(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】少なくとも2つのロッカアームおよび一方向結合機構を備えるバルブ作動システム
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20230619BHJP
F01L 13/06 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
F01L13/00 301M
F01L13/00 301V
F01L13/06 A
(21)【出願番号】P 2021532109
(86)(22)【出願日】2019-12-07
(86)【国際出願番号】 US2019065113
(87)【国際公開番号】W WO2020118284
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンデル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル、マテイ
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-537396(JP,A)
【文献】実開昭59-115807(JP,U)
【文献】実開昭63-100606(JP,U)
【文献】特開昭61-250317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 13/00~13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジンのシリンダと関連付けられた少なくとも2つのエンジンバルブを作動させるためのシステムであって、
第1のエンジンバルブを作動させるために、前記少なくとも2つのエンジンバルブの前記第1のエンジンバルブに動作可能に接続された少なくとも1つの主ロッカアームであって、前記少なくとも1つの主ロッカアームは、主バルブ作動運動源から少なくとも主バルブ作動運動を受容するように構成されている、少なくとも1つの主ロッカアームと、
第2のエンジンバルブを作動させるために、前記少なくとも2つのエンジンバルブの前記第2のエンジンバルブに動作可能に接続された第2のロッカアームであって、前記第2のロッカアームは、第1の補助バルブ作動運動源から第1の補助バルブ作動運動を受容するように構成されており、前記第2のロッカアームは、第1のアクチュエータの第1の状態において、前記第2のロッカアームと前記第2のエンジンバルブとを結合し、それによって、前記第1の補助バルブ作動運動を前記第2のロッカアームから前記第2のエンジンバルブへの伝達を可能にし、第1のアクチュエータの第2の状態において、前記第2のロッカアームと前記第2のエンジンバルブとの結合を解除し、それによって、前記第2のロッカアームから前記第2のエンジンバルブへの前記補助バルブ作動運動の伝達を阻止するように構成されている、油圧制御された第1のアクチュエータをさらに備える、第2のロッカアームと、
前記主バルブ作動運動が、前記少なくとも1つの主ロッカアームから前記第2のロッカアームに
常に伝送され、かつ前記第1の補助バルブ作動運動が、前記第2のロッカアームから前記少なくとも1つの主ロッカアームに伝送されないように、
前記少なくとも1つの主ロッカアームと前記第2のロッカアームの運動付与端部で、前記少なくとも1つの主ロッカアームと前記第2のロッカアームとの間に配置された一方向結合機構と、を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの主ロッカアームの運動付与端部に配置された油圧式ラッシュアジャスタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のロッカアームの運動付与端部に配置された油圧式ラッシュアジャスタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータは、前記第2のロッカ
アームの運動受容端部に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のアクチュエータは、前記第2のロッカ
アームの運動付与端部に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記一方向結合機構は、
前記少なくとも1つの主ロッカアームによって提供される第1の接触面と、
前記第2のロッカアームによって提供される第2の接触面と、を備え、
前記第1および第2の接触面は、前記主バルブ作動運動が、前記第1の接触面と第2の接触面との間の接触を引き起こすが、前記第1の補助バルブ作動運動が、前記第1の接触面と第2の接触面との間の接触を引き起こさないように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記一方向結合機構は、
前記少なくとも1つの主ロッカアームから
前記第2のロッカアームに向かって延伸し、かつ前記第1の接触面を備える、第1の延伸部と、
前記第2のロッカアームから前記少なくとも1つの主ロッカアームに向かって延伸し、かつ前記第2の接触面を備える、第2の延伸部と、を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の接触面または前記第2の接触面は、調整可能な接触面を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの主ロッカアームは、
前記第1のエンジンバルブを作動させるように構成された第1のロッカアームであって、前記一方向結合機構が、
前記少なくとも1つの主ロッカアームと前記第2のロッカアームの運動付与端部で、前記第1のロッカアームと前記第2のロッカアームとの間に配置されている、第1のロッカアームと、
前記主バルブ作動運動源から前記主バルブ作動運動を受容するように構成された第3のハーフロッカアームと、
第1の折り畳み機構状態において、前記第3のハーフロッカアームと前記第1のロッカアームとを結合し、それによって、前記第3のハーフロッカアームから前記第1のロッカアームへの前記主バルブ作動運動の伝達を可能にし、第2の折り畳み機構状態において、前記第3のハーフロッカアームと前記第1のロッカアームとの結合を解除し、それによって、前記第3のハーフロッカアームから前記第1および第2のロッカアームへの前記主バルブ作動運動の伝達を阻止するように構成されている、折り畳み機構と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前
記折り畳み機構は、前記第3のハーフロッカアームに配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のロッカアームは、折り畳み機構の接触面を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記折り畳み機構は、前記第1のロッカアームに配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記折り畳み機構は、係止機構を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記第3のハーフロッカアームは、前記主バルブ作動運動源と接触させるように前記第3のハーフロッカアームを付勢するための弾性要素と協働的に係合するように構成された弾性要素接触面を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のロッカアームは、ハーフロッカアームである、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記主バルブ作動運動源と接触させるように前記第3のハーフロッカアームを付勢するように、前記第3のハーフロッカアームと前記第1のロッカアームとの間に配置された弾性要素をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記弾性要素の移動を制限して、前記第1のロッカアームにかかる負荷を制限するように構成された移動制限器をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のロッカアームは、第2の補助バルブ作動運動源から第2の補助バルブ作動運動を受容するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のロッカアームは、第2のアクチュエータの第1の状態において、前記第1のロッカアームと前記第1のエンジンバルブとを結合し、それによって、前記第1のロッカアームから前記第1のエンジンバルブへの前記第2の補助バルブ作動運動の伝達を可能にし、第2アクチュエータの第2の状態において、前記第1のロッカアームと前記第1のエンジンバルブとの結合を解除し、それによって、前記第1のロッカアームから前記第1のエンジンバルブへの前記第2の補助バルブ作動運動の伝達を阻止するように構成されている、油圧制御された第2アクチュエータを備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月7日に出願された「VALVE ACTUATION SYSTEM COMPRISING TWO OR THREE TYPE 3 ROCKERS」と題された同時係属中の仮米国特許出願第62/776,938号の利益を主張し、その教示はこの参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、同日に出願された、弁護士整理番号JVSPP086USを有する「VALVE ACTUATION SYSTEM COMPRISING TWO ROCKER ARMS AND A COLLAPSING MECHANISM」と題された同時係属中の出願に関する。
【0002】
本開示は、一般に、内燃エンジンのバルブ作動システム、特に、少なくとも2つのロッカアームおよび一方向結合機構を備えるバルブ作動システムに関する。
【背景技術】
【0003】
内燃エンジンで使用するためのバルブ作動システムは、当技術分野でよく知られている。いくつかのバルブ作動システムは、いわゆる補助バルブ作動運動、すなわち、燃料の燃焼によって正の動力生成モードでエンジンを動作させるために使用されるバルブ作動運動(しばしば主バルブ作動運動と呼ばれる)以外の、またはそれに加えて、バルブ作動運動を提供することができる。そのような補助バルブ作動運動には、限定されないが、エンジンのシリンダを無給油状態で動作させて実質的に空気圧縮機として機能させ、それによって、車両の駆動列を介して車両遅延力を提供する圧縮解放エンジンブレーキが含まれる。いわゆる高出力密度(HPD)圧縮解放エンジンブレーキは、エンジンの各サイクルに2つの圧縮解放の動作事象を提供し、これは、エンジンの各サイクルで単一の圧縮解放の動作事象のみが提供される従来の圧縮解放システムと比較して、遅延力が向上する。そのようなHPDシステムでは、HPDエンジンブレーキを実装する補助バルブ作動運動を優先して、主バルブ作動運動が「失われる」(エンジンバルブに伝達されない)ことを可能にする必要がある。
【0004】
主動作事象の運動の喪失を容易にするために、HPDバルブ作動システムは、例えば、米国特許第8,936,006号および/または米国特許出願公開第2014/0245992号に記載されているように、バルブブリッジに折り畳み機構を組み込むことが知られている。これらの従来のシステムでは、折り畳み機構は、機械的に係止された状態で、バルブブリッジを介してバルブ作動運動が伝達されることを可能にし、機械的に係止解除された状態で、折り畳み機構が任意の加えられたバルブ作動運動を吸収し、それによって、バルブブリッジを介してそれらの伝達を阻止する油圧制御された係止機構を備える。
【0005】
さらに、他の利点の中でもとりわけ、燃料効率を改善し、テールパイプ排出量を低減するために、多くの内燃エンジンでは、いわゆる気筒休止(CDA)が望ましい特徴である。この目的にも、折り畳み式バルブブリッジが使用され得る。
【0006】
しかしながら、場合によっては、バルブブリッジに配置された折り畳み機構は実現可能ではない(例えば、十分なスペースがない、油圧式ラッシュアジャスタを使用する必要がある、または折り畳み機構に対応することができないガイド付きバルブブリッジの使用のため)、あるいはバルブブリッジは望ましくない。結果として、CDAの提供を容易にするバルブ作動システム、および/または従来のもしくはHPDエンジンブレーキなどの補助バルブ作動は、当技術分野の歓迎すべき進歩を表すであろう。
【発明の概要】
【0007】
従来の解決策の上記の欠点は、第1のエンジンバルブを作動させるために、少なくとも2つのエンジンバルブの第1のエンジンバルブに動作可能に接続された少なくとも1つの主ロッカアームであって、少なくとも1つの主ロッカアームは、主バルブ作動運動源から少なくとも主バルブ作動運動を受容するように構成されている、少なくとも1つの主ロッカアームを備える少なくとも2つのエンジンバルブを作動させるためのシステムを提供することによって対処される。このシステムは、第2のエンジンバルブを作動させるために、少なくとも2つのエンジンバルブの第2のエンジンバルブに動作可能に接続された第2のロッカアームをさらに備え、第2のロッカアームは、第1の補助バルブ作動運動源から第1の補助バルブ作動運動を受容するように構成されており、第2のロッカアームは、油圧制御された第1のアクチュエータをさらに備える。油圧制御された第1のアクチュエータは、第1のアクチュエータの第1の状態において、第2のロッカアームと第2のエンジンバルブとを結合し、それによって、第2のロッカアームから第2のエンジンバルブへの第1の補助バルブ作動運動の伝達することを可能にし、第1のアクチュエータの第2の状態において、第2のロッカアームと第2のエンジンバルブとの結合を解除し、それによって、第2のロッカアームから第2のエンジンバルブへの補助バルブ作動運動の伝達を阻止する。システムは、追加的に、主バルブ作動運動が、少なくとも1つの主ロッカアームから第2のロッカアームに伝送され、かつ第1の補助バルブ作動運動が、第2のロッカアームから少なくとも1つの主ロッカアームに伝送されないように、少なくとも1つの主ロッカアームと第2のロッカアームとの間に配置された一方向結合機構を含む。この実施形態では、システムは、少なくとも1つの主ロッカの運動付与端部、または第2のロッカアームの運動付与端部に配置された油圧式ラッシュアジャスタを備え得る。
【0008】
一方向結合機構は、少なくとも1つの主ロッカアームによって提供される第1の接触面と、第2のロッカアームによって提供される第2の接触面と、を備え得、ここで第1および第2の接触面は、主バルブ作動運動が、第1の接触面と第2の接触面との間の接触を引き起こすが、第1の補助バルブ作動運動が、第1の接触面と第2の接触面との間の接触を引き起こさないように構成されている。特定の実施形態では、一方向結合機構は、少なくとも1つの主ロッカアームから第2のロッカアームに向かって延伸し、かつ第1の接触面を備える、第1の延伸部と、第2のロッカアームから少なくとも1つの主ロッカアームに向かって延伸し、かつ第2の接触面を備える、第2の延伸部と、を備える。なおさらに、第1の接触面または第2の接触面のいずれかは、調整可能な接触面を備え得る。
【0009】
別の実施形態では、少なくとも1つの主ロッカアームは、第1のエンジンバルブを作動させるように構成された第1のロッカアームを備え、一方向結合機構が、第1のロッカアームと第2のロッカアームとの間に配置されている。さらに、少なくとも1つの主ロッカアームは、主バルブ作動運動源から主バルブ作動運動を受容するように構成された第3のハーフロッカアームを備える。なおさらに、この実施形態では、少なくとも1つの主ロッカアームは、第1の折り畳み機構状態において、第3のハーフロッカアームと第1のロッカアームとを結合し、それによって、第3のハーフロッカアームから第1のロッカアームへの主バルブ作動運動の伝達を可能にし、第2の折り畳み機構状態において、第3のハーフロッカアームと第1のロッカアームとの結合を解除し、それによって、第3のハーフロッカアームから第1および第2のロッカアームへの主バルブ作動運動の伝達を阻止するように構成されている、折り畳み機構を備える。折り畳み機構は、第3のハーフロッカアームに配置することができ、その場合、第1のロッカアームは、折り畳み機構の接触面を備える。代替的に、折り畳み機構は、第1のロッカアームに配置され得る。とにかく、折り畳み機構は、係止機構を備え得る。
【0010】
この他の実施形態では、第3のハーフロッカアームは、主バルブ作動運動源と接触させるように第3のハーフロッカアームを付勢するための弾性要素と協働的に係合するように構成された弾性要素接触面を備え得る。追加的に、第1のロッカアームは、ハーフロッカアームも備え得る。主バルブ作動運動源と接触させるように第3のハーフロッカアームを付勢するように、第3のハーフロッカアームと第1のロッカアームとの間に弾性要素が配置され得る。この場合、弾性要素の移動を制限して、第1のロッカアームに印加される負荷を制限するように構成された移動制限器も提供され得る。
【0011】
追加的に、この他の実施形態では、第1のロッカアームは、第2の補助バルブ作動運動源から第2の補助バルブ作動運動を受容するように構成され得る。この場合、第1のロッカアームは、第2のアクチュエータの第1の状態において、第1のロッカアームと第1のエンジンバルブとを結合し、それによって、第1のロッカアームから第1のエンジンバルブへの第2の補助バルブ作動運動の伝達を可能にし、第2アクチュエータの第2の状態において、第1のロッカアームと第1のエンジンバルブとの結合を解除し、それによって、第1のロッカアームから第1のエンジンバルブへの第2の補助バルブ作動運動の伝達を阻止するように構成されている、油圧制御された第2のアクチュエータをさらに備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示に説明されている特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。これらの特徴および付随する利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を検討することから明らかになるであろう。ここで、1つ以上の実施形態を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明し、そこでは同様の参照番号は、同様の要素を表す。
【0013】
【
図1】本開示の第1の実施形態によるバルブ作動システムの概略図である。
【
図2】本開示の第2の実施形態によるバルブ作動システムの概略図である。
【
図3】本開示による、補助または第2のロッカアームのそれぞれの左上等角図、右上等角図、および側面断面図である。
【
図4】本開示による、補助または第2のロッカアームの別のそれぞれの左上等角図、右上等角図、および側面断面図である。
【
図5】本開示による、補助または第2のロッカアームのさらに別のそれぞれの左上等角図、右上等角図、および側面断面図である。
【
図6】本開示による主ロッカアームの一実施形態の左上等角図である。
【
図7】本開示による、第3のロッカアームのそれぞれの左上等角図および側面断面図である。
【
図8】本開示による、別の第3のロッカアームのそれぞれの左上等角図および側面断面図である。
【
図9】本開示による第1のロッカアームの第1の実施形態の左上等角図である。
【
図10】本開示による、第1のロッカアームの第2の実施形態の左上等角図である。
【
図11】
図1および
図3~
図6の実施形態によるバルブ作動システムの一例のそれぞれ上面図および背面図である。
【
図12】
図1および
図3~
図6の実施形態によるバルブ作動システムの一例の別のそれぞれ上面図および背面図である。
【
図13】
図2、
図3~
図5、および
図7~
図9の実施形態によるバルブ作動システムの第1の例のそれぞれの上面図、背面図、および正面図である。
【
図14】
図2、
図3~
図5、および
図7~
図9の実施形態によるバルブ作動システムの第1の例の別のそれぞれの上面図、背面図、および正面図である。
【
図15】
図2、
図3~
図5、および
図7~
図9の実施形態によるバルブ作動システムの第1の例のさらに別のそれぞれの上面図、背面図、および正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、主ロッカアーム100、補助または第2のロッカアーム102、および一方向結合機構114を備えるバルブ作動システム11の第1の実施形態を概略的に示している。主ロッカアーム100、一方向結合機構114、および補助/第2のロッカアーム102の間の一方向矢印によって示されるように、主ロッカアーム100は、補助/第2のロッカアーム102を駆動することができるが、その逆はできない。主ロッカアーム100は、主運動源108(例えば、カムなど)からバルブ作動運動を受容するように構成され、第1のエンジンバルブ104に動作可能に接続され、一方、補助ロッカアーム102は、補助運動源110からバルブ作動運動を受容するように構成され、第2のエンジンバルブ106に動作可能に接続され、(内燃エンジン10のシリンダ107と関連付けられた)第1および第2のエンジンバルブ104、106。当技術分野で知られているように、エンジンバルブ104、106は、吸気バルブ、排気バルブ、または補助バルブを備え得、一実施形態では、別個のバルブ作動システム11は、例えば、シリンダの吸気バルブ用のバルブ作動システム11の1つの例、および同じシリンダの排気バルブ用のバルブ作動システム11の別の例など、単一のシリンダと関連付けられた異なるエンジンバルブタイプに対して別個に提供することができる。本明細書で使用される場合、記述子「主」は、エンジンの動作の正の力率発生状態の間に使用されるバルブ作動運動を指す。一方、本明細書で使用される場合、記述子「補助」は、例えば、吸気バルブの遅閉じ(LIVC)、排気バルブの早開き(EEVO)など、様々なタイプのエンジンブレーキのために、正の力率発生に加えて、またはその代わりに、エンジン動作の状態中に使用されるバルブ作動運動を指す。
【0015】
さらに、この実施形態では、補助/第2のロッカアーム102は、第1のアクチュエータ112、例えば、補助ロッカアーム102から伸延する、または補助ロッカアーム102内に後退するように選択的に制御され得る油圧作動式アクチュエータを備えている。第1のアクチュエータ112は、補助バルブ作動運動源110から受容したバルブ作動運動を第2のバルブ106に選択的に伝送するように(例えば、その伸延状態、または第1のアクチュエータの第1の状態において)制御され得るか、またはアクチュエータと補助バルブ列内の別の構成要素との間にラッシュスペースを確立することにより、そのような運動の伝送を阻止するように(例えば、その後退状態、または第1のアクチュエータの第2の状態において)制御され得る。したがって、第1のアクチュエータ112は、補助運動源110または第2のエンジンバルブ106のいずれかに向かって伸延するか、そこから後退するように構成され得る。前者の場合、第1のアクチュエータ112は、補助/第2のロッカアーム102の運動受容端部に配置され得、後者の場合、第1のアクチュエータ112は、補助/第2のロッカアーム102の運動付与端部に配置され得る。
【0016】
主ロッカアーム100と補助/第2のロッカアーム102との間の結合は一方向のみであるため、主運動源108からの主バルブ作動運動は、第1と第2のバルブの両方に伝達される。同時に、第1のアクチュエータ112の制御を通じて、補助運動源110からの補助バルブ作動運動は、第2のバルブ106のみに伝送され得る。このようにして、補助バルブ作動運動を主バルブ作動運動に追加して、いくつかの望ましいエンジン動作状態のいずれかを実装することができる。本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、構成要素の一方に加えられるバルブ作動運動の少なくとも一部が、必ずしも固定または双方向接続を必要とせずに他方の構成要素に伝達されるように、構成要素間の十分な連動を指し、「結合解除された」という用語は、バルブ作動運動がそれらの構成要素を介して伝達されないような、構成要素間の連動の欠如または不十分な連動を指す。したがって、例えば、単に互いに接触する構成要素は、ある構成要素から別の構成要素へのバルブ作動運動の伝達が達成される程度まで結合され得る。代替的に、互いに接触しているが、ある構成要素から別の構成要素へのバルブ作動運動の伝送をもたらさない構成要素は結合解除される。さらに別の代替案として、結合解除は、2つの構成要素間に十分な量のクリアランスまたはラッシュスペースを確立することから生じ得、その結果、構成要素のうちの1つに加えられたすべてのバルブ作動運動は、他方の構成要素に伝送される前に失われる。しかしながら、2つの構成要素間にラッシュスペースを確立しても、加えられたバルブ作動運動の一部が伝送されるが、すべてではない場合は、これらの構成要素間の結合と見なされる。
【0017】
前述のように、第1のアクチュエータ112は、補助/第2のロッカアーム102から延伸するか、または補助/第2のロッカアーム102内に後退するように制御され得る。この目的のために、第1のアクチュエータ112が油圧アクチュエータを備える場合、当該技術分野で知られている好適なエンジン制御ユニット(ECU)と、当該技術分野で知られている1つ以上の高速ソレノイドとが連動する制御システム(図示せず)が提供され得る。この場合、ECUは、高速ソレノイドを制御して、第1のアクチュエータ112に作動油を供給するか、または作動油の流れを制限し、それによって第1のアクチュエータの動作状態を制御してもよい。所与のエンジン10が複数のバルブ作動システム11(単一のシリンダ内および/またはエンジン内の複数のシリンダにわたる別個のバルブタイプに対応する)を備え得る限り、ECUは、この目的のために、複数のバルブ作動システム11への作動油を制御する単一のソレノイド、または個々のバルブ作動システム11もしくはバルブ作動システム11のサブグループを各々制御する複数のソレノイドと連動してもよい。
【0018】
さらに、システム11は、第1もしくは第2のエンジンバルブ104、106のいずれか、またはその両方と関連付けられた1つ以上の油圧式ラッシュアジャスタ116、118を備え得る。当技術分野で知られているように、油圧式ラッシュアジャスタは、エンジンオイルなどの作動油によって動作する中空のスライド式プランジャを含むことが多い。エンジンバルブが閉じているとき(すなわち、バルブ作動運動がエンジンバルブに加えられていないとき)、それと関連付けられた自動ラッシュアジャスタは、それに継続的に供給される作動油で自由に充填され、自動ラッシュアジャスタを膨張させ、それによって、エンジンバルブが膨張するときに、バルブ列の任意のラッシュスペースを確保し得る。ラッシュアジャスタに負荷が印加されているとき(すなわち、エンジンバルブにバルブ作動運動が加えられているとき)、油圧式ラッシュアジャスタへの流体供給が遮断され、自動ラッシュアジャスタ内に閉じ込められた量の作動油の流体圧によってプランジャが折り畳まれるのを阻止し得る。このようにして、自動ラッシュアジャスタは、エンジンバルブを作動させるために使用される構成要素間の任意のラッシュスペースを確保することができる。一実施形態では、主ロッカアーム100および/または補助/第2のロッカアーム102の運動付与端部に、1つ以上の油圧式ラッシュアジャスタ116、118が設けられている。しかしながら、当業者は、そのような油圧式ラッシュアジャスタ116、118を、第1および/または第2のエンジンバルブ104、106と関連付けられたバルブ列に沿って本質的にどこにでも配置できることを理解するであろう。
【0019】
ここで
図2を参照すると、バルブ作動システム21の第2の実施形態が概略的に示され、それぞれの第1、第2、および第3のロッカアーム200、202、204を備える。このシステム21では、
図1のシステム11と比較して、主ロッカアーム100は、以下でさらに詳細に説明するように、第1のロッカアーム200、第3のロッカアーム204、および折り畳み機構216、218の組み合わせによって効果的に提供される。代替の実施形態では、第1のロッカアーム200は、ハーフロッカアームまたはフルロッカアームのいずれかを備え得る。前者の場合、第1のロッカアーム200は、バルブ作動運動源からいかなるバルブ作動運動も直接受容しないが、後者の場合、第1のロッカアーム200は、オプションの補助バルブ作動運動源214からバルブ作動運動を受容するように構成され得る。いずれの場合においても、示されるように、第1のロッカアーム200は、第1のエンジンバルブ206に接触するように構成される。一方、第3のロッカアーム204は、主バルブ作動運動源210からバルブ作動運動を受容するように構成されている、ハーフロッカアームである。この実施形態では、折り畳み機構216、218は、第1または第3のロッカアーム200、204のいずれか(両方ではない)に提供され得る。折り畳み機構216、218は、第1および第3のロッカアーム200、204を選択的に結合/結合解除するように動作する。結合状態(または第1の折り畳み機構状態)において、主運動源210からのバルブ作動運動は、第3のロッカアーム204を介して第1のロッカアーム200に伝送され、一方、結合解除状態(または第2の折り畳み機構状態)において、運動は、第3のロッカアーム204から第1のロッカアーム200に伝送されない。折り畳み機構216、218は、米国特許第9,790,824号に記載されているタイプの油圧作動式係止機構を備え得、その教示は、この参照により本明細書に組み込まれる(その例は、
図8を参照して以下に示される)。代替的に、機械的係止機構に依存するのではなく、当技術分野で知られているように、制御バルブを使用して、折り畳み機構216、218を実装して、ピストンまたは同様の構成要素を伸延位置に堅固に維持させるが、そうでなければ、閉じ込められた量の作動油が解放されると後退する、閉じ込められた量の作動油を作り出すようにすることができる。さらに、当業者は、折り畳み機構216、218が油圧作動式デバイスに制限される必要はなく、代わりに空気圧または電磁的に実装され得ることを理解するであろう。
【0020】
第1および第3のロッカアーム200、202を結合解除するために折り畳み機構216、218を動作させると、すべての主バルブ作動運動が失われるため、同様の構成が対応するシリンダの吸気バルブと排気バルブの両方に使用されていると推定すると、シリンダを非活動状態、すなわち正の力率を発生させることができない状態に維持することができる。
【0021】
さらに、
図2の実施形態では、第1のロッカアーム200は、第2のアクチュエータ222、例えば、第1のロッカアーム200から伸延する、または第1のロッカアーム200内に後退するように選択的に制御され得る油圧作動式アクチュエータを任意選択的に備えている。第1のロッカアーム200がオプションの補助運動源214からバルブ作動運動を受容するように構成されているとき、第2のアクチュエータ222は、オプションの補助運動源214または第2のエンジンバルブ206のいずれかと連動するように、すなわち、それぞれ第1のロッカアーム200の動作受容端部または動作付与端部のいずれかに配置されるように構成され得る。第2のアクチュエータ222は、オプションの補助バルブ作動運動源214から受容したバルブ作動運動を第1のバルブ206に選択的に伝送するように(例えば、その伸延状態、または第2のアクチュエータの第1の状態において)制御され得るか、またはアクチュエータと補助バルブ列内の別の構成要素との間にラッシュスペースを確立することにより、そのような運動の伝送を阻止するように(例えば、その後退状態、または第2のアクチュエータの第2の状態において)制御され得る。
【0022】
第2のロッカアーム202は、第1のアクチュエータ220(第1のアクチュエータの第1の状態および第1のアクチュエータの第2の状態における動作を含む、
図1に示された第1のアクチュエータ112と同一)の動作を通じて、第2のエンジンバルブ208に選択的に渡され得る、または失われ得る、補助バルブ作動運動(提供される場合には、オプションの補助運動源214によって提供される補助運動とは別に)を受容するように構成される。第1のアクチュエータ220はまた、上記のように油圧作動式アクチュエータを備え得る。示されるように、一方向結合機構224が、第1のロッカアーム200と第2のロッカアーム202との間に設けられてもよく、その結果、第1のロッカアームによって(直接的または間接的に)受容される主バルブまたは補助バルブの作動運動は第2のロッカアーム202に伝達されるが、補助運動源212によって第2のロッカアーム202に加えられた補助バルブ作動運動は、第1のロッカアーム200に伝達されない。したがって、第2のエンジンバルブ208は、(主運動源210またはオプションの補助運動源214のいずれかによって)第1のロッカアーム200に加えられる任意のバルブ作動運動を常に受容し、補助運動源212から受容されたバルブ作動運動を選択的に伝達することもできる。
【0023】
結果として、その構成および折り畳み機構216、218および第1ならびに第2のアクチュエータ220、222の状態に応じて、
図2のシステムを使用して、いくつかの異なる動作状態を達成することができる。例えば、オプションの補助運動源214が提供されていないとき(または、最も可能性の高い第2のアクチュエータ222)、第2の折り畳み機構状態(すなわち、結合解除)における折り畳み機構216、218の動作により、主バルブ動作事象が第1および第2のエンジンバルブ206、208に提供されることが阻止される。追加的に、この場合、第1のアクチュエータ220もその後退状態(第1のアクチュエータの第2の状態)に維持されると、補助運動源212からのバルブ運動は同様に第2のエンジンバルブ208に伝達されず、したがってシリンダが非作動状態になる。折り畳み機構216、218のみが作動される場合(折り畳み機構の第1の状態)、主運動源210からのバルブ動作事象のみがエンジンバルブ206、208に渡される。なおさらに、折り畳み機構216、218は折り畳まれている(折り畳み機構の第2の状態)が、第1のアクチュエータ220は延伸されている(第1のアクチュエータの第1の状態)場合、補助運動源212からのバルブ作動運動のみが第2のエンジンバルブ208に加えられる。最後に、折り畳み機構216、218と第1のアクチュエータ220との両方が作動されると(それぞれ折り畳み機構の第1の状態および第1のアクチュエータの第1の状態)、主運動源210からのバルブ作動運動は、第1および第2のエンジンバルブ206、208の両方に渡され、一方、補助運動源212からのバルブ運動は、第2のエンジンバルブ208にのみ渡される。オプションの補助運動源214および第2のアクチュエータ222が提供されるとき、上記の動作状態は、第1および第2のエンジンバルブ206、208の両方に加えられるオプションの補助運動源214からの補助運動の追加により、(第2のアクチュエータの第1の状態における第2のアクチュエータ222の動作を通じて)さらに選択的に増強され得る。
【0024】
図1の場合のように、折り畳み機構216、218は、第1および第3のロッカアーム200、204を結合/結合解除するように、すなわち、上記の制御システムを使用して、上記のように第1および第2の折り畳み機構状態で動作するように制御され得る。第1および第2のアクチュエータ220、222は、同様に、補助バルブ作動運動源212(および、提供される場合、オプションの補助バルブ作動運動源214)から受容されたバルブ作動運動をエンジンバルブ206、208に伝送するように、またはそのような運動の伝送を阻止するように(すなわち、それらを失うように)、制御システムによって制御されてもよい。さらに、示されるように、システム21は、好ましくは第1のロッカアーム200および/または第2のロッカアーム202の運動付与端部に、1つ以上の油圧式ラッシュアジャスタ226、228を含み得る。しかしながら、この場合も、当業者は、そのような油圧式ラッシュアジャスタ226、228を、第1および/または第2のエンジンバルブ206、208と関連付けられたバルブ列に沿って本質的にどこにでも配置できることを理解するであろう。
【0025】
図1および
図2に関して、様々なロッカアーム100、102、200、202、204を使用して、バルブ作動システム11、21を実装することができる。
図3~
図10は、これらの様々なロッカアームの実装例を提供する。特に、
図3~
図5は、補助/第2のロッカアーム102、202の一実施形態を示し、
図6は、主ロッカアーム100の一実施形態を示し、
図7および
図8は、第3のロッカアーム204の一実施形態を示し、
図9は、第1のロッカアーム200の第1の実施形態を示し、
図10は、第1のロッカアーム200の第2の実施形態を示している。
【0026】
ここで
図3~
図5を参照すると、補助/第2のロッカアーム300は、運動受容端部302および運動付与端部304を備える。運動受容端部302と付与端部304との間に、ロッカシャフト(図示せず)を受容し、それによってロッカシャフトの周りのロッカアーム300の往復運動を可能にするように構成されている、ロッカシャフト開口部306が提供される。図示の実施形態では、ロッカアーム300の運動受容端部302は、第1のアクチュエータ500(
図5に最もよく示される)が配置された第1のアクチュエータボス308を備える。第1のアクチュエータ500は、補助バルブ作動運動源110、212から補助バルブ作動運動を受容するために、その上にローラフォロア312が取り付けられた車軸314を支持する。運動付与端部304は、油圧式ラッシュアジャスタ518(
図5に最もよく示されている)が配置された油圧式ラッシュアジャスタボス316を備える。
【0027】
図5を参照すると、第1のアクチュエータ500は、アクチュエータボス308に形成されたボア502内に存在し、アクチュエータボア502内にスライド可能に配置されたアクチュエータピストン504を備える。示されるように、手動ラッシュ調整アセンブリ508がボア502に提供され、アクチュエータピストン504は、ラッシュ調整アセンブリ508とアクチュエータピストン504との間に挿入されたアクチュエータ付勢ばね506によってボア502に付勢される。追加的に、第2のロッカアーム300に制御バルブ510が設けられる。当技術分野で知られているように、作動油は、制御バルブ510および第1のアクチュエータボア502を制御バルブ510に接続する油圧通路512(部分的に示されている)を介してアクチュエータボア502に転送され得る。制御バルブ510を介してボア502に油圧が加えられると、アクチュエータピストン506は、ボア502から延伸し、当技術分野で知られているように、制御バルブ510によって提供される係止された量の作動油によって、この延伸位置(すなわち、第1のアクチュエータの第1の状態)に堅固に維持される。一方、制御バルブ510(したがって、ボア502)に加えられた油圧がないことにより、係止された作動油が解放され、それによって、アクチュエータピストン504がボア502内で自由にスライドすることができるようになる(すなわち、第1のアクチュエータの第2の状態)。
【0028】
図5にさらに示されるように、油圧式ラッシュアジャスタ518は、油圧式ラッシュアジャスタボス316に形成されたボア522内に存在し、ボア522内に配置されたラッシュアジャスタピストン520を備える。ボア522から延伸するラッシュアジャスタピストン520のその端部は、第2のエンジンバルブ106、208に接触するように構成されている、スイベル526を備えている。当技術分野で知られているように、ロッカアーム300内の1つ以上の油圧通路(図示せず)は、ボア522への作動油の連続供給を提供する。油圧式ラッシュアジャスタ518がアンロードされると、作動油は、逆止バルブ(図示せず)を通過して圧力チャンバ524に流れ、これによって、ラッシュアジャスタピストン520を可能な程度までボア522から延伸し、上記のように係止された量の作動油を確立することができる。
【0029】
最後に、
図4に最もよく示されるように、ロッカアーム300は、その運動付与端部304に、ロッカアーム300から横方向に延伸する延伸部402を備える。延伸部402の上面404は、以下でさらに詳細に説明するように、ロッカアーム300が別のロッカアームからバルブ作動運動を受容することを可能にするが、バルブ作動運動を他のロッカアームに伝達しないことを可能にする接触面を確立する。したがって、延伸部402は、一方向結合機構114、224の一部を形成する。
【0030】
ここで
図6を参照すると、主ロッカアーム600は、運動受容端部602および運動付与端部604を備える。運動受容端部602と付与端部604との間に、ロッカシャフト(図示せず)を受容し、それによってロッカシャフトの周りのロッカアーム600の往復運動を可能にするように構成されている、ロッカシャフト開口部606が提供される。図示の実施形態では、ロッカアーム600の運動受容端部602は、主バルブ作動運動源108からバルブ作動運動を受容するためのローラフォロー603を備える。
【0031】
ロッカ600の運動付与端部604は、上記のボス316および油圧式ラッシュアジャスタ518と同様の油圧式ラッシュアジャスタ610を有する油圧式ラッシュアジャスタボス608を備える。さらに示されるように、ロッカアーム600は、その運動付与端部604に、ロッカアーム600から横方向に延伸する延伸部612を備える。延伸部612の下面614は、以下でさらに詳細に説明するように、ロッカアーム600がバルブ作動運動を別のロッカアームに伝達することを可能にするが、バルブ作動運動を他のロッカアームに受容しないことを可能にする接触面を確立する。したがって、延伸部612は、一方向結合機構114の一部を形成する。この特定の実施形態では、延伸部612は、延伸部612の614の下面を調整することを可能にする調整可能な接触面616(
図12、
図15、および
図18にも示されている)を備える。代替的に、特に油圧式ラッシュアジャスタがバルブ作動システムに組み込まれている場合、接触面616は、固定され得る、すなわち調整不可能であり得る。
【0032】
ここで
図7および
図8を参照すると、第3のロッカアーム700は、主バルブ作動運動源210からバルブ作動運動を受容するための、車軸705およびローラフォロア704がその上に取り付けられた運動受容端部702のみを含むという点で、ハーフロッカを備える。さらに示されるように、ロッカシャフト(図示せず)を受容し、それによってロッカシャフトの周りのロッカアーム700の往復運動を可能にするように構成されている、ロッカシャフト開口部706が提供される。
【0033】
図8に最もよく示されるように、第3のロッカアーム700は、第3のロッカアーム700に形成されたボア801内に配置された折り畳み機構802を備え、折り畳み機構802は、以下に説明する別のロッカアームの折り畳み機構接触面との接触を確立する。特に、
図8に示される折り畳み機構802は、ボア801内に配置されたハウジング810を備える油圧作動式係止機構である。ハウジング810は、例えば、ハウジング810とハウジングボア801との間の保持リングとのねじ係合、干渉嵌め、またはスリップ嵌めによって、ハウジングボア801内に固定的に保持される。図示の実施形態では、ハウジング810が設けられているが、本明細書に記載のハウジング810の特徴は、第3のロッカアーム700の本体に直接設けられ得ることが理解される。とにかく、次に、ハウジング810は、その中に外側プランジャ812がスライド可能に配置されたボア811を備える。ボア801から延伸する外側プランジャ812の端部は、ボール822およびスイベル824を有するキャップ822によって終端され、これらは、以下に記載される折り畳み機構接触面との接触を集合的に確立する。外側プランジャ812はまた、内側プランジャ814がその中にスライド可能に配置されたボア813を有する。図示の実施形態では、係止ばね820は、内側プランジャ814を外側プランジャボア813に付勢する。係止ばね820によって提供される付勢力が対抗されない限り、内側プランジャ814は、外側プランジャボア813に付勢され、それによって、係止要素816が、外側プランジャ812の側壁に形成された開口部を通って延伸する。さらに示されるように、ハウジング810は、その内壁に形成された外側凹部818を有する。係止要素816が延伸され、外側凹部818と位置合わせされると、外側プランジャ812は、ハウジングボア811内でスライドすることが機械的に阻止され、すなわち、ハウジング810に対して係止され、その結果、第3ロッカアーム700に加えられた任意のバルブ作動運動にかかわらず、外側プランジャ812が延伸位置に維持される。その結果、第3のロッカアーム700に加えられた任意のバルブ作動運動は、折り畳み機構802および折り畳み機構接触面を介して別のロッカアーム(図示せず)に伝達され、すなわち、折り畳み機構802は、第1の折り畳み機構状態において動作する。
【0034】
ハウジング810はまた、その外側側壁面に形成された環状チャネル830と、第1のロッカアーム204に形成された通路(図示せず)から作動油を受容することができるその側壁を通って延伸する半径方向開口832と、を備える。このように供給された作動油は、作動油によって加えられた圧力が係止ばね820によって提供される付勢を打ち消し、さらに内側プランジャ814を外側プランジャボア813からスライドさせるように、(図示されていない外側プランジャ813の開口部を介して)外側プランジャボア813にさらに転送され得る。そうすることにより、内側プランジャ814の直径が縮小された部分が係止要素816と位置合わせされ、それによって、係止要素816が後退し、外側凹部818と係合解除することを可能にする。この状態において、外側プランジャ812は、ハウジングボア811内にさらにスライドすることができ、すなわち、係止解除される。その結果、第3のロッカアーム700に加えられる任意のバルブ作動運動は、そのような運動が単に外側プランジャ812をハウジングボア810内で往復運動させる程度まで、折り畳み機構802を介して別のロッカアームに伝達されない、すなわち折り畳み機構802は、第2の折り畳み機構状態において動作する。
【0035】
図7および
図8にさらに示されるように、第3のロッカアーム700に付勢をかけ、第3のロッカアーム700を主バルブ作動運動源と接触するように促すために、弾性要素708(示されるような圧縮ばねなど)が提供され得る。
図8に最もよく示されるように、弾性要素708は、外側プランジャ812、キャップ822、ボール822、およびスイベル824の周りに配置され、さらに一端で第3のロッカアーム700に隣接し、一方、弾性要素708の他端は別のロッカアーム(図示せず)に隣接する。このように構成された弾性要素214は、第1のロッカアーム204を第2のロッカアーム206から離れるように付勢し、運動源と接触させる。一実施形態では、第3のロッカアーム700が主運動源、例えばカムベースサークルに過度の負荷を印加しないことを確実にするために、移動制限器を設けることができる。これは、第3のロッカアーム700の主運動源への回転を制限するように構成されている、固定面(すなわち、第3のロッカアーム700の往復運動に対して移動しない)を使用することによって提供することができる。
【0036】
ここで
図9を参照すると、第1のロッカアーム900の第1の実施形態が示され、第1のロッカアームは、運動付与端部904のみを有するハーフロッカである。ロッカシャフト(図示せず)を受容し、それによってロッカシャフトの周りのロッカアーム900の往復運動を可能にするために、ロッカシャフト開口部906が提供される。
図6の実施形態と同様に、ロッカ900の運動付与端部904は、油圧式ラッシュアジャスタ910を有する油圧式ラッシュアジャスタボス908を備える。さらに示されるように、ロッカアーム900は、その運動付与端部904に、ロッカアーム900から横方向に延伸する延伸部912を備える。延伸部912の下面914は、以下でさらに詳細に説明するように、ロッカアーム900によってバルブ作動運動を別のロッカアームに伝達させられるが、バルブ作動運動を他のロッカアームが受容しないようにさせる接触面を確立する。したがって、延伸部912は、一方向結合機構224の一部を形成する。この特定の実施形態では、延伸部912は、延伸部912の914の下面を調整することを可能にする調整可能な接触面616(
図12、
図15、および
図18にも示されている)を備える。代替的に、特に油圧式ラッシュアジャスタがバルブ作動システムに組み込まれている場合、接触面916は、固定され得る、すなわち調整不可能であり得る。
【0037】
図9にさらに示されるように、運動付与端部904は、ボルト922およびスイベル918を支持する上向きに延伸するフランジまたはボス924をさらに備える。次に、スイベル918は、折り畳み機構802の一部を形成する対応するスイベル824と接触するように構成および位置決めされた折り畳み機構接触面920を規定する。様々な実施形態では、ボルト922は、固定または調整可能のいずれかであり得る。
【0038】
ここで
図10を参照すると、第1のロッカアーム1000の第2の実施形態は、同じ参照番号によって示されるように、
図9に示されるものと実質的に同様の特徴を備える。しかしながら、
図9の実施形態とは異なり、第1のロッカアーム1000の第2の実施形態は、運動受容端部1002も含むという点でフルロッカである。さらに、図示の実施形態では、ロッカアーム1000の運動受容端部1002は、第2のアクチュエータ1010が配置された第2のアクチュエータボス1008を備える。第2のアクチュエータ1010は、オプションの補助バルブ作動運動源214から補助バルブ作動運動を受容するために、その上にローラフォロア1014が取り付けられた車軸1012を支持する。
【0039】
図1に示されているシステムおよび
図3~
図6のロッカの実装によるバルブ作動システムの例が、
図11および
図12に関してさらに示されている。示されるように、主ロッカアーム600および補助/第2のロッカアーム300は各々、それらの運動受容端部において、当技術分野で知られているように、カムシャフト上にあるカムの形態でバルブ作動運動源108、110からバルブ作動運動を受容するように構成されている、好適なフォロア603、312を備える。上記のように、補助/第2のロッカ300用のローラフォロア312は、第1のアクチュエータ504上にある。それらの運動付与端部において、ロッカ300、600は各々、それぞれの第1および第2のエンジンバルブ(図示せず)と係合するように構成されている、好適なピボット要素またはスイベル1202、1204を備えており、スイベル1202、1204は、対応する油圧式ラッシュアジャスタに取り付けられている。さらに示されるように、主ロッカアーム600と補助/第2のロッカ300との両方は各々、上記のように、他のロッカに向かって延伸するそれぞれの延伸部612、402を備える。
図3に最もよく示されているように、主ロッカ延伸部612は、補助ロッカ延伸部402の上に位置決めされ、それと重なっている。調整可能な接触面614は、延伸部612と延伸部402との間に提供される。このように構成されて、主ロッカアーム600は、運動を補助/第2のロッカ300に伝送することができるが、補助/第2のロッカアーム300は、運動を主ロッカアーム100に伝送することができない。
【0040】
図2に示されているシステム、および
図3~
図5ならびに
図7~
図9のロッカの実装によるバルブ作動システムの例が、
図13~
図15に関してさらに示されている。この実施形態では、オプションの補助運動源214およびアクチュエータ222は含まれていない。したがって、第1のロッカアーム900および第3のロッカアーム700は、ハーフロッカである。
図14に最もよく示されているように、第3のロッカアーム700は、ローラフォロア704を含む。付勢ばね708は、第1のロッカアーム900と第3のロッカアーム700との間に配置され、このばねは、第3のロッカアーム700を主運動源210と常に接触するように付勢する。付勢ばね708によって隠されているが、この実施形態では、第3のロッカアーム700は、第1のロッカアーム900に接触するように延伸することができる折り畳み機構を備える。当業者によって理解されるように、付勢ばね708は、バルブ作動システムに含まれる任意の油圧式ラッシュアジャスタに負荷をかける。このような付勢がすべての状況で可能である場合、油圧式ラッシュアジャスタは最終的にその最小長の状態に折り畳まれ、そもそも油圧式ラッシュアジャスタの目的を混乱させることになる。したがって、これが発生するのを阻止するために、付勢ばね708の移動を制限する、すなわち、第1および第3のロッカアーム900、700に継続的に付勢を加えることを阻止するように移動制限器を含めることができる。このようにして、特にバルブ作動運動が対応する第1のエンジンバルブに加えられていないとき、すなわち、バルブ作動運動を提供するカムの場合、カムのベースサークルで、油圧式ラッシュアジャスタの折り畳みが阻止される。
【0041】
さらに、この実施形態では、第2のロッカアーム300は、その運動受容端部にアクチュエータ504を備え、このアクチュエータは、示されるようにローラフォロア312を支持する。
図15に最もよく示され、
図11および
図12に示される実施形態と同様に、第1のロッカアーム900は、第2のロッカアーム300の方向に延伸する延伸部912を備え、第2のロッカアーム300は、第1のロッカアーム900の方向に延伸する延伸部402を備える。同様に、延伸部912、402は、バルブ作動運動が第1のロッカアーム900から第2のロッカアーム300に渡され得るが、その逆はないように、互いに重なり合う。
【0042】
図2に示されているシステム、および
図3~
図5、
図7、
図8、ならびに
図10のロッカの実装によるバルブ作動システムの例が、
図16~
図18に関してさらに示されている。
図16~
図18の実施形態に示される構成要素は、特に断りのない限り、
図13~
図15に示される同様の番号の構成要素と実質的に同一の方法で構成され、動作する。
【0043】
図13~
図15の実施形態とは異なり、第1のロッカアーム1000は、第2のアクチュエータ1010上に配置されたローラフォロア1014を含む。したがって、上記のように、第2のアクチュエータ1010は、選択肢としての補助運動源214によって提供される補助バルブ運動を選択的に拾い上げるか、または失うように制御され得る。
図16において、付勢ばね708は、折り畳み機構802および折り畳み機構接触面920が見えるように、非圧縮状態で示されていることに留意されたい。追加的に、この実施形態では、
図18に最もよく示されているように、第1および第2のロッカアーム1000、300の両方は、それぞれ、エンジンバルブ(図示せず)と係合するための好適なピボット1802、1804を含み、スイベル1802、1804は、対応する油圧式ラッシュアジャスタに取り付けられている。
【0044】
特定の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、当業者は、本教示から逸脱することなく変更および修正を行うことができることを理解するであろう。したがって、上記の教示のありとあらゆる修正、変形、または同等物は、上に開示され、本明細書で請求される基本的な基本原理の範囲内にあると考えられる。例えば、折り畳み機構の特定の実装が上で説明されているが、他のタイプの折り畳み機構が採用され得ることが理解される。