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特許7297767感知した組織厚さ又は閉鎖する際の力に基づく、少なくとも1つの列のステープルのステープル高さの調整
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】感知した組織厚さ又は閉鎖する際の力に基づく、少なくとも1つの列のステープルのステープル高さの調整
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20230619BHJP
   A61B 17/068 20060101ALI20230619BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20230619BHJP
【FI】
A61B17/115
A61B17/068
G16Y10/60
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020536014
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 US2018060973
(87)【国際公開番号】W WO2019133137
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,882
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,887
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,185
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,768
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/640,415
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,748
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,877
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/692,747
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/182,229
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/640,417
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,898
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/659,900
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・フレデリック・イー・ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・チェスター・オー・ザ・サード
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0281178(US,A1)
【文献】特開2010-253272(JP,A)
【文献】特開2007-050253(JP,A)
【文献】国際公開第97/034533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバであって、前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1及び第2のステープルドライバのストローク長さを第1の長さに設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第1の列のステープルの中で前記不格好なステープルが検出された場合に、前記第2のステープルドライバの前記ストローク長さを第2の長さに設定するように構成された、制御回路と、を備え
前記制御回路は、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルのアンビルポケットに形成された導電性回路要素を切断または破壊したときに適切に形成されたステープルを検出し、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルの前記アンビルポケットに形成された前記導電性回路要素を切断または破壊しないときに前記不格好なステープルを検出する、外科用ステープル留め器具。
【請求項2】
前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項3】
前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、請求項2に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項4】
前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、請求項1に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項5】
前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、請求項1に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項6】
外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1及び第2の列のステープルが前記アンビルのアンビルポケットに当接して折り曲げられた後の高さである前記第1及び第2の列のステープルのステープル高さを第1の高さに設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第1の列のステープルの中で前記不格好なステープルが検出された場合に、前記第2の列のステープルの前記ステープル高さを第2の高さに設定するように構成された、制御回路と、を備え
前記制御回路は、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルの前記アンビルポケットに形成された導電性回路要素を切断または破壊したときに適切に形成されたステープルを検出し、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルの前記アンビルポケットに形成された前記導電性回路要素を切断または破壊しないときに前記不格好なステープルを検出する、外科用ステープル留め器具。
【請求項7】
前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項8】
前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、請求項7に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項9】
前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項10】
前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項11】
前記制御回路が、前記第1の列のステープルの発射中に感知した組織厚さに基づいて、前記第2の列のステープルの前記ステープル高さを調整するように構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項12】
前記制御回路が、前記第1の列のステープルの発射中に閉鎖するための感知したアンビル力に基づいて、前記第2の列のステープルの前記ステープル高さを調整するように構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項13】
前記制御回路が、前記アンビルの後退中に検出された組織負荷に基づいて変更される選択可能なステープル高さの範囲内で、前記ステープル高さを調整するように更に構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項14】
前記制御回路は、組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、名目ステープル高さを調整するように構成されている、請求項6に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項15】
前記制御回路が、ウインドウ範囲内の前記名目ステープル高さを表示するように構成されている、請求項14に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項16】
前記制御回路は、組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、許容可能なステープル高さのウインドウ範囲を調整するように構成されている、請求項15に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項17】
外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1の列のステープルのアンビル間隙を第1の間隙に設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第1の列のステープルの中で前記不格好なステープルが検出された場合に、前記第2の列のステープルのアンビル間隙を第2の間隙に設定するように構成された、制御回路と、を備え
前記制御回路は、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルのアンビルポケットに形成された導電性回路要素を切断または破壊したときに適切に形成されたステープルを検出し、前記第1のステープルドライバにより駆動されて発射された前記第1の列のステープルが、前記アンビルの前記アンビルポケットに形成された前記導電性回路要素を切断または破壊しないときに前記不格好なステープルを検出する外科用ステープル留め器具。
【請求項18】
前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、請求項17に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項19】
前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、請求項18に記載の外科用ステープル留め器具。
【請求項20】
前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、請求項17に記載の外科用ステープル留め器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「ADJUSTMENT OF STAPLE HEIGHT OF AT LEAST ONE ROW OF STAPLES BASED ON THE SENSED TISSUE THICKNESS OR FORCE IN CLOSING」と題する2018年11月6日出願の米国特許出願第16/182,229号の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「POWERED STAPLING DEVICE THAT IS CAPABLE OF ADJUSTING FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER OF THE DEVICE BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する2018年9月10日出願の米国特許仮出願第62/729,185号に対する優先権を主張する。
【0003】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「SMART ACTIVATION OF AN ENERGY DEVICE BY ANOTHER DEVICE」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/659,900号、「SMART ENERGY ARCHITECTURE」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/692,748号、及び「SMART ENERGY DEVICES」と題する2018年6月30日出願の米国特許仮出願第62/692,768号に対する優先権を主張する。
【0004】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/692,747号に対する優先権を主張する。
【0005】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,898号、「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,887号、「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,882号、「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,877号に対する優先権を主張する。
【0006】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,417号、及び「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国特許仮出願第62/640,415号に対する優先権を主張する。
【0007】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,340号、「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,339号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0008】
本開示は様々な外科システムに関する。外科処置は、典型的には、例えば、病院などの医療施設内の手術室又は部屋で実行される。滅菌野は、典型的には、患者の周囲に形成される。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにそのエリア内の全ての備品及び固定具を含み得る。様々な外科用装置及びシステムが、外科処置の実行に利用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本開示は、外科用ステープル留め器具を提供し、外科用ステープル留め器具は、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバであって、第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、第2のステープルドライバを備え、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1及び第2のステープルドライバのストローク長さを第1の長さに設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2のステープルドライバのストローク長さを第2の長さに設定するように構成された、制御回路と、を含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、外科用ステープル留め器具を提供し、外科用ステープル留め器具は、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1及び第2の列のステープルのステープル高さを第1の高さに設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2の列のステープルのステープル高さを第2の高さに設定するように構成された、制御回路と、を含む。
【0011】
更に別の実施形態では、本開示は、外科用ステープル留め器具を提供し、外科用ステープル留め器具は、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1の列のステープルのアンビル間隙を第1の間隙に設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2の列のステープルのアンビル間隙を第2の間隙に設定するように構成された、制御回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
動作の機構及び方法の両方に関して本明細書に記載される様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以下の添付図面と併せてなされる以下の説明を参照することで最良に理解することができる。
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科システムである。
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールの部分斜視図である。
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ発生器モジュールの斜視図である。
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドコンピューティングシステムのクラウド構成要素に接続することができる外科用ハブに連結された複数のスマート外科用器具を備えるクラウドコンピューティングシステムのブロック図である。
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドコンピューティングシステムの機能モジュールアーキテクチャの図である。
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科用システムの図である。
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの状況認識を示す予定表を示す図である。
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図である。
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す図である。
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す図である。
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す図である。
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動することができる複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す図である。
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書に記載される外科用ツールを動作させるように構成された外科用器具のブロック図である。
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具のブロック図である。
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の概略図である。
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、環状ステープル留め外科用器具の斜視図である。
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、図24の器具のハンドル及びシャフトアセンブリの分解図である。
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、図24の器具のハンドルアセンブリの断面図である。
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、図24のモータ及び電池アセンブリの拡大部分断面図である。
図28A】本開示の少なくとも1つの態様による、第1のギアが第2のギアから係合解除された状態の、図24の器具の動作モード選択アセンブリの側面図である。
図28B】本開示の少なくとも1つの態様による、第1のギアが第2のギアと係合している状態の、図28Aの動作モード選択アセンブリの側面図である。
図29A】本開示の少なくとも1つの態様による、開放位置にあるアンビルを示す図24の器具のステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図29B】本開示の少なくとも1つの態様による、閉鎖位置にあるアンビルを示す、図29Aのステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図29C】本開示の少なくとも1つの態様による、発射位置にあるステープルドライバ及びブレードを示す、図29Aのステープル留めヘッドアセンブリの拡大縦断面図である。
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、アンビルに対して形成されたステープルの拡大部分断面図を表す図である。
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、環状ステープル留めヘッドアセンブリ及びアンビルを備える電動環状ステープル留め装置の部分切り取り図である。
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープル(内側ステープル)及び第2の列のステープル(外側ステープル)を示す、図31に示される環状ステープル留めヘッドアセンブリの部分上面図である。
図33】本開示の少なくとも1つの態様による、第1のステープルドライバの実際のストロークがストローク長さの上限よりも短い場合のステープルドライバのストロークのグラフである。
図34】本開示の少なくとも1つの態様による、第1のステープルドライバの実際のストロークがストローク長さの上限に等しい場合のステープルドライバのストロークのグラフである。
図35】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープルの形成に基づくストローク長さ限界及びアルゴリズム調整を示す図である。
図36】本開示の少なくとも1つの態様による、装置又はその組み合わせによって感知される組織間隙、閉鎖力(closure force、FTC)、又は組織クリープ安定化に基づいて、使用可能なステープル高さウインドウによって示されるように、実現可能なステープル射程距離のグラフィカル表現である。
図37】本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープルの発射中の力、組織間隙、又は組織クリープに基づいて、外側列のステープル高さのストロークを調整するための制御プログラム又は論理構成を表すプロセスの論理フロー図である。
図38】本開示の少なくとも1つの態様による、導電性回路部材を含む図31のアンビルのステープル形成ポケットの斜視図である。
図39】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル脚部の適切な形成中に導電性回路部材がステープル脚部によって切断された後の、図38のステープル-形成ポケットの斜視図である。
図40A】本開示の少なくとも1つの態様による、図39のアンビルのステープル形成ポケットの列内の2つの隣接するステープル形成ポケットの断面図である。
図40B】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル形成ポケットの導電性回路要素を切断した2つのステープル脚部を含む適切に形成されたステープルと係合している図40Aのステープル形成ポケットの断面図である。
図40C】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープル形成ポケットの導電性回路要素の切断に失敗した、又は外したステープル脚部を含む不適切に形成されたステープルと係合している図40Aのステープル形成ポケットの断面図である。
図41】本開示の少なくとも1つの態様による、ステープルカートリッジのステープルに対して押圧されているアンビルの部分断面図である。
図42】本開示の少なくとも1つの態様による、回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年11月6日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「SURGICAL NETWORK,INSTRUMENT,AND CLOUD RESPONSES BASED ON VALIDATION OF RECEIVED DATASET AND AUTHENTICATION OF ITS SOURCE AND INTEGRITY」と題する米国特許出願第16/182,224号、
・「SURGICAL SYSTEM FOR PRESENTING INFORMATION INTERPRETED FROM EXTERNAL DATA」と題する米国特許出願第16/182,230号、
・「MODIFICATION OF SURGICAL SYSTEMS CONTROL PROGRAMS BASED ON MACHINE LEARNING」と題する米国特許出願第16/182,233号、
・「ADJUSTMENT OF DEVICE CONTROL PROGRAMS BASED ON STRATIFIED CONTEXTUAL DATA IN ADDITION TO THE DATA」と題する米国特許出願第16/182,239号、
・「SURGICAL HUB AND MODULAR DEVICE RESPONSE ADJUSTMENT BASED ON SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第16/182,243号、
・「DETECTION AND ESCALATION OF SECURITY RESPONSES OF SURGICAL INSTRUMENTS TO INCREASING SEVERITY THREATS」と題する米国特許出願第16/182,248号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEM」と題する米国特許出願第16/182,251号、
・「AUTOMATED DATA SCALING,ALIGNMENT,AND ORGANIZING BASED ON PREDEFINED PARAMETERS WITHIN SURGICAL NETWORKS」と題する米国特許出願第16/182,260号、
・「SENSING THE PATIENT POSITION AND CONTACT UTILIZING THE MONO-POLAR RETURN PAD ELECTRODE TO PROVIDE SITUATIONAL AWARENESS TO A SURGICAL NETWORK」と題する米国特許出願第16/182,267号、
・「POWERED SURGICAL TOOL WITH PREDEFINED ADJUSTABLE CONTROL ALGORITHM FOR CONTROLLING END EFFECTOR PARAMETER」と題する米国特許出願第16/182,249号、
・「ADJUSTMENTS BASED ON AIRBORNE PARTICLE PROPERTIES」と題する米国特許出願第16/182,246号、
・「ADJUSTMENT OF A SURGICAL DEVICE FUNCTION BASED ON SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第16/182,256号、
・「REAL-TIME ANALYSIS OF COMPREHENSIVE COST OF ALL INSTRUMENTATION USED IN SURGERY UTILIZING DATA FLUIDITY TO TRACK INSTRUMENTS THROUGH STOCKING AND IN-HOUSE PROCESSES」と題する米国特許出願第16/182,242号、
・「USAGE AND TECHNIQUE ANALYSIS OF SURGEON/STAFF PERFORMANCE AGAINST A BASELINE TO OPTIMIZE DEVICE UTILIZATION AND PERFORMANCE FOR BOTH CURRENT AND FUTURE PROCEDURES」と題する米国特許出願第16/182,255号、
・「IMAGE CAPTURING OF THE AREAS OUTSIDE THE ABDOMEN TO IMPROVE PLACEMENT AND CONTROL OF A SURGICAL DEVICE IN USE」と題する米国特許出願第16/182,269号、
・「COMMUNICATION OF DATA WHERE A SURGICAL NETWORK IS USING CONTEXT OF THE DATA AND REQUIREMENTS OF A RECEIVING SYSTEM/USER TO INFLUENCE INCLUSION OR LINKAGE OF DATA AND METADATA TO ESTABLISH CONTINUITY」と題する米国特許出願第16/182,278号、
・「SURGICAL NETWORK RECOMMENDATIONS FROM REAL TIME ANALYSIS OF PROCEDURE VARIABLES AGAINST A BASELINE HIGHLIGHTING DIFFERENCES FROM THE OPTIMAL SOLUTION」と題する米国特許出願第16/182,290号、
・「CONTROL OF A SURGICAL SYSTEM THROUGH A SURGICAL BARRIER」と題する米国特許出願第16/182,232号、
・「SURGICAL NETWORK DETERMINATION OF PRIORITIZATION OF COMMUNICATION,INTERACTION,OR PROCESSING BASED ON SYSTEM OR DEVICE NEEDS」と題する米国特許出願第16/182,227号、
・「WIRELESS PAIRING OF A SURGICAL DEVICE WITH ANOTHER DEVICE WITHIN A STERILE SURGICAL FIELD BASED ON THE USAGE AND SITUATIONAL AWARENESS OF DEVICES」と題する米国特許出願第16/182,231号、
・「STAPLING DEVICE WITH BOTH COMPULSORY AND DISCRETIONARY LOCKOUTS BASED ON SENSED PARAMETERS」と題する米国特許出願第16/182,234号、
・「POWERED STAPLING DEVICE CONFIGURED TO ADJUST FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する米国特許出願第16/182,240号、
・「VARIATION OF RADIO FREQUENCY AND ULTRASONIC POWER LEVEL IN COOPERATION WITH VARYING CLAMP ARM PRESSURE TO ACHIEVE PREDEFINED HEAT FLUX OR POWER APPLIED TO TISSUE」と題する米国特許出願第16/182,235号、及び
・「ULTRASONIC ENERGY DEVICE WHICH VARIES PRESSURE APPLIED BY CLAMP ARM TO PROVIDE THRESHOLD CONTROL PRESSURE AT A CUT PROGRESSION LOCATION」と題する米国特許出願第16/182,238号。
【0014】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年9月10日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「A CONTROL FOR A SURGICAL NETWORK OR SURGICAL NETWORK CONNECTED DEVICE THAT ADJUSTS ITS FUNCTION BASED ON A SENSED SITUATION OR USAGE」と題する米国特許仮出願第62/729,183号、
・「AUTOMATED DATA SCALING,ALIGNMENT,AND ORGANIZING BASED ON PREDEFINED PARAMETERS WITHIN A SURGICAL NETWORK BEFORE TRANSMISSION」と題する米国特許仮出願第62/729,177号、
・「INDIRECT COMMAND AND CONTROL OF A FIRST OPERATING ROOM SYSTEM THROUGH THE USE OF A SECOND OPERATING ROOM SYSTEM WITHIN A STERILE FIELD WHERE THE SECOND OPERATING ROOM SYSTEM HAS PRIMARY AND SECONDARY OPERATING MODES」と題する米国特許仮出願第62/729,176号、
・「POWERED STAPLING DEVICE THAT IS CAPABLE OF ADJUSTING FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER OF THE DEVICE BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する米国特許仮出願第62/729,185号、
・「POWERED SURGICAL TOOL WITH A PREDEFINED ADJUSTABLE CONTROL ALGORITHM FOR CONTROLLING AT LEAST ONE END EFFECTOR PARAMETER AND A MEANS FOR LIMITING THE ADJUSTMENT」と題する米国特許仮出願第62/729,184号、
・「SENSING THE PATIENT POSITION AND CONTACT UTILIZING THE MONO POLAR RETURN PAD ELECTRODE TO PROVIDE SITUATIONAL AWARENESS TO THE HUB」と題する米国特許仮出願第62/729,182号、
・「SURGICAL NETWORK RECOMMENDATIONS FROM REAL TIME ANALYSIS OF PROCEDURE VARIABLES AGAINST A BASELINE HIGHLIGHTING DIFFERENCES FROM THE OPTIMAL SOLUTION」と題する米国特許仮出願第62/729,191号、
・「ULTRASONIC ENERGY DEVICE WHICH VARIES PRESSURE APPLIED BY CLAMP ARM TO PROVIDE THRESHOLD CONTROL PRESSURE AT A CUT PROGRESSION LOCATION」と題する米国特許仮出願第62/729,195号、及び
・「WIRELESS PAIRING OF A SURGICAL DEVICE WITH ANOTHER DEVICE WITHIN A STERILE SURGICAL FIELD BASED ON THE USAGE AND SITUATIONAL AWARENESS OF DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/729,186号。
【0015】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年8月28日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,214号、
・「TEMPERATURE CONTROL OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,205号、
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国特許出願第16/115,233号、
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国特許出願第16/115,208号、
・「CONTROLLING ACTIVATION OF AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO THE PRESENCE OF TISSUE」と題する米国特許出願第16/115,220号、
・「DETERMINING TISSUE COMPOSITION VIA AN ULTRASONIC SYSTEM」と題する米国特許出願号第16/115,232号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC ELECTROMECHANICAL SYSTEM ACCORDING TO FREQUENCY SHIFT」と題する米国特許出願第16/115,239号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC END EFFECTOR」と題する米国特許出願第16/115,247号,
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第16/115,211号、
・「MECHANISMS FOR CONTROLLING DIFFERENT ELECTROMECHANICAL SYSTEMS OF AN ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第16/115,226号、
・「DETECTION OF END EFFECTOR IMMERSION IN LIQUID」と題する米国特許出願第16/115,240号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国特許出願第16/115,249号、
・「INCREASING RADIO FREQUENCY TO CREATE PAD-LESS MONOPOLAR LOOP」と題する米国特許出願第16/115,256号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国特許出願第16/115,223号、及び
・「ACTIVATION OF ENERGY DEVICES」と題する米国特許出願第16/115,238号。
【0016】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年8月23日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国特許仮出願第62/721,995号、
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/721,998号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国特許仮出願第62/721,999号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国特許仮出願第62/721,994号、及び
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国特許仮出願第62/721,996号。
【0017】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月30日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「SMART ACTIVATION OF AN ENERGY DEVICE BY ANOTHER DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/692,747号、
・「SMART ENERGY ARCHITECTURE」と題する米国特許仮出願第62/692,748号、及び
・「SMART ENERGY DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/692,768号。
【0018】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年6月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,090号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許出願第16/024,057号、
・「SYSTEMS FOR ADJUSTING END EFFECTOR PARAMETERS BASED ON PERIOPERATIVE INFORMATION」と題する米国特許出願第16/024,067号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,075号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,083号、
・「SURGICAL SYSTEMS FOR DETECTING END EFFECTOR TISSUE DISTRIBUTION IRREGULARITIES」と題する米国特許出願第16/024,094号、
・「SYSTEMS FOR DETECTING PROXIMITY OF SURGICAL END EFFECTOR TO CANCEROUS TISSUE」と題する米国特許出願第16/024,138号、
・「SURGICAL INSTRUMENT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLIES」と題する米国特許出願第16/024,150号、
・「VARIABLE OUTPUT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,160号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許出願第16/024,124号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE CIRCUIT」と題する米国特許出願第16/024,132号、
・「SURGICAL INSTRUMENT WITH A TISSUE MARKING ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,141号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH PRIORITIZED DATA TRANSMISSION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第16/024,162号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,066号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSOR ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,096号、
・「SURGICAL EVACUATION FLOW PATHS」と題する米国特許出願第16/024,116号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND GENERATOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,149号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND DISPLAY」と題する米国特許出願第16/024,180号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,245号、
・「SMOKE EVACUATION SYSTEM INCLUDING A SEGMENTED CONTROL CIRCUIT FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,258号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許出願第16/024,265号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許出願第16/024,273号。
【0019】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年6月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/691,228号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許仮出願第62/691,227号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許仮出願第62/691,230号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許仮出願第62/691,219号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/691,257号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許仮出願第62/691,262号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許仮出願第62/691,251号。
【0020】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年4月19日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する米国特許仮出願第62/659,900号。
【0021】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国特許仮出願第62/650,898号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/650,887号、
・「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/650,882号、及び
・「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する米国特許仮出願第62/650,877号。
【0022】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,641号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,648号、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,656号、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第15/940,666号、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,670号、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第15/940,677号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第15/940,632号、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,640号、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/940,645号、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第15/940,649号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第15/940,654号、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第15/940,663号、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第15/940,668号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第15/940,671号、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第15/940,686号、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第15/940,700号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,629号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第15/940,704号、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第15/940,722号、
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第15/940,742号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,636号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,653号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第15/940,660号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第15/940,679号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第15/940,694号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第15/940,634号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第15/940,706号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,675号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,627号、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,637号、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,642号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,676号、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,680号、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,683号、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,690号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,711号。
【0023】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許仮出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許仮出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許仮出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許仮出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許仮出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許仮出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,323号。
【0024】
本願の出願人は、各開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年3月8日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,417号、及び
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許仮出願第62/640,415号。
【0025】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願米国特許仮出願第62/611,341号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号、及び
・「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号。
【0026】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実装されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの1つ又は2つ以上を、以下に記述される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができるものと理解されたい。
【0027】
外科用ハブ
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージデバイス105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0028】
様々な態様では、図1図7を参照して本明細書で説明するインテリジェント器具112は、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装することができる。電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)などのインテリジェント器具112(例えば、装置1~1)は、図8を参照して説明する外科用データネットワーク201内で動作するように構成されている。
【0029】
図2は、外科用手術室116内の手術台114上に横たわっている患者に対して外科処置を行うために使用している外科用システム102の一実施例を表す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するように使用することができる。
【0030】
他のタイプのロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号に記載されている。
【0031】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号に記載されている。
【0032】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor、CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0034】
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと称されることもある可視スペクトルは、人間の目に可視である(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0035】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(infrared、IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0036】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感応性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で取り込むことのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0038】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定のエリアと見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲のエリアと見なされ得ることが理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用する洗浄済みのチーム構成員、並びにそのエリア内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0039】
様々な態様では、可視化システム108は、図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置される1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0040】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114の操作者に可視であるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を利用して、滅菌野の内側及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
【0041】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台の滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0042】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、座標情報フローは、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で更に説明されている。可視化タワー111で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、滅菌野内でハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、ここで診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科用システム102と共に使用するのに好適である例示的な外科用器具の例は、例えば、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号の「Surgical Instrument Hardware」の項で説明されている。
【0043】
ここで図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0044】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0045】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ又は3つ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0046】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在する。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
【0047】
特定の外科処置は、1つ超のエネルギーのタイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギーのタイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は、組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は、封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が異なる発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0048】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを生成させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0049】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを生成するように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0050】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0051】
図3図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。代替的に、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0052】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0053】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ発生器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ発生器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ発生器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ発生器モジュール145は、図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0054】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
【0055】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0056】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつ、エネルギー送達手段に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達手段は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
【0057】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0058】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機能を含み得る。例えば、図4に示すように、組み合わせ発生器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ発生器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0059】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、特定のモジュールを収容するように各々設計される。
【0060】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0061】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。代替的に又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0062】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。代替的に、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0063】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0064】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置のタイプに応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはスキャンされたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0065】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましくない結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0066】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにスナップ嵌め係合が採用されてもよい。
【0067】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0068】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージデバイス205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切り替え式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機能を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0070】
手術室に配置されたモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0071】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0072】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という用語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語は、そのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整するエンティティであり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0073】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者の満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0074】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0075】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0076】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ又は3つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0077】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線機能を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0078】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(long-term evolution、LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0079】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0080】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0081】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結される撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結される発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意選択でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0082】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチの各々は、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0083】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室をスキャンし、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室をスキャンする。
【0084】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(Industrial Standard Architecture、ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(Micro-Charmel Architecture、MSA)、拡張ISA(Extended ISA、EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(Intelligent Drive Electronics、IDE)、VESAローカルバス(VESA Local Bus、VLB)、周辺装置相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(Advanced Graphics Port、AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(Personal Computer Memory Card International Association bus、PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(Small Computer Systems Interface、SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであっってもよい。
【0085】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(single-cycle serial random access memory、SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EEPROM)、及び/又は、1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(quadrature encoder input、QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0086】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0087】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(basic input/output system、BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(programmable ROM、PROM)、電気的プログラマブルROM(electrically programmable ROM、EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)、シンクロナスDRAM(synchronous DRAM、SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(double data rate、DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(enhanced SDRAM、ESDRAM)、シンクリンクDRAM(Synchlink DRAM、SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(direct Rambus RAM、DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0088】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのような装置が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(compact disc ROM、CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(compact disc recordable drive、CD-R Drive)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(compact disc rewritable drive、CD-RW Drive)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(digital versatile disc ROM drive、DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージデバイスのシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0089】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0090】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティング装置、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0091】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリストレージデバイスのみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)及びワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(Fiber Distributed Data Interface、FDDI)、銅線分散データインターフェース(Copper Distributed Data Interface、CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(Integrated Services Digital Network、ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
様々な態様では、図10のコンピュータシステム210、図9図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(single instruction multiple data、SIMD)、又は複数命令複数データ(multiple instruction multiple data、MIMD)技術を用いる並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0093】
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0094】
様々な態様では、図9図10を参照して説明する装置/手段235は、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装することができる。したがって、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)は、モジュール式制御タワー236及び外科用ハブ206とインターフェースするように構成されている。外科用ハブ206に接続されると、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)は、クラウド204、サーバ213、他のハブに接続された器具、ディスプレイ215、若しくは可視化システム209、又はこれら組み合わせとインターフェースするように構成されている。更に、ハブ206に接続されると、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)は、ハブローカルコンピュータシステム210で利用可能な処理回路を利用することができる。
【0095】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(data plus、DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(data minus、DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0096】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0097】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(serial interface engine、SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(non-return-to-zero invert、NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(packet ID、PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310は、クロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して、上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するために、サスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するように、インターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0098】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0099】
外科用ハブ及び/又は外科用ハブネットワークの構造及び機能に関する追加の詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日に出願の米国特許仮出願第62/659,900号に見出すことができる。
【0100】
クラウドシステムハードウェア及び機能モジュール
図12は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのブロック図である。一態様では、このコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボットデバイス、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科用システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成される。コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、クラウドベースの分析システムを含む。クラウドベースの分析システムは、外科用システムとして記載されているが、必ずしもそのように限定されるものではなく、クラウドベースの医療システムであってもよい。図12に示すように、クラウドベースの分析システムは、(器具112と同じ又は同様であってもよい)複数の外科用器具7012と、(ハブ106と同じ又は類似であってもよい)複数の外科用ハブ7006と、(ネットワーク201と同じ又は同様のものであってもよい)外科用データネットワーク7001は、(クラウド204と同じ又は同様であってもよい)クラウド7004に外科用ハブ7006を連結する。複数の外科用ハブ7006の各々は、1つ又は2つ以上の外科用器具7012に通信可能に連結される。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介してコンピュータ実装インタラクティブ外科用システムのクラウド7004に通信可能に連結される。クラウド7004は、様々な外科用システムの動作に基づいて生成されたデータを記憶、操作、及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモートの集中型源である。図12に示すように、クラウド7004へのアクセスは、インターネット又はいくつかの他の好適なコンピュータネットワークであり得るネットワーク7001を介して達成される。クラウド7004に結合される外科用ハブ7006は、クラウドコンピューティングシステムのクライアント側(すなわち、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科処置又は動作の制御及び実装のために、外科用ハブ7006とペアリングされている。
【0101】
加えて、外科用器具7012は、(送受信機もまた含んでもよい)対応する外科用ハブ7006へのデータ伝送、及び外科用ハブ7006からのデータ伝送のための送受信機を備えてもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療手術を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの、特定の位置を示してもよい。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを記憶してもよい。図12に示すように、クラウド7004は、中央サーバ7013(図1のリモートサーバ113及び/又は図9のリモートサーバ213と同じ又は類似するものであり得る)と、ハブアプリケーションサーバ7002と、データ分析モジュール7034と、入力/出力(「I/O」)インターフェース7007と、を含む。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これは、クライアントモジュール7006による要求を監視し、リクエストを実行するためのクラウド7004の処理能力を管理することを含む。中央サーバ7013の各々は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ及び磁気ストレージデバイスなどの不揮発性メモリを含むことができる、好適なメモリ装置7010に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ7008を備える。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008が、以下で説明されるクラウドベースのデータ分析、動作、提案、及び他の動作のために、データ分析モジュール7034を実行させる、機械実行可能命令を含んでもよい。更に、プロセッサ7008は、ハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと独立して、又はハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に常駐することができる集約された医療データデータベース2212を含む。
【0102】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからのデータを集約することができる。かかる集約されたデータは、クラウド7004の集約された医療用データベース7011内に記憶することができる。具体的には、クラウド7004は、有利には、集約されたデータ上でデータ分析及び動作を実行して、個別のハブ7006がそれら自体で達成できない機能をもたらしてもよい。この目的のために、図12に示すように、クラウド7004及び外科用ハブ7006は、情報を送信及び受信するように通信可能に連結される。I/Oインターフェース7007は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7007は、外科用ハブ7006と集約された医療データデータベース7012との間で情報を転送するように構成することができる。したがって、I/Oインターフェース7007は、クラウドベース分析システムの読み出し/書き込み動作を容易にすることができる。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介してハブ7006に送信される場合がある。I/Oインターフェース7007は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IEEE1394ポート、並びにクラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースを含むことができる1つ又は2つ以上の高速データポートを含むことができる。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、外科用ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に共有機能をホストし、かつ供給するように構成されている。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブアプリケーションがハブアプリケーションによって作製された要求を管理して、集約された医療データデータベース7011へのアクセスを制御し、負荷バランス調整を実行してもよい。データ分析モジュール7034を、図13を参照して更に詳細に説明する。
【0103】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、具体的には、外科用器具7012、112などの医療装置を使用して実行される医療手術及び処置の文脈において生じる様々な問題に対処するように設計されている。特に、外科用器具7012は、外科手術の実績を改善するための技術を実装するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってもよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の相互作用の態様を制御し得るように、タッチ制御されたユーザインターフェースを含んでもよい。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースもまた使用することができる。
【0104】
図13は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科用システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。クラウドベース分析システムは、医療分野において具体的に生じる問題にデータ分析ソリューションを提供するために、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行され得る複数のデータ分析モジュール7034を含む。図13に示すように、クラウドベースのデータ分析モジュール7034の機能は、外科用ハブ7006でアクセスすることができるハブアプリケーションサーバ7002によってホストされるハブアプリケーション7014を介して支援することができる。クラウドプロセッサ7008及びハブアプリケーション7014は、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作してもよい。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応する一連のプロトコル及びルーチンを定義する。加えて、API7016は、アプリケーション7014の動作のために、集約された医療データのデータベース7011内へのデータの格納及びここからの読み出しを管理する。キャッシュ7018はまた、データを(例えば、一時的に)記憶し、アプリケーション7014によって使用されるデータのより効率的な検索のためにAPI 7016に結合される。図13のデータ分析モジュール7034は、資源最適化7020、データ収集及び集約7022、認可及びセキュリティ7024、制御プログラムの更新7026、患者転帰分析7028、提案7030、及びデータ分類及び優先順位付け7032のためのモジュールを含む。他の好適なデータ分析モジュールはまた、いくつかの態様により、クラウド7004によって実装される場合がある。一態様では、データ分析モジュールは、傾向、転帰、及び他のデータの分析に基づいて特定の提案に使用される。
【0105】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、顕著な機能又は構成(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理、及び手術によってグループ化することができるが、必ずしも実際の外科手術日付及び外科医に一致していないペアリングされたデータセットへのデータの保存を含む、自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用される場合がある。特に、外科用器具7012の動作から生成される対のデータセットは、例えば出血又は非出血事象などの二元分類を適用することを含み得る。より一般的には、バイナリ分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科処置)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けられてもよい。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに相当してもよい。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又は他の編成されたデータを生成することができる。この目的のために、プロセッサ7008は、データ分析モジュール7034を実行するために、ハブアプリケーション7014及び集約された医療データデータベース7011に動作的に結合することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成済みデータを集約された医療データデータベース2212に記憶してもよい。
【0106】
資源最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設又は医療施設のグループに関する資源の最適な使用を決定するように構成することができる。例えば、資源最適化モジュール7020は、そのような器具7012の対応する予測される要求に基づいて、医療施設のグループに関する外科用ステープラ7012の最適な順序点を決定してもよい。資源最適化モジュール7020はまた、資源使用を改善することができるかどうかを判定するために、様々な医療施設の資源使用又は他の動作構成を評価する場合があるであろう。同様に、提案モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022から集約された編成済みデータを分析して提案を提供するように構成することができる。例えば、提案モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば、期待される誤り率よりも高いことに基づいて改善されたバージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービスプロバイダ)に提案することができる場合もある。加えて、提案モジュール7030及び/又は資源最適化モジュール7020は、製品再注文ポイントなどのより良好な供給チェーンパラメータを提案し、異なる外科用器具7012、その使用、又は手術結果を改善する手順工程などの提案を提供することができる場合もある。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような提案を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関するより具体的な提案もまた提供することができる。ハブ7006及び/又は外科用器具7012は各々、クラウド7004によって提供されるデータ又は提案を表示するディスプレイスクリーンを有することができる場合もある。
【0107】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた手術結果を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028はまた、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価してもよい。この接続では、提案モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な手術結果をもたらすことに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを使用して提案することができる場合もある。例えば、提案モジュール7030は、対応するステープル留め外科用器具7012に特定のカートリッジをいつ使用すべきかに関する提案を、外科用ハブ7006に送信することができる。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通変数を制御している間に、生データの大規模な収集を分析し、複数の医療施設にわたって(有利には、集約されたデータに基づいて決定される)集中的提案を提供するように構成されてもよい。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療行為のタイプ、患者のタイプ、患者数、医療プロバイダ/施設が、同様のタイプの器具などを使用する医療プロバイダ間の地理的類似性を分析、評価、及び/又は集約することができる場合もあり、医療プロバイダ/施設は、同様のタイプの器具などを使用する。
【0108】
制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新されたときに、様々な外科用器具7012の提案を実装するように構成することができる場合もある。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果とリンクする相関関係を識別することができる場合もある。このような相関関係は、更新された制御プログラムが制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信されるときに対処されてもよい。対応するハブ7006を介して送信される器具7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集され、かつ分析された集約された実績データを組み込んでもよい。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び提案モジュール7030は、集約された実績データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を識別することができる場合もある。
【0109】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含んでもよい。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理されてもよい。各外科用ハブ7006は、ユーザ名、パスワード、及び他の好適なセキュリティ資格情報などの関連する固有の資格情報を有することができる。これらの資格情報は、メモリ7010に記憶され、許可されたクラウドアクセスレベルに関連付けることができる場合もある。例えば、正確な資格情報を提供することに基づいて、外科用ハブ7006は、クラウドと所定の範囲まで通信するアクセスを付与されてもよい(例えば、特定の定義されたタイプの情報の送信又は受信を行ってもよい)。この目的のために、クラウド7004の集約された医療データデータベース7011は、提供された資格情報の精度を検証するための資格情報のデータベースを含んでもよい。異なる資格情報は、クラウド7004によって生成されたデータ分析を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための様々なレベルの許可に関連付けられてもよい。
【0110】
更に、セキュリティ目的のために、クラウドは、ハブ7006、器具7012、及び禁止された装置の「ブラックリスト」を含んでもよい他の装置のデータベースを維持することができる場合もある。具体的には、ブラックリスト上に列挙された外科用ハブ7006は、クラウドと相互作用することを許可されない場合があり、一方で、ブラックリスト上に列挙された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有しない場合があり、及び/又は対応するハブ7006とペアリングされたときに完全に機能することが阻止され得る。追加的に又は代替的に、クラウド7004は、不適合性又は他の指定された基準に基づいて、器具7012にフラグを立ててもよい。このようにして、偽造医療装置及びそのような装置の、クラウドベースの分析システム全体での不適切な再使用を識別し、対処することができる。
【0111】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスのための認可資格情報を表してもよい無線信号を送信してもよい。有線送受信機はまた、信号を送信するために使用してもよい。そのような認可資格情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に記憶することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可資格情報が正確であるか又は偽造であるかを判定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、強化されたセキュリティのために、認可資格情報を同時に生成してもよい。資格情報はまた、ハッシュベースの暗号化を使用することなどによって、暗号化することができる場合もある。適切な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006及び最終的にはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得して送信する準備ができていることを示してもよい。これに応答して、クラウド7004は、集約された医療データデータベースに記憶するための医療データを受信することが可能な状態に遷移してもよい。このデータ伝送準備は、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる場合もある。クラウド7004はまた、それらの関連する制御プログラムを更新するために、外科用器具7012に信号を送信することができる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定のクラスの外科用器具7012(例えば、電気外科用器具)に向けられた信号を送信することができる。更に、クラウド7004は、選択的データ送信及び認可資格情報に基づいてローカル又はグローバルの問題に対処するために、システムワイドソリューションを実装するために使用することができる場合もある。例えば、外科用器具7012のグループが共通の製造不良を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可資格情報を変更して、このグループの動作ロックアウトを実装してもよい。
【0112】
クラウドベースの分析システムは、(例えば、提案モジュール2030を介して)改善された実務及び提案の変更を判定するために、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視することを可能にしてもよい。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して、施設を識別し、そのデータを他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。グループは、例えば、同様の操作行為又は地理的位置に基づいて定義することができる場合がある。このようにして、クラウド7004は、医療施設グループの幅広い分析及び提案を提供してもよい。クラウドベースの分析システムはまた、強化された状況認識のために使用することができる場合がある。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な動作及び/又は様々な医療処置に対する)特定の施設に対するコスト及び有効性に関する提案の効果を予測的にモデル化してもよい。その特定の施設に関連するコスト及び有効性はまた、他の施設又は任意の他の同等の施設の対応するローカル区域と比較することもできる。
【0113】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重大性(例えば、データに関連付けられた医療事象の重篤度、意外さ、不審さ)に基づいてデータを優先順位付けし、かつ分類してもよい。この分類及び優先順位付けは、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善するために、上記の他のデータ分析モジュール7034の機能と併せて使用してもよい。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022並びに患者転帰分析モジュール7028によって実行されるデータ分析に対する優先度を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、迅速応答のための上昇、特別な処理、集約された医療データデータベース7011からの除外、又は他の好適な応答などの、(緊急性のレベルに対応する)クラウド7004からの特定の応答をもたらすことができる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、対応する外科用器具7012からの追加データのために、ハブアプリケーションサーバを介して要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、支持又は追加のデータを要求するために、対応するハブ7006上に表示された通知をもたらすことができる。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドが不規則性の原因を判定することができない状況で必要とされてもよい。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると判定された場合、又はセキュリティが危殆化されたと見られる場合などの、特定の重大な状況においてこのプッシュメッセージをトリガするようにプログラムすることができる。
【0114】
様々な態様では、図12及び図13を参照して上で説明した外科用器具(複数可)7012は、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装することができる。したがって、環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)は、外科用ハブ7006及びネットワーク2001とインターフェースするように構成され、このネットワークがクラウド7004とインターフェースするように構成されている。したがって、中央サーバ7013及びデータ分析モジュール7034によって提供される処理能力は、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)からの情報(例えば、データ及び制御)を処理するように構成されている。クラウド分析システムに関する追加の詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日に出願の米国特許仮出願第62/659,900号に見出すことができる。
【0115】
状況認識
感知されたデータに応答する制御アルゴリズムを含む「インテリジェント」装置は、感知されたデータを考慮することなく動作する「データ処理能力のない(dumb)」装置に改善を加えたものであり得るが、いくつかの感知されたデータは、単独で考慮される場合、すなわち、実行される外科処置のタイプ又は手術されている組織のタイプのコンテキストなしでは、不完全又は決定的ではない可能性がある。処置コンテキストを知る(例えば、手術される組織のタイプ又は行われている処置のタイプを知る)ことがなければ、制御アルゴリズムは、特定のコンテキストを含まない感知データが与えられると、モジュール式装置を不正確に又は準最適に制御することがある。例えば、特定の感知されたパラメータに応答して外科用器具を制御するための制御アルゴリズムの最適な様式は、手術されている特定の組織のタイプに従って変化する可能性がある。これは、異なる組織のタイプが異なる特性(例えば、引き裂きに対する抵抗)を有し、これにより外科用器具によって取られた動作に対して異なって応答するという事実に起因する。したがって、特定のパラメータについて同じ測定値が感知された場合であっても、外科用器具が異なる動作をとることが望ましいことがある。1つの具体的な例として、器具がそのエンドエフェクタを閉鎖するために予想外に高い力を感知することに応答して外科用ステープル及び切断器具を制御する最適な様式は、組織のタイプが引き裂きの影響を受けやすいか、又はこれに耐性があるかによって異なる。肺組織などの引き裂きの影響を受けやすい組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、組織の引き裂きを回避するために、閉鎖するための予想外に高い力に応答してモータを最適にランプダウンさせる。胃組織などの引き裂きに耐性がある組織の場合、器具の制御アルゴリズムは、エンドエフェクタが組織に適切にクランプされることを確実にするために、閉鎖するための予想外に高い力に応答してモータを最適にランプアップさせる。肺組織がクランプされているのか、胃組織がクランプされているのかを知らなければ、制御アルゴリズムは、準最適な決定を行うことがある。
【0116】
1つの解決策は、様々なデータソースから受信したデータに基づいて行われる外科処置に関する情報を導出し、次いで、ペアリングされるモジュール式装置を適宜制御するように構成されたシステムを含む、外科用ハブを利用する。換言すれば、外科用ハブは、受信したデータから外科処置に関する情報を推定し、次いで、外科処置の推定されたコンテキストに基づいて、外科用ハブとペアリングされるモジュール式装置を制御するように構成される。図14は、本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科システム5100の図を示す。いくつかの例示では、データソース5126は、例えば、モジュール式装置5102(患者及び/又はモジュール式装置自体に関連付けられたパラメータを検出するように構成されたセンサを含むことができる)、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)、及び患者監視装置5124(例えば、血圧(blood pressure、BP)モニタ及び心電図(electrocardiography、EKG)モニタ)を含む。
【0117】
多くの点でハブ106と類似し得る外科用ハブ5104は、例えば、受信したデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信される特定の順序に基づいて、データから外科処置に関するコンテキスト情報を導出するように構成することができる。受信したデータから推定されるコンテキスト情報は、例えば、行われる外科処置のタイプ、外科医が行っている外科処置の特定の工程、手術されている組織のタイプ、又は処置の対象である体腔を含むことができる。受信したデータから外科処置に関連する情報を導出又は推定するための外科用ハブ5104のいくつかの態様によるこの能力は、「状況認識」と称され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、受信したデータから外科処置に関連するコンテキスト情報を導出する外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである状況認識システムを組み込むことができる。
【0118】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、様々な異なる方式でデータソース5126から受信したデータからコンテキスト情報を導出するように構成され得る。一例示では、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視装置5124、及び/又はモジュール式装置5102からのデータ)を、外科処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含む。換言すれば、機械学習システムは、提供された入力から外科処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練され得る。別の例示的な例では、状況認識システムは、外科処置に関する事前に特徴付けされたコンテキスト情報を、コンテキスト情報に対応する1つ又は2つ以上の入力(又は入力の範囲)と対応させて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ又は2つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式装置5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。一例示では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ又は2つ以上のモジュール式装置5102の特定の制御調整又は制御調整のセットに関連付けられる。別の例示では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供されたときに1つ又は2つ以上のモジュール式装置5102の1つ又は2つ以上の制御調整を生成又は取得する、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のそのようなシステムを含む。
【0119】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科用システム5100に多くの利益を提供する。1つの利益は、感知及び収集されたデータの解釈を改善することを含み、これは、外科処置の過程中の処理精度及び/又はデータの使用を改善する。以前の例に戻るために、状況認識外科用ハブ5104は、どのタイプの組織が手術されているかを判定することができ、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉じるために予想外に高い力が検出されると、状況認識外科用ハブ5104は、組織のタイプに合わせて外科用器具のモータを正しくランプアップ又はランプダウンすることができる。
【0120】
別の実施例として、手術されている組織のタイプは、特定の組織間隙測定のための外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値になされる調整に影響を及ぼすことができる。状況認識外科用ハブ5104は、行われている外科処置が胸部処置であるのか又は腹部処置であるのかを推定することができ、これにより状況認識外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺組織であるのか(胸部手術の場合)又は胃組織であるのか(腹部手術の場合)を判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織のタイプに合わせて適切に調整することができる。
【0121】
更に別の実施例として、送気処置中に手術されている体腔のタイプは、排煙器の機能に影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、手術部位が(外科処置が送気を利用していると判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置タイプを判定することができる。処置タイプが一般的に特定の体腔内で実行されるため、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に排煙器のモータ速度を制御することができる。したがって、状況認識外科用ハブ5104は、胸部手術及び腹部手術の両方のために一定量の煙排出を提供することができる。
【0122】
更に別の実施例として、行われている処置のタイプは、超音波外科用器具又は高周波(radio frequency、RF)電気外科用器具が作動するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。関節鏡処置は、例えば、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるため、より高いエネルギーレベルを必要とする。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置が関節鏡処置であるかどうかを判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体充填環境を補償するために、発生器のRF電力レベル又は超音波振幅(すなわち、「エネルギーレベル」)を調整することができる。関連して、手術されている組織のタイプは、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具が作動するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置の予想される組織プロファイルに従って、どのタイプの外科処置が行われているかを判定し、次いで、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識外科用ハブ5104は、処置ベースでのみではなく、外科処置の過程にわたって、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを調整するように構成され得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又はその後に行われるかを判定し、次いで発生器及び/又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具の制御アルゴリズムを更新して、外科処置の工程に従って予想される組織タイプに適切な値にエネルギーレベルを設定することができる。
【0123】
更に別の例として、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から引き出す結論を改善するために、追加のデータソース5126からデータが引き出されることができる。状況認識外科用ハブ5104は、モジュール式装置5102から受信したデータを、他のデータソース5126からの外科処置に関して構築したコンテキスト情報で増強することができる。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、医療用撮像装置から受信したビデオ又は画像データに従って、止血が発生したかどうか(すなわち、手術部位での出血が止まっているかどうか)を判定するように構成され得る。しかしながら、場合によっては、ビデオ又は画像データは、決定的でない可能性がある。したがって、一例示では、外科用ハブ5104は、生理学的測定(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に接続されたBPモニタによって感知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104に通信可能に連結された医療用撮像装置124(図2)からの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープルライン又は組織溶接の完全性についての判定を行うように更に構成され得る。換言すれば、外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定データを考慮して、可視化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、可視化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用であり得る。
【0124】
別の利益としては、外科処置の過程中に医療従事者が外科用システム5100と相互作用するか又はこれを制御するために必要とされる回数を低減するために、行われている外科処置の特定の工程に従って、ペアリングされるモジュール式装置5102を積極的かつ自動的に制御することを含む。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、処置の後続の工程が器具の使用を必要とすると判定した場合に、RF電気外科用器具が接続されている発生器を積極的に起動させることができる。エネルギー源を積極的に起動することにより、処置の先行する工程が完了するとすぐに器具を使用準備完了にすることができる。
【0125】
別の実施例として、状況認識外科用ハブ5104は、外科処置の現在又は後続の工程が、ディスプレイ上の異なる視界又は拡大の度合いを必要とするかどうかを、外科医が見る必要があると予想される手術部位における特徴(複数可)に従って判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、(例えば、可視化システム108のために医療用撮像装置によって供給される)表示された視界を、それに応じて積極的に変化させることができ、ディスプレイが外科処置にわたって自動的に調整するようにする。
【0126】
更に別の例として、状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又はその後に実行されるか、及び特定のデータ又はデータ間の比較が外科処置のその工程に必要とされるかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を尋ねるのを待つことなく、行われている外科処置の工程に基づいて、自動的にデータスクリーンを呼び出すように構成され得る。
【0127】
別の利益は、外科処置のセットアップ中又は外科処置の過程中にエラーをチェックすることを含む。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、手術室が、行われる外科処置のために適切に又は最適にセットアップされているかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、行われている外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)対応するチェックリスト、製品位置、又はセットアップニーズを取得し、次いで、現在の手術室のレイアウトを、外科用ハブ5104が行われていると判定した外科処置のタイプの標準レイアウトと比較するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、例えば好適なスキャナによってスキャンされる処置のためのアイテムのリスト、及び/又は外科用ハブ5104とペアリングされる装置のリストを、所与の外科処置のためのアイテム及び/又は装置の提案又は予想されるマニフェストと比較するように構成することができる。リスト間に任意の不連続性が存在する場合、外科用ハブ5104は、特定のモジュール式装置5102、患者監視装置5124、及び/又は他の外科用アイテムが欠落していることを示す警告を提供するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサによってモジュール式装置5102及び患者監視装置5124の相対距離又は位置を判定するように構成され得る。外科用ハブ5104は、装置の相対位置を、特定の外科処置のための提案又は予想されるレイアウトと比較することができる。レイアウト間に不連続性が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科処置の現在のレイアウトが提案されるレイアウトから逸脱していることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0128】
別の例として、状況認識外科用ハブ5104は、外科医(又は他の医療従事者)が誤りを犯しているか、又は別の方法で外科処置の過程中に期待される一連の動作から逸脱しているかどうかを判定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実施される外科処置のタイプを判定し、(例えば、メモリから)機器使用の工程又は順序の対応するリストを取り出し、次いで、外科処置の過程中に行われている工程、又は使用されている機器を、外科用ハブ5104が行われていると判定した外科処置のタイプの予想された工程又は機器と比較するように構成され得る。一例示では、外科用ハブ5104は、外科処理における特定の工程で、予期せぬ動作が行われているか、又は予期せぬ装置が利用されていることを示す警告を提供するように構成され得る。
【0129】
全体的に、外科用ハブ5104のための状況認識システムは、各外科処置の特定のコンテキストのために外科用器具(及び他のモジュール式装置5102)を調整し(例えば異なる組織タイプに適応させるなど)、手術処置中の動作を検証することによって、外科処置の結果を改善する。状況認識システムはまた、処置の特定のコンテキストに従って、次の工程を自動的に示唆すること、データを提供すること、及び手術現場内のディスプレイ及び他のモジュール式装置5102を調整することによって、外科処置を実行する際の外科医の効率を改善する。
【0130】
一態様では、図24~40を参照して以下で説明するように、モジュール式装置5102は、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装することができる。したがって、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装されるモジュール式装置5102は、データソース5126として作動し、かつデータベース5122及び患者監視装置5124と相互作用するように構成されている。電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)として実装されるモジュール式装置5102は、外科用ハブ5104と相互作用して、情報(例えば、データ及び制御)を外科用ハブ5104に提供し、かつ外科用ハブ5104から情報(例えば、データ及び制御)を受信するように更に構成されている。
【0131】
ここで図15を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206(図1図11)などのハブの状況認識を表す予定表5200が表されている。予定表5200は例示的な外科処置、及び外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報である。予定表5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医、及び他の医療関係者によって取られるであろう典型的な工程を示す。
【0132】
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を利用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が実施されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出することができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録する、医療関係者によって取られている工程を検証する、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供する、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界(field of view、FOV)を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更するなど)、及び上記の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0133】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから患者のEMRを読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸部処置であることを判定する。
【0134】
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々なタイプの処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせ(mix of supplies)が胸部処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔形処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔形処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔形処置に対応していないかのいずれかであるため)。
【0135】
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
【0136】
第4の工程5208では、医療スタッフが補助機器をオンにする。利用される補助機器は、外科処置のタイプ及び外科医によって使用される技術に従って変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器、及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置である補助機器は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置のタイプを検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータの組み合わせ、手術に使用される医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置のタイプに基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実施されているかを知ると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0137】
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
【0138】
第6の工程5212では、医療関係者は患者に麻酔を誘発する。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ、又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除手術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
【0139】
第7の工程5214では、操作されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、処置の予期される工程(事前にアクセス又は読み出すことができる)と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
【0140】
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオ映像が開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実施されている特定の処置が、肺葉切除とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形処置は外科用ハブ106、206によって既に割り引かれていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(図2)からのデータは、患者の解剖学的構造の可視化に関して配向されている医療用撮像装置の角度を判定することによる、利用されている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによる、及び利用されている可視化装置のタイプを監視することによる、ことを含む多くの異なる方式の中から実施されている処置のタイプに関するコンテキスト情報を判定するために利用され得る。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し、一方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造の可視化に基づいて、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に連結され得る)を利用し、これはVATS肺葉切除術では利用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定のタイプの外科処置、及び/又は特定のタイプの外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0141】
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、前に考察された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
【0142】
第10の工程5220で、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、器具が発射されていることを示す外科用ステープル留め及び切断器具からのデータを受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
【0143】
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実施される。外科用ハブ106、206は、そのカートリッジからのデータを含む外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又はタイプに対応することができる。異なるタイプのステープルが異なるタイプの組織に利用されているため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織のタイプを示すことができる。この場合、発射されるステープルのタイプは実質組織(又は他の同様の組織種)に利用され、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
【0144】
続いて第12の工程5224で、結節切開工程が実行される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に利用されるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、この結節切開工程により外科用ハブ106、206がこの推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具との間で交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定の順序は、外科医が処置のどの工程を実施中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にロボットツールを利用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ又は2つ以上の工程にハンドヘルド外科用器具を利用することができる。外科医(複数可)は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド外科用器具とを順に交代させることができ、かつ/又は、例えば、装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0145】
第13の工程5226では、患者の麻酔が逆転される。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0146】
最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置を除去することである。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に連結された各種データソースから受信されたデータに基づいて、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程が発生しているときを判定又は推定することができる。
【0147】
様々な態様では、電動環状ステープル留め装置201800(図24図30)及び201000(図31図32)は、例えば予定表5200で表されるように、外科用ハブ106又は206(図1図11)などのハブ環境内の状況認識で作動するように構成されている。状況認識については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する2018年4月19日出願の米国特許仮出願第62/659,900号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科システムを含むロボット外科システムの動作は、その状況認識、及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド104からの情報に基づいて、ハブ106、206によって制御することができる。
【0148】
外科用器具のハードウェア
図16は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は、制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータ駆動器492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、電動環状ステープル留め装置のナイフ要素、トロカール、又はアンビルを駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を判定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びナイフ要素の位置を判定するようにプログラム又は構成することができる、プロセッサ462に提供される。追加のモータを、ナイフの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供することができる。ディスプレイ473は、器具の様々な動作状態を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0149】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0150】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0151】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(direct current、DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0152】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好ましい調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0153】
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)を含むHブリッジ駆動器を備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0154】
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide semiconductor field-effect transistor、MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0155】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はナイフを表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合させること、及び構成することができる。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、発射部材、発射バー、ナイフ、電動環状ステープル留め装置のトロカール若しくはアンビル、又は変位させることができる任意の要素などの、外科用器具又はツールの任意の移動可能な部材を指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びナイフに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、ナイフの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはナイフ、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結することができる。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0156】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、ナイフ、又はこれらの組み合わせを表す。
【0157】
位置センサ472と関連付けられたセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結されたセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0158】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0159】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0160】
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装することができる。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472のエリアに、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(coordinate rotation digital computer、CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(serial peripheral interface、SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップとすることができる。
【0161】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0162】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経た工程の数を計数して装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0163】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にナイフに印加される発射力を測定することができる。ナイフは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用させて、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。ナイフはまた、ナイフを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な刃先を含む。代替的に、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に対応し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0164】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加される力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0165】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0166】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、図1図14に示すようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路も備えることができる。制御システム470は、モータ付き環状ステープル留め器具201800(図24図30)、201000(図31図32)の態様を制御するために、モータ付き環状ステープル留め器具201800、201000によって用いることができる。制御システム470の態様は、472、474、476、追跡システム480、及び電流センサ478を用いてフィードバックをコントローラ461に提供することによって、とりわけ、アンビルの位置、組織圧縮力を感知するために、モータ付き環状ステープル留め器具201800、201000によって用いることができる。
【0167】
図17は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性ストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含むことができる。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0168】
図18は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0169】
図19は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、図17のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含むことができる。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば図18の組み合わせ論理回路510)と、順序論理回路520と、の組み合わせを含むことができる。
【0170】
図20は、様々な機能を行うために起動することができる複数のモータを備える外科用器具600又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、外科用器具600の複数のモータは、独立して起動させて、エンドエフェクタにおいて発射、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。一態様では、外科用器具600は、ハンドヘルド式外科用器具を表す。別の態様では、外科用器具600は、ロボット外科用器具を表す。他の態様では、外科用器具600は、ハンドヘルド式及びロボットの外科用器具の組み合わせを表す。様々な態様では、外科用ステープラ600は、直線ステープラ又は環状ステープラを表すことができる。
【0171】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはナイフ要素を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結することができる。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルを、ステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織の中へ配備させること、及び/又はナイフ要素の刃先を前進させて、捕捉された組織を切断させることができる。ナイフ要素は、モータ602の方向を逆転させることによって後退させることができる。
【0172】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を取り込むことができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。環状ステープラの実装形態では、モータ603は、電動ステープル留め装置の環状ステープラ部分のトロカール部分に連結することができる。モータ603は、トロカールを前進及び後退させるために用いることができる。
【0173】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0174】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。代替的に、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びナイフ要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動させることができる。
【0175】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、外科用器具の複数のモータに対して独立して接続可能及び分離可能とすることができる。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうちの一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちのもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
【0176】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、図20に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0177】
モータ602、603、606a、606bの各々は、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の様式で感知されてもよい。
【0178】
様々な例では、図20に示すように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備えることができるモータ駆動器626を備えることができる。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0179】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0180】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0181】
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されるモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されるモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(central processing unit、CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合した他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブル素子である。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0182】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な機能の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0183】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータの各々を制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0184】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのナイフの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0185】
外科用器具600は、図1図14に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するために、有線又は無線通信回路を備えることができる。外科用器具600は、モータ付き環状ステープル留め器具201800(図24図30)、201000(図31図32)とすることができる。
【0186】
図21は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを動作させるように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動リンクのいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成することができる。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を独立して制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。一態様では、外科用器具700は、ハンドヘルド式外科用器具を表す。別の態様では、外科用器具700は、ロボット外科用器具を表す。他の態様では、外科用器具700は、ハンドヘルド式及びロボット外科用器具の組み合わせを表す。様々な態様では、外科用ステープラ700は、直線ステープラ又は環状ステープラを表すことができる。
【0187】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びナイフ714(鋭い刃先を含む切断要素)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、ナイフ714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成することができる。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって独立して動作させることができる。
【0188】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して、位置センサ734によって判定されたナイフ714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、ナイフ714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるナイフ714の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定する、外部事象を計数する、又は外部事象の時間を測定するように構成することができる。
【0189】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。異なる組織状態をより良好に処理するために異なる発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速及び/又はより低電力で並進させるようにプログラムすることができる。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速及び/又はより高電力で並進させるようにプログラムすることができる。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0190】
一態様では、制御回路710は、モータ設定点信号を生成し得る。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0191】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eの各々を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の外科用器具700の反応に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択することができる。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0192】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達装置706a~706eを介して、ナイフ714、アンビル716、シャフト740、関節運動742a、及び関節運動742bなどの個々の移動可能な機械的要素に機械的に連結することができる。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、ナイフ714の位置を感知することができる。位置センサ734は、ナイフ714の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサとすること、又はそれを含むことができる。いくつかの実施例では、位置センサ734は、ナイフ714が遠位及び近位に並進するときに、一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含むことができる。制御回路710は、パルスを追跡して、ナイフ714の位置を判定することができる。例えば、近接センサを含む、他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、ナイフ714の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ734は、省略することができる。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示された工程の数及び方向を集約することによって、ナイフ714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。モータ704a~704eの各々の出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0193】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のナイフ714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、ナイフ714に連結される伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸に沿って遠位及び近位へのナイフ714の移動を制御するための、回転要素及び発射部材などの移動可能な機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、ナイフ714を発射する、又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったナイフ714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成することができる。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるナイフ714が遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0194】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定点を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結される伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開放位置及び閉位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0195】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定値を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結される伝達装置706cに連結される。伝達機構706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0196】
環状ステープラの実装形態では、伝達装置706c要素は、トロカールを前進又は後退させるためにトロカールに連結される。一態様では、シャフト740は、図29A図29を参照して以下でより詳細に考察されるように、トロカール201904及びトロカールアクチュエータ201906を備える閉鎖システムの一部である。したがって、制御回路710は、モータ704cを制御してトロカールを前進又は後退させるように、モータ制御回路708cを制御する。トルクセンサ744cは、トロカールを前進及び後退させる際に用いた伝達装置構成要素706cに、モータ704cのシャフトによって印加されるトルクを測定するために提供される。位置センサ734は、トロカール、アンビル716、若しくはナイフ714、又はこれらの任意の組み合わせの位置を追跡するための様々なセンサを含むことができる。他のセンサ738は、トロカール、アンビル716、若しくはナイフ714の位置又は速度、又はこれらの任意の組み合わせを含む、様々なパラメータを測定するために用いることができる。トルクセンサ744c、位置センサ734、及びセンサ738は、所望の様式で外科用器具700の動作を制御するための様々なプロセスへの入力として、制御回路710に連結される。
【0197】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成される。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定値を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結される伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0198】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の別個のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bの各々は他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0199】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理的システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と称されることがある。障害などの外部影響は、物理的システムの動作を物理的システムの所望の動作から逸脱させることがある。
【0200】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0201】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの、様々な導出パラメータを測定するように適合させることができる。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を判定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、並びに(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0202】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、把持状態中のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えることができる。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0203】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(magneto-resistive、MR)装置、巨大磁気抵抗(giant magneto-resistive、GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0204】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル716に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に印加される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0205】
一態様では、電流センサ736は、モータ704a~704eの各々によって引き込まれる電流を測定することができる。ナイフ714などの移動可能な機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のナイフ714を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(linear-quadratic、LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちの1つとすることができる。外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0206】
外科用器具700はまた、図1図14に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えることができる。外科用器具700は、モータ付き環状ステープル留め器具201800(図24図30)、201000(図31図32)とすることができる。
【0207】
図22は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、ナイフ764などの変位部材、又は他の好適な切断要素の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、ナイフ764(鋭い刃先を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備え得るエンドエフェクタ752を備える。
【0208】
ナイフ764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ配設、及び位置センサ784によって測定することができる。ナイフ764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、ナイフ764の位置は、位置センサ784を用いて、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、ナイフ764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成することができる。制御回路760は、ナイフ764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムすることができる。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ又は複数のプロセッサに、変位部材、例えばナイフ764を記載される様式で制御させる命令を実行するための、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他の好適なプロセッサを備えることができる。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたナイフ764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるナイフ764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部事象を計数するか、又は外部事象の時間を測定するように構成されてもよい。
【0209】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成することができる。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供することができる。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0210】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信することができる。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してナイフ764に機械的に連結することができる。伝達装置756は、モータ754をナイフ764に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含むことができる。一態様では、伝達装置は、トロカールを前進又は後退させるために、環状ステープラのトロカールアクチュエータに連結される。位置センサ784は、ナイフ764、トロカール、若しくはアンビル766、又はこれらの組み合わせの位置を感知することができる。位置センサ784は、ナイフ764の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサとすること、又はそれを含むことができる。いくつかの実施例では、位置センサ784は、ナイフ764が遠位及び近位に並進するときに、一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含むことができる。制御回路760は、パルスを追跡して、ナイフ764の位置を判定することができる。例えば、近接センサを含む、他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、ナイフ764の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は、省略することができる。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示された工程の数及び指示を集約することによって、ナイフ764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0211】
環状ステープラの実装形態では、伝達装置756要素は、トロカールに連結してトロカールを前進若しくは後退させること、ナイフ764に連結してナイフ764を前進若しくは後退させること、又はアンビル766に連結してアンビル766を前進若しくは後退させることができる。これらの機能は、例えば、好適なクラッチ機構を使用して単一のモータによって実装することができ、又は図21を参照して示されるように別個のモータを使用して実装することができる。一態様では、伝達装置756は、図29A図29Cを参照して以下でより詳細に考察されるように、トロカール201904及びトロカールアクチュエータ201906を備える閉鎖システムの一部である。したがって、制御回路760は、モータ754を制御してトロカールを前進又は後退させるように、モータ制御回路758を制御する。同様に、モータ754は、ナイフ764を前進又は後退させるように、及びアンビル766を前進又は後退させるように構成することができる。トルクセンサは、トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの組み合わせ前進及び後退させる際に用いた伝達装置構成要素756に、モータ754のシャフトによって印加されるトルクを測定するために提供することができる。位置センサ784は、トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの任意の組み合わせの位置を追跡するための様々なセンサを含むことができる。他のセンサ788は、トロカール、ナイフ764、若しくはアンビル766、又はこれらの任意の組み合わせの位置又は速度を含む、様々なパラメータを測定するために用いることができる。トルクセンサ、位置センサ784、及びセンサ788は、所望の様式で外科用器具750の動作を制御するための様々なプロセスへの入力として、制御回路760に連結される。
【0212】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信することができる。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備え得る。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含むことができる。一態様では、センサ788は、環状ステープラのトロカールの位置を判定するように構成することができる。
【0213】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプされた状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えることができる。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えることができる。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成することができ、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0214】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0215】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。ナイフ764を前進させるために必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0216】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のナイフ764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちの1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0217】
外科用器具750の実際の駆動システムは、関節運動及び/又はナイフシステムに対するギアボックス及び機械的リンクを備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はナイフ764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば、変位部材及び関節運動ドライバを動作させる電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理的システム上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と称されることがある。障害などの外部影響は、物理的システムの動作を物理的システムの所望の動作から逸脱させることがある。
【0218】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に配置されたステープルカートリッジ768とを備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持することができる。器具750を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば、器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。変位部材が遠位に並進するにつれて、遠位端に位置付けられた切断要素を有するナイフ764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0219】
様々な実施例では、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、ナイフ764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えることができる。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムすることができる。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。異なる組織状態をより良好に処理するために異なる発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0220】
いつくかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0221】
外科用器具750は、図1図14に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えることができる。外科用器具750は、モータ付き環状ステープル留め器具201800(図24図30)、201000(図31図32)とすることができる。
【0222】
図23は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、ナイフ764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、ナイフ764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる取り外し可能なステープルカートリッジ768と、を備えることができる、エンドエフェクタ792を備える。
【0223】
図21図23を参照すると、様々な態様では、センサ738、788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装することができる。他の実装形態では、センサ738、788は、とりわけ、光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの、光の影響下で動作する固体スイッチとすることができる。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738、788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含むことができる。
【0224】
一態様では、位置センサ734、784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装することができる。位置センサ734、784は、制御回路760と連携して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0225】
一態様では、ナイフ714、764は、組織切断刃をその上で動作可能に支持するナイフ本体を備えるナイフ部材として実装することができ、また、アンビル係合タブ又は特徴部、及び通路係合特徴部又は足部を更に含むことができる。一態様では、ステープルカートリッジ718、768は、直線ステープルカートリッジ又は環状ステープルカートリッジとすることができる標準の(機械的)外科用締結具カートリッジとして実装することができる。一態様では、RFカートリッジ796(図23)は、RFカートリッジとして実装することができる。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日出願の共同所有の米国特許出願第15/628,175号、表題「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」に説明されている。
【0226】
トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ配設、及び位置センサ734、784として表される位置センサによって測定することができる。ナイフ714、764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置は、位置センサ734、784を用いて、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、トロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ734、784によって達成することができる。制御回路710、760は、本明細書に記載されるトロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766などの変位部材の並進を制御するようにプログラムすることができる。いくつかの実施例では、制御回路710、760は、1つ又は複数のプロセッサに、変位部材、例えばトロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766を記載される様式で制御させる命令を実行するための、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又は他の好適なプロセッサを備えることができる。一態様では、タイマー/カウンタ731、781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710、760に提供して、位置センサ734、784によって判定されたトロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置をタイマー/カウンタ731、781の出力と関連させ、その結果、制御回路710、760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるトロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ731、781は、経過時間を測定するか、外部事象を計数するか、又は外部事象の時間を測定するように構成することができる。
【0227】
制御回路710、760は、モータ設定値信号772を生成することができる。モータ設定値信号772(複数のモータが使用される場合は、各モータへの)は、モータコントローラ708a~e、758に提供することができる。モータコントローラ708a~e、758は、モータ駆動信号774をモータ704a~e、754に提供して、本明細書に記載されるモータ704a~e、754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えることができる。いくつかの実施例では、モータ704a~e、754は、ブラシ付きDC電動モータとすることができる。例えば、モータ704a~e、754の速度は、モータ駆動信号774と比例させることができる。いくつかの実施例では、モータ704a~e、754は、ブラシレスDC電動モータとすることができ、モータ駆動信号774は、モータ704a~e、754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含むことができる。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~e、758は、省略することができ、制御回路710、760は、モータ駆動信号774を直接生成することができる。
【0228】
モータ704a~e、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源。モータ704a~e、754は、伝達装置706a~e、756を介して、トロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766に機械的に連結することができる。伝達装置706a~e、756は、モータ704a~e、754をトロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含むことができる。位置センサ734、784は、トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置を感知することができる。位置センサ734、784、トロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766の位置を示す位置データを生成することができる任意のタイプのセンサとすること、又はそれを含むことができる。いくつかの実施例では、位置センサ734、784は、トロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766が遠位及び近位に並進するときに、一連のパルスを制御回路710、760に提供するように構成されたエンコーダを含むことができる。制御回路710、760は、パルスを追跡して、トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置を判定することができる。例えば、近接センサを含む、他の好適な位置センサが使用されてもよい。他のタイプの位置センサは、トロカール、ナイフ764、又はアンビル716、766の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの実施例では、位置センサ734、784は、省略することができる。モータ704a~e、754がステップモータである場合、制御回路710、760は、モータ704a~e、754が実行するように指示された工程の数及び方向を集約することによって、トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766の位置を追跡することができる。位置センサ734、784は、エンドエフェクタ702、752、792内、又は器具の任意の他の部分に位置することができる。
【0229】
制御回路710、760は、1つ又は2つ以上のセンサ738、788と通信することができる。センサ738、788は、エンドエフェクタ702、752、792上に位置付けられ、外科用器具700、750、790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの、様々な導出パラメータを測定するように適合させることができる。センサ738、788は、磁気センサ、磁気フィールドセンサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702、752、792の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えることができる。センサ738、788は、1つ又は2つ以上のセンサを含み得る。
【0230】
1つ又は2つ以上のセンサ738、788は、クランプされた状態の間のアンビル716、766の歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えることができる。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738、788は、アンビル716、766とステープルカートリッジ718、768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えることができる。センサ738、788は、アンビル716、766とステープルカートリッジ718、768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成することができ、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0231】
センサ738、788は、閉鎖具駆動システムによってアンビル716、766に及ぼされる力を測定するように構成することができる。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738、788は、閉鎖管によってアンビル716、766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716、766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル716、766に及ぼされる力は、アンビル716、766とステープルカートリッジ738、768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ738、788を、閉鎖具駆動システムに沿って様々な相互作用点で配置して、閉鎖駆動システムによってアンビル716、766に印加される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ738、788は、制御回路710、760のプロセッサ部分によって、クランプ動作中にリアルタイムでサンプリングすることができる。制御回路760は、リアルタイムサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716、766に印加される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0232】
モータ704a~e、754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ736、786を用いることができる。トロカール、ナイフ714、764、又はアンビル716、766を前進させるのに必要な力は、モータ704a~e、754によって引き込まれる電流に対応する。力は、デジタル信号に変換されて、制御回路710、760に提供される。
【0233】
図23を参照すると、RFエネルギー源794は、エンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796がステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792に装填されるときに、RFカートリッジ796に適用される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0234】
外科用器具790は、図1図14に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えることができる。外科用器具790は、モータ付き環状ステープル留め器具201800(図24図30)、201000(図31図32)とすることができる。
【0235】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0236】
モータ付き環状ステープル留め外科用器具
場合によっては、環状ステープル留め器具のモータ付き制御を提供することが望ましくなり得る。下の実施例は、単一の回転駆動装置を介して組織のクランプ及び切断/ステープル留めの両方を制御するために単一のモータを使用することができる、単なる例示的なバージョンの環状ステープル留め器具を含む。図24は、例示的なモータ付き環状ステープル留め器具201800を示す。この実施例の器具201800は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802と、アンビル201804と、シャフトアセンブリ201806と、ハンドルアセンブリ201808と、回転ノブ201812と、を備える。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、アンビル201804と選択的に連結する。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、アンビル201804のステープルポケットとステープル形成ポケットとの間で組織をクランプするように動作可能である。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に捕捉された組織を切断するように動作可能である、円筒状ナイフを備える。ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に捕捉された組織を通してステープルを駆動する。ステープル留め器具201800は、安全な吻合(例えば、端々吻合)を患者の消化管又は他の場所内に作成するために使用することができる。外側管状部材201810は、アクチュエータハンドルアセンブリ201808に連結される。外側管状部材201810は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とハンドルアセンブリ201808との間に機械的接地を提供する。
【0237】
ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、シャフトアセンブリ201806を介して通信される単一の回転入力に応答して、組織のクランプ、組織の切断、及び組織のステープル留めの全てを行うように動作可能である。したがって、シャフトアセンブリ201806を介して直線的に並進させた作動入力は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に必要とされないが、ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、並進クラッチ機能を備えることができる。単なる例として、ステープル留めヘッドアセンブリ201802の少なくとも一部は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Modular End Effector」と題する2012年12月17日出願の米国特許出願第13/716,318号、及び2014年6月19日に米国特許出願公開第2014/0166728号として公開された教示のいくつかの少なくともいくつかに従って構成することができる。ステープル留めヘッドアセンブリ201802の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0238】
シャフトアセンブリ201806は、ハンドルアセンブリ201808をステープル留めヘッドアセンブリ201802に連結する。シャフトアセンブリ201806は、図25に示される単一の作動機能の回転ドライバアクチュエータ201814を備える。ドライバアクチュエータ201814は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802を駆動して、組織のクランプ、組織の切断、及び組織のステープル留めを行うように動作可能である。したがって、シャフトアセンブリ201806を介した直線作動は必要とされないが、回転ドライバアクチュエータ201814は、長手方向に並進させて、組織クランプモードと組織切断/ステープル留めモードとの間でシフトさせることができる。例えば、ドライバアクチュエータ201814は、ドライバアクチュエータ201814の回転がステープル留めヘッドアセンブリ201802における組織のクランプを提供する第1の長手方向位置から、ドライバアクチュエータ210814の回転がステープル留めヘッドアセンブリ201802における組織の切断及びステープル留めを提供する第2の長手方向位置まで並進させることができる。シャフトアセンブリ201806のいくつかのバージョンは、1つ又は2つ以上の可撓性区間を含むことができる。可撓性区間を用いて構成され、かつシャフトアセンブリ201806に組み込むことができるシャフトアセンブリの一実施例は、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、「Motor Driven Rotary Input Circular Stapler with Lockable Flexible Shaft」と題する2012年12月17日出願の米国特許出願第13/716,323号において開示され、2014年6月19日に米国特許出願公開第2014/0166718号として公開されている。代替的に、シャフトアセンブリ201806は、シャフトアセンブリ201806に沿って剛性とすることができ、又はいくつかの他の様式で構成された1つ又は2つ以上の可撓性区間を有することができる。
【0239】
ハンドルアセンブリ201808は、図25図27に示されている。ハンドルアセンブリ201808は、ハンドルハウジング201816と、モータハウジング201818と、モータ201820と、電池201822と、回転ノブ201812と、発射リング201826と、を備える。モータハウジング201818は、ハンドルハウジング201816内に位置付けられる。ハンドルハウジング201816は、図26に示すように、ハンドルハウジング201816の中へ内向きに延在して、モータハウジング201818を支持するリブ(201827、201828、201830、201832)を備える。電池201822は、モータハウジング201818内でモータ201820の近位に位置付けられる。電池201822は、モータハウジング201818から取り外して、交換、廃棄、又は再充電することができる。図27で最も良く分かるように、電池201822は、電池201822から遠位に延在する電気接点201834、201836を備える。モータ201820は、モータ201820から近位に延在する電気接点201838、201840を備える。電池電気接点201836及びモータ電気接点201840は、導電性金属バンド201842を介して連結される。ねじ201844は、バンド201842をモータハウジング201818に連結して、モータハウジング201818に対するバンド201842の位置を固定する。したがって、バンド201842は、電池電気接点201836及びモータ電気接点201840を常に連結するように構成される。
【0240】
図27に示すように、電池電気接点201846は、導電性金属バンド201848に連結される。金属バンド201848は、導電性ねじ201854を介してモータハウジング201818に固定される。モータ電気接点201838は、導電性金属バンド201852に連結される。金属バンド201852は、導電性ねじ201850を介してモータハウジング201818に固定される。モータハウジング201818は、電気絶縁材料(例えば、プラスチック)で形成され、モータハウジング201818に巻き付けられた環状接点201856、201858を備える。ねじ201850、201854は、各々がそれぞれの環状接点201856、201858に連結されて、電池電気接点201834及びモータ電気接点201838をそれぞれ環状接点201856、201858に電気的に連結する。
【0241】
別の導電性金属バンド201860が、ハンドルハウジング201816に固定される。金属バンド201860の各端部は、それぞれのばね接点201862、201864を形成する。モータハウジング201818は、ハンドルハウジング201816に対して近位及び/又は遠位に並進して、環状接点201856、201858と、ばね接点201862、201864とを選択的に連結及び/又は連結解除する。具体的には、モータハウジング201818が遠位位置にあるとき、ばね接点201862が環状接点201856に係合し、ばね接点201864が環状接点201858に係合して、電池201822とモータ201820とを連結して、モータ201820に電力を供給する。ばね接点201862、201864は、同じ導電性金属バンド201860の一部であるので、また、接点201836、201840がバンド201866を介して既に連結されているので、ばね接点201862、201864と環状接点201856、201858との係合は、電池201822とモータ201820との間に回路を完成させると理解されるべきである。この位置決めを使用して、ステープル留めヘッドアセンブリ201802のモータ作動を提供する。モータハウジング201818が近位位置にあるとき、ばね接点201862、201864が環状接点201856、201858から連結解除され、その結果、電池201822がモータ201820から連結解除され、モータ201820は、電力を受け取らない。この位置決めを使用して、ステープル留めヘッドアセンブリ201802の手動作動を提供する。環状接点201856、201858の環状形状は、ハンドルハウジング201816内のモータハウジング201818の傾斜位置にかかわらず、ばね接点201862、201864と環状接点201856、201858との適切な接触を可能にする。いくつかのバージョンでは、バンド201860は、外部スイッチと連結される開路を含むことができ、その結果、ユーザは、モータハウジング201818が遠位位置になった後に、外部スイッチを作動させて、電池201822とモータ201820との連結を完了させることができる。
【0242】
図25に示すように、モータハウジング201818の近位端は、回転ノブ201812に確固に固定される。一態様では、回転ノブ201812は、回転ノブ201812を回転させるために、モータに連結することができる。回転ノブ201812は、ハンドルハウジング201816から近位に突出し、また、回転ノブ201812から遠位に延在するスプライン201868を備える。ハンドルハウジング201816は、選択的にスプライン201868に係合するように、対応する歯201870を備える。回転ノブ201812は、ハンドルハウジング201816内でモータハウジング201818を並進させために引っ張られる、及び/又は押し込まれる。回転ノブ201812が近位位置にあるとき、スプライン201868がハンドルハウジング201816から係合解除され、その結果、回転ノブ201812及びモータハウジング201818は、ハンドルハウジング201816に対して自由に回転する。この位置決めを使用して、ステープル留めヘッドアセンブリ201802の手動作動を提供する。回転ノブ201812が遠位位置にあるとき、スプライン201868がハンドルハウジング201816内の対応する歯201870に係合して、回転ノブ201812及びモータハウジング201818のハンドルハウジング201816に対する回転をロックする。したがって、スプライン201868及び歯201870は、ハンドルハウジング201816に対するモータハウジング201818の機械的接地を提供する。この位置決めは、下で更に詳細に説明される、ステープル留めヘッドアセンブリ201802のモータ作動を提供するために使用される。回転ノブ201812は、ハンドルハウジング201816内の弾性部材201872によって、遠位位置に付勢される。具体的には、弾性部材201872は、ハンドルハウジング201816のリブ201828から第1のギア201874まで遠位に延在し、第1のギアは、モータハウジング201818の遠位端に一体的に固定される。回転ノブ201812が近位位置にあるときに、弾性部材201872を第1のギア201874とリブ201828との間で圧縮して、ハンドルハウジング201816を遠位位置に弾性的に付勢するために。
【0243】
動作モード選択アセンブリは、ハンドルハウジング201816内でモータハウジング201818の遠位に位置付けられる。図28A図28Bに示すように、動作モード選択アセンブリは、第1のギア201874と、第2のギア201878と、を備え、第1のギア201874は、第2のギア201878と同軸であり、第2のギアの周囲に摺動可能に配置される。第1のギア201874は、第1のギア201874の内側開口部の周囲に整列させた正方形の歯を備える。正方形の歯は、円周方向に離間された凹部の配列を画定する。図28A図28Bに示すように、第2のギア201878は、シャフト201880と、スプライン201876と、環状フランジ201882と、を備える。シャフト201880は、遠位に示される開口部を有する。遠位に示される開口部は、ドライバアクチュエータ201814の近位端201896を受容するために六角形であり、近位端もまた六角形である(図25)。シャフト201880はまた、モータ201820から遠位に延在する駆動シャフト201886を補完及び受容するために半円形である、近位に示される開口部(図示せず)も有する。シャフト201896、201886の他の適切な形状及び構成を使用して、第2のギア201878とシャフト201896、201886とを連結することができる。
【0244】
図28Aに示すように、第2のギア201878のスプライン201876は、シャフト201880の近位端に位置付けられ、かつ遠位に延在する。スプライン201876は、第1のギア201874の歯に対応し、その結果、スプライン201876は、歯の間に画定された凹部内に嵌合するように構成される。一対の環状フランジ201882は、シャフト201880の遠位端に位置付けられ、かつハンドルハウジング201816の内向きに延在する環状リブ201884に係合するように外向きに延在し、それによって、ハンドルハウジング201816内の第2のギア201878の長手方向位置を固定する。環状リブ201884は、ハンドルハウジング2001816内の第2のギア201878の長手方向位置を固定しているが、それでも、環状リブ201884は、第2のギア201878がハンドルハウジング201816に対して回転することを可能にする。第2のギア201878を長手方向に固定するための他の好適な係合機能が、本明細書の教示に基づいて当業者には明らかになるであろう。
【0245】
図28A図28Bに示すように、第1のギア201874は、第2のギア201878の周囲に位置付けられる。第1のギア201874は、モータハウジング201818の遠位端に確固に連結され、その結果、第1のギア201874がモータハウジング201818と一体的に並進及び回転する。図28Bに示すように、モータハウジング201818が近位位置にあるとき、モータ201820及び第1のギア201874も近位位置にある。この位置では、モータ201820の駆動シャフト201886が第2のギア201878から係合解除され、第1のギア201874の歯が第2のギア201878のスプラインに係合する。したがって、回転ノブ201812が回転するとき、モータハウジング201818及び第1のギア201874も回転する。この位置決めは、それによって、ステープル留めヘッドアセンブリ201802の手動作動を提供する。第1のギア2018784の歯がスプライン201876と係合した状態で、それによって、回転ノブ201812は、モータハウジング201818に対して第2のギア201878を回転させる。図28Aに示すように、モータハウジング201818が遠位位置にあるとき、モータ201820及び第1のギア291874も遠位位置にある。モータ201820は、シャフト201886、201880を介して第2のギア201878と係合する。第1のギア201874は、第2のギア201878のシャフト201880の上を摺動して、スプライン201876を係合解除する。したがって、モータ201820の駆動シャフト201886の回転は、それによって、第2のギア201878を回転させる。この位置決めは、それによって、ステープル留めヘッドアセンブリ201802のモータ作動を提供する。換言すれば、図28Aに示すように、ノブ201812及びモータハウジング201818が遠位位置にあるとき、モータ201820が第2のギア201878を回転させる。図28Bに示すように、ノブ201812及びモータハウジング201818が近位位置にあるとき、ノブ201812が第2のギア201878を回転させる。
【0246】
図25図26を再度参照すると、第2のギア201878の遠位端がドライバアクチュエータ201814に連結されており、その結果、第2のギア201878の回転がドライバアクチュエータ201814を回転させる。したがって、第2のギア201878が回転するとき、ドライバアクチュエータ201814が回転して、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201802との間の間隙距離dを調整する。ハンドルハウジング201816は、発射リング201826と、連結部材201890と、を更に備える。図25に示すように、連結部材201890は、ドライバアクチュエータ201814の凹部201892の周囲に固定される。したがって、連結部材201890は、ドライバアクチュエータ201814と並進するが、ドライバアクチュエータ201814は、連結部材201890内を自由に回転する。連結部材201890は、連結部材201890を発射リング201826に接続する、外向きに延在する突起を備える。図25に示すように、連結部材201890の突起は、ハウジングアセンブリ201816のスロット201894を通って延在する。スロット201894は、ハンドルアセンブリ201816の一部の周囲に延在する。発射リング201826は、ハンドルハウジング201816に巻き付けられ、また、ハンドルハウジング201816に対して、スロット201894を介して連結部材201890の突起を手動で駆動するように回転可能かつ並進可能である。
【0247】
発射リング201826が遠位位置にあるとき、連結部材201890の突起は、ハンドルハウジング201816のスロット201894内に位置付けられる。連結部材201890がスロット201894内に位置付けられるとき、連結部材201890は、ドライバアクチュエータ201814と、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201802との間の間隙距離dを調整するように動作可能なステープル留めヘッドアセンブリ201802内の特徴とを連結する。例えば、連結部材201890がスロット201894内を時計方向に回転する場合、間隙距離dが減少して、アンビル201804がステープル留めヘッドアセンブリ201802に近づく。連結部材201890がスロット201894内を反時計回りに回転する場合、間隙距離dが増加して、アンビル201804がステープル留めヘッドアセンブリ201802から離れる。弾性部材201888は、連結部材201890を遠位に付勢する(図25)ように、連結部材201890の近位に位置付けられる。次いで、発射リング201826の連結部材201890を近位にスロットを通して並進させることができる。発射リング201826が近位位置にあるとき、連結部材201890の突起は、スロット内に位置付けられる。連結部材201890がスロット内に位置付けられるとき、連結部材201890は、ドライバアクチュエータ201814と、ドライバアクチュエータ201814の回転に応答してナイフ及びステープルを駆動するステープル留めヘッドアセンブリ201802内の特徴とを連結する。例えば、連結部材201890がスロット内を時計方向に回転する場合、ステープル留めヘッドアセンブリ201802がナイフ及びステープルを駆動する。スロットの構成は、連結部材201890が反時計回りに回転することを防止する。他の好適な連結部材201890の回転構成が、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかになるであろう。
【0248】
図26に示すように、スイッチ201898は、連結部材201890と整列するようにハンドルハウジング201816内に位置付けられる。モータ動作モードが選択された場合、スイッチ201898が押し下げられたとき、スイッチ201898がモータ201820及び電池201822を電気的に連結するように構成され、スイッチ201898が押し下げられないとき、スイッチ201898がモータ201820及び電池201822を電気的に連結解除するように構成される。連結部材201890は、連結部材201890が回転するとき、スイッチ201898に係合して、押し下げるように構成される。
【0249】
ここで図29A図29Cを参照すると、本実施例では、器具201800は、閉鎖システムと、発射システムと、を備える。閉鎖システムは、トロカール201904と、トロカールアクチュエータ201906と、回転ノブ201812(図24)と、を備える。上で考察されたように、回転ノブ201812は、モータに連結して、回転ノブ201812を時計回り又は反時計回り方向に回転させることができる。アンビル201804は、トロカール201904の遠位端に連結することができる。回転ノブ201812は、トロカール201904をステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して長手方向に並進させ、それによって、アンビル201804がトロカール201904に連結されるとき、アンビル201804を並進させて、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201804との間で組織をクランプするように動作可能である。発射システムは、トリガと、トリガ作動アセンブリと、ドライバアクチュエータ201908と、ステープルドライバ201910と、を備える。ステープルドライバ201910は、ステープルドライバ201910が長手方向に作動したときに、組織を切断するように構成されたナイフ201912などの切断要素を含む。加えて、ステープル201902は、ステープルドライバ201910の複数のステープル駆動部材201914の遠位に位置付けられ、その結果、ステープルドライバ201910が長手方向に作動したときに、ステープルドライバ201910はまた、ステープル201902も遠位に駆動する。したがって、ステープルドライバ201910がドライバアクチュエータ201908を介して作動するとき、ナイフ201912部材201914は、実質的に同時に、組織201916を切断し、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して遠位に組織の中へステープル201902を駆動する。次に、閉鎖システム及び発射システムの構成要素と機能性について、より詳細に説明する。
【0250】
図29A図29Cに示すように、アンビル201804は、表面を提供するように器具201800に選択的に連結可能であり、この表面に対して、ステープル201902を曲げて、ステープル留めヘッドアセンブリ201802とアンビル201804との間に収容された材料をステープル留めすることができる。本実施例のアンビル201804は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して遠位に延在するトロカール又は先のとがったロッド201904に選択的に連結可能である。図29A図29Cを参照すると、アンビル201804は、アンビル201904の近位シャフト201918のトロカール201904の遠位先端への連結を介して、選択的に連結可能である。アンビル201804は、略環状のアンビルヘッド201920と、アンビルヘッド201920から近位に延在する近位シャフト201918と、を備える。示される実施例では、近位シャフト201918は、アンビル201804をトロカール201904に選択的に連結するための、弾性的に付勢された保持クリップ201924を有する管状部材201922を備えるが、これは単に任意選択のものであり、同様に、アンビル201804をトロカール201904に連結するための他の保持機能を使用することができると理解されるべきである。例えば、アンビル201804をトロカール201904に連結するために、Cクリップ、クランプ、ねじ切り、ピン、接着剤、などを用いることができる。加えて、アンビル201804は、トロカール201904に選択的に連結可能であるように説明しているが、いくつかのバージョンでは、近位シャフト201918は、アンビル201804が取り付けられるとアンビル201804をトロカール201904から取り外すことができないように、一方向の連結機能を含むことができる。一例として、一方向の機能としては、返し、一方向スナップ、コレット、カラー、タブ、バンド、などが挙げられる。当然のことながら、アンビル201804をトロカール201904に連結するための更に他の構成が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかになるであろう。例えば、トロカール201904は、代わりに中空シャフトとすることができ、近位シャフト201918は、中空シャフトの中へ挿入可能である鋭利なロッドを備えることができる。
【0251】
本実施例のアンビルヘッド201920は、アンビルヘッド201920の近位面201940に形成された複数のステープル形成ポケット201936を備える。したがって、図29Cに示すように、アンビル201804が閉鎖位置にあり、かつステープル201902がステープル留めヘッドアセンブリ201802からステープル形成ポケット201936の中へ駆動されるとき、ステープル201902の脚部201938が曲げられて、完成したステープルを形成する。
【0252】
アンビル201804が別個の構成要素である場合、アンビル201804は、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に連結される前に、組織201916の一部分に挿入し、固定することができることを理解すべきである。単なる例として、アンビル201804は、組織201916の第1の管状部分に挿入し、固定することができ、一方で、器具201800は、組織201916の第2の管状部分に挿入し、固定する。例えば、組織201916の第1の管状部分は、アンビル201804の一部分に、又はその周りに縫合することでき、組織201916の第2の管状部分は、トロカール201904に、又はその周りに縫合することができる。
【0253】
図29Aに示すように、次いで、アンビル201804がトロカール201904に連結される。本実施例のトロカール201904は、最遠位の作動位置で示されている。トロカール201904のかかる伸長位置は、アンビル201804を取り付ける前に組織201916を連結することができる、より大きい面積を提供することができる。加えて、トロカール20190400の伸長位置はまた、アンビル201804のトロカール201904へのより容易な取り付けも提供することができる。トロカール201904は、テーパ付き遠位先端を更に含む。かかる先端部は、組織を貫通すること、及び/又はアンビル201804のトロカール201904への挿入を支援することができるが、テーパ付き遠位先端部は、単に任意選択のものである。例えば、他のバージョンでは、トロカール201904は、とがっていない先端部を有することができる。加えて又は代替的に、トロカール201904は、アンビル201804をトロカール201904に向かって引き付けることができる磁気部分(図示せず)を含むことができる。当然のことながら、アンビル201804及びトロカール201904の更に他の構成及び配設が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかになるであろう。
【0254】
アンビル201804がトロカール201904に連結されているとき、アンビル201804の近位面とステープル留めヘッドアセンブリ201802の遠位面との間の距離が、間隙距離dを画定する。本実施例のトロカール201904は、下で更に詳細に説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ201808(図24)の近位端に位置する調節ノブ201812(図24)を介して、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対して長手方向に移動可能である。したがって、アンビル201804がトロカール201904に連結されるとき、ステープル留めヘッドアセンブリ201802に対してアンビル201804を作動させることによって、調節ノブ201812の回転が間隙距離dを拡大又は縮小させる。例えば、図29A図29Bに連続的に示すように、アンビル201804は、最初の開放位置から閉鎖位置までアクチュエータハンドルアセンブリ201808に対して近位に作動することが示され、それによって、間隙距離d及び接続される組織201916の2つの部分の間の距離を低減させる。間隙距離dが所定の範囲内に入ると、図29Cに示すように、ステープル留めヘッドアセンブリ201802を発射して、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201802の間の組織201916をステープル留め及び切断することができる。下で更に詳細に説明するように、ステープル留めヘッドアセンブリ201802は、アクチュエータハンドルアセンブリ201808のトリガによって組織201916をステープル留め及び切断するように動作可能である。
【0255】
図29A図29Cを更に参照すると、ユーザは、アンビルヘッド201920がステープル留めされる組織201916の一部分内に位置するように、組織201916の一部分を管状部材201944の周りに縫合する。組織201916をアンビル201804に取り付けるとき、ユーザがアンビル201804をトロカール201904に連結することができるように、保持クリップ201924、及び管状部材201922の一部分が組織201916から外へ突出する。組織201916をステープル留めヘッドアセンブリ201802のトロカール201904及び/又は別の部分に連結した状態で、ユーザは、アンビル201804をトロカール201904に取り付け、アンビル201804をステープル留めヘッドアセンブリ201802に向かって近位に作動させて、間隙距離dを低減させる。器具201800が動作範囲内に入ると、ユーザは、組織201916の端部を一緒にステープル留めし、それによって、組織201916の実質的に連続管状部分を形成する。
【0256】
本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ201802は、シャフトアセンブリ201806の遠位端に連結され、摺動可能なステープルドライバ201910、及びステープルポケット201928内に含まれる複数のステープル201902を収容する管状ケーシング201926を備える。本実施例のシャフトアセンブリ201806は、外側管状部材201942と、ドライバアクチュエータ201908と、を備える。ステープル201902及びステープルポケット201928は、管状ケーシング201926の周りに環状配列で配置されている。本実施例では、ステープル201902及びステープルポケット201928は、ステープル201902及びステープルポケット201928の一対の同心環状列で配置されている。ステープルドライバ201910は、アクチュエータハンドルアセンブリ201808(図24)の回転に応答して、管状ケーシング201926内で長手方向に作動させるように動作可能である。図29A図29Cに示すように、ステープルドライバ201910は、トロカール開口部201930、中央凹部201932、及び中央凹部201932の周りに円周方向に配置され、かつシャフトアセンブリ201806に対して遠位に延在する複数の部材201914を有する、フレア状の円筒部材を備える。各部材201914は、ステープルポケット201928内の複数のステープル201902の対応するステープル201902に接触し、係合するように構成されている。したがって、ステープルドライバ201910をアクチュエータハンドルアセンブリ201808に対して遠位に作動させるとき、各部材201914は、対応するステープル201902を、管状ケーシング201926の遠位端に形成されたステープル開口201934を通して、そのステープルポケット201928の外へ駆動する。各部材201914がステープルドライバ201910から延在しているので、複数のステープル201902は、実質的に同時にステープル留めヘッドアセンブリ201802から駆動される。アンビル201804が閉鎖位置にあるとき、ステープル201902は、ステープル形成ポケット201936の中へ駆動されて、ステープル201902の脚部201938を曲げ、それによって、アンビル201804とステープル留めヘッドアセンブリ201808との間に配置された材料をステープル留めする。図30は、一例として、部材201914によってアンビル201804のステープル形成ポケット201928に駆動して、脚部201938を曲げる、ステープル201902を例証として表す。
【0257】
図24図31を参照して本明細書に記載されるモータ付き環状ステープル留め器具201800、201000は、図16図23に関連して記載される制御回路のいずれかを使用して制御することができる。例えば、図16を参照して説明されている制御システム470。更に、モータ付き環状ステープル留め器具201800は、図1図15に関連して記載されるハブ及びクラウド環境に用いることができる。
【0258】
環状ステープラ制御アルゴリズム
様々な態様では、本開示は、クランプとステープラとの間の組織又は組織間隙に対するクランプの閉鎖力(force-to-close、FTC)に基づいて、独立して作動可能なステープル列を調整するための環状ステープラ制御アルゴリズムを用いて構成される、電動ステープル留め装置を提供する。したがって、例えば、ステープル高さの外側列のストロークは、第1の列のステープルを発射する間の力、組織間隙、又は組織クリープに基づいて調整することができる。閉鎖する際の感知した組織厚さ又は力に基づく少なくとも1つの列のステープルのステープル高さの調整は、組織厚さ/負荷に基づく選択ウインドウの調整に焦点を当てる。他の態様では、選択可能なステープル高さのユーザ調整可能範囲は、アンビル後退動作中に検出される組織負荷に基づいて変更することができる。組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さを調整することができる。他の態様では、許容可能なステープルのウインドウ範囲の調整は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに表示される。他の態様では、組織圧縮、次いで組織の安定化が完了すると、組織のクリープ速度及び待機時間に基づいて、許容可能な範囲を更に調整することができる。
【0259】
ステープル形成パラメータの調整
様々な態様では、電動環状ステープラのステープル形成パラメータは、感知した組織特性に基づいて調整することができる。一態様では、制御アルゴリズムは、閉鎖する際又は前のステープル列を発射する際の感知した組織厚さ又は力に基づいて、少なくとも1つの列のステープルのステープル高さを調整するように構成することができる。一態様では、選択可能なステープル高さのユーザ調整可能範囲は、アンビル後退動作中に検出した組織負荷に基づいて変更される。組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さを調整する。一態様では、許容可能なステープルのウインドウ範囲の調整は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに表示される。一態様では、組織圧縮が完了し、組織が安定すると、組織クリープと待機時間との比率に基づいて、制御アルゴリズムを、許容可能なパラメータ範囲を調整するように更に構成することができる。
【0260】
図31は、本開示の少なくとも1つの態様による、環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002及びアンビル201004を備える電動環状ステープル留め装置201000の部分切り取り図である。電動環状ステープル留め装置20100は、アンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間で、組織201006の第1の部分及び組織201008の第2の部分をクランプしていることが示されている。アンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の組織201006、201008の圧縮は、例えば歪みゲージなどのセンサ201018で測定される。環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002はまた、ナイフ201019も含み、このナイフは、ステープルの内側列201010及び外側列201014が発射され、アンビル201004の対応するステープル形成ポケット201011、201015に対して形成された後に、異なる速度で前進して、アンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間にクランプされた組織201006、201008を切り通すことができる。
【0261】
図32は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープル201010(内側ステープル)及び第2の列のステープル201014(外側ステープル)を示す、図31に示す環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002の部分上面図である。内側列のステープル201010及び第2の列のステープル201014は、第1のステープルドライバ201012及び第2のステープルドライバ201016によって独立して作動可能である。
【0262】
ここで図31及び図32を参照すると、組織201006、201008がアンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間にクランプされると、第1の間隙δが内側列のステープル201010に設定され、第2の間隙δが外側列のステープル201014に設定される。組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙δ、δが減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さを調整する。第1のステープルドライバ201012ドライブが、組織201006、201008を通して、内側列のステープル201010を駆動し、内側列のステープル201010がアンビル201004に対して形成される。その後に、第2のステープルドライバ201016が、組織201006、201008を通して、外側列のステープル201010を独立して駆動し、外側列のステープル201014がアンビル201004に対して形成される。
【0263】
独立して作動可能なステープル列201010、201014は、組織201006、201008上のアンビル201004によってクランプされたFTC、又はアンビル201004のクランプと環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の組織間隙δ、δに基づいて形成することができる。したがって、例えば、外側列のステープル201014のストロークの高さは、第1の列のステープル201010の発射中のクランプのFTC、組織間隙δ、δ、又は組織クリープに基づいて調整することができる。感知した組織厚さ又はFTCに基づく少なくとも1つの列のステープルのステープル高さの調整は、組織201006、201008の厚さ/閉鎖する際の負荷に基づく選択ウインドウの調整に焦点を当てる。他の態様では、選択可能なステープル高さのユーザ調整可能範囲は、アンビル201004の後退動作中に検出される組織負荷に基づいて変更することができる。組織圧縮(例えば、FTC)が増加したとき、又は組織間隙δ、δが減少したときに、ウインドウの中央の名目ステープル高さを、図37を参照して本明細書に記載されるように調整することができる。他の態様では、許容可能なステープルのウインドウ範囲の調整は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに表示される。他の態様では、組織圧縮、次いで組織の安定化が完了すると、組織のクリープ速度及び待機時間に基づいて、許容可能な範囲を更に調整することができる。
【0264】
FTC/組織間隙に基づくステープル列の調整
図33及び図34は、本開示の少なくとも1つの態様による、一対のグラフ201020、201030を示し、図35は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープルの形成に従う第2の列のステープルの駆動速度又は高さの調整を示す、関連する図201040を示す。図34図35に表すように、並びに図31及び図32も参照すると、電動環状ステープラ201000の制御アルゴリズムは、第1の又は内側列のステープル201010の中で不格好なステープルの数及び位置を感知し、次いで、それに応じて、その後に第2の又は外側の列のステープル201014を駆動するためのアンビル高さ、ストローク長さ、若しくはストローク速度、又はこれらの組み合わせを調整して、不十分なステープル形成を伴うエリアに適応させる。
【0265】
図33は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1のステープルドライバ201012の実際のストロークがストローク長さの上限未満である場合の、ステープルドライバ201012、201016のストロークのグラフ201020である。図31及び図32も参照すると、内側列のステープル201010は、第1のステープルドライバ201012によって、第1のストローク長さにわたって第1の発射速度201022で駆動される。内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出されなかった場合、第2のストロークは、単に、線201026によって示される第1のストロークの終了後に開始し、外側列のステープル201014は、第2のステープルドライバ201016によって、第1のストローク長さに必ずしも等しいとは限らない第2のストローク長さにわたって、第1の発射速度201022に等しい第2の発射速度201024で駆動される。図35図201040を参照すると、ストローク長さが列201042に示すような上限に設定され、かつ実際のストロークが上限未満であるとき、内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが存在しない場合、アルゴリズムは、ストローク速度又はアンビル201004の高さを調整しない。しかしながら、内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出された場合、アルゴリズムは、ストローク速度を調整することができ、又は例えば図34に示すように、外側列のステープル201014を駆動する前に、外側列のステープル201014の発射開始を遅延させることができる。
【0266】
図34は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1のステープルドライバ201012の実際のストロークがストローク長さの上限に等しい場合の、ステープルドライバ201012、201016のストロークのグラフ201030である。図31及び図32も参照すると、内側列のステープル201010は、第1のステープルドライバ201012によって、第2のストローク長さにわたって第2の発射速度201031で駆動される。内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出された場合、第2のストロークは、単に、線201032によって示される第1のストロークの終了後のある遅延期間後に開始し、外側列のステープル201014は、第2のステープルドライバ201016によって、第3のストローク長さにわたって、第2の発射速度201031よりも遅い第3の発射速度201034で駆動される。変位の第2のストロークは、線201036によって示される変位で終了する。図35図201040を参照すると、ストローク長さが上限の列201042に示すような上限に設定され、かつ実際のストロークが上限に等しいとき、内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが存在する場合、アルゴリズムは、例えば、外側列のステープル201014を駆動する前に、ストローク速度を下げること、又は図34に示すように外側列のステープル201014の発射開始を遅延させること、又はその両方を行うことができる。
【0267】
図35及び図31図34を参照すると、アルゴリズムによって試験される他の条件としては、ストロークが列201044に示すような下限に設定された場合、又はストロークが列201046に示すような中央限界に設定された場合が挙げられる。ストロークが列201044に示すような下限に設定された場合、内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出されなかったとき、アルゴリズムによっていかなる調整も行われない。しかしながら、第1の列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出された場合、アルゴリズムは、下限を増加させて、アンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の間隙を増加させる。ストロークが列201046に示すような中央限界に設定された場合、内側列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出されなかったとき、アルゴリズムによっていかなる調整も行われない。しかしながら、第1の列のステープル201010の中に不格好なステープルが検出された場合、アルゴリズムは、中央限界を増加させて、アンビル201004と環状ステープル留めヘッドアセンブリ201002との間の間隙を増加させる。
【0268】
組織パラメータに基づくステープル発射範囲の調整
図36は、本開示の少なくとも1つの態様による、装置によって感知される組織間隙、閉鎖力(FTC)、若しくは組織クリープ安定化、又はこれらの組み合わせに基づいて、使用可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082によって示される実現可能なステープル発射範囲のグラフィカル表現である。一態様では、ステープラ制御アルゴリズムは、装置によって感知される組織間隙、閉鎖力(FTC)、若しくは組織クリープ安定化、又はこれらの組み合わせに基づいて、図36の使用可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082によって示される実現可能なステープル発射範囲を調整するように構成することができる。したがって、制御アルゴリズムは、感知したパラメータに基づいて、図31図35を参照して説明した電動環状ステープル留め装置201000の使用可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082を調整することができる。
【0269】
一態様では、電動環状ステープル留め装置201000の制御アルゴリズムは、クリープが最低設定よりも低くなることを防止するように、アンビル201004の高さδ、δを調整する。図36は、本開示の少なくとも1つの態様による、異なる組織厚さのFTC及びアンビル201004の閉鎖間隙δ(又は上で説明したアンビル201004の高さ)に従う、実現可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082を示すグラフ201070である。図36に表すように、異なる組織のタイプの実現可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082は、アンビルの閉鎖間隙及び/又はFTCに従って変化する。
【0270】
グラフ201070は、第1の曲線201072によって示される薄い組織の場合、及び第2の曲線201074によって示される厚い組織の場合を、水平軸に沿って示されるアンビル201004の閉鎖間隙δ、δの関数として、垂直軸に沿って示されるFTC(lbs)を表す。実現可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082は、2本の曲線201072、201074の間に画定される。薄い組織ゾーン201084は、第1のアンビル201004の間隙δと、第3のアンビル201004の間隙δとの間に画定される。厚い組織ゾーン201086は、第2のアンビル201004の間隙δと第4のアンビル201004の間隙δとの間に画定される。一例として、第1のアンビル201004の間隙δは、約0.060mmであり、第2のアンビル201004の間隙δは、約0.070mmであり、第3のアンビル201004の間隙δは、約0.080mmであり、第4のアンビル201004の間隙δは、約0.085mmである。各実現可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082は、実現可能なステープル発射範囲201088、201090、201092を画定する。ウインドウ201082によって示すように、各実現可能なステープル高さウインドウ201076、201078、201080、201082は、実現可能なステープル発射範囲201088、201090、201092の最大及び最小を示すウインドウインジケータ201092を含む。したがって、電動環状ステープル留め装置201000は、クリープが最低設定よりも低くなることを防止するように、アンビル201004の高さδを調整する。
【0271】
図31図36を参照すると、図37は、本開示の少なくとも1つの態様による、第1の列のステープル201010の発射中の力、組織間隙、又は組織クリープに基づいて、外側列のステープル201014の高さのストロークを調整するための、制御プログラム又は論理構成を表すプロセス201050の論理フロー図である。このプロセス201050は、図16図23を参照して説明した制御回路のいずれかによって実装することができる。このプロセス201050は、例えば、図1図15を参照して説明したハブ又はクラウドコンピューティング環境に実装することができる。
【0272】
具体的には、ここで、図37に表すプロセス201050を、図22の制御回路760を参照して説明する。201502で、制御回路760は、内側列のステープル201010及び外側列のステープル201014の第1のステープルドライバ201012及び第2のステープルドライバ201016又はアンビル201004の高さδ、δを、第1の所定の長さに設定する。第1の所定の長さは、上界、下界、又は中央限界とすることができる。内側列のステープル201010及び外側列のステープル201014の第1のステープルドライバ201012及び第2のステープルドライバ201016又はアンビル201004の高さδ、δが、第1の所定の長さに設定されると、201054で、制御回路760は、第1のステープルドライバ201012を第1の所定の長さだけ前進させることによって、内側列のステープル201010を発射する。201056で、制御回路760が、内側ステープル列201010の中に不格好なステープルの数及び位置を検出した場合、201058で、制御回路760は、外側列のステープル201014の第2のステープルドライバ201016のストローク長さ又はアンビル201004の高さδ、δを第2の長さに設定する。様々な態様では、第2のステープルドライバ201016のストローク長さは、第1のステープルドライバ201012に使用されるストローク長さよりも長い、又は短い場合がある。他の態様では、制御回路760は、第2のステープルドライバ201016のストローク速度を設定することができ、また、ストローク速度を、第1のステープルドライバ201012に使用したストローク速度よりも速い、又は遅いストローク速度に調整することができる。他の態様では、制御回路760は、第2のステープルドライバ201016が発射する前の遅延期間を設定することができる。201058で、外側列のステープル201014の新しい第2のステープルドライバ201016又はアンビル201004の高さδ、δが設定されると、201060で、制御回路760は、外側列のステープル201014を発射する。
【0273】
ステープル形成の検出
不格好なステープルは、様々な技術を使用して検出することができる。とりわけ、ステープル形成検出技術を図38図41を参照して説明する。一態様では、ステープル形成の検出は、アンビルポケット接点として実装することができる。ステープル形成技術は、ステープル先端部が個々のアンビルポケットの底部にわたってスクレープすることを感知することによって、「良好な」ステープル形態を感知するために用いることができる。これは、ステープル脚部がアンビルポケットを通過する場合に導通を失う小型電気回路を各アンビルポケットに提供することによって実装することができる。絶縁/導電/絶縁インクの層をアンビルに適用して、これらの回路を形成し、アンビル及び組織の導電材料から回路を隔離することができる。ステープルがアンビルポケット(良好なステープル形態の予測手段)を通過するとき、回路が破壊され、装置がこれを良好なステープル形態と解釈する。使い捨てアンビルは、アンビル材料に直接印字された電気回路を備えることができる。再使用可能なアンビルは、回路を修復することが必要である。これは、発射間の感圧性アップリケとして適用するフィルム回路を提供することによって実装することができる。その上に感圧性接着剤回路を有する特別な固定具は、アンビルへの位置合わせ及び移送を可能にする。収集、伝送、及び分析するデータの量を最小にするために、回路は、外側アンビルポケット内のみにあることができる。組織の流れは、一般に、外側ステープルの脚部に最も影響を及ぼす。したがって、外側ステープルの成功を監視することは、全てのステープルの成功の良好なインジケータである。一態様では、導電性チェックに必要な電流を極めて小さくして、回路がアンビルポケットの外側で切断された場合に発生する、誤った「成功」の解釈を防止するために、回路は、非常に小さい導電性トレースによって印刷することができ、アンビルポケットの外側の回路は、丈夫な保護外層によって外装することができ、及び/又は回路は、アンビル内の(ステープルワイヤが貫通するには細すぎる)細いチャネル内に階層化し、実行させることができる(サブアンビルデッキ)。
【0274】
特定の場合では、電気回路は、適切に形成されたステープルの経路内に位置付けることができる。かかる場合では、電気回路の電気的導通の遮断は、ステープルが適切に形成されたという指示として解釈することができ、一方で、電気回路の電気的導通の持続は、ステープルが不適切に形成されたという指示として解釈することができる。他の場合では、電気回路は、不適切に形成されたステープルの可能性の高い経路内に位置付けることができる。かかる他の場合では、電気回路の電気的導通の遮断は、ステープルが不適切に形成されたという指示として解釈することができ、一方で、電気回路の電気的導通の持続は、ステープルが適切に形成されたという指示として解釈することができる。
【0275】
図38及び図40A図Cを参照すると、図31に示すアンビル201004のステープル形成ポケット201011、201015などのステープル形成ポケット201090は、ステープル脚部210122が形成されるときに、図31に示すステープル201010、201014などのステープル201120のステープル脚部201122によって切断された場合に電気回路の遮断を生じさせる、1つ又は2つ以上の導電性回路要素201092を含む電気回路に連結することができる。電気回路の導電性回路要素201092は、適切に形成されたステープル脚部201122の経路内に位置付けることができる。導電性回路要素201092の切断は、ステープル201120が適切に形成されたという指示として解釈することができる。他の場合では、電気回路の導電性回路要素201092は、不適切に形成されたステープル201124の可能性の高い経路内に位置付けることができる。かかる場合では、導電性回路要素201092の切断は、ステープルが不適切に形成されたという指示として解釈することができる。
【0276】
導電性回路要素201092以外の電気回路の一部分が切断された場合に生じる、誤った解釈を防止するために、導電性回路要素201092以外の電気回路の一部分を丈夫な保護外層によって外装することができる。代替的に、導電性回路要素201092以外の電気回路の一部分は、図31に示すアンビル201004などのアンビルの組織接触表面210094の下側に階層化及び/又は実行させることができる。代替的に、導電性回路要素201092以外の電気回路の一部分は、ステープル脚部201122が貫通するには細すぎる、細いチャネル内に実行させることができる。導電性回路要素201092が、形成されるステープル201120によって切断されると、アンビルを交換することができる。代替的に、導電性回路要素201092は、アンビルを再使用する前に修復することができる。
【0277】
導電性回路要素201092の数は、追跡するステープル脚部201122の数に応じて変更することができる。少なくとも1つの場合では、ステープル形成ポケット201090ごとに導電性回路要素201092を含むことができる。代替的に、不格好な可能性が比較的高いステープルに対して、電気回路を戦略的に位置付けることができる。電動環状ステープル留め装置201000の発射順序中には、外側列のステープルよりも内側列のステープルにおいて不適切なステープルの形成が起こる可能性が高いので、導電性回路要素201092は、アンビルの両側の内側列及び外側列のステープル形成ポケット201090に配置することができる。
【0278】
内側列又は外側列のステープル形成ポケット201090の全てのポケット201090は、導電性回路要素201092を含むことができる。したがって、アンビルは、ステープル形成ポケット201090の各々の電気回路を、アンビルの内側列又は外側列のステープル形成ポケット201090に含むことができる。代替的に、アンビルのサイズを低減させるために、導電性回路要素201092は、内側列又は外側列の1つおきのポケット201090に集中させることができる。少なくとも1つの実施例では、電気回路によって、内側列のステープル201120内のステープル201120の近位ステープル脚部201122のみが不格好について追跡することができる。代替的に、電気回路によって、内側列のステープル201120内のステープル201120の遠位のステープル脚部210122のみが不格好について追跡することができる。
【0279】
アンビルの組織接触表面201094に対する電気回路の導電性回路要素201092の位置は、電気回路の状態の変化を、ステープル脚部201122の適切な形成と解釈するか、又は不適切な形成と解釈するかを表すことができる。導電性回路要素201092は、ステープル形成ポケット201090に隣接して配置することができる。一実施例では、導電性回路要素201092は、ステープル形成ポケット201090によって画定された外周部に配置することができる。別の実施例では、導電性回路要素201092は、ステープル形成ポケット201090の内面に配置することができる。
【0280】
図38及び図40A図Cに示すように、ステープル形成ポケット201090は、外側縁部201098で組織接触表面201094と交差する、凹状表面201096を備える。導電性回路要素201092は、適切に形成されたステープル201120の経路内の凹状表面201096に位置付けることができる。側壁201100は、凹状表面201096と共に、ステープル脚部210122の形成トラック201102を画定する。凹状表面201096は、第1の接点部分201104と、深い部分201106と、端部分201108と、を含む。第1の接触部分201104は、ステープル脚部201120がステープル形成ポケット201090に進入するときに、ステープル脚部201122の先端部と最初に接触するように構成される。次いで、ステープル脚部201120は、凹状表面201096の深い部分201106及び端部分201018に沿って進む形成トラック201102をたどるときに曲げられる。端部分201108は、ステープル脚部201122をステープル201126の基部に向かって誘導する。
【0281】
図38及び図40A図Cに示すように、導電性回路要素201092は、形成トラック201102を横断して位置付けることができる。第1の接触部分201104との接触の成功は、ステープル脚部201122の適切な形成の可能性を高めるので、第1の接触部分201104を越えた位置で、導電性回路要素201092を形成トラック201102に配置することは、適切なステープル201120又は不適切なステープル201124の形成を検出する精度を向上させる。
【0282】
少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、第1の接触部分201104と深い部分201106との間の形成トラック201102に配置される。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、深い部分201106と端部分201108との間の形成トラック201102に配置される。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、深い部分201106内の形成トラック201102に配置される。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、深い部分201106の中心又は実質的に中心の形成トラック201102に配置される。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、形成トラック201102の最も深い区画の形成トラック201102に配置される。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、端部分201108よりも第1の接触部分201104に近い凹状表面201096に位置付けられる。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、第1の接触部分201104よりも凹状表面201096に近い端部分201108に位置付けられる。
【0283】
図38及び図40A図Cに示すように、導電性回路要素201092は、凹状表面201096に配置することができ、側壁201110間に延在させることができる。図39に示すように、導電性回路要素201092は、ステープル脚部201122の適切な形成中に、ステープル脚部201122によって切断される。図38に示すように、電気回路は、側壁201110の上に延在させることによって、ステープル形成ポケット201090に進入させることができる。電気回路は、アンビルの外面に沿って延在させることができる。
【0284】
図40Aは、ステープル201120の基部201126から延在するステープル脚部201122を受容するように構成された、2つの隣接するステープル形成ポケット201090の断面図である。図38図39も参照すると、2つのステープル形成ポケット201090の各々は、その深い部分201106に配置された導電性回路要素201092を含む。図40Bに示すように、適切に形成されたステープル201120は、導電性回路要素201092を切断又は破壊する。それとは逆に、図40Cに示すように、不格好なステープル201124は、導電性回路要素201092を切断又は破壊しない。したがって、図40Bの実施例では、電気回路の電気導通が遮断され、一方で、図40Cの実施例では、電気回路の電気導通はそのままの状態である。
【0285】
図38図40Cを参照すると、特に、不格好なステープル201124のステープル脚部201122の先端部201130は、最初の接触部分201104を外れ、代わりに、ステープル形成ポケット201090の外側で組織接触表面201094に係合し、不格好を生じさせる。したがって、特定の場合では、ステープル形成ポケット201090の周囲のエリア内の組織接触表面201094の上に導電性回路要素201092を配置することが、ステープルの不格好を検出する際に有用であり得る。かかる導電性回路要素201092は、ステープル形成ポケット201090の周囲で組織接触表面201094に係合することによって、ステープル201124のようなステープルが不格好であるときに切断されない。かかる場合では、導電性回路要素201092の破壊は、ステープルの不適切な形成を示す。
【0286】
様々な例では、導電性回路要素201092は、隣接するステープル形成ポケット201090間に位置付けられる。少なくとも1つの実施例では、導電性回路要素201092は、隣接するステープル形成ポケット201090の2つの外縁部201098間に延在する接続表面201112上へ配置される。一実施例では、導電性回路要素201092は、ステープル形成ポケット201090の周囲に延在させることができる。
【0287】
不適切に形成されたステープル脚部201122の他の可能性がある経路は、アンビルの外縁部を横に切断する。したがって、1つ又は2つ以上の導電性回路要素をアンビルの外縁部に配置することによって、ステープルの不格好を検出することができる。かかる導電性回路要素を含む電気回路の電気導通の遮断は、かかる外縁部に近づくステープルが不適切に形成されたことを示し、一方で、電気回路の電気導通の持続は、かかる外縁部に近づくステープルが適切に形成されたこと、又は形成中に少なくとも外縁部に係合しなかったことを示す。
【0288】
図41及び図38図40Cを参照すると、代替的な態様では、電動環状ステープル留め装置201140のアンビル201142部分は、アンビル201142の外縁部に巻き付けられた導電性回路要素201144を含む。例えば、図41に示すように、導電性回路要素201144は、処理した組織への外傷を低減させるために、アンビル201142の斜状外縁部に巻き付けられる。図41に示すように導電性回路要素201144がアンビル201142の組織接触表面201094と面一になるように、外縁部の少なくとも一部分を押し下げて、導電性回路要素201144の空間を作成る。
【0289】
ステープルの不格好を検出するために導電性回路要素を用いることは、モータ付き環状ステープル留め装置201000のアンビルに限定する必要はない。様々な場合では、導電性回路要素は、モータ付き環状ステープル留め装置201000のステープルカートリッジ201152に配置することができる。図41に示すように、ステープルカートリッジ201152は、ステープルカートリッジ201152の組織接触表面201150に位置付けられたポケット拡張具201148に配置された導電性回路要素201146を含む。ポケット拡張具201148は、ステープル201120がステープルカートリッジ201152とアンビル201142との間にクランプされた組織内に配備されるときに、ステープル脚部201122を誘導するように、ステープルカートリッジ201152のステープル空洞に位置付けられる。様々な場合では、ポケット拡張具201148は、ステープル脚部がそれらの初期位置又は未発射位置にある間、ステープル脚部の端部分又は先端部を隠すように構成される。
【0290】
導電性回路要素201144のように、導電性回路要素201146は、ステープル201120の適切な形成を評価するために用いられる。図41に示すように、導電性回路要素201146は、ポケット拡張具201148上に配置することができる。特定の場合では、導電性回路要素201146は、ポケット拡張具201148の頂部分全体にわたって位置付けることができる。かかる場合では、ステープルカートリッジ201152の発射順序中に、ステープル脚部201122がポケット拡張具201148を出るときに、導電性回路要素201146を破壊することができる。導電性回路要素201146はまた、ステープルカートリッジ201152の組織接触表面201150の様々な他の位置に位置付けることもできる。
【0291】
図42は、論理回路201160の概略図を示す。マルチプレクサ201162は、「n」個の入力束201164のうちの1つを選択することによって、論理回路201160の入力を提供するために用いることができる。図42に示すように、「n」は、10に等しい。図38図41も参照すると、各入力束201164は、例えば、図38図40Cに示すようにステープル形成ポケット201090に配置された導電性回路要素201092を含む、12個の分岐を含む。デマルチプレクサ201166は、論理回路201160の出力を受け取るように構成される。デマルチプレクサ201166は、入力束201164の数に等しい「n」個の任意選択のインジケータ201168に接続される。
【0292】
制御回路201170は、マルチプレクサ201162及びデマルチプレクサ201166の制御ラインに電気的に接続される。制御回路201170は、位置センサ201172からの入力に基づいて、インジケータ201168及び対応する入力束201164を同時に選択するために、マルチプレクサ201162及びデマルチプレクサ201166の制御ラインを同期させるように構成される。位置センサ201172は、アンビル201142を後退させるときに、アンビル201142の位置を通信する。上で説明したように、アンビル201142は、ステープルドライバがステープル201120をアンビル201142と変形接触させて配備するときに、ステープル脚部201122をステープル形成ポケット201090の中で受け取る。アンビル201142を後退させるときに、制御回路201170は、マルチプレクサ201162及びデマルチプレクサ201166を用いて、インジケータ201168によって表される処置領域からの信号入力を提供する、インジケータ201168及び対応する入力束201164を選択する。異なるインジケータ201168及び対応する入力束201164は、アンビル201142を後退させるときに、処置領域ごとに連続的に選択される。
【0293】
制御回路201170は、内側列のステープル201010又は外側列のステープル201014又はこれらの組み合わせ(図31図32)内の不格好なステープル201128(図40C)の数及び位置を検出又は感知する。最初に展開されたステープル列、例えば内側列のステープル201010の不格好なステープル201128(図40C)の数及び位置を識別する情報は、例えば、制御回路760(図22)に提供されて、アンビル201004(図31)の高さを調整し、又はその後に展開されるステープル列のステープルドライバのストロークを調整し、例えば、外側列のステープル201014のステープルドライバ201016のストロークを調整する。この技術を用いて、最初に展開されたステープル列の中で不十分な又は不格好なステープルを有するエリアに適合させることができる。
【0294】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1.外科用ステープル留め器具であって、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバとであって、第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、第2のステープルドライバと、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1及び第2のステープルドライバのストローク長さを第1の長さに設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2のステープルドライバのストローク長さを第2の長さに設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
【0295】
実施例2.制御回路が、アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施例1に記載の外科用ステープル留め器具。
【0296】
実施例3.パラメータが、組織間隙、アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施例2に記載の外科用ステープル留め器具。
【0297】
実施例4.制御回路が、第1のステープルドライバを作動させて、第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0298】
実施例5.第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0299】
実施例6.外科用ステープル留め器具であって、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1及び第2の列のステープルのステープル高さを第1の高さに設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2の列のステープルのステープル高さを第2の高さに設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
【0300】
実施例7.制御回路が、アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施例6に記載の外科用ステープル留め器具。
【0301】
実施例8.パラメータが、組織間隙、アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施例7に記載の外科用ステープル留め器具。
【0302】
実施例9.制御回路が、第1のステープルドライバを作動させて、第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施例6~8のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0303】
実施例10.第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、実施例6~9のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0304】
実施例11.制御回路が、第1の列のステープルの発射中に感知した組織厚さに基づいて、第2の列のステープルのステープル高さを調整するように構成されている、実施例6~10のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0305】
実施例12.制御回路が、第1の列のステープルの発射中に閉鎖するための感知したアンビル力に基づいて、第2の列のステープルのステープル高さを調整するように構成されている、実施例6~11のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0306】
実施例13.制御回路が、アンビルの後退中に検出した組織負荷に基づいて変更される選択可能なステープル高さの範囲内で、ステープル高さを調整するように更に構成されている、実施例6~12のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0307】
実施例14.制御回路は、組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、名目ステープル高さを調整するように構成されている、実施例6~13のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0308】
実施例15.制御回路が、ウインドウ範囲内の名目ステープル高さを表示するように構成されている、実施例14に記載の外科用ステープル留め器具。
【0309】
実施例16.制御回路は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、許容可能なステープル高さのウインドウ範囲を調整するように構成されている、実施例15に記載の外科用ステープル留め器具。
【0310】
実施例17.外科用ステープル留め器具であって、組織をクランプするように構成されたアンビルと、第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、アンビルに連結されたモータであって、アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、モータに連結された制御回路であって、第1の列のステープルのアンビル間隙を第1の間隙に設定し、第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ第2の列のステープルのアンビル間隙を第2の間隙に設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
【0311】
実施例18.制御回路が、アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施例17に記載の外科用ステープル留め器具。
【0312】
実施例19.パラメータが、組織間隙、アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施例17~18のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0313】
実施例20.制御回路が、第1のステープルドライバを作動させて、第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施例17~19のいずれか1つに記載の外科用ステープル留め器具。
【0314】
いくつかの形態を示し、説明してきたが、添付の「特許請求の範囲」の範囲をかかる詳細に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0315】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を介して装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、独立してかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台又は2台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、本明細書に記載された主題の機構は、様々な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の例証的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用されることが当業者には理解されるであろう。
【0316】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステムのメモリ内に記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意のタイプの有形機械可読媒体が挙げられる。
【0317】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理装置(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は独立して、例えば、集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、並びに及び/又は通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、若しくは光-電気機器)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実装されてもよいことを認識するであろう。
【0318】
本明細書の任意の態様で使用される場合、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0319】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0320】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着順序を指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理的量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理的量と関連付けられ得、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0321】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode、ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0322】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「判定する」、「表示する」などの用語を使用する考察は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理的(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作及び変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0323】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0324】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0325】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ又は2つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ又は2つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む特許請求の範囲に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ又は2つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0326】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ又は3つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、特許請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0327】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がある順序(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0328】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機能、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」という句は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の機能、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0329】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。そのため、また必要な限りにおいて、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する内容に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考により組み込まれるものとするが、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない程度まで、組み込まれるのみとする。
【0330】
要約すると、本明細書に記載された構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0331】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバであって、前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1及び第2のステープルドライバのストローク長さを第1の長さに設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第2のステープルドライバの前記ストローク長さを第2の長さに設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
(2) 前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープル留め器具。
(3) 前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施態様2に記載の外科用ステープル留め器具。
(4) 前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープル留め器具。
(5) 前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、実施態様1に記載の外科用ステープル留め器具。
【0332】
(6) 外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1及び第2の列のステープルのステープル高さを第1の高さに設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第2の列のステープルのステープル高さを第2の高さに設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
(7) 前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(8) 前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施態様7に記載の外科用ステープル留め器具。
(9) 前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(10) 前記第1及び第2のステープルドライバが、独立して作動可能である、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
【0333】
(11) 前記制御回路が、前記第1の列のステープルの発射中に感知した組織厚さに基づいて、前記第2の列のステープルの前記ステープル高さを調整するように構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(12) 前記制御回路が、前記第1の列のステープルの発射中に閉鎖するための感知したアンビル力に基づいて、前記第2の列のステープルの前記ステープル高さを調整するように構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(13) 前記制御回路が、前記アンビルの後退中に検出された組織負荷に基づいて変更される選択可能なステープル高さの範囲内で、前記ステープル高さを調整するように更に構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(14) 前記制御回路は、組織圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、名目ステープル高さを調整するように構成されている、実施態様6に記載の外科用ステープル留め器具。
(15) 前記制御回路が、ウインドウ範囲内の前記名目ステープル高さを表示するように構成されている、実施態様14に記載の外科用ステープル留め器具。
【0334】
(16) 前記制御回路は、圧縮が増加したとき、又は組織間隙が減少したときに、許容可能なステープル高さのウインドウ範囲を調整するように構成されている、実施態様15に記載の外科用ステープル留め器具。
(17) 外科用ステープル留め器具であって、
組織をクランプするように構成されたアンビルと、
第1の列のステープル及び第2の列のステープルを備える環状ステープル留めヘッドアセンブリと、
前記第1の列のステープルを駆動するように構成された第1のステープルドライバと、
前記第2の列のステープルを駆動するように構成された第2のステープルドライバと、
前記アンビルに連結されたモータであって、前記アンビルを第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成された、モータと、
前記モータに連結された制御回路であって、
前記第1の列のステープルのアンビル間隙を第1の間隙に設定し、
前記第1の列のステープルの中で不格好なステープルを検出し、かつ
前記第2の列のステープルのアンビル間隙を第2の間隙に設定するように構成された、制御回路と、を備える、外科用ステープル留め器具。
(18) 前記制御回路が、前記アンビルをクランプすることと関連付けられたパラメータを感知するように更に構成されている、実施態様17に記載の外科用ステープル留め器具。
(19) 前記パラメータが、組織間隙、前記アンビルの閉鎖中の力、組織のクリープ安定化、若しくは発射中の力、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む、実施態様18に記載の外科用ステープル留め器具。
(20) 前記制御回路が、前記第1のステープルドライバを作動させて、前記第1の列のステープルを駆動するように更に構成されている、実施態様17に記載の外科用ステープル留め器具。
図1
図2
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