(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】鉱山廃水の処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/66 20230101AFI20230620BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20230620BHJP
【FI】
C02F1/66 510M
C02F1/52 B
C02F1/52 K
C02F1/66 510K
C02F1/66 521D
C02F1/66 540Z
C02F1/66 521B
(21)【出願番号】P 2019084273
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】林 浩志
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-337474(JP,A)
【文献】特開昭51-082958(JP,A)
【文献】特開平04-176384(JP,A)
【文献】特開昭53-064957(JP,A)
【文献】特開平04-176383(JP,A)
【文献】特開昭63-294987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66 - 1/68
C02F 1/52 - 1/56
B01D 21/01
C02F 1/58 - 1/64
C02F 11/00 - 11/20
E21F 16/00 - 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑内水を処理する第一処理設備と坑外廃水を処理する第二処理設備
を有し、第一処理設備は坑内水を溜める受槽、該受槽から供給された坑内水を中和する中和槽、該中和槽に続く凝集槽、該凝集槽に続く沈降分離槽を有し、第二処理設備は坑外廃水を溜める廃水受槽、該廃水受槽から供給された坑外廃水を中和する廃水中和槽、該廃水中和槽に続く廃水凝集槽、該廃水凝集槽に続く沈殿池を有し、
また上記中和槽および上記廃水中和槽に各々石灰スラリーを供給する石灰スラリー供給設備を有し、さらに、第一処理設備の上記中和槽の中和汚泥を上記廃水中和槽に送る送泥管路を有し、該廃水中和槽において該中和汚泥を種晶として利用することを特徴とする鉱山廃水の処理システム。
【請求項2】
上記廃水中和槽において、第一処理設備の上記中和槽から送られる汚泥の量が、該汚泥を加えたスラリー全体の固体濃度が0.08~0.3g/Lの範囲になる量である請求項1に記載する鉱山廃水の処理システム。
【請求項3】
第二処理設備の上記沈殿池の汚泥を第一処理設備の上記中和槽に送る返泥管路を有する請求項1に記載する鉱山廃水の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱山の廃水を安定に処理する処理システムに関する。具体的には、重金属濃度の高い坑内水と、重金属濃度の希薄な坑外廃水を分別して処理し、豪雨時のような一時的に廃水量が増加するときにも対応可能な処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
稼働中の鉱山はもとより、休廃止した鉱山でも、坑内水や坑外廃水が継続的に排出されており、半永久的な排水処理が必要になる。坑内水は鉱物を採掘するため掘採した坑道などの地下から湧出する水であり、坑外廃水は坑外の選鉱場や製錬場等から排出される水および捨石または鉱滓の集積場から流出する浸透水である。これらの坑内水および坑外廃水には鉄および非鉄の硫化鉱物が酸化した硫酸酸性水が含まれており、一般的には鉄、マンガン、銅、亜鉛、鉛、ヒ素などの重金属が含まれている。
【0003】
一般に、坑内水は重金属濃度が比較的濃い廃水であり、概ね重金属濃度は200mg/L以上であり、一方、坑外廃水の重金属濃度は坑内水より希薄であり、概ね重金属濃度は50mg/L以下である。従来、これらの坑内水や坑外廃水は、合流し、通常は石灰を添加して中和処理し、生成殿物を自然沈降させて高密度化し、これを沈降分離して処理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「酸性坑廃水(幌別)処理における繰り返し殿物処理法によるスラッジの生成-幌別酸性坑廃水の最適中和(第1報)-」、資源と素材、Vol.122 (2006) No.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の処理方法のように、坑内水と坑外廃水とを合流して処理する方法では、豪雨時などのように、山肌を流下する水量が急激に増大して集積場浸透水の水量が増し、坑外廃水の量が一時的に急激に増大すると、中和処理が不良になったり、沈降分離槽から殿物が流出するなど環境事故を生じるリスクがあった。最近の気候変動によってゲリラ豪雨や大型台風が増えており、緊急時の対応の必要性が高まっている。
【0007】
坑内水と坑外廃水を予め合流して処理する方式では、一般に設備が大型になるため、豪雨時などの緊急時に対応するには設備大型化のコスト負担が非常に大きくなる。また、坑外廃水を重金属濃度が低いまま処理すると、生成沈殿の沈降分離性が非常に悪く、重金属が漏洩するリスクが増大する。さらに、単純中和法で坑外廃水を処理した場合、殿物の高密度化が図れないため、沈降した汚泥の処理(浚渫工事)の費用が嵩むなどの問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、坑内水や坑外廃水の処理における従来の上記問題を解決したものであり、重金属濃度の高い坑内水と、重金属濃度の希薄な坑外廃水を分別して処理し、豪雨時のような一時的に廃水量が増加するときにも対応可能であって、しかも坑外廃水の処理効果に優れた処理方法を提供する。
【0009】
本発明は、以下の構成によって上記問題を解決した鉱山廃水の処理システムである。
〔1〕坑内水を処理する第一処理設備と坑外廃水を処理する第二処理設備を有し、第一処理設備は坑内水を溜める受槽、該受槽から供給された坑内水を中和する中和槽、該中和槽に続く凝集槽、該凝集槽に続く沈降分離槽を有し、第二処理設備は坑外廃水を溜める廃水受槽、該廃水受槽から供給された坑外廃水を中和する廃水中和槽、該廃水中和槽に続く廃水凝集槽、該廃水凝集槽に続く沈殿池を有し、また上記中和槽および上記廃水中和槽に各々石灰スラリーを供給する石灰スラリー供給設備を有し、さらに、第一処理設備の上記中和槽の中和汚泥を上記廃水中和槽に送る送泥管路を有し、該廃水中和槽において該中和汚泥を種晶として利用することを特徴とする鉱山廃水の処理システム。
〔2〕上記廃水中和槽において、第一処理設備の上記中和槽から送られる汚泥の量が、該汚泥を加えたスラリー全体の固体濃度が0.08~0.3g/Lの範囲になる量である上記[1]に記載する鉱山廃水の処理システム。
〔3〕第二処理設備の上記沈殿池の汚泥を第一処理設備の上記中和槽に送る返泥管路を有する上記[1]に記載する鉱山廃水の処理システム。
【0010】
〔具体的な説明〕
本発明の処理システムは、坑内水を処理する第一処理設備と坑外廃水を処理する第二処理設備、および石灰スラリー供給設備を有し、第一処理設備は、坑内水を溜める受槽、該受槽から供給された坑内水を中和する中和槽、該中和槽に続く凝集槽、該凝集槽に続く沈降分離槽、沈降分離槽から返泥した汚泥に石灰スラリーを添加する条件槽を有し、第二処理設備は坑外廃水を溜める廃水受槽、該廃水受槽から供給された坑外廃水を中和する廃水中和槽、該廃水中和槽に続く廃水凝集槽、該廃水凝集槽に続く沈澱池を有し、第一処理設備の中和槽の中和汚泥を廃水中和槽に送る送泥管路を有し、該廃水中和槽において該中和汚泥を種晶として利用することを特徴とする鉱山廃水の処理システムである。
【0011】
本発明の処理システムの概略を
図1、
図2に示す。
図示するように、本発明の処理システムは、坑内水を処理する第一処理設備10と坑外廃水を処理する第二処理設備20が設けられている。第一処理設備10には、坑内水を溜める受槽11、受槽11から供給された坑内水を中和する中和槽12、中和槽12に続く凝集槽13、凝集槽13に続く沈降分離槽14が設けられている。さらに、中和槽12から中和汚泥を廃水中和槽22に送る送泥管路15が設けられている。
【0012】
第二処理設備20には、坑外廃水を溜める廃水受槽21、廃水受槽21から供給された坑外廃水を中和する廃水中和槽22、廃水中和槽22に続く廃水凝集槽23、廃水凝集槽23に続く沈殿池24が設けられている。
【0013】
本処理システムには、中和処理に用いる石灰スラリー供給設備30が設けられている。該供給設備30には、粉末状石灰を貯蔵する石灰貯槽31、石灰貯槽31に続く石灰溶解槽32、石灰溶解槽32に続く条件槽33が設けられている。また、石灰溶解槽32から石灰スラリーを廃水中和槽22に供給する管路34が設けられており、条件槽33から第一処理設備10の中和槽12に石灰スラリーを供給する管路35が設けられている。
【0014】
石灰貯槽31に供給される石灰は、生石灰、消石灰、および炭酸カルシウムなど酸性廃水の中和処理に汎用的に使用されるカルシウム化合物である。なお、第一処理設備10と第二処理設備20の距離が遠く、管路が長くなる場合には、第一処理設備10と第二処理設備20のそれぞれに石灰貯槽31と石灰溶解槽32を設けてもよい。それぞれに石灰貯槽31および石灰溶解槽32を設けることによって、配管中に石灰が詰まるのを防止することができる。
【0015】
本処理システムには、高分子凝集剤を溶解する凝集剤溶解槽40が設けられており、該凝集剤溶解槽40から高分子凝集剤の溶液を、おのおの第二処理設備20の廃水凝集槽23に供給する管路41と、第一処理設備10の凝集槽13に供給する管路42が設けられている。なお、第一処理設備10と第二処理設備20の距離が遠い場合には、第一処理設備10と第二処理設備20のそれぞれに凝集剤溶解槽40を設けてもよい。第一処理設備10と第二処理設備20に凝集剤溶解槽40を設けることによって、粘性の高い高分子溶液が配管中に詰まるのを防止することができる。
【0016】
本発明の処理システムは、好ましい態様として、第二処理設備20の沈殿池24から汚泥を第一処理設備10の中和槽12に送る返泥管路43が設けられている。また、第一処理設備10の受槽11に至る管路に坑外廃水が流れる予備管路44が接続している。
返泥管路43および予備管路44を有する処理システムを
図1に示す。返泥管路43を設けない処理システムを
図2に示す。
【0017】
本発明の処理システムでは、基本的に、坑内水は第一処理設備10によって処理され、坑外廃水は第二処理設備20によって処理される。具体的には、坑内水は、一時的に受槽11に溜められ、中和槽12に送られる。坑内水は酸性であるので、石灰スラリーが中和槽12に供給され、坑内水の中和処理が行われる。この石灰スラリーは石灰スラリー供給設備30によって供給される。図示する例では、貯槽31から石灰が石灰溶解槽32に投入され、水を加えてスラリー化され、調製された石灰スラリーが条件槽33に送られ、沈降分離槽14から返泥されてきた汚泥の条件付けを行った後に、第一処理設備10の中和槽12に供給される。
【0018】
中和処理された坑内水は中和槽12から凝集槽13に送られる。凝集槽13には管路42を通じて高分子凝集剤溶液が凝集剤溶解槽40から供給される。高分子凝集剤を添加することによって、中和処理によって生じた沈澱(汚泥)がフロック状に凝集して、沈降分離しやすくなる。
【0019】
高分子凝集剤溶液が添加された処理スラリーは凝集槽13から沈降分離槽14に送られて沈降分離される。沈降分離後の溢流水は放流され、槽底の汚泥は抜き出されて外部の堆積場に送られる。また、汚泥の濃縮のため、槽底汚泥の一部は管路45を通じて条件槽33に送られて条件付け(石灰と混合)され、再度、中和槽12に送られる。なお、沈降分離後の溢流水に微細な浮遊性固体(Suspended Solids,SS)が含まれる場合には、砂ろ過装置を設けてSSを除去するとよい。
【0020】
坑外廃水は、一時的に廃水受槽21に溜められ、廃水中和槽22に送られる。坑外廃水は概ねpH3~4の酸性であるので、石灰溶解槽32から石灰スラリーが廃水中和槽22に供給され、坑外廃水の中和処理が行われる。
【0021】
一方、一般に坑外廃水の重金属濃度は坑内水より希薄であるので、中和処理によって生成した汚泥の沈降性が坑内水の場合よりも格段に悪い。そこで、第一処理設備10の中和槽12の中和汚泥を、送泥管路15を通じて廃水中和槽22に送り、この中和汚泥を種晶として利用することによって、後段の廃水凝集槽23でのフロック状の凝集体生成を促進し、汚泥の沈降性を改善する。
【0022】
第一処理設備10の中和槽12から廃水中和槽22に送られる中和汚泥の量は、該汚泥を加えたスラリー全体の固体濃度が0.08~0.3g/Lの範囲になる量が好ましい。第一処理設備10の中和槽12から中和汚泥を廃水中和槽22に送液する方法は、連続的でも間欠的でもよく、廃水中和槽22の濃度が0.08~0.3g/Lの範囲になればよい。
【0023】
中和処理された坑外廃水は廃水中和槽22から廃水凝集槽23に送られる。廃水凝集槽23には管路41を通じて高分子凝集剤溶液が凝集剤溶解槽40から供給される。高分子凝集剤を添加することによって槽内の汚泥が凝集されて沈降しやすくなる。槽内の凝集剤濃度は0.1~1.0mg/Lの範囲が好ましい。
【0024】
高分子凝集剤が添加された坑外廃水は沈殿池24に送られて汚泥を沈降分離し、分離された溢流水は放流される。一方、池底に堆積した汚泥(澱物スラリー)は、好ましくは、その一部または全部が、返泥管路43を通じて第一処理設備10の中和槽12に供給される。
【0025】
上記汚泥(澱物スラリー)の一部または全部を中和槽12に返送することによって、沈殿池24の浚渫工事のコストを低減するとともに、第一処理設備10での殿物繰り返し中和法によって、中和処理後の殿物密度を高めることができる。沈殿池24から第一処理設備10の中和槽12に送られる汚泥の量は、単位時間あたりに第二処理設備20で発生する汚泥の量を指標にして定められる。具体的には、例えば5~15m3/h 程度である。なお、沈殿池24の澱物スラリーを中和槽12に送液する方法は、連続的でも間欠的でもよい。
【0026】
また、坑外廃水量が少ない場合には、第一処理設備10の受槽11に至る管路に坑外廃水が合流する予備管路44を設け、坑外廃水を坑内水に合流させて処理することによって、第二処理設備20の運転管理コストを大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の処理システムは、坑内水と坑外廃水とを分離して処理するので、豪雨などによって坑外廃水が急激に増加した場合でも、金属濃度の高い坑内水の処理が影響を受けず、処理不良の廃水が外部に流出する環境リスクを低減することができる。
また、本発明の処理システムは、坑外廃水の中和処理のときに、坑内水の中和処理によって生じた汚泥を、坑外廃水の中和処理に送って種晶として利用することによって、坑外廃水の中和処理による汚泥の凝集フロック生成が促され、沈殿池での沈降分離が改善される。
【0028】
さらに、本発明の処理システムは、好ましくは、坑外廃水処理の沈殿池の汚泥を、坑内水処理設備の中和槽に戻すことによって、坑内水処理の沈降分離槽の汚泥密度を高め、汚泥体積を減らして堆積場の負荷を軽減することができ、また、坑外廃水処理の沈澱池の浚渫作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例を示す。
〔実施例1〕
坑外廃水の代表的な水質を表1に示す。該廃水の重金属濃度は総量約10mg/L以下であり、重金属濃度は排水基準値を下回っている。一方、該廃水のpHは放流基準値(pH5.8~8.6)より低いので、中和処理が必要である。
廃水中和槽の坑外廃水に種汚泥を加えて、その沈降性を試験した。種汚泥は第一処理設備の中和槽から供給された中和汚泥(固体濃度25g/L)を用いた。
まず、所定量の種汚泥に3.0質量%の石灰スラリーを所定量加えて10分間撹拌した。該種汚泥スラリーを坑外廃水15Lに投入し、pHを測定しながら撹拌し、pHが8.0になるように不足分の石灰スラリーを添加し、pHが安定した後に10分間撹拌を続けた。撹拌終了後、該廃水スラリーを目盛付きの透明アクリルカラムに移し、高分子凝集剤(商品名:ダイヤフロックAP-825B)0.1%溶液を所定の濃度になるように添加し、円盤付き撹拌棒で1分間撹拌した後、撹拌棒を引き抜いて、各沈降速度におけるSS濃度を測定した。SS濃度は所定時間ごとに上記カラムからスラリーを抜き取って濁度を測定し、その値から換算して算出した。
廃水スラリーの固体濃度、および高分子凝集剤の添加濃度を表2に示し、各廃水スラリーの沈降速度およびSS濃度を表2にまとめて示した。廃水スラリーの固体濃度は種汚泥を加えたときのスラリー全体の固体濃度である。
【0031】
【0032】
【0033】
表2に示すように、試料1では沈降速度に対するSS濃度は概ね5mg/L以下であり、ほぼ清澄な処理水が得られている。試料2は沈降速度0.3m/h以上でのSS濃度が高く、固体濃度0.30g/Lのスラリーにおいて高分子凝集剤の量が不足していると考えられる。また、試料4は、種汚泥および凝集剤を添加せずに中和処理した場合であり、SS濃度が高く沈降が不十分である。試料5は種汚泥を添加せずに高分子凝集剤のみ添加した場合であり、試料4よりはSS濃度が低減されているが、固体濃度が低いために凝集しきらずにSS濃度が試料1よりは高い。試料6は、固体濃度が0.3g/Lになるように種汚泥を添加し、高分子凝集剤を添加しないので、添加した種汚泥が凝集せずそのまま分散し、結果的にSS濃度が上昇している。
以上の結果から、種汚泥はスラリーの固体濃度が0.08~0.3g/Lになる量であって、高分子凝集剤を0.1~1.0mg/Lの濃度になるように添加するのが好ましいことがわかる。
【0034】
〔実施例2〕
図1に示す処理システムを用い、坑内水量600m
3/h、坑外廃水量60m
3/hを供給して処理を行った。この結果を表3に示す(試料A1)。また、坑内水量600m
3/h、坑外廃水量600m
3/hを供給して処理を行った。この結果を表3に示す(試料A2)。
図2に示す処理システムを用い、坑内水量600m
3/h、坑外廃水量600m
3/hを供給して処理を行った。この結果を表3に示す(試料A3)。
【0035】
〔比較例1〕
図3に示す処理システムを用い、坑内水量600m
3/h、坑外廃水量600m
3/hを供給して処理を行った。
図3の処理システムは、坑外廃水を処理する第二処理設備が無く、坑外廃水は坑内水と合流して処理するシステムである。この結果を表3に示す(試料B1)。
【0036】
表3に示すように、
図1の処理システムでは、坑内水と坑外廃水とを分離して別個に処理するので、坑外廃水の水量が増えても、中和槽12の処理水量の負荷の影響は小さい。また、沈殿池24で発生する汚泥は全量を中和槽12に返泥することによって、汚泥濃縮効果が得られ、汚泥抜出量も抑制される。
図2の処理システムでは、沈殿池24で発生する汚泥を中和槽12に返泥しないので、汚泥抜出量が増えるが、中和槽12の処理水量の負荷は軽減される。
一方、
図3に示す処理システムでは、坑内水と坑外廃水を分離せずに合流させて処理するため、中和槽12の処理水量の負荷は膨大になり、処理不良水が系外に放流されるリスクが高い。
【0037】
【符号の説明】
【0038】
10-第一処理設備、11-受槽、12-中和槽、13-凝集槽、14-沈降分離槽、15-送泥管路、20-第二処理設備、21-廃水受槽、22-廃水中和槽、23-廃水凝集槽、24-沈殿池、30-石灰スラリー供給設備、31-石灰貯槽、32-石灰溶解槽、33-条件槽、34-管路、35-管路、40-凝集剤溶解槽、41-管路、42-管路、43-返泥管路、44-予備管路、45-管路。