(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20230620BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230620BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20230620BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H05B47/125
F21V23/00 150
H04B3/54
H02J13/00 B
H02J13/00 311T
(21)【出願番号】P 2019159008
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247652(JP,A)
【文献】特表2018-521474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H04B 3/54
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号を送受信可能な通信ケーブルに接続される照明装置であって、
照明機能および付加機能の一方を有し、
入力側に接続された前記通信ケーブルから供給される電力および信号を電
力と信
号にそれぞれ分岐させ
て出力する第1ユニットと;
照明機能および付加機能の他方を有し、前記第1ユニットの
後段に接続される第2ユニットと;
前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に設けられ、前記第1ユニットで分岐された前記電
力と前記信
号とを重畳させ
て前記第2ユニットへ出力する再構成部と;
前記第1ユニットに設けられ、前記第1ユニットの消費電力および前記第2ユニットの消費電力に基づいて、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくともいずれかに対して電力を優先的に供給する電力制御部と;
を具備する照明装置。
【請求項2】
前記第1ユニットは、
給電装置との間で前記第1ユニットに関する認証が完了した後、前記給電装置からの電力の供給を受けるとともに、前記給電装置からの電力を前記第2ユニットへ供給する受電部;
を具備する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記受電部は、
前記第2ユニットへ電力を供給した後、前記給電装置と前記第2ユニットとの間で送受信される信号をパススルーする
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1ユニットは、
照明機能を有する照明ユニットであり、
前記第2ユニットは、
付加機能を有する付加ユニットである
請求項1~
3のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置に、電力を供給可能な通信ケーブル(いわゆるPoEケーブル;Power over Ethernet;登録商標)を介して接続することによって、通信環境および電源の双方を確保できる技術が種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、照明装置には、照明機能を有する照明ユニットに加え、付加機能を有する付加ユニットなどが組み込まれることがある。
【0005】
しかしながら、従来技術には、照明装置において、照明機能や付加機能を有する複数のユニットを適切に組み込む、という点で改善の余地があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、照明機能や付加機能を有する複数のユニットを適切に組み込むことができる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る照明装置は、所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号を送受信可能な通信ケーブルに接続される。また、照明装置は、第1ユニットと、第2ユニットと、再構成部と、電力制御部とを具備する。第1ユニットは、照明機能および付加機能の一方を有し、入力側に接続された前記通信ケーブルから供給される電力および信号を電力と信号にそれぞれ分岐させて出力する。第2ユニットは、照明機能および付加機能の他方を有し、前記第1ユニットの後段に接続される。再構成部は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとの間に設けられ、前記第1ユニットで分岐された前記電力と前記信号とを重畳させて前記第2ユニットへ出力する。電力制御部は、前記第1ユニットに設けられ、前記第1ユニットの消費電力および前記第2ユニットの消費電力に基づいて、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくともいずれかに対して電力を優先的に供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照明機能や付加機能を有する複数のユニットを適切に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、照明ユニットの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、優先制御情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、照明ユニットおよびカメラユニットの認証処理等の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、優先制御の処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例に係る照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施形態に係る照明装置20は、所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号を送受信可能な通信ケーブル62に接続される。また、照明装置20は、第1ユニット(例えば照明ユニット30)と、第2ユニット(例えばカメラユニット40)と、再構成部50とを具備する。第1ユニットは、照明機能および付加機能の一方を有し、一次側に接続された通信ケーブル62から供給される電力および信号を電力線63と信号線64とに分岐させて二次側へ出力する。第2ユニットは、照明機能および付加機能の他方を有し、第1ユニットの二次側に接続される。再構成部50は、第1ユニットと第2ユニットとの間に設けられ、第1ユニットで分岐された電力線63と信号線64とを再度重畳させて電力および信号を第2ユニットへ出力する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る第1ユニット(例えば照明ユニット30)は、受電部31を具備する。受電部31は、給電装置10との間で第1ユニットに関する認証が完了した後、給電装置10からの電力の供給を受けるとともに、給電装置10からの電力を第2ユニットへ供給する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る受電部31は、第2ユニットへ電力を供給した後、給電装置10と第2ユニットとの間で送受信される信号をパススルーする。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る照明装置20は、電力制御部34bを具備する。電力制御部34bは、第1ユニットの消費電力および第2ユニットの消費電力に基づいて、第1ユニットおよび第2ユニットの少なくともいずれかに対して電力を優先的に供給する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る第1ユニットは、照明機能を有する照明ユニット30であり、実施形態に係る第2ユニットは、付加機能を有する付加ユニット(例えばカメラユニット40)である。
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に係る照明装置について説明する。実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。
【0016】
[第1の実施形態]
まず、
図1を用いて第1の実施形態に係る照明装置を含む照明システムの概要について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る照明装置を含む照明システムの構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、照明システム1は、給電装置10と、照明装置20と、管理装置100とを有する。
【0018】
管理装置100は、照明装置20の動作状況等を管理する情報処理装置である。管理装置100は、例えば照明装置20等を管理する管理者によって利用される。なお、管理装置100としては、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC、スマートフォン、タブレット型端末などを用いることができるが、これらに限られない。
【0019】
給電装置10は、系統電源Aに接続され、系統電源Aから供給される電力を所定規格の電力に変換することができる。ここで、所定規格とは、例えば直流電圧を指すが、これに限定されるものではない。
【0020】
給電装置10と管理装置100とは、例えば各種の情報を示す信号を送受信可能な信号線61を介して接続される。上記した各種の情報としては、例えば、管理装置100から給電装置10や照明装置20へ送信される動作指示情報、照明装置20から給電装置10を介して管理装置100へ送信される動作状況情報や画像情報(後述)などであるが、これらに限られない。なお、給電装置10と管理装置100とは、有線通信であっても、無線通信であってもよく、また、ネットワークを介した通信であってもよい。
【0021】
給電装置10と照明装置20とは、通信ケーブル62を介して接続される。なお、
図1等では、信号線を一点鎖線で示し、通信ケーブルを太い実線で示し、また後述する電力線を細い実線で示している。
【0022】
通信ケーブル62は、所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号を送受信可能である。詳しくは、通信ケーブル62は、信号を送受信するLAN(Local Area Network)ケーブルとしての機能に加え、照明装置20に対して電力を供給する電源ケーブルとしても機能するケーブルである。通信ケーブル62は、いわゆるPoEケーブルである。
【0023】
従って、給電装置10は、所定規格の電力を通信ケーブル62を介して照明装置20に供給することができる。なお、給電装置10は、通信ケーブル62を介して照明装置20の照明ユニット30(後述)の一次側に接続される。
【0024】
照明装置20は、所定範囲を照明することができる。なお、照明装置20は、例えば天井に設置されるベースライトやスポットライトなどであるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
ところで、照明装置20には、照明機能を有する照明ユニット30に加え、付加機能を有する付加ユニット(
図1の例ではカメラユニット40)などが組み込まれることがある。しかしながら、従来技術には、照明装置20において、照明機能や付加機能を有する複数のユニット30,40を適切に組み込む、という点で改善の余地があった。
【0026】
具体的には、照明ユニット30と付加ユニットであるカメラユニット40とを照明装置20に組み込む際、照明ユニット30の二次側(後段側)にカメラユニット40を接続することが考えられる。言い換えると、照明ユニット30とカメラユニット40とをバス型で接続することが考えられる。
【0027】
ここで、カメラユニット40が、照明ユニット30と同様、通信ケーブル(PoEケーブル)が接続されて電力の供給や信号の送受信が行われる構成である場合、照明ユニット30の二次側に直接接続することができない。
【0028】
詳しくは、一次側に通信ケーブル62が接続される照明ユニット30にあっては、後述する給電装置10による照明ユニット30の認証処理等の規格上、二次側に通信ケーブルを接続することができない。そのため、カメラユニット40は、照明ユニット30の二次側に直接接続することができず、結果として照明ユニット30とカメラユニット40とを照明装置20に適切に組み込むことができなかった。
【0029】
そこで、本実施形態に係る照明装置20にあっては、照明ユニット30と付加ユニットであるカメラユニット40とを適切に組み込むことができるような構成とした。以下、その構成について詳しく説明する。
【0030】
照明装置20は、上記した照明ユニット30と、カメラユニット40と、再構成部50とを具備する。なお、照明ユニット30は、第1ユニットの一例である。また、カメラユニット40は、第2ユニットの一例であり、付加ユニットの一例でもある。
【0031】
照明ユニット30は、照明機能を有する。例えば、照明ユニット30は、受電部31と、照明部32とを具備する。受電部31は、一次側に接続された通信ケーブル62から供給される電力(直流電力)を受電する。
【0032】
そして、受電部31は、受電した電力を照明部32やカメラユニット40へ供給することができる。例えば、受電部31は、二次側が照明部32と接続され、受電した電力を照明部32へ供給する。
【0033】
照明部32は、受電部31によって受電された電力が供給されて点灯する。例えば、照明部32は、LED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子を有する光源である。なお、照明部32は、受電部31から電力の供給のみが行われて点灯する構成であってもよいし、通信ケーブル62を介して受信した制御信号や照明ユニット30内の制御部からの制御信号によって照明態様を変化させるような構成であってもよい。ここで、照明態様とは、例えば、照明部32における調光率、照度、点滅などを含む概念である。
【0034】
また、受電部31は、二次側が再構成部50を介してカメラユニット40と接続され、受電した電力および信号をカメラユニット40へ出力する。具体的には、受電部31は、一次側に接続された通信ケーブル62から供給される電力および信号を電力線63と信号線64とに分岐させて二次側へ出力する。受電部31によって分岐された電力線63および信号線64は、再構成部50に接続される。
【0035】
なお、上記のように、受電部31が二次側で電力線63と信号線64とに分岐させることで、照明ユニット30の二次側にカメラユニット40が接続された場合であっても、給電装置10による照明ユニット30の認証処理に影響を与えないようにすることができるが、これについては後述する。
【0036】
再構成部50は、電力的あるいは通信的に、照明ユニット30とカメラユニット40との間に設けられる。再構成部50は、照明ユニット30の受電部31で分岐された電力線63と信号線64とを再度重畳させて電力および信号をカメラユニット40へ出力する。
【0037】
このように、再構成部50は、分岐された電力線63と信号線64とを重畳させて電力および信号を出力することから、再構成部50とカメラユニット40とを、所定規格の電力を供給可能な通信ケーブル(PoEケーブル)65を介して接続することができる。
【0038】
カメラユニット40は、撮像機能を有する。なお、撮像機能は、付加機能の一例である。例えば、カメラユニット40は、受電部41と、カメラ部42とを具備する。
【0039】
受電部41は、一次側に接続された通信ケーブル65から供給される電力(直流電力)を受電する。受電部41は、二次側がカメラ部42と接続され、受電した電力をカメラ部42へ供給する。
【0040】
カメラ部42は、例えばレンズや撮像素子を有し、照明装置20の周囲の所定範囲を所定のフレームレートで撮像することができる。なお、カメラユニット40は、例えば、管理装置100から送信される制御信号に応じて撮像してもよい。そして、カメラユニット40は、カメラ部42によって撮像されて画像情報を、通信ケーブル65、再構成部50、信号線64、照明ユニット30、通信ケーブル62、給電装置10および信号線61を介して管理装置100へ送信することができる。
【0041】
上記したように、本実施形態に係る照明装置20にあっては、照明ユニット30が、通信ケーブル62から供給される電力および信号を電力線63と信号線64とに分岐させて二次側へ出力し、再構成部50が、分岐された電力線63と信号線64とを再度重畳させて電力および信号をカメラユニット40へ出力するようにした。
【0042】
これにより、カメラユニット40が、通信ケーブル(PoEケーブル)65によって電力の供給や信号の送受信が行われる構成であっても、照明ユニット30の二次側に再構成部50を介して接続することが可能になる。
【0043】
従って、本実施形態にあっては、照明ユニット30とカメラユニット40とをバス型で接続することが可能になり、よって照明装置20において、照明ユニット30とカメラユニット40とを適切に組み込むことができる。
【0044】
また、本実施形態にあっては、給電装置10と照明装置20との接続の構成を簡素化でき、接続を容易に行うことができる。すなわち、本実施形態に係る照明装置20は、照明ユニット30の二次側にカメラユニット40を接続することから、給電装置10からの電力を1本の通信ケーブル62で照明ユニット30およびカメラユニット40に供給することが可能になる。
【0045】
このように、本実施形態では、給電装置10と照明装置20とが1本の通信ケーブル62で接続されることから、給電装置10と照明装置20との接続の構成を簡素化でき、接続を容易に行うことができる。
【0046】
次に、給電装置10による照明装置20の認証処理および認証処理後の照明装置20の動作について説明する。給電装置10は、照明装置20(ここでは照明装置20の照明ユニット30)が通信ケーブル62を介して接続されると、照明ユニット30が所定の認証条件を満たすか否かを判定する。そして、給電装置10は、照明ユニット30が所定の認証条件を満たすと判定して認証が完了した場合に、照明装置20に対して電力の供給を開始する。
【0047】
詳しく説明すると、例えば、給電装置10は、照明装置20の照明ユニット30が通信ケーブル62を介して接続されると、接続先である照明ユニット30の受電部31に対して認証用の低電圧を印加する。ここで、受電部31は、認証用の抵抗を有している。従って、給電装置10は、低電圧の印加によって変化する電流値から、認証用の抵抗の抵抗値を検出し、検出された抵抗値が予め設定された所定抵抗値である場合、照明ユニット30が所定の認証条件を満たすと判定する。
【0048】
また、給電装置10は、認証処理において、認証用の抵抗を用いた処理に加えて、あるいは代えて、接続された受電部が1つであるかを確認する処理、言い換えると、複数の受電部が接続されていないかを確認する処理を行ってもよい。給電装置10は、接続された受電部が1つであることが確認された場合に、照明ユニット30が所定の認証条件を満たすと判定してもよい。
【0049】
このとき、例えば仮に、照明ユニット30の二次側に、カメラユニット40が再構成部50を介さず、通信ケーブル65で直接接続されると、給電装置10は、照明ユニット30の受電部31とカメラユニット40の受電部41の2つの受電部が接続されていると認識してしまい、結果として照明ユニット30が所定の認証条件を満たさないと判定するおそれがある。
【0050】
本実施形態では、上記したように、照明ユニット30は、二次側で電力線63と信号線64とに分岐させ、カメラユニット40が通信ケーブル65で直接接続されていないため、給電装置10は、カメラユニット40の受電部41が接続されていると認識することはなく、よって照明ユニット30が所定の認証条件を満たさないと判定することもない。
【0051】
このように、本実施形態において、照明ユニット30は、二次側で電力線63と信号線64とに分岐させ、カメラユニット40が通信ケーブル65で直接接続されないようにすることで、照明ユニット30の二次側にカメラユニット40が接続された場合であっても、給電装置10による照明ユニット30の認証処理に影響を与えないようにすることができる。
【0052】
給電装置10は、照明ユニット30の認証が完了すると、照明装置20(正確には照明ユニット30)に対して電力の供給を開始する。
【0053】
照明ユニット30の受電部31は、給電装置10からの電力の供給を受け、かかる電力を照明部32へ供給し、照明部32が点灯する。また、受電部31は、給電装置10からの電力をカメラユニット40へ供給する。
【0054】
これにより、本実施形態に係る照明装置20にあっては、給電装置10との間で照明ユニット30に関する認証が完了した後、給電装置10からの電力を、照明ユニット30およびカメラユニット40の両方に供給することができる。
【0055】
また、受電部31は、カメラユニット40へ電力を供給した後、給電装置10とカメラユニット40との間で送受信される信号をパススルーする。例えば、受電部31は、カメラユニット40から送信された信号をそのまま給電装置10へ出力し、給電装置10から送信された信号をそのままカメラユニット40へ出力する。
【0056】
本実施形態にあっては、給電装置10とカメラユニット40との間に照明ユニット30が接続されるが、照明ユニット30の受電部31が上記のように構成されることで、給電装置10とカメラユニット40との間で確実に信号の送受信を行うことができる。
【0057】
カメラユニット40は、受電部31から電力が供給されて起動すると、給電装置10または管理装置100に対して認証要求を行う。例えば、カメラユニット40は、予め設定されたネットワークアドレス(いわゆるIP(Internet Protocol)アドレス)を示す信号を給電装置10等に対して出力し、カメラユニット40に関する認証要求を行う。
【0058】
給電装置10等は、カメラユニット40から出力されたネットワークアドレスを読む込み、カメラユニット40に関する認証が完了する。給電装置10等は、カメラユニット40に関する認証が完了すると、カメラユニット40との間で信号の送受信を行うことができる。例えば、給電装置10は、カメラユニット40から送信された画像情報を受信し、管理装置100へ送信することができる。
【0059】
なお、上記では、付加機能を有する付加ユニットとして、カメラユニット40を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えばスピーカユニットや空調ユニット、スマートセンサなどその他の種類の付加機能を有するものであってもよい。
【0060】
[照明ユニットの構成]
次に、照明ユニット30の構成について詳しく説明する。
図2は、照明ユニット30の構成例を示すブロック図である。
【0061】
図2に示すように、照明ユニット30は、上記した受電部31、照明部32、各種センサ33、制御部34、および、記憶部35を具備する。
【0062】
各種センサ33は、例えば受電部31に接続される電流センサや電圧センサなどを含む。各種センサ33は、受電部31における電流値や電圧値などの検出結果を示す信号を制御部34へ出力する。なお、各種センサ33の検出結果である電流値や電圧値などは、後述するように、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力の算出に用いられる。また、上記では、各種センサ33は、電流センサや電圧センサを含むようにしたが、これに限られず、その他の種類のセンサを含んでいてもよい。
【0063】
記憶部35は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部35には、優先制御情報35aが格納される。
【0064】
優先制御情報35aは、制御部34が行う優先制御に関する情報である。ここで、優先制御とは、例えば、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が比較的大きくなって、許容される所定消費電力以上になった場合に、照明ユニット30およびカメラユニット40の少なくともいずれかに対して電力を優先的に供給するような制御である。なお、優先制御には、照明ユニット30およびカメラユニット40の少なくともいずれかを動作を制限するような制御が含まれてもよい。
【0065】
図3は、優先制御情報35aの一例を示す図である。
図3に示すように、優先制御情報35aには、「制御情報ID」、「制御対象機器」、「優先度情報」および「制御内容」等の項目が含まれる。
【0066】
「制御情報ID」は、優先制御の制御情報毎に割り当てられる識別情報である。「制御対象機器」は、優先制御の対象となる機器を示す情報である。「優先度情報」は、照明ユニット30やカメラユニット40など制御機器にそれぞれ対応付けられる優先度である。なお、
図3に示す例では、便宜上、「優先度情報」を「優先度B1」といったように抽象的な記載とするが、「優先度B1」には、優先度の高低など、具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0067】
「制御内容」は、優先制御の内容を示す情報である。例えば、優先度情報が高く設定された制御対象機器に対応する「制御内容」には、電力を優先的に供給する制御を示す情報などが含まれる。逆に、例えば、優先度情報が低く設定された制御対象機器に対応する「制御内容」には、電力の供給を停止する制御を示す情報などが含まれる。
【0068】
図3に示す例において、制御情報ID「A01」で識別されるデータは、制御対象機器が「照明」、優先度情報が「優先度B1」、制御内容が「制御内容C1」であることを示している。
【0069】
図2の説明に戻ると、制御部34は、コントローラであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部メモリに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部34は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0070】
制御部34は、検出部34aと、電力制御部34bとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0071】
検出部34aは、各種センサ33から受電部31における電流値や電圧値など検出する。検出部34aは、検出された電流値や電圧値などを電力制御部34bへ出力する。
【0072】
電力制御部34bは、受電部31における電流値や電圧値などに基づいて、照明ユニット30の消費電力およびカメラユニット40の消費電力を算出する。そして、電力制御部34bは、照明ユニット30の消費電力とカメラユニット40の消費電力とを加算し、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力(合計消費電力)が許容される所定消費電力以上になった場合、優先制御情報35aを読み込み、電力に関する優先制御を実行する。なお、上記した所定消費電力は、例えば1本の通信ケーブル62で対応可能な消費電力より小さい値に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0073】
例えば、照明ユニット30の優先度が高い場合、電力制御部34bは、受電部31を制御して、照明ユニット30に対して電力を優先的に供給することができる。具体的には、電力制御部34bは、受電部31を制御して、カメラユニット40へ供給される電力を低下させたり、停止させたりする。
【0074】
また、例えば、カメラユニット40の優先度が高い場合、電力制御部34bは、受電部31を制御して、カメラユニット40に対して電力を優先的に供給することができる。具体的には、電力制御部34bは、受電部31を制御して、照明ユニット30へ供給される電力を低下させたり、停止させたりする。
【0075】
このように、本実施形態に係る電力制御部34bは、照明ユニット30の消費電力およびカメラユニット40の消費電力に基づいて、照明ユニット30のおよびカメラユニット40の少なくともいずれかに対して電力を優先的に供給する。
【0076】
これにより、本実施形態にあっては、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が増大した場合であっても、照明ユニット30およびカメラユニット40に電力を適切に供給することができる。
【0077】
すなわち、本実施形態では、1本の通信ケーブル62に対して、照明ユニット30およびカメラユニット40が接続される。そのため、照明ユニット30およびカメラユニット40の動作状況によっては、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が増大して、1本の通信ケーブル62で対応可能な消費電力を超えるおそれがある。
【0078】
そこで、本実施形態にあっては、例えば、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が1本の通信ケーブル62で対応可能な消費電力に近づいた場合、すなわち、所定消費電力以上になった場合、上記したような優先制御を行うようにした。
【0079】
これにより、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が増大した場合であっても、1本の通信ケーブル62で対応可能な消費電力を超えることはなく、照明ユニット30およびカメラユニット40に電力を適切に供給することができる。
【0080】
なお、照明部32が、制御信号によって照明態様を変化させるような構成である場合、電力制御部34bは、例えば、照明部32へPWM(Pulse Width Modulation)波形の電流を入力して照明部32における調光率などを変更することで、上記した優先制御を行ってもよい。
【0081】
[認証処理等の流れ]
次に、照明ユニット30およびカメラユニット40の認証処理等の流れについて
図4を参照して説明する。
図4は、照明ユニット30およびカメラユニット40の認証処理等の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0082】
図4に示すように、給電装置10は、照明ユニット30が通信ケーブル62(
図1参照)を介して接続されると、照明ユニット30に関する認証処理を実行する(ステップS1)。
【0083】
給電装置10は、照明ユニット30に関する認証が完了すると(ステップS2)、照明ユニット30に対して電力の供給を開始する(ステップS3)。これにより、照明ユニット30は、点灯することが可能になる。
【0084】
また、照明ユニット30は、給電装置10からの電力をカメラユニット40へ供給する(ステップS4)。照明ユニット30は、上記のようにカメラユニット40へ電力を供給した後、給電装置10とカメラユニット40との間で送受信される信号をパススルーする状態となる。
【0085】
カメラユニット40は、照明ユニット30から電力が供給されて起動すると、例えば、給電装置10に対してネットワークアドレスを示す信号を出力し、カメラユニット40に関する認証要求を行う(ステップS5)。
【0086】
給電装置10は、かかるネットワークアドレスを読む込み、カメラユニット40に関する認証が完了する(ステップS6)。そして、照明ユニット30は、上記したように信号をパススルーする状態であることから、給電装置10は、カメラユニット40との間で信号の送受信を行うことができる(ステップS7)。
【0087】
なお、照明ユニット30が、制御信号によって照明態様を変化させるような構成である場合、
図4に想像線で示すように、給電装置10と照明ユニット30との間で制御信号など各種の信号の送受信を行ってもよい(ステップS8)。
【0088】
[優先制御の処理の流れ]
次に、照明ユニット30によって行われる優先制御の処理の流れについて
図5を参照して説明する。
図5は、照明ユニット30によって行われる優先制御の処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0089】
図5に示すように、照明ユニット30の制御部34は、受電部31における電流値や電圧値などに基づいて、照明ユニット30の消費電力およびカメラユニット40の消費電力を算出する(ステップS10)。続いて、制御部34は、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が所定消費電力以上になったか否かを判定する(ステップS11)。
【0090】
制御部34は、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が所定消費電力以上になったと判定された場合(ステップS11,Yes)、電力に関する優先制御を実行する(ステップS12)。
【0091】
一方、制御部34は、照明ユニット30およびカメラユニット40の消費電力が所定消費電力以上になっていないと判定された場合(ステップS11,No)、以降の処理をスキップする、すなわち、優先制御を実行しない。
【0092】
なお、上記では、照明ユニット30によって優先制御が実行されるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、カメラユニット40や給電装置10、管理装置100などによって優先制御が実行されてもよい。
【0093】
このように、第1の実施形態に係る照明装置20は、照明装置20は、所定規格の電力を供給可能で、かつ、信号を送受信可能な通信ケーブル62に接続される。また、照明装置20は、照明ユニット30(第1ユニットの一例)と、カメラユニット40(第2ユニットの一例)と、再構成部50とを具備する。照明ユニット30は、照明機能を有し、一次側に接続された通信ケーブル62から供給される電力および信号を電力線63と信号線64とに分岐させて二次側へ出力する。カメラユニット40は、付加機能(第1の実施形態では撮像機能)を有し、照明ユニット30の二次側に接続される。再構成部50は、照明ユニット30とカメラユニット40との間に設けられ、照明ユニット30で分岐された電力線63と信号線64とを再度重畳させて電力および信号をカメラユニット40へ出力する。これにより、照明装置20において、照明機能や付加機能を有する複数のユニットを適切に組み込むことができる。
【0094】
[変形例]
次に、変形例に係る照明装置20について
図6を参照して説明する。
図6は、変形例に係る照明装置20を含む照明システム1の構成例を示す図である。
【0095】
変形例に係るカメラユニット40にあっては、実施形態のように通信ケーブルが接続されて電力の供給や信号の送受信が行われる構成ではなく、電力線および信号線がそれぞれ接続されて電力の供給や信号の送受信が行われる構成であるものとする。
【0096】
カメラユニット40がかかる構成の場合、
図6に示すように、変形例に係る照明装置20は、再構成部50が除去される。そして、照明ユニット30の受電部31によって分岐された電力線63および信号線64が、カメラユニット40の受電部41に直接接続される。
【0097】
このように構成された、変形例に係る照明装置20においても、上記した給電装置10による照明装置20の認証処理および認証処理後の照明装置20の動作や(
図4参照)、照明ユニット30によって行われる優先制御の処理(
図5参照)は適用される。
【0098】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る照明装置20について説明する。第1の実施形態では、照明装置20は、付加機能を有する付加ユニットとして、1つのカメラユニット40を有するようにしたが、これに限られない。
【0099】
すなわち、第2の実施形態では、照明装置20が、複数の付加ユニットを有するようにした。
図7は、第2の実施形態に係る照明装置20を含む照明システム1の構成例を示す図である。
【0100】
図7に示すように、照明装置20は、付加ユニットとして、カメラユニット40に加え、PoE対応機器45、温度センサ90および湿度センサ91を有する。
【0101】
PoE対応機器45は、カメラユニット40と同様、通信ケーブル(PoEケーブル)65が接続されて電力の供給や信号の送受信が行われる機器である。PoE対応機器45としては、例えばスマートセンサを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0102】
温度センサ90は、照明装置20の周辺環境の温度を検出するセンサであり、湿度センサ91は、照明装置20の周辺環境の湿度を検出するセンサである。これら温度センサ90および湿度センサ91は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル66を介して電力の供給や信号の送受信が行われるものとする。
【0103】
なお、上記では、照明装置20が温度センサ90や湿度センサ91を有するようにしたが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、例えば、照明装置20が、温度センサ90および湿度センサ91のいずれか一方を有する構成であってもよいし、塵センサなどその他の種類のセンサ等を有する構成であってもよい。
【0104】
上記したようなPoE対応機器45や温度センサ90等を、照明装置20に組み込むため、照明装置20は、L2スイッチ70、PoEインジェクタ51、および、LANアダプタ80を具備する。
【0105】
L2スイッチ70は、信号線64用のハブとして機能し、信号線64を、照明部32やPoEインジェクタ51、LANアダプタ80など複数の機器に接続させることができる。例えば、L2スイッチ70は、一次側に接続された信号線64を分岐し、二次側から信号線64a,64b,64cとして出力する。
【0106】
そして、信号線64aが照明部32に、信号線64bがPoEインジェクタ51に、信号線64cがLANアダプタ80に接続されることで、一次側の信号線64が複数の機器に接続されることとなる。
【0107】
なお、
図7の例では、照明部32が制御信号を入力可能な構成として、信号線64aが接続されるようにしたが、これに限られず、例えば制御信号が入力されない構成の場合、信号線64aを除去してもよい。
【0108】
PoEインジェクタ51は、
図1に示す再構成部50の一例である。従って、PoEインジェクタ51は、照明ユニット30の受電部31で分岐された電力線63と信号線64(正確には信号線64b)とを再度重畳させて電力および信号をカメラユニット40やPoE対応機器45へ出力することができる。
【0109】
これにより、カメラユニット40およびPoE対応機器45が、通信ケーブル(PoEケーブル)65によって電力の供給や信号の送受信が行われる構成であっても、照明ユニット30の二次側にPoEインジェクタ51(再構成部50)を介して接続することが可能になる。
【0110】
従って、第2の実施形態にあっては、照明ユニット30と、カメラユニット40およびPoE対応機器45とをバス型で接続することが可能になり、よって照明装置20において、照明ユニット30、カメラユニット40およびPoE対応機器45を適切に組み込むことができる。
【0111】
LANアダプタ80は、一次側に接続された信号線(LANケーブル)64cをUSBに変換することができるハブである。従って、LANアダプタ80には、USBケーブル66を介して温度センサ90や湿度センサ91などを接続することができ、結果として
照明装置20において、温度センサ90や湿度センサ91などを適切に組み込むことができる。
【0112】
なお、上記した各実施形態および変形例では、一次側に通信ケーブル62が接続される「第1ユニット」が照明ユニット30であり、第1ユニットの二次側に接続される「第2ユニット」がカメラユニット40(付加ユニット)である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、「第1ユニット」がカメラユニット40(付加ユニット)であり、「第2ユニット」が照明ユニット30であってもよい。
【0113】
また、上記では、照明ユニット30において、受電部31の二次側に1つの照明部32が接続されるようにしたが、これに限られず、複数の照明部32が直列または並列に接続されるようにしてもよい。
【0114】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1 照明システム
10 給電装置
20 照明装置
30 照明ユニット
34 制御部
34b 電力制御部
40 カメラユニット
50 再構成部
62 通信ケーブル