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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】動画のためのLEDフリッカ軽減
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/62 20230101AFI20230619BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20230619BHJP
【FI】
H04N25/62
H04N25/70
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021185706
(22)【出願日】2021-11-15
(62)【分割の表示】P 2020529547の分割
【原出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2022028800
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】15/828,010
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518332608
【氏名又は名称】ビーエイイー・システムズ・イメージング・ソリューションズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アルバート・エム.・マグナニ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・アール.・アダムス
(72)【発明者】
【氏名】カルビン・ビー.・ワード
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/00-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線に接続された複数の画素センサを備える装置であって、各画素センサは光センサを備え、前記光センサは、
フォトダイオードと、
浮遊拡散ノードと、
前記浮遊拡散ノード上の電圧の単調関数である電圧を有する画素出力信号を生成する、前記浮遊拡散ノードに接続されたバッファと、
行選択信号に応答して前記画素出力信号を前記ビット線に接続するビット線ゲートと、
第1のリセット信号に応答して前記浮遊拡散ノードを第1のリセット電圧源に接続する第1のリセットゲートと、
第1の転送信号に応答して前記フォトダイオードを前記浮遊拡散ノードに接続する第1の転送ゲートと、
第2の転送信号に応答してオーバーフローキャパシタを前記浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートを介して前記浮遊拡散ノードに接続された前記オーバーフローキャパシタと、
オーバーフロー転送ゲート信号に応答して前記フォトダイオードを前記オーバーフローキャパシタに接続するオーバーフロー転送ゲートと、ここにおいて、前記オーバーフロー転送ゲート信号は、前記フォトダイオードによって生成された電荷がオーバーフローしきい値を超えるときに、前記浮遊拡散ノードではなく前記オーバーフローキャパシタに電荷を流すレベルに調整される、
第2のリセット信号が第2のリセットゲート及び前記オーバーフロー転送ゲートに印加されることに応答して、前記オーバーフローキャパシタ及びオーバーフロー転送ゲートを前記第1のリセット電圧源に接続する前記第2のリセットゲートと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記バッファは、前記浮遊拡散ノードに接続されたゲートを有するソースフォロワを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1及び第2のサンプリング信号、前記第1及び第2のリセット信号、前記第1及び第2の転送信号、並びに前記オーバーフロー転送ゲート信号を生成するコントローラを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記画素センサの各々における前記フォトダイオード及び前記オーバーフローキャパシタを、前記フォトダイオード又は前記オーバーフローキャパシタを前記浮遊拡散ノードに接続することなくリセット電圧にリセットさせる、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記フォトダイオードに当たる光によって生成される光電荷が、蓄えられる光電荷の所定のレベルに前記フォトダイオードが達するまで前記フォトダイオードの上に最初に蓄積されるように、前記フォトダイオードを前記画素センサの各々における前記浮遊拡散ノードから分離し、この所定のレベルを超える任意の過剰な光電荷は、前記オーバーフローキャパシタの上に蓄えられる、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 電力効率、高輝度、及び長寿命により、LEDは、街路照明、停止信号、自動車ヘッドライト、自動車ブレーキライト、道路標識、店舗標識等を含む多くの用途で最適な照明源となっている。LEDからの光強度を設定するための典型的な方法は、LEDを定電流で駆動し、LEDがオンである時間の部分を変調することである。これは、パルス幅変調(PWM)ドライバ方式と呼ばれる。この方式は、LEDが最適な駆動電流で動作し、低消費電力で所望の輝度を供給することを可能にする。パルスはまた、動作温度を低く保つのに役立ち、LED寿命を延ばす。各製造元及び各用途は、異なる最適な周波数及びデューティサイクルに達する傾向にある。
【0002】
[0002] 照明の脈動特性は、LEDを制御するために使用される周波数のパルスを検出できない人間の目には問題ではないが、パルスは、PWMを使用して駆動される1つ又は複数のLEDによってシーンが照明されるときに典型的なデジタルセンサを用いてシーンのピクチャ又はビデオを撮影するとき、課題を提示する。LEDは、広範囲の周波数及びデューティサイクルにわたって動作する。更に、複数のLEDが動作しているとき、光源は、典型的には互いに同期していない。したがって、典型的なデジタルセンサ又は更にはハイダイナミックレンジ(HDR)を有するデジタルセンサを用いて、シーンのピクチャ又はビデオを撮影するとき、特定のフレーム捕捉が、パルス又はパルスのセットを完全に逃すか、又は飽和して隣接する画素にブルーミングして、情報を破壊する可能性は明らかである。単一のスナップ写真では、ピクチャは、単に正しくないか又はシーンを表していない可能性がある。ビデオストリームでは、安定した光源のランダムな点滅、標識を判読不能にするLED標識の部分の欠落、又は実際に点滅している信号の不適切な解釈が得られる可能性がある。
【0003】
[0003] LEDがそのような様式で動作しているシーンのデジタル画像を撮影すると、様々な影、中間調、及びハイライト(及びLEDの極めて明るい出力)を捕捉するために、HDR露光が典型的には必要とされる。このHDR画像は、典型的には、ピクチャのLED部分で飽和及びブルーミングしないように、より大きいフレーム期間内の非常に短い露光に変換される。この結果、フレームごとに、LED源の「オン」時間を短い露光によって捕捉するか又は逃す、LEDのちらつきが生じる。このちらつきは、夜間に動作するときの自動運転自動車システムなどのシステムにおいて、フレームを逃すことが、そのフレームの期間の間システムが見えていないことを意味するので、重大な問題を提示する。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明は、動画を撮影するための装置、動画を撮影するための方法、及び新規の画素センサアレイを含む。本発明に係る装置は、矩形の撮像アレイと、複数の列処理回路と、コントローラとを含む。矩形の撮像アレイは、複数の行及び列のウルトラハイダイナミックレンジ(UHDR)画素センサと、複数の読み出し線と、複数の行選択線とによって特徴付けられる。各列処理回路は、複数の読み出し線のうちの対応する1つに接続される。コントローラは、矩形の撮像アレイに、照明期間及び暗期間によって特徴付けられる脈動する光源によって照明されるシーンの複数の画像を測定させる。フレーム期間において生成される画像の各々は、露光期間及びデッド期間を含み、デッド期間は暗期間よりも短い。
【0005】
[0005] 本発明の1つの態様では、露光期間は、照明期間と同期されていない。
【0006】
[0006] 本発明の別の態様では、コントローラは、矩形の撮像アレイをローリングシャッタモードで読み出させる。
【0007】
[0007] 本発明の別の態様では、UHDR画素は、浮遊拡散ノードと、主フォトダイオードと、浮遊拡散ノードに関連付けられた寄生フォトダイオードとを備える。
【0008】
[0008] 本発明の別の態様では、コントローラは、矩形のアレイをグローバルシャッタモードで読み出させる。
【0009】
[0009] 本発明の別の態様では、UHDR画素は、フォトダイオードと、フォトダイオードが飽和したときにフォトダイオードからオーバーフローする電荷を捕捉するキャパシタとを備える。
【0010】
[0010] 本発明の別の態様では、UHDR画素は、フォトダイオードと、浮遊拡散ノードと、浮遊拡散ノード上の電圧の単調関数である電圧を有する画素出力信号を生成する、浮遊拡散ノードに接続されたバッファと、行選択信号に応答して画素出力信号をビット線に接続するビット線ゲートと、リセット信号に応答して浮遊拡散ノードを第1のリセット電圧源に接続する第1のリセットゲートと、第1の転送信号に応答してフォトダイオードを浮遊拡散ノードに接続する第1の転送ゲートと、第2の転送信号に応答してオーバーフローキャパシタを浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートを介して浮遊拡散ノードに接続されたオーバーフローキャパシタと、オーバーフロー転送ゲート信号に応答してフォトダイオードをオーバーフローキャパシタに接続するオーバーフロー転送ゲートとを含む。本発明の別の態様では、各UHDR画素は、リセット電圧を浮遊拡散ノードに印加することなく、フォトダイオード及びオーバーフローキャパシタをリセット電圧に接続する第2のリセットゲートを更に含む。
【0011】
[0011] 本発明はまた、複数の行及び列のUHDR画素センサによって特徴付けられる矩形の撮像アレイとコントローラとを有するカメラを動作させるための方法を含み、当該コントローラは、矩形の撮像アレイに、照明期間及び暗期間によって特徴付けられる脈動する光源によって照明されているシーンの複数の画像を測定させる。本方法は、露光期間及びデッド期間を含むフレーム期間において画像の各々を生成することを含み、デッド期間は、暗期間よりも短い。
【0012】
[0012] 本発明の別の態様では、露光期間は、照明期間と同期されていない。
【0013】
[0013] 本発明の別の態様では、UHDR画素センサは、露光期間が複数の照明パルスを含む場合又は露光期間が照明期間から暗期間を引いたものに等しい場合、画像を捕捉するのに十分なダイナミックレンジを有する。
【0014】
[0014] 本発明の別の態様では、矩形のアレイは、グローバルシャッタモードで読み出される。
【0015】
[0015] 本発明の別の態様では、矩形のアレイは、ローリングシャッタモードで読み出される。
【0016】
[0016] 本発明はまた、ビット線に接続された複数の画素センサを有する撮像アレイを含み、各画素センサは、フォトダイオードと、浮遊拡散ノードと、前記浮遊拡散ノード上の電圧の単調関数である電圧を有する画素出力信号を生成する、浮遊拡散ノードに接続されたバッファとを含む光検出器を含む。光検出器はまた、行選択信号に応答して画素出力信号をビット線に接続するビット線ゲートと、第1のリセット信号に応答して浮遊拡散ノードを第1のリセット電圧源に接続する第1のリセットゲートとを含む。光検出器はまた、第1の転送信号に応答してフォトダイオードを浮遊拡散ノードに接続する第1の転送ゲートと、第2の転送信号に応答してオーバーフローキャパシタを浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートを介して浮遊拡散ノードに接続されたオーバーフローキャパシタと、オーバーフロー転送ゲート信号に応答してフォトダイオードをオーバーフローキャパシタに接続するオーバーフロー転送ゲートと、第2のリセット信号が第2のリセットゲート及びオーバーフロー転送ゲートに印加されることに応答して、オーバーフローキャパシタ及びオーバーフロー転送ゲートを第1のリセット電圧源に接続する第2のリセットゲートと、を含む。
【0017】
[0017] 本発明の別の態様では、オーバーフロー転送ゲート信号は、フォトダイオードによって生成された電荷がオーバーフローしきい値を超えるときに、浮遊拡散ノードではなくオーバーフローキャパシタに電荷を流すレベルに調整される。
【0018】
[0018] 本発明の別の態様では、バッファは、浮遊拡散ノードに接続されたゲートを有するソースフォロワを含む。
【0019】
[0019] 本発明の別の態様では、コントローラは、第1及び第2のサンプリング信号、リセット信号、第1及び第2の転送信号、並びにオーバーフロー転送ゲート信号を生成する。
【0020】
[0020] 本発明の別の態様では、コントローラは、画素センサの各々におけるフォトダイオード及びオーバーフローキャパシタを、フォトダイオード及びオーバーフローキャパシタを浮遊拡散ノードに接続することなくリセット電圧にリセットさせる。本発明の別の態様では、コントローラは、フォトダイオードに当たる光によって生成される光電荷が、蓄えられる光電荷の所定のレベルにフォトダイオードが達するまでフォトダイオード上に最初に蓄積されるように、フォトダイオードを画素センサの各々における浮遊拡散ノードから分離し、この所定のレベルを超える任意の過剰な光電荷は、オーバーフローキャパシタ上に蓄えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】[0021] 本発明の1つの実施形態に係る2次元撮像アレイを例示する。
図2】[0022] 撮像アレイ内の1列の画素センサにおける典型的な先行技術の画素センサの概略図である。
図3】[0023] 寄生フォトダイオードが画像測定に利用される画素センサを例示する。
図4】[0024] 本発明の別の実施形態に係るUHDR画素を例示する。
【詳細な説明】
【0022】
[0025] 以下の説明を簡単にするために、画素センサは、そこに入射した光を電気信号に変換する回路であると定義され、当該電気信号は、露光と呼ばれる、ある時間期間に当該回路に入射した光の量によって決定される大きさを有する。画素センサは、行選択線上の信号に応答して、当該電気信号を読み出し線に結合するゲートを有する。
【0023】
[0026] 矩形の撮像アレイは、複数の行及び列の画素センサとして編成された複数の画素センサであると定義される。矩形のアレイは、複数の読み出し線と複数の行選択線とを含み、各画素センサは、1本の行選択線と1本の読み出し線に接続され、当該画素によって生成された電気信号は、当該画素センサに関連付けられた行選択線上の信号に応答して、当該画素に関連付けられた読み出し線に接続される。
【0024】
[0027] 本発明がその利点を提供する様式は、本発明の1つの実施形態に係る2次元撮像アレイを例示する図1を参照してより容易に理解されることができる。矩形の撮像アレイ80は、画素センサ81などのセンサを含む。各画素センサは、主フォトダイオード86及び寄生フォトダイオード91を有する。画素センサが動作する様式は、以下でより詳細に説明される。各画素におけるリセット回路と増幅回路が87において示される。画素センサは、複数の行及び列として配置される。例示的な行は、94と95において示される。一列にある各画素センサは、当該列にあるすべての画素センサによって共有される読み出し線83に接続される。一行にある各画素センサは、当該行にある画素センサが対応する読み出し線に接続されているかどうかを決定する行選択線82に接続される。
【0025】
[0028] 矩形の撮像アレイ80の動作は、読み出される画素アドレスを受け取るコントローラ92によって制御される。コントローラ92は、矩形の撮像アレイ80内の対応する行にある画素センサの読み出しを可能にするために、行デコーダ85によって使用される行選択アドレスを生成する。列増幅器は、読み出しアルゴリズムを実行する列増幅器84のアレイに含まれ、以下でより詳細に説明される。一組の較正源96が、列増幅器の差を測定し補正することを可能にする。所与の行にあるすべての画素センサが並列に読み出されるので、読み出し線83ごとに1つの列増幅及びアナログ・デジタルコンバータ(ADC)回路がある。列処理回路は、以下でより詳細に説明される。
【0026】
[0029] 矩形の撮像アレイ80がリセットされ、次いで撮像露光中に光にさらされたとき、各フォトダイオードは、露光と当該フォトダイオードの光変換効率とに依存する電荷を蓄積する。画素センサが当該フォトダイオードに関連付けられる行が読み出されるとき、当該電荷は、当該画素センサ内のリセット及び増幅回路87によって電圧に変換される。当該電圧は、対応する読み出し線83に結合され、対象の読み出し線に関連付けられた増幅及びADC回路によって処理されて、撮像露光中に画素センサに入射した光の量を表すデジタル値を生成する。
【0027】
[0030] 動画は、フレームのシーケンスであり、各フレームは、画素センサの矩形のアレイ全体の読み出しを備える。各フレームには、撮像アレイによって光が測定されない時間期間がある。この時間はアレイのデッドタイムと呼ばれる。アレイについての最大露光量は、フレームレート及びデッドタイムによって決定される。
【0028】
[0031] グローバルシャッタ及びローリングシャッタと呼ばれる、2つのタイプの読み出し方式がある。グローバルシャッタ方式では、アレイのすべての行が同時にリセットされ、画像からの光にさらされる。所定の露光時間の後、蓄積された光電荷が、各画素センサ内の浮遊拡散ノードに転送され、転送された電荷が一度に1行測定される。
【0029】
[0032] ローリングシャッタカメラでは、各行がアレイ内で順次処理される。処理は、光電荷を浮遊拡散ノードに転送することによって開始して、当該行に対する現在の露光を終了する。次いで電荷が読み出され、フォトダイオード(単数又は複数)は、所望の露光時間によって決定される所定の時間後にリセットされ、次のフレームについての光電荷を蓄積することが可能にされる。
【0030】
[0033] 先行技術では、これらの方式の両方が、画素の行ごとに共通の露光時間を有し、当該露光は、選択されたフレームレートのために許容される最大露光時間よりも短い。最大可能露光と実際の露光時間との間の時間は、以下の説明でデッドタイムと呼ばれる。点滅照明用途では、このデッドタイム中に発生する任意の照明パルスは、関心シーンを照明する際に失われるか又は部分的にのみ有効であるかのいずれかである。カメラが照明源と同期していない場合、シーンはちらつきを示す。更に、フレームのいくつかが、当該フレームについてのパルスがデッドタイム内で完全に発生した場合、完全に失われる可能性がある。自律運転車両では、そのような失われたフレームは、コンピュータが見えていない状態を引き起こす可能性があり、これは、自動運転車両に重大な安全性の問題を提起する。
【0031】
[0034] 本発明は、測定されるために電荷が浮遊拡散ノードに転送されている短い時間期間を除いて、本質的にすべての露光中シャッタが効果的に開いている露光方式を使用することによって、フレームが失われるのを回避することができるという所見に基づく。読み出し時間がかなり長い場合であっても、次のフレームが開始され、フォトダイオードは光を蓄積することになり、したがってパルスを逃さない。
【0032】
[0035] このタイプの方式の課題は、過露光の可能性にある。シーンが複数のパルス非同期光源によって照明されている場合、複数のパルスが同じ露光で捕捉され、明るい場所の画像にブルーミングを引き起こす可能性がある。本発明は、従来の画素であれば過剰露光中に飽和することになる場合でも、各画素によって受け取られる光を捕捉するのに十分なダイナミックレンジを有するUHDR画素設計を使用することによって、この問題を克服する。本説明の目的のために、UHDR画素センサとは、露光中に画素センサによって受け取られた光を測定するための1つ又は複数のフォトダイオードを有する画素センサであると定義される。UHDR画素センサによって測定されることができる露光量の範囲は、センサ内のフォトダイオードのうちの1つを飽和させることなく当該フォトダイオードによって測定されることができる露光量の範囲よりも大きい。
【0033】
[0036] 画素のダイナミックレンジは、飽和することなく画素が測定することができる最大露光量を、画素がノイズにわたって測定することができる最小露光量で割った比である。非UHDR画素では、フォトダイオードは最高露光で飽和し、残りの露光は失われる。複数のフォトダイオードUHDR画素では、フォトダイオードが飽和すると、光から光電荷への変換比がより低い第2のフォトダイオードが光を測定するために使用されるか、又は第1のフォトダイオードからオーバーフローした光電荷が、キャパシタ上で捕捉され、飽和したフォトダイオード上の光電荷に加算される。単一のフォトダイオードUHDR画素では、オーバーフローした電荷は、キャパシタ上で捕捉され、UHDR画素の読み出しにおいてフォトダイオードに残っている電荷に加算される。
【0034】
[0037] UHDR画素アレイを使用する際の課題は、画素アレイの面積を実質的に変更することなく、従来の製造プロセス内でキャパシタ又は第2のフォトダイオードを設けることにある。従来の第2のフォトダイオードが各画素に追加される実施形態を考える。光変換比の好ましい比は、約30:1である。したがって、第2のフォトダイオードは、従来のフォトダイオードの1/30の面積を有する必要があることになる。そのような小さいフォトダイオードを製造することは、現在の製造プロセスでは重大な課題を提示する。製造限界に対応するために第2のフォトダイオードの単位面積当たりの光変換効率を低減してその面積を増大させる場合、画素の面積は、著しく増大することになり、追加コストにつながる。
【0035】
[0038] 同様に、オーバーフロー電荷が蓄えられるキャパシタを画素ごとに追加することは、フォトダイオードを浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートとキャパシタのための空間を必要とする。これもまた、面積が増大し、関連コストがかかる。
【0036】
[0039] 本発明で使用するためのUHDRの好ましい実施形態は、第2のフォトダイオードを提供するために、各画素における浮遊拡散ノードに関連付けられた寄生ダイオードを利用する。このUHDRがその利点を達成する様式は、図2を参照してより容易に理解されることができる。図2は、撮像アレイ内の1列の画素センサにおける典型的な先行技術の画素センサの概略図である。画素センサ21は、画像内の対応する画素における光強度を測定するフォトダイオード22を含む。最初に、フォトダイオード22は、ゲート25を導通状態に置き、浮遊拡散ノード23をリセット電圧Vrに接続することによってリセットされる。次いでゲート25は閉じられ、フォトダイオード22は、光電子を蓄積することを可能にされる。ゲート27上の電位は、フォトダイオード22上に蓄積されることができる電荷の最大量を設定する。ゲート27上の電位によって許容されるよりも多くの電荷が蓄積される場合、過剰電荷は、ブルーミングを回避するために、ゲート27を介して電力レールに分路される。
【0037】
[0040] フォトダイオード22が露光された後、フォトダイオード22に蓄積された電荷は、典型的には、フォトダイオード22からの蓄積された電荷が浮遊拡散ノード23に転送されたときの浮遊拡散ノード23上の電圧の変化を記録することによって測定される。浮遊拡散ノード23は、キャパシタ23’によって表される静電容量によって特徴付けられる。実際には、キャパシタ23’は、電圧Vrにチャージされ、浮遊拡散ノード23がフォトダイオード22に接続されるより前にゲート24のリセット線にパルスを与えることによって分離される。フォトダイオード22上に蓄積された電荷は、ゲート25が開かれたときに、浮遊拡散ノード23に転送される。浮遊拡散ノード23上の電圧は、この電荷のすべてを除去するのに十分であり、浮遊拡散ノード23上の電圧を、転送される電荷の量とキャパシタ23’の静電容量とに依存する量だけ低減されたままにしておく。したがって、ゲート25が開かれた後の浮遊拡散ノード23上の電圧の変化を測定することによって、蓄積された電荷が決定されることができる。
【0038】
[0041] 浮遊拡散ノード23上のリセット電圧が十分に再現性がある場合、リセット後の浮遊拡散ノード上の電圧の単一の測定で十分である。しかしながら、ノイズが、リセット電圧に小さい変動をもたらす。このノイズが著しい場合、相関二重サンプリングアルゴリズムが利用される。このアルゴリズムでは、浮遊拡散ノード23は、まずリセットゲート24を使用してVrにリセットされる。次いで、線28への選択信号を読み出しゲートに印加することによってソースフォロワ26を読み出し線31に接続することによって、浮遊拡散ノード23上の電位が測定される。このリセット電位は、列増幅器32に記憶される。次に、ゲート25が導通状態に置かれ、フォトダイオード22に蓄積された電荷は、浮遊拡散ノード23に転送される。浮遊拡散ノード23は、事実上、Vrにチャージされたキャパシタであることに留意されたい。したがって、フォトダイオード22を出る電荷は、浮遊拡散ノード23の静電容量及び転送される電荷の量に依存する量だけ、浮遊拡散ノード23上の電圧を低下させる。浮遊拡散ノード23上の電圧は、転送後に再び測定される。次いで電圧差が、露光中に蓄積された電荷の量を計算するために使用される。
【0039】
[0042] 本発明は、上述のタイプの画素が、浮遊拡散ノードの一部であり、かつ著しいフォトダイオード検出効率を有する第2の寄生フォトダイオードを含むように修正されることができるという所見に基づく。この第2の光検出器は、画素のサイズを著しくは増加させず、したがって、本発明は、画素サイズを著しく増加させることなく2つのフォトダイオードの画素の利点を提供する。
【0040】
[0043] 寄生フォトダイオードをフォトダイオード22と区別するために、フォトダイオード22及び類似の機能を提供するフォトダイオードは、「従来のフォトダイオード」と呼ばれる。ここで、寄生フォトダイオードが画像測定に利用される画素センサを例示する図3を参照する。以下の説明を簡単にするために、図1に関して上述されたものと類似の機能を提供する画素センサ41の要素には、同じ数字の符号が与えられており、当該要素が利用される新たな様式を例示するために説明が必要とされない限り、更には説明されない。一般に、寄生フォトダイオード42は、フォトダイオード22の検出効率よりも著しく少ない検出効率を有する。2つのフォトダイオードのフォトダイオード検出効率の比が調整される様式は、2015年1月7日に出願された、併存する米国特許出願第14/591,873に、より詳細に説明されている。例示的な1つの実施形態では、主フォトダイオードと寄生フォトダイオードの変換効率の比は、30:1である。この比が20:1又は15:1である他の実施形態が有用である。
【0041】
[0044] 本発明の1つの実施形態において画素の強度を測定するために画素センサ41が利用される様式が、ここでより詳細に説明される。プロセスは、最後の画像の読み出し動作が完了した後に画素のリセットから始まると、より容易に理解され得る。最初に、主フォトダイオード22がVrにリセットされ、ゲート25が閉じられる。これはまた、浮遊拡散ノード43を、Vrにリセットされたままにしておく。相関二重サンプリング測定が行われる場合、この電圧は、浮遊拡散ノード43を列増幅器170に接続することによって、露光の開始時に測定される。そうでない場合、リセット電圧についての以前の電圧測定値が使用される。画像露光の間、寄生フォトダイオード42は、浮遊拡散ノード43上に蓄えられる光電子を生成する。これらの光電子は、浮遊拡散ノード43上の電位を下げる。露光の終わりに、浮遊拡散ノード43上の電圧が、ソースフォロワ26の出力を列増幅器170に接続することによって測定され、寄生フォトダイオード42によって生成された電荷の量が、第1の画素強度値を提供するために決定される。次に、浮遊拡散ノード43が再びVrにリセットされ、浮遊拡散ノード43上の電位が、ソースフォロワ26の出力を列増幅器170に接続することによって測定される。次いでゲート25が導通状態に置かれ、主フォトダイオード22によって蓄積された光電子が浮遊拡散ノード43に転送される。次いで浮遊拡散ノード43上の電圧が、再び測定され、第2の画素強度値を計算するために列増幅器170によって使用される。
【0042】
[0045] 対応する画素上の光強度が高い場合、主フォトダイオード22はオーバーフローしていることになるが、更により低い変換効率を有する寄生フォトダイオード42は、所望の範囲内にある値を有することになる。これに対して、光強度が低い場合、信頼できる推定値を提供するには不十分な光電子が寄生フォトダイオード42に蓄積され、主フォトダイオード22からの測定値が利用されることになる。
【0043】
[0046] ローリングシャッタシステムにおける図3に示される画素センサに基づくアレイに関連付けられたデッドタイムは、画素センサを読み出すために必要な時間である。この時間は、上述の様式で、寄生フォトダイオードを読み出し、次いで主フォトダイオードを読み出す時間に対応する。
【0044】
[0047] 理想的には、各画素センサは、すべての他の画素センサと同一であり、読み出し中に同じ電圧にリセットされ、光が矩形の撮像アレイ80に当たらないときはゼロの信号値を生成する。加えて、理想的な状態では、各列印加回路は、すべての他の列増幅回路と同一である。フォトダイオードの露光から最終のデジタル値までの処理のチェーンに4つのアナログ変換係数が存在する。これらは、フォトダイオードの光・電荷変換効率である。電荷・電圧変換は、画素リセット及び増幅回路87においてであり、列処理回路に電圧増幅回路がある。これらのアナログ変換係数の差は、固定パターンノイズ(FPN)を生じさせる。FPNは、時間とともに変化する係数に依存し、また露光が行われたときの撮像アレイの温度にも依存する場合もある。
【0045】
[0048] FPNに加えて、ショットノイズと比較して小さいノイズファクタを得るために低減されなければならない他のノイズファクタがある。リセットノイズは、このタイプのノイズの一例である。リセットノイズが生成される様式は、先行技術の画素センサを例示する図2を参照して、より簡単に理解されることができる。図2は、撮像アレイ内の1列の画素センサにおける典型的な先行技術の画素センサの概略図である。画素センサ21は、画像内の対応する画素における光強度を測定するフォトダイオード22を含む。最初に、フォトダイオード22は、ゲート25を導通状態に置き、浮遊拡散ノード23をリセット電圧Vrに接続することによってリセットされる。次いでゲート25は閉じられ、フォトダイオード22は、光電子を蓄積することを可能にされる。ゲート27上の電位は、フォトダイオード22上に蓄積されることができる電荷の最大量を設定する。ゲート27上の電位によって許容されるよりも多くの電荷が蓄積される場合、過剰電荷は、ゲート27を介して電力レールに分路される。
【0046】
[0049] フォトダイオード22が露光された後、フォトダイオード22に蓄積された電荷は、典型的には、フォトダイオード22からの蓄積された電荷が浮遊拡散ノード23に転送されたときの浮遊拡散ノード23上の電圧の変化を記録することによって測定される。浮遊拡散ノード23は、キャパシタ23’によって表される静電容量によって特徴付けられる。実際には、キャパシタ23’は、電圧Vrにチャージされ、浮遊拡散ノード23がフォトダイオード22に接続されるより前にゲート24のリセット線にパルスを与えることによって分離される。フォトダイオード22上に蓄積された電荷は、ゲート25が開かれたときに、浮遊拡散ノード23に転送される。浮遊拡散ノード23上の電圧は、この電荷のすべてを除去するのに十分であり、浮遊拡散ノード23上の電圧を、転送される電荷の量とキャパシタ23’の静電容量とに依存する量だけ低減されたままにしておく。したがって、ゲート25が開かれた後の浮遊拡散ノード23上の電圧の変化を測定することによって、蓄積された電荷が決定されることができる。
【0047】
[0050] 浮遊拡散ノード23上のリセット電圧が十分に再現性がある場合、リセット後の浮遊拡散ノード上の電圧の単一の測定で十分である。しかしながら、ノイズが、リセット電圧に小さい変動をもたらす。このノイズが著しい場合、相関二重サンプリングアルゴリズムが利用される。このアルゴリズムでは、浮遊拡散ノード23は、まずリセットゲート24を使用してVrにリセットされる。次いで、線28への選択信号を読み出しゲートに印加することによってソースフォロワ26を読み出し線31に接続することによって、浮遊拡散ノード23上の電位が測定される。このリセット電位は、列増幅器32に記憶される。次に、ゲート25が導通状態に置かれ、フォトダイオード22に蓄積された電荷は、浮遊拡散ノード23に転送される。浮遊拡散ノード23は、事実上、Vrにチャージされたキャパシタであることに留意されたい。したがって、フォトダイオード22を出る電荷は、浮遊拡散ノード23の静電容量及び転送される電荷の量に依存する量だけ、浮遊拡散ノード23上の電圧を低下させる。浮遊拡散ノード23上の電圧は、転送後に再び測定される。次いで電圧差が、露光中に蓄積された電荷の量を計算するために使用される。
【0048】
[0051] 本発明は、上述のタイプの画素が、浮遊拡散ノードの一部であり、かつ著しいフォトダイオード検出効率を有する第2の寄生フォトダイオードを含むように修正されることができるという所見に基づく。この第2の光検出器は、画素のサイズを著しくは増加させず、したがって、本発明は、画素サイズを著しく増加させることなく2つのフォトダイオードの画素の利点を提供する。
【0049】
[0052] 主フォトダイオードについての光電荷は、寄生フォトダイオード光電荷が測定されるまで浮遊拡散ノードに転送できないことに留意されたい。一旦寄生光電荷が測定されると、浮遊拡散ノードがリセットされ、主フォトダイオード光電荷が浮遊拡散ノードに転送される。この時点で、主フォトダイオードはゲート27を介してリセットされることができるが、浮遊拡散ノード上の電荷が読み出されて浮遊拡散ノードがリセットされるまで、露光を開始することはできない。浮遊拡散ノードがリセットされ、リセット電圧が測定されると、次のフレームのための露光が始まることができる。したがって、デッドタイムは、画素を読み出すのに必要な合計時間である。したがって、デッドタイムが1つの光パルスの持続時間よりも短い限り、次の光パルスを逃さない。したがって、本発明は、ローリングシャッタシステムにおいて重要な利点を提供することができる。
【0050】
[0053] 2つのフォトダイオードの画素センサを使用するグローバルシャッタイメージャは、著しくより長いデッドタイムを有し、したがって、そのような画素センサのための好ましい実施形態ではない。グローバルシャッタ構成では、次のフレーム露光が始まる前にアレイ全体が読み出されなければならない。したがって、デッドタイムは、フレーム全体を読み出すのに必要な時間である。アレイ内にN本の線がある場合、デッドタイムは、ローリングシャッタの実施形態におけるデッドタイムのN倍となる。しかしながら、デッドタイムが依然として光パルス持続時間よりも著しく短い場合、フレームは完全には失われない。
【0051】
[0054] 2つのフォトダイオードのUHDR画素センサは、長い露光を伴うグローバルシャッタアレイには最適ではないが、他の形態のUHDR画素をグローバルシャッタアレイにおいて利用し、依然としてデッドタイムの低減という利点をもたらすことができる。ここで、本発明の別の実施形態に係るUHDR画素を例示する図4を参照する。画素60は、露光中に光電荷を生成するフォトダイオード71を含む。転送ゲート12は、信号Tx1に応答して、蓄積された電荷がフォトダイオード71から浮遊拡散ノード13に転送されることを可能にする。本説明の目的のために、浮遊拡散ノードは、電力レールにつながれない、つまり別の回路によって駆動される電気ノードであると定義される。浮遊拡散ノード13は、静電容量CFDを有する寄生キャパシタ14によって特徴付けられる。浮遊拡散ノード13は寄生フォトダイオードも有し得るが、この実施形態では、光が浮遊拡散ノードに到達しないように、画素センサは遮蔽される。ゲート12が導通状態にあるとき、フォトダイオード71上に収集された光電荷は、浮遊拡散ノード13の電圧を、転送より前に設定されたリセット電圧値から変化させる。浮遊拡散ノード電圧の低減量は、転送された光電荷の程度を提供する。
【0052】
[0055] リセットゲート16は、電荷が転送されるより前に浮遊拡散ノード13上の電圧を設定するために使用される。浮遊拡散ノード13上の電圧は、ソースフォロワトランジスタ17によって増幅される。画素60が読み出されるとき、ゲートトランジスタ18上の信号は、ソースフォロワトランジスタ17の出力を、所与の列にあるすべての画素センサによって共有されるビット線19に接続する。本説明の目的のために、ビット線は、複数の列の画素センサによって共有され、かつ転送ゲートを介してビット線に接続された画素センサ内の浮遊拡散ノードにおける電圧を示す電圧信号を搬送する導体であると定義される。各ビット線は、ビット線増幅器50を含む列処理回路で終端する。
【0053】
[0056] 画素60はまた、フォトダイオード71が飽和した後に、フォトダイオード71によって生成された光電荷を収集するオーバーフローキャパシタ61も含む。露光の始めに、フォトダイオード71及びオーバーフローキャパシタ61は、Vrによって決定されたリセット電圧に設定される。光電荷がフォトダイオード71上に蓄積すると、フォトダイオード71上の電圧は、フォトダイオード71がゲート15上のゲート電圧によって決定される値に達するまで減少する。任意の追加の光電荷は、ゲート15を通り、オーバーフロー線66と露光全体を通して導通状態のままであるゲート62の寄生容量とを介して、オーバーフローキャパシタ61、寄生キャパシタ14(すなわち浮遊拡散ノード13の寄生容量)の組合せに流れる。
【0054】
[0057] 露光の終わりに、オーバーフロー電荷は、オーバーフローキャパシタ61と寄生キャパシタ14との間で分割されることになる。浮遊拡散ノード上の電圧は、オーバーフロー電荷とキャパシタ61及び14の静電容量の合計とに依存する量だけ減少していることになる。ゲート12又は15のいずれかが開かれた場合、フォトダイオード71上に残っている電荷も寄生キャパシタ14及びリセットゲート16上で掃引されることになり、したがって、浮遊拡散ノード13上の電圧は、露光中に生成された全体の光電荷を反映する。ここでゲート12及び62が非導通状態に置かれた場合、浮遊拡散ノード13上の電圧は、露光中に生成されたすべての光電荷を表し続けることになる。
【0055】
[0058] フォトダイオード71から浮遊拡散ノード13への電荷転送は、アレイ内のすべての画素上で同時に実行され得ることに留意されたい。更に、フォトダイオード71及びオーバーフローキャパシタ61は、浮遊拡散ノード13から分離され、ゲート76を介してリセットされることができる。ゲート76が非導通になるとすぐに、新たな露光が開始することができる。新たな露光中、浮遊拡散ノード上の電圧は、一度に1線読み出されることができ、したがって、デッドタイムは、フォトダイオード71から浮遊拡散ノード13に電荷を転送する時間であり、これは、シーンを照明する光パルスの持続時間と比較して短い。
【0056】
[0059] 各画素センサが読み出されると、浮遊拡散ノード13上の電圧は、Vrにリセットされ、現在の露光についての光電荷を測定する際の使用のために測定される。最後に、ゲート62が導通状態に置かれ、その結果、オーバーフロー光電荷は、並列接続されたキャパシタ上に蓄えられることができる。
【0057】
[0060] 上述の実施形態では、浮遊拡散ノード上の電圧は、ソースフォロワバッファを使用して読み出される。しかしながら、容量性トランスインピーダンス増幅器を含む他の形態のバッファをこの目的のために利用することができる。
【0058】
[0061] 本発明の上述の実施形態は、本発明の様々な態様を例示するために提供されている。しかしながら、異なる特定の実施形態において示される本発明の異なる態様が、本発明の他の実施形態を提供するために組み合わされ得ることが理解されるべきである。加えて、本発明に対する様々な修正が、以上の説明及び添付図面から明らかになるであろう。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲のみによって限定されるべきである。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
複数の行及び列のUHDR画素センサ、複数の読み出し線、及び複数の行選択線によって特徴付けられる矩形の撮像アレイと、
複数の列処理回路と、ここで、各列処理回路は、前記複数の読み出し線のうちの対応する1つに接続されており、
前記矩形の撮像アレイに、照明期間及び暗期間によって特徴付けられる脈動する光源によって照明されているシーンの複数の画像を測定させるコントローラと、ここで、前記複数の画像の各々は、露光期間及びデッド期間を備えるフレーム期間において生成され、前記デッド期間は、前記暗期間よりも短いものであり、
を備える、装置。
[C2]
前記露光期間は、前記照明期間と同期されていない、C1に記載の装置。
[C3]
前記コントローラは、前記矩形の撮像アレイをローリングシャッタモードで読み出させる、C1に記載の装置。
[C4]
前記UHDR画素センサは、浮遊拡散ノードと、主フォトダイオードと、前記浮遊拡散ノードに関連付けられた寄生フォトダイオードとを備える、C3に記載の装置。
[C5]
前記コントローラは、前記矩形の撮像アレイをグローバルシャッタモードで読み出させる、C1に記載の装置。
[C6]
前記UHDR画素センサは、フォトダイオードと、前記フォトダイオードが飽和したときに前記フォトダイオードからオーバーフローする電荷を捕捉するオーバーフローキャパシタとを備える、C5に記載の装置。
[C7]
前記UHDR画素センサは、
浮遊拡散ノードと、
前記浮遊拡散ノード上の電圧の単調関数である電圧を有する画素出力信号を生成する、前記浮遊拡散ノードに接続されたバッファと、
行選択信号に応答して前記画素出力信号をビット線に接続するビット線ゲートと、
リセット信号に応答して前記浮遊拡散ノードを第1のリセット電圧源に接続する第1のリセットゲートと、
第1の転送信号に応答して前記フォトダイオードを前記浮遊拡散ノードに接続する第1の転送ゲートと、
第2の転送信号に応答して前記オーバーフローキャパシタを前記浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートを介して前記浮遊拡散ノードに接続されている前記オーバーフローキャパシタと、
オーバーフロー転送ゲート信号に応答して前記フォトダイオードを前記オーバーフローキャパシタに接続するオーバーフロー転送ゲートと
を備える、C6に記載の装置。
[C8]
各UHDR画素は、リセット電圧を前記浮遊拡散ノードに印加することなく、前記フォトダイオード及び前記オーバーフローキャパシタを前記リセット電圧に接続する第2のリセットゲートを更に備える、C7に記載の装置。
[C9]
複数の行及び列のUHDR画素センサによって特徴付けられる矩形の撮像アレイとコントローラとを有するカメラを動作させるための方法であって、前記コントローラは、前記矩形の撮像アレイに、照明期間及び暗期間によって特徴付けられる脈動する光源によって照明されているシーンの複数の画像を測定させるものである方法において、前記方法は、露光期間及びデッド期間を備えるフレーム期間において前記複数の画像の各々を生成することを備え、前記デッド期間は、前記暗期間よりも短い、方法。
[C10]
前記露光期間は、前記照明期間と同期されていない、C9に記載の方法。
[C11]
前記UHDR画素センサは、前記露光期間が複数の照明パルスを含む場合又は前記露光期間が前記照明期間から前記暗期間を引いたものに等しい場合、前記複数の画像の各々を捕捉するのに十分なダイナミックレンジを有する、C9に記載の方法。
[C12]
前記矩形の撮像アレイは、グローバルシャッタモードで読み出される、C9に記載の方法。
[C13]
前記矩形の撮像アレイは、ローリングシャッタモードで読み出される、C9に記載の方法。
[C14]
ビット線に接続された複数の画素センサを備える装置であって、各画素センサは光センサを備え、前記光センサは、
フォトダイオードと、
浮遊拡散ノードと、
前記浮遊拡散ノード上の電圧の単調関数である電圧を有する画素出力信号を生成する、前記浮遊拡散ノードに接続されたバッファと、
行選択信号に応答して前記画素出力信号を前記ビット線に接続するビット線ゲートと、 第1のリセット信号に応答して前記浮遊拡散ノードを第1のリセット電圧源に接続する第1のリセットゲートと、
第1の転送信号に応答して前記フォトダイオードを前記浮遊拡散ノードに接続する第1の転送ゲートと、
第2の転送信号に応答してオーバーフローキャパシタを前記浮遊拡散ノードに接続する第2の転送ゲートを介して前記浮遊拡散ノードに接続された前記オーバーフローキャパシタと、
オーバーフロー転送ゲート信号に応答して前記フォトダイオードを前記オーバーフローキャパシタに接続するオーバーフロー転送ゲートと、
第2のリセット信号が第2のリセットゲート及び前記オーバーフロー転送ゲートに印加されることに応答して、前記オーバーフローキャパシタ及びオーバーフロー転送ゲートを前記第1のリセット電圧源に接続する前記第2のリセットゲートと、
を備える、装置。
[C15]
前記オーバーフロー転送ゲート信号は、前記フォトダイオードによって生成された電荷がオーバーフローしきい値を超えるときに、前記浮遊拡散ノードではなく前記オーバーフローキャパシタに電荷を流すレベルに調整される、C14に記載の装置。
[C16]
前記バッファは、前記浮遊拡散ノードに接続されたゲートを有するソースフォロワを備える、C14に記載の装置。
[C17]
第1及び第2のサンプリング信号、前記リセット信号、前記第1及び第2の転送信号、並びに前記オーバーフロー転送ゲート信号を生成するコントローラを更に備える、C14に記載の装置。
[C18]
前記コントローラは、前記画素センサの各々における前記フォトダイオード及び前記オーバーフローキャパシタを、前記フォトダイオード又は前記オーバーフローキャパシタを前記浮遊拡散ノードに接続することなくリセット電圧にリセットさせる、C4に記載の装置。
[C19]
前記コントローラは、前記フォトダイオードに当たる光によって生成される光電荷が、蓄えられる光電荷の所定のレベルに前記フォトダイオードが達するまで前記フォトダイオード上に最初に蓄積されるように、前記フォトダイオードを前記画素センサの各々における前記浮遊拡散ノードから分離し、この所定のレベルを超える任意の過剰な光電荷は、前記オーバーフローキャパシタ上に蓄えられる、C18に記載の装置。
図1
図2
図3
図4