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特許7298054生物活性をサポートする使い捨てバイオプロセスシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】生物活性をサポートする使い捨てバイオプロセスシステム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/12 20060101AFI20230620BHJP
   C12M 3/06 20060101ALI20230620BHJP
   C12M 1/02 20060101ALN20230620BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
C12M1/12
C12M3/06
C12M1/02 A
C12N1/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021002137
(22)【出願日】2021-01-08
(62)【分割の表示】P 2018527001の分割
【原出願日】2016-05-17
(65)【公開番号】P2021061853
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-01-22
(31)【優先権主張番号】PA201500453
(32)【優先日】2015-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】523139098
【氏名又は名称】ストッべ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ストッべ,ペル
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/051503(WO,A1)
【文献】特開2009-203822(JP,A)
【文献】特表平03-500847(JP,A)
【文献】国際公開第2014/204002(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/130617(WO,A2)
【文献】欧州特許出願公開第00995483(EP,A1)
【文献】米国特許第06544424(US,B1)
【文献】特表2014-528250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 1/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性をサポートする使い捨てバイオプロセスシステムであって、前記使い捨てバイオプロセスシステムは、
a)内部プロセス液体培養液容積を外部施設領域から分離する壁に取り囲まれた内部プロセス液体培養液を備える、液密コンテナと、
b)前記プロセス液体培養液と連通する第1の液体弁と、
c)プロセス液体培養液を前記コンテナの内部から離れる一方向に圧送するための、該プロセス液体培養液と連通する、電気的に制御される搬送用液体圧送デバイスと、
d)前記プロセス液体培養液と連通する第2の液体弁と、
e)前記内部液体プロセス培養液を前記外部施設領域から分離し、かつ、前記培養液を受け処理して濃縮及び透過するよう、第1の培養液インレットポートと、第2の濃縮液アウトレットポート及び第3の透過液アウトレットポートを備えて前記プロセス培養液と連通するフィルタデバイスと、
前記液密コンテナ(12a)の内部から前記液体圧送デバイス(15)まで延びる液体培養液連通手段と、
前記圧送デバイス(15)から前記第1の培養液ポートまで延びる未濾過液体の追加の連通手段であって、前記第1の培養液ポートは前記フィルタデバイス(16)の第1の未濾過液体連通インレットポート(16a)を提供する、追加の連通手段と、
前記第2の濃縮液アウトレットポートから前記コンテナの内部まで延びる未濾過濃縮液用のさらなる追加の手段であって、前記第2の濃縮液アウトレットポートは、前記コンテナ内プロセス培養液に未濾過濃縮液を再循環させる前記フィルタデバイスの第2の液体連通エクジットポートを提供する、さらなる追加の手段と、
採取液体産物として、前記フィルタデバイスを介して前記外部施設領域まで濾過済みプロセス培養液を運ぶための前記外部領域とフィルタデバイスとの間を連通する第3の透過液アウトレットポート(16e、16f)とを有するフィルタデバイスと
を備え、
前記第1の液体弁は前記コンテナと前記圧送デバイスとの間に設けられるとともに前記コンテナ内部の内部プロセス培養液と前記圧送デバイスとの間の連通を制御し、
前記第2の液体弁は前記圧送デバイスと前記フィルタデバイスとの間に設けられるとともに該圧送デバイスと前記フィルタデバイスとの間の連通を制御し、さらに、
前記使い捨てバイオプロセスシステムは、パルス化タンジェンシャルフロー(PTF)に従って動作し、
選択的に有効化される液体ループであって、圧送デバイス(15)の作用下で、培養液リザーバ(12d)すなわち内部プロセス液体培養液容積(12d)からクロスフローフィルタ(CFF)を介して当該培養液リザーバ(12d)に液体培養液を戻す液体ループを有し、
前記クロスフローフィルタ(CFF)は選択された成分をある液体容積から別の液体容積へと膜を通して移動させる液体移動デバイスを有し、
前記液体移動デバイスは、産物採取のための液体培養液の速度よりも速い液体培養液の速度で膜洗浄を行う膜洗浄モードを有し、該膜洗浄モードでの液体培養液の流れ方向は前記産物採取のための液体培養液の流れ方向と同じであり、かつ該膜洗浄モードでは、前記液体ループが有効化されて前記膜を通り抜けた液体培養液は前記培養液リザーバ(12d)に戻される
使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項2】
前記液密コンテナは、液体培養液を外部領域から隔てる壁と、単回使用バイオリアクタのヘッドプレート壁を備え、前記液密コンテナのハウジングは、側壁と、前記ヘッドプレート壁の反対側の底部壁を備え、前記液密コンテナのコンテナの所定の壁にはポートが配設される、請求項1に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項3】
前記コンテナ内の前記プロセス液体培養液は、前記圧送デバイス(15)及びクロスフローフィルタ(CFF)と連通し、前記圧送デバイス及びクロスフローフィルタ(CFF)の一方又は両方は前記液密コンテナ内に配設される、請求項1又は2に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項4】
前記圧送デバイス(15)は前記液密コンテナの外部に配設され、前記コンテナ内の液体培養液は前記圧送デバイス(15)に連通し、
前記ポートの少なくとも1つは前記液密コンテナの壁を通って延在し、
前記圧送デバイス(15)はクロスフローフィルタ(CFF)に連通し、
前記クロスフローフィルタ(CFF)は、前記液密コンテナの壁を通して培養液を保持する培養液リザーバ(12d)内の液体培養液に、及び前記液密コンテナ外の外部施設領域に連通する、請求項1または2または3のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項5】
前記液体培養液は、前記液密コンテナの内部に配設された圧送デバイス(15)に連通し、
前記ポートの少なくとも1つはクロスフローフィルタ(CFF)に連通し、
前記クロスフローフィルタ(CFF)は、前記内部液体培養液と前記液密コンテナの壁を通して該液密コンテナ外の外部施設領域とに連通する、請求項1~3のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項6】
前記液密コンテナは、側壁に配設された1つ又は複数のポートを備え、
1つ又は複数の前記ポートは、前記液密コンテナの内側と外側との流体連通を可能とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項7】
前記液体培養液連通手段は、前記液体培養液と前記液体圧送デバイス(15)と前記フィルタデバイス(16)としてのクロスフローフィルタ(CFF)との間で液体培養液を搬送できる弁を備える、請求項~6のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項8】
前記圧送デバイス(15)及び前記クロスフローフィルタ(CFF)は液密コンテナと合わせて配設され、
前記圧送デバイス(15)は液体培養液を一方向に搬送し、
クロスフローフィルタ(CFF)は、膜によって前記液体培養液を濃縮液及び透過液へと変換できる、請求項1~7のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項9】
培養液搬送のための前記圧送デバイス(15)は、培養液入口弁及び培養液出口弁を備え、
前記圧送デバイス(15)は、液体体積変化のための制御された駆動気体供給に接続される、請求項1~8のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【請求項10】
クロスフローフィルタ(CFF)は、培養液インレットポート及び濃縮液アウトレットポート及び透過液アウトレットポートを備える透過性膜を備え
前記クロスフローフィルタ(CFF)は、前記液体培養液と連通しており、
前記クロスフローフィルタ(CFF)の膜を通って搬送される前記培養液中に含有される微生物を分離し、
前記クロスフローフィルタ(CFF)は、前記膜の濃縮液側において、通過して来た加圧されたプロセス液体を受承し、
前記クロスフローフィルタ(CFF)は、前記液体培養液を前記膜の透過液側において、微生物非含有採取物液体に変換する、請求項1~9のいずれか1項に記載の使い捨てバイオプロセスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体物質の発現のために高い微生物濃度で液体培地中に懸濁された微生物の培養に最も好適に組み合わされた、単回使用バイオリアクタ、単回使用圧送デバイス、及び単回使用微生物保持フィルタからなる、使い捨てバイオプロセスシステム、並びに上記使い捨てバイオプロセスを連続プロセスで動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬用バイオリアクタ及び発酵槽において、その目標は、再生医療及び治療用途若しくは薬剤といった医療用途のための、生体物質又はバイオマスの生産、又は生体細胞若しくは微生物からの、治療目的のための若しくは薬剤としての分子のより典型的な発現のために、微生物を培養する又は発酵させることである。
【0003】
再使用可能な使い捨てでない撹拌タンクリアクタ(STR)は、バイオリアクタ又は発酵槽であり、これは、1リットル未満~200リットル超のサイズであり、ステンレス鋼及び高品質ガラスで形成される。研究室スケールのSTRバージョンの典型的な容積は、1~20リットルであり、取り外し式ステンレス鋼ヘッドプレートの下にガラスハウジング/コンテナを備え、STR全体は3脚金属構造体に懸架される。ヘッドプレートは、センサ、試料採取、ガス交換、培地交換、及びSTR内部の培地の撹拌を保証するための外部設置型サーボモータの接続のための中央に配向されたシャフト用の、複数のポートを内包する。STRの電気加熱ブランケット又はウォータージャケットによって、温度を調節する。
【0004】
使い捨て撹拌タンクリアクタは、90年代半ばほどの最近において新しいものであり、おそらくは流行を過ぎたものでさえあった。単回使用バイオリアクタ(SUB)が成熟したため、単回使用設備の市場におけるその需要は急速に拡大した。使い捨て生産設備への移行は、多くの例において、交差汚染の問題、蒸気滅菌及び洗浄要件のコスト削減、プラントの柔軟性の改善、最終製品のコストの削減及び市場までの時間の短縮を動機としている。
【0005】
従来技術
・いずれもMillipore Corpによる特許文献1、2は、剛性プラスチック上部カバー、及び1つ又は複数の流体ポートをハウジング本体に備える剛性プラスチック本体という2つの部品からなる、予備滅菌済み使い捨てバイオリアクタを記載しており、上記上部カバーにはセンサポートが一体化され、全てのポートはキャップを有する。
【0006】
・Corning Incによる特許文献3‐可撓性車軸上の羽根車と、乱流を生成する、3つのコンテナ壁が一体化したバッフルと、センサポートを備えないカバーとを備える、使い捨て対称円筒形プラスチックスピナーフラスココンテナ。
【0007】
・New Brunswick Scientific発酵槽ハウジング本体モデルBioFlo310は、金属ジャケット付き底部組立体、ガラスシリンダ、及び金属ヘッドプレートからなる。2つの水熱/水冷ポートを除く全てのポートは、ヘッドプレートに配設される。更に駆動モータがヘッドプレートに配設される。
【0008】
・Refined Technology Co.による特許文献4は、液体ろ過システムを開示し、これは、併せて高細胞密度培養のための細胞保持システムとして機能する、培養ストレージコンテナ、中空繊維フィルタモジュール、及び隔壁ポンプを備え、またこのシステムでは、圧送デバイスが、弁を用いずに、培地の再循環のために交互に動作する。
【0009】
・Artelis S.A.による特許文献5は、使い捨て培養物ハウジング本体を記載しており、これは、センサが一体化された少なくとも1つの外壁、高細胞密度の細胞保持システムとして機能する培養ゾーン及び移送ゾーン、並びに培地の再循環のための渦巻きポンプを備える。
【0010】
・Sartorius Stedim Biotech GmbHによる特許文献6は、培養コンテナの隣に、注入器が配設された1つ又は複数のエアレーションチューブを備える、バイオリアクタを記載している。
【0011】
・DASGIP Information and Process Technology GmbHによる特許文献7は、並列ブロックに適合するよう設計された(図5参照)小型使い捨てバイオリアクタ(STR)を記載している。このBioblockという製品は、温度制御を実施し、また撹拌デバイスの駆動も実施する。Bioblockは、STRコンテナの底部に内包された4つのSTR又はSUBを並列動作させるよう設計される。
【0012】
高細胞密度での半連続プロセスモード/灌流モードで撹拌タンクリアクタを動作させるには、細胞保持システム等の追加の技法及び設備が必要となる。撹拌タンクリアクタを、外部に配設される、自律型の交互流れ配向ポンプ、及びクロスフローフィルタ(Cross‐Flow‐Filter)デバイスと組み合わせると、中から高程度の細胞密度、及び数週間の灌流モード動作が良好にもたらされることが分かっている。業界でATFとして公知かつ支配的である、米国ニュージャージー州のRefined Technologyによる交番タンジェンシャルフロー(Alternating‐Tangential‐Flow)コンセプトは、高い細胞数、及び細胞非含有の産物の採取を可能とする。提供されている全てのATFは、再使用可能なステンレス鋼及びガラス設計であり、単回使用のための完全なセットアップとしての利用はできない。
【0013】
連続処理及び迅速な複数回の試験に関する業界からの需要の増大にも拘らず、完全に予備滅菌済みである単回使用パッケージにポンプ及び細胞保持システムを一体化した撹拌タンクリアクタの開発は、極めて驚くべきことに、推進されていない。業界は現在、時間及びコストの掛かる蒸気滅菌を必要とする、ガラス及び鋼鉄をベースとする従来のATFを供給されている。無菌状態である必要があるSTR又はATF部品のいずれの再使用は、汚染、及びコストの掛かる培養物の損失という主題に関与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国特許第2009/0311776号
【文献】欧州特許第2141224号
【文献】米国特許第2008/0131957号
【文献】米国特許第6,544,424号
【文献】国際公開第2010055143号
【文献】米国特許第7,425,441号
【文献】欧州特許第2674480号
【0015】
本発明に関連する定義
・用語「ある(a又はan)」は、本明細書中で使用される場合、1つ若しくは複数、又は少なくとも1つを意味する。
【0016】
・用語「交番/交互の(alternating)」は、本明細書中で使用される場合、双方向の液体流を指す。ある具体的な同一の体積が前方及び後方へと移動し、流れ方向の制御のための弁は含まれない。
【0017】
・用語「ATF」は、本業界及び本明細書で使用される場合、交番タンジェンシャルフロー(Alternating‐Tangential‐ Flow)を意味し、これは、ポンプの定格容積が一定であり、この容積が交番する、即ち前後(前方及び逆方向)に変化するというコンセプトであり、隔膜は2つの端部位置の間でのみ移動でき、新たな新鮮な液体又は培養液がポンプに直接加えられることはなく、弁は含まれない。
【0018】
・用語「逆流(backflow)」は、わずかな採取物の戻り流を指して使用され、これはTMP、即ち膜間圧(Trans Membrane‐Pressure)を増大させ、これは膜に沿った高速流が堆積物を除去するのをある程度支援する。逆流は、(剛性)膜産業において広範に使用されるものの「中空繊維モジュール(hollow fibre module)」等の弾性膜には適していない用語「バックフラッシュ(backflush)」と混同してはならない。
【0019】
・用語「バッチ操作(batch operation)」は、本明細書中で使用される場合、定常WVでの操作方法を指し、新鮮な培地は追加されず、使用済みの培地及び/又は液体は除去されず、典型的には、CHO細胞等の微生物を培養する際には1週間未満かかる。
【0020】
・用語「生体物質(biomaterial)」は、本明細書中で使用される場合、有機化合物、組織、細胞成分、身体適合性流体、バイオマス、生体複合体、生体適合性材料、一般的な抗体、DNA、RNA、タンパク質、治療目的のための分子等を指す。
【0021】
・用語「バイオリアクタ(bioreactor)」は、本明細書中で使用される場合、生物学的に活性の環境が、羽根車によって撹拌される液体培地中に懸濁された微生物の培養のために所望のプロセスを実施するために好適である、物理的デバイスを意味する。
【0022】
・用語「培養液(培養液)」は、本明細書中で使用される場合、未濾過液体内容物、発酵槽又はバイオリアクタ内の培養スープを意味し、これは細胞、デブリ、微生物、栄養素を含む培地、廃棄物、採取物等からなる。培養液、原材料は、CFFに入り、クロスフローフィルタ膜を通過し、これにより培養液は、CFFの出口においてわずかに濃縮された濃縮液(retentate)となり、バイオリアクタに戻されて、バイオリアクタ中の培養液と再混合される。
【0023】
・用語「CHO」は、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary)細胞を意味し、これは、医薬産業のタンパク質発現プラットフォームとして極めて一般的な、「微生物」及び哺乳類細胞株である。
【0024】
・用語「コンテナ(container)」は、本明細書中で使用される場合、中空ハウジング、内部リザーバを備える本体を意味し、これは開放又は閉鎖されていてよく、例えば限定するものではないが、ビーカ、フラスコ、瓶、チューブ、容器(vessel)、タンク、リザーバを形成する壁を備えたポリマー材料フィルムバッグである。コンテナは、例えば撹拌タンクリアクタとして動作する場合、典型的には、垂直壁と、下方を向いた水平底部壁とを有して構成され、これにより、コンテナ内の液体又は流体は、動作モード中、主にコンテナの内部に維持される。コンテナは円筒形設計、又は円錐形設計若しくは立方体状設計、可撓性フィルムバッグ、若しくはこれらの組み合わせといった非円筒形設計のものであってよい。コンテナは、SUB、SUP、CFFを内包するか又は取り囲んでよい。
【0025】
・用語「コンテナ容積(Container Volume:CV)」は、本明細書中で使用される場合、バイオリアクタ又は発酵槽又はミキサとして使用される場合のハウジング本体の総容積を指す。
【0026】
・用語「クロスフローフィルタ(Cross‐Flow‐Filter:CFF)」は、本明細書中で使用される場合、フィルタデバイス、分離デバイスであり、これは、液体、及び液体中に懸濁された選択可能な成分を、液体容積を有する上記分離デバイスに、上記デバイスの反対側へと通過させることができ、これは、所望の懸濁された成分が上記分離デバイスを通過せずに除去される特定の仕様を有する上記デバイスを横断、通過させることによって行われる。上記デバイスは、培養液のための第1の入口、及び濃縮液のための第2の出口を有する。第1の培養液入口と第2の濃縮液出口との間には、産物、濾過液、上記デバイスを通過した採取物のための第3の浸透出口が存在する。
【0027】
・用語「培養(cultivation)」又は「培養(culturing)」は、哺乳類細胞等の微生物を、上記微生物による産物の発現又は上記微生物の増殖といった産生を目的としたバイオリアクタ中で保持することを指す。
【0028】
・用語「堆積物(deposit)」又は「膜コーティング(membrane coating)」又は「濾過ケーキ(filter cake)」は、本明細書中で使用される場合、溶質、粒子、微生物を、クロスフローフィルタ膜表面等の膜表面上に、又は更には膜の細孔内に、膜の性能を劣化させ、かつ膜間圧を望ましくないレベルまで上昇させるような方法で、堆積させるプロセスを指す。このような堆積物は、洗浄目的の再循環培養液の高い速度等の、上昇した剪断力によって、除去できる。
【0029】
・用語「隔膜(diaphragm)」は、本明細書中で使用される場合、円形の、ある程度ドーム状になったゴム材料のシートであり、好ましくは外周に封止用構成を有する。隔膜はハウジング内で動作して、SUBからの培養液によって湿った側を、駆動流体側から分離する。
【0030】
・用語「使い捨て(disposable)」は、好ましくは低コストの、使用後に破棄できる、合成材料製であることが多い製品を指す。本明細書において提示される使い捨てバイオリアクタシステムは更に、使用の準備として梱包及び予備滅菌される。
【0031】
・用語「外部施設(領域)(exterior facility (area))」は、使い捨てバイオプロセスシステムが使用される研究室、生産施設、試験施設を意味する。外部施設では、下流プロセスも実施してよい。
【0032】
・用語「流加培養(fed‐batch)」操作は、本明細書中で使用される場合、最小の培地体積でプロセスを開始し、上記プロセスには新鮮な培地を加え、プロセスの終了まで液体を除去しない、バイオリアクタ又は発酵槽を指す。ハウジング本体内の最小の培地体積は、微生物を接種され、プロセス終了前に最大WVが達成されるまで、シード列(seed train)となる。典型的な操作時間は、バッチ操作の2~3倍長い。
【0033】
・用語「発酵槽(fermenter)」は、本明細書中で使用される場合、液体培地中に懸濁されてタービンによって撹拌された場合に発酵を行う微生物の発酵に好適な物理的デバイス、コンテナを意味する。
【0034】
・用語「発酵(fermentation)」は、本明細書中で使用される場合、産業目的の生体単細胞生物、原核生物、バクテリア等の微生物の、発酵槽中での保持を指し、産物を発現する。
【0035】
・用語「フィルタデバイス(filter デバイス)」は、本明細書中で使用される場合、CFFと呼ばれるクロスフローフィルタを指す。
【0036】
・用語「流体(fluid)」は、気体又は液体、即ち可変体積の空気若しくは窒素といった気体、又は定常体積の水及び/若しくは油等の液体、又は気体及び液体の混合物を指す。
【0037】
・用語「ガラス(glass)」は、本明細書中で使用される場合、透明なシリカ系の非晶質の脆性及び固体材料を指し、優れた耐腐食性を有することが多い。
【0038】
・用語「採取物(harvest)」は、本明細書中で使用される場合、バイオリアクタ内で培養された又は発酵槽内で発酵した微生物によって生成された、予想された産物である、培養液の産物部分(例えばタンパク質)を指す。採取物(濾過液、透過液)は、膜及び/又はCFF濾過によって、培養液から分離できる。透過液をCFFから除去すると、培養液は濃縮される。
【0039】
・用語「中空繊維モジュール(hollow fibre module)」は、本明細書中で使用される場合、ポリエーテルスルホン又は他のポリマーといった多孔性弾性材料から製作された複数の薄壁チューブの束の内部の端部カバーを備える、外側剛性壁チューブから作製されたデバイスを指す。上記チューブの束は封止されて端部カバーへと成形され、これは内部のチューブを外部のチューブから分離し、従ってクロスフローフィルタとして魅力的である。
【0040】
・用語「羽根車(impeller)」は、撹拌、混合、圧送、液体循環を目的として、液体が充填されたコンテナ内で回転する、複数のブレード又は翼を備える低速流体撹拌デバイスを指す。
【0041】
・用語「液体吸引チューブ(liquid suction tube)」は、本明細書中で使用される場合、コンテナから培養液を吸引、搬送する液体インレット、パイプ又はチューブを指す。液体吸引チューブは、液体を、インレット弁を通して圧送デバイスのインレットへと搬送する。
【0042】
・用語「培地(media)」、「成長培地(growth media)」、「栄養素(nutrient)」は、本明細書中で使用される場合、相互交換可能なものとして使用され、ほとんどが水、炭素源、酸素等の様々な気体、並びにビタミン、ホルモン、成長因子、動物血清、抗生物質、抗酸化剤、消泡剤、細胞安定剤及び「微生物」の培養のための他の成分といった添加物を含有する、滅菌複合混合物を指す。いくつかの培地は血清ベースであり、いくつかは血清非含有、動物非含有、タンパク質非含有、及びタンパク質非含有の、又は化学的に定義された培地である。培養中、培地及び微生物及び様々なデブリの組み合わせは、「培養液(broth)」と呼ばれる。
【0043】
・用語「膜(membrane)」は、境界層を指し、これは、選択的バリアとして機能し、(ポンプによって供給されるもの等の)駆動力の作用を受けた場合に、特定の又は所望の粒子、分子又は物質に対して不透過性のままとなる。多孔性膜は、ポリマー、セラミック、金属といった、多様な可撓性及び剛性材料から製作される。技術用語「クロスフローフィルタ(CFF)デバイス(Cross‐Flow‐Filter(CFF)デバイス)」としても見られる。膜は、採取物として公知の培養液の一部を澄ませる。
【0044】
・用語「膜汚損(membrane fouling)」は、本明細書中で使用される場合、固体、細胞、細胞部分、細胞膜、凝集物等が、層、生体膜、デブリのケーキを、多孔性膜インレット表面に生成した場合の影響を指す。この影響は、膜及び堆積物の組み合わせの抵抗の増大を克服して、必要な場合に一定の流動を維持するために、より高いTMPを要求する。膜堆積物は、高い剪断力、高い培養液速度、及び/又はバックフラッシュによって除去できる。
【0045】
・用語「マイクロキャリア(micro‐carrier)」は、付着依存性の微生物の培養を可能とする、微生物支持デバイス又は成長体を指し、これはゼラチン、コラーゲン、セルロース若しくはポリマー材料又はガラスで構成され、サイズ範囲は典型的には100~1000μmであり、1つ又は複数のコーティングで更に官能化できる。
【0046】
・用語「微生物(micro‐organism)又は「細胞(cell)」又は「生物細胞(biological cell)」は、本明細書中で使用される場合、相互交換可能なものとして使用され、典型的には以下のように分けられる:1.真菌、藻類、苔、プランクトン、酵母、原生生物、真核生物、古細菌、微小動物、極限細菌及び植物細胞等の、生体単細胞生物、細菌(microbe);2.動物細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、ヒト細胞、幹細胞といった、付着性又は半付着性又は懸濁された生体細胞;3.大腸菌等の原核生物及び多様なバクテリア。以上の大半は、特定の目的及び産物の需要に応えるために遺伝子修飾される。
【0047】
・用語「灌流(perfusion)」又は「細胞/微生物保持灌流(cell/micro‐organism retention perfusion)」モード動作は、本明細書中で使用される場合、培養期間全体を通して、培地を順次交換し、新鮮な栄養素を順次追加し、使用した培地/採取物を除去する、STR、SUBのための動作方法又は原理を指す。STR、SUB中に保持された微生物は、バッチよりも4~8倍長く、また流加培養よりも2~4倍長く存続する。
【0048】
・用語「透過液(permeate)」は、本明細書中で使用される場合、混合物、培養液、原料の、膜の通過が可能な特定の部分を指す。濾過液としても知られる。
【0049】
・用語「透過膜(permeable membrane)」は、本明細書中で使用される場合、多孔性壁を指し、「膜(membrane)」は、液体及び選択された粒子(サイズ分離)が上記膜を通過するのを可能とし、かつ特定の粒子が多孔性膜、バリア、分離壁を通過しないようにする。
【0050】
・用語「ポート(port)」は、本明細書中で使用される場合、好適な付属品又は関連するセンサ若しくは一般的な接続の取り付けを可能とする、壁のいずれの場所にある孔を指し、以下の群から選択される:PG13,5スレッドポート、ロッキングポート、圧入ポート、又はルアーロック付属品、接続用付属品、滅菌付属品、ホース、チューブ、タケノコ継手(hose barb)等に関わるポート。
【0051】
・用語「PG13,5」は、ネジ山付き機械的コネクタを備える従来のセンサ(RUS)又はポートである。PGは、Stahl‐Panzer‐Rohr‐Gewindeとして公知の技術規格用語である。
【0052】
・用語「PCS」又は「プロセス制御システム(Process‐Control‐System)」は、本明細書中で使用されるプログラマブル論理制御(Programmable Logic Control:PLC)、並びに計算能力を有する中央演算処理装置(Central‐Processing‐Unit:CPU)電子デバイスが組み込まれたパーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)及び埋込み式コンピュータ(Embedded Computer:EC)を指す。PLCは、プロセス制御を目的として、様々なセンサからの入力及び様々なアクチュエータのための出力を伴う、様々な入出力(I/O)を有する。PCSは、ソフトウェア、アルゴリズム、プロセスレシピをビルトインメモリ内に統合しており、これは、上記プロセスレシピに従った実行中のプロセスの整合のための、培養又は発酵プロセスの管理、分析のためのものである。PCSは、プロセスパラメータを変化させるための多様なセンサ及びアクチュエータに対応する。
【0053】
・用語「PTF」は、本明細書中で使用される場合、新規の本業界での用語法であり、本明細書で提示される発明であるパルス化タンジェンシャルフロー(Pulsating‐Tangential‐Flow)を意味する。PFTプロセスは、CFFを通る一方向の液体流を保証するための、第1のインレット弁及び第2のアウトレット弁を備えるポンプに関わる。
【0054】
・用語「濃縮液(retentate)」は、本明細書中で使用される場合、「膜」によって引き止められ、かつそのサイズ、形状又は電荷によって膜を通過しない、培養液中の部分、マイクロキャリア、粒子、「微生物」、混合物のデブリを指す。
【0055】
・用語「スケーラブル(scalable)」は、本明細書中で使用される場合、CV及びWVが固定されたガラスコンテナ寸法に限定されない場合の特徴を指す。更に、コンテナ直径と高さとの間の比を変更して、エンドユーザの要件に適合させることができることを指す。
【0056】
・用語「センサ(sensor)」は、本明細書中で使用される場合、所与のプロセス内で関連する作動中の品質プロセス変数、例えばpHレベル、溶解酸素(dissolved oxygen:DO)、バイオマス/細胞密度、キャパシタンス、導電率、溶解二酸化炭素、乳酸、グルコース、グルタミン、グルタミン酸、アンモニア、圧力、液位、流体質量流量、速度、温度、粘度等を測定できるデバイスを指す。SUP性能を測定するためのセンサは、近接センサであってよく、距離は機械的、光学的、電気的なものである(例えば三角レーザセンサ、圧力感受性レベルセンサ、又はキャパシタンス若しくは超音波ベースの距離センサ)。センサは一般に、再使用可能なセンサ又は単回使用センサとして利用可能である。
【0057】
・用語「単回使用(single‐use)」は、本明細書中で使用される場合、1回のみの使用のために、使用後に破棄されるよう設計された製品であり、典型的には「滅菌状態で(sterilized)」、使用準備ができた状態で配送され、例えば「単回使用バイオリアクタ(Single‐Use‐Bioreactor:SUB)」及び「単回使用センサ(Single‐Use‐Sensor:SUS)」である。
【0058】
・用語「単回使用センサ(SUS)」は、本明細書中で使用される場合、分析物、プロセス条件、流体濃度を作動中に測定でき、測定された濃度に関連する電気信号等の信号を送信できる、使い捨てデバイスを指す。安価なSUS本体は主に、二重又は三重フィルムバッグ内に全て内包された状態で同時に滅菌するために、SUB又はSUF内に事前設置されるよう、ポリマー材料から設計され、これはエンドユーザの利便性のためであり、エンドユーザはこれにより、使用前の滅菌を省略できる。
【0059】
・用語「単回使用バイオリアクタ(SUB)」は、本明細書中で使用される場合、STR又はバイオリアクタ又は単回使用発酵槽を含み、かつ好ましくは圧送デバイス及び1つ又は複数の「単回使用センサ」と共に事前設置される、1つ又は複数のフィルムバッグを指し、これらは全て使い捨て材料から製作され、滅菌によって使用準備ができた状態となっており、これにより従来の家庭内での加熱滅菌を排除できる。
【0060】
・用語「単回使用ポンプ(Single‐Use‐Pump:SUP)」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも部分的に使い捨て材料から製作された流体搬送デバイスを指し、例えば蠕動ポンプ又は遠心ポンプ又はチューブポンプ又は隔膜ポンプ又はピストンポンプ又は直接気体‐液体表面駆動空気カラムポンプ等であり、使い捨て湿潤部分及び再使用可能な非湿潤部分及び流れ方向の制御のための弁を備える。
【0061】
・用語「ステンレス鋼(Stainless Steel)」は、本明細書中で使用される場合、主にニッケル、クロム、バナジウム、炭素及び鉄をベースとする、少なくとも優れた耐腐食性を特徴とする合金金属を指す。
【0062】
・用語「滅菌(sterilization)」は、本明細書中で使用される場合、あらゆる形態の生命又は他の生物学的製剤を排除(除去)又は殺滅(不活性化)する、いずれのプロセスを指す。滅菌は、以下のうちの1つ又は複数によって達成できる:熱、化学物質、照射、高圧及び濾過。
【0063】
・用語「滅菌済み(sterilized)」は、本明細書中で使用される場合、プラスチックフィルムバッグに内包され、上記バッグの内容物が滅菌されることを保証する滅菌方法に供された、製品を指す。この製品は、1つ又は複数の上記フィルムバッグに入れて、開封及び使用の準備ができた状態でエンドユーザに供給される。これによりエンドユーザは、オートクレーブで処理した従来の再使用可能な設備と同様の煩雑な加熱滅菌を回避できる。
【0064】
・用語「撹拌タンクリアクタ(Stirred‐Tank‐Reactor:STR)」は、幅広く使用される表現であり、本明細書中で使用される場合、培地中の栄養素及び気体を「微生物」と強制的に交換するためのエアレーションデバイス及び1つ又は複数の撹拌又は混合デバイスを組み込んだ「コンテナ容積(Container Volume:CV)」を備える、バイオリアクタ又は発酵槽を指す。STRは主にステンレス鋼及びガラスから製作される。
【0065】
・用語「懸濁液(suspension)」又は「懸濁された(suspended)」は、本明細書中で使用される場合、STR又はSUB又は「コンテナ」内の液体中(培養液中)で好ましくは均一に懸濁又は結集された、粒子、人工粒子、マイクロキャリア、微生物を指す。
【0066】
・用語「タンジェンシャルフローフィルタ(Tangential Flow Filter:TFF)」は、本明細書中で使用される場合、選択された成分を圧力下で、ある液体容積から別の液体容積へと、「膜」(クロスフローフィルタ)を横断して移動させるデバイスであり、上記膜は、上記膜を通過する際に一部の成分を除去する。いくつかの膜又はフィルタデバイスは、カセットに組み込まれた、又は平坦な若しくは丸みを帯びたプレート、チューブ、波状チューブ若しくは積層中空繊維としてカートリッジ内に形成された、スクリーン、多孔性材料シートをベースとしたものであってよい。
【0067】
・用語「上部カバー(top cover)」は、本明細書中で使用される場合、上側の、典型的にはヘッドプレートを指し、例えば従来のSTR用の平坦な金属ディスクである。上部カバーは、限定するものではないが、1970年代以来Satorius、Applikon、Finesse、Broadley‐James及び他の供給元から供給されている、支配的なステンレス鋼/ガラスSTRから選択される。利用可能なPG13,5ポートの数は、上部カバーの直径に影響を受け、一般には3~4つのポートである。上部カバーは、平坦なディスク以外の形状を取ってもよく、1つ又は複数のポートを備えてよい。
【0068】
・用語「TMP」又は「膜間圧(Trans‐Membrane‐Pressure)」は、本明細書中で使用される場合、膜汚損、膜表面上に蓄積した細胞、デブリ、粒子の優れたインジケータを指す。TMPが増大することによって、一定の流動において膜汚損を補償する。
【0069】
・用語「有効容積(Working Volume:WV)」は、本明細書中で使用される場合、STR又はSUB内においてその中で培養が行われる、培地容積、プロセス流体、培養液を指す。更に「ヘッドスペース容積(head space volume)」+有効容積=コンテナ容積(CV)である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、SUP及びCFFが組み込まれたSUBを作動させる完全なPTFを示す。
図2図2は、コンテナの垂直側壁を貫通するチューブを示す。
図3図3は、コンテナの垂直側壁を貫通するチューブを示す。
図4図4は、一方向弁及びポンプに接続されたチューブを示す。
図5図5は、並列動作Bioblock内に設置された本発明を示す。
図6図6は、隔膜SUPをSUBとCFFとの間に備えるPTFのセットアップを示す。
図7図7は、弁及びクロスフローフィルタが設置されたPTFポンプを示す。
図8図8は、可能な流れ及びプロセス図である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0071】
本発明は、生物活性をサポートする使い捨てバイオプロセスシステムに関し、これは、内部プロセス液体容積を外部施設領域から分離する壁に取り囲まれたプロセス液体培養液容積を備える、液密コンテナを備え、上記プロセス液体容積は、第1の液体弁と、プロセス液体を内部プロセス液体容積から離れる一方向に圧送するための搬送用液体圧送デバイスと、第2の液体弁と、内部プロセス液体容積を外部施設領域から分離するフィルタデバイスとに連通する。上記システムはまた、上記液密コンテナの内部プロセス液体容積から上記液体圧送デバイスへの液体連通手段と、上記圧送デバイスから、上記フィルタデバイスの第1の未濾過液体連通ポートへと延在する、更なる未濾過液体連通手段と、上記フィルタデバイスの第2の液体連通ポートを介して上記コンテナの内部プロセス液体容積へと、未濾過濃縮液の液体を再循環させるための更なる手段とを備える。上記フィルタデバイスは、濾過済みプロセス液体を採取される産物として上記外部施設領域へと搬送するための少なくとも1つの第3の透過液アウトレットポートを備え、ここで上記第1の液体弁は、内部プロセス液体容積と圧送デバイスとの間の連通を制御し、上記第2の液体弁は、圧送デバイスとフィルタデバイスとの間の連通を制御し、フィルタデバイスアウトレットポートは、フィルタデバイスと外部施設領域との間を連通させる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明の目的は、生物活性をサポートする使い捨てバイオプロセスシステムを提供することであり、これは、内部プロセス液体容積を外部施設領域から分離する壁に取り囲まれたプロセス液体培養液容積を備える、液密コンテナを備え、上記プロセス液体容積は、第1の液体弁と、プロセス液体を内部プロセス液体容積から離れる一方向に圧送するための、第1の液体弁及び搬送用液体圧送デバイスと、第2の液体弁と、並びに内部プロセス液体容積を外部施設領域から分離する、第2の液体弁及びフィルタデバイスとに連通する。上記システムはまた、上記液密コンテナ(12a)の内部プロセス液体容積(12d)から上記液体圧送デバイス(15)への液体連通手段と、上記圧送デバイス(15)から、上記フィルタデバイス(16)の第1の未濾過液体連通ポートへと延在する、更なる未濾過液体連通手段と、上記フィルタデバイスの第2の液体連通ポート(16a)を介して上記コンテナの内部プロセス液体容積へと、未濾過濃縮液の液体を再循環させるための更なる手段とを備える。上記フィルタデバイスは、濾過済みプロセス液体を採取される産物として上記外部施設領域へと搬送するための少なくとも1つの第3の透過液アウトレットポート(16d、16e)を備え、ここで上記第1の液体弁は、内部プロセス液体容積と圧送デバイスとの間の連通を制御し、上記第2の液体弁は、圧送デバイスとフィルタデバイスとの間の連通を制御し、フィルタデバイスアウトレットポートは、フィルタデバイスと外部施設領域との間を連通させる。
【0073】
本発明は、薬学産業における微生物の連続処理のための使い捨てバイオプロセスシステムであり、これは、単回使用バイオリアクタ(SUB)、単回使用ポンプ(SUP)、及び単回使用CFFをベースとする微生物保持デバイスを組み込んだものである。用語「パルス化タンジェンシャルフロー」に従って動作した場合、使い捨てバイオプロセスシステムのPTFはエンドユーザに、以下のような便益、自由度及び特徴を提供する:
・使用コストを低減して研究室でのスループットを高めるために、本発明のPTFは事前に組み立てられ、事前に滅菌され、箱から取り出すとすぐに使用できるよう準備されているため、従来の時間がかかる蒸気滅菌を省略できる;
・研究及び開発並びにフルスケールの生産の両方に有益な事前組み立て及び事前滅菌コンセプトにより、交差汚染を排除できる;
・PTF細胞保持システムは、SUB内部又はSUBコンテナの外部にSUP及びCFFを統合し、これにより所望の灌流モードプロセスのための並列ブロック又はロボットデバイス内への設置も可能となるため、設置時間を最小化できる;
・SUP内の(隔膜若しくはピストンによって隔てられている場合もある)作動中の液位を測定するセンサによる、異なる採取物及び洗浄サイクルのためのCFFによる培養液速度及び体積の非並列制御;
・使い捨てバイオプロセスシステムにより、材料及び労力を有意に節減した、複数の微生物培養の迅速な評価、細胞株発現の生産性の向上が可能となる。
【0074】
医薬業界は、潜在的にはDASGIP並列動作バイオブロック若しくは全自動TAPバイオシステム(現在Sartorius Stedim Biotechから供給されている)を用いた並列処理において、又は連続処理の別個の実施において、向上された容積効率、作動中の分析者による測定を、全て灌流モード動作における微生物保持を目的とした能力を備える単回使用設計においてサポートする、SUBプラットフォームを望んでいる。本明細書において提示されるような使い捨てバイオプロセスシステム製品は、現時点では何故か存在しない。
【0075】
本発明は、バイオマス及び選択された成分の培養のためのSUB又は発酵のためのSUFを備える使い捨てバイオプロセスに関し、これは以下のような利点(以下に簡潔に記載する)を備える:
・任意に1つ又は複数の側壁ポートを備える内部リザーバを備える中空プラスチックコンテナに機械的に接続された、又はこれと一体化された部分である、様々なポートを備えるコンテナ。このコンテナは、選択可能な直径又は断面(例えば丸みを帯びた設計、円筒形の設計、又は立方体等の非円筒形の設計)及び高さを有し、所望の内部リザーバ及び容積を提供する;
・上記コンテナ内に垂直に配設された、任意のドラフトチューブステータ(draft tube stator)。これは、上記ドラフトチューブステータの外部空間に対して垂直及び径方向に配設されたバッフルを有しないか又は1つ若しくは複数有し、上記ドラフトチューブステータは、内部空間に格納された流体運動撹拌手段を有する。この1つ又は複数の内部リザーバ流体撹拌デバイスは、培地の径方向の渦を生成し、上記チューブステータはこれを軸方向の流体運動、及び更に効率的な混合用の軸方向渦に変換する;
・上記コンテナ内に垂直に配設され、コンテナの側壁から内向きに延在するSUBとして動作する、任意のバッフル;
・外部磁気手段によって駆動される、底部壁を通した磁力伝達のための、コンテナ底部に接触した磁石及び軸受を備える構成部品に取り付けられた回転シャフトに配設された、流体運動撹拌デバイス;
・動力入力のための、軸受/封止構成を介してコンテナの上部を貫通する回転シャフトに配設された、流体運動撹拌デバイス;
・細胞の安全なエアレーションを保証するための混合気体の追加分を供給することを目的とした、上記コンテナ内に垂直に配設されたチューブ;
・コンテナの培養液と単回使用ポンプデバイスとの間の液体連通。上記SUPデバイスは、圧送動作を促進するための、液体搬送及び/又は液体方向制御デバイスである。上記SUPデバイスは、コンテナ内又はコンテナの外部に配設してよい;
・灌流モード動作下での有利な微生物保持を促進するための、コンテナ、単回使用クロスフローフィルタデバイス、即ち上記CFFデバイスと、の間の液体連通。1つ又は複数の液体搬送及び/又は液体圧送デバイス並びに液体方向制御デバイスを構成する。1つ又は複数の上記CFFデバイスは、コンテナ内又はコンテナの外部に配設してよい;
・コスト効率の高い単回使用用途のために、使い捨て可能であると考えられ、かつ滅菌された状態でエンドユーザに供給される材料から製作される。
【0076】
SUBコンテナの寸法は、STRを設置できるバイオブロック又はロボット組立体の好ましい寸法によって制限されないものの、これらに対応してよい。
【0077】
コンテナは、外壁と、上部カバー及び底部カバーである2つの原則的に平坦な端部カバーとを備える、内部空間を提供する。コンテナ、ハウジング組立体の寸法は、直径10~500mm、例えば20~200mm、及び高さ10~1000mm、例えば50~500mmである。あるいは、コンテナの断面を測定すると、1~2000cm2である。あるいは、CVを測定すると、数ミリリットル~最大2000リットルである。
【0078】
本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは更に、プロセス手段を調節するための、リザーバとして存在する中空本体、クロスフローフィルタデバイス、エアレーションデバイス、器具類、センサ、液体搬送デバイス、弁、アクチュエータ、流体アキュムレータ等のうちの1つ又は複数といった、単純なバッチ動作を更に有利な灌流モード動作に拡張するための、追加で配設される多様なデバイス及び特徴を備える。
【0079】
更に本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは、微生物保持灌流モード動作のための、単回使用バイオリアクタ、液体搬送又は圧送デバイス、及びクロスフローフィルタデバイスを備える。このようなCFFは、薄型微孔性膜をハニカムモジュールに組み込んだ剛性の多孔性セラミック支持体から製作してよく、又は可撓性で半透過性の、平坦な若しくは丸みを帯びた膜、若しくはカートリッジ内に束ねられた中空繊維から製作してよい。CFFは、SUBの内部でプロセス液体培養液と液体接触して、又はSUBの外部で若しくはSUBに隣接して、コンテナ培養液の液位より上若しくは下でSUBから排出されるプロセス液体培養液と液体接触して、配設される。CFFは液体供給分に順次曝露され、この液体供給分は、液体搬送デバイスによって、SUBプロセス液体リザーバから、弁手段を通して、完全に内部にあるCFF濃縮液チャネルの濃縮液コンパートメントへと排出されて上記濃縮液コンパートメントを占有する。液体搬送インレット及びCFFアウトレット弁の両方を部分的に又は完全に閉鎖した後、液体搬送は、CFF膜に亘ってTMPを生成し、これは、プロセスからの、予想された所望のタンパク質産物の少なくとも一部を、培地中に懸濁させ、膜を通過させることによって、透過液、採取物へと変換する。CFF中の残存する微生物に富んだ液体、及び懸濁されたデブリは、同時に濃縮液へと変換され、水洗によって、液体搬送動作に好適な速度で、CFF出口を通ってリザーバへと戻される。
【0080】
CFFの透過液側を、好ましくは濃縮液の液圧未満の圧力に曝露することにより、TMPの損失を克服できる。実際には、透過液側に対する力によって、膜を通過する液体の制限による、半透過性膜のTMPの克服を支援することが好ましく、上記制限は主に、典型的にはCFFの濃縮液側における培養液から生成される膜汚損、堆積によって引き起こされる。
【0081】
本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは、多くの要件をサポートし、基本的な部品の製作への多様な剛性、半剛性又は可撓性製品の使用を容易にする。本発明の1つ又は複数の部品を形成するためのポリマー等の材料は、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、ポリアミド、PTFE樹脂及び他のフルオロポリマー、アクリル及びメタクリル樹脂及びコポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリスチレン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS並びにその合金及び混合物、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン(例えば直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン及びこれらのコポリマー)、ポリプロピレン及びそのコポリマー、並びにメタロセン生成ポリオレフィンであり、あるいは部分的に、シリコーン、ゴム及び他の弾性材料といった半剛性材料である。
【0082】
コンテナの個々の基本的な部品は、以下によって製造されるか、又は以下から組み立てられる:
・基本的な部品の射出成形若しくは吹込成形若しくは真空熱成形;
・基本的な部品の溶接;
・射出成形プロセスによる、基本的な部品の小片の成形;
・Oリング若しくはフラットワッシャ若しくは隔壁といった1つ若しくは複数のエラストマ要素(ニトリルゴム、シリコーンゴム、Vitonゴム、ラテックスゴム、EPDM若しくは他の弾性材料であってよい)による、組立表面間での基本的な部品の封止;
・UV硬化性接着剤若しくはエポキシ等の接着剤による、組立表面間での基本的な部品の封止;又は
・これらの組み合わせ。
【0083】
第1の実施形態では、本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは、液体ループ内に以下を備える、微生物保持灌流モードに好適な、使い捨て材料から製造された、本発明によるコンテナを提供する:
・プロセスパラメータを測定するセンサを実装するための、第1のコンテナの外壁に配設された様々なポート;
・更に、例えばSUPとして動作する第2のコンテナへの接続のための液体吸引チューブといった、様々なチューブ、ホース、ポートが外壁を通過し、そのうちのいくつかは、外部デバイスとの様々な流体連通のために、第1のコンテナ内部容積へと、及び第1のコンテナ内部容積から延在する;
・更に、第1のコンテナに、好適な内部容積を有する、SUPとして動作する第2の管状コンテナを付随させ、この第2の管状コンテナは、第1のインレットポート及び第2のアウトレットポートを備え、また上記コンテナは、底部カバー、上部カバーで閉鎖され、液位センサを備える;
・更に、液体に関して直流状態で配設された第1のコンテナ及び第2のコンテナに、CFFデバイスを付随させ、このCFFデバイスは、ハウジング、微孔性内部分離壁、第1のインレット、第2の出口及び第3の採取物ポートを備える;
・更に、配設された第1及び第2のコンテナ並びにCFFデバイスに、第1のコンテナから第2のコンテナへと一方向に培養液を案内する第1の弁と、第2のコンテナからCFFデバイスへと一方向に培養液を搬送する第2の弁と、CFFデバイスから上記第1のコンテナへ戻って液体ループを閉じる液体接続とを付随させる。
【0084】
第2の実施形態では、本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは、以下を備える、微生物灌流モードに好適な第1のコンテナを提供する:
・様々なプロセスパラメータを測定するセンサを実装するための、第1のコンテナの外壁に配設された様々なPG13,5ポート;
・更に、様々なチューブ、ホースが上記第1のコンテナの外壁を通過し、そのうちのいくつかは、外部デバイスとの様々な流体連通のために、上記第1のコンテナの内部容積へと、及び上記第1のコンテナの内部容積から延在する;
・培養液をSUPとして動作する第2のコンテナへと培養液を搬送するための培養液吸引チューブを更に実装するための、第1のコンテナの外壁に配設されたポート。第1のコンテナの内部の吸引チューブを備える上記第1のコンテナからの上記培養液のインレットは、上記第1のコンテナの外壁上部の貫通とは独立しており、本発明の使い捨てバイオプロセスシステムはまた、第1のコンテナの物理的寸法とは独立し、これは本発明の有益な特徴である;
・更に、第1のコンテナに、好適な内部容積を有する、SUPとして動作する第2の管状コンテナを付随させ、この第2の管状コンテナは、第1のインレットポート及び第2のアウトレットポートを備え、また上記コンテナは、底部カバー、上部カバーで閉鎖され、液位センサを備える;
・更に、液体に関して直流状態で配設された第1のコンテナ及び第2のコンテナに、CFFデバイスを付随させ、このCFFデバイスは、ハウジング、微孔性内部分離壁、第1のインレット、第2の出口及び第3の採取物ポートを備える;
・CFFの第2の出口ポートは、処理された液体を、チューブを介して第1のコンテナに戻し、PTFコンセプトを完結させる;
・CFFの第3のアウトレットは、採取物ポートと考えられる;
・互いに独立して配設された、SUP及びCFFコンテナ;
・第1のコンテナのリザーバ内のシャフトに配設された、液体撹拌用羽根車又はタービン。上記シャフトは外部手段によって回転駆動される。
【0085】
本発明の使い捨てバイオプロセスシステムの、第1の液体搬送変形例は、液体培養液搬送ポンプとして動作する、上記第1のコンテナと直列に液体接続されて配設された、第2のコンテナを利用する。上記第2のコンテナの内部空間は、第1の液体培養液及び第2の駆動気体コンパートメントを備える。プロセス培養液は、このコンテナから到着し、微生物及び様々なデブリを含有する。SUPである第2のコンテナは、以下を備える:
・第1のコンテナである液体培養液リザーバから、液体を搬送する、第1のインレット弁;
・CFFデバイスの第1のインレットポートへと液体培養液を搬送する、第2のアウトレット弁;
・(双方向液体運動である液体運動の交番とは反対に)一連の、ただし連続的な、一方向の液体運動における往復作用で圧送デバイスによって搬送される培養液の液位、培養液の体積及び培養液の速度を連続的に調整する外部駆動気体制御手段と対応する駆動ガス接続;
・液位測定センサ又は液体体積測定センサ、例えば内部又は外部に配設された単回使用センサ又は再使用可能なセンサといった、SUPアクティビティセンサ。
【0086】
上記CFFデバイスの第2の出口側は、任意の第3の弁に対応し、上記第3の弁のアウトレットは、第1のコンテナであるプロセス培養液リザーバに対応し、液体ループを閉鎖して完結させる。SUPコンテナ、並びに弁及びCFFデバイスは、SUBコンテナの外部又は内部に配設してよい。SUP及びCFFそれぞれを2つ以上、プロセスを推進するいずれの好適な組み合わせ及び数で、SUBと又はSUB内に統合してよい。
【0087】
それが望ましい場合、第2のコンテナ内の駆動気体コンパートメントと液体培養液コンパートメントとの間に、片側が湿っておりもう片側が乾燥、半乾燥している、隔膜、ピストン、ディスク等の分離デバイスが存在してもよい。
【0088】
培養の開始のために、SUB内の少なくともセンサ及び撹拌デバイスを被覆する所望量の培地を、所望のレシピに従って接種する。所望のバイオマス及びWVがその最大量に達すると、プロセスはバッチモード動作から保持灌流モード動作へと移行する。
【0089】
本発明の灌流プロセスは、以下の複数の異なる動作モード、原理の組み合わせである:1.培養モード(典型的にはSUB中で数週間継続される);2.採取‐CFF内での低速での「膜搬送モード(membrane conveying mode)」;3.堆積物除去‐CFFでの高速での「膜洗浄モード(membrane cleaning mode)」。
【0090】
複数の異なる独立した動作モードは、ここに記載されるように、望ましい間隔で互いの後に続く:
・上記SUBのプロセス液体は、SUBからSUPへの一方向の流体経路を保証する第1の弁に対応する;
・上記第1の弁は、1つの関連する液体搬送SUPに対応する;
・上記液体搬送SUPは、上記第1の弁を通して上記SUBから搬送されたプロセス培養液の容量が可変であり、また上記プロセス培養液に印加される圧力が可変である;
・上記液体搬送SUPは、プロセス培養液を、第2の弁を通して、1つ又は複数の上記CFFデバイスの第1のインレットへ、そして更にCFFインレットチャネルを通して、膜を横断するように、一方向に(交番させずに)搬送する;
・1つ又は複数の上記CFFデバイスの濃縮液側に対して、ある容積及び速度で、ただし圧力を低下させて、CFFデバイスの濃縮液膜側に沿って、上記CFFデバイスの反対側の第2のアウトレット/端部へと通過させる;
・上記処理済みの流体は、上記SUBに戻される‐膜洗浄モードでは、順次行われる高速の水洗によって、膜汚損、堆積物が除去され、これはSUBに戻される;
・濃縮液/CFF出口の後に任意の第3の弁を設け、これは、少なくとも部分的に閉鎖されている時に、液体搬送SUPが、上記CFFデバイスの1つ又は複数の上記膜の濃縮液側に比較的高い圧力を印加することを可能とし、上記膜は、膜搬送モードにおいて、微生物及び他の粒子を分離して、上記膜を通過するのを回避し、上記液体が上記膜を通過した場合、これを採取物又は採取される産物と見做すことによって、その孔を通して採取物を搬送する;
・上記採取される産物は、上記CFFデバイスの透過液側から分離され、外部で回収され、下流の処理へと進む;
・上記スケーラブルな単回使用バイオリアクタ中の培養液(細胞抽出物)から、ある体積を、廃棄物として順次除去することにより、急激な成長を低減し、所望のバイオマス全体を所望のレベルに維持する;
・これに従って、対応する体積の新鮮な培地を、第1のコンテナ、SUBに追加、補充する;
・サイクルを完了する。
【0091】
短いSUBバッチ培養時間(1週間)及び少数の微生物から、多量のバイオマス(5~10×10E6細胞/ミリリットル)が得られることが望ましい。実用上のPTF動作細胞密度は、20~100×10E6細胞/ミリリットルであり、これは好ましくは作動中バイオマスセンサを用いて測定される。一般に、高い細胞密度は、SUBに関して、より高い生産性を意味する。より長い培養時間は、より高いスループット、1サイクルあたりに培養の開始に費やされる時間がより短いことを意味する。従来のバッチプロセスは、洗浄とプロセスの再開とに1週間+1週間かかる。7~10日のバッチ培養の後、PTFプロセスを開始できる。5~6週間の連続処理時間は、バッチに対して5~10倍の細胞密度に関連する。本発明を用いると、次のプロセスの開始には1日しか必要でない。PTFに対するバッチと比較すると、PTFは細胞の産生及び採取物が30倍である。
【0092】
空気カラム駆動式の液体搬送SUP(図1)を備える第2のコンテナの便益は:懸濁された細胞に対する低い剪断応力;マイクロキャリアを、ここではマイクロキャリア又は細胞のいずれも蠕動ポンプを通過させずに扱うことができること;セットアップがデッドエンド濾過方式ではないため、CFFのクロック設定に関する問題がないこと;交番する液体流が存在しないこと;簡素化された動作;液体速度の良好な制御;そして最も重要なことには、SUPデバイスをプラスチックから設計でき、使い捨てバイオプロセスシステム内に完全に組み込んで滅菌できるようにする、簡素さ及び低いコストである。
【0093】
第1のコンテナ、SUBに関する一般的な条件は、単一の微生物を懸濁液中に維持すること、又は多数の微生物を、懸濁液中に維持されたコロニーに凝集させること、又は多数の微生物を、懸濁液中に維持されたマイクロキャリアに付着させることである。
【0094】
第3の実施形態は、1つ又は複数のコンテナを備え、これらは、それが望ましい場合には異なる直径及び高さ並びに内部空間容積を備える。第1のコンテナは、第2のコンテナと互いに対して外側に、又は第2のコンテナの外側に配設され、後者の場合、第2のコンテナは第1のコンテナによって取り囲まれる。第1のコンテナの内部空間は、微生物を含むプロセス液体培養液を内包し、また第2のコンテナは培養液を搬送するSUPであり、第3の、又は任意の第4のコンテナは、CFFデバイスである。第2のコンテナの内部空間は、空気駆動式のSUP圧送リザーバを備える。第2のコンテナは、駆動気体インレット、第1のプロセス培養液インレット、及び第2のプロセス培養液アウトレットを備える。上記SUPの第1のプロセス液体インレットは、第1の弁を介して第1のSUBコンテナリザーバに対応し、搬送されたプロセス液体は第2の弁を通過し、この第2の弁は、第1のCFFデバイスの培養液側の第1のインレットに対応する第2のプロセス液体アウトレットに対応する。上記CFFデバイスは、培養液を濃縮液の第2の出口へと搬送して、SUBへと戻す。上記CFデバイスは、全ての滅菌セットアップから採取物を引き出すために、その透過液の第3の出口から、微生物非含有液体を、外部手段との適切な接続を介して搬送する。
【0095】
第2のSUPコンテナのヘッドスペースに、制御された滅菌駆動気体体積及び圧力を供給することにより、プロセス液体培養液上のヘッドスペース容積の圧力を制御できる。ヘッドスペース駆動気体の圧力を制御することにより、プロセス液体の液位を制御する。第1のコンテナ内のプロセス液体の液位は、第2のコンテナの液位より低く、プロセス流体は、第1の弁を通過して第2のコンテナの内部空間容積へと搬送されなければならないため、これは全て、第2のコンテナのヘッドスペースの気体圧力によって制御される。ヘッドスペースの気体圧力の変動は、液位を調節し、任意の第3の弁と合わさって、採取のためにプロセス液体をTMP制御下で、又は濃縮液側における膜表面上の堆積物の除去のためにプロセス流体を高速で供給する。CFFは、その濃縮液アウトレットにおいて、任意の制御された第3の弁を利用し、これは、第1のコンテナのプロセス液体リザーバに接続された液体アウトレットを備える。第3の弁が開放されている場合、高速液体の膜洗浄パルスが戻され、第1のコンテナのプロセス流体リザーバへと戻るように搬送される。
【0096】
灌流プロセスを動作させるためには、第1のコンテナが、プロセス液体と、培養のために懸濁された微生物とを、培養液として保持する必要がある。少なくとも1つのCFFは、微生物(又はマイクロキャリア)をプロセス液体から順次分離することによって、微生物をいずれの時点においても、主に第1のコンテナの内部空間内に維持するよう動作する。1つ又は複数のSUP及び1つ又は複数のCFFは、それが望ましい場合は並列に動作してよく、更には、異なる仕様及び異なる制御パラメータで動作してよい。
【0097】
エンドユーザは、従来の、市販されていた唯一のステンレス鋼ハウジングに内包されたCFFでは、プロセス時間が、広範囲の膜の堆積物の問題によって制限されていることを経験している。唯一のCFFデバイスモジュールが輸送能力を喪失すると、滅菌条件下でCFFを交換して新しいCFFを再挿入することはできない。
【0098】
本発明は、第1のコンテナの内部及び外部に2つ以上のCFFを事前に設置するのを容易にすることによって、培養時間の延長を推進する。この特徴により、ユーザは、灌流モードでの第1のコンテナのプロセス動作時間を、多数の接続及び設置されたCFFモジュールによって延長できる。
【0099】
本発明により、1つの液体搬送用の第2のSUPコンテナを、1つ又は複数のCFFデバイスに接続できる。各CFFの性能は、例えば圧力降下(TMP)及び質量流量センサ等によって、継続的に監視してよい。CFFは、異なるサイズ及び異なる仕様のものであってよい。第1のCFFの寿命、即ち関連する膜間圧の上限に達すると、上記CFFは第3の弁によってブロックされ、滅菌セットアップを損なう危険なしに、次の新しいCFFが使用される。第1及び第2の弁は好ましくは、本発明に組み込まれる低コストの弁である。第3、第4の及びそれ以上の弁は、図8に示すような完全なプロセスループの事前組立及び事前滅菌を可能とすることにより、1つの完全に滅菌状態の構成部品を形成し、更なる局所的滅菌の必要を完全に排除する、制御されたホース/ピンチ弁であってよい。
【0100】
第4の好ましい実施形態(図6参照)では、自由浮動状態の制御されていない隔膜をベースとしたSUPが提供され、これは培養液をSUBからCFFへ、そしてCFFを通して搬送する。このSUPは、2つのハウジング部品を備え、これらはそれぞれ内部チャンバと、外周上のOリング封止用の溝とを備え、これらは、弾性要素によって組み付けられた時に、弾性要素によって隔てられ、かつ弾性要素によって封止される。上記弾性要素は、外周上の封止用Oリングと統合される、成形済みの薄型可撓性シートである。材料は、生物学的プロセスの要件に適合していることが好ましい。上側の単回使用湾曲ドーム部品は、2つのポート、即ち第1の一方向弁を介したSUBとの接続のための第1のインレットポート、及び一方向弁を介したCFFとの接続のための第2の出口ポートを備える。下側の潜在的に再使用可能なハウジング部品は、真空と、店舗で圧縮された空気との間の、制御された駆動気体圧力といった、駆動気体接続のためのポートを備える。隔膜は、2つのポンプ格納部品の内部寸法によって決定される、2つの端部位置それぞれまで最大限膨張した2つの位置を有する。
【0101】
SUBは、コンテナの底部プレートを通した磁気撹拌移送を行うコンテナである。羽根車と共に設置され、外部回転力によって駆動される、図示されている回転シャフトのような、様々な撹拌デバイスをSUBに追加してよい。吸引チューブは、培養液の吸引のために、SUBの壁を、SUBの内部の培養液容積内まで貫通する。吸引チューブは、ホースを介して、SUPドームの外側に位置する第1の一方向インレット弁へ、そして弾性隔膜と上部ドームハウジングとの間のSUPの上側内部液体チャンバへと、搬送を行う。この弾性隔膜は、上側の滅菌された湿潤環境と、下側の、湿潤でなく滅菌されていない駆動気体コンパートメントとを隔てる。このSUB吸引チューブはホース内まで続き、このホースは第1の弁のインレットのタケノコ継手(barb)まで続く。第1の弁は、SUBからSUPチャンバへの一方向の培養液の流れを可能とする。第2の弁は、SUP圧送チャンバからCFFインレットポートへの一方向の培養液の流れを可能とする。CFFは、培養液がそのチャネルに沿ってCFF出口まで通過するのを促進し、このCFF出口からは、ホースが、ここでは濃縮液となったものがSUBへと戻るように案内されて培養液と混合され、液体サイクルが終了することを保証する。
【0102】
更に第5の好ましい実施形態(図7参照)では、灌流プロセスセットアップにおけるSUBとCFFとの組み合わせ動作のためのSUPは、隔膜ポンプである。SUPの例は、国際公開第2010/069321号に記載されており、ここでは、自由浮動状態の、運動中でありながら位置が制御された弾性隔膜が提供され、これは培養液をSUBからCFFへ、そしてCFFを通して搬送する。このSUPは、2つのハウジングを備え、これらはそれぞれ内部チャンバと、外周上のOリング封止用の溝とを備え、これらは、弾性要素によって組み付けられた時に、弾性要素によって隔てられ、かつ弾性要素によって封止される。上記弾性要素は、外周上の封止用Oリングと統合される、成形済みの薄型可撓性隔膜である。材料は、生物学的プロセスの要件に適合していることが好ましい。上側の単回使用湾曲ドーム部品は、2つのポート、即ち第1の一方向弁を介したSUBとの接続のための第1のインレットポート、及び一方向弁を介したCFFとの接続のための第2の出口ポートを備える。下側のハウジング部品は、真空と、店舗で圧縮された空気との間の、制御された駆動気体圧力といった、駆動気体接続のためのポートを備える。再使用可能な下側ポンプハウジングは、弾性隔膜の位置をリアルタイムで、場合によっては0.1mmの精度で決定するためのセンサを備える。位置センサからのデータにより、PIDアルゴリズムに対する入力、及び隔膜の非湿潤側に対する可変駆動気体圧力のための比例弁の開放のリアルタイム調節のための出力を計算できる最新の電子機器による、SUPの速度及び容積の制御が可能となる。上記隔膜は、これに従って位置を変化させ、選択された隔膜位置に従って液体の所望の部分を移動させる。隔膜ベースのポンプは、弁と直列で動作し、SUBとCFFとの間に配設され、1つの第1の弁がSUPのインレット側にあり、1つの第2の弁が、CFFの濃縮液インレット側に対面するポンプのアウトレット側にある。任意に、1つの第3の弁が、TMP制御のためにCFFのアウトレット側にある。隔膜ポンプは、第1及び第2の弁と協働し、また第1及び第2の弁と直列で動作し、これにより、本発明のPTFコンセプトである一方向の流れを制御でき、またこれを保証する。SUPは、CFFを通る培養液の体積及び速度、並びに採取物の体積、並びにCFFの濃縮液側の再循環体積を制御する。採取を行う状況において漸増するTMPを克服するために、SUPによって圧力が供給される。集まった膜堆積物を順次水洗するための培養液の速度により、CFFの膜間圧はその元のステージに回復される。
【0103】
増加するTMPの克服は、SUPがプロセス培養液で満たされ、またCFFがプロセス培養液で満たされ、第1の弁が閉鎖され、第2の弁が開放され、任意の第3の弁が部分的に閉鎖された時に確立される。上記ポンプの制御された隔膜が膨張すると、システムの圧力が上昇してTMPが克服され、また上記膜は液体を搬送し、これにより濃縮液を、所望のタイプの採取物としての透過液へと変換する。
【0104】
実用的な1つの手順は、SUP隔膜が弛緩ステージにあり、ポンプチャンバ及びCFFがプロセス培養液で満たされ、第1の弁のみが閉鎖されている時に、ポンプに関してCFFの反対側に配設された任意の第3の弁がここで開放され、これにより、高速の液体(1~20m/秒等)が1つ又は複数のパルスでCFFを通って圧送される。上記液体培養液は、開放された第3の弁を通り、SUBリザーバへと戻り、CFFの濃縮液膜表面から、回収された細胞材料に沿って堆積物等を引きずる。液体ループは、これら全ての構成部品が閉鎖ループとして供給を受け、閉鎖ループとして動作するようなものである。膜の堆積物の除去に、交番する液体の流れは必要ない。「新鮮な」プロセス液体培養液を用いて膜の順次洗浄を行うため、本発明のPTFセットアップにおける、一方向のみの液体方向により、概して本システムが、具体的にはCFF性能が、改善される。
【0105】
隔膜ポンプの実施形態のSUPは、真空~大気圧超の駆動気体圧力に曝露された場合に所望の形状に膨張でき、及び/又は所望の形状に戻ることができる隔膜である、可撓性及び/又は弾性要素をベースとしたものである。片側では駆動気体、もう片側ではプロセス液体による、可撓性及び/又は弾性要素の運動は、滅菌されていない非湿潤側を、湿潤かつ滅菌環境によって隔離する。更に、隔膜は異なる複数の形状を取ってよく、コンテナの外側及び内側、又は剛性コンテナ壁の一部、又はコンテナ壁の部分的に外側及び内側のいずれの場所に配設してよい。隔膜は、弾性材料シート形状、球体形状、部分球体形状、チューブ形状、円筒形状、一端が閉鎖された部分円筒形状を取ってよい。
【0106】
本発明のPTFに関して、第1及び第2の弁は、当業界ではアンブレラバルブ又はボールバルブ又はダックビルバルブとして知られる、受動型一方向弁、あるいは、ピンチ弁又はホース弁又はシート弁又はキノコ弁又はこれらの組み合わせといった、外部手段によって制御される弁であってよい。
【0107】
膜濾過を用いた作業の経験を有する者であれば、堆積物、デブリ、詰まりが重大な問題であることを知っている。弾性膜上の体積物は、プロセス中に、培養液速度の制御された迅速な変化によって除去できる。Spectrum Laboratories Inc.(米国カルフォルニア州)製及びRefined Technology(現在の名称はRepligen Corp.:米国マサチューセッツ州)製の、市販されている細胞保持CFFシステムにおいて使用されるポンプは、培養液速度の迅速な変化を実現できない。Spectrum Laboratoriesは遠心ポンプを使用しており、Refined Technologyでは、隔膜ポンプの移動の柔軟性が制限されている。
【0108】
本発明は、CFF膜表面を通過する培養液速度の幅広い迅速な変化(メートル/秒で測定)を利用する。採取モードに関しては、0.01~1m/秒といった低速で十分である。洗浄サイクルに関しては、1~20m/秒以上というより速い速度により、堆積物の除去が推進される。システムのSUPは、個々の圧送サイクル間に、ある圧送サイクルから次の圧送サイクルまでに、最低速度から最高速度まで、速度を制御下で変化させることができる。これにより、表現「採取サイクル(harvest cycle)」及び「洗浄サイクル(cleaning cycle)」が生み出される。より良好なCFF性能、及び集積するCFF堆積物によってプロセス性能が制限されるまでの、より長いプロセス寿命を利用し、培養が終了する。
【0109】
培養のための加熱及び発酵のための冷却といった、培地リザーバの熱エネルギの交換を、SUBを加熱ブランケット又はウォータージャケットシステムで包むことによって実施してよい。
【0110】
熱制御は、培養液中の合計バイオマス、細胞密度の制御に使用することもできる。例として、CHO細胞等の哺乳類細胞は、37℃において最大細胞成長速度を示す。上記細胞は24時間に1回前後分裂して指数関数的に成長し、最終的にSUBをブロックする。温度を3~10℃低減することにより、SUB内において、20~100×10E6細胞/ミリリットルといった安定した細胞密度、細胞数を数週間に亘って達成できる。
【0111】
本発明の使い捨てバイオプロセスシステムの挿入のための、更なるデスクトップ配設型並列ボックス、ソケット、ワークステーション、ロボットは、より容易なサンプリング、センサと配線及び関連するPCSとの完結な接続といった便益を提供する。並列動作セットアップは、SUB本体の設置を促進するいずれの形状であってよい。SUBは、双方向に配設された1つ又は複数の行として配設してよく、1セットアップに1~48個以上のSUBを備える組立体を形成する。
【0112】
交番タンジェンシャルフローの詳細
Refined Technologyによる、市場において支配的な交番タンジェンシャルフローコンセプト「ATF」は、パルスでの2つの流れ方向、即ち双方向流コンセプトである。ATFは、クロスフローフィルタデバイス内での液体の交換の削減を提供する。というのは、各ストロークにおいてCFF内部容積全体を新鮮な液体で交換しないためである。CFF内では制御されない希釈が発生する。
【0113】
ATFの隔膜ポンプは更に、弾性隔膜の2つの位置のみを提供する。2つの端部位置が存在し、その間にいずれの位置も存在しないことにより、総容積以外の計量ポンプとしての機能性を利用できない。ATF隔膜ポンプは、特定のポンプサイズ容積である1つの特定の体積しか圧送できない。この事実により、異なるCFFサイズ及び異なるSTRに対して、幅広いポンプサイズが必要となる。弁については言及されず、又は流れ若しくは流れ方向の制御に関して、弁は使用されない。ATFコンセプトのポンプは、最適な灌流性能のための正確な選択された圧送体積のプログラミングは不可能であり、またCFF寿命を延長する、制御された堆積物除去のための高い速度と組み合わせることはできない。
【0114】
細胞保持CFFデバイスを備えるATF灌流システムは、5つの異なるポンプサイズでカバーされた、3リットル研究室規模~500リットルの製鉄規模の容積の従来のガラス/鋼鉄STRを動作させる。ATF‐2、4、5、8、10と呼ばれる5つのポンプサイズのATFの選択肢は全体として、およそ1:55のスケーラブル係数をカバーする。ATFポンプは、圧送能力内の1回の完全なストロークしか提供できず、分数値のストロークは提供できない。ポンプ1ストロークあたり、ATF‐2は0.1リットルを交換し、ATF‐4は0/4リットルを交換し、ATF‐6は1.3リットルを交換し、ATF‐8は2.5リットルを交換し、ATF‐10は5.5リットルを交換する。5つの異なるポンプはそれぞれ、STR容積に対しておよそ1:5の、個別のスケーラビリティを提供する。各ATFポンプは、ポンプの限界に従って最大値±10%の表面積(およそ0.1又は0.75又は2.5又は4.2又は10m2)を有する、1つの特定のサイズのCFFに接続しなければならない。ATFシステム(ポンプハウジング、CFFハウジング、接続)のいずれも、事前組立及び事前滅菌使い捨て設計には利用できない。ATFは、手動設置、CFFモジュールの挿入、蒸気滅菌、STR又は大規模鋼鉄製容器との比較的複雑な接続のために、ステンレス鋼製のものとしてのみ利用できる。
【0115】
パルス化タンジェンシャルフローの詳細
上記と比較して、本発明のPTFは、パルスでの1つの液体流方向、一方向、単一流れ方向を利用する。本発明は、CFFの培養液容積全体を、SUPから各パルスが出現するたびに利用する。新鮮な培養液、液体が、弁で制御されたSUPに常に追加される。本発明により、センサを一体化した場合に、SUPによって実施される、0.01~20m/秒の速度、及び体積の、完全な制御が可能となる。
【0116】
PTFモードで動作する本発明の使い捨てバイオプロセスシステムは、多様なポンプの原理を利用する。
【0117】
本発明では、第2のコンテナSUP(図1~5)は計量ポンプでもあり、これはセンサと一体化した場合に、時間と独立して、所望の、事前に制御された体積を流すことができる。SUPは、CFFの内部容積と等しい培養液体積等の体積を、各パルスにおいて交換できる。図1に示す実施形態の0.1mmのストローク分解能及び150mmの最大ストロークを用いると、ただ1つのSUPサイズで、驚くべきことに1:1500の体積変化が得られる。更に1つのポンプサイズにより、1:50の表面積及び1:50の範囲のSUBといった極めて幅広いCFFモジュールの要件を満たすことができ、これらは全て、エンドユーザの出費を削減する。
【0118】
本発明の灌流システム(PTF)により、SUBサイズを0.25リットルSUB研究室スケールVVまで低減でき、また、ただ1つのSUPサイズを用いて、驚くべきことに500倍にまで大規模化することもできる。
【0119】
本発明は、極めて簡潔で容易な使用、及びエンドユーザの場所における極めて高いスループットのために、SUBを、全て完全に事前に組立てられて事前に滅菌され、完全に使い捨て式の、SUP、幅広いSUS、単回使用CFF、あらゆるホース及びあらゆる接続と一体化する。
【0120】
本発明では、隔膜ポンプ(図6、7)は、センサと一体化した場合、圧送速度及び測定される体積について、驚くべき性能幅を利用して、1ストロークあたり数ml/時間~数リットル/時間の、所望の事前に制御された体積を、時間とは独立して流すことができる。100m/0.5リットル、150mm/1.7リットル、220mm/5.5リットルといった直径/体積を有する各隔膜は、1:5000のダイナミックレンジを実現できる。原理的には、表面積0.1m2~10m2のCFFの範囲全体をカバーするには、1つの220mmのSUPしか必要とならない。
【0121】
動作方法
一般に、バイオマスとして懸濁された微生物を内包するバイオリアクタ又は発酵槽に関する、3つの最も使用される培養、発酵及び動作モードは、以下の通りである:
・一定の有効容積(WV)と、典型的には5個、良好な場合は10個の細胞/mlの1回の採取量とによる、バッチ;
・最小のWVで開始され、プロセス培地を順次又は継続的に追加することによってバイオマスを急激に増大させて、有効容積及び1回の採取量を増大させる、流加培養;
・極めて高レベルの、典型的には懸濁されたバイオマスと、高レベルの微生物保持のために接続されたCFFデバイスとを用い、有効容積を順次増大させ、培地の交換を順次又は継続的に行い、採取を継続する、灌流。
【0122】
灌流培養‐更に、経験を積んだユーザは好ましくは、本発明の使い捨てバイオプロセスシステムプラットフォームを、所望の平均量の微生物、バイオマスが培養中に維持される、PTF灌流モードで動作するSUBとして使用する。生産された産物を、更なる下流処理のために継続的に採取しながら、順次取り除く。SUB内の微生物は、指数関数的に成長を続け、その所望の産物を生産し続ける。これに関して、規則的に、細胞を含むある量の培養液をSUBから除去し、新鮮な培地を追加しなければならない。本プロセスのこの順次実施される部分は、バイオマス及び産物の損失を招くが、許容される方法である。これに関して、微生物保持灌流プロセスは、定常条件で実施される連続プロセスではない。濃縮された微生物、栄養素、廃棄物、産物等を含有する培地WVから所望の生産された産物を分離するために、1つ又は複数のCFFデバイスを典型的に使用する。濃縮液は、CFFにおいて保持された後、SUBに戻される。CFFを、SUB内からの液体原料、プロセス流体に順次曝露し、これにより、懸濁された微生物/濃縮液を、この段階では懸濁された微生物を含有しない採取物/透過液から分離する。CFFデバイス(1つ又は2つ以上)は好ましくは、単回使用を特徴とするものであってよく、またSUB内に一体化され、また全ての構成部品が一体に組み立てられ、二重フィルムバッグ内で滅菌された状態で供給される。微生物含有培地の、SUBのWVから、CFFデバイスの1つ又は複数のチャネルを通した、またこれに沿った搬送は、1つ又は複数の流体搬送SUPデバイスによって実施できる。CFFに沿った、及びCFFに亘る圧力差は、SUBのWVからの液体が、精製のためにCFFチャネルに順次搬送され、CFFチャネルの内部コンパートメント全体を占有することを保証する。CFFの透過液側は、コンテナ内の(大気圧であることが多い)圧力より低い圧力に恒常的に又は順次曝露され得る。膜の表面に存在し得る堆積物/濾過ケーキの除去は、液体の迅速な、及び/又はパルス化された流れによって実施され、上記流れは、膜に付着した粒子が洗い落とされ、SUBコンテナのWVに戻るように流されるような、膜表面に沿った高い速度を有する。この細胞保持システムを用いた哺乳類細胞の培養のための典型的なバイオマス濃度は、20~100×10E6細胞/ミリリットル以上である。
【0123】
SUPは好ましくは使い捨て構成部品でもあり、上記SUPの速度、体積及び圧力制御に使用できる制御デバイス又はPCSに作動中情報を与えることができるセンサを利用し、このセンサは好ましくは、本発明と共に破棄される低コストSUS、あるいは高精度の再使用可能なセンサである。長さ30~200mmの:
・0.1秒より良好な応答時間での、SUP管状シリンダ内の動的な液位;
・弾性隔膜の下からの、SUP本体の動的な隔膜位置を、0.1mmの分解能で測定できる高精度三角レーザ距離センサを用いると、良好な結果が得られた。
【0124】
1~8バールの好適な駆動圧力を供給される、第1の実施形態の、図1に示されているサイズのSUPは、1ストローク/時間~1ストローク/秒を実行でき、これにより、それぞれ内径0.5~1mm及び長さ400mmの12個の繊維チューブを備える中空繊維モジュールであるこのCFFの例において、内径34mmのチューブを備える図1に示されているセットアップのような、空気カラム駆動式SUPに関して、20m/秒の速度、1ストロークあたり数ml/時間~150ml/秒の容積に到達する。中空繊維チューブの仕様は、SUB容積及びCFF表面に応じて変化させてよい。
【0125】
第2の実施形態の、図6、7に示されているサイズのSUPは、プログラム可能な速度でプログラム可能な体積を搬送できる精密ポンプを備える。1~8バールの好適な駆動圧力を供給されると、SUPは、1ストローク/時間~1ストローク/秒を実行でき、これにより、接続されたCFFデバイスにおいて0.01~20m/秒以上の速度に到達する。容積は、隔膜の直径及び膨張率に応じたものとなり、1ストロークあたり1ml~数リットルとなる。
【0126】
ピストン表面、液体表面、隔膜表面のリアルタイム位置を把握した後、コンピュータによって実施される単純な計算により、運動、速度、排出された体積等に関する正確な情報が得られる。
【0127】
上記ピストン表面、液体表面、隔膜表面の運動は、大気圧と同一の圧力~大気圧より高い圧力の駆動気体圧力によって起動される。圧力は、圧力調整弁、好ましくは比例弁によって制御される。上記弁は、上記コンピュータ又はPCSによって制御される。
【0128】
本発明の使い捨てバイオプロセスシステムの上述の実施形態は好ましくは、PCSに接続され、これはプロセス変数を制御し、プロセスレシピに記載されたもの等のプロセス情報を統合する:
・PCSは、上記SUB、SUP、CFF内に一体化された複数のセンサに接続され、これらのセンサからプロセス変数のデータを継続的に収集する;
・使い捨てバイオプロセスシステムの動作パラメータは、プロセスパラメータ制御のための、上記SUB、CFF及び/若しくはSUPに一体化された、又は上記使い捨てバイオプロセスシステムの外部の、様々なアクチュエータ、デバイスと通信する上記PCSによって、継続的に変更される。
【0129】
PCSは、以下のような様々な入出力チャネルに関する制御を含む:
・多様なセンサからのデータを測定、収集するための、様々な電気的アナログ及びデジタル入力チャネル;
・多様なアクチュエータへの、空気圧、気体、電気的アナログ及びデジタル出力。
【0130】
図面の説明
図1は、完全に組み立てられた状態でエンドユーザに供給された、本発明の滅菌使い捨てバイオプロセスシステム11のX線写真を示す(ここではフィルム保護バッグがない状態で示されている)。SUB12のコンテナ12aは、センサ13a、センサ13b及びバイオマスセンサ13c、シャフト17aに設置された対の羽根車17c、17d、並びに上部カバー12bを通して設置された1つのエアレーションチューブ13eを含む。SUB12はコンテナ12aを備え、これは、垂直側壁12cと、上記コンテナ内のリザーバ12dと、水平底部壁12eを備える。任意のSUP吸引チューブ12fは、90°の関節を介して接続され、上記関節は、リザーバ12d内に配設され、またポート12gを介して、第1の一方向SUP15の、SUP15の前にあるインレット弁14aへと、コンテナ12aの垂直側壁12cを貫通する。SUP15は、SUP15のハウジング15b内に、電子液位/体積センサ15aと、外部の図示されていない駆動気体制御デバイスと直列の滅菌フィルタ15cとを含む。CFFデバイス16は、SUP15の第2の一方向アウトレット弁14dと直列に、かつその後ろに、配設される。CFF16の液体濃縮液は、出口ポート16bを通過して、ホース16cを介し、SUB12の垂直な外側側壁12cのインレット16dを通してSUB12へと戻るように案内され、SUB12の培養液リザーバ12d内で減速される。CFF16の透過液アウトレット16h、16gは、チューブ16e及びチューブ16fを通して採取された産物を搬送する。コンテナ12aの上部カバー12bからの、4つの外部に配設されたホース18a、18b、18c、18dにより、エンドユーザは外部ポンプ及び様々な培地コンテナ(図示せず)に接続できる。SUB12は、軸受17eを介し、上部カバー12bを通ってコンテナ12a内へと延在するシャフト17aを備え、上記シャフト17aは、1つ又は複数の羽根車17c、17d等の、上記シャフト17aから径方向に延在する、撹拌を提供する手段を備える
【0131】
図2は、垂直コンテナ壁22aと、コンテナ22の底部壁22eに配設された支持用軸受27bとを備えるコンテナ22を、下部を断面図として示し、上記支持用軸受27b内では回転シャフト27aが支持されている。上記シャフト27aは、2つの羽根車27c、27dを備える。PG13,5サイズのセンサ23bの先端が示されている。第1の弁体24aは、コンテナ22の垂直壁22aの外側上において、上部カバー(図示せず)と底部壁22eとの間に配設される。弁体24aは、コンテナ22の壁22aの内側の1の支持脚24bと、コンテナの壁22aの外側の第2の支持脚24cとの間に配設される。インレット側脚24bとインレット一方向弁24とアウトレット側脚24cとの組立体は、リザーバ22dからSUP15へと、液体培地を一方向に搬送する。SUP15のインレットに垂直に配設された吸引チューブ22fは、その頂部をリザーバ22d内の関節22gに固定され、また底部壁22eから好適な高さにおいて、コンテナ内部側壁22c上に固定される。吸引チューブ22fは底部壁22eのコンテナ内部側の上の好適な距離22hにおいて、自由に吊り下がった状態で延在する。
【0132】
図3は、円筒形コンテナ32aを備えるSUB32を、下部を断面図として示す。垂直に配設された吸引チューブ32fは、その上端において、コンテナ32a内の角度付き関節本体32gに固定され、また上記コンテナ壁32cの内部側上へ固定される。吸引チューブ32fは、コンテナの壁32cのポート32dを通って、支持脚34b内に配設された第1のインレット弁34aに対応し、上記支持脚は、コンテナ壁32cの外側に配設される。支持脚34bは更に、上部外側においてSUP垂直シリンダ35を支持する。
【0133】
図4は、本発明の一実施形態を、PTF灌流システムの断面図で示し、コンテナ壁42aと、底部壁の支持用軸受47bとを備えるSUB41が示されており、上記支持用軸受47b内では回転シャフト47aが支持されている。シャフト47aは、2つの羽根車47c、47dと、外側頂部へのサーボモータ(図示せず)の設置を容易にするための、カバー壁42hに設置されたヘッドプレート駆動軸受支持体47eとを備える。PG13,5ベースのセンサ43bと、同様のサイズのバイオマスセンサ43cとは、上部カバー壁42hを通って培養液リザーバ42b内へと延在するものとして示されている。第1のインレット弁44aの本体は、コンテナ42aの外壁の外側において、SUP45とSUB41との間に配設されるものとして示されており、培地リザーバ42bから引き出された液体の一方向の流れを保証する。垂直に配設された吸引チューブ42fは、コンテナ42a内及びコンテナ42aの側壁上の、90°の角度付きの液体搬送本体42gに固定される。SUPシリンダ45は、SUB42の外部において、第1のインレット弁44aの後ろに配設され、SUB41内の培地リザーバ42bから第1のインレット弁44aを通過したプロセス培養液を受承する。
【0134】
図5は、1つ又は複数の使い捨てバイオプロセスシステム51が、熱制御及び機械的支持のために設計されたブロック59a内に設置された、本発明の一実施形態を示し、また上記ブロック(59a、59b、59c、59d)は、それが望ましい場合は、PCS(図示せず)によって並列動作する1つ又は複数の使い捨てバイオプロセス51を別個に撹拌する目的で設計される。SUP55及びCFF56は、CFF56の戻り接続ホース56aを1つだけ含むSUB59aに設置されたものとして示されている。他の全てのホース、アクセサリ及びセンサは、簡略化のために図示されていない。
【0135】
図6は、PTFセットアップにおける実施形態及び再循環液体流経路を示す。SUP62は培養液を、SUB60とCFF64との間で搬送し、また液体をSUB60へと戻す。
【0136】
SUB60コンテナは、外部手段(図示せず)によって駆動されるシャフト61bに設置された羽根車61aを用いて、液体培養液を連続的に撹拌し、上記シャフトは回転磁気デバイス61cに取り付けられている。吸引チューブ62bは、SUB60の内部の液体培養液リザーバ60b内へと、SUB60のカバー壁60aを貫通する。SUP62はSUB60の液体リザーバ60aからチューブ62dを介し、第1の弁62aを通して液体培養液を吸引し、ホース62cを介して、培養液を、SUP62のドーム壁62d上に配置された上記第1の弁62aへと搬送する。SUP62が充填モードである場合、上記第1の一方向弁62aは、SUB60から培養液を受承し、この培養液体積を更に、SUP62の内部圧送チャンバへと搬送する。SUP62が圧送モードである場合、第2の一方向弁62eは、SUB62のアウトレットから培養液を受承し、SUP62の内部圧送チャンバを開放し、SUP62の内部圧送チャンバから培養液を搬送する。ポート62gは、動作を目的として、駆動気体をSUP60に入れる。上記培養液は、CFF64の培養液インレットポート64aへと移動し、上記CFF64は上記培養液を、CFF64の管状コンテナ64b内の内部多孔性膜(図示せず)に沿って搬送し、上記管状コンテナ64b内において、CFF64は、培養液を濃縮液及び透過液へと変換する。CFF64の上記濃縮液はポート64cを出て、ホース64dを介してSUB60へと戻り、プロセス流体ループを閉鎖させる。上記CFF64により、ある量の液体培養液を、透過液アウトレットポート64e、64fのうちの一方又は両方を通して、CFF多孔性膜に通すことができる。
【0137】
簡略化のために、カバー壁60aを通ってコンテナリザーバ60bに入るセンサ60cのみを図示し、他の必要なホース及びセンサは図示されておらず、SUP64内のセンサは図示されていない。
【0138】
図7は、図7aにおいて、接続されたCFF74と組み立てられたSUP72を示し、図7bにおいて、組立前の個々の部品を示す。
【0139】
SUP72は、膨張し湾曲した弾性隔膜72aを備え、これは上側ハウジングドーム部品72bと下側ハウジング部品72cとの間を隔て、これらの間に懸架されている。
【0140】
ドーム72bは、垂直に配設されたCFF74にバランス及び支持を提供する再使用可能なSUPの下側ハウジング部品72cへの連結(図示せず)によって、機械的に固定される。SUP72は、外部ソース(図示せず)からの駆動気体の供給のためのポート72d(62g)を備える。ドーム72bの外壁は、第1のインレット弁72eのハウジングと、CFF74の培養液インレットポート74aに直接接続された第2のアウトレット弁72fとを備える。湾曲した単回使用ドーム72bは、平坦な外周壁72gの内側にあり、薄型弾性湾曲隔膜72aに液密となるように取り付けられ、上記隔膜72aは、隔膜の内側の滅菌状態の湿潤環境72hを、隔膜の外側の非湿潤非滅菌駆動気体コンパートメント72iから分離する。SUB60の吸引チューブ62bは、ホース62c内へと続き、これは第1のインレットポート72lを介して、SUP62/72のインレット弁62a/72eへと続く。第1のインレット弁72eにより、SUB60からSUP62/72への一方向の培養液の流れが可能となる。SUP72の第2のアウトレット弁72fにより、培養液を、圧送チャンバ72hから第2のアウトレットポート72mを介してCFF74第1のインレットポート74aへと一方向に搬送できる。CFF74は、その内部の多孔質膜表面(図示せず)に沿った、CFF74の第2の出口ポート74bへの培養液の通過を促進し、この第2の出口ポート74bからは、ホース64が、ここでは濃縮液となったものがSUB60のリザーバへと戻るように案内及び搬送され、培養液と混合され、PTF液体サイクルが終了することを保証する。CFF74の第3の透過液アウトレットポート74c、第4の透過液アウトレットポート74dは、濾過されたプロセス液体を、採取される産物として、上記外部施設領域に搬送する。
【0141】
SUP72の、再使用可能な下側ハウジング部品72cは、制御されたSUP72の動作のための駆動ガス接続ポート72bと、隔膜72aの外周シール72kとの気密接続に好適なハウジングフランジ72jとを備える。
【0142】
SUP72の圧送チャンバ72hに入った培養液は、弾性の自由浮動隔膜72aと、単回使用剛性ドーム上側ハウジング部品72dとの間に内包されて閉じ込められる。
【0143】
図8のブロック図は、第1のコンテナSUB80、液体搬送用の第2のコンテナSUP82、第3のコンテナCFF84を、閉鎖されたプロセス液体ループ内に備える、連続培養及び採取プロセスのための、適切かつ実用的な流れ図を図示及び説明する。
【0144】
第1のコンテナ80は生物活性プロセスを格納し、培養液を第2のコンテナSUP82へと搬送する。SUPは、採取物と、戻りループでSUB80へと戻るプロセス液体とを分離するために、培養液を第3のコンテナCFF84へと圧送する。第1のコンテナSUB80は、培養液アウトレットポート80a、新鮮な培地のポンプ80b及びインレットポート80c、サーボモータ80eによって駆動される撹拌デバイス80d、単糖類センサ86a、乳酸センサ86b、二重バイオマスセンサ86c、pHセンサ86d、溶解酸素センサ86e、温度センサ86fを備え、またSUBの温度は加熱素子86gによって制御される。新鮮な培地は、ポンプ80bによって追加され、使用された(細胞を含む)培地、廃棄物は、ポンプ80fを介して除去される。エアレーション気体は、制御弁80gを介してSUBに追加され、プロセス培養液80hの液体体積中に注入され、通気フィルタ80iを通して排気される。
【0145】
第2のコンテナSUP82は、圧送プロセスを格納し、培養液容積82a及び駆動気体容積82b、駆動気体インレット82c、第1のインレット弁82eと関連付けられた第1のインレットポート82d、第2のアウトレット弁82gと関連付けられた第2のアウトレットポート82f、液体センサ82h、圧力センサ82i、外部に設置された二重比例弁82k、82l(一方の弁は真空用であり、もう一方の弁は圧力駆動気体用である)に接続された駆動気体ポート82jを含む。液体センサ82hは、液位に関するリアルタイム情報をPCS(図示せず)に提供し、PCSはこれを用いて、部の二重弁構成82k、821を介して、SUP82の駆動気体圧力を(大気圧と同一の圧力~大気圧より高い圧力までで)調整する。
【0146】
第3のコンテナCFF84は、分離プロセスを格納し、培養液側84c及び透過液側84dを備える、CFFハウジング84b内の分離用多孔性膜84aを備える。CFFコンテナ84は、培養液インレットポート84e、二重透過液アウトレットポート84f、84g、及び1つの濃縮液出口ポート84hを備える。透過液アウトレットポート84gと濃縮液出口ポート84hとの間には、TMPセンサ84iが設置される。CFF84の濃縮液の出口ポート84hは、プロセス液体ループ内の濃縮液をSUB80まで案内し、また任意に、様々なプロセスの調整のために、濃縮液戻りライン84k内で制御弁84jを使用する。上記CFFデバイス84はその透過液側84dに、任意の制御されたポンプ(又は任意の弁)84n、84oを介した産物の取り出しのための、1つ又は複数のアウトレット84f、84gを備える。
【0147】
一般に、機械的設計は限定されておらず、使い捨てバイオプロセスシステムの実施形態に関連付けられたいずれのPCS又は制御用パッケージ又は外部液体リザーバを備えない状態で図示される。
【0148】
本発明をその特定の実施形態に関して説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更及び修正を行うことができることは、当業者には理解されるだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8