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特許7298175クラスパラメータセットを使用したフィールドデバイス管理のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】クラスパラメータセットを使用したフィールドデバイス管理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
G05B23/02 V
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019023419
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2019169138
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】15/923,205
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】翁 ▲偉▼宏
(72)【発明者】
【氏名】マ・ノリナ・イパ・ジャンドゥセイ
(72)【発明者】
【氏名】カリスマ・デロス・レイエス・ク-ウンジエン
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107467(JP,A)
【文献】特開2015-109011(JP,A)
【文献】特開2006-185291(JP,A)
【文献】特開2016-129012(JP,A)
【文献】特開2013-206473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数のデバイス記述ファイルを記憶するデバイス記述ファイルストレージであり、前記複数のデバイス記述ファイルの各々が、それぞれの登録済みのプラントフィールドデバイスのデバイスパラメータおよびデフォルトパラメータ値を記述し、前記複数のデバイス記述ファイルの各々が、複数の登録済みのプラントフィールドデバイスを分類するために複数のデバイスクラスのうちのそれぞれのデバイスクラスと関連付けられている、デバイス記述ファイルストレージと、
b)前記デバイス記述ファイルストレージに通信可能に結合されたデバイスパラメータセットマネージャとを含み、前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-1)デバイスパラメータセットクリエータツールを含み、前記デバイスパラメータセットクリエータツールが、
前記複数のデバイス記述ファイルの各々からパラメータおよび前記パラメータのデフォルト値を抽出し、
前記抽出されたパラメータと前記パラメータのデフォルト値からそれぞれのクラスパラメータセットを作成するように構成され、
前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-2)前記それぞれのクラスパラメータセットを構成するように構成されたデバイスパラメータセット構成ツールをさらに含み、
b-2)前記デバイスパラメータセット構成ツールが、
b-2-1)前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータのデバイスパラメータ値を変更するための論理を含む
プラントデバイス管理システム。
【請求項2】
b-1)前記デバイスパラメータセットクリエータツールが、
b-1-1)前記複数のデバイス記述ファイルの各々から前記パラメータおよび前記パラメータの前記デフォルト値を抽出するために、IEC規格に基づいて、前記デバイス記述ファイルの各々のフォーマットを解釈するように構成されたデバイス記述ファイルパーサ
をさらに含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項3】
前記複数のデバイスクラスが、複数の登録済みのプラントフィールドデバイスに関するあらかじめ定義された1組の分類規則によって定義される、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項4】
前記複数のデバイスクラスが、
フィールドデバイス製造業者を識別する識別情報と、
フィールドデバイスタイプと、
プラントフィールドデバイスのリビジョンとの組によって定義される、請求項3に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項5】
前記複数のデバイス記述ファイルが、IEC規格によって定義される、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項6】
b-2)デバイスパラメータセット構成ツールが、
b-2-2)前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータにフラグを付けるための論理を含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項7】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-3)前記複数のデバイスクラスの各々について、複数のデバイステンプレートを管理するように構成されたデバイステンプレートマネージャをさらに含み、
前記複数のデバイステンプレートの各々が、
前記複数のデバイスクラスのうちのデバイスクラスに属するプラントフィールドデバイスの複数の異なるデバイスアプリケーションにそれぞれ関連付けられている複数の異なるクラスパラメータセットを含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項8】
b-3)前記デバイステンプレートマネージャが、
b-3-1)それぞれのクラスパラメータセットを含むそれぞれのデバイステンプレートを、前記複数のデバイスクラスの各々に分類される登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるための論理を含む、請求項7に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項9】
b-3)前記デバイステンプレートマネージャが、
b-3-2)前記複数のデバイスクラスの各々と一致する登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組をブラウズするための論理を含む、請求項8に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項10】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-3)デバイステンプレートマネージャをさらに含み、前記デバイステンプレートマネージャが、
b-3-3)前記複数のデバイスクラスの中の1つのデバイスクラスを識別するための論理と、
b-3-4)識別された前記デバイスクラスと一致する登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組のすべてをブラウズするための論理と、
b-3-5)複数のデバイスアプリケーションのうちの1つまたは複数のプラントフィールドデバイスの関連のデバイスアプリケーションのために構成されるべき1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットに各デバイステンプレートを割り当てるための論理とをさらに含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項11】
b-3)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-3-6)1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスに割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセットのすべてのパラメータまたは1つもしくは複数のフラグ付きパラメータのダウンロードを可能にするための論理であり、前記1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスが、対応するデバイスアプリケーションとして構成される、論理をさらに含む、請求項10に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項12】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-3)デバイステンプレートマネージャであり、
b-3-5)複数のデバイスアプリケーションのうちの1つまたは複数のプラントフィールドデバイスの関連のデバイスアプリケーションのために構成されるべき1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットに各デバイステンプレートの各クラスパラメータセットを割り当てるための論理をさらに含む、デバイステンプレートマネージャと、
b-4)デバイスパラメータ監査部であり、
b-4-1)前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットを前記デバイステンプレートマネージャから取得するための論理と、
b-4-2)プラント内に設置された1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットから対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理であり、前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットが、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する、論理と、
b-4-3)前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理とをさらに含む、デバイスパラメータ監査部とをさらに含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項13】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-2)デバイスパラメータセット構成ツールをさらに含み、前記デバイスパラメータセット構成ツールが、
b-2-2)前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータにフラグを付けるための論理と、
b-4-3')前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きのデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理とをさらに含む、請求項12に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項14】
b-4)前記デバイスパラメータ監査部が、
b-4-4)監査報告を生成するための論理であり、前記監査報告が、割り当てられた前記クラスパラメータセットのそれぞれのダウンロード時間、および前記クラスパラメータセットのそれぞれの監査時間を含み、前記それぞれのダウンロード時間および前記それぞれの監査時間が、前記1つまたは複数の非物理プラントフィールドデバイスに割り当てられた前記クラスパラメータセットに関連付けられている、論理をさらに含む、請求項13に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項15】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-4)デバイスパラメータ監査部をさらに含み、前記デバイスパラメータ監査部が、
b-4-3)デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理をさらに含む、請求項1に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項16】
b)デバイスパラメータセットマネージャを含み、前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-3)デバイステンプレートマネージャであり、
b-3-5)それぞれのクラスパラメータセットを、複数のデバイスクラスの各々に分類される登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるための論理を含むデバイステンプレートマネージャと、
b-4)デバイスパラメータ監査部であり、
b-4-1)前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットを前記デバイステンプレートマネージャから取得するための論理と、
b-4-2)プラント内に設置された1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットから対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理であり、前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットが、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する、論理と、
b-4-3)前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理とをさらに含むデバイスパラメータ監査部とを含み、
前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-5)前記それぞれのクラスパラメータセットを構成するように構成されたデバイスパラメータセット構成ツールをさらに含み、
b-5)前記デバイスパラメータセット構成ツールが、
b-5-1)前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータのデバイスパラメータ値を変更するための論理を含む
ラントデバイス管理システム。
【請求項17】
b)前記デバイスパラメータセットマネージャが、
b-2)デバイスパラメータセット構成ツールをさらに含み、前記デバイスパラメータセット構成ツールが、
b-2-2)前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータにフラグを付けるための論理と、
b-4-3')前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きのデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理とをさらに含む、請求項16に記載のプラントデバイス管理システム。
【請求項18】
それぞれのプラントフィールドデバイスがプラント制御システムに接続されていない間、デバイスパラメータセットクリエータツールによって、前記それぞれのプラントフィールドデバイスのデバイスパラメータおよびデフォルトパラメータ値を記述する複数のデバイス記述ファイルの各々からパラメータおよび前記パラメータのデフォルト値を抽出するステップであり、前記複数のデバイス記述ファイルの各々が、複数のプラントフィールドデバイスを分類するための複数のデバイスクラスのそれぞれのデバイスクラスに関連付けられている、ステップと、
デバイスパラメータセットクリエータツールによって、前記抽出されたパラメータと前記パラメータのデフォルト値からそれぞれのクラスパラメータセットを作成するステップと
デバイスパラメータセット構成ツールによって、
前記それぞれのクラスパラメータセットを構成するステップと、
前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータのデバイスパラメータ値を変更するステップと
を含むプラントデバイス管理方法。
【請求項19】
それぞれのクラスパラメータセットを、複数のデバイスクラスの各々に分類される登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるステップと、
デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットを前記デバイステンプレートマネージャから取得するステップと、
プラント内に設置された1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットから対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するステップであり、前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットが、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する、ステップと、
前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するステップと
デバイスパラメータセット構成ツールによって、
前記それぞれのクラスパラメータセットを構成するステップと、
前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータのデバイスパラメータ値を変更するステップと
を含むプラントデバイス管理方法。
【請求項20】
前記それぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータにフラグを付けるステップをさらに含み、
パラメータ値を比較するステップが、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きのデバイスパラメータと、前記デバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する前記対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するステップを含む、請求項19に記載のプラントデバイス管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセス制御および工業プロセスのためのフィールドデバイス構成および管理に関し、詳細には、クラスパラメータセットおよびパラメータを効率的に管理することによってフィールドデバイスを構成し、管理することに関する。
【背景技術】
【0002】
工業プラント環境では、工業プラントのフィールドデバイスおよび制御機器に関係する大量のデータを管理するために、プラント資産管理(PAM)システムが使用される。プラント資産管理システムの動作または機能のいくつかは、限定はしないが、プラント資産データベースの維持、デバイスアラーム、イベント、およびユーザアクティビティの監視、ならびにデバイス診断の実行を含み得る。
【0003】
複数のフィールドデバイスを管理するために、デバイスは、工業プロセス内で動作するように、様々なデバイスアプリケーションに登録され、構成されることになっており、構成は、構成システムを使用してパラメータ情報を構成することによって行われる。たとえば、関連技術に開示されているように、パラメータの多くは必ずしも構成すべきものではない場合があるとしても、それぞれのデバイステンプレートにおけるすべてのパラメータおよびパラメータ値を構成する必要があるので、フィールドデバイス構成のパラメータ設定は、面倒で時間がかかる可能性がある。
【0004】
さらに、関連技術では、フィールドデバイスがプラントのプロセス制御システムと物理的に接続されていることを前提として、構成のためのフィールドデバイスのパラメータ情報が取得され、これによって、プラントエンジニアリングの後期段階でのみデバイスエンジニアリングアクティビティが行われ、したがって、デバイス試運転時間およびプロジェクト実行時間が長くなる。
【0005】
またさらに、典型的な工業プラントには、通常、それぞれ複数のデバイスクラスに属する数千のフィールドデバイスがある。そして、これは、フィールドデバイス、デバイスクラス、およびパラメータの間の複雑な関係を効率的に管理するための重大な問題を課しており、その結果、フィールドデバイスの構成および管理に対する多くの労力が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらすべてを考えると、エンジニアリングコストの低減につながり、フィールドデバイスのタイプおよびバージョンを効果的に管理することができ、さらに時間がかからず、最小限の人力で済むシステムおよび方法を得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、フィールドデバイスのパラメータを効率的に管理するように構成されたプラントデバイス管理システムに関する。プラントデバイス管理システムは、フィールドデバイスのパラメータを管理するための任意の利用可能なプラント資産管理(PAM)システムに適用可能である、またはそれによって利用可能である。プラントデバイス管理システムは、限定はしないが、デバイス記述ファイルストレージおよびデバイスパラメータセットマネージャを含み得る。デバイス記述ファイルストレージは、フィールドデバイスのパラメータおよびパラメータ値を各々含む複数のデバイス記述(DD)ファイルを記憶するように構成される。また、デバイスパラメータセットマネージャは、限定はしないが、デバイスパラメータセットクリエータツール、デバイスパラメータセット構成ツール、デバイステンプレートマネージャ、およびデバイスパラメータ監査部を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、プラントデバイス管理システムのデバイスパラメータセットマネージャは、デバイス記述ファイルストレージに記憶されたデバイス記述ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成されたデバイスパラメータセットクリエータツールを含み得る。さらに、いくつかの場合には、デバイスパラメータセットクリエータツールは、デバイス記述ファイル以外の、たとえば、DTM(デバイスタイプマネージャ)データセットなど、他のソースを利用することによって、1つまたは複数のクラスパラメータセットを作成するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態において、プラントデバイス管理システムのデバイスパラメータセットマネージャは、デバイスパラメータセットクリエータツールによって作成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正することを可能にするように構成されたデバイスパラメータセット構成ツールを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、プラントデバイス管理システムのデバイスパラメータセットマネージャは、複数のデバイステンプレートを複数の登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てるように構成されたデバイステンプレートマネージャを含み得る。デバイステンプレートマネージャは、複数のデバイステンプレートに含まれる複数のクラスパラメータセットに従って、複数のフィールドデバイスを複数のデバイスアプリケーションに構成することを可能にするように構成される。
【0011】
いくつかの他の場合には、プラントデバイス管理システムのデバイスパラメータセットマネージャは、登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較するように構成されたデバイスパラメータ監査部をさらに含み得る。
【0012】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、フィールドデバイスのパラメータを効率的に、有利に管理することができるプラントデバイス管理方法に関する。方法は、限定はしないが、デバイステンプレートマネージャによって登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つにそれぞれのクラスパラメータセットを割り当てるステップと、デバイスパラメータ監査部によってデバイステンプレートマネージャによって割り当てられた各クラスパラメータセットを取得するステップと、デバイスパラメータ監査部によって、それぞれの物理プラントフィールドデバイスから対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するステップと、デバイスパラメータ監査部によって上記に関係する取得されたパラメータ情報を比較するステップとを含み得る。
【0013】
またさらに、いくつかの実施形態では、プラントデバイス管理方法は、デバイスパラメータセット構成ツールによって、デバイステンプレートマネージャによって割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセットに含まれるパラメータ値を変更し、および/またはデバイスパラメータにフラグを付けるステップを含み得る。
【0014】
さらに、プラントデバイス管理方法は、割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きデバイスパラメータと、対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータとを比較するステップを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】工業プラントのためのプラント資産管理システムのプラントデバイス管理システムの概略図である。
図1B】1つまたは複数の実施形態による、例示的なプラントデバイス管理システムのブロック図である。
図2】デバイスクラス、デバイス記述(DD)ファイル、およびデバイスクラスを決定するための分類規則の間の関係および関連付けを示す図である。
図3】1つまたは複数のクラスパラメータセットを変更または修正するために構成されたデバイスパラメータセット構成ツールの例示的なユーザインターフェースである。
図4A】1つまたは複数の実施形態による、プラントデバイス管理システムの機能および動作のいくつかを示す図である。
図4B】デバイステンプレートに含まれる内容のいくつかを示す図である。
図5】1つまたは複数の実施形態による、プラントデバイス管理システムの別の例のブロック図である。
図6】1つまたは複数の実施形態による、プラントデバイス管理システムのさらに別の例のブロック図である。
図7A】1つまたは複数の実施形態による、クラスパラメータセット(PS)管理のライフサイクルを示す図である。
図7B】クラスパラメータセット(PS)管理のライフサイクルの詳細をさらに示す図である。
図7C】クラスパラメータセット(PS)管理のライフサイクルにおけるクラスパラメータセットのダウンロードをさらに示す図である。
図8】クラスパラメータセット(PS)の作成の一例のフローチャートである。
図9】1つまたは複数の実施形態による、クラスパラメータセット(PS)内のパラメータが比較され、監査される、例示的な監査動作に関するフローチャートである。
図10】1つまたは複数の実施形態による、クラスパラメータセット(PS)内のフラグ付きパラメータが比較され、監査される、監査動作の別の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、化学プラント、製油所、および発電所などの工業プラントは各々、数千のフィールドデバイスを含み得る。プラント内のフィールドデバイスは、構成、機能、および動作が互いに異なる。フィールドデバイスは、温度、圧力、および流量を測定するためのバルブアクチュエータ、バルブポジショナ、スイッチ、およびトランスミッタとして機能するように、様々に構成され得る。
【0017】
工業プラントはまた、プラント内のフィールドデバイスを監視し、管理するための管理システムも含む。工業プラントは、たとえば、フィールドデバイスの診断およびフィールドデバイスの状態を監視し、それによって、エンジニア、オペレータ、およびメンテナンススタッフが、プラントの状態を知り、プラント内の制御システムの信頼性および正確性を確実にすることを可能にするために、プラント内のフィールドデバイスのパラメータを管理するように構成されたプラント資産管理システム(PAM)を含むことができる。
【0018】
本実施形態の開示は、フィールドデバイスのパラメータを効率的に管理するためのプラントデバイス管理システムおよび方法の説明を含む。プラントデバイス管理システムおよび方法は、フィールドデバイスのパラメータを管理するための任意の利用可能なプラント資産管理(PAM)システムに適用可能である、またはそれによって利用可能である。プラントデバイス管理システムは、限定はしないが、デバイス記述ファイルストレージおよびデバイスパラメータセットマネージャを含み得る。デバイス記述ファイルストレージは、フィールドデバイスのパラメータおよびパラメータ値を各々含む複数のデバイス記述(DD)ファイルを記憶するように構成される。デバイスパラメータセットマネージャは、限定はしないが、デバイスパラメータセットクリエータツール、デバイスパラメータセット構成ツール、デバイステンプレートマネージャ、およびデバイスパラメータ監査部を含み得る。
【0019】
デバイスパラメータセットクリエータツールは、デバイス記述ファイルストレージからデバイス記述ファイルを取得するために、デバイス記述ファイルストレージと通信する、またはそれにアクセスするように構成される。デバイスパラメータセットクリエータツールは、デバイス記述ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成され、1つまたは複数のクラスパラメータセットは各々、複数のパラメータおよびパラメータ値を含む。
【0020】
プラントデバイス管理システムのデバイスパラメータセット構成ツールは、デバイスパラメータセットクリエータツールによって作成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正することを可能にするように構成される。いくつかの場合には、デバイスパラメータセット構成ツールは、1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)のパラメータを示す、もしくはフラグ付けする、または1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更もしくは修正するためにクラスパラメータセット(PS)のパラメータ値を変更するように構成され得る。
【0021】
プラントデバイス管理システムのデバイステンプレートマネージャは、複数のデバイステンプレートを複数の登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てるように構成される。いくつかの場合には、デバイステンプレートマネージャは、複数のデバイスクラスの各々に分類される登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに、複数のデバイステンプレートのそれぞれのデバイステンプレートを割り当てるように構成され、それぞれのデバイステンプレートは、クラスパラメータセットのそれぞれのクラスパラメータセット(PS)を含む。それぞれのクラスパラメータセットは、複数のデバイスクラスのそれぞれのデバイスクラスに関連付けられている。デバイステンプレートマネージャは、複数のクラスパラメータセットを含む複数のデバイステンプレートに基づいて、複数のフィールドデバイスを異なるデバイスアプリケーションに構成することを可能にするように構成される。異なるデバイスアプリケーションの典型的な例は、限定はしないが、レベルトランスミッタおよびフロートランスミッタを含み得る。本明細書で使用される「登録済みの非物理」フィールドデバイスという用語は、フィールドデバイスのベンダー、モデル、およびリビジョンに基づいて、フィールドデバイスがプラント資産管理(PAM)システムによって定義される状態に置かれており、しかし、プロセス制御システムに物理的に接続されていないフィールドデバイスを指す。
【0022】
いくつかの他の場合には、デバイスパラメータ監査部は、プラント内のフィールドデバイスのパラメータを交換するなど、その後の動作のために、デバイステンプレートマネージャによって登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較するように構成される。本明細書で使用される「物理」プラントフィールドデバイスという用語は、プロセス制御システムに物理的に接続されているフィールドデバイスを指す。
【0023】
上記で説明したシステムおよび方法は、ユーザが、フィールドデバイス、デバイスクラス、クラスパラメータセット(PS)、およびクラスパラメータセット(PS)に関係するパラメータの間の複雑な関係を効率的に管理し、したがって、苦もなくフィールドデバイスを構成し、フィールドデバイスを管理することを可能にする。
【0024】
次に図1Aを参照すると、図1Aは、工業プロセスのためのプラント資産管理(PAM)システム20000に含まれるプラントデバイス管理システム1000の概略図を示し、プラント資産管理(PAM)システム20000は、データベース20100と、パラメータマネージャ20200と、クライアント20300とを含み得る。典型的な工業プラントでは、それは、フィールド通信サーバ(FBCOM)30000を介してプラント資産管理(PAM)システム20000に接続されている数千のフィールドデバイス40000を含み得る。プラント資産管理(PAM)システム20000の開示されたプラントデバイス管理システム1000は、プロセス制御および工業プロセスのためのフィールドデバイスのパラメータ情報を管理する効率的で時間のかからない手段を提供した。
【0025】
図1Bは、いくつかの実施形態によるプラントデバイス管理システム1000の一例を示す。図1Bに示すように、プラントデバイス管理システム1000は、デバイス記述ファイルストレージ100と、デバイスパラメータセットマネージャ200とを含む。デバイス記述ファイルストレージ100は、複数のデバイス記述(DD)ファイルを記憶するように構成され、各デバイス記述(DD)ファイルは、限定はしないが、ブロック、ブロック内の様々なパラメータ、および様々なパラメータの所定の値または初期値、およびそれらのサポートされる範囲を含む情報を提供する。デバイス記述(DD)ファイルは、通常、デバイス製造業者/ベンダーによって提供され、デバイス記述ファイルに含まれるパラメータおよびパラメータ値情報は、デバイス能力および機能を利用するために、ホストシステムによって設計され得る。ホストシステムの一例は、フィールドデバイスと通信し、フィールドデバイスを管理することができるプラント資産管理(PAM)システムであり得る。
【0026】
図1Bに示すように、プラントデバイス管理システム1000のデバイスパラメータセットマネージャ200は、デバイス記述ファイルストレージ100内のデバイス記述(DD)ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成されたデバイスパラメータセットクリエータツール210を含み得る。また、各デバイス記述(DD)ファイルは、いくつかの分類規則に従ってあらかじめ定義されたそれぞれのデバイスクラスに関連付けられている。いくつかの場合には、デバイスパラメータセットクリエータツール210は、デバイス記述ファイルストレージ100からデバイス記述ファイルを取得し、解釈するために、デバイス記述ファイルストレージ100と通信する、またはそれにアクセスするように構成される。デバイスパラメータセットクリエータツール210は、デバイス記述ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成され、1つまたは複数のクラスパラメータセットは各々、複数のパラメータおよびパラメータ値を含む。
【0027】
現在の1つまたは複数の実施形態では、パラメータおよびパラメータのデフォルト値を抽出し、したがって1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するために、HARTおよびFoundation Fieldbus(FF-H1)プロトコルベースのフィールドデバイスによってサポートされているIEC61804-3規格に基づいて、デバイス記述(DD)ファイルを解釈するために、デバイス記述ファイルパーサ(図示せず)が使用され得る。本明細書に記載のデバイス記述ファイルパーサは、デバイス記述ファイルの構造および内容を解釈し、デバイス記述ファイル内の情報の構造表現を提供するように構成されたソフトウェア構成要素または論理として理解することができる。
【0028】
さらに、いくつかの場合には、デバイスパラメータセットクリエータツール210は、デバイス記述ファイルのみを使用することから1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成することに限定されず、DTM(デバイスタイプマネージャ)がプラント資産管理システムとフィールドデバイスとの間のインターフェースに使用されるとき、たとえばDTMデータセットなど、デバイス記述ファイル以外の他のソースも、1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するために、デバイスパラメータセットクリエータツール210によって解釈され、使用され得る。
【0029】
いくつかの場合には、開示されたデバイスパラメータセットクリエータツール210は、「登録済みの非物理」フィールドデバイスとも呼ばれ得る「オフライン」フィールドデバイスのデバイス記述(DD)ファイルからパラメータおよびパラメータのデフォルト値を抽出することによって、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成される。本明細書に記載の「登録済みの非物理」フィールドデバイスという用語は、限定はしないが、ベンダー、モデル、およびリビジョンに関する情報に基づいて、フィールドデバイスがプラント資産管理(PAM)システムによって定義されている状態に置かれており、しかし、プラント内のプロセス制御システムに物理的に接続されていないフィールドデバイスを指す。プラント資産管理(PAM)システムへのフィールドデバイスの登録は、フィールド通信サーバ(FBCOM)を介してプラグアンドプレイによって実行することも、手動で完了することもできる。フィールド通信サーバ(FBCOM)は、プラント資産管理(PAM)システムとフィールドデバイスとの間のゲートウェイである。ここで、上述の構成は、工業プラントエンジニアリングのためのフィールドデバイスのデバイス構成の技術的観点での利点をもたらすであろう。たとえば、上述の構成は、たとえば、「オフライン」デバイスがプラント内のプロセス制御システムと物理的に接続されるより前に、プラント内のプロセス制御システムに物理的に接続されていない「オフライン」デバイスについてクラスパラメータセット(PS)を作成することを可能にする。したがって、デバイスがプラント内のプロセス制御システムと物理的に接続された後、デバイスの試運転時間を大幅に短縮することができる。試運転は、フィールドデバイスが、設計目標または仕様に従って、1つまたは複数の指定された機能を実行するかどうかをテストするためのプロセスである。
【0030】
いくつかの場合には、プラントデバイス管理システム1000のデバイスパラメータセットマネージャ200は、デバイスパラメータセットクリエータツール210によって作成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正することを可能にするように構成されたデバイスパラメータセット構成ツール220をも含み得る。デバイスパラメータセット構成ツール220は、1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)のパラメータを示す、もしくはフラグ付けする、または1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更もしくは修正するためにクラスパラメータセット(PS)のパラメータ値を変更するように構成され得る。変更または修正された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)は、1つのデバイスクラスについての新しいクラスパラメータセット(PS)として記憶することもできる。その結果、デバイスパラメータセット構成ツール220は、上述した動作を行い、それによって、1つのデバイスクラスについて複数のクラスパラメータセット(PS)を好都合に有することができ、各クラスパラメータセットを作成するたびに、いかなるデバイス記述ファイルも使用する必要がなくなる。
【0031】
いくつかの場合には、作成された複数のクラスパラメータセット(PS)をプラントデバイス管理システム1000からエクスポートし、デバイスパラメータセット構成ツール220によって他のシステムにインポートすることができ、たとえば、別のプラントのプラント資産管理(PAM)システムにインポートすることができる。
【0032】
図1Bに示すように、プラントデバイス管理システム1000のデバイスパラメータセットマネージャ200は、それぞれのデバイステンプレートを登録済みの非物理フィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるように構成されたデバイステンプレートマネージャ230をも含み得る。いくつかの場合には、デバイステンプレートマネージャ230は、複数のデバイスクラスの各々に分類される登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに、複数のデバイステンプレートのそれぞれのデバイステンプレートを割り当てるように構成され、それぞれのデバイステンプレートは、それぞれのクラスパラメータセット(PS)を含む。そして、それぞれのクラスパラメータセットは、複数のデバイスクラスのそれぞれのデバイスクラスに関連付けられている。理解され得るように、本明細書に記載されるデバイステンプレートは、限定はしないが、クラスパラメータセット(PS)、文書リンク、プラグインアプリケーションの関連付けなどの内容を含む。したがって、複数のデバイステンプレートを複数の登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てるように構成されたデバイステンプレートマネージャ230は、複数の登録済みの非物理フィールドデバイスを複数のデバイスアプリケーションに構成することができる。上述の構成は、工業プラントエンジニアリングのためのフィールドデバイスのデバイス構成の技術的観点での利点を提供するであろう。たとえば、デバイスがプラント内のプロセス制御システムと物理的に接続される前に、デバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセット(PS)を、プラント内のプロセス制御システムと物理的に接続されていない「オフライン」状態の「登録済みの非物理」フィールドデバイスに割り当てることができる。その結果、これらのデバイスがプラントに物理的に接続または設置された後、デバイスの試運転時間は大幅に短縮され得る。結果として、デバイス構成の時間および労力が大幅に低減され、最小限に抑えられる。
【0033】
上記のシステムおよび構成を実施するために、デバイステンプレートマネージャ230は、限定はしないが、それぞれのデバイステンプレートを少なくとも1つの登録済みの非物理プラントフィールドデバイスに割り当てるための論理231を含む。ここで、「非物理」とは、フィールドデバイスがプラントのプロセス制御システムと物理的に接続されていないことを意味し、それは、登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組をブラウズするための論理232をさらに含み得る。デバイステンプレートマネージャ230は、複数のデバイスクラスの中から1つのデバイスクラスを識別するための論理233、識別されたデバイスクラスと一致する登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組のすべてをブラウズするための論理234、関連するデバイスアプリケーションのために構成されるべき1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットに各デバイステンプレートを割り当てるための論理235、および1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスに割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセットのすべてのパラメータまたは1つもしくは複数のフラグ付きパラメータのダウンロードを可能にするための論理236をさらに含み得る。
【0034】
上記のシステムおよび構成を実施することによって、1つのデバイスクラスに属する登録済みの非物理フィールドデバイスを、様々なデバイスアプリケーションに構成することができる。一例として、割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれる1つのそれぞれのクラスパラメータセット(PS)は、1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスを、レベル測定に使用されるレベルトランスミッタとして構成できる。別の例では、割り当てられた別の異なるそれぞれのクラスパラメータセット(PS)は、液体または気体のフロー測定のために、別の1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスをフロートランスミッタに構成することができる。
【0035】
いくつかの他の場合には、プラントデバイス管理システム1000のデバイスパラメータセットマネージャ200は、デバイスパラメータ監査部240をさらに含むことができ、デバイスパラメータ監査部240は、プラント内の物理フィールドデバイスのパラメータを交換するなどその後の動作のために、デバイステンプレートマネージャ230によって登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較するように構成される。さらに、パラメータの比較結果を含む監査報告は、デバイスパラメータ監査部240によって生成され得る。
【0036】
さらに、いくつかの場合には、デバイスパラメータ監査部240は、1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスに割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセットのすべてのパラメータまたは1つもしくは複数のフラグ付きパラメータと、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータとを比較するように構成される。さらに理解されるように、デバイスパラメータ監査部240は、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセット内のフラグ付きパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)のフラグ付きパラメータの対応するパラメータとの間で比較または監査するように構成されるので、監査効率が改善され、保証される。
【0037】
次に図2を参照すると、デバイス記述(DD)ファイル12は、デバイスクラス11と関連付けられている、またはそれと対応している。デバイスクラスは、登録済みフィールドデバイスに関するあらかじめ定義された1組の分類規則10に従って決定される。詳細には、図2に示すように、デバイスクラス11は、限定はしないが、デバイス製造業者ID、デバイスタイプ、およびデバイスリビジョンに従ってあらかじめ定義されていてもよい。デバイスクラスは、追加情報、たとえば、デバイス通信タイプに基づいて、あらかじめ定義することもできる。いくつかの例示的な通信タイプには、HART、Fundation Fieldbus、PROFITBUSなどがある。工業プラントでは、限定はしないが、デバイス製造業者ID、デバイスタイプ、およびデバイスリビジョンに基づいて決定される複数の異なるデバイスクラスがあり得る。また、登録済みのデバイスクラスごとに、それに関連付けられているデバイス記述(DD)ファイル12がある。
【0038】
図3は、デバイスパラメータセットクリエータツール210によって作成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正するために構成されたデバイスパラメータセット構成ツール220のユーザインターフェース220aの一例を示す。デバイスパラメータセット構成ツール220のユーザインターフェース220aは、1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)のパラメータの指示またはフラグ付け、および/または1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更もしくは修正するためにクラスパラメータセット(PS)のパラメータ値の変更を可能にするように構成され得る。いくつかの場合には、クラスパラメータセット内のパラメータを示す、またはフラグ付けすることは、それぞれのクラスパラメータセット(PS)内の1つまたは複数のパラメータを、エンジニアリングおよび保守のための必須のまたは重要なパラメータとして選択またはマーク付けすることを指す。一例として、典型的には、パラメータセットには多数のまたは数百のパラメータが含まれ得るが、多くの場合、それらのパラメータすべてを構成する必要はなく、特定のデバイスアプリケーションを得るためにフラグ付きパラメータを構成するだけでよい。もう1つの例では、クラスパラメータセット内のいくつかのそれぞれのパラメータをフラグ付けする、または示すことによって、それぞれのクラスパラメータセットのパラメータに関して行われた修正を、容易に識別し、理解することができる。したがって、パラメータを示す、またはフラグ付けすることによって、プラントの構成および保守においてかなりの時間および労力が節約される。
【0039】
また、クラスパラメータセットのパラメータ値を変更または修正することは、図にも示されるようにデバイスパラメータセット構成ツール220のユーザインターフェース220aを使用することによって実行され得ることも理解されよう。
【0040】
デバイスパラメータセット構成ツール220の説明されたユーザインターフェース220aはまた、クラスパラメータセット(PS)の1つまたは複数のパラメータを変更または修正することによって得られた修正されたクラスパラメータセット(PS)の保存を可能にするようにも構成される。結果として、上述の動作は、有利には、複数のクラスパラメータセット(PS)を作成および保存することを可能にし、複数のクラスパラメータセットは、それぞれ、異なるフラグ付きパラメータおよびパラメータ値を有することができる。
【0041】
図4Aは、開示されたプラントデバイス管理システム1000の例示的な機能および動作のいくつかを示す。いくつかの場合には、機能および動作は、限定はしないが、クラスパラメータセット(PS)を含む複数のデバイステンプレート20を、デバイステンプレートマネージャ230によって登録済みの非物理フィールドデバイス21の複数のサブセットに割り当て、物理プラントフィールドデバイス22によって割り当てられたデバイステンプレートのクラスパラメータセット(PS)をダウンロードすることを含む。さらに、デバイスパラメータ監査部240によって、登録済みの非物理フィールドデバイス21に割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理プラントフィールドデバイス22からのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較する、監査の動作が示されている。
【0042】
一例として、図に示されているように、4つのデバイステンプレート20、すなわち、デバイステンプレート1、デバイステンプレート2、デバイステンプレート3、デバイステンプレート4がそれぞれある。また、各それぞれのデバイステンプレート20は、登録済みの非物理フィールドデバイスの複数のサブセットに割り当てられることになっているそれぞれのクラスパラメータセット(PS)を含む。一例として、登録済みの非物理フィールドデバイスは、トランスミッタ21であり、トランスミッタは、プラント資産管理(PAM)システムに登録されているが、プラント内のプロセス制御システムには物理的に接続されていない。登録済みの非物理トランスミッタ21は、それぞれのクラスパラメータセット(PS)を含む割り当てられたデバイステンプレートに基づいて、特定のデバイスアプリケーションに構成されることになる。たとえば、図に示されるように、ただ1つのトランスミッタを含む第1のサブセットのトランスミッタ21aは、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセットに基づいて、所与の時間量の間、デバイスを通過する物質の質量を測定するマスフロートランスミッタとして構成される。一方、4つのトランスミッタを含む第2のサブセットのトランスミッタ21bは、所与の期間にわたってデバイスを通る物質の体積を測定するために、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセットに基づいてボリュメトリックフロートランスミッタとして構成される。
【0043】
割り当てられたクラスパラメータセットを含むデバイステンプレートは、複数の物理プラントフィールドデバイスによって同時にダウンロードされてもよく、したがって、一括ダウンロードおよび試運転が達成され、莫大な量の試運転時間を節約することに留意されたい。
【0044】
再び図4Aを参照すると、割り当てられたクラスパラメータセット(PS)は、プラント内に設置された物理デバイス22によってダウンロードされる。デバイス動作中、デバイスパラメータ監査部240は、割り当てられたクラスパラメータセットに対応するパラメータ情報を物理フィールドデバイスから取得し、アップロードし、登録済みの非物理フィールドデバイス21に割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイス22からアップロードされたパラメータ情報とを比較するように構成される。特に、いつかの場合には、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセット(PS)内のフラグが付けられたまたは示されたパラメータに対応するパラメータのみが物理デバイス22からアップロードされる。また、デバイスパラメータ監査部240は、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセット内のフラグが付けられたまたは示されたパラメータのみと、プラント内に設置された物理フィールドデバイス22からのクラスパラメータセット(PS)の対応パラメータとを比較するように構成される。比較結果は、フィールドデバイスの監視および保守動作のために、物理フィールドデバイスのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータを交換または変更するかどうかをユーザが決定するのを助けることができる。
【0045】
したがって、監査機能または動作は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)のすべての対応するパラメータと、割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のすべてのパラメータとを比較することによって実行することができる。いくつかの他の場合には、監査機能は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するフラグが付けられたまたは示されたパラメータのみと、デバイステンプレートマネージャによって割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のフラグが付けられたまたは示されたパラメータのみとを比較することによっても実行できる。
【0046】
さらに理解されるように、監査機能は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータを、割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のみと比較することに限定されない。いくつかの実施形態では、監査機能は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータと、同じデバイスクラスに属する他のクラスパラメータセット(PS)とを比較することによって実行されることになる。
【0047】
さらに、図4Aに記載されたような監査機能または動作は、「オンザフライ」で実行することができ、物理デバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータに関する取得されたパラメータ情報、および割り当てられたクラスパラメータセットは、取得されたパラメータをパラメータセットとして保存する必要なしに、直接比較される。
【0048】
図4Bを参照すると、デバイステンプレート20に含まれる内容が示されている。デバイステンプレート20に含まれる内容は、限定はしないが、デバイスの詳細、文書リンク、部品、プラグインアプリケーションの関連付け、ならびに本開示で主に説明されているクラスパラメータセット(PS)を含む。本実施形態のうちの1つまたは複数によれば、クラスパラメータセット(PS)は、限定はしないが、「登録済みの非物理デバイス」とも呼ばれる「オフライン」デバイスのデバイス記述(DD)ファイルを使用することによって作成されてもよい。さらに、図に示すように、クラスパラメータセット(PS)は、プラントのプロセス制御システムに物理的に接続されている「オンライン」デバイスからも取得できる。「オンライン」デバイスの場合、クラスパラメータセット(PS)は、「オンライン」デバイスから取得され、アップロードされた最新のパラメータセットに基づいて作成される。
【0049】
図5は、1つまたは複数の実施形態による、別の例示的なプラントデバイス管理システム3000を示す。図5に示すように、プラントデバイス管理システム3000は、デバイス記述ファイルストレージ300と、デバイスパラメータセットマネージャ400とを含む。デバイス記述ファイルストレージ300は、パラメータおよびパラメータ値を含む複数のデバイス記述(DD)ファイルを記憶するように構成される。
【0050】
図示のように、プラントデバイス管理システム3000のデバイスパラメータセットマネージャ400は、デバイス記述ファイルストレージ300内のデバイス記述(DD)ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成されたデバイスパラメータセットクリエータツール410を含み得る。また、各デバイス記述(DD)ファイルは、いくつかの分類規則に従ってあらかじめ定義されたそれぞれのデバイスクラスに関連付けられている。デバイスパラメータセットクリエータツール410は、「オフライン」フィールドデバイスのデバイス記述(DD)ファイルからパラメータおよびパラメータのデフォルト値を抽出するために、デバイス記述ファイルストレージ300からデバイス記述(DD)ファイルを取得し、解釈するために、デバイス記述ファイルストレージ300と通信する、またはそれにアクセスするように構成される。デバイスパラメータセットクリエータツール410は、デバイス記述ファイルを使用して、1つのデバイスクラスについて1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成するように構成され、1つまたは複数のクラスパラメータセットは各々、複数のパラメータおよびパラメータ値を含む。ここで、デバイス記述ファイルパーサを使用して、IEC61804-3規格に従って、デバイス記述(DD)ファイルを解釈し、パラメータおよびパラメータのデフォルト値を抽出し、1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を作成することができる。
【0051】
いくつかの場合には、プラントデバイス管理システム3000のデバイスパラメータセットマネージャ400は、デバイスパラメータセットクリエータツール410によって作成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正することを可能にするように構成されたデバイスパラメータセット構成ツール420をも含み得る。デバイスパラメータセット構成ツール420は、422で1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)のパラメータを必須または重要として示す、もしくはフラグ付けする、および/または1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更もしくは修正するためにクラスパラメータセット(PS)のパラメータ値を変更するように構成される。前に説明したように、変更または修正された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)は、同じデバイスクラスについての新しいクラスパラメータセット(PS)として保存することもできる。したがって、毎回デバイス記述ファイルを使用して、クラスパラメータセットを作成する必要を排除した上述の動作を使用して複数のクラスパラメータセット(PS)を有することは便利である。
【0052】
図5に示すように、プラントデバイス管理システム3000のデバイスパラメータセットマネージャ400は、各デバイステンプレートを1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスのそれぞれのサブセットに割り当てるための論理435を含むように構成されたデバイステンプレートマネージャ430も含み得、ここで、それぞれの各デバイステンプレートは、それぞれのクラスパラメータセット(PS)を含む。各デバイステンプレートを1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスのそれぞれのサブセットに割り当てるように構成されたデバイステンプレートマネージャ430は、1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスをデバイスアプリケーションに構成することができる。デバイスアプリケーションのいくつかの例は、限定はしないが、工業用自動化およびプロセス制御における変量を監視するために使用されるレベルトランスミッタ、フロートランスミッタ、および圧力トランスミッタを含み得る。
【0053】
いくつかの他の場合には、プラントデバイス管理システム3000のデバイスパラメータセットマネージャ400は、デバイステンプレートマネージャ430によって登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較するように構成されたデバイスパラメータ監査部440をさらに含み得る。さらに、デバイスパラメータ監査部440は、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間と、クラスパラメータセットの監査時間とを含む監査報告を生成するために利用される論理444を含むように構成される。デバイスパラメータ監査部440によって提供される監査報告は、工業プラントエンジニアリングにおける運営コンプライアンスおよび保守作業のために、物理フィールドデバイスのパラメータを交換または変更する必要があるかどうかを決定するためのものである。言い換えれば、デバイスパラメータ監査部440は、技術的観点から、少なくとも、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間と、クラスパラメータセットの監査時間の両方の重要な情報を提供するように設計されており、これは、工業プラントエンジニアリングにおける運営コンプライアンスおよび保守作業のために、物理フィールドデバイスのパラメータを交換または変更する必要があるかどうかを決定するために有益である。
【0054】
デバイスパラメータ監査部440は、割り当てられた各クラスパラメータセットを取得するための論理441、対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理442、および割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理443を含むようにさらに構成される。
【0055】
さらに、いくつかの場合には、デバイスパラメータ監査部440は、1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスに割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセットのすべてのパラメータまたは1つもしくは複数のフラグ付きパラメータと、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータとを比較するように構成される。
【0056】
加えて、デバイスパラメータ監査部440は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータを、割り当てられたクラスパラメータセット(PS)とのみ比較するように構成されているだけでなく、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータを、同じデバイスクラスに属する他のクラスパラメータセット(PS)と比較するように構成される。
【0057】
図6は、1つまたは複数の実施形態による、別の例示的なプラントデバイス管理システム5000を示す。図6に示すように、プラントデバイス管理システム5000は、デバイスパラメータセットマネージャ500を含む。
【0058】
プラントデバイス管理システム5000のデバイスパラメータセットマネージャ500は、それぞれのクラスパラメータセット(PS)を登録済みの非物理フィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるための論理535を含むように構成されたデバイステンプレートマネージャ530を含む。デバイステンプレートマネージャ530は、登録済みの非物理フィールドデバイスのうちの少なくとも1つにそれぞれのクラスパラメータセット(PS)を割り当てるように構成され、登録済みの非物理フィールドデバイスのうちの少なくとも1つを、たとえば、任意の所与の時間に所与の液体またはバルク固体のレベルを決定するためのレベルトランスミッタなど、デバイスアプリケーションに構成する機能を提供する。
【0059】
さらに、プラントデバイス管理システム5000のデバイスパラメータセットマネージャ500は、デバイスパラメータ監査部540を含み、デバイスパラメータ監査部540は、デバイステンプレートマネージャ530によって登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとを比較するように構成される。さらに、デバイスパラメータ監査部540は、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間およびクラスパラメータセットの監査時間を含む監査報告を生成するように構成され、運営コンプライアンスおよび保守作業中、物理フィールドデバイスのパラメータを交換または変更するかどうかを決定するための論理も含み得る。言い換えれば、デバイスパラメータ監査部540は、技術的観点から、少なくとも、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間と、クラスパラメータセットの監査時間の両方の重要な情報を提供するように設計されており、これは、工業プラントエンジニアリングにおける運営コンプライアンスおよび保守作業のために、物理フィールドデバイスのパラメータを交換または変更する必要があるかどうかを決定するために有益である。
【0060】
デバイスパラメータ監査部540は、割り当てられた各クラスパラメータセットを取得するための論理541、対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理542、および割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理543を含むようにさらに構成される。
【0061】
さらに理解されるように、デバイスパラメータ監査部540は、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータを、割り当てられたクラスパラメータセット(PS)とのみ比較するように構成されているだけでなく、物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセットの対応するパラメータを、同じデバイスクラスに属する他のクラスパラメータセット(PS)と比較するように構成される。
【0062】
いくつかの場合には、プラントデバイス管理システム5000のデバイスパラメータセットマネージャ500は、1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更または修正することを可能にするように構成されたデバイスパラメータセット構成ツール520をさらに含み得る。特に、デバイスパラメータセット構成ツール520は、それぞれの1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)に含まれるパラメータにフラグを付けるための論理522、および/または1つもしくは複数のクラスパラメータセット(PS)を変更もしくは修正するためにクラスパラメータセット(PS)のパラメータ値を変更するための論理を含むように構成される。
【0063】
図7Aは、クラスパラメータセット(PS)管理のライフサイクルを示し、これは、限定はしないが、デバイスクラスの登録701、クラスパラメータセット(PS)の作成702、クラスパラメータセットの構成703、クラスパラメータセットの割当て704、クラスパラメータセットのダウンロード705、およびクラスパラメータセットを使用したデバイスの監査706を含む。詳細には、上述したように、デバイスクラスの登録701は、フィールドデバイスのベンダー、モデル、およびリビジョンに基づいて、フィールドデバイスがプラント資産管理(PAM)システムによって定義されるが、プロセス制御システムに物理的に接続されていないことを指す。デバイスクラスの登録701の後、クラスパラメータセット(PS)の作成702のライフサイクル段階で1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)が作成される。次いで、作成された1つまたは複数のクラスパラメータセットは、クラスパラメータセットの構成703のライフサイクル段階で構成されることになる。その後、構成された1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)が、704で、1つまたは複数の登録済みの非物理プラントフィールドデバイスに割り当てられることになる。705で、割り当てられた1つまたは複数のクラスパラメータセットが物理プラントフィールドデバイスによってダウンロードされる。最後に、706で、物理デバイスが監査され、運営コンプライアンスおよび保守のために、登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとが取得され、次いで比較される。
【0064】
図7Bは、ライフサイクルの各段階における例示的な関連する内容を含むクラスパラメータセット(PS)管理のライフサイクルを示す。一例として、デバイスクラスの登録701の際に、対応するデバイス記述(DD)ファイルがそれに関連付けられ、次いで、702で、クラスパラメータセット(PS)を作成するために、対応するデバイス記述(DD)ファイルが利用され得る。作成されたクラスパラメータセット(PS)は、703で、パラメータ値を変更すること、および/または作成されたクラスパラメータセット内のいくつかのパラメータにフラグを付けることによって構成され得る。クラスパラメータセットの割当て704の段階では、構成されたクラスパラメータセットは、デバイスを構成するために登録済みの非物理デバイスに割り当てられる。また、割り当てられたクラスパラメータセットは、705で、物理プラントフィールドデバイスによってダウンロードされることになる。次に、デバイスの監査706の段階で、登録済みの非物理フィールドデバイスに割り当てられたクラスパラメータセット(PS)のパラメータ、およびプラント内に設置された物理フィールドデバイス(すなわち「オンライン」デバイス)からのクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータが取得され、比較されることになる。さらに、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間、およびデバイスに関連付けられたクラスパラメータセットの監査時間を含む監査報告が生成され、示される。言い換えれば、デバイスの監査706の段階は、技術的観点から、少なくとも、割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間と、クラスパラメータセットの監査時間の両方の重要な情報を提供するように設計されており、これは、工業プラントエンジニアリングにおける運営コンプライアンスおよび保守作業のために、物理フィールドデバイスのパラメータを交換または変更する必要があるかどうかを決定するために有益である。
【0065】
特に、図7Cは、クラスパラメータセットのダウンロード705のライフサイクル段階を示しており、デバイステンプレートに含まれるそれぞれのクラスパラメータセット(PS)は、物理プラントフィールドデバイスによってダウンロードされる。図に示されるように、デバイステンプレート1に含まれる3つのパラメータ(すなわち、パラメータ1、パラメータ3、およびパラメータ4)を含むそれぞれのクラスパラメータセットは、物理プラントフィールドデバイスによってダウンロードされ、対象の物理プラントフィールドデバイスは、圧力トランスミッタとして働く。もう1つの例では、デバイステンプレート2に含まれる5つのパラメータ(すなわち、パラメータ1、パラメータ2、パラメータ6、パラメータ7、およびパラメータ8)を含む別のそれぞれのクラスパラメータセットは、別の物理プラントフィールドデバイスによってダウンロードされ、したがって、物理プラントフィールドデバイスは、レベルトランスミッタになる。
【0066】
さらに理解されるように、それぞれのクラスパラメータセットは、複数の物理プラントフィールドデバイスによって同時にダウンロードすることができ、したがって、一括ダウンロードおよび試運転が達成され、試運転時間が大幅に短縮され得る。
【0067】
図8は、いくつかの実施形態による、クラスパラメータセット(PS)の作成の一例のフローチャートを示している。詳細には、ステップS201aにおいて、デバイスパラメータセットクリエータツールによって、複数のデバイス記述ファイルの各々から、パラメータおよびそのパラメータのデフォルト値が抽出される。ステップS201bにおいて、デバイスパラメータセットクリエータツールによって、抽出されたパラメータおよびパラメータのデフォルト値からそれぞれのクラスパラメータセットが作成される。
【0068】
図9は、クラスパラメータセット(PS)内のパラメータが比較され、監査される、本開示の実施形態のいくつかによる、例示的な監査動作のフローチャートを示す。詳細には、ステップS530において、それぞれのクラスパラメータセットが、デバイステンプレートマネージャ530によって、登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てられる。ステップS541において、デバイスパラメータ監査部540は、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットを取得する。また、ステップS542において、デバイスパラメータ監査部540は、プラント内に設置された1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットから対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得する。次に、ステップS543において、デバイスパラメータ監査部540は、割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較する。
【0069】
図10は、クラスパラメータセット(PS)内のフラグ付きパラメータが比較され、監査される、いくつかの実施形態による、例示的な監査動作のフローチャートである。ステップS530において、デバイステンプレートマネージャ530は、登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのうちの少なくとも1つにそれぞれのクラスパラメータセットを割り当てる。ステップS522において、デバイスパラメータセット構成ツール520は、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットに対するそれぞれのクラスパラメータセットに含まれるデバイスパラメータにフラグを付ける。ステップS541'において、デバイスパラメータ監査部540は、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きデバイスパラメータをデバイステンプレートマネージャから取得する。また、ステップS542'において、デバイスパラメータ監査部540は、プラント内に設置された1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットから対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータを取得する。ステップS543'において、デバイスパラメータ監査部540は、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットのフラグ付きデバイスパラメータと、デバイステンプレートマネージャ530によって割り当てられた各クラスパラメータセットに対応する物理デバイスクラスパラメータセットの対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較する。
【0070】
さらに理解されるように、割り当てられたそれぞれのクラスパラメータセット内のフラグ付きパラメータと、プラント内に設置された物理フィールドデバイスからの対応するクラスパラメータセット(PS)の対応するパラメータとの間での比較または監査が可能であるので、監査効率が改善され、運営コンプライアンスが保証され得る。
【0071】
本明細書を例示的な実施形態に関して上記で説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義されるべき技術的思想および特徴の範囲から逸脱することなく、当業者によって、説明した例示的な特徴の様々な置換および修正があり得ることを理解されたい。
【0072】
1つまたは複数の例示的な実施形態の方法は、コンピュータによって具現化される様々な動作を実施するためのプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体(CD ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスクなど)に、コンピュータ可読プログラムコードとして記録することができる。
【0073】
本明細書は多くの特徴を含むが、これらの特徴は、本開示の範囲または添付の特許請求の範囲に対する限定として解釈されないものとする。別個の実施形態の文脈において説明されたいくつかの特徴は、組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の例示的な実施形態の文脈で記載された様々な特徴は、複数の例示的な実施形態において別々にまたは任意の適切な部分組合せで実装することもできる。
【0074】
また、すべての実施形態が、この説明で行われた様々なシステム構成要素の区別を必要としないことに留意されたい。デバイス構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品または複数のソフトウェア製品パッケージとして実装され得る。
【0075】
いくつかの例が上記で説明されている。それにもかかわらず、様々な修正がなされてもよいことに留意されたい。たとえば、説明された技法が異なる順序で実行され、および/または説明されたシステム、アーキテクチャ、またはデバイス内の構成要素が異なる方法で組み合わされ、および/または他の構成要素もしくはその均等物によって置き換えられ、もしくは補足される場合、適切な結果が達成され得る。したがって、他の実装形態は、添付の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0076】
10 分類規則
11 デバイスクラス
12 デバイス記述(DD)ファイル
20 デバイステンプレート
21 登録済みの非物理フィールドデバイス
22 プラント内に設置された物理フィールドデバイス
100 デバイス記述ファイルストレージ
200 デバイスパラメータセットマネージャ
210 デバイスパラメータセットクリエータツール
220 デバイスパラメータセット構成ツール
230 デバイステンプレートマネージャ
231 それぞれのデバイステンプレートを少なくとも1つの登録済みの非物理プラントフィールドデバイスに割り当てるための論理
232 登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組をブラウズするための論理
233 デバイスクラスを識別するための論理
234 登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれの組のすべてをブラウズするための論理
235 1つまたは複数登録済みの非物理プラントフィールドデバイスのそれぞれのサブセットに各デバイステンプレートを割り当てるための論理
236 1つまたは複数の物理プラントフィールドデバイスに割り当てられたそれぞれのデバイステンプレートに含まれるクラスパラメータセットのすべてのパラメータまたは1つもしくは複数のフラグ付きパラメータのダウンロードを可能にするための論理
240 デバイスパラメータ監査部
300 デバイス記述ファイルストレージ
400 デバイスパラメータセットマネージャ
410 デバイスパラメータセットクリエータツール
420 デバイスパラメータセット構成ツール
430 デバイステンプレートマネージャ
435 各デバイステンプレートを1つまたは複数の登録済みの非物理フィールドデバイスのそれぞれのサブセットに割り当てるための論理
440 デバイスパラメータ監査部
441 割り当てられた各クラスパラメータセットを取得するための論理
442 対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理
443 割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理
444 割り当てられたクラスパラメータセットのダウンロード時間とクラスパラメータセットの監査時間とを含む監査報告を生成するために利用される論理
500 デバイスパラメータセットマネージャ
520 デバイスパラメータセット構成ツール
522 それぞれの1つまたは複数のクラスパラメータセット(PS)に含まれるパラメータにフラグを付けるための論理
530 デバイステンプレートマネージャ
535 それぞれのクラスパラメータセット(PS)を登録済みの非物理フィールドデバイスのうちの少なくとも1つに割り当てるための論理
540 デバイスパラメータ監査部
541 割り当てられた各クラスパラメータセットを取得するための論理
542 対応する物理デバイスクラスパラメータセットを取得するための論理
543 割り当てられた各クラスパラメータセットの少なくともデバイスパラメータと、対応する物理デバイスクラスパラメータセットの少なくとも対応するパラメータとの間でパラメータ値を比較するための論理
701 デバイスクラスの登録
702 クラスパラメータセット(PS)の作成
703 クラスパラメータセットの構成
704 クラスパラメータセットの割当て
705 クラスパラメータセットのダウンロード
706 クラスパラメータセットを使用したデバイスの監査
1000 プラントデバイス管理システム
3000 プラントデバイス管理システム
5000 プラントデバイス管理システム
20000 プラント資産管理(PAM)システム
20100 データベース
20200 パラメータマネージャ
20300 クライアント
30000 フィールド通信サーバ(FBCOM)
40000 フィールドデバイス
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10