(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】配線部材の固定構造及び配線部材
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20230620BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H02G3/30 050
B60R16/02 620Z
(21)【出願番号】P 2019156706
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-081760(JP,A)
【文献】特開2002-371253(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/30
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線束と、
前記電線束に外装された外装部材と、
平面である主面を有する被着体と、
を備え、
前記外装部材は平面である外面を有し、
前記電線束が前記被着体の前記主面上に配設された状態で、前記外面と前記主面とが面接触しつつ接着されて
おり、
前記外面と前記主面とが接着部材を介して接着されており、
前記接着部材は、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる溶着層を有し、
前記溶着層が前記外面及び前記主面の少なくとも一方に接着されており、
前記外装部材は、前記電線束及び前記外装部材の周囲に巻かれた前記接着部材によって前記電線束に固定されている、配線部材の固定構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の配線部材の固定構造であって、
前記溶着層に重なるように導体層が設けられている、配線部材の固定構造。
【請求項3】
電線束と、
前記電線束に外装された外装部材と、
前記外装部材の外面に設けられた接着部材と、
を備え、
前記外面は平面であり、
前記接着部材は、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる溶着層を有し、
前記外面と重なる位置において前記溶着層が露出して
おり、
前記外装部材は、前記電線束及び前記外装部材の周囲に巻かれた前記接着部材によって前記電線束に固定されている、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材の固定構造及び配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ワイヤーハーネスが両面粘着テープによって成形天井に貼付け固定される技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ワイヤーハーネスが太くなったり、重くなったりしたときに、ワイヤーハーネスと成形天井との接着強度が不足する恐れがある。
【0005】
そこで、電線束と被着体とが強固に接着されることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材の固定構造は、電線束と、前記電線束に外装された外装部材と、平面である主面を有する被着体と、を備え、前記外装部材は平面である外面を有し、前記電線束が前記被着体の前記主面上に配設された状態で、前記外面と前記主面とが面接触しつつ接着されている、配線部材の固定構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線束と被着体とが強固に接着される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかる配線部材の固定構造を示す側面図である。
【
図2】
図2は
図1におけるII-II線に沿って切断された断面図である。
【
図3】
図3は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
【
図4】
図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造を示す側面図である。
【
図5】
図5は
図4におけるV-V線に沿って切断された断面図である。
【
図6】
図6は配線部材が被着体に固定される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材の固定構造は、次の通りである。
【0011】
(1)電線束と、前記電線束に外装された外装部材と、平面である主面を有する被着体と、を備え、前記外装部材は平面である外面を有し、前記電線束が前記被着体の前記主面上に配設された状態で、前記外面と前記主面とが面接触しつつ接着されている、配線部材の固定構造である。外装部材の外面と被着体の主面とが面接触しつつ接着されていることによって、電線束が被着体に強固に接着される。
【0012】
(2)前記外面と前記主面とが接着部材を介して接着されていてもよい。これにより、外面及び主面に応じて適切な接着部材が選定されることによって電線束が被着体に強固に接着される。外面及び主面が簡易に接着可能となる。
【0013】
(3)前記接着部材は、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる溶着層を有し、前記溶着層が前記外面及び前記主面の少なくとも一方に接着されていてもよい。これにより、被着体と電線束との間に溶着層がある状態で、溶着層が溶かされることによって、被着体と電線束とが接着可能となる。また被着体と電線束とが接着される前の状態で、溶着層が露出していても他の部材にくっつきにくく、接着力の低下が生じにくい。
【0014】
(4)前記外装部材は、前記電線束及び前記外装部材の周囲に巻かれた前記接着部材によって前記電線束に固定されていてもよい。これにより、接着部材によって簡易に外装部材が電線束に外装される。
【0015】
(5)前記外装部材は、前記接着部材とは別に設けられた結束部材によって前記電線束に固定されていてもよい。これにより、接着部材の使用量を抑えることができる。
【0016】
(6)前記溶着層に重なるように導体層が設けられていてもよい。これにより、電磁誘導加熱によって導体層が加熱されることによって溶着層が溶かされて相手側の部材に接着可能となる。
【0017】
(7)また本開示の配線部材は、電線束と、前記電線束に外装された外装部材と、前記外装部材の外面に設けられた接着部材と、を備え、前記外面は平面であり、前記接着部材は、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる溶着層を有し、前記外面と重なる位置において前記溶着層が露出している配線部材である。これにより、外装部材の外面が被着体の主面に重なるように配線部材が被着体の主面上に配設された状態で、溶着層が溶かされて外面と主面とが接着されることによって、電線束が被着体に強固に接着される。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の固定構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材の固定構造について説明する。
図1は実施形態1にかかる配線部材の固定構造10を示す側面図である。
図2は
図1におけるII-II線に沿って切断された断面図である。
【0020】
配線部材の固定構造10は、電線束20と外装部材30と被着体40とを備える。ここでは配線部材の固定構造10は、接着部材50をさらに備える。電線束20は外装部材30及び接着部材50を介して被着体40に固定されている。
【0021】
電線束20は、複数の電線22を備える。各電線22は、芯線と被覆層とを含む。芯線は、1本又は複数本の素線を有する。素線は、銅、アルミニウムなどの導体を材料に形成される。被覆層は、芯線を覆う。被覆層は、絶縁性を有する。被覆層は、樹脂が芯線の周囲に押出成形されたり、絶縁塗料が芯線の周囲に塗布されたりして形成される。複数の電線22は、図示省略の結束部材によって束ねられていてもよい。電線束20は、例えば、丸断面形状に近づくように束ねられる。かかる結束部材としては、粘着テープ、結束バンドなどが採用されてもよい。
【0022】
外装部材30は、電線束20に外装されている。外装部材30は、平面である外面31を有する。かかる外面31は電線束20とは反対側を向く面である。ここでは外装部材30は、電線束20の一方側を覆う板材である。外装部材30は、平板状に形成されている。つまり、外装部材30のうち電線22側を向く面も平面とされている。
【0023】
外装部材30は、電線束20に外装されたときに外面31における平面が変形せずに平面を維持可能な剛性を有していると良い。外装部材30は、結束部材が巻かれて電線束20に外装される場合、結束部材の巻圧がかかった状態で外面31における平面が変形せずに平面を維持可能な程度の剛性を有していると良い。
【0024】
被着体40は、平面である主面41を有する。主面41における平面の大きさは、外面31における平面の大きさと同じかそれよりも大きいとよい。ここでは、外装部材30の長手方向及び幅方向のいずれの方向においても、主面41における平面の大きさは、外面31における平面の大きさよりも大きい。被着体40は、車両に設けられる部材である。被着体40は、ルーフトリム、ドアトリムなどの内装部材であってもよい。被着体40は、車体骨格をなすボディ本体であってもよい。被着体40は、ルーフパネル、ドアパネルなどのボディパネルなどであってもよい。主面41は樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0025】
電線束20が被着体40の主面41上に配設された状態で、外面31と主面41とが面接触しつつ接着されている。ここでは、外面31と主面41とが接着部材50を介して接着されている。
【0026】
接着部材50は、溶着層52を有する。溶着層52は、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる。溶着層52が外面31及び主面41の少なくとも一方に接着されている。溶着層52は、接着相手となる外面31の材料、主面41の材料に応じた材料によって形成される。溶着層52は、例えば、熱可塑性樹脂を材料として形成される。
【0027】
溶着層52が外面31及び主面41の両方に接着される場合、接着部材50の両側表面が溶着層52であるとよい。この場合、接着部材50は、一の溶着層52のみの単層構造であってもよい。この一の溶着層52は、外面31及び主面41の両方に接着可能であるとよい。また接着部材50は、外面31との接着に向く第1の溶着層と、主面41との接着に向く第2の溶着層との2層構造であってもよい。また接着部材50は、両側表面の溶着層の間に別の層が設けられた3層以上の複層構造であってもよい。3層以上の複層構造の場合、両側表面の溶着層は同じ材料であってよいし、上記第1、第2の溶着層のように別材料であってもよい。
【0028】
もちろん接着部材50のいずれか一方の表面は溶着層52以外の層であってもよい。例えば、接着部材50の一方表面が溶着層52であり、他方表面が粘着層であってもよい。この場合、溶着層52である一方表面が被着体40に接着され、粘着層である他方表面が外装部材30に接着されてもよい。また溶着層52である一方表面が外装部材30に接着され、粘着層である他方表面が被着体40に接着されてもよい。また粘着層である他方表面が先に外装部材30と被着体40とのうち一方に先に接着された状態で、溶着層52である一方表面が外装部材30と被着体40とのうち他方に接着されるとよい。
【0029】
ここでは接着部材50は、外装部材30を電線束20に固定する機能も有している。具体的には、接着部材50は、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれている。そして、接着部材50は、電線束20及び外装部材30の周囲に接着している。これにより、接着部材50が外装部材30を電線束20に固定している。つまり、外装部材30は、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれた接着部材50によって電線束20に固定されている。
【0030】
またここでは溶着層52に重なるように導体層32が設けられている。ここでは導体層32は、外装部材30に設けられている。ここでは外装部材30は導体板であり、外装部材30全体が導体層32とされている。導体層32を構成する導体材料は、特に限定されるものではないが、例えば、金属(アルミニウム、銅、鉄、又はこれらの合金)など、誘導加熱によって加熱されやすい材料であるとよい。外装部材30は、非導体層を含んでいてもよい。例えば、外装部材30は、非導体層としての樹脂板と樹脂板の表面に接合された導体層としての導体箔とを含んでいてもよい。
【0031】
導体層32は外装部材30に設けられていなくてもよい。導体層32は被着体40、接着部材50などに設けられていてもよい。導体層32は例えば外装部材30、接着部材50、被着体40の少なくとも1つに設けられているとよい。
【0032】
<配線部材>
図3は配線部材100が被着体40に固定される様子を示す説明図である。
【0033】
上記配線部材の固定構造10は、例えば、配線部材100が被着体40に固定されることによって、形成される。かかる配線部材100は、上記電線束20及び外装部材30を備える。配線部材100においても外装部材30は電線束20に外装されている。
【0034】
配線部材100は、接着部材50Bをさらに備える。接着部材50Bは、上記接着部材50が被着体40に接着される前の状態のものである。接着部材50Bは、外装部材30の外面31に設けられている。接着部材50Bは、溶着層52Bを有している。溶着層52Bは、熱が加えられることによって溶けて接着可能となる。溶着層52Bは、上記溶着層52が被着体40に接着される前の状態のものである。配線部材100では、外面31と重なる位置において溶着層52Bが露出している。
【0035】
配線部材100において接着部材50Bは外装部材30、電線束20に接着していてもよいし、接着していなくてもよい。配線部材100において接着部材50Bが外装部材30、電線束20に接着している場合、接着部材50Bは外装部材30を電線束20に固定する機能も有していてもよい。具体的には、接着部材50Bは、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれている。そして、接着部材50Bは、電線束20及び外装部材30の周囲に接着している。これにより、接着部材50Bが外装部材30を電線束20に固定している。つまり、外装部材30は、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれた接着部材50Bによって電線束20に固定されている。この際、接着部材50Bは溶着層52Bによって外装部材30、電線束20に接着していてもよいし、溶着層52Bとは別に設けられた粘着層などによって外装部材30、電線束20に接着していてもよい。配線部材100において接着部材50Bが外装部材30、電線束20に接着していない場合、接着部材50Bは、別部材によって外装部材30の外面31に位置決め固定されているとよい。例えば、図示省略の結束部材が接着部材50Bと外装部材30、電線束20との周囲に巻かれるなどして、接着部材50Bが外装部材30の外面31に位置決め固定されていてもよい。
【0036】
図3に示すように、外装部材30の外面31が被着体40の主面41に重なるようにこの配線部材100が被着体40の主面41上に配設される。この状態で、溶着層52Bが加熱によって溶かされて主面41に接着される。これにより、外面31と主面41とが面接触しつつ接着部材50を介して接着されることによって、電線束20が被着体40に強固に接着される。
【0037】
導体層32が設けられていると、溶着層52Bを加熱する手段として、電磁誘導加熱が採用可能となる。すなわち、導体層32の近くに配された導線に交流電流が流される。このとき生じる磁界の変化によって、導体層32に電流(渦電流)が流れ、そのジュール熱によって導体層32が発熱する。この熱によって溶着層52Bが加熱されて溶かされる。
【0038】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成された配線部材の固定構造10によると、外装部材30の外面31と被着体40の主面41とが面接触しつつ接着されていることによって、電線束20が被着体40に強固に接着される。
【0039】
また接着部材50が設けられているため、外面31及び主面41に応じて適切な接着部材50が選定されることによって電線束20が被着体40に強固に接着される。外面31及び主面41が簡易に接着可能となる。
【0040】
また溶着層52が設けられているため、被着体40と電線束20との間に溶着層52がある状態で、溶着層52が溶かされることによって、被着体40と電線束20とが接着可能となる。また被着体40と電線束20とが接着される前の状態で、溶着層52が露出していても他の部材にくっつきにくく、接着力の低下が生じにくい。また溶着層52が設けられているため、電線束20と被着体40とが位置合わせされた後に溶着層52が溶かされて固定されることができる。これにより、電線束20と被着体40とが適切な位置に容易に固定される。
【0041】
また接着部材50が外装部材30を電線束20に固定しているため、接着部材50によって簡易に外装部材30が電線束20に外装される。また外装部材30を電線束20に固定するための部材を別に設けずに済む。
【0042】
また溶着層52に重なるように導体層32が設けられている。これにより、電磁誘導加熱によって導体層32が加熱されることによって溶着層52が溶かされて相手側の部材に接着可能となる。
【0043】
また配線部材の固定構造10が形成されるにあたり、上記配線部材100が用いられる。外装部材30の外面31が被着体40の主面41に重なるように配線部材100が被着体40の主面41上に配設された状態で、溶着層52Bが溶かされて外面31と主面41とが接着されることによって、電線束20が被着体40に強固に接着される。
【0044】
[実施形態2]
実施形態2にかかる配線部材の固定構造について説明する。
図4は実施形態2にかかる配線部材の固定構造110を示す側面図である。
図5は
図4におけるV-V線に沿って切断された断面図である。なお、本実施形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
配線部材の固定構造110は、結束部材60をさらに備える点で、上記配線部材の固定構造10とは異なる。また配線部材の固定構造110において接着部材150の設けられる領域が、上記配線部材の固定構造10において接着部材50の設けられる領域とは異なっている。
【0046】
具体的には、結束部材60は、接着部材150とは別に設けられている。結束部材60は、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれて外装部材30を電線束20に固定している。つまり、外装部材30が接着部材150とは別に設けられた結束部材60によって電線束20に固定されている。結束部材60としては、粘着テープ、結束バンドなどが採用されてもよい。結束部材60は、複数の電線22を束ねて電線束20とする機能も有していてもよい。つまり、結束部材60が設けられる部分において、複数の電線22を束ねて電線束20とする結束部材が結束部材60とは別に設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0047】
図4に示す例では、結束部材60は、外装部材30のうち電線束20の長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所(ここでは両端部)に巻かれている。結束部材60が巻かれる位置、箇所数はこれに限られない。例えば、結束部材60は、外装部材30のうち電線束20の長手方向に沿った中間部に1箇所のみ巻かれていてもよい。
【0048】
また接着部材150は、電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれていない。接着部材150は、外装部材30を電線束20に固定していない。接着部材150は、主面41上に広がるように設けられており、主面41から離れて設けられていない。接着部材150は、外面31と主面41との間にのみ設けられている。接着部材150の使用量は、上記接着部材50のように電線束20及び外装部材30の周囲に巻かれる場合と比べて、少量に抑えられる。
【0049】
ここで、一般に溶着層52を有する接着部材50、150は、一般的な粘着テープよりも高価であることが多い。このため、本例のように、接着部材150の使用量が少量に抑えられることによって、製造コストのうち材料コストのコストダウンが図られる。
【0050】
図4に示す例では、接着部材150の周囲に結束部材60が巻かれていない。結束部材60が接着部材150と離れた位置に巻かれている。結束部材60は接着部材150の周囲にも巻かれていてもよい。
【0051】
本例における配線部材の固定構造110も
図6の例のように配線部材200が被着体40に固定されることによって形成される。配線部材200において、結束部材60によって外装部材30が電線束20に外装されている。配線部材200における接着部材150Bは外装部材30に接着されている。接着部材150Bにおける溶着層52Bの外面は、結束部材60の外面と同じかそれよりも外側に突出しているとよい。これにより、溶着層52Bの外面が主面41に接しやすい。例えば、
図6に示す例では、外装部材30の外面31のうち結束部材60が設けられる部分と接着部材150Bが設けられる部分が面一である。この場合、接着部材150Bの厚みが結束部材60の厚みと同じかそれより厚いことによって、溶着層52Bの外面が結束部材60の外面と同じかそれよりも外側に突出可能となる。なお溶着層52Bが溶かされて主面41に接着して溶着層52とされる際、配線部材200及び被着体40が相互に押し付けられると、溶着層52における厚みが溶着層52Bにおける厚みよりも減少することも考えられる。
【0052】
配線部材200における接着部材150Bは外装部材30に接着されていなくてもよい。この場合、結束部材60が接着部材150Bの周囲に巻かれているとよい。これにより、接着部材150Bが簡易に外装部材30に固定される。
【0053】
[変形例]
各実施形態において、外面31と主面41とが接着部材50、150を介して接着されているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。外面31と主面41とが接着部材50、150を介さずに直接的に接着されていてもよい。この場合、外面31及び主面41の少なくとも一方が、熱可塑性樹脂など熱で溶かされて相手側部材に接着可能な材料によって形成されているとよい。外面31及び主面41が同種の熱可塑性樹脂を材料に形成されていてもよい。
【0054】
各実施形態において、接着部材が溶着層を有しているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。接着部材が溶着層を有していなくてもよい。例えば、接着部材の両側表面が粘着層であってもよい。この場合、剥離紙付きの接着部材が配線部材100と被着体40とのうち一方に先付けされていてもよい。そして剥離紙が剥がされた状態で接着部材が配線部材100と被着体40とのうち他方に接着される。また接着部材は、湿気硬化型接着剤、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤などによって形成された接着層を有していてもよい。この場合、外装部材30付きの電線束20が被着体40上に配設される際に、硬化前であって接着可能な状態の上記の各種接着剤が、外装部材30と被着体40との間に設けられるとよい。
【0055】
また接着部材が溶着層を有している場合に、溶着層に重なるように導体層32が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。導体層32は省略されてもよい。この場合、例えば、熱風加熱、レーザ加熱など、導体層32を用いた電磁誘導加熱以外の手段によって、溶着層が溶かされるとよい。
【0056】
また接着部材50B、150Bが配線部材100、200に設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。接着部材50B、150Bは、被着体40に設けられていてもよい。この場合、外装部材30付きの電線束20が被着体40上に配設される際、外装部材30が接着部材50B、150B上に位置する状態で接着部材50B、150Bが加熱されて外装部材30に接着されるとよい。
【0057】
また外装部材30が電線束20の長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所に設けられてもよい。この複数の外装部材30が一の被着体40に接着されていてもよい。被着体40の主面41における一の平面に複数の外装部材30が接着されていてもよい。
【0058】
また上記外装部材30は両面が平坦な平板であったが、外装部材30の形状はこれに限られない。例えば外装部材のうち電線22側を向く面は、電線束20の周方向に沿って電線束20の外周面に応じた曲面であってもよい。また例えば外装部材は、電線束20の二方を覆うようにL字状に形成されていてもよい。また例えば外装部材は、電線束20の三方を覆うように樋状に形成されていてもよい。また例えば外装部材は、電線束20の四方を覆う筒状に形成されていてもよい。外装部材がL字状、樋状、又は筒状などに形成されている場合、外装部材は相互に交差する第1壁及び第2壁を有することが考えられる。この第1壁及び第2壁は曲げ困難に、つまり、第1壁及び第2壁が交差した状態を維持可能な剛性を有するように連結されていてもよい。また第1壁及び第2壁は曲げ容易に、つまり第1壁及び第2壁が交差した状態を維持困難な剛性を有するように連結されていてもよい。後者の場合、第1壁及び第2壁は、外装部材が結束部材60などによって電線束20に取付けられることによって、交差した状態を維持可能していると良い。
【0059】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
10、110 配線部材の固定構造
20 電線束
22 電線
30 外装部材
31 外面
32 導体層
40 被着体
41 主面
50、50B、150、150B 接着部材
52、52B 溶着層
60 結束部材
100、200 配線部材