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特許7298024医療用バイアルへの即時アクセスを提供する装置およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】医療用バイアルへの即時アクセスを提供する装置およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/26 20060101AFI20230619BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20230619BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61M39/26
A61J1/05 315Z
A61J1/20 314C
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022523607
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2020057033
(87)【国際公開番号】W WO2021081310
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】62/926,242
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/822,443
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522159691
【氏名又は名称】ジェイ ザッカリー ズッパード
【氏名又は名称原語表記】Jay Zachary ZUPPARDO
(73)【特許権者】
【識別番号】522159705
【氏名又は名称】マーベリック シッセル
【氏名又は名称原語表記】Maverick CISSELL
(74)【代理人】
【識別番号】100136227
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】マーベリック シッセル
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526315(JP,A)
【文献】特表2007-517631(JP,A)
【文献】特表2000-501637(JP,A)
【文献】特表2007-515228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/26
A61J 1/05
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤バイアルから流体を選択的に引き出すための装置であって、
前記薬剤バイアルのネック内に全体的に入れ子になる円筒形の表面を備える座部;
前記座部内に配置された弁;
前記弁に連結された連結部;
前記弁の内部容積内に配置されたストッパであって、前記弁に対してその垂直位置を変化させる手段を備えるストッパ;および
前記弁内に画定された少なくとも1つの開口
を備え、
前記ストッパは、拡張構成にあるときに前記少なくとも1つの開口を閉じ、かつ、前記連結部の開口と同一平面である位置に前記ストッパの頂部を維持する手段を備え、
前記ストッパは、圧縮構成にあるときに前記少なくとも1つの開口を開く手段を備え、
前記ストッパは、その高さにわたって画定される中空の内部チャネルを含み、
前記連結部は、該連結部の外面上に該連結部の高さの一部に沿って配置される雄ネジを備える
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記弁に対して前記ストッパの垂直位置を変化させる手段が、前記ストッパの高さに沿って画定される複数の圧縮可能なプリーツを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空の内部チャネルが、前記弁内に画定された前記少なくとも1つの開口を収容するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弁が、
中空内部を含む中央ネック;
前記弁の底面に画定され前記中空内部に流体連通する入口;および
前記中央ネックに連結された先端
を備え、
前記少なくとも1つの開口が、前記先端に画定される
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記拡張構成にあるときに前記少なくとも1つの開口を閉じる手段が、前記先端に画定された前記少なくとも1つの開口を閉じるように構成されたフランジを含むことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記連結部のの一部に沿って配置される雄ネジが、シリンジに連結するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記弁の底面に画定された前記入口が、前記薬剤バイアル内の前記流体に流体連通することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記ストッパの頂部が、前記連結部に連結されたときに前記シリンジに接触するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
バイアルから流体を引き出すための方法であって、
弁に連結された連結部の外面上に該連結部の高さの一部に沿って配置される雄ネジにシリンジを連結する工程;
前記連結部の開口と同一平面である位置にストッパの頂部を維持する工程;
前記弁の内部容積内に配置されたストッパを作動させる工程;
弁内に画定された開口を開く工程であって、前記弁が、前記バイアルのネック内に全体的に入れ子になる円筒形の表面を備える座部内に配置される、工程
前記バイアルから前記弁を通って前記シリンジ内に前記流体を引き出す工程;
前記弁内に画定された前記開口を閉じる工程;および
前記連結部から前記シリンジを切り離す工程
を含み、
前記弁の内部容積内に配置された前記ストッパを作動させる工程が、前記シリンジが前記連結部に連結されると前記ストッパを自動的に圧縮する工程を含み、
前記シリンジが前記連結部に連結されると前記ストッパを自動的に圧縮する工程が、前記ストッパの高さにわたって画定される中空の内部チャネルを通って配置される固定中央ネックを露出する工程を含み、
前記弁内に画定された前記開口を閉じる工程が、前記シリンジが前記連結部から切り離されると前記弁内に画定された前記開口を自動的に閉じる工程を含む
ことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記弁内に画定された前記開口を閉じる工程が、前記ストッパ上に配置されたフランジで前記開口を覆う工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリンジが前記連結部に連結されると前記ストッパを圧縮する工程が、前記ストッパの高さに沿って画定された複数のプリーツを圧縮する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記弁内に画定された前記開口を閉じる工程が、前記シリンジが前記連結部から切り離されると前記ストッパの高さに沿って画定された前記複数のプリーツを拡張する工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記弁の内部容積内に配置された前記ストッパを作動させる工程が、前記弁内に画定された前記開口に対して前記ストッパの頂部の垂直位置を変化させる工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記バイアルから前記弁を通って前記シリンジ内に前記流体を引き出す工程が、前記弁内の前記中央ネック内に画定された中空内部を通して前記流体を引き出す工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記弁の前記中央ネックを前記シリンジの遠位係止部に挿入する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記弁内に画定された前記開口を開く工程が、前記中央ネックが前記シリンジの前記遠位係止部に挿入されるのと同時に行われることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バイアルから前記弁を通って前記シリンジ内に前記流体を引き出す工程が、前記中央ネックの先端から前記シリンジの前記遠位係止部内に直接前記流体を引き出す工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記シリンジが前記連結部に連結されると前記ストッパを自動的に圧縮する工程が、前記ストッパの前記頂部を前記シリンジの遠位部で押圧する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記シリンジが前記連結部から切り離されると前記弁内に画定された前記開口を自動的に閉じる工程が、前記ストッパの頂部を前記シリンジの遠位部で弛緩させる工程を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年10月25日出願の米国仮出願第62/926,242号の非仮出願であり、その内容が参照により本明細書に組み込まれ、当該出願に35 USC 120に従って優先権が主張される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医療用バイアルのためのキャップおよび弁の分野に関し、詳細には、針または追加の付属品の使用を必要としない、薬剤バイアルへの即時アクセスを可能にする弁に関する。
【背景技術】
【0003】
液体薬剤は、ガラスまたはプラスチックを主成分とする小型バイアル内に長期間保管され輸送される。バイアルは通常、内部容積を伴って形成され、バイアルの頂部を覆って配置されるキャップを備える。キャップは、対応するネジ山対を介してバイアルに連結されてもよい、または摩擦嵌合を介してバイアル上に「スナップ留め」されてもよい。しかしながら、多くのバイアル上に配置される最も一般的なタイプのキャップは、ゴムまたは他の自己封止材料がその中心に配置される金属リングである。多くの薬剤バイアルはまた、バイアル内の薬剤が以前にアクセスされたかどうかをユーザに知らせる安全シールまたは不正開封防止シールとして機能する、取外し可能な箔シールまたは他の蓋を備える。
【0004】
従来技術の薬剤バイアルから薬剤を引き出すための最も一般的かつ最も単純な方法は、針がゴムシールを貫通して下方の薬剤に入るようにシリンジの針を挿入することである。次いで、ユーザは、シリンジのプランジャを引き抜き、針を通して薬剤をシリンジの中へ引き上げる。適切な投与量の薬剤が引き出されると、針はバイアルから引き出され、針が取り除かれるとすぐにゴムシールがキャップを自動的に自己封止する。薬剤充填されたシリンジは、次いで、患者に直接使用されてもよい、あるいは、当該技術で知られているように静脈ラインに挿入されてもよい。しかしながら、針が使用されているため、これは、特にユーザが迅速に薬剤を引き出そうとしているかまたは救急車等の移動車両内にある場合に、ユーザが針で誤って自身を突き刺すかまたは穿刺するリスクを増加させる。
【0005】
ユーザが無針シリンジを使用して薬剤バイアルから薬剤を引き出すことを可能にするさらなる装置および方法も開発されている。これらの装置は、主に、ハウジングまたは他の付属品を含み、これは、内部針またはその中に配置されるプランジャとともに、標準薬剤バイアルに選択的に連結される。ユーザは、無針シリンジを装置内に挿入し、これによって内部針またはプランジャが作動され、薬剤バイアルの自己封止ゴムシールを貫通し、薬剤がそこから引き出されることが可能となる。装置はまた、無針シリンジが装置から取り外されるとすぐに、針またはプランジャを自動的に後退させるためのバネまたは他の弾性手段を備える。装置のいくつかのバリエーションはまた、無針シリンジを薬剤バイアル付属品に一時的に係止または接続するためのルアーロックまたは他の手段を備える。しかしながら、これらの付属品は、無針シリンジが取り付けられ得る前に、ユーザが最初に付属品を薬剤バイアルに適切に連結することを必要とするため、別の問題が生じ、これは、特に、緊急時に患者に投与される薬剤が必要とされる場合、高価で時間のかかるプロセスであり得る。さらに、取付け装置を有することは、追加の保管スペースを必要とし、これは、特に医薬品を引き出すユーザが救急救命士または消防士であり保管スペースが重要である場合に、必ずしも容易に利用可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、迅速かつ簡単に使用できる、針の使用を必要としない、薬剤バイアルのための封止装置が必要とされる。装置はまた、薬剤バイアル自体に統合され、それによって、薬剤が引き出される前にユーザがまず別の装置または構成要素をバイアルに取り付ける必要が防止される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、薬剤バイアルから流体を選択的に引き出すための装置を提供する。装置は、薬剤バイアルの口部内に配置された弁、弁に連結された連結部、および弁の内部容積内に配置されたストッパを含む。ストッパは、弁に対してその垂直位置を変化させる機能を有する。弁自体は、その中に画定された少なくとも1つの開口を有する。ストッパはさらに、拡張構成にあるときに少なくとも1つの開口を閉じる手段、ならびに、圧縮構成にあるときに少なくとも1つの開口を開く手段を備える。
【0008】
一実施形態では、ストッパが弁に対してその垂直位置を変化させる機能は、ストッパの高さに沿って画定される複数の圧縮可能なプリーツによって行われる。
【0009】
別の実施形態では、ストッパは、弁内に画定された少なくとも1つの開口を収容するための内部チャネルを有する。
【0010】
さらに別の実施形態では、弁は、中空内部を有する中央ネック、中空内部に流体連通する弁の底面に画定された入口、および中央ネックに連結された先端を含む。この実施形態では、少なくとも1つの開口が先端に画定される。さらに、拡張構成にあるときに少なくとも1つの開口を閉じるストッパの機能は、先端に画定された少なくとも1つの開口を閉じるように構成されたフランジを含む。さらに、弁の底面に画定される入口は、薬剤バイアル内の流体に流体連通する。この実施形態はさらに、連結部に連結されたときにシリンジに接触するように構成されたストッパの頂部を含む。
【0011】
関連する実施形態では、装置の連結部は、装置をシリンジに連結するための外部構造を含む。
【0012】
本発明はまた、バイアルから流体を引き出すための方法を含む。本方法は、それ自体が弁に取り付けられる連結部にシリンジを接続する工程、弁の内部容積内に配置されたストッパを作動させる工程、および弁内に画定された開口を開く工程を含む。次に、流体は、バイアルから弁を通ってシリンジ内に引き出され、弁内に画定された開口が閉じられる。シリンジは、連結部から取り外される。詳細には、弁の内部容積内に配置されたストッパを作動させる工程は、シリンジが連結部に連結されるとストッパを自動的に圧縮する工程を含み、弁内に画定された開口を閉じる工程は、シリンジが連結部から切り離されると弁内に画定された開口を自動的に閉じる工程を含む。
【0013】
一実施形態では、弁内に画定された開口を閉じる工程は、詳細には、ストッパ上に配置されたフランジで開口を覆う工程を含む。
【0014】
別の実施形態では、シリンジが連結部に連結されるとストッパを圧縮する工程は、ストッパの高さに沿って画定された複数のプリーツを圧縮する工程によって行われる。関連して、この実施形態において弁に画定された開口を閉じる工程は、シリンジが連結部から切り離されるとストッパの高さに沿って画定された複数のプリーツを拡張する工程によって行われる。
【0015】
さらに別の実施形態では、弁の内部容積内に配置されたストッパを作動させる工程は、弁内に画定された開口に対してストッパの頂部の垂直位置を変化させる工程を含む。より詳細には、弁内に画定された開口に対してストッパの頂部の垂直位置を変化させる工程は、ストッパの内部チャネルを通って配置された固定中央ネックに対してストッパの頂部の垂直位置を変化させる工程によって行われる。
【0016】
さらなる実施形態では、バイアルから弁を通してシリンジ中へ流体を引き出す工程は、弁内の中央ネック内に画定された中空内部を通して流体を引き出す工程を含む。
【0017】
一実施形態では、本方法はまた、弁の中央ネックをシリンジの遠位係止部に挿入する工程を含む。この実施形態では、弁内に画定された開口を開く本方法の工程は、中央ネックがシリンジの遠位係止部に挿入されるのと同時に行われる。さらに、この特定の実施形態において、バイアルから弁を通ってシリンジ内に流体を引き出す工程は、中央ネックの先端からシリンジの遠位係止部内に直接流体を引き出す工程を含む。
【0018】
別の実施形態では、シリンジが連結部分に連結されるとストッパを自動的に圧縮する工程は、詳細には、ストッパの頂部をシリンジの遠位部で押圧することによって行われる。さらに、シリンジが連結部分から切り離されると弁内に画定された開口を自動的に閉じる工程は、詳細には、ストッパの頂部をシリンジの遠位部で弛緩させる工程を含む。
【0019】
本発明の装置および方法は、機能的説明を伴う文法的流動性のために説明されてきたまたは説明されるが、請求項は、35 USC 112の下で明示的に定められない限り、「手段」または「工程」の限定の構成によって必ずしも何らかの限定をされると解釈されるべきではなく、均等論の下で請求項によって提供される定義の意味および均等物の全範囲が認められるべきであり、かつ、請求項が35 USC 112の下で明示的に定められる場合には、35 USC 112の下で全法的均等物が認められるべきであることを明確に理解されたい。以下の図面を参照することによって、本開示をよりよく視覚化することができ、同様の構成要素は同様の番号によって参照される。
【0020】
本開示およびそのさまざまな実施形態は、請求項において定義される実施形態の例示的な実施例として提示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、よりよく理解することができる。請求項によって定義される実施形態は、以下で説明される例示的な実施形態よりも広範であり得ることが明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の封止装置の分解図
図2A】本発明の封止装置の4分の3斜視図
図2B図2Aに見られる封止装置の側面図
図3図2Bに見られる線A-Aを通る封止装置の断面図
図4A図2Aに見られる封止装置の部分断面または切断斜視図
図4B図4Aに見られる円A内に含まれる細部の拡大部分断面斜視図
図5A】シリンジが封止装置に連結されているときの図2Aに見られる封止装置の側面図
図5B図5Aに見られる封止装置に連結されているシリンジの断面図
図6】シリンジが封止装置内に配置されたストッパを圧縮する際の図5Bに見られる封止装置の断面図
図7A】本発明の封止装置の代替的な実施形態の側面図
図7B図7Aに見られる封止装置の部分断面または切断側面図
図7C図7Aに見られる封止装置の部分断面または切断斜視図
図8A】封止装置内に配置されたバネが拡張構成にある、図7Aに見られる線C-Cを通る封止装置の断面図
図8B】封止装置内に配置されたバネが圧縮構成にある、図7Aに見られる線C-Cを通る封止装置の断面図
図9A】本発明の封止装置の代替的な実施形態の側面図
図9B】封止装置内に配置されたバネが拡張構成にあるときの、図9Aに見られる線C-Cを通る封止装置の代替実施形態の側断面図
図9C図9Bに見られる円C内に含まれる細部の拡大側断面図
図10A】封止装置内に配置されたバネが圧縮構成にあるときの、図9Aに見られる線C-Cを通る封止装置の代替実施形態の側断面図
図10B図10Aに見られる円T内に含まれる細部の拡大側断面図
図11A図9Aに見られる封止装置の部分断面または切断側面図
図11B図11Aに見られる封止装置の部分断面または切断斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、時間および利用可能な空間が医療を必要とする患者の治療を劇的に変化させ得る緊急事態においてさえも、非常に効率的であり使用が容易である薬剤バイアルのための封止装置を提供することによって、これらのおよび他の問題を解決する。封止装置は、図面に見られ、参照番号10によって全体的に示されている。図1の分解図に最もよく見られるように、封止装置10は、座部11内に嵌合または入れ子になるように実質的に構成された弁14を備え、座部11は、標準的な薬剤バイアル1のネック部分3内に嵌合または入れ子になるように構成される。圧縮可能なストッパ13が、弁14上に配置され、弁14に取外し可能に連結される。連結部16が、弁14およびストッパ13の上部または上方に垂直に嵌合され、弁14およびストッパ13と共に、圧着接続部または圧着リング12を介して薬剤バイアル1に対して固定位置に保持される。キャップ18が、連結部16に取外し可能に連結され、連結部16と選択的に係合するように構成される。
【0023】
図2Aおよび図2Bでは、封止装置10は、それぞれ4分の3で見られる側面斜視図である。好ましい一実施形態では、キャップ18は、内部雌ネジを備え、連結部16は、実質的に円筒形で垂直に配向されたスリーブ22の外面の周囲に配置された対応する雄ネジ20を備える。キャップ18の雌ネジおよびスリーブ22の雄ネジ20は、好ましくは、ルアーロックを形成するように協同するが、ネジは、流体がそれを通じて横断するための漏出防止接続を生成する任意の継手を形成するように、それぞれの構成要素上にサイズ決定、構成、または配置されてもよいことを明示的に理解されたい。あるいは、キャップ18および連結部16のスリーブ22は、いかなるネジ山または突起も含まず、代わりに、摩擦または「スナップ」嵌合で互いに嵌合または押圧するように構成された相補的な表面を含む。さらに別の実施形態では、連結部16および弁14は、単一の構造的構成要素または部品から形成されてもよい。言い換えると、弁14は、弁自体の上に連結部を備えてもよく、それによって、異なる部品を製造する必要性、または連結部16および弁14をともに連結する必要性が回避される。
【0024】
連結部16はさらに、スリーブ22の垂直面に対して垂直方向で半径方向に延在し、弁14の円筒形本体部分の頂部から半径方向に延在するリップ28に合致する、エプロン24を備える。エプロン24およびリップ28は、封止装置10が使用されているときに互いに接触したままであり、エプロン24およびリップの両方は、座部11の外側リム上に位置し、座部11は、薬剤バイアル1の口部2内に留まる。
【0025】
図3、4A、および4Bを参照すると、封止装置10の構成要素がどのように互いに嵌合および協同するかがより詳細が示され得る。詳細には、弁14は、座部11に挿入され、座部11は、様々の液体薬剤を貯蔵および輸送するために使用される標準薬剤弁1の口部2に挿入される。弁14は、実質的に円筒形の本体26を備え、これ自体が、垂直高さに沿って狭くなるかまたはテーパ状であり先端29で終端する弁14の底部の近くに、広い断面直径を有する実質的に円錐形である中央ネック27を備える。円錐形の中央ネック27は、弁14の底面に画定された入口35に流体的に連結された中空内部33を含む。先端29は、それ自体が中央ネック27の内部33と流体連結される少なくとも1つの開口または開口部31を備え、それによって、入口35と開口31との間に具体的に画定される弁14を通る完全な流体経路を形成する。弁14の本体26は、薬剤バイアル1のネック3の直径に緊密に適合し、ネック3の内面と緊密または密接な嵌合を形成する。弁14の本体26が薬剤バイアル1のネック3内に配置されると、リップ28は、座部11上に位置するかまたは配置されたままであり、座部11は、薬剤弁1の口部2上に位置し、それによって、弁14をネック3内に維持し、それが薬剤バイアル1中へさらに下方に摺動することを防止するのに役立つ。
【0026】
図3、4A、および4Bに示されるようにストッパ13は、内部に弁14の中央ネック27を収容するようにわずかにテーパ状である中空の内部または容積を備える。詳細には、図3の断面図に最もよく見られるように、ストッパ13の底部または縁部は、弁14の底面上に位置し、中央ネック27が、ストッパ13の長手軸の内側かつそれに沿って入れ子になるまたは収容されて配置される。好ましくはシリコン、ゴム、または他の適切な可鍛性材料からなるストッパ13は、その高さに沿ってテーパ状であり、ストッパ13の頂部付近に配置された円周フランジ37が、弁14の先端39に画定された少なくとも1つの開口31に直接隣接して配置され、開口31を効果的に遮断または封止する。ストッパ13はさらに、頂部41の下に複数のプリーツ39を備える。プリーツ39は、可撓性であり、圧縮されてもよく、それによって、以下でさらに詳述されるように、ストッパ13の全体的高さを低減させる。ストッパ13の頂部41はまた、ストッパ13の高さ全体にわたって画定される内部チャネル43を含む。
【0027】
図3に見られるように、連結部16は、垂直にかつ弁14の上に直接または上方に配置される。詳細には、連結部16のエプロン24は、弁14のリップ28と直接接触して配置され、エプロン24およびリップ28の両方が互いに積み重ねられ、弁14およびストッパ13の内部構成要素の周りにケーシングまたは密閉ハウジングを形成する。弁14の入口35は、実質的に円筒形の開口であり、弁14の本体26、中央ネック27の中空内部33、およびストッパ13の内部チャネル43と同軸である。次に、圧着接続部12が、薬剤バイアル1の口部3の上に降ろされ、次いで、口部3の周囲にわたって屈曲または変形され、それによって、図3に見られるそれぞれの位置に弁14および連結部16を係止または固定し、ストッパ13が内部に配置される。圧着接続部12の変形はまた、弁14の入口25が、装置10の使用の間中、所定の位置に確実に留まることを確保する。
【0028】
封止装置10を使用するために、無針シリンジ32または他の適切な装置が、図5A図6に見られるように、キャップ18が取り外された後に連結部16に向かって移動される。詳細には、シリンジ32の遠位係止部36は、連結部16のスリーブ22内に画定された開口と位置合わせされる。シリンジ32および連結部16が互いに近づくと、遠位係止部36は、図5Aおよび図5Bに最もよく示されるように、その上に配置された雄ネジ20を含むスリーブ22の外面の上に摺動または配置される。次に、ユーザは、シリンジ32を薬剤バイアル1に対して軸方向に回転させ、遠位係止部36の内面内に画定された雌ネジが、連結部16の雄ネジ20に係合する、またはその上に着座する。あるいは、遠位係止部36は、シリンジ32を薬剤バイアル1の中へ遠位に強制的に押すことによって、または、現在既知のまたは後に考案される別の係止機構を係合することによって、スナップまたは摩擦嵌合を介して連結部16と係合されてもよい。
【0029】
封止装置10の内部機能および連結のさらなる詳細が、図5Bおよび図6に見られる。図5Bを参照すると、遠位係止部36から伸長するアダプタ34がスリーブ22に入ると、アダプタ34の遠位縁部が、ストッパ13の頂部41と接触し、ストッパ13を圧縮し始める。同時に、弁14の先端29は、アダプタ34内に画定された内部容積43に入る。ストッパ13はシリコンまたは他の同様の可撓性材料からなる一方で、中央ネック27および先端29を含む弁14はプラスチックまたは他の充分に剛性の材料からなるので、ストッパ13は変形および圧縮し続ける一方で、先端29はアダプタ34の内部容積43に入ると固定位置に留まる。アダプタ34は、連結部16のスリーブ22内に嵌合するかまたはそれによって収容されるのに充分に小さいが、内部に先端29の全周を収容するのに充分に大きい、外径を有する実質的に円筒形の形状を備える。
【0030】
ユーザがシリンジ32を封止装置10内に押し込み続けると、アダプタ34はストッパ13内に押し込まれてそれを弁14の底面に向かって下方に移動させ続け、それによって、その高さに沿って、具体的には図6に示されるようにストッパ13自体の表面内に一体的に形成されるプリーツ39に沿って、圧縮させる。ストッパ13が圧縮されると、フランジ37を含む頂部41も中央ネック27に対して下方に移動し、それによって、先端29内に画定された開口部31が露出し、薬剤バイアル1とシリンジ32との間に流体が流れるための開放経路またはチャネルが形成される。
【0031】
連結部16がシリンジ32の遠位係止部36内に完全に挿入されて上述のように固定された後、アダプタ34の移動は停止し、ストッパは、図6に見られるような変形構成に留まり、開口部31が最大開放位置に配置される。
【0032】
次に、ユーザは、当該技術で知られているように、シリンジ32内に配置されたプランジャを作動させて、プランジャを薬剤バイアル1から近位方向に引き出すことによって、薬剤バイアル1から薬剤を引き抜く。詳細には、薬剤バイアル1内に配置された薬剤流体は、最初に入口35を通って中空内部33に入ることによって弁14内に引き込まれる。ユーザがプランジャを引き抜き続けると、薬剤流体は、先端29に入るまで中央ネック27の中空内部33を通って上方に引き込まれ、そこで少なくとも1つの開口部31を通過し、アダプタ34を通って中央に画定された内部チャネル43に入り、次いで、シリンジ32自体の内部容積に入り、ここでユーザはどれだけの薬剤流体が引き抜かれたかを観察することができる。薬剤流体の適切な投与量が得られると、ユーザは、シリンジ32内のプランジャの引き抜きを停止し、次に、弁14内に配置された中央ネック27を通る流体の流れを停止する。次に、ユーザは、遠位係止部36の雌ネジを連結部16上に配置された雄ネジ20から外すか、または、単にシリンジ32を薬剤バイアル1から離れるように近位方向に引き出してそれらの間に配置された摩擦または締まりばめを解放することによって、シリンジ32を封止装置10から切り離すかまたは取り外す。アダプタ34が弁14から近位方向に引き出されると、アダプタ34は連結部16のスリーブ22から取り外され、これによりストッパ13は弛緩するか、または図5Bに見られるように拡張して初期形態に戻ることができる。より詳細には、ストッパ13の弾力性のある半弾性材料は、ストッパ13が元の応力を受けない位置に拡張または戻ることを可能にし、これは、先端29に画定された開口部31を自然にかつ自動的に塞ぐまたは閉鎖し、中空内部33と、連結部16および弁14の組合せ構造によって形成される周囲環境との間に以前に形成された通路を再封止または閉塞する。開口部31の閉鎖または再封止は、たとえ薬剤バイアル1自体が反転されたとしても、薬剤バイアル1へのまたはそこからの全ての流体流動を停止させる。ユーザは、シリンジ32の取外しを続け、アダプタ34が連結部16のスリーブ22から引き抜かれ、それによってシリンジ32が封止装置10から完全に取り除かれる。次いで、ユーザは、必要に応じてキャップ18を連結部16に再び取り付けるまたは再び連結することができる。
【0033】
封止装置10から薬剤流体を充填したシリンジ32が取り出された後、ユーザは、シリンジ32に針を適用し、シリンジ32を静脈内チューブもしくは静脈内バッグに適用する、または、当該技術で既知のまたは後に考案されるようなシリンジを必要とする任意の他の手順を行うことができる。あるいは、ユーザは、シリンジ32を封止装置10に再挿入し、上記で開示したように開口部31を再び開いてもよく、より多くの薬剤流体を引き出すか、または、シリンジ32内に収容された薬剤流体を薬剤バイアル1に再注入して戻す。封止装置10を介してシリンジ32と薬剤バイアル1との間に形成される密接に着座したまたは緊密な接続により、薬剤流体が薬剤バイアル1から取り出されるかまたはその中に注入されるときはいつでも、空気がその作動時にシリンジ32によって引き抜かれることが防止され、それによって、ユーザは、シリンジ32に不注意で入った可能性のある空気について任意の調節をする必要なく、直ちに薬剤流体を引き出すことができる。緊急状態では、これはさらに、ユーザがより迅速に薬剤流体または薬剤を患者に注入または適用することを可能にし、これによって、その医療が改善されるまたはさらに救命の可能性がある。
【0034】
中央ネック27を備え、可撓性ストッパ13によって遮断される上述の弁14は、例示のみを目的としていることを明確に理解されたい。バタフライ弁、逆止弁、プラグ弁、および/またはピンチ弁を含むがこれらに限定されない、現在既知のまたは後に考案される他のタイプまたは形態の弁、ゲート、またはガスケットが、本発明の独自の精神および範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
【0035】
例えば、封止装置50の代替的な実施形態は、図7A図8Bに見ることができる。ここで、連結部16および弁14は、図1図6に関して上述したものと実質的に同様であるが、代替的な封止装置50は、ここでは、積層した連結部16および弁14によって形成されたハウジング内に配置されたバネ54を備える。さらに、封止装置50は、図1に見られるストッパ13に類似する変形ストッパ52を含むが、変形ストッパ52は、プリーツを含まず、したがって、先の実施形態のストッパ13と比較して、より短いまたは全体的により低い高さを備える。しかしながら、変形ストッパ52は、上記で詳述されたようなフランジ37を有する頂部41を備える。バネ54は、一端で弁14の底面に連結され、対応する他端でストッパ52の底部に連結されている。
【0036】
封止装置50を使用するために、また、上記で詳述したのと同様に無針シリンジ32または他の適切な装置が連結部16に連結または取付けられた後、遠位係止部36から伸長するアダプタ34(明確にするために図7A図8Bには図示せず)は、連結部のスリーブ22に入る。アダプタ34の遠位縁部が変形ストッパ52と接触すると、変形ストッパ52は、その周りに配置される中央ネック27に対して下方向に移動し始める。同時に、弁14の先端29は、アダプタ34内に画定された内部容積43に入る。変形ストッパ52はバネ54に連結されるので、バネ54は圧縮し始め、先端29はアダプタ34の内部容積43に入ると固定位置に留まる。アダプタ34は、連結部16のスリーブ22内に嵌合するかまたはそれによって収容されるのに充分に小さいが、内部に先端29の全周を収容するのに充分に大きい、外径を有する実質的に円筒形の形状を備える。
【0037】
ユーザがシリンジ32を封止装置10内に押し込み続けると、アダプタ34は変形ストッパ54内に押し込まれてそれを弁14の底面に向かって下方に移動させ続け、それによって、図8Bに示されるようにコンパクトな構成にバネ54を圧縮させる。変形ストッパ52が圧縮されると、フランジ37を含む頂部41も中央ネック27に対して下方に移動し、それによって、先端29内に画定された開口部31が露出し、薬剤バイアル1とシリンジ32との間に流体が流れるための開放経路またはチャネルが形成される。
【0038】
連結部16がシリンジ32の遠位係止部36内に完全に挿入されて上述のように固定された後、アダプタ34の移動は停止し、バネ54は、図8Bに見られるように圧縮構成に留まり、開口部31が最大開放位置に配置される。次に、ユーザは、シリンジ32内に配置されたプランジャを作動させて、上述のように薬剤バイアル1から薬剤を引き抜き、次いで、所望の薬剤投与量が得られると、シリンジ32を連結部16から取り外す。アダプタ34が弁14から近位方向に引き出されると、アダプタ34は連結部16のスリーブ22から取り外され、これによりバネ54は弛緩するか、または図7Cおよび8Aに見られるように拡張して初期形態に戻ることができる。より詳細には、バネ54の弾力性のある半弾性材料は、変形ストッパ52が元の位置に戻ることを可能にし、これは、先端29に画定された開口部31を自然にかつ自動的に塞ぐまたは閉鎖し、中空内部33と、連結部16および弁14の組合せ構造によって形成される周囲環境との間に以前に形成された通路を再封止または閉塞する。開口部31の閉鎖または再封止は、たとえ薬剤バイアル1自体が反転されたとしても、薬剤バイアル1へのまたはそこからの全ての流体流動を停止させる。ユーザは、シリンジ32の取外しを続け、アダプタ34が連結部16のスリーブ22から引き抜かれ、それによってシリンジ32が封止装置50から完全に取り除かれる。
【0039】
封止装置50から薬剤流体を充填したシリンジ32が取り出された後、ユーザは、シリンジ32に針を適用し、シリンジ32を静脈内チューブもしくは静脈内バッグに適用する、または、当該技術で既知のまたは後に考案されるようなシリンジを必要とする任意の他の手順を行うことができる。あるいは、ユーザは、シリンジ32を封止装置50に再挿入し、上記で開示したように開口部31を再び開いてもよく、より多くの薬剤流体を引き出すか、または、シリンジ32内に収容された薬剤流体を薬剤バイアル1に再注入して戻す。封止装置50を介してシリンジ32と薬剤バイアル1との間に形成される密接に着座したまたは緊密な接続により、薬剤流体が薬剤バイアル1から取り出されるかまたはその中に注入されるときはいつでも、空気がその作動時にシリンジ32によって引き抜かれることが防止され、それによって、ユーザは、シリンジ32に不注意で入った可能性のある空気について任意の調節をする必要なく、直ちに薬剤流体を引き出すことができる。緊急状態では、これはさらに、ユーザがより迅速に薬剤流体または薬剤を患者に注入または適用することを可能にし、これによって、その医療が改善されるまたはさらに救命の可能性がある。
【0040】
封止装置60のさらに別の実施形態が、図9A図11Bに示される。ここで、封止装置60は、連結部62、および、連結部62のエプロン66と合致する基部68を備える弁64を含む。基部68はまた、実質的に円形の表面を備える基部68の実質的に中央部内にその厚さにわたって画定される開口部70を備える。代替的な封止装置60は、ここでは、結合部62の内部容積78内に配置されたプラグ72およびバネ74を備える。プラグ72は、プラグ72の高さにわたって画定される管腔76を伴う、実質的に逆円錐形状を備える。バネ74は、一端で基部68の上面に連結され、その対応する反対端でプラグ72の近位端において延長フランジ86に連結される。プラグ72の遠位端には、キャップ80が配置されている。キャップ80は、図9Cに最もよく示されているように、基部68の下面に載るように成形されている。プラグ72はさらに、プラグ72自体の内部の管腔76への流体経路を提供する、プラグ72の表面にわたって画定される複数の開口部84を備える。
【0041】
封止装置60を使用するために、また、上記で詳述したのと同様に無針シリンジ32または他の適切な装置が連結部16に連結または取付けられた後、遠位係止部36から伸長するアダプタ34(明確にするために図9B図10Bには図示せず)は、連結部62に入る。アダプタ34の遠位縁部がプラグ72と接触すると、プラグ72は、それを通過して配置される基部68に対して下方向に移動し始める。同時に、プラグ72のキャップ82は、基部68内に画定された開口部70から押し出される。プラグ72がバネ64に連結されているので、バネ64が圧縮し始める一方で、キャップ82は、基部86から遠位方向にかつ離れるように移動し続ける。
【0042】
ユーザがシリンジ32を封止装置10内に押し込み続けると、アダプタ34はプラグ72内に押し込まれてそれを基部68に向かって下方に移動させ続け、それによって、バネ64を、図9Cに示される拡張構成から図10Bに示されるコンパクト構成に圧縮させる。プラグ72が圧縮されると、管腔76およびキャップ80も基部68に対して下方に移動し、それによって、プラグ82内に画定された開口部84が露出し、薬剤バイアル1とシリンジ32との間に流体が流れるための開放経路またはチャネルが形成される。
【0043】
シリンジ32の遠位係止部36が連結部16内に完全に挿入されて上述のように固定された後、プラグ72の移動は停止し、バネ64は、図10Bに見られるように圧縮構成に留まり、プラグ72の開口部84が最大開放位置に配置される。次に、ユーザは、シリンジ32内に配置されたプランジャを作動させて、上述のように薬剤バイアル1から薬剤を引き抜き、次いで、所望の薬剤投与量が得られると、シリンジ32を連結部16から取り外す。アダプタ34が弁14から近位方向に引き出されると、アダプタ34は連結部16から取り外され、これにより、図9Bおよび図9Cに見られるように、バネ64は弛緩または拡張してその初期形態に戻ることが可能になる。より詳細には、バネ64の弾力性のある半弾性材料は、プラグ72が元の位置に戻ることを可能にし、これは、プラグ72を基部68の中に自然にかつ自動的に引き戻し、プラグ72に画定された開口部84を再び塞ぐまたは閉鎖する。開口部84の閉鎖または再封止は、たとえ薬剤バイアル1自体が反転されたとしても、薬剤バイアル1へのまたはそこからの全ての流体流動を停止させる。ユーザは、シリンジ32の取外しを続け、アダプタ34が連結部16から引き抜かれ、それによってシリンジ32が封止装置60から完全に取り除かれる。
【0044】
封止装置60から薬剤流体を充填したシリンジ32が取り出された後、ユーザは、シリンジ32に針を適用し、シリンジ32を静脈内チューブもしくは静脈内バッグに適用する、または、当該技術で既知のまたは後に考案されるようなシリンジを必要とする任意の他の手順を行うことができる。あるいは、ユーザは、シリンジ32を封止装置60に再挿入し、上記で開示したように開口部84を再び開いてもよく、より多くの薬剤流体を引き出すか、または、シリンジ32内に収容された薬剤流体を薬剤バイアル1に再注入して戻す。封止装置60を介してシリンジ32と薬剤バイアル1との間に形成される密接に着座したまたは緊密な接続により、薬剤流体が薬剤バイアル1から取り出されるかまたはその中に注入されるときはいつでも、空気がその作動時にシリンジ32によって引き抜かれることが防止され、それによって、ユーザは、シリンジ32に不注意で入った可能性のある空気について任意の調節をする必要なく、直ちに薬剤流体を引き出すことができる。緊急状態では、これはさらに、ユーザがより迅速に薬剤流体または薬剤を患者に注入または適用することを可能にし、これによって、その医療が改善されるまたはさらに救命の可能性がある。
【0045】
本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、当業者により、多くの変更および修正を行うことができる。したがって、例示された実施形態は、例示のみを目的として記載されており、以下の実施形態およびその様々な実施態様によって定義される実施形態を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0046】
したがって、例示された実施形態は、例示のみを目的として記載されており、以下の請求項によって定義される実施形態を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、請求項の要素が特定の組合せで以下に記載されるという事実にもかかわらず、実施形態は、より少ない、より多い、または異なる要素の他の組合せを含み、これらは、そのような組合せで当初請求されない場合であっても上記で開示されることが明確に理解されなければならない。2つの要素が特許請求される組合せで組み合わされるという教示は、さらに、2つの要素が互いに組み合わされないが、単独で使用されてもよいまたは他の組合せで組み合わされてもよい、特許請求される組合せも考慮すると理解されるべきである。実施形態の任意の開示された要素の除外は、実施形態の範囲内にあるものとして明示的に企図される。
【0047】
種々の実施形態を説明するために本明細書で使用される用語は、それらの一般に定義される意味においてのみではなく、本明細書における特別な定義により一般に定義される意味の範囲を超える構造、材料、または動作を含むと理解されるべきである。したがって、要素が、本明細書の文脈において2つ以上の意味を含むものとして理解され得る場合、請求項におけるその使用は、本明細書によりおよび単語自体によりサポートされる全ての可能な意味に包括的であるものとして理解されなければならない。
【0048】
したがって、以下の請求項の単語または要素の定義は、本明細書において、文字通り記載される要素の組合せだけでなく、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して実質的に同じ結果を得るためのすべての等価な構造、材料または動作を含むように定義される。したがって、この意味において、2つ以上の要素の等価な置換が、以下の請求項における要素の任意の1つに対して行われてもよい、または、単一の要素が、請求項における2つ以上の要素に対して置換されてもよいことが企図される。要素は、特定の組合せで作用するものとして上述され、さらにはそのように当初特許請求され得るが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の要素は、場合によっては、その組合せから除外されてもよく、特許請求される組合せは、部分的組合せまたは部分的組合せのバリエーションを対象としてもよいことを明確に理解されたい。
【0049】
現在既知であるかまたは後に考案される、当業者によって見られたときの特許請求される主題からの実質的でない変更は、請求項の範囲内において均等であるものとして明示的に企図される。したがって、現在または後に当業者に知られる明白な置換は、定義された要素の範囲内であると定義される。
【0050】
したがって、請求項は、上記で具体的に図示および説明したもの、概念的に等価なもの、明らかに置き換えることができるもの、および実施形態の本質的なアイデアを本質的に組み込むものを含むと理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B