(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】加飾シート及び発光装置
(51)【国際特許分類】
B44C 3/02 20060101AFI20230620BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20230620BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230620BHJP
【FI】
B44C3/02 Z
B32B3/30
B32B7/023
(21)【出願番号】P 2019119409
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政次 美徳
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 千春
(72)【発明者】
【氏名】高井 一
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-084821(JP,A)
【文献】実開昭57-179938(JP,U)
【文献】特開2004-330575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44C 3/02
B32B 3/30
B32B 7/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面にエンボス加工が施された板状の透明基材と、
前記透明基材の上に設けられた、一部の光を透過する半透明層と、
前記半透明層の上に直接設けられた、下面にエンボス加工が施された透明層と、
を備え、
前記半透明層の透過率が、10%以上、30%以下であり、
前記半透明層の前記透明層と接する層が、一部の光を透過するインク層からなり、
前記透明層の上面側から光が入射すると、前記透明層と前記半透明層の界面で反射され、前記透明層の上面側から前記インク層の色を有する第1のエンボス模様が立体的に視認され、
前記透明基材の下面側から光が入射すると、前記透明層から取り出されるまでに、前記透明基材の下面と、前記透明層と半透明層の界面で屈折し、前記透明層の上面側から前記インク層の色を有する第2のエンボス模様が立体的に視認される、加飾シート。
【請求項2】
前記半透明層が、前記インク層と前記インク層の下の一部の光を透過するスモーク層とからなる、
請求項1に記載の加飾シート。
【請求項3】
前記スモーク層が、開口部又は凹部により形成された所定のパターンを有する、
請求項2に記載の加飾シート。
【請求項4】
前記半透明層が、ハーフ蒸着膜からなる、
請求項1に記載の加飾シート。
【請求項5】
前記ハーフ蒸着膜が、開口部又は凹部により形成された所定のパターンを有する、
請求項4に記載の加飾シート。
【請求項6】
前記透明層側から外光が入射し、前記透明基材側から発光素子の光が入射するように設置される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の加飾シート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の加飾シートと、
前記透明基材側から前記加飾シートに入射する光を発する発光素子と、
を備えた、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾シート及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明基材の裏面にエンボス模様が施され、エンボス模様上に、金属薄膜層、透明樹脂層が順次形成されている金属光沢性エンボス模様表示板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の金属光沢性エンボス模様表示板は、例えば、ビデオデッキの液晶表示装置の窓部に、エンボス模様が施された裏面が液晶表示装置側になるように組み込んで使用される。そして、表示板を表側から反射により見た場合には、金属光沢性のエンボス模様が現出し、表示板の裏側にある像を表示板の表側から表示板を透かして見た場合には、エンボス模様の存在をほとんど感知することなく像を見ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の金属光沢性エンボス模様表示板は、ビデオデッキの液晶表示装置の窓部などに設置されるものであり、裏側から光を透過させたときには、エンボス模様がほとんど視認されず、加飾性を失う。
【0006】
本発明の目的は、背面光を透過させるときとさせないときのいずれでもエンボス模様が視認され、かつ背面光を透過させるときとさせないときとで異なるエンボス模様が視認される、加飾性に優れた加飾シート及びそれを用いた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[7]の加飾シート及び下記[8]の発光装置を提供する。
【0008】
[1]下面にエンボス加工が施された板状の透明基材と、前記透明基材の上に設けられた、一部の光を透過する半透明層と、前記半透明層の上に直接設けられた、下面にエンボス加工が施された透明層と、を備えた、加飾シート。
[2]前記半透明層の前記透明層と接する層が、一部の光を透過するインク層からなる、上記[1]に記載の加飾シート。
[3]前記半透明層が、前記インク層と前記インク層の下の一部の光を透過するスモーク層とからなる、上記[2]に記載の加飾シート。
[4]前記スモーク層が、開口部又は凹部により形成された所定のパターンを有する、上記[3]に記載の加飾シート。
[5]前記半透明層が、ハーフ蒸着膜からなる、上記[1]に記載の加飾シート。
[6]前記ハーフ蒸着膜が、開口部又は凹部により形成された所定のパターンを有する、上記[5]に記載の加飾シート。
[7]前記透明層側から外光が入射し、前記透明基材側から発光素子の光が入射するように設置される、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の加飾シート。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の加飾シートと、前記透明基材側から前記加飾シートに入射する光を発する発光素子と、を備えた、発光装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、背面光を透過させるときとさせないときのいずれでもエンボス模様が視認され、かつ背面光を透過させるときとさせないときとで異なるエンボス模様が視認される、加飾性に優れた加飾シート及びそれを用いた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加飾シートの垂直断面図である。
【
図2】
図2は、加飾シートの車両内の使用位置を例示する模式図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、それぞれ、加飾シートの背面側に設置された発光素子が発光していないときと、発光しているときの、正面側から主に視認される光の光路を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る加飾シートの変形例の垂直断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る加飾シートの垂直断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る加飾シートの変形例の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加飾シート1の垂直断面図である。加飾シート1は、下面10aにエンボス加工が施された板状の透明基材10と、透明基材10の上に設けられた、一部の光を透過する半透明層11と、半透明層11の上に直接設けられた、下面12aにエンボス加工が施された透明層12と、を備える。
【0012】
加飾シート1は、背面光を背面側(透明基材10側)から照射したときと、照射しないときとで、正面側(透明層12側)から視認される模様などが異なる加飾シートである。加飾シート1は、加飾シート1の背面側に設置される発光素子50などの光源と組み合わせて用いられる。
【0013】
発光素子50は、例えば、発光ダイオード(LED)であり、配線基板51に実装されている。発光素子50は、その光取出面52が透明基材10の下面10aに対向するように設置されており、発光素子50から発せられる光は、透明基材10側から加飾シート1に入射する。
【0014】
図2は、加飾シート1の車両30内の使用位置を例示する模式図である。加飾シート1は、例えば、インストルメントパネル31の表面、センターコンソールのアームレスト32の表面、ステアリングのセンターパッド33の表面などに用いられる。
【0015】
加飾シート1は、このような使用位置において、透明層12側から太陽光などの外光が入射し、透明基材10側から発光素子50の光が入射するように設置される。発光素子50が実装された配線基板51は、例えば、インストルメントパネル31などの加飾シート1の設置対象物に、直接又は間接的に固定される。また、インストルメントパネル31などの加飾シート1の設置対象物は、配線基板51を収容するための空間(収容部)を有していてもよい。
【0016】
透明基材10は、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂などの透明な材料からなる。
【0017】
半透明層11は、上面がエンボス模様を有する透明層12の下面12aに密着しているため、透明層12の下面12aのエンボス模様を上面に有する。半透明層11の透明層12と接する層は、一部の光を透過するインク層111からなる。このため、インク層111は上面にエンボス模様を有する。
【0018】
インク層111は、例えば、透明層12の下面12aにインクを転写することにより形成される層である。インク層111は、任意の色を有することができる。インク層111の厚さは、半透明層11に求められる透過率などに応じて、適宜設定されることができる。
【0019】
半透明層11において、インク層111の下にスモーク層112が設けられていてもよい。スモーク層112は、一部の光を透過する半透明の層であり、スモーク層112を用いることにより半透明層11の透過率を増加させることができる。
【0020】
例えば、インク層111だけでは半透明層11として所望の透過率が得られない場合に、スモーク層112を用いることができる。なお、インク層111だけで半透明層11として所望の透過率が得られる場合は、インク層111だけで半透明層11を構成してもよい。
【0021】
スモーク層112は、例えば、インク層111の下面に半透明のインクを印刷したり、スモークフィルムを貼り付けたりすることにより形成される層である。スモーク層112の厚さは、半透明層11に求められる透過率などに応じて、適宜設定されることができる。スモーク層112は無色であっても有色であってもよい。
【0022】
透明基材10と半透明層11は、接合層13により接合される。接合層13は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などからなる。
【0023】
透明層12は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透明な材料からなる。
【0024】
図3(a)、(b)は、それぞれ、加飾シート1の背面側に設置された発光素子50が発光していないときと、発光しているときの、正面側から主に視認される光の光路を模式的に示す図である。
【0025】
図3(a)に示されるように、発光素子50が発光していないときには、加飾シート1は、主に外光60の反射により視認される。正面側から加飾シート1に入射した外光60は、透明層12に進入し、エンボス模様を有する透明層12と半透明層11の界面で反射され、それによって、インク層111の色を有するエンボス模様が立体的に視認される。
【0026】
図3(b)に示されるように、発光素子50が発光しているときには、加飾シート1は、主に加飾シート1を透過する発光素子50からの背面光61により視認される。下面側から加飾シート1に入射した背面光61は、透明層12から取り出されるまでに、エンボス模様を有する透明基材10の下面10aと、エンボス模様を有する透明層12と半透明層11の界面で屈折し、それによって、インク層111の色を有するエンボス模様が立体的に視認される。
【0027】
上述のように、背面光61は2つのエンボス面において屈折するため、主に背面光61により視認される、発光素子50が発光しているときの加飾シート1の立体的な模様は、主に1つのエンボス面で反射される外光60により視認される、発光素子50が発光していないときの加飾シート1の立体的な模様と異なる。
【0028】
また、発光素子50から発せられる背面光61の色を外光60の色と異ならせることにより、発光素子50が発光しているときの加飾シート1の立体的な模様と、発光素子50が発光していないときの加飾シート1の立体的な模様を、その色においても異ならせることができる。
【0029】
また、背面光61が白色光である場合であっても、背面光61は発光素子50から発せられる光であり、外光60は典型的には太陽光であるため、波長スペクトルが異なり、エンボス面で分光されたときに視認される色が異なる。このため、発光素子50が発光しているときの加飾シート1の立体的な模様と、発光素子50が発光していないときの加飾シート1の立体的な模様は、その色において異なる。
【0030】
なお、透明基材10の側面に光取出面52が対向するように発光素子50を設置し、背面光61を透明基材10の側面から入射させてもよい。この場合、背面光61は、エンボス模様を有する透明基材10の下面10aで上方に反射された後、エンボス模様を有する透明層12と半透明層11の界面で屈折する。このため、この場合の加飾シート1の立体的な模様も、発光素子50が発光していないときの加飾シート1の立体的な模様と異なる。このような構成は、加飾シート1の背面側に発光素子50の設置スペースを確保することが困難な場合などに有用である。
【0031】
半透明層11の透過率が高すぎると、透明層12と半透明層11の界面で反射せずに半透明層11を透過する光の割合が大きくなるため、エンボス模様やその色の視認性が低下する。一方で、透過率が低すぎると、加飾シート1の正面側に取り出すことのできる発光素子50からの背面光61の割合が小さくなるため、背面光61を照射したときの加飾シート1の模様などの変化が小さくなる。このため、半透明層11の透過率は、10%以上、50%以下の範囲内にあることが好ましく、10%以上、30%以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0032】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る加飾シート1の変形例の垂直断面図である。この変形例は、スモーク層112が開口部112aにより形成される所定のパターンを有する。
【0033】
例えば、スモーク層112のパターンにより、あるマークを加飾シート1の模様に加えたい場合は、スモーク層112のそのマークに相当する部分に開口部112aを設ける。
【0034】
上述のように、発光素子50からの背面光61は、スモーク層112を通過して加飾シート1の正面側に取り出される。スモーク層112における背面光61の透過率は、開口部112aの設けられている領域と設けられてない領域で異なるため、発光素子50が発光しているときには、スモーク層112のパターンによる模様がエンボス模様に加わって視認される。
【0035】
一方で、発光素子50が発光していないときには、上述のように、加飾シート2の模様は、主に透明層12と半透明層11の界面で反射する外光60によって視認される。このため、スモーク層112のパターンによる模様はほとんど視認されない。
【0036】
したがって、スモーク層112に開口部112aにより形成されるパターンを設けることにより、発光素子50が発光していないときと発光しているときの加飾シート1の模様の違いをより大きくすることができる。
【0037】
なお、開口部112aの代わりに凹部によりスモーク層112にパターンを形成してもよい。凹部が設けられた部分は厚さが小さいため、透過率が高く、開口部112aを形成する場合と同様に、スモーク層112のパターンによる模様を発光素子50が発光しているときの加飾シート1の模様に加えることができる。また、凹部の深さを場所によって変えて、スモーク層112のパターンによる模様に濃淡を加えてもよい。
【0038】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、加飾シートの半透明層の構成において第1の実施の形態と異なる。なお、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略又は簡略化する。
【0039】
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る加飾シート2の垂直断面図である。加飾シート2は、下面10aにエンボス加工が施された板状の透明基材10と、透明基材10の上に設けられた、一部の光を透過する半透明層21と、半透明層21の上に直接設けられた、下面12aにエンボス加工が施された透明層12と、を備える。
【0040】
加飾シート2は、第1の実施の形態に係る加飾シート1と同様に、背面光を背面側から照射したときと、照射しないときとで、正面側から視認される模様などが異なる加飾シートである。加飾シート2は、加飾シート1と同様の用途に同様の方法で用いられる。
【0041】
半透明層21は、ハーフ蒸着膜からなり、透明層12の下面12aにクロム、インジウム、アルミニウム、銀、金といった金属や、これらの金属を含む合金からなる金属膜を蒸着させることにより形成される。半透明層21は、上面がエンボス模様を有する透明層12の下面12aに密着しているため、透明層12の下面12aのエンボス模様に応じた凹凸を有する。半透明層21の厚さは、半透明層11に求められる透過率などに応じて、適宜設定されることができる。
【0042】
透明基材10と半透明層21は、接合層13により接合される。
【0043】
図3(a)に示される加飾シート1と同様に、発光素子50が発光していないときには、加飾シート2は、主に外光60の反射により視認される。正面側から加飾シート1に入射した外光60は、透明層12に進入し、エンボス模様を有する透明層12と半透明層21の界面で反射され、それによって、ハーフ蒸着膜からなる半透明層21による金属光沢を有するエンボス模様が立体的に視認される。
【0044】
また、
図3(b)に示される加飾シート1と同様に、発光素子50が発光しているときには、加飾シート2は、主に加飾シート2を透過する発光素子50からの背面光61により視認される。背面側から加飾シート1に入射した背面光61は、透明層12から正面側に取り出されるまでに、エンボス模様を有する透明基材10の下面10aと、エンボス模様を有する透明層12と半透明層21の界面で屈折し、それによって、半透明層21による金属光沢を有するエンボス模様が立体的に視認される。
【0045】
上述のように、背面光61は2つのエンボス面において屈折するため、主に背面光61により視認される、発光素子50が発光しているときの加飾シート2の立体的な模様は、主に1つのエンボス面で反射される外光により視認される、発光素子50が発光していないときの加飾シート2の立体的な模様と異なる。
【0046】
また、加飾シート1と同様に、加飾シート2の側方に発光素子50を設置し、背面光61を透明基材10の側面から入射させてもよい。
【0047】
半透明層21の透過率が高すぎると、透明層12と半透明層21の界面で反射せずに半透明層21を透過する光の割合が大きくなるため、エンボス模様や金属光沢の視認性が低下する。一方で、透過率が低すぎると、加飾シート2の正面側に取り出すことのできる発光素子50からの背面光61の割合が小さくなるため、背面光61を照射したときの加飾シート2の模様などの変化が小さくなる。このため、半透明層21の透過率は、10%以上、50%以下の範囲内にあることが好ましく、10%以上、30%以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0048】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る加飾シート2の変形例の垂直断面図である。この変形例は、半透明層21が開口部21aにより形成される所定のパターンを有する。
【0049】
半透明層21のパターンは、第1の実施の形態に係るスモーク層112のパターンと同様の機能を有する。すなわち、発光素子50が発光しているときには、半透明層21のパターンによる模様がエンボス模様に加わって視認され、発光素子50が発光していないときには、半透明層21のパターンによる模様はほとんど視認されない。
【0050】
したがって、半透明層21に開口部21aにより形成されるパターンを設けることにより、発光素子50が発光していないときと発光しているときの加飾シート2の模様の違いをより大きくすることができる。
【0051】
なお、開口部21aの代わりに凹部により半透明層21にパターンを形成してもよい。凹部が設けられた部分は厚さが小さいため、透過率が高く、開口部21aを形成する場合と同様に、半透明層21のパターンによる模様を発光素子50が発光しているときの加飾シート2の模様に加えることができる。また、凹部の深さを場所によって変えて、半透明層21のパターンによる模様に濃淡を加えてもよい。
【0052】
(実施の形態の効果)
本発明の第1及び第2の実施の形態によれば、加飾シート1、2の透明基材10の下面10aと透明層12の下面12aにエンボス加工を施すことにより、背面光61を透過させるときとさせないときのいずれでもエンボス模様が視認され、かつ背面光61を透過させるときとさせないときとで異なるエンボス模様が視認される。このため、加飾シート1、2は、背面光を発する発光素子などと併せて用いることにより、優れた加飾性を発揮する。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【0054】
例えば、本発明によれば、加飾シート1又は加飾シート2と、透明基材10側から加飾シート1又は加飾シート2に入射する光を発する発光素子50とを備えた発光装置を提供することができる。この発光装置において、発光素子50は、その光取出面52が透明基材10の下面10a又は側面に対向するように設置される。
【0055】
また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0056】
1、2 加飾シート
10 透明基材
10a 下面
11 半透明層
111 インク層
112 スモーク層
112a 開口部
12 透明層
12a 下面
21 半透明層
21a 開口部