(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】リニア外科用ステープラを整列かつ閉鎖するための機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2020563831
(86)(22)【出願日】2019-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2019050358
(87)【国際公開番号】W WO2019155302
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-05
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ストークス・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・ザ・サード・チェスター・オー
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン・アンドリュー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ナラガトラ・アニル・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】コーク・ジュニア・ロバート・エル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534794(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037594(US,A1)
【文献】特開昭61-098249(JP,A)
【文献】独国特許発明第03819292(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
A61B 17/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラであって、
(a)アンビル半体であって、
(i)アンビルチャネル部材と、
(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、を備える、アンビル半体と、
(b)前記アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、
(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、
(ii)前記カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材を前記カートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材の前記カートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で、移動可能である、ラッチング部材と、を備える、カートリッジ半体と、
(c)前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの一方の近位端に配置された弾性部材と、
(d)前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの他方の近位端に配置された突起部と、を備え、
前記弾性部材は、前記突起部と接触し、かつこれと解放可能に連結することによって、前記ラッチング部材が前記開放位置にある間に、前記アンビル半体の
近位端を前記カートリッジ半体の
近位端と連結するように構成されて
おり、
前記弾性部材が、基部脚部と、前記基部脚部から離れる方向に延在する直立脚部と、を有するL字型ばねを備え、
前記直立脚部は、前記基部脚部に連結した第1端部、及び、前記第1端部と反対側の第2端部を有する第1の部分と、前記第1の部分の前記第2端部に連結した第3端部、及び、前記第3端部と反対側の第4端部を有する第2の部分と、前記第2の部分の前記第4端部に連結した第5端部、及び、前記第5端部と反対側の第6端部を有する第3の部分と、前記第3の部分の前記第6端部に連結した第7端部、及び、前記第7端部と反対側の第8端部を有する第4の部分と、を備え、
前記第1の部分は、前記第1端部から前記第2端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、前記基部脚部に対して垂直に延在し、
前記第2の部分は、前記第3端部から前記第4端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、近位方向に延在し、
前記第3の部分は、前記第5端部から前記第6端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、遠位方向に延在し、
前記第4の部分は、前記第7端部から前記第8端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、前記近位方向に延在し、
前記第2の部分および前記第3の部分により、前記突起部を解放可能に捕捉するように構成された凹部が形成されている、外科用ステープラ。
【請求項2】
前記弾性部材が前記カートリッジ半体の
前記近位端に配置され、前記突起部が前記アンビル半体の
前記近位端に配置されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記弾性部材が、前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、請求項2に記載の外科用ステープラ。
【請求項4】
前記弾性部材が、前記カートリッジチャネル部材の内側基部表面に固定されている、請求項3に記載の外科用ステープラ。
【請求項5】
前記L字型ばねが前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定され、前記突起部が前記アンビルチャネル部材の近位端に固定されている、請求項
1に記載の外科用ステープラ。
【請求項6】
前記直立脚部の自由末端部は、前記突起部が前記L字型ばねに連結されたときに前記アンビルチャネル部材の内側基部表面に直面するように構成されている、請求項
5に記載の外科用ステープラ。
【請求項7】
前記アンビル半体が、前記突起部によって画定される枢動軸を中心として前記カートリッジ半体に対して枢動するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項8】
前記突起部及び前記弾性部材が一緒に連結されたときに、前記突起部が前記弾性部材に対して回転するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項9】
前記ラッチング部材が、前記カートリッジチャネル部材に枢動可能に連結されたラッチングレバーを備える、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項10】
前記アンビル半体がラッチ突起部を備え、前記ラッチングレバーが、前記ラッチ突起部を受容するように構成された細長いスロットを有するジョーを備える、請求項
9に記載の外科用ステープラ。
【請求項11】
前記アンビル半体及び前記カートリッジ半体の前記近位端が一緒に連結されている間に、前記細長いスロットが、前記ラッチングレバーの前記開放位置及び前記閉鎖位置のそれぞれにおいて前記ラッチ突起部を受容するように構成されている、請求項
10に記載の外科用ステープラ。
【請求項12】
前記アンビルチャネル部材が、前記アンビル表面を支持する遠位チャネル部分と、前記突起部を支持する近位フレーム部分とを備え、前記カートリッジチャネル部材が、
前記ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位チャネル部分と、前記弾性部材を支持する近位フレーム部分とを備える、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項13】
前記突起部が、横方向に延在するピンを含む、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項14】
外科用ステープラであって、
(a)アンビル半体であって、
(i)アンビルチャネル部材と、
(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、
(iii)前記アンビル半体の近位端に連結された枢動突起部と、を備える、アンビル半体と、
(b)前記アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、前記アンビル半体が、前記枢動突起部によって画定される軸を中心として前記カートリッジ半体に対して枢動するように構成されており、前記カートリッジ半体は、
(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、
(ii)前記カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材を前記カートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材の前記カートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で、移動可能である、ラッチング部材と、
(iii)前記カートリッジ半体の近位端に連結された保持部材であって、前記保持部材は、前記枢動突起部と接触し、かつこれを解放可能に保持することによって、前記ラッチング部材が前記開放位置にある間に、前記アンビル半体の前記近位端を前記カートリッジ半体の前記近位端と連結するように構成されている、保持部材と、を備える、カートリッジ半体と、を備え
、
前記保持部材が、基部脚部と、前記基部脚部から離れる方向に延在する直立脚部とを有するL字型ばねを備え、
前記直立脚部は、前記基部脚部に連結した第1端部、及び、前記第1端部と反対側の第2端部を有する第1の部分と、前記第1の部分の前記第2端部に連結した第3端部、及び、前記第3端部と反対側の第4端部を有する第2の部分と、前記第2の部分の前記第4端部に連結した第5端部、及び、前記第5端部と反対側の第6端部を有する第3の部分と、前記第3の部分の前記第6端部に連結した第7端部、及び、前記第7端部と反対側の第8端部を有する第4の部分と、を備え、
前記第1の部分は、前記第1端部から前記第2端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、前記基部脚部に対して垂直に延在し、
前記第2の部分は、前記第3端部から前記第4端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、近位方向に延在し、
前記第3の部分は、前記第5端部から前記第6端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、遠位方向に延在し、
前記第4の部分は、前記第7端部から前記第8端部まで、前記基部脚部から離れる方向に、且つ、前記近位方向に延在し、
前記第2の部分および前記第3の部分により、前記枢動突起部を解放可能に捕捉するように構成された凹部が形成されている、外科用ステープラ。
【請求項15】
前記枢動突起部が前記アンビルチャネル部材の近位端に固定され、前記保持部材が前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、請求項
14に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胃腸吻合術などの一部の手術では、1つ以上の組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、リニアカッティングステープラである。リニアカッティングステープラは、一般に、第1のジョーと、第2のジョーと、第1のジョーを第2のジョーに対してクランプするためのレバーと、第1のジョー又は第2のジョーのいずれかと関連するアンビルと、ステープルアンビルと対向するジョーと関連するステープルカートリッジと、リニアカッティングステープラの残りの部分に対して移動可能な発射アセンブリと、を含む。典型的には、第1のジョー及び第2のジョーは、ジョー間の組織を把持するために互いに対して枢動することができる。ステープルは、発射アセンブリの一部がステープルカートリッジを通って作動し、ステープルカートリッジから組織を通り、かつアンビルに向かってステープルを駆動する一方で、ステープルカートリッジとステープルアンビルとの間に捕捉された組織を切断するように、ステープルカートリッジ内に配置される。
【0002】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者(ら)以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下のある特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【
図1】例示の外科用ステープリング器具の斜視図である。
【
図2】
図1の外科用ステープル留め器具の分解斜視図を示す。
【
図3】
図1の外科用ステープル留め器具の分解立側面図を示す。
【
図4】
図1の外科用ステープル留め器具のステープルカートリッジアセンブリの斜視図を示す。
【
図5】
図4のステープルカートリッジアセンブリの分解図を示す。
【
図6】
図5の線6-6に沿った、
図4のステープルカートリッジの断面斜視図を示す。
【
図7】
図1の外科用ステープル留め器具のステープルスレッドアセンブリの分解図を示す。
【
図8】
図7のステープルスレッドアセンブリの斜視図を示す。
【
図9】
図1の外科用ステープル留め器具のアンビルアセンブリの斜視図を示す。
【
図10A】第1の部分及び第2の部分が互いに分離され、第2の部分のアームカバーが例示目的のために第1の部分から取り外されている、
図1の外科用ステープル留め器具の断面側面図を示す。
【
図10B】
図10Aの第1の部分及び第2の部分が開放位置で互いに連結されている、
図1の外科用器具の断面側面図を示す。
【
図10C】
図10Aの第1の部分及び第2の部分が部分閉鎖位置で互いに連結されている、
図1の外科用器具の断面側面図を示す。
【
図10D】
図10Aの第1の部分及び第2の部分が完全閉鎖位置で互いに連結されている、
図1の外科用器具の断面側面図を示す。
【
図11A】発射アセンブリが発射前位置にある、
図1の外科用器具の斜視図を示す。
【
図12】別の例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図13A】互いから分離された器具のアンビル半体及びカートリッジ半体を示している、
図12の外科用ステープル留め器具の断面側面図を示す。
【
図13B】カートリッジ半体の弾性保持部材がアンビル半体の枢動ピンを解放可能に捕捉する開放位置にある、一緒に連結された器具半体を示している、
図13Aの外科用ステープル留め器具の断面側面図を示す。
【
図14】アンビル半体の枢動ピンと解放可能に係合したカートリッジ半体の弾性保持部材を示している、
図13Bの外科用ステープル留め器具の近位端の拡大断面斜視図を示す。
【
図15】閉止位置にある一緒に連結された器具半体を示している、
図13Bの外科用ステープル留め器具の部分断面側面図を示す。
【
図16A】第1の位置に配置された器具半体を示している、器具のアンビル半体及びカートリッジ半体を一緒に連結する旋回アームを有する別の例示的な外科用ステープル留め器具の断面側面図を示す。
【
図16B】第2の位置に配置された器具半体を示している、
図16Aの外科用ステープル留め器具の断面側面図を示す。
【
図17A】第1の位置に配置された第1及び第2の半体を示している、はさみ様構成で互いに連結された第1及び第2の半体を有する別の例示的な外科用ステープル留め器具の側面立面図を示す。
【
図17B】第2の位置に配置された第1及び第2の半体を示している、
図17Aの外科用ステープル留め器具の側面立面図を示す。
【
図18A】第1の位置にある器具の第1及び第2の半体を示している、別の例示的な外科用ステープル留め器具の側面立面図を示す。
【
図18B】第2の位置にある第1及び第2の半体を示している、
図18Aの外科用ステープル留め器具の側面立面図を示す。
【0004】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0006】
本開示の明瞭さのために、「近位」、「遠位」、「上」、及び「下」という用語は、人間又はロボットである外科用器具の操作者に対して、本明細書で定義する。用語「近位」とは、人間又はロボットである外科用器具の操作者により近く、かつ、外科用器具の外科用エンドエフェクタから更に離れた要素の位置を意味する。用語「遠位」とは、外科用器具の外科用エンドエフェクタにより近く、かつ、人間又はロボットである外科用器具の操作者から更に離れた要素の位置を意味する。よって、「近位」、「遠位」、「上」、及び「下」という用語は、相対的な用語であり、本明細書に記載の発明を不必要に制限することは意図されない。
【0007】
I.例示的なリニアカッティングステープラ
A.リニアカッティングステープラの特徴の概要
図1は、胃腸吻合術などの任意の好適な処置に使用され得る例示的な外科用リニアカッティングステープラ(100)を示す。リニアカッティングステープラ(100)は、ステープルカートリッジチャネル(122)を有する第1の部分(102)と、アンビルチャネル(130)を有する第2の部分(104)と、第1の部分(102)のカートリッジチャネル(122)と選択的に連結し得るステープルカートリッジアセンブリ(150)と、発射アセンブリ(200)と、を含む。以下でより詳細に説明するように、第1の部分(102)及びステープルカートリッジアセンブリ(150)は、第2の部分(104)と枢動可能に連結して、エンドエフェクタ(120)の対向する半体の間に捕捉された組織をクランプし、切断し、かつステープル留めすることが可能なエンドエフェクタ(120)を形成できる。
【0008】
図3~
図6に最もよく見られるように、発射アセンブリ(200)は、作動ビーム(202)と、ステープルカートリッジアセンブリ(150)内に収容されたステープルスレッドアセンブリ(160)と、アクチュエータ(204)(「発射ノブ」とも呼ばれる)と、枢動アーム(206)と、を含む。作動ビーム(202)は、遠位端(201)から近位端(203)に延在している。作動ビーム(202)は、第1の部分(102)内に摺動可能に収容されている。枢動アーム(206)は、アクチュエータ(204)を作動ビーム(202)の遠位端(201)と接続する。アクチュエータ(204)及び枢動アーム(206)は、近位位置(
図1に示される)から作動ビーム(202)(
図11Aに示される)のいずれかの外側部へ枢動でき、それによって、部分(102、104)が適切に連結され、かつエンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にあるときに、操作者が、器具(100)の第1の側面(116)又は第2の側面(117)のいずれかから発射アセンブリ(200)を作動させることを可能にする。器具(100)が適切に連結され、かつエンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にあるとき、第1の部分(102)及び第2の部分(104)は、アクチュエータ(204)の並進に適応するように寸法決めされたスロット(118)を画定することを理解されたい。この例では、以下でより詳細に説明されるように、ステープルカートリッジアセンブリ(150)が第1の部分(102)と好適に連結されているときに、アクチュエータ(204)が、器具(100)の第1の側面(116)又は第2の側面(117)に沿って摺動することによって、作動ビーム(202)及びステープルスレッドアセンブリ(160)を、カートリッジアセンブリ(150)を通って遠位に駆動して器具(100)を発射するように、作動ビーム(202)は、ステープルスレッドアセンブリ(160)と連結するように動作可能である。
【0009】
この例では、アクチュエータ(204)は、作動ビーム(202)を駆動するために器具(100)のいずれかの側面(116、117)に枢動するように構成されているが、これは、アクチュエータ(204)が、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかな任意の手段によって、第1の部分(102)又は第2の部分(104)と摺動可能に連結できるため、単に任意選択にすぎない。1つの例では、エンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にあるときにアクチュエータ(204)が枢動できないように、アクチュエータ(204)は、第1の側面(116)又は第2の側面(117)と完全に関連付けられてもよい。別の例では、器具(100)が2つのアクチュエータ(204)を含んでもよいように、第1の側面(116)及び第2の側面(117)の両方に位置付けられたアクチュエータ(204)が存在してもよい。
【0010】
図3に見られるように、第1の部分(102)は、第1の近位フレーム(110)と、ステープルカートリッジチャネル(122)と、ラッチングレバー(180)と、を含む。第1の近位フレーム(110)は、近位端(103)からステープルカートリッジチャネル(122)内へ遠位に延在する。この例では、第1の近位フレーム(110)及びステープルカートリッジチャネル(122)は、一体構造を有する細長いカートリッジチャネル部材を画定するように一体的に形成される。ラッチングレバー(180)は、ピン(182)を介してステープルカートリッジチャネル(122)又は第1の近位フレーム(110)のいずれかに枢動可能に連結される。第1の近位フレーム(110)は、操作者が好適な処置を行う間に器具(100)を制御できるように、十分な把持性をもたらすように構成されたハンドルカバー(108)と連結されてもよい。ハンドルカバー(108)は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかとなるように、任意の好適な手段によって第1の近位フレーム(110)と連結してよい。あるいは、ハンドルカバー(108)は、第1の近位フレーム(110)と一体的に連結されてもよく、又は更には省略されてもよい。
【0011】
第1の近位フレーム(110)は、発射アセンブリ(200)の作動ビーム(202)を摺動可能に収容するチャネルを画定する。近位端(103)は、1つ以上の側方ピン又は突起部(111)を含む。突起部(111)は、第1及び第2の部分(102、104)をまず枢動可能に連結するために、第2の部分(104)の溝(115)を受容するように構成されている。この例では、突起部(111)は、ポスト(107)を介して第1の近位フレーム(110)の残りの部分から隆起しているが、これは単に任意選択にすぎない。例えば、突起部(111)は、第1の近位フレーム(110)の側壁を横切って横方向に延在する単一のピンを含んでもよい。当然ながら、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであるように、第1の部分(102)と第2の部分(104)をまず枢動可能に連結する任意の好適な手段が使用され得る。
【0012】
簡潔に上述したように、ステープルカートリッジチャネル(122)は、第1の近位フレーム(110)から遠位に延在する。
図2に見られるように、ステープルカートリッジチャネル(122)は、ステープルカートリッジアセンブリ(150)と選択的に連結及び分離するように寸法決めされる。ステープルカートリッジチャネル(122)は、底壁(126)と、底壁(126)の対向する端部から延在する2つの対向する側壁(124)と、を含む。壁部(124、126)は、
図4に見られるように、ステープルカートリッジアセンブリ(150)の少なくとも一部を受容するように寸法決めされる。更に、側壁(124)は、ステープルカートリッジアセンブリ(150)の近位端によって画定される連結切り欠き部(140)を受容するように構成された、内側に延在する横方向突起部(図示せず)を含む。連結切り欠き部(140)は、操作者がステープルカートリッジアセンブリ(150)をステープルカートリッジチャネル(122)に選択的に着脱できるように、側壁(124)の内向きに延在する横方向突突起部(図示せず)とスナップ嵌め又はプレス嵌めするように寸法決めされてもよい。連結切り欠き部(140)及び内向きに延在する横方向突起部(図示せず)を使用して、ステープルカートリッジアセンブリ(150)をステープルカートリッジチャネル(122)と選択的に連結するが、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の他の好適な連結手段を使用してもよい。ステープルカートリッジチャネル(122)の側壁(124)はまた、ノッチ又は凹部(127)をそれぞれ画定するサイドフランジ(128)を含む。凹部(127)は、エンドエフェクタ(120)が第1の部分(102)に対して完全閉鎖位置にあるように(
図10Dに示すように)第2の部分(104)が枢動するときに、第2の部分(104)のラッチ突起部(131)を受容するように寸法決めされる。
【0013】
簡潔に上述したように、ラッチングレバー(180)は、枢動ピン(182)を介して第1の部分(102)の残りの部分に枢動可能に連結される。ラッチングレバー(180)は、近位延在アーム(184)と、遠位ラッチ本体(188)と、を含む。近位延在アーム(184)は、遠位ラッチ本体(188)が第2の部分(104)を係合し、第1の部分(102)に向かって枢動させ、エンドエフェクタ(120)を部分閉鎖位置(
図10Cに示すように)から完全閉鎖位置(
図10Dに示すように)まで並進させ得るように、ピン(182)の周りを第1の近位フレーム(110)に向かって枢動し、遠位ラッチ本体(188)をステープルカートリッジチャネル(122)に向かって枢動させてよい。
【0014】
近位延在アーム(184)は、操作者が好適な処置を行う間にアーム(184)を把持できるように、十分な把持性をもたらすためのアームカバー(186)と連結されてもよい。アームカバー(186)は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかとなるように、任意の好適な手段によって近位延在アーム(184)と連結されてよい。あるいは、アームカバー(186)は、近位延在アーム(184)と一体的に連結されてもよく、又は更には省略されてもよい。
【0015】
遠位ラッチ本体(188)は、一対のフック(189)(又は「ジョー」)を含む。遠位ラッチ本体(188)はまた、フック(189)に対して近位に位置する対応する一対のラッチ切り欠き部(185)を画定する。以下でより詳細に説明するように、各フック(189)は、第2の部分(104)の対応するラッチ突起部(131)とまず接触し、次いで捕捉するように寸法決めされ、これにより、遠位ラッチ本体(188)は、各ラッチ突起部(131)の少なくとも一部の周囲に巻き付いて、第2の部分(104)を第1の部分(102)に向かって更に枢動させることができる。以下で更に詳細に説明するように、エンドエフェクタ(120)が第1の部分(102)に対して閉鎖位置にあるときに、各ラッチ切り欠き部(185)は、それぞれのラッチ突起部(131)を受容するように寸法決めされる。
【0016】
図4~
図6に最もよく見られるように、ステープルカートリッジアセンブリ(150)は、カートリッジ本体(152)と、パン(154)と、それぞれがそれぞれのステープル(171)を駆動するように構成された複数のステープルドライバ(168)と、を含む。カートリッジ本体(152)は、複数のステープル空洞(151)、スロット(156)、及び連結切り欠き部(140)を画定する。ステープルドライバ(168)及びそれぞれのステープル(171)は、対応するステープル空洞(151)内に摺動可能に収容される。第1の部分(102)及び第2の部分(104)が一緒に連結されると、ステープルカートリッジアセンブリ(150)及びステープルカートリッジチャネル(122)は、エンドエフェクタ(120)の一部を形成する。以下でより詳細に説明するように、ステープルスレッドアセンブリ(160)がカートリッジアセンブリ(150)を通って作動して、エンドエフェクタ(120)の2つの半体の間に捕捉された組織を同時に切断及びステープル留めできるように、ステープルカートリッジアセンブリ(150)は、発射アセンブリ(200)のステープルスレッドアセンブリ(160)を収容又は受容するように構成される。
【0017】
上述したように、操作者がステープルカートリッジアセンブリ(150)をステープルカートリッジチャネル(122)に選択的に着脱できるように、カートリッジ本体(152)の連結切り欠き部(140)は、ステープルカートリッジチャネル(122)の側壁(124)の内向きに延在する横方向突起部(図示せず)とスナップ嵌めするように寸法決めされてもよい。カートリッジ本体(152)は、遠位ノーズ部(153)を含む。ステープルカートリッジアセンブリ(150)がカートリッジチャネル(122)と適切に連結されているとき、遠位ノーズ部(153)は、カートリッジチャネル(122)から遠位に延在して非外傷性先端部を提供することができる。
【0018】
更に、カートリッジ本体(152)は、ステープルデッキ(158)を含む。ステープル空洞(151)が、カートリッジ本体(152)の内部からステープルデッキ(158)の開放端部に向かって延在するように、ステープルデッキ(158)はステープル空洞(151)を部分的に画定する。ステープル空洞(151)はそれぞれ、対応するステープルドライバ(168)及びステープル(171)を収容する。同様に、ステープルデッキ(158)は、カートリッジ本体(152)の内部からステープルデッキ(158)の開放端部に向かって延在するスロット(156)を部分的に画定する。ステープルスレッドアセンブリ(160)がカートリッジ本体(152)を通って遠位に摺動する際に切断部材(164)が組織を切断できるように、スロット(156)は、スレッド本体(162)の一部及びステープルスレッドアセンブリ(160)の切断部材(164)を摺動可能に受容するように寸法決めされる。
【0019】
パン(154)は、可撓性アーム(155)を含んでもよい。パン(154)がスナップ嵌め又はプレス嵌め関係でカートリッジ本体(152)と連結することができるように、可撓性アーム(155)はカートリッジ本体(152)を係合するように構成されてもよい。ステープルドライバ(168)及びステープル(171)がそれぞれのステープル空洞(151)内に挿入された後、パン(154)はカートリッジ本体(152)と連結することができる。したがって、パン(154)は、ステープルドライバ(168)のフロア部として機能し得る。
【0020】
この例では、カートリッジ本体(152)は、ステープルカートリッジアセンブリ(150)の近位端付近に位置するスレッドアセンブリハウジング(170)を含む。スレッドアセンブリハウジング(170)は、発射アセンブリ(200)のステープルスレッドアセンブリ(160)を最初に収容するように構成されている。スレッドアセンブリハウジング(170)は、遠位に面する開口部を有する空洞(174)を画定する本体(172)を含む。本体(172)及び空洞(174)は、発射前にスレッドアセンブリ(160)の切断部材(164)を収容するように寸法決めされているため、切断部材(164)のシースとして作用する。発射されると、切断部材(164)は、空洞(174)の遠位に面する開口部を介してスレッドアセンブリハウジング(170)から出ることができる。
【0021】
図7及び
図8で最もよく分かるように、スレッドアセンブリ(160)は、スレット本体(162)と、切断部材(164)と、を含む。切断部材(164)は、切断縁部(165)と、ロックアーム(166)と、を含む。スレッド本体(162)は、切り欠き部(161)及びスロット(163)を画定する。切断部材(164)及びスレッド本体(162)が一緒に作動し得るように、スロット(163)は、切断部材(164)の一部を受容するように寸法決めされる。切断部材(164)は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるように、スロット(163)との締まりばめ(inference fit)、接着剤の使用、又は任意の他の好適な方法により、スレッド本体(162)と連結することができる。あるいは、切断部材(164)は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであるように、一体的接続、溶接などの任意の好適な方法によってスレッド本体(162)と連結してもよい。切り欠き部(161)は、ステープルカートリッジアセンブリ(150)がステープルカートリッジチャネル(122)に適切に取り付けられたときに、作動ビーム(202)の遠位端(201)と連結するように寸法決めされる。したがって、適切に連結されると、作動ビーム(202)は、スレッドアセンブリ(160)をカートリッジ本体(152)を通って長手方向に駆動することができる。作動ビーム(202)は、例示的な使用中にスレッドアセンブリ(160)と連結されるため、作動ビーム(202)はまた、カートリッジ本体(152)によって画定されるスロット(156)内で摺動するように寸法決めされることを理解されたい。
【0022】
スレッド本体(162)はまた、カートリッジ本体(152)のステープル空洞(151)を通過するそれぞれの細長い溝(図示せず)内で長手方向に摺動するように寸法決めされた複数のカム表面(167)を含む。具体的には、カム表面(167)は、ステープルドライバ(168)をステープルデッキ(158)に向かって作動させるために、ステープル空洞(151)内のステープルドライバ(168)の傾斜面(169)と係合し、そこに対してカム作用するように構成されている。次いで、ステープルドライバ(168)は、対応するステープル(171)をステープル空洞(151)を通ってステープルデッキ(158)から離れるように駆動する。
【0023】
上述したように、ステープルスレッドアセンブリ(160)は、ステープルカートリッジアセンブリ(150)がステープルカートリッジチャネル(122)と好適に連結されたときに、発射アセンブリ(200)の残りの部分と連結するように構成される。この例では、発射アセンブリ(200)のステープルスレッドアセンブリ(160)は、カートリッジアセンブリ(150)が使用され廃棄された後にステープルスレッドアセンブリ(160)であるように、カートリッジアセンブリ(150)と関連付けられる。したがって、追加のカートリッジアセンブリ(150)がステープルカートリッジチャネル(122)内に装填されると、新しいステープルスレッドアセンブリ(160)が存在する。ただし、これは単に任意選択的である。例えば、ステープルスレッドアセンブリ(160)は、同じステープルスレッドアセンブリ(160)が複数のステープルカートリッジアセンブリ(150)と共に複数回使用され得るように、発射アセンブリ(200)の残りの部分に固定されるか、ないしは別の方法で連結されてもよい。このような例では、カートリッジ本体(152)は、スレッドアセンブリハウジング(170)を必要としない。ステープルスレッドアセンブリ(160)を、ステープルカートリッジアセンブリ(150)、ステープルカートリッジチャネル(122)、又は第1の近位フレーム(110)のいずれかに組み込むことができる様々な方法が、本明細書の教示を考慮して当業者に明らかになるであろう。
【0024】
図2及び
図3に示されるように、器具(100)の第2の部分(104)は、第2の近位フレーム(114)と、アンビルチャネル(130)と、ラッチ突起部(131)と、アンビルチャネル(130)に沿って配置され、かつそれによって支持され、アンビルプレート(134)の形態で示されている、アンビル方面と、を含む。第2の近位フレーム(114)は、アンビルチャネル(130)内の溝(115)を画定する近位端から延在する。この例では、第2の近位フレーム(114)及びアンビルチャネル(130)は、一体構造を有する細長いアンビルチャネル部材を画定するように一体的に形成される。第2の近位フレーム(114)は、操作者が好適な処置を行う間に器具(100)を制御できるように、十分な把持性をもたらすように構成されたハンドルカバー(112)と連結されてもよい。ハンドルカバー(112)と第2の近位フレーム(114)は、本明細書の教示を考慮して当業者に明らかとなるように、任意の好適な手段によって互いに連結されてもよい。あるいは、ハンドルカバー(112)は、第2の近位フレーム(114)と一体的に連結されてもよく、又は更には省略されてもよい。第2の近位フレーム(114)はまた、エンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にあるとき(
図10Dに示すように)、発射アセンブリ(200)の部分が第1の部分(102)及び第2の部分(104)に対して作動できるように構成されたチャネルを画定してもよい。
【0025】
第2の部分(104)は、遠位ノーズ部(139)内で遠位に終端する。遠位ノーズ部(153)は、非外傷性先端部を提供するために、アンビルチャネル(130)から遠位に延在してもよい。
図9に示されるように、アンビルプレート(134)の近位端は、第1の部分(102)及び第2の部分(104)が互いに向かって枢動するとき、スレッドアセンブリハウジング(170)を受容するように寸法決めされた凹部(179)を画定する。以下でより詳細に説明するように、ラッチ突起部(131)は、アンビルチャネル(130)から横方向に離れる方向に延在し、遠位ラッチ本体(180)と相互作用して、アンビルプレート(134)をステープルカートリッジアセンブリ(150)に向かって引き寄せるように寸法決めされる。
【0026】
アンビルプレート(134)は、複数のステープル成形ポケット(132)及びスロット(133)を画定する。ステープル成形ポケット(132)は、アンビルチャネル(130)がステープルカートリッジチャネル(122)に向かって完全閉鎖位置へと枢動するときに、各ステープル成形ポケット(132)が対応するステープル空洞(151)と整列するように、アンビルプレート(134)に沿って位置付けられる(
図1、
図10D、及び
図11A~
図11Bに示される)。したがって、スレッド本体(162)のカム表面(167)が、上記説明に従ってステープルドライバ(168)を作動させると、ステープル(171)は、ステープル空洞(151)を通ってステープルデッキ(158)から離れるように、組織を通り、かつ対応するステープル成形ポケット(132)に向かって駆動され、これにより、好適に組織をステープル留めするため、ステープル(171)は、概ね「U」字形から概ね「B」字型に変換される。スロット(133)は、アンビルチャネル(130)が完全閉鎖位置へと枢動されるとき、ステープルカートリッジアセンブリ(150)のスロット(156)と横方向に整列するように寸法決めされる(
図1、
図10D、
図11A~
図11Bに示される)。スロット(133)は、例示的な使用中に切断部材(164)がアンビルプレート(134)とステープルデッキ(158)との間に捕捉された組織を切断できるように、ステープルスレッドアセンブリ(160)がステープルカートリッジアセンブリ(150)を通して駆動されると、切断部材(164)の一部を摺動可能に受容するように寸法決めされる。
【0027】
図9で最も良く分かるように、この例の器具(100)の第2の部分(104)は、ステープル高さ調整機構(136)を更に含む。調整機構(136)は、例えば1つ以上のカム機構(図示せず)を介してアンビルプレート(134)と動作可能に連結され、一対のユーザーにより係合可能な突起部(138)を含む。調節機構(136)は、アンビルプレート(134)をアンビルチャネル(130)に対して上方に又は下方にするために、2つ以上の長手方向位置の間でアンビルチャネル(130)に対して選択的に移動可能であり、それによって、第1及び第2の器具部分(102、104)が完全閉鎖位置で一緒に連結されるときに、アンビルプレート(134)とステープルデッキ(158)との間の間隙距離(又は「組織間隙」)を調節する。より大きな間隙距離、したがってより長いステープル高さが、より厚い組織をステープル留めするために提供され得る。同様に、より小さい間隙距離、したがってより短いステープル高さが、より薄い組織をステープル留めするために提供され得る。ステープル高さ調節機構(136)は単に任意選択にすぎず、別の形態においては省略され得ることが理解されよう。器具(100)のいくつかの変形形態では、アンビルプレート(134)の形態で示されるアンビル表面は、アンビルチャネル(130)に対して固定されてもよい。例えば、アンビル表面は、アンビルチャネル(130)と一体的に形成されてもよい。そのような形態では、アンビル表面は、依然としてアンビルチャネル(130)によって「支持される」ことが理解されるであろう。
【0028】
外科用リニアカッティングステープラ(100)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題する米国特許第7,905,381号、2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題する米国特許第7,954,686号、2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題する米国特許第8,348,129号、及び、2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengageable Cutting Member」と題する米国特許第8,789,740号の1つ以上の教示に従って更に構成され、操作可能であり得る。これらの参考文献のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
B.リニアカッティングステープラの例示的な使用
図10A~
図11Bは、リニアカッティングステープラ(100)の例示的な使用を示す。具体的には、
図10A~
図10Dは、エンドエフェクタ(120)が開放位置(
図10B)から部分的閉鎖位置(
図10C)、最後に完全閉鎖位置(
図10D)へと移行するような、第1の部分(102)の第2の部分(104)との例示的な結合と、第1の部分(102)と第2の部分(104)の枢動を示す。
図11A~
図11Bは、エンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にあるときの器具(100)の例示的な発射を示す。
【0030】
図10Aは、第2の部分(204)から完全に取り外された第1の部分(102)を示す。更に、ステープルカートリッジアセンブリ(150)は、上記説明に従ってステープルカートリッジチャネル(122)に好適に取り付けられる。胃腸吻合中などの処置中の時点で、操作者は、組織の内腔がアンビルプレート(134)及びカートリッジアセンブリ(150)の両方と適切に関連付けられるように、第2の部分(104)及びカートリッジアセンブリ(150)のそれぞれの遠位ノーズ部(139、153)の上に、かつそれを越えて組織の内腔を配置することを望む場合がある。この時点で、操作者は、第1の部分(102)を第2の部分(104)とまず枢動可能に連結する準備において、第2の部分(104)の溝(115)を第1の部分(102)の対応する横方向突起部(111)と整列させることができる。
【0031】
次に、
図10Bに示されるように、操作者は、第1の部分(102)及び第2の部分(104)が枢動可能に連結されるが、エンドエフェクタ(120)は開放位置にあるように、横方向突起部(111)を対応する溝(115)に挿入することができる。第1の部分(102)及び第2の部分(104)は、横方向突起部(111)によって画定される軸を中心に互いに対して枢動することができる。この時点で、ラッチングレバー(180)は、第2の部分(104)のいかなる部分とも接触していない。加えて、ラッチングレバー(180)は、近位延在アーム(184)が第1の近位フレーム(110)から離れるように枢動するように、開放位置にある。
【0032】
次に、
図10Cに示されるように、操作者は、まずアンビルチャネル(130)及びアンビルプレート(134)をカートリッジチャネル(122)及びステープルカートリッジアセンブリ(150)に向かって枢動させ、フック(189)がまずラッチ突起部(131)に接触するようにラッチングレバー(180)を部分的に枢動させることができる。この時点で、エンドエフェクタ(120)は、部分閉鎖位置にある。
図10C~
図10Dに最もよく示されるように、フック(189)がまずラッチ突起部(131)に接触した後、操作者は、近位延在アーム(184)を第1の近位フレーム(110)に向かって更に回転させて、遠位ラッチ本体(188)により、ラッチ突起部(131)を遠位ラッチ本体(188)の表面に沿ってラッチ切り欠き部(185)に向かって駆動することができる。ラッチ突起部(131)がラッチ切り欠き部(185)に向かって駆動されると、アンビルチャネル(130)及びアンビルプレート(134)は、エンドエフェクタ(120)が閉鎖位置にあるように、カートリッジチャネル(122)及びステープルカートリッジアセンブリ(150)に向かって更に回転する。更に、ラッチ突起部(131)はまた、各ラッチ突起部(131)がそれぞれのラッチ切り欠き部(185)と凹部(127)との組み合わせによって包囲され、エンドエフェクタ(120)を閉鎖位置内に効果的にラッチ留めするように、ステープルカートリッジチャネル(122)の凹部(127)に向かって駆動される。ラッチ切り欠き部(185)及び凹部(127)は、エンドエフェクタ(120)は完全閉鎖位置にある間、ラッチ突起部(131)及び枢動ピン(182)が、器具(100)の長手方向軸と実質的に垂直である縦軸(VA)に沿って延在するように、ラッチ突起部(131)と連動するように寸法決めされてもよい。これは、好適な使用中に、閉鎖力向上のための機械的利点を提供し得る。
【0033】
図11A~
図11Bは、エンドエフェクタ(120)が完全閉鎖位置にある状態の器具(100)の例示的な発射を示す。
図11Aで最も良く分かるように、操作者は、アクチュエータ(204)を器具(100)のいずれかの側面(116、117)に枢動させることができる。この例では、アクチュエータ(204)は、器具(100)の第2の側面(117)に枢動されている。次に、操作者は、アクチュエータ(204)をスロット(118)内のエンドエフェクタ(120)に向かって遠位に押し、作動ビーム(202)及びスレッド(160)を発射することによって、上記説明に従って、ステープル留めデッキ(158)とアンビルプレート(134)との間に捕捉された組織をステープル留めし、切断することができる。器具(100)が発射されると、操作者はアクチュエータ(204)を
図11Aに示す位置まで近位に戻し、次いでアクチュエータ(204)を
図1に示す位置に戻すように回転させることができる。次いで、操作者は、ラッチングレバー(180)を枢動し、近位延在アーム(184)が第1の近位フレーム(110)から離れるように枢動して、エンドエフェクタ(120)を完全閉鎖位置から部分的閉鎖位置へと開くようにすることができる。操作者は、ラッチングレバー(180)を更に枢動させて、遠位ラッチ本体(188)がラッチ突起部(131)を捕捉しないようにしてもよい。次いで、操作者は、所望する場合、第1の部分(102)及び第2の部分(104)を互いに分離し、ステープルカートリッジアセンブリ(150)を交換することができる。
【0034】
II.弾性保持部材を有する例示的なリニアカッティングステープラ
図10A~
図10Cに関連して上述したように、第1及び第2のステープラ部分(102、104)の近位端は互いに整列していなければならず、ラッチングレバー(180)のフック(189)は、エンドエフェクタ(120)で組織をクランプする準備ができた状態でステープラ(100)を配置するために、第2のステープラ部分(104)のラッチ突起部(131)と部分的に連結されなければならない。しかしながら、第1及び第2のステープラ部分(102、104)を最初に結合するこのプロセスは、操作者の両手の使用を必要とし、したがって、ラッチ突起部(131)に係合する前に、ステープラ部分(102、104)に対して組織を同時に位置付けることが困難になる。いくつかの場合において、このステップを容易にするために助手の助けが必要とされる。
【0035】
多くの例では、操作者がステープラを保持するための片方の手と、ステープラに対して組織を位置付けるためのもう片方の手とを使用して、助手の助けなしで組織に対してステープラを位置付けることが、操作者にとって望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラ(300)は、ラッチングレバーが完全開放位置にある間に、第1及び第2のステープラ半体の近位部分が一緒に連結されたままにできる機構を含む。この構成が、操作者は、片方の手で組織に対してステープラを適切に操作する一方で、もう片方の手をステープラに対して組織を操作するために残しておくことを可能にする。
【0036】
A.例示的なリニアカッティングステープラの概説
図12~
図15は、以下に別途説明するものを除き、リニアカッティングステープラ(100)と同様の、別の例示的なリニアカッティングステープラ(300)を示す。ステープラ(300)は、カートリッジ半体(302)と、共に解放可能に連結するように構成されたアンビル半体(304)とを含む。カートリッジ半体(302)は、カートリッジチャネル部材(306)の遠位端を画定する遠位チャネル部分(308)と、カートリッジチャネル部材(306)の近位端を画定する近位フレーム部分(310)とを有する細長いカートリッジチャネル部材(306)を含む。遠位チャネル部分(308)は、上述のステープルカートリッジアセンブリ(150)と同様であり得るステープルカートリッジ(312)を受容するように構成されている。近位フレーム部分(310)は、発射アセンブリ(図示せず)の構成要素を摺動可能に保持するように構成され、これは上述の発射アセンブリ(200)と同様であり得る。
【0037】
図13Aで最も良く分かるように、カートリッジチャネル部材(306)は、遠位チャネル部分(308)と近位フレーム部分(310)との間の中間に配置された第1の対の直立するサイドフランジ(314)を更に含む。各中間サイドフランジ(314)は、カートリッジチャネル部材(306)の長手方向軸に対して横方向に延在し、アンビル半体(304)に面するカートリッジ半体(302)の側部に開口する、スロット(316)を含む。第2の対の直立するサイドフランジ(318)は、近位フレーム部分(310)の近位端に配置される。中間サイドフランジ(314)と同様に、各近位サイドフランジ(318)は、アンビル半体(304)に面するカートリッジ半体(302)の側面に開口する横方向に延在するスロット(320)を含む。この例では、各近位横方向スロット(320)は、以下に説明するように、結合中にカートリッジ半体(302)の近位端とアンビル半体(304)の近位端との整列を容易にするフレア状開口部を含む。
【0038】
カートリッジ半体(302)は、中間サイドフランジ(314)に対応するカートリッジチャネル部材(306)の中間部分に配置されたラッチ枢動ピン(324)によって、カートリッジチャネル部材(306)に枢動可能に連結されたラッチングレバー(322)を更に含む。この例では、ラッチ枢動ピン(324)は、
図13Aに示されるように、中間サイドフランジ(314)の横方向スロット(316)とほぼ整列される。ラッチングレバー(322)は、
図12に最も良く見られるように、細長いレバーアーム(326)と、レバーアーム(326)から遠位に延在し、かつアンビル半体(304)に向かって湾曲する一対の対向ジョー(328)と、を含む。各ジョー(328)は、以下に記載されるように、アンビル半体(304)の対応するラッチ突起部を受容するように構成された細長いスロット(330)を含む。各ジョースロット(330)は、閉鎖近位端と、対応するラッチ突起部を受容するように構成された開放遠位端とを有する。加えて、各ジョースロット(330)は、閉鎖近位端から遠位方向に延在する直線状近位スロット部分(332)と、近位スロット部分(332)から遠位方向に、かつそれに対して角度をなして延在し、ジョースロット(330)の開放遠位端で開口する直線状遠位スロット部分(334)と、を含む。上記のラッチングレバー(180)と同様に、ラッチングレバー(322)は、カートリッジチャネル部材(306)に対して枢動して、アンビル半体(304)をカートリッジ半体(302)に対して選択的にクランプするように構成されている。以下に説明するように、ラッチングレバー(322)は、ラッチングレバー(322)がカートリッジ半体(302)に対するアンビル半体(304)の移動を可能にする開放位置(
図12~
図13B参照)と、ラッチングレバー(322)がカートリッジ半体(302)に対してアンビル半体(304)を固定する閉鎖位置(
図15参照)との間で、カートリッジチャネル部材(306)に対して枢動可能である。
【0039】
図13Aに最も良く見られるように、リニアカッティングステープラ(300)のアンビル半体(304)は、遠位チャネル部分(342)及び近位フレーム部分(344)を有する細長いアンビルチャネル部材(340)を含む。遠位チャネル部分(342)は、ポケット(132)と同様の複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(346)の形態で示されるアンビル表面を支持し、更には、アンビル半体(304)の遠位端を画定する遠位先端部材(348)を支持する。ステープラ(300)の他の変形形態では、アンビル表面は、遠位チャネル部分(342)と一体的に形成されてもよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてもよい。そのような変形形態では、アンビル表面は、依然として遠位チャネル部分(342)によって「支持される」ことが理解されるであろう。近位フレーム部分(344)は、アンビルチャネル部材(340)の近位端を画定し、近位端において横方向に延在する枢動ピン(350)を支持する。以下に説明するように、アンビルチャネル部材(340)は、枢動ピン(350)によって画定される軸を中心としてカートリッジチャネル部材(306)に対して枢動するように構成されている。アンビルチャネル部材(340)は、遠位チャネル部分(342)と近位フレーム部分(344)との間の中間に配置された一対の直立するサイドフランジ(352)を更に含む。一対のラッチ突起部は、アンビルプレート(346)の近位端の近位にあるサイドフランジ(352)を通って横方向に延在するラッチピン(354)の形態で示される構造体によって画定される。他の形態では、ステープラ(300)のラッチ突起部は、ステープラ(100)のラッチ突起部(131)と同様であってもよい。
【0040】
この例では、第1のハンドルカバー(360)は、ラッチングレバー(322)のレバーアーム(326)に連結され、第2のハンドルカバー(362)は、アンビルチャネル部材(340)の近位フレーム部分(344)に連結されている。図示されていないが、カバー(108)と同様の追加のカバーが、カートリッジチャネル部材(306)の近位フレーム部分(310)に連結されてもよい。カバー(360、362)は、使用中に操作者がステープラ(300)をしっかりと把持するのを容易にするように構成されている。上述したステープラ(100)の様々な他の特徴部がステープラ(300)にも組み込まれ得ることが理解されるであろう。
【0041】
図14で最も良く分かるように、カートリッジ半体(302)は、カートリッジ半体(302)の近位端に配置されたL字型保持ばね(370)の形態で示される保持部材を更に含む。以下に説明するように、保持ばね(370)は、アンビル半体(304)の枢動ピン(350)に接触して解放可能に捕捉し、それによって、
図13Bに示されるように、ラッチングレバー(322)がその開放位置に留まる間であっても、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)の近位端に連結するように構成されている。保持ばね(370)は、カートリッジチャネル部材(306)の近位端で内側基部表面(311)にしっかりと固定された基部脚部(372)と、基部脚部(372)から離れてアンビル半体(304)に向かう方向に垂直に延在する直立脚部(374)と、を含む。この例では、直立脚部(374)は、保持ばね(370)がアンビル半体(304)の枢動ピン(350)と連結されているときに、アンビルチャネル部材(340)の内側基部表面(345)に直面するように構成された自由端(376)で終端する。加えて、直立脚部(374)は、カートリッジチャネル部材(306)の近位フランジスロット(320)と整列して位置付けられる。
【0042】
保持ばね(370)の直立脚部(374)は、枢動ピン(350)を内部に解放可能に受容するように構成された遠位開口凹部(378)を画定する屈曲構成を備える。使用時には、直立脚部(374)は、その基部脚部(372)に対して近位方向に弾性的に曲げることによって、
図14に見られるように、枢動ピン(350)を凹部(378)内に受容して保持し、これにより、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)の近位端を解放可能に連結するように構成されている。この例では、直立脚部(374)の自由端(376)は、以下に記載されるように、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)の近位端が一緒になったときに、枢動ピン(350)に初めて触れると、直立脚部(374)の近位側への曲げを促進するように近位方向に掃き出される。この例では、保持ばね(370)がカートリッジチャネル部材(306)に固定され、枢動ピン(350)がアンビルチャネル部材(340)に固定されているが、他の例では、逆の構成が提供されてもよい。
【0043】
B.リニアカッティングステープラの半体を連結する例示的な方法
図13Aは、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)が互いに分離され、互いに連結するために整列して配置されており、ラッチングレバー(322)は、開放位置でカートリッジチャネル部材(306)から離れるように枢動されている。レバー(322)のこの開放位置では、ジョー(328)は、それらの細長いスロット(330)の開放遠位端がラッチピン(354)の対向する端部と整列して位置付けられるように向けられる。加えて、アンビル半体(304)の枢動ピン(350)は、カートリッジチャネル部材(306)の近位フランジスロット(320)と整列して位置付けられる。
【0044】
図13B及び
図14に示されるように、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)の近位端は一緒になり、アンビルチャネル部材(340)の近位端がカートリッジチャネル部材(306)の近位サイドフランジ(318)間に受容され、近位枢動ピン(350)が近位フランジスロット(320)に向けられる。カートリッジチャネル部材(306)の近位フランジスロット(320)に入ると、枢動ピン(350)は、保持ばね(370)の掃き出された自由端(376)に係合し、ばね(370)の直立脚部(374)を近位に曲げる。次に、枢動ピン(350)が保持ばね(370)の凹部(378)内に受容されて捕捉され、それによって、カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)の近位端を一緒に連結する。一方、
図13Bに示すように、ラッチングレバー(322)は、アンビル半体(304)が近位枢動ピン(350)によって画定される枢動軸を中心にしてカートリッジ半体(302)に対して枢動できるように、開放位置に留まる。関連して、枢動ピン(350)は、保持ばね(370)の凹部(378)内で回転することが可能である。加えて、ラッチングレバー(322)が開放位置にある状態で、ラッチピン(354)の対向する端部は、ジョースロット(330)の開放遠位端内に受容される。
【0045】
上述のように、アンビル半体(304)の近位枢動ピン(350)がカートリッジ半体(302)の保持ばね(370)と連結されるとき、ばね(370)の直立脚部(374)は、枢動ピン(350)に遠位方向に向けられたばね力を加えるように構成されている。このばね力は、操作者が半体(302、304)を意図的に分離するために、器具半体(302、304)に最低限の横断方向分離力を加えることがないかぎり、器具半体(302、304)の近位端を一緒に連結した状態に保つのに十分である。保持ばね(370)は任意の好適な剛性を備え、器具半体(302、304)に選択した最低限の横断方向分離力を加えると、直立脚部(374)が近位方向に曲がって枢動ピン(350)を凹部(378)から解放し、それによって器具半体(302、304)の分離が可能にする。有利には、この構成により、操作者が、半体(302、304)がその近位端で一緒に連結されると、片手でステープラ(300)を操作し、一方で、ステープルカートリッジ(312)及びアンビルプレート(346)に対して組織を位置付けるために、もう片方の手を残しておくことができる。半体(302、304)の近位端が一緒に連結されたままであるため、レバージョー(328)はラッチピン(354)と適切に整列したままであり、操作者は、組織がステープラ(300)に対して適切に位置付けられると、ラッチングレバー(322)を片手で簡単に閉じることができる。
【0046】
図15に示すように、ラッチングレバー(322)は、カートリッジチャネル部材(306)に向かってその閉鎖位置まで枢動され、それによってアンビル半体(304)をカートリッジ半体(302)に対してロックし、ステープルカートリッジ(312)とアンビルプレート(346)との間に組織をしっかりとクランプする。ラッチングレバー(322)が枢動閉鎖されると、各ジョースロット(330)の上縁部は、ラッチピン(354)のそれぞれの端部の側面に対してカム作用し、それによって、ラッチピン(354)をジョースロット(330)を通して近位方向に引き寄せ、アンビル半体(304)を近位枢動ピン(350)を中心としてカートリッジ半体(302)に向かって枢動させる。ラッチングレバー(322)がその完全閉鎖位置に達すると、ラッチピン(354)の端部は、ジョースロット(330)の近位スロット部分(332)内に、かつそれらの閉鎖近位端に対して捕捉されることによって、アンビル半体(304)がカートリッジ半体(302)にロックされ、アンビルチャネル部材(340)がカートリッジチャネル部材(306)に対して固定される。続いて、ステープラ(300)の発射アセンブリ(図示せず)は、発射アセンブリ(200)に関連して上述したものと同様の方法で操作者によって起動され、それによって組織を同時に切断及びステープル留めすることができる。発射アセンブリの発射ノブ(図示せず)を近位位置に戻した後、次に、ラッチングレバー(322)を開き、器具半体(302、304)を互いに分離することによって、組織をステープラ(300)から解放することができる。
【0047】
III.旋回アーム連結部を有する例示的なリニアカッティングステープラ
上述したように、ステープラ(300)の第1及び第2の半体(302、304)は、近位端で互いに解放可能に連結され、その結果、半体(302、304)は、ラッチングレバーが開放位置にあるときに、互いに対して長手方向に固定されているが互いに対して枢動可能である。場合によっては、ラッチングレバーが開放位置にあるときにステープラ半体が一緒に結合されたままであるが、ステープラ半体が互いに対して長手方向に移動可能であり、組織に対するステープラの位置決めを更に促進する構成を提供することが望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラ(400)は、この機能を提供する機構を含む。
【0048】
図16A及び
図16Bは、類似する参照番号が上述のステープラ(300)の類似する特徴部を指す別の例示的なリニアカッティングステープラ(400)を示す。関連して、ステープラ(400)は、特に後述する場合を除き、ステープラ(300)と同様である。ステープラ(400)は、ステープラ(400)が近位保持ばね(370)を省略し、カートリッジ半体(302)をアンビル半体(304)と移動可能に連結する旋回アーム連結部(402)を含むという点で、ステープラ(300)とは異なる。旋回アーム連結部(402)の第1の端部は、第1の旋回アーム枢動ピン(404)によってカートリッジチャネル部材(306)の近位フレーム部分(310)と枢動可能に連結される。旋回アーム連結部(402)の第2の端部は、第2の旋回アーム枢動ピン(406)によってアンビルチャネル部材(340)の近位フレーム部分(344)と枢動可能に連結される。この例では、アンビルチャネル部材(340)は、近位フレーム部分(344)の対向する側壁の一方又は両方に形成された長手方向に延在するスロット(408)を含む。第2の旋回アーム枢動ピン(406)は、1つ以上の長手方向スロット(408)内に摺動可能に受容され、アンビルチャネル部材(340)に対してスロット(408)内で近位方向及び遠位方向に並進するように構成されている。スロット(408)は単に任意選択にすぎず、ステープラ(400)から省略され得ることが理解されるであろう。他の形態では、スロット(408)は、カートリッジチャネル部材(306)の近位フレーム部分(310)内に設けられてもよい。
【0049】
旋回アーム連結部(402)は、
図16Aに示される係合解除位置と
図16Bに示す係合位置との間で、互いに連結された半体(302、304)を維持しながら、器具半体(302、304)の並進を容易にするように構成されており、その結果、ステープラ(400)は操作者によって片手で保持され得る。
図16Aに示される係合解除位置では、アンビル半体(304)は、カートリッジ半体(302)に対して近位に位置付けられる。加えて、器具半体(302、304)は、カートリッジ半体(302)のラッチングレバー(322)がアンビル半体(304)のラッチピン(354)から係合解除され、アンビル半体(304)の近位ピン(350)がカートリッジ半体(302)の近位フランジスロット(320)から係合解除されるように、互いに横方向に離間している。この係合解除位置では、操作者は、片方の手でステープラ(400)を保持し、もう片方の手で器具半体(302、304)に対して組織を操作することができる。加えて、アンビル半体(304)は、長手方向スロット(408)を介してカートリッジ半体(302)に対して並進し、ステープラ(400)との組織の整列を容易にすることができる。したがって、旋回アーム連結部(402)は、使用中に器具半体(302、304)同士の適切な整列を容易にする。
【0050】
この例では、カートリッジ及びアンビルチャネル部材(306、340)の近位フレーム部分(310、344)に対して中心に位置付けられた、1つの旋回アーム連結部(402)のみが示されているが、他の例では、2つ以上の旋回アーム連結部(402)が提供されてもよい。例えば、第1の旋回アーム連結部(402)は、近位フレーム部分(310、344)の近位端に位置付けられてもよく、第2の旋回アーム連結部(402)は、近位フレーム部分(310、344)の遠位端に位置付けられてもよい。ステープラ(400)は、他の形態で上述したステープラ(100)の様々な他の特徴部を更に含み得ることが理解されるであろう。
【0051】
器具半体(302、304)を
図16Bに示す係合位置に並進するために、アンビル半体(304)は、カートリッジ半体(302)に対して遠位方向に前進し、それにより、第1及び第2の旋回アーム枢動ピン(404、406)において器具半体(302、304)に対して枢動することによって、旋回アーム連結部(402)は弧を通って遠位に旋回する。同時に、第2の枢動ピン(406)は、アンビルチャネル部材(340)の長手方向スロット(408)内で並進して、この並進を容易にしてもよい。カートリッジ半体(302)及びアンビル半体(304)は、係合解除位置と係合位置との間を並進する間、互いに概ね平行なままであり得る。係合位置では、ラッチピン(354)の対向する端部は、ラッチングレバー(322)のジョースロット(330)の開放遠位端内に受容され、近位ピン(350)は、近位フランジスロット(320)内に受容される。ステープラ(400)を完全に閉鎖し、ステープルカートリッジ(312)とアンビルプレート(346)との間に位置付けられた組織をクランプするために、ラッチングレバー(322)を、ステープラ(300)に関連して上述した方法で、開放位置から閉鎖位置へと枢動してもよい。
【0052】
IV.はさみ構成を有する例示的なリニアカッティングステープラ
場合によっては、外科的処置中に開放構成と閉鎖構成との間で並進しながら、ステープラの第1及び第2の半体が互いに平行なままであることが望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラ(500)は、この機能を提供する機構を含む。
【0053】
図17A及び
図17Bは、カートリッジチャネル部材(502)と、アンビルチャネル部材(504)と、第1のクランプレバー(506)と、はさみ様構成で一緒に連結された第2のクランプレバー(508)とを有する、別の例示的なリニアカッティングステープラ(500)を示す。カートリッジチャネル部材(502)は、カートリッジチャネル部材(502)が、上記ステープルカートリッジ(150)と同様であり得るステープルカートリッジ(512)を受容するように構成された遠位チャネル部分(510)と、上記発射アセンブリ(200)と同様の発射アセンブリ(図示せず)を摺動可能に受容するように構成された近位フレーム部分(514)と、を有するという点で、カートリッジチャネル部材(306)と同様である。アンビルチャネル部材(504)は、アンビルチャネル部材(504)が、アンビルプレート(518)の形態のアンビル表面を支持する遠位チャネル部分(516)と、近位フレーム部分(520)とを有するという点で、アンビルチャネル部材(340)と同様である。
【0054】
第1のクランプレバー(506)は、第1の近位ハンドル区分(522)と、第1のハンドル区分(522)に対して角度をなして延在する第1の遠位作動区分(524)とを含む。同様に、第2のクランプレバー(508)は、第2の近位ハンドル区分(526)と、第2のハンドル区分(526)に対して角度をなして延在する第2の遠位作動区分(528)とを含む。第1の作動区分(524)及び第2の作動区分(528)は、静止中心枢動ピン(530)によってその中央部分で一緒に枢動可能に連結される。第1の作動区分(524)の遠位端は、第1の固定枢動ピン(532)によってアンビルチャネル部材(504)の近位フレーム部分(520)と枢動可能に連結される。第2の作動区分(528)の遠位端は、第2の固定枢動ピン(534)によってカートリッジチャネル部材(502)の近位フレーム部分(514)と枢動可能に連結される。第1の作動区分(524)の近位部分は、近位フレーム部分(514)内に形成された第1の長手方向スロット(538)内に配置された第1の摺動枢動ピン(536)によって、カートリッジチャネル部材(502)の近位フレーム部分(514)に枢動可能かつ摺動可能に連結される。第2の作動区分(528)の近位部分は、近位フレーム部分(520)内に形成された第2の長手方向スロット(542)内に配置された第2の摺動枢動ピン(540)によって、アンビルチャネル部材(504)の近位フレーム部分(520)に枢動可能かつ摺動可能に連結される。ステープラ(500)は、上述のステープラ(100、300、400)の様々な追加の特徴部を含み得ることが理解されるであろう。
【0055】
カートリッジチャネル部材(502)及びアンビルチャネル部材(504)は、クランプレバー(506、508)を移動させることによって、
図17Aに示される開放位置と
図17Bに示される閉鎖位置との間で並進する。具体的には、操作者は、第1及び第2のハンドル区分(522、526)を一緒に引いて、チャネル部材(502、504)を閉鎖位置に配置し、ハンドル区分(522、526)を引き離して、チャネル部材(502、504)を開放位置に配置する。操作者がハンドル区分(522、526)を互いに対して移動させると、クランプレバー(506、508)は、中心枢動ピン(530)を中心として互いに対して枢動する。同時に、第1のクランプレバー(506)は、第1の固定枢動ピン(532)を中心としてアンビルチャネル部材(504)に対して枢動し、第1の長手方向スロット(538)内で第1の摺動枢動ピン(536)が並進することによって、カートリッジチャネル部材(502)に対して旋回する。同時に、第2のクランプレバー(508)は、第2の固定枢動ピン(534)を中心としてカートリッジチャネル部材(502)に対して枢動し、第2の長手方向スロット(542)内で第2の摺動枢動ピン(540)が並進することによって、アンビルチャネル部材(504)に対して旋回する。その結果、カートリッジ及びアンビルチャネル部材(502、504)は、互いに平行なままで、互いに向かって、かつ互いから離れる方向に横方向に移動する。有利には、これは、ステープルカートリッジ(512)及びアンビルプレート(518)の長さに沿った組織への等しいクランプ圧力の適用、並びに使用中のステープルカートリッジ(512)及びアンビルプレート(518)の適切な整列を促進する。
【0056】
V.固定された近位枢動ピンを有する例示的なリニアカッティングステープラ
場合によっては、ステープラの第1の半体及び第2の半体は、外科的処置を通じて非解放様式で一緒に結合されたままであることが望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラ(600)は、この機能を提供する機構を含む。
【0057】
図18A及び
図18Bは、別の例示的なリニアカッティングステープラ(600)を示す。ステープラ(600)は、ステープラ(600)がカートリッジ半体(602)及びアンビル半体(604)を含むという点でステープラ(100、300)と類似している。カートリッジ半体(602)は、遠位チャネル部分(608)及び近位フレーム部分(610)を有する細長いカートリッジチャネル部材(606)を含む。遠位チャネル部分(608)は、上述のステープルカートリッジアセンブリ(150)と同様であり得るステープルカートリッジ(612)を受容するように構成されている。近位フレーム部分(610)は、発射アセンブリ(図示せず)の構成要素を摺動可能に収容するように構成され、これは上述の発射アセンブリ(200)と同様であり得る。ラッチングレバー(614)は、カートリッジチャネル部材(606)の中間部分に配置されたラッチ枢動ピン(616)によって、カートリッジチャネル部材(606)に枢動可能に連結される。ラッチングレバー(614)は、細長いレバーアーム(618)と、レバーアーム(618)から遠位に延在する一対の対向ジョー(620)とを含む。各ジョー(620)は、以下に記載されるように、アンビル半体(604)の対応するラッチ突起部を受容するように構成された細長いスロット(622)を含む。各ジョースロット(622)は、その近位端及び遠位端で閉鎖され、それによって、対応するラッチ突起部をジョースロット(622)内に保持する。
【0058】
ステープラ(600)のアンビル半体(604)は、遠位チャネル部分(626)及び近位フレーム部分(628)を有する細長いアンビルチャネル部材(624)を含む。遠位チャネル部分(626)は、上記アンビルプレート(346)と同様であり得る、アンビルプレート(630)の形態のアンビル表面と、遠位先端部材(632)とを支持する。アンビルチャネル部材(624)の近位フレーム部分(628)は、カートリッジチャネル部材(606)の近位フレーム部分(628)の対向する側壁間に受容されるように構成される。
【0059】
ステープラ(600)は、カートリッジ半体(602)及びアンビル半体(604)が外科的処置中の使用の全段階を通して共に結合されたままであるように構成され、処置中に互いに分離されることを意図するものではないという点で、ステープラ(100、300)とは異なる。関連して、カートリッジ及びアンビルチャネル部材(606、624)の近位フレーム部分(610、628)は、チャネル部材(606、624)の近位端に配置された横方向に延在する枢動ピン(634)と互いに枢動可能に連結される。枢動ピン(350)とは異なり、枢動ピン(634)は、枢動ピン(616)がチャネル部材(606、624)に対して固定されるように、近位フレーム部分(610、628)の側壁内に形成されたボア内に捕捉される。したがって、チャネル部材(606、624)の近位端は、外科的処置中のステープラ(600)の使用を通して一緒に枢動可能に連結されたままであり、それにより、操作者は、チャネル部材(606、624)が使用中に互いに適切に整列したままであることを確実にしながら、片手でステープラ(600)の操作が可能である。
【0060】
アンビル半体(604)は、アンビルチャネル部材(624)の近位フレーム部分(628)の近位端に連結された横方向に延在するラッチピン(636)によって画定される一対のラッチ突起部を更に含む。ラッチピン(636)の対向する端部は、ラッチングレバー(614)のジョースロット(622)内に捕捉される。
図18A及び
図18Bに見られるように、ラッチングレバー(614)は、チャネル部材(606、624)を互いに対して選択的にクランプするために、開放位置と閉鎖位置との間でチャネル部材(606、624)に対して枢動可能である。
図18Aは、ラッチピン(636)がジョースロット(622)の遠位端に当接する開放位置にあるラッチングレバー(614)を示し、ステープルカートリッジ(612)及びアンビルプレート(630)は、ステープラ(600)に対する組織の操作を可能にするために互いに横方向に離間されている。
図18Bは、ラッチピン(636)がジョースロット(622)の近位端に当接する閉鎖位置にあるラッチングレバー(614)を示し、ステープルカートリッジ(612)及びアンビルプレート(630)は、それらの間に保持された組織が同時にステープル留めされ、切断され得るように、互いに対してクランプされる。ステープラ(600)は、上述のステープラ(100、300、400、500)の様々な追加の特徴部を含み得ることが理解されるであろう。
【0061】
VI.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではない。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されないかぎり、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0062】
外科用ステープラであって、(a)アンビル半体であって、(i)アンビルチャネル部材と、(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、を備える、アンビル半体と、(b)アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、(ii)カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、ラッチング部材は、ラッチング部材がアンビルチャネル部材をカートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、ラッチング部材がアンビルチャネル部材のカートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で移動可能である、ラッチング部材と、を備える、カートリッジ半体と、(c)アンビル半体又はカートリッジ半体のうちの一方の近位端に配置された弾性部材と、(d)アンビル半体又はカートリッジ半体のうちの他方の近位端に配置された突起部と、を備え、弾性部材は、突起部と接触し、かつこれと解放可能に連結することによって、ラッチング部材が開放位置にある間に、アンビル半体の近位端をカートリッジ半体の近位端と連結するように構成されている、外科用ステープラ。
【実施例2】
【0063】
弾性部材がカートリッジ半体の近位端に配置され、突起部がアンビル半体の近位端に配置されている、実施例1に記載の外科用ステープラ。
【実施例3】
【0064】
弾性部材が、カートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、実施例2に記載の外科用ステープラ。
【実施例4】
【0065】
弾性部材が、カートリッジチャネル部材の内側基部表面に固定されている、実施例1~3のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例5】
【0066】
弾性部材が、基部脚部と、基部脚部から離れる方向に延在する直立脚部とを有するL字型ばねを備える、実施例1~4のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例6】
【0067】
直立脚部が、突起部を解放可能に捕捉するように構成された凹部を備える、実施例5に記載の外科用ステープラ。
【実施例7】
【0068】
L字型ばねがカートリッジチャネル部材の近位端に固定され、突起部がアンビルチャネル部材の近位端に固定されている、実施例5~6のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例8】
【0069】
直立脚部の自由末端部は、突起部がL字型ばねに連結されたときにアンビルチャネル部材の内側基部表面に直面するように構成されている、実施例5~7のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例9】
【0070】
アンビル半体が、突起部によって画定される枢動軸を中心としてカートリッジ半体に対して枢動するように構成されている、実施例1~8のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例10】
【0071】
突起部及び弾性部材が一緒に連結されたときに、突起部が弾性部材に対して回転するように構成されている、実施例1~9のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例11】
【0072】
ラッチング部材が、カートリッジチャネル部材に枢動可能に連結されたラッチングレバーを備える、実施例1~10のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例12】
【0073】
アンビル半体がラッチ突起部を備え、ラッチングレバーが、ラッチ突起部を受容するように構成された細長いスロットを有するジョーを備える、実施例11に記載の外科用ステープラ。
【実施例13】
【0074】
アンビル及びカートリッジ半体の近位端が一緒に連結されている間に、細長いスロットが、ラッチングレバーの開放位置及び閉鎖位置のそれぞれにおいてラッチ突起部を受容するように構成されている、実施例12に記載の外科用ステープラ。
【実施例14】
【0075】
アンビルチャネル部材が、アンビル表面を支持する遠位チャネル部分と、突起部を支持する近位フレーム部分とを備え、カートリッジチャネル部材が、ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位チャネル部分と、弾性部材を支持する近位フレーム部分とを備える、実施例1~13のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例15】
【0076】
突起部が、横方向に延在するピンを含む、実施例1~14のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例16】
【0077】
外科用ステープラであって、(a)アンビル半体であって、(i)アンビルチャネル部材と、(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、(iii)アンビル半体の近位端に連結された枢動突起部と、を備える、アンビル半体と、(b)アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、アンビル半体が、枢動突起部によって画定される軸を中心としてカートリッジ半体に対して枢動するように構成されており、カートリッジ半体は、(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、(ii)カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、ラッチング部材がアンビルチャネル部材をカートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、ラッチング部材がアンビルチャネル部材のカートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で移動可能である、ラッチング部材と、(iii)カートリッジ半体の近位端に連結された保持部材であって、保持部材は、枢動突起部と接触し、かつこれを解放可能に保持することによって、ラッチング部材が開放位置にある間に、アンビル半体の近位端をカートリッジ半体の近位端と連結するように構成されている、保持部材と、を備える、カートリッジ半体と、を備える、外科用ステープラ。
【実施例17】
【0078】
枢動突起部がアンビルチャネル部材の近位端に固定され、保持部材がカートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、実施例16に記載の外科用ステープラ。
【実施例18】
【0079】
保持部材が、枢動突起部を解放可能に捕捉するように構成された弾性部材を備える、実施例16~17のいずれかに記載の外科用ステープラ。
【実施例19】
【0080】
外科用ステープラであって、(a)アンビル半体であって、(i)アンビルチャネル部材と、(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、(iii)ラッチ突起部と、を備える、アンビル半体と、(b)アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、(ii)カートリッジチャネル部材に枢動可能に連結されたラッチングレバーであって、ラッチングレバーは、細長いスロットを有するジョーを備え、ラッチングレバーは、ラッチングレバーがアンビルチャネル部材をカートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、ラッチングレバーがアンビルチャネル部材のカートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で枢動可能であり、ラッチ突起部が、開放位置及び閉鎖位置のそれぞれにおいて細長いスロット内に受容される、ラッチングレバーと、を備える、カートリッジ半体と、(c)アンビル半体又はカートリッジ半体のうちの一方の近位端に連結された保持部材であって、アンビル半体又はカートリッジ半体のうちの他方の近位部分と接触し、かつこれを解放可能に保持することによって、ラッチングレバーが開放位置にある間に、アンビル半体の近位端をカートリッジ半体の近位端と連結するように構成されている、保持部材と、を備える、外科用ステープラ。
【実施例20】
【0081】
保持部材がばねを備える、実施例19に記載の外科用ステープラ。
【0082】
VII.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わされてもよい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例など)、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書における教示を鑑みると、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0083】
更に、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上を、本件と同日に出願された「Release Mechanism for Linear Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7969USNP]、本件と同日に出願された「Lockout Assembly for Linear Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7970USNP]、本件と同日に出願された「Releasable Coupling Features for Proximal Portions of Linear Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7972USNP]、本件と同日に出願された「Firing Lever Assembly for Linear Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7973USNP]、及び、本件と同日に出願された「Clamping Mechanism for Linear Surgical Stapler」と題する米国特許出願[代理人整理番号END7974USNP]に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上と組み合わせてよい。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0085】
上述の装置の変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単なる例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込むことができる。
【0086】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、一方又はその両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組合せを含み得る。特に、装置のいくつかの変形形態は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の一部の変更例は、再調整用の施設で、又は処置の直前にオペレータのいずれかによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。このような技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本出願の範囲内にある。
【0087】
単なる例として、本明細書に記載される変形形態は、処置前及び/又は処置後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に配置する。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0088】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0089】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル半体であって、
(i)アンビルチャネル部材と、
(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、を備える、アンビル半体と、
(b)前記アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、
(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、
(ii)前記カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材を前記カートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材の前記カートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で、移動可能である、ラッチング部材と、を備える、カートリッジ半体と、
(c)前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの一方の近位端に配置された弾性部材と、
(d)前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの他方の近位端に配置された突起部と、を備え、
前記弾性部材は、前記突起部と接触し、かつこれと解放可能に連結することによって、前記ラッチング部材が前記開放位置にある間に、前記アンビル半体の前記近位端を前記カートリッジ半体の前記近位端と連結するように構成されている、外科用ステープラ。
(2) 前記弾性部材が前記カートリッジ半体の近位端に配置され、前記突起部が前記アンビル半体の近位端に配置されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(3) 前記弾性部材が、前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、実施態様2に記載の外科用ステープラ。
(4) 前記弾性部材が、前記カートリッジチャネル部材の内側基部表面に固定されている、実施態様3に記載の外科用ステープラ。
(5) 前記弾性部材が、基部脚部と、前記基部脚部から離れる方向に延在する直立脚部とを有するL字型ばねを備える、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0090】
(6) 前記直立脚部が、前記突起部を解放可能に捕捉するように構成された凹部を備える、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(7) 前記L字型ばねが前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定され、前記突起部が前記アンビルチャネル部材の近位端に固定されている、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(8) 前記直立脚部の自由末端部は、前記突起部が前記L字型ばねに連結されたときに前記アンビルチャネル部材の内側基部表面に直面するように構成されている、実施態様7に記載の外科用ステープラ。
(9) 前記アンビル半体が、前記突起部によって画定される枢動軸を中心として前記カートリッジ半体に対して枢動するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(10) 前記突起部及び前記弾性部材が一緒に連結されたときに、前記突起部が前記弾性部材に対して回転するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0091】
(11) 前記ラッチング部材が、前記カートリッジチャネル部材に枢動可能に連結されたラッチングレバーを備える、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(12) 前記アンビル半体がラッチ突起部を備え、前記ラッチングレバーが、前記ラッチ突起部を受容するように構成された細長いスロットを有するジョーを備える、実施態様11に記載の外科用ステープラ。
(13) 前記アンビル半体及び前記カートリッジ半体の前記近位端が一緒に連結されている間に、前記細長いスロットが、前記ラッチングレバーの前記開放位置及び前記閉鎖位置のそれぞれにおいて前記ラッチ突起部を受容するように構成されている、実施態様12に記載の外科用ステープラ。
(14) 前記アンビルチャネル部材が、前記アンビル表面を支持する遠位チャネル部分と、前記突起部を支持する近位フレーム部分とを備え、前記カートリッジチャネル部材が、ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位チャネル部分と、前記弾性部材を支持する近位フレーム部分とを備える、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(15) 前記突起部が、横方向に延在するピンを含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0092】
(16) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル半体であって、
(i)アンビルチャネル部材と、
(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、
(iii)前記アンビル半体の近位端に連結された枢動突起部と、を備える、アンビル半体と、
(b)前記アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、前記アンビル半体が、前記枢動突起部によって画定される軸を中心として前記カートリッジ半体に対して枢動するように構成されており、前記カートリッジ半体は、
(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、
(ii)前記カートリッジチャネル部材に移動可能に連結されたラッチング部材であって、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材を前記カートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、前記ラッチング部材が前記アンビルチャネル部材の前記カートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で、移動可能である、ラッチング部材と、
(iii)前記カートリッジ半体の近位端に連結された保持部材であって、前記保持部材は、前記枢動突起部と接触し、かつこれを解放可能に保持することによって、前記ラッチング部材が前記開放位置にある間に、前記アンビル半体の前記近位端を前記カートリッジ半体の前記近位端と連結するように構成されている、保持部材と、を備える、カートリッジ半体と、を備える、外科用ステープラ。
(17) 前記枢動突起部が前記アンビルチャネル部材の近位端に固定され、前記保持部材が前記カートリッジチャネル部材の近位端に固定されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(18) 前記保持部材が、前記枢動突起部を解放可能に捕捉するように構成された弾性部材を備える、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(19) 外科用ステープラであって、
(a)アンビル半体であって、
(i)アンビルチャネル部材と、
(ii)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル表面と、
(iii)ラッチ突起部と、を備える、アンビル半体と、
(b)前記アンビル半体と解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体であって、
(i)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有するカートリッジチャネル部材と、
(ii)前記カートリッジチャネル部材に枢動可能に連結されたラッチングレバーであって、前記ラッチングレバーは、細長いスロットを有するジョーを備え、前記ラッチングレバーは、前記ラッチングレバーが前記アンビルチャネル部材を前記カートリッジチャネル部材に対して固定する閉鎖位置と、前記ラッチングレバーが前記アンビルチャネル部材の前記カートリッジチャネル部材に対する移動を可能にする開放位置との間で枢動可能であり、前記ラッチ突起部が、前記開放位置及び前記閉鎖位置のそれぞれにおいて前記細長いスロット内に受容される、ラッチングレバーと、を備える、カートリッジ半体と、
(c)前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの一方の近位端に連結された保持部材であって、前記アンビル半体又は前記カートリッジ半体のうちの他方の近位部分と接触し、かつこれを解放可能に保持することによって、前記ラッチングレバーが前記開放位置にある間に、前記アンビル半体の前記近位端を前記カートリッジ半体の前記近位端と連結するように構成されている、保持部材と、を備える、外科用ステープラ。
(20) 前記保持部材がばねを備える、実施態様19に記載の外科用ステープラ。