(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-16
(45)【発行日】2023-06-26
(54)【発明の名称】集塵装置及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
A47L9/16
(21)【出願番号】P 2023019033
(22)【出願日】2023-02-10
【審査請求日】2023-02-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】品川 直子
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-095426(JP,A)
【文献】特開2017-063834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0289267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気から塵埃を遠心分離する第一分離部と、前記第一分離部で分離された塵埃を集積する第一集積部と、を内部に有する集塵容器と、
前記第一分離部を通過した空気から塵埃を遠心分離する第二分離部を内部に有する分離体と、
前記第二分離部で分離された塵埃を集積する凹形状の第二集積部を構成する凹状部を有する集塵体と、を備え、
前記集塵体が前記集塵容器及び前記分離体に対して分離可能であ
り、
前記第二集積部は、円環状又は円弧状であり、
前記凹状部は、前記第二集積部の内側の壁を構成する内壁を備え、
前記分離体は、外径が前記凹状部の前記内壁の内径より小さく前記内壁の内方を通じて前記第一分離部に挿脱可能な内挿部を備え、
前記内壁は、前記内挿部を前記第一分離部から引き抜く方向に延びている
ことを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記集塵容器、前記集塵体、前記分離体の順に配置され、
前記集塵容器と前記分離体とが係止され、
前記集塵容器と前記集塵体とが係止されて、
前記分離体が前記集塵容器から分離すると前記集塵容器と前記集塵体とが分離可能となる
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記第二集積部は、前記分離体を分離することにより開放され、開放された状態でも前記凹形状を維持する
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項4】
前記第二集積部は、前記集塵容器の外壁に対し内方に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項5】
前記内挿部は、前記集塵容器、前記分離体、及び、前記集塵体を一体的に組み付けた組み立て状態で前記内壁に径方向に圧接されるシール部を備える
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか一記載の集塵装置を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の分離部及び集積部を有する集塵装置及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機等に用いられる集塵装置として、含塵空気から粗い塵埃つまり粗塵を遠心分離する第一分離部と、第一分離部を通過した空気から細かい塵埃つまり細塵を遠心分離する第二分離部と、を備えるものが知られている。分離された粗塵と細塵とは、カップ状の容器の内部に別個に集積される。
【0003】
例えば、粗塵を集積する粗塵集積部に対し、細塵集積部が粗塵集積部の下端中央部に設定されているものが知られている。この構成の場合、第一分離部の一部をなして粗塵集積部の上端中央部に配置される円筒状のフィルタよりも細塵集積部を細くする必要があり、かつ、粗塵集積部の下端まで細塵を落とすために、細塵集積部を細長い形状とせざるを得ず、内壁への細塵の付着が細塵集積部の詰まりや異臭の発生の原因となることがある。
【0004】
それに対し、例えば、粗塵を集積する粗塵集積部に対し、細塵集積部が粗塵集積部の上端周辺部に設定されているものが知られている。この構成の場合、細塵集積部の詰まり等は生じにくいものの、細塵集積部を構成する内壁と外壁とが別個の部材に配置されていることで、塵埃の廃棄時に細塵集積部を開放する際に、内壁が配置されている部材を取り外すと細塵が内壁に持ち上げられるため、この持ち上げられた細塵の一部が外部にこぼれないように慎重な作業が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6869036号公報
【文献】特開2022-135553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、第二集積部に集積した塵埃が開放時にこぼれにくく、第二集積部への塵埃の詰まりが生じにくい集塵装置及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の集塵装置は、集塵容器と、分離体と、集塵体と、を備える。集塵容器は、含塵空気から塵埃を遠心分離する第一分離部と、第一分離部で分離された塵埃を集積する第一集積部と、を内部に有する。分離体は、第一分離部を通過した空気から塵埃を遠心分離する第二分離部を内部に有する。集塵体は、第二分離部で分離された塵埃を集積する凹形状の第二集積部を構成する凹状部を有する。集塵体が集塵容器及び分離体に対して分離可能である。第二集積部は、円環状又は円弧状である。凹状部は、第二集積部の内側の壁を構成する内壁を備える。分離体は、外径が凹状部の内壁の内径より小さく内壁の内方を通じて第一分離部に挿脱可能な内挿部を備える。内壁は、内挿部を第一分離部から引き抜く方向に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の集塵装置の分解状態を示す断面図である。
【
図2】同上集塵装置の一部を
図1からさらに分解した状態を示す断面図である。
【
図3】同上集塵装置の第二集積部の開放状態を示す斜視図である。
【
図4】同上集塵装置の第二集積部を拡大して示す断面図である。
【
図5】同上集塵装置の第二分離部を拡大して示す断面図である。
【
図6】同上集塵装置の組み立て状態を示す断面図である。
【
図7】同上集塵装置の組み立て状態を示す斜視図である。
【
図8】同上集塵装置を備える電気掃除機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図6及び
図7において、1は集塵装置を示す。集塵装置1は、集塵カップ等とも呼ばれ、含塵空気から塵埃を分離して集積する。集塵装置1は、筒状、好ましくは円筒状の外観を呈し、その軸方向を長手方向として構成されている。集塵装置1は、様々な電気機器に様々な角度で適用されるが、本実施形態では、説明を明確にするために、図中に示す矢印D方向、つまり集塵装置1の長手方向の一端側又は一方側を下方向として説明し、矢印U方向、つまり集塵装置1の長手方向の他端側又は他方側を上方向として説明する。すなわち、本実施形態における上下方向は、あくまでも説明のために付すものであって、電気機器での集塵装置1の使用状態や使用姿勢における上下方向を限定するものではない。
【0011】
集塵装置1は、複数の部材からなる。好ましくは、集塵装置1は、互いに着脱可能な複数の部材からなる。なお、以下、「着脱可能」という文言については、基本的に工具等を用いたり過剰な外力によって一部を破壊したりすることなく標準的なユーザが手動操作により着脱できることを指すものとする。本実施形態では、集塵装置1は、長手方向に互いに着脱可能な複数の部材からなる。
【0012】
図示される例では、集塵装置1は、第一部材2と、第二部材3と、第三部材4と、からなる。第一部材2、第二部材3、及び、第三部材4は、それぞれさらに細かい部材に分解されていてもよいが、本実施形態の集塵装置1の組み立て状態において、基本的に第一部材2、第二部材3、及び、第三部材4は、それぞれが一群として一体的に用いられる部材として説明する。本実施形態では、集塵装置1は、第一部材2と第二部材3との間に第三部材4が挟み込まれて組み立て状態となる。以下、集塵装置1の組み立て状態又は使用状態とは、第一部材2、第二部材3及び第三部材4を互いに一体的に組み付けた状態を言うものとする。
【0013】
そして、集塵装置1には、複数ステージの分離部が形成されている。本実施形態では、集塵装置1には、含塵空気から粗い塵埃である粗塵D1を分離する第一ステージ又は上流側ステージである第一分離部5と、第一分離部5を通過した空気から細かい塵埃である細塵D2をさらに分離する第二ステージ又は下流側ステージである第二分離部6と、が形成される。さらに、集塵装置1には、第一分離部5で分離された塵埃である粗塵D1が集積される第一集積部7と、第二分離部6で分離された塵埃である細塵D2が集積される第二集積部8と、が形成される。図示される例では、第一分離部5及び第二分離部6は、それぞれ空気から塵埃を遠心分離する遠心分離部である。本実施形態においては、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5を基準として、第一集積部7が第一分離部5の軸方向の一側である下方に位置し、第二分離部6及び第二集積部8が第一分離部5の軸方向の一側とは反対側である上方に位置するとともに、第二分離部6に対し、第二集積部8が下方に位置する。なお、第一分離部5の軸方向とは、第一分離部5における遠心分離の旋回軸の方向又はそれに平行な方向とする。以下、「平行」という文言については、完全に平行であるものに限らず、公差や誤差の範囲で略平行であるもの、実質的に平行であるものも含むものとする。また、粗塵D1とは、主として糸屑、髪の毛、綿埃等の繊維状の塵埃、砂粒等の質量が大きい塵埃を言い、細塵D2とは、主として粒子状又は粉末状で質量が小さい塵埃を言う。
【0014】
第一部材2は、カップ部、第一集塵カップ、あるいは集塵容器等とも呼ばれる。第一部材2は、筒状に形成されている。図示される例では、第一部材2は、円筒状に形成されている。第一部材2の内部に第一分離部5と第一集積部7とが配置される。本実施形態において、第一部材2は、第一分離部5と第一集積部7とを構成する部材である。集塵装置1の組み立て状態において、第一部材2の中心軸が、集塵装置1の中心軸と一致する。なお、以下、「一致」という文言については、完全に一致するものに限らず、公差や誤差の範囲内等で略一致するもの、実質的に一致するもの等も含むものとする。
【0015】
例えば、第一部材2は、円形状の底部20と、底部20の外縁部から立ち上がる側壁部21と、を有する有底円筒状である。
【0016】
底部20は、集塵装置1の最下部を構成する。底部20は、水平面に集塵装置1を載置した状態での集塵装置1の支持部となる。底部20は、円形の平板状に形成されている。
【0017】
側壁部21は、集塵装置1の下端部側の外殻を構成する。側壁部21は、上下寸法が径寸法よりも大きい、上下方向に細長い形状となっている。側壁部21により、第一分離部5及び第一集積部7が囲まれている。すなわち、側壁部21は、第一分離部5及び第一集積部7の外壁となっている。側壁部21の中心軸つまり第一部材2の中心軸が、第一分離部5の遠心分離の中心軸と一致する。好ましくは、側壁部21は、底部20から離れるにしたがい、つまり下方から上方に向かい、徐々に拡径されるように形成されている。
【0018】
また、第一部材2には、側壁部21に導入口22が形成されている。導入口22は、含塵空気を第一部材2の内部に位置する第一分離部5に導入する開口部である。導入口22は、集塵装置1及び第一分離部5における気流の最上流に位置する。導入口22は、側壁部21の内周面の接線方向に含塵空気を導入するように形成されている。本実施形態では、導入口22は、側壁部21の接線方向に延びるダクト状に形成されている。導入口22は、側壁部21の上下方向の中間部に位置する。図示される例では、導入口22は、側壁部21の上部寄りに位置する。
【0019】
また、
図2に示すように、第一部材2には、第三部材4を第一部材2に保持する保持部23が形成されている。保持部23は、第一部材2の内方へと第一部材2の軸方向に対し交差又は直交する方向に突出する板状の突出部として形成されている。好ましくは、保持部23は、第一部材2又は側壁部21の周方向に複数箇所、間欠的に形成されている。本実施形態において、保持部23は、側壁部21の上端部に形成されている。
【0020】
さらに、本実施形態では、第一部材2には、第三部材4を支持する部材支持部24が形成されている。部材支持部24は、第三部材4が第一部材2の内部の第一分離部5(
図6に示す)及び第一集積部7(
図6に示す)に落ち込まないように支持する部分である。部材支持部24は、側壁部21の上端部に対して段差状にさらに拡径された受け皿状に形成されている。本実施形態において、部材支持部24は、保持部23よりも上方に形成され、第一部材2の上端部を構成している。部材支持部24と側壁部21とが連なる段差部分に保持部23が位置する。図示される例では、部材支持部24は、側壁部21の全周に亘り形成されている。部材支持部24の上端部は、端部開口25となっている。本実施形態では、端部開口25が第一集積部7に集積された粗塵D1を廃棄するための塵埃廃棄口として機能する。なお、塵埃廃棄口については、第一部材2の下端部に形成し、底部20により開閉可能としてもよい。
【0021】
好ましくは、第一部材2は、透明な部材により形成され、外部から内部、つまり第一分離部5及び第一集積部7の少なくとも一部が目視可能となっている。そこで、
図7に示すように、第一部材2には、側壁部21に目印部210が形成されている。目印部210は、
図6に示す第一集積部7における粗塵D1の集積限界の目安となる。
図7に示すように、目印部210は、底部20に対して上方に離れ、かつ、導入口22よりも下方の位置にある。第一部材2において、基本的に目印部210以下の領域又は目印部210から底部20の上面までの領域が第一集積部7(
図6に示す)として機能し、その上方が第一分離部5(
図6に示す)として機能する。つまり、ユーザが第一集積部7(
図6に示す)に集積されている粗塵を第一部材2の外部から目視し、その位置を目印部210の位置と比べることで、第一集積部7(
図6に示す)に粗塵がまだ集積できるか、粗塵を廃棄すべきか、を判断できるようになっている。本実施形態では、目印部210は、側壁部21の外周面において、周方向に延びる線として形成されているが、これに限らず、文字や図柄等で表示されていてもよいし、それらの組み合わせ等が用いられてもよい。
【0022】
図6に示す第二部材3は、第二分離部組立、あるいは分離体等とも呼ばれる。第二部材3の内部に、第二分離部6が配置される。第二部材3は、第三部材4を通じて第一部材2に少なくとも下端部側が内挿される内挿部30と、第一部材2及び第三部材4の上方であり外部に位置する部材本体部31と、を有する。
【0023】
内挿部30は、部材本体部31の下端部から下方に突出する。第一部材2に内挿された内挿部30は、第一部材2の側壁部21に対して内方に離れて、第一部材2又は側壁部21と同軸状に配置される。内挿部30は、円筒状に形成されている。内挿部30は、第一分離部5内に挿入され、内挿部30の内部の空間部が、第一分離部5からの排気部であって、第一分離部5と第二分離部6とを連通する連通部の一部として機能する。また、本実施形態において、内挿部30は、補助的に第一分離部5の遠心分離の旋回中心を構成する。
【0024】
図示される例では、内挿部30は、円筒状のフィルタ部300を有する。フィルタ部300は、第一分離部5における気流の最下流となる部分である。フィルタ部300は、上下方向において、導入口22と少なくとも一部がラップする位置にある。フィルタ部300は、外周壁に通気口3000を有する。通気口3000を通じて、第一分離部5から空気が流出して第二分離部6へと流れる。本実施形態では、通気口3000は、フィルタ3001により覆われている。これに限らず、小面積の通気口3000が多数形成されることにより通気口3000自体がフィルタとして機能するように構成されていてもよい。
【0025】
また、内挿部30は、接続部301を有する。接続部301は、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5及び第一集積部7と、第二集積部8及び/又は第二分離部6と、を気密に接続する。接続部301は、フィルタ部300の上端側に位置する。接続部301は、通気口3000よりも上方の位置にある。接続部301は、フィルタ部300の外周壁から外方に突出している。接続部301は、フィルタ部300の全周に亘り連なる円環状に形成され、フィルタ部300と同軸状に配置されている。
【0026】
図4に示すように、接続部301は、シール部3010を有する。シール部3010は、接続部301の全周に亘り連なる円環状であり、集塵装置1の組み立て状態で、第三部材4に対して外周部が径方向に圧接されることで、第一集積部7と第二集積部8又は第二分離部6とを気密にシールする。シール部3010は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。シール部3010は、シール保持部3011に保持されている。シール保持部3011は、フィルタ部300の外周壁に形成され、外方に向けて開口されている。シール保持部3011の上部には、外方に向かって下方に傾斜する傾斜部3012が形成されている。傾斜部3012は、シール部3010の上部の少なくとも一部を覆っている。好ましくは、傾斜部3012は、シール部3010の上部全体を覆っている。
【0027】
また、本実施形態において、内挿部30は、
図6に示すように、圧縮部302をさらに有する。圧縮部302は、シェード部等とも呼ばれる。圧縮部302は、フィルタ部300の下端部に連なって形成されている。圧縮部302は、フィルタ部300と同軸状であって、フィルタ部300よりも径大の円筒状に形成され、フィルタ部300に対して段差状に拡大されて連なっている。圧縮部302は、第一部材2の内部を第一分離部5と第一集積部7とに上下に概略仕切る仕切り部となっている。圧縮部302は、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の下部である底部20に上下方向に対向するとともに、底部20に対し上方に離れた位置にある。圧縮部302は、下方が開口された有蓋円筒状となっている。図示される例では、圧縮部302は、フィルタ部300の内部と連通する圧縮開口3020を上端部の中央部に有する。圧縮開口3020は、第一集積部7に集積された粗塵D1の少なくとも一部を圧縮部302内に圧縮するためのフィルタ3021により覆われている。
【0028】
部材本体部31は、第一部材2及び第三部材4の蓋部又は第一集積部7及び第二集積部8の蓋部として機能する。部材本体部31は、内挿部30と同軸状の円筒状に形成されている。部材本体部31の径寸法は、第一部材2の最大径寸法と同等、又は、第一部材2の最大径寸法より僅かに大きく設定されている。
【0029】
本実施形態において、部材本体部31は、
図1に示すように、内挿部30の上端部と連なって形成された底面部310を有する。底面部310は、円形板状に形成され、内挿部30の上端部の全周から外方へとフランジ状に延びている。底面部310の外縁部寄りの位置には、底面部310から上方に立ち上がる円筒状の側面部311が形成され、側面部311の上端部の全周からさらに外方へと、フランジ部312が延びている。そして、フランジ部312の下部に、シール部313が配置されている。シール部313は、フランジ部312の全周に亘り連なる円環状であり、集塵装置1の組み立て状態で、第三部材4に上下方向に圧接されることで、第二部材3と第三部材4とを、又は、第二集積部8と第三部材4の外方とを、気密にシールする。シール部313は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。
【0030】
また、部材本体部31は、フランジ部312の外方にカバー部314を有する。カバー部314は、部材本体部31の外殻及び集塵装置1の上端部側の外殻を構成する。カバー部314は、円筒状に形成されている。カバー部314は、上端部がフランジ部312よりも上方に延びている。
【0031】
さらに、
図1及び
図7に示すように、部材本体部31は、カバー部314の上端部寄りの位置に、天面部315を有する。天面部315は、カバー部314の上端部側を覆っている。天面部315は、集塵装置1の上端部を構成する。天面部315は、円形状に形成されている。天面部315には、突起部3150が形成されている。突起部3150は、天面部315の外縁部近傍に沿って位置する円環状のリブである。天面部315の上面と突起部3150とにより、集塵装置1の下流側の空間部が囲まれている。
【0032】
また、
図1に示すように、部材本体部31には、底面部310、カバー部314及び天面部315により囲まれる空間部、つまり部材本体部31の内部に、第二分離部6を構成する筒状部316が配置されている。すなわち、集塵装置1の組み立て状態で、第一分離部5に対して上方に第二分離部6が位置する。本実施形態において、筒状部316は、所定の基準線Cを囲むように複数配置されている。所定の基準線Cは、例えば第二部材3又はカバー部314の中心軸であり、第一部材2の中心軸及び/又は第一分離部5の中心軸及び/又は集塵装置1の中心軸とも一致する。つまり、基準線Cは、第一分離部5の中心軸と同方向である。同方向とは、完全に同じ方向に限らず、公差や誤差の範囲で略同方向であるもの、実質的に同方向であるものも含むものとする。複数の筒状部316により囲まれる部材本体部31の内部の空間部が、内挿部30の内部の空間部と連通する風路部317となっている。風路部317は、内挿部30の内部の空間部とともに、第一分離部5と第二分離部6とを連通する連通部の一部として機能する。筒状部316の配置は、基準線Cを中心とする円環状であって、好ましくは、周方向に等角度又は略等角度に離れて位置する。
【0033】
筒状部316は、分離筒等とも呼ばれる。筒状部316は、筒状、好ましくは円筒状に形成されている。図示される例では、筒状部316は、下端部が小径で上端部が大径の截頭円錐状又は円錐台状に形成されている。すなわち、筒状部316は、下端部の断面積に対し、上端部の断面積が大きい。本実施形態において、筒状部316の断面積は、下端部から上端部へと、一定又は略一定の増加率で徐々に増加するように形成されている。そのため、筒状部316の外周面及び内周面は、中心軸L1を含む断面で見て、基準線C側とその反対側とで、それぞれ直線状となっている。ここで、筒状部316の断面積とは、筒状部316の内部において、筒状部316の中心軸L1に対して直交する方向の断面積を言う。
【0034】
図5に示すように、筒状部316には、導入開口部3160が形成されている。導入開口部3160は、第一分離部5を通過した含塵空気を第二分離部6に導入する開口部である。導入開口部3160は、風路部317から空気を各筒状部316内に分配する分配開口部である。導入開口部3160は、第二分離部6における気流の最上流に位置する。導入開口部3160は、筒状部316の内周面の接線方向に含塵空気を導入するように形成されている。導入開口部3160は、筒状部316の上端部寄りに位置する。導入開口部3160は、天面部315に近接している。本実施形態では、導入開口部3160を含む筒状部316の上端部の位置において、筒状部316の断面積が一定となっている。
【0035】
また、筒状部316は、内部で分離された塵埃、つまり細塵を下端部から排出する。すなわち、筒状部316の下端部は、細塵を第二集積部8に排出する塵埃排出口3161となっている。筒状部316の下端部は、底面部310に開口された開口部3100に対し上方から挿入されているため、塵埃排出口3161が底面部310の下部に露出している。開口部3100は、内挿部30の上端部の外方の位置に形成されている。塵埃排出口3161は、
図4及び
図6に示す集塵装置1の組み立て状態で、第二集積部8の上方に対向して位置する。すなわち、塵埃排出口3161の上下方向の投影範囲は、第二集積部8と少なくとも一部が重なる位置にある。また、図示される例では、塵埃排出口3161は、接続部301に位置する傾斜部3012よりも上方に位置する。塵埃排出口3161の上下方向の投影範囲は、傾斜部3012の先端部と重なっていてもよいが、好ましくは、傾斜部3012と重ならない位置にある。
【0036】
また、筒状部316は、細塵が分離された空気である清浄空気を上端部から排出する。すなわち、
図5及び
図6に示すように、筒状部316の上端部の内方に、清浄空気を排出する排気口3162が形成されている。排気口3162は、集塵装置1及び第二分離部6における気流の最下流に位置する。排気口3162は、天面部315に開口されている。排気口3162は、筒状部316と同軸状に配置された排気筒部3163の上端部として形成されている。排気筒部3163は、筒状、好ましくは円筒状に形成されている。図示される例では、排気筒部3163は、下端部が小径で上端部が大径の截頭円錐状又は円錐台状に形成されている。すなわち、排気筒部3163は、上流端である下端部の断面積に対し、下流端である上端部の断面積が大きい。本実施形態において、排気筒部3163の断面積は、下端部から上端部へと、一定又は略一定の増加率で徐々に増加するように形成されている。そのため、排気筒部3163の外周面及び内周面は、中心軸L2を含む断面で見て、基準線C側とその反対側とで、それぞれ直線状となっている。ここで、排気筒部3163の断面積とは、排気筒部3163の内部において、集塵装置1の中心軸又は基準線Cに対して直交する方向の断面積を言う。
【0037】
なお、排気口3162の下流側には、第二分離部6の排気口3162から排出される空気に微細塵がごく僅かに残留している場合にその微細塵を捕集するフィルタ等が配置されていてもよい。
【0038】
また、排気筒部3163は、天面部315の下面から下方に突出する。排気筒部3163の下端部は、導入開口部3160よりも下方まで延びている。また、排気筒部3163の上端部は、導入開口部3160よりも上方であって、天面部315の上面と面一となっている。そのため、排気筒部3163の下流端は、第二分離部6及び集塵装置1の下流側の空間部である天面部315の上方に突出していない。
【0039】
また、本実施形態において、
図1及び
図5に示すように、筒状部316は、上端部の中心が下端部の中心よりも基準線Cに近接するように傾斜している。つまり、筒状部316の中心軸L1は、下端部から上端部に向かって基準線Cに徐々に接近するように傾斜している。本実施形態では、排気筒部3163も筒状部316と同様に傾斜しており、、筒状部316の中心軸L1が排気筒部3163の上流端部である下端部の中心を通り、好ましくは、筒状部316の中心軸L1と排気筒部3163の中心軸L2とが一致している。筒状部316の上端部の中心は、排気口3162の中心であり、下端部の中心は塵埃排出口3161の中心である。すなわち、排気口3162の中心に対して、塵埃排出口3161の中心が、集塵装置1の中心軸又は基準線Cと直交する方向において、この中心軸又は基準線Cから遠い側にある。好ましくは、筒状部316及び排気筒部3163の傾斜は、カバー部314に近接する位置、すなわち基準線Cから最も遠い位置の外周面が基準線Cに対して平行であって鉛直上下方向に沿い、基準線C側である風路部317側が基準線Cに対して傾斜するように設定されている。そのため、風路部317は、上流端側である下端部から下流端側である上端部へと、徐々に縮小されるように形成されている。
【0040】
好ましくは、筒状部316及び排気筒部3163は、それらの中心軸L1,L2に対して直交する断面が円形となるようにそれぞれ形成されている。そのため、本実施形態において、塵埃排出口3161及び排気口3162は、上下方向から見てそれぞれ楕円形状となっている。
【0041】
さらに、
図6に示すように、本実施形態において、複数の筒状部316に対して外接する仮想外接円の径DIは、第一分離部5又は第一集積部7の最大外径以下に設定されている。仮想外接円とは、基準線Cに対して直交する面において、基準線Cを中心とし複数の筒状部316の断面に外接する円のうち最大のものを言う。図示される例では、筒状部316の傾斜が、カバー部314に近接する位置、すなわち基準線Cから最も遠い位置の外周面が基準線Cに対して平行であって鉛直上下方向に沿っていることから、仮想外接円は、筒状部316において基準線Cから最も遠い位置に外接する円である。本実施形態において、径DIは、第一部材2の側壁部21の最大外径である上端部の径以下となっている。
【0042】
また、
図1及び
図6に示すように、第二部材3には、第二部材3を第一部材2又は第三部材4に対して着脱可能に組み付けるための分離体係止手段である取付部318が設けられている。取付部318は、任意の構成としてよいが、本実施形態では、取付部318は、第二部材3を、第三部材4を上下方向に跨いで第一部材2に対して係止する係止部として構成されている。図示される例では、取付部318は、上下方向に長手状の操作部3180を有する。操作部3180の上端部側が、カバー部314の外面に対し、コイルばね等の付勢手段3181によって第二部材3又はカバー部314の外方に付勢された状態で保持されている。また、操作部3180の下端部側がカバー部314の下端部から下方に延びている。操作部3180の下端部には、係止爪部31800が内方に向けて突出している。そして、係止爪部31800が、第一部材2の上端部寄り、例えば部材支持部24の外部に形成された係止受け部26に引っ掛かることで、取付部318により第二部材3が第一部材2に対して上方に抜け止めされるように構成されている。また、操作部3180を付勢手段3181の付勢に抗してカバー部314側に押し込むことで、係止爪部31800が係止受け部26から離れることにより、第二部材3の第一部材2への係止が解除される。本実施形態では、取付部318及び係止受け部26は、それぞれ一対ずつ設定され、集塵装置1の中心軸を基準として互いに反対側の位置に配置されている。
【0043】
また、本実施形態において、
図7に示すように、第二部材3には、集塵装置1を電気機器に対して装着するための装着部319が設けられている。装着部319は、カバー部314に形成され、上端部側がカバー部314の上端部よりも上方に突出している。装着部319は、集塵装置1の中心軸を基準として導入口22とは反対側にある。図示される例では、装着部319の上端部側は、電気機器に対して集塵装置1を着脱する際に集塵装置1を回動させるための回動起点となっている。
【0044】
図1に示す第三部材4は、集塵体、第二集塵カップ等とも呼ばれる。第三部材4の内部に、第二集積部8が配置される。第三部材4は、第一部材2の端部開口25に対し着脱可能となっている。第三部材4は、概略円筒状又は円環状に形成されている。第三部材4の中心軸は、集塵装置1の組み立て状態で、集塵装置1の中心軸と一致する。つまり、第一部材2、第二部材3及び第三部材4は、集塵装置1の組み立て状態で互いに一致する中心軸を有する。図示される例では、第三部材4は、第一部材2及び第二部材3よりも上下方向の長さが短い。
【0045】
第三部材4には、内部に第二集積部8を区画する受け部40が形成されている。受け部40の内部の第二集積部8は、円環状又は円弧状であって、上部が開口され下部が閉塞されたポケット状の凹状部となっている。集塵装置1の組み立て状態で、受け部40すなわち第二集積部8の上部の開口が、第二分離部6に対して下方に離れた位置で塵埃排出口3161に上下に対向している。
【0046】
図4に示すように、受け部40は、円環状の底面部400と、底面部400の外縁部側から立ち上がる円筒状の外壁401と、底面部400の内縁部側から立ち上がる円筒状の内壁402と、を有する。
【0047】
底面部400は、細塵D2を受ける受け面である。底面部400の上面が第二集積部8の細塵D2を支持する支持面を構成する。底面部400は、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の側壁部21の内方に位置するとともに、塵埃排出口3161の上下方向の投影範囲内に少なくとも一部が位置する。好ましくは、底面部400は、外方に向かって下方に傾斜する傾斜面として形成されている。すなわち、底面部400は、内壁402側が外壁401側よりも上方にある。そのため、底面部400は、下端部が大径の外縁部をなし上端部が小径の内縁部をなす、截頭円錐面状又は円錐台面状となっている。
【0048】
外壁401は、第二集積部8の外壁を構成する。外壁401は、第一部材2の上端部に支持される部分である。外壁401は、第一部材2の部材支持部24の内部に沿って位置する。外壁401の内周面によって規定される第二集積部8の外径は、第一分離部5又は第一集積部7の最大外径以下に設定されている。本実施形態において、外壁401は、底面部400の外縁部の全周に亘り連なる第一外壁部4010と、第一外壁部4010の上部の全周に亘りに連なる第二外壁部4011と、を一体的に有して形成されている。第二外壁部4011は、第一外壁部4010よりも大径に形成され、第一外壁部4010に対して段差状に拡大されて連なっている。
【0049】
図示される例では、第一外壁部4010は、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の側壁部21の内面に沿って位置する。また、第一外壁部4010は、底面部400に向かい、徐々に内方に湾曲するように形成されている。本実施形態において、第一外壁部4010と底面部400とが連なる部分、すなわち外壁401と底面部400とが連なる部分は、第二集積部8の最下部であり、図示される例では第三部材4の中心軸を含む断面視でV字状に尖って形成されている。
【0050】
第二外壁部4011は、第一外壁部4010の上端部から上方へと延び、集塵装置1の組み立て状態で、上端部が第一部材2の上端部よりも上方に位置する。
【0051】
また、
図2に示すように、本実施形態において、外壁401には、保持受け部42が形成されている。保持受け部42は、第一部材2の保持部23を受けて、第一部材2に対し第三部材4を保持する。保持受け部42は、保持部23と同数設定され、周方向に間欠的に配置されている。図示される例では、保持受け部42は、周方向に沿う溝状に形成され、保持部23が周方向に挿入されるように構成されている。図示される例では、保持受け部42を保持部23に対し周方向にずらした位置で第一部材2に支持した第三部材4を周方向に相対的に回動させることにより、保持受け部42に保持部23が挿入されることで第一部材2に対し第三部材4が保持されるように構成されている。本実施形態では、保持部23と保持受け部42とにより、第三部材4を第一部材2に係止する集塵体係止手段が構成されている。
【0052】
さらに、本実施形態において、
図6に示すように、外壁401の上端部の全周に亘り周壁部43が連なって形成されている。周壁部43は、円筒状に形成され、集塵装置1の組み立て状態で、上下方向において、第一部材2の部材支持部24と第二部材3のカバー部314との間に位置して、集塵装置1の上下方向の中間部の外殻の一部を構成する。集塵装置1の組み立て状態で、周壁部43の内方に、第二部材3の側面部311が重なって位置し、周壁部43の上端部に対しシール部313が上下方向に圧接される。例えば、周壁部43は、第一部材2の部材支持部24の外径と略等しい外径を有し、外壁401の第二外壁部4011の上端部に対して段差状に拡大されて連なっている。周壁部43と第二外壁部4011との外側部の段差部分にシール部44が配置されている。シール部44は、周壁部43及び第二外壁部4011の全周に亘り連なる円環状であり、集塵装置1の組み立て状態で、第一部材2の部材支持部24の上端部に上下方向に圧接され、第三部材4と第一部材2との隙間を、又は、第一集積部7と第一部材2の外方とを、気密にシールする。シール部44は、例えば弾性を有するエラストマあるいはシリコンゴム等により形成されている。
【0053】
また、本実施形態において、
図1及び
図7に周壁部43の外側部には、第二部材3と第三部材4とを互いに抜け止めする規制部45が形成されている。規制部45は、任意の構成としてよいが、本実施形態では、集塵装置1の組み立て状態で、取付部318の操作部3180に対して周方向両側に位置する。そこで、集塵装置1の組み立て状態で第一部材2に一体的に保持されている第二部材3に対して第三部材4が周方向に相対的に回動しようとしたときに、規制部45と操作部3180とが干渉することにより、第一部材2に対する第三部材4の回動を規制することにより、保持受け部42に挿入された保持部23が抜けないようにしている。すなわち、規制部45により、第二部材3の取付部318の操作部3180を、集塵装置1の組み立て状態で第三部材3が第一部材2に対して回動しないように規制する回り止め部材として利用している。そのため、集塵装置1の組み立て状態で、第二部材3を第一部材2から取り外さない限り、第三部材4が第一部材2に対して回動することがなく、第一部材2から第三部材4が第二部材3とともに脱落しないように構成されている。
【0054】
図1、
図3及び
図4に示す内壁402は、第二集積部8の内壁を構成する。内壁402は、第二部材3の接続部301と気密に接続される部分である。図示される例では、集塵装置1の組み立て状態で、内壁402の内面、つまり第二集積部8の外部に接続部301のシール部3010が圧接される。内壁402は、上下方向に軸方向を有す円筒状に形成されている。内壁402により、集塵装置1の組み立て状態で第一部材2の内部と連通する挿入開口部46が囲まれている。内壁402の内径である挿入開口部46の径は、第一部材2の内挿部30の最大外径より大きい。そのため、挿入開口部46を通じて、集塵装置1の組み立て状態で第二部材3の内挿部30が第一部材2の内部の第一分離部5に挿入可能となっている。
【0055】
また、本実施形態では、受け部40の内部に、第二集積部8を周方向に複数に仕切る仕切り部403が形成されている。仕切り部403は、底面部400に連なり内壁402と外壁401とに亘って径方向に形成された壁部である。
【0056】
そして、上記の集塵装置1が用いられる電気機器として、本実施形態では、
図8に示される電気掃除機9を例に挙げる。
図8には、電気掃除機9の例として、本体部90を把持して操作するスティック型の電気掃除機を示す。本実施形態の電気掃除機9において、本体部90には、組み立て状態の集塵装置1が、第二部材3の装着部319により着脱可能に取り付けられる。
【0057】
本体部90には、負圧により吸引力を発生させる電動送風機等の吸引源91が配置されている。吸引源91の吸引側つまり吸気流の上流側に連通して、本体部90には接続口900が形成されている。接続口900は、本体部90に装着された集塵装置1に対して排気口3162と気密に接続される。また、本体部90には、接続口900に対して離れた位置に、本体部90に装着された集塵装置1に対して導入口22と気密に接続される連通口901が形成されている。さらに、本体部90には、連通口901と連通する吸引口902が形成されている。そのため、吸引口902には、連通口901、集塵装置1、接続口900を介して、吸引源91の吸引力が作用する。吸引口902には、風路体である延長管等の直管部92、又は、風路体である吸込口体等の掃除ヘッド93が接続される。
【0058】
さらに、本体部90には、吸引源91で吸い込んだ空気を本体部90から排気するための本体排気口903が形成されている。また、本体部90には、ユーザが把持して掃除操作するための把持部904が形成されている。把持部904には、吸引源91の動作を設定するスイッチ等の設定手段94が配置される。さらに、本体部90には、吸引源91等の駆動源となる電源部95、及び、設定手段94による設定に応じて吸引源91の動作を制御する制御部96等が配置されている。電源部95は、好ましくは電気掃除機9をコードレス式とするために二次電池等の電池とするが、商用電源から電力を取るコードリール装置等を用いてもよい。
【0059】
図示される例では、本体部90は、長手状に形成され、長手方向の一端部側に吸引口902が位置し、長手方向の他端部側に本体排気口903、把持部904及び電源部95が位置して、集塵装置1が本体部90の長手方向においてこれらの間に本体部90の長手方向に沿って位置するように本体部90に装着される。
【0060】
これに限らず、電気掃除機9は、床走行型又はキャニスタ型、アップライト型、自走式の掃除ロボット等でもよい。また、集塵装置1は、自走式掃除ロボットの充電装置又はダストステーション等の電気機器に用いられてもよい。
【0061】
次に、一実施形態の動作について説明する。
【0062】
集塵装置1を組み立てる際には、まず、第一部材2の端部開口25に第三部材4を取り付ける。本実施形態では、第三部材4は、第一部材2の部材支持部24に載置し、周方向に回動させることで保持受け部42に保持部23を挿入させることにより第一部材2に固定する。この状態で、第三部材4のシール部44が第一部材2の上端部に圧接される。次いで、第三部材4の挿入開口部46に第二部材3の内挿部30を挿入し、取付部318により第二部材3を第一部材2に係止する。この状態で、接続部301のシール部3010が挿入開口部46を囲む内壁402に圧接される。
【0063】
このように組み立て状態とした集塵装置1を本体部90に取り付けると、集塵装置1の導入口22が本体部90の連通口901と気密に接続され、集塵装置1の排気口3162が本体部90の接続口900と気密に接続される。そこで、吸引源91から、集塵装置1及び吸引口902に亘り連なる風路が形成される。
【0064】
電気掃除機9は、把持部904を把持したユーザが設定手段94を操作することで吸引源91の動作を設定すると、その設定に応じて制御部96が吸引源91を制御し、負圧が発生する。ユーザは、吸引口902に接続した風路体において、掃除ヘッド93を床面等の被掃除部上に載置し、把持部904により電気掃除機9の全体を前後に移動させながら、負圧を利用して掃除ヘッド93や直管部92等の風路体から塵埃を空気とともに吸い込む。
【0065】
掃除ヘッド93等から吸い込まれた含塵空気は、吸引口902から連通口901を介して導入口22を通じて集塵装置1の第一分離部5へと導入される。この導入された含塵空気は、
図6に示すように、第一部材2の側壁部21の内周面に沿って旋回する。この旋回により、塵埃のうち、特に重い塵埃である粗塵D1が第一分離部5で遠心分離される。分離された粗塵D1は、側壁部21の内周面に沿って落下し、第一部材2の内部の下部に位置する第一集積部7に集積される。
【0066】
本実施形態では、
図6の矢印に模式的に示すように、含塵空気が圧縮部302の下部まで旋回し、さらに圧縮部302の下部から圧縮開口3020へと吸い込まれることで、粗塵D1を圧縮しながら第一部材2の底部20、又は、圧縮部302の内方にてフィルタ3021の下部に押し込む。
【0067】
第一分離部5を旋回する含塵空気の一部は、旋回中心にあるフィルタ部300の通気口3000を通過し、その際に、塵埃の一部がフィルタ3001に捕集される。さらに、通気口3000及び圧縮開口3020を通過して第一分離部5から流出した含塵空気は、風路部317を上方へと通過し、導入開口部3160から第二分離部6を構成する各筒状部316の内部へと分配される。
【0068】
導入開口部3160から筒状部316の内部へと導入された含塵空気は、筒状部316の内周面に沿って旋回する。この旋回により、含塵空気に残留する軽い塵埃である細塵D2が第二分離部6で遠心分離されて筒状部316の内周面に沿って落下し、筒状部316の下端部の塵埃排出口3161から第二分離部6又は筒状部316の外部へと排出され、塵埃排出口3161の下方に位置する受け部40の内部に区画される第二集積部8に落下集積される。本実施形態では、落下した細塵D2は、塵埃排出口3161の下方に位置する傾斜部3012の傾斜に沿って、第二集積部8の内部に導かれる。
【0069】
第二分離部6の筒状部316内を旋回する空気は、細塵D2が分離されて清浄空気となり、旋回の中心に位置する排気筒部3163から排気口3162を通じて第二分離部6及び集塵装置1から排出される。
【0070】
集塵装置1から排出された清浄空気は、
図8に示す吸引源91に吸い込まれ、吸引源91の各部等を冷却した後、本体排気口903から本体部90の外部へと排気される。
【0071】
掃除が終了し、ユーザが設定手段94を操作して吸引源91の停止を設定すると、制御部96が吸引源91を停止させる。必要に応じて、ユーザは集塵装置1を本体部90から取り外す。
【0072】
そして、取り外した集塵装置1は、まず、取付部318の押圧操作により第一部材2に対する第二部材3の保持を解除した状態で、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して上方に移動させて内挿部30を第一部材2から引き抜いて取り外すと、
図1及び
図3に示すように、第三部材4が第一部材2の上端部に残留し、この状態で受け部40及び第二集積部8の上部が開放されて露出する。すなわち、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して少なくとも動かすことにより、第二分離部6が分離されて第二集積部8が開放される。なお、第二分離部6の分離とは、第二分離部6を構成する第二部材3を移動や回動等させることにより、第一分離部5、第一集積部7、第二集積部8、第一部材2、第三部材4の少なくともいずれかとの相対位置や相対姿勢を変えること、及び/又は、第二分離部6を構成する第二部材3を、第一部材2及び/又は第三部材4に対して取り外すことにより分離すること、等も含む。
【0073】
このように、本実施形態では、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して分離可能とすることにより、第二部材3の取り外しによって第三部材4の受け部40により構成される第二集積部8が開放され、第二集積部8が開放状態でも凹形状を維持するため、第二集積部8に集積された細塵D2が第二部材3の取り外しによる第二集積部8の開放時に第二集積部8から集塵装置1の外部にこぼれにくい。また、第二集積部8が第二分離部6とともに、第一分離部5に対して上方に位置しているため、例えば第二集積部を第一分離部に対して下方に位置する第一集積部の中央部に形成する構造等と比較して、第二集積部8の形状が第一分離部5や第一集積部7の構造に影響されにくく、第二集積部8を細長く形成しなくてよいため、細塵D2が第二集積部8の内面に付着して第二集積部8を詰まらせたり廃棄時に残留したりしにくく、細塵D2の残留に起因する異臭等も防止できる。
【0074】
また、第二部材3の接続部301が受け部40の内壁402の外方に設定されているため、第二部材3を第一部材2及び第三部材4に対して移動、回動、あるいは取り外すなどして動かしたときに仮に接続部301に付着した細塵D2が接続部301からこぼれたとしても、この細塵D2は凹形状を維持する第二集積部8へと落下して第二集積部8に集積されるため、細塵D2が集塵装置1の外部にこぼれにくい。
【0075】
さらに、第二集積部8が開放された状態でも細塵D2を独立して保持でき、集塵装置1のメンテナンス性が向上する。
【0076】
第二分離部6を構成する筒状部316の下端部の塵埃排出口3161から排出された細塵D2が傾斜部3012に載ったとしても、傾斜部3012が第二集積部8側へと傾斜していることでこの細塵D2を第二集積部8へと導くことができるので、傾斜部3012の上部に細塵D2が堆積しにくい。
【0077】
そして、第三部材4を第一部材2に対して周方向に回動させることで、保持部23を保持受け部42から相対的に引き抜いた位置で第三部材4を第一部材2から上方に持ち上げることにより、
図2に示すように第三部材4が第一部材2から取り外される。この第三部材4の取り外しにより、第一部材2の端部開口25が開口し、第一分離部5及び第一集積部7がそれぞれ開放される。
【0078】
粗塵D1は、第一部材2の上下をごみ箱等の所定位置でひっくり返すことで、第一部材2の第一集積部7から端部開口25を介して廃棄される。細塵D2は、第一部材2から取り外した第三部材4の上下をごみ箱等の所定位置でひっくり返すことで、第三部材4の第二集積部8から廃棄される。
【0079】
このように、本実施形態では、下から上に、第一部材2、第三部材4、第二部材3の順に配置され、第二部材3が第一部材2から分離すると第一部材2と第三部材4とが分離可能となるので、塵埃廃棄時に、まず第二部材3が分離され、粗塵D1を第一集積部7に集積した第一部材1と細塵D2を第二集積部8に集積した第三部材4とが一体の状態で残り、粗塵とD1と細塵D2とを個別に集積しているため衛生的である。そして、集塵装置1を一体として塵埃廃棄場所へ持って行き、そこで分離することにより、粗塵D1と細塵D2とを個別に廃棄することもできので、塵埃を容易にかつ衛生的に廃棄できる。また、部材個々に手入れがしやすく、メンテナンス性が向上する。
【0080】
特に、第二集積部8を第一集積部7又は第一分離部5の外壁を構成する第一部材2の外壁である側壁部21よりも内方に形成していることで、第一集積部7及び第一分離部5の外壁となる第一部材2の外径を小さくできるので、第一部材2のスリム化によって集塵装置1全体のコンパクト化が可能になる。
【0081】
そして、上記の集塵装置1を備えることで、電気掃除機9の軽量化及びコンパクト化も可能になる。特に、電気掃除機9がスティック型の電気掃除機の場合、集塵装置1をコンパクトでスリムな形状とできることで全体をスリム化できるとともに、集塵装置1が軽量であることで把持部904を把持したユーザの手への負荷が少なく、掃除操作がしやすくなり、使い勝手が良好となる。
【0082】
さらに、排気筒部3163の中心軸L2の上端部が基準線C側に傾斜しているため、各筒状部316の排気口3162からの排気を、基準線C側に集中させて吸引源91にまとめて吸引できるので、吸込効率がよい。特に、基準線Cと一致する集塵装置1の中心軸と吸引源91の中心軸とを一致させて配置する例では、各排気口3162からの排気が吸引源91に直接向かうので、より吸込効率がよい。
【0083】
なお、一実施形態では、取付部318として、第二部材2を第一部材2に対して組み付ける例を示したが、取付部318を、第二部材3を第三部材4に対して組み付けるものとした場合には、第三部材4を第一部材2に対して取り外すことで、第二部材3と第三部材4とが一体的に第一部材2に対して取り外し可能となり、さらに取付部318による組み付けを解除して第二部材3と第三部材4との一方を他方に対して少なくとも移動、好ましくは取り外すことで第二集積部8が開放されるので、一実施形態と同様に、第二集積部8が受け部40によって凹形状を維持することが可能である。このように、第二部材3と一体的に第三部材4を第一部材2から取り外し、さらに第二部材3から第三部材4を取り外すことにより第二集積部8が開放されるものであっても、第二集積部8に集積した塵埃である細塵D2が開放時にこぼれにくく、第二集積部8への細塵D2の詰まりが生じにくい等、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0084】
また、第一部材2により第一分離部5及び第一集積部7を構成し、第二部材3により第二分離部6を構成し、第三部材4により第二集積部8を構成する例を挙げたが、これに限らず、第一分離部5、第二分離部6、第一集積部7、第二集積部8は、それぞれ単数又は複数の部材により構成されていてよい。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 集塵装置
2 集塵容器である第一部材
3 分離体である第二部材
4 集塵体である第三部材
5 第一分離部
6 第二分離部
7 第一集積部
8 第二集積部
9 電気掃除機
30 内挿部
40 凹状部である受け部
402 内壁
3010 シール部
【要約】
【課題】第二集積部に集積した塵埃が開放時にこぼれにくく、第二集積部への塵埃の詰まりが生じにくい集塵装置及びこれを備える電気掃除機を提供する。
【解決手段】集塵体である第三部材4は、第二分離部6で分離された塵埃を集積する凹形状の第二集積部8を構成する凹状部である受け部40を有する。第三部材4が集塵容器である第一部材2及び分離体である第二部材3に対して分離可能である。
【選択図】
図1