(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】低収縮のペースト状の充填および仕上げ材料用の組成物、ペースト状の充填および仕上げ材料、ならびにペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230619BHJP
C04B 26/04 20060101ALI20230619BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20230619BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20230619BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20230619BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20230619BHJP
C08K 3/105 20180101ALI20230619BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230619BHJP
【FI】
C08L101/00
C04B26/04 B
C08L29/04 A
C08L1/00
C08K3/34
C08K3/26
C08K3/105
C08K3/013
(21)【出願番号】P 2021524257
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2018000501
(87)【国際公開番号】W WO2020094207
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィングス、ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン、スローン、クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ、エリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュク、セバスティアン
【審査官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-515014(JP,A)
【文献】特開平08-183678(JP,A)
【文献】国際公開第2017/108145(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02112788(GB,A)
【文献】国際公開第2007/131618(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0176267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペースト状の充填および仕上げ材料のための組成物であって、少なくとも
1種の充填剤、少なくとも
1種の結合剤、および添加剤を含み、前記少なくとも
1種の充填剤が、3~20の密度依存性流動性(ff
ρ)値を有
し中空の球状ケイ酸アルミニウムである、組成物
であって、
前記組成物が第2の充填剤および第3の充填剤をさらに含み、前記第2の充填剤および前記第3の充填剤が少なくとも第1のカーボネートおよび第2のカーボネートを含み、前記第1のカーボネートの粒子径分布が前記第2のカーボネートの粒子径分布と異なり、前記第1のカーボネートが70~120μmのD98値を有し、前記第2のカーボネートが120~200μmのD98値を有する、
組成物。
【請求項2】
前記少なくとも
1種の充填剤が、4~15の密度依存性流動性(ff
ρ)値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも
1種の充填剤が、5~10の密度依存性流動性(ff
ρ)値を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも
1種の充填剤が、6~8の密度依存性流動性(ff
ρ)値を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、全組成物の1.0~10.0重量%の前記中空の球状ケイ酸アルミニウムを含み、
および/または
前記
中空の球状ケイ酸アルミニウムが、前記中空の球状ケイ酸アルミニウムの5~35重量%の酸化アルミニウム、および/
または前記中空の球状ケイ酸アルミニウムの50~80重量%の二酸化ケイ素を含む、
請求項
1~請求項4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
全組成物の1.5~8.5重量%の前記中空の球状ケイ酸アルミニウムを含む、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
全組成物の2.0~7.0重量%の前記中空の球状ケイ酸アルミニウムを含む、請求項
6に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1
のカーボネートおよび前記第2のカーボネートが、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、
およびこれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項1~請求項
7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2のカーボネートが、140~180μmのD98値を有する、請求項
1~請求項8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1のカーボネートが、80~100μmのD98値を有し、
および/または
前記第2のカーボネートが、150~170μmのD98値を有する、
請求項
1~請求項9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1
のカーボネートおよび/または前記第2のカーボネートが、10~30μmのD50値
を有する、請求項
1~請求項
10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1
のカーボネートおよび/または前記第2のカーボネートが、15~25μmのD50値
を有する、請求項
1~請求項11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記中空の球状ケイ酸アルミニウムが、90~200μmのD50値を有し、
および/または
前記中空の球状ケイ酸アルミニウムが、150~400μmのD98値を有する、
請求項
1~請求項
12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記中空の球状ケイ酸アルミニウムが、100~180μmのD50値を有し、
および/または
前記中空の球状ケイ酸アルミニウムが、170~250μmのD98値を有する、
請求項
13に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも
1種の結合剤が、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、
およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
および/または
前記組成物が、全組成物の0.1~20.0重量%の前記少なくとも
1種の結合剤を含む、
請求項1~請求項
14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも
1種の結合剤が、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリビニルアルコール、
およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、
および/または
前記組成物が、全組成物の1~15.0重量%の前記少なくとも
1種の結合剤を含む、
請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
全組成物の1.5~10.0重量%の前記少なくとも
1種の結合剤を含む、請求項
16に記載の組成物。
【請求項18】
全組成物の2~5重量%の前記少なくとも
1種の結合剤を含む、請求項
17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、少なくとも第4の充填剤をさらに含み、この第4の充填剤が、セピオライト、アタパルジャイト、タルク、バーミキュライト、モンモリロナイト、イライト、カオリナイト、
およびヘクトライトからなる群から選択され、
および/または
前記組成物が、全組成物の0.1~10.0重量%の第4の充填剤を
さらに含む、
請求項1~請求項
18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記第4の充填剤が、アタパルジャイト
およびセピオライトからなる群から選択され、
および/または
前記組成物が、全組成物の0.1~5.0重量%の前記第4の充填剤を含む、
請求項
19に記載の組成物。
【請求項21】
全組成物の0.1~2.0重量%の前記第4の充填剤を含む、請求項
20に記載の組成物。
【請求項22】
セルロースをさらに含む、請求項1~請求項
21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記セルロースが、変性セルロースである、請求項
22に記載の組成物。
【請求項24】
前記変性セルロースが、2-ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース
、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、
およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項
23に記載の組成物。
【請求項25】
前記変性セルロースが、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項
24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、少なくとも第5の充填剤をさらに含み、この第5の充填剤が、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、およびパーライトからなる群から選択され、
および/または
前記組成物が、全組成物の1.0重量%~40重量%の少なくとも第5の充填剤を
さらに含む、
請求項1~請求項
25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記第5の充填剤が、パーライトであり、
および/または
前記組成物が、全組成物の1.0重量%~20重量%の
前記第5の充填剤を含む、
請求項
26に記載の組成物。
【請求項28】
全組成物の1.0重量%~10重量%の前
記第5の充填剤を含む、請求項
27に記載の組成物。
【請求項29】
全組成物の2.0重量%~5.0重量%の前
記第5の充填剤を含む、請求項
28に記載の組成物。
【請求項30】
前記第5の充填剤が、パーライトであり、
前記パーライトが、200μm未満の粒子径D98を有する微粉化されかつ膨張したパーライトであり、
および/または前記パーライトが、両親媒性コーティングを有する、
請求項
26~請求項
29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記パーライトが、100μm未満の粒子径D98を有する微粉化されかつ膨張したパーライトである、請求項
30に記載の組成物。
【請求項32】
全組成物の0.1~1.0重量%の、アルコキシル化非イオン性化合物、非イオン性脂肪化合物、および疎水性シリカのブレンドからなる添加剤をさらに含む、請求項1~請求項
31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
全組成物の0.1~0.4重量%の、アルコキシル化非イオン性化合物、非イオン性脂肪化合物、および疎水性シリカのブレンドからなる添加剤を含む、請求項
32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1~請求項
33のいずれか1項に記載の組成物から調製された、ペースト状の充填および仕上げ材料。
【請求項35】
物理的に乾燥する噴霧可能な充填および仕上げ材料である、請求項
34に記載のペースト状の充填および仕上げ材料。
【請求項36】
請求項
34に記載のペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法であって、前記方法が、2段階のプロセスに基づき、それによれば、第1の工程で、乾燥成分が均質化され、第2の工程で、前記均質化された乾燥成分が水性または水で希釈可能な成分に添加される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立した請求項による、ペースト状の充填および仕上げ材料用の組成物、ペースト状の充填および仕上げ材料、ならびにペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法に関する。
【0002】
先行技術では、継ぎ目を充填する、または凹凸を平滑にするために、表面、例えば壁に塗布される、加えてその上に塗布される別の層のためのプライマー層として機能する、基本的に2種類の充填材料が知られている。すなわち、一方では粉末状の充填材料が存在し、他方ではペースト状の充填材料が存在する。ペースト状の充填材料は、すぐに使用できるという利点を有するが、一方、粉末状の充填材料は、使用前に水と混合される必要がある。ペースト状の充填材料は、処理特性が変性するか、または劣化することなく、数か月にわたって保管可能である必要がある。
【0003】
技術水準において既知のペースト状の(例えば、米国特許公開US 2005/0235878(A1)号)は、ポリマー結合剤、充填剤、および添加剤を含む物理的に乾燥するシステムである。
【0004】
ポリマー結合剤、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリアクリレート、および/またはポリビニルアルコールは、水性分散液としてまたは再分散可能な粉末として用いられる。結合剤は、充填剤材料の成分を結合し、充填剤を壁などのような基材に接着結合する機能を有する。
【0005】
通常鉱物由来である充填剤成分、球状および層状材料が使用される。充填剤成分は、コーティングの枠組みまたは骨組みを形成し、したがって、添加された充填剤材料の量に応じて、層厚とシンク特性に寄与する。主な鉱物充填剤材料は、天然炭酸カルシウムまたは炭酸カルシウムマグネシウム(ドロマイト)である。
【0006】
添加剤として、例えば、増粘剤および殺生物剤が使用され得る。増粘剤は、セルロース系添加剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースであり得、これらは、ペースト状の充填材料の粘度を一定に維持する効果を有し、最大1年間の期間にわたって貯蔵される場合、一定の処理性を確実にする。
【0007】
殺生物剤は、細菌汚染を防止するために添加され、最後に、殺真菌剤が、真菌感染を防止するために添加される。
【0008】
一方、ペースト状の充填材料は、半仕上げ面にますます使用されているため、したがって、以下、ペースト状の充填および仕上げ材料と称される。この文脈において半仕上げとは、表面にそれ以上コーティングする必要がないことを意味する。しかしながら、後続のコーティング(例えば、装飾コーティング)は可能である。ペースト状の充填および仕上げ材料の大部分は、例えば、こてを用いて手動で塗布される。必要に応じて、充填および仕上げ材料を使用する人は、処理性を促進および改善するために水を添加する。
【0009】
機械化が進むにつれ、処理機で使用され得る化学建築製品、ペースト状の充填および仕上げ材料の塗布が開発された。具体的には、最大3mmの層厚で表面に塗布され得、かつ例えば、壁用塗料または壁紙などの、さらにその後に適用される層の基材として作用する、噴霧可能な充填および仕上げ材料が開発された。
【0010】
しかしながら、先行技術から既知である鉱物主成分の噴霧可能な充填および仕上げ材料は、以下の欠点を有する。ペースト状の充填および仕上げ材料を噴霧によって塗布する場合、通常水圧噴霧法または「空気なし塗布法」が用いられる。空気なし塗布の重要な要件は、均質なペースト状の充填および仕上げ材料が、噴霧中に噴霧装置および噴霧ノズルを通過すると、低減された剪断応力を必要とすることである。したがって、ペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料は、表面または継ぎ目に塗布される前に、剪断減粘をもたらす機械的均質化によって徹底的に調整される必要がある。この追加の手順によって、総処理時間の実質的な増加がもたらされる。
【0011】
さらに、先行技術から既知であるペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料、ならびに漆喰材料では、通常、それらの機械的作業性を確実にするために有機成分が提供される。しかしながら、有機成分の使用は、通常、排出物および臭気の不快感を伴い、それによって、屋内塗布に関してそのような製品の使用が制限される。さらに、有機成分は、防火に関して危険である。
【0012】
ペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料を使用して、表面の凹凸を平らにし、さらなるコーティング、例えば、装飾コーティングのための均質な表面を提供する。機械的噴霧装置での使用に非常に好適である多くのペースト状の充填剤は、追加の処理工程が必要になるようなこの補償機能を提供し得ないか、臭気および放出、または不十分な火災挙動に関する上記の欠点を伴う。
【0013】
米国特許第6,545,066号に記載されているように、特に軽量のペースト状の充填および仕上げ材料は、最終生成物の比重を低減し、生成物の増加した表面積収率を提供するために、マイクロパーライトのような球状シリケート生成物を含有する。軽量のペースト状の充填および仕上げ材料は、生成後数日から数週間で(後)増粘し、保管中に気泡が発生する傾向がある。気泡の発生および増粘は、特に「空気なし塗布法」での機械塗布時に問題をもたらす。
【0014】
さらに、ペースト状の充填および仕上げ材料が、後続の装飾コーティングの基材層として使用される場合、非常に高い明度および高い乾燥能力を有する生成物が用いられねばならない。
【0015】
最後に、ペースト状の充填および仕上げ材料が、多孔質基材または空洞を有する鉱物基材(例えば、生コンクリート)上に塗布される場合、表面上にますます気泡形成が示される。基材が、多孔質基材または空洞を有する鉱物基材であることが非常に多いため、これは大きな欠点である。水圧噴霧法(「空気なし塗布法」)を用いて塗布される場合、ペースト状の充填および仕上げ材料は、約1mmの直径のノズルを通して、最大220バールの圧力で押圧される。ペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料の霧化噴霧は、ノズルを出た後空気を圧縮し、圧力下で表面に到達する。例えば、コンクリートでは、前方に押し出された圧縮空気が、コンクリートの空洞(またはチップマーク)に押し込まれ、ペースト状の充填剤材料が空洞を埋めることなく空洞の上に置かれる。コーティング後、キャビティ内部からの圧縮空気がコーティングを圧迫し、その結果気泡形成が発生する。これは通常、塗布後最初の10~30分以内に発生する。
【0016】
したがって、ペースト状の充填および仕上げ材料用の組成物を提供することが、本発明の目的であり、これは、容易に機械処理され得、良好なクラック耐性および収縮耐性を提供し、材料貯蔵中に低い増粘傾向のみを示し、特に、上記で説明されたように、コーティングされた表面上での気泡形成を回避する。対応するペースト状の充填および仕上げ材料、およびそのようなペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法を提供することも、本発明の目的である。
【0017】
この目的は、ペースト状の充填および仕上げ材料の組成物によって解決され、これは、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの結合剤、および添加剤を含み、少なくとも1つの充填剤は、3~20、好ましくは4~15、より好ましくは5~10、最も好ましくは6~8の密度依存性流動性(ffρ)値を有する。本発明の好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項において定義される。
【0018】
本発明の組成物は、ペースト状の充填および仕上げ材料を提供し、それによって、コーティング後に表面上に気泡形成することなく、水圧噴霧法(「空気なし塗布法」)を使用することが可能になる。したがって、気泡形成をすることなく、本発明のペースト状の充填剤材料でコーティングされた表面を生成することが可能である。
【0019】
さらに、本発明の組成物は、特に空気なし噴霧塗布において、任意の追加の処理工程または先行する調製工程なしで、使用され得るペースト状の充填および仕上げ材料を提供する。そのようなペースト状の充填および仕上げ材料は、手動で容易に処理され得、良好なクラック耐性および収縮耐性を提供し得る。その上、液体炭化水素、変性脂肪酸誘導体、非イオン性乳化剤、およびシリコーンオイルのブレンドからなる添加剤を使用する場合、長期間にわたる充填剤の優れた作業性が確実になり得る。この添加剤の脂肪族炭化水素成分は、消泡/通気効果を有する。それによって、充填剤材料の保管中に発生した気泡は、除去され得る。
【0020】
さらに、パーライトの両親媒性コーティングは、高度多孔質パーライトの水需要を低減し得、したがって、ペースト状の充填および仕上げ材料のレオロジー特性を一定に保ちながら、後増粘を最小限に抑え得る。コーティングの疎水性部分は、ペースト状の充填および仕上げ材料の脂肪族構成成分と相互作用し得、多孔質パーライトの水需要、したがって、後増粘を低減し得る。コーティングの親水性部分は、充填剤の極性構成成分と相互作用し得、材料の均質性を促進し得る、すなわち、保管中に個々の構成成分の分離を防止し得る。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの充填剤は、中空の球状ケイ酸アルミニウムである。
【0022】
本発明の文脈での「球状」という表現は、非常に丸い形状、例えば、ビリヤードボールの意味を有する。しかしながら、本発明の文脈では、凹凸の少ない丸い形状でさえ、球状と見なされる。
【0023】
本発明の文脈での「中空」という表現は、空の意味を有し、空は、気体を包含しない。言い換えれば、中空の球状ケイ酸アルミニウムは中空であり、内部空間に液体または固体を有さず、気体を有する。この気体は、例えば二酸化炭素(CO2)または窒素(N2)またはこれらの任意の混合物、例えば70%のCO2および30%のN2であり得る。他の気体、好ましくは不活性気体も可能である。
【0024】
さらに、中空の球状ケイ酸アルミニウムは、軽量であり(例えば、約780~950kg/m3の平均粒子密度、および約400~490kg/m3の平均嵩密度を有する)、自由流動性、球状、および不活性であることを特徴とし得る。
【0025】
好ましい組成物は、全組成物の1.0~10.0重量%、好ましくは全組成物の1.5~8.5重量%、より好ましくは全組成物の2.0~7.0重量%の中空の球状ケイ酸アルミニウムを含み得、かつ/または中空の球状ケイ酸アルミニウムは、中空の球状ケイ酸アルミニウムの5~35重量%の酸化アルミニウム、および/もしくは中空の球状ケイ酸アルミニウムの50~80重量%の二酸化ケイ素を含み得る。
【0026】
密度依存性流動性(ffρ)は、重力によってサイロから流出するバルク材料の能力を示す。より物理的な方法で、次いで、密度依存性流動性(ffρ)は、バルク密度(ρb)と流動性(ffc)の積として示され得(次元のない用語を受け取るために、1000kg/m3で除算)、流動性(ffc)は、圧密応力(σ1)を圧縮強度(σc)で割った比である。圧密応力(σ1)および圧縮強度(σc)は、圧縮試験を用いて決定され得、第1に、バルク固体は、例えば、中空円筒に充填され、垂直方向に装填される(圧密応力σ1)。圧密後、バルク固体は、圧密応力(σ1)から解放され、中空円筒は、取り外される。第2の工程では、バルク固体形態が、特定の応力(圧縮強度(σc))で壊れるまで、圧密円筒状バルク固体には、増加垂直圧縮応力がかけられる。しかしながら、密度依存性流動性(ffρ)を決定するための他の方法は、技術水準において既知であり、例えば、リング剪断試験機が用いられる。例えば、上記に記載されているような中空の球状ケイ酸アルミニウムの密度依存性流動性(ffρ)の値は、約7.0になり、したがって、それは、ドロマイト粉末およびパーライトのそれぞれの値よりも、約2.6有意に高い。
【0027】
したがって、上記に記載されているような中空の球状ケイ酸アルミニウムの流動挙動は、空気なし塗布における均質なペースト状の材料が、噴霧中に噴霧装置および噴霧ノズルを通って移動すると、剪断応力の有意な低減を引き起こす。
【0028】
本発明の別の好ましい実施例では、組成物は、少なくとも第2および第3の充填剤をさらに含み、組成物の第2および第3の充填剤は、少なくとも第1および第2のカーボネートを含み得、第1のカーボネートの粒子径分布は、第2のカーボネートの粒子径分布と異なり、かつ/または第1および第2のカーボネートは、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、もしくはこれらの任意の混合物からなる群から選択される。しかしながら、番号付け(第1の、第2の、第3のなど)は変更され得る。さらに、第1および第2のカーボネートのD50およびD98値の特徴は、それらの化学構造とは無関係であり、これは、例えば、炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウムマグネシウムまたはこれらの任意の混合物が、D50およびD98値に定義されている値のいずれかを用いて提供され得ることを意味することに留意されたい。
【0029】
さらに、好ましい実施形態では、第1のカーボネート充填剤は、全組成物の30~60重量%、好ましくは全組成物の30~45重量%の量のドロマイト粉末(Omya GmbH Cologneから「Dolomitmehl 90」として市販されている)であり得、かつ/または第2のカーボネート充填剤は、全組成物の5~25重量%、好ましくは全組成物の10~20重量%の量のJuraperle MM(Eduard Merkle GmbH&Co.KGによって市販されている)であり得る。
【0030】
好ましくは、組成物は、全組成物の35~85重量%の第1および第2のカーボネート充填剤(これは、合計された第1および第2のカーボネートの重量を意味する)を含み得る。特に好ましいのは、全組成物の40~65重量%の量である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、中空の球状ケイ酸アルミニウム、ならびに第1および第2のカーボネートの粒子径分布は、特定の値を有し得、第1のカーボネートのD98値は、70~120μm、好ましくは80~100μmであり得、かつ/または第2のカーボネートのD98値は、120~200μm、好ましくは150~170μmであり得る。さらに、第1および/または第2のカーボネートは、10~30μm、好ましくは15~25μmのD50値を有し得る。さらに、中空の球状ケイ酸アルミニウムは、90~200μm、好ましくは100~180μmのD50値、および/または150~400μm、好ましくは170~250μmのD98値を有し得る。
【0032】
(バルク)材料の粒子径分布を説明するためのD50およびD98値は、当業者において既知である。
【0033】
本発明によれば、組成物は、少なくとも1つの結合剤を含み得る。少なくとも1つの結合剤は、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVOH)、またはこれらの任意の組み合わせ、好ましくは、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリビニルアルコール(PVOH)、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0034】
少なくとも1つの結合剤は、水性分散液としてまたは再分散可能な粉末として、組成物に添加され得る。好ましくは、少なくとも1つの結合剤は、全組成物の0.1~20.0重量%、好ましくは全組成物の1~15.0重量%、より好ましくは1.5~10.0重量%、最も好ましくは全組成物の2~5重量%の全組成物の量で組成物に含有され得る。
【0035】
本発明による好ましい組成物は、第4の充填剤をさらに含み得、この第4の充填剤は、セピオライト、アタパルジャイト、タルク、バーミキュライト、モンモリロナイト、イライト、カオリナイト、もしくはヘクトライト、好ましくはアタパルジャイト、もしくはセピオライトからなる群から選択され、かつ/または組成物は、全組成物の0.1~10.0重量%、好ましくは全組成物の0.1~5.0重量%、より好ましくは全組成物の0.1~2.0重量%の第4の充填剤を含む。
【0036】
本発明による別の好ましい組成物は、セルロース、好ましくは変性セルロース、より好ましくは2-ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロース、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される変性セルロース、最も好ましくはヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。さらに、組成物は、好ましくは、全組成物の0.1~1.2重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはヒドロキシエチルセルロースからなる変性セルロースを含み得る。
【0037】
さらに、本発明の組成物は、少なくとも第5の充填剤を含み得、この第5の充填剤は、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、およびパーライトからなる群から選択され、好ましくはパーライトであり、かつ/または組成物は、全組成物の1.0重量%~40重量%、好ましくは全組成物の1.0重量%~20重量%、より好ましくは全組成物の1.0重量%~10重量%、最も好ましくは全組成物の2.0重量%~5.0重量%の少なくとも第5の充填剤を含み得る。
【0038】
さらに、上記のパーライトは、200μm未満、好ましくは100μm未満の粒子径D98を有する微粉化されかつ膨張したパーライトであり得る。平均粒子径は、粒界の線形切片を平均することによって決定される。特に、平均粒子径D50は、20~80μm、好ましくは40~60μmである。さらに、上記のパーライトは、両親媒性コーティングを有し得る。パーライトは、ペースト状の充填剤材料を提供するために、重量を低減するのに役立ち得る。
【0039】
特に好ましい組成物は、2.0~5.0重量%の微粉化されかつ膨張したパーライトを含む。
【0040】
パーライトの両親媒性コーティングは、好ましくはアルコキシ変性アルキルシリコーン樹脂、特に式(C2H6OSi)nのアミノアルキル置換ポリジメチルシロキサンを含み、式中、nは、好ましくは30~300である。
【0041】
両親媒性コーティングのアルコキシ変性アルキルシリコーン樹脂は、噴霧可能な充填剤材料の流動特性を改善する。これによって、連続的な材料移送を実施するための低減された剪断応力が可能になり、例えば、塗布前に材料を機械的に均質化することなく、空気なし法が可能になる。材料が表面上に付着すると、剪断応力が再度増加し、それによって、比較的高い塗布厚が実現され得る。
【0042】
本発明による好ましい組成物は、全組成物の0.1~1.0重量%、好ましくは全組成物の0.1~0.4重量%の、アルコキシル化非イオン性化合物、非イオン性脂肪化合物、および疎水性シリカのブレンドからなる添加剤をさらに含み得る。
【0043】
この文書に記載されるすべての量は、特に明記されていない限り、充填剤材料のペースト状のコンシステンシー、すなわち水の量を含むことを意味する。
【0044】
好ましくは、アルコキシル化非イオン性化合物は、アルコキシル化ポリオール、アルコキシル化アルコール、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化アルキルアミド、アルコキシル化アセチレングリコール、アルコキシル化多塩基酸、アルコキシル化アルキレンオキシド、アルコキシル化有機シリコーン、およびこれらのポリマーからなる群から選択され得る。
【0045】
好ましくは、非イオン性脂肪化合物は、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アルコキシレート、脂肪ポリグリコールエーテル、脂肪酸、およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。より好ましくは、脂肪化合物は、脂肪酸であり得る。
【0046】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、組成物は、添加剤として殺生物剤をさらに含み得る。組成物に添加される殺生物剤は、2-メチル-1,2H-チアゾール-3(2H)-オン(MIT)および/または1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT)に基づき得る。組成物は、好ましくは、0.1~2重量%、好ましくは0.1~0.4重量%の殺生物剤を含み得る。
【0047】
ペースト状の充填および仕上げ材料は、好ましくは、全組成物の20~60重量%、好ましくは30~50重量%の量の水を含み得る。
【0048】
本発明によれば、ペースト状の充填および仕上げ材料、特に、上記の組成物から作製される、物理的に乾燥する噴霧可能な充填および仕上げ材料も提供される。本発明のペースト状の充填および仕上げ材料は、その組成に関連して、既に上で記載された利点を提供する。
【0049】
好ましくは、ペースト状の充填および仕上げ材料の比重は、1.6kg/l未満である。特に好ましくは、1.5kg/l未満である。このペースト状の充填および仕上げ材料は、中重量のペースト状の充填および仕上げ材料として考えられる。
【0050】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、塗布直後の1~3mmの層厚は、乾燥後、80%~90%、好ましくは83%~87%の層厚にのみ収縮する。先行技術から、1~3mmの層厚の技術水準の組成物は、乾燥後、約65%の層厚に収縮することが知られている。したがって、本発明は、乾燥した組成物層の収縮において有意な低減を示す。
【0051】
本発明はまた、ペースト状の充填および仕上げ材料、特に上記のような中重量のペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法も提供する。方法は、2段階のプロセスに基づき、それによれば、第1の工程で、乾燥成分が均質化され、第2の工程で、均質化された乾燥成分が水性または水で希釈可能な成分に添加される。乾燥成分は、充填剤、パーライト、ならびに任意選択的に他の乾燥添加剤および/または乾燥結合剤を含む。パーライトは、両親媒性コーティングを有し得る。
【0052】
水性または水で希釈可能な成分は、液体炭化水素、変性脂肪酸誘導体、非イオン性乳化剤、およびシリコーンオイルのブレンドからなる添加剤、ならびに任意選択的に他の液体添加剤および/または液体結合剤を含み得る。本発明の方法によって、上記の利点を有するペースト状の充填および仕上げ材料が提供され得る。
【0053】
好ましくは、2段階プロセスの第1および第2の工程は、処理時間の80%を超えて並行して実施され得る。したがって、並行処理は、処理時間を節約し、したがって、本方法をより経済的にする。
【0054】
得られたペースト状の充填および仕上げ材料は、一般に、技術水準から既知のすべての方法によって、例えば、機械的工具の助力によって、または機械的処理によって塗布され得る。機械的処理が好ましい。
【0055】
本発明のさらなる詳細および特徴は、説明のためだけであり、特許請求の範囲によって付与される保護の範囲を決して制限しない以下の実施例に示される。
【0056】
表1は、技術水準の試料と本発明の実施形態との比較を示し、これは、それらの粒子径分布および中空の球状ケイ酸アルミニウムの点で異なる、2つのカーボネートを使用する点で技術水準とは少なくとも異なる。この表では、第1のカーボネート(ドロマイト粉末)のD98値は90μmであり、D50値は20μmである。第2のカーボネート(Juraperle MM)のD98値は160μmであり、D50値は20μmである。中空の球状ケイ酸アルミニウム(Filite 160、Tolsa SA、マドリッド、スペインから市販されている)のD98値は180μmであり、D50値は106μmである。
【表1】
【0057】
本発明による組成を有するペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料は、均質な物質を提供し、これは、高い剪断速度で比較的低い剪断応力を依然として有する。これによって、効率的な噴霧塗布性能のための連続的な材料流動が可能になる。中空の球状ケイ酸アルミニウムの球状形状は、他の中空シリケートと比較して、コーティングされる表面の欠陥へのより良好な貫入をもたらす。これは特に、表面欠陥を有するサイトコンクリートまたは洗練されたコンクリートから作製されたコンクリート表面上で見られ得、そこでは、毛細管力が活性であり、したがって、より低い表面張力が必要である(図を参照)。さらに、それらの粒子径分布の点で異なる第1および第2のカーボネートの組み合わせは、湿潤状態で到達した厚さが、乾燥時にごくわずかしか陥没しないという効果を有する。
【0058】
第1および第2のカーボネートならびに中空の球状ケイ酸アルミニウムの粒子径分布の編集は、驚くべきことに凝集の傾向が低いことを示し、その結果、後増粘が発生しにくくなり、処理特性がより長い時間確保される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】コンクリート表面上に気泡形成が発生した技術水準のペースト状の充填および仕上げ材料である。
【
図2】コンクリート表面上に気泡形成が発生していない本発明のペースト状の充填および仕上げ材料である。
【0060】
図1a、1b、および2の3つのすべてについて、上記の「空気なし塗布法」を使用して、欠陥を有するコンクリート(例えば、Bosch Beton GmbH&Co.KGから市販されているコンクリート要素)上にペースト状の充填および仕上げ材料が噴霧される。
図1では、技術水準のペースト状の充填および仕上げ材料が使用された。
図1aは、表1による通常重量の実施例を表し、
図1bは、表1による軽量の実施例を表す。
図2では、表1による本発明のペースト状の充填および仕上げ材料が使用されている。
図1では、ペースト状の充填および仕上げ材料は、欠陥を充填せずに被覆している。したがって、上記で説明されたように、気泡形成は、圧縮空気から発生する。
図2では、本発明のペースト状の充填および仕上げ材料を用いて、欠陥が充填され、したがって、気泡形成は見られない。3つのコーティングされた表面の写真は、塗布後24時間後に撮影された。
【0061】
さらに、本発明の実施形態による組成物を有するペースト状の噴霧可能な充填および仕上げ材料は、任意選択的に後続の装飾コーティングのために、1~3mmの層厚で均質な表面をさらに提供する。
【0062】
さらに、粘度の差によって示されるように、後増粘は、技術水準によるペースト状の充填および仕上げ材料と比較して、本発明によるペースト状の充填剤について約3分の1に低減される。本発明によるペースト状の充填および仕上げ材料、ならびに技術水準によるペースト状の充填剤の両方は、微粉化されかつ膨張したパーライトを含む。
【0063】
両親媒性コーティングは、アミノアルキル官能性ポリジメチルシロキサンを含むシリコーンマイクロエマルジョンで達成された。
【0064】
20μmのD50値を示す市販のカーボネートのような、記載された(測定された)値は、測定の精度に応じて、約20μmであると考えられる。
本発明は下記<1>~<15>の態様も含む。
<1>
ペースト状の充填および仕上げ材料のための組成物であって、少なくとも1つの充填剤、少なくとも1つの結合剤、および添加剤を含み、前記少なくとも1つの充填剤が、3~20、好ましくは4~15、より好ましくは5~10、最も好ましくは6~8の密度依存性流動性(ff
ρ
)値を有する、組成物。
<2>
前記少なくとも1つの充填剤が、中空の球状ケイ酸アルミニウムである、<1>に記載の組成物。
<3>
前記組成物が、全組成物の1.0~10.0重量%、好ましくは全組成物の1.5~8.5重量%、より好ましくは全組成物の2.0~7.0重量%の前記中空の球状ケイ酸アルミニウムを含み、かつ/または前記球状ケイ酸アルミニウムが、前記中空の球状ケイ酸アルミニウムの5~35重量%の酸化アルミニウム、および/もしくは前記中空の球状ケイ酸アルミニウムの50~80重量%の二酸化ケイ素を含む、<1>~<2>のいずれかに記載の組成物。
<4>
前記組成物が、少なくとも第2および第3の充填剤をさらに含み、前記組成物の前記第2および前記第3の充填剤が、少なくとも第1および第2のカーボネートを含み、前記第1のカーボネートの粒子径分布が、前記第2のカーボネートの粒子径分布と異なり、かつ/または前記第1および前記第2のカーボネートが、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
<5>
前記第1のカーボネートが、70~120μm、好ましくは80~100μmのD98値を有し、かつ/または前記第2のカーボネートが、140~180μm、好ましくは150~170μmのD98値を有する、<4>に記載の組成物。
<6>
前記第1および/または前記第2のカーボネートが、10~30μm、好ましくは15~25μmのD50値を有する/有する、<4>~<5>のいずれかに記載の組成物。
<7>
前記中空の球状ケイ酸アルミニウムが、90~200μm、好ましくは100~180μmのD50値を有し、かつ/または150~400μm、好ましくは170~250μmのD98値を有する、<1>~<6>のいずれかに記載の組成物。
<8>
前記少なくとも1つの結合剤が、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、もしくはこれらの任意の組み合わせ、好ましくはポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリビニルアルコール、もしくはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、かつ/または前記組成物が、全組成物の0.1~20.0重量%、好ましくは全組成物の1~15.0重量%、より好ましくは全組成物の1.5~10.0重量%、最も好ましくは、全組成物の2~5重量%の前記少なくとも1つの結合剤を含む、<1>~<7>のいずれかに記載の組成物。
<9>
前記組成物が、少なくとも第4の充填剤をさらに含み、この第4の充填剤が、セピオライト、アタパルジャイト、タルク、バーミキュライト、モンモリロナイト、イライト、カオリナイト、もしくはヘクトライト、好ましくはアタパルジャイト、もしくはセピオライトからなる群から選択され、かつ/または前記組成物が、全組成物の0.1~10.0重量%、好ましくは全組成物の0.1~5.0重量%、より好ましくは全組成物の0.1~2.0重量%の第4の充填剤を含む、<1>~<8>のいずれかに記載の組成物。
<10>
前記組成物が、セルロース、好ましくは変性セルロース、より好ましくは2-ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロース、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される変性セルロース、最も好ましくはヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む、<1>~<9>のいずれかに記載の組成物。
<11>
前記組成物が、少なくとも第5の充填剤をさらに含み、この第5の充填剤が、硫酸カルシウム二水和物、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、およびパーライトからなる群から選択され、好ましくはパーライトであり、かつ/または前記組成物が、全組成物の1.0重量%~40重量%、好ましくは全組成物の1.0重量%~20重量%、より好ましくは全組成物の1.0重量%~10重量%、最も好ましくは全組成物の2.0重量%~5.0重量%の少なくとも第5の充填剤を含む、<1>~<10>のいずれかに記載の組成物。
<12>
前記第5の充填剤が、パーライトであり、前記パーライトが、200μm未満、好ましくは100μm未満の粒子径D98を有する微粉化されかつ膨張したパーライトであり、かつ/または前記パーライトが、両親媒性コーティングを有する、<11>に記載の組成物。
<13>
前記組成物が、全組成物の0.1~1.0重量%、好ましくは全組成物の0.1~0.4重量%の、アルコキシル化非イオン性化合物、非イオン性脂肪化合物、および疎水性シリカのブレンドからなる添加剤をさらに含む、<1>~<12>のいずれかに記載の組成物。
<14>
<1>~<13>のいずれかに記載の組成物から調製された、ペースト状の充填および仕上げ材料、特に、物理的に乾燥する噴霧可能な充填および仕上げ材料。
<15>
ペースト状の充填および仕上げ材料、特に、<14>に記載のペースト状の充填および仕上げ材料を生成するための方法であって、前記方法が、2段階のプロセスに基づき、それによれば、第1の工程で、乾燥成分が均質化され、第2の工程で、前記均質化された乾燥成分が水性または水で希釈可能な成分に添加される、方法。