(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】カテキン類含有組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230619BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20230619BHJP
A23G 9/34 20060101ALI20230619BHJP
A23G 1/40 20060101ALI20230619BHJP
A23G 3/42 20060101ALI20230619BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20230619BHJP
A21D 2/14 20060101ALI20230619BHJP
A21D 2/18 20060101ALI20230619BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20230619BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20230619BHJP
A23L 7/117 20160101ALI20230619BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20230619BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20230619BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230619BHJP
A23K 20/111 20160101ALI20230619BHJP
A23K 20/163 20160101ALI20230619BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L27/00 Z
A23G9/34
A23G1/40
A23G3/42
A23G3/34
A21D2/14
A21D2/18
A21D13/80
A23L23/00
A23L7/117
A23L7/109 A
A23L2/00 B
A23L2/52
A23K20/111
A23K20/163
(21)【出願番号】P 2022176631
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2022044084の分割
【原出願日】2022-03-18
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2021047927
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】新居 賢紀
(72)【発明者】
【氏名】竹下 尚男
(72)【発明者】
【氏名】目黒 真一
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-187258(JP,A)
【文献】特開2020-092667(JP,A)
【文献】一心堂薬局[オンライン],2020年12月02日,[検索日 2022.05.17],インターネット: <URL: https://web.archive.org/web/20201202063501/https://www.rakuten.ne.jp/gold/kanpou-isshindo/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
FSTA/AGRICOLA/BIOSIS/CABA/CAplus/MEDLINE/SCISERCH/TOXCENTER(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記アラビノキシランの含有量が0.1~70質量%であり、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.1~8.0である、カテキン類含有組成物。
【請求項2】
前記カテキン類含有組成物が、粉末状組成物、顆粒状組成物、錠状組成物、板状組成物、ブロック状組成物、又は液状組成物である、請求項1に記載のカテキン類含有組成物。
【請求項3】
前記カテキン類含有組成物中、前記カテキン類の含有量が0.1~70質量%である、請求項1又は2記載のカテキン類含有組成物。
【請求項4】
カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記アラビノキシランの含有量が0.1~6.0質量%であり、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.1~8.0である、カテキン類含有飲食品。
【請求項5】
前記カテキン類含有飲食品が、アイスクリーム類、ホットケーキ、包餡和菓子、スープ、焼き菓子、ケーキ、シリアル食品、クルトン、麺、チョコレート、清涼飲料水、ゼリー状食品、粉体成型食品、飼料、又は餌料である、請求項4記載のカテキン類含有飲食品。
【請求項6】
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量が0.1~2.4質量%である、請求項4又は5記載のカテキン類含有飲食品。
【請求項7】
カテキン類とアラビノキシランとを共存させることにより、前記アラビノキシランの含有量が0.1~70質量%、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.1~8.0であるカテキン類含有組成物を得ることを含む、カテキン類含有組成物の製造方法。
【請求項8】
前記カテキン類含有組成物が、粉末状組成物、顆粒状組成物、錠状組成物、板状組成物、ブロック状組成物、又は液状組成物である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
カテキン類とアラビノキシランとを共存させることにより、前記アラビノキシランの含有量が0.1~6.0質量%、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.1~8.0であるカテキン類含有飲食品を得ることを含む、カテキン類含有飲食品の製造方法。
【請求項10】
前記カテキン類含有飲食品が、アイスクリーム類、ホットケーキ、包餡和菓子、スープ、焼き菓子、ケーキ、シリアル食品、クルトン、麺、チョコレート、清涼飲料水、ゼリー状食品、粉体成型食品、飼料、又は餌料である、請求項9記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテキン類含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カテキン類には、一般に広く知られている酸化防止作用の他に、α-アミラーゼ活性阻害作用、コレステロール吸収阻害作用等の生理作用があることが知られている(特許文献1、2参照)。これらの生理作用に基づき、カテキン類を種々の食品に配合することが検討されている。食品に添加するカテキン類として、茶、ブドウ、リンゴ、大豆等の植物由来のものが広く用いられている。
【0003】
一方で、カテキン類は苦味、えぐ味(渋味)といった不快味を有しているため、食品に配合する場合には必要に応じて当該不快味を低減する方法も提案されている。例えば特許文献3には、非重合体カテキン類とルチンとを特定の量比で含有する経口組成物に、本来苦味物質として知られるアストラガリンを、非重合体カテキン類に対して一定の量比で含有させることで、非重合体カテキン類由来の苦味が著しく低下することが記載されている。
【0004】
また、特許文献4には、穀粉類100質量部に対してカテキン類が0.2~0.5重量部配合されているパン類において、カテキン類の含有量とタンニン含有量の比を0.81~1.10の範囲内とすることで、得られるパン類はカテキン類を含有していても、苦味、渋味、収斂味の出方が少なく、明度も高く、ソフトな食感で、風味も良好にできることが記載されている。
【0005】
ところで、味覚は生物間で広く保存されており、例えば苦味を感知する苦味受容体は、ヒトをはじめとする哺乳類だけでなく、魚類、両生類、鳥類、魚類など、脊椎動物において広く共通していることが知られている。そのため、ヒトの飲食品だけでなく、家畜・家禽、ペット、養殖魚、観賞魚などの飼料や餌料にカテキン類を配合する際にも、不快味を低減して無理なく食せる形態とすることが求められる。
抗酸化作用が生物の健康維持に有効であることは広く知られている。例えば養殖魚においても、抗酸化作用を有するカテキンの摂取により、血合いの色調低下の抑制、身質の改善、臭みの除去など、養殖魚の品質や付加価値を向上させることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭60-156614号公報
【文献】特開平3-133928号公報
【文献】特開2020-072648号公報
【文献】特開2008-200032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、カテキン類由来の苦みや渋み(これらを合わせて苦渋味と称す。)が効果的にマスキングされたカテキン類含有組成物、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされたカテキン類含有飲食品、カテキン類由来の苦渋味を効果的に抑制する方法及び剤、並びに、カテキン類由来の苦渋味が効果的に抑制された組成物及び飲食品の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、カテキン類に対してアラビノキシランを共存させて食することにより、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングできることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ねて完成されるに至ったものである。
【0009】
本発明は、カテキン類とアラビノキシランとを含有するカテキン類含有組成物を提供するものである。
また本発明は、カテキン類とアラビノキシランとを含有するカテキン類含有飲食品を提供するものである。
また本発明は、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類の苦渋味抑制方法を提供するものである。
また本発明は、アラビノキシランを有効成分とする、カテキン類の苦渋味抑制剤を提供するものである。
さらに本発明は、カテキン類含有組成物及びカテキン類含有飲食品の製造において、アラビノキシランを配合することを含む、カテキン類含有組成物及びカテキン類含有飲食品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカテキン類含有組成物は、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされた組成物である。
また、本発明のカテキン類含有飲食品は、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされた飲食品である。
また、本発明のカテキン類の苦渋味抑制方法によれば、カテキン類由来の苦渋味を効果的に抑制することができる。
また、本発明のカテキン類の苦渋味抑制剤は、カテキン類由来の苦渋味を効果的に抑制することができる。
さらに、本発明のカテキン類含有組成物及びカテキン類含有飲食品の製造方法によれば、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされた組成物及び飲食品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、試験例6の餌料1~5及びおとひめをゼブラフィッシュに摂餌したときの摂餌にかかった時間を示すグラフである。
【
図2】
図2は、試験例6の実施例、比較例、参考例の餌料をゼブラフィッシュに摂餌したときの、摂餌開始5分までの摂餌割合を示すグラフである。
【
図3】
図3は、試験例6の実施例、比較例、参考例の餌料をゼブラフィッシュに摂餌したときの、摂餌開始10分までの摂餌割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のカテキン類含有組成物(以下、本発明の組成物とも称す。)は、少なくともカテキン類及びアラビノキシランを含有する。本発明において「組成物」という場合、各成分が均一に混合された混合物の他、局所的に特定の成分濃度が高められた形態や、組成物の構成成分の一部がより分けられた形態をも包含する意味である。例えば、カテキン類とアラビノキシランとが別々により分けられた形態も、全体として、本発明の組成物に包含されるものとする。
【0013】
本発明の組成物は、常温(20℃±5℃)において固形状、半固形状(ゲル状、スラリー状など)及び液状のいずれでもよく、目的に応じて種々の形態を採ることができる。本発明の組成物が固形状である場合、例えば粉末状、顆粒状、錠状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。また、その大きさも目的に応じて適宜に設計することができる。
また、本発明の組成物が液状である場合、媒体(基質)としては水、牛乳、スープ、乳化物、クリーム、ゼリー、乳清ドリンク、清涼飲料水、ヨーグルト等が挙げられる。本発明の組成物が液状の場合、各成分は媒体中に溶解してもよいし、分散していてもよい。本発明の組成物が液状の場合、そのpH(20℃)は、好ましくは2.0~8.0、より好ましくは2.5~7.0、より好ましくは2.6~6.5、より好ましくは3.0~5.5、さらに好ましくは3.0~5.0である。
【0014】
本発明の組成物中、カテキン類の含有量とアラビノキシランの含有量は合計で、例えば0.1~100質量%の範囲で適宜に調整することができる。すなわち、本発明の組成物の典型的な用途は飲食品等への配合であり、したがって、飲食品等への配合量の調整により、得られる飲食品中のカテキン類ないしアラビノキシランの含有量を適宜に制御することができる。
例えば、本発明の組成物が固形状である場合、組成物中のカテキン類の含有量とアラビノキシランの含有量は合計で5質量%以上とすることができ、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよく、40質量%以上としてもよく、60質量%以上としてもよい。上記合計量は、通常は90質量%以下であり、85質量%以下としてもよく、80質量%以下としてもよい。また、当該各含有量の合計は、5~90質量%とすることができ、10~90質量%としてもよく、20~85質量%としてもよく、40~85質量%としてもよく、60~80質量%としてもよい。本発明の組成物が固形状である場合において、カテキン類とアラビノキシランとを除いた残部には、カテキン類やアラビノキシランが由来する植物等由来の成分(カテキン類やアラビノキシランの抽出工程などで共存する成分)が含まれ得る。また、当該残部は、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉など)、コメ粉、トウモロコシ粉、大豆粉、蛋白(小麦蛋白、大豆蛋白など)、澱粉、糊料(加工澱粉、メチルセルロースなど)、乳脂肪、脱脂粉乳、糖類(砂糖など)、塩、卵黄、卵白、多糖類、香料、油脂類、加工油脂類(バター、マーガリンなど)、乳化剤、チョコレート、食品果実素材(レーズン、くるみなど)、増粘剤、pH調整剤、色素、水、酵母、ベーキングパウダー、調味料、酸味料、酸化防止剤、栄養素(ビタミン類など)などを含有することができる。本発明の組成物が固形状であって、かつ水を含む場合、組成物の含水率は、0.5質量%以上とすることができ、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよい。また当該含水率は、50質量%以下とすることができ、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよい。さらに当該含有量は、0.5~50質量%とすることができ、1~40質量%としてもよく、2~30質量%としてもよい。
また、本発明の組成物が液状である場合、組成物中のカテキン類の含有量とアラビノキシランの含有量は合計で1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよい。上記合計量は、通常は70質量%以下であり、50質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよく、20質量%以下としてもよい。また、当該各含有量の合計は、1~70質量%とすることができ、2~50質量%としてもよく、5~30質量%としてもよく、10~20質量%としてもよい。本発明の組成物が液状である場合において、カテキン類とアラビノキシランとを除いた残部には液媒体が含まれ、その他にも、カテキン類やアラビノキシランが由来する植物等由来の成分(カテキン類やアラビノキシランの抽出工程などで共存する成分)が含まれ得る。また、牛乳、砂糖、蛋白(小麦蛋白、大豆蛋白など)、澱粉、糊料(加工澱粉、メチルセルロースなど)、乳脂肪、脱脂粉乳、澱粉、糊料(加工澱粉、メチルセルロースなど)、乳脂肪、脱脂粉乳、果汁、デキストリン、多糖類、香料、乳化剤、増粘剤、pH調整剤、色素、調味料、酸味料、酸化防止剤、栄養素(ビタミン類など)、などを含有することができる。本発明の組成物が液状である場合、当該組成物は液媒体として水を含むことが好ましく、また、水に加えて、あるいは水に代えて牛乳や、アルコール、食用油脂などの可食性有機溶媒を含んでもよい。本発明の組成物(液状)中の液媒体の含有量は、例えば60質量%以上とすることができ、80質量%以上としてもよく、90質量%以上としてもよい。また当該含有量は、99.9質量%以下とすることができ、99.5質量%以下としてもよく、99.0質量%以下としてもよい。さらに当該含有量は、60~99.9質量%とすることができ、80~99.5質量%としてもよく、90~99.0質量%としてもよい。
また、本発明の組成物が半固形状(例えばゲル状やスラリー状)の場合、組成物中のカテキン類の含有量とアラビノキシランの含有量の好ましい合計量は特に制限されず、上記の固形状の場合の好ましい合計量や、上記の液状の場合の好ましい合計量の範囲から、所望の半固形状となるように他の成分の配合も考慮して適宜に設定することができる。例えば、半固形状組成物中のカテキン類の含有量とアラビノキシランの含有量の合計を、1~70質量%とすることができ、2~50質量%とすることも好ましい。また、半固形状組成物が上述した液媒体を含む場合、半固形状組成物中の液媒体の含有量は、例えば30~95質量%とすることができ、40~95質量%としてもよい。
【0015】
本発明ないし本明細書において「カテキン類」とは、3-オキシフラバンのポリオキシ誘導体であり化学式C15H14O6で表される化合物と、そこから導かれるポリフェノール化合物を包含する意味である。
本発明の組成物に用いるカテキン類は、非重合体カテキン類が好ましい。非重合体カテキン類としては、例えば、エピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、カテキンなどの遊離型カテキン類や、これら遊離型カテキン類にガレート基が結合したガレート型カテキン類(エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、カテキンガレートなど)を用いることができる。本発明の組成物は、エピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、カテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、及びカテキンガレートの1種又は2種以上を含むことが好ましい。
本発明の組成物に含まれるカテキン類は、体脂肪を低減する効果が得られることから、ガレート型カテキン類を含むものであることがより好ましい。
【0016】
カテキン類そのものを組成物に配合したり、カテキン類を含有する植物(カテキン類含有植物)の処理物(カテキン類含有植物の処理物)を組成物に配合したりすることにより、得られる組成物を、カテキン類を含有したものとすることができる。
上記カテキン類含有植物としては、例えば茶、ブドウ、リンゴ、大豆、さくらんぼ、梨、ブラックベリー等のカテキン類を含有する植物が挙げられ、これらのうち、カテキン類の含有量が豊富な茶が好ましい。茶としては、例えば緑茶、烏龍茶、紅茶、白茶、黄茶、黒茶等が挙げられ、これらのうちカテキン類の含有量が豊富な緑茶が好ましい。また、緑茶を用いる場合は、精製によるカテキン類の減少が少ない茶葉を使用することが好ましい。
【0017】
本明細書において「カテキン類含有植物の処理物」とは、カテキン類含有植物の破砕物、当該破砕物のスラリー状調製物、当該調製物の抽出物、当該抽出物の精製物などの総称である。
本明細書において「カテキン類含有植物の破砕物」とは、上記カテキン類含有植物を所望のサイズまで破砕した破砕物である。破砕方法としては、カテキン類含有植物が破砕できれば特に制限されず、例えば、ナイフやカッター等でみじん切りにしても良いし、ミキサーやフードプロセッサーなどを用いて破砕しても良い。
本明細書において「カテキン類含有植物のスラリー状調製物」(カテキン類スラリー状調製物)とは、上記カテキン類含有植物の破砕物をスラリー状(液体媒体中に粉砕物を分散させた状態)に調製した調製物、又はカテキン類含有植物を液体の存在下で破砕して調製したスラリー状調製物である。
本明細書において「カテキン類スラリー状調製物の抽出物」(カテキン類抽出物)における「抽出物」とは、通常よりも広義の意味に用いている。すなわち、カテキン抽出物とは、上記スラリー状調製物を固液分離して得られた抽出液及び/又は抽出残渣を意味する(抽出物と抽出残渣の両方を包含する意味である)。本発明に用い得るカテキン類抽出物とは、液状、粉末状、ペースト状のいずれであってもよい。液状やペースト状の場合、さらに濃縮したものを用いることもできる。抽出方法等は特に制限されず、例えば、特開昭59-219384号公報、特開平4-20589号公報、特開平5-260907号公報、特開平5-306279号公報等を参照して抽出することができる。
本明細書において「カテキン類抽出物の精製物」(カテキン類精製物)とは、上記カテキン類抽出物をさらに精製したものである。精製方法としては、例えばゲル濾過、各種クロマトグラフィー、精密蒸留等により、生理活性の高い画分を分画する等の分離手段を取ることができる。また、当該精製物は液状、粉末状、ペースト状のいずれであってもよい。液状やペースト状の場合、さらに濃縮したものを用いることもできる。
【0018】
本発明で好ましく用いられるカテキン類含有植物の処理物としては、好ましくは茶カテキン類が高い質量比で含まれるカテキン類抽出物やカテキン類精製物が挙げられる。カテキン類抽出物やカテキン類精製物は商業的にも入手可能であり、例えば市販のルナフェノンT-100(花王株式会社製)、ポリフェノン(東京フードテクノ社製)、テアフラン(伊藤園社製)、サンフェノン(太陽化学社製)等のカテキン製剤を用いることができる。
【0019】
カテキン類含有植物の処理物中のカテキン類の含有量は、生理効果をより高める観点から、必要な量の10質量%以上であることが好ましい。
【0020】
本発明で用いるカテキン類は、純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラムODS、4.6mmφ×250mm 粒子径5μm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定することができる。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行う。
また、市販のカテキン製剤を用いる場合は、付属の成分表等に記載のカテキン類の種類及び濃度を参照することができる。
【0021】
上記測定により、本実施例で用いるルナフェノンT-100中のカテキン類の含有量は、36質量%及び37.2質量%であった。
【0022】
例えば本発明の組成物が固形状である場合、本発明の組成物中のカテキン類の含有量は、例えば1質量%以上とすることができ、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよく、40質量%以上としてもよい。また、当該含有量は、通常は70質量%以下であり、68質量%以下としてもよく、66質量%以下としてもよく、64質量%以下としてもよく、62質量%以下としてもよく、60質量%以下でもよい。また、当該含有量は、1~70質量%とすることができ、2~68質量%としてもよく、5~66質量%としてもよく、10~64質量%としてもよく、20~62質量%としてもよく、40~60質量%としてもよい。
また、本発明の組成物が液状である場合、本発明の組成物中のカテキン類の含有量は、例えば0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上としてもよく、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい。また、当該含有量は、通常は50質量%以下であり、40質量%以下でもよく、30質量%以下としてもよく、20質量%以下としてもよく、10質量%以下としてもよい。また当該含有量は、0.1~50質量%とすることができ、0.5~40質量%としてもよく、1~30質量%としてもよく、2~20質量%としてもよく、5~10質量%としてもよい。
【0023】
また、本発明の組成物が液状、固形状、スラリー等のいずれの形態においても、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、本発明の組成物に含まれるカテキンの含有量は、0.1~70質量%とすることができ、0.5~68質量%としてもよく、1~66質量%としてもよく、2~64質量%としてもよく、5~62質量%としてもよい。
【0024】
本明細書において、「アラビノキシラン」とは、キシロース成分からなる主鎖にアラビノース成分からなる側鎖が結合して構成される、ヘミセルロースの1種である。
【0025】
アラビノキシランそのものを組成物に配合したり、アラビノキシランを含有する植物(アラビノキシラン含有植物)の処理物(アラビノキシラン含有植物の処理物)を配合したりすることにより、得られる組成物を、アラビノキシランを含有したものとすることができる。
アラビノキシランは一般的に、針葉樹やイネ(Poaceae)科の植物に多く含まれ、特に穀物の外皮に多く含まれる。アラビノキシラン含有植物としては、例えば小麦、大麦、エン麦、ライ麦、米、ヒエ、アワ、トウモロコシ、タケ、オーツ麦等が挙げられる。中でも、小麦や大麦、トウモロコシ由来のアラビノキシランを用いることが好ましく、本発明の苦渋味抑制効果が得られやすい小麦や大麦、トウモロコシのふすま由来のアラビノキシランを用いることがさらに好ましい。
【0026】
本明細書において「アラビノキシラン含有植物の処理物」とは、アラビノキシラン含有植物の破砕物、当該破砕物のスラリー状調製物、当該調製物の抽出物、当該抽出物の精製物などの総称である。
本明細書において「アラビノキシラン含有植物の破砕物」とは、上記アラビノキシラン含有植物を所望のサイズまで破砕した破砕物である。破砕方法としては、アラビノキシラン含有植物が破砕できれば特に制限されず、例えば、ナイフ等でみじん切りにしても良いし、ミキサーやフードプロセッサーなどを用いて破砕しても良い。また、例えばアラビノキシラン含有植物のうち、ふすまなどのアラビノキシランを多く含有する部分を粉砕し、この粉砕物を必要により常法により加工し、アラビノキシラン含有植物の破砕物として用いることもできる。
本明細書において「アラビノキシラン含有植物のスラリー状調製物」とは、上記アラビノキシラン含有植物の破砕物をスラリー状に調製した調製物、又はアラビノキシラン含有植物を液体の存在下で破砕して調製したスラリー状調製物である。
本明細書において「アラビノキシラン含有植物のスラリー状調製物の抽出物」(アラビノキシラン抽出物)とは、上記スラリー状調製物を固液分離して得られた抽出液及び/又は抽出残渣を意味する。本発明に用い得るアラビノキシラン抽出物とは、液状、粉末状、ペースト状のいずれであってもよい。液状やペースト状の場合、さらに濃縮したものを用いることもできる。抽出方法等は特に制限されず、常法に従い抽出することができる。
本明細書において「アラビノキシラン抽出物の精製物」(アラビノキシラン精製物)とは、上記アラビノキシラン抽出物をさらに精製したものである。精製方法としては、例えばゲル濾過、各種クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画する等の分離手段を取ることができる。また、当該精製物は液状、粉末状、ペースト状のいずれであってもよい。液状やペースト状の場合、さらに濃縮したものを用いることもできる。
【0027】
アラビノキシラン含有植物の処理物中のアラビノキシランの含有量は、必要な量のアラビノキシランを安定して含有させることができる観点から、1質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また当該含有量は、通常は90質量%以下である。
アラビノキシラン含有植物又はその処理物中のアラビノキシランの含有量は、例えば実施例に記載の方法等によって決定することができる。
【0028】
本発明で好ましく用いられるアラビノキシラン含有植物の処理物としては、例えば全粒粉、ふすま加工品などのアラビノキシラン含有植物の破砕物や、アラビノキシラン抽出物、アラビノキシラン精製物などとして、市場からも入手可能である。
【0029】
本発明で用いるアラビノキシランの分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜設定することができる。例えば、アラビノキシランの重量平均分子量(Mw)は300以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、50,000以上がより好ましい。またその上限値は、1,000,000が好ましく、500,000がより好ましく、200,000がより好ましい。あるいは、300~500,000が好ましく、50,000~200,000がより好ましい。
また、本発明で用いるアラビノキシランを構成するアラビノースとキシロースとの比についても、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜設定することができる。例えば、キシロースに対するアラビノースの比(Ara:Xyl比)は、質量基準で、0.01:1以上が好ましく、0.05:1以上がより好ましく、0.1:1以上がより好ましい。またその上限値は、10:1が好ましく、2:1がより好ましく、1.2:1がより好ましい。あるいは、0.01:1~10:1が好ましく、0.05:1~2:1がより好ましく、0.1:1~1.2:1がより好ましい。
なお、本発明で用いるアラビノキシランは、アラビノース及びキシロースに加えて、これらの単糖以外の糖が結合して構成されていてもよい。アラビノキシランを構成するアラビノース及びキシロース以外の糖としては、グルコース、ガラクトースなどが挙げられる。また、アラビノキシランにおける、これらのアラビノキシランを構成するアラビノース及びキシロース以外の糖の組成比は、効果的な生理活性を得る観点から、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0030】
本発明の組成物が固形状である場合、本発明の組成物に含まれるアラビノキシランの含有量は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよく、40質量%以上としてもよい。また、当該含有量は、アラビノキシラン由来のえぐ味の発現を抑制する観点から、70質量%以下であることが好ましく、68質量%以下としてもよく、66質量%以下としてもよく、64質量%以下としてもよく、62質量%以下としてもよく、60質量%以下であることも好ましい。また同様の観点から、当該含有量は1~70質量%であることが好ましく、2~68質量%としてもよく、5~66質量%としてもよく、10~64質量%としてもよく、20~62質量%としてもよく、40~60質量%としてもよい。
また本発明の組成物が液状である場合、本発明の組成物に含まれるアラビノキシランの含有量は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上としてもよく、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい。また、当該含有量は、生産コストの低減、及び喉ごしの観点から、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよく、20質量%以下としてもよく、10質量%以下としてもよい。また同様の観点から、当該含有量は0.1~50質量%が好ましく、0.5~40質量%としてもよく、1~30質量%としてもよく、2~20質量%としてもよく、5~10質量%としてもよい。
【0031】
また、本発明の組成物が液状、固形状、スラリー等のいずれの形態においても、本発明の組成物に含まれるアラビノキシランの含有量は、0.1~70質量%とすることができ、0.5~68質量%としてもよく、1~66質量%としてもよく、2~64質量%としてもよく、5~62質量%としてもよい。
【0032】
本発明の組成物中に含まれるカテキン類の含有量に対するアラビノキシランの含有量の比の値(アラビノキシランの含有量/カテキン類の含有量、質量比)は、好ましくは0.1~8.0である。カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、当該比の値は0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.8以上であることがより好ましい。また当該比の値は1.0以上であることも好ましく、1.5以上であることも好ましく、2.0以上であることも好ましく、2.5以上であることも好ましく、3.0以上であることも好ましく、3.5以上であることも好ましく、4.0以上であることも好ましく、4.5以上であることも好ましく、5.0以上であることも好ましい。また、当該比の値は、上記と同様の観点から、7.5以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましい。また当該比の値は、1.0~7.5であることも好ましく、1.5~7.5であることも好ましく、2.0~7.5であることも好ましく、2.5~7.5であることも好ましく、3.0~7.0であることも好ましく、3.5~7.0であることも好ましく、4.0~7.0であることも好ましく、4.5~7.0であることも好ましく、5.0~7.0であることも好ましい。
【0033】
本発明の組成物は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0である、カテキン類含有組成物であることが好ましい。
【0034】
本発明の組成物は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0であり、前記組成物中の前記カテキン類の含有量が1~70質量%であり、前記組成物中の前記アラビノキシランの含有量が1~70質量%である、カテキン類含有組成物であることが好ましい。
【0035】
本発明の組成物は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0であり、前記組成物中の前記カテキン類の含有量が5~62質量%であり、前記組成物中の前記アラビノキシランの含有量が5~62質量%である、カテキン類含有組成物であることが好ましい。
【0036】
本発明の組成物の製造方法は特に制限されない。組成物が均一混合物である場合は、カテキン類とアラビノキシランとを常法に従って混合して得ることができる。カテキン類とアラビノキシランとの混合順序は特に限定されず、一方を他方に添加しても、両者を同時に添加してもよい。混合方法としては、撹拌、震盪等の適宜の方法を採用することができる。また本発明の組成物が固形状である場合には、所望の形状とするために圧縮成形しても、公知の造粒法により造粒してもよい。また、市販のエクストルーダー等を用いて加熱して調製や製造しても良い。撹拌機、分散機や高圧ホモジナイザー等を用いて、液状やスラリーの状態に調製や製造してもよい。熱風乾燥機やスプレードライ、凍結乾燥等で乾燥してもよい。また、打錠、圧密化し固型状態にしてもよい。
【0037】
本発明のカテキン類含有組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法とも称す。)は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記組成物中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.1~8.0とする、カテキン類含有組成物の製造方法であることが好ましい。
【0038】
本発明のカテキン類含有組成物の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記組成物中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とする、カテキン類含有組成物の製造方法であることも好ましい。
【0039】
本発明のカテキン類含有組成物の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記組成物中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記組成物中の前記カテキン類の含有量を0.1~2.4質量%とし、前記組成物中の前記アラビノキシランの含有量を0.1~6.0質量%とする、カテキン類含有組成物の製造方法であることも好ましい。
【0040】
本発明のカテキン類含有組成物の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記組成物中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記組成物中の前記カテキン類の含有量を0.2~1.9質量%とし、前記組成物中の前記アラビノキシランの含有量を0.2~5.0質量%とする、カテキン類含有組成物の製造方法であることも好ましい。
【0041】
本発明のカテキン類含有組成物の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記組成物中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記組成物中の前記カテキン類の含有量を0.3~1.7質量%とし、前記組成物中の前記アラビノキシランの含有量を0.4~4.5質量%とする、カテキン類含有組成物の製造方法であることも好ましい。
【0042】
本発明の組成物は、カテキン類含有飲食品を得るために、種々の飲食品に配合し得る。このような飲食品に特に制限はない。一例として、例えば、パン、焼き菓子、ケーキ、アイスクリーム類、シリアル食品、クルトン、麺、チョコレート、清涼飲料水、ホットケーキ、包餡和菓子、スープ、ゼリー状食品、粉体成型食品、飼料、餌料等、が挙げられる。本発明の組成物を飲食品に配合することにより、カテキン類を含有しながらも、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされた飲食品を得ることができる。
【0043】
パンとしては、例えば、食パン、菓子パン、特殊パン、調理パン等のパンであってカテキン類を含有するものや、カテキン類を含有するピザなどが挙げられる。食パンとしては、例えば白パン、黒パン、フランスパン、バラエティーブレッド、ロール類(テーブルロール、バンズ、バターロール等)が挙げられる。菓子パンとしては、例えばジャムパン、あんパン、クリームパン、レーズンパン、メロンパン、スイートロール、リッチグッズ(クロワッサン、ブリオッシュ、デニッシュ、ペストリー等)が挙げられる。特殊パンとしては、例えばマフィン等が挙げられる。調理パンとしては、例えばホットドック、ハンバーガー等が挙げられる。なかでも本発明のパンは、カテキン類を含有する食パンであることが好ましい。
なお、本発明において、パン(発酵させたパン生地を焼成して得られるパン)中の成分含有量の規定については、焼成前のパン生地に由来する部分における成分含有量を意味する。例えば、上記の「あんパン」であれば、「あん」を除いた部分における成分含有量を意味し、ホットドックであれば、パンに挟み込むソーセージ等の具材を除いた部分における成分含有量を意味する。以下同様である。
【0044】
本発明において「焼き菓子」とは、「製菓事典」、初版、1981年10月30日、第
204頁に記載のビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カ
ットパン、ショートブレッド等を意味する。好ましくは、昭和46年の公正競争規約に定
められたビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン
や、栄養補助食品としての、あるいは栄養バランスを考慮した焼き菓子であるカロリーバ
ー等である。
【0045】
本発明において「ケーキ」とは、生地中に膨らし粉やメレンゲ、油脂等で構成される菓子用起泡剤などを添加し、撹拌、混捏により気泡を含ませた後に焼成して得られるものであり、スポンジケーキ、バターケーキ、シフォンケーキ、ロールケーキ、スイスロール、ブッセ、バウムクーヘン、パウンドケーキ、チーズケーキ、スナックケーキ、蒸しケーキ等をいう。また、本発明において、饅頭、ドーナッツ、ホットケーキ、どら焼き、今川焼き等の菓子類もケーキに包含する。
【0046】
「アイスクリーム」とは、国によって定義が異なるものの、本発明において「アイスクリーム類」とは、例えばアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓、シャーベット、ジェラート、果汁及び/又は果肉の凍結物、フローズンヨーグルト等であって、脂肪や果汁を含有する凍結固形物や流動性のあるものであって、カテキン類を含有するものや、カテキン類を含有する抹茶風味アイスクリームなどを全て含む概念である。
アイスクリームに含まれていてもよい脂肪としては、カカオバター、ココアパウダー、カカオマス、チョコレート生地、準チョコレート生地などのカカオ系原料、食用油脂が挙げられる。食用油脂としては、乳脂肪、ショートニング、マーガリン、オリーブ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、ごま油、ひまわり油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、パーム分別油などの植物性油脂、ラード、魚油などの動物性油脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。乳脂肪としては、乳脂肪を含む、牛乳、全粉乳、練乳、チーズ、バター、生クリーム、ヨーグルトなどを使用することができる。チョコレート生地、準チョコレート生地は、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に従うチョコレート生地および準チョコレート生地を含む。
また、形態については、カップ、スティック、最中、アイスクリームコーンなどのさまざまな形を採り得る。
【0047】
上記飲食品に本発明の組成物を配合する場合、その配合量は目的に応じて適宜に調整される。本発明の組成物は、飲食品中のカテキン類の含有量が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上となるように配合することができる。また、当該含有量が好ましくは2.4質量%以下、より好ましくは1.9質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、さらに好ましくは0.9質量%以下、となるように配合することができる。また、当該含有量が好ましくは0.1~2.4質量%、より好ましくは0.2~1.9質量%、より好ましくは0.3~1.7質量%が、より好ましくは0.4~1.3質量%、より好ましくは0.5~1.1質量%、さらに好ましくは0.6~0.9質量%となるように、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、配合することができる。
また、上記飲食品に本発明の組成物を配合する場合、本発明の組成物は、飲食品中のアラビノキシランの含有量は、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上となるように配合することができる。また、当該含有量が好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下となるように配合することができる。また、当該含有量が好ましくは0.1~6.0質量%、より好ましくは0.2~5.0質量%、より好ましくは0.4~4.5質量%、より好ましくは0.7~4.0質量%、より好ましくは0.9~3.5質量%、さらに好ましくは1.0~3.0質量%となるように配合することができる。
【0048】
また、上記飲食品に本発明の組成物を配合する場合、本発明の組成物は、飲食品中に含まれるカテキン類の含有量に対するアラビノキシランの含有量の比の値(アラビノキシランの含有量/カテキン類の含有量、質量比)は、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、さらに好ましくは5.0以上となるように配合することができる。また当該比の値が、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下、となるように配合することができる。また、当該比の値は、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは1.0~7.5、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは4.0~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0となるように配合することができる。
【0049】
本発明の飲食品は、上記カテキン類及びアラビノキシラン以外にも、目的に応じて適宜他の成分を含有し得る。このような成分としては、例えば、水、酸味料、甘味料、アミノ酸、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、香料、果汁、植物エキス、エステル、色素、乳成分、ココアパウダー、調味料、植物油脂、酸化防止剤、保存料、pH調整剤、品質安定剤、増粘剤、乳化剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。なお、添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することが可能である。
本発明の飲食品が水を含有する場合、上記水の含有量は、飲食品の形態に応じて適宜設定することができ、例えば1質量%以上とすることもでき、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよい。また、当該含有量は90質量%以下とすることができ、80質量%以下としてもよく、70質量%以下としてもよく、60質量%以下としてもよく、50質量%以下としてもよく、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよい。また、当該含有量は1~90質量%とすることもでき、1~80質量%としてもよく、5~70質量%としてもよく、5~60質量%としてもよく、10~50質量%としてもよく、10~40質量%としてもよく、20~30質量%としてもよい。
例えば、本発明の飲食品がパンである場合、当該含有量を15~50質量%とすることができ、また本発明の飲食品がホットケーキである場合、当該含有量を20~50質量%とすることができ、また本発明の飲食品が焼き菓子である場合、当該含有量を1~30質量%とすることができ、また本発明の飲食品がビスケットである場合、当該含有量を1~10質量%とすることができ、また本発明の飲食品がケーキである場合、当該含有量を10~60質量%とすることができ、また本発明の飲食品がシリアル食品である場合、当該含有量を0~8質量%とすることができ、また本発明の飲食品がクルトンである場合、当該含有量を0~8質量%とすることができ、また本発明の飲食品が麺(乾麺、生麺、茹で麺)である場合、当該含有量を5~80質量%とすることができ、また本発明の飲食品がチョコレートである場合、当該含有量を0~10質量%とすることができる。
【0050】
本発明の飲食品は、上記の本発明の組成物を配合する形態に限られない。すなわち、本発明は、カテキン類とアラビノキシランとを含有するカテキン類含有飲食品を提供するものである。したがって、本発明の飲食品には、カテキン類とアラビノキシランをそれぞれ独立して配合することもでき、両者を同時に配合してもよい。さらに、カテキン類含有飲食品にアラビノキシランを配合してもよく、アラビノキシラン含有飲食品にカテキン類を配合してもよい。
配合できるカテキン類としては、前記カテキン類含有植物やその処理物が挙げられ、配合量、配合比も上記で説明したカテキン類の配合量、アラビノキシランとの配合比を援用し得る。また、配合できるアラビノキシランとしても、前記アラビノキシラン含有植物やその処理物が挙げられ、配合量、配合比も上記で説明したアラビノキシランの配合量、カテキン類との配合比を援用し得る。
【0051】
本発明の飲食品は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.1~8.0である、カテキン類含有飲食品であることが好ましい。
【0052】
本発明の飲食品は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0である、カテキン類含有飲食品であることが好ましい。
【0053】
本発明の飲食品は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0であり、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量が0.1~2.4質量%であり、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量が0.1~6.0質量%である、カテキン類含有飲食品であることが好ましい。
【0054】
本発明の飲食品は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0であり、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量が0.2~1.9質量%であり、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量が0.2~5.0質量%である、カテキン類含有飲食品であることが好ましい。
【0055】
本発明の飲食品は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを含有し、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で0.2~8.0であり、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量が0.3~1.7質量%であり、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量が0.4~4.5質量%である、カテキン類含有飲食品であることが好ましい。
【0056】
本発明のカテキン類含有飲食品の製造方法(以下、本発明の製造方法とも称す。)は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.1~8.0とする、カテキン類含有飲食品の製造方法であることが好ましい。
【0057】
本発明のカテキン類含有飲食品の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とする、カテキン類含有飲食品の製造方法であることが好ましい。
【0058】
本発明のカテキン類含有飲食品の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量を0.1~2.4質量%とし、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量を0.1~6.0質量%とする、カテキン類含有飲食品の製造方法であることが好ましい。
【0059】
本発明のカテキン類含有飲食品の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量を0.2~1.9質量%とし、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量を0.2~5.0質量%とする、カテキン類含有飲食品の製造方法であることが好ましい。
【0060】
本発明のカテキン類含有飲食品の製造方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含み、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値を、質量比で0.2~8.0とし、前記飲食品中の前記カテキン類の含有量を0.3~1.7質量%とし、前記飲食品中の前記アラビノキシランの含有量を0.4~4.5質量%とする、カテキン類含有飲食品の製造方法であることが好ましい。
【0061】
本発明の別の一形態では、アラビノキシランを有効成分とする、カテキン類の苦渋味抑制剤(以下、本発明の苦渋味抑制剤とも称す。)が提供される。この苦渋味抑制剤を、カテキン類を含有する組成物又は飲食品に配合することにより、組成物又は飲食品が含有するカテキン類の苦渋味を効果的にマスキングすることができる。組成物又は飲食品への本発明の苦渋味抑制剤の配合量は、組成物又は飲食品において、カテキン類の含有量に対するアラビノキシランの含有量の比の値(アラビノキシランの含有量/カテキン類の含有量、質量比)は、質量比で0.1以上となるようにすることが好ましく、0.2以上となるようにすることがより好ましく、0.5以上となるようにすることがより好ましく、0.8以上となるようにすることがより好ましい。また、当該比の値が1.0以上となるようにすることも好ましく、2.0以上となるようにすることも好ましく、3.0以上となるようにすることも好ましく、4.0以上となるようにすることも好ましく、4.5以上となるようにすることも好ましく、5.0以上となるようにすることも好ましい。また、当該比の値は、質量比で8.0以下となるようにすることが好ましく、7.5以下となるようにすることがより好ましく、7.0以下となるようにすることがさらに好ましい。また、当該比の値が下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、0.1~8.0となるようにすることも好ましく、0.2~8.0となるようにすることも好ましく、0.5~8.0となるようにすることも好ましく、0.8~8.0となるようにすることも好ましく、1.0~8.0となるようにすることも好ましく、2.0~8.0となるようにすることも好ましく、3.0~7.5となるようにすることも好ましく、4.0~7.5となるようにすることも好ましく、4.5~7.0となるようにすることも好ましく、5.0~7.0となるようにすることも好ましい。
【0062】
また、例えば本発明の苦渋味抑制剤を組成物や飲食品に配合する場合、当該組成物や飲食品中において、カテキン類の含有量は、下限は体脂肪低減などの健康機能確保のため、上限は苦渋味嗜好の限界から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上である。また、2.4質量%以下、より好ましくは1.9質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、さらに好ましくは0.9質量%以下である。また、当該含有量は0.1~2.4質量%が好ましく、0.2~1.9質量%がより好ましく、0.3~1.7質量%がより好ましく、0.4~1.3質量%がより好ましく、0.5~1.1質量%がより好ましく、0.6~0.9質量%がさらに好ましい。
【0063】
本発明の苦渋味抑制剤は、カテキン類を含有してもよい。この場合、組成物又は飲食品に苦渋味抑制剤を配合することにより、当該組成物又は飲食品をカテキン類とアラビノキシランとを所望量含有する形態とすることができる。したがって、本発明の苦渋味抑制剤がカテキン類を含む場合、苦渋味抑制剤中のカテキン類の含有量に対するアラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で上述した範囲内であることが好ましい。また本発明の苦渋味抑制剤中のカテキン類の含有量も、上述した組成物ないし飲食品中のカテキン類含有量の範囲を実現できる範囲内であることが好ましい。
【0064】
本発明の苦渋味抑制剤に含まれるアラビノキシランの含有量は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましく5.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましく、15.0質量%以上であることがより好ましく、18.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、当該含有量は、99.0質量%以下であることが好ましく、93.0質量%以下であることがより好ましく、90.0質量%以下であることがより好ましく、88.0質量%以下であることがより好ましく、85.0質量%以下であることがより好ましく、83.0質量%以下であることがさらに好ましい。また上記と同様の観点から、当該含有量は1.0~99.0質量%であることが好ましく、2.0~93.0質量%であることがより好ましく、5.0~90.0質量%であることがより好ましく、10.0~88.0質量%であることがより好ましく、15.0~85.0質量%であることがより好ましく、18.0~83.0質量%であることがさらに好ましい。
また、例えば、飲食品への本発明の苦渋味抑制剤の配合量は、飲食品中において、アラビノキシランの含有量が、0.1質量%以上となるようにすることが好ましく、0.2質量%以上となるようにすることがより好ましく、0.4質量%以上となるようにすることがより好ましく、0.7質量%以上となるようにすることがより好ましく、0.9質量%以上となるようにすることがより好ましく、1.0質量%以上となるようにすることがさらに好ましい。また、当該配合量は、6.0質量%以下となるようにすることが好ましく、5.0質量%以下となるようにすることがより好ましく、4.5質量%以下となるようにすることがより好ましく、4.0質量%以下となるようにすることがより好ましく、3.5質量%以下となるようにすることがより好ましく、3.0質量%以下となるようにすることがさらに好ましい。また上記と同様の観点から、当該含有量は0.1~6.0質量%となるようにすることが好ましく、0.2~5.0質量%となるようにすることがより好ましく、0.4~4.5質量%となるようにすることがより好ましく、0.7~4.0質量%となるようにすることがより好ましく、0.9~3.5質量%となるようにすることがより好ましく、1.0~3.0質量%となるようにすることがさらに好ましい。
【0065】
本発明の苦渋味抑制剤には、アラビノキシランやカテキン類の供給源として、アラビノキシランやカテキン類そのものの他、上述したアラビノキシラン含有植物の処理物やカテキン類含有植物の処理物を配合することができる。
すなわち、本発明の苦渋味抑制剤がアラビノキシランやカテキン類以外の成分を含有する場合、アラビノキシランやカテキン類が由来する植物等由来の成分(カテキン類やアラビノキシランの抽出工程などで共存する成分)が含まれ得る。またアラビノキシランやカテキン類を除く残部は、必要により小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉など)、コメ粉、トウモロコシ粉、大豆粉、蛋白(小麦蛋白、大豆蛋白など)、澱粉、糊料(加工澱粉、メチルセルロースなど)、乳脂肪、脱脂粉乳、糖類(砂糖など)、塩、卵黄、卵白、多糖類、香料、油脂類、加工油脂類(バター、マーガリンなど)、乳化剤、チョコレート、食品果実素材(レーズン、くるみなど)、増粘剤、pH調整剤、色素、水、酵母、ベーキングパウダー、調味料、酸味料、酸化防止剤、栄養素(ビタミン類など)などを含有することができる。
【0066】
本発明の苦渋味抑制剤は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、アラビノキシランを有効成分とし、前記苦渋味抑制剤中の前記アラビノキシランの含有量が1.0~99.0質量%である、カテキン類の苦渋味抑制剤であることが好ましい。
【0067】
本発明の苦渋味抑制剤は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、アラビノキシランを有効成分とし、前記苦渋味抑制剤中の前記アラビノキシランの含有量が5.0~90.0質量%である、カテキン類の苦渋味抑制剤であることが好ましい。
【0068】
本発明の苦渋味抑制剤は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、アラビノキシランを有効成分とし、前記苦渋味抑制剤中の前記アラビノキシランの含有量が10.0~88.0質量%であり、カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で0.1~8.0として用いる、カテキン類の苦渋味抑制剤であることが好ましい。
【0069】
本発明の苦渋味抑制剤は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、アラビノキシランを有効成分とし、前記苦渋味抑制剤中の前記アラビノキシランの含有量が、10.0~88.0質量%であり、カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で0.2~8.0として用いる、カテキン類の苦渋味抑制剤であることが好ましい。
【0070】
また、本発明の別の一形態では、カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類の苦渋味抑制方法(以下、本発明の苦渋味抑制方法とも称す。)が提供される。
本発明のカテキン類の苦渋味抑制方法におけるカテキン類の使用量、アラビノキシランの使用量、及びアラビノキシランの使用量に対するカテキン類の使用量の比の値等は、上記本発明の苦渋味抑制剤において説明した各含有量の数値を適宜に適用できる。
【0071】
本発明の苦渋味抑制方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で0.1~8.0としてカテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類の苦渋味抑制方法であることが好ましい。
【0072】
本発明の苦渋味抑制方法は、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングする観点から、前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で0.2~8.0としてカテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類の苦渋味抑制方法であることが好ましい。
【0073】
本発明の組成物は、ヒトに向けた飲食品に限られず、ヒト以外に向けたカテキン類含有配合飼料や餌料を得るために、種々の飼料や餌料に配合し得る。このような配合飼料や餌料に特に制限はない。一例として、ウシ科、シカ科、ウマ科、イノシシ科、ブタ、鳥類などの家畜・家禽用、魚類用、イヌ科、ネコ科、ネズミ科などのペット用が挙げられる。本発明の組成物を飼料や餌料に配合することにより、カテキン類を含有しながらも、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされた配合飼料や餌料を得ることができる。このことは、本発明の飲食品についても同様である。
【0074】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、飲食品、方法、剤、及び製造方法などを開示する。
【0075】
<1>
カテキン類とアラビノキシランとを含有する、カテキン類含有組成物。
【0076】
<2>
前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0である、前記<1>記載のカテキン類含有組成物。
<3>
前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下である、前記<1>又は<2>記載のカテキン類含有組成物。
<4>
前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.2~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは0.8~8.0、より好ましくは1.0~8.0、より好ましくは1.5~7.5、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは2.5~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは3.5~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.5~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0である、前記<1>~<3>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<5>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を1質量%以上とすることができ、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよく、40質量%以上としてもよい、前記<1>~<4>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<6>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を70質量%以下とすることができ、68質量%以下としてもよく、66質量%以下としてもよく、64質量%以下としてもよく、62質量%以下としてもよく、60質量%以下としてもよい、前記<1>~<5>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<7>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を1~70質量%とすることができ、2~68質量%としてもよく、5~66質量%としてもよく、10~64質量%としてもよく、20~62質量%としてもよく、40~60質量%としてもよい、前記<1>~<6>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<8>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上としてもよく、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい、前記<1>~<4>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<9>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を50質量%以下とすることができ、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよく、20質量%以下としてもよく、10質量%以下としてもよい、前記<1>~<4>及び<8>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<10>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を0.1~50質量%とすることができ、0.5~40質量%としてもよく、1~30質量%としてもよく、2~20質量%としてもよく、5~10質量%としてもよい、前記<1>~<4>、<8>及び<9>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<11>
前記組成物中、前記カテキン類の含有量を0.1~70質量%とすることができ、0.5~68質量%としてもよく、1~66質量%としてもよく、2~64質量%としてもよく、5~62質量%としてもよい、前記<1>~<4>、<6>及び<8>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<12>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を1質量%以上とすることができ、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよく、40質量%以上としてもよい、前記<1>~<11>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<13>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を70質量%以下とすることができ、68質量%以下としてもよく、66質量%以下としてもよく、64質量%以下としてもよく、62質量%以下としてもよく、60質量%以下としてもよい、前記<1>~<12>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<14>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を1~70質量%とすることができ、2~68質量%としてもよく、5~66質量%としてもよく、10~64質量%としてもよく、20~62質量%としてもよく、40~60質量%としてもよい、前記<1>~<13>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<15>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上としてもよく、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい、前記<1>~<11>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<16>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を50質量%以下とすることができ、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよく、20質量%以下としてもよく、10質量%以下としてもよい、前記<1>~<11>及び<15>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<17>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を0.1~50質量%とすることができ、0.5~40質量%としてもよく、1~30質量%としてもよく、2~20質量%としてもよく、5~10質量%としてもよい、前記<1>~<11>、<15>及び<16>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<18>
前記組成物中、前記アラビノキシランの含有量を0.1~70質量%とすることができ、0.5~68質量%としてもよく、1~66質量%としてもよく、2~64質量%としてもよく、5~62質量%としてもよい、前記<1>~<11>、<13>及び<15>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<19>
前記カテキン類が好ましくは非重合体カテキン類である、前記<1>~<18>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<20>
前記非重合体カテキン類が、好ましくは茶カテキン、より好ましくはエピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、カテキンガレート、エピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、及びカテキンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<19>記載のカテキン類含有組成物。
<21>
前記アラビノキシランが、好ましくは小麦、大麦、エン麦、ライ麦、米、ヒエ、アワ、トウモロコシ、タケ、及びオーツ麦からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物に由来する、前記<1>~<20>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<22>
前記アラビノキシランの質量平均分子量が、好ましくは300以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは50,000以上である、前記<1>~<21>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<23>
前記アラビノキシランの質量平均分子量が、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下である、前記<1>~<22>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<24>
前記アラビノキシランの質量平均分子量が、好ましくは300~500,000、より好ましくは50,000~200,000である、前記<1>~<23>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<25>
前記アラビノキシラン中の、キシロースに対するアラビノースの比が、質量基準で
0.01:1以上、好ましくは0.1:1以上である、前記<1>~<24>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<26>
前記アラビノキシラン中の、キシロースに対するアラビノースの比が、質量基準で
10:1以下、好ましくは2:1以下、より好ましくは1.2:1以下である、前記<1>~<25>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<27>
前記アラビノキシラン中の、キシロースに対するアラビノースの比が、質量基準で
0.01:1~10:1、好ましくは0.05:1~2:1、より好ましくは0.1:1~1.2:1である、前記<1>~<26>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<28>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量(含水率)が0.5質量%以上とすることができ、1質量%以上としてもよく、2質量%以上としてもよい、前記<1>~<27>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<29>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量(含水率)が50質量%以下とすることができ、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよい、前記<1>~<28>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<30>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量(含水率)が0.5~50質量%とすることができ、1~40質量%としてもよく、2~30質量%としてもよい、前記<1>~<29>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<31>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量が60質量%以上とすることができ、80質量%以上としてもよく、90質量%以上としてもよい、前記<1>~<27>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<32>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量が99.9質量%以下とすることができ、99.5質量%以下としてもよく、99.0質量%以下としてもよい、前記<1>~<27>及び<31>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<33>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量が60~99.9質量%とすることができ、80~99.5質量%としてもよく、90~99.0質量%としてもよい、前記<1>~<27>、<31>及び<32>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<34>
前記組成物が水を含有し、当該水の含有量が30~95質量%とすることができ、40~95質量%としてもよい、前記<1>~<27>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物。
<35>
前記<1>~<34>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物を含有してなる、カテキン類含有飲食品。
【0077】
<36>
カテキン類とアラビノキシランとを含有する、カテキン類含有飲食品。
<37>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0である、前記<35>又は<36>記載のカテキン類含有飲食品。
<38>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下である、前記<35>~<37>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<39>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量に対する前記アラビノキシランの含有量の比の値が、質量比で好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.2~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは0.8~8.0、より好ましくは1.0~8.0、より好ましくは1.5~7.5、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは2.5~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは3.5~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.5~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0である、前記<35>~<38>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<40>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上である、前記<35>~<39>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<41>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量が好ましくは2.4質量%以下、より好ましくは1.9質量%以下、より好ましくは1.7質量%以下、より好ましくは1.3質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下、さらに好ましくは0.9質量%以下である、前記<35>~<40>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<42>
前記カテキン類含有飲食品中、前記カテキン類の含有量が好ましくは0.1~2.4質量%、より好ましくは0.2~1.9質量%、より好ましくは0.3~1.7質量%、より好ましくは0.4~1.3質量%、より好ましくは0.5~1.1質量%、さらに好ましくは0.6~0.9質量%である、前記<35>~<41>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<43>
前記カテキン類含有飲食品中、前記アラビノキシランの含有量が好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である、前記<35>~<42>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<44>
前記カテキン類含有飲食品中、前記アラビノキシランの含有量が好ましくは6.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.5質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である、前記<35>~<43>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<45>
前記カテキン類含有飲食品中、前記アラビノキシランの含有量が好ましくは0.1~6.0質量%、より好ましくは0.2~5.0質量%、より好ましくは0.4~4.5質量%、より好ましくは0.7~4.0質量%上、より好ましくは0.9~3.5質量%、さらに好ましくは1.0~3.0質量%である、前記<35>~<44>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<46>
前記カテキン類が、前記<19>又は<20>に記載のカテキン類である、前記<35>~<45>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<47>
前記アラビノキシランが、前記<21>~<27>のいずれか1項に記載のアラビノキシランである、前記<35>~<46>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<48>
前記カテキン類含有飲食品が水を含有し、当該水の含有量を1質量%以上とすることもでき、5質量%以上としてもよく、10質量%以上としてもよく、20質量%以上としてもよい、前記<35>~<47>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<49>
前記カテキン類含有飲食品が水を含有し、当該水の含有量を90質量%以下とすることができ、80質量%以下としてもよく、70質量%以下としてもよく、60質量%以下としてもよく、50質量%以下としてもよく、40質量%以下としてもよく、30質量%以下としてもよい、前記<35>~<48>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<50>
前記カテキン類含有飲食品が水を含有し、当該水の含有量を1~90質量%とすることができ、1~80質量%としてもよく、5~70質量%としてもよく、5~60質量%としてもよく、10~50質量%としてもよく、10~40質量%としてもよく、20~30質量%としてもよい、前記<35>~<49>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
<51>
前記カテキン類含有飲食品が、パン、焼き菓子、ケーキ、シリアル食品、クルトン、麺、チョコレート、又は清涼飲料水である、前記<35>~<50>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品。
【0078】
<52>
前記<1>~<34>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物の製造方法。
<53>
カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類含有組成物の製造方法。
<54>
前記カテキン類含有組成物が前記<1>~<34>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物である、前記<53>記載のカテキン類含有組成物の製造方法。
<55>
前記<35>~<51>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品の製造方法。
<56>
前記<1>~<34>のいずれか1項記載のカテキン類含有組成物を配合する工程を含む、前記<55>記載のカテキン類含有飲食品の製造方法。
<57>
カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類含有飲食品の製造方法。
<58>
前記カテキン類含有飲食品が前記<35>~<51>のいずれか1項記載のカテキン類含有飲食品である、前記<57>記載のカテキン類含有飲食品の製造方法。
【0079】
<59>
カテキン類とアラビノキシランとを共存させることを含む、カテキン類の苦渋味抑制方法。
<60>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0とする、前記<59>記載のカテキン類の苦渋味抑制方法。
<61>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下とする、前記<59>又は<60>記載のカテキン類の苦渋味抑制方法。
<62>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.2~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは0.8~8.0、より好ましくは1.0~8.0、より好ましくは1.5~7.5、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは2.5~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは3.5~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.5~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0とする、前記<59>~<61>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制方法。
<63>
前記カテキン類が、前記<19>又は<20>に記載のカテキン類である、前記<59>~<62>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制方法。
<64>
前記アラビノキシランが、前記<21>~<27>のいずれか1項に記載のアラビノキシランである、前記<59>~<63>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制方法。
【0080】
<65>
アラビノキシランを有効成分とする、カテキン類の苦渋味抑制剤。
<66>
前記苦渋味抑制剤中のアラビノキシランの含有量が、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは15.0質量%以上、さらに好ましくは18.0質量%以上である、前記<65>記載の苦渋味抑制剤。
<67>
前記苦渋味抑制剤中のアラビノキシランの含有量が、好ましくは99.0質量%以下、好ましくは93.0質量%以下、より好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは88.0質量%以下、より好ましくは85.0質量%以下、さらに好ましくは83.0質量%以下である、前記<65>又は<66>記載の苦渋味抑制剤。
<68>
前記苦渋味抑制剤中のアラビノキシランの含有量が、好ましくは1.0~99.0質量%、より好ましくは2.0~93.0質量%、より好ましくは5.0~90.0質量%、より好ましくは10.0~88.0質量%上、より好ましくは15.0~85.0質量%、さらに好ましくは18.0~83.0質量%である、前記<65>~<67>のいずれか1項記載の苦渋味抑制剤。
<69>
カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値が、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0となるように用いる、前記<65>~<68>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制剤。
<70>
カテキン類の量に対するアラビノキシランの量の比の値が、質量比で好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下となるように用いる、前記<65>~<69>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制剤。
<71>
カテキン類の量に対するアラビノキシランの量の比の値を、質量比で好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.2~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは0.8~8.0、より好ましくは1.0~8.0、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.5~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0となるように用いる、前記<65>~<70>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制剤。
<72>
カテキン類が、前記<19>又は<20>に記載のカテキン類である、前記<65>~<71>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制剤。
<73>
前記アラビノキシランが、前記<21>~<27>のいずれか1項に記載のアラビノキシランである、前記<65>~<72>のいずれか1項記載のカテキン類の苦渋味抑制剤。
【0081】
<74>
アラビノキシランの、カテキン類の苦渋味を抑制するための使用。
<75>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値が、質量比で好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0となるように用いる、前記<74>記載の使用。
<76>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値が、質量比で好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下となるように用いる、前記<74>又は<75>記載の使用。
<77>
前記カテキン類の量に対する前記アラビノキシランの量の比の値を、質量比で好ましくは0.1~8.0、より好ましくは0.2~8.0、より好ましくは0.5~8.0、より好ましくは0.8~8.0、より好ましくは1.0~8.0、より好ましくは1.5~7.5、より好ましくは2.0~7.5、より好ましくは2.5~7.5、より好ましくは3.0~7.5、より好ましくは3.5~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.0~7.0、より好ましくは4.5~7.0、さらに好ましくは5.0~7.0となるように用いる、前記<74>~<76>のいずれか1項記載の使用。
<78>
前記カテキン類が、前記<19>又は<20>に記載のカテキン類である、前記<74>~<77>のいずれか1項記載の使用。
<79>
前記アラビノキシランが、前記<21>~<27>のいずれか1項に記載のアラビノキシランである、前記<74>~<78>のいずれか1項記載の使用。
【実施例】
【0082】
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
【0083】
本実施例で用いる焙煎小麦ブラン(商品名:国産小麦ブラン(焙煎タイプ)、星野物産社製)、及び全粒粉(商品名:小麦全粒粉、日本製粉社製)中のアラビノキシランの含有量は、下記の方法により決定した。
【0084】
[アラビノキシラン含有量の測定方法]
<試料溶液の調製>
焙煎小麦ブラン又は全粒粉10mgに対して1mol/Lの塩酸を2mL加え、30分間撹拌した。撹拌後、100℃に加熱し、次いで15分以上かけて放冷した。放冷後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を2mL、超純水を2mL加えて撹拌した。撹拌後、3000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄み液を回収した。上澄み液回収後、残った残渣については、上記の手順(1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を2mL、超純水を2mL加えて撹拌)をもう一度行い、遠心後の上澄み液を1回目に回収した上澄み液とあわせ、下記の液体クロマトグラフィー(LC)を用いた分析に供した。
【0085】
<LC分析条件>
-移動相の調製-
1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mLと超純水900mLをよく混和して脱気し、移動相とした。
【0086】
-LC条件-
機種 :DIONEX DX320(日本ダイオネクス株式会社製)
検出器 :ペルスドアンペロメトリック検出器(PAD)
カラム :CarboPAC PA1 (4×250mm)
カラム温度:室温
移動相 :A液 100mmol/L水酸化ナトリウム水溶液
:B液 超純水
流速 :1.0mL/min
注入量 :25μL
上記の条件で、保持時間12.5分(アラビノース)、21.9分(キシロース)のピーク面積からアラビノースとキシロースの含有量を定量し、両者の合計量をアラビノキシランの量とした。
【0087】
上記測定により、本実施例で用いる焙煎小麦ブラン及び全粒粉中のアラビノキシランの含有量は、それぞれ19.1質量%及び2.0質量%、であった。
【0088】
[試験例1] カテキン類含有ビスケットの食味試験
[調製例]
表1及び2に示す原料配合量に従ってビスケット生地を調製し、実施例1~8、比較例1、及び参考例1~4のビスケットを得た。以下に具体的な手順を示す。
【0089】
<実施例1及び2>
ホバート社製のホバートミキサー N50 MIXERに、バター(食塩不使用)(商品名:北海道よつ葉バター食塩不使用、よつ葉乳業社製)17.5g、砂糖(商品名:精製上白糖 ST、大日本明治製糖社製)20gを秤量して入れ、低速30秒間ミキシングした後、中速にて6分間ミキシングを行った。
【0090】
さらに低速30秒間攪拌しながら、鶏卵の全卵6.25gを溶いたものを3分割して加えた。最初の卵の添加後、低速30秒間攪拌を行い、次いで2回目の卵を添加し、低速30秒間攪拌を行った。ミキサーの壁に付着した油をかき落とした後、卵を加え、低速30秒間攪拌後、更に均一なクリーム状になるまで中速にて1分間攪拌した。
【0091】
続いて、薄力粉(商品名:バイオレット、日清製粉株式会社製)25gに、ルナフェノンT-100(カテキン含有量:36質量%)(商品名、花王株式会社製)3g又は1.5g、日食アラビノキシラン(アラビノキシラン含有量:82.1質量%)(商品名、日本食品化工株式会社製)1.25g又は3.75gを加えて混合し、これらの混合物を前記撹拌物に配合し、低速にて60秒間攪拌をした。
上記「カテキン含有量」は、ルナフェノンT-100に含まれるカテキン類の含有量である。また、上記ルナフェノンT-100に含まれるカテキン類は、非重合体カテキン類からなるものであり、重合体カテキン類を実質的に含まないものである。
【0092】
上記で得られた生地を、円形(φ38)の焼型に、1枚約10gとなるように詰め、剥離紙を敷いた天板にならべ、下記の焼成条件において焼成を行った。
-焼成条件-
焼成温度:上火 170℃/下火 170℃
焼成時間:7分間
焼成後室温で1日経過後のビスケットを用いて以下の試験を行った。
【0093】
<実施例3~7>
前記日食アラビノキシランに代えて前述の焙煎小麦ブラン1.25~25gを用いたこと以外は、上記実施例1及び2と同様にして、実施例3~7のビスケットを得た。
【0094】
<実施例8>
前記薄力粉及び日食アラビノキシランの代わりに、前述の全粒粉を25g用いたこと以外は、上記実施例1及び2と同様にして、実施例8のビスケットを得た。
【0095】
<比較例1>
表2に記載の原料配合量とした以外は、上記実施例1及び2と同様にして、比較例1のビスケットを得た。
【0096】
<参考例1~4>
日食アラビノキシランの代わりに、苦渋味抑制効果を有する添加剤として知られるグアガム(東京化成工業)、ペクチン(tm-150-LJ-TF、三晶株式会社製)、セルディックスβ-100(βCD(βシクロデキストリン)、日本食品化工株式会社製)、CAVAMAX WB(γCD(γシクロデキストリン)、ワッカーケミー社製)をそれぞれ3.75g用いたこと以外は、上記実施例1及び2と同様にして、参考例1~4のビスケットを得た。
【0097】
[食味試験]
焼成後の上記実施例1~8、比較例1、及び参考例1~4のビスケットをそれぞれ3枚ずつ(N=3)室温にて静置した後、カテキン類由来の苦味及び渋味を、下記評価基準に基づいて各種硫酸キニーネ水溶液及びTeavigo(商品名、太陽化学株式会社製)水溶液の苦味及び渋味と比較することにより、3名のパネリストからなる専門パネルが評価した。各パネリストの評価結果(スコア)はすべて同じであった。結果を表1及び2に示す。
なお、下記評価基準は、数値(スコア)が大きいほど苦味又は渋味が強いことを示す。
【0098】
(苦味評価基準)
1:硫酸キニーネ・2水和物 0.0002%水溶液と同程度の苦味、又はより苦味を感じない
2:硫酸キニーネ・2水和物 0.0005%水溶液と同程度の苦味
3:硫酸キニーネ・2水和物 0.0009%水溶液と同程度の苦味
4:硫酸キニーネ・2水和物 0.0016%水溶液と同程度の苦味
5:硫酸キニーネ・2水和物 0.0024%水溶液と同程度の苦味
6:硫酸キニーネ・2水和物 0.0039%水溶液と同程度の苦味
7:硫酸キニーネ・2水和物 0.0061%水溶液と同程度の苦味
8:硫酸キニーネ・2水和物 0.0099%水溶液と同程度の苦味
9:硫酸キニーネ・2水和物 0.0157%水溶液と同程度の苦味
10:硫酸キニーネ・2水和物 0.0257%水溶液と同程度の苦味、又はより苦味を感じる
【0099】
(渋味評価基準)
1:Teavigo 0.01%水溶液と同程度の渋味、又はより渋味を感じない
2:Teavigo 0.02%水溶液と同程度の渋味
3:Teavigo 0.03%水溶液と同程度の渋味
4:Teavigo 0.04%水溶液と同程度の渋味
5:Teavigo 0.05%水溶液と同程度の渋味
6:Teavigo 0.06%水溶液と同程度の渋味
7:Teavigo 0.07%水溶液と同程度の渋味
8:Teavigo 0.08%水溶液と同程度の渋味
9:Teavigo 0.09%水溶液と同程度の渋味
10:Teavigo 0.10%水溶液と同程度の渋味、又はより渋味を感じる
【0100】
【0101】
【0102】
カテキン類を配合し、アラビノキシランを配合していないビスケット(比較例1)では、カテキン類由来の苦渋味を強く感じるものであった(苦味評価:「10」、渋味評価:「10」)。また、苦渋味抑制効果を有する添加剤として知られるグアガム、ペクチン、セルディックスβ-100、CAVAMAX WBをそれぞれ配合した参考例1~4のビスケットでは、カテキン類由来の苦渋味をある程度マスキングできることがわかった。
【0103】
これに対して、カテキン類にさらにアラビノキシランを配合したビスケット(実施例1~8)では、カテキン類由来の苦渋味をより効果的にマスキングできることがわかった(苦味評価:「6」~「2」、渋味評価:「7」~「2」)。
【0104】
[試験例2] カテキン類含有パンの食味試験
[調製例]
表3に示す原料配合量に従ってパン生地を調製し、実施例9~15、並びに比較例2のパンを得た。以下に具体的な手順を示す。
【0105】
<実施例9~14>
カメリヤ(強力粉、日清製粉社製)250g、ルナフェノンT-100を9g、バター10g、砂糖(上白糖)17g、塩2.5g、水200g、ドライイースト(商品名:スーパーカメリヤドライイースト、日清フーズ社製)3g、焙煎小麦ブラン5.0~76.6gを計量した。
ホームベーカリーSD-MDX102(パナソニック社製)を使用した。メニュー1の焼成プログラムを使用し、オールインミックスで配合した。吸水、混捏、熟成し得られたパン生地は、28℃、2時間30分発酵させた。発酵処理後、200℃で30分間焼成し、実施例9~14のパン(食パン)を得た。
【0106】
<実施例15>
前記焙煎小麦ブランに代えて日食アラビノキシランを3.75g用いたこと以外は、上記実施例9~14と同様にして、実施例15のパンを得た。
【0107】
<比較例1>
表3に記載の原料配合量とした以外は、上記実施例9~14と同様にして、比較例2のパンを得た。
【0108】
[食味試験]
焼成後の上記実施例9~15、及び比較例2のパンを室温にて1時間静置した後、カテキン類由来の苦味及び渋味を、上記のビスケットにおける評価基準と同じ基準により3名のパネリストからなる専門パネルが評価した。各パネリストの評価結果はすべて同じであった。結果を表3に示す。
【0109】
【0110】
カテキン類を配合し、アラビノキシランを配合していないパン(比較例2)では、カテキン類由来の苦渋味を強く感じるものであった(苦味評価:「9」、渋味評価:「9」)。
これに対し、カテキン類に加えてアラビノキシランを配合した実施例9~15のパンでは、いずれもカテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングされたものであった(苦味評価:「7」~「2」、渋味評価:「8」~「2」)。
【0111】
[試験例3] カテキン類含有ホットケーキの食味試験
[調製例]
表4に示す原料配合量に従ってホットケーキ生地を調製し、実施例16、及び比較例3のホットケーキを得た。以下に具体的な手順を示す。
【0112】
<実施例16>
砂糖(上白糖)20g、塩1g、マリッシュスーパー(商品名、花王株式会社製)5gを、ホバートミキサー N50 MIXER(ホバート社製)を用い、中速で2分間撹拌して分散させた。分散液に卵45gを加え、さらに低速で2分間撹拌した。そこに、バイオレット(薄力粉、日清製粉社製)100g、焙煎小麦ブラン(実施例16)13.62g、ルナフェノンT-100(商品名、花王株式会社製)3.6g、ベーキングパウダー4.5gを加えて低速で20秒間撹拌した。薄力粉及び/又は焙煎小麦ブランが半分ほど混ざった段階で牛乳を100g加え、中速で1分間撹拌した。得られたホットケーキの生地を15分間静置し、その後200℃に設定したホットプレートで、1枚につき生地40g分となるように焼成し、実施例16のホットケーキを得た。なお、焼成時間は両面合わせて計7分間であった。
【0113】
<比較例3>
表4に記載の原料配合量とした以外は、上記実施例16と同様にして、比較例3のホットケーキを得た。
【0114】
[食味試験]
得られた実施例16、及び比較例3のホットケーキを、上記のビスケットにおける評価基準と同じ基準により3名のパネリストからなる専門パネルが評価した。各パネリストの評価結果はすべて同じであった。
結果を表4に示す。
【0115】
【0116】
カテキン類を配合し、かつアラビノキシランを配合していないホットケーキ(比較例3)では、カテキン類由来の苦渋味を感じるものであった(苦味評価:「8」、渋味評価:「7」)。これに対し、焙煎小麦ブランを配合することでアラビノキシランを含有させた実施例16のホットケーキでは、カテキン類由来の苦渋味が効果的にマスキングできることがわかった(苦味評価:「2」、渋味評価:「3」)。
【0117】
[試験例4] カテキン類含有チョコレートの食味試験
[調製例]
表5に示す原料配合量に従ってチョコレートを調製した。以下に具体的な手順を示す。
【0118】
スペリオール プラティーク(カカオ分:56%、大東カカオ社製)34.7g、ルナフェノンT-100の1.6gを混合し、実施例17及び18では、当該混合物にさらに日食アラビノキシラン0.35g又は1.39gを加えて混合し、それぞれチョコレート粉末の混合物を作成した。
当該混合物を湯煎で70℃に温め、静かに混ぜながら溶かし、温度を32℃まで冷やした後にチョコシードA(商品名、不二製油株式会社製)0.17gを速やかに添加し、均一に分散させ、溶解させた。その後、混合物が30℃の状態で型に流し込み、15℃に設定した恒温槽内で一昼夜保存した。型から取り出し、実施例17及び18、並びに比較例4のチョコレートを得た。
【0119】
[食味試験]
得られた実施例17及び18、並びに比較例4のチョコレートを、上記のビスケットにおける評価基準と同じ基準により3名のパネリストからなる専門パネルが評価した。各パネリストの評価結果はすべて同じであった。
結果を表5に示す。
【0120】
【0121】
カテキン類を配合し、かつアラビノキシランを配合していないチョコレート(比較例4)では、カテキン類由来の苦渋味を強く感じるものであった(苦味評価:「10」、渋味評価:「10」)。これに対し、アラビノキシランを配合した実施例17及び18のチョコレートでは、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングできることがわかった(苦味評価:「8」~「6」、渋味評価:「8」~「7」)。
【0122】
[試験例5] カテキン類含有組成物の食味試験
[調製例]
表6に示す原料配合量に従って錠状組成物(固形)を調製し、実施例19及び20、並びに比較例5の錠状組成物を得た。以下に具体的な手順を示す。
【0123】
<実施例19及び20>
カテキン(商品名:ルナフェノンT-100、花王株式会社製、カテキン含有量:37.2質量%)0.144g、ステアリン酸カルシウム(商品名:ステアリン酸カルシウム、太平化学産業社製)0.017g、二酸化ケイ素(商品名:CARPLEX FPS-500、DSL.ジャパン社製)0.008g、アラビノキシラン(アラビノキシラン含有量:80.0質量%)(商品名:WHEAT ARABINOXYLAN、日本バイオコン社製)0.036g又は0.27g、マルチトール(商品名:アマルティMR-50、三菱商事フードテック社製)を0.695g又は0.461g秤量し、これらをよく混合して打錠用円形金型(錠径15mm)に入れ、打錠機にて10MPaの圧力で金型内の粉体を錠状にし、錠状組成物を得た。
なお、ルナフェノンT-100中のカテキン類の含有量は、製品ごとに若干のばらつきが生じることがある。それゆえ、実施例19等で用いたルナフェノンT-100の「カテキン含有量」(カテキン類の含有量)と、実施例1等で用いたルナフェノンT-100の「カテキン含有量」とは、若干異なるものとなっている。
【0124】
<比較例5>
表6に記載の原料配合量とした以外は、上記実施例19及び20と同様にして、比較例5の錠状組成物を得た。
【0125】
[食味試験]
調製後の上記実施例19及び20、並びに比較例5の錠状組成物をそれぞれ1個ずつ(N=3)室温にて静置した後、カテキン類由来の苦味及び渋味を、下記評価基準に基づいて各種硫酸キニーネ水溶液及びTeavigo(商品名、太陽化学株式会社製)水溶液の苦味及び渋味と比較することにより、3名のパネリストからなる専門パネルが評価した。各パネリストの評価結果(スコア)はすべて同じであった。結果を表6に示す。
なお、下記評価基準は、数値(スコア)が大きいほど苦味又は渋味が強いことを示す。
【0126】
(苦味評価基準)
1:硫酸キニーネ・2水和物 0.0002%水溶液と同程度の苦味、又はより苦味を感じない
2:硫酸キニーネ・2水和物 0.0005%水溶液と同程度の苦味
3:硫酸キニーネ・2水和物 0.0009%水溶液と同程度の苦味
4:硫酸キニーネ・2水和物 0.0016%水溶液と同程度の苦味
5:硫酸キニーネ・2水和物 0.0024%水溶液と同程度の苦味
6:硫酸キニーネ・2水和物 0.0039%水溶液と同程度の苦味
7:硫酸キニーネ・2水和物 0.0061%水溶液と同程度の苦味
8:硫酸キニーネ・2水和物 0.0099%水溶液と同程度の苦味
9:硫酸キニーネ・2水和物 0.0157%水溶液と同程度の苦味
10:硫酸キニーネ・2水和物 0.0257%水溶液と同程度の苦味、又はより苦味を感じる
【0127】
(渋味評価基準)
1:Teavigo 0.01%水溶液と同程度の渋味、又はより渋味を感じない
2:Teavigo 0.02%水溶液と同程度の渋味
3:Teavigo 0.03%水溶液と同程度の渋味
4:Teavigo 0.04%水溶液と同程度の渋味
5:Teavigo 0.05%水溶液と同程度の渋味
6:Teavigo 0.06%水溶液と同程度の渋味
7:Teavigo 0.07%水溶液と同程度の渋味
8:Teavigo 0.08%水溶液と同程度の渋味
9:Teavigo 0.09%水溶液と同程度の渋味
10:Teavigo 0.10%水溶液と同程度の渋味、又はより渋味を感じる
【0128】
【0129】
カテキン類を配合し、アラビノキシランを配合していない錠状組成物(比較例5)では、カテキン類由来の苦渋味を強く感じるものであった(苦味評価:「10」、渋味評価:「10」)。
これに対して、カテキン類にさらにアラビノキシランを配合した錠状組成物(実施例19及び20)では、カテキン類由来の苦渋味をより効果的にマスキングできることがわかった(苦味評価:「7」~「5」、渋味評価:「6」~「4」)。
【0130】
[試験例6] カテキン類含有餌料の摂餌試験
[実験系の構築]
魚類に対するカテキン類の嗜好性を評価するために、摂餌試験の実験系を構築した。
餌料として、おとひめ(商品名、型番:おとひめB2、日清丸紅飼料社製)、ルナフェノンT-100(カテキン含有量:37.2%質量%)(商品名、花王株式会社製)、及びグルテン(商品名:グルテン、小麦由来、富士フィルム和光純薬社製)を、表7に示す原料配合量に従って調製し、餌料1~5のカテキン類含有餌料を得た。
【0131】
【0132】
<摂餌速度の評価>
供試魚として、8ヶ月齢のゼブラフィッシュ(系統:RW200708A、雄)を用いた。ゼブラフィッシュ用ケージ(型番:MS-80、名東水園社製)にゼブラフィッシュを5匹ずつ入れて、28℃環境下で飼育した。前記餌料を1日2回定時(午前8~9時、午後4~5時)に、1回あたり0.025g/1ゲージとなるように投与し、前記餌料1~5の給餌開始から、全て摂餌されるまでにかかる時間を計測した。また、対照実験として、おとひめ(ルナフェノンT-100、グルテンを含まない餌料)のみを投与した際の、全て摂餌されるまでにかかる時間を計測した。全て摂餌するのにかかる時間の計測は、目視による観察により行った。5日間(計10回)摂餌させた際の、摂餌にかかる時間をまとめて、
図1に結果を示す。なお、いずれの摂餌試験においても、次の給餌開始までに摂餌されずにケージ底に残存した餌料はなかった。
【0133】
図1より、カテキン類を含有していない餌料(餌料1)を給餌した場合と、おとひめを給餌した場合の、全て摂餌されるまでにかかる時間の割合は同じであった。すなわち、計10回の給餌のうち、2分以内に全て摂餌された回数は5回であり、2分を超え3分以内に全て摂餌された回数は2回であり、3分を超え5分以内に全て摂餌された回数は3回であった。また、カテキン類を1.86質量%含有する餌料(餌料2)を給餌した場合も、餌料1や、おとひめを給餌した場合と同様の結果であった。これに対し、餌料中に含まれるカテキン類の含有量をより多くした餌料3~5では、全て摂餌されるのにかかる時間が長い割合が大きくなった。
以上より、ゼブラフィッシュは、カテキン類を多く含有する餌料を全て摂餌するのに時間を要する(カテキン類を多く含有する餌料を積極的に摂取しない)ことが示された。なお、前記各餌料を与えたゼブラフィッシュの各固体について、試験後の体重は、いずれもあまり変化が見られなかった。
【0134】
[調製例]
おとひめ、ルナフェノンT-100(カテキン含有量:37.2%質量%)(商品名、花王株式会社製)、グルテン(商品名:グルテン、小麦由来、富士フィルム和光純薬社製)、アラビノキシラン(商品名:INSOLUBLE WHEAT ARABINOXYLAN、Megazyme社製、アラビノキシラン含有量:87質量%)、及びセルロース(商品名:セルロースパウダー、富士フィルム和光純薬社製)を、下記表7に記載の割合で調製し、実施例21、比較例6、及び参考例5の餌料をそれぞれ得た。
【0135】
【0136】
<摂餌割合の評価>
供試魚として、8ヶ月齢のゼブラフィッシュ(系統:RW200708A、雄)を用いた。ゼブラフィッシュ用ケージ(型番:MS-80、名東水園社製)にゼブラフィッシュを5匹ずつ入れて飼育し、前記餌料に対しそれぞれ2ケージずつ用意した。前記餌料を1日2回、定時(午前8~9時、午後4~5時)に、1回あたり0.025g/1ゲージとなるように投与し、前記実施例21、比較例6、及び参考例5の餌料の給餌開始から5分間、及び給餌開始から10分間の間に摂餌された餌料の割合を目視により計測した。5日間(計9回)摂餌させた際の、それぞれ餌料に対する摂餌割合の平均値及び標準偏差を
図2及び3に示す。なお、いずれの摂餌試験においても、次の給餌開始までに摂餌されずにケージ底に残存した餌料はなかった。
また、
図2及び3の結果について、検定はIBM社製SPSS(IBM Corp., Armonk, NY)を用いて実施した。群間有意差は一元配置分散分析後TurkeyHSD検定により解析した。
図2及び3において、グラフの「***」は有意差があることを示す。
【0137】
図2及び3より、参考例5の餌料を摂餌させた際の給餌開始5分間、及び10分間の間に摂餌された餌料の割合に対し、カテキン類を含有する比較例6の餌料を摂餌させた際の当該割合が減少することが示された。また、カテキン類と、さらにアラビノキシランを特定量比で含有する実施例21の餌料を摂餌させた場合、カテキン類のみを含有する比較例6の餌料を摂餌させた場合と比較して、給餌開始5分間、及び10分間の摂餌割合が回復することが示された。
すなわち、ヒトと同様、動物においても、カテキン類に対してアラビノキシランを共存させて摂取させることにより、カテキン類由来の苦渋味を効果的にマスキングできることが示された。
【0138】
上記の結果より、アラビノキシランを目的に応じて特定量でカテキン類と併用することにより、カテキン類由来の苦渋味を目的の所望のレベルへと低減できることがわかる。