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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20230619BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230619BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230619BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20230619BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20230619BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230619BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20230619BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20230619BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20230619BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20230619BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/647
H01M10/6557
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/249
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020546735
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029338
(87)【国際公開番号】W WO2020054227
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2018169254
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】武田 直
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】原塚 和博
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061894(WO,A1)
【文献】特開2015-159123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/658
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6557
H01M 50/204
H01M 50/209
H01M 50/291
H01M 50/293
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形を角形とした複数の電池セルと、
隣接する電池セルを絶縁するための複数のセパレータであって、それぞれのセパレータが、前記隣接する電池セルの間に配置される挾着プレート部と、前記挾着プレート部と隣接する電池セルの間に配置されるシート状の断熱部材と、前記挾着プレート部から隣接する電池セルに向かって突出し、前記隣接する電池セルを収容するための収容空間を規定する周壁と、前記周壁の内側に設けられる複数のリブと、を含んでおり、かつ、前記複数のリブが前記断熱部材を保持している、該複数のセパレータと、
前記複数の電池セルと前記複数のセパレータとを集合化する拘束部材と、を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記複数のリブは、前記隣接する電池セルを保持していることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電源装置において、
前記複数のセパレータは、それぞれ、前記挾着プレート部と前記複数のリブの間に隙間が設けられ、前記断熱部材が前記挾着プレート部と前記複数のリブの間の隙間に配置されていることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電源装置において、
主繊維を含む繊維シートと、前記繊維シートに担持される粉体と、を含んでいることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記粉体は、シリカエアロゲルまたはシリカキセロゲルを含んでいることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項4に記載の電源装置において、
前記繊維シートは、酸化アクリル繊維、難燃性ビニロン繊維、ポリエーテルイミド繊維、アラミド繊維およびガラス繊維のうちの少なくとも一つを含んでいることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項4に記載の電源装置において、
前記断熱部材は、さらに、熱可塑性樹脂を含んでいることを特徴とする電源装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、推進用の電源装置を使用する電動車両が普及している。電動車両は、様々な構成が知られており、例えば、駆動用のモータを搭載する電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)や、モータに加えてエンジンを搭載しているハイブリッドカー(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などがある。これらの電動車両に搭載される電源装置では、複数の電池セルが用いられる。各々の電池セルは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電が可能な二次電池である。この種の電源装置では、電源装置が占有するスペースは少ないほうが望ましく、スペース効率を向上させることが求められている。スペース効率に優れた電源装置としては、一方向に積層された複数の角形電池と、各電池セルの間に配置される絶縁性のセパレータと、複数の角形電池を集合化するための拘束部材と、を備えた電源装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-157450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池は、高温になると様々な不具合が生じることが知られている。特に、内部の発電要素の化学反応が熱によって促進されると、化学反応によって生じる熱により、さらに、自己加熱されるおそれがある。一方で、特許文献1の電源装置は、電池セル同士が近接して配置される構成となるため、ある電池セルが何らかの異常により、自己加熱される状態となると、当該電池セルから隣接する電池セルに熱が伝わる。異常な状態となった電池セルから隣接する電池セルに伝熱する熱量が大きい場合、伝熱された熱により隣接する電池セルの内部の発電要素の化学反応が促進されるおそれがある。このような熱伝播を抑制するためには、絶縁のために設けられているセパレータを厚くする必要があるが、そのような構成は、電源装置の大型化を招き、スペース効率が低下する問題が生じる。
【0005】
本発明は、斯かる問題を解決するためになされたものであり、本発明の主な目的は、電源装置の大型化を抑制しながら、隣接する電池セル同士の伝熱を抑制する構成を備えた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の電源装置は、外形を角形とした複数の電池セルと、隣接する電池セルを絶縁するための複数のセパレータと、複数の電池セルと複数のセパレータとを集合化する拘束部材とを備える。それぞれのセパレータは、隣接する電池セルの間に配置される挾着プレート部と、挾着プレート部と隣接する電池セルの間に配置されるシート状の断熱部材と、挾着プレート部から隣接する電池セルに向かって突出し、隣接する電池セルを収容するための収容空間を規定する周壁と、周壁の内側に設けられる複数のリブと、を含んでいる。複数のリブは、断熱部材を保持している。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる電源装置によれば、セパレータとして必要な機能を維持しつつ、隣接する電池同士を断熱することができるので、電源装置の大型化を抑制しながら、隣接する電池セル同士の伝熱を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第一実施形態に係る電源装置の斜視図である。
図2図1の電池セルの斜視図である。
図3図1のセパレータの一例を示す斜視図である。
図4図3のセパレータの形状を説明するための電源装置の断面図である。
図5図1のセパレータの一例を示す斜視図である。
図6図5のセパレータの形状を説明するための電源装置の断面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る電源装置の斜視図である。
図8図4のセパレータの一例を示す斜視図である。
図9図6を別の方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明のある態様の断熱部材の構成を着想するに至った経緯について説明する。特許文献1に示されるように、典型的な電源装置は、複数の電池セルが同じ姿勢で配置される。隣接する電池セルの間には、隣接する電池セル同士の短絡を防止するために、絶縁性のセパレータが配置される。一方、近年、電池セルの高容量化に伴い、個々の電池セルが保有するエネルギー量が増大する傾向にある。
【0010】
上述のとおり、特許文献1の電源装置は、電池セル同士が近接して配置される構成となるため、ある電池セルが何らかの異常により、自己加熱される状態となると、当該電池セルから隣接する電池セルに熱が伝わる。異常な状態となった電池セルから隣接する電池セルに伝熱する熱量が大きい場合、伝熱された熱により隣接する電池セルの内部の発電要素の化学反応が促進されるおそれがある。電池セルの高容量化すると、異常な状態となった電池セルから隣接する電池セルに伝熱する熱量が相対的に大きくなるため、この現象が問題になる可能性がある。
【0011】
この問題に対して、本発明の発明者らは、断熱性を有するセパレータを採用する構成について検討を行った。従来の電源装置では、セパレータは、隣接する電池セルの絶縁や結露水を介した短絡の防止等、様々な機能を実現できるような形状に成形するために、成形性の高い樹脂が用いられる。そのため、断熱性を高めるためには、セパレータの材厚を大きくする必要がある。しかしながら、セパレータの厚さを大きくすると、電源装置の大型化を招き、電源装置としての体積あたりの容量が低下する問題ある。一方、断熱性の高い部材としては、シート状の断熱部材があるが、この種の断熱部材は成形性が低いため、シート以外の形状に成形することが難しいという問題がある。斯かる実情に鑑み、本発明者らは、シート状の断熱部材を利用することができるようにするための構成について検討を行った。
【0012】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態の電源装置100を示す斜視図である。図1に示すように、電源装置100は、複数の電池セル1と、複数のセパレータ2と、複数の電池セル1と複数のセパレータ2とを集合化する拘束部材3と、を備える。複数の電池セル1は、一方向に沿って配置されている。それぞれのセパレータ2は、隣接する電池セル1の間に配置される。複数のセパレータ2は、シート状の断熱部材を含んでおり、隣接する電池セル1同士の短絡を防止する。また、セパレータ2は、断熱性を有しており、隣接する電池セル同士の伝熱を抑制する。複数の電池セル1は、バスバー(図示せず)を介して、直列または並列に接続されている。電源装置100は、並列接続される電池セル1の数と、直列接続される電池セル1の数に応じて、電源装置の電圧と容量が決まるようになっている。電池セル1は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など、種々の二次電池が採用されうる。
【0013】
セパレータ2に含まれる断熱部材は、0.1~1.5mmの厚さのシートであり、織布や不織布等からなる繊維シートと、繊維シートの繊維間に担持される多孔質材とを含んでいる。本発明の実施形態に好適な断熱部材は、熱伝導率が0.02W/(m・K)以下の特性を有しているものである。多孔質材は、キセロゲルやエアロゲル等の空隙構造を有するものが好ましい。特に、シリカエアロゲルやシリカキセロゲルは、空気分子の運動を規制するナノサイズの空隙構造を有しており、優れた断熱性能を有している。また、シリカキセロゲルは、外部からの押圧に対してその構造を安定的に維持することができる。シリカ粒子は、融点が高いため、シリカキセロゲルも高い耐熱性を有している。繊維シートを構成する繊維は、種々の繊維を用いることができ、耐熱性を有する難燃性繊維を含んでいてもよい。難燃性繊維としては、酸化アクリル繊維、難燃性ビニロン繊維、ポリエーテルイミド繊維、アラミド繊維およびガラス繊維などが知られている。特に、繊維シートは、ガラス繊維を含むことで、耐熱性の向上に加え、剛性の向上およびクリープ変形の抑制が期待できる。難燃性繊維を含む繊維シートを用いた断熱部材は、電池セルが熱暴走して高温に加熱されても破損することがなく、安定して熱エネルギーの伝導を遮断して、熱暴走の誘発を効果的に阻止できる。
【0014】
なお、上述の断熱部材に含まれる繊維は、繊維径の細い合成繊維とすることが好ましい。断熱部材の断熱性は、後述する粉体の特性に起因するため、繊維径の細い合成繊維を基材とすることで、多量の粉体を断熱材に含ませることができる。本実施形態で用いられる繊維シートとしては、熱伝導率、生産性を両立させる観点から1~30μmが好ましい。
【0015】
また、上述の断熱部材は、熱可塑性樹脂を添加して成形してもよい。熱可塑性樹脂を添加した断熱部材は、剛性を向上させることができる。断熱部材の表面をコート処理することで、様々な特性を付与することもできる。例えば、輻射率が低いアルミナからなるコーティング層で覆うことで、断熱部材の輻射伝熱の影響を抑制することができる。このように断熱部材を形成する際、添加物を調整することで、断熱性や耐熱性等を維持しつつ、要求される性能に応じて、物理的特性を適宜、付与することができる。
【0016】
図1に示すように、拘束部材3は、積層される複数の電池セル1の積層方向の両端に配置される一対のエンドプレート32と、一対のエンドプレート32に固定される複数のバインドバー34と、を含んでいる。エンドプレート32には、バインドバー34の端部が連結される。バインドバー34は、止ネジ36を介してエンドプレート32に固定される。
【0017】
バインドバー34は、所定の厚さの金属板を所定の幅に加工して製作される。バインドバー34は、端部をエンドプレート32に連結して、一対のエンドプレート32を連結して、その間に電池セル1を保持する。バインドバー34は、一対のエンドプレート32を所定の寸法に固定することで、その間に積層される電池セル1の膨張を抑制する。バインドバー34が伸びると、電池セル1の膨張を阻止できないため、バインドバー34には、電池セル1の膨張圧で伸びない強度の金属板、たとえばSUS304等のステンレス板や鋼板等の金属板を十分な強度を有する幅と厚さに加工して製作される。
【0018】
なお、図1のバインドバー34は、止ネジ36でエンドプレート32に固定しているが、必ずしも螺合部材で固定する必要はない。具体的には、溶接や係止構造などを利用して固定することもできる。また、図1の電源装置では、エンドプレート32の側面にバインドバー34が固定される構成となっているが、エンドプレートとバインドバーの固定構造は、図示されている構成に限る必要はない。バインドバー34として必要な機能は、一対のエンドプレート32の相対距離を規制することにある。一対のエンドプレートの変位を規制できる構成であれば、エンドプレート32やバインドバー34の構成はどのような構成であってもよい。
【0019】
(電池セル)
図2に示すように、電池セル1は、直方体形状の外装缶12と、正負の電極端子16が設けられる封口体14とを含んでいる。また、電池セル1は、外装缶12内に収納される電極体を有しており、外装缶12内に電解液が充填されており、充放電や劣化に伴い、膨張したり、収縮したりする特性を有している。
【0020】
外装缶12は、開口を有する箱型形状に形成されている。封口体14は、外装缶12に溶接され、外装缶12の開口を閉塞する。具体的には、外装缶12は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口体14は、外装缶12と同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。この封口体14は、両端部に正負の電極端子16が固定されている。封口体14は、外装缶12の開口部に挿入された状態で溶接される。典型的には、封口体14の外周と外装缶12の内周との境界にレーザービームを照射することで、封口体14が外装缶12に気密に固定される。
【0021】
なお、外装缶や封口体が金属である電池セルは、表面に金属を露出することになる。この種の電池セルは、結露水等を介した短絡を防止するために、外装缶の表面を絶縁性の熱収縮チューブで覆う構成とすることがある。本実施形態においても、必要に応じて、外装缶12の表面を熱収縮チューブで覆う構成を採用してもよい。
(セパレータ2A)
図3は、図1に示すセパレータ2の一例を示す斜視図である。図3及び図4に示すように、セパレータ2Aは、隣接する電池セル1の間に挟まれる挾着プレート部22Aと、挾着プレート部22Aの周縁から隣接する両方の電池セル1に向かって突出する周壁26Aと、挾着プレート部22Aと隣接する電池セル1の間に配置されるシート状の断熱部材24Aとを含んでいる。
【0022】
周壁26Aは、挾着プレート部22Aから隣接する電池セル1に向けて突出しており、セパレータ2Aの両面に電池セル1を収容するための収容空間を規定している。周壁26Aは、収容空間に配置される電池セル1を保持するために、内側に複数のリブ27Aが設けられている。具体的には、周壁26Aは、対向する壁面を有しており、複数のリブ27Aが対向する壁面のそれぞれに設けられている。
【0023】
断熱部材24Aは、上述の断熱部材を用いることが好ましい。断熱部材24Aは、周壁26Aの内側に規定された収容空間に配置され、周壁26Aに設けられた複数のリブ27Aによって挟持される。なお、断熱部材24Aは、隣接する電池セル1の間に一つあればよく、セパレータ2Aに設けられる一対の収容空間のうちの少なくとも一方に配置すればよい。
【0024】
この構成によると、断熱部材24Aは、複数のリブ27Aによって保持されるため、セパレータ2Aの収容空間に電池セル1を配置する際、断熱部材24Aが位置ずれすることがなく、組立作業性を向上させることができる。
【0025】
また、以上の構成によると、断熱部材24Aは、対向する壁面に設けられた複数のリブ27Aによって、挟持されるため、周壁26Aの対向する壁面と断熱部材24Aの間に隙間が形成される。そのため、挾着プレート部22Aや電池セル1と断熱部材24Aが密着させても、毛細管現象による結露水の上昇を抑制することができるようになっている。
【0026】
(セパレータ2B)
図5は、図1に示すセパレータ2の一例を示す斜視図である。図5及び図6に示すように、セパレータ2Bは、隣接する電池セル1の間に挟まれる挾着プレート部22Bと、挾着プレート部22Bの周縁から隣接する両方の電池セル1に向かって突出する周壁26Bと、挾着プレート部22Bと隣接する電池セル1の間に配置されるシート状の断熱部材24Bとを含んでいる。
【0027】
周壁26Bは、挾着プレート部22Bから隣接する電池セル1に向けて突出しており、セパレータ2の両面に電池セル1を収容するための収容空間を規定している。周壁26Bは、収容空間に配置される電池セル1を保持するために、内側に複数のリブ27Bが設けられている。具体的には、周壁26Bは、対向する壁面を有しており、複数のリブ27Bが対向する壁面のそれぞれに設けられている。また、挾着プレート部22Bと複数のリブ27Bとの間には、隙間が形成されている。
【0028】
断熱部材24Bは、周壁26Bの内側に規定された収容空間に配置され、挾着プレート部22Bと複数のリブ27Bの間に介在する。周壁26Bの内側に規定された収容空間に配置された断熱部材24Bは、複数のリブ27Bによって変位が規制された状態で保持される。
【0029】
この構成によると、断熱部材24Bは、複数のリブ27Bによって保持されるため、セパレータ2Bの収容空間に電池セル1を配置する際、断熱部材24Bが位置ずれすることがなく、組立作業性を向上させることができる。
【0030】
(第二実施形態)
図7は、本発明の第二実施形態の電源装置200を示す斜視図である。なお、以下の説明において、第一実施形態と同様の構成要素については、同一の符号を附し、説明を省略する。第二実施形態の電源装置200は、セパレータ2と電池セル1との間に冷却隙間4が形成されるように構成されている。電池セル1は、高温になると劣化が促進されるため、電池セル1を冷却することで、電池の劣化を抑制できるように構成されている。なお、図7に例示されるように、バインドバー34は、セパレータ2と電池セル1との間に冷却隙間4に冷却風を導入できるような形状とすることが好ましい。具体的には、図7に例示される電源装置200では、一方の側面に一対のバインドバー34が設けられており、一対のバインドバー34の間に冷却隙間4の流入口が臨むように構成されている。
【0031】
(セパレータ2C)
図8および図9は、図7に示すセパレータ2の一例を示すための斜視図である。図8および図9に示すように、セパレータ2Cは、隣接する電池セル1の間に挟まれる挾着プレート部22Cと、挾着プレート部22Cの周縁から隣接する両方の電池セル1に向かって突出する周壁26Cとを有している。周壁26Cは、挾着プレート部22Cから隣接する電池セル1に向けて突出しており、セパレータ2Cの両面に電池セル1を収容するための収容空間を規定している。
【0032】
図8に示すように挾着プレート部22Cは、一方の面に複数条のリブ23Cが設けられている。複数条のリブ23Cは、隣接する電池セル1の外装缶12と当接することで、隣接するリブ23Cの間に冷却隙間4を形成する。冷却用の気体が、冷却隙間4を流れることにより、電池セル1を冷却することができる。
【0033】
セパレータ2Cは、挾着プレート部22Cのリブ23Cが設けられている面の反対側に配置される断熱部材24Cを備えている。断熱部材24Cは、上述の断熱部材を用いることが好ましい。断熱部材24Cは、セパレータ2Cの周壁26Cの内側に規定された収容空間に配置される。この状態で、電池セル1が収容空間に配置される。この構成によると、断熱部材24Cは、挾着プレート部22Cの複数条のリブ23Cが形成される面に対して反対側に位置する面に設けられるため、冷却隙間4を流れる冷却風による電池セル1の冷却を阻害することなく、隣接する電池セル1同士の伝熱を抑制することができる。
【0034】
また、図9に示すように、周壁26Cは、内側に複数のリブ27Cが設けられている。具体的には、周壁26Cは、対向する壁面を有しており、複数のリブ27Cが対向する壁面のそれぞれに設けられている。また、挾着プレート部22Cと複数のリブ27Cとの間には、隙間が形成されている。セパレータ2Cは、挾着プレート部22Cの一方の面に配置される断熱部材24Cを含んでいる。断熱部材24Cは、周壁26Cの内側に規定された収容空間に配置され、挾着プレート部22Cと複数のリブ27Cの間に介在する。周壁26Cの内側に規定された収容空間に配置された断熱部材24Cは、複数のリブ27Cによって変位が規制される。
【0035】
この構成によると、断熱部材24Cは、複数のリブ27Cによって保持されるため、セパレータ2Cの収容空間に電池セル1を配置する際、断熱部材24Cが位置ずれすることがなく、組立作業性を向上させることができる。
【0036】
以上の構成の電源装置は、外形を角形とした複数の電池セルと、隣接する電池セルを絶縁するための複数のセパレータと、複数の電池セルと複数のセパレータとを集合化する拘束部材と、を備えている。それぞれのセパレータが、隣接する電池セルの間に配置される挾着プレート部と、挾着プレート部と隣接する電池セルの間に配置されるシート状の断熱部材と、挾着プレート部から隣接する電池セルに向かって突出する周壁と、周壁の内側に設けられる複数のリブと、を含んでいる。複数のリブは、断熱部材を保持している。この構成により、セパレータは、必要な機能を維持しつつ、隣接する電池同士を断熱することができる。そのため、斯かる構成の電源装置は、電源装置の大型化を抑制しながら、隣接する電池セル同士の伝熱を抑制することができる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各々の構成要素や各々の処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0038】
1…電池セル、 12…外装缶、 14…封口体、 16…電極端子、 2、2A、2B、2C…セパレータ、 22A、22B、22C…挾着プレート部、 23C…リブ、 24A、24B、24C…断熱部材、 26A、26B、26C…周壁、 27A、27B、27C…リブ、 3…拘束部材、 32…エンドプレート、 34…バインドバー、 36…止ネジ、 4…冷却隙間、 100、200…電源装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9