(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20230619BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20230619BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20230619BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q1/50
H01Q9/30
H01Q3/24
(21)【出願番号】P 2021568122
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2020089969
(87)【国際公開番号】W WO2020228728
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】201910399233.6
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910435982.X
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユエンプオン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,シヤオタオ
(72)【発明者】
【氏名】リヤーン,ティエジュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ダーウエイ
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-022218(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108199132(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0064820(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0358699(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-11/20
H01Q 21/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器用のアンテナ装置であって、当該アンテナ装置は、前記電子機器の第1サイド金属フレーム及びボトム金属フレーム、フィーダ、及び複数の同調スイッチを有し、
前記第1サイド金属フレームが第4スロットを備え、前記ボトム金属フレームが第5スロットを備え、前記ボトム金属フレームと前記電子機器の第2サイド金属フレームとの間にグランド点が配され、
前記フィーダは、第4フィード点に接続され、該第4フィード点は、前記第4スロットと前記第5スロットとの間で
前記第1サイド金属フレーム及び前記ボトム金属フレームのうちの一方の金属フレーム上に配され、
前記複数の同調スイッチは、第5同調スイッチ及び第6同調スイッチを有し、該第5同調スイッチは、前記第4スロットと前記
第4フィード点との間で
前記第1サイド金属フレーム及び前記ボトム金属フレームのうちの前記一方に接続され、前記第6同調スイッチは、
前記グランド点と前記第4フィード点との間で前記ボトム金属フレームに接続され
、
前記第5同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成され、前記第6同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成さ
れ、
前記第5同調スイッチがオフにされ且つ前記第6同調スイッチがオンにされる場合には、前記第1サイド金属フレームが励起されて外方への放射を生成し、且つ前記第5同調スイッチが、前記第1サイド金属フレームの放射周波数バンドを調節するように構成され、
前記第5同調スイッチがオンにされ且つ前記第6同調スイッチがオフにされる場合には、前記ボトム金属フレームが励起されて外方への放射を生成し、且つ前記第6同調スイッチが、前記ボトム金属フレームの放射周波数バンドを調節するように構成される、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第4フィード点は具体的に、前記第4スロットと前記第5スロットとの間で前記ボトム金属フレーム上に配され、前記第6同調スイッチと前記第4フィード点とが、前記第5スロットによって分離される、請求項
1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第4フィード点は具体的に、前記第4スロットと前記第5スロットとの間で前記
第1サイド金属フレーム上に配され、前記第5同調スイッチは、前記第4スロットと前記第5スロットとの間で前記
第1サイド金属フレームに接続される、請求項
1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第6同調スイッチと前記第4フィード点とが、前記第5スロットによって分離されない、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記複数の同調スイッチは更に、第7同調スイッチを有し、該第7同調スイッチは、前記第4スロットと前記第5スロットとの間の
前記第1サイド金属フレーム又は前記ボトム金属フレーム上の前記第4フィード点に隣接する位置に接続されて、給電のインピーダンス整合に使用される、請求項
1乃至
4のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
金属フレームと、請求項
1乃至
5のいずれか一項に記載のアンテナ装置と、論理制御回路と、を有する電子機器であって、前記論理制御回路は、前記第5同調スイッチ及び前記第6同調スイッチに接続され、前記論理制御回路は、前記第5同調スイッチを制御してオフ又はオンにするように、及び前記第6同調スイッチを制御してオフ又はオンにするように構成される、電子機器。
【請求項7】
電子機器向けのアンテナ放射方法であって、前記電子機器のアンテナ装置が、前記電子機器の第1サイド金属フレーム及びボトム金属フレーム、フィーダ、及び複数の同調スイッチを有し、前記第1サイド金属フレームが第4スロットを備え、前記ボトム金属フレームが第5スロットを備え、前記ボトム金属フレームと前記電子機器の第2サイド金属フレームとの間にグランド点が配され、前記フィーダは、第4フィード点に接続され、該第4フィード点は、前記第4スロットと前記第5スロットとの間で
前記第1サイド金属フレーム及び前記ボトム金属フレームのうちの一方の上に配され、前記複数の同調スイッチは、第5同調スイッチ及び第6同調スイッチを有し、該第5同調スイッチは、前記第4スロットと前記
第4フィード点との間で
前記第1サイド金属フレーム及び前記ボトム金属フレームのうちの前記一方に接続され、前記第6同調スイッチは、
前記グランド点と前記第4フィード点との間で前記ボトム金属フレームに接続され
、前記第5同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成され、前記第6同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成され、
当該方法は、
前記電子機器により、現在シーンを決定し、
前記電子機器が自由空間シーンにあるときには、前記電子機器により、前記第5同調スイッチがオフになり且つ前記第6同調スイッチがオンになるように制御
することで、前記第1サイド金属フレームが励起されて外方への放射を生成し、且つ前記第5同調スイッチが、前記第1サイド金属フレームの放射周波数バンドを調節するようにし、
前記電子機器がハンドヘルドシーンにあるときには、前記電子機器により、前記第5同調スイッチがオンになり且つ前記第6同調スイッチがオフになるように制御する
ことで、前記ボトム金属フレームが励起されて外方への放射を生成し、且つ前記第6同調スイッチが、前記ボトム金属フレームの放射周波数バンドを調節するようにする、
ことを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0002】
この出願は、アンテナ技術の分野に関し、特に、電子機器に適用されるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル電子機器(例えば携帯電話など)の品質感を高めるために、モバイル電子機器の工業デザイン(industrial design、ID)に例えば金属フレームといった金属がますます適用されるようになっている。金属フレームを用いた工業デザインでは、金属フレームをアンテナとして設計することがアンテナ設計の傾向となっている。
従来技術では、小さい幅(例えば、1mmから1.5mm)を有するスロットが金属フレームに配置され、該スロットが、金属フレームを、複数の金属フレームアンテナを形成する複数の部分に分割する。金属フレームがオープン環境内にあるとき、金属フレームの外側に空気が存在し、その結果、金属フレームアンテナの放射性能は良好である。しかしながら、例えば手の中にスロットを保持するなど、人体が金属フレームのスロットに触れていると、人体の負荷がアンテナ放射を吸収し、アンテナの放射効率を著しく低下させる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、自由空間放射効率及びハンドヘルド放射効率の両方を考慮に入れることができる、金属フレームがアンテナとして設計されたアンテナ装置を提供する。
【0005】
第1の態様によれば、この出願はアンテナ装置を提供する。当該アンテナ装置は、サイド金属フレーム11-1、ボトム金属フレーム11-7、フィーダ23、及び金属フレームに接続された複数の同調スイッチを含み得る。
【0006】
サイド金属フレーム11-1にスロット21-1が配され得るとともに、ボトム金属フレーム11-7にスロット22が配され得る。ここでは、サイド金属フレーム11-1を第1サイド金属フレームと称することがあり、ボトム金属フレーム11-7をボトム金属フレームと称することがあり、スロット21-1を第1スロットと称することがあり、そして、スロット22を第2スロットと称することがある。
【0007】
複数の同調スイッチは、例えば
図4Aに示す同調スイッチ25(SW2)などの、サイド金属フレーム11-1上に配置された第1同調スイッチを含み得る。複数の同調スイッチは更に、ボトム金属フレーム11-7上に配置された第2同調スイッチ及び第3同調スイッチを含み得る。第2同調スイッチは、スロット22の第1の側に配置されることができ、第3同調スイッチは、スロット22の第2の側に配置されることができる。第1の側の方が、第2の側よりもサイド金属フレーム11-1に近い。
【0008】
サイド金属フレーム11-1がフィード点Sを備え得るとともに、ボトム金属フレーム11-7がフィード点Tを備え得る。フィーダ23は、フィード点S又はフィード点Tを選択的に接続するように構成されることができる。フィード点Sを第1フィード点と称することがあり、フィード点Tを第2フィード点と称することがある。
【0009】
第1の態様で提供されるアンテナは金属フレームアンテナであることが分かる。サイド金属フレームとボトム金属フレームの両方にスロットが配され、異なるシーンに基づいて、縦モードと横モードとの間で切り換わるように、サイド金属フレーム及びボトム金属フレームが別々に給電される。斯くして、自由空間シーンでは、金属フレームの縦モードが強く、自由空間放射効率が高く、ハンドヘルドシーンでは、金属フレームの横モードが強く、ハンドヘルド放射効率が高い。
【0010】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、異なるシーンに基づいて、縦モードと横モードとの間で切り換わるように、フィーダ23は、サイド金属フレームとボトム金属フレームとを別々に給電することができる。自由空間FSシーンでは、フィーダ23は、サイド金属フレーム11-1上のフィード点Sに接続され得る。ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンでは、フィーダ23は、ボトム金属フレーム11-7上のフィード点Tに接続され得る。
【0011】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、フィーダ23はスイッチ22(SW1)に接続され得る。スイッチ22は、固定端子A(第1固定端子と称することがある)と固定端子B(第2固定端子と称することがある)との2つの固定端子を持ち得る。フィード点Sは、スイッチ22の固定端子Aに接続される。フィード点Tは、スイッチ22の固定端子Bに接続される。スイッチ22は、異なる固定端子をオンにすることによって、フィーダ23をフィード点S又はフィード点Tに選択的に接続するように構成されることができる。スイッチ22(SW1)を第1スイッチと称することがある。
【0012】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、自由空間FSシーンでは、スイッチ22は、固定端子Aをオンにし得る。この場合、フィーダ23がサイド金属フレーム11-1のフィード点Sに接続され、サイド金属フレーム11-1が、完全に励起され、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。放射モードは縦モードであり、自由空間放射効率が良好である。この場合、サイド金属フレーム11-1上に配置された第1同調スイッチ(例えば同調スイッチ25など)が、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、サイド金属フレーム11-1の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0013】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンでは、スイッチ22は、固定端子Bをオンにし得る。この場合、フィーダ23がボトム金属フレーム11-7のフィード点Tに接続され、ボトム金属フレーム11-7を、外方への放射を生成するラジエータとして使用することができる。放射モードは、手の中にスロット21-1を保持することによって影響を受けないものである横モードであり、ハンドヘルド放射効率が良好である。第2同調スイッチ及び第3同調スイッチが、ボトム金属フレーム11-7の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0014】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、横モードで、外方への放射を生成するラジエータとしてボトム金属フレーム11-7が使用されることを確実にするため、及び、ボトム金属フレーム11-7と、ボトム金属フレーム11-7に接続されたサイド金属フレーム11-3とが、放射を生成する一体のラジエータを形成することを防止するために、サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間に、例えばグランド点35(GND1)などの第1グランド点が配され得る。
【0015】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、サイド金属フレーム11-1とボトム金属フレーム11-7とをアイソレートし、縦モードと横モードとの間の干渉を回避するために、さらに、フィード点Sとフィード点Tとの間に、例えばグランド点33(GND2)などの第2グランド点が配され得る。オプションで、グランド点33(GND2)の代わりに、同調スイッチ27(SW3)が0オーム接地に切り換えられてもよい。
【0016】
第1の態様を参照するに、一部の実施形態において、サイド金属フレーム11-3上にフィード点Qが配され得る。サイド金属フレーム11-3上にスロット21-3が配され得る。フィーダ23は、サイド金属フレーム11-1を接続するときにサイド金属フレーム11-3を接続するように構成されることができる。すなわち、自由空間FSシーンにおいて、自由空間放射効率を更に高めるために、サイド金属フレーム11-3及びサイド金属フレーム11-1の両方を縦モードでのラジエータとして使用してもよい。ここでは、サイド金属フレーム11-3を第2サイド金属フレームと称することがあり、フィード点Qを第3フィード点と称することがあり、そして、スロット21-3を第3スロットと称することがある。
【0017】
第2の態様によれば、この出願は電子機器を提供する。当該電子機器は、金属フレームと、第1の態様で説明したアンテナ装置と、論理制御回路とを含み得る。論理制御回路は、サイド金属フレーム11-1上に配された第1フィード点を接続するように、又はボトム金属フレーム11-7上に配された第2フィード点を接続するように、フィーダ23を制御するように構成されることができる。
【0018】
第2の態様を参照するに、一部の実施形態において、論理制御回路は、第1スイッチに接続されることができ、具体的に、固定端子A(第1固定端子と称することがある)をオンにするように、又は固定端子B(第2固定端子と称することがある)をオンにするように、第1スイッチを制御するように構成されることができる。
【0019】
第3の態様によれば、この出願はアンテナ放射方法を提供する。当該方法は、第2の態様で説明した電子機器に適用されることができる。当該方法は、電子機器が現在シーンを決定することができることを含む。電子機器が自由空間シーンにあると決定されたとき、電子機器は、フィーダ23を制御して第1フィード点を接続することができる。電子機器がハンドヘルドシーンにあると決定されたとき、電子機器は、フィーダ23を制御して第2フィード点を接続することができる。
【0020】
第3の態様を参照するに、一部の実施形態において、電子機器がフィーダ23を制御して第1フィード点を接続することは具体的に、電子機器が第1スイッチを制御して固定端子A(第1固定端子と称することがある)をオンにすることを含み得る。
【0021】
第3の態様を参照するに、一部の実施形態において、電子機器がフィーダ23を制御して第2フィード点を接続することは具体的に、電子機器が第1スイッチを制御して固定端子B(第2固定端子と称することがある)をオンにすることを含み得る。
【0022】
第4の態様によれば、この出願はアンテナ装置を提供する。当該アンテナ装置は、サイド金属フレーム11-1、ボトム金属フレーム11-7、フィーダ23、及び金属フレームに接続された複数の同調スイッチを含み得る。
【0023】
サイド金属フレーム11-1にスロット21-1が配され得る。ボトム金属フレーム11-7にスロット50が配され得る。ここでは、サイド金属フレーム11-1を第1サイド金属フレームと称することがあり、ボトム金属フレーム11-7をボトム金属フレームと称することがあり、スロット21-1を第4スロットと称することがあり、そして、スロット50を第5スロットと称することがある。
【0024】
フィーダ23は、フィード点Pに接続され得る。ここでは、フィード点Pを第4フィード点と称することがある。スロット21-1とスロット50との間で金属フレーム上にフィード点Pが配され得る。具体的には、フィード点Pは、
図6Aに示すように、スロット21-1とスロット50との間で、ボトム金属フレーム上に配され得る。スロット21-1とスロット50との間の金属フレームは、2つの部分を含み得る。一方の部分は、スロット21-1とスロット50との間のボトム金属フレームであり、他方の部分は、スロット21-1とスロット50との間のサイド金属フレームである。
【0025】
複数の同調スイッチは、例えば
図6Aの同調スイッチ51(SW8)などの第5同調スイッチ、及び例えば
図6Aの同調スイッチ55(SW9)などの第6同調スイッチを含み得る。第5同調スイッチ(例えばSW8など)は、スロット21-1とスロット50との間で金属フレーム上に配置され得る。第6同調スイッチ(例えばSW9など)は、ボトム金属フレーム11-7に配置され得る。第5同調スイッチは、フィード点Pの第1の側に配置されることができ、第6同調スイッチは、フィード点Pの第2の側に配置されることができる。第1の側の方が、第2の側よりもサイド金属フレーム11-1に近い。具体的には、第6同調スイッチとフィード点Pとがスロット50によって分離され得る。第5同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成されることができ、第6同調スイッチは、選択的にオフ又はオンになるように構成されることができる。
【0026】
第2の態様において、同調スイッチをオフ(off)状態に切り換えることは、同調スイッチが切断状態にあることを意味し得る。同調スイッチをオン(on)状態に切り換えることは、同調スイッチが特定の集中(lumped)デバイスをオンにすることを意味し得る。例えば、同調スイッチは、閉じた接地を実現するために、0オーム集中デバイスをオンにする。
【0027】
第4の態様で提供されるアンテナ設計ソリューションによれば、スロットがサイド金属フレーム及びボトム金属フレームの両方に配された状態の下で、自由空間放射効率及びハンドヘルド放射効率の両方を考慮に入れるよう、金属フレームアンテナの放射モードが横モードであるのか、それとも縦モードであるのかを調節するために、金属フレームに接続された同調スイッチの状態(例えばオン(on)状態又はオフ(off)状態など)が変更される。同調スイッチは、0オーム接地に切り換えることによってオン(on)状態に切り換えられることができ、故に、オン(on)状態を接地状態と称することもある。オフ(off)状態にある同調スイッチは、周波数変調に使用されることができる。
【0028】
第4の態様を参照するに、一部のオプションの実施形態において、複数の同調スイッチは更に、例えば同調スイッチ53(SW7)などの第7同調スイッチを含み得る。第7同調スイッチは、スロット21-1とスロット50との間の金属フレーム上のフィード点Pに隣接する位置に配置され、給電のインピーダンス整合に使用されることができる。縦モードでのラジエータと横モードでのラジエータとが異なるため、アンテナインピーダンスが異なり、異なる伝送線路に対するインピーダンス整合が必要である。
【0029】
第4の態様を参照するに、一部のオプションの実施形態において、第5同調スイッチがオフにされ且つ第6同調スイッチがオンにされる場合、サイド金属フレーム11-1が、完全に励起され、外方への放射を生成するメインラジエータとして使用されることができる。この場合、金属フレームアンテナの動作モードは縦モードであり、自由空間放射効率が良好である。第5同調スイッチは更に、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、縦モードにおけるサイド金属フレーム11-1の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0030】
第4の態様を参照するに、一部のオプションの実施形態において、第5同調スイッチがオンにされ且つ第6同調スイッチがオフにされる場合、ボトム金属フレーム11-7が、完全に励起され、外方への放射を生成するメインラジエータとして使用されることができる。この場合、金属フレームアンテナの動作モードは、手の中にスロット21-1を保持することによって影響を受けないものである横モードであり、ハンドヘルド放射効率が良好である。第6同調スイッチ(例えばSW9など)は更に、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、横モードにおけるボトム金属フレーム11-7の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0031】
第4の態様を参照するに、一部のオプションの実施形態において、フィード点Pは、スロット21-1とスロット50との間でサイド金属フレーム上に配されてもよい。この場合、例えば同調スイッチ51(SW8)などの、フィード点の第1の側の第5同調スイッチも、それに従って、スロット21-1とスロット50との間でサイド金属フレーム上に配置される。オプションで、例えば同調スイッチ55(SW9)などの、フィード点の第2の側の第6同調スイッチ及びフィード点Pは、もはや、スロット50によって分離されなくてもよい。
【0032】
第4の態様を参照するに、一部の実施形態において、横モードで、外方への放射を生成するラジエータとしてボトム金属フレーム11-7が使用されることを確実にするため、及び、ボトム金属フレーム11-7と、ボトム金属フレーム11-7に接続されたサイド金属フレーム11-3とが、放射を生成する一体のラジエータを形成することを防止するために、サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間に、例えば
図6Aのグランド点35(GND1)などのグランド点が配され得る。
【0033】
第5の態様によれば、この出願は電子機器を提供する。当該電子機器は、金属フレームと、第4の態様で説明したアンテナ装置と、論理制御回路とを含み得る。論理制御回路は、第5同調スイッチを制御してオフ又はオンにするように、及び第6同調スイッチを制御してオフ又はオンにするように構成されることができる。
【0034】
第6の態様によれば、この出願はアンテナ放射方法を提供する。当該方法は、第5の態様で説明した電子機器に適用されることができる。当該方法は、電子機器が現在シーンを決定することができることを含む。電子機器が自由空間シーンにあると決定されたとき、電子機器は、第5同調スイッチがオフになり且つ第6同調スイッチがオンになるように制御することができる。電子機器がハンドヘルドシーンにあると決定されたときには、電子機器は、第5同調スイッチがオンになり且つ第6同調スイッチがオフになるように制御することができる。
【0035】
第3の態様又は第6の態様を参照するに、一部の実施形態において、電子機器は、以下の手法で現在シーンを決定することができ、一手法において、電子機器は、ハンドセットがオンにされているかを決定することができ、ハンドセットがオンにされている場合に、ユーザが通話を行うために電子機器を手に握っていると決定することができ、その結果、現在シーンはハンドヘルドシーンであると決定することができ、そうでない場合には、現在シーンは自由空間シーンであると決定することができる。他の一手法において、電子機器は、光学近接センサによって収集されるユーザから電子機器までの距離データに基づいて、電子機器に対してユーザが近いかを決定することができる。距離データによって示される距離が、特定の閾値(例えば、1cm)未満である場合、ユーザの体の近くでユーザが電子機器を手に握っていると決定することができ、その結果、現在シーンはハンドヘルドシーンであると決定することができ、そうでない場合には、現在シーンは自由空間シーンであると決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
この出願の実施形態における技術的ソリューションをより明確に説明するために、以下に、この出願の実施形態を説明するのに必要な添付図面を記載する。
【
図1】この出願に従ったアンテナ設計ソリューションが基礎とする電子機器の概略構成図である。
【
図3】この出願に従ったアンテナ設計ソリューションの概略図である。
【
図4A】実施形態1に従ったアンテナ装置の概略図である。
【
図4B】実施形態1に従った、縦モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図4C】実施形態1に従った、横モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図6A】実施形態2に従ったアンテナ装置の概略図である。
【
図6B】実施形態2に従った、縦モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図6C】実施形態2に従った、横モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図8A】実施形態2の別の拡張実装の概略図である。
【
図8B】縦モードにおける
図8Aに示したアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図8C】横モードにおける
図8Aに示したアンテナ装置の原理の概略図である。
【
図9A】自由空間シーンにおける実施形態2のアンテナ装置の低周波動作状態の概略図である。
【
図9B】ハンドヘルドシーンにおける実施形態2のアンテナ装置の低周波動作状態の概略図である。
【
図10】この出願に従った同調スイッチの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0038】
この出願にて提供される技術的ソリューションは、Bluetooth(bluetooth、BT)通信技術、グローバルポジショニングシステム(global positioning system、GPS)通信技術、ワイヤレスフィデリティ(wireless fidelity、Wi-Fi)通信技術、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(global system for mobile communications、GSM)通信技術、ワイドバンド符号分割多重アクセス(wideband code division multiple access、WCDMA)通信技術、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)通信技術、5G通信技術、SUB-6G通信技術、他の将来の通信技術、及びこれらに類するもののうちの1つ以上を使用する電子機器に適用可能である。この出願において、電子機器は、携帯電話、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、又はこれらに類するものとし得る。
【0039】
図1は、この出願に従ったアンテナ設計ソリューションが基礎とする電子機器10の一例を示している。
図1に示すように、電子機器10は、表示スクリーン13及び金属フレーム11を含み得る。図には示していないが、電子機器10は更に、背面カバー、プリント回路基板(printed circuit board、PCB)、及びPCBグランドプレートを含み得る。
【0040】
表示スクリーン13は、タッチセンサと組み合わされて、タッチ制御スクリーン(又はタッチスクリーン)を形成してもよい。タッチセンサを、タッチパネル又はタッチセンシティブパネルと称することもある。
【0041】
金属フレーム11は、例えばステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属材料で製造され得る。金属フレーム11は、電子機器10及び表示スクリーン13の周囲にぐるりと延在することができ、また、表示スクリーン13を固定するように構成されることができる。位置の観点から、金属フレーム11は、電子機器10の頂部の金属フレーム11-5(トップ金属フレームと称することがある)と、電子機器10の底部の金属フレーム11-7(ボトム金属フレームと称することがある)と、電子機器10の側部の金属フレーム11-1及び11-3(サイド金属フレームと称することがある)を含み得る。電子機器10の頂部は、フロントカメラ15、ハンドセット16、光学近接センサ17、周辺光センサ18、及びこれらに類するものを備え得る。電子機器10の底部は、USB充電ポート12、マイクロフォン、及びこれらに類するものを備え得る。電子機器10の側部は、音量調節ボタン(図示せず)及び電源ボタン(図示せず)を備え得る。
【0042】
PCBは、FR-4誘電体基板、ロジャース(Rogers)誘電体基板、ロジャースとFR-4との混合誘電体基板、又はこれらに類するとし得る。ここで、FR-4は難燃材グレードのコードネームであり、ロジャース誘電体基板は高周波基板である。PCBグランドプレートは接地され、PCBと背面カバー19との間に配置され得る。PCBグランドプレートを、PCBボトムプレートと称することもある。具体的には、PCBグランドプレートは、PCBの表面上でエッチングされた金属の層とし得る。PCBグランドプレートは、PCB上に担持された電子素子を接地するのに使用されることができる。具体的には、ユーザが感電すること及び装置損傷を防止するために、PCB上に担持される電子素子を、PCBグランドへの配線によって接地することができる。
【0043】
背面カバーは、例えばガラス背面カバー又はプラスチック背面カバーなどの、絶縁材料で製造された背面カバーとし得る。背面カバーは代わりに、金属背面カバーであってもよい。電子機器10がオールメタルID電子機器である場合、背面カバーは金属材料製の背面カバーである。
【0044】
金属フレーム11は、電子機器10のアンテナとして設計されることができる。この場合、小さい幅(例えば、1mmから1.5mm)を有するスロットが金属フレーム11に配され得る。スロットは、例えばポリマー、セラミックス、ガラス、又はこれらの材料の組み合わせなどの材料で充填され得る。
【0045】
図2A及び
図2Bは、金属フレームをアンテナとして使用することに関する2つの既存ソリューションをそれぞれ示している。
図2Aに示す既存ソリューションでは、サイド金属フレーム11-1及び11-3に、例えばスロット13-1、スロット13-2、スロット13-3、及びスロット13-4などのスロットが配される。
図2Bに示す既存ソリューションでは、ボトム金属フレーム11-7に、例えばスロット13-5及びスロット13-6などのスロットが配される。
【0046】
図2Aに示す既存ソリューションでは、スロットがサイド金属フレームに配され、それ故に、縦モードが強く、自由空間(free space、FS)が良好である。ここでは、縦モードは、外方に放射するメインラジエータとして縦方向のサイド金属フレームが使用される放射モードを指すとし得る。しかしながら、ユーザが電子機器10を手に握っているとき、手がサイド金属フレーム上のスロットを保持してしまい、その結果、アンテナの放射効率が著しく低下する。
図2Bに示す既存ソリューションでは、スロットがボトム金属フレームに配置され、それ故に、横モードが強く、ユーザが電子機器10を手に握ることはボトム金属フレームの放射性能に影響を及ぼさない。ここでは、横モードは、外方に放射するメインラジエータとして横方向のボトム金属フレームが使用される放射モードを指すとし得る。しかしながら、
図2Bに示す金属フレームアンテナの自由空間は良くない。
【0047】
この出願にて提供されるアンテナ設計ソリューションは、自由空間放射効率及びハンドヘルド放射効率の両方を考慮に入れる。ハンドヘルド放射効率は、電子機器10が手に握られているとき、又は電子機器10が人間の頭部近くで手に握られているときのアンテナの放射効率を含み得る。電子機器10が人間の頭部近くで手に握られているときのアンテナ放射効率は、ビサイド・ヘッド・アンド・ハンド(beside head and hand、BHH)放射効率と称されることもある。
図3に示すように、この出願にて提供されるアンテナ設計ソリューションにおいては、自由空間放射効率とハンドヘルド放射効率とをバランスさせるために、ボトム金属フレーム及びサイド金属フレームの両方にスロットが配され、その結果、アンテナの縦モードが強く、自由空間放射効率が良好である。加えて、電子機器10が手に握られているときには、アンテナの横モードが強く、ハンドヘルド放射効率が良好である。
図3は単に、サイド金属フレーム及びボトム金属フレームの両方にスロットを配するやり方の一例を示している。例えば、サイド金属フレーム11-1にスロット21-1が配され、サイド金属フレーム11-3にスロット21-3が配され、そして、ボトム金属フレームにスロット22-1及びスロット22-3が配される。この出願にて提供される他のアンテナ設計ソリューションについては、後続の実施形態にて更に説明する。
【0048】
この出願において、自由空間シーンは、電子機器10がユーザによって手に握られていないシーンであるとし得る。このシーンでは、サイド金属フレーム、特に、サイド金属フレーム上のスロットが人体(例えばハンドヘルド接触など)によって触れられていない。この出願において、ハンドヘルドシーンは、ユーザが電子機器10を手に握っている又は電子機器を人の頭部近くで手に握っているシーンであるとし得る。このシーンでは、例えばサイド金属フレーム上のスロットなど、サイド金属フレームが人体(例えばハンドヘルド接触など)によって触れられている。
【0049】
自由空間シーンにおいて、この出願にて提供されるアンテナ設計ソリューションは、金属フレームの縦モードが強くて自由空間放射効率が高いことを確保することができる。ハンドヘルドシーンにおいて、この出願にて提供されるアンテナ設計ソリューションは、金属フレームの横モードが強くてハンドヘルド放射効率が高いことを確保することができる。
【0050】
以下、この出願の各実施形態にて提供されるアンテナ装置を詳細に説明する。
【0051】
実施形態1
この実施形態では、電子機器(例えば携帯電話など)の金属フレームがアンテナとして設計され、該アンテナは金属フレームアンテナと称され得る。サイド金属フレーム及びボトム金属フレームの両方にスロットが配され、そして、縦モードと横モードとの間で切り換わるように、異なるシーンに基づいてサイド金属フレームとボトム金属フレームとが別々に給電される。
【0052】
図4A-
図4Cは、実施形態1に従ったアンテナ装置の例を示している。
図4Aは、電子機器内に設計された金属フレームアンテナのアンテナモデルの概略図である。
図4Bは、縦モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
図4Cは、横モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
図4A-
図4Cに示すように、当該アンテナ装置は、サイド金属フレーム11-1、ボトム金属フレーム11-7、フィーダ23、及び金属フレームに接続された複数の同調スイッチを含み得る。
【0053】
サイド金属フレーム11-1にスロット21-1が配され得るとともに、ボトム金属フレーム11-7にスロット22が配され得る。ここでは、スロット21-1を第1スロットと称することがあり、スロット22を第2スロットと称することがある。スロット22は、スロット22-1とスロット22-3との2つのスロットを含み得る。オプションで、スロット22は代わりに単一のスロットであってもよく、すなわち、スロット22-1又はスロット22-3のみが配されてもよい。オプションで、スロット22は、スロット22-1及びスロット22-3に限られず、更により多くのスロットを含んでもよい。小さい幅(例えば、1mmから1.5mm)を有するスロットを金属フレームに配することは、スロットの両側の金属フレーム間に直列に小さいキャパシタを接続することに等価であるとし得る。
【0054】
複数の同調スイッチは、例えば同調スイッチ25(SW2)などの、サイド金属フレーム11-1上に配置された第1同調スイッチを含み得る。第1同調スイッチは、同調スイッチ25(SW2)に限られず、複数の同調スイッチを含んでもよい。複数の同調スイッチは更に、ボトム金属フレーム11-7上に配置された第2同調スイッチ及び第3同調スイッチを含み得る。第2同調スイッチは、スロット22の第1の側に配置されることができ、第3同調スイッチは、スロット22の第2の側に配置されることができる。第1の側の方が、第2の側よりもサイド金属フレーム11-1に近い。第2同調スイッチは、同調スイッチ27(SW3)及び同調スイッチ29(SW4)を含み得る。オプションで、第2同調スイッチは、同調スイッチ27(SW3)のみ、又は同調スイッチ29(SW4)のみを含んでもよい。第3同調スイッチは同調スイッチ31(SW5)を含み得る。第3同調スイッチは、同調スイッチ31(SW5)に限られず、複数の同調スイッチを含んでもよい。この出願では、これらの同調スイッチの各々を、複数の単極単投スイッチ(single pole single throw、SPST)を組み合わせることによって形成することができる。
【0055】
フィーダ23は、ケーブル37を介して、PCB上の例えばバッテリなどの能動コンポーネントに接続されることができる。フィーダ23は、縦モードと横モードとの間で切り換えるように、シーンに基づいてサイド金属フレームとボトム金属フレームとを別々に給電することができる。サイド金属フレーム11-1がフィード点Sを備え得るとともに、ボトム金属フレーム11-7がフィード点Tを備え得る。フィーダ23は、フィード点S又はフィード点Tを選択的に接続するように構成されることができる。自由空間FSシーンでは、サイド金属フレーム11-1上のフィード点Sにフィーダ23が接続され得る。ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンでは、ボトム金属フレーム11-7上のフィード点Tにフィーダ23が接続され得る。斯くして、電子機器10の現在シーンが自由空間FSシーンであるのか、それともハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンであるのかを決定した後に、電子機器10は、フィード点S又はフィード点Tを接続するようにフィーダ23を制御することができる。
【0056】
サイド金属フレームとボトム金属フレームとの別々の給電は、スイッチ22(SW1)を介して実装されることができる。具体的には、フィーダ23がスイッチ22(SW1)に接続され得る。スイッチ22は、単極双投(single pole double throw、SPDT)スイッチとすることができ、固定端子Aと固定端子Bとの2つの固定端子を持ち得る。フィード点Sは、スイッチ22の固定端子Aに接続される。フィード点Tは、スイッチ22の固定端子Bに接続される。スイッチ22は、異なる固定端子をオンにすることによって、フィーダ23をフィード点S又はフィード点Tに選択的に接続するように構成されることができる。
【0057】
自由空間FSシーンにおいて、電子機器10は、スイッチ22を制御して固定端子Aをオンにすることができ、すなわち、フィーダ23を制御して、サイド金属フレーム11-1のフィード点Sを接続することができる。フィード点Sを第1フィード点と称することがある。この場合、サイド金属フレーム11-1が、完全に励起され、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。実施形態1で提供されるアンテナ装置の放射モードは縦モードであり、自由空間放射効率が良好である。この場合、サイド金属フレーム11-1上に配置された第1同調スイッチ(例えば同調スイッチ25など)が、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、サイド金属フレーム11-1の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0058】
ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンでは、電子機器10は、スイッチ22を制御して固定端子Bをオンにすることができ、すなわち、フィーダ23を制御して、ボトム金属フレーム11-7のフィード点Tを接続することができる。フィード点Tを第2フィード点と称することがある。この場合、ボトム金属フレーム11-7を、外方への放射を生成するラジエータとして使用することができる。実施形態1で提供されるアンテナ装置の放射モードは、手の中にスロット21-1を保持することによって影響を受けないものである横モードであり、ハンドヘルド放射効率が良好である。第2同調スイッチ及び第3同調スイッチが、ボトム金属フレーム11-7の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0059】
論理コントローラが、スイッチ22のどの固定端子がオンにされるかを制御する。論理コントローラは、電子機器のCPUから制御信号を受信することができる。該制御信号を用いて、スイッチ22のどの固定端子がオンにされるかを制御することができる。電子機器がFSシーンにあるとき、制御信号は、スイッチ22を制御して固定端子Aをオンにするように論理コントローラに指示することができる。電子機器がハンドヘルドシーンにあるときには、制御信号は、スイッチ22を制御して固定端子Bをオンにするように論理コントローラに指示することができる。自由空間FSシーン及びハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンを決定する手法については、以下のコンテンツにて説明する。ここで詳細を説明することはしない。
【0060】
換言すれば、スイッチ22は、別個給電方式を実装することができ、縦モードと横モードとの間で切り換わるように、異なるシーンに基づいてサイド金属フレームとボトム金属フレームとを別々に給電することができる。
【0061】
横モードで、外方への放射を生成するメインラジエータとしてボトム金属フレーム11-7が使用されることを確実にするため、及び、ボトム金属フレーム11-7と、ボトム金属フレーム11-7に接続されたサイド金属フレーム11-3とが、放射を生成する一体のラジエータを形成することを防止するために、サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間に、例えばグランド点35(GND1)などの第1グランド点が配され得る。ここで、サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間には、2つのケースが存在し得る。ケース1:ボトム金属フレームに隣接したサイド金属フレーム11-3上の位置に第1グランド点が配される。隣接が意味することは、その位置とボトム金属フレーム11-7との間の縦方向距離が、例えば6mmといった第1の値よりも小さいということである。ケース2:サイド金属フレーム11-3に隣接したボトム金属フレーム11-7上の位置に第1グランド点が配される。隣接が意味することは、その位置とサイド金属フレーム11-3との間の縦方向距離が、例えば6mmといった第2の値よりも小さいということである。
【0062】
サイド金属フレーム11-1とボトム金属フレーム11-7とをアイソレートし、縦モードと横モードとの間の干渉を回避するために、さらに、サイド金属フレーム11-1とボトム金属フレーム11-7との間に、例えばグランド点33(GND2)などの第2グランド点が配され得る。換言すれば、フィード点Sとフィード点Tとの間に第2グランド点が配される。ここで、“サイド金属フレーム11-1とボトム金属フレーム11-7との間”の意味については、前述の“サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間”についての同様の説明を参照されたい。ここで再び詳細を説明することはしない。オプションで、グランド点33(GND2)の代わりに、同調スイッチ27(SW3)が0オーム接地に切り換えられてもよい。
【0063】
図4Bは、縦モードの原理の概略図である。
図4Bに示すように、自由空間FSシーンにおいて、
図4Bに示す金属フレームは、反転Fアンテナ(inverted F antenna、IFA)設計を用いることができ、サイド金属フレーム11-1によって共振が生成される。この場合、実施形態1で提供されるアンテナ装置の放射モードは縦モードである。
図4Cは、横モードの原理の概略図である。
図4Cに示すように、ハンドヘルドシーンでは、ボトム金属フレーム11-7によって共振が生成され得る。例えば、
図4Cに示すTとDとの間の金属フレームが、複合右利き/左利き(composite right/left handed、CRLH)モードを用いて共振を生成することができる。この場合、実施形態1で提供されるアンテナ装置の放射モードは横モードである。
【0064】
実施形態1にて提供されるアンテナ装置は、ローバンド(low band、LB)アンテナとしてもよく、その動作周波数は690MHz-960MHzとし得る。LBに限定するわけではなく、当該アンテナ装置は代わりに、例えば中間及び高周波数(例えば、1700MHz-2700MHzなど)といった別の周波数バンドで動作してもよく、それは、ラジエータの長さを調節することによって適応され得る。
【0065】
実施形態1の拡張実装
サイド金属フレーム11-3にスロット21-3が配され得る。ここでは、スロット21-3を第3スロットと称することがある。スロット21-3及びスロット21-1は、それぞれサイド金属フレーム11-3及びサイド金属フレーム11-1上で対称配置されて、外観に関する対称スロット配置という美的要件を満たし得る。
【0066】
図5に示すように、サイド金属フレーム11-3は代わりに、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。換言すれば、自由空間放射効率を更に高めるために、サイド金属フレーム11-3及びサイド金属フレーム11-1の両方を縦モードでのラジエータとして使用してもよい。
【0067】
具体的には、サイド金属フレーム21-1の設計と同様に、サイド金属フレーム11-3上に、例えば同調スイッチ39(SW6)などの第4同調スイッチ、及びフィード点Qが配され得る。第4同調スイッチは、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、サイド金属フレーム11-3の放射周波数バンドを切り換えるように構成されることができる。自由空間FSシーンにおいて、スイッチ22が固定端子Aをオンにし、フィーダ23がサイド金属フレーム11-1上のフィード点Sとサイド金属フレーム11-3上のフィード点Qとに接続される。ここでは、フィード点Qを第3フィード点と称することがある。従って、自由空間FSシーンにおいて、サイド金属フレーム11-3は代わりに、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。
【0068】
実施形態2
この実施形態では、スロットがサイド金属フレーム及びボトム金属フレームの両方に配された状態の下で、自由空間放射効率及びハンドヘルド放射効率の両方を考慮に入れるよう、金属フレームアンテナの放射モードが横モードであるのか、それとも縦モードであるのかを調節するために、金属フレームに接続された同調スイッチの状態(例えばオン(on)状態又はオフ(off)状態など)が変更される。同調スイッチは、0オーム接地に切り換えることによってオン(on)状態に切り換えられることができ、故に、オン(on)状態を接地状態と称することもある。オフ(off)状態にある同調スイッチは、周波数変調に使用されることができる。
【0069】
図6A-
図6Cは、実施形態2に従ったアンテナ装置の例を示している。
図6Aは、電子機器内に設計された金属フレームアンテナのアンテナモデルの概略図である。
図6Bは、縦モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
図6Cは、横モードにおけるアンテナ装置の原理の概略図である。
図6A-
図6Cに示すように、当該アンテナ装置は、サイド金属フレーム11-1、ボトム金属フレーム11-7、フィーダ23、及び金属フレームに接続された複数の同調スイッチを含み得る。
【0070】
サイド金属フレーム11-1にスロット21-1が配され得る。ボトム金属フレーム11-7にスロット50が配され得る。ここでは、スロット21-1を第4スロットと称することがあり、スロット50を第5スロットと称することがある。小さい幅(例えば、1mmから1.5mm)を有するスロットを金属フレームに配することは、直列に小さいキャパシタを接続することに等価であるとし得る。オプションで、
図7に示すように、スロット50は、例えばスロット50-1及びスロット50-3などの複数のスロットを含んでもよい。
【0071】
フィーダ23は、フィード点Pに接続され得る。ここでは、フィード点Pを第4フィード点と称することがある。フィーダ23は、ケーブル37を介してPCB上の例えばバッテリなどの能動コンポーネントに接続されることができる。スロット21-1とスロット50との間で金属フレーム上にフィード点Pが配され得る。具体的には、フィード点Pは、
図6Aに示すように、スロット21-1とスロット50との間で、ボトム金属フレーム上に配され得る。スロット21-1とスロット50との間の金属フレームは、2つの部分を含み得る。一方の部分は、スロット21-1とスロット50との間のボトム金属フレームであり、他方の部分は、スロット21-1とスロット50との間のサイド金属フレームである。
【0072】
複数の同調スイッチは、例えば同調スイッチ51(SW8)などの第5同調スイッチ、及び例えば同調スイッチ55(SW9)などの第6同調スイッチを含み得る。第5同調スイッチ(例えばSW8など)は、スロット21-1とスロット50との間で金属フレーム上に配置され得る。第6同調スイッチ(例えばSW9など)は、ボトム金属フレーム11-7に配置され得る。第5同調スイッチは、フィード点Pの第1の側に配置されることができ、第6同調スイッチは、フィード点Pの第2の側に配置されることができる。第1の側の方が、第2の側よりもサイド金属フレーム11-1に近い。具体的には、第6同調スイッチとフィード点Pとがスロット50によって分離され得る。
【0073】
さらに、複数の同調スイッチは更に、例えば同調スイッチ53(SW7)などの第7同調スイッチを含み得る。第7同調スイッチは、スロット21-1とスロット50との間の金属フレーム上のフィード点Pに隣接する位置に配置され、給電のインピーダンス整合に使用されることができる。縦モードでのラジエータと横モードでのラジエータとが異なるため、アンテナインピーダンスが異なり、異なる伝送線路に対するインピーダンス整合が必要である。
【0074】
自由空間FSシーンにおいて、第5同調スイッチ(例えばSW8など)はオフ(off)状態にあることができ、第6同調スイッチ(例えばSW9など)はオン(on)状態にあることができる。この場合、サイド金属フレーム11-1が、完全に励起され、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。この場合、金属フレームアンテナの動作モードは縦モードであり、自由空間放射効率が良好である。第5同調スイッチ(例えばSW8など)は更に、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、縦モードにおけるサイド金属フレーム11-1の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0075】
ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンにおいて、第5同調スイッチ(例えばSW8など)はオン(on)状態にあることができ、第6同調スイッチ(例えばSW9など)はオフ(off)状態にあることができる。この場合、ボトム金属フレーム11-7が、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。この場合、金属フレームアンテナの動作モードは、手の中にスロット21-1を保持することによって影響を受けないものである横モードであり、ハンドヘルド放射効率が良好である。第6同調スイッチ(例えばSW9など)は更に、例えばLTE B5、LTE B8、及びLTE B28などの低周波バンド間で切り換えるなど、横モードにおけるボトム金属フレーム11-7の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0076】
換言すれば、第5同調スイッチ(例えばSW8など)及び第6同調スイッチ(例えばSW9など)は、選択的にオン(on)状態又はオフ(off)状態にあることができる。斯くして、フィード点Pの両側に配置された第5同調スイッチ(例えばSW8など)と第6同調スイッチ(例えばSW9など)の状態(例えばオン(on)状態又はオフ(off)状態など)を切り換えることにより、金属フレームアンテナの放射モードを縦モード又は横モードに切り換えることができる。
【0077】
論理コントローラが、第5同調スイッチ(例えばSW8など)及び第6同調スイッチ(例えばSW9など)の状態をオン(on)状態又はオフ(off)に切り換えるべきかを制御することができる。論理コントローラは、第5同調スイッチ(例えばSW8など)及び第6同調スイッチ(例えばSW9など)に接続され得る。論理コントローラは、電子機器のCPUから制御信号を受信することができる。該制御信号を用いて、第5同調スイッチ(例えばSW8など)及び第6同調スイッチ(例えばSW9など)の状態切換を制御することができる。電子機器がFSシーンにあるとき、制御信号は、オフ(off)状態に切り換わるように第5同調スイッチ(例えばSW8など)を制御し、且つオン(on)状態に切り換わるように第6同調スイッチ(例えばSW9など)を制御するよう、論理コントローラに指示することができる。電子機器がハンドヘルドシーンにあるときには、制御信号は、オン(on)状態に切り換わるように第5同調スイッチ(例えばSW8など)を制御し、且つオフ(off)状態に切り換わるように第6同調スイッチ(例えばSW9など)を制御するよう、論理コントローラに指示することができる。自由空間FSシーン及びハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンを決定する手法については、以下のコンテンツにて説明する。ここで詳細を説明することはしない。
【0078】
横モードで、外方への放射を生成するメインラジエータとしてボトム金属フレーム11-7が使用されることを確実にするため、及び、ボトム金属フレーム11-7と、ボトム金属フレーム11-7に接続されたサイド金属フレーム11-3とが、放射を生成する一体のラジエータを形成することを防止するために、サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間に、グランド点35(GND1)が配され得る。“サイド金属フレーム11-3とボトム金属フレーム11-7との間”の意味については、前述の説明を参照されたい。ここで再び詳細を説明することはしない。
【0079】
図6Bは、縦モードの原理の概略図である。
図6Bに示すように、自由空間FSシーンにおいて、第6同調スイッチ(例えばSW9など)が、接地するのと等価であるオン(on)状態に切り換えられる。この場合、
図6Bに示す金属フレームは、反転Fアンテナ(inverted F antenna、IFA)設計を用いることができ、サイド金属フレーム11-1によって主に低周波共振が生成され得る。この場合、実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは縦モードである。
図6Cは、横モードの原理の概略図である。
図6Cに示すように、ハンドヘルドシーンでは、第5同調スイッチ(例えばSW8など)が、接地するのと等価であるオン(on)状態に切り換えられる。この場合、ボトム金属フレーム11-7によって共振が生成され得る。例えば、51とPとの間の金属フレームが、CRLHモードで共振を生成し、35と50との間のスタブが、寄生モードを生成して、放射効率を高める助けとなる。この場合、実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは横モードである。
【0080】
低周波バンドに限定するわけではなく、実施形態2で提供されるアンテナ装置は代わりに、例えば中間及び高周波数(例えば、1700MHz-2700MHzなど)といった別の周波数バンドで動作してもよく、それは、ラジエータの長さを調節することによって適応され得る。
【0081】
実施形態2の拡張実装
図6Aに示したスロット21-1とスロット50との間のボトム金属フレーム上のフィード点Pの配置とは異なり、
図8Aに示すように、フィード点Pは、スロット21-1とスロット50との間でサイド金属フレーム上に配されてもよい。この場合、例えば同調スイッチ51(SW8)などの、フィード点の第1の側の第5同調スイッチも、それに従って、スロット21-1とスロット50との間でサイド金属フレーム上に配置される。オプションで、例えば同調スイッチ55(SW9)などの、フィード点の第2の側の第6同調スイッチとフィード点Pは、もはや、スロット50によって分離されなくてもよい。
【0082】
スロット21-1とスロット50との間のボトム金属フレームは、スロット50と位置Gとの間の金属フレームである。スロット21-1とスロット50との間のサイド金属フレームは、位置Gとスロット21-1との間の金属フレームである。位置Gは、ボトム金属フレーム11-7とサイド金属フレーム11-1との間のつなぎ部分である。
【0083】
自由空間FSシーンにおいて、第5同調スイッチ(例えばSW8など)はオフ(off)状態にあることができ、第6同調スイッチ(例えばSW9など)はオン(on)状態にあることができる。この場合、サイド金属フレーム11-1が、完全に励起され、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは縦モードであり、自由空間放射効率が良好である。第5同調スイッチ(例えばSW8など)は更に、縦モードにおけるサイド金属フレーム11-1の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0084】
ハンドヘルド(例えばBHHなど)シーンにおいて、第5同調スイッチ(例えばSW8など)はオン(on)状態にあることができ、第6同調スイッチ(例えばSW9など)はオフ(off)状態にあることができる。この場合、ボトム金属フレーム11-7が、外方への放射を生成するラジエータとして使用されることができる。実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは、手の中にスロット21-1を保持することによって影響を受けないものである横モードであり、ハンドヘルド放射効率が良好である。第6同調スイッチ(例えばSW9など)は更に、横モードにおけるボトム金属フレーム11-7の放射周波数バンドを切り換えるように構成され得る。
【0085】
図8Bは、縦モードの原理の概略図である。
図8Bに示すように、自由空間FSシーンにおいて、第6同調スイッチ(例えばSW9など)が、接地するのと等価であるオン(on)状態に切り換えられる。この場合、
図8Bに示す金属フレームは、反転Fアンテナ(inverted F antenna、IFA)設計を用いることができ、サイド金属フレーム11-1によって主に低周波共振が生成され得る。この場合、実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは縦モードである。
図8Cは、横モードの原理の概略図である。
図8Cに示すように、ハンドヘルドシーンでは、第5同調スイッチ(例えばSW8など)が、接地するのと等価であるオン(on)状態に切り換えられる。この場合、ボトム金属フレーム11-7によって主に低周波共振が生成され得る。この場合、実施形態2で提供されるアンテナ装置の放射モードは横モードである。
【0086】
図9Aは、実施形態2で提供されるアンテナ装置の自由空間シーンにおける低周波動作状態を示している。
図9Aに示すように、自由空間シーンにおいてアンテナ性能を確保するためには、縦モードを完全に励起することが必要である。スイッチ2がオフ(off)状態に切り換えられ得るとともに、スイッチ1がオン(on)状態に切り換えられ得る。斯くして、サイド金属フレーム上のスロット(例えばスロット21-1など)に強い電界が形成され、故に、縦モードは強い。当該アンテナ装置は、B5、B8、及びB28で共振を生成することができ、良好なシステム効率を有する。
【0087】
図9Bは、実施形態2で提供されるアンテナ装置のハンドヘルドシーンにおける低周波動作状態を示している。
図9Bに示すように、ハンドヘルドシーンにおいてアンテナ性能を確保するため、及び手で握ることの影響を抑制するためには、縦モードを弱めるとともに横モードを強めることが必要である。スイッチ2がオン(on)状態に切り換えられ得るとともに、スイッチ1がオフ(off)状態に切り換えられ得る。斯くして、ボトム金属フレーム上のスロット(例えばスロット50など)に強い電界が形成され、それが効果的に横モードを励起し、それにより、手で握ることの影響を抑制する。当該アンテナ装置は、BHHLシーン及びBHHRシーンの両方において良好なシステム効率を有し得る。BHHLシーン及びBHHRシーンは2つの典型的なハンドヘルドシーンである。BHHLは、左側の顔近くで左手に電子機器10を握ることを指し、BHHRは、右側の顔近くで右手に電子機器10を握ることを指す。
【0088】
図9A及び
図9Bのスイッチ1は、実施形態2で説明した第6同調スイッチ(例えばSW9など)とすることができ、スイッチ2は、実施形態2で説明した第5同調スイッチ(例えばSW8など)とすることができる。
【0089】
前述の実施形態にて提供されるアンテナ装置は、例えばサイド金属フレーム11-3などの、電子機器10の別のサイド金属フレームにも適用されることができ、また、電子機器10のトップ金属フレーム11-5にも適用されることができる。すなわち、前述の実施形態において、縦モードにおけるラジエータはサイド金属フレーム11-3であってもよく、横モードにおけるラジエータはトップ金属フレーム11-5であってもよい。
【0090】
前述の実施形態では、自由空間シーン及びハンドヘルドシーンが説明されており、異なるシーンではアンテナの放射モード(縦モード又は横モード)が異なる。一実装において、電子機器10は、ハンドセット16がオンにされているかを決定することができ、ハンドセット16がオンにされている場合に、ユーザが通話を行うために電子機器10を手に握っていると決定することができ、その結果、現在シーンはハンドヘルドシーンであると決定することができ、そうでない場合には、現在シーンは自由空間シーンであると決定することができる。他の一実装において、電子機器は、光学近接センサ17によって収集されるユーザから電子機器10までの距離データに基づいて、電子機器10に対してユーザが近いかを決定することができる。距離データによって示される距離が、特定の閾値(例えば、1cm)未満である場合、ユーザの体の近くでユーザが電子機器10を手に握っていると決定することができ、その結果、現在シーンはハンドヘルドシーンであると決定することができ、そうでない場合には、現在シーンは自由空間シーンであると決定することができる。これらの2つの実装に加えて、電子機器10は更に、他の手法で現在シーンを決定することができ、これはこの出願において限定されることではない。
【0091】
例えば同調スイッチ25(SW2)、同調スイッチ27(SW3)、及び同調スイッチ51(SW8)などの、前述の実施形態で説明した同調スイッチは、
図10に示すことができ、例えばグランド点61、グランド点63、及びグランド点65などの複数のグランド点を有することができる。各グランド点がRLC集中デバイスに直列に接続され得る。例えば、グランド点61が集中デバイスL1に直列に接続され、グランド点63が集中デバイスL2に直列に接続され、そして、グランド点65が集中デバイスL3に直列に接続される。L1、L2、及びL3の集中パラメータ値は相異なる。同調スイッチは、周波数調節を実行するよう、相異なる集中デバイスに直列接続されたこれらのグランド点を選択的に接続することができる。
【0092】
前述の実施形態で説明したように、同調スイッチをオフ(off)状態に切り換えることは、同調スイッチが切断状態にあることを意味し得る。同調スイッチをオン(on)状態に切り換えることは、同調スイッチが特定の集中デバイスをオンにすることを意味し得る。例えば、同調スイッチは、閉じた接地を実現するために、0オーム集中デバイスをオンにする。
【0093】
分かることには、この出願にて提供されるアンテナ設計ソリューションでは、自由空間放射効率とハンドヘルド放射効率とをバランスさせるために、ボトム金属フレーム及びサイド金属フレームの両方にスロットが配される。自由空間シーンでは、アンテナの縦モードが強く、自由空間放射効率が良好である。電子機器10が手に握られているときには、アンテナの横モードが強く、ハンドヘルド放射効率が良好である。
【0094】
前述の説明は、単にこの出願の特定の実装に過ぎず、この出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。この出願に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に考え付かれる如何なる変形又は置換も、この出願の保護範囲に入るものである。従って、この出願の保護範囲は請求項の保護範囲に従うものである。