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特許7297936ミリングツール、および転がり軸受ケージを製造するための方法
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  • 特許-ミリングツール、および転がり軸受ケージを製造するための方法 図1
  • 特許-ミリングツール、および転がり軸受ケージを製造するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】ミリングツール、および転がり軸受ケージを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/10 20060101AFI20230619BHJP
   B23C 3/02 20060101ALI20230619BHJP
   B23C 5/24 20060101ALI20230619BHJP
   F16C 33/49 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B23C5/10 C
B23C3/02
B23C5/24
F16C33/49
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021568155
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 DE2020100235
(87)【国際公開番号】W WO2020228882
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】102019112405.0
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート サンダーズ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン コンラート
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-087021(JP,U)
【文献】特開2004-090181(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123428(WO,A1)
【文献】特開昭63-028505(JP,A)
【文献】特開平10-138029(JP,A)
【文献】特開2015-027707(JP,A)
【文献】特表2002-520168(JP,A)
【文献】特開2005-074623(JP,A)
【文献】特開2007-276075(JP,A)
【文献】特開2007-198530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0245959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/10、20、24
B23C 3/02
F16C 33/00、16、49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッティングインサート(3、4)が締着されている回転対称の基部(2)を有し、前記カッティングインサートの各々が少なくとも1つのカッティングエッジ(5、6)を有する、ミリングツール(1)であって、第1の群のカッティングインサート(3)が、前記基部(2)の平坦な端面(7)に配置され、第2の群のカッティングインサート(4)が、前記基部(2)の前記端面(7)に向かうにつれて径が小さくなるように湾曲した側面(8)に配置されており、前記第2の群のカッティングインサート(4)のカッティングエッジ(6)が湾曲した前記側面(8)の形状に沿うように配置されることを特徴とする、ミリングツール(1)。
【請求項2】
前記カッティングインサート(3、4)が、割出し可能なインサートとして構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のミリングツール(1)。
【請求項3】
前記基部(2)の前記端面(7)に配置されている前記カッティングインサート(3)の位置が、調節可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のミリングツール(1)。
【請求項4】
前記カッティングインサート(4)が、前記基部(2)の前記側面(8)に変更不能な位置に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載のミリングツール(1)。
【請求項5】
前記側面(8)の前記カッティングインサート(4)の位置も調節可能であることを特徴とする、請求項3に記載のミリングツール(1)。
【請求項6】
コーム型ケージ(16)として構成された転がり軸受ケージを製造するための方法であって、
- ケージブランク(9)を提供するステップと、
- 第1の材料除去機械加工工程を実行するステップであって、平坦なポケット底面(13)と前記ポケット底面(13)に向かうにつれて径が小さくなるように湾曲した形状のポケット壁(17)とを有する受容開口部(10)が、請求項1に記載のミリングツール(1)によって、前記ケージブランク(9)内に製造される、実行するステップと、
- 第2の材料除去機械加工工程において、前記受容開口部(10)を後処理するステップと、を有する、方法。
【請求項7】
前記第1の材料除去機械加工工程において、前記ポケット底面(13)が、仕上がりサイズに機械加工される一方で、前記第2の材料除去機械加工工程において、断面において球状に湾曲している、前記ポケット壁(17)のみが処理されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるミリングツールに関する。本発明はさらに、コーム型ケージとして構成された転がり軸受ケージを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なミリングツールは、例えば、DE1752586C3から既知である。これは、円筒状またはプロファイルミリングカッターである。基部が、フェザーキーによってミリングスピンドルに締着されている。個々の割出し可能なインサートが調節可能に保持されているカッティングリングが、基部に締着されている。DE1752586C3による円筒状またはプロファイルミリングカッターは、例えば、ガイド面である、平坦またはプロファイルされた表面の機械加工に特に好適であることを意図している。
【0003】
DE102016217533A1は、割出し可能なインサートを有するミリングカッターのさらなる例について開示している。この場合、規定の周期のカッティングインサートが提供されている。
【0004】
DE102012212440A1は、チタン合金で作製されている構成要素の機械加工に特に好適であることを意図しているドリリングツールについて説明している。複数のカッティングインサートが、ドリリングツールの1つの端面に位置している。
【0005】
EP1289702B1は、フィッシュボーン型ノッチのミリングカッティング方法について開示している。最初に、硬質金属を備えたエンドミリングカッターを使用して、プレフォームが3つの処理段階でミリングされる。
【0006】
DE102017118738A1は、ミリングツール、およびコーム型ケージを製造するための方法について開示している。ミリングツールによって主要カッティングエッジと、2次カッティングエッジと、が提供され、主要カッティングエッジおよび/または2次カッティングエッジのカッティングエッジは、中断され、これにより、少なくとも1つの自由空間が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、転がり軸受、特に、球面転がり軸受用のコーム型ケージの機械加工を合理化する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するミリングツールによって達成される。本目的はまた、請求項6に記載の、コーム型ケージとして構成された転がり軸受ケージを製造するための方法によっても達成される。製造方法に関連して以下に説明される本発明の構成および利点はまた、機械加工ツール、すなわち、ミリングツールにも同様に適用され、逆も同様である。
【0009】
それ自体は既知である基本的な概念では、ミリングツールは、カッティングインサートが締着されている基部を備え、カッティングインサートの各々は、少なくとも1つのカッティングエッジを有する。本発明によれば、カッティングエッジは、全体としてバレル形状を描き、第1の群のカッティングインサートが基部の端面に配置され、第2の群のカッティングインサートが基部のバレル形状の湾曲した側面に配置されている。
【0010】
カッティングエッジによって全体として描かれるバレル形状は、コーム型ケージ内でガイドされる転がり要素、つまり、バレルローラの形状の近似を表す。このようにして、例えば、引用されているEP1289702B1に説明されているように、いくつかの材料除去機械加工工程が省略される。
【0011】
一般的に、コーム型ケージを製造する材料除去機械加工工程は、次のステップを含む:
- 後のコーム型ケージの基本形状をすでに有している、特に、非鉄金属で作製されているケージブランクが提供され、
- 第1の材料除去機械加工工程を実行し、請求項1に記載のミリングツールによって、ケージブランク内にバレル形状の受容開口部が製造され、
- 第2の材料除去機械加工工程でバレル形状の受容開口部を後処理して、受容開口部が、転がり要素としてのバレルローラをガイドするのに好適であるようにする。
【0012】
好ましい方法では、製造される転がり要素ポケットのポケット底面は、第1の材料除去機械加工工程においてすでに仕上がりサイズに機械加工されている。対照的に、第2の材料除去機械加工工程では、受容開口部のバレル形状の壁、すなわち、後の転がり要素ポケットのみが機械加工される。このために、例えば、第1の材料除去機械加工工程では、0.5mmのカッティング公差が使用される。
【0013】
好ましい実施形態では、ミリングツールのカッティングインサートは、割出し可能なインサートである。割出し可能なインサートは、カッティングインサートの製作に通常使用される任意の材料、例えば、硬質金属またはセラミック材料で作製することができる。第1の材料除去機械加工工程、つまり、本発明によるミリングツールで実行される機械加工工程においてポケット底面を正確に仕上げることを可能にするために、好ましくは、カッティングインサートは、基部の端面で調節可能である。カッティングツールのカッティングインサートの設定の可能性については、DE10340493B4も参照されたい。
【0014】
転がり要素ポケットのポケット底面を製造する、基部の端面のカッティングインサートとは対照的に、カッティングインサートは、基部の変更不能な設定を有する、可能な、単純に構築された構成によるミリングツールの側面に固定されている。代替的な、幾分より複雑な実施形態によれば、ミリングツールの側面のカッティングインサートも調節可能である。どちらの場合も、ミリングツールの湾曲した側面のカッティングインサートの幾何学的構成は、好ましくは、端面のカッティングインサートの構成とは異なる。
【0015】
ミリングツールは、好ましくは、複列球面転がり軸受のケージを機械加工するために使用される。このような球面転がり軸受は、例えば、産業プラントおよび風力発電所で使用されている。この文脈では、例としてDE102011078840A1を参照する。
【0016】
以下では、本発明の例示的な実施形態が、図面によって、より詳細に説明される。ここでは、各々、略図である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、コーム型ケージとして構成された転がり軸受ケージの製造のための第1の処理ステップを示す。
図2図2は、転がり軸受ケージを製造するための第2の処理ステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に簡略化された形態で示されているミリングツール1は、基本的に円筒形の、全体にバレル形状プロファイルの基部2を有するプロファイルミリングカッターとして構成されている。複数のカッティングインサート3、つまり、割出し可能なインサートが、7で表記される、基部2の平坦な端面に締着されている。カッティングインサート4が、8で表記される、基部2の湾曲した側面に締着されている。カッティングインサート4の形状は、カッティングインサート3の形状と必ずしも一致しない。端面カッティングインサート3のカッティングエッジは、5で表記され、カッティングインサート4のカッティングエッジは、6で表記されている。
【0019】
ミリングツール1のバレル形状側面8のカッティングエッジ6および端面7のカッティングエッジ5の全部を通して、全体としてバレル形状が描かれ、これは、複列球面転がり軸受用に製造されるコーム型ケージ16内へガイドされる転がり要素、すなわち、バレルローラのバレル形状に良好な近似で対応する。
【0020】
転がり軸受ケージ16、すなわち、コーム型ケージの製作では、図1に示すようにケージブランク9が想定されている。第1の材料除去機械加工工程において、ミリングツール1によって、バレル形状のレセプタクル10がケージブランク9内に製造される。ケージブランク9はケージリング11を有する。ケージリングは、後のコーム型ケージ16においてもほぼ変わらない形態で存在する。個々の腹板12が、ケージリング11から軸方向に延在するように形成され、その間に、バレル形状の受容開口部10、すなわち、後の転がり要素ポケットがある。
【0021】
第1の材料除去機械加工工程ではすでに、バレル形状のレセプタクル10の、13で表記されるポケット底面は、仕上がりサイズに機械加工されている。一方、バレル形状のレセプタクル10の湾曲した壁は、最初は、例えば0.5mmの公差でミリングツール1によって製造される。したがって、ミリングツール1で実行される機械加工は、ケージブランク9の前機械加工を表す。
【0022】
前機械加工としてミリングツール1で実行される機械加工の特性にもかかわらず、ポケット底面13に関しては、この時点で達成される幾何学的精度は、材料除去後機械加工を省くことができるほどすでに十分に高くなっている。必要な精度を達成するために、端面7に配置されたカッティングインサート3は調節可能である。
【0023】
前側のカッティングインサート3とは対照的に、カッティングインサート4は、基部2の固定の調節不能な位置に保持されている。17で表記され、球状に湾曲した断面を有するポケット壁の仕上げには、図2でのみ示され、制御ツールとも称される機械加工装置14が使用される。カッティングインサート15が示されており、カッティングインサートは、機械加工装置14に割り当てられ、ポケット壁17のみが機械加工される第2の材料除去機械加工工程で使用される。第2の材料除去機械加工工程は、第1の材料除去機械加工工程と同じ設定または別の設定のいずれかにおいて行うことができる。
【0024】
どちらの場合も、ミリングツール1の形状を、コーム型ケージ16内でガイドされる転がり要素のプロファイルに良好に近似させると、特に効率的な材料除去機械加工がもたらされる。コーム型ケージ16は、特に非鉄金属合金で作製されている。
【符号の説明】
【0025】
1 ミリングツール
2 基部
3 端面のカッティングインサート
4 側面のカッティングインサート
5 カッティングエッジ
6 カッティングエッジ
7 端面
8 側面
9 ケージブランク
10 受容開口部
11 ケージリング
12 腹板
13 ポケット底部
14 機械加工装置
15 カッティングインサート
16 コーム型ケージ、転がり軸受ケージ
17 ポケット壁
図1
図2