、関節継手2270上に位置する磁石1202の絶対角度位置を判定する。この情報は、関節継手2270の関節運動角度を計算するためにコントローラ1104に提供される。したがって、エンドエフェクタ2300の関節運動角度は、関節継手2270の絶対回転を測定するように適合された絶対位置決めシステム1100によって決定され得る。
【0106】
一態様では、Iビーム178の発射率、つまり速度は、エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数として変化し、発射駆動システム80上の発射に対する力、具体的には、本明細書で論じられる発射駆動システム80の他の構成要素の中でも、Iビーム178の発射に対する力を低下させることができる。エンドエフェクタ2300の関節運動角度の関数としてIビーム178の可変発射力に適合させるために、モータ82に可変モータ制御電圧を印加してモータ82の速度を制御することができる。モータ82の速度は、Iビーム178の発射力を、エンドエフェクタ2300の関節運動角度に基づく異なる最大閾値と比較することによって制御できる。電気モータ82の速度は、例えばモータ82に印加される電圧、電流、PWM、又はデューティサイクル(0~100%)を調節することによって変化させることができる。
【0107】
図22及び図23は、様々な異なる外科的処置を実施するために使用することのできるモータ駆動式外科用器具10を示す。外科用器具10は、1つ又は2つ以上の電極を備え得るエンドエフェクタ3602を備えることができる。エンドエフェクタ3602は、電流が組織内に導入され得るように、組織に対して配置することができる。外科用器具10は、単極性動作又は双極性動作用に構成することができる。単極性動作の間、電流は、エンドエフェクタ3602上の活性(又はソース)電極により組織に導入することができ、リターン電極を介して戻すことができる。リターン電極は接地パッドであってよく、患者の身体の上で別個に配置されていてよい。双極性動作の間、電流は、それぞれエンドエフェクタの活性電極により組織に導入され、リターン電極により組織から戻され得る。
【0108】
エンドエフェクタ3602は、第1のジョー3604及び第2のジョー部材3608を備え得る。ジョー部材3604、3608のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの電極を有することができる。ジョー部材3604、3608のうち少なくとも1つは、ジョー部材3604、3608の間隔が、第1の位置の間隔よりも小さくなる位置に組織を受容するために、対向するジョーから隔置された位置から移動可能であり得る。この移動可能なジョーの動きにより、その間に保持された組織が圧縮され得る。組織を通じて流れる電流によって発生する熱が、ジョーの移動によって達成される圧縮と組み合わさって、組織内及び/又は組織間に止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用となり得る。外科用器具10は、エンドエフェクタ3602を通って延在可能なナイフ部材3628を備えてもよい。ナイフ部材3628は、組織を切除するように組織及び電極に対して移動可能であり得る。
【0109】
外科用器具10はまた、ステープル留め装置などの組織を一体にクランプするための機構、及び/又は組織ナイフなどの組織を切断するための機構を含んでもよい。電気外科用器具10は、治療を受けている組織に近接してエンドエフェクタ3602を配置するためのシャフトを含んでもよい。シャフトは、直線状であっても曲線状であってもよく、屈曲可能であっても屈曲不能であってもよい。直線状の屈曲可能なシャフトを含む電気外科用器具10では、シャフトは、シャフトの制御された屈曲を可能にするための1つ又は2つ以上の関節継手を有してもよい。こうした継手によって、治療されている組織に直線状の非屈曲式シャフトを有する電気外科用装置を用いて容易にアクセスできないときに、電気外科用器具10のユーザが、シャフトに対してある角度をなして組織と接触するようにエンドエフェクタを配置することが可能となり得る。
【0110】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、ハンドル組立体3500と連通している発振器3400によって器具へと伝達することができる。電気エネルギーは、RFエネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、200キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の周波数範囲であり得る電気エネルギーの一形態である。印加中、電気外科用器具は、組織を通じて低周波数RFエネルギーを伝送することができ、これはイオン撹拌又は摩擦、即ち抵抗加熱を生じさせ、これによって組織の温度を増加させることができる。罹患組織と周囲組織との間にはっきりとした境界が作り出されるため、外科医は、隣接する非標的組織を犠牲にすることなく、高レベルの正確性及び制御で手術することができる。RFエネルギーの低動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は成形しながら、同時に血管を封止するために有用である。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されかつ熱に接触した際に収縮する、結合組織に対して特に良好に作用する。
【0111】
RFエネルギーは、EN 60601-2-:2:2009+A11:2011、Definition201.3.218-HIGH FREQUENCYに記載される周波数の範囲内であってよい。例えば、モノポーラRF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限され得る。しかしながら、バイポーラRF用途において、周波数は、ほぼどのような周波数であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、モノポーラ用途に使用され得る。神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたことをリスク分析が示す場合、より低い周波数がバイポーラ用途に使用され得る。高周波数漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。しかしながら、より高い周波数は、バイポーラ用途の場合には使用され得る。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0112】
図示した構成において、外科用器具10は、ハンドル組立体3500に動作可能に結合された交換式外科用道具組立体3600を備える。別の外科用システムの態様では、交換式外科用道具組立体3600は、更に、ロボット制御又は自動外科用システムの道具駆動組立体と共に効果的に使用され得る。例えば、本明細書で開示される外科用道具組立体3600は、様々なロボットシステム、器具、構成要素及び方法、例えば、限定されないが、参照によって全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,072,535号、発明の名称「SURGICAL STAPLING INSTRUMENTS WITH ROTATABLE STAPLE DEPLOYMENT ARRANGEMENTS」に開示されるものと共に使用されてもよい。
【0113】
図示した態様において、ハンドル組立体3500は、臨床医により把持及び操作することが可能なピストルグリップ部分を含むハンドルハウジング3502を備えることができる。以下で簡潔に論じるように、ハンドル組立体3500は、様々な制御運動を生成して交換式外科用道具組立体3600の対応する部分に適用するように構成された複数の駆動システムを動作可能に支持する。図22に示すように、ハンドル組立体3500は、複数の駆動システムを動作可能に支持するハンドルフレーム3506を更に含むことができる。例えば、ハンドルフレーム3506は、一般的に3510として指定される「第1の」、又は閉鎖駆動システムを動作可能に支持することができ、これを用いて、交換式外科用道具組立体3600に開閉運動を適用することができる。少なくとも1つの形態では、閉鎖駆動システム3510は、ハンドルフレーム3506により枢動可能に支持される閉鎖トリガ3512形態のアクチュエータを含んでもよい。かかる機構により、臨床医が閉鎖トリガ3512を操作することが可能になり、その結果、臨床医がハンドル組立体3500のピストルグリップ部分504を把持すると、閉鎖トリガ3512を、開始位置又は「非作動」位置から「作動」位置、より具体的には完全圧縮位置又は完全作動位置へと容易に枢動させることができる。使用中、閉鎖駆動システム3510を作動させるために、臨床医は閉鎖トリガ3512をピストルグリップ部分に向けて押し下げる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT COMPRISING A SENSOR SYSTEM」と題する米国特許出願公開第2015/0272575号で更に詳細に説明されているように、臨床医が閉鎖トリガ3512を完全に押し下げて完全閉鎖ストロークを達成すると、閉鎖駆動システム3510は、閉鎖トリガ3512を完全に押し下げられた位置又は完全に作動した位置にロックするように構成される。臨床医が閉鎖トリガ3512をロック解除して非作動位置へ付勢することを所望する場合、臨床医が単に閉鎖解放ボタン組立体3518を始動させると、これにより閉鎖トリガを非作動位置に戻すことが可能となる。閉鎖解放ボタン組立体3518はまた、閉鎖トリガ3512の位置を追跡するために、ハンドル組立体3500内のマイクロコントローラと連通する様々なセンサと相互作用するように構成されてもよい。閉鎖解放ボタン組立体3518の構成及び動作に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。
【0114】
少なくとも1つの形態では、ハンドル組立体3500及びハンドルフレーム3506は、取り付けられた交換式外科用道具組立体の対応する部分に発射運動を適用するように構成されている、本明細書で発射駆動システム3530と呼ばれる別の駆動システムを動作可能に支持していてもよい。米国特許出願公開第2015/0272575号でより詳細に説明されているように、発射駆動システム3530は、ハンドル組立体3500のピストルグリップ部分内に位置する電気モータ3505を用いることができる。様々な形態において、モータ3505は、例えば、約25,000RPMの最大回転数を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ3505はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ3505は、一形態では着脱可能なパワーパックを備え得る電源3522によって給電されてもよい。パワーパックは、その中にある複数のLI電池又は他の好適な電池を支持してもよい。直列で接続され得る多数の電池を、外科用器具10のための電源3522として使用してよい。加えて、電源3522は、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0115】
電気モータ3505は、長手方向に移動可能な駆動部材3540を、モータの極性に応じて、遠位方向及び近位方向にて軸方向に駆動させるように、構成される。例えば、モータ3505がある回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材は、遠位方向「DD」へと軸方向に駆動されることになる。モータ3505が反対の回転方向に駆動されると、長手方向に移動可能な駆動部材3540は近位方向「PD」へと軸方向に駆動されることになる。ハンドル組立体3500は、電源3522によって電気モータ3505に印加される極性を逆転させるか、あるいは別の方法でモータ3505を制御するように構成され得るスイッチ3513を含むことができる。ハンドル組立体3500はまた、駆動部材の位置及び/又は駆動部材が移動される方向を検出するように構成されている、1つ又は複数のセンサ(図示せず)を含むことができる。モータ3505の作動は、閉鎖トリガ3512に隣接し、ハンドル組立体3500上で枢動可能に支持される発射トリガ(図示せず)により制御可能である。発射トリガは、非作動位置と作動位置との間で枢動されてよい。発射トリガは、バネ若しくはその他の付勢構成により非作動位置へと付勢されてよく、これにより、臨床医が発射トリガを解放する場合に、それがバネ若しくは付勢構成により非作動位置へと枢動する、又は別の方法で戻されてよい。少なくとも1つの形態では、発射トリガは、閉鎖トリガ3512の「機外」に配置され得る。米国特許出願公開第2015/0272575号で論じられているように、ハンドル組立体3500には、発射トリガの不注意による作動を防ぐために、発射トリガ安全ボタン(図示せず)が設けられていてもよい。閉鎖トリガ3512が非作動位置にある場合、安全ボタンはハンドル組立体3500の中に入っており、ここで臨床医は、これに容易にアクセスすることができず、またこれを発射トリガの作動を防ぐ安全位置と発射トリガが発射され得る発射位置との間で移動させることはできない。臨床医が閉鎖トリガを押し下げる際に、安全ボタン及び発射トリガが下方に枢動し、次に、臨床医による操作が可能になる。
【0116】
少なくとも1つの形態では、長手方向に移動可能な駆動部材3540は、モータと連係する対応する駆動ギヤ機構(図示せず)との噛合係合のために、その上に形成された歯のラックを有してよい。これらの特徴に関する更なる詳細は、米国特許出願公開第2015/0272575号に見出すことができる。しかし、少なくとも1つの構成において、長手方向に移動可能な駆動部材は、不注意によるRFエネルギーからその構成を保護するために絶縁されている。少なくとも1つの形態はまた、モータ3505を使用できない場合に臨床医が長手方向に移動可能な駆動部材を手動で後退させることが可能なように構成された、手動作動式の「緊急離脱」組立体を含む。緊急離脱組立体は、解放式ドア3550の下でハンドル組立体3500内に格納されたレバー又は緊急離脱ハンドル組立体を含んでもよい。レバーは、駆動部材内の歯とラチェット係合するように、手動で枢動するように構成されてもよい。したがって、臨床医は、緊急離脱ハンドル組立体を使用して駆動部材3540を手動で後退させ、駆動部材を近位方向「PD」にラチェットさせることができる。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,608,045号、表題「POWERED SURGICAL CUTTING AND STAPLING APPARATUS WITH MANUALLY RETRACTABLE FIRING SYSTEM」は、本明細書で開示した様々な交換式外科用道具組立体のいずれか1つと共に使用可能でもある、緊急離脱機構、並びに他の構成要素、機構、及びシステムを開示している。
【0117】
図22に示すように、少なくとも1つの構成において、交換式外科用道具組立体3600は、その上にノズル組立体3612を動作可能に支持する道具シャーシを備える、道具フレーム組立体3610を含む。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL INSTRUMENT WITH AXIALLY MOVABLE CLOSURE MEMBER」と題する米国特許出願第15/635,631号で更に詳細に論じられているように、道具シャーシ及びノズル組立体3612は、道具シャーシに対するシャフト軸SAを中心とした外科用エンドエフェクタ3602の回転を促進する。このような回転移動は、図22の矢印Rにより示される。交換式外科用道具組立体3600は、近位閉鎖管3622を動作可能に支持し、外科用エンドエフェクタ3602に連結されたスパイン組立体3630(図3及び24を参照)を有している。様々な状況において、組み立てを容易にするために、スパイン組立体3630は、スナップ機構、接着剤、溶接などにより互いに相互接続された、上部スパインセグメント及び下部スパインセグメントから作製可能である。組み立てられた形態において、スパイン組立体3630は、道具シャーシ内に回転可能に支持される近位端を含む。1つの構成では、例えば、スパイン組立体3630の近位端は、道具シャーシ内で支持されるように構成されたスパインベアリング(図示せず)に取り付けられる。このような構成により、道具シャーシへのスパイン組立体3630の回転可能な取り付けが容易になり、その結果、スパイン組立体がシャフト軸SAを中心に道具シャーシに対して選択的に回転可能となる。
【0118】
図示した態様において、交換式外科用道具組立体3600は、第1のジョー3604及び第2のジョー3608を備える外科用エンドエフェクタ3602を含む。1つの構成において、第1のジョーは、その中に従来の(機械式)外科用ステープル/締結具カートリッジ304(図4)、又はRFカートリッジ3606(図22及び図23)を動作可能に支持するように構成された細長いチャネル3614を備える。第2のジョー3608は、細長いチャネル3614に対して枢動可能に支持されるアンビル3616を備える。アンビル3616は、閉鎖駆動システム3510を作動させることにより、細長いチャネル3614内で支持される外科用カートリッジに向かうように、及びそれから遠ざかるように、開位置と閉位置との間を選択的に移動されてもよい。図示した構成において、アンビル3616は、シャフト軸SAを横断する枢動軸を中心とした選択的枢動移動のために、細長いチャネル3614の近位端部分に枢動可能に支持される。閉鎖駆動システム3510の作動により、関節運動コネクタ3618に取り付けられた、近位閉鎖部材又は近位閉鎖管3622の遠位軸移動がもたらされ得る。近位閉鎖管3622を作動させることにより、遠位閉鎖管セグメント3620の遠位移動がもたされ、最終的に閉鎖運動がアンビル3616に適用される。
【0119】
少なくとも1つの構成では、RFエネルギーは、従来のRF発振器3400により、供給リード3402を通って外科用道具組立体3600に供給される。少なくとも1つの構成では、供給リード3402は、オンボード回路基板3654上のセグメント化RF回路3656に取り付けられた、対応する雌型コネクタ3410にプラグ接続されるように構成された、雄型プラグ組立体3406を含む。図25を参照されたい。このような構成により、ノズル組立体3612を回転させることによって、発振器3402から供給リード3400を巻き上げることなく、シャフト軸SAを中心とした道具シャーシに対するシャフト及びエンドエフェクタ3602の回転移動が容易になる。オンボードのオン/オフ電源スイッチ3420が、RF発振器のオンとオフとを切り替えるために、掛留組立体3624及び道具シャーシ上に支持されている。道具組立体3600がハンドル組立体3500又はロボットシステムに動作可能に結合されているとき、オンボードのセグメント化RF回路3656は、コネクタ3668、及び一部の構成ではハウジングコネクタ(図示せず)を介してマイクロプロセッサ3560と通信する。図22に示すように、ハンドル組立体3500は、封止の進捗、ステープル留め、ナイフ位置、カートリッジの状態、組織、温度などに関する情報を閲覧するために表示画面3430を更に含むことができる。図25でも分かるように、スリップリング組立体3652は、ステープル留めに関連する活動のための複数の狭い導電体3662及びRF用に使用されるより広い導電体3664を含み得る可撓性シャフト回路ストリップ又は組立体3646を含む、遠位コネクタ3658とインタフェースする近位コネクタ3666を含む。図24及び図25に示すように、可撓性シャフト回路ストリップ3646は、ナイフバー3626を形成する積層板又はバー3636の間の中心で支持される。こうした構成により、エンドエフェクタ3602の関節運動中におけるナイフバー3626及び可撓性シャフト回路ストリップ3646の十分な撓曲が促進されながらも、ナイフ部材3628がクランプされた組織を貫いて遠位方向に前進することが可能となるのに十分な剛性が維持される。
【0120】
少なくとも1つの構成では、細長いチャネル3614は、細長いチャネル3614の近位端から細長いチャネル3614の底部の遠位位置まで延在する、凹部内に支持されたチャネル回路3642を含む。チャネル回路3642は、電気的接触のために、可撓性シャフト回路ストリップ3646の遠位接触部分3644と接触する近位接触部分を含む。少なくとも1つの構成では、チャネル回路3642の遠位端は、細長いチャネル3614の壁のうちの1つに形成される対応する壁凹部内に受容され、細長いチャネル3614の壁の上縁部上で折り畳まれてこれに取り付けられる。一連の対応する露出接点が、チャネル回路3642の遠位端に提供される。それに対応して、カートリッジ3606は、遠位マイクロチップに取り付けられ、カートリッジ3606の本体の遠位端部分に固定される可撓性カートリッジ回路を含むことができる。可撓性カートリッジ回路の端部は、カートリッジ3606のデッキ表面の縁部上で折り畳まれ得、チャネル回路3642の露出接点と電気接触するように構成された露出接点を含む。したがって、RFカートリッジ3606が細長いチャネル3614に設置されると、RFカートリッジ3606の電極及び遠位マイクロチップが給電され、可撓性カートリッジ回路と、可撓性チャネル回路3642と、可撓性シャフト回路3646と、スリップリング組立体3652との間の接触を介してオンボード回路基板3654と通信する。RFカートリッジ3606と通信及び/又は相互作用する、外科用器具10のRFカートリッジ3606並びに対応する回路及びセンサ機構に関する更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号で見出すことができる。
【0121】
図26は、本開示の一態様による、コントローラ1104(図10)によって実行されたときのナイフ位置を表示するプロセス5000の論理フロー図を示す。様々な態様において、外科用器具10は、横切(ナイフの発射及び後退の両方を含む)中のナイフの位置を監視し、かつ変化するナイフ位置をアニメーションとして表示するか、又は経時的な画像のスライドショーを表示するように構成されたプロセス5000などのプロセスを実行するように構成され得る。このような機能は、例えば、臨床医が、横切操作中に実際のナイフ自体を見る必要なく、ナイフの位置を可視化することを可能にするために有用であり得る。図30に示すように、ナイフの位置は、外科用器具10のハンドル組立体5300上に配置された表示画面5302上に表示され得る。表示画面5302は、ナイフの位置のグラフィック表現、ナイフの位置の数値表現、又はこれらの組み合わせを含むスライドショー5304又はアニメーションを表示することができる。プロセス5000の以下の説明では、図3図10、及び図16図23もまた参照されたい。本明細書で使用するとき、用語「ナイフ」は、ナイフバー280(発射バー172とも呼ばれる)、切断縁部182、及びエンドエフェクタ3602(図23)によって遠位方向に前進して組織を横切する他の関連する構成要素を集合的に指すことができる。
【0122】
したがって、プロセス5000は、外科用器具10が発射状態にあるかどうかを決定する(5002)。発射状態は、ナイフバー280がエンドエフェクタ3602で捕捉された組織を横切するように並進されている、外科用器具10の動作状態である。コントローラ1104は、複数の入力を感知し、次いで感知された入力間の関係を生成することによって、外科用器具10がどの状態であるか(例えば、発射状態、クランプ状態、関節運動状態など)を判定することができる。いくつかの感知された入力は、個々に感知されると、外科用器具10がどの状態であるかに関して確定的ではないため、感知された入力間の関係を生成して、外科用器具10が特定の動作状態にあるかどうかを判定する必要があり得る。例えば、発射駆動システム80が作動しているかどうかを感知することは、それだけでは、外科用器具10がナイフ/ステープルを発射しているか、又は関節運動しているかどうかを伝えることができない。これは、発射駆動システム80がこれらの動作の両方を駆動するためである。他の動作では、個々の入力を感知することは十分であり得る。例えば、閉鎖駆動システム30が起動されているかどうかを感知することは、外科用器具10がクランプされるか、又はクランプのプロセスにあることを伝える。しかしながら、個々の入力を感知することが、仮に外科用器具10が特定の動作状態にあるかどうかを判定するのに十分であり得る場合でも、それでもなお、感知されたパラメータが外科用器具10の動作状態に正確に関連することを検証するために、複数の感知された入力間の関係を生成することが望ましくあり得る。
【0123】
具体的には、外科用器具10が発射動作状態にあるかどうかを判定すること(5002)に関して、コントローラ1104は、外科用器具10の様々な感知されたパラメータ間の関係を生成することによって、ナイフバー280が発射されているかどうかを判定することができ、そのような感知された入力の中でも特に、変位部材1111(例えば、長手方向に移動可能な駆動部材120)が位置センサ1112を介して並進されているかどうかを検出すること、クラッチ組立体400が係合されているかどうかを検出すること、電圧がモータ1120に印加されているかどうかを検出すること、発射トリガの位置を検出すること、閉鎖駆動システム30が起動されたかどうかを検出すること、及び/又はエンドエフェクタ2300のジョー3604、3608(又はアンビル3616及びカートリッジ3606)の相対位置を検出することを含む。一般的な一態様では、コントローラ1104が、発射駆動システム80が起動され、かつ閉鎖駆動システム30が起動されたことを検出した場合、プロセス5000は、外科用器具10が発射状態にあると決定する。別の一般的な態様では、コントローラ1104が、発射トリガが作動され、かつエンドエフェクタ2300がクランプされたことを検出した場合、プロセス5000は、外科用器具10が発射状態にあると決定する。
【0124】
コントローラ1104は、ナイフが様々な異なる方法で発射されていることを検出することができる。一態様では、コントローラ1104は、ナイフバー280の並進運動を直接検知するように構成されている。この態様において、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、ナイフバー280を表す。他の態様において、コントローラ1104は、代わりに、ナイフバー280に結合された構成要素の並進運動を検知することによって、ナイフバー280の並進運動を間接的に検知するように構成されている。これらの態様において、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、長手方向に移動可能である駆動部材120(図2)、発射部材220(図3)、又はナイフバー280に結合された別の移動可能な構成要素を表し得る。これらの態様のいずれにおいても、位置センサ1112が、変位部材1111が第1の(すなわち、近位側又はホーム)位置と第2の(すなわち、遠位側)位置との間で並進していることを検出するとき、コントローラ1104は、それによって、ナイフバー280が発射しているか又は後退していると判定することができる。別の態様では、コントローラ1104は、電流センサ2536(図14)と通信可能に結合することができ、その電流センサは、モータ2504がエネルギー源2512から電力をいつ引き出しているかを検出するように構成されている。モータ2504が電力を引き出している(すなわち、電圧がモータ2504に印加されている)ことを、電流センサ2536が検出すると、コントローラ1104は、その検出によって、モータ2504が電圧印加時にナイフバー280を駆動しているため、ナイフバー280が発射していると判定することができる。更に別の態様において、他のセンサ(複数可)1118は、発射トリガ(図示せず)がいつ作動したかを判定するように構成された発射トリガセンサを含むことができる。発射トリガが発射駆動システム80を発射させると、発射トリガが作動されたかどうかを検出することは、したがって、外科用器具10の発射状態を決定するための代理として機能する(単独又は他の感知された入力との組み合わせのいずれかで)。発射トリガセンサは、例えば、ハンドル組立体3500に対する発射トリガの位置を検出するように構成された位置センサを含むことができる。他の様々な態様には、ナイフシステム又は発射駆動システム80がいつ作動したかを検出するように構成された前述のセンサ構成、及び/又は様々な追加のセンサが含まれる。
【0125】
コントローラ1104は、エンドエフェクタ2300が様々な異なる方法でクランプされていることを検出することができる。一態様では、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖トリガ3512がいつ作動したかを判定するように構成された閉鎖トリガセンサを含むことができる。閉鎖トリガ3512は、閉鎖駆動システム3510を作動させるので、閉鎖トリガ3512が作動したかどうかを検出することは、エンドエフェクタ2300がクランプ位置又はクランプ解除位置にあるかどうかを判定するためのプロキシとして機能する。閉鎖トリガセンサは、例えば、ハンドル組立体3500に対して閉鎖トリガ3512の位置を検出するように構成された位置センサを含むことができる。他の態様は、発射制御部の作動を検出するための発射トリガセンサ又は発射ボタンセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖駆動システム3510の作動を検出するように構成された閉鎖駆動システムセンサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、閉鎖管3620によってアンビル3616に及ぼされる力を測定するように構成されたセンサ、あるいは閉鎖管3620又はエンドエフェクタ2300の閉鎖をもたらすために、第1の位置と第2の位置との間で並進する閉鎖駆動システムの別の移動可能な構成要素の相対位置を測定するように構成されたセンサを含むことができる。他のセンサ(複数可)1118は、エンドエフェクタ2300のジョー3604、3608がクランプ位置又はクランプ解除位置にあるかどうかを判定するように構成されたジョーセンサを更に含むことができる。例えば、他のセンサ(複数可)1118は、第1のジョー3604と第2のジョー3608との間の距離を検出するように構成されたセンサを含むことができる。第1のジョー3604及び/又は第2のジョー3608のうちの少なくとも1つの上に配設された圧力センサであって、エンドエフェクタ2300が物体(例えば、組織)上にクランプされたときを検出するように構成された圧力センサ、又は第1のジョー3604と第2のジョー3608との間に位置する組織のインピーダンスを検出するように構成されたインピーダンスセンサと、を備える。
【0126】
具体的な一実施例では、外科用器具10は、上述したような発射トリガセンサと、同様に上述したようなジョーセンサと、を含む。コントローラ1104が、発射トリガ(発射駆動システム80を制御する)が作動され、かつエンドエフェクタ2300のジョー3604、3608がクランプされたことを前述のセンサを介して検出した場合、それに応じて、プロセス5000は、外科用器具10が発射状態にある、(すなわち、ナイフバー280が組織を横切するように前進している又は組織の横切後に後退している)と決定する(5002)。様々な他の態様は、感知された入力間の関係を生成して、外科用器具10が発射状態にあるかどうかを決定するために、隔離又は他の組み合わせのいずれかで、上述のセンサ機構を含むことができる。様々なセンサ構成に関する更なる情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に見出すことができる。
【0127】
外科用器具10が発射状態にない場合、プロセス5000は、いいえの分岐に沿って進み、コントローラ1104は、表示画面5302にホームスクリーン画像を表示させる(5004)。ホームスクリーン画像は、ユーザからコマンドを受信するための入力メニュー、及び/又は外科用器具10に関する一般的な情報を表示するための入力メニューを含むことができる。
【0128】
外科用器具10が発射状態にある場合、プロセス5000は、はいの分岐に沿って進み、ナイフバー280のホーム位置に対する位置を決定する(5006)。一態様では、プロセス5000は、ナイフバー280の位置を直接的に検知することによって、その位置を決定する(5006)。この態様では、位置センサ1112によって追跡される変位部材1111は、ナイフバー280を表すことができる。他の態様では、プロセス5000は、ナイフバー280に結合された発射駆動システム80の長手方向に移動可能な駆動部材120(図2)又は別の可動構成要素の位置を検知することによって、ナイフバー280の位置を決定する(5006)。変位部材1111がナイフバー280、ナイフバー280に結合された長手方向に移動可能な駆動部材120又は別のそのような長手方向に移動可能な構成要素を表すかどうかにかかわらず、プロセス5000は、そのホーム位置(すなわち、初期位置又は近位位置)及び/又はその端部位置(すなわち、終端位置又は遠位位置)に対する変位部材1111の位置を検出することによって、ナイフバー280の位置を決定することができる(5006)。変位部材1111がナイフバー280を表す場合、ナイフバー280の位置が、直接的に決定され得る。変位部材1111がナイフバー280を表さない場合でも、変位部材1111の位置は、変位部材1111及びナイフバー280が一緒に動作可能に結合されているため、既知の様式でナイフバー280の位置に依然として対応する。換言すれば、ナイフバー280は、上述のように長手方向に移動可能な駆動部材120に動作可能に結合されているため、例えば、長手方向に移動可能な駆動部材120は、ナイフバー280を対応して並進させる。したがって、変位1111がその初期位置及び/又はその終端位置に対して位置する位置は、ナイフバー280の初期位置及び終端位置に対するナイフバー280の位置に概ね対応する。次に、コントローラ1104は、ナイフバー280の初期位置及び終端位置が既知の値であるため、ナイフバー280の絶対位置をナイフバー280の決定された相対位置から計算することができる。コントローラ1104は、例えば、メモリ1106からナイフバー280及び/又は変位部材1111の初期位置及び終端位置を取得し、次いで、それらの現在位置を、取得された初期位置及び終端位置と比較するように構成され得る。
【0129】
一態様では、外科用器具10は、変位部材1111の位置を計算するための二次センサ又は代替的方法を含む。そのような態様では、位置センサ1112の距離測定を検証するために、二次センサを利用することができる。そのような態様では、外科用器具10は、ナイフシステム又は発射駆動システム80の代替構成要素の位置を検出するように構成された位置センサ装置を含み得る。例えば、位置センサ1112が長手方向に移動可能な駆動部材120の移動を追跡する態様では、外科用器具10は、Iビーム2514の移動を追跡するように構成された第2の位置センサ装置を含むことができる(図14)。これらの態様では、コントローラ1104は、位置センサ1112がそれぞれの変位部材1111の移動を正確に追跡していることを確認するために、位置センサ1112の出力を第2のセンサの出力と比較することができる。2つの出力間に不連続性が存在している場合、コントローラ1104は、センサ装置のうちの少なくとも1つにエラーが存在すると決定することができる。
【0130】
プロセス5000がナイフバー280の相対位置を決定した5006の後、プロセス5000は次に、横切の最初から最後までの、ナイフバー280の計算された位置を表すアニメーション又は一連の画像を表示する。横切は、ナイフバー280の発射及び後退の両方に対応し得る。一態様では、ナイフバー280の位置は、リアルタイムで表示される。別の態様では、コントローラ1104は、ナイフバー280の位置を特定の速度でサンプリングするか、又はプロセス5000は、横切中にナイフバー280の位置の各連続画像を表示する(2008)間の時間遅延を含む。
【0131】
図27は、本開示の一態様による、コントローラ1104によって実行される経時的なナイフ位置を表示するプロセス5100の論理フロー図を示している。プロセス5100の以下の説明では、図3図10図14図16図23及び図26もまた参照されたい。ナイフバー280が組織を横切し、次いで後退する際にナイフバー280の位置を表示するステップ5008は、図26に示されるプロセス5000に関連して記載されるように、プロセス5100などの様々なプロセスによって実施され得る。したがって、プロセス5100は、横切が開始される(5102)とき、すなわち、ナイフバー280が発射されてエンドエフェクタ2300に捕捉された組織を切断するときに開始する。コントローラ1104は、上記のように、様々な感知された入力間の関係に従って、横切が開始された(5102)ことを判定することができる。
【0132】
横切が開始されると(5102)、プロセス5100は閾値位置を決定する。図28A及び図28Bは、閾値位置5210を含む変位部材5202の代表的な発射ストロークの線図5200を示す。閾値位置5210は、変位部材5202の発射ストロークの第1の位置5206(例えば、近位位置)と第2の位置5208(例えば、遠位位置)との間に位置する。閾値位置5210は、変位部材5202の発射ストロークの第1の位置5206又は第2の位置5208のいずれかからのオフセットとして表すことができる。閾値位置5210は、発射ストロークを、第1位置5206に隣接する第1の又は近位ゾーンと、第2の位置5208に隣接する第2の又は遠位ゾーンとに分岐する。コントローラ1104は、変位部材5202が配置されたゾーンに従って、様々なプロセスを実行することができる。図28A及び図28Bに示される線図5200は、発射ストローク中に変位部材5202がそこを通って並進される様々なゾーン及び/又は閾値5210、5212を例示するために代表的な目的のみを意図していることに留意されたい。更に、変位部材5202がゾーン内に「位置決めされる」と述べられている場合、変位部材5202の遠位端5204が特定のゾーン又は特定の位置に位置することを意味する。
【0133】
一態様では、閾値位置5210は、変位部材5202の発射ストロークのロックアウト位置を表す。ロックアウト位置は、エンドエフェクタ2300内にカートリッジ304、3606が存在しない場合など、特定の条件が生じた場合に、越えると変位部材5202が発射ロックアウトシステムによって前進するのを機械的又は電子的に防止する位置に対応する。一部の態様では、ロックアウト位置は、ノーカートリッジロックアウト位置に対応し、発射ロックアウトシステムは、外科用器具10がカートリッジを欠いているとき、又は使用済みカートリッジがエンドエフェクタ2300内に配置されているときに、ナイフがロックアウト位置を越えて前進することを防止する。発射ロックアウトシステムは、ナイフバー280又は変位部材1111がロックアウト位置(すなわち、閾値位置5210)に到達したときにロックされるか、又は別の方法で前進できない場合に、モータ電流スパイクを引き起こすことによって、ロックアウト状態を開始することができる。一態様では、外科用器具10は、電子発射ロックアウトシステムで構成されている。この態様では、コントローラ1104は、チャネル回路3642(図24)が可撓性シャフト回路ストリップ3646の遠位接触部分3644との間に電気的接触を確立するための遠位接触部分3644との接触を行わなかった場合、又はチャネル回路3642が可撓性シャフト回路ストリップ3642の遠位接触部分3644から、カートリッジ304、3606が使用済みであることを示す信号を受信した場合、ロックアウト状態を開始する。別の態様では、外科用器具10は、細長いチャネル3614の両側に開口部を含む機械的発射ロックアウトシステム(図示せず)を有して構成され、これらの開口部は、ナイフバー280が開始位置にあるとき、発射バー172(図4)のチャネル係合特徴部又は足部186(図4)(又はナイフバー280)を受容するように構成されている。ナイフバー280の足部186が細長いチャネル3614の開口部と係合されたとき、ナイフバー280は、ロック位置に維持され、前進することができない。これらの態様では、カートリッジ3606は、カートリッジ3606が適切に設置されたときに細長いチャネル3614の開口部内に受容され、開口部を占有するパッドを更に含み、これにより、ナイフバー280の足部186が開口部と係合するのを防止し、それにより、ナイフバー280を前進させることができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第15/636,096号、表題「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」にロックアウトメカニズムに関して更なる説明を見出すことができる。
【0134】
コントローラ1104は、例えば、メモリ1106から閾値位置5210の値を取得することによって閾値位置5210を判定することができる(5104)。閾値位置5210の値は、変位部材5202発射ストロークの第1の位置5206若しくは第2の位置5208のいずれかからの距離の絶対測定値、又は発射ストロークにおける相対位置を表すことができる。
【0135】
プロセス5100は、変位部材5202の完全後退位置を更に決定する(5106)。完全後退位置は、その発射ストロークにおける変位部材5202の初期位置又は近位位置5206に対応することができる。コントローラ1104は、例えば、変位部材5202が発射される前の変位部材5202の位置を感知すること、又はメモリ1106から完全後退位置の値を取り出すことによって、完全後退位置を決定することができる。完全後退位置の値は、変位部材5202発射ストロークの第1の位置5206若しくは第2の位置5208のいずれかからの距離の絶対測定値、又は発射ストロークにおける相対位置を表すことができる。
【0136】
コントローラ1104によって実行されるプロセス5100が閾値位置5210を決定し(5104)、完全後退位置を決定すると、プロセス5100は次に、例えば位置センサ1112を介して変位部材5202の位置を決定する(5108)。変位部材5202の位置は、例えば位置センサ1112及びタイマー/カウンタ回路2531からの入力の組み合わせを介して、変位部材5202の発射ストロークを通じて経時的に追跡することができる。次に、プロセス5100は、変位部材5202の決定された位置と閾値位置5210との間の差に従ってナイフ位置を表示する(5110)。コントローラ1104は、ディスプレイ1128に、ナイフ位置を数値(例えば、mmで表される)として、最小位置と最大位置との間で移動するアニメーション化されたナイフのグラフィック表現として、及び他の形態、又はそれらの組み合わせで表示させることができる。変位部材5202の位置と閾値位置5210との間の差を表示することは、例えば、変位部材5202が長手方向に移動可能な駆動部材120を表す態様において有用であり得、長手方向に移動可能な駆動部材120は上述のように、代替的に外科用器具10の関節運動及び発射を駆動する。そのような態様では、関節運動は、第1のゾーン5214内の長手方向に移動可能な駆動部材120によって駆動され得、ナイフの発射は、閾値位置5210によって線引きされた発射ストロークの第2のゾーン5216内の長手方向に移動可能な駆動部材120によって駆動され得る。発射時、ナイフの位置は直接感知されず、代わりに、長手方向に移動可能な駆動部材120の感知位置から推測される。そのような態様では、長手方向に移動可能な駆動部材120の発射ストロークのこの第1の又は関節運動ゾーン5214を通る長手方向に移動可能な駆動部材120の移動は、切断縁部182を有するIビーム178における対応する移動を引き起こさないので、したがって、長手方向に移動可能な駆動部材120が、関節運動ゾーン5214の端部を線引きする閾値位置5210を過ぎて移動するまで、表示されたナイフ位置の表示を増加させないように、図27に示されるプロセス5100などの制御された1104によって実行されるプロセスを望む場合がある。例えば、図28Aに示される線図では、外科用器具10の関節運動のみが関節運動ゾーン5214内で駆動されるため、第2の又は発射ゾーン5216における閾値位置5210から遠位端5204の現在の位置への変位部材5202の移動のみがナイフの対応する発射を引き起こした。いくつかの態様では、変位部材5202の位置からの閾値位置5210を引いた位置が負である場合、プロセス5100は、ディスプレイ1128に数ゼロ(例えば、mm)を表示させるか、又は他の方法でナイフを完全に後退しているとして表現する。
【0137】
次いで、プロセス5100は、例えば、変位部材5202が遠位(発射)方向若しくは近位(後退)方向に移動しているかどうか、ナイフ自体(例えば、ナイフバー280)が遠位(発射)方向若しくは近位(後退)方向に移動しているかどうか、モータ1120に印加される電圧極性、モータ1120によって駆動される回転可能なシャフトの回転方向、及び/又はナイフの状態を示す他のパラメータを感知することによって、ナイフが後退しているかどうかを判定する(5112)。ナイフが後退していない場合、プロセス5100はいいえの分岐に沿って続き、ループバックして変位部材5202の位置を再決定し(5108)、次いで、閾値位置5210に対する変位部材5202の位置の変化に従ってナイフの更新位置を表示する(5110)。したがって、プロセス5100は、ナイフが後退し始めるまでナイフが遠位方向に前進する際に、ナイフの表示位置を順次更新するこのループを継続する。
【0138】
ナイフが後退している場合、プロセス5100ははいの分岐に沿って続き、変位部材5202が後退しているときに変位部材5202の位置を決定する(5114)。次に、プロセス5100は、変位部材5202の感知された位置が、図28Bに示す第2の閾値位置5212を通り越して後退したかどうかを判定する(5116)。一態様では、第2の閾値位置5212は、少なくとも閾値位置5210と完全後退又は第1の位置5206との間の差に等しい距離だけ第2の位置5208からオフセットされていると定義することができる。プロセス5100は、変位部材5202が閾値位置5210を通過するときから、表示されたナイフ位置を増加させ始めるので、変位部材5202が後退したときから直ちに、プロセス5100が表示されたナイフ位置を減少させ始めた場合、表示されたナイフ位置は、変位部材5202が閾値位置5210まで後退したときに、ゼロ又は完全に後退した状態として示される。これは、変位部材5202が実際に完全に後退する(すなわち、第1の位置5206に位置する)前にナイフが完全に後退した状態として表示されるため、不利であろう。変位部材5202が対応して完全に後退することなくナイフが完全に後退していることを外科用器具10が示すのに応答して、外科用器具の操作者は、例えば、変位部材5202がロックアウト位置に対して遠位の位置に位置している間にエンドエフェクタ2300をクランプ解除することができ、発射ロックアウトシステムによって付与される保護なしに外科用器具10がその後発射されることを潜在的に可能にする。したがって、プロセス5100は、変位部材5202が完全に後退したときにナイフ位置が完全に後退した状態としてのみ表示されることを確実にするために、表示されたナイフ位置を減少させ始める前に、変位部材5202が第2の閾値5212を通り越して後退したかどうかを判定する(5116)。変位部材1111(例えば、長手方向に移動可能な駆動部材120)が完全に後退したときにのみ、ナイフを完全に後退させて表示することは、臨床医が、外科用器具10を時期尚早にクランプ解除するか、ないしは別の方法で、変位部材1111を後退させて時期尚早に停止させることを防止する。
【0139】
変位部材5202が第2の閾値位置5212を通り越して後退していない場合、プロセス5100は、いいえの分岐に沿って続き、後退を継続し(5118)、ループバックして、変位部材5202の位置を再決定し(5114)、次いで、変位部材5202が第2の閾値位置5212を通り越して後退しているかどうかを再び判定する(5116)。したがって、プロセス5100は、第2の閾値位置5212を越えて後退するまで、後退する変位部材5202の位置を監視するこのループを継続する。
【0140】
変位部材5202が第2の閾値位置5212を通り越して後退した場合、プロセス5100ははいの分岐に沿って進み、変位部材5202の位置に従ってナイフ位置を表示する(5120)。一態様では、プロセス5100は、変位部材5202の感知された絶対位置、変位部材5202の第1の位置5206に対する位置、変位部材5202の第2の閾値位置5212に対する位置などに従って、表示されたナイフ位置を更新する。例えば、図28Bに示す線図では、表示されたナイフ位置は、変位部材5202の遠位端5204の第2の閾値位置5212に対する位置に従って減少させることができ、その結果、変位部材5202が完全に後退したときに、ナイフ位置がゼロとして表示される(すなわち、変位部材5202と第2の閾値5212との間の距離は、発射時に第1の閾値位置5210と第2の位置5208との間で並進した変位部材5202の距離に等しい)。
【0141】
次に、プロセス5100は、例えば、変位部材5202の決定した(5114)位置を決定した(5106)完全後退位置と比較することによって、ナイフが完全に後退しているかどうかを判定する(5122)。変位部材5202の感知された位置が完全後退位置に等しい場合、ナイフは完全に後退しており、そうでなければ、ナイフは完全に後退していない。ナイフが完全に後退している場合、プロセス5100は、はいの分岐に沿って続き、横切が完了する(5128)。横切が完了すると(5128)、コントローラ1104は、例えば、エンドエフェクタ2300がクランプ解除されるべきであることを示す命令をディスプレイ1128に表示させることができる。ナイフが完全に後退していない場合、プロセス5100は、いいえの分岐に沿って続き、次いで後退し続け(5124)、変位部材5202の位置を再決定し(5126)、次いで、更新された変位部材5202の位置に従ってナイフ位置を表示する(5120)。したがって、プロセス5100は、変位部材5202が完全に後退するまで、ナイフの表示位置を更新するこのループを継続する。
【0142】
図30図33は、本開示の一態様による、ナイフを第1の位置から第2の位置へと前進させるときのナイフを示している、アニメーション化されたグラフィックユーザインタフェースを有する表示画面5400又はその部分の正面図を示す。図30図33に示すシーケンスにおける表示画面5400上のナイフのグラフィック表現5402の表示は、例えば、コントローラ1104によって実行されるプロセス5000及び/又はプロセス5100によって制御され得る。図30から図33を通じて、ナイフが遠位方向に発射される際に組織を横切すると、それに応じて、表示画面5400上に表示されるナイフのグラフィック表現5402の長さが増加する。換言すれば、グラフィック表現5402の長さは、ナイフが前進できる最大距離に対して前進した距離に比例し得る。ナイフが伸長位置から後退すると、表示画面5400上に表示されるナイフのグラフィック表現5402の長さは、それに応じて(例えば、図33から図30の逆順で)減少する。ナイフが並進した距離の数値表現5406もまた、それに応じて増加し得る。コントローラ1104は、例えば、長手方向に移動可能な駆動部材120又はナイフバー280が並進した距離を決定することによって、ナイフ(すなわち、ナイフの切断線)によって並進した距離の数値表現5406を計算することができる。表示画面5400はまた、ナイフが並進した距離まで臨床医に追加の視覚的合図を提供するためのインジケータ5404を含むことができる。様々な態様では、インジケータ5404は、チェックマーク、ナイフのグラフィック表現5402のリーディング縁部を強調する線、及び他のそのような視覚的合図を含むことができる。
【0143】
表示画面5400はまた、横切中に受けている抵抗を表す抵抗グラフィック5408を含むようにコントローラ1104によって制御され得る。横切中に受ける抵抗は、組織の厚さ、又はナイフが前進する組織の種類に対応し得る。横切中に受ける抵抗は、制御回路2510(図14)に通信可能に結合されてモータ2504(図14)のインピーダンスを監視することができる電流センサ2536(図14)などの様々なセンサ構成を介して決定することができる。制御回路2510は、検出された抵抗に従ってモータ2504が変位部材5202を駆動する速度を変化させるように構成することができる。例えば、ナイフが高度な抵抗を受けるとき、制御回路2510は、モータ2504にナイフが駆動される速度を低減させることができる。ナイフによって受ける抵抗の量は、横切中に受ける相対抵抗又は絶対抵抗をグラフで又は数値で表すインジケータ5410を含むことができる抵抗グラフィック5408によって表すことができる。図示された態様では、抵抗グラフィック5408は、例えば、横切された組織からの低抵抗、中抵抗、又は高抵抗など抵抗のレベルに従ってグループ化される、ナイフによって受ける相対抵抗を表すインジケータ5410を含む。相対抵抗は、例えば、メモリ1106に格納され、かつ計算のためにコントローラ1104によって取得され得る最大予期抵抗に対して検出された又は感知された抵抗(例えば、モータ2504の感知されたインピーダンスを介して決定される)に従って、コントローラ1104によって計算され得る。検出された抵抗が閾値を通過し、より高い又は低い「ゾーン」又は「レベル」にあるとき、抵抗グラフィック5408及び関連するインジケータ5410は、受けた抵抗が変化し、外科用器具10が結果として、例えば、現在の組織状態に適合するためにナイフの速度を変更することによってなど、是正措置をとったか、又はとることになることを、外科用器具10の操作者に知らせるために状況に応じて変化し得る。
【0144】
本明細書に記載される横切動作中にナイフの位置を表示するようにディスプレイを制御する機能又はプロセスは、図5A図6に関連して説明される制御回路700、図7図9に記載の回路800、810、820、図10及び図12に関連して説明されるコントローラ1104、並びに/又は図14に記載の制御回路2510などの、本明細書に記載される処理回路のいずれかによって実行されてもよい。
【0145】
電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。本開示の一部は、コンピュータメモリに格納されたデータ上で動作する命令として、表されてもよい。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、又は数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0146】
一般に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明する様々な態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路構成」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路構成、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路構成、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を有する電気回路構成、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイスを形成する電気回路構成(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成された汎用コンピュータ又はマイクロプロセッサ、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路構成、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、若しくは光学電気機器)を形成する電気回路構成)を含む。これらの態様はアナログ形態若しくはデジタル形態、又はこれらの組み合わせで実装することができる。
【0147】
前述の説明は、1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例の使用による、装置及び/又はプロセスの態様を説明している。このようなブロック図、フローチャート、又は実施例における各機能及び/又は動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は実質上これらの任意の組み合わせにより、個別に、かつ/又は集合的に実装することができる。一態様では、本明細書で記載される主題のいくつかの部分は、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、DSP、プログラマブルロジック装置(PLD)、回路、レジスタ並びに/又はソフトウェア構成要素(例えばプログラム、サブルーチン、論理並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせ)、論理ゲート、又は他の一体化フォーマットにより実装されてもよい。その全部か一部かを問わず、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台又は2台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが、当業者には理解されよう。
【0148】
開示される主題のメカニズムは、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される特定の種類の信号搬送媒体に関係なく用いられる。信号搬送媒体の例としては、記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信ロジック、受信ロジックなど))が挙げられる。
【0149】
これらの態様の前述の説明は、記載及び説明を目的として提示されている。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これら態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な態様を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0150】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0151】
実施例1.第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、センサを介して変位部材が第2の位置から第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、変位部材が第2の位置から第1の位置に移動すると、変位部材の位置が第2の位置からの閾値を上回って位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第2の位置からの閾値を上回って位置していると、ディスプレイに変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える。
【0152】
実施例2.閾値が、ロックアウト位置と第1の位置との間の差に等しい第2の位置からの距離であり、ロックアウト位置は第1の位置と第2の位置との間に位置する、実施例1に記載の外科用器具。
【0153】
実施例3.カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、ロックアウト位置は、カートリッジがエンドエフェクタ内に存在しない限り、変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施例2に記載の外科用器具。
【0154】
実施例4.変位部材に結合されたナイフを更に備え、ナイフは、第1の位置と第2の位置との間の変位部材の移動によって、未発射位置と発射位置との間で駆動される、実施例1~3の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0155】
実施例5.変位部材の位置が、ナイフの位置に対応する、実施例4に記載の外科用器具。
【0156】
実施例6.第1の位置が変位部材の近位位置に対応し、第2の位置が変位部材の遠位位置に対応する、実施例1~5の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0157】
実施例7.制御回路が、センサを介して変位部材が第1の位置から第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第1の位置から第2の位置に移動すると、ディスプレイに変位部材の位置と閾値との間の差を表示させるように更に構成されている、実施例1~6の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0158】
実施例8.制御回路が、ディスプレイに変位部材の位置を数値として表示させるように構成されている、実施例1~7の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0159】
実施例9.第1の位置と第2の位置との間に画定された第1のゾーン及び第2のゾーンを通って移動可能な変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、センサを介して変位部材が第2の位置から第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、変位部材が第2の位置から第1の位置に移動すると、変位部材の位置が第1のゾーン内に位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第1のゾーン内に位置していると、ディスプレイに変位部材の位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える、外科用器具。
【0160】
実施例10.第1のゾーンは、第1の位置と第2の位置からの閾値との間に画定され、第2のゾーンは、第2の位置からの閾値と第2の位置との間に画定されている、実施例9に記載の外科用器具。
【0161】
実施例11.閾値が、ロックアウト位置と第1の位置との間の差に等しい第2の位置からの距離であり、ロックアウト位置は第1の位置と第2の位置との間に位置する、実施例10に記載の外科用器具。
【0162】
実施例12.カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、ロックアウト位置は、カートリッジがエンドエフェクタ内に存在しない限り、変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施例11に記載の外科用器具。
【0163】
実施例13.変位部材に結合されたナイフを更に備え、ナイフは、第1の位置と第2の位置との間の変位部材の移動によって、未発射位置と発射位置との間で駆動される、実施例9~12の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0164】
実施例14.変位部材の位置が、ナイフの位置に対応する、実施例13に記載の外科用器具。
【0165】
実施例15.第1のゾーンが、第1の位置と第2の位置との間で第2のゾーンに対して近位に位置する、実施例9~14の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0166】
実施例16.制御回路が、センサを介して変位部材が第1の位置から第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が第1の位置から第2の位置に移動すると、ディスプレイに変位部材の位置と閾値との間の差を表示させるように更に構成されている、実施例9~15の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0167】
実施例17.未発射位置と発射位置との間で移動可能なナイフと、ナイフに結合された変位部材であって、この変位部材は、ナイフを未発射位置と発射位置との間で駆動するように、近位位置と遠位位置との間で移動可能である、変位部材と、変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、ディスプレイと、ディスプレイ及びセンサに結合された制御回路であって、ナイフが後退しているかどうかを判定し、変位部材の位置をセンサを介して判定し、ナイフが後退すると、変位部材の位置が閾値に対して近位に位置しているかどうかを判定し、かつ、変位部材が閾値に対して近位に位置していると、ディスプレイに変位部材の位置に従ってナイフの位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える、外科用器具。
【0168】
実施例18.閾値が、ロックアウト位置と近位位置との間の差に等しい遠位位置からの距離であり、ロックアウト位置が近位位置と遠位位置との間に位置する、実施例17に記載の外科用器具。
【0169】
実施例19.カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、ロックアウト位置は、カートリッジがエンドエフェクタ内に存在しない限り、変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施例18に記載の外科用器具。
【0170】
実施例20.制御回路が、ナイフが発射しているかどうかを判定し、かつ、ナイフ発射時に、変位部材の位置と閾値との間の差をディスプレイに表示させるように更に構成されている、実施例17~19の1つ又は2つ以上に記載の外科用器具。
【0171】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記センサを介して前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置に移動すると、前記変位部材の前記位置が前記第2の位置からの閾値を上回って位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記第2の位置からの前記閾値を上回って位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える、外科用器具。
(2) 前記閾値が、ロックアウト位置と前記第1の位置との間の差に等しい前記第2の位置からの距離であり、前記ロックアウト位置は前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する、実施態様1に記載の外科用器具。
(3) カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、前記ロックアウト位置は、カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施態様2に記載の外科用器具。
(4) 前記変位部材に結合されたナイフを更に備え、前記ナイフは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記変位部材の移動によって、未発射位置と発射位置との間で駆動される、実施態様1に記載の外科用器具。
(5) 前記変位部材の前記位置が、前記ナイフの位置に対応する、実施態様4に記載の外科用器具。
【0172】
(6) 前記第1の位置が前記変位部材の近位位置に対応し、前記第2の位置が前記変位部材の遠位位置に対応する、実施態様1に記載の外科用器具。
(7) 前記制御回路が、
前記センサを介して前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置と前記閾値との間の差を表示させるように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(8) 前記制御回路が、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置を数値として表示させるように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具。
(9) 外科用器具であって、
第1の位置と第2の位置との間に画定された第1のゾーン及び第2のゾーンを通って移動可能な変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記センサを介して前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第2の位置から前記第1の位置に移動すると、前記変位部材の前記位置が前記第1のゾーン内に位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記第1のゾーン内に位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える、外科用器具。
(10) 前記第1のゾーンが、前記第1の位置と前記第2の位置からの閾値との間に画定され、前記第2のゾーンが、前記第2の位置からの前記閾値と前記第2の位置との間に画定されている、実施態様9に記載の外科用器具。
【0173】
(11) 前記閾値が、ロックアウト位置と前記第1の位置との間の差に等しい前記第2の位置からの距離であり、前記ロックアウト位置は前記第1の位置と前記第2の位置との間に位置する、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、前記ロックアウト位置は、カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施態様11に記載の外科用器具。
(13) 前記変位部材に結合されたナイフを更に備え、前記ナイフは、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記変位部材の移動によって、未発射位置と発射位置との間で駆動される、実施態様9に記載の外科用器具。
(14) 前記変位部材の前記位置が、前記ナイフの位置に対応する、実施態様13に記載の外科用器具。
(15) 前記第1のゾーンが、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記第2のゾーンに対して近位に位置する、実施態様9に記載の外科用器具。
【0174】
(16) 前記制御回路が、
前記センサを介して前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動しているかどうかを判定し、
前記変位部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動すると、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置と前記閾値との間の差を表示させるように更に構成されている、実施態様9に記載の外科用器具。
(17) 外科用器具であって、
未発射位置と発射位置との間で移動可能であるナイフと、
前記ナイフに結合された変位部材であって、前記変位部材が、前記ナイフを前記未発射位置と前記発射位置との間で駆動するように、近位位置と遠位位置との間で移動可能である、変位部材と、
前記変位部材の位置を検出し、かつそれを示す信号を提供するように構成されたセンサと、
ディスプレイと、
前記ディスプレイ及び前記センサに結合された制御回路であって、
前記ナイフが後退しているかどうかを判定し、
前記変位部材の前記位置を前記センサを介して判定し、
前記ナイフが後退すると、前記変位部材の前記位置が閾値に対して近位に位置しているかどうかを判定し、かつ、
前記変位部材が前記閾値に対して近位に位置していると、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置に従って前記ナイフの位置を表示させるように構成された制御回路と、を備える、外科用器具。
(18) 前記閾値が、ロックアウト位置と前記近位位置との間の差に等しい前記遠位位置からの距離であり、前記ロックアウト位置が前記近位位置と前記遠位位置との間に位置する、実施態様17に記載の外科用器具。
(19) カートリッジを受容するように構成されたエンドエフェクタを更に備え、前記ロックアウト位置は、カートリッジが前記エンドエフェクタ内に存在しない限り、前記変位部材が越えて並進できない位置に対応する、実施態様18に記載の外科用器具。
(20) 前記制御回路が、
前記ナイフが発射しているかどうかを判定し、かつ、
前記ナイフの発射の際に、前記ディスプレイに前記変位部材の前記位置と前記閾値との差を表示させるように更に構成されている、実施態様17に記載の外科用器具。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16-17】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図29
図30
図31
図32
図33