(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】車載通信装置
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20230620BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
H04L12/46 100C
H04L12/28 100A
(21)【出願番号】P 2019189094
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真也
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-033570(JP,A)
【文献】特開2002-203065(JP,A)
【文献】特開2000-078141(JP,A)
【文献】特開2008-172788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0019892(US,A1)
【文献】特開2007-076402(JP,A)
【文献】特開2000-305618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-49/9057,61/00-65/80,69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載通信装置であって、
第1の記憶部と、
互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークに接続される通信部と、
前記通信部で受信されたデータを前記第1の記憶部に記憶させる制御部と、
前記第1の記憶部より書き込み速度が速い第2の記憶部と、
前記データを無線通信により外部機器に送信する無線通信部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車両が異常状態である場合、前記通信部で受信されたデータを前記第2の記憶部に記憶させ、
前記車両が異常状態でない場合、前記第2の記憶部に記憶させたデータを前記第1の記憶部に記憶させるとともに、前記第1の記憶部に記憶させたデータを前記無線通信部により前記外部機器に送信させ、
前記車両が異常状態でない場合、定期的に前記通信部で受信されたデータを前記第1の記憶部に記憶させ、今回において記憶させたデータと過去において記憶させたデータとの差が所定値以上である場合、前記車両が異常状態になる可能性があると判断する
ことを特徴とする車載通信装置。
【請求項2】
車両に搭載される車載通信装置であって、
第1の記憶部と、
互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークに接続される通信部と、
前記通信部で受信されたデータを前記第1の記憶部に記憶させる制御部と、
前記第1の記憶部より書き込み速度が速い第2の記憶部と、
前記データを無線通信により外部機器に送信する無線通信部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車両が異常状態である場合、前記通信部で受信されたデータを前記第2の記憶部に記憶させ、
前記車両が異常状態でない場合、前記第2の記憶部に記憶させたデータを前記第1の記憶部に記憶させるとともに、前記第1の記憶部に記憶させたデータを前記無線通信部により前記外部機器に送信させる
ことを特徴とする車載通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載通信装置として、互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークと、2つのネットワーク間でデータの中継を行う複数の中継装置(ゲートウェイ)とを備えるものがある。関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
【0003】
ところで、フォークリフトなどの車両では、車両が異常状態になってから一定時間経過するまでの間に、車両の異常状態を示すデータを記憶部に記憶し、その後、車両の動作を停止させるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車載通信装置では、ネットワーク間をいくつも中継させて各ネットワークから得られるデータを記憶部に記憶させる場合、データの転送経路が複雑になるため、車両が異常状態になってからデータが記憶部に記憶されるまでに比較的多くの時間がかかり、データが記憶部に記憶される前に車両の動作が停止してしまうような場合には、データを記憶部に記憶させることができないおそれがある。
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークを備える車両において、車両が異常状態になった場合に各ネットワークから得られるデータを記憶部に記憶させることができなくなることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である車載通信装置は、車両に搭載される車載通信装置であって、第1の記憶部と、互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークに接続される通信部と、通信部で受信されたデータを第1の記憶部に記憶させる制御部とを備える。
【0008】
これにより、ネットワーク間をいくつも中継させずに各ネットワークから得られるデータを第1の記憶部に記憶させることができるため、車両が異常状態になってから比較的短い時間でデータを第1の記憶部に記憶させることができ、データを第1の記憶部に記憶させることができなくなることを抑制することができる。
【0009】
また、上記車載通信装置は、第1の記憶部より書き込み速度が速い第2の記憶部を備え、制御部は、車両が異常状態である場合、通信部で受信されたデータを第2の記憶部に記憶させ、車両が異常状態でない場合、第2の記憶部に記憶させたデータを第1の記憶部に記憶させるように構成してもよい。
【0010】
これにより、データを第1の記憶部に直接記憶させる場合に比べて、短い時間でデータを第2の記憶部に記憶させた後、異常により車両の動作が停止しないときに第2の記憶部から第1の記憶部にデータを移動させることができるため、データを第1の記憶部に記憶させることができなくなることをさらに抑制することができる。
【0011】
また、上記車載通信装置は、データを無線通信により外部機器に送信する無線通信部を備え、制御部は、車両が異常状態でない場合、第1の記憶部に記憶させたデータを無線通信部により外部機器に送信させるように構成してもよい。
【0012】
これにより、外部機器に送信されたデータを用いて車両が異常状態になった原因をユーザやコンピュータなどが解析することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、互いに通信プロトコルが異なる複数のネットワークを備える車両において、車両が異常状態になった場合に各ネットワークから得られるデータを記憶部に記憶させることができなくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の車載通信装置を含む車両を示す図である。
【
図2】第1実施形態の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態の車載通信装置を含む車両を示す図である。
【
図4】第2実施形態の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第3実施形態の車載通信装置を含む車両を示す図である。
【
図6】第3実施形態の制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づいて第1~第3実施形態について詳細を説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の車載通信装置を含む車両を示す図である。
【0016】
図1に示す車両Veは、主制御部1と、走行制御部2と、荷役制御部3と、計測部4と、検知部5と、拡張機器接続部6と、外部機器通信部7と、車載通信装置8とを備える。
【0017】
主制御部1は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、車両Ve全体の動作制御を行う。
【0018】
例えば、主制御部1は、ユーザによる操作機器(ペダルやレバーなど)や拡張機器(オプションレバーなど)の操作に応じた指示を示すデータを、通信部11からCAN(Controller Area Network)の規格に準拠する通信プロトコル1のネットワークN1を介して走行制御部2や荷役制御部3に送信する。
【0019】
また、主制御部1は、計測部4からCANの規格に準拠する通信プロトコル2のネットワークN2を介して送信されるデータに示される計測値が閾値以上である場合、車両Veが異常状態であると判断し、車両Veが異常状態である旨を示すデータを、ネットワークN1を介して車載通信装置8に送信する。
【0020】
なお、主制御部1は、通信部11が暗号化されていないデータをネットワークN1、N2から受信したとき、そのデータを処理しないように構成してもよい。これにより、非正規の制御部がネットワークN1、N2に接続された場合でも、その非正規の制御部から送信されるデータを主制御部1が処理しないようにすることができる。
【0021】
走行制御部2は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、主制御部1から送信されるデータを通信部21で受信する。また、走行制御部2は、通信部21で受信されたデータに示される指示により、エンジンや走行用モータなどの走行装置の動作を制御する。また、走行制御部2は、走行装置の状態を示すデータを、通信部21からネットワークN1を介して車載通信装置8に送信する。なお、走行制御部2は、暗号化したデータを、車載通信装置8に送信するように構成してもよい。
【0022】
荷役制御部3は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、主制御部1から送信されるデータを通信部31で受信する。また、荷役制御部3は、通信部31で受信されたデータに示される指示により、フォークやマストなどの荷役装置の動作を制御する。また、荷役制御部3は、荷役装置の状態を示すデータを、通信部31からネットワークN1を介して車載通信装置8に送信する。なお、荷役制御部3は、暗号化したデータを、車載通信装置8に送信するように構成してもよい。
【0023】
計測部4は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、走行装置や荷役装置に流れる電流などを計測するセンサから出力される計測値を示すデータを、通信部41からネットワークN2を介して主制御部1の通信部11や車載通信装置8に送信する。
【0024】
検知部5は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、車両Veの周囲の障害物や車両Ve上の運転者などを検知するセンサから出力される検知結果を、通信部51からネットワークN2を介して主制御部1の通信部11や車載通信装置8に送信する。
【0025】
拡張機器接続部6は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、ユーザによる拡張機器(オプションレバーなど)の操作に応じた指示を示すデータや拡張機器(二次電池など)の状態を示すデータを、通信部61からCANの規格に準拠する通信プロトコル3のネットワークN3を介して車載通信装置8に送信する。
【0026】
外部機器通信部7は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、クラウドサーバなどの外部機器9と有線通信または無線通信(無線LAN(Local Area Network)や携帯電話回線など)によりデータの送受信を行う。
【0027】
例えば、外部機器通信部7は、車載通信装置8からCANの規格に準拠する通信プロトコル4のネットワークN4及びCANの規格に準拠する通信プロトコル5のネットワークN5のうちの少なくとも1つのネットワークを介して送信されるデータ(車両Veが異常状態である旨を示すデータ、走行装置の状態を示すデータ、荷役装置の状態を示すデータ、計測値を示すデータ、検知結果を示すデータ、拡張機器の状態を示すデータなど)を通信部71で受信し、そのデータを外部機器9に送信する。
【0028】
また、外部機器通信部7は、外部機器9から受信したデータ(CANの新しい規格に対応するためのデータなど)を、通信部71からネットワークN4及びネットワークN5のうちの少なくとも1つのネットワークを介して車載通信装置8に送信する。
【0029】
なお、通信プロトコル1~5は互いに異なっているものとする。また、CANの新しい規格に対応するためのデータは、ネットワークN1~N5の通信プロトコルとして対応可能であるものとする。
【0030】
車載通信装置8は、ゲートウェイであって、第1の記憶部81と、通信部82と、制御部83とを備える。
【0031】
第1の記憶部81は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)やフラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成され、通信部83で受信されたデータが記憶される。なお、第1の記憶部81は、SD(Secure Digital)メモリカードやUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの可搬記録媒体により構成されてもよい。ただし、第1の記憶部81は、車両が異常状態になってからデータが記憶部に記憶されるまでに比較的多くの時間がかからないよう、不揮発性メモリのうち書き込み速度が比較的速いものと選択するのが好ましい。
【0032】
通信部82は、ネットワークN1~N5に接続される。すなわち、通信部82は、主制御部1の通信部11、走行制御部2の通信部21、及び荷役制御部3の通信部31とネットワークN1を介してデータの送受信を行う。また、通信部82は、主制御部1の通信部11、計測部4の通信部41、及び検知部5の通信部51とネットワークN2を介してデータの送受信を行う。また、通信部82は、拡張機器接続部6の通信部61とネットワークN3を介してデータの送受信を行う。また、通信部82は、外部機器通信部7の通信部71とネットワークN4及びネットワークN5の少なくとも1つのネットワークを介してデータの送受信を行う。このように、通信部82と通信部71とをつなぐネットワークとして2つのネットワークN4、N5を備えているため、通信部82と通信部71との間で送受信されるデータの量が増加したとき、両方のネットワークN4、N5を用いることで、一方のネットワークを用いる場合に比べてデータの遅延を抑制することができる。
【0033】
制御部83は、CPUまたはプログラマブルなデバイスなどにより構成され、第1の記憶部81の読み書き制御、及び、通信部82の動作制御を行う。
【0034】
例えば、制御部83は、通信部82で受信されたデータ(車両Veが異常状態である旨を示すデータ、走行装置の状態を示すデータ、荷役装置の状態を示すデータ、計測値を示すデータ、検知結果を示すデータ、ユーザによる拡張機器の操作に応じた指示を示すデータ、拡張機器の状態を示すデータ、CANの新しい規格に対応するためのデータなど)を第1の記憶部81に記憶させる。
【0035】
また、制御部83は、第1の記憶部81に記憶させたデータ(ユーザによる拡張機器の操作に応じた指示を示すデータ、CANの新しい規格に対応するためのデータなど)を、通信部82からネットワークN1を介して主制御部1の通信部11に送信させる。
【0036】
また、制御部83は、第1の記憶部81に記憶させたデータ(車両Veが異常状態である旨を示すデータ、走行装置の状態を示すデータ、荷役装置の状態を示すデータ、計測値を示すデータ、検知結果を示すデータ、拡張機器の状態を示すデータなど)を、通信部82からネットワークN4及びネットワークN5のうちの少なくとも1つのネットワークを介して外部機器通信部7の通信部71に送信させる。
【0037】
なお、制御部83は、車両Veが異常状態でない場合、定期的に通信部82で受信されたデータ(計測値を示すデータなど)を第1の記憶部81に記憶させ、今回において記憶させたデータと過去において記憶させたデータとの差が所定値以上である場合、車両Veが異常状態になる可能性があると判断するように構成してもよい。これにより、車両Veが異常状態になる前に車両Veの動作を停止させたり不具合部分を修理したりすることができるため、車両Veが異常状態になることを未然に防ぐことができる。
【0038】
図2は、第1実施形態の制御部83の動作の一例を示すフローチャートである。
制御部83は、車両Veが異常状態である場合(ステップS11:Yes)、通信部82で受信されたデータを第1の記憶部81に記憶させる(ステップS12)。例えば、制御部83は、主制御部1の通信部11から送信される、車両Veが異常状態である旨を示すデータを通信部82が受信した場合、または、計測部4の通信部41から送信されるデータが示す計測値が閾値以上である場合、車両Veが異常状態であると判断する。なお、車両Veが異常状態である場合に通信部82が受信するデータとしては、走行装置の状態を示すデータ、荷役装置の状態を示すデータ、計測値を示すデータ、検知結果を示すデータ、拡張機器の状態を示すデータなどとする。
【0039】
また、制御部83は、車両Veが異常状態でない場合(ステップS11:No)、現在の状態を維持し、再度、車両Veが異常状態であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0040】
このように、第1実施形態の車載通信装置8は、第1の記憶部81と、互いに通信プロトコルが異なるネットワークN1~N5に接続される通信部82と、通信部82で受信されたデータを第1の記憶部81に記憶させる制御部83とを備える構成としている。
【0041】
これにより、ネットワーク間をいくつも中継させずにネットワークN1~N5から得られるデータを第1の記憶部81に記憶させることができるため、車両Veが異常状態になってから比較的短い時間でデータを第1の記憶部81に記憶させることができるため、データが第1の記憶部81に記憶されないことを抑制することができる。
【0042】
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態の車載通信装置を含む車両を示す図である。なお、
図3において、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図3に示す車載通信装置8において、
図1に示す車載通信装置8と異なる点は、第2の記憶部84をさらに備えている点である。
【0044】
第2の記憶部84は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)などの不揮発性メモリにより構成され、第1の記憶部81から読み出されたデータが記憶される。なお、第2の記憶部84は、第1の記憶部81より書き込み速度が速いものである。また、第2の記憶部84は、SDメモリカードやUSBメモリなどの可搬記録媒体により構成されてもよい。また、第2実施形態において、第1の記憶部81は、第2の記憶部84より記憶容量が同等でも構わないが、大きいものであるほうが好ましい。
【0045】
図4は、第2実施形態の制御部83の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部83は、車両Veが異常状態である場合(ステップS21:Yes)、通信部82で受信されたデータを第2の記憶部84に記憶させる(ステップS22)。一方、制御部83は、車両Veが異常状態でない場合(ステップS21:No)、第2の記憶部84に記憶させたデータを読み出し、その読み出したデータを第1の記憶部81に記憶させる(ステップS23)。
【0046】
なお、ステップS22において第2の記憶部84に記憶させるデータは、異常そのもののデータだけでなく、異常発生前後のデータを含んでいることも意図している。すなわち、本フローチャートのステップS23において、第2の記憶部84に記憶させたデータを第1の記憶部81に記憶させることと並行して、第2の記憶部84に常時データを保存させておき、ステップS21において車両Veが異常状態である場合に、第2の記憶部84に記憶されたデータをまとめて第1の記憶部81に移動させるようにしてもよい。これにより、車両の異常状態前後のデータを第2の記憶部84に記憶させておくことができる。
【0047】
このように、第2実施形態の車載通信装置8は、第1の記憶部81より書き込み速度が速い第2の記憶部84を備え、車両Veが異常状態である場合、通信部82で受信されたデータを第2の記憶部84に記憶させ、車両Veが異常状態でない場合、第2の記憶部84に記憶させたデータを第1の記憶部81に記憶させている。すなわち、第2実施形態の車載通信装置8は、第2の記憶部85にデータを一旦記憶させ、車両Veの動作が停止しないときに第2の記憶部85から第1の記憶部81にデータを移動させている。
【0048】
これにより、データを第1の記憶部81に直接記憶させる場合に比べて、短い時間でデータを第2の記憶部84に記憶させた後、異常により車両Veの動作が停止しないときに第2の記憶部84から第1の記憶部81にデータを移動させることができるため、データを第1の記憶部81に記憶させることができなくなることをさらに抑制することができる。
【0049】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態の車載通信装置を含む車両Veを示す図である。なお、
図5において、
図3に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図5に示す車載通信装置8において、
図1に示す車載通信装置8や
図3に示す車載通信装置8と異なる点は、無線通信部85をさらに備えている点である。
【0051】
無線通信部85は、外部機器9と無線通信によりデータの送受信を行う。
例えば、無線通信部85は、第1の記憶部81に記憶されているデータ(車両Veが異常状態である旨を示すデータ、走行装置の状態を示すデータ、荷役装置の状態を示すデータ、計測値を示すデータ、検知結果を示すデータ、拡張機器の状態を示すデータなど)を、外部機器9に送信する。なお、無線通信部85は、暗号化したデータを、外部機器9に送信するように構成してもよい。
【0052】
また、無線通信部85は、外部機器9からデータ(CANの新しい規格に対応するためのデータなど)を受信する。制御部83は、無線通信部85で受信されたデータを第1の記憶部81に記憶させる。
【0053】
図6は、第3実施形態の制御部83の動作の一例を示すフローチャートである。なお、
図6に示すステップS21~S23は、
図4に示すステップS21~S23と同様である。
【0054】
制御部83は、車両Veが異常状態でない場合(ステップS21:No)、第2の記憶部84に記憶させたデータを読み出し、その読み出したデータを第1の記憶部81に記憶させた後(ステップS23)、第1の記憶部81に記憶させたデータを第1の記憶部81から読み出し、その読み出したデータを無線通信部85により外部機器9に送信させる(ステップS24)。
【0055】
このように、第3実施形態の車載通信装置8は、データを無線通信により外部機器9に送信する無線通信部85を備え、車両Veが異常状態でない場合、第2の記憶部84に記憶させたデータを第1の記憶部81に記憶させた後、第1の記憶部81に記憶させたデータを無線通信部85により外部機器9に送信させている。
【0056】
これにより、外部機器9に送信されたデータを用いて車両Veが異常状態になった原因をユーザやコンピュータなどが解析することができる。
【0057】
車載通信装置8はそれ単独で存在するだけでなく、主制御部1、走行制御部2、荷役制御部3、計測部4、検知部5、拡張機器接続部6、外部機器通信部7や、通信部82の中にその機能を有していてもよい。
【0058】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 主制御部
2 走行制御部
3 荷役制御部
4 計測部
5 検知部
6 拡張機器接続部
7 外部機器通信部
8 車載通信装置
9 外部機器
81 第1の記憶部
82 通信部
83 制御部
84 第2の記憶部
85 無線通信部
Ve 車両
N1~N5 ネットワーク