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特許7298031複数の生物学的効果比(RBE)モデルを使用する治療計画作成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】複数の生物学的効果比(RBE)モデルを使用する治療計画作成
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022558464
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021059326
(87)【国際公開番号】W WO2021213818
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】20170924.3
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522454806
【氏名又は名称】レイサーチ ラボラトリーズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジャンソン,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】フレドリクソン,アルビン
(72)【発明者】
【氏名】トラネウス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン,ケル
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-531138(JP,A)
【文献】特表2009-525797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的体積TVを含む患者(500、600)の非光子照射を指定する治療計画を生成するための逆方向治療計画方法(100)であって、前記方法は、コンピュータソフトウェアにより指令される治療計画作成システム(200)の処理回路(230)によって自動的に実施され、且つ前記方法は
第1のRBEモデルに従って第1の生物学的効果比(RBE)係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第1の数値条件に関する第1の計画目標を取得すること(110)と、
第2のRBEモデルに従って第2のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第2の数値条件に関する第2の計画目標を取得すること(112)であって、前記第2のRBE係数は前記第1のRBE係数とは異なることと、
前記第1の計画目標及び前記第2計画目標を満たすことを目的とした最適化プロセスによって治療計画を生成すること(114)と、
を含み、以下のオプション:
a)TVに含まれているか又はTVから完全に又は部分的に分離されている体積(691、692)に前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標を適用する、前記体積は一致するか又は一方は他方のサブセットである、
b)前記第1のRBE係数及び前記第2のRBE係数は可変である、
のうちの少なくとも1つが成立する、方法。
【請求項2】
前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標は、最適化関数として最適化プロセスに提供され、各最適化関数は、目的関数タイプ又は制約タイプのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オプション(a)が成立し、前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標は、同じタイプの最適化関数として提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標は、共通の目的関数における均等又は不均等に重み付けされた項として提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
各可変RBE係数は、空間的に及び/又は粒子エネルギーに対して及び/又は非光子線量の大きさに対して変化する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各可変RBE係数は、
Carabeタイプモデル、
Chen&Ahmadタイプモデル、
McNamaraタイプモデル、
Wedenbergタイプモデル、
線エネルギー付与(LET)モデル、
局所効果モデル(LEM)、
微小処方学的動的モデル(MKM)、
のうちの1つ以上に従う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各計画目標は、指定の体積(591、592;691、692)に適用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標は、異なる生物学的エンドポイントに対応する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各数値条件は、セットポイント値、下限、上限、又は間隔を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記非光子照射は陽子照射を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
治療計画作成システム(200)であって、
少なくとも第1の計画目標及び第2の計画目標を受信するように構成されたインターフェース(210)と、
メモリ(220)と、
請求項110のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された処理回路(230)と、
を備える、治療計画作成システム(200)。
【請求項12】
コンピュータによって実行されるときに、前記コンピュータに請求項110のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム(221)。
【請求項13】
データ構造(400)を格納する一時的でないデータキャリアであって、前記データ構造(400)は、
放射線送達(300)システムによって実行されるときに、標的体積TVを含む患者の非光子照射を指定する治療計画を前記システムに実行させる命令を表す治療計画コンポーネント(410)と、
報告コンポーネント(420)であって、
第1のRBEモデルに従って第1の生物学的効果比(RBE)係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第1の数値条件に関する第1の計画目標と、
第2のRBEモデルに従って第2のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第2の数値条件に関する第2の計画目標であって、前記第2のRBE係数は前記第1のRBE係数とは異なる、第2の計画目標と、
のそれぞれに関係する報告量を含む、報告コンポーネント(420)と、
を含
以下のオプション:
TVに含まれているか又はTVから完全に又は部分的に分離されている体積に前記第1の計画目標及び前記第2の計画目標を適用する、前記体積は一致するか又は一方は他方のサブセットである、
前記第1のRBE係数及び前記第2のRBE係数は可変である、
のうちの少なくとも1つが成立する、一時的でないデータキャリア
【請求項14】
前記報告量は、
複数の空間点又はボクセルに関する前記光子等価線量の分布、
前記光子等価線量の線量体積ヒストグラム、
TVへの前記光子等価線量の最小、最大、平均、中央値、分散、又は標準偏差、
リスク臓器への前記光子等価線量の最小、最大、平均、中央値、分散、又は標準偏差、
各計画目標の達成の指標、
のうちの1つ以上を含む、請求項13に記載の一時的でないデータキャリア
【請求項15】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納する一時的でないデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線療法の分野に関し、特に、2つ以上の異なる生物学的効果比モデルを使用して計画目標に基づく非光子放射線治療計画を生成するための方法及びデバイスに関する。本開示はさらに、これらの特徴をもつ治療計画を共有又は格納するためのデータ構造を提供する。
【背景技術】
【0002】
非光子放射線療法では、陽子線又はイオン線、特に炭素イオン線を使用する場合がある。放射線療法のこのサブフィールドでの一般的な慣行によれば、処方、臨床目標、及び治療計画プロトコルは、光子等価線量(又は光子の線量当量)に関する仕様を含む場合がある。光子等価線量は、同じレベルの効果をもたらすのに必要とされる線量の比として定義される、用いる放射線の生物学的効果比(RBE)を使用して、物理吸収線量から計算される。RBE係数という用語は、物理線量と光子等価線量との変換係数を表すために用いられる:
光子等価線量=RBE係数×物理線量。
【0003】
RBEは、物理的及び生理的考慮事項から導出され、場合によっては実験的に検証又は改良された特定の放射線生物学モデルに関連し得る。基礎をなす放射線生物学モデルに応じて、RBE係数は、例えば、物理線量の大きさに対して又は照射される組織の位置に対して変化し得る。物理線量に依存するRBE係数は、物理線量と光子等価線量との間に非線形の関係性を確立する。例えば、ある実数p≧0で、物理線量のp乗に比例するRBE係数により、光子等価線量は物理線量の(p+1)乗に依存することになる。陽子線治療の場合、広く用いられているRBE係数は、いわゆる1.1モデルであり、このモデルによれば、陽子の生物学的効果は、線量及び他の因子に関係なく光子の効果を10パーセント上回る。1.1モデルは、陽子場の遠位端での線量を過小評価することが知られている。この及び他の効果は、著者Carabe、Chen&Ahmad、McNamara、及びWedenbergによるモデルを含む、より精巧なRBEモデルによって処理される場合がある。
【0004】
新しいRBEモデルの出現と既存のモデルの改善がコミュニティで徐々に受け入れられるようになってきている。しかしながら、臨床医は、以前のモデルに最も馴染んでおり、これらのための大規模なヒストリカルデータセットにアクセスしている。蓄積された過去の知識を踏まえて治療計画を検証する能力を維持しながら、最近の研究の利益を享受するために、2つ以上のRBEモデルに関して指定された計画目標を処理することは魅力的なオプションである。
【0005】
研究論文Sanchez-Parcerisa et al., “MultiRBE: Treatment planning for protons with selective radiobiological effectiveness”, Med. Phys.(2019), vol.46, pp.4276-4284[doi:10.1002/mp.13718]は、物理線量の観点から腫瘍の確実なカバレッジのために標的体積で一様なRBE係数を使用し、別の場所で可変RBEを使用する混合RBEモデルであるMultiRBEについて報告している。
【0006】
部分的に異なる制限をもつ同様の提案が、Tseung et al., “Clinically applicable Monte Carlo-based biological dose optimization for the treatment of head and neck cancers with spot-scanning proton therapy”, Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys.(2016), vol.95, pp.1535-1543[doi:10.1016/j.ijrobp.2016.03.041]で提示されており、これは、スポットスキャニング陽子線治療における頭頸部腫瘍の治療のためのモンテカルロベースの逆方向生物学的治療計画作成に向けられたものである。治療計画を作成するために、その著者らは、目標生物学的線量を最大にしながら、物理線量を処方線量の1.25倍以内に維持するための制約を定義している。
【0007】
さらに別の提案がUS2015073200で見られ、これは、組織の深さに応じて陽子ビームによって生じる生物学的効果の変動を予測し、異なる領域で異なるRBE値を適用することで変動性をモデル化する、ハドロン治療計画作成システムを開示している。生物学的線量DBIOと物理線量DPhysicalとの一様な関係性が仮定され、リスク臓器と標的体積との両方に関係する目的関数を定義するために用いられる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの目的は、2つ以上の異なるRBEモデルに関する計画目標に基づいて非光子放射線治療計画を生成するための改善された方法及びデバイスを提案することである。さらなる目的は、これらの特徴をもつ治療計画の転送可能性及び格納性を改善することである。これらの及び他の目的は、独立請求項によって定義される本発明によって対処される。
【0009】
第1の態様において、本発明は、標的体積(TV)が識別される患者の非光子照射を指定する治療計画を生成するための逆方向治療計画方法を提供する。この方法は、第1のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第1の数値条件に関する第1の計画目標を取得することと、第2の異なるRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第2の数値条件に関する第2の計画目標を取得することと、第1、第2、及び任意のさらなる計画目標を満たすことを目的とした最適化プロセスによって治療計画を生成することとを含む。一実施形態によれば、(a)TVに含まれているか又はTVから完全に又は部分的に分離されている体積V、Vに第1及び第2の計画目標を適用すること、又は(b)第1及び第2のRBE係数は可変であること、又はa及びbの両方が成立することが規定される。
【0010】
いくつかの実施形態において、さらなる計画目標は、第3のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第3の数値条件を含み得る。
【0011】
本明細書で用いられる場合の「体積」は、三次元領域を指す。一例は、患者の体内の腫瘍が占めるスペースに広く対応するTVである。TVの特定の定義には、肉眼的腫瘍体積、臨床標的体積、及び計画標的体積が含まれる。別の例は、脆弱な組織が存在する、線量が制御されるべき領域を表す、リスク臓器(OAR)の体積である。関連する概念は、計画リスク臓器体積である。複数の腫瘍又は保護されるべき複数のリスク臓器がある患者では、TV及び/又はOARは、接続される必要はないが、互いに素なサブ領域のユニオンとして定義される。一般に、請求項で用いられるすべての用語は、本明細書で別途明示的に定義されていない限り、技術分野での通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなど」へのすべての言及は、特に明記されていない限り、要素、装置、コンポーネント、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを指すものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書で開示されるどの方法のステップも、明記されていない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【0012】
例として、オプションaの下で、少なくとも以下の構成が可能である。
: V=Vのとき、V⊂TV、V⊂TV
: V=V=TV
: V≠Vのとき、V⊂TV、V⊂TV
: V=Vのとき、V∩TV=φ、V∩TV=φ
: V=V
【数1】
及びV∩TV≠φのとき、V⊂OAR、V⊂OAR
: V≠V
【数2】
及びV∩TV≠φ及び/又はV∩TV≠φのとき、V⊂OAR、V⊂OAR
: V=V=OAR
: V≠Vのとき、V∩TV=φ、V∩TV=φ。
サブオプションa、a、及びaは、TVに含まれる体積に対応し、一方、サブオプションa及びaは、TVから完全に分離されている(すなわち、外部の)体積に対応する。前述のように、OARは、互いに素なサブ領域のユニオンであり得る。普通は、OARは、TVから部分的に分離されている(すなわち、TVと一致せずに重なっている)又はTVから完全に分離されている。サブオプションa及びaの下で、少なくとも1つの計画目標体積は、TVから部分的に分離されている。OARがTVから部分的に分離されている場合、サブオプションaに係る計画目標体積も明らかに分離されている。ここで、ケースV≠Vは、特別なケースV⊂V及びV⊂Vを含むV∩V≠φ、又は、V∩V=φに対応し得る。
【0013】
したがって、第1及び第2の計画目標は、体積の重なり又は体積の一致に関係し得る。これは、同じ体積について2つのRBE係数の利点を組み合わせることを可能にする。例えば、治療計画者は、過少線量を回避するために一定のRBE係数で標的体積に対して或る計画目標を使用し、さらに、計画を生物学的により正確なものにするために可変RBE係数で標的体積に対して別の計画目標を使用することができる。
【0014】
オプションbは、その一部のために、治療計画の下で送達される特定のタイプの非光子放射線について、第1のRBE係数も第2のRBE係数も定数ではない必要がある。例えば、1.1モデルの下での陽子線のRBE=1.1は、第1のRBE係数と第2のRBE係数のいずれも構成することができない。実際、1.1モデルは、そのRBE係数が陽子線以外の放射線にそのまま適用されることを確かに示唆していないが、陽子線の絶対定数として1.1を規定しており、したがって、オプションbの下では除外される。本開示によれば、オプションbは、代わりに、第1のRBE係数が、物理線量、位置、粒子エネルギー、又は別の物理的、化学的、又は生物学的因子に対して可変である必要がある。同じ要件が第2のRBE係数に適用される。しかしながら、オプションbは、治療計画が満たすべき第3の計画目標の定式化に一定のRBE係数が含まれるケースを除外するものではなく、可変RBE係数に関連して2つの計画目標が定式化されれば十分である。
【0015】
本発明のこの態様は、複数のRBE係数に関して定式化された計画目標を考慮して治療計画が生成されることを可能にする。これらの計画目標のうちの2つ以上は、TV内にある体積、又は代替的に、TVから完全に又は部分的に分離されている体積に関係し得る。さらに、可変RBE係数を含む洗練されたモデルを組み合わせることが可能である。これにより、臨床医の治療計画作成の自由度が高まり、送達される放射線療法の精度が向上し得る。
【0016】
本発明の一実施形態では、計画目標は、最適化関数として最適化プロセスに提供される。本明細書で用いられる場合の「最適化関数」は、最適化される(例えば最小化される)目的関数(f(x)で示される)、又は目的関数に組み込まれる成分(f(x)で示され、iは成分の添字である)であり得る。通常はベクトル値である変数xは、生成される治療計画の特性を表す。「最適化関数」という用語はまた、制約g(x)≦0(不等式制約)又はh(x)=0(等式制約)を定式化するために用いられる式g(x)又はh(x)を包含し、ここで、j及びkは、その下で最適化が実行されるそれぞれの式の添字である。
【0017】
一実施形態では、計画目標は、同じタイプの最適化関数として最適化プロセスに提供される。したがって、第1の計画目標と第2の計画目標の両方が目的関数に組み込まれる、又は第1の計画目標と第2の計画目標の両方が制約として提供される。好ましくは、この実施形態は、上記のオプションaと組み合わされる。この実施形態は、最適化プロセスによって解かれる最適化問題をより扱いやすくすることができ、したがって、より短い処理時間で正確な解に到達することができる。他の実施形態では、計画目標は、異なるタイプの最適化関数として最適化プロセスに提供され得る、すなわち、1つは目的関数に組み込まれ、1つは制約として提供される。
【0018】
一実施形態では、第1及び第2の計画目標は、目的関数f(x)の成分f(x)、f(x)として目的関数に組み込まれる。数学的表記では、目的関数は、合成関数f(x)=f(f(x),f(x))として表される。合成関数は、例えば、加重和f(x)=α(x)+α(x)であり、等しい又は異なるゼロでない係数α、αを有する。他の例では、加重和は、絶対値|f(x)|、正成分(f(x))、負成分(f(x))、べき関数(f(x))、対数lnf(x)、誤差関数erff(x)、指示関数、階段関数、符号関数、丸め関数、別の初等関数又は特殊関数、又はこれらの組み合わせによって成分f(x)をプリコンポーズした後に生成され得る。軟化子関数で成分を畳み込むことも可能である。このようにして、目的関数の各成分の影響を微調整し、他の成分に対して加減することができる。階段状の関数を使用することで、望ましくない境界効果又は漸近挙動を排除することができる。さらに、目的関数の規則性、従って、数値最適化への適性を改善することができる。
【0019】
第1及び第2の計画目標は、異なる生物学的エンドポイント又は共通の生物学的エンドポイントに対応し得る。本開示において、例示的な生物学的エンドポイント(又は臨床エンドポイント)としては、無病生存期間、無増悪生存期間、及びOARでの副作用の欠如が挙げられる。一実施形態では、第1及び第2の計画目標は、異なる生物学的エンドポイントに対応する。
【0020】
一実施形態では、各計画目標は、セットポイント値、下限、上限、又は間隔である、光子等価線量の数値条件を規定する。光子等価線量は、第1又は第2のRBE係数を使用して計算される値として理解されることを想起されたい。
【0021】
第2の態様において、本発明は、上記の方法を実施する治療計画作成システムを提供する。特に、治療計画作成システムは、第1及び第2の計画目標を受信するように構成されたインターフェースを含み得る。本発明はさらに、コンピュータ又は前記治療計画作成システムに上記の方法を実行させるための命令を有するコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、データキャリアに格納される又は配布され得る。
【0022】
本明細書で用いられる場合の「データキャリア」は、変調された電磁波又は光波などの一時的なデータキャリア、又は一時的でないデータキャリアであり得る。一時的でないデータキャリアとしては、磁気、光学、又はソリッドステートタイプの永続的及び非永続的ストレージなどの揮発性及び不揮発性メモリが挙げられる。さらに「データキャリア」の範囲内で、そのようなメモリは、固定的に取り付けられるか又はポータブルであり得る。
【0023】
第3の態様において、本発明は、治療計画コンポーネントと報告コンポーネントとを含むデータ構造を提供する。治療計画コンポーネントは、TVを含む患者の非光子照射を指定する治療計画を放射線送達システムに実行させる命令を包含し得る。報告コンポーネントは、2つ以上の報告量を包含し得る。第1の報告量は、第1のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第1の数値条件に関する第1の計画目標に関係する。第2の報告量は、第2の異なるRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第2の数値条件に関する第2の計画目標に関係する。計画目標に関して、上記のオプションa及び/又はオプションbが適用される。
【0024】
本発明の第3の態様に係るデータ構造は、2つ以上の異なる生物学的効果比モデルを用いる計画目標に基づいて生成された治療計画の共有及び格納を可能にする。データ構造は、放射線送達システムを動作させるための命令を提供する(治療計画コンポーネント)だけでなく、両方の計画目標が満足のいく程度まで達成されたことを受信者が確認することを可能にする報告量も包含する(報告コンポーネント)。例えば、受信者は、治療計画作成タスクを外部パーティに割り当てた臨床医又は処方発行者であり、そのような外部で作成された治療計画を実行する前に、各RBEモデルの観点から患者が受ける光子等価線量を検査することが望ましい。2つの異なるRBEモデルの下での光子等価線量に関して、臨床医が外部パーティに指示した場合又は処方を発行した場合があるが、これは本発明の第3の態様の本質的な特徴ではない。
【0025】
一実施形態では、1つの計画目標の報告量は、複数の空間点又はボクセルに関する(関係するRBEモデルの下での)前記光子等価線量の分布、前記光子等価線量の(関係するRBEモデルの下での)線量体積ヒストグラム、TVへの(関係するRBEモデルの下での)前記光子等価線量の最小、最大、平均、中央値、分散、標準偏差、又は変動係数、OARへの(関係するRBEモデルの下での)前記光子等価線量の最小、最大、平均、中央値、分散、標準偏差、又は変動係数、計画目標の達成の指標である。
【0026】
さらなる実施形態では、各計画目標について複数の報告量が存在し得る。
【0027】
本明細書で用いられる場合の「データ構造」は、データを編成するためのフォーマットに関係し得る。このフォーマットにより、データへの効率的なアクセス及び修正が可能となり得る。データ構造は、データ値の収集、それらの間の関係性、及びデータに適用できる関数又は動作に影響し得る。第3の態様に係るデータ構造は、データキャリアに格納される又は配布され得る。
【0028】
ここで、添付の図面を参照して、例としていくつかの態様及び実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る方法のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係る治療計画作成システムを概略的に例解する。
図3】放射線送達システムの略斜視図である。
図4】治療計画を実行するための命令と、異なるRBE係数に対応する第1及び第2の計画目標に関係する報告量とを含む、データ構造を例解する。
図5】下側においては、TV及びOARが識別される、放射線療法を受ける患者の概略的な断面図を、上側においては、それぞれ計画目標が適用される、TV及びOAR内の2つの体積を包含する。
図6図5と同様に構造化されているが、両方の計画目標が、TVのサブセットとして例示されている同じ体積に適用されるという違いがある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、本発明の特定の実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、本開示の態様をより十分に説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、実施形態は限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、それらは、この開示が充分及び完全となり、本発明のすべての態様の範囲が当業者に十分に伝わるように、例として提供される。
【0031】
図1は、標的体積TVを含む患者500(図5)、600(図6)の非光子照射を指定する治療計画を生成するための逆方向治療計画方法100のフローチャートである。
【0032】
方法100は、図2に例解されるタイプの治療計画作成システム200で実施され得る。治療計画作成システムは、インターフェース210、メモリ220、及び処理回路230を含み得る。インターフェース210は、グラフィカルユーザインターフェースを介するオペレータ入力によって又はデータ転送などによって、少なくとも第1及び第2の計画目標を受信するように構成される。インターフェース210は、治療計画作成システム200をデータネットワークに接続して、ユーザ、臨床医、研究者、治療計画作成者、放射線送達システムなどとの通信を可能にし得る。メモリ220は、治療計画作成システム200に方法100を実行させるための命令を有するコンピュータプログラム221を記憶するように構成され得る。処理回路230は、特に最適化プロセスを実行するために、コンピュータプログラム221の命令を実行し得る。
【0033】
第1のステップ110において、第1のRBE係数を使用して計算される治療計画の光子等価線量の第1の数値条件に関する第1の計画目標が取得される。第1の計画目標は、オペレータが入力するか、ポータブルメモリからの、ネットワークを介する、又は電子メールサービスを通じたデータファイルの転送を受信することで取得され得る。代替的に、自動化されたプロセスが、患者データに基づいて第1の計画目標を生成してもよい。
【0034】
第2のステップ120において、第2の異なるRBE係数を用いて計算される治療計画の光子等価線量の第2の数値条件に関する第2の計画目標が、第1の計画目標について概説した様態のうちの1つで取得される。
【0035】
例えば、RBE係数は、
- Carabeモデル(例えば、Carabe-Fernandez et al., “The incorporation of the concept of minimum RBE (RBEmin) into the linear-quadratic model and the potential for improved radiobiological analysis of high-LET treatments”, Int. J. Radiat. Biol. (2007), vol.83, pp.27-39[doi:10.1080/09553000601087176]参照)、
- Chen&Ahmadモデル(例えば、Chen et al., “Empirical model estimation of relative biological effectiveness for proton beam therapy”, Radiat. Prot. Dosim. (2012), vol.149, pp.116-123[doi:10.1093/rpd/ncr218]参照)、
- McNamaraモデル(例えば、McNamara et al., “A phenomenological relative biological effectiveness (RBE) model for proton therapy based on all published in vitro cell survival data”, Phys. Med. Biol. (2015), vol.60, pp.8399-8416[doi:10.1088/0031-9155/60/21/8399]参照)、
- Wedenbergモデル(例えば、Wedenberg et al., “A model for the relative biological effectiveness of protons: The tissue specific parameter α/β of photons is a predictor for the sensitivity to LET changes”, Acta Oncologica (2013), vol.52, pp.580-588[doi:10.3109/0284186X.2012.705892]参照)、
などの線エネルギー付与(LET)モデルの1つ以上の現象論に基づくパラメータ化に従い得る。
RBE係数はさらに、
- 局所効果モデル(LEM)(例えば、Scholz et al., “Computation of cell survival in heavy ion beams for therapy. The model and its approximation”, Radiat. Environ. Biophys. (1997), vol.36, pp.59-66[doi:10.1007/s004110050055]に記載の初期のバージョン参照)、
- 微小処方学的動的モデル(MKM)(例えば、Hawkins, “A microdosimetric-kinetic model for the effect of non-Poisson distribution of lethal lesions on the variation of RBE with LET”, Radiat. Res. (2003), vol.160, pp.61-69[doi:10.1667/RR3010]参照)、
のいずれかに従い得る。本明細書で用いられる場合の特定の「タイプ」のRBEモデルは、名前を挙げた著者らによる上記に引用した開示だけでなく、同じ著者又は他の著者によるさらなる開発、並びに、開示されたモデルの定量的及び定性的バリエーションも含む。
【0036】
さらなるオプションは、物理線量、位置、粒子エネルギー、及び/又は任意のさらなる関連する因子に基づいて、RBE係数、又は等価に光子等価線量を計算する外部ソフトウェアを用いることである。ソフトウェアは、最適化問題にインポートされるソースコードとして提供され得る。代替的に、最適化プロセス中にローカルソフトウェアライブラリに対して呼び出しが繰返し行われる。さらに代替的に、主に低い待ち時間を確保できる場合、ウェブアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)に対して呼び出しが行われる。ソフトウェアは、治療計画者にとって不透明であるという意味で外部的である、すなわち、すべての許容可能な入力(物理線量)に対して出力(光子等価線量)を返すが、治療計画者は、ソフトウェアが実装するRBEモデル又はソフトウェアの基礎をなす他の考慮事項を認識する必要はない。
【0037】
上記で説明したように、第1及び第2の計画目標は、オプションa、オプションb、又はその両方を満たす。
【0038】
例解するために、図5は、体積TV及びOARが識別された、患者の体500の断面を示している。TVとOARは、完全に分離して(又は互いに素に)示されているが、これらの体積がある程度重なっている、すなわち、部分的に分離していることは珍しくない。第1の計画目標は、第1のRBE係数RBE1を使用してTVのサブセット591について定式化され、例えば、修正Carabeモデルに従う光子等価線量が少なくともcユニットであることを必要とし得る。第2の計画目標は、OARと一致する体積592に適用される。例として、第2の計画目標は、Chen&Ahmadに従う光子等価線量の送達をcユニットに制限する。両方のRBE係数は可変であるため、オプションbが満たされる。
【0039】
図6に移ると、第1の計画目標と第2の計画目標は両方とも、TVのサブセット691、692に関係する。陽子照射の例示的なケースでは、第1の計画目標は、1.1モデルの下での光子等価線量の下限cであり、第2の計画目標は、McNamaraに従う光子等価線量の間隔[c,c]であり得る。したがって、オプションaが満たされる。オプションaは、サブセット691、692がTVから完全に又は部分的に分離されている体積、例えば、OARに含まれる体積である場合でも満たされるであろう。
【0040】
各計画目標は、前述のように、最適化関数、すなわち、目的関数の成分f(x)又は制約g(x)、h(x)として表される。最適化される目的関数は、変数xで表される治療計画の特性に依存する。治療計画は、放射線源によって患者に送達される放射線の記述であり、放射線源は、送達中に動的に変更され得る指定された配向でスペース内の位置に配置され、指定のタイプ及びエネルギーの非光子粒子を送達し、治療計画は、フルエンス、すなわち、患者の内部又は外部の仮想参照面の単位面積あたりの照射エネルギーの項で表され、さらなるオプションとして、治療計画は、マルチリーフコリメータ又は他のビーム制限デバイスへの命令、又はペンシルビームスキャニングシステムを制御するための命令として表され得る。
【0041】
治療計画は、図3に例解されるように、従来の放射線送達システム300による実行を意図し得る。当業者には理解されるように、放射線送達システム300は、放射線源を有するガントリと、治療中に患者を載せて固定するカウチを含み得る。ガントリとカウチの間で回転及び/又は平行移動による相対運動が可能である。特に、ガントリは、1軸又は2軸に対して回転可能であり、カウチは、垂直軸を中心として回転可能且つ少なくとも1つの次元に平行移動可能であり得る。これは、対応する複数のフルエンス要素で説明され得る複数の照射角度及び位置(又は入射方向)を可能にし、治療計画は、利用可能なフルエンス要素のすべて又はいくつかについてフルエンス及び/又は粒子エネルギー値を指定し得る。
【0042】
治療計画が実行されるときに患者の特定の体積にどれだけ多くの物理線量が吸収されるかは、特定の治療計画から明らかではない場合がある。物理線量を決定又は推定するために比較的複雑な計算が必要とされる場合がある。逆方向治療計画では、目的関数は、物理線量を定量化し得る。本発明が可能にすることを目的とする、特に2つの異なるRBE係数が用いられるときの、非光子放射線からの光子等価線量を研究する場合に、より一層の複雑さが追加される。一例として、目的関数は、すべてのフルエンス要素からの寄与を合計することで体積内の吸収物理線量を推定し、次いで、物理線量、体積の位置、又は他の関連する因子に基づいてRBE係数を作成し、最終的にRBE係数と吸収物理線量を乗算することでその体積内の光子等価線量を計算する式であり得る。
【0043】
治療計画者は、計画目標を目的関数に含めるか又は制約として提供するかについてある程度の自由度を有し得る。より正確には、制約を目的関数の項に変換するための技術が存在し、そのような項は、制約に違反するx値にペナルティを割り当てるバリア関数又は指示関数であり得る。線形化技術及び前処理技術を含む、目的関数の成分を1つ以上の制約に変換する方法もある。本発明の異なる実施形態において、第1及び第2の目標は、2つの目的関数成分、2つの制約、又は各タイプの1つの最適化関数である、最適化関数として含まれ得る。
【0044】
最適化問題Pは、以下のような表現を有し得る:
【数3】
ここで、Aは、許容可能な治療計画のセットを表し、制約の添字セットJ、Kの一方又は両方は空である場合があり、第1及び第2の計画目標は目的関数又は制約に含まれている。
【0045】
第3のステップ114において、問題Pを解くことで第1、第2、及び任意のさらなる計画目標を満たすことを目的とした最適化プロセスによって治療計画が生成される。問題Pは、例えば、逐次二次計画法、内点法、ニュートン法、準ニュートン法、勾配降下法、座標降下法、焼きなまし法、遺伝的アルゴリズム、タブーサーチ法、又は当該技術分野でそれ自体が公知である他の任意のソルバー法を使用して解くことができる。
【0046】
最適化プロセスの出力は、目的関数の最適値、又は、処理リソース/時間の使用と最適値の容認できる精度との間でバランスをとる近似最適値に対応し得る。同様に、制約がほぼ満たされているという状況ではそれを受け入れる必要がある場合がある。最適化プロセスの出力は、目的関数への最適化引数xの形態を有し得る。治療計画は、普通は、最適化引数xから単刀直入に導出し、放射線送達システム300に供給するのに適切な、好ましくは機械可読フォーマットにすることができる。さらに、目的関数f(x)の最適値又はその成分、或いは最適化引数について評価される制約で生じる式g(x)、h(x)をさらに回復することは興味深い場合があり、これらの量が光子等価線量を表している限り、それらは計画目標の達成を示しており、計画目標を指定したエンティティによる監視又は文書化の目的で用いられ得る。
【0047】
図4は、治療計画を実行するための命令を含む治療計画コンポーネント410と、異なるRBE係数に対応する第1及び第2の計画目標に関係する量を報告する報告コンポーネント420とを有するデータ構造400を例解する。コンポーネント410、420は、レコードタイプのデータ構造のフィールドとして含まれ得る。データ構造400は、治療計画とともに、異なるRBEモデルの下での治療計画の光子等価線量又は他の性能指数の検査を可能にする報告を格納又は共有するのによく適している。データ構造400は、治療計画作成システム200のインターフェース210によって出力され、最終的に放射線送達システム300で利用できるようにされ得る。データ構造400はまた、メモリ220に格納されてもよい。
【0048】
本発明の第1、第2、及び第3の態様について、少なくとも以下のユースケースが想定される。
【0049】
ロバスト最適化:本発明は、不確実性(例えば、粒子範囲の不確実性、セットアップの不確実性、臓器の動き、線量計算の不確実性)の影響が定量化され、最適化において考慮される、堅牢な治療計画作成と組み合わせて使用することができる。例えば、不確実性の定量化は、少なくとも1つの線量に対する少なくとも1つの最適化関数の少なくとも1つのエラーシナリオとその後の評価が得られる、少なくとも1つの線量又は近似線量の計算によって行うことができる。最適化は、例えば、ロバスト最適化又は確率的プログラミング又はその近似からの技術を使用して不確実性を処理する任意の公知の様態でエラーシナリオの線量を考慮に入れることができる。
【0050】
4D/複数画像セット最適化:本発明は、計画画像以外の少なくとも1つの画像が最適化において考慮される、4次元(4D)又は複数画像セット最適化と組み合わせて使用することができる。画像は、例えば、4Dコンピュータ断層撮影法(4DCT)、コーンビームコンピュータ断層撮影法(CBCT)、画像を生成するためのモデルを使用して生成された画像などの任意のソースから取得することができる。次いで、複数の画像を考慮して、例えば、各画像について計算された線量で評価される最適化関数を含めることによって、又は少なくとも1つの線量が変形され、別の画像に追加されるときに得られる累積線量で評価される最適化関数によって、最適化が実行される。
【0051】
多目的最適化:本発明は、競合する目標間での適切なトレードオフを見つけるべくユーザが探索することができる異なる目的構成要素の異なる重み付けに対応するいくつかの計画をシステムが生成する、多目的最適化(MCO)と組み合わせて使用することができる。異なるRBEモデルを使用する最適化関数を、制約として、種々の重み付けが考慮される目的構成要素として、又は生成されたすべての計画で固定の重みを有する目的構成要素として、MCO問題に含めることができる。
【0052】
辞書式最適化:本発明はまた、いくつかの最適化が順次に実行される、辞書式最適化技術と組み合わせて使用することができる。最適化関数が一度に1つ又は少数ずつ目的関数に含められ、達成された関数値(おそらく多少のスラックを有する)が、その後の最適化において最適化関数の制約として含められる。
【0053】
標的についての一定のRBE係数(例えば、1.1)と特定の可変RBEモデルとの両方に基づく最適化目的関数の同時使用。このようにして、治療計画者は、同じ体積内で可変RBE線量によって補われる限り、一定のRBE線量の或る程度の小さな過少線量が許容される治療計画を作成することができる。さらに、同時に一定のRBE(例えば、1.1)線量を確実に達成しながら、標的内でより一様な可変RBE線量を有する計画を生成することができる。
【0054】
特定のリスク臓器についての1.1モデルに基づく最適化目的関数の使用と、その他についての可変RBEモデルの使用。可変RBEは、場合によっては厳しすぎることがあり、治療計画者は、その他について可変RBEモデルを同時に使用しながら、1.1モデルでの経験を使用したいと思うかもしれない。
【0055】
リスク臓器についての1.1モデル及び特定の可変RBEモデルに基づく最適化目的関数の同時使用。これは、その2つの間での妥協を見出すこと又は両方が確実に達成されることを可能にし得る。
【0056】
同じ関心領域についての2つ以上の可変RBEモデルの使用。これは、どの可変RBEモデルを使用するべきかに関する不確実性、及び/又は同じモデルのパラメータの異なるセットに関する不確実性が存在するときに有用であり得る。これにより、異なるモデル間での重み付けされた妥協を見出すこと又はすべてが達成されることを確認することができる。
【0057】
いくつかの実施形態を参照しながら本発明の態様を主に上記で説明した。しかしながら、当業者にはすぐにわかるように、上記に開示した実施形態以外の他の実施形態が、付属の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6