(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】調光装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1345 20060101AFI20230620BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20230620BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/1334
G02F1/13 505
(21)【出願番号】P 2019121061
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福原 啓介
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0049395(KR,A)
【文献】特開平02-079818(JP,A)
【文献】特開2019-020560(JP,A)
【文献】特開2018-115382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1345
G02F 1/1334
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶組成物を含む調光層、第1透明電極シート、および、第2透明電極シートを備える調光シートと、
前記第1透明電極シートと電源とを接続するための第1接続部と、
前記第2透明電極シートと電源とを接続するための第2接続部と、
を備える調光装置であって、
前記第1透明電極シートは、第1透明支持層に第1透明電極層が成膜されてなり、
前記第2透明電極シートは、第2透明支持層に第2透明電極層が成膜されてなり、
前記調光層は、前記第1透明電極層側と前記第2透明電極層側に面するように、前記第1電極シートと前記第2電極シートとに挟まれており、
前記第1接続部は、前記第2透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第1透明電極層上の第1領域に接合された第1導電性接着層と、前記第1導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第1配線部材とを備え、
前記第2接続部は、前記第1透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第2透明電極層上の第2領域に接合された第2導電性接着層と、前記第2導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第2配線部材とを備え、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記調光シートの平面視において一点で接している構成であ
り、
前記第1領域と前記第2領域の外形を規定する前記第2透明電極シートの切り欠き線および前記第1透明電極シートの切り欠き線が交差した夾角が鈍角であることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
液晶組成物を含む調光層、第1透明電極シート、および、第2透明電極シートを備える調光シートと、
前記第1透明電極シートと電源とを接続するための第1接続部と、
前記第2透明電極シートと電源とを接続するための第2接続部と、
を備える調光装置であって、
前記第1透明電極シートは、第1透明支持層に第1透明電極層が成膜されてなり、
前記第2透明電極シートは、第2透明支持層に第2透明電極層が成膜されてなり、
前記調光層は、前記第1透明電極層側と前記第2透明電極層側に面するように、前記第1電極シートと前記第2電極シートとに挟まれており、
前記第1接続部は、前記第2透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第1透明電極層上の第1領域に接合された第1導電性接着層と、前記第1導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第1配線部材とを備え、
前記第2接続部は、前記第1透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第2透明電極層上の第2領域に接合された第2導電性接着層と、前記第2導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第2配線部材とを備え、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記調光シートの平面視において一点で接している構成であり、
前記第1領域と前記第2領域の外形を規定する前記第2透明電極シートの切り欠き線および前記第1透明電極シートの切り欠き線は曲線であることを特徴とする調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シートと、調光シートを電源に接続するための接続部とを備える調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備える。一対の透明電極層に駆動電圧が印加されると、調光層が含む液晶分子の配向状態が変わることにより、調光シートの光透過率が変わる(例えば、特許文献1参照)。こうした調光シートと、透明電極層を電源に接続するための接続部とから、調光装置が構成される。
【0003】
調光装置の構造の一例について、図面を参照して説明する。
図2が示すように、調光装置100は、窓ガラス等の透明板200に取り付けられる。調光シート110は、一対の透明電極シート130A,130Bを備え、透明電極シート130Aには接続部160Aが接続され、透明電極シート130Bには接続部160Bが接続されている。詳細には、
図3が示すように、一方の透明電極シート130Aは、透明電極層140Aと透明支持層150Aとの積層体である。透明電極層140Aは、調光層120の一方の面に接し、透明支持層150Aは、接着層210を介して透明板200に貼り付けられている。接続部160Aは、透明電極層140Aのなかで調光層120および他方の透明電極シート130Bから露出する領域に接続されている。
図4が示すように、他方の透明電極シート130Bは、透明電極層140Bと透明支持層150Bとの積層体であり、透明電極層140Bは、調光層120の他方の面に接している。接続部160Bは、透明電極層140Bのなかで調光層120および一方の透明電極シート130Aから露出する領域に接続されており、透明板200と対向する。
【0004】
接続部160A,160Bは、透明電極層140A,140Bに接合された導電性接着層161と、導電性接着層161に接合された導電テープ162とを備える。導電性接着層161は、例えば銀ペースト等の導電ペーストから構成される。導電テープ162は、例えば銅テープである。接続部160A,160Bは、さらに、導電テープ162の表面上に位置するはんだ163と、はんだ163によって導電テープ162に接続されたリード線164とを備える。リード線164は、電源から供給される電圧を駆動電圧に変換する駆動回路に接続され、接続部160A,160Bを通じて、透明電極層140A,140Bに駆動電圧が印加される。
【0005】
透明電極シート130A,130Bへの接続部160A,160Bの形成にあたっては、図示されるように、矩形の調光シート110の一辺の端部にあたる透明電極シート130B,130A(それぞれ他方の透明電極シート)に切り欠け部を形成した上で除去して、調光層120を拭き取り、露出させた透明電極層140A,140B上にそれぞれ導電性接着層161,導電テープ162を接合させる手順が採られる。
【0006】
液晶材料からなる調光層は、酸,水分,紫外線などによって劣化が生じやすく、特に、調光層が挟持されたシート端部(周縁部)は水分や酸,紫外線などに触れる可能性が高く、調光層の劣化が生じ易い。
【0007】
前面基板上に液晶層(PDLC:液晶分子がポリマー中に分散配置された構成の高分子分散型液晶)がコーティングされ、これに背面基板をラミネートした形態の液晶パネルにおける周縁部のシール構造に係る提案として、特許文献2では、前面基板の表面と背面基板の側面およびPDLCの側面に、シール剤を塗布するシール構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-162823号公報
【文献】特開平6-186574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、調光シートを電源に接続するための接続部の形成が容易であり、加えて調光シート端部で露出する液晶材料からなる調光層の劣化を防止する上で、さらには、接続部の形成された透明電極シート同士の接触による電気的短絡を確実に回避する上でも好適な構造の調光シートを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による調光装置は、
液晶組成物を含む調光層、第1透明電極シート、および、第2透明電極シートを備える調光シートと、
前記第1透明電極シートと電源とを接続するための第1接続部と、
前記第2透明電極シートと電源とを接続するための第2接続部と、
を備える調光装置であって、
前記第1透明電極シートは、第1透明支持層に第1透明電極層が成膜されてなり、
前記第2透明電極シートは、第2透明支持層に第2透明電極層が成膜されてなり、
前記調光層は、前記第1透明電極層側と前記第2透明電極層側に面するように、前記第1電極シートと前記第2電極シートとに挟まれており、
前記第1接続部は、前記第2透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第1透明電極層上の第1領域に接合された第1導電性接着層と、前記第1導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第1配線部材とを備え、
前記第2接続部は、前記第1透明電極シートが切り欠かれて露出した前記第2透明電極層上の第2領域に接合された第2導電性接着層と、前記第2導電性接着層に接合されて外部電源と電気的接続する第2配線部材とを備え、
前記第1領域と前記第2領域とは、前記調光シートの平面視において一点で接している構成であることを特徴とする。
【0011】
前記第1領域と前記第2領域の外形を規定する前記第2透明電極シートの切り欠き線および前記第1透明電極シートの切り欠き線は、前記調光シートの平面視において10°~170°の範囲の夾角をなして交差した構成であることが好ましい。
【0012】
前記第1領域と前記第2領域の外形を規定する前記第2透明電極シートの切り欠き線および前記第1透明電極シートの切り欠き線は曲線であっても良い。
【発明の効果】
【0013】
透明電極シートの同一辺で重なり合わない形態での第1,第2の接続部が簡便な手順で作製出来ると共に、接続部の形成された透明電極シート同士の接触による電気的短絡が確実に回避される。また、接続部が形成されることになる、透明電極シートが切り欠かれて露出する透明電極層上の領域の形状の設計自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】調光シートの接続部を製造工程順に示す説明図。
【
図2】従来の調光装置について、調光装置の平面構造を示す図。
【
図3】
図2のXII-XII線における断面構造を示す図。
【
図4】
図2のXIII-XIII線における断面構造を示す図。
【
図5】調光シートの同一辺の端部に形成される接続部の構造例を示す概要図。
【
図6】調光シート端部における調光層の保護のためのシール構造例を示す概要図。
【
図7】接続部を形成した調光シートの端部でのシール剤の配置を示す概要図。
【
図8】調光シート110の接続部160A,160Bの断面構造を示す説明図。
【
図10】端部全体にシール部を形成した調光シートを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図5は、矩形の調光シート110の同一辺の端部に接続部160A,160Bを表裏で重なり合わさずに形成する上で採用されてきた代表的な構造例を示す概要図である。
図5(a)では帯状の接続部160A,160Bを形成する第1・第2領域の長さL1分だけ透明電極シート130B,130Aに切り欠け(ハーフカット)を、調光シート110の図示左右端部で形成~除去する。
図5(b)では帯状の接続部160A,160Bを形成する第1・第2領域の長さL2分(調光シート110の下辺長さの1/2)だけ透明電極シート130B,130Aに切り欠け(ハーフカット)を形成~除去する。
図5(c)では帯状の接続部160A,160Bを形成する第1・第2領域の長さL1分だけ透明電極シート130B,130Aに切り欠け(ハーフカット)を、調光シート110の中央部付近で形成~除去する。調光シート110の図示左右端部には切り欠け(ハーフカット)を形成しない。
図5(d)では帯状の接続部160A,160Bを形成する第1・第2領域の長さL1分だけ透明電極シート130B,130Aに切り欠け(ハーフカット)を、調光シート110の図示左右端部で形成~除去し、接続部160A,160Bが調光シート110の外側に舌片状に突き出した状態になる様、長さL3分の調光シート110を断裁(全カット)して除去されている。
図5(b)のみ、第1領域と第2領域とが、調光シート110の平面視において連結されている構成である。
【0016】
図5(a)~(c)でのカット量および最少カットライン数は以下の通りである。
【0017】
<
図5(a)>
ハーフカット:(L1×2)+(幅×2)
最少カットライン数=4
【0018】
<
図5(b)>
ハーフカット:(L2×2)
全カット:幅×1
最少カットライン数=3
【0019】
<
図5(c)>
ハーフカット:(L1×2)+(幅×4)
最少カットライン数=6
【0020】
<
図5(d)>
ハーフカット:L1×2
全カット:L3+(幅×2)
最少カットライン数=5
【0021】
次に、
図6により、調光シート110にハーフカット(または、全カット)を施した端部におけるシール構造による調光層120の保護について説明する。
図6(a)に示すように、透明電極シートへの接続部の形成のため、他方の透明電極シートを部分的にハーフカット~除去した断面では、液晶材料からなる調光層120が露出することになる。調光層120が水分や酸,紫外線などとの接触により劣化することを回避するため、調光層120の露出箇所をシール剤170により被覆することが好ましい。ディスペンサなどを用いてコーキング剤,シーリング剤と称される液状・ペースト状のシール剤(パテ)を塗布形成する。
図6(b)に示す状態では、シール剤170の接地面積が十分でなく、水分や酸,紫外線などの侵入が完全に防止できないことに加えて、局所的に剥離しやすいことが危惧される。シーリング機能を増大する上では、
図6(c)に示すように、透明電極層との接地面積が増大し、ハーフカット断面および透明電極シートの上面にまでシール剤171が及ぶシール構造が望ましい。
【0022】
調光シート110を全カットで断裁する箇所でも同様の問題があり、
図6(d)の右側断面での調光層120の露出についても対策が必要となる(左側断面はここでは度外視する)。シール剤172の必要最小限の形成は
図6(e)に示されるが、シーリング機能を高める上では
図6(f)に示すように、調光シート110全体を挟み込む形でシール剤173を形成することが望まれる。
【0023】
図6(c)(f)に示すシール構造は、シーリング機能の向上には有効である一方、シール剤の塗布工程および乾燥工程のために設備や時間を一層要して作業難易度が上がり、シール剤の使用量が増加すると共に、調光シート110の局所的な厚み増加(図中、符号tで示す)を招き、局所的な厚み増加に伴う段差は調光シート110の表面平滑性の低下に影響し、別部材との積層一体化を要する形態(例えば、中間膜を介して調光シートを2枚のガラス板に挟み込む合わせガラス)での適用にあたり、気泡の混入などの原因となる。
【0024】
図5に示した接続部160A,160Bを形成した調光シート110の同一辺の端部で
図6(c)(f)に示すシール構造171,173を適用した状態を
図7に示す。
図5(a)~(c)にそれぞれ対応した
図7(a)~(c)での使用シールおよびライン数は以下の通りである。(矩形の他3辺は度外視し、図示の調光シート110下辺のみについてのみ考察。)
【0025】
<
図7(a)>
シール171:(L1×2)+(幅×2)
シール173:L3×1
シールライン数=5
【0026】
<
図7(b)>
シール171:L1×2
シールライン数=2
【0027】
<
図7(c)>
シール171:(L1×2)+(幅×4)
シール173:L4+(L5×2)
シールライン数=9
【0028】
<
図7(d)>
シール171:L1×2
シール173:L3×1
シールライン数=3
【0029】
以上の対比では、接続部160A,160Bの形成のためのハーフカットまたは全カットによる作業量と調光層120のシーリングのための作業量の観点では、
図5(b),
図7(b)のタイプが材料コスト(シール剤の使用量)も含めての優位性が高く思われる。
【0030】
本発明の実施形態では、調光シート110の局所的に大きな厚み増加を伴うシール173の使用を排除し、
図5(b),
図7(b)の変形タイプに係る作製の簡便な接続部160A,160Bの構造を提案する。
【0031】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る調光シートの接続部を製造工程順に示す説明図である。
【0032】
<
図1(a)>
調光シート110への接続部の形成箇所である同一辺(下辺)の略中央部分に、点cを頂部とする「V字状」の断裁(全カット)を入れる。同図に示す断裁線180Aは接続部
160A(紙面奥側の透明電極シート130Aの透明電極層140Aに形成される)の外形の一部を規定することになり、断裁線180Bは接続部160Bの外形の一部を規定することになる。
【0033】
<
図1(b)>
断裁線180A,180Bで全カットされた三角形状が除去され、調光シート110は
図1(b)に示す状態となる。断裁線180A,180Bと調光シート110端部との交点がそれぞれ図示の点a,点bとなる。点cでの断裁線180A,180Bのなす頂角(∠acb)は、10°~170°の広い範囲内で適宜設定される。また、断裁線180A,180B(線分ac,線分bc)は直線に限られず、曲線であっても良い。接続部160A,160Bを形成する第1,第2領域を規定するハーフカットライン190A,190Bは点cから左右に延びる直線である。
【0034】
<
図1(c)>
ハーフカットライン190Aで紙面手前側の透明電極シート130B(透明支持層150B+透明電極層140B)を断裁し、切り欠け部となる図示の台形acdeの部分を剥離して除去する。紙面奥側の透明電極シート130Aの透明電極層140A上に残る調光層120を拭き取り、透明電極層140Aを露出させる。ハーフカットライン190Bでは紙面奥側から透明電極シート130A(透明支持層150A+透明電極層140A)に刃を入れて断裁し、切り欠け部となる図示の台形bcfgの部分を剥離して除去する。紙面奥側の透明電極シート130Bの透明電極層140B上に残る調光層120を拭き取り、透明電極層140Bを露出させる。
【0035】
<
図1(d)>
台形acde,bcfgで規定される第1,第2領域上それぞれに導電性接着層,導電テープを接合した上ではんだを介してリード線に連結することにより、調光シート110に給電するための接続部160A,160Bが作製される。ハーフカットライン190A,190Bの断面部で露出する調光層120を被覆して保護するためのシール171を、それぞれラインcd,ラインcfに形成する。
【0036】
図8は、
図1(d)のX方向から見た調光シート110の接続部160A,160Bの断面構造を示す説明図であり、
図8(a)は
図5(b)の調光シート110について、
図8(b)は
図1(d)の調光シート110についての説明図である。
【0037】
図5(b)の場合、調光シート110の下辺を長さL2で二分するように、
図8(a)に示すカットライン180で断裁(全カット)した上で接続部160A,160Bが作製される。カットライン180では刃の厚み分しか離間されないため、透明電極層140Aと透明電極層140Bが非常に近接しており、導電性接着層161,導電テープ162の接合(
図8では、161,162を合わせて1部材として図示)およびハンダ163によるリード線164の融着などの後工程や、調光装置の使用時の温度条件に応じて調光シート110が熱膨張することもあり、調光層120が除去されてむき出しの状態にある透明電極層140Aと透明電極層140Bとの電気的短絡のリスクが非常に高い。
【0038】
対して、実施形態1(
図1(d))の調光シート110の接続部160A,160Bは、
図1(a),
図8(b)に示すカットライン180A,180Bでの断裁により、a点とb点の離間は確実となり、電気的短絡のリスクは解消される。
【0039】
<実施形態2>
図9は、接続部160A(第1領域),160B(第2領域)の変形例を示す説明図である。上述した通り、切り欠き線180A,180Bは曲線でも良い。また、切り欠き線180Aと180Bとは、平面視において10°~170°の範囲の夾角をなして交点cで交差する。
【0040】
図9(a)は、夾角(∠acb)が鈍角となる場合であり、
図1に示す場合(∠acbが鋭角)に比べて、辺acと辺bcの離間が一層大きくなっており、接続部160A,160Bの電気的短絡のリスクはさらに低減されている。
図9(b)は、上に凸の曲線による切り欠き線180A,180Bを規定した場合であり、点cにおける曲線との接触角は一層大きく、170°に近い。線分eaの長さ,線分gbの長さ(調光シート110の下辺端部で除去されなかった長さ)は、
図9(a)と
図9(b)では共に等しく設定しているが、第1領域,第2領域の面積は共に
図9(a)の方が大きい。
【0041】
図9(a)の第1領域に、所定サイズの導電性接着層161,導電テープ162を接合する場合、
図9(a)では第1領域内に収まっているが、
図9(b)では同サイズの導電性接着層161,導電テープ162(点線で示す)は第1領域からはみ出ることになる。
図9(b)の曲線タイプは、導電性接着層161,導電テープ162が小サイズで十分である場合に、過剰なサイズの接続部160A(第1領域),160B(第2領域)を作製せずに済ませる上で有効である。
【0042】
夾角(∠acb)は、10°~170°の範囲で任意に設定可能であるが、好ましくは30°~150°の範囲が適切である。30°未満であると接続部160Aと160Bの電気的短絡のリスクが高く、150°を超えると第1領域,第2領域の面積確保が困難となり、導電性接着層161,導電テープ162の配置スペースの確保が難しくなるためである。
【0043】
接続部160A,160Bを形成し、そのハーフカット断面に露出する調光層120を被覆して保護するシール剤を形成した矩形の調光シート110には接続部を形成した下辺以外の3辺の外周縁を有する。外周縁でも露出する調光層120を被覆して保護するにあたり、符号173で示す形態のシール剤を適用することはシール剤の過剰な使用と、調光シート110の厚さ増大や気泡発生の原因となる凹凸形成に他ならないため、符号171で示す形態のシール剤を適用することが望ましい。
図10に示すように、調光シート110の外周縁にも調光シート110のハーフカット処理を行なった上でシール171を形成すると、調光層120が一層確実に保護される。
【符号の説明】
【0044】
100 調光装置
110 調光シート
120 調光層
130A,130B 透明電極シート
140A,140B 透明電極層
150A,150B 透明支持層
160A,160B 接続部
161 導電性接着層
162 導電テープ
163 はんだ
164 リード線
170,171,172,173 シール剤
180A,180B 断裁線
190A,190B ハーフカットライン