(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】拘束機構及び関連方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/95 20130101AFI20230619BHJP
A61F 2/89 20130101ALI20230619BHJP
【FI】
A61F2/95
A61F2/89
(21)【出願番号】P 2021518554
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054630
(87)【国際公開番号】W WO2020072861
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー ジェイ.スタストカ
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501902(JP,A)
【文献】米国特許第6302891(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第2298248(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180378(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0082595(US,A1)
【文献】特開2005-270432(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2749251(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95
A61F 2/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能なメディカルデバイス、
デリバリー構成において前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されたインターロッキングループを含む拘束機構、及び、
前記インターロッキングループの一部を通して配置されそして前記拘束機構の解放を可能にするために引き抜かれるように構成されたロックライン、
を含み、
前記ロックラインは、前記ロックラインの外面上に接着剤を含み、前記インターロッキングループ間の摩擦を増加させる、デリバリーシステム。
【請求項2】
前記インターロッキングループの各ループは該ループを形成する少なくとも2つのストランドを含み、前記ループの1つのストランドは隣接ループのストランドとオーバーラッピングして、インターロッキングループを形成する、請求項1記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
前記インターロッキングループは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットに配置された少なくとも2つのストランドを含む、請求項1~2のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
前記ロックラインは前記インターロッキングループの1つの列を通して配置される、請求項3記載のデリバリーシステム。
【請求項5】
前記ロックラインは前記ループの両方の列を通して配置される、請求項3記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
前記ロックラインの除去により、前記拘束機構は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐされそして遠隔的に取り外し可能である、請求項3~5のいずれか
1項記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
前記ロックラインは前記結び目列の少なくとも1つに配置されて、前記結び目列が解きほぐされるのを防ぐ、請求項3~6のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
前記ロックラインはリンチピンを含む、請求項7記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
前記リンチピンは取り外し可能であり、ユーザが前記少なくとも1つの結び目列を選択的に解きほぐすことができるようになっている、請求項8記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
前記デバイスのデリバリー直径の前記デバイスの展開直径に対する比が0.3未満であるときに、前記ロックラインは展開に抵抗するように構成されている、請求項4~5のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項11】
前記ロックラインは各結び目列を通して配置されて、各結び目列の制御された解放を可能にする、請求項7~9のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項12】
前記ロックラインは第一のロックラインであり、そして前記システムは、インターロッキングループの別の部分を通して配置された第二のロックラインをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項13】
前記第二のロックラインは前記拘束機構の周囲に前記第一のロックラインからある距離だけ間隔を置いて配置されている、請求項12記載のデリバリーシステム。
【請求項14】
前記第一のロックラインは前記インターロッキングループの第一の部分を解放するように構成されており、前記第二のロックラインは前記インターロッキングループの第二の部分を解放するように構成されている、請求項12記載のデリバリーシステム。
【請求項15】
インプラント可能なメディカルデバイス、
前記インプラント可能なメディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成された拘束機構、及び、
前記デリバリー構成で前記拘束機構を維持するために少なくとも1つの結び目列のインターロッキングループ間の摩擦を増加させるように構成されたロックライン、
を含み、
前記ロックラインは、前記ロックラインの外面上に接着剤を含み、前記インターロッキングループ間の摩擦を増加させる、デリバリーシステム。
【請求項16】
前記ロックラインに力を加えることによって前記ロックラインは前記デリバリーシステムから除去され、前記ロックラインの除去は前記拘束機構を解放する、請求項15記載のデリバリーシステム。
【請求項17】
前記ロックラインの除去は、前記インターロッキングループの各ループを順次に解放する、請求項15~16のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
【請求項18】
インプラント可能なメディカルデバイス、
デリバリー構成において前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されたインターロッキングループを含む拘束機構、及び、
前記インターロッキングループの一部を通して配置されそして前記拘束機構の解放を可能にするために引き抜かれるように構成されたロックライン、
を含み、
前記インターロッキングループの各ループは該ループを形成する少なくとも2つのストランドを含み、前記ループの1つのストランドは隣接ループのストランドとオーバーラッピングして、インターロッキングループを形成する、デリバリーシステム。
【請求項19】
インプラント可能なメディカルデバイス、
デリバリー構成において前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されたインターロッキングループを含む拘束機構、及び、
前記インターロッキングループの一部を通して配置されそして前記拘束機構の解放を可能にするために引き抜かれるように構成されたロックライン、
を含み、
前記インターロッキングループは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットに配置された少なくとも2つのストランドを含む、デリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月5日に出願された仮出願第62/741,944号の利益を主張し、これは、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
分野
本開示は、インプラント可能なメディカルデバイスのデリバリーに使用されるカバーを構築することを含む装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、デバイスのデリバリー中に拡張可能なデバイスを拘束するためのカバーを構築することを含む装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ステント及びステントグラフトは、動脈、静脈、気道、胃腸管及び胆道を含む、体内の様々な管状通路を半径方向に支持するために利用されうる。これらのデバイスを配置するための好ましい方法は、特殊なデリバリーシステムを使用して、処置されるべき部位にデバイスを正確に配置及び展開することであった。これらのデリバリーシステムにより、施術者はデバイスの配置に関連する外傷及び技術的な問題を最小限に抑えることができる。デリバリーシステムの属性としては、低プロファイル、イントロデューサーシースを通過する能力、蛇行血管系をスムーズかつ非外傷的に通り抜ける能力、拘束されたデバイスの保護、デバイスを正確に配置及び展開する能力が挙げられる。
【0004】
ステント又はステントグラフトは、膨張可能なバルーン(例えば、バルーン拡張可能なステント)を使用することによって展開及び塑性変形されることができ、又は、折りたたまれた又は拘束されたデリバリー直径から拡張及び展開直径に自己拡張及び弾性回復することができる(例えば、自己拡張可能なデバイス)。幾つかのステントは、弾性回復特性を有する材料から機能直径で製造され、次に半径方向に圧縮されてデリバリーカテーテルに取り付けられることにより、弾性回復するように設計されている。
【0005】
これらのステント及びステントグラフトデバイスは、標的位置へのデリバリーの前及びデリバリー中に、デリバリー構成において保持、圧縮又は拘束されうる。
【発明の概要】
【0006】
要旨
1つの例(「例1」)において、デリバリーシステムは、インプラント可能なメディカルデバイス、デリバリー構成において前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されたインターロッキングループを含む拘束機構及び該インターロッキングループの一部を通して配置されそして前記拘束機構の解放を可能にするために引き抜かれるように構成されたロックラインを含む。
【0007】
別の例(「例2」)においては、例1のデリバリーシステムに加えて、前記インターロッキングループの各ループは該ループを形成する少なくとも2つのストランドを含み、前記ループの1つのストランドは隣接ループのストランドとオーバーラッピングして、インターロッキングループを形成する。
【0008】
別の例(「例3」)において、例1~2のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記インターロッキングループは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットに配置された少なくとも2つのストランドを含む。
【0009】
別の例(「例4」)において、例3のデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは前記インターロッキングループの1つの列を通して配置される。
【0010】
別の例(「例5」)において、例3のデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは前記ループの両方の列を通して配置される。
【0011】
別の例(「例6」)において、例2~5のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記結び目列の1つが攪乱されると、前記拘束機構は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐされそして遠隔的に取り外し可能である。
【0012】
別の例(「例7」)において、例2~6のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは前記結び目列の少なくとも1つに配置されて、前記結び目列が解きほぐされるのを防ぐ。
【0013】
別の例(「例8」)において、例7のデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインはリンチピンを含む。
【0014】
別の例(「例9」)において、例8のデリバリーシステムに加えて、前記リンチピンは取り外し可能であり、ユーザが前記少なくとも1つの結び目列を選択的に解きほぐすことができるようになっている。
【0015】
別の例(「例10」)において、例7のデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは、前記ロックラインの外面上に接着剤を含み、前記インターロッキングループ間の摩擦を増加させる。
【0016】
別の例(「例11」)において、例4~5のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記デバイスの展開直径の前記デバイスのデリバリー直径に対する比が0.3未満であるときに、前記ロックラインは展開に抵抗するように構成されている。
【0017】
別の例(「例12」)において、例7~10のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは各結び目列を通して配置されて、各結び目列の制御された解放を可能にする。
【0018】
別の例(「例13」)において、例1~12のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインは第一のロックラインであり、そして前記システムは、インターロッキングループの別の部分を通して配置された第二のロックラインをさらに含む。
【0019】
別の例(「例14」)において、例13のデリバリーシステムに加えて、前記第二のロックラインは前記拘束機構の周囲に前記第一のロックラインからある距離だけ間隔を置いて配置されている。
【0020】
別の例(「例15」)において、例13のデリバリーシステムに加えて、前記第一のロックラインは前記インターロッキングループの第一の部分を解放するように構成されており、前記第二のロックラインは前記インターロッキングループの第二の部分を解放するように構成されている。
【0021】
1つの例(「例16」)において、デリバリーシステムは、インプラント可能なメディカルデバイス、前記インプラント可能なメディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成された拘束機構、及び、前記デリバリー構成で前記拘束機構を維持するために少なくとも1つの結び目列のインターロッキングループ間の摩擦を増加させるように構成されたロックラインを含む。
【0022】
別の例(「例17」)において、例16のデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインに力を加えることによって前記ロックラインは前記デリバリーシステムから除去され、前記ロックラインの除去は前記拘束機構を解放する。
【0023】
別の例(「例18」)において、例16~17のいずれか1つのデリバリーシステムに加えて、前記ロックラインの除去は、前記インターロッキングループの各ループを順次に解放する。
【0024】
1つの例(「例19」)において、デリバリーシステムを使用するための方法は、拘束機構を使用してデリバリー構成にメディカルデバイスを配置すること、ここで、前記拘束機構は、結び目列を形成するインターロッキングストランド、及び、前記結び目列の少なくとも一部を通して延在しているロックラインを含む、前記インプラント可能なメディカルデバイスがデリバリー構成にある間に、前記デリバリーシステムを患者の体内の所望の処置位置に配置すること、及び、前記ロックラインに力を加えて前記拘束機構を解放しそして前記メディカルデバイスを展開することを含む。
【0025】
別の例(「例20」)において、例19の方法に加えて、前記ロックラインに力を加えると、前記結び目列のインターロッキングストランド間の摩擦が減少し、前記結び目列を順次に解きほぐす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0027】
【
図1】
図1は、1つの実施形態による、拘束機構を備えたカテーテルを含むデリバリーシステムの上面図である。
【0028】
【
図2】
図2は、1つの実施形態による、拘束機構を含むインプラント可能なメディカルデバイスの側面図である。
【0029】
【
図3】
図3は、1つの実施形態による、拘束機構のインターロッキングストランドの概略図である。
【0030】
【
図4】
図4は、1つの実施形態による、拘束機構のインターロッキングストランドの概略図である。
【0031】
【
図5】
図5は、1つの実施形態による、複数のロックラインを有する拘束機構のインターロッキングストランドの概略図である。
【0032】
【
図6】
図6A~6Cは、1つの実施形態による、例示的な結び目列位置を示す拘束機構の端面図である。
【0033】
【
図7】
図7A~7Bは、1つの実施形態による、それぞれ、デリバリー構成及び半展開構成のデリバリーシステムの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
用語が測定の範囲に関して本明細書で使用されるときに、「約」及び「ほぼ」は、交換可能に、測定値を指すために使用されることができ、該測定値は、記載された測定値を含み、また、該記載された測定値に合理的に近い測定値を含むことができるが、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤差、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因する可能性がある、当業者により理解され、容易に確認されるように合理的に少量だけ異なることができる。
【0035】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【0036】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されている場合があり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0037】
本開示の様々な態様は、拘束機構を形成又は製造することを含む装置、システム及び方法を対象とする。拘束機構は、標的位置へのデリバリーの前及びデリバリー中に、デリバリー構成にインプラント可能なメディカルデバイス(例えば、ステント、ステントグラフト、バルーン又は他の拡張可能なメディカルデバイス)を保持、圧縮又は拘束するように構成されている。特定の例において、拘束機構は1つ以上のファイバを含む。
【0038】
図1は、幾つかの実施形態による、取り外し可能な拘束体102を備えたカテーテル100を含むデリバリーシステム10の上面図である。
図1に示されるように、取り外し可能な拘束体102は、インプラント可能なメディカルデバイス104をデリバリー構成に拘束するように構成されている。取り外し可能な拘束体102は、取り外し可能な拘束体102を拘束構成に維持するために、デバイス104の周りに配置された1つ以上のファイバ106を含むことができる。
【0039】
取り外し可能な拘束体102はデバイス104の長さに沿って配置される。取り外し可能な拘束体102はまた、デバイス104の周りに周方向に配置され、デリバリーのためにデバイス104を実質的に覆うことができる。1つ以上のファイバ106は、カテーテル100の管腔(図示せず)内に配置されることができ、デバイス104のデリバリー中に患者の外部に配置されたカテーテル100の近位端に向かって延在していることができる。1つ以上のファイバ106は、取り外し可能な拘束体102を解放しそしてデバイス104を展開するために、ユーザが張力を加えることができる近位端108を含む。
【0040】
特定の例において、1つ以上のファイバ106は、インターロッキング部分(例えば、オーバーラッピングしているファイバ又は結び目)がデバイス104の長さに沿って順次に解放されるように、リップコードと同様に解放される。下記により詳細に説明されるように、取り外し可能な拘束体102は、1つ以上のファイバ106をデバイス104上で直接インターロッキングすることによって形成される。デバイス104は、ステント、ステントグラフト、バルーン又は同様のデバイスであることができる。
【0041】
図2は、1つの実施形態による、拘束機構102を含むデバイス104の側面図である。示されるように、デバイス104は、デリバリー直径D1と、該デリバリー直径D1よりも大きい展開直径D2(図示せず)とを含む。取り外し可能な拘束体102は、そのデリバリー直径D1でデバイス104に取り付けられている。示されるように、拘束機構102は、ワープニットの形態で少なくとも2つのインターロッキングストランドを含む。例えば、拘束機構102は、第一のインターロッキングストランド110及び第二のインターロッキングストランド112を含むことができる。拘束機構102は、ロックライン124に加えられた力に応答して、拘束機構102を解放し、デバイス104をデリバリー直径D1から展開直径D2に解放するように構成されたロックライン124を含むことができる。言い換えると、ロックライン124が拘束機構102から取り外されるときに、拘束機構102は解放され、インターロッキングループ間の摩擦を減らして、少なくとも1つの結び目列を順次に解きほぐす。
【0042】
デバイス104は、例えば、約5mm~15mm又は6mm~9mm又は6mm~12mmの所望の展開直径D2と、該展開直径D2よりも小さいデリバリー直径D1とを有することができる。例えば、幾つかの例において、デバイス104のデリバリー直径D1のデバイス104の展開直径D2(図示せず)に対する比は、約0.3未満、約0.29未満、約0.28未満、約0.27未満又は約0.26未満である。参考までに、「直径」という用語は、円形の断面を必要とすることを意図するのではなく、代わりに、デバイス104の最大横断面寸法を参照するように広く理解されるべきである。
【0043】
図3は、1つの実施形態による、拘束機構102のインターロッキングストランドの概略図である。インターロッキングストランド(例えば、示されるように第一のインターロッキングストランド及び第二のインターロッキングストランド110,112)は、互いに織り合わされて、少なくとも1つの結び目114を形成する。示されるように、結び目114は、第一のインターロッキングストランド及び第二のインターロッキングストランド110,112から形成されるインターロッキングループから形成される。例えば、第一のインターロッキングループ116は、第一のインターロッキングストランド110によって形成され、第二のインターロッキングストランド112によって形成される第二のインターロッキングループ118と織り合わされる。このインターロッキングループ構成は、デバイス104の長手方向の長さを延長するように繰り返されて(
図1、2及び7A~Bに示されるとおり)、結び目列122を形成することができる。
【0044】
幾つかの例において、ロックライン124は、拘束機構102の結び目列122を通して配置される。ロックライン124は、インターロッキングストランド110,112と連結して、解放される前のデバイス104の傾斜(又は展開角度)を低減するように構成されている。例えば、ロックライン124は、結び目114が順次に解放される前に、デバイス104の傾斜を少なくするように構成されることができる。デバイス104は、拘束機構102の解放後に、より大きな直径に拡張し始める。
【0045】
以下でさらに詳細に論じられるように、ロックライン124は、結び目114が順次に解放されるときに、デバイス104に対する各結び目114の位置を維持することによって、デバイス104の傾斜(これは、制御されない又は望ましくない展開につながる可能性がある)を低減する。ロックライン124は、このようにして、デバイスの望ましくない又は事前展開を軽減する。幾つかの例において、ロックライン124は、結び目列122に沿って延在することができるファイバ、ワイヤ、ロッド又は他の同様のデバイスであることができる。
【0046】
力がロックライン124に加えられ、ロックライン124が拘束機構102から取り外されると、各結び目114は順次に解放されうる。結び目114は、ロックライン124が引き抜かれるときに解放されうるか、又は、結び目114は、インターロッキングストランド110,112の一方又は両方の端部である展開ライン120に張力を加えることによって解放されうる。ロックライン124の除去は、拘束機構102のインターロッキングストランド間の摩擦を減少させて、結び目列122を順次に解きほぐす。したがって、力がロックライン124に加えられるときに、拘束機構102はユーザによって遠隔的に取り外し可能である。
【0047】
幾つかの例において、ロックライン124は、
図3に示されるように、インターロッキングループの1つ(例えば、第一のインターロッキングループ又は第二のインターロッキングループ116,118のいずれか)を通して配置される。他の例において、ロックライン124は、
図4に示されるように、両方のインターロッキングループを通して配置されうる。特定の例において、ロックライン124は、結び目114のうちの少なくとも1つに組み込まれて、結び目114が解けるのを防ぐ。適切なロックライン124の例としては、リンチピン、ワイヤ、金属ライン、ファイバ及び様々な接着剤を挙げることができる。特定の例において、ロックライン124は、ユーザがそれぞれの結び目114を選択的に解きほぐすことができるように取り外し可能である。幾つかの例において、ロックライン124は、それぞれの結び目列122のすべての結び目114の制御された解放のために各結び目114に組み込まれることができる(
図3)。
【0048】
図5は、1つの実施形態による、複数のロックライン124を有する拘束機構102のインターロッキングストランドの概略図である。示されるように、結び目列122は、1つを超えるロックライン124を含むことができる。例えば、結び目列122は、インターロッキングループの第一の部分を通して配置された第一のロックライン124aと、インターロッキングループの第二の部分を通して配置された第二のロックライン124bとを含むことができる。特定の例において、第一のロックライン124a及び第二のロックライン124bは長手方向にオーバーラッピングしている。第一のロックライン124a及び第二のロックライン124bは、拘束機構102を使用するデリバリーシステム10のユーザ端から始まることができる。他の例において、第一のロックライン124a及び第二のロックライン124bの一方は、第一のロックライン124a及び第二のロックライン124bの他方とカップリングし、又はそこから分岐することができる。第一のロックライン124aは、インターロッキングループの第一の部分を解放するように構成されることができ、一方、第二のロックライン124bは、インターロッキングループの第二の部分を解放するように構成されている。幾つかの例において、拘束機構102は、1つを超える結び目列122を含むことができる。
【0049】
結び目114は、ロックライン124a,124bが引き抜かれるときに解放されることができ、又は、結び目114は、インターロッキングストランド110,112の一方又は両方の端部である展開ライン120に張力を加えることによって解放されることができる。ロックライン124a,124bの除去は、拘束機構102のインターロッキングストランド間の摩擦を減少させて、結び目列122を順次に解きほぐす。したがって、力がロックライン124に加えられると、拘束機構102は、ユーザによって遠隔的に取り外し可能である。
【0050】
図6Aは、1つの実施形態による、拘束機構102を含むデバイス104の端面図である。示されるように、拘束機構102は2つの結び目列を含む。例えば、拘束機構102は、第一の結び目列122aと、拘束機構102の周囲に第一の結び目列122aから距離を置いて配置された第二の結び目列122bとを含む。幾つかの例において、結び目列122a,122bのそれぞれは、ロックライン124(例えば、第一のロックライン124a及び第二のロックライン124b)を含む。例えば、第一の結び目列122aは、第一のロックライン124aを含むことができ、第二の結び目列122bは、第二のロックライン124bを含むことができる。
【0051】
図6B及び6Cは、1つの実施形態による、拘束機構102を含むデバイス104の端面図である。示されるように、拘束機構102は、2つより多くの結び目列122を含むことができる。例えば、拘束機構102は、所望に応じて、拘束機構102の周囲に間隔を置いて配置された4つ、6つ又はそれ以上の結び目列122を含むことができる。結び目列112におけるループは、特定の場合において、異なる直径であることができる。
【0052】
図7A~7Bは、1つの実施形態による、それぞれ、デリバリー構成及び半展開構成のデリバリーシステムの画像である。
図7Aに示されるように、取り外し可能な拘束体102は、デバイス104にそのデリバリー直径D1で取り付けられている。
図7Bに示されるように、展開中に、力がロックライン124に加えられて、結び目列112を解きほぐすことによって取り外し可能な拘束体102を解放する。特定の例において、ロックライン124が除去された後に、結び目列112は、展開ライン120に力を加えることによって順次に解放されうる。取り外し可能な拘束体102が解放されるときに、デバイス104は展開直径D2に解放される。
【0053】
ロックライン124は、解放される前に、デバイス104の傾斜を少なくすることができる。例えば、ロックライン124は、結び目列122の結び目が順次に解放される前に、デバイス104の傾斜を少なくすることができる。デバイス104は、拘束機構102の解放後に、より大きな直径に拡張し始める。デバイス104は、拘束機構102によって保持された部分と、拡張された部分又は拡張し始めている部分との間に角度Aを有することができる。角度A及びデバイス104が展開直径D2に展開する力を消費することにより、従来のデバイスは、デバイス104の傾斜によりシフトすることがある。しかしながら、ロックライン124は、圧縮されたステントによる半径方向の力の適用の有無にかかわらず、デバイス104の傾斜によって拡大されうる自発的な展開に抵抗する。
【0054】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等形態の範囲内に入る限り、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
(態様)
(態様1)
インプラント可能なメディカルデバイス、
デリバリー構成において前記インプラント可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されたインターロッキングループを含む拘束機構、及び、
前記インターロッキングループの一部を通して配置されそして前記拘束機構の解放を可能にするために引き抜かれるように構成されたロックライン、
を含む、デリバリーシステム。
(態様2)
前記インターロッキングループの各ループは該ループを形成する少なくとも2つのストランドを含み、前記ループの1つのストランドは隣接ループのストランドとオーバーラッピングして、インターロッキングループを形成する、態様1記載のデリバリーシステム。
(態様3)
前記インターロッキングループは、前記インプラント可能なメディカルデバイスの周囲に間隔を置いて配置された複数の結び目列を有するワープニットに配置された少なくとも2つのストランドを含む、態様1~2のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様4)
前記ロックラインは前記インターロッキングループの1つの列を通して配置される、態様3記載のデリバリーシステム。
(態様5)
前記ロックラインは前記ループの両方の列を通して配置される、態様3記載のデリバリーシステム。
(態様6)
前記結び目列の1つが攪乱されると、前記拘束機構は、展開ラインに力が加えられるときに、解きほぐされそして遠隔的に取り外し可能である、態様2~5のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様7)
前記ロックラインは前記結び目列の少なくとも1つに配置されて、前記結び目列が解きほぐされるのを防ぐ、態様2~6のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様8)
前記ロックラインはリンチピンを含む、態様7記載のデリバリーシステム。
(態様9)
前記リンチピンは取り外し可能であり、ユーザが前記少なくとも1つの結び目列を選択的に解きほぐすことができるようになっている、態様8記載のデリバリーシステム。
(態様10)
前記ロックラインは、前記ロックラインの外面上に接着剤を含み、前記インターロッキングループ間の摩擦を増加させる、態様7記載のデリバリーシステム。
(態様11)
前記デバイスの展開直径の前記デバイスのデリバリー直径に対する比が0.3未満であるときに、前記ロックラインは展開に抵抗するように構成されている、態様4~5のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様12)
前記ロックラインは各結び目列を通して配置されて、各結び目列の制御された解放を可能にする、態様7~10のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様13)
前記ロックラインは第一のロックラインであり、そして前記システムは、インターロッキングループの別の部分を通して配置された第二のロックラインをさらに含む、態様1~12のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様14)
前記第二のロックラインは前記拘束機構の周囲に前記第一のロックラインからある距離だけ間隔を置いて配置されている、態様13記載のデリバリーシステム。
(態様15)
前記第一のロックラインは前記インターロッキングループの第一の部分を解放するように構成されており、前記第二のロックラインは前記インターロッキングループの第二の部分を解放するように構成されている、態様13記載のデリバリーシステム。
(態様16)
インプラント可能なメディカルデバイス、
前記インプラント可能なメディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成された拘束機構、及び、
前記デリバリー構成で前記拘束機構を維持するために少なくとも1つの結び目列のインターロッキングループ間の摩擦を増加させるように構成されたロックライン、
を含む、デリバリーシステム。
(態様17)
前記ロックラインに力を加えることによって前記ロックラインは前記デリバリーシステムから除去され、前記ロックラインの除去は前記拘束機構を解放する、態様16記載のデリバリーシステム。
(態様18)
前記ロックラインの除去は、前記インターロッキングループの各ループを順次に解放する、態様16~17のいずれか1項記載のデリバリーシステム。
(態様19)
デリバリーシステムを使用するための方法であって、
拘束機構を使用してデリバリー構成にメディカルデバイスを配置すること、
前記インプラント可能なメディカルデバイスがデリバリー構成にある間に、前記デリバリーシステムを患者の体内の所望の処置位置に配置すること、及び、
前記ロックラインに力を加えて前記拘束機構を解放しそして前記メディカルデバイスを展開すること、
を含み、
前記拘束機構は、結び目列を形成するインターロッキングストランド、及び、前記結び目列の少なくとも一部を通して延在しているロックラインを含む、方法。
(態様20)
前記ロックラインに力を加えると、前記結び目列のインターロッキングストランド間の摩擦が減少し、前記結び目列を順次に解きほぐす、態様19記載の方法。