IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図1
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図2
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図3
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図4
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図5
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図6
  • 特許-車両用外装部品の取付構造 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-19
(45)【発行日】2023-06-27
(54)【発明の名称】車両用外装部品の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
B60R1/06 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020002015
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021109509
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井関 健一郎
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-153199(JP,A)
【文献】実開平01-126837(JP,U)
【文献】特開2012-153198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/06 - 1/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して外装部品を取り付ける構造であって
前記外装部品は、
前記車体に対して取り付けられるベースと、
前記ベースを外周側から覆うカバーと、を備え、
前記カバーと前記車体との間には、可撓性材料により形成され、前記カバーと前記車体の外面との間をシールするガスケットが設けられており、
前記ベースは、前記ガスケットに向かって突出する突部を有しており、
前記ガスケットは、
前記ベースと前記車体との間に位置する本体部と、
前記本体部の外周側に連なり、外周側ほど前記車体に近接するように前記本体部に対して傾斜するとともに先端において前記車体に接触する傾斜部と、
前記傾斜部の先端から前記カバーに向けて屈曲するとともに前記カバーの端縁に接触するリップ部と、を有しており、
前記本体部は、前記突部の先端部が挿通される挿通孔を有しており、
前記本体部における前記挿通孔の周囲には、前記ベースに向かって突出するとともに前記ベースに接触するリブが前記挿通孔の周方向に互いに間隔をおいて複数設けられている、
車両用外装部品の取付構造。
【請求項2】
前記ベースは、前記突部を複数有しており、
前記本体部は、前記挿通孔を複数有しており、
前記リブは、前記挿通孔の各々の周囲に設けられている、
請求項1に記載の車両用外装部品の取付構造。
【請求項3】
車体に対して外装部品を取り付ける構造であって、
前記外装部品は、
前記車体に対して取り付けられるベースと、
前記ベースを外周側から覆うカバーと、を備え、
前記カバーと前記車体との間には、可撓性材料により形成され、前記カバーと前記車体の外面との間をシールするガスケットが設けられており、
前記ベースは、前記ガスケットに向かって突出する突部を複数有しており、
前記ガスケットは、
前記ベースと前記車体との間に位置する本体部と、
前記本体部の外周側に連なり、外周側ほど前記車体に近接するように前記本体部に対して傾斜するとともに先端において前記車体に接触する傾斜部と、
前記傾斜部の先端から前記カバーに向けて屈曲するとともに前記カバーの端縁に接触するリップ部と、を有しており、
前記本体部は、前記突部の先端部が挿通される挿通孔を複数有しており、
前記本体部における前記挿通孔の各々の周囲には、前記ベースに向かって突出するとともに前記ベースに接触するリブが設けられている、
車両用外装部品の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装部品の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両用外装部品としてのアウタミラー装置の取付構造が開示されている。特許文献1に記載のアウタミラー装置は、ベース部材と、ベース部材の外周側を被覆するベースカバー体とを備えている。ベース部材は、ドアアウタパネルの開口部に挿入され、アウタリインフォースに固定される複数の取付脚部を有している。ベースカバー体は、ボルトによってベース部材に取り付けられている。ベース部材において取付脚部の付け根部分付近からは、ブラケットが延設されている。ブラケットとドアアウタパネルとの間には、ガスケットが設けられている。ブラケットは、ガスケットのリップ部をドアアウタパネルへ向けて押しつけて密着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-302863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のアウタミラー装置の取付構造を含む車両用外装部品の取付構造では、各部品の製造ばらつきなどにより、外装部品を構成するカバーと車体の外面との間隔がばらつきやすい。その結果、車両の見栄えが損なわれるおそれがある。
【0005】
また、こうした間隔を調節するためには、各部品において上記間隔の形成に関係する部位の設計を修正する必要がある。この場合、設計の修正に多くの工数を要することとなるといった問題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、車体の外面とカバーとの間隔を容易に調整することのできる車両用外装部品の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための車両用外装部品の取付構造は、車体に対して外装部品を取り付ける構造であり、前記外装部品は、前記車体に対して取り付けられるベースと、前記ベースを外周側から覆うカバーと、を備え、前記カバーと前記車体との間には、可撓性材料により形成され、前記カバーと前記車体の外面との間をシールするガスケットが設けられており、前記ガスケットは、前記ベースと前記車体との間に位置する本体部と、前記本体部の外周側に連なり、外周側ほど前記車体に近接するように前記本体部に対して傾斜するとともに先端において前記車体に接触する傾斜部と、前記傾斜部の先端から前記カバーに向けて屈曲するとともに前記カバーの端縁に接触するリップ部と、を有しており、前記本体部及び前記ベースのいずれか一方には、他方に向かって突出するとともに前記他方に接触するリブが設けられている。
【0008】
同構成によれば、ガスケットの本体部及びベースのいずれか一方に設けられたリブが他方に接触しているため、本体部には、車体に取り付けられるベースから車体側への押圧力が作用する。また、ガスケットの傾斜部の先端が車体の外面に接触するとともに、ガスケットのリップ部がカバーの端縁に接触することにより、カバーと車体の外面との間がシールされる。
【0009】
ここで、上記リブの高さを大きくすると、ガスケットの本体部に作用する上記押圧力が大きくなる。これにより、車体の外面に対するガスケットの傾斜部の傾斜角度が小さくなるとともに、傾斜部に対するリップ部の屈曲角度が小さくなる。その結果、カバーと車体の外面との間隔が小さくなる。したがって、カバーと車体の外面との間隔を容易に調整することができる。
【0010】
上記車両用外装部品の取付構造において、前記ベースは、前記ガスケットに向かって突出する突部を有しており、前記本体部は、前記突部の先端部が挿通される挿通孔を有しており、前記リブは、前記本体部における前記挿通孔の周囲に設けられていることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、ベースに設けられた突部の先端部がガスケットの挿通孔に挿通されることで、突部の突出方向と交差する方向において、ガスケットに対するベースの位置調整が可能となる。
【0012】
上記車両用外装部品の取付構造において、前記リブは、前記挿通孔の周方向に互いに間隔をおいて複数設けられていることが好ましい。
同構成によれば、挿通孔の周囲に設けられた複数のリブのうちの一部の高さを変更することによって、ガスケットの傾斜部のうち当該一部に近い部分の傾斜角度及びリップ部の屈曲角度が変更される。これにより、カバーと車体の外面との間隔を部分的に調整することが容易にできる。
【0013】
上記車両用外装部品の取付構造において、前記ベースは、前記突部を複数有しており、前記本体部は、前記挿通孔を複数有しており、前記リブは、前記挿通孔の各々の周囲に設けられていることが好ましい。
【0014】
同構成によれば、車体の外面とカバーとの間隔を調整するためのリブが、複数の突部及び挿通孔に対応して複数設けられている。このため、カバーの端縁の延在方向における広い範囲にわたって車体の外面とカバーとの間隔を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車体の外面とカバーとの間隔を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両用外装部材の一実施形態について、ガスケットが取り付けられた状態のアウタミラー装置を示す斜視図。
図2】同実施形態のアウタミラー装置とガスケットとを離間して示す分解斜視図。
図3】同実施形態のガスケットの断面図。
図4】同実施形態のガスケットのリブの一例を示す斜視図。
図5図4のガスケットを介して、アウタミラー装置がドアに取り付けられている状態を示す断面図。
図6】同実施形態のガスケットにおいて、一部のリブの高さを変更した例を示す斜視図。
図7図6のガスケットを介して、アウタミラー装置がドアに取り付けられている状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図7を参照して、車両用外装部材の取付構造を、アウタミラー装置の取付構造として具体化した一実施形態について説明する。
図1図2図5及び図7に示すように、アウタミラー装置10は、車両のドア70、より詳しくは、ドアアウタパネル71の内側に位置するアウタリインフォース72に対して取り付けられるものである。なお、ドア70が本発明に係る車体に相当する。
【0018】
アウタミラー装置10は、アウタリインフォース72に対して取り付けられるベース20と、ベース20を外周側から覆う筒状のカバー30とを備えている。
<ベース20>
図2に示すように、ベース20は、硬質樹脂材料製であり、ドアアウタパネル71の外面に対向する対向面20aを有している。対向面20aには、3つの第1突部21、2つの第2突部22、及び2つの第3突部23がドア70に向けてそれぞれ突出して設けられている。各第1突部21、各第2突部22、及び各第3突部23は、対向面20aの面方向において互いに離間した位置に設けられている。第1突部21は中心孔21aを有している。中心孔21aには、アウタリインフォース72に対してベース20を取り付けるボルト25が挿通されている。
【0019】
第2突部22及び第3突部23は、共に円柱状のピンである。
第2突部22の外径及び突出高さは、第3突部23の外径及び突出高さよりもそれぞれ小さい。なお、第2突部22が本発明に係る突部に相当する。
【0020】
<カバー30>
カバー30は、硬質樹脂材料製であり、ベース20における対向面20aとは反対側にて固定されている。
【0021】
図5に示すように、カバー30におけるドア70側の端縁30aは、ドアアウタパネル71に近接するほど外周側に位置するように傾斜している。
カバー30とドアアウタパネル71との間には、ゴムなどの可撓性材料により形成され、カバー30とドアアウタパネル71との間をシールするガスケット50が設けられている。
【0022】
図3及び図5に示すように、ガスケット50は、ベース20とドアアウタパネル71との間に位置する円板状の本体部51を有している。
ガスケット50は、本体部51の外周側に連なり、外周側ほどドアアウタパネル71に近接するように本体部51に対して傾斜するとともに先端52aにおいてドアアウタパネル71に接触する傾斜部52を有している。
【0023】
ガスケット50は、傾斜部52の先端52aからカバー30に向けて屈曲するとともにカバー30の端縁30aに接触するリップ部53を有している。
図2に示すように、本体部51は、各第1突部21から突出するボルト25が挿通される第1挿通孔61と、各第2突部22が挿通される第2挿通孔62と、各第3突部23が挿通される第3挿通孔63とを有している。
【0024】
各孔61,62,63は、いずれも円孔である。
第2挿通孔62の内周面と第2突部22の外周面との間には、隙間Sが設けられている(図5参照)。なお、第2挿通孔62が、本発明に係る挿通孔に相当する。
【0025】
図4及び図5に示すように、本体部51の第2挿通孔62の周囲には、ベース20に向かって突出するとともにベース20の対向面20aに接触する四角柱状の複数のリブ65A~65Dが設けられている。本実施形態では、第2挿通孔62の周縁に4つのリブ65A~65Dが設けられている。リブ65A~65Dは、第2挿通孔62の周方向に等間隔(この場合、90度間隔)で設けられている。
【0026】
リブ65A~65Dの構成は、第2挿通孔62の一方と他方とで同一であることから、以降においては、一方(図2の右方)の構成について説明し、他方(図2の左方)の構成については説明を省略する。
【0027】
傾斜部52及びリップ部53は、本体部51の全周にわたって設けられている。
傾斜部52は、本体部51に近接するほど厚肉に形成されている。
図1及び図2に示すように、ガスケット50の本体部51の中央部に設けられた孔(図示略)に、ねじ40が挿通されている。ねじ40がベース20に設けられた孔24に螺入されることにより、ガスケット50がベース20に対して締結されている。
【0028】
図5に示すように、ベース20の第3突部23は、ドアアウタパネル71の貫通孔71a及びアウタリインフォース72の貫通孔72aに順に挿通されている。ボルト25は、ドアアウタパネル71の取付孔71b及びアウタリインフォース72の取付孔72bに順に挿通されている。ボルト25の先端には、ナット26が螺合されている。これにより、アウタミラー装置10がドア70に対して取り付けられている。
【0029】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4及び図5に示すように、リブ65A~65Dがベース20の対向面20aに接触しているため、本体部51には、ドア70に取り付けられるベース20からドア70側への押圧力が作用する。また、ガスケット50の傾斜部52の先端52aがドア70の外面に接触するとともに、ガスケット50のリップ部53がカバー30の端縁30aに接触することにより、カバー30とドア70の外面との間がシールされる。
【0030】
ここで、図6及び図7に示すように、リブ65A~65Dの高さを大きくすると、ガスケット50の本体部51に作用する上記押圧力が大きくなる。これにより、ガスケット50の傾斜部52の傾斜角度及びリップ部53のドア70の外面に対する屈曲角度が小さくなる。その結果、カバー30とドア70の外面との間隔が小さくなる(以上、作用1)。
【0031】
特に、第2挿通孔62の周囲に設けられた複数のリブ65A~65Dのうちの1つのリブ65Aの高さを変更することによって、ガスケット50の傾斜部52のうち当該リブ65Aに近い部分の傾斜角度及びリップ部53の屈曲角度が変更される(以上、作用2)。
【0032】
また、ベース20に設けられた第2突部22の先端部がガスケット50の第2挿通孔62に挿通されることで、第2突部22の突出方向と交差する方向、すなわち本体部51の面方向において、ガスケット50に対するベース20の位置調整が可能となる。
【0033】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上述した作用1を奏することから、ドア70の外面とカバー30との間隔を容易に調整することができる。
【0034】
(2)ベース20に設けられた第2突部22の先端部がガスケット50の第2挿通孔62に挿通されることで、第2突部22の突出方向と交差する方向において、ガスケット50に対するベース20の位置調整が可能となる。
【0035】
(3)上述した作用2を奏することから、ドア70の外面とアウタミラー装置10との間隔を部分的に調整することが容易にできる。
(4)ドア70の外面とカバー30との間隔を調整するためのリブ65A~65Dが、複数の第2突部22及び第2挿通孔62に対応して複数設けられている。このため、カバー30の端縁30aの延在方向における広い範囲にわたってドア70の外面とカバー30との間隔を調整することができる。
【0036】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・リブ65A~65Dの形状を、例えば円柱状などに変更することもできる。また、リブ65A~65Dの形状を互いに異ならせてもよい。
・第2挿通孔62の周囲に設けられるリブは、少なくとも1つあればよい。
【0038】
・上記実施形態において、2つの第2挿通孔62の周縁に設けられるリブの構成が同一であるものを例示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、リブの数及び形状を第2挿通孔62毎に異ならせてもよい。または、2つの第2挿通孔62のうち一方の周囲のみにリブを設けた構成としてもよい。
【0039】
・リブ65A~65Dを設ける位置は、任意に変更することができる。例えば、ガスケット50の本体部51において第2挿通孔62から離間した位置にリブを設けることもできる。
【0040】
・ガスケット50に設けられたリブを省略する一方、ベース20の対向面20aにガスケット50の本体部51に向かって突出するとともに本体部51に接触するリブを設けることもできる。
【0041】
・本発明は、アウタミラー装置の取付構造に限定されない。例えば、車両の周囲の状況を撮影するカメラ装置などの他の車両用外装部材に対して本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
10…アウタミラー装置
20…ベース
20a…対向面
21…第1突部
21a…中心孔
22…第2突部
23…第3突部
24…孔
25…ボルト
26…ナット
30…カバー
30a…端縁
40…ねじ
50…ガスケット
51…本体部
52…傾斜部
52a…先端
53…リップ部
61…第1挿通孔
62…第2挿通孔
63…第3挿通孔
65A~65D…リブ
70…ドア
71…ドアアウタパネル
72…アウタリインフォース
71a,72a…貫通孔
71b,72b…取付孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7