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特許7297763外科用装置用の適応的制御プログラム更新
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】外科用装置用の適応的制御プログラム更新
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/00 20160101AFI20230619BHJP
   G16H 40/67 20180101ALI20230619BHJP
【FI】
A61B34/00
G16H40/67
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020534976
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 IB2018055742
(87)【国際公開番号】W WO2019130075
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/649,296
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/940,636
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221334(JP,A)
【文献】特開平11-197159(JP,A)
【文献】特表2017-510826(JP,A)
【文献】国際公開第2017/075541(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0068792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00
G16H 40/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ハブネットワークに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、前記外科用ハブネットワークは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、前記分析システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、を含み、前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析させて前記動作挙動が最適であるかどうかを判定させ、
最適ではない前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信させる、命令を格納しており、
前記動作挙動が、特定の条件下における第1の動作挙動であり、
前記周術期データが、前記特定の条件下における第2の動作挙動を更に示しており、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記第2の動作挙動の処置結果と、前記第1の動作挙動の処置結果とを比較し、正の処置結果に対してより高い相関がある動作挙動が最適であると判定させる命令を格納しており、
前記動作挙動が最適ではない場合に、前記特定の条件下での以後の外科処置において、前記制御プログラムを、前記動作挙動が最適と判定された動作挙動となるように更新する、分析システム。
【請求項2】
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、請求項1に記載の分析システム。
【請求項3】
前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、請求項1に記載の分析システム。
【請求項4】
前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、請求項1に記載の分析システム。
【請求項5】
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、請求項1に記載の分析システム。
【請求項6】
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記外科用ハブネットワークから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、請求項1に記載の分析システム。
【請求項7】
外科用ハブネットワークに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、前記外科用ハブネットワークは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、前記分析システムは、
制御回路を含み、前記制御回路は、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信し、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信し、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析して前記動作挙動が最適であるかどうかを判定し、
前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成し、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信する、ように構成されており、
前記動作挙動が、特定の条件下における第1の動作挙動であり、
前記周術期データが、前記特定の条件下における第2の動作挙動を更に示しており、
前記制御回路は、前記第2の動作挙動の処置結果と、前記第1の動作挙動の処置結果とを比較し、正の処置結果に対してより高い相関がある動作挙動が最適であると判定するように構成されており
前記動作挙動が最適ではない場合に、前記特定の条件下での以後の外科処置において、前記制御プログラムを、前記動作挙動が最適と判定された動作挙動となるように更新する分析システム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が最適であるかどうかを判定するように構成されている、請求項7に記載の分析システム。
【請求項9】
前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、請求項7に記載の分析システム。
【請求項10】
前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、請求項7に記載の分析システム。
【請求項11】
前記制御回路は、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させるように構成されている、請求項7に記載の分析システム。
【請求項12】
前記制御回路は、前記分析システムに、前記外科用ハブネットワークから前記処置結果データを受信させるように構成されている、請求項7に記載の分析システム。
【請求項13】
コンピュータ読取り可能な命令を格納した非一過性のコンピュータ読取り可能媒体であって、前記コンピュータ読取り可能な命令は、実行されると、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成された外科用ハブネットワークに通信可能に結合するように構成された分析システムに、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析させて前記動作挙動が最適であるかどうかを判定させ、
前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信させ、
前記動作挙動が、特定の条件下における第1の動作挙動であり、
前記周術期データが、前記特定の条件下における第2の動作挙動を更に示しており、
前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記第2の動作挙動の処置結果と、前記第1の動作挙動の処置結果とを比較し、正の処置結果に対してより高い相関がある動作挙動が最適であると判定させ
前記動作挙動が最適ではない場合に、前記特定の条件下での以後の外科処置において、前記制御プログラムを、前記動作挙動が最適と判定された動作挙動となるように更新する命令を格納している、
非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項14】
前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項15】
前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項16】
前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項17】
前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【請求項18】
前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記外科用ハブネットワークから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、請求項13に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する2018年3月28日出願の米国仮特許出願第62/642,296号に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,340号、「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,339号に対する優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
本開示は様々な外科システムに関する。このデジタル及び情報時代において、医療システム及び施設では、患者の安全性及び従来の慣行を維持するという一般的な願望のため、より新しい技術及び改良された技術を用いたシステム又は手技の実践が遅れがちである。しかしながら、その結果として、多くの場合、医療システム及び施設は、他の近隣の又は同様の境遇の施設との交流及び知識の共有を怠る場合がある。患者の診療を改善するために、医療システム及び施設の効果的な相互接続を促進する方法を見出すことが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの一般的な態様では、分析システムが提供される。分析システムは、外科用ハブに通信可能に結合するように構成される。外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成される。分析システムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、を含む。メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信させる、命令を格納している。
【0005】
別の一般的な態様では、別の分析システムが提供される。分析システムは、外科用ハブに通信可能に結合するように構成される。外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成される。分析システムは、制御回路を含み、制御回路は、モジュール式装置の動作挙動を示す周術期データを受信し、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信し、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定し、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成し、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信する、ように構成される。周術期データは、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む。
【0006】
更に別の一般的な態様では、別の分析システムが提供される。分析システムは、外科用ハブに通信可能に結合するように構成される。外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成される。非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、コンピュータ読取り可能な命令を格納し、コンピュータ読取り可能な命令は、実行されると、分析システムに、モジュール式装置の動作挙動を示す周術期データを受信させ、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信させる。周術期データは、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科システムである。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールの部分斜視図である。
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ生成器モジュールの斜視図である。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを含む外科用データネットワークを示す。
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに結合された複数のモジュールを含む外科用ハブを示す。
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを含む外科用器具又はツールを示す。
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の回路図である。
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の回路図である。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、他の利点の中でもとりわけ、インダクタレス(inductorless)同調を提供するように構成された発生器の簡略ブロック図である。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、図20の発生器の一形態である発生器の例を示す。
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドコンピューティングシステムのクラウドコンポーネントに接続することができる、外科用ハブに結合された複数のスマート外科用器具を含むクラウドコンピューティングシステムのブロック図を示す。
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドコンピューティングシステムの機能モジュールアーキテクチャを示す。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式装置の制御プログラム更新を適応可能に生成するように構成されたコンピュータ実装相互作用外科システムのブロック図を示す。
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式装置の制御プログラムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の制御プログラムを更新する例示的な分析システムの図を示す。
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブを介してモジュール式装置に更新をプッシュする分析システムの図を示す。
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラム更新を適応可能に生成するように構成されたコンピュータ実装相互作用外科システムの図を示す。
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの制御プログラムのデータ分析アルゴリズムを更新するためのプロセスの論理フロー図を示す。
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの状況認識を示す時間線である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願の出願人は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/649,302号、
「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国仮特許出願第62/649,294号、
「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国仮特許出願第62/649,300号、
「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国仮特許出願第62/649,309号、
「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/649,310号、
「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国仮特許出願第62/649,291号、
「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,296号、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国仮特許出願第62/649,333号、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国仮特許出願第62/649,327号、
「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国仮特許出願第62/649,315号、
「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,313号、
「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,320号、
「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,307号、及び
「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,323号。
【0009】
本願の出願人は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP/170766、
「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP1/170766-1、
「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP2/170766-2、
「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP3/170766-3、
「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP4/170766-4、
「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8499USNP5/170766-5、
「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8500USNP/170767、
「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8500USNP1/170767-1、
「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8500USNP2/170767-2、
「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8500USNP3/170767-3、
「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8501USNP/170768、
「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8501USNP1/170768-1、
「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8501USNP2/170768-2、
「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP/170769、
「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP1/170769-1、
「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8502USNP2/170769-2、
「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8503USNP/170770、
「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8504USNP/170771、
「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第__________号、及び代理人整理番号END8504USNP1/170771、及び
「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第__________号。代理人整理番号END8504USNP2/170771-2、
【0010】
本願の出願人は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8506USNP1/170773-1、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP/170774、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP1/170774-1、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8507USNP2/170774-2、
「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8508USNP/170775、
「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8509USNP/170776、及び
「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8510USNP/170777。
【0011】
本願の出願人は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP/170778、
「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP1/170778-1、
「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8511USNP2/170778-2、
「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8512USNP/170779、
「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8512USNP1/170779-1、
「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8512USNP2/170779-2、
「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号。代理人整理番号END8512USNP3/170779、及び
「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8513USNP/170780。
【0012】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうち任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0013】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に結合されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、M、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0014】
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に結合された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するよう用いることができる。
【0015】
他の種類のロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号に記載されている。
【0016】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号に記載されている。
【0017】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0019】
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0020】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0021】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0023】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療用装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0024】
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置された1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0025】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置する操作者に可視であるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を使用して、滅菌野の内側及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施可能にすることができる。
【0026】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0027】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号。可視化タワー111の位置で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、滅菌野内でハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Surgical Instrument Hardware」の項目、及び「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で説明されている。
【0028】
ここで図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0029】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0030】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ生成器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ生成器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ生成器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0031】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在する。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを含む。
【0032】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギーの種類を組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギーの種類は、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギーの種類は、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0033】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを含む第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0034】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを含む第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0035】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0036】
図3図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。あるいは、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを含んでもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0037】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を含む。
【0038】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ生成器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ生成器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ生成器モジュール145は、図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0039】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに結合されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
【0040】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに結合される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0041】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に結合される。
【0042】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0043】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、図4に示すように、組み合わせ生成器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ生成器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0044】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0045】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0046】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に結合されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。あるいは又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0047】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。あるいは、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0048】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0049】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を含み、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に結合される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールは走査されたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0050】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0051】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを含む。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0052】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0053】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に結合されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を含む外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を含む。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に結合することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0055】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に結合されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に結合されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に結合されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に結合されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0056】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に結合された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に結合された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに結合された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0057】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに結合された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は「インターネット」の隠喩として用いられ得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いることができ、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0058】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0059】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(MAC/IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こす恐れがある。
【0060】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0061】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に結合される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0062】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能力を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0063】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0064】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0065】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0066】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を含む。図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に結合されたモジュール式通信ハブ203を含む。図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に結合された撮像モジュール238、エネルギー装置241に結合された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に結合されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に結合される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに結合される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に結合されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に結合されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0067】
図10は、モジュール式制御タワー236に結合された複数のモジュールを含む外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を含む。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0068】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して、手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し、センサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室を走査する。
【0069】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを含む。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に結合される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかの種類のバス構造(複数可)のうちのいずれかであってもよい。
【0070】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0071】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0072】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0073】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0074】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザーと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0075】
ユーザーは、I/Oインターフェース251に結合された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカー、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0076】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリストレージ装置のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
様々な態様では、図10のコンピュータシステム210、図9図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0078】
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために、通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0079】
図11は、本開示の1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0080】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0081】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するためにサスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に結合される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するためのインターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に結合される。
【0082】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0083】
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は制御回路を含む。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を含むマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に結合して、Iビームナイフ部材を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0084】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0085】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0086】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを含む追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0087】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0088】
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジ駆動器を含んでもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに結合可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0089】
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを含むが、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを含む追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0090】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を含む制御されたモータ駆動回路構成を含む。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを含む長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の移動可能な部材を総称して指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに結合される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に結合されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はこれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに結合され得る。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0091】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に結合されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを含む長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
【0092】
位置センサ472に付随するセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に結合したセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0093】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態はマイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラは論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを含んでもよい。
【0094】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かによって分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を含んでもよい。両方の種類の磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に用いられる技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0095】
一態様では、絶対位置決めシステムを含む追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを含む。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0096】
絶対位置決めシステムを含む追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを含んでもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに結合され、絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を含み得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0097】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0098】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に与えられる。
【0099】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに結合することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加される力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を含む。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みはデジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を操作するのに用いられる力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0100】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式、及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0101】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図8図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を含んでもよい。
【0102】
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に結合された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を含むマイクロコントローラを含むことができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0103】
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0104】
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
【0105】
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを含む外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0106】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に結合されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させられ得る。
【0107】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に結合されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
【0108】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に結合され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0109】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0110】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータに対して個々に結合及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうち一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
【0111】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に結合してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に結合してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に結合してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に結合してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に結合してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0112】
モータ602、603、606a、606bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを含んでもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0113】
様々な例では、図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを含み得るモータ駆動器626を含んでもよい。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に結合されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に結合されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0114】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624の1つ以上が、例えば、プロセッサ622に結合されてもよい。
【0115】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0116】
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に結合されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に結合されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はコンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合したその他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令によってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0117】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な特性の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0118】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に結合可能な外科用器具600のモータをそれぞれ制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0119】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを含んでもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0120】
図17は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を含む。
【0121】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭い切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を含む。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0122】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを含んでもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって決定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、Iビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム714の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0123】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。その他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0124】
一態様では、制御回路710は、モータ設定値信号を生成することができる。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を含んでもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0125】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0126】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達機構706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に結合されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に結合するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を感知し得る。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0127】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に結合された伝達装置706aに結合される。伝達機構706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿った遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに結合されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0128】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定点を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに結合される。トルクセンサ744bは、アンビル716に結合された伝達装置706bに結合される。伝達装置706bは、開放位置及び閉位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに結合される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0129】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定点を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに結合される。トルクセンサ744cは、シャフト740に結合された伝達装置706cに結合される。伝達装置706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに結合される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0130】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定点を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに結合される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに結合された伝達装置706dに結合される。伝達機構706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに結合され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0131】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0132】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを含んでもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0133】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを含んでもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに結合された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0134】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含んでもよい。センサ738は、1つ以上のセンサを含み得る。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0135】
一態様では、1つ以上のセンサ738は、把持状態の間のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0136】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0137】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル716に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0138】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0139】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭い切断縁部を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を含み得るエンドエフェクタ752を含む。
【0140】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に結合されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを含んでもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0141】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0142】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に結合され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に結合するための1つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0143】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788は、1つ以上のセンサを含み得る。
【0144】
1つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0145】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0146】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0147】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0148】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフト組立体の、例えば変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0149】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を含む外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768と、を含んでもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整った時点で、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に配置された切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0150】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を含んでもよい。制御回路760は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0151】
いくつかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0152】
図19は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる着脱可能なステープルカートリッジ768と、を含み得るエンドエフェクタ792を含む。
【0153】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0154】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを含む絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに結合された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0155】
一態様では、Iビーム764は、組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を含むナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部及び通路係合特徴部又は足部を更に含んでよい。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械式)外科用締結具カートリッジとして実装されてもよい。一態様では、RFカートリッジ796はRFカートリッジとして実装されてもよい。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日出願の同一出願人による米国特許出願第15/628,175号(表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」)に記載されている。
【0156】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサにより、測定可能である。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に結合されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材120の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、本明細書に記載されるように、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを含んでもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0157】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を含んでもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0158】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に結合され得る。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に結合するための1つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、一部の実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0159】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ792の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含み得る。センサ788は、1つ以上のセンサを含み得る。
【0160】
1つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0161】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてよい。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサ部分によるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0162】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0163】
RFエネルギー源794はエンドエフェクタ792に結合され、RFカートリッジ796が、ステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792にロードされるときに、RFカートリッジ796に適用される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0164】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0165】
発生器ハードウェア
図20は、他の利点の中でもとりわけ、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器800の簡略ブロック図である。発生器800の追加の詳細は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる、2015年6月23日発行の「SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国特許第9,060,775号に記載されている。発生器800は、電力変圧器806を介して非絶縁段階804と通信する患者絶縁段階802を含んでもよい。電力変圧器806の二次巻線808は、絶縁段階802内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部810a、810b、810cを画定するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を含み得る。具体的には、駆動信号出力部810a、810cは、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均根(RMS)駆動信号)を超音波外科用器具に出力してもよく、駆動信号出力部810b、810cは、電力変圧器806のセンタタップに対応する駆動出力部810bにより、RF電気外科用駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具に出力してもよい。
【0166】
特定の形態では、超音波及び電気外科用の駆動信号は、別個の外科用器具に、及び/又は超音波エネルギー及び電気外科用エネルギーの両方を組織に送達する能力を有する、多機能外科用器具などの単一の外科用器具に、同時に供給されてもよい。専用の電気外科用器具及び/又は複合多機能超音波/電気外科用器具のいずれかへと提供される電気外科用信号は、治療用又は治療量以下のレベルの信号のどちらかであり、治療量以下の信号は、例えば、組織又は器具状態をモニタして、発生器へとフィードバックを提供することに使用され得る、と理解されよう。例えば、超音波及びRF信号は、以下でより詳細に論じられるように、所望の出力信号を外科用器具に提供するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達され得る。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、複合エネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に配置することができる。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーが組織を切開するために用いられてもよい一方で、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
【0167】
非絶縁段階804は、電力変圧器806の一次巻線814に接続された出力部を有する電力増幅器812を含むことができる。ある特定の形態では、電力増幅器812は、プッシュプル増幅器を含んでもよい。例えば、非絶縁段階804は、対応するアナログ信号を電力増幅器812の入力に続いて供給するデジタル-アナログ変換器(DAC)回路818に、デジタル出力を供給するための論理デバイス816を更に含んでもよい。特定の形態では、論理デバイス816は、数ある論理回路の中で、例えば、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、FPGA、プログラマブル論理デバイス(PLD)を含んでもよい。したがって、論理デバイス816は、DAC回路818を介して電力増幅器812の入力を制御することにより、駆動信号入力部810a、810b、810cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形、波形振幅)のうちのいずれかを、制御することができる。特定の形態では、また以下で説明するように、論理機構816、プロセッサ(例えば、以下で説明するDSP)と共に、多くのDSPベースの及び/又はその他の制御アルゴリズムを実行して、発生器800によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
【0168】
電力は、スイッチモードレギュレータ820、例えば電力変換装置によって、電力増幅器812の電力レールに供給され得る。ある特定の形態では、スイッチモードレギュレータ820は、例えば、調整可能なバックレギュレータを含んでもよい。非絶縁段階804は、第1のプロセッサ822を更に含んでもよく、この第1のプロセッサは、一形態では、例えば、Analog Devices(Norwood,MA)から入手可能なAnalog Devices ADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含んでもよいが、様々な形態において、任意の好適なプロセッサが使用されてもよい。特定の形態では、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812からDSPプロセッサ822がADC回路824を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチ-モードレギュレータ820の動作を制御し得る。一形態では、例えば、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812によって増幅された信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC回路824を介して入力として受信し得る。次いで、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチ-モード調節器820(例えば、PWM出力を介して)を制御し得る。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器812のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器812の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善され得る。
【0169】
特定の形態では、論理デバイス816は、DSPプロセッサ822と共に、直接デジタルシンセサイザ制御スキームなどのデジタル合成回路を実装して、発生器800によって出力される駆動信号の波形形状、周波数及び/又は振幅を制御してもよい。一形態では、例えば、論理デバイス816は、FPGA内に埋め込まれてもよいRAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実装してもよい。この制御アルゴリズムは、超音波変換器などの超音波変換器が、その共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減は、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減することができる。発生器800よって出力される駆動信号の波形は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器806、電力増幅器812)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータは、DSPプロセッサ822によって実行される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力されることができ、これは動的な、進行に応じたベース(例えば、リアルタイム)で、LUTに保存された波形サンプルを好適に事前に歪ませる又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に決定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じ得る。そのような形態では、LUT波形サンプルは、したがって、駆動信号の所望の波形を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形を最終的に生成するために必要な波形を表す。
【0170】
非絶縁段階804は、発生器800によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、各絶縁変圧器830、832を介して電力変圧器806の出力部に結合された第1ADC回路826及び第2ADC回路828を更に含み得る。特定の形態では、ADC回路826、828は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、毎秒80メガサンプル(MSPS))でサンプリングするように構成され得る。一形態では、例えば、ADC回路826、828のサンプリング速度は、駆動信号のおよそ200x(周波数による)のオーバーサンプリングを可能にし得る。特定の形態では、ADC回路826、828のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADC回路によって実施され得る。発生器800の形態での高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作ブランチを通って流れる複素電流の計算(これは、上述のDDSベースの波形形状制御を実施するために、特定の形態で使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高精度での実電力消費の計算を可能にし得る。ADC回路826、828によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理デバイス816によって受信かつ処理され得(例えば、先着順処理方式(FIFO)バッファ、マルチプレクサ)、例えば、DSPプロセッサ822による、以後の読み出しのために、データメモリに格納されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の形態では、これは、電圧及び電流のフィードバックデータ対が得られる場合に、論理デバイス816によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、又は別の方法でこれに関連して、記憶された各電圧及び電流のフィードバックデータ対が索引されることを必要とし得る。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0171】
特定の形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用されてもよい。例えば、一形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、インピーダンス相を決定するために使用されてもよい。続いて、駆動信号の周波数を制御して、判定されたインピーダンス位相とインピーダンス位相設定値(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減し、それによって高調波歪みの影響を最小化又は低減し、それに対応してインピーダンス位相の測定精度を向上させることができる。相インピーダンス及び周波数制御信号の決定は、例えば、DSPプロセッサ822に実装されてもよく、周波数制御信号は、論理デバイス816によって実装されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0172】
別の形態では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために監視されてもよい。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ822内の比例-積分-微分(PID)制御アルゴリズムといった、制御アルゴリズムによって実行され得る。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御アルゴリズムにより制御される変数には、例えば、論理デバイス816に格納されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC回路834を介したDAC回路818(これは電力増幅器812に入力を供給する)のフルスケール出力電圧が挙げられ得る。
【0173】
非絶縁段階804は、とりわけユーザーインターフェース(UI)機能性を提供するために、第2のプロセッサ836を更に含んでもよい。一形態では、UIプロセッサ836は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,California)から入手可能な、ARM 926EJ-Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含んでもよい。プロセッサ836によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザーフィードバック、周辺装置との通信(例えば、USBインターフェースを介して)、フットスイッチとの通信、入力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信、並びに出力装置(例えば、スピーカー)との通信を挙げることができる。UIプロセッサ836は、DSPプロセッサ822及び論理デバイス816(例えば、SPIバス)と通信し得る。UIプロセッサ836は、UI機能性を主にサポートしてもよいが、特定の形態では、UIプロセッサ836はまた、DSPプロセッサ822と協調して、危険の緩和を実現してもよい。例えば、UIプロセッサ836は、ユーザー入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ入力、温度センサ入力)の様々な態様をモニタリングするようにプログラミングされてもよく、かつ誤った状態が検出される際に、発生器800の駆動出力を無効化することができる。
【0174】
特定の形態では、DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836の両方は、例えば、発生器800の動作状態を判定かつ監視してもよい。DSPプロセッサ822に関し、発生器800の動作状態は、例えば、どの制御及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ822によって実行されるかを表してもよい。UIプロセッサ836に関し、発生器800の動作状態は、例えば、UI(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザーに提供されるかを表し得る。DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836はそれぞれ、発生器800の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識かつ評価してもよい。DSPプロセッサ822は、この関係におけるマスターとして機能し、動作状態間の遷移が生じるときを決定してもよい。UIプロセッサ836は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認してもよい。例えば、DSPプロセッサ822が、UIプロセッサ836に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ836は、要求される遷移が有効であることを確認してもよい。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ836によって無効であると判定される場合、UIプロセッサ836は、発生器800を故障モードにしてもよい。
【0175】
非絶縁段階804は、入力デバイスを監視するためのコントローラ838(例えば、発生器800をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を更に含むことができる。特定の形態では、コントローラ838は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はUIプロセッサ836と通信する他のコントローラデバイスを含んでもよい。一形態では、例えば、コントローラ838は、1つ又は2つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザー入力をモニタリングするように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMeg168 8ビットコントローラ)を含み得る。一形態では、コントローラ838は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの獲得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含み得る。
【0176】
特定の形態では、発生器800が「電力オフ」状態にあるとき、コントローラ838は、(例えば、後述の電源854などの、発生器800の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続けてもよい。このようにして、コントローラ838は、発生器800をオン及びオフするための入力装置(例えば、発生器800の前側パネルに配置された静電容量式タッチセンサ)を監視し続けることができる。発生器800が電源オフ状態にあるとき、コントローラ838は、ユーザーによる「オン/オフ」入力デバイスの起動が検出されれば、電源を起動することができる(例えば、電源854の1つ以上のDC/DC電圧変圧器856の動作を有効化する)。その結果、コントローラ838は、発生器800を「電源オン」状態に移行させるためのシーケンスを開始することができる。逆に、発生器800が電源オン状態にあるときに「オン/オフ」入力デバイスの起動が検出されれば、コントローラ838は発生器800を電源オフ状態に遷移させるためのシーケンスを開始することができる。例えば、特定の形態では、コントローラ838は、「オン/オフ」入力装置の起動をUIプロセッサ836に報告してもよく、これは、順次、発生器800の切断状態への遷移のために必要なプロセスシーケンスを実行する。この形態では、コントローラ838は、発生器800の電源オン状態が確立された後に、発生器800から電力を排除するための別個の能力を有しないことがある。
【0177】
特定の形態では、コントローラ838は、ユーザーに電源オン又は電源オフシーケンスが開始されたことを警告するために、発生器800に可聴又は他の感覚的フィードバックを提供させてもよい。そのような警告は、電源オン又は電源オフシーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
【0178】
特定の形態では、絶縁段階802は、例えば、外科用器具の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、例えば論理デバイス816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836などの非絶縁段階804の構成要素との間の、通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路840を含んでもよい。器具インターフェース回路840は、例えば、IRベースの通信リンクなどの、段階802と804との間の好適な度合いの電気的絶縁を維持する通信リンクを介し、非絶縁段階804の構成要素と情報を交換し得る。例えば、非絶縁段階804から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路840に電力を供給することができる。
【0179】
一形態では、器具インターフェース回路840は、信号調整回路844と通信している論理デバイス842(例えば、論理回路、プログラマブルロジック回路、PGA、FPGA、PLD)を含み得る。信号調整回路844は、同一の周波数を有する双極呼びかけ信号を生成するために、論理回路842から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼掛け信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して発生させることができる。呼びかけ信号は、(例えば、発生器800を外科用装置に接続するケーブル内の導電ペアを使用して)外科用装置制御回路に通信され、制御回路の状態又は構成を判定するために監視されてもよい。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼掛け信号の1つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路844は、呼びかけ信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するため、ADC回路を含み得る。論理回路842(又は、非絶縁段階804の構成要素)はその後、ADC回路サンプルに基づく制御回路の状態又は構成を決定し得る。
【0180】
一形態では、器具インターフェース回路840は、第1のデータ回路インターフェース846を含んで、論理回路842(又は器具インターフェース回路840のその他の要素)と、外科用器具内に配置されるか又は別の方法で関連付けられた第1のデータ回路と、の間の情報交換を可能にしてもよい。特定の形態では、例えば、第1のデータ回路は、発生器800を有する特定の外科用器具の種類又はモデルとインターフェース接続させるために、外科用器具ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1のデータ回路に関して本明細書に記載されたものを含む任意の好適なプロトコルによって、発生器と通信してもよい。特定の形態では、第1のデータ回路は、EEPROMデバイスなどの、不揮発性記憶デバイスを含み得る。特定の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842とは別個に実施されてもよく、また好適な回路(例えば、別個の論理デバイス、プロセッサ)を含み、論理回路842と第1のデータ回路との間の通信を可能にし得る。その他の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842と一体であり得る。
【0181】
特定の形態では、第1のデータ回路は、第1のデータ回路が関連している特定の外科用器具に関する情報を記憶し得る。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路840によって(例えば、ロジック回路842によって)読み出され、出力デバイスを介したユーザーへの提供のため、及び/又は発生器800の機能又は動作の制御のために、非絶縁段階804の構成要素(例えば、ロジックデバイス816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836)に伝達され得る。加えて、任意の種類の情報が、第1のデータ回路インターフェース846を介して内部に記憶させるために、(例えば、論理回路842を使用して)第1のデータ回路に伝達され得る。そのような情報は、例えば、外科用器具が使用された最新の手術数並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。
【0182】
上記のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であり得る(例えば、多機能外科用器具は、ハンドピースから取り外し可能であり得る)。そのような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかし、この問題に対処するために、外科用器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用器具を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性及び費用のために、実用的でない場合がある。本明細書で論じられる器具の形態は、既存の外科用器具に実装されてもよいデータ回路を経済的に使用し、外科用器具と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0183】
加えて、発生器800の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にしてもよい。例えば、発生器800は、器具(例えば、多機能外科用器具)内に収容される第2のデータ回路と通信するように構成することができる。いくつかの形態では、第2のデータ回路は、本明細書に記載される第1のデータ回路のものと類似した多くのものに実装される。器具インターフェース回路840は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース848を含むことができる。一形態では、第2のデータ回路インターフェース848は、トライステートデジタルインターフェースを含んでもよいが、他のインターフェースも使用されてもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であってもよい。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他の種類の情報を含むことができる。
【0184】
いくつかの形態では、第2のデータ回路は、関連する超音波トランスデューサ、エンドエフェクタ、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を記憶してもよい。例えば、第1のデータ回路は、本明細書に記載されたように、バーンイン周波数スロープを示してもよい。これに加えて、又はこれに代えて、第2のデータ回路インターフェース848を介して内部に記憶させるために、第2のデータ回路に任意の種類の情報を伝達してもよい(例えば、論理回路842を使用して)。そのような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器800からデータを受信し、その受信したデータに基づいてユーザーに指標(例えば、発光ダイオード指標又はその他の可視指標)を提供し得る。
【0185】
特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース848は、論理回路842と第2のデータ回路との間の通信が、この目的のための追加的な導体(例えば、ハンドピースを発生器800に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずにもたらされ得るように、構成され得る。一形態では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路844からハンドピース内の制御回路へ呼掛け信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信方式を使用して、第2のデータ回路との間で情報を伝達することができる。このようにして、元来必要とされる場合がある外科用器具への設計変更又は修正は、最小化されるか又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信を周波数帯域分離することができるため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、したがって、外科用器具の後方互換性を可能にする。
【0186】
特定の形態では、絶縁段階802は、直流電流が患者を通るのを防ぐために、駆動信号出力部810bに接続された、少なくとも1つの阻止コンデンサ850-1を含んでもよい。単一のブロッキングコンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障は比較的稀であるが、それでもなおそのような故障は否定的な結果をもたらす恐れがある。一形態では、第2の阻止コンデンサ850-2は、阻止コンデンサ850-1と直列で提供され得、阻止コンデンサ850-1と850-2との間の点からの電流漏洩が、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするために、ADC回路852によってモニタされる。サンプルは、例えば、論理回路842によって受信されてもよい。発生器800は、(電圧サンプルによって示されるような)漏れ電流の変化に基づいて、阻止コンデンサ850-1、850-2の少なくとも一方が故障したときを判定し、単一の故障点を有する単一コンデンサの設計に勝る利益を提供することができる。
【0187】
特定の形態では、非絶縁段階804、好適な電圧及び電流でDC電力を送達するための電源854を含み得る。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を送達するための、400W電源を含み得る。電源854は、電源の出力を受信して発生器800の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための1つ以上のDC/DC電圧変換器856を更に含むことができる。コントローラ838と関連して上述したように、DC/DC電圧変換器856のうちの1つ以上は、ユーザーによる「オン/オフ」入力装置の起動がコントローラ838によって検出されたときにコントローラ838から入力を受信し、DC/DC電圧変換器856の動作又は起動を可能にしてもよい。
【0188】
図21は、発生器800(図20)の一形態である発生器900の例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。
【0189】
発生器900は、波形発生器904に結合されたプロセッサ902を含む。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に結合されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ又は2つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の調節され増幅された出力は、電力変圧器908に結合される。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に結合される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910にわたって結合され、ENERGY2及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供され得ることを表示するために使用することができ、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0190】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって結合され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって結合され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を通して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0191】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1/RETURNとラベルされた端子にわたって結合された第1の電圧感知回路912又はENERGY2/RETURNとラベルされた端子にわたって結合された第2の電圧感知回路924を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により決定されてもよい。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、図21に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、各エネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0192】
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングされ得る。超音波トランスデューサの発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、図21に示したENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。一例では、RF双極電極の発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続部は、ENERGY2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
【0193】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0194】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0195】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース、通常はメモリ又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0196】
本明細書で使用するとき、チップ上のシステム又はシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール、又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0197】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ又は2つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用され得る。
【0198】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェースするスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0199】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0200】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0201】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば図3及び図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗によって、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0202】
クラウドシステムハードウェア及び機能モジュール
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボットデバイス、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成される。コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、クラウドベースの分析システムを含んでいる。クラウドベースの分析システムは、外科システムとして記載されているが、必ずしもそのように限定されるものではなく、一般的にクラウドベースの医療システムであってもよい。図22に示すように、クラウドベースの分析システムは、複数の外科用器具7012(器具112と同じ又は同様であってもよい)と、複数の外科用ハブ7006(ハブ106と同じ又は同様であってもよい)と、クラウド7004(クラウド204と同じ又は同様であってもよい)に外科用ハブ7006を結合する外科用データネットワーク7001(ネットワーク201と同じ又は同様のものであってもよい)を含んでいる。複数の外科用ハブ7006のそれぞれは、1つ以上の外科用器具7012に通信可能に結合されている。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介してコンピュータ実装インタラクティブ外科システムのクラウド7004に通信可能に結合されている。クラウド7004は、様々な外科システムの動作に基づいて生成されたデータを格納、操作、及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモート集中ソースである。図22に示すように、クラウド7004へのアクセスは、インターネット又は他の何らかの適当なコンピュータネットワークであり得るネットワーク7001を介して行われる。クラウド7004に結合される外科用ハブ7006は、クラウドコンピューティングシステムのクライアント側(すなわち、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科的処置又は動作を制御及び実行するために外科用ハブ7006と組み合わされている。
【0203】
加えて、外科用器具7012は、対応する外科用ハブ7006(送受信機も含み得る)への、及びそこからのデータ伝送のための送受信機を含んでもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療行為を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの特定の位置を示すことができる。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを格納することができる。図22に示すように、クラウド7004は、中央サーバ7013(リモートサーバ7013と同じ又は同様であってもよい)、ハブアプリケーションサーバ7002、データ分析モジュール7034、及び入力/出力(「I/O」)インターフェース7006を含んでいる。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これには、クライアント外科用ハブ7006による要求を監視し、要求を実行するためにクラウド7004の処理能力を管理することが含まれる。中央サーバ7013のそれぞれは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ及び磁気記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる適当なメモリ装置7010に結合された1つ以上のプロセッサ7008を含む。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008に、クラウドベースのデータ分析、動作、推奨、及び以下で説明する他の動作のためにデータ分析モジュール7034を実行させる機械実行可能命令を含むことができる。更に、プロセッサ7008は、ハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと独立して、又はハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に存在することができる集約された医療データデータベース2212も含んでいる。
【0204】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからのデータを集約することができる。そのような集約データは、クラウド7004の集約された医療データベース7012内に格納することができる。具体的には、クラウド7004は、集約されたデータに対してデータ分析及び動作を有利に実行して、個別のハブ7006がそれ自体では行うことができない洞察を与え、かつ/または機能を実行することができる。この目的のため、図22に示すように、クラウド7004と外科用ハブ7006とは、情報を送受信するように通信可能に接続されている。I/Oインターフェース7006は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7006は、外科用ハブ7006と集約化医療データデータベース7012との間で情報を転送するように構成され得る。したがって、I/Oインターフェース7006は、クラウドベースの分析システムの読み取り/書き込み操作を容易にし得る。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行され得る。これらの要求はハブアプリケーションを通してハブ7006に送信され得る。I/Oインターフェース7006は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IEEE1394ポート、並びにクラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースを含み得る、1つ以上の高速データポートを含んでもよい。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、共有機能をホストし、外科用ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に供給するように構成されている。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブ7006を通してハブアプリケーションによって作らされた要求を管理し、集約化医療データデータベース7012へのアクセスを制御し、負荷のバランス調整を行うことができる。データ分析モジュール7034を、図23を参照してより詳細に説明する。
【0205】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、外科用器具7012、112などの医療用装置を使用して行われる医療行為及び処置との関連で生じる様々な問題に対処するように特に設計されている。詳細には、外科用器具7012は、外科手術の性能を改善するための技術を実施するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の様々な相互作用を制御することができるように、タッチ制御されたユーザーインターフェースを含んでもよい。聴覚的に制御されたユーザーインターフェースなどの制御用の他の適当なユーザーインターフェースを使用することもできる。
【0206】
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムの機能的アーキテクチャを示したブロック図である。クラウドベースの分析システムは、医療分野において具体的に生じる問題にデータ分析ソリューションを提供するために、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行され得る複数のデータ分析モジュール7034を含んでいる。図23に示すように、クラウドベースのデータ分析モジュール7034の機能は、外科ハブ7006上でアクセスすることができるハブアプリケーションサーバ7002によってホストされたハブアプリケーション7014を介して支援され得る。クラウドプロセッサ7008とハブアプリケーション7014とは、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作することができる。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応するプロトコル及びルーチンのセットを定義する。加えて、API7016は、アプリケーション7014の動作のために集約された医療データベース7012へのデータの格納及び医療データベースからの取り出しを管理する。キャッシュ7018もデータを(例えば、一時的に)格納し、アプリケーション7014によって使用されるデータのより効率的な取り出しのためにAPI7016に結合されている。図23のデータ分析モジュール7034は、リソースの最適化7020、データ収集及び集約7022、承認及びセキュリティ7024、制御プログラムの更新7026、患者転帰の分析7028、推奨7030、並びにデータ分類及び優先順位付け7032を行うためのモジュールを含んでいる。他の適当なデータ分析モジュールはまた、一部の態様により、クラウド7004によって実装され得る。一態様では、データ分析モジュールは、傾向、転帰、及び他のデータの分析に基づいて特定の推奨を与えるために使用される。
【0207】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、顕著な特徴又は形態(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理、及び、手術毎にグループ化することができるが、必ずしも実際の手術の日付及び外科医にキー付けされなくともよいペアデータセットとしてのデータの格納を含む自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用することができる。詳細には、外科用器具7012の動作から生成されるペアデータセットは、例えば、出血又は非出血事象などのバイナリ分類を適用することを含み得る。より一般的には、バイナリ分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科的処置)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けることができる。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに対応し得る。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又は他の編成されたデータを生成することができる。この目的のため、プロセッサ7008は、データ分析モジュール7034を実行するために、ハブアプリケーション7014及び集約化医療データデータベース7012に動作的に結合することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成データを集約化医療データデータベース2212に格納することができる。
【0208】
リソース最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設群に最適なリソースの使用を決定するように構成することができる。例えば、リソース最適化モジュール7020は、そのような器具7012の対応する予測される要求に基づいて、医療施設群に最適な外科用ステープル留め器具7012の最適な発注点を決定することができる。リソース最適化モジュール7020はまた、様々な医療施設のリソース使用又は他の動作構成を評価してリソースの使用を改善することができるかどうかを判定することもできる。同様に、推奨モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022からの集約された編成データを分析して推奨を提供するように構成することができる。例えば、推奨モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば、期待されるよりも高いエラー率に基づいて改良バージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービス提供者)に対して推奨することができる。加えて、推奨モジュール7030及び/又はリソース最適化モジュール7020は、製品再発注点などのより良好なサプライチェーンパラメータを推奨し、異なる外科用器具7012、その使用、又は外科的転帰を改善するための手順工程などの提案を与えることができる。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような推奨を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関するより具体的な推奨もまた提供され得る。ハブ7006及び/又は外科用器具7012はそれぞれ、クラウド7004によって提供されるデータ又は推奨を表示するディスプレイスクリーンを有し得る。
【0209】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた外科的転帰を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028は、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価することもできる。これと関連して、推奨モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な外科的転帰を与えることに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを用いて推奨することができる。例えば、推奨モジュール7030は、対応するステープル留め外科用器具7012に特定のカートリッジをいつ使用するべきかに関する推奨を外科用ハブ7006に送信することができる。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通の変数を制御する一方で、大規模な生データを分析し、複数の医療施設にわたって集中化された推奨を提供するように構成することができる(集約されたデータに基づいて効果的に決定される)。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療の種類、患者の種類、患者の数、医療提供者間の地理的類似性、どの医療提供者/施設が同様の種類の器具を使用しているか、などに基づいて、どの単一の医療機関も単独で個々に分析することができないような方法でデータを分析、評価、及び/または集約することができる。制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新された場合に、様々な外科用器具7012の推奨を実施するように構成することができる。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果とリンクする相関を特定することができる。かかる相関は、更新された制御プログラムが、制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信される際に対処することができる。対応するハブ7006を介して送信された機器7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集及び分析された集約された性能データを含んでもよい。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び推奨モジュール7030は、集約された性能データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を特定することができる。
【0210】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含み得る。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理されてもよい。各外科用ハブ7006は、ユーザー名、パスワード、及び他の好適なセキュリティ認証情報などの関連する固有の認証情報を有することができる。これらの認証情報は、メモリ7010に格納され、許可されたクラウドアクセスレベルと関連付けることができる。例えば、正確な認証情報を与えることに基づいて、外科用ハブ7006は、クラウドと所定の範囲で通信するアクセスを付与されてもよい(例えば、特定の定義された種類の情報の送信又は受信する際にのみ関与することができる)。この目的のため、クラウド7004の集約化医療データデータベース7012は、与えられた認証情報の精度を検証するための認可済み認証情報のデータベースを含んでもよい。異なる認証情報を、クラウド7004によって生成されたデータ分析結果を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための異なるレベルの許可に関連付けることができる。更に、セキュリティ目的で、クラウドは、禁止されたデバイスの「ブラックリスト」を含み得る、ハブ7006、器具7012、及び、他のデバイスのデータベースを維持することができる。具体的には、ブラックリスト上でリスト化された外科用ハブ7006にはクラウドとの相互作用の許可が与えらないようにする一方で、ブラックリスト上でリスト化された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有さないようにするか、かつ/又は対応するハブ7006とペアリングされる際に完全に機能することを防止することができる。これに加えるか又はこれに代えて、クラウド7004は、不適合性又は他の指定された基準に基づいて器具7012にフラグを立てることができる。このようにして、クラウドベースの分析システム全体にわたって偽造医療用装置及びそのような装置の不適切な再利用を識別して対処することができる。
【0211】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスを得るための認可認証情報を表し得る無線信号を送信することができる。有線送受信機を使用して信号を送信することもできる。そのような認可認証情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に格納することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可認証情報が正確であるか偽造であるかを判定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、セキュリティ強化のために認可認証情報を動的に生成することもできる。認証情報は、ハッシュベースの暗号化を使用することによって暗号化されてもよい。適正な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006、ひいてはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得して送信する準備ができていることを示すことができる。これに応じて、クラウド7004は、医療データを受信して集約化医療データデータベース7012に格納することが可能な状態に移行することができる。このデータ伝送準備状態は、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる。クラウド7004は、関連する制御プログラムを更新するために外科用器具7012に信号を送信することもできる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定のクラスの外科用器具7012(例えば、電気外科用器具)を指向する信号を送信することができる。更に、クラウド7004を用いてシステムワイドなソリューションを実施することで、選択的データ送信及び認可認証情報に基づいてローカル又はグローバルな問題に対処することができる。例えば、一群の外科用器具7012が共通の製造不良を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可認証情報を変更してグループの動作ロックアウトを実施することができる。
【0212】
クラウドベースの分析システムは、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視することを可能とすることで、それに応じて改善された処置及び推奨の変更を判断することができる(例えば、推奨モジュール2030を介して)。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して施設を特定し、そのデータを群内の他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。各群は、例えば、同様の手術法又は地理的位置に基づいて定義することができる。このようにして、クラウド7004は、医療施設群全体にわたった分析及び推奨を提供することができる。クラウドベースの分析システムは、状況認識の強化のために使用することもできる。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な運営及び/又は様々な医療処置に対する)特定の施設におけるコスト及び有効性に関する推奨の効果を予測的にモデル化することができる。その特定の施設に関連するコスト及び有効性を、他の施設又は他の任意の同等の施設の対応するローカル領域と比較することもできる。
【0213】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重要度(例えば、そのデータに関連付けられた医療事象の深刻度、意外さ、疑わしさ)に基づいてデータを優先順位付け及び分類することができる。この分類及び優先順位付けを上記の他のデータ分析モジュール7034の機能と併せて用いることで、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善することができる。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022及び患者転帰分析モジュール7028によって行われるデータ分析に優先順位を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、例えば、優先応答の上昇、特殊な処理、集約化医療データデータベース7012からの除外、又は他の適当な応答などのクラウド7004からの特定の応答(緊急性のレベルに対応する)を生じることができる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、ハブアプリケーションサーバを通して、対応する外科用器具7012からの更なるデータの要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、支持する又は更なるデータを要求する通知を対応するハブ7006上に表示させることができる。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドがその不規則性の原因を判定することができないような状況で必要とされ得る。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると判定された場合、又はセキュリティに不正アクセスがあったと考えられる場合など、特定の重大な状況においてこのプッシュメッセージをトリガするようにプログラムすることができる。
【0214】
記載される様々な機能に関する更なる例示的な詳細を、以下の説明に示す。様々な説明のそれぞれは、ハードウェア及びソフトウェアの実装の一例として、図22及び23で述べたようなクラウドアーキテクチャを用いることができる。
【0215】
外科用装置用の適応制御プログラムの更新
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能なモジュール(例えば図3及び図9に関連して説明したような)と、様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、及び吸入器が挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置の様々な動作は、1つ以上の制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗によって、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0216】
検知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含む「インテリジェントな」装置は、検知されたデータを考慮せずに動作する「データ処理能力のない」装置と比較した場合に改善であり得るが、デバイスの制御プログラムが収集されたデータに応じて時間と共に適応又は更新しない場合には、かかる装置は継続してエラーを繰り返すか、又は他の形で準最適に動作し続ける可能性がある。1つの解決策は、モジュール式装置によって収集された操作データを、各処置(又はその工程)の結果と組み合わせて分析システムに送信することを含む。1つの例示では、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第__________号(代理人整理番号END8501USNP/170768)、発明の名称「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」に記載されるように、モジュール式装置がペアリングされた外科用ハブの状況認識システムによって、処置結果を推定することができる。分析システムは、モジュール式装置のセット又は特定の種類のモジュール式装置から集約されるデータを分析して、分析されたモジュール式装置の制御プログラムがどのような条件下でモジュール式装置を準最適に制御するか(すなわち、制御プログラムに繰り返される故障又はエラーが生じるかどうか、又は代替のアルゴリズムがより優れた形で動作されるかどうか)、又は医療従事者がどのような条件下でモジュール式装置を準最適に利用しているかを判定することができる。次いで、分析システムはモジュール式装置の制御プログラムを修復又は改善するための更新を生成することができる。異なる種類のモジュール式装置を異なる制御プログラムによって制御することができるが、したがって、制御プログラムの更新は、分析システムが準最適に実行していると判定するモジュール式装置の種類に固有のものであり得る。次いで、分析システムは、この更新を、外科用ハブを通して分析システムに接続された適当なモジュール式装置にプッシュすることができる。
【0217】
図24は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式装置9050の制御プログラム更新を適応可能に生成するように構成されたコンピュータ実装適応外科システム9060のブロック図を示す。1つの例示では、外科システムは、外科用ハブ9000、外科用ハブ9000に通信可能に結合された複数のモジュール式装置9050、及び外科用ハブ9000に通信可能に結合された分析システム9100を含む。単一の外科用ハブ9000が示されているが、外科システム9060は任意の数の外科用ハブ9000を含んでよく、これらを接続することで、分析システム9010に通信可能に結合される外科用ハブ9000のネットワークを形成することができる点に留意されたい。1つの例示では、外科用ハブ9000は、外科用ハブに格納された命令を実行するためのメモリ9020に結合されたプロセッサ9010と、これを通ってデータが分析システム9100に送信されるデータリレーインターフェース9030と、を含む。1つの例示では、外科用ハブ9000は、ユーザーから入力を受信するための入力デバイス9092(例えば、容量性タッチスクリーン又はキーボード)と、ユーザーに出力を与えるための出力デバイス9094(例えば、ディスプレイスクリーン)と、を有するユーザーインターフェース9090を更に含む。出力は、ユーザーによるクエリ入力からのデータ、特定の処置で使用するための製品若しくは製品の組み合わせの提案、及び/又は外科処置の前、その間、又は後で行われる動作についての命令を含むことができる。外科用ハブ9000は、モジュール式装置9050を外科用ハブ9000に通信可能に結合するためのインターフェース9040を更に含む。一態様では、インターフェース9040は、無線通信プロトコルを介してモジュール式装置9050に通信可能に接続可能な送受信機を含む。モジュール式装置9050は、例えば、外科用ステープル留め及び切断器具、電気外科用器具、超音波器具、吹送器、人工呼吸器、及びディスプレイスクリーンを含むことができる。1つの例示では、外科用ハブ9000は、EKGモニタ又はBPモニタなどの1つ以上の患者監視装置9052に更に通信可能に結合することができる。別の例示では、外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000が置かれる医療施設のEMRデータベースなどの1つ以上のデータベース9054又は外部コンピュータシステムに更に通信可能に結合することができる。
【0218】
モジュール式装置9050が外科用ハブ9000に接続されると、外科用ハブ9000は、モジュール式装置9050からの周術期データを検知又は受信し、次いで、受信した周術期データを外科処置結果データと関連付けることができる。周術期データは、モジュール式装置9050が外科処置の間にどのように制御されたかを示す。処置結果データは、外科処置(又はその工程)からの結果に関連付けられたデータを含み、このデータは、外科処置(又はその工程)が正又は負の結果のいずれかを含むことができる。例えば、結果データには、患者が特定の処置による術後合併症を有するかどうか、又は特定のステープル又は切開線において漏れ(例えば、出血又は空気漏れ)があるかどうかが含まれ得る。外科用ハブ9000は、外部ソースから(例えば、EMRデータベース9054から)データを受信することによるか、結果を直接検出することによるか(例えば、接続されたモジュール式装置9050のうちの1つを介して)、又は状況認識システムを通して結果の発生を推測することによって、外科処置結果データを得ることができる。例えば、術後合併症に関するデータは、EMRデータベース9054から取得することができ、ステープル又は切開線の漏れに関するデータは、状況認識システムによって直接検出又は推測することができる。外科処置結果データは、モジュール式装置9050自体、患者監視装置9052、及び外科用ハブ9000が接続されるデータベース9054を含む、様々なデータソースから受信されたデータから状況認識システムによって推測され得る。
【0219】
外科用ハブ9000は、関連するモジュール式装置9050のデータ及び結果データを、分析システム9100で処理するために分析システムに送信することができる。モジュール式装置9050がどのように制御されるかを示す周術期データと処置結果データの両方を送信することにより、分析システム9100は、モジュール式装置9050を制御する異なる方法を特定の種類の処置の外科的結果と相関させることができる。1つの例示では、分析システム9100は、外科用ハブ9000からデータを受信するように構成された分析サーバ9070のネットワークを含む。分析サーバ9070のそれぞれは、メモリと、格納された命令を実行して受信したデータを分析する、メモリに結合されたプロセッサと、を含むことができる。いくつかの例示では、分析サーバ9070同士は、分散コンピューティングアーキテクチャ内で接続され、かつ/又はクラウドコンピューティングアーキテクチャを用いる。このペアリングされたデータに基づいて、分析システム9100は次に、様々な種類のモジュール式装置9050のための最適又は好ましい操作パラメータを学習し、フィールド内のモジュール式装置9050の制御プログラムに対する調整を生成した後、モジュール式装置9050の制御プログラムに更新を送信(又は「プッシュ」)することができる。
【0220】
外科用ハブ9000及びそれに接続可能な様々なモジュール式装置9050を含む、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム9060に関する更なる詳細は、図9及び図10に関連して説明されている。
【0221】
図25は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式装置9050の制御プログラムを更新するためのプロセス9200の論理フロー図を示す。以下のプロセス9200の説明においては、図24も参照されたい。プロセス9200は、例えば、分析システム9100の分析サーバ9070の1つ以上のプロセッサによって実行することができる。1つの例示では、分析システム9100は、クラウドコンピューティングシステムであり得る。経済性のために、プロセス9200の以下の説明は、分析システム9100によって実行されるものとして説明される。しかしながら、分析システム9100は、プロセス9200の説明される工程を実行するプロセッサ(複数可)及び/又は制御回路(複数可)を含む点を理解されたい。
【0222】
分析システム9100は、モジュール式装置9050から周術期データを受信し、分析システム9100に通信可能に接続された外科用ハブ9000のうちの1つ以上から外科処置結果データを受信する(9202)。周術期データは、特定の外科処置に関連してモジュール式装置9050によって検出される術前データ、周術期データ、及び/又は術後データを含む。手動で制御されるモジュール式装置9050又はモジュール式装置9050の特定の機能については、周術期データは、手術スタッフ人員がモジュール式装置9050を操作する方法を示す。モジュール式装置制御プログラムによって制御されるモジュール式装置9050又はモジュール式装置9050の特定の機能については、周術期データは、制御プログラムがモジュール式装置9050を操作する方法を示す。モジュール式装置9050が特定の条件セットの下で機能する方法(手動制御又はモジュール式装置9050の制御プログラムによる制御のいずれかによる)は、モジュール式装置9050によって示される「動作挙動」と呼ぶことができる。モジュール式装置9050の周術期データには、モジュール式装置9050の状態に関するデータ(例えば、外科用ステープル留め器具及び切断器具を発射する力若しくは閉じる力、又は電気外科用器具若しくは超音波器具の出力)、モジュール式装置9050によって測定される組織データ(例えば、インピーダンス、厚さ、又は固さ)、及びモジュール式装置9050によって検出することができる他のデータが含まれる。周術期データは、様々な検出された条件に応じてモジュール式装置9050がどのように機能したかを示すものであるため、外科的処置の過程でモジュール式装置9050が動作するようにプログラムされる方法、又は手動で制御される方法を示している。
【0223】
外科処置結果データは、外科処置の全体的な結果に関するデータ(例えば、外科処置中に合併症があったかどうか)、又は外科的処置内の特定の工程の結果に関するデータ(例えば、特定のステープルラインが出血した、又は漏れを生じたか)に関するデータを含む。処置結果データは、例えば、モジュール式デバイス9050及び/又は外科用ハブ9000によって直接検出するか(例えば、医療用撮像装置は、出血を可視化又は検出することができる)、米国特許出願第__________号(代理人整理番号END8501USNP/170768)に記載されるように、外科用ハブ9000の状況認識システムによって決定又は推測するか、又は外科用ハブ9000又は分析システム9100によってデータベース9054(例えば、EMRデータベース)から取得することができる。処置結果データは、データによって表される各結果が正の結果であるか又は負の結果であるかを含むことができる。各結果が正であったか又は負であったかは、モジュール装置9050自体によって判定されて、外科用ハブ9000に送信される周術期データに含まれてもよく、又は受信された周術期データから外科用ハブ9000によって判定又は推測することができる。例えば、出血したステープルラインの処置結果データは、出血が負の結果を表すことを含み得る。同様に、出血しなかったステープルラインの処置結果データは、出血がないことが正の結果を表すことを含み得る。別の例示では、分析システム9100は、受信された処置結果データに基づいて、処置結果が肯定的な結果であるか又は否定的な結果であるかを判定するように構成することができる。いくつかの例示では、モジュール式装置9050のデータを正又は負の処置結果と相関させることにより、分析システム9100は、制御プログラム更新が生成されるべきかどうかを判定することができる(9208)。
【0224】
分析システム9100がデータを受信する(9202)と、分析システム9100はモジュール式装置9050及び処置結果データを分析して、モジュール式装置9050が、特定の処置又は処置の特定の工程に関連して準最適に用いられているかどうかを判定する(9204)。モジュール式装置9050は、モジュール式装置9050が制御されている特定の方法が繰り返しエラーを生じる場合、又はモジュール式装置9050を制御する代替的な方法が同じ条件下でより優れている場合に準最適に制御され得る。したがって、分析システム9100は、モジュール式装置9050が準最適に制御されているかどうか(手動又はその制御プログラムのいずれかにより)を、同じ種類の他のモジュール式装置9050のセット閾値又は性能に対するモジュール式装置9050によって生成された正及び/又は負の結果の割合を比較することによって判定することができる。
【0225】
例えば、分析システム9100は、特定の動作挙動に関連して特定の条件のセットの下でモジュール式装置9050によって生成された負の処置結果の割合が平均又は閾値レベルを上回る場合に、ある種類のモジュール式装置9050が準最適に操作されているかどうかを判定することができる。具体的な例として、分析システム9100は、発射するための特定の力(又は発射するための力の範囲)を指定する外科用ステープル留め器具の制御プログラムが、特定の組織の厚さ及び組織の種類に対して準最適であるかどうかを分析することができる(9204)。分析システム9100が、器具が特定の力で発射される場合に平均又は閾値のステープルライン漏れ率に対して異常に高い割合の漏れステープルライン(例えば、ステープルの成形不良を生じ、組織を完全に貫通しないか、又は組織を引き裂く)を生じると判定した場合、分析システム9100は、外科用ステープル留め器具の制御プログラムがその組織条件の下で準最適に実行されていると判定することができる。
【0226】
別の例として、分析システム9100は、特定の動作挙動に関連した特定の条件セットの下で代替的な制御方法によって生成される正の結果の割合が、分析される制御方法によって同じ条件下で生成される正の結果の割合を上回る場合に、ある種類のモジュール式装置9050が準最適に操作されているかどうかを判定することができる。換言すれば、その種類のモジュール式装置9050の1つのサブ集団が特定の条件のセットの下で第1の動作挙動を示し、同じ種類のモジュール式装置9050の第2のサブ集団が、同じ条件のセットの下で第2の動作挙動を示す場合、分析システム9100は、第1又は第2の動作挙動のどちらが正の処置結果とより大きく相関しているかによってモジュール式装置9050の制御プログラムを更新すべきかどうかを判定することができる。具体的な例として、分析システム9100は、特定のエネルギーレベルを指定するRF電気外科用器具又は超音波器具の制御プログラムが、特定の組織の種類及び環境条件に対して準最適であるかどうかを分析することができる(9204)。分析システム9100が、ある組織条件及び環境条件のセット(例えば、関節鏡手術におけるように液体で充填された環境中に器具が置かれる場合)の下で第1のエネルギーレベルが第2のエネルギーレベルよりも低い止血率を生じると判定した場合、分析システム9100は、第1のエネルギーレベルを指定する電気外科用器具又は超音波器具の制御プログラムが、その特定の組織及び環境条件に対して準最適に実行されていると判定することができる。
【0227】
データを分析(9204)した後、分析システム9100は制御プログラムを更新するかどうかを判定する(9206)。分析システム9100が、モジュール式装置9050が準最適に制御されていないと判定した場合、プロセス9200は、NOの枝に沿って続き、分析システム9100は、上述のように、受信された(9202)データを引き続き分析する(9204)。分析システム9100が、モジュール式装置9050が準最適に制御されていると判定した場合、プロセス9200は、YESの枝に沿って続き、分析システム9100は、制御プログラム更新を生成する(9208)。生成された(9208)制御プログラム更新は、例えば、前のバージョンを上書きするための特定の種類のモジュール式装置9050用の新しいバージョンの制御プログラム、又は前のバージョンを部分的に上書き又は補完するパッチを含む。
【0228】
分析システム9100によって生成される(9208)制御プログラム更新の種類は、分析システム9100によって特定されるモジュール式装置9050によって示される特定の準最適挙動によって決まる。例えば、分析システム9100が、外科用ステープル留め器具を発射するための特定の力が、漏れのあるステープルラインの割合の増加につながると判定した場合、分析システム9100は、発射する力を第1の値から、漏れのないステープルラインのより高い割合、又は漏れのあるステープルラインのより低い割合に対応する第2の値に調整する制御プログラム更新を生成することができる(9208)。別の例として、分析システム9100が、電気外科用器具又は超音波器具の特定のエネルギーレベルが、液体で満たされた環境中で器具が使用される場合に低い割合の止血を生じる(例えば、液体のエネルギー消散効果に起因して)と判定した場合、分析システム9100は、器具のエネルギーレベルを、器具が液体中に浸漬される外科処置で使用される場合のエネルギーレベルに調節する制御プログラム更新を生成することができる(9208)。
【0229】
分析システム9100によって生成(9208)される制御プログラム更新の種類もまた、モジュール式装置9050によって示される準最適な挙動が、手動制御によって引き起こされるか又はモジュール式装置9050の制御プログラムによる制御によって引き起こされるかによって決まる。準最適な挙動が手動制御によって引き起こされる場合、制御プログラム更新は、ユーザーがモジュール式装置9050を操作している方法に基づいて、警告、推奨、又はフィードバックをユーザーに与えるように構成することができる。あるいは、制御プログラム更新は、モジュール式装置9050の手動制御される動作をモジュール式装置9050の制御プログラムによって制御される動作に変更することもできる。制御プログラム更新は、特定の機能の制御プログラムの制御をユーザーがオーバーライドすることを可能としてもしなくてもよい。1つの例示では、分析システム9100が、外科医がRF電気外科用器具を特定の組織の種類又は処置の種類に対する準最適なエネルギーレベルに手動で設定していると判定した場合(9204)、分析システム9100は、エネルギーレベルを変更することを推奨する警告を(例えば、外科用ハブ9000上又はRF電気外科用器具自体に)与える制御プログラム更新を生成することができる(9208)。別の例示では、生成(9208)された制御プログラム更新は、特定の検出された状況下でエネルギーレベルを自動的にデフォルトレベル又は推奨されるレベルに設定することができ、この設定をその後、医療施設スタッフが必要に応じて変更することができる。更に別の例示では、生成(9208)された制御プログラム更新は、エネルギーレベルを分析システム9100によって決定される設定レベルに自動的に設定することができ、医療施設スタッフがエネルギーレベルを変更することを許可しない。準最適な挙動がモジュール式装置9050の制御プログラムによって引き起こされる場合、制御プログラム更新は、制御プログラムが準最適に実行される特定の状況のセットの下でどのように制御プログラムが機能するかを変更することができる。
【0230】
分析システム9100によって制御プログラム更新が生成(9028)された後、分析システム9100は、分析システム9100に接続されている関連する種類のモジュール式装置9050の全てに制御プログラム更新を送信(9210)するか又はプッシュする。モジュール式装置9050は、例えば、外科用ハブ900を通して分析システム9100に接続することができる。1つの例示では、外科用ハブ9000は、分析システムによって更新が生成(9208)されるたびに、分析システム9100から様々な種類のモジュール式装置9050用の制御プログラム更新をダウンロードするように構成される。その後、モジュール式装置9050が外科用ハブ9000に接続又はペアリングされると、モジュール式装置9050は任意の制御プログラムの更新を外科用ハブから自動的にダウンロードする。1つの例示では、分析システム9100は、その後、上述のように、モジュール式装置9050から引き続きデータの受信(9202)及び分析(9204)を行うことができる。
【0231】
1つの例示では、モジュール式装置9050が、モジュール式装置9050が接続された外科用ハブ9000に記録されたデータを送信する代わりに、モジュール式装置9050は、モジュール式装置9050のメモリ上に周術期データ及び処置結果データを記録するように構成される。データは、無期限に、又はモジュール式装置9050からデータがダウンロードされるまで格納しておくことができる。これにより後でデータを取り出すことができる。例えば、モジュール式装置9050は、外科手術で使用された後に製造業者に返却される場合がある。その後、製造業者はモジュール式装置9050からデータをダウンロードした後、上記で述べたようにデータを分析してモジュール式装置9050に対して制御プログラム更新が生成されるべきかどうかを判定することができる。1つの例示では、上記で述べたように、分析を行うために分析システム9100にデータをアップロードすることができる。これにより、分析システム9100は記録されたデータによって更新制御プログラムを生成し、次いで、将来的に製造される製品にその更新を組み込むか、又は現場で現在使用されているモジュール式装置9050に更新をプッシュすることができる。
【0232】
図25に例示されるプロセス9200及び上記に述べた他の概念の理解を助けるため、図26に、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具の制御プログラムを更新する例示的な分析システム9100の図を示す。1つの例示では、外科用ハブ9000又は外科用ハブ9000のネットワークは、図24で上記に示したように、分析システム9100に通信可能に結合されている。分析システム9100は、外科処置結果データに関連付けられたモジュール式装置9050のデータをフィルタリング及び分析してモジュール式装置9050の制御プログラムに対して調整を行う必要があるかどうかを判定するように構成されている。次いで、分析システム9100は必要に応じて、外科用ハブ9000を通してモジュール式装置9050に更新をプッシュすることができる。図の例示では、分析システム9100はクラウドコンピューティングアーキテクチャを含む。ペアリングされたモジュール式装置9050から外科用9000ハブによって受信されるモジュール式装置9050の周術期データとしては、例えば、発射する力(すなわち、組織を通じて外科用ステープル留め器具の切断部材を前進させるのに必要な力)、閉じる力(すなわち、外科用ステープル留め器具のジョーを組織に対してクランプするのに必要な力)、出力アルゴリズム(すなわち、器具の内部状態及び/又は組織状態に応じた電気外科用器具又は超音波器具の経時的な出力変化)、組織の特性(例えば、インピーダンス、厚さ、固さなど)、組織間隙(すなわち、組織の厚さ)、及び閉鎖速度(すなわち、器具のジョーがクランプして閉じられる速度)が挙げられる。分析システム9100に送信されるモジュール式装置9050のデータは単一の種類のデータに限定されず、処置結果データとペアリングされた複数の異なる種類のデータを含み得る点に留意されたい。外科処置(又はその工程)に関する処置結果データとしては、例えば、手術部位に出血があったかどうか、手術部位に空気又は流体の漏れがあったかどうか、及び特定のステープルラインのステープルが適切に成形されたかどうか、が挙げられる。処置結果データは、例えば、外科用ハブ9000又は分析システム9100によって決定されるように、正又は負の結果を更に含むか又はこれに関連付けることができる。モジュール式装置9050のデータ、及びモジュール式装置9050に対応する処置結果データは、分析システム9100にアップロードされる際に互いにペアリングされるか又は他の形で互いに関連付けることができ、これにより、分析システム9100は、それぞれの特定の結果を生成するモジュール式装置9050の基礎となるデータに基づいて処置結果の傾向を認識することが可能である。換言すれば、分析システム9100は、モジュール式装置9050のデータ及び処置結果データを集約して、モジュール式装置9050の制御プログラムに対して行うことができる調整を示すことができる、基礎となる装置モジュール式装置9050のデータ内の傾向又はパターンを探すことができる。
【0233】
図の例示では、図24に関連して説明されるプロセス9200を実行する分析システム9100は、モジュール式装置9050データ及び処置結果データを受信(9202)している。分析システム9100に送信される際、処置結果データは、特定の処置結果を引き起こすモジュール式装置9050の動作に対応するモジュール式装置9050と関連付けるか又はペアリングすることができる。モジュール式装置9050の周術期データ及び対応する処置結果データはデータペアと呼ぶことができる。データは、成功した処置結果に関連付けられたデータの第1のグループ9212と、負の処置結果に関連付けられたデータの第2のグループ9214と、を含むものとして示されている。この特定の例示では、本明細書で検討する概念を更に解明するために、分析システム9100によって受信(9202)されたデータ9212,9214のサブセットについて特に説明する。
【0234】
第1のデータペア9212aに関して、モジュール式装置9050のデータは、経時的な閉鎖する力(FTC)、経時的な発射する力(FTF)、組織の種類(実質組織)、組織の状態(組織は気腫を有する患者由来のものであり、放射線に曝露されたものである)、その器具でこれが何回目の発射か(3回目)、匿名タイムスタンプ(患者の機密を保護しつつ、分析システムが発射間の経過時間又は他のそのような測定基準を計算することを可能とする)、及び匿名患者識別子(002)を含んでいる。処置結果データは、出血がなかったことを示すデータを含むが、このデータは、成功した結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の成功した発射)に対応する。第2のデータペア9212bに関して、モジュール式装置9050のデータは、器具が発射されるまでの待機時間(器具の第1の発射に対応する)、経時的なFTC、経時的なFTF(発射ストロークの終了付近に力のスパイクがあったことを示す)、組織の種類(1.1mmの血管)、組織の状態(組織は放射線に曝露されている)、その器具でこれが何回目の発射か(1回目)、匿名タイムスタンプ、及び匿名患者識別子(002)を含んでいる。処置結果データは、漏れがあったことを示すデータを含むが、このデータは、負の結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の失敗した発射)に対応する。第3のデータペア9212cに関して、モジュール式装置9050のデータは、器具が発射されるまでの待機時間(器具の第1の発射に対応する)、経時的なFTC、経時的なFTF、組織の種類(1.8mmの血管)、組織の状態(目立った状態はない)、その器具でこれが何回目の発射か(1回目)、匿名タイムスタンプ、及び匿名患者識別子(012)を含んでいる。処置結果データは、漏れがあったことを示すデータを含むが、このデータは、負の結果(すなわち、外科用ステープル留め器具の失敗した発射)に対応する。このデータは、あくまで本明細書で検討する概念の理解を助けるための例示を目的としたものであり、制御プログラム更新を生成するために分析システム9100によって受信及び/又は分析されるデータを限定するものとして解釈されるべきではない点に留意されたい。
【0235】
分析システム9100が、通信可能に接続された外科用ハブ9000から周術期データを受信(9202)すると、分析システム9100は、データに関連付けられた処置の種類(又はその工程)、データを生成するモジュール式装置9050の種類、及び他のそのようなカテゴリーによってデータを集約及び/又は格納することに進む。これに応じてデータを照合することにより、分析システム9100はデータセットを分析して、各特定の種類のモジュール式装置9050を制御する特定の方法と、正の又は負の処置結果との間の相関を特定することができる。モジュール式装置9050を制御する特定の方法が正の処置結果と相関するか負の処置結果と相関するかに基づいて、分析システム9100は、その種類のモジュール式装置9050の制御プログラムが更新されるべきかどうかを判定(9204)することができる。
【0236】
この特定の例示では、分析システム9100は、各ピークFTF値に対する発射回数9211に対するピークFTF9213(すなわち、外科用ステープル留め器具の各特定の発射における最大FTF)を分析することによって、データセットの第1の分析9216aを実行する。この例示的な事例では、分析システム9100は、ピークFTF9213と、特定のデータセットにおける正又は負の結果の発生との間に特定の相関がないと判定することができる。換言すれば、正及び負の結果についてピークFTF9213に異なる分布は存在しない。ピークFTF 9213と正又は負の結果との間に特定の相関はないため、分析システム9100は、この変数に対処するための制御プログラム更新は必要でないと判定する。更に、分析システム9100は、発射回数9211に対して器具が発射されるまでの待機時間9215を分析することによってデータセットの第2分析の9216bを実行する。この特定の分析9216bでは、分析システム9100は、異なる負の結果分布9217と正の結果分布9219が存在すると判定することができる。この例示的な事例では、負の結果分布9217は、4秒の平均を有し、正の結果分布は11秒の平均を有する。したがって、分析システム9100は、待機時間9215とこの外科処置工程の結果の種類との間には相関があると判定することができる。すなわち、負の結果分布9217は、4秒以下の待機時間では負の結果が比較的大きな割合で見られることを示す。負の結果分布9217と正の結果分布9219との間に大きな相違が存在することを示すこの分析9216bに基づき、分析システム9100は、制御プログラム更新が生成(9208)されるべきであると判定することができる(9204)。
【0237】
分析システム9100がデータセットを分析し、データセットの対象である特定のモジュール式装置9050の制御プログラムに対する調整がモジュール装置9050の性能を改善すると判定(9204)すると、分析システム9100はそれに応じて制御プログラム更新を生成する(9208)。この例示的な事例では、分析システム9100は、データセットの分析9216bに基づいて、5秒を超える待ち時間を推奨する制御プログラム更新9218は、95%の信頼区間で負の結果の分布の90%を防止すると判定することができる。あるいは、分析システム9100は、データセットの分析9216bに基づいて、5秒を超える待ち時間を推奨する制御プログラム更新9218は、負の結果の割合よりも大きい正の結果の割合につながると判定することができる。したがって、分析システム9100は、その特定の種類の外科用器具は、負の結果が正の結果よりも少なくなるように、特定の組織条件の下で発射される前に5秒以上待機する必要があると判定することができる。分析システム9100が判定した制御プログラム更新を生成(9208)するためのこれらの制約の一方又は両方が分析9216bによって満たされることに基づいて、分析システム9100は、特定の状況下で特定の外科用器具が発射できるようになる前に5秒以上の待機時間を外科用器具に課すか、又はユーザーが器具を発射する前に少なくとも5秒間待たなければならないことをユーザーに示す警告又は推奨をユーザーに対して外科用器具に表示させる、外科用器具用の制御プログラム更新9218を生成することができる(9208)。制御プログラム更新が負の結果の割合を特定のパーセンテージで低減するかどうか、又は制御プログラム更新が正の結果の割合を最大にするかどうかといった、制御プログラム更新を生成(9208)するかどうかを判定するうえで様々な他の制約を分析システム9100によって用いることができる。
【0238】
制御プログラム更新9218が生成(9208)された後、分析システム9100は、適当な種類のモジュール式装置9050用の制御プログラム更新9218を外科用ハブ9000に送信する(9210)。1つの例示では、制御プログラム更新9218に対応したモジュール式デバイス9050が次に、制御プログラム更新9218を既にダウンロードしている外科用ハブ9000に接続されると、モジュール式デバイス9050は更新9218を自動的にダウンロードする。別の例示では、外科用ハブ9000は、制御プログラム更新9218がモジュール式装置9050自体に直接送信される代わりに、制御プログラム更新9218によってモジュール式装置9050を制御する。
【0239】
一態様では、外科システム9060は、モジュール式装置9050が外科用ハブ9000のデータストリーム内で期限切れであるとして検出された場合、ソフトウェアのパラメータ及び更新の検証を引き下げるように構成される。図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000を介してモジュール式装置9050に更新をプッシュする分析システム9100の図を示す。1つの例示では、分析システム9000は、特定の種類のモジュール式装置9050用に生成された制御プログラム更新を外科用ハブ9000に送信するように構成される。一態様では、モジュール式装置9050が外科用ハブ9000に接続するたびに、モジュール式装置9050は、その制御プログラムの更新されたバージョンが外科用ハブ9000上にあるか又は外科用ハブを介してアクセス可能であるかを判定する。外科用ハブ9000が特定の種類のモジュール式装置9050用の更新された制御プログラムを有する(又は更新された制御プログラムが他の形で分析システム9100から入手可能である)場合、モジュール式装置9050は外科用ハブから制御プログラム更新をダウンロードする。
【0240】
1つの例示では、分析システム9100に送信されるいずれのデータセットも、外科用ハブ9000の固有ID及びその制御プログラム又はオペレーティングシステムの最新のバージョンを含む。1つの例示では、分析システム9100に送信されるいずれのデータセットも、モジュール式装置9050の固有ID及びその制御プログラム又はオペレーティングシステムの最新のバージョンを含む。アップロードされたデータに関連付けられている外科用ハブ9000及び/又はモジュール式装置9050の固有IDは、データが制御プログラムの最新バージョンに対応しているかどうかを分析システム9100が判定することを可能とする。分析システム9100は、例えば、期限切れの制御プログラムによって制御されるモジュール装置9050又は外科用ハブ9000によって生成されたデータを考慮しない(又は無視する)か、かつ/又は制御プログラムの更新バージョンをモジュール式装置9050若しくは外科用ハブ9000にプッシュさせることを選択することができる。
【0241】
1つの例示では、外科用ハブ9000によって制御ソフトウェアが更新されたすべてのモジュール式デバイス9050の動作バージョンはまた、定期的に分析システム9100に送信される外科用ハブ9000のステータスデータブロックに含まれてもよい。分析システム9100が、外科用ハブ9100及び/又は接続可能なモジュール式デバイス9050のいずれかの制御プログラムの動作バージョンが期限切れであることを識別した場合、分析システム9100は、関連する制御プログラムの最新の修正版を外科用ハブ9000にプッシュすることができる。
【0242】
一例示では、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050は、あらゆるソフトウェア更新を自動的にダウンロードするように構成することができる。別の例示では、外科用ハブ9000及び/又はモジュール式デバイス9050は、次のセットアップ工程(例えば、各外科的処置間)でユーザーが期限切れの制御プログラムを更新したいかを尋ねるプロンプトをユーザーに与えるように構成することができる。別の例示では、外科用ハブ9000は、更新が一切されないようにするか、又はモジュール式デバイス9050のみが更新され、外科用ハブ9000自体は更新されないようにユーザーによってプログラム可能とすることができる。
【0243】
外科用ハブ用の適応制御プログラムの更新
上記に述べたモジュール式装置9050と同様、外科用ハブ9000は同様に、外科処置の間に外科用ハブ9000の様々な動作を制御する制御プログラムを含むことができる。外科用ハブ9000の制御プログラムが収集されたデータに応じて時間とともに適応しない場合、外科用ハブ9000は、エラーを引き続き繰り返し、学習した情報に基づいて外科スタッフに警告又は推奨を提供せず、手術スタッフの嗜好に順応しない可能性がある。1つの解決策として、外科用ハブ9000が外科的処置の間にどのように使用又は制御されるかを示す外科用ハブ9000からの動作データを分析システム9100に送信することがある。これにより、分析システム9100は、分析システム9100に接続された外科用ハブ9000のネットワークから集約されたデータを分析して、外科用ハブ9000を動作させる特定の方法が、改善された患者転帰に対応しているか、又は他の形で外科用ハブ9000の集団にわたって好適であるかを判定することができる。1つの例示では、外科用ハブ9000が動作される特定の方法が、定義された条件又は条件のセットを満たす場合、分析システム9100は、この特定の方法が、外科用ハブ9000のネットワークにわたって実施されるべきであると判定することができる。分析システム9100は、外科用ハブ9000の制御プログラムに対する更新を生成して制御プログラムを修復又は改善した後、分析システム9100に接続されたすべての外科用ハブ9000にわたって改善が共有されるようにこの更新を外科用ハブ9000にプッシュすることができる。例えば、閾値数の外科用ハブ9000が特定の方法で制御される場合、及び/又は外科用ハブ9000を制御する特定の方法が、閾値レベルを超える外科処置結果の改善と相関している場合、分析システム9100は、好ましい又は改善された制御方法に対応する方法で外科用ハブ9000を制御する制御プログラム更新を生成することができる。次いで、制御プログラム更新は外科用ハブ9000にプッシュされ得る。
【0244】
1つの例示では、分析システム9100は、外科用ハブ9000が制御又は使用される方法に関する周術期データに基づいて、フィールド内の外科用ハブ9000に対して制御プログラム更新を生成及びプッシュするように構成される。換言すれば、外科用ハブ9000は、ハブネットワークから生成されたデータによって、改善された意思決定能力で更新され得る。一態様では、術外及び周術期データが分析システムによって収集される。次いで、データは分析されて外科用ハブ9000の性能を改善するための制御更新が生成される。分析システム9100は、外科用ハブ9000から集約されたデータを分析して、外科用ハブ9000が動作するのに好適な方法、外科用ハブ9000の制御プログラムがどのような条件下で外科用ハブ9000を準最適に制御するか(すなわち、制御プログラムに繰り返される故障又はエラーが生じるかどうか、又は代替のアルゴリズムがより優れた形で動作するかどうか)、又は医療従事者がどのような条件下で外科用ハブ9000を準最適に利用しているかを判定することができる。次いで、分析システム9100は更新を分析システム9100に接続された外科用ハブ9000にプッシュすることができる。
【0245】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラム更新を適応可能に生成するように構成されたコンピュータ実装適応外科システム9060の図を示す。外科システム9060は、分析システム9100に通信可能に結合された、いくつかの外科用ハブ9000を含む。分析システム9100に接続された全体集団内の外科用ハブ9000(それぞれは、個々の外科用ハブ9000又は外科用ハブ9000の群を含むことができる)の部分集団は、外科処置の過程の間に異なる動作挙動を示し得る。集団内の外科用ハブ9000群間の動作挙動の違いは、外科用ハブ9000が異なるバージョンの制御プログラムを実行することによって、又は外科用ハブ9000の制御プログラムがローカル外科スタッフによってカスタマイズされるか若しくは異なる形でプログラムされることによって、又はローカル外科スタッフが外科用ハブ9000を異なる形で手動で制御することによって、生じ得る。図の例では、外科用ハブ9000の集団は、特定のタスクのための第1の動作挙動を示す第1のサブ集団9312と、第2の動作挙動を示す第2のサブ集団9314とを含んでいる。この特定の実施例では、外科用ハブ9000は2つのサブ集団9312,9314に分けられるが、外科用ハブ9000の集団内で示される異なる挙動の数に現実的な限界はない。外科用ハブ9000が実行することができるタスクとしては、例えば、特定の方法で外科用器具を制御すること、又はデータセットを分析することが含まれる。
【0246】
外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000の動作挙動に関する周術期データを分析システム9100に送信するように構成することができる。周術期データは、術前データ、周術期データ、及び術後データを含むことができる。術前データとしては、例えば、人口統計、既往歴、既存の状態、術前のワークアップ、投薬履歴(すなわち、現在及び過去に服用された薬剤)、遺伝子データ(例えば、SNP又は遺伝子発現データ)、EMRデータ、高度な撮像データ(例えば、MRI、CT、又はPET)、メタボロミクス、及びマイクロバイオームなどの患者固有の情報を含むことができる。分析システム9100によって利用され得る様々な追加の種類の患者固有情報は、米国特許第9,250,172号、米国特許出願第13/631095号、同第13/828809号、及び米国特許第8,476,227号に記載されており、これらをいずれも、患者固有の情報を記載する範囲において参照により本明細書に組み込むものとする。術前データには、例えば、地理的情報、病院の位置、手術室の位置、外科処置を行う手術スタッフ、担当医師、特定の外科処置において潜在的に使用され得るモジュール式装置9050及び/又は他の外科用装置の数及び種類、特定の外科手技において使用されることが予想されるモジュール式装置9050及び/又は他の外科用装置の数及び種類、患者識別情報、並びに実施される処置の種類といった手術室固有の情報も含まれる。
【0247】
周術期データとしては、例えば、モジュール式装置9050の使用(例えば、外科用ステープル留め器具による発射回数、RF電気外科用器具若しくは超音波器具による発射回数、又は使用されるステープラーカートリッジの数及び種類)、モジュール式装置9050の動作パラメータデータ(例えば、外科用ステープル留め器具のFTF曲線、外科用ステープル留め器具のFTC曲線、発生器のエネルギー出力、煙吸引器の内圧又は圧力差)、予想外のモジュール式装置9050の使用(すなわち、処置の種類に対して標準的ではないモジュール装置の使用の検出)、患者に投与される補助的治療、及びモジュール式装置9050以外の装置(例えば、漏れに対処するためのシーラント)の使用を挙げることができる。周術期データには、例えば、モジュール式装置9050の検出可能な誤用、及びモジュール式装置9050の検出可能な適応外使用も含まれ得る。
【0248】
術後データとしては、例えば、患者が手術室から出ず、かつ/又は標準的でない術後ケア(例えば、通常の肥満処置を受けている患者が処置後にICUに送られる)に送られる場合のフラグ、外科処置に関する術後患者評価(例えば、胸部手術後の肺機能に関するデータ又は腹部若しくは肥満処置後のステープルライン漏れに関連するデータ)、術後合併症に関連するデータ(例えば、輸血若しくは空気漏れ)、又は術後の医療施設における患者の滞在期間の長さを挙げることができる。病院は、再入院率、合併症の発生率、滞在時間の平均の長さ、及び他のそのような外科的品質測定基準でグレード評価が益々なされているため、術後データのソースを、単独で、又は外科処置結果データ(以下で述べる)と組み合わせて分析システム9100によって監視することで外科用ハブ9000及び/又はモジュール装置9050の制御プログラムに対する更新を評価し、導入することができる。
【0249】
いくつかの例示では、周術期及び/又は術後データは、各外科処置又は外科処置の工程の結果に関するデータを更に含み得る。外科処置結果データは、特定の処置又は処置の特定の工程が、正の結果を有したか又は負の結果を有したかを含むことができる。いくつかの例示では、手術処置結果データは、処置工程及び/又はモジュール式装置9050の性能のタイムスタンプされた画像、モジュール式装置9050が適切に機能したかどうかを示すフラグ、医療施設スタッフからのメモ、又は不十分な、準最適な、若しくは許容されないモジュール式装置9050の性能に関するフラグを含むことができる。外科処置結果データは、例えば、モジュール式デバイス9050及び/又は外科用ハブ9000によって直接検出するか(例えば、医療用撮像装置は、出血を可視化又は検出することができる)、米国特許出願第__________号(代理人整理番号END8501USNP/170768)に記載されるように、外科用ハブ9000の状況認識システムによって決定又は推測するか、又は外科用ハブ9000又は分析システム9100によってデータベース9054(例えば、EMRデータベース)から取得することができる。いくつかの例示では、モジュール式装置9050が外科的処置の過程の途中で故障したか又は他の形で不十分な動作を行ったことを示すフラグを含む周術期データを、分析システム9100への通信及び/又は分析システムによる分析を行うために優先順位付けすることができる。
【0250】
1つの例示では、処置ごとの基準で周術期データをアセンブルし、分析システムによる分析を行うために外科用ハブ9000によって分析システム9100にアップロードすることができる。周術期データは、様々な検出された条件に応じて外科用ハブ9000がどのような動作を行ったか、外科用ハブ9000がモジュール式デバイス9050をどのように制御したか、及び状況認識した外科用ハブ9000がどのような推測を受信されたデータから導出したかを示すため、周術期データは、外科用ハブ9000が外科処置に関連して動作するようにプログラムされた、又は手動で制御されるようにプログラムされた方法(すなわち、外科用ハブ9000の動作挙動)を示している。分析システム9100は、動作前、周術期、及び術後データの様々な種類及び組み合わせを分析して制御プログラム更新が生成されるべきかどうかを判定した後、必要に応じて、更新を外科用ハブ9000の全体集団又は1つ以上のサブ集団にプッシュするように構成することができる。
【0251】
図29は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラムを更新するためのプロセス9300の論理フロー図を示す。プロセス9300の以下の説明においては、図24図28もまた参照されたい。プロセス9200は、例えば、分析システム9100の分析サーバ9070の1つ以上のプロセッサによって実行することができる。1つの例示では、分析システム9100は、クラウドコンピューティングシステムであり得る。経済性のために、プロセス9300の以下の説明は、分析システム9100によって実行されるものとして説明される。しかしながら、分析システム9100は、プロセス9300の説明される工程を実行するプロセッサ(複数可)及び/又は制御回路(複数可)を含む点を理解されたい。
【0252】
プロセス9300を実行する分析システム9100は、分析システム9100に通信可能に接続された外科用ハブ9000から周術期データを受信する(9302)。周術期データは、外科用ハブ9000がそれらの制御プログラムによって動作するようにプログラムされるか、又は外科処置中に手術スタッフによって制御される方法を示す。一部の態様では、周術期データは、外科処置結果データに関連して分析システム9100を含むか又は分析システムに送信され得る。外科処置結果データは、外科処置の全体的な結果に関連するデータ(例えば、外科処置中に合併症があったかどうか)、又は外科的処置内の特定の工程に関するデータ(例えば、特定のステープルラインが出血した、又は漏れを生じたか)に関するデータを含むことができる。
【0253】
プロセス9300を実行する分析システム9100が周術期データを受信(9302)した後、分析システム9100はデータを分析(9304)して更新条件が満たされたかどうかを判定する。1つの例示では、更新状態は、集団内の外科用ハブ9000の閾値数又は比率が特定の動作挙動を示すかどうかを含む。例えば、分析システム9100は、外科用ハブ9000の大部分が、ある種類の外科処置の特定の工程でエネルギー発生器を作動させるために使用されている場合に、その処置工程でエネルギー発生器を自動的に作動させるための制御プログラム更新が生成されるべきであると判定することができる。別の例示では、更新条件は、特定の動作挙動に相関する正の処置結果(又は負の処置結果がないこと)の割合が閾値(例えば、処置工程の正の処置結果の平均の割合)を上回るどうかを含む。例えば、分析システム9100は、特定の組織の種類に対するエネルギーレベルが閾値割合を上回る場合に、エネルギー発生器を特定のエネルギーレベルに設定することを推奨するための制御プログラム更新が生成されるべきであると判定することができる。別の例示では、更新条件は、特定の動作挙動についての正の処置結果(又は負の処置結果がないこと)の割合が、関連する動作挙動についての正の処置結果(又は負の処置結果がないこと)の割合よりも高いかどうかを含む。換言すれば、外科用ハブ9000の1つのサブ集団が特定の条件のセットの下で第1の動作挙動を示し、外科用ハブ9000の第2のサブ集団が同じ条件のセットの下で第2の動作挙動を示す場合、分析システム9100は、第1又は第2の動作挙動のどちらが正の処置結果とより大きく相関しているかによって外科用ハブ9000の制御プログラムを更新すべきかどうかを判定することができる。別の例示では、分析システム9100は、データを分析(9304)して複数の更新条件が満たされているかどうかを判定する。
【0254】
更新条件が満たされていない場合、プロセス9300は、NOの枝に沿って続き、分析システム9100は周術期データを外科用ハブ9000から引き続き受信(9302)及び分析(9304)して更新条件の発生を監視する。更新条件が満たされている場合、プロセス9300は、YESの枝に沿って続き、分析システム9100は、制御プログラム更新を生成するように進む(9308)。生成(9308)された制御プログラム更新の性質は、分析システム9100によって更新状態をトリガするものとして特定される外科用ハブ9000の特定の動作挙動に対応する。換言すれば、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000が特定された動作挙動を生じさせる条件下で異なる動作を行うように、外科用ハブ9000によって実行される機能を付加するか、除去するか、又は他の形で変更する。更に、制御プログラム更新の種類もまた、特定された動作挙動が手動制御から生じるか又は外科用ハブ9000の制御プログラムによる制御から生じるかによって決まる。特定された動作挙動が手動制御によって生じる場合、制御プログラム更新は、ユーザーが外科用ハブ9000を操作している方法に基づいて、警告、推奨、又はフィードバックをユーザーに与えるように構成することができる。例えば、分析システム9100が、ある外科処置のある工程で特定の動作を行うこと、又は特定の器具を利用することが結果を改善されると判定した場合、分析システム9100は、外科用ハブ9000がその外科処置の指定された工程が発生しているか又はその後に発生すると判定した場合に、外科スタッフにプロンプト又は警告を与える制御プログラム更新を生成することができる(9308)。あるいは、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000の1つ以上の機能を、手動で制御可能なものから、外科用ハブ9000の制御プログラムによって制御されるものへと変更することもできる。例えば、分析システム9100が、視覚化システム108(図2)のディスプレイが手術スタッフによって特定の工程における顕著な数の外科処置で特定のビューに設定されていると判定した場合、分析システム9100は、外科用ハブ9000にそれらの条件下でディスプレイを自動的に変更させる制御プログラム更新を生成することができる。特定された動作挙動が外科用ハブ9000の制御プログラムによって生じる場合、制御プログラム更新は、特定された動作挙動を引き起こす状況のセットの下でどのように制御プログラムが機能するかを変更することができる。例えば、分析システム9100が、RF電気外科用器具又は超音波器具の特定のエネルギーレベルが、特定の条件のセットの下で不十分な又は負の結果と相関すると判定した場合、分析システム9100は、その条件のセットが検出された場合(例えば、外科用ハブ9000が関節鏡処置が行われていると判定した場合)、外科用ハブ9000に接続された器具のエネルギーレベルを異なる値に調節させる制御プログラム更新を生成することができる(9308)。
【0255】
次いで、分析システム9100は、分析システム9100によって更新状態をトリガするものとして特定される動作挙動を実行している外科用ハブ9000の全体集団又は外科用ハブ9000のサブ集団(複数可)に制御プログラム更新を送信する(9310)。1つの例示では、外科用ハブ9000は、分析システム9100によって更新が生成(9308)されるたびに、分析システム9100から制御プログラム更新をダウンロードするように構成される。1つの例示では、分析システム9100は、その後、上述のように、外科用ハブ9000から受信(9302)されたデータの分析(9304)を行うプロセス(9300)を継続することができる。
【0256】
図30は、図29に示すプロセス9300の代表的な実施を示す。図30は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ9000の制御プログラムのデータ分析アルゴリズムを更新するためのプロセス9400の論理フロー図を示す。図29に示されるプロセス9300と同様、図30に示されるプロセス9400は、1つの例示では、分析システム9100によって実行され得る。以下のプロセス9400の説明においては、図28も参照されたい。図28に示される適応外科システム9060の1つの例示では、第1の外科用ハブのサブ集団9312は第1のデータ分析アルゴリズムを利用し、第2の外科用ハブのサブ集団9314は第2のデータ分析アルゴリズムを利用する。例えば、第1の外科用ハブのサブ集団9312は、特定のデータセットを分析するために通常の連続確率分布を利用することができ、第2の外科用ハブのサブ集団9314は、特定のデータセットを分析するための二峰性分布を利用することができる。この例示では、分析システム9100は、それぞれのデータ分析アルゴリズムに対応する第1の外科用ハブのサブ集団9312及び第2の外科用ハブのサブ集団9314から周術期データを受信する(9402,9404)。次いで、分析システム9100は、周術期データセットを分析して(9406)、周術期データセットのうちの1つが1つ以上の更新条件を満たすかどうかを判定する。更新条件は、例えば、全体集団内の外科用ハブ9000の閾値比率(例えば、75%)によって用いられる特定の分析方法と、各症例の閾値比率(例えば、50%)における正の外科処置結果と相関する特定の分析方法を含むことができる。
【0257】
この例示では、分析システム9100は、第1の外科用ハブのサブ集団9312及び第2の外科用ハブのサブ集団9314によって用いられるデータ分析アルゴリズムのうちの1つが、更新条件の両方を満たすかどうかを判定する(9408)。更新条件が満たされない場合、プロセス9400はNOの枝に沿って進み、分析システム9100は周術期データを第1の外科用ハブのサブ集団9312及び第2の外科用ハブサブ集団9314から引き続き受信(9402,9404)して分析(9406)する。更新条件が満たされている場合、プロセス9400はYESの枝に沿って進み、分析システム9100は、分析9406によって更新条件を満たすと判定されたデータ分析アルゴリズムによって制御プログラム更新を生成する(9412)。この例示では、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000に、対応する分析の種類を実行する際に更新条件を満たすデータ分析アルゴリズムを使用させることを含む。次いで、分析システム9100は生成(9412)された制御プログラム更新を、外科用ハブ9000の集団に送信する(9414)。1つの例示では、制御プログラム更新は、外科用ハブ9000の集団全体に送信される(9414)。別の例示的な例では、制御プログラム更新は、更新条件を満たすデータ分析アルゴリズムを使用しなかった外科用ハブ9000のサブ集団に送信される(9414)。換言すれば、分析システム9100が周術期データを分析(9406)して、第2の(バイモーダル)データ分析方法が更新条件を満たすと判定(9408)した場合、生成(9412)された制御プログラム更新は、この例示では外科用ハブ9000の第1のサブ集団に送信される(9414)。更に、制御プログラム更新は、更新された外科用ハブ9000に、特定のデータセットを分析する際に第2の(二峰性)データ分析アルゴリズムを使用させるか、又は更新された外科用ハブ9000に、特定の条件下で第2の(二峰性)データ分析アルゴリズムを使用するべきであるという警告又は推奨をユーザーに提供させる(ユーザーが推奨に従うかどうかを選択することを可能にする)。
【0258】
この技術は、外科用ハブ9000のネットワーク全体にわたって集約されたデータから生成された制御プログラムを更新することによって外科用ハブ9000の性能を改善する。実際には、各外科用ハブ9000は、外科用ハブ9000のネットワークにわたって共有又は学習された知識によって調整することができる。この技術はまた、分析システム9100が、外科用ハブ9000のネットワーク全体にわたって各種類の外科処置で使用されている装置の知識を分析システム9100に提供することによって、外科処置の過程の間に予想外の装置(例えば、モジュール式装置9050)がいつ使用されるかを判定することを可能にする。
【0259】
状況認識
状況認識は、データベース及び/又は器具から受信したデータから外科処置に関連する情報を判定又は推測する外科システムのいくつかの態様の能力である。このような情報は、実行される処置の種類、手術される組織の種類、又は処置の対象である体腔を含むことができる。外科処置に関連するコンテキスト情報により、外科システムは、例えば、外科システムに接続されたモジュール式装置(例えば、ロボットアーム及び/又はロボット外科用ツール)を制御する方法を改善し、外科処置の過程の間にコンテキスト化された情報又は提案を外科医に提供することができる。状況認識は、例えば図22図30に記載される機能のいずれかを実行及び/又は改善するために適用することができる。
【0260】
ここで図31を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206などのハブの状況認識を示す時間線5200が示されている。時間線5200は例示的な外科処置、及び外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報である。時間線5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医、及び他の医療関係者によって取られるであろう典型的な工程を示す。
【0261】
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を使用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が実施されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録する、医療関係者によって取られている工程を検証する、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供する、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界(FOV)を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更するなど)、及び上記の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0262】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから患者のEMRを読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸郭処置であることを判定する。
【0263】
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々な種類の処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせ(mix of supplies)が胸郭処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔形処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔形処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔形処置に対応していないかのいずれかであるため)。
【0264】
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
【0265】
第4の工程5208では、医療スタッフが補助装置をオンにする。利用される補助装置は、外科処置の種類及び外科医によって使用される技術によって変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器、及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータの組み合わせ、手術に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置の種類に基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実施されているかを知ると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0266】
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
【0267】
第6の工程5212では、医療関係者は患者に麻酔を誘発する。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ、又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
【0268】
第7の工程5214では、操作されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
【0269】
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオ映像が開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実施されている特定の処置が、肺葉切除とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形処置は外科用ハブ106、206によって既に割り引かれていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(図2)からのデータは、患者の解剖学的構造の可視化に関して配向されている医療用撮像装置の角度を判定することによる、用いられている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによる、及び用いられている可視化装置の種類を監視することによる、ことを含む多くの異なる方法の中から実施されている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定するために用いられ得る。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し、一方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造の可視化によって、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に結合され得る)を使用し、これはVATS肺葉切除術では使用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定の種類の外科処置、及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0270】
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
【0271】
第10の工程5220で、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、器具が発射されていることを示す外科用ステープル留め及び切断器具からのデータを受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
【0272】
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実施される。外科用ハブ106、206は、そのカートリッジからのデータを含む外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又は種類に対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されているため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されるステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に用いられ、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
【0273】
続いて第12の工程5224で、結節切開工程が実行される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に用いられるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、この結節切開工程により外科用ハブ106、206がこの推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具との間で交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実施中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にロボットツールを使用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にハンドヘルド外科用器具を使用することができる。外科医(複数可)は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド外科用器具とを順に交代させることができ、かつ/又は、例えば、装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0274】
第13の工程5226では、患者の麻酔が逆転される。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0275】
最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置を除去することである。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に結合された各種データソースから受信されたデータによって、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程が発生しているときを判定又は推定することができる。
【0276】
状況認識については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科システムを含むロボット外科システムの動作は、その状況認識、及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド102からの情報に基づいて、ハブ106、206によって制御され得る。
【0277】
本明細書に記載される主題の様々な態様を、以下の番号付けした実施例に記載する。
【0278】
実施例1.外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、分析システムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、を含み、メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信させる、命令を格納している。
【0279】
実施例2.メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施例1に記載の分析システム。
【0280】
実施例3.動作挙動が第1の動作挙動であり、周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、第2の動作挙動が第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施例1又は2に記載の分析システム。
【0281】
実施例4.制御プログラム更新は、動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の分析システム。
【0282】
実施例5.制御プログラム更新は、手動で制御される機能を制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施例1~4のいずれか1つに記載の分析システム。
【0283】
実施例6.メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、EMRデータベースから処置結果データを受信させる命令を格納している、実施例1~5のいずれか1つに記載の分析システム。
【0284】
実施例7.メモリは、プロセッサによって実行されると、分析システムに、外科用ハブから処置結果データを受信させる命令を格納している、実施例1~6のいずれか1つに記載の分析システム。
【0285】
実施例8.外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、分析システムは、制御回路を含み、制御回路は、モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信し、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信させる、命令を格納している。
【0286】
実施例9.制御回路は、動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって動作挙動が準最適であるかどうかを判定するように構成されている、実施例8に記載の分析システム。
【0287】
実施例10.動作挙動が第1の動作挙動であり、周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、制御回路は、第2の動作挙動が第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定するように構成されている、実施例8又は9に記載の分析システム。
【0288】
実施例11.制御プログラム更新は、動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施例8~10のいずれか1つに記載の分析システム。
【0289】
実施例12.制御プログラム更新は、手動で制御される機能を制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施例8~11のいずれか1つに記載の分析システム。
【0290】
実施例13.制御回路は、分析システムに、EMRデータベースから処置結果データを受信させるように構成されている、実施例8~12のいずれか1つに記載の分析システム。
【0291】
実施例14.制御回路は、分析システムに、外科用ハブから処置結果データを受信させるように構成されている、実施例8~13のいずれか1つに記載の分析システム。
【0292】
実施例15.コンピュータ読取り可能な命令を格納した非一過性のコンピュータ読取り可能媒体であって、コンピュータ読取り可能な命令は、実行されると、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成された外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムに、モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間にモジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、周術期データ及び処置結果データを分析させて動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、動作挙動について外科処置の間に制御プログラムがモジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、制御プログラム更新をモジュール式装置に送信させる、命令を格納している。
【0293】
実施例16.非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、分析システムに、動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施例15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0294】
実施例17.動作挙動が第1の動作挙動であり、周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、分析システムに、第2の動作挙動が第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施例15又は16に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0295】
実施例18.制御プログラム更新は、動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施例15~17のいずれか1つに記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0296】
実施例19.制御プログラム更新は、手動で制御される機能を制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施例15~18のいずれか1つに記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0297】
実施例20.非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、分析システムに、EMRデータベースから処置結果データを受信させる命令を格納している、実施例15~19のいずれか1つに記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0298】
実施例21.非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、分析システムに、外科用ハブから処置結果データを受信させる命令を格納している、実施例15~20のいずれか1つに記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0299】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0300】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0301】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0302】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理機構(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0303】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0304】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのどちらかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0305】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0306】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0307】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0308】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0309】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0310】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0311】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0312】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0313】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0314】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0315】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0316】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、前記外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、前記分析システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、を含み、前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析させて前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、
前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信させる、命令を格納している、分析システム。
(2) 前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施態様1に記載の分析システム。
(3) 前記動作挙動が第1の動作挙動であり、
前記周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記第2の動作挙動が前記第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって前記第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施態様1に記載の分析システム。
(4) 前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施態様1に記載の分析システム。
(5) 前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施態様1に記載の分析システム。
【0317】
(6) 前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、実施態様1に記載の分析システム。
(7) 前記メモリは、前記プロセッサによって実行されると、前記分析システムに、前記外科用ハブから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、実施態様1に記載の分析システム。
(8) 外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムであって、前記外科用ハブは、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成され、前記分析システムは、
制御回路を含み、前記制御回路は、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信し、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信し、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析して前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定し、
前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成し、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信する、ように構成されている、分析システム。
(9) 前記制御回路は、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
(10) 前記動作挙動が第1の動作挙動であり、
前記周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、
前記制御回路は、前記第2の動作挙動が前記第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって前記第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定するように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
【0318】
(11) 前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
(12) 前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
(13) 前記制御回路は、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させるように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
(14) 前記制御回路は、前記分析システムに、前記外科用ハブから前記処置結果データを受信させるように構成されている、実施態様8に記載の分析システム。
(15) コンピュータ読取り可能な命令を格納した非一過性のコンピュータ読取り可能媒体であって、前記コンピュータ読取り可能な命令は、実行されると、制御プログラムによって制御されるモジュール式装置に通信可能に結合するように構成された外科用ハブに通信可能に結合するように構成された分析システムに、
前記モジュール式装置の動作挙動を示す、外科処置の間に前記モジュール式装置によって検出されたデータを含む周術期データを受信させ、
前記外科処置に関連付けられた処置結果データを受信させ、
前記周術期データ及び前記処置結果データを分析させて前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定させ、
前記動作挙動について前記外科処置の間に前記制御プログラムが前記モジュール式装置を動作させる方法を変更するように構成された制御プログラム更新を生成させ、
前記制御プログラム更新を前記モジュール式装置に送信させる、非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0319】
(16) 前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記動作挙動が負の処置結果に相関するかどうかによって前記動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
(17) 前記動作挙動が第1の動作挙動であり、
前記周術期データが第2の動作挙動を更に示しており、
前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記第2の動作挙動が前記第1の動作挙動よりも正の処置結果とより高い相関があるかどうかによって前記第1の動作挙動が準最適であるかどうかを判定させる命令を格納している、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
(18) 前記制御プログラム更新は、前記動作挙動に関連付けられたアラートを与えるように構成されている、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
(19) 前記制御プログラム更新は、手動で制御される機能を前記制御プログラムによって制御される機能に変更するように構成されている、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
(20) 前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、EMRデータベースから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
【0320】
(21) 前記非一過性のコンピュータ読取り可能媒体は、前記分析システムに、前記外科用ハブから前記処置結果データを受信させる命令を格納している、実施態様15に記載の非一過性のコンピュータ読取り可能媒体。
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