(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】結腸がんの検出および治療の方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6886 20180101AFI20230619BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230619BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20230619BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20230619BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230619BHJP
G16B 40/00 20190101ALI20230619BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230619BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20230619BHJP
【FI】
C12Q1/6886 Z
A61P35/00
C12Q1/6813 Z
G01N33/50 P ZNA
G01N33/53 S
G16B40/00
C12N15/11 Z
C12Q1/686 Z
(21)【出願番号】P 2020540396
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 US2019014490
(87)【国際公開番号】W WO2019144099
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-21
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519418477
【氏名又は名称】リキッド バイオプシー リサーチ リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】アービン マーク モドリン
(72)【発明者】
【氏名】マーク キッド
(72)【発明者】
【氏名】イグナット ドロズドフ
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-503222(JP,A)
【文献】特開2016-104014(JP,A)
【文献】Priyanka Kanth et al.,Cancer Prev Res (Phila),2016年,Vol.9, No.6,pp.456-465
【文献】Alessio Tempestini et al.,Oncology Research,2006年,Vol.16,pp.143-156
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸がんを検出するための方法を必要とする対象における結腸がんを検出するための方法であって、
試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、前記対象由来の前記試験サンプル由来の前記少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで前記少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;
ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの前記発現レベルをハウスキーピング遺伝子の前記発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;
各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;
前記スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および
前記スコアが所定のカットオフ値以上である場合に前記対象における結腸がんの存在を特定する、または前記スコアが前記所定のカットオフ値未満である場合に前記対象における結腸がんの非存在を特定する工程
、
を含む方法。
【請求項2】
対象における結腸がんが安定性(stable)または進行性(progressive)であるかを決定するための方法であって、
試験サンプルを
、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、前記対象由来の前記試験サンプル由来の前記少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで前記少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;
ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの前記発現レベルをハウスキーピング遺伝子の前記発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;
各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;
前記スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および
前記スコアが所定のカットオフ値以上である場合に前記対象における結腸がんが進行
性であることを特定する、または前記スコアが所定のカットオフ値未満である場合に前記対象における結腸がんが安定
性であることを特定する工程
、
を含む方法。
【請求項3】
結腸がんを有する対象における手術の完全性を決定するための方法であって、
試験サンプルを
、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、前記手術後の前記対象由来の前記試験サンプル由来の前記少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで前記少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;
ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの
前記発現レベルをハウスキーピング遺伝子の
前記発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;
各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;
前記スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および
スコアが所定のカットオフ値以上である場合に
前記対象
における結腸がんが完全に除去されていないことを特定する、または
前記スコアが所定のカットオフ値未満である場合に
前記対象における結腸がんが完全に除去されていることを特定する工程
、
を含む方法。
【請求項4】
結腸がんを有する対象の第一の治療に対する反応を評価するための方法であって、
(1)第一の時点で
、
(a)第一の試験サンプルを
、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、前記対象由来の前記第一の試験サンプル由来の前記少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで前記少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;
(b)ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの前記発現レベルをハウスキーピング遺伝子の前記発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;
(c)各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第一のスコアを生成する工程;
(2)前記第一の時点の
後および前記対象に対する前記治療の実
施の後である、第二の時点で
、
(a)第二の試験サンプルを
、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、前記対象由来の前記第二の試験サンプル由来の前記少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで前記少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;
(b)ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの前記発現レベルをハウスキーピング遺伝子の前記発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;
(c)各正規化された発現レベル
をアルゴリズムに入力して第二のスコアを生成する工程;
(3)前記第一のスコアを前記第二のスコアと比較する工程;および
(4)前記第二のスコアが前記第一のスコアと比較して有意に低下している場合に前記対象は第一の治療に反応することを特定する、または前記第二のスコアが前記第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に前記対象は第一の治療に反応しないことを特定する工程
であって、ここで前記第二のスコアが前記第一のスコアよりも少なくとも25%少ない場合に、前記第二のスコアが前記第一のスコアと比較して有意に低下している工程、
を含む方法。
【請求項5】
前記所定のカットオフ値は
、少なくとも50%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定のカットオフ値は
、少なくとも60%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハウスキーピング遺伝子は、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUM1、ACTB、GAPD、GUSB、RPLP0、TFRC、MORF4L1、18S、PPIA、PGK1、RPL13A、B2M、YWHAZ、SDHA、およびHPRT1からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ハウスキーピング遺伝子は、MORF4L1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
85%を超える感度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
85%を超える特異度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも14個のバイオマーカーの少なくとも一つ
の発現レベルは
、そのRNA、cDNA、またはタンパク質
に基づいて決定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記バイオマーカー
の発現レベルが
そのRNA
に基づいて決定される場合、前記RNAが逆転写されてcDNAが生成され、前記生成されたcDNAの発現レベルが検出される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオマーカーの前記発現レベルは、前記バイオマーカーと標識プローブまたはプライマーとの間に複合体を形成することによって検出される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記所定のカットオフ値は、腫瘍性疾患を有していない、または腫瘍性疾患と診断されていない対象から得られた複数の参照サンプルから得られる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記腫瘍性疾患は結腸がんである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アルゴリズムは、XGBoost(XGB)、ランダムフォレスト(RF)、glmnet、cforest、機械学習用の分類木と回帰木(CART)、treebag、K近傍法(kNN)、ニューラルネットワーク(nnet)、サポートベクターマシンラジアル(SVM-radial)、サポートベクターマシンリニア(SVM-linear)、単純ベイズ(NB)、または多層パーセプトロン(mlp)である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記アルゴリズムは、XGBoostである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の時点は、前記第一の治療を前記対象に施す前である、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の時点は、前記第一の治療を前記対象に施した後である、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
前記第二のスコアが前記第一のスコアよりも少なくとも25%少ない場合、前記第二のスコアが前記第一のスコアと比較して有意に低下している、請求項4、18、および19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第一の治療は、抗がん療法、手術、化学療法、標的薬物療法、放射線療法、免疫療法またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項4、18、および19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第一の治療が手術を含む場合、前記手術は、結腸内視鏡検査、内視鏡的粘膜切除、結腸部分切除、オストミーの
実施中にポリープを切除すること、肝臓から少なくとも一つのがん病変を切除すること、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第一の治療が化学療法を含む場合、前記化学療法は、FOLFOX、FOLFIRI、5-FUとロイコボリンの組み合わせ、カペシタビン、イリノテカン、CapeOx、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第一の治療が標的薬物療法を含む場合、前記標的薬物療法は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、トリフルリジンとチピラシルの組み合わせ、EGFR TKI阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第一の治療が抗がん治療を含む場合、前記抗がん治療は抗結腸がん治療を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第一の治療が免疫療法を含む場合、前記免疫療法は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはペンブロリズマブ
とニボルマブの組み合わせを含む、請求項21
に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2018年1月22日に出願された米国仮出願第62/620,015号の優先権および利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-ウェブを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2019年1月21日に作成された上記のASCIIコピーの名前は「LBIO-004_001WO.txt」で、サイズは111KBである。
【0003】
発明の分野
本発明は、結腸がんの検出に関する。
【背景技術】
【0004】
結腸直腸がん(CRC)は、世界中で最も一般的に診断されるがんの一つである。米国では、CRCはヨーロッパと同様に肺がんに次ぐ死因の第二位である。世界的に、それはがん死(cancer death)の四番目に多い原因である。外科的切除、およびその後の化学療法が主要な治療選択肢であるが、最終的には約半分が遠隔転移により死亡する。現在、原発性結腸がん患者の5年全生存率は最大90%であるが、その病因を支える分子メカニズムの不完全な理解のため、進行性非転移性腫瘍の患者では約50%以下に減少し、さらに初期段階での疾患切除をする患者では10%未満に減少する可能性がある。
【0005】
全生存は診断時の病期と関連しており、播種性疾患の早期発見が非常に重要であることを示唆している。したがって、疾患の病期をより明確に定義し、疾患の進行をよりよくモニターできる新しい診断方法の開発が重要である。
【0006】
サーベイランスは、依然として早期に再発を検出し、さらなる治療戦略を計画するための土台となるアプローチである。治癒可能性のある切除(potentially curative resection)後に、無症候性の転移性疾患を早期に検出するために、血液バイオマーカーの測定、および/またはCTのような画像化を通じてモニタリングを行うことができる。しかし、1995年から2016年に公開された無作為試験からのプールされたデータは、転移の早期発見に起因する外科治療からの利益が発生しないことを示す。これはおそらく、現在のバイオマーカーの感度が低いことを反映している。
【0007】
現在のバイオマーカーは、細胞接着に関与する糖タンパク質であり、成人の組織では重喫煙者を除いて一般に発現されないがん胎児性抗原(CEA)である。その特殊なシアロフコシル化グリコフォームは、機能性結腸がんのL-セレクチンおよびE-セレクチンリガンドとして機能し、結腸がん細胞の転移性播種に関与する可能性がある。CEAは主に、結腸がん治療のモニター、外科的切除後の再発の特定、病期分類、または体液の測定によるがんの広がりの特定に使用される。しかし、かなりの制限がある。術前のCEAレベルは(無病)生存期間との関連を示すが、これは主に転移性の症状の代用であったためである。しかし、術前のCEAの予測値を推定することは、個々の症例の長期転帰を予測する上で限られた意義しかないことが示されている。これは、CEAレベルとCA19-9のような他のバイオマーカーが、臨床徴候および画像技術がすでに転移を示した時点でさえ転移を示さない、という前向き分析によって独立してサポートされている。
【0008】
結腸がん疾患の分子基盤は、たとえば、マイクロサテライト不安定性、K-RAS変異等、十分に特徴付けられているが、診断および予後マーカーの開発は、(たとえば、尿や便中、またはこの情報を取り込む循環遊離DNA(circulating-free DNA)として)は、まだ初期段階であるが、開発が始まっている。例は、細胞分裂中の細胞質分裂に関与する腫瘍抑制因子であるセプチン9のメチル化の測定を含む。これは結腸がんの検出に使用されており、測定基準の範囲は60~70%である。循環遊離DNAの評価(Line 1およびAluベースのPCR)は診断としてROC 0.86で予測値は81%であるが、循環腫瘍細胞の測定も有用であると考えられている。TPS(組織ポリペプチド特異的抗原)はTAG-72(腫瘍関連糖タンパク質)と同様に結腸がんのモニターとして使用できるが、他の単一検体、たとえばCEAまたはCA19-9の測定は非特異的である。
【発明の概要】
【0009】
特に、本明細書に開示されるのは、結腸がん検出のための14遺伝子発現ツールである。
【0010】
一つの態様では、本開示は、それを必要とする対象において結腸がんを検出するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんの存在を特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんの非存在を特定する工程を含む。
【0011】
一つの態様では、本開示は、それを必要とする対象において結腸がんを検出するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第一の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが第一の所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんの存在を特定する、またはスコアが第一の所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんの非存在を特定するレポートを作成する工程であって、ここで第一の所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで50%である工程を含む。
【0012】
一つの態様では、本開示は、対象における結腸がんが安定性(stable)または進行性(progressive)であるかを決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんが進行性(progressive)であることを特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんが安定性(stable)であることを特定する工程を含む。
【0013】
一つの態様では、本開示は、対象における結腸がんが安定性(stable)または進行性(progressive)であるかを決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第二の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが第二の所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんが進行性(progressive)であることを特定する、またはスコアが第二の所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんが安定性(stable)であることを特定するレポートを作成する工程であって、ここで第二の所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで60%である工程を含む。
【0014】
一つの態様では、本開示は、結腸がんを有する対象における手術の完全性を決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、手術後の対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象の結腸がんが完全に除去されていないことを特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に結腸がんが完全に除去されていることを特定する工程を含む。
【0015】
一つの態様では、本開示は、結腸がんを有する対象における手術の完全性を決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、手術後の対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第一の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象の結腸がんが完全に除去されていないことを特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に結腸がんが完全に除去されていることを特定するレポートを作成する工程であって、ここで第一の所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで50%である工程を含む。
【0016】
一つの態様では、本開示は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象に対し第一の治療を施す工程を含む方法を提供する。
【0017】
一つの態様では、本開示は、結腸がんを有する対象の第一の治療に対する反応を評価するための方法を提供し、当該方法は、以下の工程を含む。(1) 第一の時点で: (a) 第一の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第一の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第一のスコアを生成する工程; (2) 第一の時点の後、および対象に対する治療の実施(administration of the therapy)の後である、第二の時点で: (a) 第二の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第二の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第二のスコアを生成する工程; (3) 第一のスコアを第二のスコアと比較する工程;および (4) 第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下している場合に対象は第一の治療に反応することを特定する、または第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に対象は第一の治療に反応しないことを特定する工程。
【0018】
一つの態様では、本開示は、結腸がんを有する対象の治療に対する反応を評価するための方法を提供し、当該方法は、以下を含む。(1) 第一の時点で: (a) 第一の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第一の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第一のスコアを生成する工程; を含む以下の工程を実施すること;および(2) 第一の時点の後、および対象に対する治療の実施(administration of the therapy)の後である、第二の時点で: (d) 第二の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第二の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (e) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (f) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第二のスコアを生成する工程; を含む以下の工程を実施すること;(3) 第一のスコアを第二のスコアと比較する工程;および (4) 第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下している場合に対象は第一の治療に反応することを特定する、または第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に対象は第一の治療に反応しないことを特定するレポートを作成する工程。
【0019】
一部の態様では、本開示の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に減少している場合に、第一の治療を対象に施し続けることをさらに含んでもよい。
【0020】
一部の態様では、本開示の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に減少していない場合に、対象への第一の治療の実施を中止することを含んでもよい。
【0021】
一部の態様では、本開示の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に減少していない場合に、対象に第二の治療を施すことをさらに含んでもよい。
【0022】
一部の態様では、第二のスコアが第一のスコアよりも少なくとも25%少ない場合、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に減少する。
【0023】
一部の態様では、所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで50%であってもよい。一部の態様では、所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで60%であってもよい。
【0024】
本明細書に開示される方法のいずれか一つの一部の態様では、ハウスキーピング遺伝子は、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUM1、ACTB、GAPD、GUSB、RPLP0、TFRC、MORF4L1、18S、PPIA、PGK1、RPL13A、B2M、YWHAZ、SDHA、およびHPRT1からなる群から選択されてもよい。たとえば、ハウスキーピング遺伝子は、MORF4L1であってもよい。
【0025】
一部の態様では、本開示の方法は、85%を超える感度を有してもよい。一部の態様では、本開示の方法は、85%を超える特異度を有してもよい。
【0026】
一部の態様では、バイオマーカーは、RNA、cDNA、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0027】
一部の態様では、バイオマーカーがRNAである場合、RNAが逆転写されてcDNAが生成されてもよく、生成されたcDNAの発現レベルが検出されてもよい。
【0028】
一部の態様では、バイオマーカー、またはバイオマーカーの発現レベルは、バイオマーカーと標識プローブまたはプライマーとの間に複合体を形成することによって検出されてもよい。
【0029】
一部の態様では、バイオマーカーがタンパク質の場合、タンパク質は、タンパク質と標識抗体の間に複合体を形成することによって検出されてもよい。
【0030】
一部の態様では、バイオマーカーがRNAまたはcDNAである場合、RNAまたはcDNAは、RNAまたはcDNAと標識核酸プローブまたはプライマーの間に複合体を形成することによって検出されてもよい。
【0031】
一部の態様では、所定のカットオフ値は、腫瘍性疾患を有していない、または腫瘍性疾患と診断されていない対象から得られた複数の参照サンプルから得られてもよい。腫瘍性疾患は結腸がんであってもよい。
【0032】
一部の態様では、アルゴリズムは、XGBoost(XGB)、ランダムフォレスト(RF)、glmnet、cforest、機械学習用の分類木と回帰木(CART)、treebag、K近傍法(kNN)、ニューラルネットワーク(nnet)、サポートベクターマシンラジアル(SVM-radial)、サポートベクターマシンリニア(SVM-linear)、単純ベイズ(NB)、または多層パーセプトロン(mlp)、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0033】
一部の態様では、本開示の方法は、スコアが所定のカットオフ以上である場合に、第一の治療を対象に施すことをさらに含んでもよい。
【0034】
一部の態様では、第一の時点は、第一の治療を対象に施す前であってもよい。
【0035】
一部の態様では、治療は、抗がん療法、手術、化学療法、標的薬物療法、放射線療法、免疫療法またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0036】
一部の態様では、手術は、結腸内視鏡検査、内視鏡的粘膜切除、結腸部分切除、オストミーの間にポリープを切除すること、肝臓から少なくとも一つのがん病変を除去することを含んでもよい。
【0037】
一部の態様では、化学療法は、FOLFOX、FOLFIRI、5-FUとロイコボリンの組み合わせ、カペシタビン、イリノテカン、CapeOx、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0038】
一部の態様では、標的薬物療法は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、トリフルリジンとチピラシルの組み合わせ、EGFR TKI阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0039】
一部の態様では、抗がん治療は抗結腸がん治療を含んでもよい。
【0040】
一部の態様では、免疫療法は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはペンブロリズマブおよびニボルマブの組み合わせを含んでもよい。
【0041】
一部の態様では、試験サンプルは、血液、血清、血漿、腫瘍性組織、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。参照サンプルは、血液、血清、血漿、腫瘍性組織、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0042】
上記の態様のいずれも、任意の他の態様と組み合わせることができる。
【0043】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書では、文脈上、明らかにそうでない場合を除き、単数形には複数形も含まれる。例として、用語「a」、「an」、および「the」は単数または複数であると理解され、用語「or」は包括的であると理解される。例として、「一つの要素」は、一つまたは複数の要素を意味する。本明細書を通して、「含む(comprising)」という単語、または変形、たとえば「含む(comprises)」または「含む(comprising)」は、述べられた要素、整数または工程、または要素、整数または工程の群を含むことを意味するが、その他の要素、整数または工程、または要素、整数または工程の群の除外を意味しないと理解される。約は、記載されている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内として理解されうる。文脈上、明らかにそうでない場合を除き、本明細書で提供されるすべての数値は、用語「約」によって変更される。
【0044】
本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、好適な方法および材料を以下に記載する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書で引用される参考文献は、請求される発明の先行技術であると認められていない。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定することを意図するものではない。本開示の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1A~1Bは、結腸粘膜(
図1A)および細胞株(
図1B)における13個の遺伝子サインの正規化された遺伝子発現を示すグラフである。遺伝子発現は、同等の正常粘膜(n=7)と比較して、結腸がんサンプル(n=7)で有意に(p<0.0001)上昇した。結腸がんの腫瘍組織では、正常粘膜よりもレベルが約20倍まで上昇した。すべての遺伝子は、3つの異なる結腸がん細胞株で発現した。レベルは正常粘膜と比較して約1000倍まで上昇した。横線は13遺伝子の正規化された発現の中央値を示す。
【
図2】
図2A~2Bは、テストセット(
図2A)および独立セット(
図2B)の受信者動作曲線(receiver operator curve)分析を示すグラフである。各コホートは、136のがんおよびと60の対照を含んでいた。テストセットのAUROCは0.9、Youden Jインデックスは0.71であった。独立セットでは、AUROCは0.86、Youdenインデックスは0.6であった。Z統計(Z-statistics)は11.2~15.6の範囲で、非常に有意であった(p<0.0001)。試験の感度および特異度は、それぞれ85~87.5%と75~83%の範囲であった。
【
図3】
図3A~3Bは、コホート全体(対照:n=120;結腸がん症例:n=272)での遺伝子発現が、対照(34.6±18%)と比較して症例(62.7±14%)で有意に(p<0.0001)上昇したことを示すグラフである(
図3A)。AUROCは0.88、p<0.0001であった(
図3B)。横線は、正規化された13遺伝子サイン(ColoTest)の発現の中央値を示す。
【
図4】
図4A~4Bは、ColoTestの決断曲線解析(
図4A)およびリスク解析(
図4B)を示すグラフである。これは、80%のリスク閾値まで、50%超の標準化された予測的利益(predictive benefit)を示した。プロビットのリスク評価プロットは、血液サンプル中の結腸がんを予測するためのColoTestスコアが50%超で75%正確であることを示した。これは、ColoTestスコア60%超で80%超に増加した。
【
図5】
図5は、ColoTestに対する手術の効果を示すグラフである。手術前のレベルは上昇している(84±6%)。疾患のエビデンスがない患者(NED)のレベルは、手術により14±9%に減少した(
*p=0.0001)。手術後も疾患(D)が残っている患者では、レベルは手術前の値(74±4%)と同様のままであった。
【
図6】
図6A~6Cは、安定性および進行性疾患におけるColoTestスコアを示すグラフである。テストスコアは、評価時に安定性疾患と同定されたものと進行性疾患を有するものとの間で有意差はなかった(
図6A)。安定性疾患を有する17人のうち、12人は3ヶ月の追跡調査で疾患の進行を示した。真に明白な安定性疾患があった人のレベルは低かった(16±10%)(
図6B)。3ヶ月で進行した人のレベルは、進行性疾患の人と差はなかった(73±16%対68±25%)。安定性疾患を進行性(progressing)/進行性(progressive)疾患と区別するためのAUROCは0.97、p<0.0001であった(
図6C)。
【
図7】
図7は、安定性疾患と進行性疾患とを区別するためのColoTestとCEAの間のAUROCの比較を示すグラフである。ColoTestはCEAよりも有意に高感度であった(AUCの差:0.18、Z統計(Z-statistics):2.1、p=0.03)。
【
図8】
図8は、ColoTestに対する治療の効果を示すグラフである。治療前のレベルは上昇している(82±9%)。疾患の安定化を伴う治療に反応した患者では、レベルは14±7%に減少した(
*p<0.0001)。治療の失敗のために疾患の進行を示した患者では、レベルは上昇した(69±21%)。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の詳細な説明
本発明の詳細は、以下に添付の明細書に記載されている。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および材料をここで説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書および添付の特許請求の範囲において、文脈上、明らかにそうでない場合を除き、単数形は複数形も含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で引用されるすべての特許および刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
結腸がんは、大腸(結腸)のがんである。結腸がんの症状は、(a)排便習慣の変化、(b)便中の直腸出血または血液、(c)持続的な腹部の不快感、たとえばけいれん、ガス、または痛み、(d)腸が完全に空にならないという感覚、(e)衰弱または疲労、(f)原因不明の体重減少を含むが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書に記載されているのは、結腸がんの検出、結腸がんが安定性であるか進行性であるかの決定、手術の完全性の決定、および結腸がん治療に対する反応の評価を含むがこれらに限定されない目的のために、高感度および特異性で循環結腸がんの分子シグネチャを定量化(スコア化)する方法である。具体的には、本発明は、ハウスキーピング遺伝子、たとえばMORF4L1の発現レベルによって正規化された、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSの発現レベルは、健常者と比較して、結腸がんを有する対象で上昇しているという発見に基づく。
【0049】
したがって、本開示は、それを必要とする対象において結腸がんを検出するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第一の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんの存在を特定する、またはスコアが第一の所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんの非存在を特定する工程を含む。
【0050】
前述の方法の一部の態様では、工程(e)はレポートを作成する工程を含んでもよく、ここでレポートは、スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんの存在を特定する、またはスコアが第一の所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんの非存在を特定する。
【0051】
一部の態様では、前述の方法は、対象に第一の治療を施すことをさらに含んでもよい。前述の方法は、スコアが所定のカットオフ以上である場合に、第一の治療を対象に施すことをさらに含んでもよい。
【0052】
本開示はまた、対象における結腸がんが安定性(stable)または進行性(progressive)であるかを決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第二の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんが進行性(progressive)であることを特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんが安定性(stable)であることを特定する工程を含む。
【0053】
前述の方法の一部の態様では、工程(e)はレポートを作成する工程を含んでもよく、ここでレポートは、スコアが第二の所定のカットオフ値以上である場合に対象における結腸がんが進行性(progressive)であることを特定する、またはスコアが第二の所定のカットオフ値未満である場合に対象における結腸がんが安定性(stable)であることを特定する。
【0054】
一部の態様では、前述の方法は、対象に第一の治療を施すことをさらに含んでもよい。前述の方法は、スコアが所定のカットオフ以上である場合に、第一の治療を対象に施すことをさらに含んでもよい。
【0055】
一部の態様では、方法は、手術、化学療法、標的薬物療法、放射線療法、免疫療法またはそれらの任意の組み合わせで進行性(progressive)結腸がんを有する対象を治療することをさらに含んでもよい。
【0056】
本開示はまた、結腸がんを有する対象における手術の完全性を決定するための方法を提供し、当該方法は、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、手術後の対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを第一の所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に対象の結腸がんが完全に除去されていないことを特定する、またはスコアが所定のカットオフ値未満である場合に結腸がんが完全に除去されていることを特定する工程を含む。
【0057】
前述の方法の一部の態様では、工程(e)はレポートを作成する工程を含んでもよく、ここでレポートは、スコアが第一の所定のカットオフ値以上である場合に対象の結腸がんが完全に除去されていないことを特定する、またはスコアが第一の所定のカットオフ値未満である場合に結腸がんが完全に除去されていることを特定する
【0058】
一部の態様では、前述の方法は、対象に第一の治療を施すことをさらに含んでもよい。前述の方法は、スコアが所定のカットオフ以上である場合に、第一の治療を対象に施すことをさらに含んでもよい。
【0059】
本開示はまた、(a) 試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、手術後の対象由来の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程;(b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程;(c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力してスコアを生成する工程;(d) スコアを所定のカットオフ値と比較する工程;および(e) スコアが所定のカットオフ値以上である場合に、対象に第一の治療を施す工程を含む方法を提供する。
【0060】
治療に対する結腸がんを有する対象の反応はまた、治療の異なる時点で同じアルゴリズムによって決定されたスコアを比較することによって評価することができる。たとえば、第一の時点は、対象に対する治療の実施(administration of the therapy)の前または後であってよい。第二の時点は、第一の時点の後、および対象に対する治療の実施(administration of the therapy)後である。第一のスコアは第一の時点で生成され、第二のスコアは第二の時点で生成される。第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に減少している場合、対象は治療に反応すると見なされる。
【0061】
したがって、本開示は、結腸がんを有する対象の第一の治療に対する反応を評価するための方法を提供し、当該方法は、以下の工程を含む。(1) 第一の時点で: (a) 第一の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第一の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第一のスコアを生成する工程; (2) 第一の時点の後、および対象に対する治療の実施(administration of the therapy)の後である、第二の時点で: (a) 第二の試験サンプルを、少なくとも14個のバイオマーカーの発現を検出するために特異的な複数の薬剤と接触させることにより、対象由来の第二の試験サンプル由来の少なくとも14個のバイオマーカーの発現レベルを決定する工程であって、ここで少なくとも14個のバイオマーカーは、ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、UMPS、およびハウスキーピング遺伝子を含む工程; (b) ADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの発現レベルをハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化し、それによってADRM1、CDK4、COMT、DHCR7、HMOX2、MCM2、PDXK、POP7、S100P、SNRPA、SORD、STOML2、およびUMPSのそれぞれの正規化された発現レベルを取得する工程; (c) 各正規化された発現レベルをアルゴリズムに入力して第二のスコアを生成する工程; (3) 第一のスコアを第二のスコアと比較する工程;および (4) 第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下している場合に対象は第一の治療に反応することを特定する、または第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に対象は第一の治療に反応しないことを特定する工程。
【0062】
前述の方法の一部の態様では、工程(4)はレポートを作成する工程を含んでもよく、ここでレポートは、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下している場合に対象は第一の治療に反応することを特定する、または第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に対象は第一の治療に反応しないことを特定する。
【0063】
前述の方法の一部の態様では、第二のスコアが第一のスコアよりも少なくとも約10%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約20%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約25%少ない、第一のスコアよりも少なくとも約40%少ない、第一のスコアよりも少なくとも約50%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約60%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約70%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約75%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約75%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約80%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約90%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約95%少ない、または第一のスコアよりも少なくとも約95%少ないとき、第二のスコアは、第一のスコアと比較して有意に低下している。一部の態様では、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合、対象は治療に反応しないと見なされる。
【0064】
前述の方法の一部の態様では、第一の時点は、対象に対する第一の治療の実施(administration of a first therapy)の前であってもよい。第一の時点は、対象に対する第一の治療の実施(administration of a first therapy)の後であってもよい。
【0065】
一部の態様では、前述の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下している場合に、対象に第一の治療を施し続けることをさらに含んでもよい。
【0066】
一部の態様では、前述の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に、対象への第一の治療の実施を中止することをさらに含んでもよい。
【0067】
一部の態様では、前述の方法は、第二のスコアが第一のスコアと比較して有意に低下していない場合に、対象に第二の治療を施すことをさらに含んでもよい。
【0068】
本開示の方法の一部の態様では、所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで約50%であってもよい。所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで約60%であってもよい。所定のカットオフ値は、0~100%のスケールで約10%、約20%、または約30%、または約40%、または約70%、または約80%、または約90%であってもよい。
【0069】
本開示の方法の一部の態様では、試験サンプルは、対照から得られる任意の体液であってもよい。試験サンプルは、血液、血清、血漿、腫瘍性組織、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。一部の態様では、試験サンプルは血液である。一部の態様では、試験サンプルは血清である。一部の態様では、試験サンプルは血漿である。
【0070】
本開示の方法の一部の態様では、ハウスキーピング遺伝子は、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUM1、ACTB、GAPD、GUSB、RPLP0、TFRC、MORF4L1、18S、PPIA、PGK1、RPL13A、B2M、YWHAZ、SDHA、およびHPRT1を含んでもよいが、これらに限定されない。一部の態様では、ハウスキーピング遺伝子は、MORF4L1である。
【0071】
本開示の方法は、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%の感度を有してもよい。本開示の方法は、約50%超、または約60%超、または約70%超、または約75%超、または約80%超、または約85%超、または約90%超、または約95%超、または約99%超の感度を有してもよい。
【0072】
本開示の方法は、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%の特異度を有してもよい。本開示の方法は、約50%超、または約60%超、または約70%超、または約75%超、または約80%超、または約85%超、または約90%超、または約95%超、または約99%超の特異度を有してもよい。
【0073】
本開示の方法は、少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%の精度を有してもよい。本開示の方法は、約50%超、または約60%超、または約70%超、または約75%超、または約80%超、または約85%超、または約90%超、または約95%超、または約99%超の精度を有してもよい。
【0074】
本開示の方法の一部の態様では、所定のカットオフ値は、腫瘍性疾患を有していない、または腫瘍性疾患と診断されていない対象から得られた複数の参照サンプルから得られてもよい。一部の態様では、腫瘍性疾患は結腸がんであってもよい。
【0075】
複数の参照サンプルは、約2~500、2~200、10~100、または20~80の参照サンプルを含んでもよい。各参照サンプルは、アルゴリズムを使用してスコアを生成し、第一の所定のカットオフ値はこれらのスコアの算術平均であってもよい。各参照サンプルは、血液、血清、血漿、または非腫瘍性組織であってもよい。一部の態様では、各参照サンプルは血液である。一部の態様では、各参照サンプルは、試験サンプルと同じタイプである。
【0076】
本明細書に開示されるバイオマーカーのそれぞれは、一つまたは複数の転写産物バリアントを有してもよい。本明細書に開示される方法は、各バイオマーカーの転写産物バリアントのいずれか一つの発現レベルを測定することができる。
【0077】
発現レベルは、以下を含むがこれらに限定されない、いくつかの方法で測定することができる:選択された遺伝子によってコードされたmRNAを測定する;選択された遺伝子によってコードされたタンパク質の量を測定する;および選択された遺伝子によってコードされたタンパク質の活性を測定する。
【0078】
本開示の方法の一部の態様では、バイオマーカーは、RNA、cDNA、タンパク質またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。バイオマーカーがRNAである場合、RNAを逆転写してcDNAを(たとえばRT-PCRにより)生成してもよく、生成されたcDNA発現レベルを検出してもよい。バイオマーカーの発現レベルは、バイオマーカーと標識プローブまたはプライマーの間に複合体を形成することによって検出することができる。バイオマーカーがRNAまたはcDNAである場合、RNAまたはcDNAは、RNAまたはcDNAと標識核酸プローブまたはプライマーの間に複合体を形成することによって検出することができる。RNAまたはcDNAと標識核酸プローブまたはプライマーの間の複合体は、ハイブリダイゼーション複合体であってもよい。
【0079】
本開示の方法の一部の態様では、遺伝子発現は、マイクロアレイ解析によって検出してもよい。マイクロアレイ技術を使用して、差次的遺伝子発現(Differential gene expression)を同定または確認することもできる。したがって、発現プロファイルのバイオマーカーは、マイクロアレイ技術を使用して、新鮮組織、または固定組織で測定できる。この方法では、所望のポリヌクレオチド配列(cDNAおよびオリゴヌクレオチドを含む)をマイクロチップ基板にプレーティングまたはアレイ化する。次に、アレイ化された配列を、所望の細胞または組織由来の特定のDNAプローブとハイブリダイズする。mRNAの供給源は、典型的には、生体サンプルから単離された全RNAであり、対応する正常組織または細胞株は、差次的発現を決定するために使用することができる。
【0080】
マイクロアレイ技術の一部の態様では、cDNAクローンのPCR増幅された挿入物を、密なアレイの基板にアプライする。一部の態様では、少なくとも10,000ヌクレオチド配列を基板にアプライする。マイクロアレイに固定された(microarrayed)遺伝子は、それぞれ10,000要素でマイクロチップに固定化されており、ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションに好適である。蛍光標識されたcDNAプローブは、所望の組織から抽出されたRNAの逆転写による蛍光ヌクレオチドの取り込みにより生成することができる。チップにアプライされた標識cDNAプローブは、アレイ上のDNAの各スポットに特異的にハイブリダイズする。非特異的に結合したプローブを除去するためのストリンジェントな洗浄の後、マイクロアレイチップを、デバイス、たとえば共焦点レーザー顕微鏡によって、または別の検出方法、たとえばCCDカメラによってスキャンする。各配列要素(arrayed element)のハイブリダイゼーションの定量により、対応するmRNAの存在量を評価することができる。二色蛍光では、RNAの2つの供給源から生成された別々に標識されたcDNAプローブがペアでアレイにハイブリダイズする。したがって、各特定遺伝子に対応する2つの供給源からの転写産物の相対的な量が同時に決定される。マイクロアレイ分析は、メーカーのプロトコルに従って、市販の機器で実行できる。
【0081】
本開示の方法の一部の態様では、バイオマーカーは、qRT-PCRを使用して生体サンプルにおいて検出できる。RT-PCRによる遺伝子発現プロファイリングの最初の工程は、生体サンプルからRNAを抽出した後、RNAテンプレートを逆転写してcDNAにし、PCR反応で増幅することである。逆転写反応工程は通常、発現プロファイリングの目的に応じて、特定のプライマー、ランダムヘキサマー、またはオリゴdTプライマーを使用して開始される。2つの一般的に使用される逆転写酵素は、トリ骨髄芽球症ウイルス(avilo myeloblastosis virus)の逆転写酵素(AMV-RT)とモロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)の逆転写酵素(MLV-RT)である。
【0082】
本開示の方法の一部の態様では、バイオマーカーがタンパク質である場合、タンパク質は、タンパク質と標識抗体との間に複合体を形成することによって検出できる。標識は、たとえば、蛍光標識、化学発光標識、放射性標識等の任意の標識であってもよい。タンパク質検出のための例示的な方法は、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロット解析、および酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を含むが、これらに限定されない。たとえば、バイオマーカーはELISAで検出することができ、バイオマーカー抗体は固相に結合され、酵素-抗体複合体は、サンプル中に存在するバイオマーカーを検出および/または定量するために使用される。あるいは、可溶化および分離されたバイオマーカーをニトロセルロース紙に結合させるウエスタンブロットアッセイを使用することができる。非常に特異的で安定した液体コンジュゲートと高感度の発色基質の組み合わせにより、サンプルを迅速かつ正確に同定できる。
【0083】
本開示の方法の一部の態様では、本明細書に記載の方法は、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の特異度、感度、および/または精度を有しうる。
【0084】
本開示の方法の一部の態様では、標識プローブ、標識プライマー、標識抗体または標識核酸は、蛍光標識を含んでもよい。
【0085】
本明細書に開示される方法では、異なるサンプル、たとえば決定木を使用して生成された予測モデルにそのサンプル値が当てはまる場所を評価することによってサンプルのスコアを生成できる任意のアルゴリズムを使用してもよい。アルゴリズムはデータ(すなわち、発現レベル)を分析し、スコアを割り当てる。一部の態様では、アルゴリズムは機械学習アルゴリズムであってもよい。本明細書で開示される方法で使用できる例示的なアルゴリズムは、XGBoost(XGB)、ランダムフォレスト(RF)、glmnet、cforest、機械学習用の分類木と回帰木(CART)、treebag、K近傍法(kNN)、ニューラルネットワーク(nnet)、サポートベクターマシンラジアル(SVM-radial)、サポートベクターマシンリニア(SVM-linear)、単純ベイズ(NB)、多層パーセプトロン(mlp)、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0086】
本開示の方法の一部の態様では、アルゴリズムは、XGB(XGBoostとも呼ばれる)であってもよい。XGBは、速度とパフォーマンスのために設計された勾配ブースティング決定木の実装である。
【0087】
本開示の方法の一部の態様では、療法は、抗がん療法、手術、化学療法、標的薬物療法、放射線療法、免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0088】
本開示の方法の一部の態様では、手術は、結腸内視鏡検査、内視鏡的粘膜切除、結腸部分切除、オストミーの間にポリープを切除すること、肝臓から少なくとも一つのがん病変を切除すること、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0089】
本開示の方法の一部の態様では、抗がん療法は抗結腸がん療法を含んでもよい。
【0090】
本開示の方法の一部の態様では、化学療法は、FOLFOX、FOLFIRI、5-FUとロイコボリンの組み合わせ、カペシタビン、イリノテカン、CapeOx、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0091】
本開示の方法の一部の態様では、標的薬物療法は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、レゴラフェニブ、トリフルリジンとチピラシルの組み合わせ、EGFR TKI阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0092】
本開示の方法の一部の態様では、免疫療法は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、またはペンブロリズマブおよびニボルマブの組み合わせを含んでもよい。
【0093】
初期の結腸がんについては、手術への低侵襲アプローチを使用してがんを切除することができる。たとえば、がんがポリープ内に完全に閉じ込められている場合は、結腸内視鏡検査中にポリープを切除することができる。より大きなポリープを切除するために、内視鏡的粘膜切除を行うことができる。結腸内視鏡検査で切除できないポリープは、腹腔鏡手術で切除できる。がんが結腸内または結腸を介して増殖した場合、結腸部分切除を行って、がんを含む結腸の部分を、がんのいずれかの側の正常組織の縁とともに切除することができる。結腸または直腸の正常な部分を再接続できない場合は、便を除去して開口部にしっかりとフィットするバッグに入れるために、残りの腸の一部から腹部の壁に開口部を作成するためにオストミーを行うことができる。リンパ節の切除も行うことができる。
【0094】
進行した結腸がんについては、結腸の閉塞または他の疾患を緩和するための手術を行うこともできる。がんが肝臓にのみ広がっている特定の症例では、肝臓からがん性病変を取り除く手術を行うことができる。
【0095】
化学療法では、FOLFOX(5-FU、ロイコボリン、およびオキサリプラチン)、またはCapeOx(カペシタビンおよびオキサリプラチン)療法のいずれかがほとんどの場合に使用されるが、一部の患者は、年齢および健康ニーズに基づいて、5-FUおよびロイコボリン、またはカペシタビンのみを摂取してもよい。イリノテカンは、結腸がんを治療するための化学療法剤として使用することもできる。
【0096】
標的薬物療法は、がん細胞の増殖を可能にする特定の機能不全を標的とする。これらの療法は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト、トリフルリジンとチピラシルの組み合わせ、およびEGFR TKI阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0097】
結腸がんの免疫療法は、ペンブロリズマブ(キイトルーダ(登録商標))およびニボルマブ(オプジーボ(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0098】
結腸がんバイオマーカーおよびハウスキーパーの配列情報を表1に示す。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
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【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
定義
冠詞「a」、および「an」は、本開示において、冠詞の文法上の対象の一つまたは複数(すなわち、少なくとも一つ)を指すために使用される。例として、「一つの要素」は、一つの要素または二つ以上の要素を意味する。
【0148】
用語「および/または」は、本開示において、特に明記しない限り、「および」または「または」のいずれかを意味するために使用される。
【0149】
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は互換的に使用され、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドまたはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾型のいずれかである、長さが少なくとも10塩基または塩基対のヌクレオチドのポリマー型を意味し、DNAの一本鎖および二本鎖形態を含むことを意味する。本明細書で使用されるように、マイクロアレイ解析においてプローブとして機能する核酸分子または核酸配列は、好ましくはヌクレオチドの鎖、より好ましくはDNAおよび/またはRNAを含む。他の態様では、核酸分子または核酸配列は、他の種類の核酸構造、たとえば、DNA/RNAヘリックス、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、および/またはリボザイムを含む。したがって、本明細書で使用する場合、用語「核酸分子」は、天然ヌクレオチドと同じ機能を示す非天然ヌクレオチド、改変ヌクレオチド、および/または非ヌクレオチドビルディングブロックを含む鎖も包含する。
【0150】
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドとの関連で使用される用語「ハイブリダイズする(hybridize)」、「ハイブリダイズする(hybridizing)」、「ハイブリダイズする(hybridizes)」等は、従来のハイブリダイゼーション条件、たとえば50%ホルムアミド/6×SSC/0.1%SDS/100 μg/ml ssDNAでのハイブリダイゼーションを指すものとし、ここで、ハイブリダイゼーションの温度は摂氏37度を超え、0.1×SSC/0.1%SDSでの洗浄の温度は摂氏55度を超え、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を指すものとする。
【0151】
本明細書で使用される場合、用語「正規化」または「ノーマライザ」は、サンプル中のバイオマーカー濃度の生物学的変動ではなく、サンプルの取り扱い、サンプルの調製、および測定方法による技術的変動から生じる影響を調整するための基準値に関する微分値の表現を指す。たとえば、差次的に発現されるタンパク質の発現を測定する場合、タンパク質の発現の絶対値は、発現が実質的に一定である標準タンパク質の発現の絶対値で表すことができる。
【0152】
用語「診断(diagnosis)」および「診断(diagnostics)」はまた、「予後(prognosis)」および「予後(prognostics)」という用語、ならびに診断および/または予後を経時的にモニターするための二つ以上の時点にわたるそのような手順の適用、およびそれに基づく統計モデリングもそれぞれ包含する。さらに、診断という用語は以下を含む:a. 予測(患者が侵攻性疾患(過剰増殖性/侵襲性)を発症する可能性が高いかどうかの判断)、b. 予後(将来的に事前に選択された時間に患者の転帰が改善するかどうかの予測)、c. 療法の選択、d. 治療薬のモニタリング、およびe. 再発モニタリング。
【0153】
「精度」は、測定または計算された量(試験報告値)のその実際の(または真の)値への適合度を指す。臨床的精度は、真のアウトカム(真陽性(TP)または真陰性(TN))と、誤分類されたアウトカム(偽陽性(FP)または偽陰性(FN))の比率に関連し、感度、特異度、陽性的中率(PPV)、または陰性的中率(NPV)、または尤度としてオッズ比として表されてもよい。
【0154】
本明細書で使用される用語「生体サンプル」は、一つまたは複数のバイオマーカーを潜在的に含む生体起源の任意のサンプルを指す。生体サンプルの例は、組織、器官、または体液、たとえば、全血、血漿、血清、組織、洗浄液、または疾患の検出に使用される他の任意の検体を含む。
【0155】
本明細書で使用される用語「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを指す。一部の態様では、対象は少なくとも一つの結腸がん症状を有してもよい。一部の態様では、対象は、結腸がんを発症する素因または家族歴を有してもよい。対象は、以前に結腸がんと診断されていてもよく、がんの再発について検査される。
【0156】
疾患に関して本明細書で使用される「治療する」または「治療」は、疾患の予防、疾患の発症または進行速度の遅延、疾患の発症のリスクの低減、疾患に関連する症状の出現の予防または遅延、疾患に関連する症状の軽減または終了、疾患の完全または部分的退縮の生成、またはそれらの組み合わせを指す場合がある。
【0157】
バイオマーカーレベルは、疾患の治療により変化する可能性がある。バイオマーカーレベルの変化は、本開示により測定することができる。バイオマーカーレベルの変化は、疾患または治療の進行をモニターするために使用できる。
【0158】
「変化した(altered)」、「変化した(changed)」または「有意に異なる」は、合理的に比較可能な状態、プロファイル、測定等からの検出可能な変化または差異を指す。そのような変化は、全か無か(all or none)であってもよい。それらは増分的であり、線形である必要はない。それらは何層倍でもよい。変化は、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%、またはそれ以上、または0%~100%の間の任意の値の増加または減少、であってもよい。あるいは、変化は、1倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍以上、または1倍と5倍の間の任意の値であってもよい。変化は、0.1、0.05、0.001、または0.0001のp値で統計的に有意である場合がある。
【0159】
用語「安定性疾患(stable disease)」は、画像データおよび/または最良の臨床判断により決定されるように、結腸がんの存在の診断を指すが、結腸がんは治療されており、安定状態、すなわち、進行性ではない、すなわち安定した状態に留まっている。
【0160】
用語「進行性疾患(progressive disease)」は、画像データおよび/または最良の臨床判断により決定されるように、結腸がんの高い活動状態(active state)の存在の診断を指し、すなわち、治療されておらず、安定していないか、または治療されており、治療に反応しないか、または治療されているが、活動性疾患が残っている。
【0161】
用語「腫瘍性疾患」は、良性(非がん性)または悪性(がん性)のいずれかである細胞または組織の異常な増殖を指す。たとえば、腫瘍性疾患は結腸がんであってもよい。
【0162】
用語「腫瘍組織」は、異常に増殖する細胞の塊を指す。
【0163】
用語「非腫瘍性組織」は、正常に増殖する細胞の塊を指す。
【0164】
用語「免疫療法」は、活性化免疫療法または抑制免疫療法を指してもよい。当業者によって理解されるように、活性化免疫療法は、たとえばT細胞応答を含む免疫応答を誘導、増強、または促進する治療薬の使用を指し、一方、抑制免疫療法は、たとえばT細胞応答を含む免疫応答を干渉、抑制、または阻害する治療薬の使用を指す。活性化免疫療法は、チェックポイント阻害剤の使用を含んでもよい。活性化免疫療法は、刺激チェックポイント分子(stimulatory checkpoint molecule)を活性化する治療薬を対象に投与することを含んでもよい。刺激チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITRおよびICOSを含むが、これらに限定されない。刺激チェックポイント分子を活性化する治療薬は、MEDI0562、TGN1412、CDX-1127、リポカリンを含むが、これらに限定されない。
【0165】
本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体)、および望ましい抗原結合活性を示す限り抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない様々な抗体構造を包含する。標的に結合する抗体は、抗体が標的の標的化における診断および/または治療薬として有用であるような、十分な親和性で標的に結合することができる抗体を指す。一つの実施形態では、抗標的抗体の無関係な非標的タンパク質への結合の程度は、たとえば、放射免疫測定法(RIA)、またはビアコアアッセイによって測定されるように、抗体の標的への結合の約10%未満である。特定の実施形態では、標的に結合する抗体は、1 μM未満、100 nM未満、10 nM未満、1 nM未満、0.1 nM未満、0.01 nM未満、または0.001 nM未満の解離定数(Kd)(たとえば109M以下、たとえば108M~1013M、たとえば109M~1013M)を有する。特定の実施形態では、抗標的抗体は、異なる種間で保存されている標的のエピトープに結合する。
【0166】
「遮断抗体」または「アンタゴニスト抗体」は、それが結合する抗原の正常な生物活性を部分的または完全に遮断、阻害、干渉、または中和するものである。たとえば、アンタゴニスト抗体は、免疫細胞受容体(たとえば、T細胞受容体)を介したシグナル伝達を遮断し、機能不全状態から抗原刺激までのT細胞による機能的反応(たとえば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)を回復することができる。
【0167】
「アゴニスト抗体」または「活性化抗体」は、それが結合する抗原の正常な生物的活性を模倣、促進、刺激、または増強するものである。アゴニスト抗体はまた、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強または開始することができる。一部の実施形態では、アゴニスト抗体は、天然のリガンドの存在なしにシグナル伝達を引き起こすか、または活性化する。たとえば、アゴニスト抗体は、メモリーT細胞増殖を増加させ、メモリーT細胞によるサイトカイン産生を増加させ、制御性T細胞機能を阻害し、および/またはエフェクターT細胞増殖および/またはサイトカイン産生等のエフェクターT細胞機能の調節性T細胞抑制を阻害しうる。
【0168】
「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;二重特異性抗体;線形抗体(linear antibody);単鎖抗体分子(例:scFv);および抗体断片から形成された多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0169】
対象への化学療法の実施は、少なくとも一つの化学療法薬の治療的有効量を投与することを含んでもよい。化学療法薬は、13-cis-レチノイン酸、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、5-FU、6-メルカプトプリン、6-MP、6-TG、6-チオグアニン、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、アブラキサン、アキュテイン、アクチノマイシンD、アドセトリス、Ado-トラスツズマブエンタンシン、アドリアマイシン、アドルシル、アファチニブ、アフィニトール、アグリリン、アラコート(Ala-Cort)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アレセンサ、アレクチニブ、アリムタ、アリトレチノイン、アルカバン-AQ、アルケラン、オールトランスレチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アルンブリグ、アメトプテリン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナンドロン、アナストロゾール、アパルタミド、アラビノシルシトシン、Ara-C、アラネスプ、アレディア、アリミデックス、アロマシン、アラノン、亜ヒ酸、アーゼラ、アスパラギナーゼ、アテゾリズマブ、Atra、アバスチン、アベルマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、バベンチオ、Bcg、ベレオダク、ベリノスタット、ベンダムスチン、ベンデカ、ベスポンサ、ベバシズマブ、ベキサロテン、ベキサール、ビカルタミド、カルムスチン(Bicnu)、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane)、ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ビーリンサイト、ボルテゾミブ、ボシュリフ、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、ブスルファン、ブスルフェクス、C225、カバジタキセル、カボザンチニブ、カルシウムロイコボリン、キャンパス、塩酸イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン-11、カペシタビン、カプレルサ、Carac、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、カルムスチンウェファー(Carmustine Wafer)、Cddp、Ceenu、セリチニブ、ダウノマイシン(Cerubidine)、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、クロファラビン、クロラール、コビメチニブ、カボザンチニブ(Cometriq)、コルチゾン、コスメゲン、コビメチニブ(Cotellic)、Cpt-11、クリゾチニブ、シクロホスファミド、サイラムザ、アミノグルテチミド(Cytadren)、シタラビン、シタラビンリポソーマル(Cytarabine Liposomal)、サイトサール-U(Cytosar)、シトキサン、ダブラフェニブ、ダカルバジン、デシタビン(Dacogen)、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダルベポエチンアルファ、ダラザレックス、ダサチニブ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシンシタラビン(リポソーマル)、塩酸ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーマル(Daunorubicin Liposomal)、ダウノルビシン(DaunoXome)、デカドロン、デシタビン、デガレリクス、Delta-Cortef、デルタゾン、デニロイキンジフチトクス、デノスマブ、デポサイト、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサゾン(Dexasone)、デクスラゾキサン、Dhad、Dic、ジオデックス(Diodex)、ドセタキセル、ドキシル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーマル(Doxorubicin Liposomal)、ドロキシア、DTIC、Dtic-Dome、デュラロン(Duralone)、デュルバルマブ、エクリズマブ、エフデックス、エレンス、エロツズマブ、エロキサチン、Elspar、エルトロンボパグ、Emcyt、エムプリシティ、エナシデニブ、エンザルタミド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビタックス、エリブリン、エリベッジ、アーリーダ、エルロチニブ、Erwinia由来L-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、エチオール、エトポホス(Etopophos)、エトポシド、リン酸エトポシド、Eulexin、エベロリムス、エビスタ、エキセメスタン、フェアストン、ファリーダック、フェソロデックス、フェマーラ、フィルグラスチム、ファーマゴン、フロクスウリジン、フルダラ、フルダラビン、Fluoroplex、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、フォロチン、Fudr、フルベストラント、G-Csf、ガザイバ、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ジェムザール、Gilotrif、グリベック、Gleostine、グリアデルウェファー(Gliadel Wafer)、Gm-Csf、ゴセレリン、Granix、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ハラヴェン、ハロテスチン、ハーセプチン、ヘキサドロール、ヘキサレン、ヘキサメチルメラミン、ヘキサメチルメラミン、Hmm、ハイカムチン、ハイドレア、Hydrocort Acetate、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、リン酸ハイドロコートン(Hydrocortone Phosphate)、ヒドロキシウレア、イブランス、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イブルチニブ、アイクルシグ、イダマイシン、イダルビシン、イデラリシブ、Idhifa、Ifex、IFN-α、イホスファミド、IL-11、IL-2、イムブルビカ、メシル酸イマチニブ、イミフィンジ、イミダゾールカルボキサミド、Imlygic、インライタ、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロン-α、インターフェロンα-2b(PEGコンジュゲート)、インターロイキン-2、インターロイキン-11、Intron A(インターフェロンα-2b)、イピリムマブ、イレッサ、イリノテカン、イリノテカン(リポソーマル)、イソトレチノイン、イストダックス、イクサベピロン、イキサゾミブ、イグゼンプラ、Jakafi、ジェブタナ、カドサイラ、キイトルーダ、Kidrolase、Kisqali、キムリア、カイプロリス、Lanacort、ランレオチド、ラパチニブ、Lartruvo、L-アスパラギナーゼ、Lbrance、Lcr、レナリドミド、レンバチニブ、レンビマ、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン、Leukine、リュープロリド、Leurocristine、ロイスタチン、リポソーマルAra-C、Liquid Pred、ロムスチン、ロンサーフ、L-PAM、L-Sarcolysin、リュープロンデポー、リムパーザ、Marqibo、Matulane、マキシデックス、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、Medralone、メドロール、Megace、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メキニスト、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、Meticorten、ミドスタウリン、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、M-Prednisol、MTC、MTX、Mustargen、Mustine、Mutamycin、ミレラン、Mylocel、マイロターグ、ナベルビン、ネシツムマブ、ネララビン、Neosar、ネラチニブ、Nerlynx、Neulasta、Neumega、ニューポジェン、ネクサバール、Nilandron、ニロチニブ、ニルタミド、ニンラーロ、Nipent、ニラパリブ、ナイトロジェンマスタード、ニボルマブ、ノルバデックス、Novantrone、Nplate、オビヌツズマブ、オクトレオチド、酢酸オクトレオチド、オドムゾ、オファツムマブ、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシン、Oncospar、オンコビン、Onivyde、Ontak、Onxal、オプジーボ、オプレルベキン、Orapred、Orasone、オシメルチニブ、Otrexup、オキサリプラチン、パクリタキセル、タンパク結合パクリタキセル(Paclitaxel Protein-bound)、パルボシクリブ、パミドロネート、パニツムマブ、パノビノスタット、Panretin、パラプラチン、パゾパニブ、Pediapred、ペグインターフェロン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグイントロン、ペグLアスパラギナーゼ(PEG-L-asparaginase)、ペンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、パージェタ、ペルツズマブ、フェニルアラニンマスタード、Platinol、Platinol-AQ、ポマリドミド、ポマリスト、ポナチニブ、ポートラーザ、プララトレキサート、プレドニゾロン、プレドニゾン、Prelone、プロカルバジン、プロクリット、プロロイキン、プロリア、カルムスチンインプラントと併用するプロリフェプロスパン20(Prolifeprospan 20 with Carmustine Implant)、プロマクタ、プロベンジ、Purinethol、塩化ラジウム-223、ラロキシフェン、ラムシルマブ、Rasuvo、レゴラフェニブ、レブラミド、リウマトレックス、リボシクリブ、リツキサン、Rituxan Hycela、リツキシマブ、リツキシマブヒアルロジナーゼ、Roferon-A(インターフェロンα-2a)、ロミデプシン、ロミプロスチム、Rubex、塩酸ルビドマイシン、Rubraca、ルカパリブ、ルキソリチニブ、Rydapt、サンドスタチン、サンドスタチンLAR、サルグラモスチム、シルツキシマブ、シプロイセルT、ソリリス、ソルコーテフ、ソルメドロール、ソマチュリン、ソニデギブ、ソラフェニブ、スプリセル、Sti-571、スチバーガ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、スーテント、Sylvant、Synribo、タフィンラー、タグリッソ、タリモジーン・ラハーパレプベック、タモキシフェン、タルセバ、タルグレチン、タシグナ、タキソール、タキソテール、テセントリク、Temodar、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、Tespa、サリドマイド、Thalomid、TheraCys、チオグアニン、Thioguanine Tabloid、Thiophosphoamide、Thioplex、チオテパ、タイス、チサゲンレクルユーセル、Toposar、トポテカン、トレミフェン、トーリセル、トシツモマブ、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレアンダ、トレルスター、トレチノイン、Trexall、トリフルリジン/チピリシル、トリプトレリンパモ酸塩、トリセノックス、Tspa、T-VEC、タイケルブ、バルルビシン、Valstar、バンデタニブ、VCR、ベクティビックス、Velban、ベルケイド、ベムラフェニブ、ベネクレクスタ、ベネトクラクス、ベプシド、ベージニオ、ベサノイド、Viadur、ビダーザ、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、Vincasar Pfs、ビンクリスチン、ビンクリスチンリポソーマル、ビノレルビン、ビノレルビン酒石酸塩、ビスモデギブ、Vlb、VM-26、ボリノスタット、ヴォトリエント、VP-16、Vumon、Vyxeos、ザーコリカプセル、ゼローダ、Xgeva、ゾーフィゴ、イクスタンジ、ヤーボイ、イエスカルタ、ヨンデリス、ザルトラップ、ザノサー、Zarxio、Zejula、ゼルボラフ、ゼヴァリン、Zinecard、Ziv-アフリベルセプト、ゾラデックス、ゾレドロン酸、ゾリンザ、ゾメタ、Zydelig、ジカディア、ザイティガ、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0170】
薬剤または化合物の用語「有効量」および「治療有効量」は、所望の効果または利点を提供するのに無毒であるが十分な量の活性薬剤または活性化合物を指すために最も広い意味で使用される。
【0171】
用語「利点」は、最も広い意味で使用され、任意の所望の効果を指し、本明細書で定義される臨床的利点を具体的に含む。臨床的利点は、様々なエンドポイント、たとえば減速および完全停止を含む、疾患進行のある程度の抑制;疾患の発症および/または病徴の数の減少;病変サイズの縮小;隣接する末梢器官および/または組織への疾患細胞の浸潤の抑制(すなわち、減少、減速、または完全停止);病気の広がりの抑制(すなわち、減少、減速または完全な停止);疾患病変の退行またはアブレーションをもたらす可能性があるがその必要はない、自己免疫反応の低下;障害に関連する一つ以上の症状のある程度の緩和;治療後の無病症状の持続期間、たとえば無増悪生存期間の増加;全生存の増加;より高い奏効率;および/または治療後の所与の時点での死亡率の低下を評価することで測定できる。
【0172】
用語「がん」および「がん性」は、典型的には無秩序な細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか、または表す。この定義は、良性および悪性のがんを含む。がんの例は、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病を含むが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例は、副腎皮質がん、膀胱尿路上皮がん、浸潤性乳がん、子宮頸部扁平上皮細胞がん、子宮頸部腺がん、胆管がん、結腸腺がん、リンパ系腫瘍びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道がん、多形神経膠芽腫、頭頸部扁平上皮細胞がん、腎臓嫌色素性細胞、腎臓腎明細胞がん、腎臓乳頭状腎細胞がん、急性骨髄性白血病、脳低悪性度神経膠腫、肝臓肝細胞がん、肺腺がん、肺扁平上皮がん、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺がん、膵臓腺がん、褐色細胞腫、傍神経節腫、前立腺腺がん、直腸腺がん、肉腫、皮膚皮膚黒色腫、胃腺がん、精巣胚細胞腫瘍、甲状腺がん、胸腺腫、子宮がん肉腫、ぶどう膜黒色腫を含む。他の例は、乳がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、肝臓がん、結腸直腸がん、卵巣がん、膀胱がん、腎臓がん、または胃がんを含む。がんのさらなる例は、神経内分泌がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん、甲状腺がん、子宮内膜がん、胆管がん、食道がん、肛門がん、唾液、がん、外陰がん、または子宮頸がんを含む。
【0173】
用語「腫瘍」は、悪性または良性にかかわらず、すべての腫瘍細胞の増殖(growth)および増殖(proliferation)、ならびにすべての前がん性およびがん性の細胞および組織を指す。用語「がん」、「がん性」、「細胞増殖性疾患(cell proliferative disorder)」、「増殖性疾患」および「腫瘍」は、本明細書で言及される場合、相互に排他的ではない。
【実施例】
【0174】
本開示は、以下の実施例によってさらに例示され、これらの実施例は、本開示の範囲または趣旨において、本明細書に記載される特定の手順に限定するものとして解釈されるべきではない。実施例は特定の態様を例示するために提供されており、それによって本開示の範囲への限定は意図されていないことを理解されたい。さらに、本開示の趣旨および/または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者に示唆されうる様々な他の態様、実施形態、改変、およびそれらの均等物に頼ることができることを理解されたい。
【0175】
実施例1. 13マーカー遺伝子パネルの誘導
n=24の結腸がん腫瘍組織サンプル由来の生のプローブ強度を、n=22の対照結腸粘膜と比較して、E-MTAB-57の転写プロファイルを使用して疾患を最もよく識別する遺伝子を同定した。遺伝子共発現ネットワークを、結腸がんに関連する遺伝子調節の時間的パターンを特定するために生成した。53,786個のリンクを有する合計513個のノードを特定した。差次的発現分析により、103遺伝子が血液と比較して腫瘍組織で上方制御されたことが確認された。血液特異的結腸がん遺伝子バイオマーカーを特定するために、末梢血トランスクリプトームにおける103遺伝子の発現を評価した(n=7)。103遺伝子のうち33個(32%)が血中の検出レベルを下回り、これらを候補遺伝子として特定した。結腸がんの血液サンプル(n=20)および一致する正常血液(n=20)の予備データセットの転写産物を評価すると、13個の遺伝子と1個のハウスキーピング遺伝子が結腸がんのマーカーとして特定された(表2)。これらの遺伝子は、正常粘膜と比較して、結腸がん腫瘍組織および3つの異なる結腸がん細胞株、LOVO(転移性、高二倍体、MSI不安定細胞株)、LS-180(デュークB、結腸直腸腺がん由来)、およびColo 320DM(デュークC、結腸直腸腺がん由来)で高度に発現していることが証明された。これらのデータは、標的転写物が腫瘍性に形質転換された結腸粘膜細胞によって産生されることを実証している(
図1A~1B)。
【0176】
結腸がん疾患の人工知能モデルは、対照(n=120)および結腸がん(n=272)サンプル由来の全血におけるこれらの13マーカーの正規化された遺伝子発現を使用して構築された。データセットは、モデルの作成および検証のために、トレーニングパーティションとテストパーティションにランダムに分割された。12のアルゴリズムが評価された(XGB、RF、glmnet、cforest、CART、treebag、knn、nnet、SVM-radial、SVM-linear、NBおよびmlp)。最高のパフォーマンスを発揮するアルゴリズム(XGB-「勾配ブースティング」)は、トレーニングデータを最もよく予測した。テストセットでは、XGBはサンプルを予測する確率スコアを生成した。各確率スコアは、未知のサンプルが「参照」または「結腸がん」クラスのいずれかに属するアルゴリズムの「確実性」を反映する。たとえば、未知のサンプルS1は、次の確率ベクトルを有してもよい[参照=20%、結腸がん=80%]。このサンプルは、結腸がんのサンプルと見なされる。
【0177】
実施例2. 臨床的有用性
トレーニングセットおよびテストセットにおいて結腸がんを有する患者(n=136)を対照(n=60)から区別する試験の有用性に関するデータ(受信者動作曲線(receiver operator curve)分析および測定基準)は、
図2A~2Bに含まれる。スコアは、曲線下面積(AUC)0.90(トレーニングセット)および0.86(テストセット)を示した。測定基準は、感度:85.3-87.5%、特異度:75-83.3%である。
【0178】
全体として、ColoTestスコアは、がん(63±1%)および対照(34±2%)で有意に上昇した(
図3A~3B)。全体的な精度(トレーニングおよびテストコホート)は84%で、AUCは0.88である。コントロールを区別するためのZ統計(z-statistic)は18.5であった。
【0179】
決断曲線解析(decision curve analysis)を使用して、診断検査の臨床的利点を定量化した(
図4A~4B)。ColoTestは、80%のリスク閾値まで、50%を超える標準化された予測的利益(standardized predictive benefit)を示した。プロビットのリスク評価プロットは、50%を超えるColoTestスコアは血液サンプル中の結腸がんを予測するのに75%正確であることを確認した。これは、60%以上のColoTestスコアでは80%超に増加した。したがって、このツールは、対照と結腸がん疾患を正確に区別できる。
【0180】
手術前後の結腸がんコホートの特定の評価により、腫瘍の完全な除去が確認され、疾患のエビデンスはColoTestの有意な減少(p<0.0001)に関連していなかった(
図5)。レベルは、残存疾患のエビデンスがあるものと有意差はなかった。
【0181】
病状(採血時の臨床評価)による別個の結腸がんコホートの検査は、ColoTestが安定性疾患(n=17:56±7%)と進行性疾患(n=32:68±4%)の間で有意差がないことを確認した(
図6A~6C)。ただし、17人の患者のうち12人は3ヶ月の採血で進行した。進行した患者は、採血時のColoTestスコアの上昇(n=12:73±4%)を示したが、採血時の進行性疾患の患者(n=32:68±4%)と差はなかった(
図6A~6C)。安定性疾患の患者のレベルは有意に低かった(n=5:16±4%、p<0.0001)。これらのサンプルにおけるColoTestとCEAの直接比較により、遺伝子発現アッセイは、疾患の進行を予測するためにCEAよりも有意に高感度(p<0.05)であることが確認された(
図7)。したがって、ColoTestツールは進行性直腸がん疾患を正確に予測できる。
【0182】
ROC分析は、ColoTestがAUC:0.97を有し、安定性疾患と進行性疾患とを区別することを確認した。対照を区別するためのz統計(z-statistic)は20.6であった。このコホートのさらなる評価により、治療にもかかわらず疾患の進行を示した患者は、治療に反応した患者よりも高いスコアを示したことを確認した(
図8)。治療はベバシズマブ、化学療法、およびEGFR TKI阻害剤を含む。したがって、このツールは結腸がん疾患の治療失敗を正確に特定できる。
【0183】
【0184】
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【0185】
均等物
本発明は、上述の特定の態様に関連して説明されてきたが、その多くの代替、改変、および他の変形は、当業者には明らかであろう。そのようなすべての代替、改変、および変形は、本発明の趣旨および範囲内にあることが意図されている。
【配列表】