(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】アプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230620BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230620BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G06F3/12 326
G06F3/12 303
G06F3/12 356
G06F3/12 342
G06F3/12 350
G06F3/12 378
G06F3/12 392
B41J3/36 Z
B41J29/38
(21)【出願番号】P 2019097612
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛恭
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-045987(JP,A)
【文献】特開2011-043895(JP,A)
【文献】特開平07-030731(JP,A)
【文献】特開2011-156706(JP,A)
【文献】特開平06-155848(JP,A)
【文献】特開2013-140423(JP,A)
【文献】特開2002-323966(JP,A)
【文献】特開2008-102723(JP,A)
【文献】特開2006-205602(JP,A)
【文献】特開平08-292861(JP,A)
【文献】特開2005-352587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 3/01 - 3/54
B41J 3/62
B41J 29/00 -29/70
G06F 3/01
G06F 3/048- 3/04895
G06F 40/00 -40/197
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なアプリケーションプログラムであって、
前記コンピュータに、
第1の画像オブジェクトと第2の画像オブジェクトとを、前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる表示処理と、
前記情報処理装置の入力デバイスを介して印刷指示を受け付けた場合に、前記第1の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を第1のプリンタに行わせ、前記第2の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を第2のプリンタに行わせる印刷処理と、
を実行さ
せ、
前記第1のプリンタは、ラベルプリンタであり、
前記第2のプリンタは、ラベルプリンタ以外の種類のプリンタであり、
さらに前記コンピュータに、
前記入力デバイスを介して前記第1の画像オブジェクトのサイズの調整指示を受け付けた場合に、前記第1の画像オブジェクトの画像が印刷されるラベルの、前記第1のプリンタでの前記ラベルの搬送方向に対応する第1方向の長さを、前記第2の画像オブジェクトの上下方向もしくは左右方向の長さに基づいて変更するリサイズ処理を実行させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項2】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能なアプリケーションプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置と接続されているプリンタのうち第1のプリンタおよび第2のプリンタをそれぞれ選択する選択処理と、
第1の画像オブジェクトと第2の画像オブジェクトとを、前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる表示処理と、
前記情報処理装置の入力デバイスを介して印刷指示を受け付けた場合に、前記第1の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を
前記第1のプリンタに行わせ、前記第2の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を
前記第2のプリンタに行わせる印刷処理と、
を実行さ
せ、
さらに前記コンピュータに、
前記選択処理にて前記第1のプリンタおよび前記第2のプリンタが選択されていることを条件として、前記第1の画像オブジェクトおよび前記第2の画像オブジェクトの設定を、前記入力デバイスを介して受け付ける、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記表示処理では、
前記第1の画像オブジェクトを前記第2の画像オブジェクトの上に、少なくとも一部が重なった状態で表示させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記印刷処理では、
前記第2の画像オブジェクトの画像に対して前記第1の画像オブジェクトが重ね合わせられる縁辺の少なくとも一部に対応する位置にガイド線を合成した画像の印刷を、前記2のプリンタに行わせる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記入力デバイスを介して前記第1の画像オブジェクトの表示位置の変更指示を受け付けた場合に、前記第1の画像オブジェクトの表示位置を変更する再配置処理を実行させる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記再配置処理では、
前記第1の画像オブジェクトを、前記第2の画像オブジェクトの上下方向もしくは左右方向の一方の側部に一部を重ねて配置する、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項7】
請求項1から
請求項6のいずれか1つに記載するアプリケーションプログラムにおいて、
前記情報処理装置には、前記第2のプリンタに印刷ジョブを送信する機能を有する印刷プログラムが組み込まれており、
前記印刷処理では、
前記印刷指示を受け付けた場合に、前記印刷プログラムを起動し、前記印刷プログラムに前記第2の画像オブジェクトに基づく画像を渡し、前記印刷プログラムを介して前記第2のプリンタに印刷を行わせる、
ことを特徴とするアプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、情報処理装置のコンピュータが実行可能なアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台のプリンタと情報処理装置とを備えるシステムにおいて、情報処理装置によって1つの印刷ジョブをページ単位や部数単位で分割し、分割された印刷ジョブを各プリンタに分散して実行させる分散印刷が知られている。例えば、特許文献1には、パーソナルコンピュータによって分割された印刷ジョブを、同一形式のプリンタデータに対応する複数台のプリンタに実行させる場合であって、印刷ジョブを分割する前に、印刷ジョブを一括してプリンタデータに変換する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、写真等が印刷されたポスターに、文字等が印刷されたラベルを貼付するといったような、種類が異なる複数台のプリンタによってそれぞれ異なる印刷物を生成しなければならない場合がある。この場合、ポスター用の印刷と、ラベル用の印刷と、をそれぞれ専用のアプリケーションプログラムを用いて指示する必要があり、ユーザにとって手間である。特許文献1に開示されている技術は、複数台のプリンタが同一形式のプリンタデータを扱う場合、すなわち同一の種類のプリンタで分散印刷を実現する技術であり、上述のような場合には対応できない。
【0005】
本明細書は、複数のプリンタと通信可能な情報処理装置において、プリンタごとに異なる印刷物を生成する必要がある場合の、ユーザの手間を少なくする技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の解決を目的としてなされたアプリケーションプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能なアプリケーションプログラムであって、前記コンピュータに、第1の画像オブジェクトと第2の画像オブジェクトとを、前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる表示処理と、前記情報処理装置の入力デバイスを介して印刷指示を受け付けた場合に、前記第1の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を第1のプリンタに行わせ、前記第2の画像オブジェクトに基づく画像の印刷を第2のプリンタに行わせる印刷処理と、を実行させる、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるアプリケーションプログラムを備える情報処理装置は、第1の画像オブジェクトと第2の画像オブジェクトとの2つの画像オブジェクトを表示する。そして、印刷指示を受け付けたことに応じて、それぞれの画像オブジェクトに基づく画像の印刷を別々のプリンタに行わせる。この構成によれば、1つのアプリケーションプログラムへの操作によって、プリンタごとに異なる印刷物を生成させることができ、ユーザの手間が少ない。
【0008】
上記アプリケーションプログラムが組み込まれた情報処理装置、アプリケーションプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、及びアプリケーションプログラムの機能を実現するための制御方法も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、複数のプリンタと通信可能な情報処理装置において、プリンタごとに異なる印刷物を生成する必要がある場合の、ユーザの手間を少なくする技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本形態のモバイル装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】セット印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】選択されたシートオブジェクトを表示した後、ラベルの作成に遷移する表示画面の例を示す説明図である。
【
図4】ラベル作成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】ラベルオブジェクトを表示する表示画面の例を示す説明図である。
【
図6】各プリンタによる印刷結果の例を示す説明図である。
【
図7】印刷実行処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】印刷物をラベルによって貼付した状態の例を示す説明図である。
【
図9】2枚のラベルを含む印刷結果の例を示す説明図である。
【
図10】モバイル装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】印刷実行処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、ラベルプリンタとラベルプリンタ以外の種類のプリンタとの両方に接続可能なモバイル装置にて実行されるアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を具体化した実施の形態を開示するものである。
【0012】
本形態のモバイル装置1は、
図1に示すように、コントローラ10と、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)20と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)30と、を備えている。ユーザIF20及び通信IF30は、コントローラ10に電気的に接続されている。モバイル装置1は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータである。モバイル装置1は、情報処理装置の一例である。
【0013】
モバイル装置1のコントローラ10は、
図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含む。メモリ12は、ROMと、RAMと、不揮発性メモリと、を含み、各種のプログラムや各種のデータなどを記憶する。なお、本明細書では、メモリの詳細を区別しない。
【0014】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの指示に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11またはコントローラ10は、コンピュータの一例である。なお、
図1中のコントローラ10は、モバイル装置1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にモバイル装置1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0015】
メモリ12には、
図1に示すように、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)41と、セット印刷アプリ42と、が記憶されている。OS41は、例えば、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、である。セット印刷アプリ42については、後述する。
【0016】
ユーザIF20は、例えば、タッチパネルであり、ユーザによる入力操作を受け付ける機能と情報の表示を行う機能とを備えるハードウェアを含む。ユーザIF20は、表示デバイスの一例であり、入力デバイスの一例である。なお、表示デバイスと入力デバイスとは、別のデバイスであっても良い。つまり、ユーザIF20は、表示機能を有するディスプレイと入力受付機能を有するキーボードやマウス等との組合せであっても良い。
【0017】
通信IF30は、各種の外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。モバイル装置1は、通信IF30を用いて、
図1に示すように、ラベルプリンタ2とプリンタ3との両方と通信可能である。通信IF30は、通信方式の異なる複数のインタフェースを含んでいても良い。通信方式としては、例えば、有線あるいは無線によるネットワーク通信、USB通信、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信がある。そして、モバイル装置1とラベルプリンタ2との通信方式と、モバイル装置1とプリンタ3との通信方式とは、同じ方式であっても良いし、異なる方式であっても良い。また、モバイル装置1は、通信IF30を介してインターネットに接続可能であっても良い。
【0018】
ラベルプリンタ2は、例えば、熱転写方式の印刷ヘッドを備え、ロール状に巻き取られた帯状のラベル用紙への印刷を行う装置である。ラベルプリンタ2は、第1のプリンタの一例である。ラベル用紙は、印刷面の裏面が接着面となっており、接着面上に剥離紙が設けられている用紙である。ラベルプリンタ2は、受け付けた印刷ジョブに基づいて、ラベル用紙への印刷とラベル用紙の搬送とを行い、印刷済みのラベル用紙を排出口から外部へ突出させる。突出部分をカッター等によって切断することによって、印刷済みのラベルが作成される。
【0019】
以下では、作成されるラベルの大きさのうち、ラベルプリンタ2によるラベル用紙の搬送方向の大きさを、「ラベル長」とする。ラベル長は、ラベルの第1方向の長さの一例である。また、作成されるラベルの大きさのうち、ラベルプリンタ2によるラベル用紙の搬送方向に直交する方向の大きさを、「ラベル幅」とする。ラベル幅は、ラベルプリンタ2にセットされているラベル用紙の種類によって決定される。なお、ラベルプリンタ2は、複数種の幅のラベル用紙に対応可能なものであっても良いし、1種類の幅のラベル用紙のみセット可能なものであっても良い。
【0020】
一方、ラベル長は、ユーザの指示等に基づいて設定可能である。ラベルプリンタ2に送信する印刷ジョブには、ラベル長の設定が含まれる。ラベルプリンタ2は、受け付けた印刷ジョブの設定に基づいて、例えば、文字等の印刷される画像部分より前や画像部分より後に余白を設けることにより、指定された長さのラベルを作成する。なお、ラベルプリンタ2は、カッターオプション等のオプション装置が装着されたものでも良い。
【0021】
プリンタ3は、ラベルプリンタ以外の種類のプリンタであり、ラベル用紙以外の各種の印刷媒体に印刷する機能を有する装置である。プリンタ3は、第2のプリンタの一例である。プリンタ3の印刷方式は、例えば、インクジェット方式、電子写真方式である。プリンタ3は、A4等の定型サイズの用紙への印刷を行う汎用のプリンタであっても良いし、A2等の大判サイズの用紙への印刷を行う大型のプリンタであっても良いし、ハガキサイズの用紙や写真用紙への印刷を行う専用プリンタであっても良いし、布や光ディスク面、金属面等に印刷を行う特殊用途のプリンタであっても良い。また、プリンタ3は、カラー印刷が可能な装置であっても良いし、モノクロ印刷のみを行う装置であっても良い。プリンタ3は、両面印刷可能な装置であっても良いし、片面印刷のみを行う装置であっても良い。
【0022】
次に、セット印刷アプリ42について説明する。本形態のセット印刷アプリ42は、ラベルプリンタ2に印刷を実行させてラベルを作成する処理と、プリンタ3に印刷を実行させてラベル以外の印刷物を作成する処理と、の両方を行うアプリである。セット印刷アプリ42は、アプリケーションプログラムの一例である。
【0023】
例えば、ポスター等の印刷物をラベルを用いて貼り付ける場合、ラベルにも装飾を施し、ラベルのレイアウトを工夫して、ポスターとラベルとの全体で希望のデコレーションとしたい場合がある。ポスターとラベルとを別々に作成すると、貼り付けたときのイメージが予想と異なっている可能性がある。本形態のセット印刷アプリ42は、印刷物をラベルを用いて貼り付けるための印刷物とラベルとを作成するアプリである。本形態のセット印刷アプリ42で作成するラベルと印刷物とは、少なくとも一部を重ねて貼付されることが想定されている。
【0024】
セット印刷アプリ42は、ラベルプリンタ2に印刷させるための画像を含むラベルオブジェクトと、プリンタ3に印刷させるための画像を含むシートオブジェクトとを、ユーザIF20に表示させる。そして、セット印刷アプリ42は、印刷指示を受け付けたことに応じて、ラベルオブジェクトに基づく印刷ジョブをラベルプリンタ2に送信し、シートオブジェクトに基づく印刷ジョブをプリンタ3に送信する。ラベルオブジェクトは、第1の画像オブジェクトの一例であり、シートオブジェクトは、第2の画像オブジェクトの一例である。
【0025】
本形態のセット印刷アプリ42は、例えば、シートオブジェクトとしてポスター用の画像の選択と、ラベルオブジェクトとしてポスターを貼付するラベル用の画像の設定とを受け付ける。セット印刷アプリ42は、シートオブジェクトとラベルオブジェクトとを同時に、例えば、一部が重なった状態で、ユーザIF20に表示させる。本形態のセット印刷アプリ42は、例えば、印刷物をラベルを用いて貼り付けた場合の全体のイメージをユーザIF20に表示させることができる。
【0026】
続いて、本形態のセット印刷アプリ42においてラベルと印刷物とを生成するセット印刷処理の手順について、
図2のフローチャートを参照して説明する。このセット印刷処理は、セット印刷アプリ42の実行指示を受け付けたことを契機に、コントローラ10にて実行される。
【0027】
セット印刷処理では、コントローラ10は、まず、印刷装置として使用するデバイスを設定済みであるか否かを判断する(S101)。コントローラ10は、使用するデバイスとして、ラベルプリンタ2とプリンタ3とが設定されており、いずれとも通信可能な状態であるか否かを判断する。少なくとも一方が設定済みではないと判断した場合(S101:NO)、コントローラ10は、デバイスの設定を受け付ける(S102)。
【0028】
コントローラ10は、例えば、OS41の検索コマンドを用いてOS41によるデバイスの検索を実行させる。そして、コントローラ10は、検索されたデバイスの一覧をユーザIF20に表示させて、ユーザの選択を受け付ける。S102は、選択処理の一例である。各オブジェクトの設定を受け付けた後にデバイスが選択された場合、設定されたオブジェクトを適切に印刷できないデバイスが選択される可能性がある。先にデバイスが選択されていることで、デバイスに適した画像の設定を行うことができ、ユーザが設定した内容が無駄にならない。
【0029】
S102の後、または、ラベルプリンタ2とプリンタ3とがいずれも設定済みであると判断した場合(S101:YES)、コントローラ10は、各デバイスの能力を取得する(S103)。コントローラ10は、ラベルプリンタ2から、例えば、セットされているラベル用紙の種類や装着されているオプションの情報を取得する。コントローラ10は、プリンタ3から、例えば、印刷可能な印刷媒体の種類や受け付け可能な印刷設定の範囲を取得する。さらに、コントローラ10は、ラベルプリンタ2とプリンタ3とのそれぞれについて、デフォルトの印刷設定を取得する。
【0030】
次に、コントローラ10は、プリンタ3に印刷させる画像を含むシートオブジェクトの選択を受け付ける(S104)。S104は、第2設定処理の一例である。コントローラ10は、メモリ12に記憶されている各種の画像のうちから、ユーザの選択を受け付ける。選択対象の画像は、例えば、モバイル装置1のカメラにて撮影した画像、スキャンやダウンロードによって外部装置から取得した画像、モバイル装置1のアプリにて作成した画像である。また、セット印刷アプリ42は、選択された画像への編集を受け付けても良く、その場合、編集後のオブジェクトがシートオブジェクトとなる。
【0031】
コントローラ10は、例えば、
図3(A)に示すように、選択されたシートオブジェクト51をユーザIF20に表示させる(S105)。コントローラ10は、S103にて取得したプリンタ3のデフォルトの印刷設定に基づいて、表示させるシートオブジェクト51を生成する。
図3(A)の例では、ユーザIF20には、シートオブジェクト51の他に、シートオブジェクトの選択をやり直す指示を受け付けるボタン52、ラベル作成の指示を受け付けるボタン53、印刷設定の変更の指示を受け付けるボタン54などの各種のボタンが表示されている。
【0032】
そして、コントローラ10は、シートオブジェクトをプリンタ3に印刷させる場合の印刷設定を変更するか否かを判断する(S106)。コントローラ10は、例えば、印刷設定の変更の指示を受け付けるボタン54の操作を受け付けた場合、印刷設定を変更すると判断し(S106:YES)、印刷設定の指定を受け付ける(S107)。印刷設定の変更後、コントローラ10は、S105に戻って変更後のシートオブジェクト51を表示させ、印刷設定を変更するか否かを再度判断する。受け付けた指示が用紙トレイの変更などシートオブジェクト51の表示状態が変わらない指示であった場合には、コントローラ10は、S105をスキップしても良い。
【0033】
印刷設定を変更しないと判断した場合(S106:NO)、コントローラ10は、ラベル作成の指示を受け付けたか否かを判断する(S108)。コントローラ10は、ユーザIF20に表示されているボタン53の操作を受け付けた場合、ラベル作成の指示を受け付けたと判断する。ラベル作成の指示を受け付けていないと判断した場合(S108:NO)、例えば、シートオブジェクトの選択をやり直す指示を受け付けるボタン52の操作を受け付けた場合、コントローラ10は、S104に戻ってシートオブジェクトの再選択を受け付ける。コントローラ10は、何らかのボタンが操作されるまで待機する。
【0034】
ラベル作成の指示を受け付けたと判断した場合(S108:YES)、コントローラ10は、ラベル作成処理を実行する(S110)。ラベル作成処理は、ラベルプリンタ2に印刷させる画像を含むラベルオブジェクトを設定する処理である。ラベル作成処理は、第1設定処理の一例である。ラベル作成処理の手順について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0035】
ラベル作成処理では、コントローラ10は、ラベルプリンタ2にセットされているラベル用紙の情報に基づいて、ラベル幅の情報を取得する(S201)。コントローラ10は、ラベル用紙の情報を、セット印刷処理のS103にて取得済みであることから、取得済みの情報から必要な情報を読み出すことができる。なお、S103の後、ラベル用紙が交換されている可能性がある場合を考慮して、コントローラ10は、S201のタイミングでラベルプリンタ2と通信してラベル用紙の情報を取得しても良い。
【0036】
S201の後、コントローラ10は、ラベルに印刷する文字等の入力を受け付ける(S202)。コントローラ10は、例えば、
図3(B)に示すように、文字入力を受け付ける入力欄55とソフトウェアキーボード56とをユーザIF20に表示させ、入力欄55への入力を受け付ける。コントローラ10は、ラベルオブジェクトに含ませる情報として、文字以外に、写真やイラスト等の画像や二次元コードの指定を受け付けても良い。
【0037】
入力欄55への入力が完了した後、コントローラ10は、例えば、
図5(A)に示すように、入力を受け付けた文字等を含むラベルオブジェクト57を、ユーザIF20に表示させる(S203)。コントローラ10は、ラベル作成の指示を受け付けた際に選択されているシートオブジェクト51を表示したままで、シートオブジェクト51に少なくとも一部が重なった状態で、ラベルオブジェクト57を表示させる。S203は、表示処理の一例である。なお、ラベルオブジェクト57は、シートオブジェクト51に重ねて表示されているものであって、シートオブジェクト51の画像にラベルオブジェクト57の画像が合成されているわけではない。
【0038】
なお、コントローラ10は、表示させるラベルオブジェクト57を、シートオブジェクト51の縮尺と同じ縮尺で表示する。シートオブジェクト51の縮尺は、プリンタ3の印刷設定に基づいて取得できる。また、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57を、例えば、ラベルプリンタ2のデフォルトの印刷設定による文字のサイズや余白の大きさに基づいて作成する。コントローラ10は、S203では、表示されるラベルオブジェクト57のラベル長を、例えば、入力を受け付けた文字等の長さに基づいて決定する。
図5(A)では、シートオブジェクト51の中央にラベルオブジェクト57を重ねて表示した例を示しているが、S203で表示されるラベルオブジェクト57の表示位置は、
図5(A)の例に限らず、どこでも良い。
【0039】
次に、コントローラ10は、作成するラベルの詳細な設定を受け付ける。具体的に、コントローラ10は、シートオブジェクト51の表示位置に対するラベルオブジェクト57の表示位置の変更指示を受け付ける(S204)。ラベルオブジェクト57の表示位置は、シートオブジェクト51に基づく印刷物に対するラベルオブジェクト57に基づくラベルの貼り付け位置に該当する。ラベルオブジェクト57の表示位置を変更することで、印刷物にラベルを貼り付けた場合のイメージの編集が可能となる。
【0040】
コントローラ10は、表示位置として、例えば、シートオブジェクト51の上下方向の側部もしくは左右方向の側部への自動配置の指定を受け付ける。そして、シートオブジェクト51の上または下の側部の指定を受け付けた場合(S204:上下辺)、コントローラ10は、文字等の並び方向を横書き方向として、ラベルオブジェクト57の表示位置を上下の指定された縁辺に重なる位置に変更する(S205)。コントローラ10は、例えば、上辺への自動配置の指定を受け付けた場合、ラベル長を横方向として、シートオブジェクト51の上辺とラベル幅の中央とが重なる位置に、ラベルオブジェクト57の表示位置を変更する。S205は、再配置処理の一例である。
【0041】
また、表示位置としてシート画像の左または右の側部の指定を受け付けた場合(S204:左右辺)、コントローラ10は、文字等の並び方向を縦書き方向として、ラベルオブジェクト57の表示位置を左右の指定された縁辺に重なる位置に変更する(S206)。コントローラ10は、例えば、左辺への自動配置の指定を受け付けた場合、ラベル長を縦方向として、シートオブジェクト51の左辺とラベル幅の中央とが重なる位置に、ラベルオブジェクト57の表示位置を変更する。S206は、再配置処理の一例である。
【0042】
例えば、ラベルを用いてシート状の印刷物を貼付する場合、ラベルが印刷物の側部に配置される可能性が高く、ラベルオブジェクト57をシートオブジェクト51の側部に沿って配置することを望むユーザが多いことが想定される。本実施形態では、シートオブジェクト51の側部へのラベルオブジェクト57の自動配置を受け付けることから、配置の手間が軽減される可能性が高い。
【0043】
また、コントローラ10は、手動による表示位置の設定も受け付ける。手動による表示位置の設定を受け付けた場合(S204:手動)、コントローラ10は、例えば、表示中のラベルオブジェクト57に対するドラッグやロール等の操作による表示位置の変更を受け付ける。なお、縦書き/横書きについては、ラベルオブジェクト57の表示される角度に応じて自動で切り替えても良いし、ユーザの指定を受け付けても良い。また、文字単位での回転が可能なラベルプリンタ2であれば、ラベルオブジェクト57の角度等に応じて文字単位で回転させても良い。手動での設定を受け付けることで、ラベルオブジェクト57の配置の自由度が高まる。
【0044】
S205またはS206の後、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57のサイズの調整指示、すなわち、ラベル長の変更指示を受け付ける(S208)。コントローラ10は、ラベル長の変更指示として、例えば、ラベルオブジェクト57が重ねて配置されているシートオブジェクト51の辺の全長とする指示、すなわち、ラベル長をシートオブジェクト51が印刷された印刷物の辺の全長に合わせる指示を受け付ける。そして、ラベル長を辺全長に合わせる指定を受け付けた場合(S208:辺全長)、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57のラベル長をシートオブジェクト51の辺の全長に変更する(S209)。S209は、リサイズ処理の一例である。
【0045】
シートオブジェクト51を印刷した印刷物の辺の長さに基づいてラベル長を変更することで、印刷物を貼付するためのラベルに必要な長さを確保できる。なお、コントローラ10は、辺の全長以外に、辺の長さに基づくラベル長の設定を受け付けても良い。例えば、辺の全長に対する所定の割合の長さとしても良い。
【0046】
さらに、コントローラ10は、ラベル内の文字等の位置の設定を受け付ける(S210)。コントローラ10は、文字の位置として、例えば、左(上)揃え、中央揃え、右(下)揃えの指定を受け付ける。例えば、ラベルオブジェクト57として、上辺沿い、辺全長、中央揃えが選択された場合、コントローラ10は、
図5(B)に示すように、シートオブジェクト51の上辺の全体に重なった状態で、中央に文字を配置してラベルオブジェクト57を表示させる。ラベルオブジェクト57をシートオブジェクト51に対して移動して表示させることで、ユーザは、ラベルを印刷物に貼付した状態をイメージしやすい。
【0047】
一方、ラベル長をラベルオブジェクト57に含まれる文字等の文字長に合わせる指定を受け付けた場合(S208:文字長)、コントローラ10は、文字等の前後に設ける余白の設定を受け付ける(S211)。なお、余白の設定を受け付けた場合には、コントローラ10は、さらに、S210と同様の文字位置の設定を受け付けても良い。さらに、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57の表示位置の詳細な設定を受け付ける(S212)。コントローラ10は、表示位置として、例えば、左(上)寄せ、中央寄せ、右(下)寄せの指定を受け付ける。そして、コントローラ10は、受け付けた指定に基づいてラベルオブジェクト57のラベル長を変更し、指定された位置に表示する。
【0048】
また、コントローラ10は、手動によるラベル長の設定も受け付ける。S207の後、または、手動によるラベル長の設定を受け付けた場合(S208:手動)、コントローラ10は、例えば、表示中のラベルオブジェクト57に対するピンチインやピンチアウト等の操作によるラベル長の設定を受け付ける(S213)。コントローラ10は、さらに、数値入力によるラベル長の設定や文字位置の設定も自由に受け付けても良い。そして、コントローラ10は、受け付けた指示に基づいて、ラベルオブジェクト57を変更して表示する。
【0049】
S210またはS212またはS213の後、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57の設定が完了したか否かを判断する(S214)。コントローラ10は、例えば、
図5に示すように、ユーザIF20にラベルオブジェクト57の設定が完了したことを示す指示を受け付けるボタン58を表示させ、ボタン58への操作を受け付けた場合、ラベルオブジェクト57の設定が完了したと判断する。
【0050】
ラベルオブジェクト57の設定が完了していないと判断した場合(S214:NO)、コントローラ10は、S204またはS208に戻り、受け付けた指示に基づいて、ラベルオブジェクト57を変更して表示する。一方、ラベルオブジェクト57の設定が完了したと判断した場合(S214:YES)、コントローラ10は、ラベル作成処理を終了して、
図2のセット印刷処理に戻る。
【0051】
なお、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57の設定として、表示位置やラベル長の設定以外にも、各種の印刷設定を受け付けても良い。コントローラ10は、例えば、
図5に示すように、印刷設定の変更の指示を受け付けるボタン59をユーザIF20に表示させ、ボタン59への操作を受け付けても良い。そして、余白の変更、フレームの追加などの詳細な印刷設定を受け付けても良い。なお、ラベル長が変更されたことでラベルオブジェクト57の文字等が指定されたラベル長に収まらない場合、コントローラ10は、例えば、文字サイズを自動的に変更しても良いし、エラーを報知しても良い。
【0052】
図2のセット印刷処理の説明に戻る。コントローラ10は、S110のラベル作成処理の後、ラベルを追加するか否かを判断する(S111)。本形態のセット印刷アプリ42は、1つのシートオブジェクト51に対し、複数のラベルオブジェクト57の設定を受け付ける。そこで、コントローラ10は、1以上のラベルオブジェクト57の設定が完了した後、例えば、
図6(A)に示すように、ラベルの追加を受け付けるボタン61と、印刷指示を受け付けるボタン62とを、ユーザIF20に表示させ、ユーザの指示を受け付ける。
【0053】
ボタン61への操作によりラベルを追加する指示を受け付けたと判断した場合(S111:YES)、コントローラ10は、ラベル作成処理を再度実行する(S110)。2つ目以降のラベルオブジェクト57を設定するラベル作成処理では、コントローラ10は、既に作成済みのラベルオブジェクト57とシートオブジェクト51とをユーザIF20に表示させ、新たなラベルオブジェクトの設定を受け付ける。
【0054】
ラベルを追加するのではなく、ボタン62への操作により印刷指示を受け付けたと判断した場合(S111:NO)、コントローラ10は、例えば、
図6に示すように、印刷実行処理を実行する(S112)。印刷実行処理は、ラベルオブジェクト57に基づく印刷とシートオブジェクト51に基づく印刷とをそれぞれのプリンタに行わせる処理である。印刷実行処理は、印刷処理の一例である。印刷実行処理の手順について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
印刷実行処理では、コントローラ10は、表示中のラベルオブジェクト57に基づいて、ラベルプリンタ2に印刷を行わせるための印刷ジョブを生成する(S301)。コントローラ10は、ラベルオブジェクト57に含まれる文字等の画像データと余白の設定等の各種印刷設定とに基づいて、印刷ジョブを生成する。さらに、コントローラ10は、生成した印刷ジョブをラベルプリンタ2に送信する(S302)。これにより、例えば、
図6(B1)に示すように、ラベルプリンタ2は、ラベルオブジェクト57に基づく画像の印刷を実行する。そして、ラベル71が生成される。
【0056】
そして、コントローラ10は、他にもラベルオブジェクトが有るか否かを判断する(S303)。他にもラベルオブジェクトが有ると判断した場合(S303:YES)、コントローラ10は、S301に戻って、次のラベルオブジェクトに基づく印刷ジョブを生成し、ラベルプリンタ2に送信する。
【0057】
他にラベルオブジェクトが無いと判断した場合(S303:NO)、コントローラ10は、シートオブジェクト51にガイド線を合成する(S304)。ガイド線は、シートオブジェクト51とラベルオブジェクト57とが重なって表示されている位置について、ラベルオブジェクト57の表示位置の縁辺の少なくとも一部を示す画像である。ガイド線としては、例えば、縁辺を示す点線、コーナーを示すマーク、貼り付け範囲全体への塗りつぶし、が該当する。複数のラベルオブジェクトが設定されている場合には、コントローラ10は、各ラベルオブジェクトについてガイド線を合成する。
【0058】
そして、コントローラ10は、ガイド線が合成されたシートオブジェクト51に基づいて、プリンタ3に印刷を行わせるための印刷ジョブを生成する(S305)。コントローラ10は、例えば、プリンタ3の印刷設定に基づいてシートオブジェクト51の画像を含む印刷ジョブを生成する。そして、コントローラ10は、生成した印刷ジョブをプリンタ3に送信する(S306)。これにより、例えば、
図6(B2)に示すように、プリンタ3は、シートオブジェクト51に基づく画像の印刷を実行する。そして、印刷物72が生成される。印刷物72には、ラベルオブジェクト57の位置に基づくガイド線73が印刷される。
【0059】
つまり、本形態のモバイル装置1は、例えば、
図6に示すように、1つのボタン62(
図6(A))の操作を受け付けたことで、両方の印刷(
図6(B1)および
図6(B2))を実行させる。これにより、ユーザは、例えば、
図8に示すように、印刷物72をラベル71にて貼付することができる。
図8は、ユーザによって印刷物72にラベル71が貼り付けられた状態のイメージを示す図である。印刷物72にはガイド線73が含まれることから、ユーザがラベル71を用いて印刷物72を貼付する際に位置合わせしやすい。
【0060】
ユーザは、作成された印刷物72に対して、ラベル71をガイド線73に沿って貼り付けることで、
図8に示すように、モバイル装置1のユーザIF20に表示させたイメージ通りの掲示を行うことができる。本形態のセット印刷アプリ42によれば、例えば、ポスター等の印刷物とラベルとの全体のイメージを確認しながら編集することができ、さらに、両方の印刷を1つの印刷指示で行わせることができる。
【0061】
なお、ガイド線の合成タイミングは、印刷指示を受け付けた後に限らず、ラベルオブジェクト57の表示位置が変更される度であっても良い。全ての印刷ジョブを送信したら、コントローラ10は、印刷実行処理を終了して、セット印刷処理に戻り、セット印刷処理を終了する。なお、ラベル71の印刷のための手順と印刷物72の印刷のための手順とは逆順でも良いし、並行して行っても良い。
【0062】
本形態のセット印刷アプリ42は、前述したように、ラベルの追加指示を受け付ける。1枚のポスターに2枚のラベルを貼り付ける場合の例を
図9に示す。本形態のセット印刷アプリ42は、
図9(A)に示すように、1つのシートオブジェクト51に対し、複数のラベルオブジェクト81の設定を受け付ける。
図9(A)にてボタン62への操作を受け付けた場合、コントローラ10は、前述した印刷実行処理を実行する。
【0063】
印刷実行処理にてコントローラ10は、ラベルプリンタ2とプリンタ3とにそれぞれ印刷命令を送信する。その結果、ラベルプリンタ2は、
図9(B1)に示すように、同じ図柄のラベル82を2枚作成し、プリンタ3は、
図9(B2)に示すように、印刷物83を作成する。印刷物83には、左右の上角にそれぞれ各ラベル82の貼り付け位置を示す複数の斜めのガイド線84が含まれる。
【0064】
ユーザは、印刷物83に2つのラベル82を貼り付けた場合の全体のイメージをユーザIF20の表示にて確認しながら、ラベルオブジェクト81の表示位置やラベル長を手動設定で設定することができる。なお、セット印刷アプリ42は、ラベルの追加指示として、同じラベルを追加する指示を受け付けて、追加されたラベルオブジェクト81の表示位置の設定のみを受け付けても良い。
【0065】
以上、詳細に説明したように、本形態のセット印刷アプリ42によれば、コントローラ10は、ラベルオブジェクト57とシートオブジェクト51とをユーザIF20に表示させる。そして、印刷指示を受け付けた場合には、ラベルオブジェクト57に基づく印刷をラベルプリンタ2に行わせ、シートオブジェクト51に基づく印刷をプリンタ3に行わせる。この構成によれば、1つのアプリへの操作で、別々のプリンタによってそれぞれ異なる印刷物を生成することができ、プリンタごとに異なるアプリを操作する必要がないことから、ユーザの手間が軽減されている。
【0066】
次に、第2の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、プリンタ3に関する処理を担うプラグインプログラムを備えるモバイル装置にて実行されるアプリを具体化した実施の形態を開示するものである。本形態は、印刷実行処理の手順の一部が第1の形態と異なるのみであり、第1の形態と同様の構成や処理については、第1の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
本形態のモバイル装置5は、
図10に示すように、CPU11とメモリ12とを含むコントローラ10と、ユーザIF20と、通信IF30と、を備え、ユーザIF20及び通信IF30は、コントローラ10に電気的に接続されている。モバイル装置5は、情報処理装置の一例である。モバイル装置5のメモリ12には、OS41と、セット印刷アプリ43と、印刷プラグインプログラム44と、が記憶されている。印刷プラグインプログラム44は、印刷プログラムの一例である。
【0068】
本形態のセット印刷アプリ43は、第1の形態のセット印刷アプリ42に比較して、プリンタ3に印刷を実行させる印刷ジョブの生成と送信の処理を含まない。セット印刷アプリ43は、印刷ジョブの生成と送信に関する処理を印刷プラグインプログラム44に実行させる。印刷プラグインプログラム44は、例えば、プリンタ3のベンダによって提供されるプログラムであり、セット印刷アプリ43に印刷機能を付加する。
【0069】
本形態の印刷実行処理の手順について、
図11のフローチャートを参照して説明する。本形態の印刷実行処理も、印刷処理の一例である。本形態の印刷実行処理では、第1の形態と同様に、コントローラ10は、ラベルプリンタ2に送信する印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブをラベルプリンタ2に送信する(S301~S303)。また、コントローラ10は、シートオブジェクト51にガイド線を合成する(S304)。
【0070】
次に、コントローラ10は、印刷プラグインプログラム44を起動する(S401)。さらに、コントローラ10は、起動した印刷プラグインプログラム44に、プリンタ3に印刷を実行させる指示を示す情報と、ガイド線を合成したシートオブジェクト51に基づく画像データと、印刷設定と、を渡す(S402)。印刷プラグインプログラム44は、受け取った画像データに基づいてプリンタ3に適した印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブをプリンタ3に送信する。これにより、プリンタ3は、シートオブジェクト51に基づく画像の印刷を実行し、第1の形態と同様に印刷物72が生成される。
【0071】
本形態では、セット印刷アプリ43は、プリンタ3との通信機能などのプリンタ3に対応する機能まで具備する必要が無く、セット印刷アプリ43の処理がシンプルになる。また、印刷機能をセット印刷アプリ43から分けることで、プリンタ3のバージョンアップ等、個別のメンテナンスが容易になる。
【0072】
なお、印刷プラグインプログラム44は、さらに、例えば、印刷を実行させるプリンタ3の検索、プリンタ3からの能力や状態を示す情報の取得、をも行うプログラムであっても良い。その場合は、例えば、セット印刷アプリ43は、セット印刷処理のS101にてデバイスが設定されていないと判断した場合、印刷プラグインプログラム44を起動して、印刷プラグインプログラム44にプリンタ3の検索や能力情報の取得を行わせてもよい。プリンタ3との通信を含む処理の全てを印刷プラグインプログラム44に実行させることで、セット印刷アプリ43は、自身と異なるベンダによって提供されるプリンタ3にも対応可能となる。また、印刷プラグインプログラム44は、プリンタ3に印刷させる印刷ジョブの印刷設定を受け付ける機能をも有していても良い。
【0073】
また、プリンタ3に関する処理のみではなく、ラベルプリンタ2に関する処理もさらに別のプラグインプログラムにて行わせても良い。その場合、セット印刷アプリ43は、ラベルオブジェクト57に基づく画像データを、ラベルプリンタ2に対応するプラグインプログラムに渡せば良い。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本形態のセット印刷アプリ43によっても、1つのアプリへの操作で、別々のプリンタによってそれぞれ異なる印刷物を生成することができ、プリンタごとに異なるアプリを操作する必要がないことから、ユーザの手間が軽減されている。
【0075】
なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、ラベルプリンタ以外の種類のプリンタは、単機能のプリンタに限らず、複合機、複写機、FAX装置等、シート等への印刷機能を有する装置であればよい。
【0076】
また、情報処理装置は、モバイル装置に限らず、PC等のデスクトップ型の装置であっても良い。装置の種類に応じて、搭載されるOS41の種類は、実施の形態に例示したものに限らず、例えば、マイクロソフトウィンドウズ(登録商標)、MacOS(登録商標)、Linux(登録商標)であっても良い。
【0077】
また、モバイル装置1に接続されるラベルプリンタ2やプリンタ3は、それぞれ1台ずつに限らず、複数台有っても良い。例えば、セットされているラベル用紙の種類が異なる複数のラベルプリンタが接続されているモバイル装置1であれば、印刷対象のラベルオブジェクトに応じて適切なラベルプリンタを選択し、選択したラベルプリンタに印刷ジョブを送信することで、種類の異なるラベル用紙を使用した複数のラベルを作成することができる。
【0078】
また、実施の形態では、ラベルプリンタ2によって作成されるラベル71とプリンタ3によって作成される印刷物72との組み合わせを作成する例を説明したが、これに限るものではない。例えば、大きなポスターの一部に重ねて貼り付けるめくり部を別のプリンタに印刷させる処理を実行するプログラムであっても良い。
【0079】
また、例えば、実施の形態では、シートオブジェクト51にガイド線を合成するとしたが、合成しなくても良い。つまり、印刷時、シートオブジェクト51の画像への変更は行わなくても良い。
【0080】
また、例えば、実施の形態では、ラベルの位置やラベル長の手動での設定を受け付けるとしたが、受け付けなくても良い。例えば、シートオブジェクト51のいずれかの側部の指定のみを受け付けても良いし、複数種類の予め設定された選択肢からの選択のみを受け付けても良い。
【0081】
また、実施の形態のセット印刷処理では、S103にて、各デバイスと通信してその能力を取得するとしたが、通信しなくても良い。選択されたデバイスの能力やデフォルトの印刷設定が取得できれば良く、例えば、OS41から取得しても良いし、前回の実行時の印刷設定を記憶していれば、記憶されている情報に基づいて取得しても良い。
【0082】
また、例えば、実施の形態では、シートオブジェクト51の上下の側部への自動配置を受け付けた場合に文字を横書きとし、左右の側部への自動配置を受け付けた場合に文字を縦書きとするとしたが、これに限らず、横書きまたは縦書きを自由に設定できても良い。
【0083】
また、例えば、ラベル長を文字長に合わせる指定を受け付けた場合に、余白の設定をさらに受け付けるとしたが、受け付けなくても良い。例えば、自動でのラベル長の設定は、辺の全長または文字長のみとし、それ以外の設定は手動による設定で受け付けるとしても良い。
【0084】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0085】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 モバイル装置
2 ラベルプリンタ
3 プリンタ
10 コントローラ
11 CPU
12 メモリ
42、43 セット印刷アプリ
44 印刷プラグインプログラム