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▶ フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッドの特許一覧 ▶ フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】相対血液量に基づく透析のための技法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230619BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20230619BHJP
   G16H 20/40 20180101ALI20230619BHJP
【FI】
A61M1/16 117
A61M1/14 110
A61M1/14 100
G16H20/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021515142
(86)(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019051715
(87)【国際公開番号】W WO2020061182
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/733,485
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508180910
【氏名又は名称】フレセニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーティンガー、ドリス・エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コタンコ、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ロック、サブリナ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-000540(JP,A)
【文献】特開2010-063644(JP,A)
【文献】特表2011-512212(JP,A)
【文献】特開昭61-203972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/14
G16H 20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと
を備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
透析プロセス中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、
前記RBV値およびRBV目標情報に基づいて限外濾過(UF)情報を決定することと、前記RBV目標情報は、前記患者に関連する患者母集団の母集団ベース透析データを備え、
前記透析プロセス中にUFポンプを制御するために前記UF情報を提供することと、
前記RBV目標情報に関連する好適性チューブ内に、前記透析プロセスの持続時間中、前記RBV値を維持するために前記UF情報を決定することと、
を行わせる命令を備える、装置。
【請求項2】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記透析プロセスのRBVおよびUF情報を表示すること、またはユーザから前記透析プロセスのためのUF偏差範囲を受信することのうちの少なくとも1つを行うように動作するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提示させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記UF情報は、UF速度(UFR)またはUF目標(UFG)のうちの1つを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、比例積分(PI)プロセスに基づいて前記UF情報を決定させ、前記PIプロセスのプロセス変数が前記RBV値を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記PIプロセスの制御変数が前記UF情報を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記UF情報はUF速度(UFR)を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、前記複数のRBV時間値の各々は、前記透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの制約に基づいて前記UF情報を決定させ、前記少なくとも1つの制約は、最大UF速度(UFR)変化、酸素飽和度、血圧、またはIDH予測のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、UF速度(UFR)を達成するようにUFポンプの動作を調整するために、前記UF情報を前記UFポンプのコントローラに提供させる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記RBV目標情報は、しきい値ハザード比(HR)に基づいて決定される複数のRBV範囲を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの制約に基づいて限外濾過速度(UFR)を達成するように前記UFポンプを制御させ、前記少なくとも1つの制約は、酸素飽和度レベル制約または透析中低血圧(IDH)予測制約のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記酸素飽和度レベル制約は、しきい値未満の酸素飽和度レベルに関するUFRの増加を防止するように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの制約に基づいて限外濾過速度(UFR)を達成するように前記UFポンプを制御させ、前記少なくとも1つの制約は、UFR変化しきい値を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記UFR変化しきい値は、前記透析プロセスの経過時間に基づいて決定される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記UFR変化しきい値は、前記RBV値が前記好適性チューブ内であるか、または前記好適性チューブ外であるかに基づいて決定される、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001] 本出願は、2018年9月19日に出願された“Ultrafiltration Control via Blood Volume Targets”と題する米国仮特許出願第62/733,485号の優先権を主張するものであり、その内容全体を、参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
[0002] 本開示は、概して、透析システムに関し、より具体的には、例えば限外濾過速度などの透析プロセスの態様を、相対血液量に基づいて制御するための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 透析は、腎疾患の治療に使用することができる。3つの主要な透析法は、血液透析(HD)、血液透析濾過(HDF)、および腹膜透析(PD)である。老廃物(例えば、尿素)、毒素、および外来物質(例えば、処方薬分子)を含む、様々な所望でない物質が、透析処置中に患者の血液から除去され得る。
【0004】
[0004] 適切な体液量制御が、透析の主要な課題の1つである。例えば、HD患者の大多数は体液過剰状態にある。鬱血性心不全、心室肥大、または炎症などの、体液過剰状態の長期的結果を回避するために、限外濾過による除水が不可欠である。しかしながら、重要臓器に対する有害な影響または透析中低血圧(IDH:intradialytic hypotension)などの透析中合併症を回避するために、透析除水の適切な管理が必要である。したがって、透析における目標は、透析処置が、過剰な除水を回避しながら所望でない間質液を十分に除去する除水計画を達成し、患者の治療アウトカムを改善することである。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本概要は、下記の詳細な説明においてさらに説明する概念の選択物を簡易化した形式で紹介するために提供される。本概要は、請求項記載の主題の重要な特徴または本質的な特徴を必ずしも特定することを意図しておらず、また請求項記載の主題の範囲の決定を助けるものとも意図していない。
【0006】
[0006] 説明する実施形態の様々な態様によれば、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリとを備える装置である。メモリは命令を備え、当該命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、透析プロセス中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、RBV値およびRBV目標情報に基づいて限外濾過(UF)情報を決定することと、透析プロセス中にUFポンプを制御するためにUF情報を提供することとを行わせる。
【0007】
[0007] 本装置のいくつかの実施形態では、RBV目標情報は、患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える。本装置の様々な実施形態では、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、透析処置のRBVおよびUF情報を表示すること、またはユーザから透析処置のためのUF偏差範囲を受信することのうちの少なくとも1つを行うように動作するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提示させる。
【0008】
[0008] 本装置のいくつかの実施形態では、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内にRBV値を維持するためにUF情報を決定させる。本装置の例示的な実施形態では、UF情報は、UF速度(UFR)またはUF目標(UFG)のうちの1つを備える。
【0009】
[0009] 本装置の様々な実施形態では、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、比例積分(PI)プロセスに基づいてUF情報を決定させ、PIプロセスのプロセス変数がRBV値を備える。本装置のいくつかの実施形態では、PIプロセスの制御変数がUF情報を備える。
【0010】
[0010] 本装置の例示的な実施形態では、UF情報はUF速度(UFR)を備える。本装置の様々な実施形態では、RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、複数のRBV時間値の各々は、透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える。
【0011】
[0011] 本装置のいくつかの実施形態では、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの制約に基づいてUF情報を決定させ、少なくとも1つの制約は、最大UF速度(UFR)変化、酸素飽和度、血圧、またはIDH予測のうちの少なくとも1つを備える。本装置の様々な実施形態では、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、UF速度(UFR)を達成するようにUFポンプの動作を調整するために、UF情報をUFポンプのコントローラに提供させる。
【0012】
[0012] 説明する実施形態の様々な態様によれば、コンピュータによって実施される方法であり、コンピューティングデバイスのプロセッサを介して、コンピューティングデバイスに動作可能に結合された透析装置を介して実行される透析プロセス中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、RBV値およびRBV目標情報に基づいて限外濾過(UF)情報を決定することと、透析プロセス中にUFポンプを制御するためにUF情報を提供することとを備える。
【0013】
[0013] 本方法の例示的な実施形態では、RBV目標情報は、患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える。本方法のいくつかの実施形態では、RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内にRBV値を維持するためにUF情報を決定することを備える。本方法の様々な実施形態では、UF情報は、UF速度(UFR)またはUF目標(UFG)のうちの1つを備える。
【0014】
[0014] 本方法のいくつかの実施形態では、RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、複数のRBV時間値の各々は、透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える。本方法の様々な実施形態では、少なくとも1つの制約に基づいてUF情報を決定することを備え、少なくとも1つの制約は、最大UF速度(UFR)変化、酸素飽和度、血圧、またはIDH予測のうちの少なくとも1つを備える。
【0015】
[0015] 説明する実施形態の様々な態様によれば、相対血液量(RBV)ベースの限外濾過(UF)制御を使用して透析プロセスを実行するためのコンピュータによって実施される方法であり、本方法は、透析プロセスを実行する透析装置に動作可能に結合されたコンピューティングデバイスのプロセッサを介して、患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備えるRBV目標情報を受信することと、透析プロセス中の患者のRBV値を決定することと、RBV値をRBV目標情報と比較することと、RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内にRBV値を維持するように透析デバイスのUFポンプを制御するためのUF情報を決定することとを備える。
【0016】
[0016] 本方法のいくつかの実施形態では、ポンプを制御することは、UF速度(UFR)を達成するようにUFポンプの動作を調整することを備える。本方法のいくつかの実施形態では、RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内にRBV値を維持するためにUF情報を決定することを備える。本方法の様々な実施形態では、UF情報はUF目標(UFG)を備える。本方法のいくつかの実施形態では、RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、複数のRBV時間値の各々は、透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える。
【0017】
[0017] 説明する実施形態の様々な態様によれば、透析処置を実行するコンピュータによって実施される方法であり、本方法は、コンピューティングデバイスのプロセッサを介して、透析処置中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、RBV値をRBV目標情報と比較することと、透析処置中に患者の将来のRBV値をRBV目標範囲内に維持するように透析処置の限外濾過速度を(UFR)を調整することとを備える。
【0018】
[0018] 本方法のいくつかの実施形態では、RBV目標情報は、患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える。本方法の様々な実施形態では、UFRを調整することは、透析処置を行うために使用されるUFポンプの速度を調整することを備える。本方法のいくつかの実施形態では、UFRを調整することは、UFRを増加させることを備える。本方法の例示的な実施形態では、UFRを調整することは、UFRを減少させることを備える。
【0019】
[0019] 次に、例として、開示する装置の特定の実施形態を、以下の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】[0020] 本開示のいくつかの実施形態を表し得る第1の動作環境の一例を例示する。
図2】[0021] いくつかの実施形態による目標相対血液量(RBV)情報を例示する。
図3】[0022] いくつかの実施形態による目標相対血液量(RBV)情報を例示する。
図4】[0023] いくつかの実施形態による比例積分(PI)制御要素を例示する。
図5】[0024] いくつかの実施形態による目標相対血液量(RBV)情報を例示する。
図6A】[0025] いくつかの実施形態によるRBVベースの限外濾過(UF)コントローラのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を示す。
図6B】いくつかの実施形態によるRBVベースの限外濾過(UF)コントローラのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を示す。
図7】[0026] いくつかの実施形態によるRBVベースのUF制御ディスプレイGUIを示す。
図8】[0027] いくつかの実施形態による第1の論理フローを例示する。
図9】[0028] いくつかの実施形態による第2の論理フローを例示する。
図10】[0029] 透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図11】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図12】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図13】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図14】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図15】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図16】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図17】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図18】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図19】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図20】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図21】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図22】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図23】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図24】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図25】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図26】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図27】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図28】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図29】透析中RBV全死因死亡率研究のグラフ情報を示す。
図30A】[0030] インシリコ(In-Silico)症例研究のグラフ情報を示す。
図30B】インシリコ(In-Silico)症例研究のグラフ情報を示す。
図30C】インシリコ(In-Silico)症例研究のグラフ情報を示す。
図31A】[0031] 臨床パイロット研究のグラフ情報を示す。
図31B】臨床パイロット研究のグラフ情報を示す。
図31C】臨床パイロット研究のグラフ情報を示す。
図31D】臨床パイロット研究のグラフ情報を示す。
図32】[0032] 例示的な血液透析システムを例示する。
図33】[0033] 本開示によるコンピューティングアーキテクチャの一実施形態を例示する。
【詳細な説明】
【0021】
[0034] 次に、いくつかの例示的な実施形態を示す添付図面を参照して以下により十分に本実施形態を説明する。しかしながら、本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとしてみなされるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本主題の範囲を十分に伝えるように提供するものである。図面において、同様の番号は全体を通して同様の要素を指す。
【0022】
[0035] 体液管理は血液透析の主要な機能の1つであるが、この治療を受けている患者の共存症および平均年齢の漸進的増加は、臨床状態の低下および処置に対する耐性に関連する。各HDセッションの短い持続期間は、透析中の病的事象のリスクの一因となり、最終的に不十分な除水に達することにつながる。例えば、ほとんどのHDセッションにおいて、限外濾過速度(UFR)が、間質から血管空間に入る体液の補充速度を超え、これは、血液量の低下をもたらし、透析中低血圧(IDH)および重要臓器の灌流の減少を早める可能性がある。症候性IDHは、末期腎疾患(ESRD)患者の20~50%に、通常のHD治療中に影響を及ぼす。これは、多くの患者が体液過剰が持続的した状態で処置を離れるので、罹患率に直接反映し、最終的には高血圧、左心室肥大、肺鬱血、炎症、および早期死亡につながる。
【0023】
[0036] 臨床的評価が、各処置中にどれだけ除水すべきかを判断することの基準であったが、この手法があまり理想的でないことが一般に受け入れられている。相対血液量(RBV)の測定を含む、体液状態の客観的評価のためのいくつかの技術が提案されている。RBVデバイスは、ヘモグロビンまたはヘマトクリットなどの全血成分の濃度をモニタすることによって、透析ラインを通過する血液の脈管内体液状態の変化を測定する。これらの血液濃度マーカは、血液水濃度のリアルタイム相対変化を効果的にモニタすることができ、IDHの防止および体液管理の改善の可能性を提供する。RBVは限外濾過(UF)により減少し、より高いUF速度は、RBV曲線のより急な減少を引き起こす。
【0024】
[0037] したがって、様々な実施形態が、概して、患者の体液の除去が少なくとも部分的にRBVに基づき得る透析プロセスを実行するためのシステム、方法、および/または装置を対象とし得る。いくつかの実施形態では、処置の過程にわたって患者のRBVを目標(target)RBV値または範囲内に維持するために、UF速度(UFR)、UF目標(UFG:UF goal)、および/または同様のものなどのUF特性が、透析プロセス中の様々な時間期間において決定され得る。この詳細な説明により詳細に記載するように、患者の透析中RBVは、透析患者の罹患率と関連し得る(例えば、症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究を参照)。例えば、特定の透析中RBV範囲が、HD患者における全死因死亡率と関連し得る(例えば、症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究を参照)。したがって、様々な実施形態にしたがって、透析処置中の様々な時間期間において透析中RBVを目標RBV値または範囲内に維持することにより、特定の透析合併症が減少またはさらにはなくなり、それによって患者アウトカムが改善し得る。
【0025】
[0038] 例えば、いくつかの実施形態では、フレゼニウス社の2008T血液透析装置およびCLiC(登録商標)デバイスによってリアルタイムで提供される情報を使用して、各患者についての適切な相対血液量(RBV)軌道(入力)を特定し、UF速度(出力)をRBVのある特定の範囲内の有益な目標に誘導する、UF速度フィードバックコントローラデバイスのソフトウェアが開発されている。これらの範囲は、前の観察データに基づく。
【0026】
[0039] 例えば、以下の症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究でより詳細に説明するように、有意に改善した生存率に関連するRBV範囲を決定することができる。症例研究1では、後ろ向き(2012年1月~2016年12月)多施設(17の米国Renal Research Instituteクリニック)コホート研究を、一般的な慢性HD患者に行った(例えば、症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究を参照)。6か月のベースライン期間後、研究期間の終了まで患者を追跡調査した。1分ごとにヘマトクリット値(Hct)読取り値を提供し、RRIクリニックにおける標準的治療である、Crit-Lineモニタ(CRM)を使用して、RBV読取り値を取得した。RBVを、Hctの変化から、RBV(t)[%]=100・Hct(0)/Hct(t)として計算した(ここで、Hct(0)は最初のHctであり、Hct(t)は現在のHctである)。処置開始後1時間、2時間、および3時間のRBVレベルを、それぞれ、50分~70分、110分~130分、および170分~190分の間の平均RBVとして定義した。全死因死亡率とRBVとの関係を、これらの3つの1時間ごとの時点のRBVについてのスプライン項を有するCox比例ハザードモデルを使用して分析し、有意に改善した生存率に関連する1時間ごとのRBV範囲の特定を可能にした。
【0027】
[0040] 従来の透析システムは、典型的には、静的UFRおよび/またはUFGを使用する。例えば、標準的な透析システムは、処置の開始時に設定され、いずれの生理学的フィードバックも考慮することなくUFRを与えるUFRプロファイルを使用し得る。したがって、従来のシステムは、血漿補充および血行動態変化などの、透析プロセス中の患者の生理的変化に自動的に反応する能力を欠いている。加えて、代替的な従来の透析法は、RBV、特に患者アウトカムの改善を提供するために証明された目標RBV範囲に基づいて、UFRおよび/またはUFGを制御するように構成されていない。
【0028】
[0041] したがって、説明する実施形態は、コンピューティング技術の改善を含む、従来のシステムに対する複数の技術的特徴および利点を提供し得る。技術的利点の1つの非限定的な例には、透析中RBVを含む患者の生理学的特徴に基づいて、UFRおよび/またはUFGなどの透析UFの自動化されたフィードバックベースの制御を伴う透析プロセスを提供することが含まれ得る。例えば、透析プロセスを管理するように構成された論理デバイスは、患者のRBV情報を受信し、透析処置の時間期間中に特定の患者RBVに到達するためのUFRおよび/またはUFGを決定するように動作するコントローラであり得る、またはそれを含み得る。技術的利点の別の非限定的な例には、実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データから導出されたRBV情報を使用して透析処置中にUFを制御することに基づいて、患者の透析治療アウトカムを改善することが含まれ得る(例えば、図2および図3参照)。このようにして、実施形態は、従来の方法により利用可能なプロセスよりも効果的かつ正確なプロセスで、透析中合併症を最小限にし、長期的な患者アウトカムを最大限にしながら、規定のUF量の除去を可能にするUFを与えることによって透析を行うという、さらなる非限定的な技術的利点を提供し得る。
【0029】
[0042] 本説明には、説明する実施形態のより完全な理解を提供するために、構成要素およびシステム構成などの多数の特定の詳細を記載し得る。しかしながら、説明する実施形態がかかる特定の詳細なしに実施され得ることが当業者には理解されよう。さらに、いくつかの周知の構造、要素、および他の特徴は、説明する実施形態を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に示していない。
【0030】
[0043] 以下の説明では、「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」、「様々な実施形態」等への言及は、そのように説明した技術の実施形態(単数または複数)が特定の特徴、構造、または特性を含むことができるが、2つ以上の実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことができ、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含むわけではないことを示す。さらに、いくつかの実施形態は、他の実施形態について説明した特徴の一部、全部を有してもよく、またはいずれも有さなくてもよい。
【0031】
[0044] 本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、別段の指定がない限り、要素を説明するために序数形容詞「第1」、「第2」、「第3」などを使用することは、単に、要素の特定のインスタンスまたは同様の要素の異なるインスタンスが参照されていることを示しているにすぎず、そのように説明した要素が、時間的に、空間的に、順位的に、または任意の他の様式で、特定の順序でなければならないことを暗示することを意図するものではない。
【0032】
[0045] 図1は、いくつかの実施形態を表し得る動作環境100の一例を例示する。図1に示すように、動作環境100は、透析装置170に関連付けられた透析システム105を含み得る。いくつかの実施形態では、透析装置170は、UFポンプ172などの様々な構成要素を含み得る。様々な実施形態では、透析装置170は、HD透析システムであり得る、またはそれを含み得る。例えば、透析装置170は、フレゼニウスメディカルケア(米国マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能なフレゼニウス2008T HD装置であり得る、またはそれを含み得る。本詳細な説明における例ではHDが使用されているが、実施形態はそのように限定されず、いくつかの実施形態にしたがって実行することが可能な他のタイプの透析システムおよび処置が本明細書で企図される。
【0033】
[0046] 様々な実施形態では、透析システム105は、透析装置170に通信可能に結合されたコンピューティングデバイス110を含み得る。コンピューティングデバイス110は、とりわけ、患者に対して透析処置を行う透析装置170の動作態様を管理するように構成され得る。1つのみのコンピューティングデバイス110および透析装置170を図1に示すが、実施形態はそのように限定されない。様々な実施形態では、コンピューティングデバイス110に関して説明する機能、動作、構成、データ記憶機能、アプリケーション、論理、および/または同様のものは、例えば、ネットワーク150(すなわち、ネットワークノード152a~n)を介してコンピューティングデバイス110に結合された1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス(図示せず)によって実行され、および/またはそれらに記憶され得る。単一のコンピューティングデバイス110および透析装置170は、図を簡易化するためだけに例示目的で示されている。例えば、コンピューティングデバイス110は、例えば、ネットワーク150を介してコンピューティングデバイス110に結合された複数の透析装置170のための透析プロセスを部分的または全体的に動作させるように動作し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0034】
[0047] コンピューティングデバイス110は、トランシーバ140、ディスプレイ142、入力デバイス144、および/またはメモリユニット130に通信可能に結合されたプロセッサ回路120を含み得る。プロセッサ回路120は、いくつかの実施形態によるプロセスを実行するための様々な論理であり得、様々な論理を含み得、および/または様々な論理にアクセスし得る。例えば、プロセッサ回路120は、透析論理122および/またはRBVベースのUF制御論理124を含み得、および/またはそれにアクセスし得る。処理回路120、透析論理122、および/またはRBVベースのUF制御論理124、および/またはそれらの部分は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組合せで実装され得る。本願で使用されるとき、「論理」、「構成要素」、「層」、「システム」、「回路」、「デコーダ」、「エンコーダ」、「制御ループ」、および/または「モジュール」という用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことを意図するものであり、これらの例は、例示的なコンピューティングアーキテクチャ3300によって提供される。例えば、論理、回路、またはモジュールは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光および/または磁気記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、コンピュータ、ハードウェア回路、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、メモリユニット、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセット、ソフトウェア構成要素、プログラム、アプリケーション、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、コンピュータコード、制御ループ、比例積分微分(PID)コントローラ、前述のうちの任意のものの組合せ、および/または同様のものであり得、および/またはそれらを含み得るが、それらに限定されない。
【0035】
[0048] 透析論理122およびRBVベースのUF制御論理124は、プロセッサ回路120内にあるものとして図1に示すが、実施形態はそのように限定されない。例えば、透析論理122、RBVベースのUF制御論理124、および/またはその任意の構成要素は、ソフトウェアアプリケーション(例えば、透析アプリケーション136)および/または同様のものとして完全に実装される、アクセラレータ、プロセッサコア、インターフェース、個々のプロセッサダイ内に位置し得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス110および/またはその構成要素は、透析装置の組込み型または一体型構成要素であり得る。例えば、プロセッサ回路120、透析論理122、RBVベースのUF制御論理124、および/またはそれらの部分は、透析装置170内に配列され得る、またはその他の場合透析装置170と一体であり得る。
【0036】
[0049] メモリユニット130は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM(登録商標))、フラッシュメモリ、強誘電性ポリマーメモリなどのポリマーメモリ、オボニックメモリ、相変化または強誘電体メモリ、SONOS(silicon-oxide-nitride-oxide-silicon)メモリ、磁気または光カード、RAID(Redundant Array of Independent Disks)ドライブなどのデバイスのアレイ、ソリッドステートメモリデバイス(例えば、USBメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD))、および情報を記憶するのに好適な任意の他のタイプの記憶媒体など、1つまたは複数の高速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体および/またはシステムを含み得る。さらに、メモリユニット130は、内部(または外部)ハードディスクドライブ(HDD)、磁気フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FDD)、およびリムーバブル光ディスク(例えば、CD-ROMまたはDVD)に対して読み書きするための光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、および/または同様のものを含む、1つまたは複数の低速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0037】
[0050] メモリユニット130は、透析情報132および/またはRBV情報134を記憶し得る。いくつかの実施形態では、透析情報132は、透析装置170の動作情報および/または患者の生理的情報を含む、透析プロセス中に生成される情報を含み得る。動作情報は、UFR、UFG、処置時間、動作パラメータ、および/または同様のものを含み得る。患者の生理的情報は、体温、心拍数、RBV、酸素飽和度、血圧、透析中低血圧(IDH)情報(例えば、予測されるIDH情報)、および/または同様のものを含み得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0038】
[0051] 様々な実施形態では、透析装置170は、透析処置を受けている患者の様々な生理学的特徴をモニタするように動作する様々な患者モニタリングデバイス174a~nに動作可能に結合され得る。例えば、モニタリングデバイス174a~nは、フレゼニウスメディカルケア(米国マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能なCrit-Line(登録商標)モニタ(CLM)などの、血液量(BV)モニタリングデバイスおよび/またはヘマトクリット値測定デバイスであり得る、またはそれを含み得る。一般に、CLMは、ヘマトクリット値、酸素飽和度、および/または透析処置中の血液量の変化を測定するように動作するインラインモニタであり得る。いくつかの例ではCLMが使用され得るが、実施形態はそのように限定されず、いくつかの実施形態にしたがって動作することが可能な、BVおよび/またはRBVなどの患者の生理学的特徴を測定および/または予測するための任意の技法、デバイス、装置、システム、プロセス、および/または同様のものが本明細書で企図される。様々な実施形態では、モニタリングデバイス174a~nは、フレゼニウスメディカルケア(米国マサチューセッツ州ウォルサム)から入手可能なCliC(登録商標)デバイスなどの体液管理モニタリングツールを含み得る。CliC(登録商標)デバイスは、絶対ヘマトクリット値および連続酸素飽和度などの、特定の患者の生理学的特徴を非侵襲的に測定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、モニタリングデバイス174a~nのうちの1つまたは複数によってモニタされる情報は、透析処置の過程にわたる患者についてのRBVおよび/または他の生理学的特徴であり得る、またはそれらを決定するために使用され得る。
【0039】
[0052] いくつかの実施形態では、目標RBV情報134は、透析処置の過程にわたる特定の患者についての所望のRBV値を含み得る。いくつかの実施形態では、目標RBV情報134は、母集団ベースのRBV情報であり得る、またはそれを含み得る。様々な実施形態では、母集団ベースのRBV情報は、限定ではなく、ハザード比(HR)、罹患率値、死亡率値、合併症率、および/または同様のものを含む様々な因子に基づく、患者のアウトカムの改善のためのRBV範囲であり得る、またはそれを含み得る。様々な実施形態では、目標RBV情報は、透析プロセスの時間期間にわたる目標RBV範囲を含み得る。
【0040】
[0053] 図2を参照すると、RBV曲線210の形態の例示的な目標RBV情報のグラフ205が示されている。図2に示すように、RBV曲線210は、時間期間214a~fの各々に対して1つずつ、目標RBV範囲212a~fを含み得る。時間期間214a~fは30分刻みであるが、時間期間214a~fは、いくつかの実施形態によれば、限定ではなく、10秒、30秒、1分、5分、10分、15分、20分、30分、45分、1時間、1時間30分、2時間、およびこれらの値(終点を含む)の任意の2つの間の任意の値または範囲を含む、任意の持続時間を有し得る。
【0041】
[0054] 様々な実施形態では、目標RBV範囲212a~fは、例えば、1つまたは複数の臨床試験での患者母集団から決定された好ましい(favorable)RBV範囲を含み得る。いくつかの実施形態では、目標RBV範囲212a~fは、改善したHR、例えば、<1.0の全死因死亡率のHRなど、しきい値未満のHRを有する、患者母集団についてのRBV値を含み得る。
【0042】
[0055] 図3を参照すると、例示的な目標RBV情報のグラフ305が示されている。図3に示すように、目標RBV範囲212a~fなどの目標RBV範囲が使用されて、範囲212a~fの上部と範囲の下部とをつなぐことによって目標領域または「好適性チューブ(favorability tube)」310を生成し得る。いくつかの実施形態では、目標RBV曲線312は、例えば、目標領域310の範囲を通って延びる直線または実質的に直線として決定され得る、もしくはそうでない場合、目標領域310の範囲の中央値または平均値を通してフィッティングされ得る。
【0043】
[0056] 目標RBV情報134を生成するために使用される母集団は、年齢、性別、病状、除水量、合併症、および/または同様のものなどの様々な特徴を有し得る。様々な実施形態では、目標RBV情報134は、例えば、各々が母集団特徴の特定のセットに関連付けられた複数のRBV曲線および/または範囲を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態による透析処置を受けている患者は、それら個々の特徴、サブグループ、および/または同様のものに関連付けられた目標RBV情報を使用し得る。例えば、60歳の女性患者は、50~60歳の女性患者に対して決定されたRBV曲線312を使用し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。様々な実施形態では、RBVベースのUF制御論理124が、患者情報(例えば、身体情報、疾患情報、処置履歴情報、および/または同様のもの)を受信し、患者の処置中のRBVベースのUF制御のために使用されることになる1つまたは複数の最適な目標RBV曲線、範囲、または他の構造を決定し得る。一般に、RBVベースのUF制御論理124は、いくつかの実施形態によれば、透析処置中に患者のRBV曲線を所定の目標範囲内に誘導するように設計されたフィードバックコントローラとして動作し得る。
【0044】
[0057] 様々な実施形態では、透析論理122は、HD処置などの透析プロセスを透析装置170を介して患者に行うように、例えば、透析アプリケーション136を介して動作し得る。例えば、透析論理122は、患者に対して透析プロセスを行うために、患者特徴、透析処方情報、および/または同様のものなどの、透析処置情報を受信し得る。RBVベースのUF制御論理124は、患者のRBV値および目標RBV情報に基づいて、透析処置中のUF特性を管理することによって、コンピュータ支援UF制御を実行するように動作し得る。UF特性は、UFRおよび/またはUFGを含み得る。いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、例えば、透析アプリケーション136を介して、UFポンプ172を制御して目標UF特性を達成するように動作し得る。
【0045】
[0058] いくつかの実施形態では、UF制御論理124は、PID制御ループなどの制御要素であり得る、またはそれを含み得る。図4は、いくつかの実施形態によるPI制御ループ情報を示す。様々な実施形態では、PI制御ループは、グラフ405にグラフで示される比例ゲイン項404と、グラフ410にグラフで示される積分ゲイン項406とを有する式402にしたがって、時間t(u(t))におけるUFRを決定し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0046】
[0059] PIDコントローラは、誤差値((測定された)プロセス変数の、所望の値からの偏差)を連続的に得て、プロセス変数が所望の値に従うように制御変数を調整し得る。いくつかの実施形態では、PIDコントローラは、PIコントローラ(例えば、微分(D)項がゼロに設定されたPIDコントローラ)として動作し得る。いくつかの実施形態では、プロセス変数は、患者のRBVレベル(例えば、患者のヘマトクリット値(生理学的変数)から計算される)であり、調整される制御変数はUF速度である。一般に、PIコントローラは、制御変数が増加するときプロセス変数が減少する場合、プロセス変数が所望の値よりも大きければ制御変数が増加し、逆もまた同様となるように動作する。PIコントローラは、調整のサイズを計算するために2つの項を有する。比例項404は、現時点のみの誤差の値を考慮するが、積分項406は、前に測定されたすべての誤差を合計することによって誤差の履歴を考慮する。両方の項は、性能を調整するためのゲイン(比例ゲインおよび積分ゲイン)を有する。
【0047】
[0060] したがって、いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、フィードバック変数として患者RBV値を有する閉ループコントローラを動作させ得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、UFポンプ172のためのUFRを設定し得る(例えば、初期値で開始する)。患者RBV値は、連続的にモニタされ、RBVベースのUF制御論理(例えば、PIDまたはPI制御ループ)に提供され、目標RBV情報と比較され得る。RBVベースのUF制御論理124は、UFRを調整して、特定の時間期間にわたって患者RBVを目標RBV範囲内に設定または維持し得る。
【0048】
[0061] いくつかの実施形態では、UF制御は、RBVベースのUF制御論理124によって完全に自動化され得る。様々な実施形態では、RBVベースのUF制御論理124によって決定されるUFRおよび/またはUFG値を確認または変更するために、オペレータ支援が使用され得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、1時間マークにおいて、UFRがxからyに増加されるべきであると決定し得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)プロンプト、アラート、メッセージ、または他の信号が使用されて、看護師または他のオペレータに増加を確認するように促し得る(例えば、図6A図6B、および図7参照)。代替的に、オペレータは、特定のUFR範囲、またはUFR変化しきい値、UFG範囲、および/または同様のものなどの他の動作パラメータを入力し得る。
【0049】
[0062] 様々な実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、UFRの変更の否定的な結果を低減するか、またはさらにはなくすために、PIDコントローラ制約などの様々な制約を伴って動作し得る。制約の非限定的な例には、UF境界(例えば、図5参照)、UFR変化しきい値、酸素飽和度、血圧、および/または(予測される)IDHが含まれ得る。いくつかの実施形態では、UFR変化しきい値は、UFRの最大相対変化(例えば、規定のUFRの+/-75%)および/またはUFRの最大許容変化(例えば、最大ミリリットル/時間の変化)を含み得る。図5は、好適性チューブ520のための例示的なUFR変化限界または境界のグラフ505を示し、好適性チューブの中510および好適性チューブの外515の、いくつかの実施形態による規定のUFRに対する許容UFR変化を示す。表1は、グラフ505の情報を表形式で示す。
【表1】
【0050】
[0063] 患者のRBVが好適性チューブ310内に留まる限り、患者のRBVはRBV目標範囲を通過することになる。したがって、RBVが好適性チューブ310内にある場合、コントローラ(例えば、RBVベースのUF制御論理124)は、UF速度に対してより小さい調整しか行わないように構成され得る。UFRに対する最大許容変化は、規定のUFRおよび/または絶対UFRの増加率/減少率として定義され得る。好適性チューブ310外では、より大きい調整が可能であり得、これは、例えば、患者のRBVを好適性チューブ内に入れるために必要であり得るからである。これらの相対的な境界のすぐ近くでは、コントローラは、表1に定義されるパラメータを観察するようにプログラムされ得る。
【0051】
[0064] したがって、いくつかの実施形態では、最大許容UFR変化は、処置が進行するにつれて減少し得る。例えば、コントローラは、処置の最終段階(>180分)中、最大5%UFRを増加させるだけであり得る。しかしながら、RBVを所望の範囲内に入れるために、RBVが目標チューブより下にある患者のUF速度を実質的に減少させる(最大35%)ことが可能であり、これは、UFRの減少が、血行動態の安定性の改善に関連しており、患者にほとんどまたは全くリスクを及ぼさないからである。
【0052】
[0065] いくつかの実施形態では、透析情報132は、どの制約がアクティブであるか、しきい値、制約アクション、および/または同様のものなど、処置の過程について制約情報を含み得る。例えば、透析情報132は、図5に示すUFR変化限界がアクティブであり、許容範囲外のUFR変化がRBVベースのUF制御論理124によって決定された場合にとるべき1つまたは複数の制約アクションを示し得る。例えば、制約アクションは、前のUFRを維持すること、許容しきい値内の最大/最小UFRに進むこと(例えば、しきい値UFR変化が+20%であり、決定されたUFR変化が+30%である場合、最大20%の変更を実行すること)、アラームをトリガすること、それらの組合せ、および/または同様のことであり得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0053】
[0066] 例えば、酸素飽和度制約の場合、RBVベースのUF制御論理124は、低い(例えば、絶対しきい値未満)および/または低下している酸素飽和度レベル(例えば、指定された持続時間にわたるパーセント変化)の場合にUFRを増加させることを防止し得る。例えば、カテーテルベースの中心静脈酸素飽和度の場合、5分間にわたる約44%の絶対しきい値および7%の相対しきい値を使用し得る。別の例では、AVF動脈酸素飽和度の場合、5分間にわたる約86%の絶対しきい値および5%の相対しきい値を使用し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。一般に、少なくとも5分間にわたる86%未満の動脈酸素飽和度および44%未満の中心静脈酸素飽和度は、「低い」とみなしてよく、上記5分間にわたる5パーセントポイント(中心静脈酸素飽和度の場合)を超える、または7パーセントポイント(動脈酸素飽和度の場合)を超える酸素飽和度の減少は、「低下している」とみなしてよい。
【0054】
[0067] 別の例では、血圧制約の場合、RBVベースのUF制御論理124は、絶対血圧値および/または血圧傾向(例えば、ある時間期間にわたる変化)に基づいてUFRの変化を抑え得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、指定されたしきい値血圧範囲内で、別様に許容可能なUFR調整を可能にし得る。指定されたしきい値血圧範囲外では、RBVベースのUF制御論理124は、UFRの増加を可能にし得るが、UFRの減少を可能にしない。
【0055】
[0068] さらなる例では、IDH制約が、予測されたIDH(例えば、1分~30分ごとなど、ある特定の時間間隔で予測される)に基づいて使用され得る。様々な実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、(予測された)IDH値がしきい値外にあることに応答して、UF速度を減少させ得る。
【0056】
[0069] いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、ユーザ提供のすべての入力に対して様々な妥当性検査を実行して、それらが妥当であることを保証し得る。コントローラによって提案される任意のUF速度は、最初に定義されたハードリミット(UFRおよびUFG偏差)内にあり得る。いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、規定のUFGが、例えば、13mL/kg/時間の内部UFR上限を超える場合、ディセーブルまたは一時停止され得る。
【0057】
[0070] 様々な実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、その動作に対して内部チェックを実行し得る。(例えば、データ利用可能性が不十分なことに起因して)最初のUFR提案を計算できない場合、または計算のいずれかがこれらの内部チェックに合格しない場合、UFR提案を生成できず、RBVベースのUF制御論理124は、自動的にフォールバックモードに入り得る。フォールバックモードでは、RBVベースのUF制御論理124は、処置が現在のUFG設定を継続することを提案し得る。
【0058】
[0071] CLiC(登録商標)データなど、患者モニタリングデバイス174a~nから受信されたデータは、例えば、UFGまたはUFR提案が誤ったデータまたは疑わしいデータに基づかないように、RBVベースのUF制御論理124によって前処理され得る。いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御論理124は、必要な入力データが十分でない場合、UF速度の変更を提案しなくてよい。さらに、低いまたは低下する酸素飽和度レベルが存在するとき、コントローラがUF速度の増加を提案するのを防止するオプションがある。看護師は、GUIにおいてこのオプションをオンまたはオフにすることができる。本明細書で説明する他の制約もまた、UFGおよび/またはUFRへの変更を制限またはディセーブルにし得る。
【0059】
[0072] 様々な実施形態では、透析アプリケーション136は、単独で、または透析論理122ならびに/もしくはRBVベースのUF制御論理124と組み合わせて、透析処置のRBVベースのUF制御に関する情報を提示および/または受信するための様々なGUIインターフェースを提供し得る。図6Aおよび図6Bは、いくつかの実施形態による、UFコントローラ入力GUIインターフェース605を示す。図6Aおよび図6Bに示すように、UFコントローラ入力GUIインターフェース605は、限外濾過(例えば、UFG)偏差値620、重み622、更新間隔624、および/または同様のものなどの処置パラメータを受信するためのオブジェクトを含み得る。実施形態は、図6Aおよび図6Bに示す入力/データオブジェクトに限定されず、透析処置のRBVベースのUF制御のための任意のタイプの情報を受信および/または表示するための入力/データオブジェクトが、UFコントローラ入力GUIインターフェース605を介して提示され得る。図7は、いくつかの実施形態による、RBVベースのUF制御GUIインターフェース705を示す。RBVベースのUF制御GUIインターフェース705は、RBV対時間のグラフ710、元のUF目標720、提案されたUF目標(例えば、RBVベースのUF制御論理1240によって決定される)、元のUF時間724、実際のUF時間726、提案されたUFR727、および実際のUFR730など、透析処置中のRBVベースのUF制御と関連付けられた情報を提示するように構成され得る。このようにして、看護師などのオペレータは、リアルタイムまたは実質的にリアルタイムでRBVベースのUF制御を見て管理することができる。
【0060】
[0073] 開示するアーキテクチャの新規の態様を実行するための例示的な方法を表す1つまたは複数の論理フローが本明細書に含まれる。説明を簡単にするために、本明細書において1つまたは複数の方法は一連の動作として図示および説明されているが、当業者は、方法がその動作の順序によって限定されないことを理解し、諒解するであろう。いくつかの動作は、それにしたがって、本明細書に図示および説明されるものとは異なる順序で、および/または他の動作と同時に行われ得る。例えば、当業者は、方法が状態図などの一連の相関状態またはイベントとして代替的に表わせることを理解し、諒解するであろう。さらに、方法に例示されたすべての動作が新規の実施のために必要とされなくてもよい。点線で指定されたブロックは、論理フローの任意選択のブロックであり得る。
【0061】
[0074] 論理フローは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアおよびファームウェアの実施形態では、論理フローは、非一時的コンピュータ可読媒体または機械可読媒体上に記憶されたコンピュータ実行可能命令によって実装され得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0062】
[0075] 図8は、論理フロー800の一実施形態を例示する。論理フロー800は、コンピューティングデバイス110および/またはその構成要素など、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態によって実行される動作の一部または全部を表し得る。いくつかの実施形態では、論理フロー800は、いくつかの実施形態による、患者のためのRBVプロファイルを決定する動作の一部または全部を表し得る。
【0063】
[0076] ブロック802において、論理フロー800は、母集団ベースのRBV情報802を決定し得る。いくつかの実施形態では、母集団ベースのRBV情報802は、1つまたは複数の分析に基づいて決定された、目標RBV曲線312などの母集団特有の目標RBV情報であり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態では、分析は、現実世界の臨床試験(例えば、症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究を参照)、インシリコ臨床試験(例えば、症例研究2:インシリコ症例研究を参照)、それらの組合せ、および/または同様のものを含み得る。例えば、RBV範囲および患者アウトカムの臨床試験が、母集団、サブグループ、および/または同様のもののための1つまたは複数の目標RBV曲線を決定するために実行され得る。サブグループは、年齢、性別、合併症(例えば、鬱血性心不全、糖尿病、UFG、および/または同様のもの)などの臨床試験母集団の任意のタイプの分割可能なグループを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、目標RBV情報132は、患者の身体的特徴、処置計画、および/または同様のものに基づいて、個々の患者と関連付けられ得る、目標RBV範囲または曲線のライブラリを含み得る。いくつかの実施形態では、RBV情報132は、例えば、コンピューティングデバイス110のメモリ130にローカルに記憶され得る。他の実施形態では、RBV情報132は、ネットワーク、クラウド、または他の記憶環境を介してアクセス可能であり得る。このようにして、特定の位置で処置を受けている患者は、患者に対する最適な一致を決定するために広範囲のRBV目標構造を使用して処置されることができ得る。
【0064】
[0077] 論理フロー800は、ブロック804において透析情報を決定し得る。例えば、患者特徴、透析処方情報、処置パラメータ、RBVベースのUF制御パラメータ、制約情報、および/または同様のものなどの透析情報132は、RBVベースのUF制御論理124によってアクセスされ得る。
【0065】
[0078] ブロック806において、論理フロー800は、RBVプロファイルを決定し得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、目標RBV情報のライブラリから、患者に対応するRBV目標曲線312を決定し得る。例えば、患者特徴または患者サブグループ特徴に一致または実質的に一致するRBV目標曲線312が決定され得る。
【0066】
[0079] 論理フロー800は、ブロック808において、RBVプロファイルに基づくRBVベースのUF制御を使用して透析を実行し得る。例えば、透析アプリケーション136は、ブロック808で決定された目標RBV曲線によって指定される範囲内に患者のRBV値を維持するようにRBVベースのUF制御が動作する透析動作を透析装置170を介して実行し得る。このようにして、患者は、RBVベースのUF制御がその個人またはサブグループの特徴に最適化された透析処置を受けることができる。
【0067】
[0080] 図9は、論理フロー900の一実施形態を例示する。論理フロー900は、コンピューティングデバイス110、透析装置170、および/またはその構成要素など、本明細書で説明する1つまたは複数の実施形態によって実行される動作の一部または全部を表し得る。いくつかの実施形態では、論理フロー900は、いくつかの実施形態による、透析処置を実行する動作の一部または全部を表し得る。
【0068】
[0081] ブロック902において、透析処置は、論理フロー900によって開始され得る。例えば、透析論理122は、透析装置170を使用して患者の透析処置プロセスを、透析アプリケーション136を介して開始し得る。透析プロセスは、最初のUFGおよびUFRから開始し得る。いくつかの実施形態では、RBVベースのUF制御は、コンピューティングデバイス110上で初期化され得る。様々な透析情報132が、例えば、ある特定の時間間隔(例えば、0.5秒~10分ごと)または周波数(例えば、0.5Hz~5.0Hz)で、コンピューティングデバイスに提供され得る。透析装置170からの透析情報132の非限定的な例には、HD装置タイムスタンプ、HD装置ID、患者ID、UF速度、累積UF量、UF目標、処理された血液量、血圧(BP)、透析の残り時間、残りのUF時間、および/または同様のものが含まれ得る。透析情報132はまた、CLMおよび/またはCliC(登録商標)デバイスなどの患者モニタリングデバイス174a~nから受信され得る。患者モニタリングデバイス174a~nからの透析情報の例示的かつ非限定的な例には、タイムスタンプ、カウンタ、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、酸素飽和度、血液量情報、バイタル情報、および/または同様のものが含まれ得る。いくつかの実施形態では、透析装置170および患者モニタリングデバイスからの透析情報132は、患者のRBVを目標RBV範囲内に入るように進めるための提案されるUFGおよび/またはUFRを計算するように、RBVベースのUF制御論理124によって処理され得る。
【0069】
[0082] 規定のUFRは、規定のUFGまたはUF量を全処置時間で割ったものである。いくつかの実施形態では、透析情報132は、患者の処置前HD後体重と、任意選択で、規定のUFGにおける最大許容偏差(+/-)(例えば、臨床方針により+/-約1000mL)とを含み得る。
【0070】
[0083] 論理フロー900は、ブロック904において、評価期間が満了したかどうかを決定し得る。例えば、患者RBVは、1分ごと~20分ごとなど、不連続の時間間隔でチェックされ得る。いくつかの実施形態では、評価時間期間は約10分であり得る。いくつかの実施形態では、評価期間は、透析処置の段階または持続時間に基づいて異なり得る。例えば、第1の評価期間は約15分であり、その後、残りの透析処置の間10分間隔が続き得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0071】
[0084] ブロック906において、論理フロー900は、患者RBV値を決定し得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、例えば、患者モニタリングデバイス174a~nから取得された透析情報に基づいて、患者RBV値を決定し得る。いくつかの実施形態では、RBV値は、例えば、CliC(登録商標)または同様のデバイスによって決定された、患者ヘマトクリット値に基づいて決定され得る。患者RBV値は、特定の時間間隔における患者のRBVを含み得る。
【0072】
[0085] 論理フロー900は、ブロック908においてUF情報を決定し得る。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、例えば、PI制御ループを介して、推奨UFGを決定し得る。RBVベースのUF制御論理124は、患者RBVが特定の時間間隔で目標RBV範囲内にあるように、目標RBV情報134(目標RBV曲線312など)に基づいて推奨UFGを決定し得る。
【0073】
[0086] いくつかの実施形態では、論理フロー900は、UF情報を決定するときに1つまたは複数の制約を考慮に入れ得る。例えば、患者RBV値に基づいて、RBVベースのUF制御論理124は、UFGを10%だけ増加させることを決定し得る。しかしながら、血圧制約は、例えば、患者の血圧がしきい値外である場合、その増加を防止し得る。制約がトリガされた場合、推奨UFGは、現在のUFGの維持を含み得る制約アクションに基づいて生成され得る。
【0074】
[0087] ブロック910において、論理フロー900は、ブロック908において決定されたUFGを達成するようにUFRを変更し得る。いくつかの実施形態では、推奨UFRは、推奨UFGおよび透析処置の残り時間に基づいて決定され得る(例えば、残り時間のうちに推奨UFGを満たすために必要とされるUFR)。例えば、RBVベースのUF制御論理124は、単独で、または透析アプリケーション136と組み合わせて、UFポンプ172の動作を変更してUFRを変更し得る。いくつかの実施形態では、UFRの変更は、制約および/またはUFRの推奨変化が最大変化しきい値外にあることに起因して拒否され得る(例えば、表1および図5参照)。
【0075】
[0088] いくつかの実施形態では、UFRまたは他のUF動作パラメータを変更するためにオペレータの介入が必要となり得る。そのような実施形態では、オペレータには、UFRなどのUF動作パラメータの変更が推奨されることが警告され得る。例えば、スケジュールされた更新時点(または評価期間)の各々の60秒前から60秒後まで、GUI上の「コントローラ更新」ボタンが音響信号とともに点滅して、コントローラが評価および該当する場合には実施のためにUF速度推奨を生成しようと試みる準備ができていることをオペレータ(例えば、透析看護師)に警告し得る。オペレータが「コントローラ更新」ボタンを選択すると、GUIは、更新されたUFRおよび対応するUFG(残りのUF時間に基づく)を表示する。次いで、オペレータは、この提案を実施するか否かを判断する。コントローラの提案を実施するために、いくつかの実施形態では、オペレータは、(UFRではなく)提案されたUFGを(例えば、GUI605を介して)HD装置に入力し得る(装置上でUFRを変更することは、UFGを保ちながら処置時間を調整させ得、これは望ましくない)。UFGの変更は、常に残りの処置時間を同じままに保ち、UF速度を調整し、これは所望の変更である。
【0076】
[0089] オペレータはまた、コントローラの提案を入力するのではなくむしろ、異なるUFGまたはUFRを入力する、または変更を全く行わない判断もし得る。オペレータが許容時間期間中に「コントローラ更新」ボタンを押せなかった場合、UF速度は変更されないままであり(これもまた看護師が変更を実施すると判断しない限り)、コントローラは、次の定期的にスケジュールされた更新時点で新しいUF速度推奨を生成する。
【0077】
[0090] したがって、ブロック912においてオペレータが推奨UF目標を受け入れた場合、論理フローは、ブロック910においてUFGを達成するようにUFRを変更し得る。そうでない場合、論理フローは、ブロック914において、前のUFR(およびUFG)を維持し得る。
【0078】
症例研究1:透析中RBV全死因死亡率研究
[0091] とりわけ透析中RBVと死亡率との関連性を決定するために、透析中RBV全死因死亡率研究を実施した。
【0079】
[0092] 透析中RBV全死因死亡率研究では、RBVを6か月のベースライン期間中に1回/分で記録し、追跡調査中に全死因死亡率を記録した。HD開始後1時間、2時間、および3時間(h)のRBVが、追跡調査中の全死因死亡率の予測因子としての役割を果たした。具体的には、842人の患者を調査した。追跡調査中(中央値30.8か月)、249人の患者(29.6%)が死亡した。次の1時間ごとのRBV範囲が、生存率の改善と関連し、第1時間は93~96%(ハザード比(HR)0.58(95%信頼区間(CI)0.42~0.79))であり、第2時間は89~94%(HR0.54(95%CI0.39~0.75))であり、第3時間は86~92%(HR0.46(95%CI0.33~0.65))であった。RBVは、患者の約3分の1でこれらの範囲内であり、3分の2で超えていた。年齢中央値(/>61歳)、性別、人種(白人/非白人)、透析前収縮期血圧(SBP)(/>130mmHg)、および透析間体重増加(interdialytic weight gain)中央値(/>2.3kg)によるサブグループ分析において、同等の好ましいRBV範囲を示した。3時間RBVが86~92%の患者は、RBV>92%の患者と比較すると、より若年であり、限外濾過量および速度がより高く、透析中SBPならびに低血圧率の平均および最下点が同様であり、透析後SBPがより低く、鬱血性心不全の有病率がより低かった。多変量Cox分析において、RBV範囲は、独立した有意なアウトカム予測因子のままであった。
【0080】
[0093] 概して、透析中RBV全死因死亡率研究で、特定の1時間ごとの透析中RBV範囲が慢性HD患者のより低い全死因死亡率と関連することが結論付けられた。
【0081】
[0094] 透析中RBV全死因死亡率研究は、米国ニューヨーク州ニューヨークのRRI(Renal Research Institute)の17施設からの維持HD患者に行われた多施設観察の後ろ向き研究であった。CLMが順繰りにRRI透析クリニックに配備され、これは標準的治療である。6か月のベースライン期間および最大54か月の追跡調査期間を患者レベルで定義した(ベースライン期間および追跡調査期間を示す図10参照)。適格なCLMデータを用いた最初の処置を、ベースライン期間の開始日とした。ベースライン期間中に少なくとも10回の適格なCLM記録があった患者全員を研究に含めた。<200分の処置時間が唯一の除外基準であった。患者の特徴をベースライン中に評価した。全死因死亡率を追跡調査中に記録した。
【0082】
[0095] 時間tにおけるRBV(透析開始時の血液量のパーセントで表される)を以下のように計算した。
時間tにおけるRBV(%)=100×HCT0/HCTt
【0083】
[0096] HCT0およびHCTtは、それぞれ、開始時およびHD中の所与の時間tにおけるヘマトクリット値である。CLMを使用してヘマトクリット値を準連続的に測定し、RBVを1回/分で報告した。患者のRBVを処置ごとに計算し、次いで、患者ごとのすべての処置で平均し、続いて患者で平均した。HDセッション開始後1h、2h、および3hのRBVをアウトカム予測因子として使用した。この目的のために、RBVデータを、それぞれ、50分~70分、110分~130分、および170分~190分で平均した。
【0084】
[0097] 透析中RBV全死因死亡率研究では、血圧を30分ごとにオシロメトリック法で自動的に測定した。透析前、透析後、および透析中の平均収縮期血圧(SBP)を計算し、最下点SBPおよびIDH率を報告した。ここでIDHを透析中SBP<90mmHgと定義した。ベースライン中の透析中SBPは、219人の患者の181回の処置で得られた。
【0085】
[0098] 鬱血性心不全(CHF)、真性糖尿病(DM)、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を、患者の電子健康記録に国際疾病分類第9改訂のコードを使用して記録した。
【0086】
[0099] 記述統計は、連続変数についての平均(+/-標準偏差)およびカテゴリ変数についてのパーセンテージを備える。1h、2h、および3hにおける全死因死亡率とRBVとの関連性を探究するために、透析中RBV全死因死亡率研究において、スプライン項を用いるCox比例ハザードモデルを使用し、連続変数としてRBVの非線形効果を、およびこれら1時間ごとの3つの時点における全死因死亡率とのその関係をモデリングすることを可能にした。このスプライン解析により、それぞれ有意に<1(「好ましい」)、または>1(「好ましくない」)であるハザード比(HR)に関連する1時間ごとのRBV範囲を特定することが可能となった。
【0087】
[0100] さらなる分析のために、患者を「好ましい」3時間RBV範囲内にあるかないかの2つのグループに層別化した。生存特徴を、カプランマイヤープロット、ログランク検定、およびCox比例ハザードモデルを使用して比較した。最小限に調整したCoxモデルおよび完全に調整したCoxモデルが、粗生存率分析を補完した。最小限に調整したモデルは、年齢、性別、CHF、およびCOPDを含む。さらに、完全に調整したモデルは、血清アルブミンおよびヘモグロビン、好中球:リンパ球比(NLR、炎症マーカ)、UFR、透析前SBP、糖尿病、および人種を含む。腎臓移植、非RRI施設への転院、透析処置法の変更があった場合、または追跡調査の終了時に、患者は打ち切りとなった。
【0088】
[0101] それぞれ「好ましい」3時間RBV範囲内または範囲外の患者におけるベースライン記述統計、グループ差、および95%信頼区間も報告した。これらの知見をさらに探究し、全処置時間ではなく3時間のみを考慮して可能性のある偏りを説明するために、総処置時間を100%と定義して、相対的な処置経過時間による全死因死亡率とRBVとの関連性も調査した。透析中RBV全死因死亡率研究では、総処置時間の21~30%、46~55%、71~80%、および91~100%でRBVを平均することによって、それぞれ、経過した処置時間の25%、50%、75%、および100%を使用した。さらに、RBV勾配と全死因死亡率との関連性も調査した。RBV勾配は、100%のRBV(定義によれば最初のRBV)における切片を有する単回帰を使用して算出した。RBVが好ましい1時間ごとのRBV範囲を下回る患者を除外する感度分析も行った。
【0089】
[0102] 透析中RBV全死因死亡率研究では、842人の患者を調査し、合計28,119回の透析セッションが6か月のベースライン中に適格なRBV記録を有し、患者当たり33.4±13.8回の適格なセッションをもたらした(図11の表1105参照)。年齢は61±14.8歳、透析歴は3.9±4.1年、50.6%が白人、62.1%が男性、55.8%が糖尿病、24%がCHF、9.4%がCOPDであった。透析中RBVは、1h、2h、および3h後、それぞれ、97.9±1.9%、94.8±2.6%、93.1±3.3%であった。
【0090】
[0103] 30.8か月という中央値の追跡調査中、249人の患者(29.6%)が死亡した。全死因死亡率についてのHRは、1時間RBVが93~96%、2時間RBVが89~94%、3時間RBVが86~92%である患者において、有意に<1.0であった。患者の約65%がこれらのRBV範囲を超えるRBVを、32%がその範囲内のRBVを、約2.5%がそれを下回るRBVに達した(図12の表1205参照)。有意に>1.0のHRに関連するRBV範囲は、97~100%(1h)、95~99%(2h)、93~99%(3h)であった(図13のグラフ1310、1312、および1314、ならびに図14のグラフ1405参照)。図13を参照すると、1時間後(グラフ1310)、2時間後(グラフ1312)、および3時間後(グラフ1314)の到達したRBVレベルのHRおよびCiが示されており、x軸上の目盛りは個々の患者を表す。図14のグラフ1405は、全死因死亡率について有意に<1.0のHRSに関連する透析中の1時間ごとのRBV範囲を示す。
【0091】
[0104] 半時間ごとの好ましいRBV範囲を、図15のグラフ1505に補足データとして示す。多変量Cox分析により、RBVがこれらのRBV範囲内に入った患者の全死因死亡率についてのより低いHRが確かになった(図16の表1605を参照)。時間ではなく処置経過時間のパーセントによる分析で、実質的に同様の結果を示した(図17のグラフ1705参照)。年齢中央値(/>61歳)、人種(白人、非白人)、性別、透析前SBP(/>130mmHg)、および透析間体重増加(IDWG)(/>2.3kg)によるサブグループ分析で、同等の好ましいRBV範囲を示した(図18の表1805参照)。
【0092】
[0105] カプランマイヤー分析およびCox比例ハザードモデルでは、3時間RBVが86~92%以内の患者において、この範囲の外の患者と比較して、有意により良好な生存率を示した(図19のグラフ1905および図20のグラフ2005参照)。
【0093】
[0106] RBV勾配および全死因死亡率に関する分析では、2.47~0.34%/hの勾配で有意に増加したHR、および5.18~3.04%/hの勾配で有意に減少したHRを示した(図21のグラフ2105参照)。
【0094】
[0107] 透析中RBV全死因死亡率研究では、86~92%の3時間RBVに達した患者と達しなかった患者とで臨床変数、ラボ変数、および処置変数を比較した(図11の表1105参照)。273人の患者(32.5%)のRBVはこの3時間RBV範囲内であったが、554人の患者(65.8%)がRBV>92%であり、15人の患者(1.8%)が<86%であった。86~92%の3時間RBV範囲外の患者は、より高齢であり(63.6+/-15.9対55.7+/-14.1歳、P<0.001)、より頻繁にCHFがあり(26.2%対19.4%、P=0.03)、IDWGがより低く(2.2+/-0.8対2.7+/-0.8kg、P<0.001)、正規化されたUFRがより低く(7.1+/-2.5対8.8+/-2.7mL/kg/h、P<0.001)、平衡化標準化タンパク異化率(equilibrated normalized protein catabolic rate)がより低く(enPCR、0.9+/-0.2対1.0+/-0.2g/日/kg、P<0.001)、アルブミン濃度がより低く(3.9+/-0.4対4.0+/-0.3g/dL、P=0.003)、トランスフェリン飽和度がより低く(32.4+/-9.0対34.1+/-8.5%、P=0.007)、NLRがより高かった(4.0+/-2.3対3.3+/-1.7、P<0.001)。
【0095】
[0108] 透析前、透析後、透析中の平均SBPおよび最下点SBPは、それぞれ、146.3±20.1、136.6±18.5、135.3±19.0、および116.2±19.0mmHgであった。透析前も透析中のSBPも、86~92%の3時間RBVに達した患者と達しなかった患者とで異ならなかった。透析後SBPは、RBVがその範囲外の患者において有意により高かった(図11の表1105および図22のグラフ2205参照)。
【0096】
[0109] 透析前後(peridialytic)SBPの挙動が特定のRBVレベルと関連しているかどうかを探究するために、透析中RBV全死因死亡率研究では、患者の透析前後SBP変化(血液透析後SBP血液透析前SBP)に基づいて患者を層別化した。1時間ごとのRBVレベルは、透析前後SBP変化のすべてのグループにわたって同等であった(図23の表2305参照)。
【0097】
[0110] RBVと透析中SBPパターンとの関連性を、利用可能な透析中RBVおよびSPBデータを有する219人の患者を分析することによって調査した。76人の患者(34.7%)が好ましい3時間RBV範囲内にあり、143人(65.3%)が範囲外にあった。透析中の平均SBPも最下点SBPおよび10IDH率も、これらの2つのグループで異ならなかった(図24の表2405および図25の表2505参照)。処置レベルの1時間ごとのRBVは、それぞれ、IDHのあるセッションとないセッションとで同等であった(図26の表2605参照)。
【0098】
[0111] 流体投与のRBVに対する起こりうる影響を確認するため、流体投与が記録された処置の1時間ごとのRBVレベルを調査し、1時間ごとのRBVレベルは実質的に同一であった(図27の表2705を参照)。さらに、流体投与率(fluid administration rate)もIDHがあるときの流体投与率も、それぞれ、86~92%の3時間RBV範囲内の患者と範囲外の患者とで異ならなかった(図25の表2505参照)。
【0099】
[0112] 好ましいRBV範囲を下回るRBVレベルの、アウトカムに対する影響を探究するために、RBVが1時間ごとの好ましいRBV範囲の下限未満である患者を除外した後の全死因死亡率についてのHRを算出した。この感度分析は、実質的に同一の結果を示した(図28の表2805および図29のグラフ2905参照)。
【0100】
[0113] RBVと全死因死亡率との関連性に対する透析中流体投与の効果をさらに探究するために、利用可能な透析中データを有する患者に対して感度分析を行った。流体投与を伴う処置を除外するCox比例ハザードモデル(粗最小限および完全に調整したモデル)は、本質的に同一の結果を示した。
【0101】
[0114] 透析中RBV全死因死亡率研究において、慢性HD患者の大規模かつ多様なコホートで、1時間ごとの透析中RBVレベルと全死因死亡率との関連性を探究した。主な知見は、特定の透析中RBV範囲が、有意により低い全死因死亡率と関連するということである。さらに、透析中RBV全死因死亡率研究において、好ましい3時間RBV範囲に達した患者は、IDH率が、UFRがより高いにもかかわらず増加しなかった。
【0102】
[0115] 透析中RBV全死因死亡率研究において、患者の約3分の2が好ましい範囲を超えるRBVに達し、患者の<3%がそれを下回った。3時間RBVが好ましい範囲の上限を超える患者は、より高い透析後SBPおよびより高いCHFの有病率などの、体液過剰の臨床徴候があった(図11の表1105参照)。好ましいRBV範囲外の患者は、好ましい範囲内の患者と比較して、より高齢であり、CHFの有病率がより高く、enPCRがより低く、UFRがより低かった。結論として、透析中RBV全死因死亡率研究において、特定の透析中RBV範囲がHD患者の全死因死亡率と関連することが示された。
【0103】
症例研究2:インシリコ症例研究
[0116] インシリコ症例研究を、いくつかの実施形態によるRBVベースのUF制御を伴うシミュレーションの透析処置を受けている患者アバター(または「流体アバター」)を使用して実施した。図30A図30Cは、インシリコ症例研究中に生成されたデータを示す。例えば、図30Aは、規定のUF目標が2800mLで、UFRが960mL/時間(グラフ3010の線3012)で、実際の除去されたUFが2120mLである第1の患者アバターについてのRBV対時間およびUFR対時間をそれぞれ図示するグラフ3005および3010を例示する。第1の患者アバターは、TBVが-14.6%、PVが-2.1%、ECV/TBWが22.5/53.5=0.42であった。
【0104】
[0117] 図30Bは、規定のUF目標が3000mLで、UFRが800mL/時間(グラフ3020の線3014)で、実際の除去されたUFが4000mLである第2の患者アバターについてのRBV対時間3015およびUFR対時間3020のグラフを示す。第2の患者アバターは、TBVが-18.7%、PVが+40.8%、ECV/TBWが22.5/56.8=0.45であった。
【0105】
[0118] 図30Cは、第3の患者アバターについてのRBV対時間3025、UFR対時間3030、および酸素飽和度対時間3035のグラフを示す。第3の患者アバターについては、酸素飽和度制約を伴うRBVベースのUF制御を調査した。
【0106】
症例研究3:臨床パイロット研究
[0119] いくつかの実施形態によるRBVベースのUF制御を、血液透析処置中に患者のRBV曲線を所定の目標範囲内に誘導するように設計されたフィードバックコントローラとして特徴付けるために、臨床パイロット研究を実施した。HD患者に、単群前向き介入パイロット研究として臨床パイロット研究を執り行った。臨床パイロット研究は、16人の患者を含み、合計37回の研究訪問を行った。図31A図31Dは、臨床パイロット研究中に生成されたデータのグラフ3105、3110、3115、および3120を示す。例えば、図31Aを参照すると、RBV目標範囲3114内に管理されるRBV3112を示すグラフ3105が示されている。一般に、図31Bおよび図31Cは、処置の過程で測定されたRBV[%]と、患者RBVを「好適性チューブ」に戻すためのUFRに対する対応する調整との関係をさらに例示する。
【0107】
[0120] 図32は、本開示による透析システム3200の例示的な実施形態の図を例示する。透析システム3200は、患者3201に血液透析(HD)処置を提供するように構成され得る。流体リザーバ3202が、管3203を介して未使用透析液を透析器3204に送出し得、リザーバ3206は、使用済み透析液が管3205を介して透析器3204を通過すると、それを受け取り得る。血液透析動作は、患者の外部濾過デバイス、例えば、透析器3204を通して、患者の血液から微粒子物および/または汚染物質を濾過し得る。透析液が透析器3204を通過するときに、濾過されていない患者の血液も管3207を介して透析器3204に入り、濾過された血液は管3205を介して患者3201に戻される。動脈圧が圧力センサ3210を介してモニタされ得、流入圧がセンサ3218を介してモニタされ得、静脈圧が圧力センサ3214を介してモニタされ得る。患者血液が濾過されて患者3201に戻されるときに、空気が患者血液に入らないことを、エアトラップおよび検出器3216が保証し得る。血流および透析液流は、血流ポンプ3212および流体ポンプ3220を含む、それぞれのポンプを介して制御され得る。血餅が形成されないことまたはシステムを通る血流を閉塞しないことを保証するために、血液希釈剤であるヘパリン3222が生理食塩水3224と併用され得る。
【0108】
[0121] いくつかの実施形態では、透析システム3200は、コンピューティングデバイス110および/またはその構成要素(例えば、プロセッサ回路420)と同様であり得るコントローラ3250を含み得る。コントローラ3250は、流体圧力読取り値をモニタして、心拍数および/または呼吸数などの患者パラメータを示す変動を特定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、患者の心拍数および/または呼吸数は、流体流れラインおよび流体バッグ内の流体圧力によって決定可能であり得る。コントローラ3250はまた、追加のセンサまたはセンサシステム、デバイス、および/または同様のものに動作可能に接続され、および/またはそれと通信し得るが、コントローラ3250は、患者の生物学的機能に関して利用可能なデータまたは他の患者パラメータのいずれかを使用し得る。例えば、コントローラ3250は、患者データをコンピューティングデバイス110に送信して、いくつかの実施形態によるプロセスを実行し得る。
【0109】
[0122] 図33は、前述の様々な実施形態を実施するのに好適な例示的なコンピューティングアーキテクチャ3300の一実施形態を例示する。様々な実施形態では、コンピューティングアーキテクチャ3300は、電子デバイスを備え得る、またはその一部として実装され得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングアーキテクチャ3300は、例えば、コンピューティングデバイス3302および/またはその構成要素を表し得る。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0110】
[0123] 本願で使用されるとき、「システム」、および「構成要素」、および「モジュール」という用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことを意図しており、その例は、例示的なコンピューティングアーキテクチャ3300によって提供される。例えば、構成要素は、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光および/または磁気記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータであり得るが、これらに限定されない。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションおよびサーバの両方が構成要素であり得る。1つまたは複数の構成要素が、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上にローカライズされ、および/または2つ以上のコンピュータ間に分散し得る。さらに、構成要素は、動作を調節するために様々なタイプの通信媒体によって互いに通信可能に結合され得る。調節は、情報の単方向または双方向の交換を含み得る。例えば、構成要素は、通信媒体を介して通信される信号の形態で情報を通信し得る。情報は、様々な信号線に割り振られた信号として実装され得る。このような割降りでは、各メッセージが信号である。しかしながら、さらなる実施形態は、代替的に、データメッセージを用い得る。そのようなデータメッセージは、様々な接続にわたって送信され得る。例示的な接続は、パラレルインターフェース、シリアルインターフェース、およびバスインターフェースを含む。
【0111】
[0124] コンピューティングアーキテクチャ3300は、1つまたは複数のプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッサ、メモリユニット、チップセット、コントローラ、周辺機器、インターフェース、発振器、調時デバイス、ビデオカード、オーディオカード、マルチメディア入力/出力(I/O)構成要素、電源など、様々な共通のコンピューティング要素を含む。しかしながら、実施形態は、コンピューティングアーキテクチャ3300による実装に限定されない。
【0112】
[0125] 図33に示すように、コンピューティングアーキテクチャ3300は、処理ユニット3304、システムメモリ3306、およびシステムバス3308を備える。処理ユニット3304は、様々な市販のプロセッサの任意のものであり得、限定ではなく、AMD(登録商標)Athlon(登録商標)、Duron(登録商標)およびOpteron(登録商標)プロセッサ、ARM(登録商標)アプリケーション、組込み型およびセキュアプロセッサ、IBM(登録商標)およびMotorola(登録商標)DragonBall(登録商標)およびPowerPC(登録商標)プロセッサ、IBMおよびSony(登録商標)Cellプロセッサ、Intel(登録商標)Celeron(登録商標)、Core(2)Duo(登録商標)、Itanium(登録商標)、Pentium(登録商標)、Xeon(登録商標)、およびXScale(登録商標)プロセッサ、ならびに同様のプロセッサを含む。デュアルマイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、および他のマルチプロセッサアーキテクチャもまた、処理ユニット3304として用いられ得る。
【0113】
[0126] システムバス3308は、これに限定されないがシステムメモリ3306を含むシステム構成要素のためのインターフェースを処理ユニット3304に提供する。システムバス3308は、様々な市販のバスアーキテクチャの任意のものを使用して、メモリバス(メモリコントローラの有無にかかわらず)、周辺バス、およびローカルバスにさらに相互接続し得るいくつかのタイプのバス構造のいずれかとすることができる。インターフェースアダプタが、スロットアーキテクチャを介してシステムバス3308に接続し得る。例示的なスロットアーキテクチャは、限定ではなく、AGP(Accelerated Graphics Port)、Card Bus、(E)ISA((Extended)Industry Standard Architecture)、MCA(Micro Channel Architecture)、NuBus、PCI(X)(Peripheral Component Interconnect(Extended))、PCI Express、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)、および同様のものを含み得る。
【0114】
[0127] システムメモリ3306は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、強誘電性ポリマーメモリなどのポリマーメモリ、オボニックメモリ、相変化または強誘電体メモリ、SONOS(silicon-oxide-nitride-oxide-silicon)メモリ、磁気または光カード、RAID(Redundant Array of Independent Disks)ドライブなどのデバイスのアレイ、ソリッドステートメモリデバイス(例えば、USBメモリ、ソリッドステートドライブ(SSD))、および情報を記憶するのに好適な任意の他のタイプの記憶媒体など、1つまたは複数の高速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。図33に示す例示的な実施形態では、システムメモリ3306は、不揮発性メモリ3310および/または揮発性メモリ3312を含み得る。BIOS(Basic Input/Output System)が不揮発性メモリ3310に格納され得る。
【0115】
[0128] コンピュータ3302は、内部(または外部)ハードディスクドライブ(HDD)3314、リムーバブル磁気ディスク3318に対して読み書きするための磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)3316と、リムーバブル光ディスク3322(例えば、CD-ROMまたはDVD)に対して読み書きするための光ディスクドライブ3320とを含む、1つまたは複数の低速メモリユニットの形態の様々なタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。HDD3314、FDD3316、および光ディスクドライブ3320は、それぞれ、HDDインターフェース3324、FDDインターフェース3326、および光ドライブインターフェース3329によってシステムバス3308に接続され得る。外部ドライブ実装のためのHDDインターフェース3324は、ユニバーサルシリアルバス(USB)およびIEEE1384インターフェース技術の少なくとも一方または両方を含み得る。
【0116】
[0129] ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、データ、データ構造、コンピュータ実行可能命令などの揮発性および/または不揮発性記憶を提供する。例えば、オペレーティングシステム3330、1つまたは複数のアプリケーションプログラム3332、他のプログラムモジュール3334、およびプログラムデータ3336を含む、いくつかのプログラムモジュールが、ドライブおよびメモリユニット3310、3312に格納されることができる。1つの実施形態では、1つまたは複数のアプリケーションプログラム3332、他のプログラムモジュール3334、およびプログラムデータ3336は、例えば、コンピューティングデバイス110の様々なアプリケーションおよび/または構成要素を含み得る。
【0117】
[0130] ユーザは、1つまたは複数のワイヤ/ワイヤレス入力デバイス、例えば、キーボード3338、およびマウス3340などのポインティングデバイスを介してコンピュータ3302にコマンドおよび情報を入力することができる。他の入力デバイスは、マイクロフォン、赤外線(IR)リモートコントロール、無線周波数(RF)リモートコントロール、ゲームパッド、スタイラスペン、カードリーダ、ドングル、指紋リーダ、グローブ、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、キーボード、網膜リーダ、タッチスクリーン(例えば、容量性、抵抗性等)、トラックボール、トラックパッド、センサ、スタイラス、および同様のものを含み得る。これらおよび他の入力デバイスは、多くの場合、システムバス3308に結合された入力デバイスインターフェース3342を介して処理ユニット3304に接続されるが、パラレルポート、IEEE994シリアルポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェースなどの他のインターフェースによって接続されることができる。
【0118】
[0131] モニタ3344または他のタイプのディスプレイデバイスも、ビデオアダプタ3346などのインターフェースを介してシステムバス3308に接続される。モニタ3344は、コンピュータ3302の内部または外部にあり得る。モニタ3344に加えて、コンピュータは典型的には、スピーカ、プリンタなどの他の周辺出力デバイスを含む。
【0119】
[0132] コンピュータ3302は、リモートコンピュータ3349などの1つまたは複数のリモートコンピュータへのワイヤおよび/またはワイヤレス通信を介する論理接続を使用して、ネットワーク化された環境で動作し得る。リモートコンピュータ3349は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサベースの娯楽機器、ピアデバイス、または他の共通ネットワークノードとすることができ、典型的には、コンピュータ3302に関連して説明した要素の多くまたはすべてを含むが、簡潔にするために、メモリ/記憶デバイス3350のみが例示されている。図示される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)3352および/またはより大きいネットワーク、例えば、ワイドエリアネットワーク(WAN)3354へのワイヤ/ワイヤレス接続を含む。このようなLANおよびWANネットワーキング環境は、オフィスおよび企業において一般的なものであり、イントラネットなどの企業規模のコンピュータネットワークを容易にし、それらのすべては、グローバル通信ネットワーク、例えばインターネットに接続し得る。
【0120】
[0133] LANネットワーキング環境で使用されるとき、コンピュータ3302は、ワイヤおよび/またはワイヤレス通信ネットワークインターフェースまたはアダプタ3356を介してLAN3352に接続される。アダプタ3356は、LAN3352へのワイヤおよび/またはワイヤレス通信を容易にすることができ、このLAN3352は、アダプタ3356のワイヤレス機能と通信するために配置されたワイヤレスアクセスポイントも含み得る。
【0121】
[0134] WANネットワーキング環境で使用されるとき、コンピュータ3302は、モデム3358を含むことができ、またはWAN3354上の通信サーバに接続され、またはインターネットを介するなど、WAN3354を介して通信を確立するための他の手段を有する。内部または外部にあり、ワイヤおよび/またはワイヤレスデバイスであり得る、モデム3359は、入力デバイスインターフェース3342を介してシステムバス3308に接続する。ネットワーク化された環境では、コンピュータ3302に関連して図示されたプログラムモジュールまたはその一部分は、リモートメモリ/記憶デバイス3350に格納されることができる。図示のネットワーク接続が例示的なものであり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用できることが理解されよう。
【0122】
[0135] コンピュータ3302は、ワイヤレス通信(例えば、IEEE802.16無線変調技法)において動作可能に配置されたワイヤレスデバイスなど、IEEE802規格ファミリを使用するワイヤおよびワイヤレスデバイスまたはエンティティと通信するように動作可能である。これは、とりわけ、少なくともWi-Fi(すなわちワイヤレスフィデリティ)、WiMAX、およびBluetooth(登録商標)ワイヤレス技術を含む。したがって、通信は、従来のネットワークと同様に事前定義された構造であり得、または単に少なくとも2つのデバイス間のアドホック通信であり得る。Wi-Fiネットワークは、IEEE802.11x(a、b、g、n等)と呼ぶ無線技術を使用して、安全で信頼性の高い高速ワイヤレス接続を提供する。コンピュータを互いに、インターネットに、およびワイヤネットワーク(IEEE802.3関連の媒体および機能を使用する)に接続するために、Wi-Fiネットワークが使用され得る。
【0123】
[0136] 実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が本明細書に記載されている。しかしながら、実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは、当業者によって理解されよう。他の事例では、実施形態を不明瞭にしないように、周知の動作、構成要素、および回路については詳細に説明していない。本明細書に開示の特定の構造的および機能的詳細は、代表的なものであり得、必ずしも実施形態の範囲を限定するわけではないことが理解されよう。
【0124】
[0137] いくつかの実施形態について、「結合された」および「接続された」という表現をそれらの派生語とともに使用して説明し得る。これらの用語は、互いの同義語として意図するものではない。例えば、いくつかの実施形態については、2つ以上の要素が互いに直接物理的または電気的に接触していることを示すために、「接続された」および/または「結合された」という用語を使用して説明し得る。しかしながら、「結合される」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働または相互作用することも意味し得る。
【0125】
[0138] 別段明記していない限り、「処理する、「算出する」、「計算する」、「決定する」、または同様のことなどの用語は、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリ内の物理量(例えば、電子)として表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、または他のかかる情報の記憶、送信、もしくは表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに操作および/または変換する、コンピュータもしくはコンピューティングシステム、または同様の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを指すことを理解されたい。実施形態は、このコンテキストで限定されるものではない。
【0126】
[0139] 本明細書で説明する方法を、説明した順序または任意の特定の順序で実行する必要はないことに留意されたい。さらに、本明細書で特定した方法に関して説明した様々な活動は、直列または並列に実行され得る。
【0127】
[0140] 本明細書で特定の実施形態が例示および説明されたが、同じ目的を達成するように計算された任意の構成が、示された特定の実施形態の代用となり得ることを理解されたい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応例または変形例を網羅することを意図している。以上の説明は例示的になされたものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記実施形態の組合せおよび本明細書に具体的に説明していない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。したがって、様々な実施形態の範囲は、上記の組成物、構造、および方法が使用される任意の他の用途を含む。
【0128】
[0141] 本主題は、構造的特徴および/または方法的動作に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される本主題が、必ずしも上述の特定の特徴または動作に限定されるわけではないことを理解されたい。むしろ、上述の特定の特徴および動作は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示される。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリと
を備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、
透析プロセス中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、
前記RBV値およびRBV目標情報に基づいて限外濾過(UF)情報を決定することと、

前記透析プロセス中にUFポンプを制御するために前記UF情報を提供することと
を行わせる命令を備える、装置。
[C2]
前記RBV目標情報は、前記患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える、C1に記載の装置。
[C3]
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記透析処置のRBVおよびUF情報を表示すること、またはユーザから前記透析処置のためのUF偏差範囲を受信することのうちの少なくとも1つを行うように動作するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提示させる、C1に記載の装置。
[C4]
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内に前記RBV値を維持するために前記UF情報を決定させる、C1に記載の装置。
[C5]
前記UF情報は、UF速度(UFR)またはUF目標(UFG)のうちの1つを備える、C1に記載の装置。
[C6]
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、比例積分(PI)プロセスに基づいて前記UF情報を決定させ、前記PIプロセスのプロセス変数が前記RBV値を備える、C1に記載の装置。
[C7]
前記PIプロセスの制御変数が前記UF情報を備える、C6に記載の装置。
[C8]
前記UF情報はUF速度(UFR)を備える、C7に記載の装置。
[C9]
前記RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、前記複数のRBV時間値の各々は、前記透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える、C1に記載の装置。
[C10]
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、少なくとも1つの制約に基づいて前記UF情報を決定させ、前記少なくとも1つの制約は、最大UF速度(UFR)変化、酸素飽和度、血圧、またはIDH予測のうちの少なくとも1つを備える、C1に記載の装置。
[C11]
前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、UF速度(UFR)を達成するようにUFポンプの動作を調整するために、前記UF情報を前記UFポンプのコントローラに提供させる、C1に記載の装置。
[C12]
コンピュータによって実施される方法であって、コンピューティングデバイスのプロセッサを介して、
前記コンピューティングデバイスに動作可能に結合された透析装置を介して実行される透析プロセス中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、
前記RBV値およびRBV目標情報に基づいて限外濾過(UF)情報を決定することと、
前記透析プロセス中にUFポンプを制御するために前記UF情報を提供することと
を備える、方法。
[C13]
前記RBV目標情報は、前記患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える、C12に記載の方法。
[C14]
前記RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内に前記RBV値を維持するために前記UF情報を決定することを備える、C12に記載の方法。
[C15]
前記UF情報は、UF速度(UFR)またはUF目標(UFG)のうちの1つを備える、C12に記載の方法。
[C16]
前記RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、前記複数のRBV時間値の各々は、前記透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える、C12に記載の方法。
[C17]
少なくとも1つの制約に基づいて前記UF情報を決定することを備え、前記少なくとも1つの制約は、最大UF速度(UFR)変化、酸素飽和度、血圧、またはIDH予測のうちの少なくとも1つを備える、C12に記載の方法。
[C18]
相対血液量(RBV)ベースの限外濾過(UF)制御を使用して透析プロセスを実行するためのコンピュータによって実施される方法であって、前記透析プロセスを実行する透析装置に動作可能に結合されたコンピューティングデバイスのプロセッサを介して、
患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備えるRBV目標情報を受信することと、
前記透析プロセス中の患者のRBV値を決定することと、
前記RBV値を前記RBV目標情報と比較することと、
前記RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内に前記RBV値を維持するように前記透析デバイスのUFポンプを制御するためのUF情報を決定することと
を備える、方法。
[C19]
前記ポンプを制御することは、UF速度(UFR)を達成するように前記UFポンプの動作を調整することを備える、C18に記載の方法。
[C20]
前記RBV目標情報によって定義される目標RBV範囲内に前記RBV値を維持するために前記UF情報を決定することを備える、C18に記載の方法。
[C21]
前記UF情報はUF目標(UFG)を備える、C18に記載の方法。
[C22]
前記RBV目標情報は、複数のRBV時間値を備え、前記複数のRBV時間値の各々は、前記透析プロセス中の定義された時間間隔における目標RBV範囲を備える、C18に記載の方法。
[C23]
透析処置を実行するコンピュータによって実施される方法であって、コンピューティングデバイスのプロセッサを介して、
前記透析処置中の患者の相対血液量(RBV)値を決定することと、
前記RBV値をRBV目標情報と比較することと、
前記透析処置中に前記患者の将来のRBV値をRBV目標範囲内に維持するように前記透析処置の限外濾過速度を(UFR)を調整することと
を備える、方法。
[C24]
前記RBV目標情報は、前記患者に関連する患者母集団の実際の患者アウトカムの母集団ベース透析データを備える、C23に記載の方法。
[C25]
前記UFRを調整することは、前記透析処置を行うために使用されるUFポンプの速度を調整することを備える、C23に記載の方法。
[C26]
UFRを調整することは、UFRを増加させることを備える、C23に記載の方法。
[C27]
UFRを調整することは、UFRを減少させることを備える、C23に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30A
図30B
図30C
図31A
図31B
図31C
図31D
図32
図33