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特許7297860情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20230619BHJP
   G06F 17/10 20060101ALI20230619BHJP
   G06F 17/14 20060101ALI20230619BHJP
   G06F 21/55 20130101ALN20230619BHJP
【FI】
G06N20/00
G06F17/10 D
G06F17/14
G06F21/55
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021211383
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500072884
【氏名又は名称】株式会社ラック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】木田 良一
(72)【発明者】
【氏名】金子 博一
【審査官】児玉 崇晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0081270(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
G06F 17/10
G06F 17/14
G06F 21/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ部と、
前記デジタルフィルタ部によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換部と、
前記逆フーリエ変換部によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算部と、
前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算部の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整するデジタルフィルタ特性調整部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定事象は、異常に関する事象である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定事象は、セキュリティにおける攻撃である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記演算部は、教師無し学習のための演算、または、教師無し学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記演算部は、入力される前記第2時間領域データに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出部を含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理は、平滑化処理である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理は、デジタルローパスフィルタ処理である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
取得部が、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得し、
フーリエ変換部が、前記取得部により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換し、
デジタルフィルタ部が、前記フーリエ変換部によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施し、
逆フーリエ変換部が、前記デジタルフィルタ部によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換し、
演算部が、前記逆フーリエ変換部によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行い、
デジタルフィルタ特性調整部が、前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算部の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整する、
情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得機能と、
前記取得機能により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換機能と、
前記フーリエ変換機能によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ機能と、
前記デジタルフィルタ機能によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換機能と、
前記逆フーリエ変換機能によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算機能と、
前記デジタルフィルタ機能の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算機能の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整するデジタルフィルタ特性調整機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された画像処理装置では、平滑化フィルタを用いて、画像データに対して平滑化処理を施すことが行われている。当該平滑フィルタとしては、例えば、積分フィルタが用いられる(特許文献1参照。)。
例えば、このような積分フィルタにより移動平均の処理が行われることで、平滑化処理が実現される。
【0003】
特許文献2に記載された情報処理装置では、ニューラルネットワークを用いて信号処理する場合に、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタとなる複素プーリング層を用いることが行われている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-101775号公報
【文献】国際公開第2021/049005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、対象となる機器(対象機器)における電力データに基づいて機械学習の演算を行うことで、異常の検出等を行うことが考えられる。
しかしながら、当該機械学習の演算よりも前に当該電力データに対して平滑化処理を行う構成において、移動平均による平滑化処理が用いられると、当該電力データから当該機械学習の演算に必要な情報が消失してしまうこと、および、処理の負荷が大きくなることがあった。
【0006】
近年では、通信機器等の機器の内部における動作が複雑化し高速化している。このような機器では、多くの機能が搭載される場合もあり、時分割で複数のアプリケーションの動作が行われる場合もある。
このため、このような機器の内部を伝送する電力の波形は複雑化し、当該機器の動作に起因する当該電力の変動についても細かい変動となる場合がある。そして、当該電力には、当該機器の動作に起因する細かい変動よりもさらに細かいノイズが載ることがある。
【0007】
このように、電力データでは、機器の内部の動作に起因して細かい変動をするのに加えて、このような変動よりもさらに細かい変動をするノイズが載る場合がある。このような電力データについて機械学習の演算を行う場合には、機器の動作に起因した特徴的な情報を残しつつ、さらに細かい変動をするノイズを抑制する必要がある。しかし、このようなノイズは、通常、移動平均による平滑化処理では精度良く抑制することができない。
【0008】
以上のように、特許文献1に記載された平滑化処理の技術では、電力データの機械学習が行われる構成において、当該電力データの特徴量を精度良く抽出することができない場合があった。
さらに、特許文献1に記載された平滑化処理の技術では、移動平均において、同じデータ部分に対して複数回の平均化処理を繰り返す場合があり、処理の負荷が大きくなる場合があった。
なお、特許文献2に記載された機械学習に関する技術では、このような課題には着目されておらず、このような課題を解決するものでもない。
【0009】
ここで、以上では、機械学習における平滑化処理および特徴量抽出を例として説明したが、これに限られず、機械学習の演算の前に電力データのフィルタリングを行う場合に、機械学習の演算結果の精度を高めること、および、演算量を少なくすること、が望まれていた。
【0010】
本開示の実施形態は、このような事情に鑑み、電力データに基づいて学習器の演算を行う場合に、演算量を抑制しつつ、当該電力データに含まれる特徴的な情報の消失を抑制しながら、当該電力データに含まれるノイズを抑制することができる情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一態様は、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換部と、前記フーリエ変換部によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ部と、前記デジタルフィルタ部によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換部と、前記逆フーリエ変換部によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算部と、前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算部の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整するデジタルフィルタ特性調整部と、を備える情報処理装置である。
【0012】
本開示の一態様は、取得部が、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得し、フーリエ変換部が、前記取得部により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換し、デジタルフィルタ部が、前記フーリエ変換部によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施し、逆フーリエ変換部が、前記デジタルフィルタ部によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換し、演算部が、前記逆フーリエ変換部によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行い、デジタルフィルタ特性調整部が、前記デジタルフィルタ部の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算部の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整する、情報処理方法である。
【0013】
本開示の一態様は、コンピュータに、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得機能と、前記取得機能により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換機能と、前記フーリエ変換機能によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ機能と、前記デジタルフィルタ機能によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換機能と、前記逆フーリエ変換機能によって変換された前記第2時間領域データを入力して、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、前記所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算機能と、前記デジタルフィルタ機能の前記デジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに前記演算機能の演算により得られる値を取得し、取得された前記値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性を決定して使用するように設定することで、前記デジタルフィルタ処理の特性を調整するデジタルフィルタ特性調整機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
上記した情報処理装置、情報処理方法およびプログラムによれば、電力データに基づいて学習器の演算を行う場合に、演算量を抑制しつつ、当該電力データに含まれる特徴的な情報の消失を抑制しながら、当該電力データに含まれるノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置の概略的な構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る機械学習工程の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る平滑化工程の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る電力データに関する特徴量抽出部および機械学習モデリングの部分の構成例を示す図である。
図7】実施形態に係る電源を含む情報処理システムの一例を示す図である。
図8】実施形態に係るAESに起因する電力データの一例を示す図である。
図9】実施形態に係るAESに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図10】実施形態に係るDDに起因する電力データの一例を示す図である。
図11】実施形態に係るDDに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図12】実施形態に係るHTTPに起因する電力データの一例を示す図である。
図13】実施形態に係るHTTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図14】実施形態に係るTFTPに起因する電力データの一例を示す図である。
図15】実施形態に係るTFTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図16】比較例に係る平滑化処理の一例を示す図である。
図17】比較例に係るAESに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図18】比較例に係るDDに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図19】比較例に係るHTTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
図20】比較例に係るTFTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[情報処理システム]
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成例を示す図である。
情報処理システム1は、情報処理装置11と、対象機器12と、接続線13と、を備える。
情報処理装置11は、対象機器12の内部を伝送する電力のデータに基づいて、所定事象に関する情報を取得する処理を行う。つまり、対象機器12は、情報処理装置11によって当該処理が行われる対象となる機器である。
【0018】
対象機器12は、対象機器12の内部を電力が伝送する任意の機器であってもよい。
具体例として、対象機器12としては、通信機器、コンピュータ、あるいは、家電機器などの任意の電子機器が用いられてもよい。
【0019】
情報処理装置11と対象機器12とは、接続線13を介して接続されている。
本実施形態では、情報処理装置11は、接続線13を介して、対象機器12の内部を伝送する電力に関する信号を入力して、当該電力のデータを取得する。
【0020】
接続線13としては、特に限定はなく、例えば、電力線、あるいは、電力を伝送する機能を有する通信線などであってもよい。
なお、本実施形態では、接続線13は有線であるが、他の構成例として、有線の接続線13の代わりに、無線が用いられてもよい。
具体例として、情報処理装置11が、対象機器12の内部を伝送する電力に起因して発生する無線の信号を受信して、当該電力のデータを取得する構成が用いられてもよい。当該信号は、例えば、電場の信号、あるいは、磁場の信号などであってもよい。
【0021】
[情報処理装置]
図2は、実施形態に係る情報処理装置11の概略的な構成例を示す図である。
情報処理装置11は、例えば、コンピュータを用いて構成されている。
情報処理装置11は、入力部111と、出力部112と、記憶部113と、通信部114と、取得部131と、フーリエ変換部132と、デジタルフィルタ部133と、逆フーリエ変換部134と、演算部135と、デジタルフィルタ特性調整部136と、を備える。
演算部135は、特徴量抽出部151と、学習器152と、を備える。
【0022】
入力部111は、外部から情報を入力する。入力部111は、例えば、オペレーター(例えば、人)により行われる操作を受け付ける操作部を有し、当該操作部により受け付けられた操作に応じた情報を入力する。
操作部は、例えば、タッチパネルの操作を受け付ける機能を有していてもよく、また、物理的なキーの操作を受け付ける機能を有していてもよい。また、操作部は、音声(例えば、オペレーターの声)により操作を受け付ける機能を有していてもよい。
また、入力部111は、外部の装置と接続されて、当該外部の装置から出力される情報を入力してもよい。
当該外部の装置は、例えば、可搬型の記録媒体などであってもよい。
【0023】
出力部112は、情報を出力する。出力部112は、例えば、表示部を有しており、当該表示部の画面に情報を表示(出力)する。当該画面は、タッチパネルの機能を有していてもよい。
また、出力部112は、外部の装置と接続されて、当該外部の装置に情報を出力してもよい。
当該外部の装置は、例えば、可搬型の記録媒体などであってもよい。
出力部112は、例えば、音声の出力のように、表示以外の態様で情報を出力してもよい。
ここで、本実施形態では、入力部111と出力部112とを別の機能部として示したが、入力部111と出力部112とは共通の機能部(入出力部)として構成されてもよい。
【0024】
記憶部113は、情報を記憶する。
通信部114は、情報を通信する。
ここで、本実施形態では、通信部114を入力部111および出力部112とは別の機能部として示したが、通信部114の受信機能が入力部111の機能に含まれると捉えられてもよく、また、通信部114の送信機能が出力部112の機能に含まれると捉えられてもよい。
【0025】
取得部131は、対象機器12の内部を伝送する電力のデータを取得する。
ここで、本実施形態では、取得部131は、接続線13を介して、対象機器12の内部を伝送する電力のデータを取得する。
【0026】
接続線13は、対象機器12の任意の箇所に接続されていてもよく、例えば、外部から対象機器12に電力が入力される端子、あるいは、対象機器12から外部に電力が出力される端子などに接続されていてもよい。
ここで、取得部131によって対象機器12の内部のいずれの箇所を伝送する電力のデータを取得するかについては、任意に設計されてもよい。
【0027】
また、接続線13は、情報処理装置11の任意の箇所に接続されていてもよく、例えば、外部(本実施形態では、対象機器12)に電力を出力する端子、あるいは、外部(本実施形態では、対象機器12)から出力される電力を入力する端子などに接続されていてもよい。
なお、情報処理装置11におけるこのような端子は、例えば、入力部111により入力を行うための端子(外部から入力を行う端子)、出力部112により出力を行うための端子(外部に出力を行う端子)、あるいは、通信部114により通信を行うための端子(外部と通信を行う端子)のうちの1以上が用いられてもよい。
【0028】
フーリエ変換部132は、取得部131により取得された電力のデータを時間領域(説明の便宜上、第1時間領域とも呼ぶ。)のデータとしてフーリエ変換により周波数領域のデータへ変換する。
ここで、フーリエ変換部132は、取得部131により取得された電力のデータを時系列のデータとして扱っている。なお、本実施形態では、当該電力のデータとしては、もともと時系列である電力データが用いられるが、他の構成例として、時系列ではない電力に関するデータが取得部131により取得されて、当該データが時系列のデータとしてみなされてフーリエ変換部132以降の処理が行われてもよい。
【0029】
なお、時系列である電力データとしては、例えば、一定の時間間隔ごとのデータ値が取得された結果の電力データ、または、当該電力データに所定の処理(例えば、レベル調整の処理など)が行われた結果のデータが用いられるが、他の例として、不定の時間間隔(つまり、一定ではない時間間隔)ごとのデータ値が取得された結果の電力データ、または、当該電力データに所定の処理(例えば、レベル調整の処理など)が行われた結果のデータが用いられてもよい。
【0030】
時系列である電力データを構成するデータ値には、例えば、それぞれのデータ値に対応する時間を表す時間情報(例えば、タイムスタンプ)が付加されていてもよい。この場合、情報処理装置11では、当該時間情報に基づいてそれぞれのデータ値に対応する時間を判定してもよい。当該時間情報は、当該時間情報に対応するデータ値が検出等された時間を表してもよい。
ここで、情報処理装置11の取得部131が、それぞれのデータ値を取得する際に、当該時間情報を当該データ値に付加してもよい。
他の例として、当該時間情報がデータ値に付加されていなくてもよい。この場合、情報処理装置11では、例えば、取得部131によって取得された電力データを構成するデータ値の並び順に、一定の時間間隔で並んだデータ値であるとみなして、当該データ値を扱ってもよい。
【0031】
また、本実施形態では、情報処理装置11の取得部131は、対象機器12からリアルタイムに時系列である電力データを取得する場合を示すが、他の例として、記憶部113または外部のデータベース等の記憶部(図示せず)に記憶されている電力データを取得してもよい。
つまり、本実施形態では、情報処理装置11により処理する対象となる電力データは、必ずしもリアルタイムの電力データでなくてもよく、例えば、いったん任意の記憶部に記憶された電力データであってもよい。
【0032】
フーリエ変換としては、例えば、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)が用いられてもよい。
【0033】
デジタルフィルタ部133は、フーリエ変換部132によって変換された周波数領域データに、所定のデジタルフィルタ処理を施す。これにより、時系列データが周波数帯データに変換される。
本実施形態では、当該デジタルフィルタ処理は、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理である。
【0034】
ここで、所定事象としては、様々な事象が用いられてもよい。
例えば、所定事象は、異常に関する事象であってもよく、具体例として、セキュリティにおける攻撃であってもよい。
当該攻撃は、例えば、サイドチャネル攻撃であってもよい。
当該攻撃は、例えば、マルウェアによる攻撃であってもよい。マルウェアは、悪意のあるソフトウェア(プログラム等)である。
また、所定事象は、例えば、対象機器12の故障に関する事象であってもよい。
【0035】
例えば、対象機器12における電力データに特定の状態(例えば、特定の特徴量を含む状態)が発生している場合に異常が発生していることを判定するような機械学習の演算のアルゴリズムが用いられてもよい。当該特定の状態(例えば、当該特定の特徴量を含む状態)は、対象機器12において、正常な動作時には電力データに発生しないような状態であってもよい。
【0036】
なお、対象機器12における正常動作時の電力の状態、および、異常が発生しているときの電力の状態は、例えば、対象機器12として用いられる機器ごとに異なっていてもよい。
そして、当該特定の状態(例えば、当該特定の特徴量を含む状態)を検出等するためのパラメーターは、対象機器12として用いられる機器ごとに任意に情報処理装置11に設定されてもよい。この設定は、例えば、装置(例えば、情報処理装置11)に対する人(ユーザ)の操作によって行われてもよく、あるいは、あらかじめ定められた手法で装置(例えば、情報処理装置11)によって自動的に行われてもよい。
【0037】
本実施形態では、例えば、演算部135の学習器152により取得される所定事象に関する情報の精度を劣化させると考えられる成分をノイズとみなしてデジタルフィルタ処理によって抑制する。
また、例えば、演算部135の学習器152により取得される所定事象に関する情報の精度を劣化させないが、当該情報とは無関係と考えられる成分についても、ノイズとみなされてもよい。
なお、ノイズとしては、他の基準に基づいて設定されてもよい。
【0038】
ここで、対象機器12における電力データの波形(電力波形)には、例えば、定常電力の波形と、特定処理電力の波形と、ノイズの波形が重畳されて含まれる。
対象機器12における定常電力の波形は、対象機器12に電力が供給されている(通電中である)が特定の処理が行われていないときの電力データの波形(ここでは、ノイズの波形を除く。)を表す。
当該特定の処理は、任意の処理であってもよく、例えば、対象機器12が人(ユーザ)によって操作されたことに応じて行われる処理であってもよい。この場合、対象機器12が人によって操作されていないときの電力が定常電力(ここでは、ノイズの波形を除く。)となる。当該定常電力は、例えば、対象機器12のオペレーションシステム(OS:Operating System)が動作していることに起因する電力であってもよい。
なお、定常電力は、必ずしも一定の電力でなくてもよく、例えば、所定の電力値の付近を変動する電力であってもよい。
【0039】
通常、特定の処理が行われる場合には、電力データの値が定常電力に対して上昇する。
特定処理電力は、特定の処理が行われているときに使用される電力によって電力データに発生する電力の波形(例えば、定常電力に載る電力の波形)を表す。当該特定の処理は、定常電力以外の電力を電力データに発生する処理である。
当該特定の処理は、例えば、人(ユーザ)の操作に応じて所定のアプリケーション等が起動されて実行されるときの処理であり、具体例として、所定の通信の処理、所定の情報編集の処理、あるいは、カメラを動作させる処理などであってもよい。
【0040】
また、ノイズは、特に限定はなく、様々なノイズであってもよい。
なお、ノイズは、電力データに存在しなくてもよいが、通常、現実的には存在する場合が多い。
【0041】
また、例えば、対象機器12が攻撃等されて、異常な処理を行うような場合には、異常な処理に起因する電力の波形が電力データに発生する。
本実施形態では、例えば、このような異常な処理が発生しているという事象を所定事象として演算部135の学習器152により検出等する。
具体例として、演算部135は、対象機器12から取得された電力データ(本実施形態では、当該電力データがデジタルフィルタリングされた電力データ)に基づいて、正常な状態であった対象機器12が攻撃等された結果として異常な処理を行うようになったことを検出等してもよい。この場合に、電力データに含まれる定常電力の成分は、例えば、演算部135による演算の前に抑制(例えば、除去)されてもよい。
【0042】
ここで、本実施形態では、所定事象として、異常な事象が用いられる場合を示すが、他の例として、所定事象として、正常な事象が用いられてもよく、例えば、特定の処理(ここでは、正常な処理)が行われているという事象が用いられてもよい。
具体例として、演算部135は、対象機器12から取得される電力データに基づいて、対象機器12において次に行われる処理(ここでは、正常な処理)を検出等(例えば、予測)してもよい。この場合に、電力データに含まれる定常電力の成分は、例えば、演算部135による演算の前に抑制(例えば、除去)されてもよい。
【0043】
また、対象機器12において行われる処理について、例えば、正常な処理と、異常な処理とは、区別されてもよく、あるいは、区別されなくてもよい。
一例として、対象機器12において行われる正常な処理と異常な処理とが区別されて、これらのそれぞれの処理が特定の処理とみなされてもよい。
他の例として、対象機器12において行われる正常な処理と異常な処理とが区別されて、正常な処理が特定の処理とみなされて、当該特定の処理以外の処理が異常な処理とみなされてもよい。
他の例として、対象機器12において行われる正常な処理と異常な処理とが区別されずに、これらのそれぞれの処理が特定の処理とみなされてもよい。
【0044】
なお、本実施形態において、特定の処理、あるいは、特定処理電力という語は、説明のための語であり、他の表現で表されてもよい。
また、ここでは、説明の便宜上、定常電力の波形、特定の処理による特定処理電力の波形、ノイズの波形、正常な処理、異常な処理といった要素について説明したが、情報処理装置11において、これらの要素のうちの一部または全部は必ずしも認識されなくてもよい。つまり、情報処理装置11では、所望される結果が学習器152により得られればよく、電力データの内訳が明確に認識されなくてもよい。通常、機械学習では、学習器152のパラメーターが固定されると、入力データに対する出力データが決定されることから、当該入力データの内訳が把握されなくてもよい。
【0045】
デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理は、例えば、平滑化処理であってもよい。
デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理は、例えば、デジタルのローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter)の処理であってもよい。
【0046】
他の構成例として、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理の種類は、必ずしもローパスフィルタの処理でなくてもよく、例えば、ハイパスフィルタ(HPF:High Pass Filter)の処理、バンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)の処理、あるいは、バンドエリミネーションフィルタ(BEF:Band Elimination Filter)の処理であってもよい。
また、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理は、例えば、2種類以上のフィルタの処理を含んでもよい。
【0047】
また、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理における特性(フィルタ特性)としては、様々な特性が用いられてもよい。
デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理における特性(フィルタ特性)は、例えば、対象機器12の電力データに含まれる正常な成分と、想定される異常な成分と、の少なくとも一方に基づいて設定されてもよい。
また、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理における特性(フィルタ特性)は、例えば、演算部135における学習器152の学習モデルに適用させる電力データの成分(主成分)に基づいて設定されてもよい。当該主成分は、例えば、特徴量抽出において分析(特徴量を抽出するための分析)の対象とする成分であってもよい。
当該特性(当該フィルタ特性)としては、例えば、フィルタを通過する信号について、当該信号の周波数と当該信号の通過率(逆に言えば、低減率)との関係の特性などであってもよい。
【0048】
ここで、デジタルフィルタ処理としてローパスフィルタ処理が用いられる場合、デジタルフィルタ処理における特性(フィルタ特性)を設定する手法としては、例えば、周波数帯データにおいてデータが利用される周波数帯(例えば、最も特徴を表すとみなされる周波数帯)を決定し、決定した周波数帯の上限値(または、当該上限値の付近の値)をローパスフィルタのカットオフ周波数として設定する手法が用いられてもよい。
当該カットオフ周波数は、ローパスフィルタ処理によって信号を通過させるか遮断(低減)するかの区切りとなる。つまり、当該ローパスフィルタ処理では、当該カットオフ周波数以上の周波数のデータ値を0(ゼロ)に置換する処理を行う。
【0049】
逆フーリエ変換部134は、デジタルフィルタ部133によってデジタルフィルタ処理が施された結果を時間領域(説明の便宜上、第2時間領域とも呼ぶ。)のデータへ変換する。
逆フーリエ変換としては、例えば、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse FFT)が用いられてもよい。
本実施形態では、逆フーリエ変換部134は、フーリエ変換部132によって行われるフーリエ変換に対して逆の変換を行う。
【0050】
ここで、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換という一連の処理を行う電力データの範囲(当該処理の単位となる範囲)としては、任意であってもよく、例えば、演算部135による演算(本実施形態では、特徴量抽出および学習)が行われる電力データの範囲と同じ範囲が用いられてもよい。
このような範囲は、任意に設定されてもよく、例えば、所定の時間(所定の期間)の範囲、あるいは、電力データを構成する連続的なデータ値が所定の個数となる範囲などが用いられてもよい。所定の時間の範囲としては、例えば、電力データが周期を持つ場合には、所定回数の周期に相当する時間の範囲が用いられてもよい。
【0051】
演算部135は、逆フーリエ変換部134によって変換された第2時間領域のデータを入力して、当該データに関する処理を行う。
本実施形態では、演算部135において、特徴量抽出部151により特徴量を抽出する処理を行い、当該処理の結果に基づいて学習器152により機械学習に関する所定の演算が行われる。
【0052】
ここで、本実施形態では、特徴量抽出部151を学習器152とは別の機能部として示したが、他の構成例として、特徴量抽出部151の機能が学習器152と一体化されている構成が用いられてもよい。つまり、特徴量抽出処理と、抽出された特徴量に基づいて学習器152の演算を行う処理とは、区別される態様が用いられてもよく、あるいは、区別されずに混合した態様が用いられてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、特徴量を抽出する機能(特徴量抽出部151の機能)を示したが、特徴量を抽出する機能が備えられない構成が用いられてもよい。
例えば、学習器152により1以上のパラメーター(通常は、複数のパラメーター)の設定値を変更していき、最終的に当該設定値の適正値(または、適正値に近い値)に設定する学習の処理では、当該パラメーターのなかに、特徴量抽出を行うためのパラメーターが含まれる場合と、特徴量抽出を行うためのパラメーターが含まれない場合が考えられる。
【0054】
特徴量抽出部151は、演算部135に入力される第2時間領域のデータに基づいて、特徴量を抽出する。
ここで、特徴量を抽出する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
【0055】
学習器152は、特徴量抽出部151によって抽出された特徴量に基づいて、所定の演算を行い、当該演算の結果を得る。当該結果は、機械学習による検出等の結果に相当する。
なお、特徴量抽出部151の機能が学習器152と一体化された構成、あるいは、特徴量抽出部151の機能が備えられない構成では、学習器152は、例えば、演算部135に入力される第2時間領域のデータに基づいて、所定の演算を行う。
【0056】
本実施形態では、学習器152は、学習が済んでいない状態(未学習の状態)では、学習のための演算を行う。この場合、このような学習のための演算は、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算に相当する。
また、本実施形態では、学習器152は、学習が済んだ状態(学習済みの状態)では、学習済み学習器による演算を行う。当該演算は、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器(本実施形態では、学習器152)による演算に相当する。
【0057】
学習器152は、例えば、最終段(または、他の任意の段階であってもよい。)に、判定器の機能を含んでもよい。この場合、当該判定器は、学習器152に入力されたデータに基づく判定結果(機械学習による検出等の結果の一例)を出力する。
具体例として、学習器152によって異常に関する判定を行う場合、判定結果としては、異常が発生している確率(可能性)を表す情報、または、異常の種類を表す情報、あるいは、これら両方の情報などが生成されてもよい。なお、異常の種類を表す情報には、例えば、2種類以上の異常の種類とともに、異常が発生していないという種類(「異常無し」)が含まれてもよい。
【0058】
ここで、本実施形態では、演算部135において、学習器152が未学習の状態での演算と、学習器152が学習済みの状態での演算と、の両方が行われる場合を示すが、これらのうちの任意の一方のみが行われる構成が用いられてもよい。
つまり、本実施形態に係る情報処理装置11の構成および動作は、学習器152が未学習の状態での演算と、学習器152が学習済みの状態での演算と、の任意の一方に適用されてもよく、あるいは、これらの両方に適用されてもよい。
【0059】
デジタルフィルタ特性調整部136は、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理の特性などを変化させて演算部135の演算により得られる値(例えば、機械学習による検出等の結果)を取得し、取得された値に基づいて当該特性を調整する。
【0060】
例えば、デジタルフィルタ特性調整部136は、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理の特性を複数の異なる特性に順に切り替えて、それぞれの特性に切り替えたときに取得された値に基づいて、これら複数の特性のなかで良好な特性(例えば、最も良好な特性)を決定(選択)して、決定した特性を使用するように設定してもよい。ここで、取得された値に基づいて良好な特性(例えば、最も良好な特性)を決定する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
この場合、デジタルフィルタ処理の特性としては、例えば、デジタルフィルタ処理の特性を規定する周波数(例えば、カットオフ周波数など)の情報が用いられてもよい。
また、この場合、デジタルフィルタ処理の特性としては、例えば、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理が行われる電力データの範囲が用いられてもよい。
【0061】
一例として、デジタルフィルタ特性調整部136は、特徴量抽出部151および学習器152の設定状態(例えば、可変なパラメーターの設定状態)を一定値に固定したままで、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理の特性を変化させて、良好な特性(例えば、最も良好な特性)を決定してもよい。
他の例として、デジタルフィルタ特性調整部136は、特徴量抽出部151と学習器152との一方または両方の設定状態(例えば、可変なパラメーターの設定状態)と、デジタルフィルタ部133のデジタルフィルタ処理の特性と、の両方を変化させて、当該設定状態および当該特性の両方について良好な特性(例えば、最も良好な特性)を決定してもよい。
【0062】
ここで、演算部135の学習器152により行われる学習の手法としては、例えば、教師あり学習の手法が用いられてもよく、あるいは、教師無し学習の手法が用いられてもよい。
例えば、演算部135は、教師無し学習のための演算を行ってもよく、または、教師無し学習済み学習器(本実施形態では、学習器152)による演算を行ってもよく、あるいは、これらの両方を行ってもよい。
【0063】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図3は、実施形態に係る情報処理装置11のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3の例では、情報処理装置11は、プロセッサ1011と、操作部1012と、表示部1013と、記憶装置1014と、メモリ1015と、入出力インターフェイス1016と、ネットワークインターフェイス1017と、これらを接続するバス1021と、を備える。
なお、情報処理装置11では、必ずしも図3に示されるすべての処理部が備えられなくてもよく、また、図3に示されていない任意の処理部が追加されてもよい。
【0064】
プロセッサ1011は、CPU(Central Processing Unit)などから構成されており、プログラムを実行することで、当該プログラムに規定された処理を実行する。
操作部1012は、キーボード、マウスなどのうちの1以上の入力装置を備え、人などにより行われる操作を受け付ける。
表示部1013は、画面を有しており、情報を当該画面に表示出力する。
【0065】
記憶装置1014は、不揮発性の記憶部であり、例えば、ハードディスクなどから構成されており、情報を記憶する。
メモリ1015は、揮発性の記憶部であり、RAM(Random Access Memory)などから構成されており、情報を一時的に記憶する。RAMとしては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられてもよい。
記憶装置1014あるいはメモリ1015は、例えば、プロセッサ1011により実行されるプログラムの情報、および、各種のパラメーターの情報を記憶してもよい。
【0066】
入出力インターフェイス1016は、外部の記録媒体などと接続するインターフェイスである。
ネットワークインターフェイス1017は、外部のネットワークと接続するインターフェイスである。
【0067】
ここで、情報処理装置11は、プロセッサ1011として、1個のプロセッサを備えてもよく、または、2個以上のプロセッサを備えてもよい。一例として、情報処理装置11は、複数個のCPUを備えて、それぞれのCPUによりそれぞれの処理を実行するとともに、これら複数個のCPUにより連携して全体の処理を実現してもよい。
【0068】
ここで、図2に示される入力部111の機能は、例えば、図3に示される操作部1012および入出力インターフェイス1016を用いて構成されてもよい。
図2に示される出力部112の機能は、例えば、図3に示される表示部1013および入出力インターフェイス1016を用いて構成されてもよい。
図2に示される記憶部113は、例えば、図3に示される記憶装置1014およびメモリ1015を用いて構成されてもよい。
図2に示される通信部114は、例えば、図3に示されるネットワークインターフェイス1017を用いて構成されてもよい。
図2に示される取得部131、フーリエ変換部132、デジタルフィルタ部133、逆フーリエ変換部134、演算部135、デジタルフィルタ特性調整部136は、それぞれ、例えば、図3に示されるプロセッサ1011がプログラムを実行して所定の処理を実行する機能と、必要な情報を記憶する記憶装置1014およびメモリ1015の機能を用いて構成されてもよい。
【0069】
なお、図2に示される情報処理装置11の構成は一例であり、例えば、情報処理装置11において、入力部111、出力部112、あるいは、通信部114などのうちの一部の処理部が備えられていなくてもよい。
【0070】
[機械学習工程の例]
図4は、実施形態に係る機械学習工程の一例を示す図である。
本例の機械学習工程では、データスクリーニング部211による平滑化処理と、特徴量抽出部212による特徴量抽出処理と、機械学習モデリング213(機械学習モデルと呼ばれてもよい。)による機械学習処理と、を含む。
ここで、本例のデータスクリーニング部211により行われるデータスクリーニングの手法として、本実施形態では、平滑化の手法が用いられている。つまり、当該データスクリーニングは、本実施形態では、平滑化に相当する。
【0071】
図2に示される情報処理装置11では、フーリエ変換部132とデジタルフィルタ部133と逆フーリエ変換部134の機能によりデータスクリーニング部211の機能が構成され、特徴量抽出部151の機能により特徴量抽出部212の機能が構成され、学習器152の機能により機械学習モデリング213の機能が構成される。
【0072】
本例の機械学習工程では、時系列で並んでいるn(nは2以上の整数)個のデータソースd1~dnのデータからなるデータd(本例では、生データ)が取得されて、当該データdがデータスクリーニング部211に入力される。
ここで、本実施形態では、n個のデータソースd1~dnのデータは、対象機器12の内部を伝送する電力のデータである。当該電力のデータは、対象機器12から取得される。
【0073】
それぞれのデータソースd1~dnのデータは、例えば、スカラーデータであってもよい。当該データの値(数値)は、例えば、整数、浮動小数点の両方を示す。なお、当該データの値を表す形式としては、任意の形式が用いられてもよい。
また、当該データとしては、例えば、ベクトルのデータが用いられてもよい。
本実施形態では、当該データの値として、対象機器12となる電子機器の外部から観測されるデータの値が用いられる。
【0074】
データスクリーニング部211は、入力されたデータdについて、平滑化処理を行う。本例では、当該平滑化処理では、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換が順に行われる。
本実施形態では、データスクリーニング部211の処理は、機械学習の演算の前に行われる入力データの処理に相当する。
【0075】
特徴量抽出部212は、データスクリーニング部211によって平滑化処理が行われた結果のデータに基づいて、所定の特徴量を抽出する。
機械学習モデリング213は、特徴量抽出部212によって抽出された特徴量を入力して、所定の機械学習の演算を行い、当該演算の結果を出力する。当該結果は、機械学習による検出等の結果に相当する。
図4の例では、当該検出等の結果を学習・推論結果e1として示してある。
【0076】
<平滑化工程の例>
図5は、実施形態に係る平滑化工程の一例を示す図である。
当該平滑化工程は、データスクリーニング部211による平滑化処理の工程の一例である。
本例の平滑化工程では、フーリエ変換部231によるフーリエ変換の処理と、デジタルフィルタ部232によるデジタルフィルタ処理と、逆フーリエ変換部233による逆フーリエ変換の処理と、を含む。
【0077】
ここで、フーリエ変換部231は図2に示されるフーリエ変換部132の一例であり、デジタルフィルタ部232は図2に示されるデジタルフィルタ部133の一例であり、逆フーリエ変換部233は図2に示される逆フーリエ変換部134の一例である。
【0078】
フーリエ変換部231は、フィルタリング対象の時間領域(第1時間領域)のデータf(t)についてフーリエ変換の処理を行うことで、当該フーリエ変換の結果である周波数領域のデータF(ω)を取得する。なお、f(t)は時間tの領域の関数を表しており、F(ω)は周波数ωの領域の関数を表している。
ここで、周波数領域のデータF(ω)は、例えば、電力スペクトルなどと呼ばれてもよい。デジタルフィルタ部232により行われるデジタルフィルタ処理の特性(フィルタ特性)は、あらかじめ、当該電力スペクトルの分析結果などに基づいて設定されてもよい。当該特性(当該フィルタ特性)は、通過させる周波数帯域の範囲(あるいは、遮断する周波数帯域の範囲)などに関する特性であってもよい。
【0079】
デジタルフィルタ部232は、当該周波数領域のデータF(ω)について、デジタルフィルタ処理を行うことで、当該デジタルフィルタ処理の結果のデータF’(ω)を取得する。なお、F’(ω)は周波数ωの領域の関数を表している。
図5の例では、横軸が周波数(f)を表し縦軸がゲイン(G)を表すグラフにローパスフィルタ処理の特性を示してある。
【0080】
図5の例では、ローパスフィルタ処理の特性(フィルタ特性)は、周波数が所定の周波数f1の付近よりも小さい範囲ではゲインがG1(G1は正の値)であり、当該周波数f1(f1は正の値)以上の範囲ではゲインが0(ゼロ)である。なお、図5の例では、当該周波数f1の付近では、ゲインが所定の周波数幅にわたって連続的に変化しているが、例えば、当該周波数f1の前後でゲインがG1と0(ゼロ)とで不連続に切り替えられてもよい。
このようなローパスフィルタ処理におけるカットオフ周波数(f1)は、ローパスフィルタ処理によって信号を通過させるか遮断(低減)するかの区切りとなる。
本例では、デジタルフィルタ部232によって抑制する(例えば、ゼロにする)周波数帯は、演算部135の演算にとってノイズとなる周波数帯であるとみなされる。
【0081】
逆フーリエ変換部233は、デジタルフィルタ処理の結果のデータF’(ω)について逆フーリエ変換の処理を行うことで、当該逆フーリエ変換の結果である時間領域(第2時間領域)のデータf’(t)を取得する。f’(t)は時間tの領域の関数を表している。
【0082】
[機械学習モデリングの構成例]
図6は、実施形態に係る電力データに関する特徴量抽出部212および機械学習モデリング213の部分の構成例を示す図である。
図6の例では、特徴量抽出部212および機械学習モデリング213の部分は、第1機械学習モデリング311(第1機械学習モデルと呼ばれてもよい。)と、減算器312と、第2機械学習モデリング313(第2機械学習モデルと呼ばれてもよい。)と、を備える。
【0083】
第1機械学習モデリング311は、電力データに関して、データスクリーニング部211によって平滑化処理が行われた結果に基づいて、対象機器12における定常電力に対応する値を予測(検出)する機械学習の演算を行う。
減算器312は、電力データに関して、データスクリーニング部211によって平滑化処理が行われた結果から、第1機械学習モデリング311によって予測された定常電力に対応する値を減算する。
第2機械学習モデリング313は、減算器312による減算結果に基づいて、異常を検知する機械学習の演算を行う。
【0084】
図6の例では、一例として、特徴量抽出部212の機能は、第1機械学習モデリング311および減算器312の機能に含まれてもよく、この場合、第1機械学習モデリング311および減算器312において、特徴量抽出処理が行われる。この場合、特徴量抽出処理は、例えば、定常電力に対応する値を予測する処理と混合されていてもよい。
【0085】
他の例として、特徴量抽出部212の機能は、第2機械学習モデリング313の機能に含まれてもよく、この場合、第2機械学習モデリング313において、特徴量抽出処理が行われる。この場合、特徴量抽出処理は、定常電力に対応する値を予測する処理の後に行われる。
【0086】
他の例として、特徴量抽出部212の機能は、第1機械学習モデリング311、減算器312、および第2機械学習モデリング313の機能に含まれてもよく、この場合、第1機械学習モデリング311、減算器312、および第2機械学習モデリング313にわたって、特徴量抽出処理が行われる。この場合、特徴量抽出処理は、例えば、定常電力に対応する値を予測する処理と混合されていてもよい。
【0087】
情報処理装置11では、図6に示されるように、定常電力の成分が抑制(例えば、除去)された電力データに基づいて機械学習が行われる構成とすることで、定常電力がそのまま含まれた電力データに基づいて機械学習が行われる構成と比べて、所定事象に関する情報を取得する精度を高めることが可能である。
【0088】
本例では、情報処理装置11において、電力データにフーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理を行うことで、例えば、当該処理が行われない場合と比べて、当該電力データに含まれる定常電力の成分を抑制(例えば、除去)する精度を高めることが可能である。つまり、本例では、電力データにフーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理を行うことで、当該電力データに含まれる定常電力の成分を正確に見つけ易くすることができる。
【0089】
なお、電力データに含まれる定常電力の成分を抑制(例えば、除去)する手法としては、図6に示される手法に限られず、任意の手法が用いられてもよい。
図6の例では、機械学習の機能部(第1機械学習モデリング311)を用いて定常電力を予測する場合を示したが、機械学習の機能部の代わりに、他の手法を用いて定常電力を検出する機能部が用いられてもよい。
【0090】
例えば、データスクリーニング部211、定常電力減算部(図示せず)、特徴量抽出部212、機械学習モデリング213といった順で各機能部の処理が行われる構成が用いられてもよい。
この場合、定常電力減算部は、データスクリーニング部211から入力される電力データ(ここでは、平滑化処理の結果)に含まれる定常電力を減算する処理を行い、当該減算の結果を特徴量抽出部212に出力する。
当該定常電力減算部は、例えば、図6の例のように機械学習の機能を有していてもよいが、他の例として、あらかじめ定められた大きさの電力(定常電力とみなされる電力)を入力データから減算する構成であってもよい。
【0091】
<複数のデータが機械学習に用いられる場合>
ここで、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのデータ(本実施形態では、1つの電力データ)に基づいて、演算部135による演算(本実施形態では、特徴量抽出部151による演算、および、学習器152による演算)が行われる場合を示すが、他の構成例として、当該データとともに他のデータを含むデータ群(複数のデータの集合)に基づいて、演算部135による演算が行われてもよい。
【0092】
これら複数のデータのうちの少なくとも1つのデータは、対象機器12の内部を伝送する電力のデータであり、他のデータとしてはそれぞれ任意のデータであってもよい。
これら複数のデータのうちの2つ以上のデータが、対象機器12の内部を伝送する電力のデータであってもよい。この場合、これら2つ以上のデータは、例えば、対象機器12の内部を伝送する電力データであって、対象機器12の異なる箇所(例えば、異なる端子でもよい。)から取得される電力のデータであってもよい。
【0093】
本実施形態では、これら複数のデータのうちの少なくとも1つのデータは、対象機器12の内部を伝送する電力のデータであり、本実施形態に係るフーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理が行われるが、他のデータについては、演算部135による演算が行われる前において行われる処理について特に限定はない。
当該他のデータのそれぞれについては、例えば、本実施形態の場合と同様にフーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理が行われてもよく、または、移動平均による平滑化処理が行われてもよく、あるいは、他の処理が行われてもよい。他の例として、当該他のデータのそれぞれについては、何も処理が行われずに演算部135に入力されてもよい。
【0094】
なお、2つ以上のデータについて、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理が行われる場合には、例えば、これら複数のデータが共通の処理部(本実施形態の場合の例では、フーリエ変換部132、デジタルフィルタ部133、逆フーリエ変換部134)により時分割で処理されてもよく、あるいは、これら複数のデータがそれぞれ異なる処理部によって並列に処理されてもよい。
【0095】
複数のデータが用いられる場合には、対象機器12の内部を伝送する電力のデータに基づいて特徴量の抽出が行われる際に、例えば、対象機器12の内部を伝送する電力のデータと他の1つ以上のデータとの組み合わせに基づいて特徴量の抽出が行われてもよい。例えば、これら複数のデータのすべての組み合わせに基づいて特徴量の抽出が行われてもよい。
【0096】
例えば、複数のデータのそれぞれに基づいて別々に特徴量の抽出が行われて、これらの特徴量に基づいて学習器152による演算が行われてもよい。この場合、これら複数のデータのそれぞれの成分(例えば、主成分)に基づいて、それぞれの特徴量が抽出されてもよい。
例えば、複数のデータが2以上のグループに分けられて、それぞれのグループごとに特徴量の抽出が行われて、これらの特徴量に基づいて学習器152による演算が行われてもよい。この場合、それぞれのグループには、これら複数のデータのうちの1つ以上のデータが割り当てられ、少なくとも1つのグループには2つ以上のデータが割り当てられる。
【0097】
[電源を含む情報処理システムの例]
図7は、実施形態に係る電源412を含む情報処理システム401の一例を示す図である。
図7に示される情報処理システム401は、図1に示される情報処理システム1の一例である。
図7の例では、説明の便宜上、図1に示されるのと同様な構成部については同一の符号を付してあり、詳しい説明を省略する。
【0098】
図7に示される情報処理システム401は、情報処理装置411と、図1に示されるのと同様な対象機器12と、電源412と、を備える。
情報処理装置411は、図1に示される情報処理装置11の一例である。
【0099】
図7の例では、情報処理装置411は、概略的には、図2に示される情報処理装置11と同様な機能部を備えている。
図7の例では、図示を簡易化して、情報処理装置411の機能部として、図2に示される取得部131の一例である取得部431のみを示してあり、他の機能部については図示を省略してある。
【0100】
取得部431は、電源供給兼電力測定部451を含む。
図7の例では、電源412と電源供給兼電力測定部451とが電力線413を介して接続されている。また、電源供給兼電力測定部451と対象機器12とが接続線414を介して接続されている。
電力線413は、電力を伝送する線である。
接続線414は、図1に示される接続線13の一例である。接続線414についても、電力を伝送する電力線であると捉えられてもよい。
図7の例では、接続線414は、対象機器12が有する電源端子と接続されている。当該電源端子は、例えば、対象機器12が有するコンピュータボードなどの電源端子であってもよい。
【0101】
電源412は、電力を供給する。
ここで、電源412は、任意の電源であってもよく、例えば、商用の電源であってもよく、あるいは、電池であってもよい。当該電池は、例えば、一次電池であってもよく、あるいは、二次電池であってもよい。
【0102】
電源412は、電力を情報処理装置411の電源供給兼電力測定部451を介して対象機器12に供給する。
電源供給兼電力測定部451は、例えば、電源412から出力される電力を電力線413を介して入力して、当該電力をそのまま接続線414を介して対象機器12に供給してもよく、あるいは、電源412から電力線413を介して出力される電力を入力して、当該電力について所定の処理を行った後に、当該処理の後の電力を接続線414を介して対象機器12に供給してもよい。当該所定の処理は、例えば、電圧の変換などであってもよい。
なお、情報処理装置411は、例えば、電源412から供給される電力を、自装置(情報処理装置411)の動作のための電力として用いてもよく、あるいは、自装置(情報処理装置411)の動作のための電力としては用いなくてもよい。
【0103】
また、電源供給兼電力測定部451は、接続線414を介して、対象機器12の内部を伝送する電力のデータを測定により取得する。
具体例として、電源供給兼電力測定部451は、接続線414を介して接続されている対象機器12の内部のインピーダンスに関する値を取得(測定)して、当該値に基づいて電力のデータを取得してもよい。
当該インピーダンスに関する値としては、例えば、インピーダンスの値、または、インピーダンスが変化した値、あるいは、これら両方の値が用いられてもよい。
【0104】
図7の例では、情報処理装置411は、測定対象となる対象機器12から得られる電力データとして、対象機器12の外部から観測される電力データを取得しており、当該電力データ(例えば、当該電力データの値の変化)に基づいて、対象機器12に関する異常を検出等する。
一例として、対象機器12の電源端子(図示せず)と電源412(例えば、外部電源)との間に、異常検知器(図7の例では、情報処理装置411の異常検出機能の部分)が備えられる。当該異常検知器は、電源412から対象機器12に供給されている電力を観測し、観測した電力のデータを用いて学習器152の学習を行い、当該学習の結果に基づいて、対象機器12の異常を検出等する。
【0105】
ここで、図7に示される電源412を含む情報処理システム401の構成は一例であり、他の構成が用いられてもよい。
例えば、電源412の機能は、情報処理装置411の内部に備えられてもよく、つまり、情報処理装置411が対象機器12に電力を供給する構成が用いられてもよい。
また、例えば、情報処理装置411を経由せずに、電源412から対象機器12に電力が供給される構成が用いられてもよい。この場合、図7の例では、情報処理装置11において、電源供給兼電力測定部451の代わりに、例えば、電力測定部が備えられ、当該電力測定部によって、接続線414を介して、対象機器12の内部を伝送する電力のデータを取得する。
また、対象機器12としては、必ずしも外部から電力が供給される機器に限られず、例えば、電源412の機能が対象機器12の内部に備えられる構成が用いられてもよい。
【0106】
[実施形態に係る平滑化処理の具体例]
図8図15を参照して、実施形態に係る情報処理装置11によって行われる平滑化処理の具体例を示す。
図8図15のそれぞれに示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸はレベル(例えば、信号の強度)を表している。
なお、図8図15に示される波形の例は、説明のための例であり、必ずしも厳密なものではなく、本例に限定されない。
【0107】
<実施形態に係るAESの例>
対象機器12においてAES(Advanced Encryption Standard)の処理が行われる場合の例を示す。
図8は、実施形態に係るAESに起因する電力データ(本例では、定常電力およびノイズを含む。)の一例を示す図である。なお、図8の例では、横軸(時間軸)の初期の側に現れている5つの山の波形部分がAESに起因する部分であり、それ以降は定常電力(およびノイズ)に起因する部分である。
図8には、当該電力データの波形2011の例を示してある。本実施形態の一例では、情報処理装置11の取得部131により当該電力データが取得される。
当該電力データの波形2011(上記した5つの山の波形部分)は、対象機器12がAESの処理を実行しているときに電力に発生する信号の波形を表す。
【0108】
図9は、実施形態に係るAESに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。本実施形態では、当該平滑化処理は、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換によって、ノイズを低減する処理である。
図9には、当該平滑化処理の結果の波形2021の例を示してある。
また、図9に示される縦軸には、定常電力P1を示してある。なお、定常電力P1はおよその値を模式的に示したものであり、必ずしも厳密なものではない。
【0109】
<実施形態に係るDDの例>
対象機器12においてDD(Disk Dump)の処理が行われる場合の例を示す。
図10は、実施形態に係るDDに起因する電力データ(本例では、定常電力およびノイズを含む。)の一例を示す図である。なお、図10の例では、横軸(時間軸)の初期の側に現れている5つの山の波形部分がDDに起因する部分であり、それ以降は定常電力(およびノイズ)に起因する部分である。
図10には、当該電力データの波形2111の例を示してある。本実施形態の一例では、情報処理装置11の取得部131により当該電力データが取得される。
当該電力データの波形2111(上記した5つの山の波形部分)は、対象機器12がDDの処理を実行しているときに電力に発生する信号の波形を表す。
【0110】
図11は、実施形態に係るDDに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。当該平滑化処理は、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換によって、ノイズを低減する処理である。
図11には、当該平滑化処理の結果の波形2121の例を示してある。
また、図11に示される縦軸には、定常電力P2を示してある。なお、定常電力P2はおよその値を模式的に示したものであり、必ずしも厳密なものではない。
【0111】
<実施形態に係るHTTPの例>
対象機器12においてHTTP(Hyper Text Transfer Protcol)の処理が行われる場合の例を示す。
図12は、実施形態に係るHTTPに起因する電力データ(本例では、定常電力およびノイズを含む。)の一例を示す図である。なお、図12の例では、横軸(時間軸)の初期の側に現れている5つの山の波形部分がHTTPに起因する部分であり、それ以降は定常電力(およびノイズ)に起因する部分である。
図12には、当該電力データの波形2211の例を示してある。本実施形態の一例では、情報処理装置11の取得部131により当該電力データが取得される。
当該電力データの波形2211(上記した5つの山の波形部分)は、対象機器12がHTTPの処理を実行しているときに電力に発生する信号の波形を表す。
【0112】
図13は、実施形態に係るHTTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。当該平滑化処理は、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換によって、ノイズを低減する処理である。
図13には、当該平滑化処理の結果の波形2221の例を示してある。
また、図13に示される縦軸には、定常電力P3を示してある。なお、定常電力P3はおよその値を模式的に示したものであり、必ずしも厳密なものではない。
【0113】
<実施形態に係るTFTPの例>
対象機器12においてTFTP(Trivial File Transfer Protcol)の処理が行われる場合の例を示す。
図14は、実施形態に係るTFTPに起因する電力データ(本例では、定常電力およびノイズを含む。)の一例を示す図である。なお、図14の例では、横軸(時間軸)の初期の側に現れている5つの山の波形部分がTFTPに起因する部分であり、それ以降は定常電力(およびノイズ)に起因する部分である。
図14には、当該電力データの波形2311の例を示してある。本実施形態の一例では、情報処理装置11の取得部131により当該電力データが取得される。
当該電力データの波形2311(上記した5つの山の波形部分)は、対象機器12がTFTPの処理を実行しているときに電力に発生する信号の波形を表す。
【0114】
図15は、実施形態に係るTFTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。当該平滑化処理は、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換によって、ノイズを低減する処理である。
図15には、当該平滑化処理の結果の波形2321の例を示してある。
また、図15に示される縦軸には、定常電力P4を示してある。なお、定常電力P4はおよその値を模式的に示したものであり、必ずしも厳密なものではない。
【0115】
[比較例に係る平滑化処理]
図16および図17図20を参照して、比較例に係る平滑化処理について説明する。
図16は、比較例に係る平滑化処理の一例を示す図である。
比較例に係る平滑化処理では、移動平均による平滑化処理が行われている。
【0116】
図16には、複数のデータ値a1~a9の並びからなるデータが示されている。複数のデータ値a1~a9は、時系列のデータである。なお、これらのデータ値a1~a9よりも以降のデータ値も存在し得る。
本例では、連続する3個ずつのデータ値を平均化していく移動平均が行われる場合を示す。
本例では、移動平均による平滑化手法の一つである積分フィルタ(積分型のフィルタ)を用いて平滑化処理が行われる場合を示す。
【0117】
図16の例では、3個のデータ値a1~a3が平均化されて、1個の平均データA1が生成されている。平均データA1は、(データ値a1+データ値a2+データ値a3)/3に相当する。
続く3個のデータ値a4~a6が平均化されて、1個の平均データA2が生成されている。平均データA2は、(データ値a4+データ値a5+データ値a6)/3に相当する。
続く3個のデータ値a7~a9が平均化されて、1個の平均データA3が生成されている。平均データA3は、(データ値a7+データ値a8+データ値a9)/3に相当する。
【0118】
このようにして、複数の平均データA1~A3(および、それ以降の平均データがあってもよい。)からなる移動平均データ4011が生成される。
なお、図16の例では、9個のデータ値a1~a9を3個ずつ平均化していく場合を示したが、データ値の総数は任意であってもよく、また、平均化するデータ値の数は2以上の任意の数であってもよい。
【0119】
ここで、図16の例では、複数のデータ値a1~a9について、連続する3個ずつのデータ値を平均化していく移動平均の処理が1回行われる場合を示したが、このような移動平均の処理結果のデータ値の並び(複数の平均データの並び)に対してさらに同様な移動平均の処理が行われる場合も多く、さらに、このような移動平均の処理が複数回行われる場合も多かった。
つまり、多くの場合には、理想的な平滑化処理の結果を得るために、積分フィルタによる演算を多数回繰り返すことが必要であった。
【0120】
具体的には、1回目の移動平均データ4011に対して、さらに1回目の移動平均処理と同様な計算式を適用して、2回目の移動平均データを生成することが行われる場合があった。さらに、以降も同様に、積分フィルタの出力結果が期待値になるまで、移動平均処理を繰り返して実行することが行われる場合があった。
このような比較例における移動平均処理は、時系列である元データ(データ値a1~a9)の出現度をベースとしていない処理である。
また、このような比較例における移動平均処理では、時系列である元データ(データ値a1~a9)に積分フィルタを一様に適用してしまうため、電力データの機械学習を行うために必要な特徴量を抽出するための情報が当該元データから削られる場合があった。
【0121】
図17図20を参照して、比較例に係る移動平均による平滑化処理の具体例を示す。
図17図20のそれぞれに示されるグラフにおいて、横軸は時間を表しており、縦軸はレベル(例えば、信号の強度)を表している。
なお、図17図20に示される波形の例は、説明のための例であり、必ずしも厳密なものではない。
【0122】
<比較例に係るAESの例>
比較例に係るAESの例を示す。
平滑化処理前において、比較例に係るAESに起因する電力データの波形は、図8に示される波形2011と同様である。
図17は、比較例に係るAESに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。比較例では、当該平滑化処理は、移動平均によりノイズを低減する処理である。
図17には、当該電力データの波形3011の例を示してある。
【0123】
<比較例に係るDDの例>
比較例に係るDDの例を示す。
平滑化処理前において、比較例に係るDDに起因する電力データの波形は、図10に示される波形2111と同様である。
図18は、比較例に係るDDに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。比較例では、当該平滑化処理は、移動平均によりノイズを低減する処理である。
図18には、当該電力データの波形3111の例を示してある。
【0124】
<比較例に係るHTTPの例>
比較例に係るHTTPの例を示す。
平滑化処理前において、比較例に係るHTTPに起因する電力データの波形は、図12に示される波形2211と同様である。
図19は、比較例に係るHTTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。比較例では、当該平滑化処理は、移動平均によりノイズを低減する処理である。
図19には、当該電力データの波形3211の例を示してある。
【0125】
<比較例に係るTFTPの例>
比較例に係るTFTPの例を示す。
平滑化処理前において、比較例に係るTFTPに起因する電力データの波形は、図14に示される波形2311と同様である。
図20は、比較例に係るTFTPに起因する電力データを平滑化処理した結果の一例を示す図である。比較例では、当該平滑化処理は、移動平均によりノイズを低減する処理である。
図20には、当該電力データの波形3311の例を示してある。
【0126】
<比較例に係る平滑化処理と実施形態に係る平滑化処理との比較>
機械学習フレームワークにおいて、データの入力が行われる初段でデータの平滑化処理が行われている。当該平滑化処理としては、一般的に、積分フィルタを用いて移動平均による平滑化処理が行われていた。
このような移動平均の処理は、簡易的なフィルタ(例えば、デジタルローパスフィルタ)として機能するが、データの処理結果として適切な結果が得られるまでに、所定数個ごとのデータの平均値算出を複数回繰り返す演算が必要となる場合があり、処理性能の低下が問題となることがあった。
【0127】
また、積分フィルタを用いた平滑化処理が行われることで、機械学習(例えば、特徴量抽出など)にとって重要となる一部の情報がデータから削られてしまう場合があった。
具体例として、当該平滑化処理によりデータに含まれていた当該一部の情報が削られた結果、平滑化処理後のデータが機械学習フレームワークにおいて処理される場合に、当該一部の情報が削られたことに起因して特徴量抽出時に想定外の不要な特徴量が出現することがあった。この場合、学習前の工程において、このような不要な特徴量に対するデータ加工処理などが必要となることがあった。
また、このような比較例では、実際に存在するデータの出現度を周波数分布で見た場合に非効率であることがあった。
【0128】
このような比較例における課題に対して、本実施形態における平滑化処理(フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換を順に行う処理)では、当該課題を解決することが可能である。
すなわち、比較例における平滑化処理が行われる場合には、一様にフィルタリングが行われてしまうことから、演算回数が多くなり、データに含まれる機械学習に必要な特徴の消失が発生してしまう可能性があるが、本実施形態における平滑化処理では、演算回数を抑制することができ、データに含まれる機械学習に必要な特徴の消失を抑制(例えば、防止)することができる。本実施形態における平滑化処理では、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理を機械学習の演算の前に行うことで、1回のフィルタリング演算で、電力データにとって良好な平滑化処理の結果を得ることができる。
【0129】
<実施形態に係る演算部の処理の具体例>
一例として、情報処理装置11における演算部135では、特徴量抽出部151によって、共通の閾値を元に特徴量を抽出する処理を行う。そして、演算部135では、学習器152によって、特徴量抽出部151により抽出された特徴量に基づいて、局所外れ値因子法(Local Outlier Factor)を用いて、分布されたデータの集合(データ集合)を求め、当該データ集合に基づいて異常データを検出する。
ここで、局所外れ値因子法が用いられる場合、例えば、学習器152により教師無し学習が行われてもよい。
【0130】
一例として、情報処理装置11における演算部135では、ランダムフォレストのアルゴリズムが用いられてもよい。この場合、演算部135では、ランダムフォレストと呼ばれる決定木の弱学習器(本実施形態では、学習器152に含まれる機能)による学習により決定木の分岐結果を求め、当該分岐結果に基づいて異常データを検出する。
【0131】
一例として、情報処理装置11における演算部135では、XGBoostのアルゴリズムが用いられてもよい。この場合、演算部135では、学習により決定木の分岐結果を求め、当該分岐結果に基づいて異常データを検出する。
なお、XGBoostは、ランダムフォレストの派生と捉えることができ、複数のランダムフォレストの決定木がネストした構成を有する。
【0132】
一例として、情報処理装置11における演算部135では、ニューラルネットワーク(NN:Neural Network)のアルゴリズムが用いられてもよい。この場合、演算部135では、NNを用いた予測結果(機械学習による検出等の結果の例)として、異常データを検出する。
【0133】
一例として、情報処理装置11における演算部135では、深層学習(Deep Learning)の一種である再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)のアルゴリズムが用いられてもよい。この場合、演算部135では、RNNを用いた予測結果(機械学習による検出等の結果の例)として、異常データを検出する。
【0134】
一例として、情報処理装置11における演算部135では、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)の一種である長・短期記憶(LSTM:Long Short-Term Memory)のアルゴリズムが用いられてもよい。この場合、演算部135では、LSTMを用いた予測結果(機械学習による検出等の結果の例)として、異常データを検出する。
なお、LSTMは、例えば、RNNの演算器の変更により実現される。
【0135】
また、情報処理装置11における演算部135では、他の任意の機械学習のアルゴリズムが用いられてもよい。
本実施形態では、情報処理装置11は、取得された電力データに対してフーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換を順に行われた結果(電力データがデジタルフィルタを通過した結果)に基づいて、機械学習の演算を行う。これにより、情報処理装置11は、機械学習の演算の結果に基づいて、所定事象に関する正確な検出等を行うこと(正確な検出等の結果のデータを生成すること)が可能であり、例えば、正確な異常検出などが可能である。
なお、機械学習による検出等は、例えば、検出、予測、推測、推定、推論、決定、判定、または、特定などと呼ばれてもよい。
【0136】
ここで、本実施形態では、例えば、移動平均による平滑化処理の代わりに、デジタルフィルタ処理による平滑化処理を行う構成とすることで、移動平均による平滑化処理を行う構成と比較して、計算の試行回数を減らすことが可能である。
【0137】
また、移動平均による平滑化処理が行われる構成では、過度に移動平均が行われることがあり、このため、電力データに含まれていた重要な一部の情報が削られて失われてしまうことがあった。
これに対して、本実施形態では、フーリエ変換、デジタルフィルタ処理、逆フーリエ変換といった一連の処理による平滑化処理を行うことで、電力データに含まれている重要な情報が削られて失われてしまうことを抑制する(例えば、防止する)ことができる。
【0138】
このように、本実施形態では、機械学習の演算が行われる前における電力データに対して平滑化処理を行って、当該電力データに含まれるノイズを抑制する場合に、当該電力データに含まれる重要な情報が失われてしまうことを抑制する(例えば、当該情報が失われないようにする)ことで、当該電力データに含まれる異常データなどを精度良く検出することを可能とすることができる。
【0139】
具体例として、情報処理装置11では、対象機器12となる電子機器の外部から観測される電力データに基づいて、対象機器12にハードウェアトロイが挿入されることによる攻撃を捉えることを可能とすることができる。
ここで、検出対象とする攻撃としては、特に限定はなく、例えば、信号の反射を用いた攻撃に適用されてもよい。このような攻撃の一例として、サイドチャネル攻撃に適用されてもよい。
なお、サイドチャネル攻撃の一種として、電波再帰反射攻撃(RFRA:Radio Frequency Retroreflector Attack)がある。
【0140】
具体例として、情報処理装置11では、まず、対象機器12が正常に動作している状態において、対象機器12の内部を伝送する電力データに基づいて、教師無し学習を行ってもよい。その後、情報処理装置11では、当該教師無し学習の結果に基づいて、対象機器12に異常が発生したことに起因する所定事象に関する情報を取得することで、当該異常を検出等してもよい。情報処理装置11では、例えば、対象機器12が新品であるときに対象機器12の監視(電力データの取得およびその後の学習の処理)を開始して、当該監視を継続することで、対象機器12が攻撃等されて異常が発生した場合に当該異常の発生を検出等することができる。
【0141】
このような教師無し学習が行われる場合、情報処理装置11では、例えば、対象機器12に発生する異常を事前に特定しなくてもよく、事前に教師データが設定されなくても、当該異常を検出等することを可能とすることができる。このような教師無し学習が行われる場合、情報処理装置11では、例えば、未知のセキュリティ攻撃による異常を検出等することも可能である。
他の例として、情報処理装置11では、教師あり学習が行われてもよい。
【0142】
一例として、情報処理装置11では、学習器152による機械学習において、図9図11図13図15に示されるような電力データの波形については正常な動作に起因する波形として学習し、正常な波形とみなされる波形以外の波形が発生した場合に異常が発生したと検出等する処理が行われてもよい。
他の例として、情報処理装置11では、学習器152による機械学習において、図9図11図13図15に示されるような電力データの波形について所定事象に起因する波形として学習し、これらの波形(当該所定事象の波形)の発生を予測等してもよい。
【0143】
<変形例>
情報処理装置11において、逆フーリエ変換部134と演算部135との間に、所定の処理を行う所定処理部が備えられてもよい。
この場合、所定処理部は、逆フーリエ変換部134による逆フーリエ変換の結果のデータを入力し、入力したデータに所定の処理を行い、当該処理の結果のデータを演算部135に出力する。
当該所定の処理としては、任意の処理が用いられてもよく、例えば、演算部135による機械学習により検出する対象とはしない成分があらかじめ設定されて、入力データから当該成分を減算する処理が用いられてもよい。
当該成分は、例えば、対象機器12において行われる正常な処理に起因する成分であってもよく、または、既に発見された異常な処理であるが演算部135による機械学習により検出する対象とはしない成分であってもよく、あるいは、これらの両方であってもよい。
【0144】
[以上の実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1において、情報処理装置11では、電力データに基づいて学習器152の演算を行う場合に、演算量を抑制しつつ、当該電力データに含まれる特徴的な情報の消失を抑制しながら、当該電力データに含まれるノイズを抑制することができる。
例えば、情報処理装置11では、電力データの機械学習を行う場合に、当該電力データに含まれる機械学習に必要な細かい成分を残したまま、より細かいノイズの成分を抑制することが可能である。
【0145】
<構成例>
一構成例として、情報処理装置(図1の例では、情報処理装置11)は、対象機器(図1の例では、対象機器12)の内部を伝送する電力のデータを取得する取得部(図2の例では、取得部131)と、取得部により取得された電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換部(図1の例では、フーリエ変換部132)と、フーリエ変換部によって変換された周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ部(図1の例では、デジタルフィルタ部133)と、デジタルフィルタ部によってデジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換部(図1の例では、逆フーリエ変換部134)と、逆フーリエ変換部によって変換された第2時間領域データを入力して、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器(図1の例では、学習前の学習器152)の学習のための演算、または、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器(図1の例では、学習済みの学習器152)による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算部(図1の例では、演算部135)と、を備える。
【0146】
一構成例として、情報処理装置において、所定事象は、異常に関する事象である。
一構成例として、情報処理装置において、所定事象は、セキュリティにおける攻撃である。
一構成例として、情報処理装置において、演算部は、教師無し学習のための演算、または、教師無し学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う。
一構成例として、情報処理装置において、演算部は、入力される第2時間領域データに基づいて特徴量を抽出する特徴量抽出部(図1の例では、特徴量抽出部151)を含む。
一構成例として、情報処理装置において、デジタルフィルタ部のデジタルフィルタ処理は、平滑化処理である。
一構成例として、情報処理装置において、デジタルフィルタ部のデジタルフィルタ処理は、デジタルローパスフィルタ処理である。
一構成例として、情報処理装置において、さらに、デジタルフィルタ部のデジタルフィルタ処理の特性を変化させて演算部の演算により得られる値を取得し、取得された値に基づいて特性を調整するデジタルフィルタ特性調整部(図1の例では、デジタルフィルタ特性調整部136)を備える。
【0147】
例えば、方法(本実施形態では、情報処理装置11によって行われる方法)が提供されてもよい。
一構成例として、情報処理方法では、取得部が、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する。フーリエ変換部が、取得部により取得された電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換する。デジタルフィルタ部が、フーリエ変換部によって変換された周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施す。逆フーリエ変換部が、デジタルフィルタ部によってデジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する。演算部が、逆フーリエ変換部によって変換された第2時間領域データを入力して、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う。
【0148】
例えば、プログラム(本実施形態では、情報処理装置11において実行されるプログラム)が提供されてもよい。
一構成例として、プログラムは、コンピュータに、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得機能と、取得機能により取得された電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換機能と、フーリエ変換機能によって変換された周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ機能と、デジタルフィルタ機能によってデジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換機能と、逆フーリエ変換機能によって変換された第2時間領域データを入力して、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習器の学習のための演算、または、所定事象に関する情報を取得する演算を行う学習済み学習器による演算、のうちの少なくとも一方を行う演算機能と、を実現させるためのプログラムである。
【0149】
なお、任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0150】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0151】
また、任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサにより実現されてもよい。例えば、本実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサと、プログラム等の情報を記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0152】
ここで、プロセッサは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサが用いられてもよい。また、プロセッサは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルタ回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0153】
なお、本開示を実施の形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態には限定されない。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々に変更したり代替態様を採用したりすることが可能なことは、当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0154】
1、401…情報処理システム、11、411…情報処理装置、12…対象機器、13、414…接続線、111…入力部、112…出力部、113…記憶部、114…通信部、131、431…取得部、132、231…フーリエ変換部、133、232…デジタルフィルタ部、134、233…逆フーリエ変換部、135…演算部、136…デジタルフィルタ特性調整部、151…特徴量抽出部、152…学習器、211…データスクリーニング部、212…特徴量抽出部、213…機械学習モデリング、311…第1機械学習モデリング(定常電力予測)、312…減算器、313…第2機械学習モデリング(異常検知)、412…電源、413…電力線、451…電源供給兼電力測定部、1011…プロセッサ、1012…操作部、1013…表示部、1014…記憶装置、1015…メモリ、1016…入出力インターフェイス、1017…ネットワークインターフェイス、1021…バス、d1~dn…データソース、d…データ、e1…学習・推論結果、2011、2021、2111、2121、2211、2221、2311、2321、3011、3111、3211、3311…波形、4011…移動平均データ
【要約】
【課題】電力データに基づいて学習器の演算を行う場合に、演算量を抑制しつつ、当該電力データに含まれる特徴的な情報の消失を抑制しながら、当該電力データに含まれるノイズを抑制することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、対象機器の内部を伝送する電力のデータを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記電力のデータを第1時間領域データとしてフーリエ変換により周波数領域データへ変換するフーリエ変換部と、前記フーリエ変換部によって変換された前記周波数領域データに、所定事象に対するノイズを抑制するデジタルフィルタ処理を施すデジタルフィルタ部と、前記デジタルフィルタ部によって前記デジタルフィルタ処理が施された結果を第2時間領域データへ変換する逆フーリエ変換部と、を備える。
【選択図】図1
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