(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】プログラム、記憶用のプログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230620BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G06F3/12 357
B41J29/38
G06F3/12 332
G06F3/12 304
G06F3/12 378
G06F3/12 351
(21)【出願番号】P 2019046537
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー ポーチュン
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117026(JP,A)
【文献】特開2004-213543(JP,A)
【文献】特開2004-082528(JP,A)
【文献】特開2005-128651(JP,A)
【文献】特開平09-267534(JP,A)
【文献】特開2012-084176(JP,A)
【文献】特開2007-102328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を行うための処理を実行するプログラムであって、前記情報処理装置のメモリには、複数の設定データが記憶されており、前記設定データは、用紙サイズを含む印刷設定を示すデータであり、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置の通信インタフェースを介して、前記プリンタから前記プリンタに設定されている用紙サイズを取得する取得処理と、
前記複数の設定データの中から、前記取得処理にて取得した用紙サイズと同じ用紙サイズに対応する設定データを抽出する抽出処理と、
前記抽出処理にて抽出された設定データが示す印刷設定を、前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる表示処理と、
を実行させ
、
前記プログラムには、特定の印刷に用いる設定を行う第1モードと、前記特定の印刷以外の印刷でも用いる設定を行う第2モードと、があり、
前記コンピュータに、
前記抽出処理にて抽出された設定データに前記特定の印刷に用いる設定が含まれているか否かを判断する判断処理を実行させ、
前記判断処理にて前記特定の印刷に用いる設定が含まれていると判断された場合、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第2モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を前記第1モードに対応する表示に切り替え、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第1モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を切り替えないで前記第1モードに対応する表示を維持する切替処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するプログラムであって、
前記取得処理では、
前記通信インタフェースを介して、前記プリンタに対して計測指示を送信し、前記プリンタが前記計測指示を受信することで前記プリンタにセットされている用紙のサイズを計測した結果を、前記プリンタから受信する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項
1に記載するプログラムであって、
前記特定の印刷は、印刷対象の画像の一部を抽出し、抽出した画像の印刷を行うクロップ印刷であり、
前記第1モードは、前記クロップ印刷に用いる設定を行うクロップ印刷モードであり、
前記切替処理は、前記抽出処理にて抽出された設定データに前記クロップ印刷に用いる設定が含まれており、かつ現在のモードが第2モードである場合に、前記クロップ印刷モード用でない設定画面から、前記クロップ印刷モード用の設定画面に切り替えること、
を特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1つに記載するプログラムであって、
前記コンピュータに、
現在の印刷設定を示す設定画面を前記表示デバイスに表示させる場合に、前記取得処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項
3のいずれか1つに記載するプログラムであって、
前記コンピュータに、
現在の印刷設定を示す設定画面であって、用紙サイズの取得を示す入力オブジェクトが表示される前記設定画面を前記表示デバイスに表示させている状態で、前記入力オブジェクトに対する入力を受け付けた場合に、前記取得処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1つに記載するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記抽出処理にて設定データが抽出されなかった場合に、前記取得処理にて取得した前記プリンタに設定されている用紙サイズを含む印刷設定を示す前記設定データを前記メモリに記憶する記憶処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を記憶するための処理を実行する記憶用のプログラムであって、前記情報処理装置のメモリには、複数の設定データが記憶されており、前記設定データは、用紙サイズを含む印刷設定を示すデータであり、
前記設定データは、特定の印刷に用いる設定を行う第1モード向けの設定データと、前記特定の印刷以外の印刷でも用いる設定を行う第2モード向けの設定データと、があり、
前記コンピュータに、
用紙サイズを含む印刷設定を取得し、取得した印刷設定を示す前記設定データを前記メモリに記憶する記憶処理を実行させ、前記情報処理装置は、前記プリンタから前記プリンタに設定されている用紙サイズを取得することが可能であり、さらに複数の設定データの中から、前記プリンタから取得した用紙サイズと同じ用紙サイズに対応する設定データが抽出された場合に、抽出された設定データが示す印刷設定を、前記情報処理装置の表示デバイスに表示することが可能であ
り、さらに、前記情報処理装置は、抽出された設定データに前記特定の印刷に用いる設定が含まれているか否かを判断することが可能であり、前記特定の印刷に用いる設定が含まれていると判断した場合、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第2モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を前記第1モードに対応する表示に切り替え、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第1モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を切り替えないで前記第1モードに対応する表示を維持することが可能である、
ことを特徴とする記憶用のプログラム。
【請求項8】
メモリと、
通信インタフェースと、
表示デバイスと、
コンピュータと、
を備える情報処理装置であって、
前記メモリには、複数の設定データが記憶されており、
前記設定データは、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズを含む印刷設定を示すデータであり、
前記設定データは、特定の印刷に用いる設定を行う第1モード向けの設定データと、前記特定の印刷以外の印刷でも用いる設定を行う第2モード向けの設定データと、があり、
前記コンピュータは、
前記通信インタフェースを介して、前記プリンタから前記プリンタに設定されている用紙サイズを取得する取得処理と、
前記メモリに記憶される複数の設定データの中から、前記取得処理にて取得した用紙サイズと同じ用紙サイズに対応する設定データを抽出する抽出処理と、
前記抽出処理にて抽出された設定データが示す印刷設定を、前記表示デバイスに表示させる表示処理と、
を実行
し、
さらに、前記コンピュータは、
前記抽出処理にて抽出された設定データに前記特定の印刷に用いる設定が含まれているか否かを判断する判断処理を実行し、
前記判断処理にて前記特定の印刷に用いる設定が含まれていると判断した場合、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第2モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を前記第1モードに対応する表示に切り替え、前記表示デバイスに現在表示されている表示が前記第1モードに対応する表示である場合には、前記表示デバイスの表示を切り替えないで前記第1モードに対応する表示を維持する切替処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタでの印刷に用いる設定を行うプログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置において、ユーザによる用紙サイズの選択を受け付け、その選択された用紙サイズに基づいてプリンタに対して印刷を指示する技術が知られている。例えば、特許文献1には、情報処理装置から出力された印刷データにユーザ定義の用紙サイズが指定されていた場合に、管理サーバによって適切なプリンタ用紙を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが情報処理装置から用紙サイズを選択する際、必ずしもプリンタの近くにいるとは限らない。そのため、プリンタにセットされている用紙を確認できず、適切な用紙サイズを選択できないこともあり、消耗品を無駄に使用してしまう場合がある。また、プリンタの近くにいない場合、用紙を確認するためにプリンタまで移動することは、ユーザにとって手間がかかる。特許文献1では、用紙サイズの選択時の詳細に関する技術が開示されていない。
【0005】
本明細書は、用紙サイズの選択が可能な情報処理装置のプログラムであって、用紙サイズの選択時の使い勝手を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の解決を目的としてなされた本発明のプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を行うための処理を実行するプログラムであって、前記情報処理装置のメモリには、複数の設定データが記憶されており、前記設定データは、用紙サイズを含む印刷設定を示すデータであり、前記コンピュータに、前記情報処理装置の通信インタフェースを介して、前記プリンタから前記プリンタに設定されている用紙サイズを取得する取得処理と、前記複数の設定データの中から、前記取得処理にて取得した用紙サイズと同じ用紙サイズに対応する設定データを抽出する抽出処理と、前記抽出処理にて抽出された設定データが示す印刷設定を、前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる表示処理と、を実行させる、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成のプログラムは、メモリに記憶される設定データの中に、プリンタに設定されている用紙サイズに対する設定データがある場合に、その設定データが示す印刷設定を表示デバイスに表示させる。これにより、プログラムは、不適切な用紙サイズが選択されている状態での印刷を回避できる可能性が高まり、ユーザが用紙サイズを確認する手間を低減することができる。
【0008】
上記装置の機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、用紙サイズの選択が可能な情報処理装置のプログラムであって、用紙サイズの選択時の使い勝手を向上させる技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
【
図2】プリンタの内部構成の概略を示す説明図である。
【
図4】登録データベースの構造の一例を示す図である。
【
図6】印刷設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】クロップ印刷設定画面の一例を示す図である。
【
図9】登録処理の一例を示す図であって、(a)は登録処理の手順を示すフローチ ャートであり、(b)は追加登録確認画面の一例を示す図である。
【
図10】印刷設定処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)とプリンタとを含む印刷システムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、連続した帯状の印刷媒体に印刷するプリンタを含む印刷システムを開示するものである。
【0012】
本形態の印刷システムは、
図1に示すように、PC1と、プリンタ2と、サーバ3とを有し、インターネット4を介して互いに通信可能に接続されている。PC1は、プリンタ2に印刷させるための各種の処理を実行する装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。具体的に、PC1は、サーバ3からの画像データの取得、用紙サイズの設定を含む各種印刷設定の受け付け、プリンタ2への印刷コマンドの送信等を行う。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータを用いることもできる。
【0013】
PC1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、不揮発性メモリ14と、を含む制御基板10を備えている。さらに、PC1は、ネットワークインタフェース(以下、「ネットワークIF」とする)16と、USBインタフェース(以下、「USB-IF」とする)17と、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)18と、ディスプレイ19と、を備え、これらが制御基板10に電気的に接続されている。なお、
図1中の制御基板10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0014】
CPU11は、ROM12や不揮発性メモリ14から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。ROM12には、PC1を起動するための起動プログラム等が記憶されている。RAM13は、各種の処理が実行される際の作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。不揮発性メモリ14は、例えば、HDD、フラッシュメモリであり、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)等のプログラム、画像データや文書データ等のデータ、各種設定を記憶する領域として利用される。ROM12、RAM13および不揮発性メモリ14は、いずれもメモリの一例である。また、CPU11がCPUバッファを備えているものであれば、CPUバッファもメモリの一例である。
【0015】
メモリの一例はいずれも、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
ネットワークIF16は、LAN、インターネット4等のネットワークを介して、外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。ネットワークIF16の通信方式は、無線でも有線でもよく、どのような規格の方式でもよい。USB-IF17は、USB規格に基づいた通信を行うためのハードウェアを含む。PC1とプリンタ2との通信は、ネットワークIF16を用いて行っても良いし、USB-IF17を用いて行っても良い。ネットワークIF16またはUSB-IF17は、通信インタフェースの一例である。
【0017】
ユーザIF18は、キーボード、マウス等のユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアを含む。ディスプレイ19は、情報を画面に表示するハードウェアを含む。ディスプレイ19は、表示デバイスの一例である。なお、PC1は、ユーザIF18とディスプレイ19との両方の機能を備えたタッチパネル等を有していても良い。
【0018】
本形態のPC1は、不揮発性メモリ14に、汎用アプリケーションプログラム(以下「汎用アプリ」という)40と、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)41と、登録データベース(以下、「登録DB」とする)42と、を備えている。
【0019】
汎用アプリ40は、所定の形式、例えば、PDF形式のファイルの閲覧、印刷等を実行するためのプログラムであり、具体的には、Adobe Reader(登録商標)である。OS41には、プリンタ2を制御するプリンタドライバ411が組み込まれている。各プログラムの処理については、後述する。なお、プリンタドライバ411は、プログラムの一例である。
【0020】
本形態のプリンタ2は、例えば、
図2に示すように、印刷ヘッド21と、ロール状に巻き取られた印刷媒体22と、を内蔵し、印刷媒体22への印刷と印刷媒体22の搬送とを並行して行う、いわゆるラベルプリンタである。プリンタ2の印刷ヘッド21は、例えば、熱転写方式のものであり、発熱素子である複数の印字ピンの列を備える。プリンタ2は、印刷ヘッド21の各印字ピンを選択的に発熱させることで、印刷媒体22への印刷を行う。
【0021】
プリンタ2にて印刷に用いられる印刷媒体22は、連続した帯状の基材221と、基材221の片面に貼着された印刷対象の用紙222とを含むものである。プリンタ2は、印刷媒体22を巻き出しつつ印刷ヘッド21にて用紙222に印刷する。これにより、
図2に示すように、印刷媒体22のうちの印刷済みの部分が、排出口23から機外へ突出される。プリンタ2は、排出口23の近傍に、例えば、手動式のカッター24を備える。カッター24がユーザによって操作されることで、機外へ突出した部分が残りの印刷媒体22から切り取られて排出される。
【0022】
プリンタ2にて用いられる印刷媒体22には、印刷対象の用紙222の形状によって複数の用紙種類がある。用紙種類は、例えば、無定長テープ、ダイカットラベル、マーク付きメディアである。無定長テープは、基材221と同様の連続した帯状の用紙222が基材221に貼着されているものである。例えば、印刷済みの部分をカッター24等で切り取ることで、無定長テープから所定の長さのラベルが作成される。ダイカットラベルは、所定の形状に予め形成された複数の用紙222が、基材221に所定の間隔を空けて貼着されているものである。マーク付きメディアは、印刷媒体22の長手方向に所定の間隔でマークが設けられているものであり、各用紙222は1つずつのマークを含む範囲に設定されている。この印刷媒体22は、プリンタメーカが提供する純正用紙でも、一般のロール紙など、サードパーティ製の非純正用紙でもよい。
【0023】
なお、本形態のプリンタ2は、セットされている印刷媒体22の用紙サイズを計測して計測結果を出力するサイズ計測機能を有していてもよい。例えば、プリンタ2は、搬送経路に光センサを備え、印刷媒体22を搬送しつつ基材221上の用紙222の有無やマークの有無を光センサによって検知し、検知結果に基づいて搬送方向の長さを算出してもよい。また例えば、印刷媒体22が純正用紙である場合、プリンタ2は、用紙カセットの孔等の識別子から用紙サイズを検知してもよい。なお、プリンタ2は、ユーザ操作によって設定された用紙サイズの設定値をメモリに記憶することができる。
【0024】
また、本形態のプリンタ2は、排出口23の外側にオプションユニット25の装着が可能なものであってもよい。オプションユニット25は、印刷後の印刷媒体22に加工を施すユニットであり、例えば、カッターオプションである。カッターオプションは、印刷済みで排出口23から排出された印刷媒体22を自動的にカットするものであり、例えば、1ラベルごとにカット、全ラベルの後端でカット、の設定が可能である。また、カッターオプションは、1ラベルごとに切り離すカット、1ラベルごとに切り目を入れるカット、の設定が可能である。カッターオプションは、例えば、ロール紙を所定の長さでカットしてラベルを作成する場合に使用する。
【0025】
プリンタ2は、PC2から受信した印刷コマンドに含まれる印刷の設定に基づいて画像を印刷媒体22に印刷する。プリンタドライバ411は、汎用アプリ40などの他のプログラムからの要求に応じて印刷設定画面を表示し、印刷の設定を受け付ける機能を有する。
【0026】
本形態のプリンタドライバ411は、プリンタ2に対応するものであり、クロップ印刷設定画面を表示してクロップ印刷に用いる設定を行うクロップ印刷設定モードと、基本設定画面を表示してクロップ印刷以外でも用いる設定を行う基本印刷設定モードとを有する。本明細書において、クロップ印刷は、印刷対象の画像の一部を抽出し、抽出した画像をラベルに印刷することと、定義する。なお、クロップ印刷は、特有の印刷の一例である。クロップ印刷設定モードは、第1モードの一例であり、基本印刷設定モードは、第2モードの一例である。
【0027】
本形態では、クロップ印刷は、商品ラベル又は発送ラベルの印刷に用いられる。例えば、商品ラベルをクロップ印刷する場合、
図3に示すように、バーコード71の画像7を1又は2以上含む画像8の画像データから、バーコードを含む画像7の画像データ(以下「バーコード画像データ」とする)を個別に抽出し、抽出した画像7を用紙222に印刷する、ダイカットラベルへの印刷であれば、通常、1枚の用紙222に対して、1個の画像7が印刷される。なお、画像7は、例えば、バーコード71の他、商品名やコンディションなどの画像を含む。
【0028】
また例えば、発送ラベルをクロップ印刷する場合、商品ラベルに印刷する画像と発送ラベルに印刷する画像とを含むA4サイズの画像データから、商品ラベルに印刷する画像の画像データと発送ラベルに印刷する画像の画像データをそれぞれ抽出し、用紙222のラベルに印刷する。発送ラベルに印刷される画像の画像データも、バーコード画像データを有する。
【0029】
商品ラベル又は発送ラベルに印刷されるバーコードは、バーコードリーダによって正確に読み取ることができる必要がある。また、バーコードの画像を提供するサービス提供会社によって、商品ラベルと発送ラベルの大きさが指定されることがある。また、指定される大きさが、商品ラベルと発送ラベルとで異なることがある。また、ラベルの大きさは、商品の大きさや配送業者の規格、バーコードを印刷する位置などによって制限されることがある。よって、商品ラベルと発送ラベルのクロップ印刷に使用する用紙222は、上記制限に適した用紙サイズである必要がある。なお、基本印刷を行う場合、用紙222の用紙サイズが上記制限に適した用紙サイズである必要はない。
【0030】
プリンタドライバ411は、プリンタ2と通信し、プリンタ2に設定されている用紙サイズをプリンタ2から取得する機能を有する。以下では、用紙サイズのうち、印刷媒体22の搬送方向の大きさを、「用紙長さ」とし、搬送方向に直交する方向の大きさを、「用紙幅」とする。用紙幅は、セットされた印刷媒体22によって決まる。例えば、用紙222の幅が基材221の幅よりも小さい場合、用紙幅は、用紙222の幅である。
【0031】
用紙長さは、用紙種類や印刷データによってそれぞれ異なる。用紙種類が無定長テープの場合、用紙長さは、個々の印刷データの印刷対象となる範囲であり、印刷後に排出口23から突出される長さである。用紙種類がダイカットラベルの場合、用紙長さは、基材221上に貼着されている切断済みの用紙222の1つの長さである。用紙種類がマーク付きメディアの場合、用紙長さは、搬送方向におけるマークの間隔である。
【0032】
プリンタドライバ411は、よく使う印刷設定を登録DB42に登録する機能を有する。プリンタドライバ411は、プリンタ2から取得した用紙サイズが登録DB42に登録されていない場合に、その用紙サイズを含む設定データを登録DB42に記憶する機能を有する。
【0033】
登録DB42は、例えば、
図4に示すように、登録番号441、用紙サイズ442、モード443、用途444、用紙種445、オートカット446等の設定値を関連付けた設定データ44を記憶している。
【0034】
登録番号441は、設定データを識別する情報である。用紙サイズ442は、用紙222の用紙サイズに関する情報であり、用紙幅と用紙長さを含む。モード443は、基本印刷設定モード向けの設定データであるか、クロップ印刷設定モード向けの設定データであるかを示す情報である。用途444は、印刷物の用途を示す情報であり、例えば、商品ラベル、発送ラベルが記憶される。本形態では、用途444に商品ラベル又は発送ラベルが記憶される場合、モード443にクロップ印刷設定モードが記憶され、用途444に商品ラベル又は発送ラベルが記憶されない場合、モード443に基本印刷設定モードが記憶される。なお、用途444は、特定の印刷に用いる設定の一例である。
【0035】
用紙種445は、用紙種類を示す情報であり、「無定長テープ」、「ダイカットラベル」、「マーク付きメディア」のいずれかの値が記憶される。オートカット446は、用紙を自動的にカットするか否かを示す情報であり、用紙を自動的に切り離すことを示す「カット」、用紙を幅方向の途中まで切断して切れ目を入れることを示す「ハーフカット」、用紙をカットしないことを示す「なし」の何れかの値が記憶される。
【0036】
なお、設定データ44は、例えば、プリンタドライバ411のインストール時や更新時に、登録DB42に自動登録されてもよいし、ユーザIF18を用いて登録DB42に登録されてもよい。例えば、純正用紙は、前者の方法で登録DB42に登録でき、非純正用紙については、後者の方法で登録DB42に登録できる。
【0037】
続いて、印刷システムの動作を説明する。例えば、ユーザは、商品毎に商品情報をPC1に入力し、サーバ3に送信する。サーバ3は、商品情報に基づいてバーコード画像データを作成し、バーコード画像データを1又は2以上含むA4サイズの画像データをPC1に返信する。ユーザが商品情報を10個入力した場合、10個のバーコード画像データを配列したA4サイズの画像データが、サーバ3からPC1に送信される。
【0038】
図5に示すように、PC1は、サーバ3から画像データを受信すると、汎用アプリ40を用いてラベル画像表示画面D1をディスプレイ19に表示させる。ラベル画像表示画面D1には、バーコードを含む画像7が一覧表示されている。また、ラベル画像表示画面D1には、印刷ボタンA1が表示されている。PC1は、ユーザIF18を用いて印刷ボタンA1が押下されると、汎用アプリ40を用いて印刷設定用のダイアログDL1をディスプレイ19に表示させる。ダイアログDL1には、プレビュー画像PR1と、プロパティボタンA2と、印刷ボタンA3が表示されている。
【0039】
ユーザIF18を介してプロパティボタンA2が押下されると、汎用アプリ40は、OSのAPI(Application Programming Interface の略)を介してプリンタドライバ411を呼び出す。PC1は、この呼び出しを契機に、CPU11がプリンタドライバ411を起動させ、
図6に示す印刷設定処理を実行する。
【0040】
なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOS41のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS41の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS41のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0041】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0042】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0043】
まず、CPU11は、レジストリに記憶されている現在の印刷設定値を読み出し、RAM13に一時的に記憶させる(S12)。現在の印刷設定値は、プリンタドライバ411がインストールされたときに設定されるデフォルト設定値のままである場合もあれば、例えば、
図7、
図8などで変更操作を受け付け、レジストリに記憶された設定値である場合もある。なお、このレジストリに記憶される印刷設定値は、プリンタドライバ411での印刷データ、プリンタへのコマンド作成に用いられる全ての設定項目が含まれている。レジストリは、不揮発性メモリ14に設けられた、プリンタドライバ411用の記憶領域である。
【0044】
それから、CPU11は、
図7に示す基本設定画面D3をディスプレイ19に表示させる(S14)。基本設定画面D3は、プリンタドライバ411が基本印刷設定モードである場合に表示される。基本設定画面D3は、クロップ印刷以外の印刷でも用いる設定、つまり、クロップ印刷とそれ以外の印刷とで共用される基本の設定を受け付ける画面である。プリンタドライバ411は、印刷設定処理の開始時に基本印刷設定モードとして起動するようにプログラミングされている。
【0045】
基本設定画面D3は、基本設定タブTB31とクロップ印刷タブTB32とを備える。基本設定タブTB31は、プリンタドライバ411を基本印刷設定モードとする指示を受け付けるオブジェクトである。クロップ印刷タブTB32は、プリンタドライバ411をクロップ印刷設定モードとする指示を受け付けるオブジェクトである。プリンタドライバ411は、基本印刷設定モードのときに、クロップ印刷タブTB32が選択されると、クロップ印刷設定モードになり、
図8に示すクロップ印刷設定画面D4をディスプレイ19に表示させる。
【0046】
クロップ印刷設定画面D4は、クロップ印刷で用いる印刷設定を受け付ける画面である。クロップ印刷設定画面D4は、基本設定領域DA32に代えてクロップ印刷設定領域DA42が設けられている。RAM13に記憶される印刷設定値のうち、クロップ印刷に関する設定値は、クロップ印刷設定画面D4のクロップ設定欄SA41に設けられたラジオボタンR41~R43に反映される。クロップ印刷設定画面D4にも、基本設定タブTB31とクロップ印刷タブTB32が設けられている。プリンタドライバ411は、クロップ印刷設定モードのときに、基本設定タブTB31が選択されると、基本印刷設定モードになり、
図7に示す基本設定画面D3をディスプレイ19に表示させる。
【0047】
尚、基本設定タブTB31が選択されても、クロップ印刷タブTB32が選択されても、RAM13の設定値が変更されるわけではない。RAM13の設定値は、新たに表示される設定画面に反映される。
【0048】
例えば、レジストリに記憶されている印刷設定値に含まれる用紙種類の設定が「無定長テープ」であり、用紙サイズの設定値が用紙幅103mm、用紙長さ164mmであり、オートカットの設定値がカットであり、クロップ印刷の設定がオフであるとする。この場合、印刷設定処理開始直後に表示される基本設定画面D3は、
図7に記載されるように、設定表示領域DA31、用紙選択欄SA31、用紙サイズ欄SA32、オプション欄SA34にそれらの設定値が反映される。この基本設定画面D3において、クロップ印刷タブTB32が選択されると、CPU11は、
図8に示すクロップ印刷設定画面D4を表示し、クロップ印刷処理を行わないことを設定するラジオボタンR41を選択する。そして、CPU11は、基本設定画面D3に表示される用紙サイズと同じ用紙サイズを用紙サイズ欄SA42に表示させると共に、基本印刷のイメージ画像をイメージ欄SA43に表示させる。なお、基本設定画面D3にもクロップ印刷設定画面D4にも、確認ボタンA32が設けられている。
【0049】
基本設定画面D3について
図7を参照して具体的に説明すると、基本設定画面D3は、基本設定タブTB31とクロップ印刷タブTB32の他、設定表示領域DA31と、基本設定領域DA32と、OKボタンA31と、を備える。OKボタンA31は、印刷設定の確定を指示するボタンである。
【0050】
設定表示領域DA31は、RAM13に一時的に記憶されている印刷設定値を表示する領域である。基本設定領域DA32は、標準設定項目が表示される領域である。基本設定領域DA32には、用紙選択欄SA31と、用紙サイズ欄SA32と、部数欄SA33と、オプション欄SA34が表示される。
【0051】
用紙選択欄SA31は、用紙サイズの名称の選択を受け付ける欄である。用紙選択欄SA31には、一般的な複数種の用紙サイズの名称、及び、登録DB42に登録済みであって基本印刷設定モードと関連付けられている印刷媒体22の名称が、選択肢として表示される。例えば、登録DBに登録済みの印刷媒体22の名称が選択されると、CPU11は、選択された用紙名称に対応して記憶されている印刷媒体22の用紙サイズを用紙サイズ欄SA32に表示させる。用紙選択欄SA31には、確認ボタンA32が設けられている。確認ボタンA32は、プリンタ2から用紙サイズを取得する指示を受け付けるボタンである。確認ボタンA32は、入力オブジェクトの一例である。
【0052】
用紙サイズ欄SA32は、用紙サイズを受け付ける欄である。部数欄SA33は、同じラベルを作成する部数の入力を受け付ける欄である。オプション欄SA34は、ラベル作成時にオプションユニット25を使用するか否かを示す情報の入力を受け付ける欄である。オプション欄SA34には、例えば、用紙をカットする枚数を指定する「指定枚数ごとにカット」のチェックボックスや、用紙を切り離す「最後をカット」のチェックボックスや、用紙に切り目を入れる「ハーフカット」のチェックボックスが設けられている。
【0053】
図6に戻り、S16の処理は、基本設定画面D3を表示するときと、クロップ印刷設定画面D4を表示するときの両方に共通する処理である。CPU11は、ユーザIF18を用いて確認ボタンA32が押下されたか否かを判断する(S16)。CPU11は、確認ボタンA32が押下されたと判断した場合(S16:YES)、プリンタ2に設定されている用紙サイズをプリンタ2から取得する(S18)。S18の処理は取得処理の一例である。
【0054】
用紙サイズの取得は、例えば、プリンタドライバ411がプリンタ2に対して用紙サイズの計測指示を送信し、その計測結果を受信することにより行ってもよい。プリンタ2は、キャリブレーションを実行して用紙サイズを検出してもよいし、印刷媒体22を収容するカセットの識別子から用紙サイズを検出してもよい。これによれば、プリンタ2が用紙サイズを実測するので、PC1は、プリンタ2に現在セットされている印刷媒体22の用紙サイズを自動的に取得することができる。
【0055】
なお、PC1がプリンタ2から取得する用紙サイズは、プリンタ2に現在セットされている用紙サイズに厳密に限定されない。すなわち、プリンタドライバ411がプリンタ2に設定されている用紙サイズの送信をプリンタ2に要求した場合に、プリンタ2のメモリ内に記憶されている用紙サイズを応答してもよい。プリンタドライバ411は、プリンタ2からの応答を受信することにより、用紙サイズを取得してもよい。また例えば、プリンタ2は、用紙カセットが外されている場合、直前にセットされていたカセットに対応する用紙サイズをPC1に返信してもよい。
【0056】
用紙サイズを取得したCPU11は、取得した用紙サイズに対応する設定データが登録DB42にあるか否かを判断する(S20)。すなわち、CPU11は、取得した用紙サイズと、
図4に示す登録DB42に記憶されている用紙サイズ442とを比較し、取得した用紙サイズに最も近い用紙サイズ442を読み出す。そして、CPU11は、読み出した用紙サイズ442が取得した用紙サイズと所定の誤差範囲内であるか否かを判断する。
【0057】
CPU11は、読み出した用紙サイズ442が取得した用紙サイズと所定の誤差範囲内でない場合、取得した用紙サイズに対応する設定データがないと判断し(S20:NO)、登録処理を実行し、取得した用紙サイズを登録DB42に追加登録する(S46)。CPU11は、登録処理後、S16に戻る。なお、登録処理は、記憶処理の一例である。登録処理については、後述する。
【0058】
一方、CPU11は、読み出した用紙サイズ442が取得した用紙サイズと所定の誤差範囲内であると判断した場合には、取得した用紙サイズに対応する設定データが登録DB42にあると判断する(S20:YES)。この場合、CPU11は、読み出した用紙サイズ442を含むレコードを登録DB42から読み出す(S22)。これにより、CPU11は、取得した用紙サイズと同じ用紙サイズに対応する設定データ44を登録DB42から抽出できる。なお、S20,S22の処理は、抽出処理の一例である。
【0059】
CPU11は、登録DB42から抽出した設定データ44に含まれる設定項目について、RAM13に一時記憶されている印刷設定値を、登録DB42から抽出した設定データ44の設定値で上書きする(S24)。なお、抽出した設定データ44に含まれない設定項目については、現在の設定値が維持される。
【0060】
その後、CPU11は、RAM13に記憶されている印刷設定値に含まれるモードがクロップ印刷設定モードであるか否かを判断する(S26)。モードがクロップ印刷設定モードである場合(S26:YES)、CPU11は、
図8に示すクロップ印刷設定画面D4の表示を行う(S28)。CPU11は、基本設定画面D3を表示している状態なら、クロップ印刷設定画面D4の表示に切り替え、クロップ印刷設定画面D4を表示している状態なら、クロップ印刷設定画面D4の表示を維持する。クロップ印刷設定画面には、RAM13に記憶されている印刷設定値、すなわち、抽出された設定データが示す印刷設定の設定値が反映される。S28の処理は、表示処理の一例である。基本設定画面D3を表示している状態から行われるS26,S28の処理は、切替処理の一例である。
【0061】
例えば、基本設定画面D3を表示している状態で、PC1がプリンタ2から取得した用紙サイズが、用紙幅60mm、用紙長さ30mmである場合(S18)、CPU11は、
図4に示す登録DB42から登録番号「2」の設定データ44を抽出する(S20:YES、S22)。登録番号「2」の設定データは、例えば、用紙サイズ442、モード443、用途444、用紙種445、オートカット446について設定値が設定されている。そこで、CPU11は、RAM13に記憶されている印刷設定のうち、用紙サイズと、モード、用途、用紙種類、オートカットの設定値を、登録番号「2」の設定データ44に含まれる設定値で変更する(S24)。
【0062】
この場合、RAM13に記憶される印刷設定値に含まれるモードは、登録番号「2」の設定データ44に関連付けられたモード443によって、「クロップ印刷設定モード」が設定されている。そこで、CPU11は、
図7に示す基本設定画面D3を、
図8に示すクロップ印刷設定画面D4に切り替える(S26:YES、S28)。このとき、CPU11は、登録番号「2」の設定データ44を反映した設定値を、クロップ印刷設定画面D4に表示させる。
【0063】
すなわち、RAM13に記憶されている用途、用紙サイズは、
図4に示す登録DB42から抽出した登録番号「2」の設定データ44の用途444、用紙サイズ442によって、それぞれ、「商品ラベル」、「60mm×30mm」が設定されている。そこで、CPU11は、商品ラベルのクロップ印刷処理を設定するラジオボタンR42を自動的に選択し、用紙サイズ欄SA42に「60mm×30mm」表示させる。さらに、CPU11は、イメージ欄SA43に、商品ラベルのクロップ印刷をイメージさせるイメージ画像を表示させる。そして、CPU11は、設定表示領域DA31に、登録番号「2」の設定データ44が示す設定値を反映した印刷設定を表示させる。例えば、設定表示領域DA31は、確認ボタンA32の操作前、無定長テープ形式の印刷概略図を表示していたが、クロップ印刷設定画面D4に切り替えられたときに、登録番号「2」の設定データ44の用紙種445に対応して、ダイカットラベル形式の印刷概略図が表示される。用紙サイズも同様である。なお、登録番号「2」の設定データ44に含まれない設定項目については、設定データ44でRAM13の設定値を上書きする前の設定値が表示される。
【0064】
図6に戻り、CPU11は、ユーザIF18を用いて、タブ選択が変更されたか否かを判断する(S30)。タブ選択が変更されない場合(S30:NO)、CPU11は、S36に進む。
【0065】
一方、CPU11は、クロップ印刷設定画面D4において、基本設定タブTB31が選択された場合、または、基本設定画面D3において、クロップ印刷タブTB32が選択された場合、タブ選択が変更されたと判断する(S30:YES)。この場合、CPU11は設定画面を切り替える。具体的には、クロップ印刷設定画面D4を基本設定画面D3に切り替える、または、基本設定画面D3をクロップ印刷設定画面D4に切り替える(S32)。そして、CPU11は、切替後の基本設定画面D3に、RAM13に一時記憶されている印刷設定値を反映する(S34)。
【0066】
例えば、CPU11は、
図4に示す登録DB42から登録番号「2」の設定データ44を抽出してRAM13の印刷設定値に上書きし、クロップ印刷設定画面D4を表示する(S24、S26:YES、S28)。この状態で、基本設定タブTB31を選択する操作がされたことに応じて、CPU11は、画面表示を基本設定画面D3に切り替える(S30:YES、S32)。この場合、RAM13に記憶される印刷設定値は、オートカットの設定値が「なし」であるので、オプション欄SA34は、「指定枚数ごとにカット」、「最後をカット」、「ハーフカット」のチェックボックスからチェックが自動的に外される。また同様に、用紙選択欄SA31、用紙サイズ欄SA32、設定表示領域DA31にも、登録番号「2」の設定データ44が示す印刷設定を反映した設定値が表示される(S34)。
【0067】
これに対して、基本設定画面D3においてクロップ印刷タブTB32が操作された場合(S30:YES)、CPU11は、クロップ印刷設定画面D4を表示し(S32)、RAM13の設定値を反映する(S34)。よって、ユーザは、ユーザIF18を用いて、基本設定画面D3又はクロップ印刷設定画面D4のタブTB31,TB32を選択することにより、プリンタドライバ411のモードを任意に切り替えることができる(S42:NO、S16:NO、S30:YES、S32、S34)。
【0068】
図6に示すように、CPU11は、ユーザIF18を用いて、クロップ印刷設定画面D4又は基本設定画面D3において、ディスプレイ19に表示される設定値を変更する変更操作があったか否かを判断する(S36)。CPU11は、変更操作があったと判断する場合(S36:YES)、変更操作に応じて、クロップ印刷設定画面D4又は基本設定画面D3に表示される設定値を変更する(S38)。そして、CPU11は、RAM13に一時記憶されている印刷設定値を、変更された設定値で変更する(S40)。なお、CPU11は、変更操作がないと判断する場合(S36:NO)、S38,S40の処理を行わずに、S42に進む。
【0069】
CPU11は、クロップ印刷設定画面D4又は基本設定画面D3のOKボタンA31が、ユーザIF18を用いて押下されたか否かを判断する(S42)。OKボタンA31が押下されない場合(S42:NO)、CPU11は、S16の処理に戻る。
【0070】
一方、OKボタンA31が押下された場合(S42:YES)、CPU11は、レジストリに記憶されている印刷設定値を、RAM13に一時記憶している印刷設定値で上書きし、現在の印刷設定値を更新する(S44)。その後、CPU11は、印刷設定処理を終了する。
【0071】
CPU11は、プリンタドライバ411による印刷設定処理が終了すると、ダイアログDL1をディスプレイ19に表示させる。CPU11は、印刷ボタンA3が押下されることにより、印刷実行指示を受け付け、汎用アプリ40からプリンタドライバ411に、A4サイズの画像データを渡す。
【0072】
CPU11は、レジストリから印刷設定値を読み出し、印刷データとコマンドを生成する。このとき、例えば、印刷設定値に含まれるクロップ印刷の設定値がオン、用途が「商品ラベル」である場合、CPU11は、A4サイズの画像データから画像7の画像データを抽出し、印刷データを生成する。そして、CPU11は、プリンタドライバ411を用いて、印刷設定値に含まれる用紙サイズの印刷領域に印刷データを収めるように画像データを生成し、プリンタ2が読み取り可能な形式に変換する。そして、PC1は、変換した画像データを含む印刷コマンドをプリンタ2に出力する。プリンタ2は、印刷コマンドに従って、1枚の用紙222に画像7を1個ずつ印刷していく。なお、用途が商品ラベルである場合、印刷コマンドに含まれるオートカットには「なし」を設定されている。よって、プリンタ2は、印刷時に印刷媒体22をカットしない。
【0073】
なお、例えば、CPU11は、確認ボタンA32が押下されることによりプリンタ2から取得した用紙サイズが、用紙幅105mm、用紙長さ50mmである場合、
図4に示す登録DB42から登録番号「4」の設定データ44を抽出し、RAM13に一時記憶する印刷設定値に上書きする(S16:YES、S18、S20:YES、S22、S24)。RAM13に一時記憶される印刷設定値は、抽出した設定データ44のモード443によって、「クロップ印刷設定モード」が設定されているので、CPU11は、クロップ印刷設定画面D4を表示する(S26:YES、S28)。この場合、CPU11は、用途444に基づいて、発送ラベルをクロップ印刷処理するラジオボタンR43を自動的に選択し、クロップ印刷設定画面D4を表示する。この他は、商品ラベルと同様に、CPU11は、クロップ印刷設定画面D4を表示する。
【0074】
これに対して、CPU11は、例えば、プリンタ2から取得した用紙サイズが、用紙幅30mm、用紙長さ60mmである場合(S18)、
図4に示す登録DB42から登録番号「1」の設定データ44を抽出する(S20:YES、S22)。そして、CPU11は、RAM13に記憶されている印刷設定のうち、用紙サイズと、モード、用途、用紙種類、オートカットの設定値を、登録番号「1」の設定データ44に含まれる設定値で変更する(S24)。CPU11は、RAM13に記憶されるモードの設定値が「基本印刷設定モード」であるので、基本設定画面D3を表示する(S48)。このとき、基本設定画面D3には、RAM13の設定値が表示される。つまり、CPU11は、登録番号「1」の設定データ44が示す印刷設定の設定値を、基本設定画面D3に表示させる。S48の処理は、表示処理の一例である。
【0075】
そのため、CPU11は、基本設定画面D3を表示したまま、設定表示領域DA31、用紙選択欄SA31、用紙サイズ欄SA32に表示される用紙サイズに関する設定値を、登録番号「1」の用紙サイズが示す用紙幅30mm、用紙長さ60mmに応じて、変更する。また例えば、設定表示領域DA31に表示される印刷概略図は、登録番号「1」の用紙種445の設定値によって、無定長テープ形式の印刷概略図からマーク付きメディア形式の印刷概略図に変更される。さらに、オプション欄SA34は、登録番号「1」のオートカット446の設定値によって、「最後をカット」のチェックボックスからチェックが自動的に外され、「ハーフカット」のチェックボックスにチェックが自動的に入れられる。
【0076】
図6に戻り、上記のようにクロップ印刷設定画面D4又は基本設定画面D3を表示したCPU11は、S30に進む。S30以降の処理は、上述したので説明を省略する。
【0077】
従って、本形態のプリンタドライバ411は、登録DB42に記憶される設定データ44の中に、プリンタ2に現在セットされている印刷媒体22の用紙サイズに対する設定データ44がある場合に(S18、S20:YES)、その設定データ44が示す印刷設定をディスプレイ19に表示させる(S22、S24、S26、S28、S48)。これにより、プリンタドライバ411は、不適切な用紙サイズが選択されている状態での印刷を回避できる可能性が高く、ユーザが用紙サイズを確認する手間を低減することができる。また、ユーザが、モードに応じて設定値を入力する手間が低減される。
【0078】
次に、上述した登録処理の処理手順を、
図9を参照して説明する。
図9(a)に示すように、CPU11は、プリンタ2から取得した用紙サイズを登録DB42に追加するか否かを確認する追加登録確認メッセージを表示する(S62)。例えば、CPU11は、
図9(b)に示すダイアログDL5を、ディスプレイ19に表示させる。ダイアログDL5には、追加登録を行う指示を受け付けるアイコンA51と、追加登録を行わない指示を受け付けるアイコンA52が表示される。確認メッセージを表示したCPU11は、追加登録指示を受け付けたか否かを判断する(S64)。
【0079】
CPU11は、ユーザIF18を用いてアイコンA51が押下された場合、追加登録指示を受け付けたと判断し(S64:YES)、用紙サイズ以外の印刷設定を取得する(S66)。用紙サイズ以外の印刷設定は、用紙サイズに応じて自動的に設定してもよいし、ユーザがユーザIF18を用いて選択するようにしてもよい。CPU11は、S66にて取得した用紙サイズ以外の印刷設定と、プリンタ2から取得した用紙サイズとを関連付けた設定データ44を登録DB42に登録し(S68)、処理を終了する。尚、CPU11は、ユーザIF18を用いてアイコンA52が押下された場合、追加登録指示を受け付けないと判断し(S64:NO)、処理を終了する。
【0080】
例えば、非純正用紙は、
図4に示す登録DB42に登録されていない場合がある。この場合、CPU11は、確認ボタンA32の押下に応じて、プリンタ2から非純正用紙の用紙サイズを取得しても、取得した用紙サイズに対応する設定データを登録DB42から読み出すことができない(
図6のS16:YES、S18、S20:NO)。この場合、CPU11は、ダイアログDL5のアイコンA51が押下されることにより、用紙サイズ以外の印刷設定、例えば、モード、用途、用紙種類、オートカットなどの情報をユーザIF18を介して取得する(S66)。そして、CPU11は、プリンタ2から取得した用紙サイズと、取得した用紙サイズ以外の情報とを関連付けた設定データ44を、登録DB42に記憶させる(S68)。これにより、新たに検出された非純正用紙を、登録DB42に追加登録できる。
【0081】
従って、プリンタドライバ411を実行するCPU11は、次回、確認ボタンA32を押下した場合に、その非純正用紙の用紙サイズに対応する設定データを登録DB42から読み出して、RAM13に一時記憶した印刷設定値を抽出した設定データの設定値によって上書きし、クロップ印刷設定画面D4又は基本設定画面D3に、追加登録した設定データが示す印刷設定を表示させることができるようになる。
【0082】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PCやプリンタの台数は、図示の例に限らない。また、プリンタ2の印刷方式は、熱転写方式に限らず、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式でもよい。また、印刷媒体22は、ラベルに限らず、例えば、単なるロール紙でもよい。さらに、クロップ印刷設定モードは、お薬手帳ラベルの印刷設定を行うモードであってもよい。
【0083】
本発明を、ラベルプリンタ以外に、ロール紙に印刷するロール紙プリンタに適用してもよいし、カット紙に印刷するカット紙プリンタに適用してもよい。プリンタ機能だけでなく、スキャナ機能などを備えた複合機に適用してもよい。
【0084】
例えば、
図10に示すように、プリンタドライバ411が、起動後、プリンタ2から用紙サイズを自動的に取得するようにしてもよい。つまり、
図6のS14、S16に示す処理を省略してもよい。この場合、プリンタドライバ411は、登録DB42から抽出した設定データ44のモード443がクロップ印刷設定モードである場合には(S26:YES)、クロップ印刷設定画面D4をディスプレイに表示させ(S28)、基本印刷設定モードである場合には(S26:NO)、基本設定画面D3をディスプレイに表示させる(S48)。この場合、RAM13の印刷設定値が、登録DB42から抽出された設定データ44が示す設定値で変更されている(S24)。そのため、各画面には、抽出した設定データ44が示す印刷設定が表示され、ユーザが印刷設定を入力する手間が低減される。このように用紙サイズを自動取得することで、不適切な用紙サイズが選択された状態での印刷を回避する可能性が高まる。なお、確認ボタンA32を押下するタイミングで用紙サイズを取得することにより、ユーザがプリンタ2まで移動して用紙サイズを確認する手間を意識的に省くことができる。
【0085】
図10に示すように用紙サイズを自動検知する場合、例えば、基本設定画面D3のオプション欄SA34に、起動時の用紙サイズの自動検知を設定する設定項目を設け、その設定に従って用紙サイズの自動検知を行うようにしても良い。
【0086】
図6及び
図10に示すS46の登録処理は行わなくてもよい。ただし、新たな用紙サイズが検出された場合に、登録処理を実行して、その用紙サイズに対応する設定データ44を新たに記憶することで、次回の表示では、表示処理による適切な印刷設定の表示が可能になる。
【0087】
本形態のプリンタドライバ411は、
図6及び
図10に示すS46を行うことで、登録DB42への登録機能を有している。しかし、登録DB42への登録は、プリンタドライバ411に限るものではない。例えば、登録DB42への登録用のアプリを設けてもよい。この場合、プリンタドライバ411から独立し、OS41の管轄外にある登録用のアプリが、
図6及び
図10のS46に示す登録処理を行う。登録用のアプリは、ユーザ任意のタイミングで起動され、あるいは、プリンタドライバ411が
図6及び
図10に示すS20の処理において設定データがないと判断したことを契機に、プリンタドライバ411から起動される。登録用のアプリは、記憶用のプログラムの一例である。
【0088】
確認ボタンA32は、基本設定画面D3とクロップ印刷設定画面D4の両方に設けてもよい。
【0089】
図6に示すS26、S28に示す切替処理は、省略してもよい。但し、基本設定画面D3の表示中に、例えば、登録番号「2」の設定データ44に含まれる設定値が抽出され、登録番号「2」の設定データ44に含まれるモード443の「クロップ印刷設定モード」に従って、切替処理により、クロップ印刷設定画面D4に切り替える(S26:YES、S28)ことで、クロップ印刷に適した印刷媒体22がプリンタ2にセットされていることをユーザが認識できる。
【0090】
基本印刷設定モードとクロップ印刷設定モードの切替は、画面の切替でなく、各設定項目の入力可否によって行ってもよい。例えば、基本印刷設定モードである場合、標準設定項目を選択可能に表示し、クロップ印刷設定項目を選択不可能に表示し、クロップ印刷設定モードである場合、クロップ印刷設定項目を選択可能に表示し、クロップ印刷に用いない印刷設定項目を選択不可能に表示したりするようにしてもよい。この場合も、モード切替時にユーザに可否を入力させるようにしてもよい。
【0091】
上記形態では、プリンタ2から印刷媒体22の幅と長さを含む用紙サイズを取得したが、幅のみを用紙サイズとして取得しても良い。
【0092】
図6のS12の後、RAM13に一時記憶する印刷設定値に含まれるクロップ印刷の設定値を確認し、設定値がオフであれば、S14を実行することで、基本印刷設定モードになり、設定値がオンであれば、S28を実行することで、クロップ印刷設定モードになるようにしてもよい。なお、クロップ印刷の設定値の代わりに、用途を確認し、用途が商品ラベル又は発送ラベルである場合に、S28を実行し、クロップ印刷モードになり、それ以外の用途である場合に、S14を実行し、基本印刷設定モードになるようにしてもよい。
【0093】
図6のS26において、用途444が商品ラベルまたは発送ラベルであれば、クロップ印刷設定モードであると判断してもよい(S26:YES)。この場合、
図4の登録DB42にモード443を設けなくてもよい。
【0094】
基本設定画面D3及びクロップ印刷設定画面D4に、「拡張設定」、「その他の設定」のタグがあり、それらの設定値が印刷設定に含まれてもよい。
【0095】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0096】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
14 不揮発性メモリ
16 ネットワークIF
17 USB-IF
18 ユーザIF
19 ディスプレイ
411 プリンタドライバ